JP4941249B2 - 光学系及び原子発振器 - Google Patents

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本発明は、原子発振器の光学系に関し、さらに詳しくは、原子発振器を構成する光学系に含まれる光源と受光素子の実装技術に関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属を用いた原子発振器は、原子のエネルギ遷移を利用する際に、原子をガス状態に保つ必要があるため、原子を気密封入したガスセルを一定の温度に保って動作させている。原子発振器の動作原理は、光とマイクロ波を利用した二重共鳴法と、2種類のレーザ光による量子干渉効果(以下CPT:Coherent Population Trappingと記す)を利用する方法に大別されるが、両者共にガスセルに入射した光が、原子ガスにどれだけ吸収されたかを反対側に設けられた検出器で検出することにより、原子共鳴を検知して制御系にて水晶発振器などの基準信号をこの原子共鳴に同期させて出力を得ている。
特許文献1には、CPTを利用した原子発振器のガスセル構造について開示されている。上記でも説明したとおり、原子のエネルギ遷移を利用する際に、原子をガス状態に保つ必要があるため、原子を気密封入したガスセルを一定の温度に保って動作させている。図6にはガスセル200を一定の温度に保持するために、キャビティ240の周囲にレイヤ210、220、230を配して、レイヤ210と220を挟むようにヒータ215により加熱してキャビティ240の温度を一定に保持している。
US2006/0022761A1
ガスセルを通過した光は、ガスセルの光路が長いほど、原子と光との相互作用が大きくなることでS/Nが良くなる。しかし、特許文献1に開示されている従来の構成では、ガスセルを大きくすると、ヒータ215で加熱しても、ガスセル全体の温度分布が均一にならず、ヒータ215に近い部分が過大に加熱されてしまうといった問題があった。
また、同一出願人による発明として、図7(a)のように、発光素子102と受光素子104を同一基板112に実装した光学系の場合、ガスセル103の上に反射ミラー110を備え、発光素子102から出射された共鳴光113が、ガスセル103を通過して反射ミラー110により反射されて再びガスセル103に入射して受光素子104により受光される光学系がある。しかし、構造上、発光素子102と受光素子104を同一基板上に離して配置する必要があるため、反射ミラー110に所定の傾斜角度を設けなければならない。その結果、反射ミラー110の角度調整が必要であり調整に手間がかかるといった問題がある。また、図7(b)にようにガスセル103aを追加、変更してガスセルの光路を長くした場合、反射ミラー110により反射した光113bの光軸がずれてしまうため、再度ミラー110の角度を調整し直さなければならず、調整に手間がかかるといった問題がある。尚、図7ではヒータは省略しているが、図7においてヒ−タを備えた構造の場合、ヒータによる加熱で光学系の一部あるいは全体が膨張し発光素子102と反射ミラー110との距離が微妙に変化することが考えられる。このとき、反射ミラー110により反射した光113bの光軸が微妙にずれてしまう可能性もある。
本発明は、かかる課題に鑑み、ヒータとガスセルを加熱に最適な単位でモジュール化して、ガスセルの光路を長くした場合でも各ガスセルの温度が均一に加熱されるようにして、ガスセルの長さにフレキシビリティを持たすと共に、ガスセルの温度分布の均一化を実現した、加熱によって光軸がずれにくい原子発振器の光学系を提供することを目的とする。
また、他の目的は、ガスセルのサイズが大きくなっても、ミラーの調整を不要として、調整時間の短縮を図ることである。
また、他の目的は、光源、光検出器、ヒータ、ガスセル、及びミラーを夫々モジュール化することにより、光学系の実装とメンテナンスを容易とすることである。
