JP2009283810A - 光学系及び原子発振器 - Google Patents

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Hiroshi Aoyama
拓 青山
Naoki Ishihara
直樹 石原
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Abstract

【課題】コヒーレント光源から出射した光の総合的な変動をリアルタイムに検出してコヒ
ーレント光源のパワーを一定に制御することができる原子発振器の光学系を提供する。
【解決手段】この光学系1Aは、共鳴光を出射するコヒーレント光源2と、コヒーレント
光源2の出射側に直列に配置され、共鳴光を通過させる、金属原子として85Rbを封入
したガスセル3、87Rbを封入したガスセル4と、2つのガスセルを通過した共鳴光を
検出する光検出器5と、85Rbガスセル3から放射される蛍光10を検出する光検出器
6と、光検出器6により検出された蛍光10の強度に基づいてコヒーレント光源2の強度
を制御する光源制御部7と、光検出器5から検出された信号により、発振周波数を制御す
る周波数制御回路9と、を備え、蛍光10を放射する85Rbガスセル3をコヒーレント
光源2側に配置した。
【選択図】図4

Description

本発明は、原子発振器の光学系に関し、さらに詳しくは、原子発振器を構成する光学系
に含まれる光源のパワー制御技術に関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属を用いた原子発振器は、原子のエネルギ遷移を
利用する際に、原子をガス状態に保つ必要があるため、原子を気密封入したガスセルを高
温に保って動作させている。原子発振器の動作原理は、光とマイクロ波を利用した二重共
鳴法と、2種類のレーザ光による量子干渉効果(以下CPT:Coherent Population Trap
pingと記す)を利用する方法に大別されるが、両者共にガスセルに入射した光が、原子ガ
スにどれだけ吸収されたかを反対側に設けられた検出器で検出することにより、原子共鳴
を検知して制御系にて水晶発振器などの基準信号をこの原子共鳴に同期させて出力を得て
いる。しかし、原子発振器の光源としてレーザ光を使用した場合、レーザ光は周囲温度の
変動や供給するパワーの変動により光強度が変化するといった問題がある。
特許文献1には、ビームスプリッタにより分岐した光源の一部を検出して、光源のパワ
ーを一定に制御するCPTを利用した原子発振器について開示されている。
US6265945B1
特許文献1に開示されている従来の光学系の構成は、図7に示すように、VCSEL5
0から出射したレーザ光は、ビームスプリッタ53により分岐されて、一方の光はOPT
ICAL PWR.DETECTOR52で検出され、他方の光はCELL55を通過し
てTRANSMISSION DETECTOR56により検出される。また、CELL
55からは、蛍光が発光されてFLUORESCENCE DETECTOR54により
TRANSMISSION DETECTOR56とは相補的な信号が検出される。しか
し、レーザ光をOPTICAL PWR.DETECTOR52により直接検出している
ので、パワーの変動に対しては制御できるが、波長の変動による光強度の変化に対しては
検出できないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、コヒーレント光源のサイドバンド2波長(σ=6.8G
Hz)は、85Rb(質量数85のルビジウム)では、この光吸収が停止する状態(EI
T)を起こさず、中心波長(D1:794.7nm、D2:780.0nm)を一部吸収
して蛍光を発する性質がある。この性質を利用して、蛍光の強度を検出してコヒーレント
光源にフィードバックすることにより、コヒーレント光源から出射した光の総合的な変動
(パワー、温度、波長)をリアルタイムに検出してコヒーレント光源のパワーを一定に制
