JP2010109411A - 原子発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光情報の検出精度の劣化を抑えることができるガスセルを用いた原子発振器を提供する。
【解決手段】原子発振器の物理部50Aは、ガスセル10Aと、ガスセル10A内の気化された金属原子を励起する励起光の光源30と、ガスセル10Aを通過した励起光を検出する光検出器40と、を有している。ガスセル10Aは、円筒部11と、その円筒部11の両端の開口部を封鎖する窓部12,13とにより、密閉されたキャビティTが形成されている。ガスセル10Aの励起光の光路L30において、励起光の入射面および出射面を形成する窓部12,13それぞれの両面には、赤外線吸収体からなる赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられている。光源30には、半導体レーザ光源などが用いられ、光源30から照射される励起光には、波長が約750μmから1000μmの所謂赤外線域の赤外線が含まれている。
【選択図】図1
【解決手段】原子発振器の物理部50Aは、ガスセル10Aと、ガスセル10A内の気化された金属原子を励起する励起光の光源30と、ガスセル10Aを通過した励起光を検出する光検出器40と、を有している。ガスセル10Aは、円筒部11と、その円筒部11の両端の開口部を封鎖する窓部12,13とにより、密閉されたキャビティTが形成されている。ガスセル10Aの励起光の光路L30において、励起光の入射面および出射面を形成する窓部12,13それぞれの両面には、赤外線吸収体からなる赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられている。光源30には、半導体レーザ光源などが用いられ、光源30から照射される励起光には、波長が約750μmから1000μmの所謂赤外線域の赤外線が含まれている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガスセルに封入されたガス化された金属原子のエネルギー遷移を利用する原子発振器に関するものである。
ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属を用いた原子発振器は、原子のエネルギー遷移を利用する際に、ガスセル内に、緩衝ガスとともにアルカリ金属原子を蒸気状態に保っている。そのため、原子を気密封止したガスセルを所定の高温に保って動作させている。原子発振器の動作原理は、光とマイクロ波を利用した二重共鳴法と、2種類の干渉光により量子干渉効果(以下CPT:Coherent Population Trappingと記す)を利用する方法とに大別されるが、両者共にガスセルに入射した光源からの光が、原子ガスにどれだけ吸収されたかを、ガスセルを挟んで光源の反対側に設けられた光検出手段で検出することにより原子共鳴を検知し、制御系にて水晶発振器などの基準信号をこの原子共鳴に同期させて出力を得ている。
このとき、ガスセル中の原子密度が変化すると、原子ガスへの光の吸収度合いが変化して原子共鳴の検知に誤差を生じたり、検知できなくなるといった問題がある。そのため、実用化されている原子発振器は、ガスセル内の原子の蒸気を一定の温度(例えば80℃)に保つための温度制御機構および温度制御系を備えている(例えば特許文献1を参照)。
このとき、ガスセル中の原子密度が変化すると、原子ガスへの光の吸収度合いが変化して原子共鳴の検知に誤差を生じたり、検知できなくなるといった問題がある。そのため、実用化されている原子発振器は、ガスセル内の原子の蒸気を一定の温度(例えば80℃)に保つための温度制御機構および温度制御系を備えている(例えば特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の原子発振器(物理学的パッケージ)は、ガス状の金属原子を封入したガスセル(蒸気セル)と、ガスセルを所定の温度に加熱する加熱手段(加熱器)と、ガスセル中の金属原子を励起する励起光の光源と、ガスセルを透過した励起光を検出する光検出手段と、を備えている。ここで、所定の温度とは、ガスセル内に、金属原子が所望の原子密度にてガス化される温度(温度範囲)を指す。なお、特許文献1に記載の原子発振器の光源にはレーザダイオード光源が用いられ、この光源はマイクロ波信号に影響することのないパッケージの外側に配置され、光ファイバを介してガスセルの入射面側の窓部に光を入射するようになっている。
内部に原子ガスが封入された筒状(チューブ状)の密閉容器であるガスセルは、筒部と、該筒部の両端の開口部をそれぞれ封鎖して励起光の光路の入射面および出射面を形成する窓部とからなり、入射面となる窓部側に配置された光源から入射された光が、筒部を通って金属原子を励起し、その励起光が出射面となる窓部側に配置された光検出手段に向けて出射されるように配置されている。したがって、励起光の入射面および出射面を形成する各窓部は光透過性を有する材料により構成される。
また、原子発振器において、ガスセルは、パッケージ(磁気遮蔽)内に装填された断熱材、および断熱材の内側に設けられたマイクロ波空洞のさらに内側に、誘電体からなるガスセル保持部材に周辺を覆われた状態で保持されている。
ガスセルを加熱する加熱手段は、ガスセルの筒部を覆うガスセル保持部材およびマイクロ波空洞の外側に設けられて温度制御手段に接続され、マイクロ波空洞および誘電体を介して主に筒部を加熱するようになっている。
内部に原子ガスが封入された筒状(チューブ状)の密閉容器であるガスセルは、筒部と、該筒部の両端の開口部をそれぞれ封鎖して励起光の光路の入射面および出射面を形成する窓部とからなり、入射面となる窓部側に配置された光源から入射された光が、筒部を通って金属原子を励起し、その励起光が出射面となる窓部側に配置された光検出手段に向けて出射されるように配置されている。したがって、励起光の入射面および出射面を形成する各窓部は光透過性を有する材料により構成される。
また、原子発振器において、ガスセルは、パッケージ(磁気遮蔽)内に装填された断熱材、および断熱材の内側に設けられたマイクロ波空洞のさらに内側に、誘電体からなるガスセル保持部材に周辺を覆われた状態で保持されている。
ガスセルを加熱する加熱手段は、ガスセルの筒部を覆うガスセル保持部材およびマイクロ波空洞の外側に設けられて温度制御手段に接続され、マイクロ波空洞および誘電体を介して主に筒部を加熱するようになっている。
ところで、ガスセルに封入された金属原子は、ガスセル内において固体状態から液化、気化を繰り返す過程でガスセルのガラス体に吸収される性質があることが知られており、この経年変化による金属原子の減少を補充するために、必要量よりも多めの金属原子が封入される。このように、必要量以上の金属原子が加熱されて飽和状態にあるとき、ガスセルに低温度部分があると、その部分に金属原子が再凝集してガスセルの内壁に付着することになる。
上記特許文献1に記載の原子発振器では、ガスセルを保持するガスセル保持部材の外側に加熱手段が設けられ、この加熱手段によりガスセル保持部材を介して主に筒部を加熱する構造となっている。このため、加熱されたガスセルにおいては、筒部に比べて窓部の温度が低くなり、ガスセル内でガス化された金属原子または分子が窓部で再凝集して固化されやすくなっている。このように、光源から光検出手段までの励起光の光路となっている窓部に金属原子の固体が付着した場合には、光の透過が阻害されて光の出力強度の低下をもたらし、原子発振器の周波数制御が不安定になって性能の劣化を招く虞があるという問題があった。
上記特許文献1に記載の原子発振器では、ガスセルを保持するガスセル保持部材の外側に加熱手段が設けられ、この加熱手段によりガスセル保持部材を介して主に筒部を加熱する構造となっている。このため、加熱されたガスセルにおいては、筒部に比べて窓部の温度が低くなり、ガスセル内でガス化された金属原子または分子が窓部で再凝集して固化されやすくなっている。このように、光源から光検出手段までの励起光の光路となっている窓部に金属原子の固体が付着した場合には、光の透過が阻害されて光の出力強度の低下をもたらし、原子発振器の周波数制御が不安定になって性能の劣化を招く虞があるという問題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
