JP2014099728A - 原子発振器、原子発振器の特性調整方法、電子機器および移動体 - Google Patents

原子発振器、原子発振器の特性調整方法、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスセル内の金属原子を磁場によりゼーマン分裂させる構成において、その金属原子が受ける磁場の方向を調整し、発振周波数の精度を向上させることができる原子発振器を提供すること、また、この原子発振器を備える信頼性に優れた電子機器および移動体を提供すること。
【解決手段】本発明の原子発振器は、ガス状の金属原子が封入されているガスセル2と、ガスセル2内の金属原子を励起する励起光LLを出射する光源と、ガスセル2内に励起光LLの軸aに沿った第1方向の第1磁場を発生させる第1磁場発生部8と、ガスセル2内に第1方向と交差する第2方向の第2磁場を発生させる第2磁場発生部9と、第2磁場の第2方向を調整する磁場方向調整部20と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、原子発振器、原子発振器の特性調整方法、電子機器および移動体に関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器として、波長の異なる2種類の光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来、このような原子発振器では、例えば、特許文献1に記載されているように、発振周波数の高精度化を図る目的で、ガスセル内に封入されたアルカリ金属原子の縮退した複数のエネルギー準位を定常磁場により分裂(ゼーマン分裂)させることが行われる。
ここで、ガスセル内において気化したアルカリ金属原子は空間的な広がりを持って分布している。この空間的な広がりを持ったアルカリ金属原子に対しては磁場強度の分布が均一な所定方向の磁場を与えることが望ましい。その理由は、磁場強度が不均一な領域が存在すると、その領域に存在するアルカリ金属原子が磁場強度の変化の影響を受け、原子発振器の出力信号の周波数精度に影響するからである。また、アルカリ金属原子を励起する光の照射方向に対して磁場の方向が変化すると、量子干渉状態が変化し、原子発振器の出力信号の周波数精度に影響するからである。
しかし、従来の原子発振器では、アルカリ金属原子のゼーマン分裂のためのコイルからの磁場以外の磁場の影響により、アルカリ金属原子が受ける磁場が変動し、その結果、発振周波数が不安定になるという問題があった。
米国特許第6320472号明細書
本発明の目的は、ガスセル内の金属原子を磁場によりゼーマン分裂させる構成において、その金属原子が受ける磁場の方向を調整し、発振周波数の精度を向上させることができる原子発振器を提供すること、また、この原子発振器を備える信頼性に優れた電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の原子発振器は、ガス状の金属原子が封入されているガスセルと、
前記ガスセル内の前記金属原子を励起する励起光を出射する光源と、
前記ガスセル内に前記励起光の軸に沿った第1方向の第1磁場を発生させる第1磁場発生部と、
前記ガスセル内に前記第1方向と交差する第2方向の第2磁場を発生させる第2磁場発生部と、
前記第2磁場の前記第2方向を調整する磁場方向調整部と、を備えることを特徴とする。
このように構成された原子発振器によれば、ガスセル内の金属原子を磁場によりゼーマン分裂させる構成において、金属原子が受ける磁場の方向を調整し、発振周波数の精度を向上させることができる。
[適用例2]
本発明の原子発振器では、前記磁場方向調整部は、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向に対する前記第2方向を調整するものであることが好ましい。
これにより、金属原子が受ける磁場の方向成分のうち励起光の軸に対して垂直な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することができる。
[適用例3]
本発明の原子発振器では、前記磁場方向調整部は、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向と前記第2方向とのなす角度を調整するものであることが好ましい。
これにより、ガスセル内における第1磁場以外の磁場を第2磁場により相殺または緩和することができる。
[適用例4]
本発明の原子発振器では、前記第2磁場発生部は、前記第2磁場を発生させる第2コイルを有し、
前記磁場方向調整部は、前記励起光の軸に沿った方向の第1軸まわりに回動し、前記第2コイルを支持する支持部材を有することが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、ガスセル内における第2磁場の強度を一定に保ちつつ、ガスセル内における励起光の軸に平行な方向からみたときの第2方向(第2磁場の方向)を変更することができる。
[適用例5]
本発明の原子発振器では、前記磁場方向調整部は、前記第1軸に交差する第2軸まわりに回動し、前記支持部材を前記第1軸まわりに回動しつつ保持する保持部材を有することが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、ガスセル内における第2磁場の強度を一定に保ちつつ、ガスセル内における励起光の軸に平行な方向に対する第2方向(第2磁場の方向)の傾きを変更することができる。
[適用例6]
本発明の原子発振器では、前記支持部材および前記保持部材は、それぞれ、環状をなす環状体で構成され、
前記支持部材および前記保持部材は、一方がその周方向に沿って形成された溝を有し、他方が前記溝に係合する係合部を有し、前記係合部が前記溝に沿ってスライドするよう構成されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、ガスセル内における励起光の軸に平行な方向からみたときの第2方向(第2磁場の方向)を広範囲に変更することができる。
[適用例7]
本発明の原子発振器では、前記第2コイルは、前記ガスセルを挟むように配置されたヘルムホルツコイルであることが好ましい。
これにより、ガスセル内に均一な第2磁場を発生させることができる。また、ヘルムホルツコイルを構成する1対のコイル間を貫くように、励起光の光路および第1磁場を設定することができる。
[適用例8]
本発明の原子発振器では、前記第1磁場発生部は、前記第1磁場を発生させる第1コイルを有し、
前記第1コイルは、前記ガスセルを挟むように配置されたヘルムホルツコイルであることが好ましい。
これにより、ガスセル内に均一な第1磁場を発生させることができる。
[適用例9]
本発明の原子発振器では、通電により発熱し、前記ガスセルを加熱するヒーターを備えることが好ましい。
これにより、ガスセル内の所望量の金属原子をガス状に維持することができる。また、ヒーターに通電することにより磁場が発生するが、かかる磁場は、金属原子が受ける磁場の不要な方向成分となり得る。したがって、かかる磁場を第2磁場により相殺または緩和することができる。
[適用例10]
本発明の原子発振器では、前記ガスセルは、前記励起光が入射する入射側窓部と、前記励起光が出射する出射側窓部とを有し、
前記ヒーターは、前記入射側窓部に設けられた第1発熱抵抗体と、前記出射側窓部に設けられた第2発熱抵抗体とを有し、前記第1発熱抵抗体および前記第2発熱抵抗体に前記励起光の軸に垂直な方向に沿って互いに同じ方向に通電することにより発熱することが好ましい。