御することができる原子発振器の光学系を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量
子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器の光学系であっ
て、前記共鳴光を出射するコヒーレント光源と、前記コヒーレント光源の出射側に直列に
配置され、ガス状の金属原子を封入すると共に、該金属原子ガス中に前記共鳴光を通過さ
せる複数のガスセルと、前記複数のガスセルを通過した共鳴光を検出する第1の光検出手
段と、前記複数のガスセルの少なくとも1つのガスセルから放射される蛍光を検出する第
2の光検出手段と、前記第2の光検出手段により検出された前記蛍光の強度に基づいて前
記コヒーレント光源の光強度を制御する光源制御部と、を備え、前記第2の光検出手段に
より前記蛍光を検出される側のガスセルを前記コヒーレント光源側に配置したことを特徴
とする。
本発明では、異なる2種類のガスセルを用意し、夫々に異なる質量数を持つ同位体金属
原子を封入する。加温により夫々の原子の蒸気で満たされたガスセルを直列に配置し、コ
ヒーレント光源から出射された2種類の光を2つのガスセルに通過させる。そのとき、2
種類のコヒーレント光の波長として、一方のガスセルに対しては、CPTによる光吸収の
停止状態(EIT、後述)を起こさせないで、中心波長の一部を吸収して蛍光を発し、他
方のガスセルに対しては、EITを起こすような条件を満たすものを選ぶ。そして、2つ
のガスセルを通過した共鳴光を検出する第1の光検出手段と、ガスセルから放射される蛍
光を検出する第2の光検出手段とを備え、第2の光検出手段により検出された蛍光の強度
に基づいてコヒーレント光源の強度を制御する。これにより、コヒーレント光源の総合的
な変動をリアルタイムに検出してコヒーレント光源のパワーを一定に制御することができ
る。
[適用例2]波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量
子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器の光学系であっ
て、前記共鳴光を出射するコヒーレント光源と、前記コヒーレント光源の出射側に配置さ
れ前記共鳴光を少なくとも2つの光路に分岐する光分岐手段と、前記光分岐手段により分
岐された光路の出射側に夫々配置され、ガス状の金属原子を封入すると共に、該金属原子
ガス中に該共鳴光を通過させる複数のガスセルと、前記複数のガスセル中の少なくとも1
つのガスセルを通過した共鳴光を検出する第1の光検出手段と、前記複数のガスセル中の
少なくとも1つのガスセルから放射される蛍光を検出する第2の光検出手段と、前記第2
の光検出手段により検出された前記蛍光の強度に基づいて前記コヒーレント光源の強度を
制御する光源制御部と、を備えたことを特徴とする。
本発明は、共鳴光を2つの光路に分岐する光分岐手段を備え、一方の光はEITを起こ
すガスセルに入射させ、他方の光はEITを起こさないガスセルに入射させる。そしてE
ITを起こすガスセルを通過した共鳴光を検出する第1の光検出手段と、EITを起こさ
ないガスセルから放射された蛍光を検出する第2の光検出手段を備え、第2の光検出手段
により検出された蛍光の強度に基づいてコヒーレント光源の強度を制御する。これにより
、コヒーレント光源の総合的な変動をリアルタイムに検出してコヒーレント光源のパワー
を一定に制御することができる。
[適用例3]前記複数のガスセルの内の一方に封入したガス状の金属原子が質量数85
のルビジウム(85Rb)であり、他方のガスセル内に封入したガス状の金属原子が質量
数87のルビジウム(87Rb)であることを特徴とする。
コヒーレント光源のサイドバンド2波長(σ=6.8GHz)は、85Rb(質量数8
5のルビジウム)では、この光吸収が停止する状態(EIT)を起こさず、中心波長(D
1:794.7nm、D2:780.0nm)を一部吸収して蛍光を連続して発する性質
がある。また、87Rb(質量数87のルビジウム)では、同じく蛍光は発するが、EI
