JP2015057841A - 量子干渉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ金属原子に対するEIT現象の発現効率を高めることができる量子干渉装置及び量子干渉方法を提供すること。【解決手段】光源10は、互いに周波数が異なる複数の第1の光と互いに周波数が異なる複数の第2の光とを発生させてアルカリ金属原子20に照射する。光検出部30は、アルカリ金属原子を透過した光の強度を検出する。制御部40は、光検出部が検出した光の強度に基づいて、第1の光の各々と第2の光の各々との周波数差が2S1/2の第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数にそれぞれ一致するように制御し、かつ、第1の光の各々の波長が2P1/2のいずれかの励起準位又はその近傍の準位と第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御するとともに、第2の光の各々の波長が当該励起準位又はその近傍の準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、量子干渉装置及び量子干渉方法に関する。
図14に示すように、アルカリ金属原子は、タームシンボル1/2で表される基底準位と、タームシンボル1/23/2で表される2つの励起準位とを有することが知られている。さらに、1/21/23/2の各準位は、複数のエネルギー準位に分裂した超微細構造を有している。具体的には、1/2はI+1/2とI−1/2の2つの基底準位を持ち、1/2はI+1/2とI−1/2の2つの励起準位を持ち、3/2はI+3/2,I+1/2,I−1/2,I−3/2の4つの励起準位を持っている。ここで、Iは核スピン量子数である。
1/2のI−1/2の基底準位にある原子は、D2線を吸収することで、3/2のI+1/2,I−1/2,I−3/2のいずれかの励起準位に遷移することができるが、I+3/2の励起準位に遷移することはできない。1/2のI+1/2の基底準位にある原子は、D2線を吸収することで、3/2のI+3/2,I+1/2,I−1/2のいずれかの励起準位に遷移することができるが、I−3/2の励起準位に遷移することはできない。これらは、電気双極子遷移を仮定した場合の遷移選択則による。逆に、3/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して1/2のI+1/2又はI−1/2の基底準位(元の基底準位又は他方の基底準位のいずれか)に遷移することができる。ここで、1/2のI+1/2,I−1/2の2つの基底準位と3/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位からなる3準位(2つの基底準位と1つの励起準位からなる)は、D2線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であることからΛ型3準位と呼ばれる。これに対して、3/2のI−3/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して必ず1/2のI−1/2の基底準位(元の基底準位)に遷移し、同様に、3/2のI+3/2の励起準位にある原子は、D2線を放出して必ず1/2のI+1/2の基底準位(元の基底準位)に遷移する(これらの遷移は特許文献1においてcycling transitionと呼ばれている)。すなわち、1/2のI+1/2,I−1/2の2つの基底準位と3/2のI−3/2又はI+3/2の励起準位からなる3準位は、D2線の吸収・放出によるΛ型の遷移が不可能であることからΛ型3準位を形成しない。
ところで、気体状のアルカリ金属原子に、Λ型3準位を形成する第1の基底準位(1/2のI−1/2の基底準位)と励起準位(例えば、3/2のI+1/2の励起準位)とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光1とする)、あるいは第2の基底準位(1/2のI+1/2の基底準位)と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数(振動数)を有する共鳴光(共鳴光2とする)を同時に照射すると、2つの基底準位の重ね合わせ状態、即ち量子干渉状態(暗状態)になり、励起準位への励起が停止する電磁誘起透過(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象(CPT(Coherent Population Trapping)と呼ばれることもある)が起こることが知られている。このEIT現象を起こす共鳴光対(共鳴光1と共鳴光2)の周波数差はアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差ΔE12に相当する周波数と正確に一致する。例えば、セシウム原子は、2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数は9.192631770GHzであるので、セシウム原子に、周波数差が9.192631770GHzの2種類のD2線のレーザー光を同時に照射すると、EIT現象が起こる。
従って、気体状のアルカリ金属原子に周波数の異なる2種類の光を照射したとき、この
2種類の光が共鳴光対となってアルカリ金属原子がEIT現象を起こすか否かで光吸収挙動が急峻に変化する。この急峻に変化する光吸収挙動を示す信号はEIT信号と呼ばれ、共鳴光対の周波数差がΔE12に相当する周波数と正確に一致するときにEIT信号のレベルがピーク値を示す。そこで、EIT信号のピークトップを検出し、アルカリ金属原子に照射する2種類の光が共鳴光対となるように、すなわち、この2種類の光の周波数差がΔE12に相当する周波数と正確に一致するように周波数制御することで、高精度な発振器を実現することができる。
ところが、アルカリ金属原子にD2線の共鳴光対を照射してEIT現象を起こさせる場合、前記の通りcycling transitionが存在するため、共鳴光対の周波数(波長)が不安定であると量子干渉状態(暗状態)に至る遷移の効率が落ちるという問題がある。