これにより、入射側窓部および出射側窓部に金属原子が結露するのを防止することができる。その結果、長期にわたり優れた発振特性を発揮することができる。また、第1発熱抵抗体と第2発熱抵抗体との間のガスセル内において、第1発熱抵抗体から生じる磁場と、第2発熱抵抗体から生じる磁場とを互いに相殺または緩和することができる。また、ヒーターによるガスセル内の磁場を完全に相殺しきれなくても、その相殺しきれなかった磁場を第2磁場により相殺または緩和することができる。
[適用例11]
本発明の原子発振器では、前記ガスセル、前記第1磁場発生部および前記第2磁場発生部を囲むように設けられ、磁気シールド性を有するシールドを備えることが好ましい。
これにより、第1磁場および第2磁場以外の磁場がガスセル内の金属原子に対して作用するのを防止することができる。そのため、磁場方向調整部による調整が簡単かつ確実となる。
[適用例12]
本発明の原子発振器の特性調整方法は、ガス状の金属原子が封入されているガスセルと、
前記ガスセル内の前記金属原子を励起する励起光を出射する光源と、
前記ガスセル内に前記励起光の軸に沿った第1方向の第1磁場を発生させる第1磁場発生部と、
前記ガスセル内に前記第1方向と交差する第2方向の第2磁場を発生させる第2磁場発生部と、
前記第2磁場の前記第2方向を調整する磁場方向調整部と、を備える原子発振器の特性調整方法であって、
前記ガスセルを透過した前記励起光の強度を測定しながら、その測定結果に基づいて、前記磁場方向調整部により前記第2磁場の前記第2方向を調整することを特徴とする。
このような原子発振器の特性調整方法によれば、ガスセル内の金属原子を磁場によりゼーマン分裂させる原子発振器において、金属原子が受ける磁場の方向を調整し、発振周波数の精度を向上させることができる。
[適用例13]
本発明の原子発振器の特性調整方法では、前記磁場方向調整部による調整は、前記ガスセルを透過した前記励起光の強度が最大となるように行うことが好ましい。
これにより、比較的簡単かつ確実に、金属原子が受ける磁場の方向を最適化し、発振周波数の精度を向上させることができる。
[適用例14]
本発明の原子発振器の特性調整方法では、前記磁場方向調整部による調整は、前記測定結果に基づいて、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向に対する前記第2方向を調整する第1工程を有することが好ましい。
これにより、金属原子が受ける磁場の方向成分のうち励起光の軸に対して垂直な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することができる。
[適用例15]
本発明の原子発振器の特性調整方法では、前記磁場方向調整部による調整は、前記第1工程の後に、前記測定結果に基づいて、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向と前記第2方向とのなす角度を調整する第2工程を有することが好ましい。
これにより、ガスセル内における第1磁場以外の磁場を第2磁場により相殺または緩和することができる。
[適用例16]
本発明の電子機器は、本発明の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた電子機器を提供することができる。
[適用例17]
本発明の移動体は、本発明の原子発振器を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた移動体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す概略図である。 図1に示す原子発振器のガスセル内におけるアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図である。 図1に示す原子発振器の光源および光検出部について、光源からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器のガスセルおよびヒーターを示す斜視図である。 図1に示す原子発振器のヒーターによる磁場を説明するための図である。 図1に示す原子発振器の第2磁場発生部を説明するため図(X軸方向からみた図)である。 図1に示す原子発振器の第2磁場発生部を説明するため図(Y軸方向からみた図)である。 図6および図7に示す磁場方向調整部の部分拡大断面図である。 図1に示す原子発振器における磁場調整方法(本発明の原子発振器の特性調整方法)の一例を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る原子発振器を示す縦断面図である。 図10に示す原子発振器の横断面図である。 GPS衛星を利用した測位システムに本発明の電子機器を用いた場合の概略構成を示す図である。 本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。 本発明の移動体の一例を示す図である。
以下、本発明の原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器を示す概略図である。また、図2は、図1に示す原子発振器のガスセル内におけるアルカリ金属のエネルギー状態を説明するための図、図3は、図1に示す原子発振器の光源および光検出部について、光源からの2つの光の周波数差と、光検出部での検出強度との関係を示すグラフである。また、図4は、図1に示す原子発振器のガスセルおよびヒーターを示す斜視図、図5は、図1に示す原子発振器のヒーターによる磁場を説明するための図である。また、図6は、図1に示す原子発振器の第2磁場発生部を説明するため図(X軸方向からみた図)、図7は、図1に示す原子発振器の第2磁場発生部を説明するため図(Y軸方向からみた図)、図8は、図6および図7に示す磁場方向調整部の部分拡大断面図である。また、図9は、図1に示す原子発振器における磁場調整方法(本発明の原子発振器の特性調整方法)の一例を説明するための図である。
なお、図4〜7、9では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示された各矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」とする。また、以下では、説明の便宜上、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。
この原子発振器1は、図1に示すように、ガスセル2と、光源3と、光学部品41、42、43、44と、光検出部5と、ヒーター6と、温度センサー7と、第1磁場発生部8と、第2磁場発生部9と、制御部10とを備える。
特に、この原子発振器1は、磁場方向調整部20を備える(図6および図7参照)。また、原子発振器1は、シールド14を備える(図6および図7参照)。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
原子発振器1では、ガスセル2内に、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属(金属原子)が封入されている。
アルカリ金属は、図2に示すように、3準位系のエネルギー準位を有しており、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態1、2)と、励起状態との3つの状態をとり得る。ここで、基底状態1は、基底状態2よりも低いエネルギー状態である。
