JP2001137212A - 静磁場発生装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

静磁場発生装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置

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JP2001137212A
JP2001137212A JP32102899A JP32102899A JP2001137212A JP 2001137212 A JP2001137212 A JP 2001137212A JP 32102899 A JP32102899 A JP 32102899A JP 32102899 A JP32102899 A JP 32102899A JP 2001137212 A JP2001137212 A JP 2001137212A
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Inventor
Hirotaka Takeshima
弘隆 竹島
Takao Honna
孝男 本名
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Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
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Hitachi Medical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡素な構造で、漏洩磁場の広がりの小さいパ
ッシブシールド方式の開放型静磁場発生装置を提供す
る。 【解決手段】 測定空間となる均一磁場領域1を挟ん
で、上下方向に対向して超電導コイル2a、2bが配置され
て、均一磁場領域1に均一な静磁場を形成する。超電導
コイル2a、2bから成る超電導磁石の周囲には、超電導磁
石の上下に配置されてこれを支持する強磁性体プレート
10a、10bと、これを間隔をとって支持する強磁性体コラ
ム11とから成る磁気シールド9が配置される。強磁性体
プレート10bと強磁性体コラム11とは、その接続部16に
おいて、階段状の接合面、すなわち水平方向の接合面21
A、23Cと垂直方向の接合面22Bによって接合される。こ
のように接合面を階段状にして接合面積を増加させるこ
とにより、接続部16の磁気抵抗が減少し、接続部16の周
辺部の漏洩磁場が低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主に磁気共鳴イメー
ジング装置(以下、MRI装置という)に用いられる静磁
場発生装置に係り、特に静磁場発生装置の磁場漏洩を低
減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】開放性が高く、被検体へのアクセスを容
易にした開放型MRI装置用静磁場発生装置の従来例とし
て、特開平9-153408号公報に開示されたものがある。こ
の静磁場発生装置の外観図を図10に、縦断面図を図11に
示す。この静磁場発生装置(以下、開放型磁石という)
は、前後方向に開放された磁石で、磁石の周りの漏洩磁
場を抑制するために強磁性体から成る磁気シールドが用
いられている。
【0003】図10、図11において、この開放型磁石で
は、測定空間となる均一磁場領域1を挟んで上下方向に
冷却容器3a、3bに収納された超電導コイル2a、2bが配置
され、均一磁場領域1に高強度で、均一な静磁場を形成
している。上下方向に配置された冷却容器3a、3bは冷
媒容器4a、4bと真空容器5a、5bを具備し、超電導コイル
2a、2bを超電導状態になるまで冷却し、保持している。
上下の冷却容器3a、3bは連結管6で接続されている。
【0004】磁気シールド9は、上下の冷却容器3a、3b
に接続されて、これを支持し、磁気的にシールドする上
側強磁性体プレート10a及び下側強磁性体プレート10b
と、上下の強磁性体プレート10a、10bを間隔をとって支
持し、磁気的に接続される強磁性体コラム11とから構成
されている。強磁性体コラム11は、上記の連結管6の近
傍に平行して配置され、開放性磁石の開放性を保持して
いる。磁気シールド9は、超電導コイル2a、2bと磁気回
路を形成し、磁石の周囲の漏洩磁場を抑制している。
【0005】測定空間の開放性を増し、磁気シールドの