〔適用例1〕本適用例にかかる原子発振器は、ガス状の金属原子を封入したガスセルと、前記ガスセルを保持するガスセル保持部材と、前記ガスセルを前記金属原子がガス化される温度に加熱する加熱手段と、前記ガスセル中の前記金属原子を励起する励起光を照射する光源と、前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する光検出手段と、を備え、前記光源から出射される前記励起光は赤外線域を含み、前記ガスセルは、筒部と、該筒部の両端の開口部をそれぞれ封鎖して前記励起光の光路の入射面および出射面を形成する窓部と、を有し、前記窓部の少なくとも前記励起光の光路となる領域に赤外線吸収部材を含むことを特徴とする。
この構成によれば、ガスセルの窓部の少なくとも励起光の光路となる領域が、励起光に含まれる赤外線域を吸収することにより温められるので、ガスセル内のガス化された金属原子が窓部の光路となる領域に再凝集するのを抑えることができる。これにより、窓部の光路に金属の固体が付着して励起光の透過が阻害されることによって起こる光の出力強度の低下や、それによって周波数制御が不安定になることによる原子発振器の性能の劣化を防止することができる。
〔適用例2〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記窓部が赤外線吸収ガラスからなることを特徴とする。
この構成によれば、窓部と筒部とからなるガスセルを作成することのみにより、窓部の光路への金属固体の付着を防止することが可能な原子発振器を提供することができる。
〔適用例3〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収部材が、前記窓部の表面に積層させて設けられた赤外線吸収体からなる赤外線吸収膜であることを特徴とする。
この構成によれば、窓部が赤外線吸収性を有さない材料で形成されている場合でも、スパッタリングまたは蒸着などの比較的簡便な方法により、窓部の光路への固体の付着が防止できる原子発振器を提供することができる。
〔適用例4〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側の面に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、ガス化された金属原子と接する窓部の内壁側の面が、励起光の赤外線を吸収することにより温められるので、窓部の光路への金属原子の再凝集を効果的に防止することができる。
〔適用例5〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの外壁となる側の面に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、筒部と窓部とを組み合わせてガスセルの外形を作成した後でも、比較的容易に窓部に赤外線吸収膜を形成することができる。
〔適用例6〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側および外壁となる側の両側の面に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、窓部の両面に設けられた赤外線吸収膜が励起光の赤外線を吸収することによって、より効率的に窓部の光路を温めることができるので、窓部へのガス化された金属の再凝集を抑える効果をより顕著に奏する。
〔適用例7〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記入射面および前記出射面を形成する両方の前記窓部の少なくとも前記励起光の光路となる領域に前記赤外線吸収部材を含むことを特徴とする。
この構成によれば、励起光が含む赤外線によりガスセルの両方の窓部が温められるので、窓部の光路に固体が付着して励起光の透過が阻害されることによって起こる光の出力強度の低下と、それによる原子発振器の周波数制御が不安定になることによる性能の劣化をより防止することができる。
〔適用例8〕本適用例にかかる原子発振器は、ガス状の金属原子を封入したガスセルと、前記ガスセルを保持するガスセル保持部材と、前記ガスセルを前記金属原子がガス化される温度に加熱する加熱手段と、前記ガスセル中の前記金属原子を励起する励起光を照射する第1の光源と、前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する光検出手段と、を備え、前記ガスセルは、筒部と、該筒部の両端の開口部をそれぞれ封鎖して前記励起光の光路の入射面および出射面を形成する窓部と、を有し、前記窓部の少なくとも前記光路となる領域に赤外線吸収部材を含み、前記窓部の前記励起光の光路となる領域に赤外線を含む光を照射する第2の光源を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、ガスセルの窓部の第1の光源から照射される励起光の光路となる領域が、第2の光源から照射される光に含まれる赤外線を吸収することにより温められるので、ガスセル内のガス化された金属原子が再凝集して窓部の光路に付着するのを抑えることができる。このとき、第2の光源は独立して制御することができるので、赤外線域の光を調整して金属原子の再凝集防止効果を調整することができる。これにより、窓部の光路に固体が付着して励起光の透過が阻害されることによって起こる光の出力強度の低下と、それによる原子発振器の周波数制御が不安定になることによる性能の劣化を効果的に調整しながら防止することができる。また、第1の光源から照射される励起光には赤外線を含まなくてもよいので、励起光として適した光の光源を選定することにより高精度な原子発振器を構成することも可能になる。
〔適用例9〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記窓部が赤外線吸収ガラスからなることを特徴とする。
この構成によれば、第1の光源と第2の光源とを用いる上記適用例において、窓部と筒部とによりガスセルを作成することのみにより、窓部の光路への固体の付着を防止できる原子発振器を提供することができる。
〔適用例10〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収部材が、前記窓部の表面に積層させて設けられた赤外線吸収体からなる赤外線吸収膜であることを特徴とする。
この構成によれば、第1の光源と第2の光源とを用いる上記適用例において、窓部が赤外線吸収性を有さない材料で形成されている場合でも、窓部の光路への固体の付着を防止できる原子発振器を提供することができる。
〔適用例11〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側の面に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第1の光源と第2の光源とを用いる上記適用例において、窓部のガス化された金属原子と接する内壁側の面が、励起光の赤外線を吸収することにより温められるので、金属原子の再凝集を防止する効果をより顕著に奏する。
〔適用例12〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの外壁となる側の面に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第1の光源と第2の光源とを用いる上記適用例において、筒部と窓部とを組み合わせてガスセルの外形を作成した後でも、比較的容易に窓部に赤外線吸収膜を形成することができる。
〔適用例13〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側および外壁となる側の両側の面に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第1の光源と第2の光源とを用いる上記適用例において、窓部の両面に設けられた赤外線吸収膜が励起光の赤外線を吸収することによって、より効率的に窓部の光路を温めることができる。
〔適用例14〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記入射面および前記出射面を形成する両方の前記窓部の少なくとも前記励起光の光路となる領域に前記赤外線吸収部材を含むことを特徴とする。
この構成によれば、第1の光源と第2の光源とを用いる上記適用例において、励起光が含む赤外線によりガスセルの両方の窓部が温められるので、窓部の光路に固体が付着して励起光の透過が阻害されることによって起こる光の出力強度の低下と、それによる原子発振器の周波数制御が不安定になることによる性能の劣化をより効果的に防止することができる。