本発明はかかる課題を解決するために、波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器の光学系であって、前記共鳴光を出射するコヒーレント光源と、前記コヒーレント光源の出射側に配置されガス状の金属原子を封入すると共に、該金属原子ガス中に共鳴光を通過させるガスセルと、前記ガスセルを通過した光を折り返し光として再び該ガスセルに導く導光手段と、前記導光手段により導かれ前記ガスセルを通過した前記折り返し光を検出する光検出手段と、前記ガスセルの共鳴光通過方向の少なくとも一側方に配置され該ガスセルを所定の温度に加熱する加熱手段と、該加熱手段の少なくとも一部に設けられた透光部と、を備え、前記コヒーレント光源と該導光手段との距離が変化しても、前記折り返し光が前記光検出手段に入射する光軸が保持されるよう、前記コヒーレント光源の出射光の光軸と前記折り返し光の光軸とが平行となるよう構成したことを特徴とする。
本発明の原子発振器は、レーザ光などのコヒーレント光の量子干渉効果を利用したものである。この方式は、2つの基底準位が共鳴光を受けて、共通の励起準位と共鳴結合している3準位系(例えばΛ型準位系)において、同時に照射される2つの共鳴光の周波数が正確に基底準位1と基底準位2のエネルギ差に一致すると、3準位系は2つの基底準位の重ね合わせの状態になり、励起準位3への励起が停止する。CPTはこの原理を利用して、2つの共鳴光の一方或いは両方の波長を変化させたときに、ガスセルでの光吸収が停止する状態を検出して利用するものである。そして、本発明の光学系は、コヒーレント光源と光検出手段とをガスセルに対して同一側に実装し、コヒーレント光源から出射した共鳴光は加熱手段とガスセルを通過して導光手段により反射されて、折り返し光として再び加熱手段とガスセルに入射する。そして、ガスセルから出射した透過光は光検出手段により検出される。ここで、ガスセルを通過する光は、ガスセルの光路が長いほどS/Nが良くなることが知られている。しかし、ガスセルの光路を長くすると、必然的にコヒーレント光源と導光手段との距離が長くなり、導光手段に傾斜角度を有するミラーを使用した場合、光検出手段の光軸がずれてしまう。そこで本発明では、ガスセルの光路を長くするために、コヒーレント光源と導光手段との距離が変化した場合でも、光検出手段に入射する折り返し光の光軸が変化しないように、コヒーレント光源から出射した光の光軸と前記折り返し光の光軸とが平行になるよう構成されている。これにより、ガスセルの長さにフレキシビリティを持たすと共に、加熱による折り返し光の光軸のずれを少なくし、導光手段の調整を不要として、調整時間の短縮を図ることができる。
また、前記透光部は、透明導電膜により構成されていることを特徴とする。
加熱手段は、ガスセルを挟むように構成し、且つ光路側に構成するのが効果的である。そのとき、加熱手段により光路が遮断されないようにする必要がある。そこで本発明では、加熱手段に設けられた透光部の材料を透明導電膜(例えばITO)により構成する。これにより、ガスセルに入射する光を邪魔せずに、効率的にガスセルを加熱することができる。
また、前記透光部は、前記加熱手段に設けた開口部又は透明部により構成されていることを特徴とする。
加熱手段は、ガスセルを挟むように構成し、且つ光路側に構成するのが効果的である。そのとき、加熱手段により光路が遮断されないようにする必要がある。そこで本発明では、加熱手段に設けられた透光部の少なくとも共鳴光が入射する位置及び出射する位置を開口するか透明とする。これにより、ガスセルに入射する光を邪魔せずに、効率的にガスセルを加熱すると共に、加熱手段の材料を選択する幅を拡げることができる。
また、前記光検出手段と前記コヒーレント光源とをガスセルに対して同一側に併置したことを特徴とする。
本発明の光学系は、コヒーレント光源と光検出手段とをガスセルに対して同一側に実装し、透過光が光検出手段により受光されるように導光手段を構成した。これにより、ボンディングワイヤが短くなり、信号のS/N特性を改善すると共に、光学系全体の実装も容易にすることができる。
また、前記基板、前記ガスセル、前記加熱手段、及び前記導光手段を個別のモジュールとして構成し、各モジュールを順次積層して配置したことを特徴とする。
光学系を製造する場合、各部品を製造工程に基づいて製作するのが一般的である。しかし、この手法は、光学系の一部分が不良の場合、全ての部品が無駄になる可能性がある。そこで本発明では、各機能ごとにモジュール化しておき、各モジュールを順次積層して光学系を構成する。これにより、不良箇所が発生した場合は、その不良箇所が存在するモジュールを交換することにより良品とすることができ、部品の無駄を削減することができる。