一方、図14に示すように、1/2のI+1/2又はI−1/2の基底準位にある原子は、D1線を吸収することで、1/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位に遷移することができる。逆に、1/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位にある原子は、D1線を放出して1/2のI+1/2又はI−1/2の基底準位に遷移することができる。すなわち、1/2のI+1/2,I−1/2の2つの基底準位と1/2のI+1/2又はI−1/2の励起準位からなる3準位は、D1線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であることからΛ型3準位を形成する。このD1線による遷移にはcycling transitionが存在しないため、アルカリ金属原子にD1線の共鳴光対を照射することでEIT現象を効率よく起こさせる手法が提案されている。
米国特許第6359916号明細書
ところで、気体状のアルカリ金属原子は運動状態に応じた速度を持っているため、光のドップラー効果(ドップラーシフト)により共鳴光の見かけ上の波長(周波数)がアルカリ金属原子の速度に応じて変化する。例えば、照射される光と同じ方向の速度を有する原子にとっては、共鳴光の見かけ上の波長が長く(周波数が低く)なり、照射される光と反対方向の速度を有する原子にとっては、共鳴光の見かけ上の波長が短く(周波数が高く)なる。すなわち、速度の異なる原子では励起準位が見かけ上異なり、励起準位が一定の幅の拡がり(ドップラー拡がり)を持つものと考えることができる。そのため、特許文献1の手法のように、気体状のアルカリ金属原子集団に1対の共鳴光対を同時に照射しても、実際にEIT現象を起こすことができるのは共鳴光対の入射方向に対する特定の速度成分の値(例えば0)を持ったごく一部の原子に限られてしまうため、EIT現象を起こさずに残ってしまうアルカリ金属原子が集団の中で相当数存在することになり、EIT発現に寄与する原子の割合が極めて低い。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、アルカリ金属原子に対するEIT現象の発現効率を高めることができる量子干渉装置及び量子干渉方法を提供することができる。
(1)本発明は、共鳴光対によってアルカリ金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉装置であって、互いに周波数が異なる複数の第1の光と、互いに周波数が異なる複数の第2の光とを発生させて前記アルカリ金属原子に照射する光源と、前記光源から照射されて前記アルカリ金属原子を透過した光の強度を検出する光検出部と、前記光検出部
が検出した光の強度に基づいて、前記複数の第1の光の各々と前記複数の第2の光の各々との周波数差が、前記アルカリ金属原子の1/2の第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数にそれぞれ一致するように制御し、かつ、前記複数の第1の光の各々の波長が前記アルカリ金属原子の1/2のいずれかの励起準位又はその近傍の準位と前記第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御するとともに、前記複数の第2の光の各々の波長が前記励起準位又はその近傍の準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御する制御部と、を含む、量子干渉装置である。
本発明によれば、互いに中心周波数が異なる複数の共鳴光対を発生させることができるので、アルカリ金属原子に対して効率よくEIT現象を発生させることができる。さらに、本発明によれば、D1線の共鳴光対を発生させることで、D2線の共鳴光対を発生させた場合よりも多くのアルカリ金属原子に対してEIT現象を発生させることができる。従って、本発明によれば、EIT信号の強度を高めることができ、その結果、EIT信号のQ値やS/Nを向上させることができる。
(2)この量子干渉装置において、前記光源は、所与の中心波長の光を所与の変調信号で変調することにより、周波数がΔωずつ異なる前記複数の第1の光と周波数がΔωずつ異なる前記複数の第2の光を発生させ、前記制御部は、前記光源が発生させる光の中心波長を制御する中心波長制御部と、前記光検出部が検出した光の強度に基づいて前記変調信号を生成する変調制御部と、を含むようにしてもよい。
この量子干渉装置によれば、光源を変調することで効率よく複数の共鳴光対を発生させることができる。
(3)この量子干渉装置において、前記中心波長制御部は、前記光源が発生させる光の中心波長が、前記励起準位と前記第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と、前記励起準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長との和の1/2又はその近傍の波長と一致するように制御し、前記変調制御部は、前記光検出部が検出した光の強度に基づいて、前記第1の基底準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数の1/2の周波数を有する第1の発振信号を生成する第1発振信号生成部と、Δωの周波数を有する第2の発振信号を生成する第2発振信号生成部と、前記第1の発振信号と前記第2の発振信号に基づいて前記変調信号を生成する変調信号生成部と、を含むようにしてもよい。
この量子干渉装置によれば、Δωの周波数の制御とΔE12に相当する周波数の1/2の周波数の制御を独立に行いながら、中心周波数帯の両側サイドバンドに複数の共鳴光対を効率よく発生させることができる。
(4)この量子干渉装置において、前記第2発振信号生成部は、前記光検出部が検出した光の強度に基づいて、前記第2の発振信号の周波数Δωを調整するようにしてもよい。
この量子干渉装置によれば、環境の変化に応じてΔωを微調整してEIT信号の強度を保持することができる。
(5)この量子干渉装置において、前記中心波長制御部は、前記光検出部が検出した光の強度に基づいて、前記光源が発生させる光の中心波長を調整するようにしてもよい。
この量子干渉装置によれば、環境の変化に応じて中心波長を微調整してEIT信号の強度を保持することができる。
