JP6118679B2 - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

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本発明は、ガスセンサ素子およびガスセンサに関する。
従来、自動車用内燃機関等において、ジルコニア焼結体を固体電解質として用いたガスセンサ素子を有するガスセンサが知られている。
例えば、特許文献1には、シリカとアルミナとよりなる焼結助剤が添加された部分安定化ジルコニア焼結体を固体電解質として用いた酸素センサ素子が開示されている。同文献では、高温で相変態を起こすジルコニアの結晶構造を安定化させるために安定化剤を添加している。また、同文献では、上記焼結助剤の添加量は、固体電解質100質量部に対し、シリカ0.1〜0.6質量部、アルミナ1〜10質量部の範囲とされている。これにより、シリカとアルミナとの相互作用で焼結温度を1350℃〜1500℃の範囲とし、所望の結晶組成を得つつ、過剰な粒成長を抑制して十分な強度を得ることができるとされている。
特開平9−124365号公報
しかしながら、従来技術は、以下の点で改善の余地がある。すなわち、ジルコニア焼結体は、融点が高く焼結性に劣るために相対密度を向上させ難い。そのため、従来技術のように焼結助剤を添加することによって、焼結性を向上させることが一般的に行われている。ところが、焼結性向上のために絶縁材料であるシリカとアルミナとを焼結助剤としてジルコニア焼結体に添加すると、粒界での酸素イオン伝導性が低下し、電気抵抗が高くなる。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、焼結性向上と高電気抵抗化の抑制とを両立させることが可能なジルコニア焼結体を固体電解質として用いたガスセンサ素子、またこれを有するガスセンサを提供するものである。
本発明の一態様は、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体を固体電解質として用いたガスセンサ素子であって、
上記部分安定化または安定化ジルコニア焼結体に、15〜35mol%ZrO−85〜65mol%Nbの化学組成を有する複合酸化物が添加されており、
上記部分安定化または安定化ジルコニアと上記複合酸化物との合計100質量部に対する上記複合酸化物の添加量は、0.1〜5質量部の範囲内とされており、
上記複合酸化物は、ジルコニア粒界に存在していることを特徴とするガスセンサ素子にある。
本発明の他の態様は、上記ガスセンサ素子を有することを特徴とするガスセンサにある。
上記ガスセンサ素子は、上記特定の化学組成を有するZrO−Nbの複合酸化物が添加された部分安定化または安定化ジルコニア焼結体を固体電解質として用いている。ジルコニア単体の融点が約2700℃であり、従来、焼結助剤として使用されているシリカの融点が1650℃であるのに対し、上記複合酸化物は、これらよりも融点が低い。そのため、上記複合酸化物が添加された部分安定化または安定化ジルコニア焼結体は、より低い温度で焼結し、焼結性が向上する。上記焼結性向上による焼結体の相対密度の向上により、固体電解質の電気抵抗を低下させることも可能となる。また、上記複合酸化物が添加された部分安定化または安定化ジルコニア焼結体は、安定化剤を事前に固溶させたジルコニア粉末に上記複合酸化物の粉末を添加し、焼成することにより得ることができる。上記複合酸化物は、ジルコニア粒内に一部固溶されうるもののジルコニア粒内への固溶が起こりづらく、主にジルコニア粒界に存在する。また、上記複合酸化物の添加は、部分安定化または安定化ジルコニア粉末に対して微量で済むため、上記複合酸化物がジルコニアの安定化剤として機能することはほとんどない。そのため、先行文献に記載されるNbを安定化剤として添加する場合に懸念される部分安定化または安定化ジルコニアの電子伝導性の発現が起こり難い。従来、焼結助剤として使用されているシリカは絶縁材料であるため、ジルコニア粒界に存在すると酸素イオン伝導性を阻害し、固体電解質の電気抵抗が高くなる。これに対し、上記複合酸化物は、その化学組成にZrOを含んでいるため、ジルコニア粒界に存在しても酸素イオン伝導性を阻害せず、固体電解質の高電気抵抗化を抑制することができる。
上記ガスセンサは、上記ガスセンサ素子を有している。そのため、上記ガスセンサは、低温作動させることが可能となる点で有効である。
よって、本発明によれば、焼結性向上と高電気抵抗化の抑制とを両立させることが可能なジルコニア焼結体を固体電解質として用いたガスセンサ素子、またこれを有するガスセンサを提供することができる。