また、前記加熱手段のモジュールと前記ガスセルのモジュールの組み合わせを基本単位とし、該基本単位を順次積層する構成としたことを特徴とする。
ガスセルを通過する光路が長いほど信号の強度が大きくなってS/Nの点で有利となる。しかし、光路長を長くすると、ガスセル自体の大きさを大きくせざるを得なくなり、その結果、ガスセルを加熱したときにガスセルを均一に加熱することが難しくなり光軸のズレも起こりやすい。そこで本発明では、加熱手段のモジュールとガスセルのモジュールの組み合わせを基本単位とし、この基本単位を順次積層する構成とした。これにより、ガスセルを大きくしても、ガスセル全体の加熱を均一化することができる。
また、前記導光手段は、反射部材により構成されていることを特徴とする。
導光手段に入射した光を所定の位置に折り返すにはミラー等の反射部材が最適である。これにより、容易に光路を設定することが可能となる。
また、前記コヒーレント光は、レーザ光であることを特徴とする。
普通の光は、いろいろな波長が混ざり位相がランダムな光である。これに対してレーザ光は波長の単色性が良く、位相の揃った光である。このような光の波長や位相の安定性の尺度としてコヒーレンスが定義されている。コヒーレンスが良い、すなわち波長や位相が安定な光は量子干渉効果を起こすことができる。その点ではレーザ光は最適である。
また、前記ガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムであることを特徴とする。
セシウム原子を使えば、精度の高い原子発振器を実現できる。また、ルビジウム原子は手軽に広く普及している。よって、原子発振器の要求性能とコストを考慮して、いずれかの金属原子を選ぶことができる。
また、前記コヒーレント光源から出射された光を集光し、且つ平行光に補正する受動光学素子を前記コヒーレント光源と前記ガスセルとの間に配置したことを特徴とする。
光学系には、コヒーレント光源から出射された光を集光して、平行光になるように補正するためにレンズや波長板といった受動光学素子が使用される。この受動光学素子は、ガスセルに入射する前であればどこに配置しても構わない。そこで本発明では、受動光学素子をコヒーレント光源とガスセルとの間に配置する。これにより、光を正確に導光手段に入射させることができる。
また、上記構成による光学系を原子発振器に備えたことを特徴とする。
ガスセルを複数回通過する構造としたことで、より大きなEIT信号を得る光学系とすることができるので、S/Nが向上した高性能な原子発振器を提供することができる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る原子発振器の光学系の要部構成図である。この光学系1は、波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器100の光学系1であって、共鳴光3を出射するコヒーレント光源2と、コヒーレント光源2の出射側に配置されガス状の金属原子を封入すると共に、金属原子ガス中に共鳴光3を通過させるガスセル4と、ガスセル4の共鳴光通過方向の少なくとも一側方に配置されガスセル4を所定の温度に加熱するヒータ(加熱手段)5と、ヒータ5の少なくとも一部に設けられた透光部5A、5Bと、ガスセル4を通過した光を折り返し光として再びガスセル4に導く導光手段7と、導光手段7により導かれガスセル4を通過した折り返し光を検出する光検出器(光検出手段)10と、を備えている。原子発振器100は光検出器10の出力信号により、発振周波数を制御する周波数制御回路12を更に備えて構成されている。尚、本実施形態では、後述するようにヒータ5とガスセル4をモジュール化して、ガスセル4a〜4nとして説明している。また、導光手段7は、ガスセル4を通過した光を折り返し光として再びガスセル4に導く場合、コヒーレント光源2と導光手段7との距離が変化した場合でも光検出器10に透過光9が入射するように、コヒーレント光源の出射光の光軸と前記折り返し光の光軸とが平行となるよう構成されている(詳細は後述する)。また、本発明の主旨は、原子発振器を構成する光学系の構成にあるので、原子発振器の周波数制御についての詳細な説明は省略する。