〔適用例15〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記励起光の光路の前記ガスセルと前記光検出手段との間に、前記第2の光源から照射された光のうちの赤外線域を前記励起光の光路から選択的に逸らす光学素子が備えられていることを特徴とする。
この構成によれば、第1の光源から照射されガスセルを透過した励起光のみが光検出手段に到達し、第2の光源から照射される赤外線が除外されることにより、高精度な光強度の検出が可能になるので、より高精度な原子発振器を提供することができる。
〔適用例16〕上記適用例にかかる原子発振器において、前記筒部に赤外線反射層が設けられ、前記第2の光源から出射される光が前記赤外線反射層を反射点として前記入射面および前記出射面を形成する前記窓部の前記励起光の光路となる領域をそれぞれ通過するように前記第2の光源が配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、一つの第2の光源により、入射面および出射面をそれぞれ形成する両方の窓部の光路に赤外線を照射することができるので効率的であるとともに、原子発振器の小型化に寄与できる。
以下、原子発振器の一実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)は、本実施形態にかかる原子発振器の物理部の要部であるセルユニットを光の入射面側(同図(b)の光検出器40側)からみた正面図、(b)は、原子発振器の物理部を模式的に説明する側面図であり、このうちセルユニット20は(a)のA−A線断面を示している。また、図2(b)は、ガスセルを説明する正面図、(a)は(b)のB−B線断面図である。
図1(a)は、本実施形態にかかる原子発振器の物理部の要部であるセルユニットを光の入射面側(同図(b)の光検出器40側)からみた正面図、(b)は、原子発振器の物理部を模式的に説明する側面図であり、このうちセルユニット20は(a)のA−A線断面を示している。また、図2(b)は、ガスセルを説明する正面図、(a)は(b)のB−B線断面図である。
本実施形態では、原子発振器において物理的な機能を司る主要部を物理部50Aと呼ぶ。図1において、原子発振器の物理部50Aは、ガスセル10Aおよびそのガスセル10Aを保持するガスセル保持部材21からなるセルユニット20と、ガスセル10A内の気化された金属原子を励起する光を照射する励起光の光源30と、ガスセル10Aを通過した励起光を検出する光検出手段としての光検出器40と、を有している。
(ガスセル)
図2において、ガスセル10Aは、筒部としての円筒部11と、その円筒部11の両端の開口部を封鎖する窓部12,13とにより、密閉されたキャビティTが形成されている。このキャビティT内には、例えば、ルビジウムやセシウムなどのアルカリ金属を気化させた金属原子ガスがバッファガスとともに封入されている(図示せず)。
なお、キャビティT内に金属原子ガスが封入されたガスセル10Aにおいて、金属原子ガスを励起する励起光の光路L30の入射面を形成する窓部12および出射面を形成する窓部13は、例えばガラスなどの光透過性を有する材料からなる。一方、円筒部11は光透過性を必要としないので、金属や樹脂などにより形成されていてもよく、また、窓部12,13と同じガラスなどの光透過性材料により形成されていてもよい。
図2において、ガスセル10Aは、筒部としての円筒部11と、その円筒部11の両端の開口部を封鎖する窓部12,13とにより、密閉されたキャビティTが形成されている。このキャビティT内には、例えば、ルビジウムやセシウムなどのアルカリ金属を気化させた金属原子ガスがバッファガスとともに封入されている(図示せず)。
なお、キャビティT内に金属原子ガスが封入されたガスセル10Aにおいて、金属原子ガスを励起する励起光の光路L30の入射面を形成する窓部12および出射面を形成する窓部13は、例えばガラスなどの光透過性を有する材料からなる。一方、円筒部11は光透過性を必要としないので、金属や樹脂などにより形成されていてもよく、また、窓部12,13と同じガラスなどの光透過性材料により形成されていてもよい。
また、ガスセル10Aの励起光の光路L30において、励起光の入射面および出射面を形成する窓部12,13それぞれの両面には、赤外線吸収体からなる赤外線吸収膜が形成されている。具体的には、励起光の入射面を形成する窓部12においては、ガスセル10Aの外壁となる側に赤外線吸収膜61が設けられ、内壁となる側に赤外線吸収膜71が設けられている。また、励起光の出射面を形成する窓部13においては、ガスセル10Aの外壁となる側に赤外線吸収膜62が設けられ、ガスセル10Aの内壁となる側に赤外線吸収膜72が設けられている。
(原子発振器の物理部)
図1に示すように、原子発振器の物理部50Aは、上記のガスセル10Aの励起光の光路L30の延長線上の両側に、光源30と、光検出器40とがそれぞれ配置されて構成されている。
ガスセル10Aは、ガスセル保持部材21により保持されている。本実施形態のガスセル保持部材21は、ガスセル10Aの円筒部11の外形形状と略同じ円筒形状の凹部が半分ずつ形成された二つのガスセル保持部材21からなり、この二つのガスセル保持部材21で円筒部11をはさみ込んで固定することによりガスセル10Aを保持している。
ガスセル保持部材21には、該ガスセル保持部材21を介してガスセル10Aを円筒部11から加熱するための加熱手段としてのヒータ25,26が挿設されている。また、ガスセル保持部材21には、該ガスセル保持部材21の温度を検出するための図示しない温度センサが備えられ、ガスセル10Aがガスセル保持部材21に加熱制御可能に保持されたセルユニット20が形成されている。
セルユニット20のガスセル10Aは、ヒータ25,26によりガスセル保持部材21を介して主に円筒部11が加熱され、ガスセル10Aを所定の温度に制御して保持する。この所定の温度とは、ガスセル10AのキャビティT内にルビジウムなどの金属原子が所望の状態で気化される温度を指す。
図1に示すように、原子発振器の物理部50Aは、上記のガスセル10Aの励起光の光路L30の延長線上の両側に、光源30と、光検出器40とがそれぞれ配置されて構成されている。
ガスセル10Aは、ガスセル保持部材21により保持されている。本実施形態のガスセル保持部材21は、ガスセル10Aの円筒部11の外形形状と略同じ円筒形状の凹部が半分ずつ形成された二つのガスセル保持部材21からなり、この二つのガスセル保持部材21で円筒部11をはさみ込んで固定することによりガスセル10Aを保持している。
ガスセル保持部材21には、該ガスセル保持部材21を介してガスセル10Aを円筒部11から加熱するための加熱手段としてのヒータ25,26が挿設されている。また、ガスセル保持部材21には、該ガスセル保持部材21の温度を検出するための図示しない温度センサが備えられ、ガスセル10Aがガスセル保持部材21に加熱制御可能に保持されたセルユニット20が形成されている。
セルユニット20のガスセル10Aは、ヒータ25,26によりガスセル保持部材21を介して主に円筒部11が加熱され、ガスセル10Aを所定の温度に制御して保持する。この所定の温度とは、ガスセル10AのキャビティT内にルビジウムなどの金属原子が所望の状態で気化される温度を指す。
ガスセル保持部材21の材料としては、動作温度に加熱されたガスセル10Aの温度に十分耐えうる耐熱性を有する金属、あるいは合成樹脂などを用いることができる。
例えば、ガスセル保持部材21の材料としてアルミニウムや銅などの金属を用いた場合には、堅牢なガスセル保持部材21を比較的容易に加工して形成することができる。また、金属は熱伝導性が比較的高いので、ガスセル10Aから伝わる熱によりガスセル保持部材21の温度が一旦安定すれば、ガスセル保持部材21によるガスセル10Aの安定した保温構造が実現できる。
一方、ガスセル保持部材21の材料として熱伝導率の低い合成樹脂を用いた場合には、ガスセル保持部材21を介したガスセル10Aの放熱が抑えられ、ヒータ25,26によるガスセル10Aの加熱効率を高くすることができる。このようなガスセル保持部材21の材料として、具体的には、ポリスチレン、ポリエチレン、アクリル樹脂などが挙げられる。
例えば、ガスセル保持部材21の材料としてアルミニウムや銅などの金属を用いた場合には、堅牢なガスセル保持部材21を比較的容易に加工して形成することができる。また、金属は熱伝導性が比較的高いので、ガスセル10Aから伝わる熱によりガスセル保持部材21の温度が一旦安定すれば、ガスセル保持部材21によるガスセル10Aの安定した保温構造が実現できる。