実施例1のガスセンサ素子の一部を示す断面図である。 ZrO−Nbの相図である。 実施例1のガスセンサの断面図である。 実験例1における試料1の微構造を示した図であり、(a)は二次電子像、(b)は反射電子像である。 実験例1における試料2〜4の相体密度(%)を示した図である。 実験例1における試料2〜4の温度に対する導電率を示した図である。 実験例1における試料1、5、6の相体密度(%)を示した図である。 実験例1における試料1、5、6の700℃における酸素イオン輸率(−)を示した図である。
上記ガスセンサ素子は、例えば、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体よりなる固体電解質と、固体電解質の内側面に設けた内側電極と、固体電解質の外側面に設けられ、被測定ガスに曝される外側電極とを有する構成とすることができる。なお、上記ガスセンサ素子における固体電解質の形状は特に制限されない。固体電解質は、例えば、一端を閉塞し他端を開放した内室を有するコップ型や、平板型などの形状とすることができる。上記ガスセンサ素子は、素子強度の観点から、部分安定化ジルコニア焼結体よりなる固体電解質を好適に用いることができる。
上記固体電解質を成す部分安定化または安定化ジルコニア焼結体には、15〜35mol%ZrO−85〜65mol%Nbの化学組成を有する複合酸化物が添加されている。これにより、複合酸化物の融点が1500℃以下となり、1500℃以下の温度で液相となるため、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体の焼結性向上が図られる。なお、1500℃は、一般的な焼成炉で焼成可能な温度である。また、上記複合酸化物は、ジルコニアを適度に含むため、複合酸化物がジルコニア粒界に存在しても酸素イオン伝導性を阻害せず、固体電解質の高電気抵抗化が抑制される。上記複合酸化物におけるZrOが15mol%未満、Nbが85mol%を超えると、融点が低下し、液相が生じるが、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体の粒界に一部未反応のまま析出し、焼結性を低下させるおそれがある。上記複合酸化物におけるZrOが35mol%を超え、Nbが65mol%未満になると、複合酸化物の融点がZrOの組成量の増加に伴い単調増加し、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体の焼結性が向上しなくなり、かつ、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体の粒界に未反応のまま析出し、焼結性を低下させるおそれがある。上記複合酸化物におけるZrO、Nbの化学組成の範囲は、好ましくは、ZrOが17〜33mol%、Nbが83〜67mol%、より好ましくは、ZrOが20〜30mol%、Nbが80〜70mol%、さらに好ましくは、ZrOが22〜28mol%、Nbが78〜72mol%、最も好ましくは、ZrOが25mol%、Nbが75mol%であるとよい。共晶点に近くなり、複合酸化物の融点が低くなって上述の効果を得やすくなるからである。
上記ガスセンサ素子において、部分安定化または安定化ジルコニアと複合酸化物との合計100質量部に対する複合酸化物の添加量は、0.1〜5質量部の範囲内とされている。なお、上記添加量は、上記複合酸化物が添加された部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニア焼結体を焼成によって得る際の原料粉末時点における値を指す。
この構成によれば、十分な焼結性の向上を図ることができ、また、部分安定化または安定化ジルコニアの酸素イオン伝導性を阻害し難く、固体電解質の高電気抵抗化を抑制しやすくなる。
上記複合酸化物の添加量は、添加による効果を確実なものとする等の観点から、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは、0.15質量部以上、さらに好ましくは、0.2質量部以上であるとよい。また、上記複合酸化物の添加量は、部分安定化または安定化ジルコニアの導電率低下および酸素イオン輸率を抑制しやすくなる等の観点から、好ましくは、5質量部以下、より好ましくは、3質量部以下、さらに好ましくは、2質量部以下、さらにより好ましくは、1質量部以下であるとよい。上記複合酸化物の添加量が0.1質量部より小さくなると、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアの焼結性が向上し難くなる傾向が見られ、上記複合酸化物の添加量が5質量部より大きくなると、Nbの添加による、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアの電子伝導性が大きくなり、十分な起電力が得られ難くなる傾向が見られる。