このようなガス状のアルカリ金属に対して周波数の異なる2種の共鳴光1、2を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射すると、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1、2のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態1、2から励起状態への励起がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1、2は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
光源3は、ガスセル2に向けて、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射する。
ここで、例えば、共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態1と基底状態2とのエネルギー差に相当する周波数ω0に一致したとき、光検出部5の検出強度は、図3に示すように、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号と呼ぶ。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を基準として用いることにより、高精度な発振器を実現することができる。
以下、原子発振器1の各部を順次詳細に説明する。
[ガスセル]
ガスセル2内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。
図4に示すように、ガスセル2は、柱状の貫通孔211を有する本体部21と、その貫通孔211の両開口を封鎖する1対の窓部22、23とを有する。これにより、前述したようなアルカリ金属が封入される内部空間Sが形成される。
ここで、ガスセル2の各窓部22、23は、前述した光源3からの励起光に対する透過性を有している。そして、一方の窓部22は、ガスセル2内へ励起光LLが入射する入射側窓部であり、他方の窓部23は、ガスセル2内から励起光LLが出射する出射側窓部である。
また、窓部22、23は、それぞれ、板状をなし、その板面が励起光LLの軸aに対して垂直となるように設置されている。
このようなガスセル2の窓部22、23を構成する材料としては、前述したような励起光に対する透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられる。
また、ガスセル2の本体部21を構成する材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料等であってもよく、窓部22、23と同様にガラス材料、水晶等であってもよい。
そして、各窓部22、23は、本体部21に対して気密的に接合されている。これにより、ガスセル2の内部空間Sを気密空間とすることができる。
ガスセル2の本体部21と窓部22、23との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法等を用いることができる。
また、このようなガスセル2は、ヒーター6により、例えば、70℃程度に温度調節される。
[光源]
光源3は、ガスセル2中のアルカリ金属原子を励起する励起光LLを出射する機能を有する。
より具体的には、光源3は、励起光LLとして、前述したような周波数の異なる2種の光(共鳴光1および共鳴光2)を出射するものである。
共鳴光1は、ガスセル2内のアルカリ金属を前述した基底状態1から励起状態へ励起し得るものである。一方、共鳴光2は、ガスセル2内のアルカリ金属を前述した基底状態2から励起状態へ励起し得るものである。
また、励起光LLの軸aは、ガスセル2内においてY軸方向に平行である。
この光源3としては、前述したような励起光を出射し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の半導体レーザー等を用いることができる。
このような光源3は、後述する制御部10の励起光制御部12に接続され、光検出部5の検出結果に基づいて駆動制御される(図1参照)。
また、このような光源3は、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、例えば、30℃程度に温度調節される。
[光学部品]
複数の光学部品41、42、43、44は、それぞれ、前述した光源3とガスセル2との間における励起光LLの軸a上に設けられている。
また、光源3側からガスセル2側へ、光学部品41、光学部品42、光学部品43、光学部品44の順に配置されている。
光学部品41は、レンズである。これにより、励起光LLを無駄なくガスセル2へ照射することができる。
また、光学部品41は、励起光LLを平行光とする機能を有する。これにより、励起光LLがガスセル2の内壁で反射するのを簡単かつ確実に防止することができる。そのため、ガスセル2内での励起光の共鳴を好適に生じさせ、その結果、原子発振器1の発振特性を高めることができる。
光学部品42は、偏光板である。これにより、光源3からの励起光LLの偏光を所定方向に調整することができる。
光学部品43は、減光フィルター(NDフィルター)である。これにより、ガスセル2に入射する励起光LLの強度を調整(減少)させることができる。そのため、光源3の出力が大きい場合でも、ガスセル2に入射する励起光を所望の光量とすることができる。本実施形態では、前述した光学部品42を通過した所定方向の偏光を有する励起光LLの強度を光学部品43により調整する。
光学部品44は、λ/4波長板である。これにより、光源3からの励起光LLを直線偏光から円偏光(右円偏光または左円偏光)に変換することができる。
後述するように第1磁場発生部8の磁場によりガスセル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、仮に直線偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位に均等に分散して存在することとなる。その結果、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数が他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に少なくなるため、所望のEIT現象を発現する原子数が減少し、所望のEIT信号の強度が小さくなり、その結果、原子発振器1の発振特性の低下をもたらす。
これに対し、後述するように第1磁場発生部8の磁場によりガスセル2内のアルカリ金属原子がゼーマン分裂した状態において、円偏光の励起光をアルカリ金属原子に照射すると、励起光とアルカリ金属原子との相互作用により、アルカリ金属原子がゼーマン分裂した複数の準位のうち、所望のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数を他のエネルギー準位のアルカリ金属原子の数に対して相対的に多くすることができる。そのため、所望のEIT現象を発現する原子数が増大し、所望のEIT信号の強度が大きくなり、その結果、原子発振器1の発振特性を向上させることができる。
[光検出部]