一方、ガスセル保持部材21の材料として熱伝導率の低い合成樹脂を用いた場合には、ガスセル保持部材21を介したガスセル10Aの放熱が抑えられ、ヒータ25,26によるガスセル10Aの加熱効率を高くすることができる。このようなガスセル保持部材21の材料として、具体的には、ポリスチレン、ポリエチレン、アクリル樹脂などが挙げられる。
光源30には、半導体レーザ光源などが用いられ、本実施形態の光源30から照射される光には、波長が約750μmから1000μmの所謂赤外線域の赤外線が含まれている。
また、ガスセル10Aを通過した励起光の光検出手段としての光検出器40は、例えば太陽電池あるいはフォトダイオードなどからなる。
また、より高精度の温度維持をおこなって原子発振器の性能に寄与させるためには、ガスセル10Aおよびそれを保持するガスセル保持部材21からなるセルユニット20と、光源30と、光検出器40とを、保温可能な容器内に収納して温度制御すると効果的である。
また、ガスセル10Aを通過した励起光の光検出手段としての光検出器40は、例えば太陽電池あるいはフォトダイオードなどからなる。
また、より高精度の温度維持をおこなって原子発振器の性能に寄与させるためには、ガスセル10Aおよびそれを保持するガスセル保持部材21からなるセルユニット20と、光源30と、光検出器40とを、保温可能な容器内に収納して温度制御すると効果的である。
(原子発振器の動作)
次に、本実施形態にかかる原子発振器の動作原理について説明する。
原子発振器の動作原理は、アルカリ金属原子を励起する光およびマイクロ波を利用した二重共鳴法と、2種類の干渉光により量子干渉効果(以下CPT:Coherent Population Trappingと記す)を利用する方法とに大別される。本実施形態では、CPTを利用した原子発振器の動作原理の一例について説明する。
次に、本実施形態にかかる原子発振器の動作原理について説明する。
原子発振器の動作原理は、アルカリ金属原子を励起する光およびマイクロ波を利用した二重共鳴法と、2種類の干渉光により量子干渉効果(以下CPT:Coherent Population Trappingと記す)を利用する方法とに大別される。本実施形態では、CPTを利用した原子発振器の動作原理の一例について説明する。
図3(a)に、CPTを利用した原子発振器の物理部50Aの構成を模式的に示す。
図3(a)の原子発振器の物理部50Aは、光源30と、ガスセル10Aと、光検出器40とを含む構成で光学系を形成している。ガスセル10Aの内部には、ルビジウム原子やセシウム原子などの量子吸収体となるアルカリ金属原子(図示せず)が封入されている。半導体レーザからなる光源30は、励起光としての波長の異なる2種類のレーザ光(カップリング光とプローブ光)を生成してガスセル10Aに出力している。また、上記したように、光源30から出射されるレーザ光には赤外線が含まれている。
原子発振器の物理部50Aにおいては、ガスセル10Aに入射したレーザ光(励起光)が、ガスセル内部に封入された金属原子ガスにどれだけ吸収されたかを、ガスセル10Aを挟んで光源30の反対側に配置された光検出器40で検出することにより、原子共鳴を検知して周波数制御回路220などの制御系にて水晶発振器などの基準信号をその原子共鳴に同期させることにより出力を得ている。
図3(a)の原子発振器の物理部50Aは、光源30と、ガスセル10Aと、光検出器40とを含む構成で光学系を形成している。ガスセル10Aの内部には、ルビジウム原子やセシウム原子などの量子吸収体となるアルカリ金属原子(図示せず)が封入されている。半導体レーザからなる光源30は、励起光としての波長の異なる2種類のレーザ光(カップリング光とプローブ光)を生成してガスセル10Aに出力している。また、上記したように、光源30から出射されるレーザ光には赤外線が含まれている。
原子発振器の物理部50Aにおいては、ガスセル10Aに入射したレーザ光(励起光)が、ガスセル内部に封入された金属原子ガスにどれだけ吸収されたかを、ガスセル10Aを挟んで光源30の反対側に配置された光検出器40で検出することにより、原子共鳴を検知して周波数制御回路220などの制御系にて水晶発振器などの基準信号をその原子共鳴に同期させることにより出力を得ている。
図3(b)には、量子吸収体のエネルギー準位を示す。量子吸収体のエネルギー準位は、2つの基底準位(基底準位1、基底準位2)と、励起準位を有する3準位系(例えばΛ型準位系)とにより構成される。ここで、同時に照射される2つの共鳴光の周波数(ω1、ω2)の差が、基底準位1と基底準位2とのエネルギー差に正確に一致すると、3準位系は2つの基底準位の重ね合わせの状態となり、励起準位への励起が停止する。
すなわち、図3(c)に示す光吸収スペクトルのように、ガスセル10A内の量子吸収体は光源30から発せられたレーザ光を吸収し、2種類の光の周波数差に応じて光吸収特性(光の透過率)が変化するが、カップリング光とプローブ光との周波数差が特定の値のときに、2種類の光のいずれも吸収せずに透過する現象であるEIT(Electromagnetically Induced Transparency)現象(電磁誘起透明化現象)として知られている。CPTはこのEIT現象を利用して、2つの共鳴光が一方あるいは両方の波長を変化させたときに、ガスセルでの光吸収が停止する現象をδ関数的な形状を持つEIT信号として検出して利用するものである。
すなわち、図3(c)に示す光吸収スペクトルのように、ガスセル10A内の量子吸収体は光源30から発せられたレーザ光を吸収し、2種類の光の周波数差に応じて光吸収特性(光の透過率)が変化するが、カップリング光とプローブ光との周波数差が特定の値のときに、2種類の光のいずれも吸収せずに透過する現象であるEIT(Electromagnetically Induced Transparency)現象(電磁誘起透明化現象)として知られている。CPTはこのEIT現象を利用して、2つの共鳴光が一方あるいは両方の波長を変化させたときに、ガスセルでの光吸収が停止する現象をδ関数的な形状を持つEIT信号として検出して利用するものである。
上記第1の実施形態の原子発振器によれば、ガスセル10Aの励起光の光路L30の入射面および出射面を形成する窓部12,13に、赤外線吸収部材からなる赤外線吸収膜61,71,62,72を設けた。また。原子発振器の物理部50Aの光源30から照射される励起光には赤外線が含まれる構成とした。
これにより、窓部12,13の励起光の光路L30となる領域が、光源30からの励起光に含まれる赤外線を吸収することにより温められるので、ガスセル10A内のガス化された金属原子が再凝集して窓部12,13の少なくとも励起光の光路L30に付着するのを抑えることができる。したがって、窓部12,13の励起光の光路L30に固体が付着して励起光の透過が阻害されることによって起こる光の出力強度の低下と、それによって原子発振器の周波数制御が不安定になることによる性能の劣化を防止することができる。
これにより、窓部12,13の励起光の光路L30となる領域が、光源30からの励起光に含まれる赤外線を吸収することにより温められるので、ガスセル10A内のガス化された金属原子が再凝集して窓部12,13の少なくとも励起光の光路L30に付着するのを抑えることができる。したがって、窓部12,13の励起光の光路L30に固体が付着して励起光の透過が阻害されることによって起こる光の出力強度の低下と、それによって原子発振器の周波数制御が不安定になることによる性能の劣化を防止することができる。
また、上記第1の実施形態のガスセル10Aは、励起光の光路L30の入射側および出射側の窓部12,13の両方に赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられ、また、各窓部12,13において、それぞれのガスセル10Aの内壁となる側の面と、外壁となる側の面との両面共に赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられている。
これにより、励起光に含まれる赤外線を吸収する能力が大きくなるので、金属原子の再凝集を防止する効果がより高くなる。
これにより、励起光に含まれる赤外線を吸収する能力が大きくなるので、金属原子の再凝集を防止する効果がより高くなる。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、原子発振器の物理部50Aにおいて、赤外線を含む励起光を照射することが可能な光源30を用いる構成を説明した。これに限らず、励起光と赤外線とを別々の光源から照射する構成としてもよい。
