JP6060568B2 - ガスセルユニット、原子発振器および電子機器 - Google Patents

ガスセルユニット、原子発振器および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、ガスセルユニット、原子発振器および電子機器に関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような原子発振器は、アルカリ金属を緩衝ガスとともに封入したガスセルと、ガスセル内のアルカリ金属を励起する光を出射する発光素子と、ガスセルを透過した光を検出する受光素子とを備える。
このような原子発振器では、ガスセル内のアルカリ金属原子のエネルギー遷移に基づく信号を高精度に検出するため、ガスセルを加熱することにより、ガスセル内のアルカリ金属をガス状に保つ。
ここで、一般に、ガスセル内において、アルカリ金属は、そのすべてがガス化するのではなく、一部が余剰分として液体として存在する。
通常、ガスセルまたはヒーターに対して接触する他の部品への熱の逃げの影響により、ガスセルの温度を完全に均一にすることは不可能であるため、ガスセルには温度の高い部分と低い部分とが生じる。そのため、前述したような余剰分のアルカリ金属は、ガスセルの温度の低い部分に析出(結露)することにより液体となる。
このような余剰分のアルカリ金属原子は、励起光の通過領域に存在すると、励起光を遮ってしまい、その結果、原子発振器の発振特性の低下を招くこととなる。
そこで、従来では、特許文献1に記載されているように、励起光に対する透過性を有する透明電極材料で構成された膜状の発熱抵抗体を、ガスセルの励起光が入射・出射する1対の窓部にそれぞれ設け、ガスセルの各窓部の温度を高めることが行われている。
しかし、従来のガスセルでは、ガスセルの小型化に伴い、ガスセルの各窓部と他の部分との温度差が小さくなり、ガスセルの各窓部に対する余剰分のアルカリ金属原子の析出を防止することが難しいという問題があった。
これは、ガスセルの各窓部と他の部分との温度差が小さくなるに従い、ガスセルまたはヒーターに対して接触する他の部品への熱の逃げの影響が相対的に大きくなることによるものと考えられる。
米国特許出願公開第2006/002276号明細書
本発明の目的は、ガスセルを小型化しても、ガスセルの各窓部に金属原子が結露するのを防止することができるガスセルユニットを提供すること、また、かかるガスセルユニットを備え、優れた発振特性を有する原子発振器を提供すること、さらに、かかる原子発振器を備え、信頼性に優れる電子機器を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明のガスセルユニットは、筒状をなす本体部と、前記本体部の両端の開口を封鎖する光透過性の1対の窓部とを有し、ガス状の金属原子が封入されるガスセルと、前記各窓部に設けられた光透過性の発熱抵抗体とを備え、前記本体部には、放熱性を高める放熱部が設けられており、前記放熱部は、前記本体部の外表面に黒色または暗色に着色された着色部を含んで構成されており、前記着色部は、前記1対の窓部間を結ぶ線分に沿った方向における前記本体部の中央部に偏在している、ことを特徴とする。
このように構成されたガスセルユニットによれば、放熱部によりガスセルの本体部が放
熱されるので、ガスセルの各窓部の温度を本体部の温度よりも低くし、かつ、その温度差
を大きくすることができる。
そのため、ガスセルを小型化しても、ガスセルの各窓部に金属原子が結露するのを防止
することができる。
またガスセルの本体部を着色部の熱輻射により放熱することができる。そのため、ガスセルを設置する雰囲気が減圧状態であっても、ガスセルの本体部を放熱することができる。
更に着色部による放熱がガスセルの各窓部に影響するのを防止することができる
[適用例2]
本発明のガスセルユニットでは、前記放熱部は、前記本体部の外表面に形成された複数の凹部または凸部を含んで構成されていることが好ましい。
これにより、ガスセルの本体部の外表面の表面積を大きくして、ガスセルの本体部の放熱性を高めることができる。
[適用例3]
本発明のガスセルユニットでは、前記放熱部の前記各凹部または前記各凸部は、前記1対の窓部間を結ぶ線分に対して垂直な方向に沿って延びる形状をなすことが好ましい。
このような形状の凹部または凸部を有する放熱部は、複数の板状部材を積層してガスセルの本体部を製造することにより比較的簡単に形成することができる。また、放熱部が放熱フィンを有するような形状をなすため、放熱部の放熱性を高めることができる。
[適用例
本発明のガスセルユニットでは、前記ガスセルを収納する筐体を有し、
前記筐体内が減圧されていることが好ましい。
これにより、筐体の外部とガスセルとの間の熱干渉を防止または抑制し、ガスセル内を
安定して所定温度に制御することができる。
[適用例
本発明のガスセルユニットでは、前記放熱部は、前記1対の窓部間を結ぶ線分に沿った
方向における前記本体部の中央部に偏在していることが好ましい。
これにより、放熱部による放熱がガスセルの各窓部に影響するのを防止することができ
る。
[適用例
本発明の原子発振器は、本発明のガスセルユニットと、
前記ガスセル内の前記ガス状の金属原子を励起する励起光を出射する発光素子と、
前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する受光素子と、を備えることを特徴とする。
これにより、発振特性に優れた原子発振器を提供することができる。
[適用例
本発明の電子機器は、本発明の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた電子機器を提供することができる。