光検出部5は、ガスセル2内を透過した励起光LL(共鳴光1、2)の強度を検出する機能を有する。
この光検出部5としては、上述したような励起光を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、太陽電池、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
このような光検出部5は、後述する制御部10の励起光制御部12に接続されている(図1参照)。
[ヒーター]
ヒーター6は、前述したガスセル2(より具体的にはガスセル2中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、ガスセル2中のアルカリ金属をガス状に維持することができる。
このヒーター6は、通電により発熱するものであり、図4に示すように、ガスセル2の外表面上に設けられた発熱抵抗体61、62で構成されている。
ここで、発熱抵抗体61は、ガスセル2の窓部22(入射側窓部)に設けられ、発熱抵抗体62は、ガスセル2の窓部23(出射側窓部)上に設けられている。これにより、窓部22、23にアルカリ金属原子が結露するのを防止することができる。その結果、長期にわたり優れた発振特性を発揮することができる。
このような発熱抵抗体61、62は、励起光に対する透過性を有する材料、具体的には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料で構成される。
また、発熱抵抗体61、62は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成することができる。
なお、ヒーター6は、ガスセル2を加熱することができるものであれば、特に限定されず、ガスセル2に対して非接触であってもよい。また、ヒーター6に代えて、または、ヒーター6と併用して、ペルチェ素子を用いて、ガスセル2を加熱してもよい。
このようなヒーター6は、後述する制御部10の温度制御部11に電気的に接続され、通電される(図1参照)。
そして、ヒーター6は、通電により発熱する。したがって、ヒーター6に通電することにより磁場が発生するが、かかる磁場は、アルカリ金属原子が受ける磁場の不要な方向成分となり得る。したがって、後述するように、かかる磁場を第2磁場発生部9の磁場(第2磁場)により相殺または緩和することができる。
また、本実施形態では、発熱抵抗体61、62に励起光LLの軸aに垂直な方向に沿って互いに同じ方向に通電することにより発熱する。
より具体的に説明すると、図5に示すように、発熱抵抗体61の−X側の端部から+X側の端部へ、+X方向(図5に示す矢印X1で示す方向)に電流が流れる。一方、発熱抵抗体62の−X側の端部から+X側の端部へ、+X方向(図5に示す矢印X2で示す方向)、すなわち、発熱抵抗体62に流れる電流の方向と同方向に電流が流れる。
このように発熱抵抗体61、62に流れる電流の方向を同方向とすることにより、発熱抵抗体61と発熱抵抗体62との間において、発熱抵抗体61から生じる磁場M1と、発熱抵抗体62から生じる磁場M2とを互いに相殺または緩和することができる。
しかし、実際上、発熱抵抗体61、62の寸法、配置、形状、抵抗値等の誤差により、発熱抵抗体61と発熱抵抗体62との間における発熱抵抗体61、62から生じる磁場M1、M2を完全に相殺することは難しい。また、このようなヒーター6の相殺しきれない磁場(以下、「ヒーター6からの不要磁場」ともいう)は、その方向が励起光LLの軸aに対して垂直な方向(具体的にはZ軸方向成分を有する方向)となるため、第1磁場発生部8からの磁場(第1磁場)によるアルカリ金属原子のエネルギー準位のゼーマン分裂に悪影響を及ぼし、EIT信号の発現効率の悪化を招く。さらに、このヒーター6からの不要磁場の方向は、発熱抵抗体61、62の寸法、配置、形状、抵抗値等の誤差に起因するため、製品ごとに異なる。
そこで、後に詳述するように、第2磁場発生部9からの磁場により、ヒーター6からの不要磁場を相殺する。また、ヒーター6からの不要磁場の方向が製品ごとに異なっていても、第2磁場発生部9からの磁場(第2磁場)の方向(第2方向)を磁場方向調整部20により調整することにより、ヒーター6からの不要磁場を効率的に相殺することができる。このように、原子発振器1では、ヒーター6によるガスセル2内の磁場を完全に相殺しきれなくても、その相殺しきれなかった磁場を第2磁場により相殺または緩和することができる。
[温度センサー]
温度センサー7は、ヒーター6またはガスセル2の温度を検出するものである。そして、この温度センサー7の検出結果に基づいて、前述したヒーター6の発熱量が制御される。これにより、ガスセル2内のアルカリ金属原子を所望の温度に維持することができる。
なお、温度センサー7の設置位置は、特に限定されず、例えば、ヒーター6上であってもよいし、ガスセル2の外表面上であってもよい。
温度センサー7としては、それぞれ、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
このような温度センサー7は、図示しない配線を介して、後述する制御部10の温度制御部11に電気的に接続されている(図1参照)。
[第1磁場発生部]
第1磁場発生部8は、ガスセル2内に励起光LLの軸aに沿った第1方向(以下、単に「第1方向」ともいう)の第1磁場(以下、単に「第1磁場」ともいう)を発生させる機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、アルカリ金属の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
ここで、第1方向は、軸aに平行であること(Y軸方向に平行であること)が好ましい。
この第1磁場発生部8は、1対のコイル81、82(第1コイル)を有する。
この1対のコイル81、82は、ガスセル2を挟むように配置されたヘルムホルツコイルを構成する。これにより、1対のコイル81、82間に均一な第1磁場を発生させることができる。すなわち、ガスセル2内に均一な第1磁場を発生させることができる。また、ヘルムホルツコイルの内側(各コイル81、82の内側)をY軸方向に貫くように、励起光LLの光路を設定することができる。また、ヘルムホルツコイルを構成する1対のコイル81、82間をZ軸方向に沿って貫くように、第2磁場発生部9の磁場(第2磁場)を設定することができる。
本実施形態では、1対のコイル81、82は、それぞれ、円環状をなす。そして、1対のコイル81、82は、同心的に配置され、かつ、これらの中心軸が励起光LLの軸aに一致するように、図示しない支持部材に支持されている。また、1対のコイル81、82の径は、互いに等しい。
なお、各コイル81、82は、それぞれ、円環状に限定されず、例えば、四角環状であってもよい。
このような1対のコイル81、82は、図示しない電源に電気的に接続され、通電により第1磁場を発生する。
また、第1磁場発生部8が発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
このような第1磁場発生部8は、後述する制御部10の磁場制御部13に接続され、通電制御される(図1参照)。
[第2磁場発生部]
第2磁場発生部9は、ガスセル2内に第1方向と交差する第2方向(以下、単に「第2方向」ともいう)の第2磁場(以下、単に「第2磁場」ともいう)を発生させる機能を有する。これにより、ガスセル2内の磁場の不要な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することができる。そのため、ガスセル2内における磁場の方向を励起光LLの軸aに対して平行とすることができる。その結果、EIT信号の発現効率を向上させることができる。