(6)本発明は、共鳴光対によってアルカリ金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉方法であって、互いに周波数が異なる複数の第1の光と、互いに周波数が異なる複数の第2の光とを発生させて前記アルカリ金属原子に照射する光照射工程と前記光照射工程で照射されて前記アルカリ金属原子を透過した光の強度を検出する光検出工程と、前記光検出工程で検出した光の強度に基づいて、前記複数の第1の光の各々と前記複数の第2の光の各々との周波数差が、前記アルカリ金属原子の1/2の第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数にそれぞれ一致するように制御し、かつ、前記複数の第1の光の各々の波長が前記アルカリ金属原子の1/2のいずれかの励起準位又はその近傍の準位と前記第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御するとともに、前記複数の第2の光の各々の波長が前記励起準位又はその近傍の準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御する制御工程と、を含む、量子干渉方法である。
本実施形態の量子干渉装置の機能ブロック図。 アルカリ金属原子のD1線に関するエネルギー準位を模式的に示す図。 本実施形態の量子干渉装置の構成例を示す図。 半導体レーザーの出射光の周波数スペクトルを示す概略図。 周波数ΔωとEIT信号強度の関係の傾向を示す図。 変形例の半導体レーザーの出射光の周波数スペクトルを示す概略図。 変形例の量子干渉装置の構成を示す図。 変形例の量子干渉装置の構成を示す図。 変形例の量子干渉装置の構成を示す図。 変形例の量子干渉装置の構成を示す図。 本実施形態の量子干渉方法を示すフローチャート図。 制御工程の一例を示すフローチャート図。 変調制御工程の一例を示すフローチャート図。 アルカリ金属原子のエネルギー準位を模式的に示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.量子干渉装置
図1は、本実施形態の量子干渉装置の機能ブロック図である。
本実施形態の量子干渉装置1は、光源10、アルカリ金属原子20の集団、光検出部30、制御部40を含んで構成されている。
光源10は、可干渉性(コヒーレント性)を有し、互いに周波数が異なる複数の第1の光と、互いに周波数が異なる複数の第2の光とを発生させてアルカリ金属原子20(ナトリウム(Na)原子、ルビジウム(Rb)原子、セシウム(Cs)原子等)に照射する。例えば、レーザー光は可干渉性(コヒーレント性)を有する光である。
光源10は、例えば、所与の中心波長の光を所与の変調信号で変調することにより、周波数がΔωずつ異なる複数の第1の光と周波数がΔωずつ異なる複数の第2の光(複数の共鳴光対)を発生させるように構成してもよい。
光検出部30は、光源10から照射されてアルカリ金属原子20を透過した光の強度を検出する。
ここで、例えば、気体状のアルカリ金属原子20を密閉容器に封入したガスセルを光源10と光検出部30の間に配置するような形態でもよい。また、密閉容器内に光源10、気体状のアルカリ金属原子20、光検出部30を共に封入し、光源10と光検出部30を対向させて配置するような形態でもよい。
制御部40は、光検出部30が検出した光の強度に基づいて、複数の第1の光の各々と複数の第2の光の各々との周波数差が、アルカリ金属原子20の1/2の第1の基底準位(I−1/2の基底準位)と第2の基底準位(I+1/2の基底準位)とのエネルギー差ΔE12に相当する周波数にそれぞれ一致するように制御する。
さらに、この制御部40は、複数の第1の光の各々の波長がアルカリ金属原子20の1/2のいずれかの励起準位(I+1/2又はI−1/2の励起準位)又はその近傍の準位と第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御するとともに、複数の第2の光の各々の波長が当該励起準位又はその近傍の準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御する。
すなわち、制御部40は、光源10に、周波数差がΔE12に相当する周波数と一致する複数のD1線の共鳴光対を発生させるように制御する。
ここで、第1の光の波長が励起準位の近傍の準位と第1の基底準位(あるいは第2の基底準位)とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御してもよいのは、前述したドップラーシフトにより速度の異なる原子では励起準位が見かけ上異なるため、第1の光の波長が励起準位と第1の基底準位(あるいは第2の基底準位)とのエネルギー差に相当する波長と正確に一致しなくとも、これら2つの波長の差が所定の範囲内にあればアルカリ金属原子20がEIT現象を起こす必要条件を満たすことができるからである。
つまり、前記近傍の準位とは光のドップラー効果の影響を受けて励起準位が見かけ上変化した状態の準位のことを指す。
例えば、図2に示すように、アルカリ金属20の1/2のI+1/2,I−1/2の各励起準位には、アルカリ金属20の集団の速度分布に応じたドップラー拡がりの幅(斜線で示す幅)が存在するものと考えることができる。1/2のI−1/2の励起準位と1/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λと一致する波長の光A3と、1/2のI−1/2の励起準位と1/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λと一致する波長の光B3とは、その周波数差がΔE12に相当する周波数と一致するため、アルカリ金属原子20にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる。これに対して、光A1や光A2の波長はλよりもわずかに短く、光B1や光B2の波長はλよりもわずかに短いが、光A1と光B1、光A2と光B2の各周波数差がΔE12と一致するため、光A1と光B1、光A2と光B2はそれぞれ所定の速度のアルカリ金属原子20にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる。また、光A4や光A5の波長はλよりもわずかに長く、光B4や光B5の波長はλよりもわずかに長いが、光A4と光B4、光A5と光B5の各周波数差がΔE12と一致するため、光A4と光B4、光A5と光B5はそれぞれ所定の速度のアルカリ金属原子20にEIT現象を起こさせる共鳴光対となる。
制御部40は、光源10が発生させる光の中心波長を制御する中心波長制御部50と、光検出部30が検出した光の強度に基づいて変調信号を生成する変調制御部60とを含むように構成してもよい。