上記ガスセンサ素子において、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体には、さらにAlが添加されているとよい。この場合は、分散したAlによって部分安定化または安定化ジルコニア焼結体よりなる固体電解質の強度を向上させることができる。そのため、構造信頼性に優れたガスセンサ素子が得られる。
上記ガスセンサ素子において、部分安定化または安定化ジルコニアと複合酸化物とAlとの合計100質量部に対するAlの添加量は、好ましくは、0.1〜15質量部の範囲内、より好ましくは、0.2〜13質量部の範囲内とされているとよい。なお、上記添加量は、上記複合酸化物、上記Alが添加された部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニア焼結体を焼成によって得る際の原料粉末時点における値を指す。
この場合は、Alの添加による上記固体電解質の強度向上の効果が確実なものとなる。また、部分安定化または安定化ジルコニアとAlとの熱膨張係数差に起因する熱応力が過度になり過ぎず、焼結体の亀裂を抑制しやすくなるため、過度なAlの添加による強度低下を招き難くなり有利である。
上記ガスセンサ素子において、部分安定化または安定化ジルコニアは、例えば、CaO、MgO、Y、Yb、および、Nbから選択される1種または2種以上の安定化剤を含むことができる。添加する安定化剤の種類により、部分安定化または安定化ジルコニアとなる組成が異なるが、安定化剤の含有量は、3〜15mol程度の範囲とすることができる。
上記部分安定化または安定化ジルコニアは、CaO、MgOのいずれか一方または双方の安定化剤によって部分安定化または安定化されていることが好ましい。
安定化剤としてCaOおよび/またはMgOを含む部分安定化または安定化ジルコニアは、Yなどの他の安定化剤を含む部分安定化または安定化ジルコニアに比べて、難焼結性であり、焼結体の相対密度を高くし難い材料である。しかしながら、上記ガスセンサ素子は、上記複合酸化物を用いているので、CaOおよび/またはMgOを含む部分安定化または安定化ジルコニアであっても焼結性を向上させることができ、焼結体の相対密度を向上させることができる。また、CaO、MgOは、Y、Yb等のようにレアアースを含んでいないので、資源供給の安定性に優れる。そのため、この場合は、ガスセンサ素子の生産の安定性向上に寄与することができる。また、上記ガスセンサ素子は、レアアースを含んでいないので、低コスト化にも有利である。上記部分安定化または安定化ジルコニアは、とりわけ、CaOによって部分安定化または安定化されていることが好ましい。この場合は、レアアースを含まない部分安定化または安定化ジルコニアであって導電率が最も高い等の利点があるからである。
上記ガスセンサ素子において、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体の相体密度は、好ましくは90%以上、より好ましくは90.5%以上、さらに好ましくは91%以上とすることができる。この場合は、緻密化によりガス透過性が問題とならず、かつ、材料強度が向上する等の利点があるからである。なお、上記相対密度は、結晶粒成長、製造性などの観点から、96%以下とすることができる。上記相対密度(%)は、焼結体の質量、体積から求めた密度(g/cm)を、焼結体を構成する部分安定化または安定化ジルコニアの理論密度で除して得た値に100を乗じた値をいう。
上記ガスセンサ素子は、具体的には、空燃比センサ素子(A/Fセンサ素子)、酸素センサ素子として構成することができる。上記ガスセンサ素子は、とりわけ、空燃比センサ素子として好適に用いることができる。空燃比センサは、素子に電流を流して使用されるため、固体電解質の電気抵抗は小さい方が良い。上記ガスセンサ素子は、固体電解質の高電気抵抗化を抑制することができるので、空燃比センサとして用いることによってセンサ性能の向上に有利である。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例のガスセンサ素子およびガスセンサについて、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
(実施例1)
図1に示すように、本例のガスセンサ素子1は、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体を固体電解質10として用いている。本例のガスセンサ素子1は、固体電解質である部分安定化または安定化ジルコニア焼結体に、15〜35mol%ZrO−85〜65mol%Nbの化学組成を有する複合酸化物が添加されている。また、本例のガスセンサ素子1は、固体電解質である部分安定化または安定化ジルコニア焼結体に、さらにAlが添加されている。