重量の増大を抑制したMRI装置用磁気回路が特開平9-615
07号公報に開示されている。この磁気回路では、バック
ヨーク(図10の強磁性体プレート10に相当)を支持する
2本の板状の継鉄(図10の強磁性体コラム10に相当)が
測定空間を挟んで配置され、この板状の継鉄の形状に関
し、バックヨークを支持する両端部の幅を広くし、中央
部の幅を狭くしている。この継鉄の形状の改良により、
測定空間の開放性を増し、バックヨークと継鉄の接続部
における磁束の流れを保持し、継鉄の重量を軽減してい
る。
【0006】上記従来例において、磁気シールド9の強
磁性体プレート10と強磁性体コラム11との接続部は、面
と面とを接触させて接合されている。このため、両者の
接続部における磁束の流れは、接続部における隙間の有
無、隙間の大きさによって変化し、その結果、接続部の
周辺における漏洩磁場強度も変化している。図12及び図
13には、両者の接続部の隙間の有無による磁束の流れの
変化を示している。
【0007】図12は、両者の接続部に隙間がない場合の
磁束の流れを、図13は両者の接続部に隙間が有る場合の
磁束の流れをそれぞれ示している。図12の場合には、両
者の接続部に隙間がないため、この部分の磁気抵抗はほ
ぼ0となるので、両者間を磁束14がスムーズに流れ、下
側強磁性体プレート10bの外周部における磁束14aの向き
は強磁性体コラム11に向っている。その結果、両者の接
続部16の周りの漏洩磁場は小さくなっている。
【0008】しかし、実際には、図13に示す如く、両者
の接続部には隙間15が存在する。この隙間15は、強磁性
体プレート10や強磁性体コラム11の製作上の誤差や温度
変化による歪みなどによって生ずるもので、これを無く
すことは困難である。この隙間15の存在により、この部
分に磁気抵抗が発生し、下側強磁性体プレート10bの外
周部における磁束14bの向きが若干変化し、図12の場合
の磁束14aと比べて、外周に向く成分が多くなり、その
結果、両者の接続部16の周りの漏洩磁場が大きくなる。
【0009】一方、MRI装置が設置される病院などの施
設においては、一般に管理上の漏洩磁場値として5ガウ
ス(0.5ミリテスラ)が採用されている。通常のMRI装置
では、測定空間となる均一磁場領域1の中心から数メー
トルの領域を磁場管理区域としている。このため、上記
の如く、装置の漏洩磁場が増加すると、装置の磁場管理
区域を広げる必要が生じ、その結果、装置の設置により
広いスペースが必要になるという問題が生じる。
【0010】また、上記の磁気シールド9の強磁性体プ
レート10と強磁性体コラム11との接続部の各々の接合面
を精度良く加工して、両者の隙間15をできるだけ小さく
することも可能であるが、大型のMRI装置の場合には上
記の加工は困難になり、磁気シールド9の製作工数及び
製作費用が増加する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のことを考慮し
て、本発明では、主に開放型MRI装置に用いられる静磁
場発生装置において、製作の容易な構造を持ち、かつ、
漏洩磁場の広がりを小さくすることができる磁気シール
ドを具備する静磁場発生装置及びこの静磁場発生装置を
用いるMRI装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の静磁場発生装置は、測定空間を挟んで、対
向して1組の静磁場発生源が配置され、該靜磁場発生源
の周囲に1組の強磁性体板と該強磁性体板を支持し、磁
気的に接続された強磁性体柱とから構成される磁気シー
ルドを有する静磁場発生装置において、前記強磁性体板
と前記強磁性体柱との接合部分が複数の平面又は曲面で
接合されている(請求項1)。この構成では、磁気シー
ルドを構成する強磁性体板と強磁性体柱との接合部分が
複数の平面又は曲面で接合されているため、従来品に比
べ接合面積が増加し、磁気抵抗が低減することにより、
接合部分の磁束の流れがスムーズになり、接合部分の近
傍における漏洩磁場を低減することができる。
【0013】本発明の静磁場発生装置では更に、前記強
磁性体板と前記強磁性体柱との接合部分が前記強磁性体
板の外周に行くにつれて階段の高さが低くなる階段状の
面で接合されている(請求項2)。この構成では、強磁
性体板と強磁性体柱との接合面が階段状になることによ
り、従来品の水平方向の接合面に対し、垂直方向の接合
面が増加するため、両者の接合面が大幅に増加する。ま
た、強磁性体板の接合面の階段が外周に行くにつれて低