中心波長制御部50は、光源10が発生させる光の中心波長が、励起準位と第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と、励起準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長との和の1/2又はその近傍の波長と一致するように制御するようにしてもよい。
また、中心波長制御部50は、光検出部30が検出した光の強度に基づいて、光源10が発生させる光の中心波長を調整するようにしてもよい。
変調制御部60は、第1発振信号生成部62と、第2発振信号生成部64と、変調信号生成部66とを含んで構成してもよい。第1発振信号生成部62は、光検出部30が検出した光の強度に基づいて、第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数の1/2の周波数を有する第1の発振信号を生成する。第2発振信号生成部64は、Δωの周波数を有する第2の発振信号を生成する。変調信号生成部66は、第1の発振信号と第2の発振信号に基づいて変調信号を生成する。
以下、本実施形態の量子干渉装置の具体的な構成について説明する。
図3は、本実施形態の量子干渉装置の構成例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態の量子干渉装置100は、半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130、検波回路140、電流駆動回路150、低周波発振器160、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillator)180、変調回路190、低周波発振器200、検波回路210、電圧制御水晶発振器(VCXO)220、変調回路230、低周波発振器240、周波数変換回路250、変調回路260を含んで構成されている。
ガスセル120は、容器中に気体状のアルカリ金属原子が封入されたものである。
半導体レーザー110は、周波数の異なる複数の光を発生させてガスセル120に照射する。具体的には、電流駆動回路150が出力する駆動電流によって、半導体レーザー110の出射光の中心波長λ(中心周波数はf)が制御される。そして、半導体レーザー110は、変調回路260の出力信号を変調信号として変調がかけられる。すなわち、電流駆動回路150による駆動電流に、変調回路260の出力信号(変調信号)を重畳することにより、半導体レーザー110は変調がかかった光を発生させる。このような半導体レーザー110は、例えば、端面発光レーザー(Edge Emitting Laser)や、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の面発光レーザーなどで実現することができる。
光検出器130は、ガスセル120を透過した光を検出し、光の強度に応じた検出信号(EIT信号)を出力する。前述したように、可干渉性(コヒーレント性)を有し、かつ、周波数差がΔE12に相当する周波数と一致する2種類の光をアルカリ金属原子に照射するとEIT現象を起こす。このEIT現象を起こすアルカリ金属原子の数が多いほどガスセル120を透過する光の強度が増大し、光検出器130の出力信号(EIT信号)の電圧レベルが高くなる。また、この2種類の光の可干渉性(コヒーレント性)の程度もEIT現象に影響を与える。可干渉性が低下するとEIT現象を起こすアルカリ金属原子の数が減って透過光の強度が減少し、光検出器130の出力信号(EIT信号)の電圧レベルが低くなる。
光検出器130の出力信号は検波回路140、170、210に入力される。検波回路
140は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器160の発振信号を用いて光検出器130の出力信号を同期検波する。
電流駆動回路150は、検波回路140の出力信号に応じた大きさの駆動電流を発生して半導体レーザー110に供給し、半導体レーザー110の出射光の中心波長λ(中心周波数f)を制御する。具体的には、アルカリ金属原子の1/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と1/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ(周波数f)、1/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と1/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ(周波数f)に対して、中心波長λが(λ+λ)/2に一致する(中心周波数fが(f+f)/2に一致する)ように制御される。ただし、中心波長λは必ずしも(λ+λ)/2と正確に一致させる必要はなく、(λ+λ)/2を中心とする所定範囲の波長であってもよい。なお、検波回路140による同期検波を可能とするために、電流駆動回路150が発生する駆動電流には低周波発振器160の発振信号(検波回路140に供給される発振信号と同じ信号)が重畳される。
半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130、検波回路140、電流駆動回路150を通るフィードバックループにより、半導体レーザー110が発生させる光の中心波長λ(中心周波数f)が微調整される。
検波回路170は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器200の発振信号を用いて光検出器130の出力信号を同期検波する。そして、検波回路170の出力信号の大きさに応じて、電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振周波数がΔωになるように微調整される。Δωは、例えば、数MHz〜数100MHz程度の周波数であればよい。
変調回路190は、検波回路170による同期検波を可能とするために、低周波発振器200の発振信号(検波回路170に供給される発振信号と同じ)を変調信号として電圧制御水晶発振器(VCXO)180の出力信号を変調する。