本例では、具体的には、部分安定化または安定化ジルコニア焼結体は、安定化剤としてのCaOを12mol%含む部分安定化ジルコニア焼結体である。上記複合酸化物は、25mol%ZrO−75mol%Nbの化学組成を有している。つまり、本例における複合酸化物は、図2に示すように、ZrO−Nbの相図における共晶点を構成する化学組成とされており、その融点は1450℃である。部分安定化ジルコニアと複合酸化物との合計100質量部に対する複合酸化物の添加量は、0.2質量部である。部分安定化ジルコニアと複合酸化物とAlとの合計100質量部に対するAlの添加量は、10質量部である。
図1に示すように、本例のガスセンサ素子1は、具体的には、空燃比センサ素子であり、一端を閉塞し他端を開放した内室101を有するコップ型の上記焼結体よりなる固体電解質10と、固体電解質10の外側面に設けた外側電極11と、内室101の内側面に設けた内側電極12とを有している。そして、本例では、外側電極11のさらに外方に多孔質セラミックよりなる拡散抵抗層13が設けてあり、拡散抵抗層13の外側に被毒物のトラップ層14が設けてある。
次に、本例のガスセンサ素子1を用いた本例のガスセンサの構造について説明する。
図3に示すように、本例のガスセンサ3は、ハウジング30を有し、このハウジング30にガスセンサ素子1がシール固定されている。ハウジング30の先端側には、被測定ガス室310が形成されており、ガスセンサ素子1を保護するための二重の被測定ガス側カバー311、312が設けてある。また、ハウジング30の基端側には、三段の大気側カバー321、322、323が設けてある。
大気側カバー322、323の基端側には、リード線371、381、391が挿入された弾性絶縁部材35が設けてある。ガスセンサ素子1の内室101には、発熱体が内蔵された棒状のヒータ2が挿入配置されている。リード線371は、ヒータ2に対して通電し、これを発熱させるためのものである。また、リード線381、391は、センサ出力を外部へ取り出すためのものである。リード線381、391の先端側には、接続端子382、392が設けてある。接続端子382、392は、ガスセンサ素子1に固定された金属端子383、393に接触し、導通している。また、金属端子383、393は、それぞれガスセンサ素子1の外側ターミナル部(不図示)、内側ターミナル部(不図示)に対して接触固定されている。外側ターミナル部は、外側リード(不図示)を介して外側電極11と、内側ターミナル部は、内側リード(不図示)を介して内側電極12とそれぞれ導通している。
次に、本例のガスセンサ素子1およびガスセンサ3の作用効果について説明する。
ガスセンサ素子1は、上記特定の化学組成を有するZrO−Nbの複合酸化物が添加された部分安定化または安定化ジルコニア焼結体を固体電解質として用いている。ジルコニア単体の融点が約2700℃であり、従来、焼結助剤として使用されているシリカの融点が1650℃であるのに対し、上記複合酸化物は、これらよりも融点が低い。そのため、上記複合酸化物が添加された部分安定化または安定化ジルコニア焼結体は、より低い温度で焼結し、焼結性が向上する。上記焼結性向上による焼結体の相対密度の向上により、固体電解質の電気抵抗を低下させることも可能となる。また、上記複合酸化物が添加された部分安定化または安定化ジルコニア焼結体は、安定化剤を事前に固溶させたジルコニア粉末に上記複合酸化物の粉末を添加し、焼成することにより得ることができる。上記複合酸化物は、ジルコニア粒内に一部固溶されうるもののジルコニア粒内への固溶が起こりづらく、主にジルコニア粒界に存在する。また、上記複合酸化物の添加は、部分安定化または安定化ジルコニア粉末に対して微量で済むため、上記複合酸化物がジルコニアの安定化剤として機能することはほとんどない。そのため、先行文献に記載されるNbを安定化剤として添加する場合に懸念される部分安定化または安定化ジルコニアの電子伝導性の発現が起こり難い。従来、焼結助剤として使用されているシリカは絶縁材料であるため、ジルコニア粒界に存在すると酸素イオン伝導性を阻害し、固体電解質の電気抵抗が高くなる。これに対し、上記複合酸化物は、その化学組成にZrOを含んでいるため、ジルコニア粒界に存在しても酸素イオン伝導性を阻害せず、固体電解質の高電気抵抗化を抑制することができる。
ガスセンサ3は、ガスセンサ素子1を有している。そのため、ガスセンサ3は、低温作動させることが可能となる点で有効である。
(実験例1)