図8は、励起光を照射する第1の光源と、赤外線を照射する第2の光源とを用いた第2の実施形態の原子発振器の物理部を模式的に説明する側断面図である。なお、図8において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記第1の実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
上記第1の実施形態では、原子発振器の物理部50Aにおいて、赤外線を含む励起光を照射することが可能な光源30を用いる構成を説明した。これに限らず、励起光と赤外線とを別々の光源から照射する構成としてもよい。
図8は、励起光を照射する第1の光源と、赤外線を照射する第2の光源とを用いた第2の実施形態の原子発振器の物理部を模式的に説明する側断面図である。なお、図8において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記第1の実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
図8に示す原子発振器の物理部50Bは、ガス状の金属原子を封入したガスセル10Aと、ガスセル10A中の金属原子を励起する励起光を照射する第1の光源31と、その第1の光源31から照射される励起光の光路L31に赤外線域の光を照射する第2の光源130と、ガスセル10Aを透過した励起光を検出する光検出器40とを備えている。
ガスセル10Aの励起光の光路L31の入射面および出射面を形成する窓部12,13には、赤外線吸収部材からなる赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられている。
ガスセル10Aの励起光の光路L31の入射面および出射面を形成する窓部12,13には、赤外線吸収部材からなる赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられている。
第1の光源31から照射される励起光の光路L31の第1の光源31とガスセル10Aとの間には、透光性部材からなり、励起光を透過するとともに赤外線域を反射する偏光膜面111aを有する光学素子111が配置されている。そして、第2の光源130から光学素子111の偏光膜面111aに赤外線を照射したときに、その偏光膜面111aで反射した赤外線が偏光膜面111aを透過した励起光の光路L31を含む赤外線の光路L130を形成するように第2の光源130が配置されている。
上記第2の実施形態の構成によれば、ガスセル10Aの窓部12,13の少なくとも第1の光源31から照射される励起光の光路L31となる領域が、第2の光源130から照射される光に含まれる赤外線域を吸収することにより温められ、ガスセル10A内のガス化された金属原子が再凝集して窓部12,13の励起光の光路L31となる領域に付着するのを抑える効果を奏する。このとき、励起光を照射する第1の光源31と、窓部12,13を加温するのに供する赤外線を照射する第2の光源130とが独立して備えられているので、各々の光源を独立して制御することができる。したがって、窓部12,13へのガス化された金属原子の凝集をより効果的に抑えるように第2の光源130を制御することができる。
また、CPTを利用した本実施形態の原子発振器は、コヒーレント光を照射する光源(第1の光源31)を用いて、そのコヒーレント光源から照射されるコヒーレント光の原子干渉を利用している。ここで、コヒーレント光とは、レーザ光などのように位相や振幅に一定性があり、互いに干渉しやすい光をいう。上記第2の実施形態では、第1の光源31から照射される励起光には赤外線を含まなくてもよく、励起光として適した第1の光源31を選定すればよいので、高精度な原子発振器の提供が可能になる。
また、CPTを利用した本実施形態の原子発振器は、コヒーレント光を照射する光源(第1の光源31)を用いて、そのコヒーレント光源から照射されるコヒーレント光の原子干渉を利用している。ここで、コヒーレント光とは、レーザ光などのように位相や振幅に一定性があり、互いに干渉しやすい光をいう。上記第2の実施形態では、第1の光源31から照射される励起光には赤外線を含まなくてもよく、励起光として適した第1の光源31を選定すればよいので、高精度な原子発振器の提供が可能になる。
上記第1の実施形態または第2の実施形態で説明した原子発振器、およびガスセル10Aを含む原子発振器の物理部50A,50Bは、以下の変形例として実施することも可能である。
上記第実施形態では、ガスセル10Aの励起光の光路L30,L31の入射側および出射側の窓部12,13の両方、および、各窓部12,13それぞれのガスセル10Aの内壁となる側の面と、外壁となる側の面との両方に赤外線吸収膜61,71,62,72が設けた。これに限らず、ガスセルの励起光の光路L30の入射側および出射側の窓部12および窓部13のうち、いずれか一方に赤外線吸収膜を形成する構成としてもよく、また、各窓部12,13それぞれのガスセル10Aの内壁となる側および外壁となる側のいずれか一方に赤外線吸収膜を形成する構成としても構わない。
図4〜7は、ガスセルにおいて、赤外線吸収膜を形成する位置の変形例のバリエーションを模式的に説明する側断面図である。なお、各変形例のガスセルおよびそれを含んだ原子発振器の物理部の構成のうち、上記実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
図4〜7は、ガスセルにおいて、赤外線吸収膜を形成する位置の変形例のバリエーションを模式的に説明する側断面図である。なお、各変形例のガスセルおよびそれを含んだ原子発振器の物理部の構成のうち、上記実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
(変形例1)
図4に示す変形例1のガスセル10Bは、各窓部12,13それぞれのガスセル10Bの内壁となる側の面に赤外線吸収膜71,72が設けられている。
この構成によれば、窓部12,13ともに、ガス化された金属原子と接する内壁側の面に設けられた赤外線吸収膜71,72が励起光の赤外線を吸収することにより温められるので、窓部12,13の片面のみに赤外線吸収膜を形成した場合において、金属原子の再凝集を効果に防止することができる。
図4に示す変形例1のガスセル10Bは、各窓部12,13それぞれのガスセル10Bの内壁となる側の面に赤外線吸収膜71,72が設けられている。
この構成によれば、窓部12,13ともに、ガス化された金属原子と接する内壁側の面に設けられた赤外線吸収膜71,72が励起光の赤外線を吸収することにより温められるので、窓部12,13の片面のみに赤外線吸収膜を形成した場合において、金属原子の再凝集を効果に防止することができる。
(変形例2)
図5に示す変形例2のガスセル10Cは、各窓部12,13それぞれのガスセル10Cの外壁となる側の面に赤外線吸収膜61,62が設けられている。
この構成によれば、円筒部11と窓部12,13とを組み合わせてガスセルの外形を作成した後でも、また、円筒部11と窓部12,13とを一体形成した場合でも、比較的容易に窓部12,13に赤外線吸収膜を形成することができる。
図5に示す変形例2のガスセル10Cは、各窓部12,13それぞれのガスセル10Cの外壁となる側の面に赤外線吸収膜61,62が設けられている。
この構成によれば、円筒部11と窓部12,13とを組み合わせてガスセルの外形を作成した後でも、また、円筒部11と窓部12,13とを一体形成した場合でも、比較的容易に窓部12,13に赤外線吸収膜を形成することができる。
(変形例3)
図6に示す変形例3のガスセル10Dは、励起光の光路L30における励起光の入射側の窓部12のみの両面に赤外線吸収膜61,71が設けられている。
また、図7に示すガスセル10Eは、励起光の光路L30における励起光の出射側の窓部13のみの両面に赤外線吸収膜62,72が設けられている。
これらのガスセル10D,10Eのように、励起光の入射側と出射側の窓部12,13のうちいずれか一方の励起光の光路L30となる領域に赤外線吸収膜を設ける構成としても、少なくとも赤外線吸収膜を有する側の窓部12または窓部13の励起光の光路L30への固体の付着を防止することができる。
図6に示す変形例3のガスセル10Dは、励起光の光路L30における励起光の入射側の窓部12のみの両面に赤外線吸収膜61,71が設けられている。