ここで、「ガスセル2内の磁場の不要な方向成分」は、ガスセル2内における励起光LLの軸aに対して垂直な方向成分であり、主に、前述したヒーター6からの不要磁場に起因するものである。
また、第2方向は、Z軸方向成分を有する範囲内において、後述するように磁場方向調整部20によって調整(変更)可能である。
この第2磁場発生部9は、1対のコイル91、92(第2コイル)を有する。
この1対のコイル91、92は、ガスセル2を挟むように配置されたヘルムホルツコイルを構成する。これにより、1対のコイル91、92間に均一な磁場を発生させることができる。これにより、1対のコイル91、92間に均一な第2磁場を発生させることができる。すなわち、ガスセル2内に均一な第2磁場を発生させることができる。また、ヘルムホルツコイルを構成する1対のコイル91、92間をY軸方向に貫くように、励起光LLの光路および第1磁場発生部8の磁場(第1磁場)を設定することができる。
本実施形態では、1対のコイル91、92は、それぞれ、円環状をなす。そして、1対のコイル91、92は、同心的に配置された状態で、磁場方向調整部20に支持されている。また、1対のコイル91、92の径は、互いに等しい。
なお、各コイル91、92は、それぞれ、円環状に限定されず、例えば、四角環状であってもよい。
このような1対のコイル91、92は、図示しない電源に電気的に接続され、通電により第2磁場を発生する。
また、第2磁場発生部9が発生する磁場(第2磁場)は、ガスセル2内における磁場の不要な方向成分を除去し得るものであれば、特に限定されないが、直流磁場であることが好ましい。これにより、ガスセル2内におけるヒーター6からの相殺しきれない磁場を、第2磁場発生部9の磁場により相殺または緩和することができる。
このような第2磁場発生部9は、後述する制御部10の磁場制御部13に接続され、通電制御される(図1参照)。
[シールド]
シールド14は、前述したガスセル2、第1磁場発生部8および第2磁場発生部9を囲むように設けられ、磁気シールド性を有する。これにより、第1磁場および第2磁場以外の磁場がガスセル2内のアルカリ金属原子に対して作用するのを防止することができる。そのため、後述する磁場方向調整部20による調整が簡単かつ確実となる。
本実施形態では、シールド14は、円筒状をなす。
また、本実施形態では、シールド14は、磁場方向調整部20を支持する機能をも有する。この点については、後述する磁場方向調整部20とともに詳述する。
このシールド14は、ガスセル2、第1磁場発生部8および第2磁場発生部9を収納するケーシングを兼ねていてもよい。
このシールド14の構成材料としては、磁気シールド性を有するものであればよく、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体材料を用いることができる。
[磁場方向調整部]
磁場方向調整部20は、前述した第2磁場発生部9の磁場(第2磁場)の方向(第2方向)を調整する機能を有する。これにより、ガスセル2内の磁場の不要な方向成分が製品ごとまたは設置環境ごとに異なっていても、ガスセル2内の磁場の不要な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することができる。
この磁場方向調整部20は、ガスセル2内における励起光LLの軸に平行な方向からみたときの第2方向を変更可能である。これにより、ガスセル2内の磁場の不要な方向成分が製品ごとまたは設置環境ごとに異なっていても、アルカリ金属原子が受ける磁場の方向成分のうち励起光LLの軸aに対して垂直な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することができる。
また、磁場方向調整部20は、ガスセル2内における励起光LLの軸aに平行な方向に対する第2方向の傾きを変更可能である。これにより、ガスセル2内の磁場の不要な方向成分が製品ごとまたは設置環境ごとに異なっていても、ガスセル2内における第1磁場以外の磁場を第2磁場により相殺または緩和することができる。
本実施形態では、磁場方向調整部20は、図6および図7に示すように、1対のコイル91、92を支持する支持部材16と、支持部材16を励起光LLの軸aに沿った方向の第1軸(以下、単に「第1軸」ともいう)まわりに回動可能に保持する保持部材15とを有する。
1対のコイル91、92を支持する支持部材16は、励起光LLの軸aに沿った方向の第1軸まわりに回動可能に設けられている。これにより、比較的簡単な構成で、ガスセル2内における第2磁場の強度を一定に保ちつつ、ガスセル2内における励起光LLの軸aに平行な方向に対する第2方向(第2磁場の方向)を変更することができる。
また、支持部材16は、1対のコイル91、92一括して支持するため、第2方向を変更する際に、1対のコイル91、92の中心軸同士がずれるのを防止することができる。そのため、第2方向の調整が容易となる。
また、支持部材16を第1軸まわりに回動可能に保持する保持部材15は、第1軸に交差する第2軸(以下、単に「第2軸」ともいう)まわりに回動可能に設けられている。これにより、比較的簡単な構成で、ガスセル2内における第2磁場の強度を一定に保ちつつ、ガスセル2内における励起光LLの軸aに平行な方向に対する第2方向(第2磁場の方向)の傾きを変更することができる。
本実施形態では、支持部材16および保持部材15は、それぞれ、環状をなす環状体で構成されている。そして、図8に示すように、保持部材15は、その周方向に沿って形成された溝153を有する。一方、支持部材16は、溝153に係合する係合部163を有し、係合部163が溝153に沿って滑るよう構成されている。
これにより、比較的簡単な構成で、ガスセル2内における励起光LLの軸aに平行な方向からみたときの第2方向(第2磁場の方向)を広範囲に変更することができる。
ここで、保持部材15には、保持部材15の中心軸に垂直な方向(より具体的にはX軸方向)に延びる1対の軸部151、152が設けられている。この1対の軸部151は、保持部材15の外側へ、互いに反対側に突出している。
そして、軸部151は、シールド14に設けられた軸受141に回動可能に支持され、軸部152は、シールド14に設けられた軸受142に回動可能に支持されている。これにより、保持部材15は、X軸に平行な軸(第2軸)まわりに回動可能となっている。
軸受141には、ネジ孔143が形成されている。このネジ孔143には、ネジ144が螺合している。このネジ144を締め付けることにより、軸受141に対して軸部151を固定し、軸部151の回動を阻止することができる。一方、ネジ144を緩めることにより、軸受141に対する軸部151の固定を解除し、軸部151の回動を可能とする。
また、保持部材15は、図8に示すように、外周側に開放し、周方向に沿って形成された溝153が形成されている。本実施形態では、溝153は、内周面側の幅が外周面側の幅よりも広い横断面形状をなす。
この溝153には、支持部材16の係合部163が保持部材15の周方向に沿って移動可能に設けられている。したがって、支持部材16は、保持部材15の中心軸(第1軸)まわりに回動可能となっている。