Tが起きるとその波長帯域では蛍光が発しなくなる。本発明ではこの2種類のガスセルを
使用する。これにより、EITが起きたときでもコヒーレント光源の強度を制御すること
ができる。
[適用例4]前記複数のガスセルは、同一の恒温槽内に収容され、該恒温槽により温度
制御されることを特徴とする。
ルビジウム等のアルカリ金属原子を用いた原子発振器は、原子のエネルギ遷移を利用す
る際に、原子をガス状態に保つ必要があるため、原子を気密封入したガスセルを高温に保
って動作させている。そのとき、ガスの圧力(飽和蒸気圧)は温度の関数であり、温度が
決まると圧力が一義的に決まる。従って、2つのガスセルは常に同じ温度で管理されるこ
とが重要である。そこで本発明では、2つのガスセルを1つの恒温槽内に収容して、この
恒温槽により温度制御する。これにより、2つのガスセルの温度を同じ温度、即ち同じ圧
力にすることができる。
[適用例5]前記光分岐手段は、ビームスプリッタ又はハーフミラーにより構成されて
いることを特徴とする。
コヒーレント光源から出射された共鳴光の変動を検出するためには、可能な限りコヒー
レント光源の生の光を検出することが好ましい。そこで本発明では、コヒーレント光源か
ら出射された光の一部を分岐して検出する。それにはビームスプリッタ又はハーフミラー
が好都合である。これらの素子は、入射した一部の光を通過して、他の一部の光の光路を
変換する特性がある。これにより、共鳴光を少なくとも2つの光路に分岐することができ
る。
[適用例6]前記コヒーレント光は、レーザ光であることを特徴とする。
太陽光は、いろいろな波長が混ざり位相がランダムな光である。これに対してレーザ光
は波長の単色性が良く、位相の揃った光である。このような光の波長や位相の安定性の尺
度としてコヒーレンスが定義されている。コヒーレンスが良い、すなわち波長や位相が安
定な光は量子干渉効果を起こすことができる。その点ではレーザ光は最適である。
[適用例7]請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学系を備えたことを特徴とする。
蛍光の強度を検出してコヒーレント光源にフィードバックすることにより、コヒーレン
ト光源から出射した光の総合的な変動をリアルタイムに検出してコヒーレント光源の光強
度を一定に制御することができるので、S/Nが向上した高性能な原子発振器を提供する
ことができる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記
載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限
り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
先ず、本発明の実施形態を説明する前に、ルビジウム同位体の微細構造と超微細構造に
ついて、平野功著「原子スペクトル入門」(p44)技報堂出版(2000年)を参照し
て概略を説明する。図1、2は、ルビジウム同位体、85Rbと87Rbの超微細構造を
示したエネルギーダイアグラムである。Rbは最外殻に1つの電子を持つ。この電子が原
子核の周りの固有の軌道上を公転(軌道角運動量Lを生じる)と自転(スピン角運動量S
を生じる)を伴いながら運動することでLとSが相互作用を起こしD1線とD2線に対応
するエネルギ準位を作る(微細構造)。ここまでは同位体の違いが現れない。更に細かく
見ていくと、核スピンIと前述の電子の総角運動量J(=L+S)が相互作用しており、
項(SやPなどの記号)で分類された各エネルギ状態(微細構造)が、更にFの値で分裂
した超微細構造と呼ばれるより数多くのエネルギ準位で構成されていることがわかる。核
スピンIは同位体によって値が異なり(85RbのI=5/2、87RbのI=3/2、
)、そのために、超微細構造は同位体間で異なる。原子発振器で利用するのは、この超微
細構造で現れる基底状態(微細構造では項Sで表されているエネルギの最も低い安定な状
態)の僅かなエネルギ分裂(例えば87Rbでは約6、8[GHz])を利用している。