また、図7に示すガスセル10Eは、励起光の光路L30における励起光の出射側の窓部13のみの両面に赤外線吸収膜62,72が設けられている。
これらのガスセル10D,10Eのように、励起光の入射側と出射側の窓部12,13のうちいずれか一方の励起光の光路L30となる領域に赤外線吸収膜を設ける構成としても、少なくとも赤外線吸収膜を有する側の窓部12または窓部13の励起光の光路L30への固体の付着を防止することができる。
(変形例4)
上記第2の実施形態では、励起光を照射する第1の光源31と赤外線を照射する第2の光源130とが別個に備えられた原子発振器の物理部50Bの構成において、ガスセル10Aを通過した励起光および赤外線を両方ともに光検出器40に入射させた。これに限らず、光検出器40にガスセル10Aを通過した励起光のみを選択的に入射させて検出させる構成とすることにより、原子発振器の性能を向上させることができる。
図9は、第1の光源から照射されガスセルを通過した励起光を選択的に光検出器40に入射させる構成の原子発振器の物理部の変形例を模式的に説明する側断面図である。なお、図9において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記第2の実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
上記第2の実施形態では、励起光を照射する第1の光源31と赤外線を照射する第2の光源130とが別個に備えられた原子発振器の物理部50Bの構成において、ガスセル10Aを通過した励起光および赤外線を両方ともに光検出器40に入射させた。これに限らず、光検出器40にガスセル10Aを通過した励起光のみを選択的に入射させて検出させる構成とすることにより、原子発振器の性能を向上させることができる。
図9は、第1の光源から照射されガスセルを通過した励起光を選択的に光検出器40に入射させる構成の原子発振器の物理部の変形例を模式的に説明する側断面図である。なお、図9において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記第2の実施形態と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
図9に示す原子発振器の物理部50Cは、ガス状の金属原子を封入したガスセル10Aと、ガスセル10A中の金属原子を励起する励起光を照射する第1の光源31と、その第1の光源31から照射される励起光の光路L31に赤外線域の光を照射する第2の光源131と、ガスセルを透過した励起光を検出する光検出器40とを備えている。ガスセル10Aのガスセル10Aの励起光の光路L31の入射面および出射面を形成する窓部12,13には、赤外線吸収部材からなる赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられている。
第1の光源31から照射される励起光の光路L31の第1の光源31とガスセル10Aとの間には、透光性部材からなり励起光を透過するとともに赤外線域を反射する偏光膜面111aを有する光学素子111が配置されている。また、励起光の光路L31のガスセル10Aと光検出器40との間にも、透光性部材からなり励起光を透過し赤外線域を反射する偏光膜面112aを有する光学素子112が配置されている。第2の光源131から光学素子111の偏光膜面111aに照射された赤外線は、その偏光膜面111aで反射された赤外線が偏光膜面111aを透過した励起光の光路L31を含む赤外線の光路L131を形成するように第2の光源131が配置されている。そして、第1の光源31からの励起光とともにガスセル10Aを通過した第2の光源131からの赤外線は、光学素子112の偏光膜面112aで反射されて励起光の光路L31から外れ、光検出器40には到達しないようになっている。
この構成によれば、第1の光源31から照射されガスセル10Aを透過した励起光のみが光検出器40に到達し、第2の光源131から照射される赤外線はガスセル10Aの各窓部12,13の励起光の光路L31となる領域を温めるのに供した後、光学素子112により励起光の光路L31から外れるので、光検出器40による励起光の強度の検出が精度よく行えることによって、より高精度な原子発振器の提供に効果を奏する。
(変形例5)
上記第2の実施形態および変形例4では、励起光を照射する第1の光源31および赤外線を照射する第2の光源を独立させて備えた原子発振器の物理部50B,50Cの構成において、光学素子111を用いることにより、第1の光源31から照射される励起光の光路L31から外れた位置に赤外線を照射する第2の光源130,131を配置させた。これに限らず、第1の光源と第2の光源とを同軸となる位置に配置させることもできる。
図10および図11は、第1の光源と第2の光源とを同軸となる位置に配置させた原子発振器の物理部の変形例のバリエーションを模式的に説明する側断面図である。なお、図10および図11において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記第2の実施形態または変形例4と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
上記第2の実施形態および変形例4では、励起光を照射する第1の光源31および赤外線を照射する第2の光源を独立させて備えた原子発振器の物理部50B,50Cの構成において、光学素子111を用いることにより、第1の光源31から照射される励起光の光路L31から外れた位置に赤外線を照射する第2の光源130,131を配置させた。これに限らず、第1の光源と第2の光源とを同軸となる位置に配置させることもできる。
図10および図11は、第1の光源と第2の光源とを同軸となる位置に配置させた原子発振器の物理部の変形例のバリエーションを模式的に説明する側断面図である。なお、図10および図11において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記第2の実施形態または変形例4と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
図10に示す原子発振器の物理部50Dは、ガス状の金属原子を封入したガスセル10Aと、ガスセル10A中の金属原子を励起する励起光を照射する第1の光源32と、その第1の光源32から照射される励起光の光路L32を含む領域に赤外線域の光を照射する第2の光源130と、ガスセル10Aを透過した励起光を検出する光検出器40とを備えている。ガスセル10Aのガスセル10Aの励起光の光路L32の入射面および出射面を形成する窓部12,13には、赤外線吸収部材からなる赤外線吸収膜61,71,62,72が設けられている。
第1の光源32は、第2の光源130から照射される赤外線の光路L130内の第2の光源130とガスセル10Aとの間に配置され励起光を照射する小型の光源であり、例えば、光源制御部を含む光源本体に接続された光ファイバなどを用いることができる。すなわち、第2の光源130から照射される赤外線の光路L130内に小型の第1の光源32が配置され、励起光の光路L32が赤外線の光路L130内に形成されるようになっている。
この構成によれば、第1の光源32と第2の光源130とが、同じ軸線上に配置されるので、ガスセル10Aの赤外線吸収膜61,62,71,72および第2の光源130による窓部12,13の励起光の光路L32への固形物の付着が抑えられた原子発振器の小型化に寄与できる。
また、図11に示す原子発振器の物理部50Eは、図10の上記原子発振器の物理部50Dと同様に第1の光源32および第2の光源130を同軸線上に配置させた構成において、ガスセル10Aを通過した励起光および赤外線のうち、励起光のみを光検出器40に到達するようにしたものである。詳細には、励起光の光路L32のガスセル10Aと光検出器40との間に、透光性部材からなり励起光を透過し赤外線域を反射する偏光膜面112aを有する光学素子112を配置している。第1の光源32から照射された励起光とともにガスセル10Aを通過した第2の光源131からの赤外線は、光学素子112の偏光膜面112aで反射されて励起光の光路L32から外れ、光検出器40には到達しないようになっている。