くなっているため、接合面における磁束の流れはスムー
ズになり、漏洩磁場を低減することができる。また、接
合面が平面であるので、加工も容易である。
【0014】本発明の静磁場発生装置では更に、前記強
磁性体柱が長さの異なる複数本の四角柱を密に並べて構
成したものであり、その長さ方向の端部が前記強磁性体
板との接合面を形成している。この構成では、強磁性体
柱が複数本の四角柱で構成されているため、各四角柱を
別個に加工してから強磁性体柱を組立てることができる
ので、強磁性体柱の加工が容易になる。
【0015】本発明の静磁場発生装置では更に、前記四
角柱の断面を同一形状、寸法の長方形としたものであ
る。この構成では、同一形状、寸法の長方形柱を使用す
ることができるので、材料の入手、加工が容易となる。
【0016】本発明の静磁場発生装置では更に、前記強
磁性体板が複数枚の板材で構成され、その前記強磁性体
柱との接合部分において板材の厚さを段差とする階段状
の接合面を形成する。この構成では、強磁性体板が階段
状接合面の段差に相当する厚さの複数枚の板材を重ねて
作られているので、加工は容易であり、強磁性体柱との
組合せも容易になる。
【0017】本発明の静磁場発生装置では更に、前記強
磁性体柱を構成する前記四角柱の平坦面が前記測定空間
に面するように配置され、前記四角柱の長さは前記測定
空間に近い側に配置したものほど短くなっている。この
構成では、強磁性体板と強磁性体柱との接合面は階段状
に形成されるので、磁束の流れがスムーズになり、漏洩
磁場を低減することができる。また、強磁性体柱を構成
する四角柱の平坦面が測定空間を挟んで対向する構造に
することにより、2本の強磁性体柱の間隔を広くとるこ
とが可能となり、磁石の開放性を向上させることができ
る。
【0018】本発明の静磁場発生装置では更に、前記強
磁性体板と前記強磁性体柱との接合部分において、前記
強磁性体板又は前記強磁性体の外周側の角部を削り落と
し、丸味を持たせたものである。この構成では、磁気シ
ールドの接続部の外周側の角部が丸味を持つ形状になる
ため、この部分の磁束の流れがスムーズとなり、磁気シ
ールドの接続部周辺の漏洩磁場を低減することができ
る。
【0019】本発明の静磁場発生装置では更に、前記強
磁性体板と前記強磁性体柱との接合部分において、両者
の接合面のうちの最も外側にある接合面の隙間を覆うよ
うに強磁性体から成る被覆材を取り付けたものである。
この構成では、被覆材の取付けにより、上記接合面にお
ける磁気抵抗が減少し、磁束の流れがスムーズになり、
上記接合面近傍の漏洩磁場が低減する。
【0020】本発明の静磁場発生装置では更に、前記強
磁性体板と前記強磁性体柱の接合面の隙間に、可撓性の
ある強磁性体から成る充填材を挟み込むものである。こ
の構成では、強磁性体板と強磁性体柱との接合面におけ
る磁気抵抗が小さくなるので、この部分での磁束の流れ
がスムーズとなり、漏洩磁場が低減する。
【0021】本発明の静磁場発生装置では更に、前記静
磁場発生源が超電導磁石、又は永久磁石又は常伝導磁石
である。本発明は静磁場発生装置の磁気シールドに関す
るものであるので、パッシブシールドタイプの磁気シー
ルドを具備する静磁場発生装置には全て適用可能であ
り、磁気シールドの接続部周辺の漏洩磁場の低減に寄与
する。
【0022】本発明のMRI装置は、静磁場発生装置を用
いて被検体の核磁気共鳴画像を撮像するMRI装置におい
て、前記静磁場発生装置が本発明の静磁場発生装置であ
る(請求項3)。この構成では、本発明の静磁場発生装
置を適用することにより、磁気シールドを構成する強磁
性体板と強磁性体柱との接合部分の接合面積が従来品に
比べて増加し、磁気抵抗が増加することにより、接合部
分の磁束の流れがスムーズになり、接合部分の近傍にお
ける漏洩磁場を低減することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を添付図面
により説明する。図1に本発明の静磁場発生装置の第1の
実施例の外観図を、図2に図1の要部拡大断面図を示す。
本実施例は主に開放型MRI装置に使用される静磁場発生
装置に係るもので、その構造に特徴がある。この静磁場
発生装置では、図1に示す如く前後方向に広い開口を有
する。図1において、測定空間となる均一磁場領域1を挟
んで上下方向に超電導コイル2a、2bを内包する冷却容器
3a、3bが対向して配置され、超電導コイル2a、2bによっ
て、均一磁場領域1に高強度の均一な青磁場が形成され
る。冷却容器3a、3bは、超電導コイル2a、2bを支持し、