本発明の第1実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す断面図である。 図1に示す原子発振器の制御系を説明するためのブロック図である。 図1に示す原子発振器に備えられたガスセル内のアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 図1に示す原子発振器に備えられた発光素子および受光素子について、発光素子からの2つの光の周波数差と、受光素子の検出強度との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器に備えられたガスセルユニットを示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るガスセルユニットを示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るガスセルユニットを示す斜視図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の電子機器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の原子発振器を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下では、量子干渉効果を利用した原子発振器に本発明を適用した場合を一例として説明するが、本発明は、これに限定されるものでななく、二重共鳴現象を利用した原子発振器にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す断面図、図2は、図1に示す原子発振器の制御系を説明するためのブロック図、図3は、図1に示す原子発振器に備えられたガスセル内のアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図4は、図1に示す原子発振器に備えられた発光素子および受光素子について、発光素子からの2つの光の周波数差と、受光素子の検出強度との関係を示すグラフ、図5は、図1に示す原子発振器に備えられたガスセルユニットを示す斜視図である。
なお、図1では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示された各矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」とする。また、以下では、説明の便宜上、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」といい、また、+Z方向側(図1の上側)を「上」、−Z方向側(図1の下側)を「下」という。
図1に示す原子発振器1は、ガスセル2と、発光素子3と、受光素子4と、ヒーター6と、レンズ10と、減光フィルター11と、ペルチェ素子12と備え、これらが本体9に直接的または間接的に支持されている。ここで、ガスセル2およびヒーター6は、ユニット化されたガスセルユニット20に含まれる。また、このガスセルユニット20は、ガスセル2に設けられた放熱部24を含む。
また、この原子発振器1は、図2に示すように、温度センサー7と、コイル8と、制御部5とを備える。なお、温度センサー7およびコイル8も本体9に直接的または間接的に支持されているが、図1では、説明の便宜上、これらの図示を省略している。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
原子発振器1では、ガスセル2の内部空間Sに、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属G(金属原子)が封入されている。
アルカリ金属は、図3に示すように、3準位系のエネルギー準位を有しており、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
このようなガス状のアルカリ金属に対して周波数の異なる2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射すると、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
発光素子3は、ガスセル2に向けて、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射する。
例えば、発光素子3が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、受光素子4の検出強度は、図4に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を用いることにより、発振器を構成することができる。
以下、原子発振器1の各部を順次詳細に説明する。
[本体]
本体9は、下側に開口する箱状の箱体91と、箱体91の開口を覆う蓋体92と、上側に開口する箱状の箱体93と、箱体93の開口を覆う蓋体94と、蓋体92と蓋体94との間に設けられた枠状の枠体95とを備える。
箱体91および蓋体92は、ガスセル2と、受光素子4と、ヒーター6とを収納する内部空間を有する筐体(以下、単に「第1のパッケージ」という)を構成する。
箱体91は、例えば、各種金属材料や各種樹脂材料等で構成されている。
蓋体92は、励起光LLの光路上に設けられ、発光素子3からの励起光に対する透過性を有する。この蓋体92は、例えば、ガラス等の光透過性を有する材料で構成されている。
また、蓋体92は、箱体91に対して公知の接合法により接合されている。また、箱体91と蓋体92との接合方法としては、気密的に接合されているのが好ましい。この場合、例えば、第1パッケージ内を減圧状態またはアルゴンガス等の希ガスを充填した状態とすることにより、原子発振器1の信頼性を向上させることができる。