また、保持部材15には、ネジ孔154が形成されている。このネジ孔154には、ネジ155が螺合している。このネジ155を締め付けることにより、保持部材15に対して支持部材16を固定し、保持部材15に対する支持部材16の周方向の移動を阻止することができる。一方、ネジ155を緩めることにより、保持部材15に対する支持部材16の固定を解除し、保持部材15に対する支持部材16の周方向での移動を可能とする。
ここで、支持部材16の係合部163は、支持部材16の内周面側に設けられ、溝153の内壁面に係合する。また、支持部材16の外周面側の部分164は、溝153から保持部材15の外周面側に突出している。
そして、支持部材16の外周面側の部分164には、コイル91を支持する支持部161と、コイル92を支持する支持部162とが設けられている。これにより、1対のコイル91、92は、支持部材16に支持されている。
このような保持部材15および支持部材16の構成材料としては、第1磁場および第2磁場の発生を阻害しなければ、特に限定されないが、磁場に与える影響が少ない材料、例えば、樹脂材料を用いることが好ましい。
[制御部]
図1に示す制御部10は、光源3、ヒーター6、第1磁場発生部8および第2磁場発生部9をそれぞれ制御する機能を有する。
この制御部10は、光源3の共鳴光1、2の周波数を制御する励起光制御部12と、ガスセル2中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部11と、ガスセル2に印加する磁場を制御する磁場制御部13とを有する。
励起光制御部12は、前述した光検出部5の検出結果に基づいて、光源3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。より具体的には、励起光制御部12は、前述した光検出部5によって検出された(ω1−ω2)が前述したアルカリ金属固有の周波数ω0となるように、光源3から出射される共鳴光1、2の周波数を制御する。また、励起光制御部12は、光源3から出射される共鳴光1、2の中心周波数を制御する。
また、温度制御部11は、温度センサー7の検出結果に基づいて、ヒーター6への通電を制御する。これにより、ガスセル2を所望の温度範囲内に維持することができる。ここで、温度センサー7は、ガスセル2の温度を検知する温度検知手段を構成する。
また、磁場制御部13は、第1磁場発生部8が発生する磁場が一定となるように、第1磁場発生部8(コイル81、82)への通電を制御する。
また、磁場制御部13は、第2磁場発生部9(コイル91、92)への通電を制御する。ここで、磁場制御部13は、第2磁場発生部9が発生する磁場が一定となるように制御してもよいし、第2磁場発生部9が発生する磁場がヒーター6への通電量に応じて変化するように制御してもよい。
このような制御部10は、例えば、基板上に実装されたICチップに設けられている。
(原子発振器の特性調整方法)
次に、本発明の原子発振器の特性調整方法について、原子発振器1の特性調整方法を一例として説明する。
原子発振器1の特性調整方法は、ガスセル2を透過した励起光LLの強度を測定しながら、その測定結果(以下、単に「測定結果」ともいう)に基づいて、磁場方向調整部20により第2磁場の第2方向を調整する。
これにより、ガスセル2内のアルカリ金属原子を磁場によりゼーマン分裂させる原子発振器1において、アルカリ金属原子が受ける磁場の方向を調整し、発振周波数の精度を向上させることができる。
より具体的に説明すると、ガスセル2を透過した励起光LLの強度の測定は、例えば、光検出部5の検出結果(すなわちEIT信号の強度)をオシロスコープのような視覚で認識し得る測定装置で行う。
その際、磁場方向調整部20による調整は、ガスセル2を透過した励起光LLの強度が最大となるように行う。これにより、比較的簡単かつ確実に、アルカリ金属原子が受ける磁場の方向を最適化し、発振周波数の精度を向上させることができる。
また、磁場方向調整部20による調整は、測定結果に基づいて、図9(a)に示すように、ガスセル2内における励起光LLの軸に平行な方向からみたときの第2方向を変更する第1工程と、第1工程の後に、測定結果に基づいて、図9(b)に示すように、ガスセル2内における励起光LLの軸aに平行な方向に対する第2方向の傾きを変更する第2工程を有する。
第1工程により、アルカリ金属原子が受ける磁場の方向成分のうち励起光LLの軸aに対して垂直な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することができる。
第1工程では、ガスセル2内における励起光LLの軸に平行な方向からみたときの第2方向を変更していき、ガスセル2を透過した励起光LLの強度が最大となる状態で、支持部材16を保持部材15に対して固定する。
第1工程後には、支持部材16を保持部材15に対して例えば接着剤により固定してもよいし、前述したネジ155による固定のみでもよい。ネジ155による固定のみであれば、原子発振器1の特性調整後の所望時に再度原子発振器1の特性調整を行うことができる。
また、第2工程により、ガスセル2内における第1磁場以外の磁場を第2磁場により相殺または緩和することができる。
第2工程では、ガスセル2内における励起光LLの軸aに平行な方向に対する第2方向の傾きを変更していき、ガスセル2を透過した励起光LLの強度が最大となる状態で、保持部材15をシールド14に対して固定する。
この第2工程では、ガスセル内における励起光LLの軸に平行な方向からみたときの第2方向を第1工程での調整により決定した状態を維持したまま行うことが好ましい。これにより、ガスセル2内の磁場の不要な方向成分を効率的に第2磁場により相殺または緩和することができる。
第2工程後には、保持部材15をシールド14に対して例えば接着剤により固定してもよいし、前述したネジ144による固定のみでもよい。ネジ144による固定のみであれば、原子発振器1の特性調整後の所望時に再度原子発振器1の特性調整を行うことができる。
以上説明したような本実施形態の原子発振器1によれば、第2磁場の方向を調整可能であるので、ガスセル2内のアルカリ金属原子を第1磁場によりゼーマン分裂させる構成において、アルカリ金属原子が受ける磁場の不要な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することにより、アルカリ金属原子が受ける磁場の方向を調整し、発振周波数の精度を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器を示す縦断面図、図11は、図10に示す原子発振器の横断面図である。
本実施形態に係る原子発振器は、磁場方向調整部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる原子発振器と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の原子発振器に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10および図11において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図10に示す原子発振器1Aは、磁場方向調整部20Aを備える。
磁場方向調整部20Aは、球面すべり軸受けのような形態をなす。
この磁場方向調整部20Aは、図10および図11に示すように、1対のコイル91、92を支持する支持部材18(内輪)と、支持部材18を第1軸まわりおよび第2軸まわりにそれぞれ回動可能に保持する保持部材17(外輪)とを有する。