この構成によれば、第1の光源32と第2の光源131とを同じ軸線上に配置することにより小型化が図られた原子発振器の物理部50Eにおいて、第1の光源32から照射されガスセル10Aを透過した励起光のみが光検出器40に到達し、第2の光源131から照射される赤外線はガスセル10Aの各窓部12,13の励起光の光路L32となる領域を温めるのに供した後、光学素子112により励起光の光路L32から外れる。これにより、光検出器40による励起光の強度の検出が精度よく行えるので、より高精度な原子発振器を提供することができる。
(変形例6)
上記実施形態および変形例1〜5では、原子発振器の物理部50A〜50Eにおいて、光源30または第2の光源130,131など、一つの光源から照射する赤外線によりガスセル10A〜10Eの入射側の窓部12および出射側の窓部13を温める構成とした。これに限らず、入射側の窓部12および出射側の窓部13をそれぞれ別個の第2の光源から照射される赤外線により温める構成としてもよい。
図12は、入射側の窓部および出射側の窓部に、それぞれ別個の第2の光源を用いて赤外線を照射する原子発振器の物理部を模式的に説明する側断面図である。なお、図12において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記実施形態または変形例と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
上記実施形態および変形例1〜5では、原子発振器の物理部50A〜50Eにおいて、光源30または第2の光源130,131など、一つの光源から照射する赤外線によりガスセル10A〜10Eの入射側の窓部12および出射側の窓部13を温める構成とした。これに限らず、入射側の窓部12および出射側の窓部13をそれぞれ別個の第2の光源から照射される赤外線により温める構成としてもよい。
図12は、入射側の窓部および出射側の窓部に、それぞれ別個の第2の光源を用いて赤外線を照射する原子発振器の物理部を模式的に説明する側断面図である。なお、図12において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記実施形態または変形例と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
図12に示す原子発振器の物理部50Fは、ガス状の金属原子を封入したガスセル10Aと、ガスセル10A中の金属原子を励起する励起光を照射する第1の光源31と、ガスセルを透過した励起光を検出する光検出器40とを有している。また、ガスセル10Aの第1の光源31側には、その第1の光源31から照射される励起光の光路L31において、ガスセル10Aの入射側の窓部12の励起光の光路L31を含む領域に赤外線域の光を照射する第2の光源132が配置されている。また、ガスセル10Aの光検出器40側には、ガスセル10Aの出射側の窓部13の励起光の光路L31を含む領域に赤外線を照射する第2の光源133が配置されている。
ガスセル10Aの入射側の窓部12に赤外線を照射する第2の光源132は、励起光の光路L31に対して所定の角度の傾きを有した赤外線の光路L132を形成して窓部12の励起光の光路L31を含む領域に照射されている。同様に、ガスセル10Aの出射側の窓部13に赤外線を照射する第2の光源133は、励起光の光路L31に対して所定の角度の傾きを有した赤外線の光路L133を形成して窓部13の励起光の光路L31を含む領域に照射されている。
この構成によれば、特殊な光学素子を用いることなく、励起光を照射する第1の光源31と、ガスセル10Aの窓部12,13をそれぞれ温めるのに供する赤外線を照射する二つの第2の光源132,133とによる原子発振器の物理部50Fを構成することができるとともに、光検出器40に赤外線を到達させることなく励起光のみを到達させるので、光検出器40による励起光の検出精度を向上させることができる。
また、入射側の窓部12または出射側の窓部13のそれぞれに別々の第2の光源132,133から赤外線を照射する構成のため、赤外線の波長や強度をそれぞれ個別に制御することにより、ガスセル10Aへの窓部12,13の励起光の光路L31への金属原子の再凝集をより効果的に防止することが可能になる。
また、入射側の窓部12または出射側の窓部13のそれぞれに別々の第2の光源132,133から赤外線を照射する構成のため、赤外線の波長や強度をそれぞれ個別に制御することにより、ガスセル10Aへの窓部12,13の励起光の光路L31への金属原子の再凝集をより効果的に防止することが可能になる。
(変形例7)
上記変形例6で説明した原子発振器の物理部50Fでは、入射側の窓部12および出射側の窓部13それぞれの励起光の光路L31を含む領域に、励起光の光路L31に対して所定の角度の傾きを有した赤外線の光路L132,L133を形成するように二つの第2の光源132,133を配置した。これに限らず、ガスセル10Aの円筒部11に赤外線反射部材を設けることにより、一つの第2の光源のみで、ガスセル10Aの入射側および出射側両方の窓部12,13の励起光の光路を含む領域のそれぞれに赤外線を照射させて、且つ、赤外線が光検出器40に到達しない原子発振器の物理部を構成することもできる。
図13は、入射側の窓部および出射側の窓部に、一つの第2の光源を用いて赤外線を照射する原子発振器の物理部を模式的に説明する側断面図である。なお、図13において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記実施形態または変形例と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
上記変形例6で説明した原子発振器の物理部50Fでは、入射側の窓部12および出射側の窓部13それぞれの励起光の光路L31を含む領域に、励起光の光路L31に対して所定の角度の傾きを有した赤外線の光路L132,L133を形成するように二つの第2の光源132,133を配置した。これに限らず、ガスセル10Aの円筒部11に赤外線反射部材を設けることにより、一つの第2の光源のみで、ガスセル10Aの入射側および出射側両方の窓部12,13の励起光の光路を含む領域のそれぞれに赤外線を照射させて、且つ、赤外線が光検出器40に到達しない原子発振器の物理部を構成することもできる。
図13は、入射側の窓部および出射側の窓部に、一つの第2の光源を用いて赤外線を照射する原子発振器の物理部を模式的に説明する側断面図である。なお、図13において、ガスセルの構成は、上記第1の実施形態のガスセル10Aをそのまま用いることとし、また、その他の原子発振器の物理部の構成のうち、上記実施形態または変形例と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
図13に示す原子発振器の物理部50Gは、ガス状の金属原子を封入したガスセル10と、ガスセル10中の金属原子を励起する励起光を照射する第1の光源31と、ガスセルを透過した励起光を検出する光検出器40とを有している。ガスセル10の円筒部11の少なくとも一部には、赤外線反射部材からなる赤外線反射膜85が設けられている。また、ガスセル10の励起光の光路L31の入射側もしくは出射側の窓部12もしくは窓部13側には、赤外線域の光を照射する第2の光源132が配置されている。本変形例では、ガスセル10の入射側の窓部12側に第2の光源132が配置されている。
第2の光源132は、励起光の光路L31に対して所定の角度を有した赤外線の光路L132を形成してガスセル10に赤外線を照射するように配置されている。具体的には、第2の光源132から照射される赤外線が、ガスセル10の入射側の窓部12の励起光の光路L31を含む領域を通過してから赤外線反射膜85に至り、その赤外線反射膜85で反射された赤外線がガスセル10の出射側の窓部13の励起光の光路L31を含む領域を通過する赤外線の光路L132が形成されるように第2の光源132が配置されている。
この構成によれば、一つの第2の光源132により、入射面および出射面をそれぞれ形成する両方の窓部12,13の励起光の光路L31に赤外線を照射することができるので効率的であるとともに、第2の光源を2つ用いる場合に比して小型化および低コスト化に寄与できる。
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態および変形例では、窓部12,13の励起光の光路L30,L31,L32となる領域を第2の光源から照射される赤外線により温めるために、窓部12,13に赤外線吸収膜61,62,71,72を設けた。これに限らず、窓部自体を、例えば赤外線吸収ガラスのような赤外線を吸収する材料により形成してもよい。これによれば、窓部と筒部とによりガスセルを作成することのみにより、窓部の光路への固体の付着を防止することが可能なガスセルを提供することができる。