即ち、本発明の原子発振器100は、レーザ光などのコヒーレント光の量子干渉効果を利用したものである。この方式は、2つの基底準位が共鳴光を受けて、共通の励起準位と共鳴結合している3準位系(例えばΛ型準位系)において、同時に照射される2つの共鳴光の周波数が正確に基底準位1と基底準位2のエネルギ差に一致すると、3準位系は2つの基底準位の重ね合わせの状態になり、励起準位3への励起が停止する。CPTはこの原理を利用して、2つの共鳴光の一方或いは両方の波長を変化させたときに、ガスセルでの光吸収が停止する状態を検出して利用するものである。そして、本発明の光学系1は、コヒーレント光源2と光検出器10とをガスセルに対して同一側に実装し、コヒーレント光源2から出射した共鳴光3はヒータ5a〜5nとガスセル4a〜4nを通過して導光手段7により反射されて、折り返し光として再びヒータ5nとガスセル4nに入射する。そして、ガスセル4aから出射した透過光9(折り返し光)は光検出器10により検出される。ここで、ガスセル4a〜4nを通過する光は、ガスセル4a〜4nの光路が長いほど光の強度が強くなり、EIT信号のレベルが高くなってS/Nが良くなることが知られている。しかし、ガスセル4a〜4nの光路を変化させると、必然的にコヒーレント光源2と導光手段7との距離が変化して、導光手段7に傾斜角度を有するミラーを使用した場合、最初に設定した光検出器10の光軸がずれてしまう虞がある(図7(b)参照)。そこで本発明では、ガスセル4a〜4nの光路を長くするために、コヒーレント光源2と導光手段7との距離が変化した場合でも、光検出器10に入射する光9(折り返し光)の光軸が変化しないように、コヒーレント光源2の出射光の光軸と導光手段7から出射した折り返し光の光軸とが平行になるよう構成されている。これにより、ガスセル4a〜4nの長さにフレキシビリティを持たすと共に、加熱による光軸のずれを抑え、導光手段7の調整を不要として、調整時間の短縮を図ることができる。
図2はCPT方式による原子の3準位系を説明する一例である。原子発振器に用いられるルビジウムやセシウムの基底準位は、核スピン−電子スピン相互作用による超微細構造により2種類の基底準位に分かれている。これらの基底準位の原子は光を吸収して、よりエネルギーの高い準位へ励起する。また、図2の様に2つの基底準位が光を受けて、共通の励起準位と共鳴結合している状態を2光子共鳴と言う。図2において、基底準位1(23)と基底準位2(24)は準位のエネルギが若干異なるため、共鳴光もそれぞれ共鳴光1(20)と共鳴光2(22)と波長が若干異なる。同時に照射される共鳴光1(20)と共鳴光2(22)の周波数差(波長の差)が正確に基底準位1(23)と基底準位2(24)のエネルギ差に一致すると、図2の系は2つの基底準位の重ね合わせ状態になり、励起準位21への励起が停止する。CPTはこの原理を利用して、共鳴光1(20)と共鳴光2(22)のどちらかまたは両方の波長を変化させたときに、ガスセル3での光吸収(つまり励起準位21への転換)が停止する状態を検出、利用する方式である。尚、この光吸収が停止する状態でガスセル4を通過する透過光をEIT信号と呼ぶ。
図3(a)は本発明の第1の実施形態に係る光学系の構成を模式化した図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。この光学系1Aは、基板30上に発光素子(図1のコヒーレント光源2)31と受光素子(図1の光検出器10)32を併置し、夫々の素子がボンディングワイヤ25により基板30に電気的に接続されている発光・受光モジュール33と、発光素子31から発光された光をレンズ34で集光し、且つ平行光に補正する受動光学素子モジュール35と、ガスセルを加熱するヒータ5により構成されるヒータモジュール36と、ガスセル4により構成されるガスセルモジュール37と、ガスセルモジュール37から出射した光を直角に光路変換する第1のミラー39、第2のミラー40により構成される光学モジュール38と、を備えて構成されている。尚、図3(a)では各モジュールの構成が明確になるように離して記載しているが、実際は、各モジュールは積層されて構成されている。尚、本実施形態では、ヒータモジュール36と、ガスセルモジュール37を個別にモジュール化しているが、図3(b)のように、ガスセル4をヒータ5で挟んで、これらを一体化して1つのモジュールとしても構わない。
