JP4941249B2 - 光学系及び原子発振器 - Google Patents
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また、同一出願人による発明として、図7(a)のように、発光素子102と受光素子104を同一基板112に実装した光学系の場合、ガスセル103の上に反射ミラー110を備え、発光素子102から出射された共鳴光113が、ガスセル103を通過して反射ミラー110により反射されて再びガスセル103に入射して受光素子104により受光される光学系がある。しかし、構造上、発光素子102と受光素子104を同一基板上に離して配置する必要があるため、反射ミラー110に所定の傾斜角度を設けなければならない。その結果、反射ミラー110の角度調整が必要であり調整に手間がかかるといった問題がある。また、図7(b)にようにガスセル103aを追加、変更してガスセルの光路を長くした場合、反射ミラー110により反射した光113bの光軸がずれてしまうため、再度ミラー110の角度を調整し直さなければならず、調整に手間がかかるといった問題がある。尚、図7ではヒータは省略しているが、図7においてヒ−タを備えた構造の場合、ヒータによる加熱で光学系の一部あるいは全体が膨張し発光素子102と反射ミラー110との距離が微妙に変化することが考えられる。このとき、反射ミラー110により反射した光113bの光軸が微妙にずれてしまう可能性もある。
また、他の目的は、ガスセルのサイズが大きくなっても、ミラーの調整を不要として、調整時間の短縮を図ることである。
また、他の目的は、光源、光検出器、ヒータ、ガスセル、及びミラーを夫々モジュール化することにより、光学系の実装とメンテナンスを容易とすることである。
加熱手段は、ガスセルを挟むように構成し、且つ光路側に構成するのが効果的である。そのとき、加熱手段により光路が遮断されないようにする必要がある。そこで本発明では、加熱手段に設けられた透光部の材料を透明導電膜(例えばITO)により構成する。これにより、ガスセルに入射する光を邪魔せずに、効率的にガスセルを加熱することができる。
また、前記透光部は、前記加熱手段に設けた開口部又は透明部により構成されていることを特徴とする。
加熱手段は、ガスセルを挟むように構成し、且つ光路側に構成するのが効果的である。そのとき、加熱手段により光路が遮断されないようにする必要がある。そこで本発明では、加熱手段に設けられた透光部の少なくとも共鳴光が入射する位置及び出射する位置を開口するか透明とする。これにより、ガスセルに入射する光を邪魔せずに、効率的にガスセルを加熱すると共に、加熱手段の材料を選択する幅を拡げることができる。
本発明の光学系は、コヒーレント光源と光検出手段とをガスセルに対して同一側に実装し、透過光が光検出手段により受光されるように導光手段を構成した。これにより、ボンディングワイヤが短くなり、信号のS/N特性を改善すると共に、光学系全体の実装も容易にすることができる。
また、前記基板、前記ガスセル、前記加熱手段、及び前記導光手段を個別のモジュールとして構成し、各モジュールを順次積層して配置したことを特徴とする。
光学系を製造する場合、各部品を製造工程に基づいて製作するのが一般的である。しかし、この手法は、光学系の一部分が不良の場合、全ての部品が無駄になる可能性がある。そこで本発明では、各機能ごとにモジュール化しておき、各モジュールを順次積層して光学系を構成する。これにより、不良箇所が発生した場合は、その不良箇所が存在するモジュールを交換することにより良品とすることができ、部品の無駄を削減することができる。
ガスセルを通過する光路が長いほど信号の強度が大きくなってS/Nの点で有利となる。しかし、光路長を長くすると、ガスセル自体の大きさを大きくせざるを得なくなり、その結果、ガスセルを加熱したときにガスセルを均一に加熱することが難しくなり光軸のズレも起こりやすい。そこで本発明では、加熱手段のモジュールとガスセルのモジュールの組み合わせを基本単位とし、この基本単位を順次積層する構成とした。これにより、ガスセルを大きくしても、ガスセル全体の加熱を均一化することができる。
また、前記導光手段は、反射部材により構成されていることを特徴とする。
導光手段に入射した光を所定の位置に折り返すにはミラー等の反射部材が最適である。これにより、容易に光路を設定することが可能となる。
普通の光は、いろいろな波長が混ざり位相がランダムな光である。これに対してレーザ光は波長の単色性が良く、位相の揃った光である。このような光の波長や位相の安定性の尺度としてコヒーレンスが定義されている。コヒーレンスが良い、すなわち波長や位相が安定な光は量子干渉効果を起こすことができる。その点ではレーザ光は最適である。
また、前記ガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムであることを特徴とする。
セシウム原子を使えば、精度の高い原子発振器を実現できる。また、ルビジウム原子は手軽に広く普及している。よって、原子発振器の要求性能とコストを考慮して、いずれかの金属原子を選ぶことができる。
光学系には、コヒーレント光源から出射された光を集光して、平行光になるように補正するためにレンズや波長板といった受動光学素子が使用される。この受動光学素子は、ガスセルに入射する前であればどこに配置しても構わない。そこで本発明では、受動光学素子をコヒーレント光源とガスセルとの間に配置する。これにより、光を正確に導光手段に入射させることができる。
また、上記構成による光学系を原子発振器に備えたことを特徴とする。
ガスセルを複数回通過する構造としたことで、より大きなEIT信号を得る光学系とすることができるので、S/Nが向上した高性能な原子発振器を提供することができる。