また、上記実施形態および変形例では、開口部の形状が円形である円筒形の筒部である円筒部11を有するガスセルを用いた場合ついて説明した。これに限らず、筒部は開口部の形状が楕円形の円筒形であってよく、また、原子発振器に求める精度によっては多角柱状の筒部であってもよい。また、筒部の長手方向断面が、その中央を頂部として両端側に向けて幅が狭くなる所謂断面コンベックス状であってもよい。
また、上記実施形態および変形例では、赤外線吸収膜61,62,71,72を窓部12,13それぞれの外壁側または内壁側の全面に設けたが、窓部12,13の各面の少なくとも励起光の光路L30,L31,L32となる領域に赤外線吸収膜61,62,71,72が設けられていればよい。
また、上記実施形態および変形例では、レーザ光などのコヒーレント光を照射する光源(第1の光源)を用いて、そのコヒーレント光源から照射されるコヒーレント光の原子干渉を利用したCPTによる原子発振器について説明した。これに限らず、本発明は光源(第1の光源)からの単一の励起光とマイクロ波共振器からのマイクロ波とによる二重共鳴法を用いた原子発振器にも適用が可能であり、上記実施形態および変形例と同様な効果を奏する。
10A〜10E…ガスセル、11…筒部としての円筒部、12,13…窓部、20…セルユニット、21…ガスセル保持部材、25,26…加熱手段としてのヒータ、30…光源、31,32…第1の光源、40…光検出手段としての光検出器、50A〜50G…原子発振器の物理部、61,62,71,72…赤外線吸収膜、85…赤外線反射膜、111,112…光学素子、111a,112a…偏光膜面、130,131,132,133…第2の光源、220…周波数制御回路、L30〜L32…励起光の光路、L130〜L133…赤外線の光路、T…キャビティ。
Claims (16)
- ガス状の金属原子を封入したガスセルと、
前記ガスセルを保持するガスセル保持部材と、
前記ガスセルを前記金属原子がガス化される温度に加熱する加熱手段と、
前記ガスセル中の前記金属原子を励起する励起光を照射する光源と、
前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する光検出手段と、を備え、
前記光源から出射される前記励起光は赤外線域を含み、
前記ガスセルは、筒部と、該筒部の両端の開口部をそれぞれ封鎖して前記励起光の光路の入射面および出射面を形成する窓部と、を有し、
前記窓部の少なくとも前記励起光の光路となる領域に赤外線吸収部材を含むことを特徴とする原子発振器。 - 請求項1に記載の原子発振器であって、
前記窓部が赤外線吸収ガラスからなることを特徴とする原子発振器。 - 請求項1に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収部材が、前記窓部の表面に積層させて設けられた赤外線吸収体からなる赤外線吸収膜であることを特徴とする原子発振器。 - 請求項3に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側の面に設けられていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項3に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの外壁となる側の面に設けられていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項3に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側および外壁となる側の両側の面に設けられていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の原子発振器であって、
前記入射面および前記出射面を形成する両方の前記窓部の少なくとも前記励起光の光路となる領域に前記赤外線吸収部材を含むことを特徴とする原子発振器。 - ガス状の金属原子を封入したガスセルと、
前記ガスセルを保持するガスセル保持部材と、
前記ガスセルを前記金属原子がガス化される温度に加熱する加熱手段と、
前記ガスセル中の前記金属原子を励起する励起光を照射する第1の光源と、
前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する光検出手段と、を備え、
前記ガスセルは、筒部と、該筒部の両端の開口部をそれぞれ封鎖して前記励起光の光路の入射面および出射面を形成する窓部と、を有し、
前記窓部の少なくとも前記光路となる領域に赤外線吸収部材を含み、
前記窓部の前記励起光の光路となる領域に赤外線を含む光を照射する第2の光源を備えていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項8に記載の原子発振器であって、
前記窓部が赤外線吸収ガラスからなることを特徴とする原子発振器。 - 請求項8に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収部材が、前記窓部の表面に積層させて設けられた赤外線吸収体からなる赤外線吸収膜であることを特徴とする原子発振器。 - 請求項10に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側の面に設けられていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項10に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの外壁となる側の面に設けられていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項10に記載の原子発振器であって、
前記赤外線吸収膜が、前記窓部の前記ガスセルの内壁となる側および外壁となる側の両側の面に設けられていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項8〜13のいずれか一項に記載の原子発振器であって、
前記入射面および前記出射面を形成する両方の前記窓部の少なくとも前記励起光の光路となる領域に前記赤外線吸収部材を含むことを特徴とする原子発振器。 - 請求項8〜14のいずれか一項に記載の原子発振器であって、
前記励起光の光路の前記ガスセルと前記光検出手段との間に、前記第2の光源から照射された光のうちの赤外線域を前記励起光の光路から選択的に逸らす光学素子が備えられていることを特徴とする原子発振器。 - 請求項14に記載の原子発振器であって、
前記筒部に赤外線反射層が設けられ、前記第2の光源から出射される光が前記赤外線反射層を反射点として前記入射面および前記出射面を形成する前記窓部の前記励起光の光路となる領域をそれぞれ通過するように前記第2の光源が配置されていることを特徴とする原子発振器。
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JP2008276418A JP2010109411A (ja) | 2008-10-28 | 2008-10-28 | 原子発振器 |
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US9019024B2 (en) | 2013-02-18 | 2015-04-28 | Seiko Epson Corporation | Quantum interference device, atomic oscillator, and moving object |
US9191017B2 (en) | 2013-02-18 | 2015-11-17 | Seiko Epson Corporation | Quantum interference device, atomic oscillator, and moving object |
CN112505596A (zh) * | 2020-12-16 | 2021-03-16 | 之江实验室 | 一种基于黑体辐射定律的serf原子磁强计磁噪声抑制装置 |
-
2008
- 2008-10-28 JP JP2008276418A patent/JP2010109411A/ja not_active Withdrawn
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