即ち、光学系1Aを製造する場合、各部品を製造工程に基づいて製作するのが一般的である。しかし、この手法は、光学系の一部分が不良の場合、全ての部品が無駄になる可能性がある。そこで本実施形態では、各機能ごとにモジュール化しておき、各モジュールを順次積層して光学系1Aを構成する。これにより、不良箇所が発生した場合は、その不良箇所が存在するモジュールを交換することにより良品とすることができ、部品の無駄を削減することができる。
また、ヒータモジュール36は、ガスセルモジュール37を挟むように構成し、且つ光路側に構成するのが効果的である。そのとき、ヒータモジュール36により光路が遮断されないようにする必要がある。そこで本実施形態では、ヒータモジュール36に設けられた透光部(図1の5A、5B)の材料を透明導電膜(ITO等)により構成する。これにより、ガスセルモジュール37に入射する光を邪魔せずに、効率的にガスセルを加熱することができる。尚、ヒータモジュール36全体を透明導電膜(ITO等)により構成しても構わない。また、ヒータモジュール36に設けられた透光部の少なくとも共鳴光が入射する位置及び出射する位置を開口するか透明とする。これにより、ガスセルモジュール37に入射する光を邪魔せずに、効率的にガスセルを加熱すると共に、加熱手段の材料を選択する幅を拡げることができる。
また、本実施形態の光学系1Aは、発光素子31と受光素子32とをガスセルに対して同一側に実装し、透過光が受光素子32により受光されるように光学モジュール38を構成した。これにより、ボンディングワイヤが短くなり、信号のS/N特性を改善すると共に、光学系全体の実装も容易にすることができる。
また、光学モジュール38に入射した光を所定の位置に折り返すにはミラー等の反射部材が最適である。これにより、容易に光路を設定することが可能となる。
また、コヒーレント光としてレーザ光を使用する。普通の光は、いろいろな波長が混ざり位相がランダムな光である。これに対してレーザ光は波長の単色性が良く、位相の揃った光である。このような光の波長や位相の安定性の尺度としてコヒーレンスが定義されている。コヒーレンスが良い、すなわち波長や位相が安定な光は量子干渉効果を起こすことができる。その点ではレーザ光は最適である。
また、ガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムである。即ち、セシウム原子を使えば、精度の高い原子発振器を実現できる。また、ルビジウム原子は手軽に広く普及している。よって、原子発振器の要求性能とコストを考慮して、いずれかの金属原子を選ぶことができる。
また、光学系1Aには、発光素子31から出射された光を集光して、平行光になるように補正するためにレンズや波長板といった受動光学素子が使用される。この受動光学素子モジュール35は、ガスセルモジュール37に入射する前であればどこに配置しても構わない。そこで本実施形態では、受動光学素子モジュール35を発光素子31とガスセルモジュール37との間に配置する。これにより、光を正確に光学モジュールに入射させることができる。
図4は、図3の光学系1Aを使用した原子発振器の物理部の構成を示す図である。同じ構成要素には図3と同じ参照番号を付して説明する。この物理部50は、全体を保護し外部磁界を遮蔽するパッケージ41と、パッケージ41の内壁面に周回して設置され、外部磁界の影響をキャンセルするために内部に磁界を発生させるコイル42と、パッケージ41の内部に設置された図3の光学系1Aと、を備えて構成されている。
図5は、図3の光学系1Aのガスセルモジュールを追加した原子発振器の物理部の構成を示す図である。この光学系1Bは、ガスセルモジュール37aにガスセルモジュール37bを積層し、ガスセルを通過する光路を長くしたものである。その他は図4と同様である。即ち、ガスセルモジュールを通過する光路が長いほど信号の強度が大きくなってS/Nの点で有利となる。しかし、光路長を長くすると、ガスセル自体の大きさを大きくせざるを得なくなり、その結果、ガスセルモジュールを加熱したときにガスセルモジュールを均一に加熱することが難しくなる。そこで本実施形態では、図3(b)のようにヒータモジュール36とガスセルモジュール37の組み合わせを基本単位とし、この基本単位を順次積層する構成とした。これにより、ガスセルを大きくしても、ガスセル全体の加熱を均一化することができる。更に、コヒーレント光源2の出射光の光軸と導光手段7の出射光(折り返し光)の光軸とが平行となるように構成したので、加熱による光軸のずれを抑えることができる。尚、本実施形態では基本単位を2段としたが、これ以上でも構わない。