検波回路210は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器240の発振信号を用いて光検出器130の出力信号を同期検波する。そして、検波回路210の出力信号の大きさに応じて、電圧制御水晶発振器(VCXO)220の発振周波数が微調整される。電圧制御水晶発振器(VCXO)220は、例えば、数MHz〜数10MHz程度で発振するようにしてもよい。
変調回路230は、検波回路210による同期検波を可能とするために、低周波発振器240の発振信号(検波回路210に供給される発振信号と同じ)を変調信号として電圧制御水晶発振器(VCXO)220の出力信号を変調する。
周波数変換回路250は、変調回路230の出力信号を、ΔE12に相当する周波数の1/2の周波数の信号に変換する。周波数変換回路250は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路により実現することができる。
半導体レーザー110、ガスセル120、光検出器130、検波回路210、電圧制御水晶発振器(VCXO)220、変調回路230、周波数変換回路250を通るフィードバックループにより、周波数変換回路250の出力信号の周波数がΔE12に相当する周波数の1/2の周波数と正確に一致するように微調整される。例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子であれば、ΔE12に相当する周波数が9.192631770GHzなので、周波数変換回路250の出力信号の周波数は4.596315885GHzになる
変調回路260は、変調回路190の出力信号によって周波数変換回路250の出力信号を変調する(周波数変換回路250の出力信号によって変調回路190の出力信号を変調させてもよい)。
変調回路190、230、260は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)回路、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)回路等により実現することができる。
なお、半導体レーザー110、ガスセル120に含まれるアルカリ金属原子、光検出器130は、それぞれ図1の光源10、アルカリ金属原子20、光検出部30に対応する。また、検波回路140、電流駆動回路150、低周波発振器160、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、低周波発振器200、検波回路210、電圧制御水晶発振器(VCXO)220、変調回路230、低周波発振器240、周波数変換回路250、変調回路260による構成は、図1の制御部40に対応する。また、検波回路140、電流駆動回路150、低周波発振器160による構成は、図1の中心波長制御部50に対応する。また、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、低周波発振器200、検波回路210、電圧制御水晶発振器(VCXO)220、変調回路230、低周波発振器240、周波数変換回路250、変調回路260による構成は、図1の変調制御部60に対応する。また、検波回路210、電圧制御水晶発振器(VCXO)220、変調回路230、低周波発振器240、周波数変換回路250による構成は、図1の第1発振信号生成部62に対応する。また、検波回路170、電圧制御水晶発振器(VCXO)180、変調回路190、低周波発振器200による構成は、図1の第2発振信号生成部64に対応する。また、変調回路260は、図1の変調信号生成部66に対応する。
本実施形態では、このような構成により半導体レーザー110を変調することで、効率よく複数の共鳴光対を発生させることができる。図4は、半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトルを示す概略図である。図4において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。
図4に示すように、半導体レーザー110の出射光には、中心周波数f(=v/λ:vは光の速度、λは中心波長)を有する光と、その両サイドにΔE12に相当する周波数の1/2に等しい周波数差の2つの光(周波数fの光と周波数fの光)とが含まれる。また、周波数fの光、周波数fの光、周波数fの光の各々の両サイドには周波数がΔωずつ異なる複数の光が含まれている。
そして、fとfの差がΔE12に相当する周波数に等しいので、光a1(周波数:f+2Δω)と光b1(周波数:f+2Δω)、光a2(周波数:f+Δω)と光b2(周波数:f+Δω)、光a3(周波数:f)と光b3(周波数:f)、光a4(周波数:f−Δω)と光b4(周波数:f−Δω)、光a5(周波数:f−2Δω)と光b5(周波数:f−2Δω)が、それぞれアルカリ金属原子にEIT現象を起こさせるD1線の共鳴光対となる。
このような構成の量子干渉装置100では、半導体レーザー110が出射する共鳴光対の周波数差がΔE12に相当する周波数と正確に一致しなければ、アルカリ金属原子がEIT現象を起こさないため、共鳴光対の周波数差に応じて光検出器150の検出量は極めて敏感に変化する。そのため、環境の変化に応じて、周波数変換回路250の出力信号の周波数がΔE12の1/2の周波数に極めて正確に一致するようにフィードバック制御が
かかる。その結果、このフィードバックループ内に存在する電圧制御水晶発振器(VCXO)220の周波数安定度は極めて高く、量子干渉装置100は、原子発振器として機能することができる。
なお、量子干渉装置100では、電流駆動回路150の出力電流や電圧制御水晶発振器(VCXO)180の発振周波数Δωを微調整するフィードバック制御を行うことで、環境の変化に対してEIT信号の強度を一定に保持している。
特に、本実施形態の量子干渉装置100では、ガスセル120に含まれるアルカリ金属原子の集団の速度分布による励起準位のドップラー拡がりを考慮して、複数のD1線の共鳴光対を発生させることで、EIT現象を起こすアルカリ金属原子の数を増やすことができる。これにより、EIT信号のQ値及び信号強度を向上させることができるので、電圧制御水晶発振器(VCXO)220の発振周波数の安定度を向上させることができる。
図5は、周波数ΔωとEIT信号強度の関係の傾向を示す図である。図5において、横軸は周波数Δωであり、縦軸はEIT信号の強度である。また、実線はD1線の共鳴光対のΔωとEIT信号強度の関係を示し、破線はD2線の共鳴光対のΔωとEIT信号強度の関係を示す。