特に、第1のパッケージ内は、減圧されていることが好ましい。これにより、第1のパッケージの外部とガスセル2との間の熱干渉を防止または抑制し、ガスセル2内を安定して所定温度に制御することができる。
また、箱体93および蓋体94は、発光素子3およびペルチェ素子12を収納する筐体(以下、単に「第2のパッケージ」という)を構成する。
箱体93は、例えば、各種金属材料や各種樹脂材料等で構成されている。
蓋体94は、励起光LLの光路上に設けられ、発光素子3からの励起光に対する透過性を有する。この蓋体94は、例えば、ガラス等の光透過性を有する材料で構成されている。
また、蓋体94は、箱体93に対して公知の接合法により接合されている。また、箱体93と蓋体94との接合方法としては、気密的に接合されているのが好ましい。この場合、例えば、第1パッケージ内を減圧状態またはアルゴンガス等の希ガスを充填した状態とすることにより、原子発振器1の信頼性を向上させることができる。
このような第1のパッケージの蓋体92と第2のパッケージの蓋体94との間には、枠体95が設けられ、蓋体92および蓋体94は、枠体95を介して接合されている。かかる接合方法としては、特に限定されず、例えば、紫外線硬化型の接着剤等を用いて接合することができる。
枠体95は、レンズ10および減光フィルター11を保持する第3のパッケージ(以下、単に「第3のパッケージ」という)を構成する。
この枠体95には、励起光LLの通過する方向に貫通する貫通孔951が形成され、この貫通孔951内にレンズ10および減光フィルター11が設置されている。
より具体的に説明すると、貫通孔951は、第1のパッケージ側(ガスセル2側)に設けられた大径部951aと、第2のパッケージ側(発光素子3側)に設けられた小径部951bと、大径部951aと小径部951bとの間に設けられた中間部951cとを有する。
大径部951a内には、減光フィルター11が設けられ、中間部951c内には、レンズ10が設けられている。ここで、中間部951cは、大径部951aよりも径が小さく、小径部951bよりも径が大きい。そのため、中間部951cの内壁と大径部951aおよび小径部951bの内壁との間には、それぞれ、段差が形成されている。そして、減光フィルター11は、中間部951cの内壁と大径部951aの内壁との間に形成された段差に当接することにより枠体95に対して光軸aに平行な方向(Z軸方向)での位置決めがなされている。また、レンズ10は、中間部951cの内壁と小径部951bの内壁との間に形成された段差に当接することにより枠体95に対して光軸aに平行な方向(Z軸方向)での位置決めがなされている。
このような枠体95の構成材料としては、特に限定されないが、熱伝導率の低い材料、具体的には、熱伝導率が0.5(W・m−1・k−1)以下の材料を用いることが好ましい。これにより、第3パッケージの断熱性により第1パッケージと第2パッケージとを熱的に分離することができる。その結果、原子発振器1の信頼性を高めることができる。
例えば、枠体95を構成する熱伝導率の低い材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
[ガスセル]
ガスセル2は、内部空間Sを有する。この内部空間Sには、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属Gが封入されている。
このガスセル2は、柱状の貫通孔211を有する本体部21と、貫通孔211の一方の開口を封鎖する窓部22と、貫通孔211の他方の開口を封鎖する窓部23とを有する。これにより、内部空間Sが形成される。
本実施形態では、本体部21の貫通孔211は、円柱状をなす。そのため、貫通孔211の横断面(光軸aに対して垂直な方向での断面)、すなわち、内部空間Sの横断面は、円形をなす。なお、貫通孔211の横断面形状は、円形に限定されず、楕円形、四角形等の多角形等であってもよい。
この本体部21を構成する材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料等であってもよく、窓部22、23と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。
このような本体部21の貫通孔211の一方(上側)の開口を覆うように窓部22が設けられ、貫通孔211の他方(下側)の開口側を覆うように窓部23が設けられている。これにより、貫通孔211の両端開口が封鎖される。
また、窓部22、23は、本体部21に対して気密的に接合されている。これにより、内部空間Sを気密空間とすることができる。
本体部21と窓部22、23との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
なお、図1、5では、説明の便宜上、本体部21と窓部22、23との境界部が明確に図示されているが、かかる境界部は、例えば、本体部21と窓部22、23とが互いに同一材料で構成され一体化している場合や、本体部21と窓部22、23とが互いに異なる材料で構成されていても拡散している場合、実質的に存在しないか、または、ある幅をもっている。
窓部22、23は、それぞれ、前述した発光素子3からの励起光に対する透過性を有している。本実施形態では、窓部23は、内部空間Sへ入射する励起光が透過するものであり、窓部22は、内部空間Sから出射した励起光が透過するものである。
本実施形態では、窓部22、23は、それぞれ、板状をなしている。
この窓部22、23を構成する材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