内包する冷媒中に浸漬して冷却する冷媒容器と、冷媒容
器を内包する真空容器とから成る。上下の冷却容器3a、
3bとの間は、均一磁場領域1の左右に配置された連結管6
によって間隔をとって支持されるとともに、熱的に接続
されている。
【0024】超電導コイル2a、2bが発生する漏洩磁場を
シールドするために、超電導コイル2a、2bの周囲に磁気
シールド9が配置されている。磁気シールド9は、冷却容
器3a、3bの外側に配置された板状の強磁性体プレート10
a、10bと、この強磁性体プレート10a、10bを間隔をとっ
て支持する2本の柱状の強磁性体コラム11とから成る。
超電導コイル2a、2bと磁気シールド9は磁気回路13を形
成する。超電導コイル2a、2bによって生成された磁束は
この磁気回路13を、上側超電導コイル2a、上側強磁性体
プレート10a、強磁性体コラム11、下側強磁性体プレー
ト10b、下側超電導コイル2b、均一磁場領域1の順で流
れ、均一磁場領域1に均一な静磁場を形成するととも
に、磁気回路13の外側への磁場漏洩を低減している。
【0025】本実施例においては、MRI装置としての開
放性を向上するために、特に均一磁場領域1の前方側が
開けており、連結管6や強磁性体コラム11が均一磁場領
域1の上下方向の中心線12よりも後方に配置されてい
る。また、磁気シールド9の強磁性体プレート10a、10b
の形状はおむすび形をしており、強磁性体コラム11の形
状は四角柱状である。
【0026】本実施例の特徴的部分は磁気シールド9の
強磁性体プレート10と強磁性体コラム11との接続部であ
る。この接続部の構造を説明するために示した図が図2
である。図2は図1のA-A切断面で、開放型磁石の左下側
の1/4部分の断面図である。図2において、下側強磁性体
プレート10bと強磁性体コラム11との接続部16では、下
側強磁性体プレート10bと強磁性体コラム11は3つの接合
面、接合面A21、接合面B22、接合面C23にて互いに階段
状に噛み合わさるように接合されている。
【0027】強磁性体プレート10と強磁性体コラム11の
接続部16をこのような構造にすることにより、従来例
(図12)の如く両者の端部を接合するだけの場合に比較
して、両者間の接合面積を大きくすることができる。両
者間に存在する隙間によって生じる磁気抵抗は、その隙
間が小さい場合には、両者間の平均距離(d)に略比例
し、両者の接合面積(S)に略反比例すると考えられ
る。従って、両者の接合面積(S)を大きくすること
で、磁気抵抗を減らすことが可能である。即ち、両者の
接合面の加工精度が従来と同程度で、隙間の平均距離が
同程度であっても、接合面積を増加させたことで、より
漏洩磁場を抑制することができる。
【0028】図2において、従来品の接合面積は水平方
向の接合面A21の面積と接合面C23の面積とを加算したも
のに対応し、本実施例の場合には垂直方向の接合面B22
の面積の分だけ増加したことになる。接合面B22の面積
は接合面A21の面積と接合面C23の面積を加算したものに
近いので、接合面積のみで考えた場合、本実施例の接合
面積は従来品の約2倍になり、磁気抵抗を略1/2に低減さ
せることができる。
【0029】図3は、図2の長方形枠A1内の磁気シールド
の接続部における磁束の流れを示したものである。図3
に示す如く、下側強磁性体プレート10b及び強磁性体コ
ラム11内での磁束14の流れは、基本的に磁気抵抗の少な
い方向(強磁性体プレート10及び強磁性体コラム11の長
手方向)に沿っている。3つの接合面、接合面A21、接合
面B22、接合面C23における磁束14の流れを従来の場合と
比較してみると、水平方向の接合面A21と接合面C23にお
ける磁束14の流れは従来の場合と同様である。接合面C2
3の外周部で磁束14が水平方向を向く磁束14cから垂直
方向を向く磁束14dへと大きく曲がるので漏れ易い。こ
れに対し、垂直方向の接合面B22では、下側強磁性体プ
レート10bから隙間に出た磁束は強磁性体コラム11に再
び入ることになり、外部に漏れることはない。従って、
この接合面B22における加工精度は、他の接合面A21、接
合面C23に比べて粗くてもよい。
【0030】図4は、本発明の静磁場発生装置の第2の実
施例の磁気シールドの接続部における磁束の流れを示す
図である。この実施例は、第1の実施例に対し、磁気シ
ールドの接続部における接合面の位置をずらしたもので
あるので、図3と対比する形で示したものである。本実
施例では、下側強磁性体プレート10bと強磁性体コラム1