これはCPT方式でも、従来のマイクロ波二重共鳴法でも同じである。
図3はCPT方式による原子の3準位系を説明する一例を示す図である。原子発振器に
用いられるルビジウム等の基底準位は、核スピン−電子スピン相互作用による超微細構造
により2種類の基底準位に分かれている。これらの基底準位の原子は光を吸収して、より
エネルギの高い準位へ励起する。また、図3の様に2つの基底準位が光を受けて、共通の
励起準位と共鳴結合している状態を2光子共鳴と言う。図3において、基底準位1(23
)と基底準位2(24)は準位のエネルギが若干異なるため、共鳴光もそれぞれ共鳴光1
(20)と共鳴光2(22)と波長が若干異なる。同時に照射される共鳴光1(20)と
共鳴光2(22)の周波数差(波長の差)が正確に基底準位1(23)と基底準位2(2
4)のエネルギ差に一致すると、図3の系は2つの基底準位の重ね合わせ状態になり、励
起準位21への励起が停止する。CPTはこの原理を利用して、共鳴光1(20)と共鳴
光2(22)のどちらかまたは両方の波長を変化させたときに、ガスセル3での光吸収(
つまり励起準位21への転換)が停止し、光が透過する状態(EIT)を検出、利用する
方式である。
図4は本発明の第1の実施形態に係る原子発振器の光学系を示す要部構成図である。こ
の光学系1Aは、波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの
量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器100の光学
系1Aであって、共鳴光を出射するコヒーレント光源2と、コヒーレント光源2の出射側
に直列に配置され、共鳴光を通過させる、金属原子として85Rbを封入したガスセル3
、87Rbを封入したガスセル4と、85Rbガスセル3、87Rbガスセル4を通過し
た共鳴光を検出する光検出器(第1の光検出手段)5と、85Rbガスセル3から放射さ
れる蛍光10を検出する光検出器(第2の光検出手段)6と、光検出器6により検出され
た蛍光10の強度に基づいてコヒーレント光源2の光強度を制御する光源制御部7と、光
検出器5から検出された信号により、発振周波数を制御する周波数制御回路9と、を備え
、蛍光10を放射する85Rbガスセル3をコヒーレント光源2側に配置した。また、8
5Rbガスセル3及び87Rbガスセル4は、1つの恒温槽8内に収容され、恒温槽8に
より同じ温度に制御される。尚、本発明の主旨は、原子発振器を構成する光学系の構成に
あるので、原子発振器の周波数制御についての詳細な説明は省略する。以下、同様とする

即ち、同時に2本のコヒーレント光(それぞれ、波長入1、入2)を87Rbの蒸気で
満たした87Rbガスセル4に照射し、Λ(ラムダ)型のCPT(または、EIT:電磁
誘起透明化とも呼ぶ)現象を起こすには、例えば、図2のDl線を使用する場合、図2の
(aとc)の組み合わせ、または(bとd)の組み合わせになる。このとき、2本の光の
周波数差は図2右側の値(各準位のエネルギーを周波数[MHz])に換算したもの)よ
り、いずれの場合も、2563.01−(−4271.69)=6834.7[MHz]
、即ち、約6.8[GHz]となる。
この周波数差を満たしたときにのみ、2本の光は87Rbに吸収されずに87Rbガス
セル4を通過する。
ここで、(aとc)の組み合わせで2本の光を使ったと仮定すると、この2本の光が、
6834.7[MHz]の周波数差近傍で調節されたときに87Rbガスセル4を通過し
た光は、CPT信号(1本のピーク)として検出されるが、このピークプロファイルは、
周波数差以外にも、セルの温度(Rbの蒸気圧が決まる)が変動すると変動してしまう。
そこで、(aとc)のセットの光を85Rbの蒸気で満たした85Rbガスセル3に照
射すると、図1のようなエネルギーダイアグラムとなる。85Rbガスセル3は87Rb
ガスセル4と全く同じ波長794.7[nm]のDl線で励起されるが、CPT現象を起
こすのは、1264、89−(−1770.84)=3035.73[MHz]→約3.