[放熱部]
放熱部24は、図5に示すように、前述したガスセル2の本体部21に設けられている。
この放熱部24は、放熱性を高める機能を有する。これにより、ガスセル2の本体部21が放熱されるので、ガスセル2の各窓部22、23の温度を本体部21の温度よりも低くし、かつ、その温度差を大きくすることができる。
そのため、ガスセル2を小型化しても、ガスセル2の各窓部22、23にアルカリ金属原子が結露するのを防止することができる。
より具体的に説明すると、前述したようなガスセル2は、図1に示すように、各窓部22、23に発熱抵抗体61、62が設けられているため、各窓部22、23の温度が本体部21の温度よりも高くなる。
ここで、ガスセル2は、窓部22側の部分が発熱抵抗体61を介して受光素子4に支持されているが、窓部23側の部分は発熱抵抗体62が設けられているだけであるため、窓部22側の部分と窓部23側の部分とで熱の逃げやすさが異なることとなる。すなわち、ガスセル2は、窓部22側の部分と窓部23側の部分とで熱的に非対称な状態となっている。そのため、窓部22および窓部23をそれぞれ均一に所望の温度とすることが難しい。
したがって、各窓部22、23と本体部21との温度差が小さくなりすぎると、例えば、窓部22または窓部23の一部が本体部21の温度よりも小さくなってしまい、窓部22または窓部23にアルカリ金属原子が結露してしまう。
そこで、本発明では、ガスセルの本体部21に放熱性を高める放熱部24を設けた。これにより、ガスセル2を小型化しても、本体部21の温度を各窓部22、23の各部の温度よりも低くすることができる。
放熱部24は、本体部21の外表面に黒色または暗色に着色された着色部で構成されている。これにより、ガスセル2の本体部21を着色部の熱輻射により放熱することができる。そのため、ガスセル2を設置する雰囲気、すなわち前述した第1のパッケージ内が減圧状態であっても、ガスセル2の本体部21を放熱することができる。
この放熱部24(着色部)は、1対の窓部22、23間を結ぶ線分に沿った方向、すなわち光軸aに平行な方向(Z軸方向)における本体部21の中央部に偏在している。言い換えると、放熱部24は、光軸aに平行な方向における本体部21の中央部に設けられ、かつ、光軸aに平行な方向における本体部21の両端部には設けられていない。これにより、放熱部24(着色部)による放熱がガスセル2の各窓部22、23に影響するのを防止することができる。すなわち、放熱部24による放熱により各窓部22、23の温度が低下するのを防止または抑制することができる。これにより、窓部22、23の温度が不均一になるのを防止または抑制することができきる。
本実施形態では、放熱部24と窓部22との間の距離と、放熱部24と窓部23との間の距離とが等しい。なお、放熱部24と窓部22との間の距離と、放熱部24と窓部23との間の距離とが異なっていてもよい。
この放熱部24は、帯状をなし、ガスセル2の本体部21の全周に亘って形成されている。これにより、ガスセル2の本体部21の周方向における各部の温度が不均一となるのを防止または抑制することができる。
また、ガスセル2の本体部21の高さ(内部空間SのZ軸方向での長さ)をL1とし、放熱部24の幅(Z軸方向での長さ)をL2としたとき、L1>L2であればよいが、L2/L1が、1/6以上1/2以下であるのが好ましく、1/4以上1/3以下であるのがより好ましい。これにより、放熱部24(着色部)による放熱がガスセル2の各窓部22、23に影響するのを防止しつつ、放熱部24により本体部21を効率的に放熱することができる。
これに対し、L2/L1が小さすぎると、ガスセル2の大きさや放熱部24の構成材料等によっては、放熱部24による本体部21の放熱が不足する場合がある。一方、L2/L1が大きすぎると、ガスセル2の大きさや放熱部24の構成材料等によっては、放熱部24(着色部)による放熱がガスセル2の各窓部22、23に影響しやすくなる傾向を示す。
このような放熱部24(着色部)の構成材料としては、赤外域での輻射率が高い材料であれば、特に限定されないが、例えば、黒色塗料、暗色塗料等が挙げられる。
また、放熱部24の放射率は、ガスセル2の本体部21の放射率よりも高ければよいが、0.8以上1以下であることが好ましい。
また、放熱部24は、赤外域での輻射率を高める観点から、黒色であることが好ましい。
また、放熱部24の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成することができる。
[発光素子]
発光素子3は、ガスセル2中のアルカリ金属原子を励起する励起光を出射する機能を有する。
より具体的には、発光素子3は、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射するものである。
共鳴光1の周波数ω1は、ガスセル2中のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態に励起し得るものである。
また、共鳴光2の周波数ω2は、ガスセル2中のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態に励起し得るものである。
この発光素子3としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
[ペルチェ素子]
ペルチェ素子12は、発光素子3を加熱または冷却する機能を有する。これにより、発光素子3が所望の特性の励起光LLを出射することができ、原子発振器1の信頼性を向上させることができる。
また、ペルチェ素子12に流れる電流の向きを制御することにより、発光素子3側の面を発熱面と吸熱面とで切り換えることができる。そのため、環境温度の範囲が広くても、発光素子3を所望の温度(例えば、30℃程度)に温調することができる。