1は3つの接合面、接合面D24、接合面E25、接合面F26に
て接合されている。接合面積について従来品と比較する
と、垂直方向の接合面D24と接合面F26の面積は従来品
の約1.5倍、水平方向の接合面E25の面積は従来品の約1/
2であるので、全体としては従来品の約2倍になってい
る。このため、この接続部16における磁気抵抗の低減効
果は大きい。磁束14の流れは略図示の如くなるが、接合
面F26に向かう磁束14の流れが水平方向を向く磁束14cか
ら垂直方向を向く磁束14dへと大きく曲がることになる
ので、接合面F26の下部で磁束が漏れ易い。本実施例の
場合、外側の接合面F26を垂直方向に設けているので、
磁束の漏れは、下側強磁性体プレート10bの下側には発
生する可能性はあるが、下側強磁性体プレート10bの外
周側への磁束の漏れは発生しにくい。以上のことから、
本実施例においては、接合面E25の加工精度は、他の接
合面D24、接合面F26に比べて粗くてもよい。
【0031】磁場強度の高い静磁場発生装置の場合に
は、磁気飽和を生じさせないために、厚い磁気シールド
が必要となる。この場合、磁気シールドの製作、組立に
おける工数、費用を考慮すると、1枚の厚い板を使用す
るよりも、標準的な厚さの板を複数枚重ね合わせて構成
する方法のほうが製作が容易である。この方法を本発明
で適用した実施例を図5及び図6に示す。
【0032】図5は本発明の静磁場発生装置の第3の実施
例の要部外観図で、磁気シールドの接続部の部分のみ記
載されている。本実施例では、磁気シールド9の接続部
16において、それぞれ2枚の強磁性体板から成る強磁性
体プレート10と強磁性体コラム11が接続されている。図
5において、下側強磁性体プレート10bは、第1の強磁性
体プレート30と第2の強磁性体プレート31から成り、前
者が後者の上に貼り付けられている。また、強磁性体コ
ラム11は第1の強磁性体コラム32と第2の強磁性体コラム
33とから成り、前者が外側になるように貼り付けられて
いる。
【0033】下側強磁性体プレート10bと強磁性体コラ
ム11との接続は、全体としては第1の実施例と同様であ
る。第1の強磁性体プレート30の上面に第2の強磁性体コ
ラム33の下面が接合されて、接合面A34を形成し、第2の
強磁性体プレート31の上面に第1の強磁性体コラムの下
面が接合されて接合面C36を形成する。このとき、第1の
強磁性体プレート30の側面と第1の強磁性体コラム32の
側面との間で接合面B35が形成される。本実施例も第1の
実施例と同様な効果が得られる。
【0034】本実施例では、第1、第2の強磁性体プレー
ト30、31の厚さ、及び第1、第2の強磁性体コラム32、33
の厚さを、強磁性体プレート10と強磁性体コラム11の接
続部16の段差に合わせて選択することで、各部の加工が
容易になる。
【0035】なお、図5においては、第1の強磁性体プレ
ート30と第2の強磁性体プレート31の厚さ、及び第1の強
磁性体コラム32と第2の強磁性体コラム33の厚さをそれ
ぞれ同じにしているが、必要に応じて厚さを違えてもよ
い。また、強磁性体プレート10、強磁性体コラム11のい
ずれか一方のみが複数の部材から構成されていても構わ
ないし、分割枚数が3以上であってもよい。いずれの場
合でも、同様な効果が得られる。
【0036】強磁性体プレート10の形状は、図1の開放
型MRI装置用ではおむすび形としたが、これに限定され
ず、円形、三角形、長方形、楕円形、多角形があっても
よい。また、強磁性体コラム11の全体としての断面形状
は長方形のもので示したが、これに限定されず、円形、
三角形、楕円形、多角形などであってもよく、必要に応
じて選択可能である。
【0037】図6は、本発明の静磁場発生装置の第4の実
施例の要部外観図である。この実施例は第3の実施例と
同様な構成で、強磁性体プレート10と強磁性体コラム11
の接合面の位置を変更したものである。図6において、
第1の強磁性体プレート30の側面と第2の強磁性体コラム
33の側面が接合されて接合面D37を形成し、第2の強磁性
体プレート31の側面と第1の強磁性体コラム32の側面が
接合されて接合面F39を形成する。このとき、第2の強磁
性体プレート31の上面に第2の強磁性体コラム33の下面
との間で接合面E38が形成される。
【0038】本実施例は図4の第2の実施例に対応するも
ので、磁気シールド9の接続部16にて第1の強磁性体コラ
ム32の側面と第2の強磁性体プレート31の側面とが垂直