上記構成による光学系を原子発振器に備えることにより、ガスセルを複数回通過する構造としたことで、より大きなEIT信号を得る光学系とすることができるので、S/Nが向上した高性能な原子発振器を提供することができる。
本発明の実施形態に係る原子発振器の光学系の要部構成図である。 CPT方式による原子の3準位系を説明する図である。 (a)は本発明の第1の実施形態に係る光学系の構成を模式化した図、(b)はガスセル4をヒータ5で挟んで、これらを一体化した図である。 図3の光学系1Aを使用した原子発振器の物理部の構成を示す図である。 図3の光学系1Aのガスセルモジュールを追加した原子発振器の物理部の構成を示す図である。 従来のガスセルの構成図である。 (a)及び(b)は同一出願人による光学系の構成を示す図である。
符号の説明
1 光学系、2 コヒーレント光源、3 共鳴光、4 ガスセル、5 ヒータ、6、9 透過光、7 導光手段、10 光検出器、12 周波数制御回路、100 原子発振器

Claims (11)

  1. 共鳴光による量子干渉効果を利用した原子発振器の光学系であって、
    ガス状の金属原子が封入されたガスセルと、
    前記ガスセルに対して前記共鳴光を出射する光源と、
    前記ガスセルを通過した光を折り返し光として再び該ガスセルに導く導光手段と、
    前記導光手段により導かれ前記ガスセルを通過した前記折り返し光を検出する光検出手段と、
    前記ガスセルの共鳴光通過方向の少なくとも一側方に配置され該ガスセルを所定の温度に加熱する加熱手段と、
    該加熱手段の少なくとも一部に設けられた透光部と、
    を備え、
    前記光源から出射した光の光軸と前記折り返し光の光軸とが平行となるように構成したことを特徴とする原子発振器の光学系。
  2. 前記透光部は、透明導電膜により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
  3. 前記透光部は、前記加熱手段に設けた開口部又は透明部により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
  4. 前記光検出手段と前記光源とを前記ガスセルに対して同一側に併置したことを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
  5. 前記ガスセル、前記加熱手段、及び前記導光手段を個別のモジュールとして構成し、各モジュールを順次積層して配置したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の原子発振器の光学系。
  6. 前記加熱手段のモジュールと前記ガスセルのモジュールの組み合わせを基本単位とし、該基本単位を順次積層する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の原子発振器の光学系。
  7. 前記導光手段は、反射部材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の原子発振器の光学系。
  8. 前記共鳴光は、レーザ光であることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
  9. 前記ガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムであることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
  10. 前記光源から発光された光を集光し、且つ平行光に補正する受動光学素子を前記光源と前記ガスセルとの間に配置したことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の原子発振器の光学系。
  11. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学系を備えたことを特徴とする原子発振器。
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