なお、発光素子3の温度を検知する温度センサーを設け、かかる温度センサーの検知結果に基づいてペルチェ素子12の駆動を制御することができる。
また、図示しないが、ペルチェ素子12は、後述する制御部5に電気的に接続されている。
なお、ペルチェ素子12は、省略してもよい。
[受光素子]
受光素子4は、ガスセル2の内部空間Sを透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この受光素子4は、励起光LLを受光する受光面41を有する。
この受光素子4としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[レンズ]
レンズ10は、ガスセル2と発光素子3との間の光軸a上に設けられている。
このレンズ10は、励起光LLを平行光とする機能を有する。これにより、励起光LLがガスセル2の内壁(貫通孔211の壁面)で反射するのを簡単かつ確実に防止することができる。
[減光フィルター]
減光フィルター11(NDフィルター)は、発光素子3とガスセル2との間の光路上に設けられている。
この減光フィルター11は、ガスセル2に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させる。これにより、発光素子3の出力が大きい場合でも、ガスセル2に入射する励起光を所望の光量とすることができる。
なお、この減光フィルター11は、発光素子3の出力が適度である場合、省略することができる。また、減光フィルター11に加えて、または、減光フィルター11に代えて、λ/4波長板、偏光板を設置してもよい。
[ヒーター]
ヒーター6は、前述したガスセル2(より具体的にはガスセル2中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、ガスセル2中のアルカリ金属をガス状に維持することができる。
ヒーター6は、ガスセル2の外表面上に設けられている。
本実施形態では、ヒーター6は、ガスセル2の窓部22上に設けられた発熱抵抗体61と、ガスセル2の窓部23上に設けられた発熱抵抗体62とで構成されている。これにより、発熱抵抗体61、62は、ガスセル2を挟むように設けられている。
このような発熱抵抗体61、62は、ガスセル2中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLの光路上に配置されている。これにより、ガスセル2の窓部22、23の励起光の光路となる部分を効率的に加熱することができる。そのため、ガスセル2の内壁面の励起光の光路となる部分にアルカリ金属原子が析出(結露)するのを防止することができる。その結果、原子発振器1の長寿命化を図ることができる。
発熱抵抗体61、62は、それぞれ、通電により発熱する発熱抵抗体で構成されている。また、本実施形態では、発熱抵抗体61、62は、それぞれ、ガスセル2中のアルカリ金属原子を励起する励起光に対する透過性を有する。これにより、ガスセル2の励起光の入射部および出射部をそれぞれ効率的に加熱することができる。なお、本実施形態では、励起光は、発熱抵抗体62を介してガスセル2内に入射され、ガスセル2内から発熱抵抗体61を介して出射される。
この発熱抵抗体61、62は、それぞれ、薄膜状をなしている。このような薄膜状の発熱抵抗体61、62は公知の成膜法を用いて簡単かつ高精度に形成することができる。また、発熱抵抗体61、62を簡単化および小型化することができる。また、ガスセル2が直接的に加熱される。そのため、ガスセル2を効率的に加熱することができる。
このような発熱抵抗体61、62の構成材料としては、前述したように通電により発熱するとともに励起光に対する光透過性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料を用いるのが好ましく、特にITOを用いるのが好ましい。
このような透明電極材料は、好適な光透過性を有するとともに、通電により効率的に発熱することができる。
また、発熱抵抗体61、62がそれぞれ透明電極材料で構成されていると、発熱抵抗体61、62をガスセル2の外表面の励起光の光路となる部分に設けることができる。そのため、ガスセル2の励起光の入射部および出射部を発熱抵抗体61、62により効率的に加熱することができる。
発熱抵抗体61、62の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1mm以下程度である。
また、発熱抵抗体61、62の形成は、特に限定されないが、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成することができる。
このような発熱抵抗体61、62は、後述する制御部5の温度制御回路52に電気的に接続され、それぞれ通電される。
[温度センサー]
温度センサー7は、発熱抵抗体61、62またはガスセル2の温度を検出するものである。前述したような発熱抵抗体61、62の発熱量は、この温度センサー7の検出結果に基づいて制御される。これにより、ガスセル2内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
なお、温度センサー7の設置位置は、特に限定されず、例えば、発熱抵抗体61または62上であってもよいし、ガスセル2の外表面上であってもよい。
温度センサー7としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
このような温度センサー7は、図示しない配線を介して、後述する制御部5の温度制御回路52に電気的に接続されている。