以下、実験例を用いてより具体的に説明する。
<複合酸化物の準備>
25mol%ZrO−75mol%Nbの化学組成となるようにZrO粉末とNb粉末とを混合した後、1100℃で2時間加熱し、乳鉢で粉砕することにより、25mol%ZrO−75mol%Nbの化学組成を有する粉末状の複合酸化物を得た。
<試料1〜6のジルコニア質焼結体よりなる固体電解質の作製>
12mol%のCaOを固溶した部分安定化ジルコニア粉末と、上記作製した複合酸化物の粉末とを高圧ホモジナイザ(分散媒:水)で十分に混合することにより、原料粉末を調製した。次いで、得られた原料粉末を一軸成型機にて加圧成形した。次いで、得られた成形体を1600℃で10時間焼成した。これにより試料1の固体電解質を得た。なお、部分安定化ジルコニア粉末と複合酸化物粉末との合計100質量部に対する複合酸化物粉末の添加量は、0.2質量部とした。
12mol%のCaOを固溶した部分安定化ジルコニア粉末と、上記作製した複合酸化物の粉末と、Al粉末とを高圧ホモジナイザ(分散媒:水)で十分に混合することにより、原料粉末を調製した。次いで、得られた原料粉末を一軸成型機にて加圧成形した。次いで、得られた成形体を1600℃で10時間焼成した。これにより試料2の固体電解質を得た。なお、部分安定化ジルコニア粉末と複合酸化物粉末とAl粉末との合計100質量部に対するAl粉末の添加量は、10質量部とした。
上記試料2の作製において、複合酸化物を添加しなかった以外は同様にして、試料3の固体電解質を得た。また、試料2の作製において、上記複合酸化物に代えてSiOを添加した以外は同様にして、試料4の固体電解質を得た。
上記試料1の作製において、複合酸化物粉末の添加量を0.1質量部とした以外は同様にして試料5の固体電解質を得た。また、上記試料1の作製において、複合酸化物粉末の添加量を3質量部とした以外は同様にして試料6の固体電解質を得た。
<試料1の焼結体の組成分析>
試料1の焼結体の組成を、次の方法で測定した。すなわち、上記試料の作製で得た試料1の焼結体ペレットを厚み方向に切断し、研磨した。その後、研磨面をPtで蒸着し、走査型電子顕微鏡にて、EDS分析を行った。また、表1に分析点A1〜A6の化学組成を示す。
<相対密度の測定>
各試料の質量、体積から求めた密度(g/cm)をCaOを固溶した部分安定化ジルコニアの理論密度で除して得た値に100を乗じた値を、各試料の相体密度(%)として求めた。
<導電率の測定>
各試料2〜4の導電率σ(S/cm)を、次の方法で測定した。すなわち、上記試料の作製で得た焼結体ペレットの両面にPtペーストを直径12mmで印刷し、70℃で30分乾燥後、1200℃で2時間焼成した。焼成後のPt電極上にPtリード線を取り付け、70℃で30分乾燥後、900℃で30分焼成した。得られた評価サンプルを電気炉に入れ、交流4端子法で電解質抵抗と電極反応抵抗を分離した。測定で得た電解質抵抗から導電率を求めた。測定は各試料500〜800℃の範囲で行った。
<酸素イオン輸率の測定>
試料1、5、6の酸素イオン輸率(-)を、次の方法で測定した。すなわち、上記試料の作製で得た焼結体ペレットの両面にPtペーストを直径12mmで印刷し、70℃で30分乾燥後、1200℃で2時間焼成した。形成したPt電極の一の面、二の面に接触するガスの雰囲気を変えることが可能なガス流通治具に焼結体ペレットを設置し、Pt電極の一の面に流通するガスの酸素濃度を変化させた際の焼結体ペレットの起電力を測定し、酸素イオン輸率を求めた。尚、Pt電極の二の面は大気雰囲気とした。測定は700℃で行った。
上記測定結果によれば、以下のことがいえる。先ず、図4、表1に示すように、上記複合酸化物は、ジルコニア粒内への固溶が起こりづらく、主にジルコニア粒界に存在していることが確認された。
次に、図5に示すように、上記特定の化学組成を有する複合酸化物を添加せずに焼成した試料3は、相対密度が88.0%と低く、焼結性に劣っていることがわかる。このように、安定化剤としてCaOを含む部分安定化または安定化ジルコニアは難焼結性材料であることがわかる。なお、安定化剤としてMgOを含む部分安定化または安定化ジルコニアについても同様である。次に、SiOを添加して焼成した試料4は、相対密度が88.9%であり、試料3に比べ、僅かではあるが焼結性が向上している。これらに対し、上記特定の化学組成を有する複合酸化物を添加して焼成した試料2は、相対密度が92.0%であり、試料3、4に比べ、大幅に焼結性が向上していることがわかる。この結果から、上記複合酸化物は、従来の焼結助剤であるSiO以上に有用であることがわかる。