支持部材18および保持部材17は、それぞれ、環状をなす環状体で構成されている。そして、図10に示すように、保持部材17の内周面には、その周方向に沿って、凹球面形状をなす溝171が形成されている。一方、支持部材18の外周面には、溝171に係合する係合部181が形成されている。この係合部181は、溝171に合致する凸球面形状をなし、溝171に沿って摺動する。
このような磁場方向調整部20Aは、溝171と係合部181との摺動を伴って、支持部材18がその中心軸周りに保持部材17に対して回動可能であるとともに、保持部材17の中心軸に対する支持部材18の中心軸の傾斜角を変更可能である。
ここで、保持部材17は、シールド14Aに支持され、光源3に対する位置および姿勢が一定となるように設置されている。
また、保持部材17およびシールド14Aには、これらを貫通するネジ孔172が形成されている。このネジ孔172には、ネジ173が螺合している。このネジ173を締め付けることにより、保持部材17に対して支持部材18を固定し、保持部材17に対する支持部材18の摺動を阻止することができる。一方、ネジ173を緩めることにより、保持部材17に対する支持部材18の固定を解除し、保持部材17に対する支持部材18の摺動を可能とする。
一方、支持部材18には、1対のコイル91、92が固定されている。
したがって、磁場方向調整部20Aは、ガスセル2内における励起光LLの軸に平行な方向からみたときの第2方向と、ガスセル2内における励起光LLの軸aに平行な方向に対する第2方向の傾きとをそれぞれ変更可能である。
以上説明したような第2実施形態に係る原子発振器によっても、第2磁場の方向を調整可能であるので、ガスセル2内のアルカリ金属原子を第1磁場によりゼーマン分裂させる構成において、アルカリ金属原子が受ける磁場の不要な方向成分を第2磁場により相殺または緩和することにより、アルカリ金属原子が受ける磁場の方向を調整し、発振周波数の精度を向上させることができる。
(電子機器)
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。このような電子機器は、優れた信頼性を有する。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図12は、GPS衛星を利用した測位システムに本発明の原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図12に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
図13は、本発明の原子発振器を用いたクロック伝送システムの一例を示す概略構成図である。
図13に示すクロック伝送システム500は、時分割多重方式のネットワーク内の各装置のクロックを一致させるものであって、N(Normal)系およびE(Emergency)系の冗長構成を有するシステムである。
このクロック伝送システム500は、A局(上位(N系))のクロック供給装置(CSM:Clock Supply Module)501およびSDH(Synchronous Digital Hierarchy)装置502と、B局(上位(E系))のクロック供給装置503およびSDH装置504と、C局(下位)のクロック供給装置505およびSDH装置506、507とを備える。
クロック供給装置501は、原子発振器1を有し、N系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置501内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置502は、クロック供給装置501からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、N系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置503は、原子発振器1を有し、E系のクロック信号を生成する。このクロック供給装置503内の原子発振器1は、セシウムを用いた原子発振器を含むマスタークロック508、509からのより高精度なクロック信号と同期して、クロック信号を生成する。
SDH装置504は、クロック供給装置503からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行うとともに、E系のクロック信号を主信号に重畳し、下位のクロック供給装置505に伝送する。
クロック供給装置505は、クロック供給装置501、503からのクロック信号を受信し、その受信したクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。
ここで、クロック供給装置505は、通常、クロック供給装置501からのN系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。そして、N系に異常が発生した場合、クロック供給装置505は、クロック供給装置503からのE系のクロック信号に同期して、クロック信号を生成する。このようにN系からE系に切り換えることにより、安定したクロック供給を担保し、クロックパス網の信頼性を高めることができる。
SDH装置506は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。同様に、SDH装置507は、クロック供給装置505からのクロック信号に基づいて、主信号の送受信を行う。これにより、C局の装置をA局またはB局の装置と同期させることができる。
図14は、本発明の移動体の一例を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
このような移動体によれば、優れた信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の原子発振器を備える電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
以上、本発明の原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の原子発振器、電子機器および移動体では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明の原子発振器は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、ヘルムホルツ型コイルを用いて第1磁場発生部を構成した場合を例に説明したが、第1磁場発生部は、これに限定されず、例えば、ソレノイド型コイルを用いて構成してもよい。この場合、例えば、第1実施形態のシールドの内周面に沿って巻回されたコイルを配置し、そのコイルの内側にガスセルおよび第2磁場発生部を配置すればよい。
また、前述した実施形態では、磁場方向調整部について、保持部材がその周方向に沿って形成された溝を有し、支持部材が保持部材の溝に係合する係合部を有する場合を例に説明したが、支持部材がその周方向に沿って形成された溝を有し、保持部材が支持部材の溝に係合する係合部を有していてもよい。
また、前述した実施形態では、磁場方向調整部の支持部材および保持部材がそれぞれ環状体で構成されている場合を例に説明したが、第2方向の調整に必要な範囲内で第2コイルの位置または姿勢を変更できれば、支持部材および保持部材の少なくとも一方は、環状をなしていなくてもよく、例えば、支持部材がヘルムホルツコイルを構成する1対のコイルのそれぞれに対応して分割された1対の部材で構成されていてもよく、また、保持部材が支持部材に部分的に係合するように1つまたは2つ以上の部材で構成されていてもよい。