[コイル]
コイル8は、通電により、磁場を発生させる機能を有する。これにより、ガスセル2中のアルカリ金属に磁場を印加することにより、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー状態間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
このコイル8の設置位置は、特に限定されず、図示しないが、例えば、ソレノイド型を構成するようにガスセル2の外周に沿って巻回して設けられていてもよいし、ヘルムホルツ型を構成するように1対のコイルをガスセル2を介して対向させてもよい。
このコイル8は、図示しない配線を介して、後述する制御部5の磁場制御回路53に電気的に接続されている。これにより、コイル8に通電を行うことができる。
このようなコイル8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、銀、銅、パラジウム、白金、金、または、これらの合金等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[制御部]
制御部5は、発熱抵抗体61、62、コイル8および発光素子3をそれぞれ制御する機能を有する。
このような制御部5は、発光素子3の共鳴光1、2の周波数を制御する周波数制御回路51と、ガスセル2中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御回路52と、ガスセル2に印加する磁場を制御する磁場制御回路53とを有する。
周波数制御回路51は、前述した受光素子4の検出結果に基づいて、発光素子3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、周波数制御回路51は、前述した受光素子4によって検出された(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、発光素子3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。
また、温度制御回路52は、温度センサー7の検出結果に基づいて、発熱抵抗体61、62への通電を制御する。これにより、ガスセル2を所望の温度範囲内に維持することができる。ここで、温度センサー7は、ガスセル2の温度を検知する温度検知手段を構成する。
また、磁場制御回路53は、コイル8が発生する磁場が一定となるように、コイル8への通電を制御する。
また、制御部5は、発光素子3が所定の温度となるように、ペルチェ素子12を制御する機能をも有する。
以上説明したような本実施形態のガスセルユニット20を備える原子発振器1によれば、放熱部24によりガスセル2の本体部21が放熱されるので、ガスセル2の各窓部22、23の温度を本体部21の温度よりも低くし、かつ、その温度差を大きくすることができる。
そのため、ガスセル2を小型化しても、ガスセル2の各窓部22、23にアルカリ金属原子が結露するのを防止することができる。
原子発振器1は、優れた発振特性を発揮することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るガスセルユニットを示す斜視図である。
本実施形態に係るガスセルユニットは、放熱部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態に係るガスセルユニットと同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態のガスセルユニットに関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図6に示すガスセルユニット20Aは、ガスセル2Aと、ヒーター6(発熱抵抗体61、62)と、放熱部25とを備える。
ガスセル2Aは、本体部21Aと、1対の窓部22、23とを有する。これにより、内部空間Sが形成される。
本体部21Aの外表面には、複数(本実施形態では3つ)の凸部251が形成されている。この複数の凸部251は、放熱部25を構成する。これにより、ガスセル2Aの本体部21Aの外表面の表面積を大きくして、ガスセル2Aの本体部21Aの放熱性を高めることができる。
本実施形態では、放熱部25の各凸部251は、1対の窓部22、23間を結ぶ線分に対して垂直な方向に沿って延びる形状をなす。このような形状の凸部251を有する放熱部25は、複数の板状部材を積層してガスセル2Aの本体部21Aを製造することにより比較的簡単に形成することができる。また、放熱部25が放熱フィンを有するような形状をなすため、放熱部25の放熱性を高めることができる。
なお、複数の凸部251は、前述した形成方法によるものに限定されず、例えば、内部空間Sを形成した後、ドリル加工、ルーター加工、レーザー加工、エッチング加工等を用いて形成してもよい。
また、各凸部251は、先端側に向けて幅が漸減している。また、各凸部251の横断面形状は、三角形をなしている。なお、各凸部251の横断面形状は、三角形に限定されず、例えば、矩形であってもよい。
また、複数の凸部251の幅は、互いに等しく形成されている。なお、複数の凸部251の幅は、互いに異なっていてもよい。
また、各凸部251の高さ(複数の凸部251の表面粗さ)は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であるのが好ましく、100μm以上500μm以下であるのがより好ましい。これにより、放熱部25の放熱性を優れたものとしつつ、複数の凸部251を比較的簡単に形成することができる。なお、ここで、「表面粗さ」とは、算術平均で表わされる表面粗度を言い、例えば、JIS B 0601に準じて測定することができる。