図5に示すように、周波数Δωに関係なく、ガスセル120に複数のD1線の共鳴光対を照射した方が複数のD2線の共鳴光対を照射するよりも数倍高い強度のEIT信号が得られる。
また、図5に示すように、周波数Δωが低いほど周波数が近い共鳴光対同士が干渉し合うためEIT信号の強度が低下すると考えられる。逆に言えば、周波数Δωが大きいほどEIT信号の強度は上昇する傾向にある。ただし、3/2の隣り合う励起準位の差(エネルギー分裂幅)が小さいので、1つのアルカリ原子に2組以上の共鳴光対が照射されたり、一部の光がcycling transitionに費やされることになるためEIT現象の発生を妨げると考えられる。そのため、一点鎖線よりも右側の領域(Δωが高い領域)では、周波数Δωが増加するとD2線に対するEIT信号の強度が急激に低下する。これに対して、1/2の2つの励起準位の差(エネルギー分裂幅)が大きく、cycling transitionが存在しないこともあり、D1線の場合は一点鎖線よりも右側の領域でも周波数Δωの上昇とともにEIT信号の強度も上昇している。
つまり、D2線よりもD1線を用いた方がEIT現象の発生効率を上げてEIT信号強度を高めることができ、その結果、Q値やS/Nが高いEIT信号を得ることができる。また、光の利用効率を高めることができる。
これらの理由から、本実施形態では、D2線ではなくD1線の複数の共鳴光対を発生させている。ただし、D1線の場合でも周波数Δωが高くなりすぎると、励起準位のドップラー拡がりの幅から外れて共鳴光対とならない光が増えるためEIT信号の強度が低下すると考えられる。従って、EIT信号の強度がピークとなるような周波数Δωを選択することが望ましい。
このように、本実施形態の量子干渉装置によれば、Δωずつ中心周波数が異なる複数のD1線の共鳴光対を発生させることで、アルカリ金属原子に対するEIT現象の発現効率を大幅に高めることができる。これにより、EIT信号の強度を高めることができ、その結果、EIT信号のQ値やS/Nを向上させることができる。
なお、電圧制御水晶発振器(VCXO)220の発振周波数の安定度は極めて高いので
、前記の通り原子発振器として機能する量子干渉装置を実現することができる。また、ガスセル120の周辺の磁場の変化に追従して電圧制御水晶発振器(VCXO)220の発振周波数が変化するため、ガスセル120の近傍に磁気測定対象物を配置することで磁気センサーとして機能する量子干渉装置を実現することもできる。また、半導体レーザー100が出射する共鳴光対を取り出すことで、量子コンピュータ等に用いる光源として機能する量子干渉装置を実現することもできる。さらに、半導体レーザー100とガスセル120の間の空間に微粒子が存在すると共鳴光対の可干渉性が低下してEIT信号の強度が低下するため、EIT信号のプロファイルを解析することで、微粒子センサーとして機能する量子干渉装置を実現することもできる。
[変形例]
図3の量子干渉装置100は、種々に変形することができる。
例えば、図3の量子干渉装置100において、半導体レーザー110の中心波長λ(中心周波数f)がアルカリ金属原子の1/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と1/2のI+1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ(周波数f)に一致するように電流駆動回路150による駆動電流を制御するとともに、周波数変換回路250が変調回路230の出力信号をΔE12に相当する周波数に等しい周波数の信号に変換するように変形してもよい。また、図3の量子干渉装置100において、半導体レーザー110の中心波長λ(中心周波数f)がアルカリ金属原子の1/2のI−1/2の励起準位(I+1/2の励起準位でもよい)と1/2のI−1/2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長λ(周波数f)に一致するように電流駆動回路150による駆動電流を制御するとともに、周波数変換回路250が変調回路230の出力信号をΔE12に相当する周波数に等しい周波数の信号に変換するように変形してもよい。前者のケースでは中心波長λがλに一致する(中心周波数fがfに一致する)ように制御され、後者のケースでは中心波長λがλに一致する(中心周波数fがfに一致する)ように制御される。
図6(A)は、前者のケースの半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトルを示す概略図であり、図6(B)は、後者のケースの半導体レーザー110の出射光の周波数スペクトルを示す概略図である。図6(A)及び図6(B)において、横軸は光の周波数であり、縦軸は光の強度である。
図6(A)、図6(B)のいずれでも、fとfの差がΔE12に相当する周波数に等しいので、光a1(周波数:f+2Δω)と光b1(周波数:f+2Δω)、光a2(周波数:f+Δω)と光b2(周波数:f+Δω)、光a3(周波数:f)と光b3(周波数:f)、光a4(周波数:f−Δω)と光b4(周波数:f−Δω)、光a5(周波数:f−2Δω)と光b5(周波数:f−2Δω)が、それぞれアルカリ金属原子にEIT現象を起こさせるD1線の共鳴光対となる。
また、例えば、図7に示すように、図3の量子干渉装置100に対して、検波回路170、変調回路190、低周波発振器200を削除したより簡単な構成に変形してもよい。図7において、図3と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
図7に示す量子干渉装置101では、電圧制御水晶発振器(VCXO)180は入力電圧に応じた周波数Δωで自走発振し、変調回路260は、電圧制御水晶発振器(VCXO)180の出力信号によって周波数変換回路250の出力信号を変調する(周波数変換回路250の出力信号によって電圧制御水晶発振器(VCXO)180の出力信号を変調させてもよい)。なお、電圧制御水晶発振器(VCXO)180を、Δωで発振する水晶発振器(XO)に置き換えてもよい。
また、例えば、図8に示すように、図7の量子干渉装置101に対して、さらに電圧制御水晶発振器(VCXO)180を削除したより簡単な構成に変形してもよい。図8において、図3と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