方向の接合面F38で接合していることから、強磁性体プ
レート10の外周側面からの漏洩磁場を小さくすることが
できる。
【0039】図7は、本発明の静磁場発生装置の第5の実
施例の磁気シールドの接続部における磁束の流れを示す
図である。この実施例では、磁気シールド9の接続部16
において、下側強磁性体プレート10bのコーナー部41の
角を落としたものである。漏洩磁場を抑制するために
は、磁気シールド9内の磁束14の流れをスムーズにする
ことが望ましく、このためには磁気シールド9の形状が
急変する場所をできるだけ減らすことが重要である。本
実施例では、磁気シールド9の強磁性体プレート10と強
磁性体コラム11の接続部16にて形状が急変しているの
で、磁束14の流れがスムーズになるように、下側強磁性
体プレート10bのコーナー部41の角を落としている。こ
のような構造にすることにより、磁気シールド9の接続
部16の付近では、磁束14の流れは、水平方向の磁束14か
ら斜め方向の磁束14e、磁束14fを経て垂直方向の磁束1
4へと徐々に方向を変更することができる。その結果、
下側強磁性体プレート10bから強磁性体コラム11への磁
束14の流れをスムーズにできるので、強磁性体プレート
10のコーナー部41からの漏洩磁場を抑制することができ
る。
【0040】図7の例では、磁気シールド9の接続部16は
第1の実施例と同様に水平方向の接合面A21、接合面C23
と垂直方向の接合面B22によって接合されているが、第2
の実施例の如く、垂直方向の接合面D24、接合面F26と水
平方向の接合面E25によって接合されている場合には、
強磁性体コラム11のコーナー部41の角を落とすことによ
ってこのコーナー部41からの漏洩磁場を抑制することが
できる。
【0041】図8は、本発明の静磁場発生装置の第6の実
施例の要部拡大断面図である。この実施例は、磁気シー
ルドの接続部の外周に面する隙間が存在する部分に強磁
性体から成る被覆体を取り付けるものである。図8にお
いて、磁気シールド9の接続部16では下側強磁性体プレ
ート10bと強磁性体コラム11は階段状の接合面A21、接合
面B22、接合面C23にて接合されているが、接合面C23の
外側の外周面42の近傍にて漏洩磁場が大きくなる可能性
があるので、この外周面42に強磁性体から成る被覆材43
を取り付ける。被覆材43の取付けは、ねじなど固定具に
よる固定又は接着剤による接着にて行う。
【0042】上記の如く被覆材43を取り付けることによ
り、接合面C23の外側部分での磁束の流れは、大部分が
被覆材41に沿って下から上の方向へスムーズに流れるこ
とになるため、この部分での漏洩磁場は小さくなる。ま
た、図8では、外側に水平方向の接合面C23が存在する場
合の例を示したが、図4の如く外側に垂直方向の接合面F
26が存在する場合には、強磁性体プレート10bの下側に
被覆材を取り付けてもよい。この場合、磁気シールド9
の接続部16の下側強磁性体プレート10bの下面に被覆材
が出っ張らないように被覆材取り付けのための凹みを設
けてもよい。この手法は図8の場合にも適用可能であ
る。
【0043】図9は、本発明の静磁場発生装置の第7の実
施例の要部拡大断面図である。この実施例は、磁気シー
ルド9の接続部16の隙間に可撓性のある薄い強磁性体か
ら成る充填材を挟み込むものである。図9において、磁
気シールド9の接続部16の下側強磁性体プレート10bと強
磁性体コラム11とが接合される階段状の接合面のうちの
水平方向の接合面A21と接合面C23の隙間に強磁性体か
ら成る充填材44が挟み込まれている。充填材44として
は、薄い板状の強磁性体が使用されるが、例えばゴム材
に鉄粉などを混入して板状に加工したものなどは可撓性
があり、取り扱い易い。
【0044】図示の如く、接合面A21、接合面C23に可撓
性のある充填材44を配置することで、強磁性体プレート
10a又は強磁性体コラム11の重さによって充填材44が圧
縮され、強磁性体プレート10と充填材44と強磁性体コラ
ム11が密着することにより、磁気抵抗を低減することが
できる。
【0045】本実施例は、図2の第1の実施例に対して充
填材を適用したものであるが、図4の第2の実施例に対し
て充填材を適用することも可能である。この場合には、
垂直方向の接合面D24、接合面F26に充填材を配置するこ
とになる。
【0046】上記説明において、磁気シールドとして強
磁性体シールドを用いる構造(パッシブシールド方式)
であるならば、静磁場発生源としては超電導コイルを用
いた超電導磁石に限定されず、永久磁石や常伝導磁石な