以上説明したような第2実施形態に係るガスセルユニット20Aによっても、ガスセル2Aを小型化しても、ガスセル2Aの各窓部22、23にアルカリ金属原子が結露するのを防止することができる。
なお、複数の凸部251に代えて、本体部の外表面に複数の凹部を形成することによっても、ガスセル2Aの本体部21Aの外表面の表面積を大きくして、ガスセル2Aの本体部21Aの放熱性を高めることができる。また、凸部251の数は、2つ以下または4つ以上であってもよい。
また、本実施形態では、放熱部25が規則的に配置された複数の凸部251で構成されている場合を例に説明したが、放熱部がランダムな複数の凹部または凸部で構成されていてもよい。この場合、例えば、サンドブラストにより放熱部を形成することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係るガスセルユニットを示す斜視図である。
本実施形態に係るガスセルユニットは、放熱部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態に係るガスセルユニットと同様である。また、本実施形態のガスセルユニットは、着色部を設けた以外は、前述した第2実施形態に係るガスセルユニットと同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態のガスセルユニットに関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図7に示すガスセルユニット20Bは、ガスセル2Bと、ヒーター6(発熱抵抗体61、62)と、放熱部25Bとを備える。
ガスセル2Bは、本体部21Bと、1対の窓部22、23とを有する。これにより、内部空間Sが形成される。
本体部21Bの外表面には、複数(本実施形態では3つ)の凸部251、251B、251が形成されている。この複数の凸部251、251B、251は、放熱部25Bを構成する。これにより、ガスセル2Bの本体部21Bの外表面の表面積を大きくして、ガスセル2Bの本体部21Bの放熱性を高めることができる。
本実施形態では、放熱部25の各凸部251、251B、251は、1対の窓部22、23間を結ぶ線分に対して垂直な方向に沿って延びる形状をなす。このような形状の凸部251、251B、251を有する放熱部25Bは、複数の板状部材を積層してガスセル2Bの本体部21Bを製造することにより比較的簡単に形成することができる。また、放熱部25Bが放熱フィンを有するような形状をなすため、放熱部25Bの放熱性を高めることができる。
特に、3つの凸部251、251B、251のうちの真ん中の凸部251の外表面は、黒色または暗色に着色された着色部で構成されている。これにより、ガスセル2Bの本体部21Bを着色部の熱輻射により放熱することができる。
また、着色部である凸部251Bは、1対の窓部22、23間を結ぶ線分に沿った方向における本体部21Bの中央部に偏在している。これにより、放熱部25Bによる放熱がガスセル2Bの各窓部22、23に影響するのを防止することができる。
以上説明したような第3実施形態に係るガスセルユニット20Bによっても、ガスセル2Bを小型化しても、ガスセル2Bの各窓部22、23にアルカリ金属原子が結露するのを防止することができる。
(電子機器)
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。これにより、信頼性に優れた電子機器を提供することができる。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図8は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の電子機器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図8に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
図9は、本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。
図9に示すクロック伝送システム500は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
このクロック伝送システム500は、A局(上位(N系))のクロック供給装置(CSM:Clock Supply Module)501およびSDH(Synchronous Digital Hierarchy)装置502と、B局(上位(E系))のクロック供給装置503およびSDH装置504と、C局(下位)のクロック供給装置505およびSDH装置506、507とを備える。
クロック供給装置501は、原子発振器1を有し、N系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置501内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置502は、クロック供給装置501からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、N系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置503は、原子発振器1を有し、E系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置503内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置504は、クロック供給装置503からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、E系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置505は、クロック供給装置501、503からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