図1は本発明の実施形態に係る原子発振器の光学系の要部構成図である。この光学系1は、波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器100の光学系1であって、共鳴光3を出射するコヒーレント光源2と、コヒーレント光源2の出射側に配置されガス状の金属原子を封入すると共に、金属原子ガス中に共鳴光3を通過させるガスセル4と、ガスセル4の共鳴光通過方向の少なくとも一側方に配置されガスセル4を所定の温度に加熱するヒータ(加熱手段)5と、ヒータ5の少なくとも一部に設けられた透光部5A、5Bと、ガスセル4を通過した光を折り返し光として再びガスセル4に導く導光手段7と、導光手段7により導かれガスセル4を通過した折り返し光を検出する光検出器(光検出手段)10と、を備えている。原子発振器100は光検出器10の出力信号により、発振周波数を制御する周波数制御回路12を更に備えて構成されている。尚、本実施形態では、後述するようにヒータ5とガスセル4をモジュール化して、ガスセル4a〜4nとして説明している。また、導光手段7は、ガスセル4を通過した光を折り返し光として再びガスセル4に導く場合、コヒーレント光源2と導光手段7との距離が変化した場合でも光検出器10に透過光9が入射するように、コヒーレント光源の出射光の光軸と前記折り返し光の光軸とが平行となるよう構成されている(詳細は後述する)。また、本発明の主旨は、原子発振器を構成する光学系の構成にあるので、原子発振器の周波数制御についての詳細な説明は省略する。
即ち、光学系1Aを製造する場合、各部品を製造工程に基づいて製作するのが一般的である。しかし、この手法は、光学系の一部分が不良の場合、全ての部品が無駄になる可能性がある。そこで本実施形態では、各機能ごとにモジュール化しておき、各モジュールを順次積層して光学系1Aを構成する。これにより、不良箇所が発生した場合は、その不良箇所が存在するモジュールを交換することにより良品とすることができ、部品の無駄を削減することができる。
また、光学モジュール38に入射した光を所定の位置に折り返すにはミラー等の反射部材が最適である。これにより、容易に光路を設定することが可能となる。
また、ガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムである。即ち、セシウム原子を使えば、精度の高い原子発振器を実現できる。また、ルビジウム原子は手軽に広く普及している。よって、原子発振器の要求性能とコストを考慮して、いずれかの金属原子を選ぶことができる。
また、光学系1Aには、発光素子31から出射された光を集光して、平行光になるように補正するためにレンズや波長板といった受動光学素子が使用される。この受動光学素子モジュール35は、ガスセルモジュール37に入射する前であればどこに配置しても構わない。そこで本実施形態では、受動光学素子モジュール35を発光素子31とガスセルモジュール37との間に配置する。これにより、光を正確に光学モジュールに入射させることができる。
上記構成による光学系を原子発振器に備えることにより、ガスセルを複数回通過する構造としたことで、より大きなEIT信号を得る光学系とすることができるので、S/Nが向上した高性能な原子発振器を提供することができる。
Claims (11)
- 共鳴光による量子干渉効果を利用した原子発振器の光学系であって、
ガス状の金属原子が封入されたガスセルと、
前記ガスセルに対して前記共鳴光を出射する光源と、
前記ガスセルを通過した光を折り返し光として再び該ガスセルに導く導光手段と、
前記導光手段により導かれ前記ガスセルを通過した前記折り返し光を検出する光検出手段と、
前記ガスセルの共鳴光通過方向の少なくとも一側方に配置され該ガスセルを所定の温度に加熱する加熱手段と、
該加熱手段の少なくとも一部に設けられた透光部と、
を備え、
前記光源から出射した光の光軸と前記折り返し光の光軸とが平行となるように構成したことを特徴とする原子発振器の光学系。 - 前記透光部は、透明導電膜により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
- 前記透光部は、前記加熱手段に設けた開口部又は透明部により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
- 前記光検出手段と前記光源とを前記ガスセルに対して同一側に併置したことを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
- 前記ガスセル、前記加熱手段、及び前記導光手段を個別のモジュールとして構成し、各モジュールを順次積層して配置したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の原子発振器の光学系。
- 前記加熱手段のモジュールと前記ガスセルのモジュールの組み合わせを基本単位とし、該基本単位を順次積層する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の原子発振器の光学系。
- 前記導光手段は、反射部材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の原子発振器の光学系。
- 前記共鳴光は、レーザ光であることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
- 前記ガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムであることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器の光学系。
- 前記光源から発光された光を集光し、且つ平行光に補正する受動光学素子を前記光源と前記ガスセルとの間に配置したことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の原子発振器の光学系。
- 請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学系を備えたことを特徴とする原子発振器。
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