0[GHz]の周波数差なので、87Rbガスセル4がCPT現象を起こす2本の光では
透過現象は起きずに、通常の吸収のみが起こり85Rbガスセル3の蒸気圧に対応した強
度の蛍光10を発する。この蛍光強度を光検出器6で検出して、蛍光強度が一定になるよ
うに光源制御部7により系にフィードバックをかけることで、系の安定性を高い精度で保
つことができる。
また、ルビジウム等のアルカリ金属原子を用いた原子発振器は、原子のエネルギ遷移を
利用する際に、原子をガス状態に保つ必要があるため、原子を気密封入したガスセルを高
温に保って動作させている。そのとき、ガスの圧力(飽和蒸気圧)は温度の関数であり、
温度が決まると圧力が一義的に決まる。従って、2つのガスセルは常に同じ温度で管理さ
れることが重要である。そこで本実施形態では、2つのガスセルを1つの恒温槽8内に収
容して、この恒温槽8により温度制御する。これにより、2つのガスセルの温度を同じ温
度、即ち同じ圧力にすることができる。
図5は本発明の第2の実施形態に係る原子発振器の光学系を示す要部構成図である。同
じ構成要素には図4と同じ参照番号を付し説明を省略する。この光学系1Bが図4と異な
る点は、85Rbガスセル3と87Rbガスセル4の配置を図4と逆にして、87Rbガ
スセル4をコヒーレント光源2側に配置した点である。
即ち、同時に2本のコヒーレント光(それぞれ、波長入1、入2)を85Rbの蒸気で
満たした85Rbガスセル3に照射し、Λ(ラムダ)型のCPT現象を起こすには、例え
ば、図1のDl線を使用する場合、図1の(aとc)の組み合わせ、または(bとd)の
組み合わせになる。このとき、2本の光の周波数差は図1右側の値(各準位のエネルギー
を周波数[MHz])に換算したもの)より、いずれの場合も、1264、89−(−1
770.84)=3035.73[MHz]、即ち、約3.0[GHz]となる。従って
、超微細構造を約3.0[GHz]とする時計の発振器に本実施形態の光学系を使用する
ことができる。
図6は本発明の第3の実施形態に係る原子発振器の光学系を示す要部構成図である。同
じ構成要素には図4と同じ参照番号を付して説明する。この光学系1Cは、波長が異なる
コヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量子干渉効果による光吸収特性
を利用して発振周波数を制御する原子発振器100の光学系1Cであって、共鳴光を出射
するコヒーレント光源2と、コヒーレント光源2の出射側に配置され共鳴光を少なくとも
2つの光路に分岐するビームスプリッタ(光分岐手段)11と、ビームスプリッタ11に
より分岐された2つの光路の出射側に夫々配置され、共鳴光を通過させる、金属原子とし
て85Rbを封入したガスセル3、及び87Rbを封入したガスセル4と、87Rbガス
セル4を通過した共鳴光を検出する光検出器(第1の光検出手段)5と、85Rbガスセ
ル3から放射される蛍光10を検出する光検出器(第2の光検出手段)6と、光検出器6
により検出された蛍光10の強度に基づいてコヒーレント光源2の強度を制御する光源制
御部7と、光検出器5から検出された信号により、発振周波数を制御する周波数制御回路
9と、を備えて構成されている。また、85Rbガスセル3及び87Rbガスセル4は、
1つの恒温槽8内に収容され、恒温槽8により温度制御される。尚、本実施形態では、超
微細構造を6.8GHzの場合について説明したが、超微細構造を3GHzにする場合は
、夫々のガスセルの配置を逆にすることにより実現することができる。
即ち、本実施形態は、共鳴光を2つの光路に分岐するビームスプリッタ11を備え、一
方の光は超微細構造6.8GHzでEITを起こす87Rbガスセル4に入射させ、他方
の光はEITを起こさない85Rbガスセル3に入射させる。そしてEITを起こす87
Rbガスセル4を通過した共鳴光を検出する光検出器5と、EITを起こさない85Rb
ガスセル3から放射された蛍光10を検出する光検出器6を備え、光検出器6により検出
された蛍光10の強度に基づいてコヒーレント光源2の強度を制御する。これにより、コ
ヒーレント光源2の総合的な変動をリアルタイムに検出してコヒーレント光源2のパワー
を一定に制御することができる。また、副次的な効果として、ビームスプリッタ11によ
りコヒーレント光源2の光強度が1/2になるので、従来使用していた光の強度を補正す
るNDフィルタを省略することができる。
また、コヒーレント光源2から出射された共鳴光の変動を検出するためには、可能な限
りコヒーレント光源2の生の光を検出することが好ましい。そこで本実施形態では、コヒ
ーレント光源2から出射された光の一部を分岐して検出する。それにはビームスプリッタ
又はハーフミラーが好都合である。これらの素子は、入射した一部の光を通過して、他の
一部の光の光路を変換する特性がある。これにより、共鳴光を少なくとも2つの光路に分
岐することができる。
また、太陽光は、いろいろな波長が混ざり位相がランダムな光である。これに対してレ
ーザ光は波長の単色性が良く、位相の揃った光である。このような光の波長や位相の安定
性の尺度としてコヒーレンスが定義されている。コヒーレンスが良い、すなわち波長や位
相が安定な光は量子干渉効果を起こすことができる。その点ではレーザ光は最適である。
更に、蛍光10の強度を検出してコヒーレント光源2にフィードバックすることによ
り、コヒーレント光源2から出射した光の総合的な変動をリアルタイムに検出してコヒー