図8に示す量子干渉装置102では、電圧制御水晶発振器(VCXO)220の発振周波数をΔωとして、変調回路260は、電圧制御水晶発振器(VCXO)220の出力信号によって周波数変換回路250の出力信号を変調する(周波数変換回路250の出力信号によって電圧制御水晶発振器(VCXO)220の出力信号を変調させてもよい)。なお、電圧制御水晶発振器(VCXO)220の出力と変調回路260の間に分周器等の周波数変換回路を付加してもよい。
また、例えば、図9に示すように、図3の量子干渉装置100を電気光学変調器(EOM:Electro-Optic Modulator)を用いた構成に変形してもよい。図9において、図3と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
図9に示す量子干渉装置103では、半導体レーザー110は、変調回路260の出力信号(変調信号)による変調がかけられず、単一周波数fの光を発生させる。この周波数fの光は、電気光学変調器(EOM)270に入射し、変調回路260の出力信号(変調信号)によって変調がかけられる。その結果、図4と同様の周波数スペクトルを有する光を発生させることができる。量子干渉装置103では、半導体レーザー110と電気光学変調器(EOM)270による構成が図1の光源10に対応する。
なお、変調回路260を削除するとともに、電気光学変調器(EOM)270の後段にさらに電気光学変調器(EOM)を直列に接続し、半導体レーザー110が出射する単一周波数fの光を前段の電気光学変調器(EOM)で変調回路260の出力信号(変調信号)によって変調し、さらに後段の電気光学変調器(EOM)で変調回路190の出力信号(変調信号)によって変調するようにしてもよい。また、電気光学変調器(EOM)270の代わりに、音響光学変調器(AOM:Acousto-Optic Modulator)を用いてもよい。
また、例えば、図10に示すように、図3の量子干渉装置100に対して、磁場発生器280と磁場制御回路290を付加した構成に変形してもよい。図10において、図3と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
図9に示す量子干渉装置104では、ガスセル120と隣接して配置された磁場発生器280がガスセル120に対して磁場を発生させるとともに、磁場発生器280が発生させる磁場の強度が磁場制御回路290によって制御される。磁場発生器280は、例えば、コイルを用いて実現することができ、磁場制御回路290によりコイルを流れる電流の大きさを制御することで、発生する磁場の強度を調整することができる。
ガスセル120に磁場がかかると、アルカリ金属原子の2つの基底準位が磁場によるエネルギー分裂(ゼーマン分裂)によってそれぞれ複数の準位(ゼーマン分裂準位)に分かれる。そのため、磁場強度の変動によりΔE12が変動し、電圧制御水晶発振器(VCXO)220の出力信号も変動する。磁場制御回路290は、検波回路210の出力信号の変動を検出し、磁場発生器280が発生する磁場の強度を磁場の変動分を打ち消す方向に調整する。従って、量子干渉装置104を磁場の変動によらず周波数安定度が極めて高い原子発振器として機能させることができる。また、磁場制御回路290の出力信号をモニタすることで量子干渉装置104を磁気センサーとして機能させることもできる。
また、例えば、図3の量子干渉装置100に対して、1つの半導体レーザー110で共鳴光対を発生させる代わりに、2つの半導体レーザーを用いて、一方の半導体レーザーに中心周波数がfで周波数がΔωずつ異なる複数の共鳴光1を発生させ、他方の半導体レーザーに中心周波数がfで周波数がΔωずつ異なる複数の共鳴光2を発生させるように変形してもよい。
2.量子干渉方法
図11は、本実施形態の量子干渉方法を示すフローチャート図である。
図11に示すように、本実施形態の量子干渉方法では、光照射工程(S10)、光検出工程(S20)、制御工程(S30)を含む。
光照射工程(S10)では、互いに周波数が異なる複数の第1の光と、互いに周波数が異なる複数の第2の光とを発生させて前記アルカリ金属原子に照射する処理を行う。光照射工程(S10)において、所与の中心波長の光を所与の変調信号で変調することにより、周波数がΔωずつ異なる複数の第1の光と周波数がΔωずつ異なる複数の第2の光を発生させるようにしてもよい。
光検出工程(S20)では、光照射工程(S10)で照射されてアルカリ金属原子を透過した光の強度を検出する処理を行う。
制御工程(S30)では、前記光検出工程(S20)で検出した光の強度に基づいて、複数の第1の光の各々と複数の第2の光の各々との周波数差が、アルカリ金属原子の1/2の第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数にそれぞれ一致するように制御し、かつ、複数の第1の光の各々の波長がアルカリ金属原子の1/2のいずれかの励起準位又はその近傍の準位と第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御するとともに、複数の第2の光の各々の波長が当該励起準位又はその近傍の準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御する処理を行う。
図12は、制御工程の一例を示すフローチャート図である。図12に示すように、制御工程(S30)は、中心波長制御工程(S310)と変調制御工程(S320)を含んでもよい。
中心波長制御工程(S310)では、光照射工程(S10)で発生させる光の中心波長を制御する処理を行う。ここで、例えば、光照射工程(S10)で発生させる光の中心波長が、励起準位と第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と、励起準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長との和の1/2又はその近傍の波長と一致するように制御するようにしてもよい。また、光検出工程(S20)で検出した光の強度に基づいて、光照射工程(S10)で発生させる光の中心波長を調整するようにしてもよい。
変調制御工程(S320)では、光検出工程(S20)で検出した光の強度に基づいて変調信号を生成する処理を行う。
図13は、変調制御工程の一例を示すフローチャート図である。図13に示すように、変調制御工程(S320)は、第1発振信号生成工程(S321)、第2発振信号生成工程(S322)、変調信号生成工程(S323)を含んでもよい。