ここで、クロック供給装置505は、通常、クロック供給装置501からのN系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。そして、N系に異常が発生した場合、クロック供給装置505は、クロック供給装置503からのE系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。このようにN系からE系に切り換えることにより、安定したクロック供給を担保し、クロックパス網の信頼性を高めることができる。
SDH装置506は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置507は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
以上、本発明のガスセルユニット、原子発振器および電子機器について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明のガスセルユニット、原子発振器および電子機器では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明のガスセルユニット、原子発振器および電子機器は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、前述した実施形態において、本体9の構成は一例であり、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、蓋体92、94に代えて、励起光の光路に沿って貫通する貫通孔が設けられた部材を設けてもよい。この場合、かかる部材は、光透過性を有しない材料で構成されていてもよい。また、蓋体92、94を省略して、箱体91、93を直接枠体95に接合してもよい。
1‥‥原子発振器 2‥‥ガスセル 2A‥‥ガスセル 2B‥‥ガスセル 3‥‥発光素子 4‥‥受光素子 5‥‥制御部 6‥‥ヒーター 7‥‥温度センサー 8‥‥コイル 9‥‥本体 10‥‥レンズ 11‥‥減光フィルター 12‥‥ペルチェ素子 20‥‥ガスセルユニット 20A‥‥ガスセルユニット 20B‥‥ガスセルユニット 21‥‥本体部 21A‥‥本体部 21B‥‥本体部 22‥‥窓部 23‥‥窓部 24‥‥放熱部 25‥‥放熱部 25B‥‥放熱部 41‥‥受光面 51‥‥周波数制御回路 52‥‥温度制御回路 53‥‥磁場制御回路 61‥‥発熱抵抗体 62‥‥発熱抵抗体 91‥‥箱体 92‥‥蓋体 93‥‥箱体 94‥‥蓋体 95‥‥枠体 100‥‥測位システム 200‥‥GPS衛星 211‥‥貫通孔 251‥‥凸部 251B‥‥凸部 300‥‥基地局装置 301‥‥アンテナ 302‥‥受信装置 303‥‥アンテナ 304‥‥送信装置 400‥‥GPS受信装置 401‥‥アンテナ 402‥‥衛星受信部 403‥‥アンテナ 404‥‥基地局受信部 500‥‥クロック伝送システム 501‥‥クロック供給装置 502‥‥SDH装置 503‥‥クロック供給装置 504‥‥SDH装置 505‥‥クロック供給装置 506‥‥SDH装置 507‥‥SDH装置 508‥‥マスタークロック 509‥‥マスタークロック 951‥‥貫通孔 951a‥‥大径部 951b‥‥小径部 951c‥‥中間部 a‥‥光軸 G‥‥アルカリ金属 LL‥‥励起光 S‥‥内部空間 ω0‥‥周波数 ω1‥‥周波数 ω2‥‥周波数

Claims (7)

  1. 筒状をなす本体部と、前記本体部の両端の開口を封鎖する光透過性の1対の窓部とを有
    し、ガス状の金属原子が封入されるガスセルと、
    前記各窓部に設けられた光透過性の発熱抵抗体とを備え、
    前記本体部には、放熱性を高める放熱部が設けられており、
    前記放熱部は、前記本体部の外表面に黒色または暗色に着色された着色部を含んで構成
    されており、
    前記着色部は、前記1対の窓部間を結ぶ線分に沿った方向における前記本体部の中央部
    に偏在している、
    ことを特徴とするガスセルユニット。
  2. 前記放熱部は、前記本体部の外表面に形成された複数の凹部または凸部を含んで構成さ
    れている請求項1に記載のガスセルユニット。
  3. 前記放熱部の前記各凹部または前記各凸部は、前記1対の窓部間を結ぶ線分に対して垂
    直な方向に沿って延びる形状をなす請求項2に記載のガスセルユニット。
  4. 前記ガスセルを収納する筐体を有し、
    前記筐体内が減圧されている請求項1ないし3に記載のガスセルユニット。
  5. 前記放熱部は、前記1対の窓部間を結ぶ線分に沿った方向における前記本体部の中央部
    に偏在している請求項1ないしのいずれかに記載のガスセルユニット。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載のガスセルユニットと、
    前記ガスセル内の前記ガス状の金属原子を励起する励起光を出射する発光素子と、
    前記ガスセルを透過した前記励起光を検出する受光素子と
    を備えることを特徴とする原子発振器。
  7. 請求項に記載の原子発振器を備えることを特徴とする電子機器。
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