レント光源2の光強度を一定に制御することができるので、S/Nが向上した高性能な原
子発振器を提供することができる。
ルビジウム同位体85Rbの超微細構造を示したエネルギーダイアグラムである。 ルビジウム同位体87Rbの超微細構造を示したエネルギーダイアグラムである。 CPT方式による原子の3準位系を説明する一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る原子発振器の光学系を示す要部構成図である。 本発明の第2の実施形態に係る原子発振器の光学系を示す要部構成図である。 本発明の第3の実施形態に係る原子発振器の光学系を示す要部構成図である。 従来の構成による光学系のブロック図である。
符号の説明
1 光学系、2 コヒーレント光源、3 85Rbガスセル、4 87Rbガスセル、
5 光検出器、6 光検出器、7 光源制御部、8 恒温槽、9 周波数制御回路、10
蛍光、11 ビームスプリッタ、100 原子発振器

Claims (7)

  1. 波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量子干渉効果に
    よる光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器の光学系であって、
    前記共鳴光を出射するコヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光源の出射側に直列に配置され、ガス状の金属原子を封入すると共に
    、該金属原子ガス中に前記共鳴光を通過させる複数のガスセルと、
    前記複数のガスセルを通過した共鳴光を検出する第1の光検出手段と、
    前記複数のガスセルの少なくとも1つのガスセルから放射される蛍光を検出する第2の
    光検出手段と、
    前記第2の光検出手段により検出された前記蛍光の強度に基づいて前記コヒーレント光
    源の光強度を制御する光源制御部と、
    を備え、
    前記第2の光検出手段により前記蛍光を検出される側のガスセルを前記コヒーレント光
    源側に配置したことを特徴とする原子発振器の光学系。
  2. 波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときの量子干渉効果に
    よる光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器の光学系であって、
    前記共鳴光を出射するコヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光源の出射側に配置され前記共鳴光を少なくとも2つの光路に分岐す
    る光分岐手段と、
    前記光分岐手段により分岐された光路の出射側に夫々配置され、ガス状の金属原子を封
    入すると共に、該金属原子ガス中に該共鳴光を通過させる複数のガスセルと、
    前記複数のガスセル中の少なくとも1つのガスセルを通過した共鳴光を検出する第1の
    光検出手段と、
    前記複数のガスセル中の少なくとも1つのガスセルから放射される蛍光を検出する第2
    の光検出手段と、
    前記第2の光検出手段により検出された前記蛍光の強度に基づいて前記コヒーレント光
    源の強度を制御する光源制御部と、
    を備えたことを特徴とする原子発振器の光学系。
  3. 前記複数のガスセルの内の一方に封入したガス状の金属原子が質量数85のルビジウム
    (85Rb)であり、他方のガスセル内に封入したガス状の金属原子が質量数87のルビ
    ジウム(87Rb)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子発振器の光学系
  4. 前記複数のガスセルは、同一の恒温槽内に収容され、該恒温槽により温度制御されるこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3に記載の原子発振器の光学系。
  5. 前記光分岐手段は、ビームスプリッタ又はハーフミラーにより構成されていることを特
    徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の原子発振器の光学系。
  6. 前記コヒーレント光は、レーザ光であることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子
    発振器の光学系。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学系を備えたことを特徴とする原子発振器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012049230A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Seiko Epson Corp 量子干渉装置及び量子干渉方法
JP2012190916A (ja) * 2011-03-09 2012-10-04 Seiko Epson Corp コヒーレント光源
JP2015057841A (ja) * 2014-10-31 2015-03-26 セイコーエプソン株式会社 量子干渉装置
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