第1発振信号生成工程(S321)では、光検出工程(S20)で検出した光の強度に基づいて、第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数の1/2
の周波数を有する第1の発振信号を生成する処理を行う。
第2発振信号生成工程(S322)では、Δωの周波数を有する第2の発振信号を生成する処理を行う。ここで、例えば、光検出工程(S20)で検出した光の強度に基づいて、第2の発振信号の周波数Δωを調整するようにしてもよい。
変調信号生成工程(S323)では、第1発振信号生成工程(S321)で生成した第1の発振信号と第2発振信号生成工程(S322)で生成した第2の発振信号に基づいて変調信号を生成する処理を行う。
本実施形態の量子干渉方法は、例えば、本実施形態の量子干渉装置を用いて実現することができる。
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 量子干渉装置、10 光源、20 アルカリ金属原子、30 光検出部、40 制御部、50 中心波長制御部、60 変調制御部、62 第1発振信号生成部、64 第2発振信号生成部、66 変調信号生成部、100,101,102,103,104 量子干渉装置、110 半導体レーザー、120 ガスセル、130 光検出器、140 検波回路、150 電流駆動回路、160 低周波発振器、170 検波回路、180 電圧制御水晶発振器(VCXO)、190 変調回路、200 低周波発振器、210 検波回路、220 電圧制御水晶発振器(VCXO)、230 変調回路、240 低周波発振器、250 周波数変換回路、260 変調回路、270 電気光学変調器(EOM)、200 検波回路、210 低周波発振器、220 検波回路、230 電圧制御水晶発振器(VCXO)、240 変調回路、250 低周波発振器、260 周波数変換回路、270 検出レベル解析部、280 磁場発生器、290 磁場制御回路

Claims (6)

  1. 共鳴光対によってアルカリ金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉装置であって、
    互いに周波数が異なる複数の第1の光と、互いに周波数が異なる複数の第2の光とを発生させて前記アルカリ金属原子に照射する光源と、
    前記光源から照射されて前記アルカリ金属原子を透過した光の強度を検出する光検出部と、
    前記光検出部が検出した光の強度に基づいて、前記複数の第1の光の各々と前記複数の第2の光の各々との周波数差が、前記アルカリ金属原子の1/2の第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数にそれぞれ一致するように制御し、かつ、前記複数の第1の光の各々の波長が前記アルカリ金属原子の1/2のいずれかの励起準位又はその近傍の準位と前記第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御するとともに、前記複数の第2の光の各々の波長が前記励起準位又はその近傍の準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御する制御部と、を含む、量子干渉装置。
  2. 請求項1において、
    前記光源は、
    所与の中心波長の光を所与の変調信号で変調することにより、周波数がΔωずつ異なる前記複数の第1の光と周波数がΔωずつ異なる前記複数の第2の光を発生させ、
    前記制御部は、
    前記光源が発生させる光の中心波長を制御する中心波長制御部と、前記光検出部が検出した光の強度に基づいて前記変調信号を生成する変調制御部と、を含む、量子干渉装置。
  3. 請求項2において、
    前記中心波長制御部は、
    前記光源が発生させる光の中心波長が、前記励起準位と前記第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と、前記励起準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長との和の1/2又はその近傍の波長と一致するように制御し、
    前記変調制御部は、
    前記光検出部が検出した光の強度に基づいて、前記第1の基底準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数の1/2の周波数を有する第1の発振信号を生成する第1発振信号生成部と、Δωの周波数を有する第2の発振信号を生成する第2発振信号生成部と、前記第1の発振信号と前記第2の発振信号に基づいて前記変調信号を生成する変調信号生成部と、を含む、量子干渉装置。
  4. 請求項3において、
    前記第2発振信号生成部は、
    前記光検出部が検出した光の強度に基づいて、前記第2の発振信号の周波数Δωを調整する、量子干渉装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれかにおいて、
    前記中心波長制御部は、
    前記光検出部が検出した光の強度に基づいて、前記光源が発生させる光の中心波長を調整する、量子干渉装置。
  6. 共鳴光対によってアルカリ金属原子に電磁誘起透過現象を発生させる量子干渉方法であって、
    互いに周波数が異なる複数の第1の光と、互いに周波数が異なる複数の第2の光とを発
    生させて前記アルカリ金属原子に照射する光照射工程と
    前記光照射工程で照射されて前記アルカリ金属原子を透過した光の強度を検出する光検出工程と、
    前記光検出工程で検出した光の強度に基づいて、前記複数の第1の光の各々と前記複数の第2の光の各々との周波数差が、前記アルカリ金属原子の1/2の第1の基底準位と第2の基底準位とのエネルギー差に相当する周波数にそれぞれ一致するように制御し、かつ、前記複数の第1の光の各々の波長が前記アルカリ金属原子の1/2のいずれかの励起準位又はその近傍の準位と前記第1の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御するとともに、前記複数の第2の光の各々の波長が前記励起準位又はその近傍の準位と前記第2の基底準位とのエネルギー差に相当する波長と一致するように制御する制御工程と、を含む、量子干渉方法。
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