また、前述した実施形態では、磁場方向調整部が第2コイルを第1軸および第2軸のそれぞれの周方向に回動する場合を例に説明したが、磁場方向調整部は、第2コイルを少なくとも第1軸まわりに回動することにより、金属原子が受ける磁場の方向成分のうち励起光の軸に対して垂直な方向成分(主たる不要な方向成分)を第2磁場により相殺または緩和することができる。
また、磁場方向調整部は、ヘルムホルツコイルを構成する1対のコイル全体を回動させずに、各コイルの位置または姿勢を個別に変更することによっても、第2磁場の方向を調整することができる。
1‥‥原子発振器 1A‥‥原子発振器 2‥‥ガスセル 3‥‥光源 5‥‥光検出部 6‥‥ヒーター 7‥‥温度センサー 8‥‥第1磁場発生部 9‥‥第2磁場発生部 10‥‥制御部 11‥‥温度制御部 12‥‥励起光制御部 13‥‥磁場制御部 14‥‥シールド 14A‥‥シールド 15‥‥保持部材 16‥‥支持部材 17‥‥保持部材 18‥‥支持部材 20‥‥磁場方向調整部 20A‥‥磁場方向調整部 21‥‥本体部 22‥‥窓部 23‥‥窓部 41‥‥光学部品 42‥‥光学部品 43‥‥光学部品 44‥‥光学部品 61‥‥発熱抵抗体 62‥‥発熱抵抗体 81‥‥コイル 82‥‥コイル 91‥‥コイル 92‥‥コイル 100‥‥測位システム 141‥‥軸受 142‥‥軸受 143‥‥ネジ孔 144‥‥ネジ 151‥‥軸部 152‥‥軸部 153‥‥溝 154‥‥ネジ孔 155‥‥ネジ 161‥‥支持部 162‥‥支持部 163‥‥係合部 164‥‥部分 171‥‥溝 172‥‥ネジ孔 173‥‥ネジ 181‥‥係合部 200‥‥衛星 211‥‥貫通孔 300‥‥基地局装置 301‥‥アンテナ 302‥‥受信装置 303‥‥アンテナ 304‥‥送信装置 400‥‥受信装置 401‥‥アンテナ 402‥‥衛星受信部 403‥‥アンテナ 404‥‥基地局受信部 500‥‥クロック伝送システム 501‥‥クロック供給装置 502‥‥SDH装置 503‥‥クロック供給装置 504‥‥SDH装置 505‥‥クロック供給装置 506‥‥SDH装置 507‥‥SDH装置 508‥‥マスタークロック 509‥‥マスタークロック 1500‥‥移動体 1501‥‥車体 1502‥‥車輪 LL‥‥励起光 M1‥‥磁場 M2‥‥磁場 S‥‥内部空間

Claims (17)

  1. ガス状の金属原子が封入されているガスセルと、
    前記ガスセル内の前記金属原子を励起する励起光を出射する光源と、
    前記ガスセル内に前記励起光の軸に沿った第1方向の第1磁場を発生させる第1磁場発生部と、
    前記ガスセル内に前記第1方向と交差する第2方向の第2磁場を発生させる第2磁場発生部と、
    前記第2磁場の前記第2方向を調整する磁場方向調整部と、を備えることを特徴とする原子発振器。
  2. 前記磁場方向調整部は、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向に対する前記第2方向を調整するものである請求項1に記載の原子発振器。
  3. 前記磁場方向調整部は、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向と前記第2方向とのなす角度を調整するものである請求項2に記載の原子発振器。
  4. 前記第2磁場発生部は、前記第2磁場を発生させる第2コイルを有し、
    前記磁場方向調整部は、前記励起光の軸に沿った方向の第1軸まわりに回動し、前記第2コイルを支持する支持部材を有する請求項2または3に記載の原子発振器。
  5. 前記磁場方向調整部は、前記第1軸に交差する第2軸まわりに回動し、前記支持部材を前記第1軸まわりに回動しつつ保持する保持部材を有する請求項4に記載の原子発振器。
  6. 前記支持部材および前記保持部材は、それぞれ、環状をなす環状体で構成され、
    前記支持部材および前記保持部材は、一方がその周方向に沿って形成された溝を有し、他方が前記溝に係合する係合部を有し、前記係合部が前記溝に沿ってスライドするよう構成されている請求項4または5に記載の原子発振器。
  7. 前記第2コイルは、前記ガスセルを挟むように配置されたヘルムホルツコイルである請求項4ないし6のいずれか1項に記載の原子発振器。
  8. 前記第1磁場発生部は、前記第1磁場を発生させる第1コイルを有し、
    前記第1コイルは、前記ガスセルを挟むように配置されたヘルムホルツコイルである請求項7に記載の原子発振器。
  9. 通電により発熱し、前記ガスセルを加熱するヒーターを備える請求項1ないし8のいずれか1項に記載の原子発振器。
  10. 前記ガスセルは、前記励起光が入射する入射側窓部と、前記励起光が出射する出射側窓部とを有し、
    前記ヒーターは、前記入射側窓部に設けられた第1発熱抵抗体と、前記出射側窓部に設けられた第2発熱抵抗体とを有し、前記第1発熱抵抗体および前記第2発熱抵抗体に前記励起光の軸に垂直な方向に沿って互いに同じ方向に通電することにより発熱する請求項9に記載の原子発振器。
  11. 前記ガスセル、前記第1磁場発生部および前記第2磁場発生部を囲むように設けられ、磁気シールド性を有するシールドを備える請求項1ないし10のいずれか1項に記載の原子発振器。
  12. ガス状の金属原子が封入されているガスセルと、
    前記ガスセル内の前記金属原子を励起する励起光を出射する光源と、
    前記ガスセル内に前記励起光の軸に沿った第1方向の第1磁場を発生させる第1磁場発生部と、
    前記ガスセル内に前記第1方向と交差する第2方向の第2磁場を発生させる第2磁場発生部と、
    前記第2磁場の前記第2方向を調整する磁場方向調整部と、を備える原子発振器の特性調整方法であって、
    前記ガスセルを透過した前記励起光の強度を測定しながら、その測定結果に基づいて、前記磁場方向調整部により前記第2磁場の前記第2方向を調整することを特徴とする原子発振器の特性調整方法。
  13. 前記磁場方向調整部による調整は、前記ガスセルを透過した前記励起光の強度が最大となるように行う請求項12に記載の原子発振器の特性調整方法。
  14. 前記磁場方向調整部による調整は、前記測定結果に基づいて、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向に対する前記第2方向を調整する第1工程を有する請求項12または13に記載の原子発振器の特性調整方法。
  15. 前記磁場方向調整部による調整は、前記第1工程の後に、前記測定結果に基づいて、前記ガスセル内における前記励起光の軸の方向と前記第2方向とのなす角度を調整する第2工程を有する請求項14に記載の原子発振器の特性調整方法。
  16. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の原子発振器を備えることを特徴とする電子機器。
  17. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の原子発振器を備えることを特徴とする移動体。
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