どでも、本発明を適用することが可能である。
【0047】また、磁気シールド9を構成する強磁性体
プレート10及び強磁性体コラム11の材料となる強磁性体
としては、強磁性を示すものであればよいが、加工性、
コスト、磁気特性などの面から、鉄が一般的に使用され
る。
【0048】また、上記の実施例で説明したパッシブシ
ールド方式の開放型静磁場発生装置をMRI装置に適用す
ることにより、開放型のMRI装置が得られる。このMRI装
置では、簡易な構造の磁気シールドにて漏洩磁場を効果
的に抑制することができるので、磁気シールドの製作が
容易になり装置の製作コストを低減できる。
【0049】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、パ
ッシブシールド方式の開放型静磁場発生装置及びそれを
用いたMRI装置において、簡易な構造で漏洩磁場を効果
的に抑制することができる。また、本発明によれば、磁
気シールドの構造で若干の製作上の誤差があっても、漏
洩磁場が広がることはないので、磁気シールドの製作が
容易になると共に、製作コストも低減することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静磁場発生装置の第1の実施例の外観
図。
【図2】図1の要部拡大断面図。
【図3】図2の磁気シールドの接続部における磁束の流れ
を示す図。
【図4】本発明の静磁場発生装置の第2の実施例の磁気
シールドの接続部における磁束の流れを示す図。
【図5】本発明の静磁場発生装置の第3の実施例の要部
外観図。
【図6】本発明の静磁場発生装置の第4の実施例の要部
外観図。
【図7】本発明の静磁場発生装置の第5の実施例の磁気
シールドの接続部における磁束の流れを示す図。
【図8】本発明の静磁場発生装置の第6の実施例の要部
拡大断面図。
【図9】本発明の静磁場発生装置の第7の実施例の要部
拡大断面図。
【図10】開放型MRI装置用静磁場発生装置の従来例の外
観図。
【図11】開放型MRI装置用静磁場発生装置の従来例の縦
断面図。
【図12】磁気シールドの接続部に隙間が無い場合の磁束
の流れ。
【図13】磁気シールドの接続部に隙間が有る場合の磁束
の流れ。
【符号の説明】
1…均一磁場領域(測定空間) 2,2a,2b…超電導コイル 3,3a,3b…冷却容器 4,4a,4b…冷媒容器 5,5a,5b…真空容器 6…連結管 9…磁気シールド 10…強磁性体プレート 10a…上側強磁性体プレート 10b…下側強磁性体プレート 11…強磁性体コラム 12…中心線 13…磁気回路 14,14a,14b,14c,14d,14e,14f…磁束 15…隙間 16…接続部 21,34…接合面A 22,35…接合面B 23,36…接合面C 24,37…接合面D 25,38…接合面E 26,39…接合面F 30…第1の強磁性体プレート 31…第2の強磁性体プレート 32…第1の強磁性体コラム 33…第2の強磁性体コラム 41…コーナー部 42…外周面 43…被覆材 44…充填材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定空間を挟んで、対向して1組の静磁
    場発生源が配置され、該静磁場発生源の周囲に1組の強
    磁性体板と該強磁性体板を支持し、磁気的に接続された
    強磁性体柱とから構成される磁気シールドを有する静磁
    場発生装置において、前記強磁性体板と前記強磁性体柱
    との接合部分が複数の平面又は曲面で接合されているこ
    とを特徴とする静磁場発生装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の静磁場発生装置において、
    前記強磁性体板と前記強磁性体柱との接合部分が前記強
    磁性体板の外周に行くにつれて階段の高さが低くなる階
    段状の面で接合されていることを特徴とする静磁場発生
    装置。
  3. 【請求項3】 静磁場発生装置を用いて被検体の核磁気
    共鳴画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置におい
    て、前記静磁場発生装置が請求項1及び2記載の静磁場発
    生装置であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装
    置。
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