次に、図6に示すように、上記特定の化学組成を有する複合酸化物を添加せずに焼成した試料3は、700℃における導電率σが8.8×10−4S/cmであった。これを基準とした場合、試料4は、700℃における導電率σが4.0×10−4S/cmであり、導電率が大きく低下していることがわかる。これは、焼結助剤として添加したSiOが絶縁材料であることが原因である。このように試料4は、僅かではあるが焼結性を向上させることができたものの電気抵抗が高くなり、その結果、焼結性向上と高電気抵抗化の抑制とを両立させることが困難であるといえる。これらに対し、試料2は、700℃における導電率σが7.4×10−4S/cmであり、上記複合酸化物を添加しても導電率が大きく低下しないことがわかる。つまり、図5および図6の結果から、試料2は、焼結性向上と高電気抵抗化の抑制とを両立させることが可能であることがわかる。よって、ガスセンサ素子1およびガスセンサ3は、上述した作用効果を奏することが可能であるといえる。
次に、図7は、25mol%ZrO−75mol%Nbの添加量を検討したものである。図7に示すように、25mol%ZrO−75mol%Nb複合酸化物を0.2質量部添加した試料1の相対密度は92.0%だった。一方、上記複合酸化物を0.1質量部添加した試料5の相対密度は89.0%であり、上記複合酸化物の添加による効果が相対的に小さくなった。一方、上記複合酸化物を3質量部添加した試料6の相対密度は92.1%であり、試料1とほぼ同等であった。このことから、上記複合酸化物は、部分安定化または安定化ジルコニア粉末に対して微量の添加で焼結性向上の効果があることが確認された。
また、図8に示すように、25mol%ZrO−75mol%Nb複合酸化物を0.2質量部添加した試料1の酸素イオン輸率は1であった。また、上記複合酸化物を0.1質量部添加した試料5の酸素イオン輸率も試料1と同様に1であった。一方、上記複合酸化物を3質量部添加した試料6の酸素イオン輸率は0.9であり、複合酸化物の添加量を増やすと酸素イオン輸率が低下する傾向が見られることが分かった。つまり、図7および図8の結果から、上記複合酸化物の添加量は比較的微量でも相体密度を向上させることができるため、上記添加量は、本願の効果を確実なものとする観点から、0.1質量部以上とするのがよいといえる。一方、上記複合酸化物の添加量を過度に多くしても焼結性の大幅な向上は見られず、かえって上記添加量が過度に多くなると、固体電解質の酸素イオン輸率が低下して不利になるため、この点から上記添加量は5質量部もあれば十分であることが確認された。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
上記実施例では、上記焼結体よりなる固体電解質がコップ型の形状である場合について例示した。これに限定されることなく、上記焼結体よりなる固体電解質を平板型の形状とすることにより、積層型のガスセンサ素子、ガスセンサとして構成することも可能である。
1 ガスセンサ素子
10 固体電解質
3 ガスセンサ

Claims (6)

  1. 部分安定化または安定化ジルコニア焼結体を固体電解質(10)として用いたガスセンサ素子(1)であって、
    上記部分安定化または安定化ジルコニア焼結体に、15〜35mol%ZrO−85〜65mol%Nbの化学組成を有する複合酸化物が添加されており、
    上記部分安定化または安定化ジルコニアと上記複合酸化物との合計100質量部に対する上記複合酸化物の添加量は、0.1〜5質量部の範囲内とされており、
    上記複合酸化物は、ジルコニア粒界に存在していることを特徴とするガスセンサ素子(1)。
  2. 上記部分安定化または安定化ジルコニア焼結体にAlが添加されていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ素子(1)。
  3. 上記部分安定化または安定化ジルコニアと上記複合酸化物と上記Alとの合計100質量部に対する上記Alの添加量は、0.1〜15質量部の範囲内とされていることを特徴とする請求項に記載のガスセンサ素子(1)。
  4. 上記部分安定化または安定化ジルコニアは、CaO、MgO、Y、Yb、および、Nbから選択される1種または2種以上の安定化剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ素子(1)。
  5. 空燃比センサ素子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガスセンサ素子(1)。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のガスセンサ素子(1)を有することを特徴とするガスセンサ(3)。
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