JP6115232B2 - 非水系二次電池負極用活物質、それを用いた負極及び非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池負極用活物質、それを用いた負極及び非水系二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系二次電池負極用活物質、その材料を用いて形成される非水系二次電池用負極、及び前記負極を備える非水系二次電池に関する。
近年、電気自動車等の開発等を背景に、高エネルギー密度型電池として、非水系二次電池であるリチウムイオン二次電池の研究が盛んに行なわれている。リチウムイオン二次電池については、負極用活物質として、黒鉛等の炭素材料を使用することが知られている。
中でも、黒鉛化度の大きい黒鉛は、リチウムイオン二次電池用の負極用活物質として用いた場合、黒鉛のリチウム吸蔵の理論容量である372mAh/gに近い容量が得られ、さらに、コスト・耐久性にも優れることから、負極用活物質として好ましいことが知られている。
上記のような炭素材料を、リチウムイオン二次電池の負極用活物質として使用した場合、通常、炭素材料の表面に、結着剤等に用いられる高分子化合物や非水系電解液との反応によってSEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれる保護被膜が形成される。SEIにより、炭素材料と電解液との接触が防がれ、活性な炭素材料による電解液の分解等が抑制される。また、負極表面の化学的安定性が保たれることも知られている。
しかしながら、炭素材料を負極用活物質として使用したリチウムイオン二次電池においては、SEI被膜生成や、副反応生成物としてのガス発生によって、初期サイクル時の充放電不可逆容量が増大し、結果として、高容量化に至らないといった課題があった。さらに、安定なSEI被膜が形成されることで、負極における界面抵抗が上昇し、電池の入出力特性が低下するという課題もあった。
上記の問題を解決するために、負極用活物質である炭素材料を高分子などで被覆する技術が知られている。特許文献1には、炭素材料の表面にイオン伝導性高分子や水溶性高分子からなる被覆層が設けられている非水系リチウム二次電池が開示されている。特許文献1によれば、ポリエチレンオキサイド等のイオン伝導性高分子やポリビニルアルコール等の水溶性高分子(スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物)からなる被覆層が、非水電解質層の分解抑制または非水電解質層の構成成分の分解生成物の負極表面上への堆積抑制等の機能を果たすことによって、初期充放電効率の向上、サイクル特性の向上に寄与することが記載されている。
しかしながら、上記のような高分子では炭素材料基材に対する接着性が不十分であり、初期放電効率、サイクル特性、及び安定性が未だ不十分であった。
そこで接着性がよい官能基としてアミノ基が注目され、特許文献2には炭素材料基材に脂肪族アミノ基を側鎖に有する有機高分子を付着させてなる炭素材料が開示されている。特許文献2によれば、有機高分子としてポリアリルアミンが最も好ましく、効果としては有機高分子を付着させて表面改質することにより、非水系二次電池負極用活物質として使用した時の不可逆容量を低減することができると記載されている。
また特許文献3には、炭素材料と炭素材料を被覆する少なくとも第3級窒素原子を主鎖に有する有機高分子とで構成された電極材料が開示されている。この文献には有機高分子としてポリエチレンイミンが最も好ましく、効果としては炭素材料の比表面積を低下させることで放電特性の改善が記載されている。
また特許文献4には、鱗状または鱗片状の天然黒鉛粒子に対し、澱粉の誘導体、粘性多糖類、水溶性セルロース誘導体、ポリウロニドおよび水溶性合成樹脂からなる群から選ばれる一つ以上の界面活性効果材料を吸着または被覆させてなる非水系二次電池の負極用黒鉛粒子が開示されている。界面活性効果材料の効果により、活物質と集電体の密着性が向上し、塗膜強度および塗膜密度が向上し、初期充放電効率・急速充放電特性・サイクル特性・高温保存性が改善することが当該文献に記載されている。
特開平11−120992号公報 特開2002−117851号公報 特開2007−95494号公報 特許第3908890号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の技術では、高分子が電解液中で膨潤してしまうことが一要因となり非水系二次電池の初期充放電効率が低く、また炭素負極に対する高分子被膜の接着性が不十分であることからサイクル特性も満足いくものではない。なお、特許文献1に記載の高分子は、主鎖に非共有電子対を有するが側鎖に脂肪族アミノ基を有していない。
特許文献2に記載の技術では、高分子の被膜のリチウムイオン伝導性が不十分であり負極抵抗が上昇しやすい傾向にあるため、抵抗上昇を抑制した添加量では、初期充放電効率向上効果が不十分であった。なお、特許文献2に記載の高分子は、側鎖に脂肪族アミノ基を有しているが、主鎖には非共有電子対を有する原子を有していない。
特許文献3に記載の技術では、有機高分子の炭素材料への接着性が十分でなく、充放電の繰り返しや高温保存により有機高分子が剥離し、ガスが発生しやすい傾向にあった。これは、アミノ基が主鎖にあるために、炭素材料表面の官能基に対してアクセスしにくいためだと考えられる。なお、特許文献3に記載の高分子は、主鎖に非共有電子対を有する原子を有しているが、側鎖に脂肪族アミノ基を有していない。
特許文献4に記載の技術では、アミノ基等の黒鉛表面への吸着基を持たないため、高分子被膜による黒鉛表面の保護効果が不十分であり、サイクル特性や高温保存性向上効果が十分に得られない傾向があった。
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、非水系二次電池において、負極における抵抗の上昇を抑制しつつ、初期ガス抑制効果をいっそう改善でき、かつ充放電サイクルに伴う初期不可逆容量も低減された非水系二次電池用負極材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、非水系二次電池負極用活物質において、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)(以下、「活物質(A)」ともいう。)に加えて、側鎖に脂肪族アミノ基有し、主鎖に非共有電子対を有する原子を有する高分子(B)(以下、「高分子(B)」ともいう)を含有させることで、負極抵抗の上昇を抑制しつつ、初期不可逆容量を低減し、且つガス発生抑制効果を向上した優れた非水系二次電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、高分子(B)が有する脂肪族アミノ基は、側鎖に存在するため、活物質(A)の表面に存在するカルボキシル基、アルデヒド基などの官能基に効率的に作用し、活物
質(A)の表面の活性を抑制する効果に加え、活物質(A)の表面と高分子(B)との間に高い吸着性を付与することが出来る。
また、高分子(B)が有する非共有電子対は、電解液に溶媒和したリチウムイオンからの脱溶媒和を促進する効果が期待でき、これによって、電解液の還元分解が抑制され初期充放電効率を改善することができる。また、高分子(B)が有する非共有電子対は高分子被膜内のリチウムイオンの拡散を促進することから、負極抵抗の上昇を抑制することが出来る。
なお、上記高分子(B)は単一の化合物であっても二種類以上の化合物が混在していてもよい。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と高分子(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質であって、高分子(B)は側鎖に脂肪族アミノ基を有し、主鎖に非共有電子対を有する原子を有する高分子であることを特徴とする非水系二次電池負極用活物質に存する。
また、本発明の他の要旨は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と下記一般式(1)及び/または(2)で表される構造式を有する化合物を含有することを特徴とする非水系二次電池負極用活物質に存する。
Figure 0006115232
(式(1)又は(2)中、Xは下記一般式(3)〜(6)で表されるいずれかの2価の連結基を表し、Aは直接結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、nは1〜100の整数、mは1〜100の整数、lは1〜100の整数を表す)
Figure 0006115232
(式中、A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10及びA11はそれぞれ独立に直接結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す)
また、本発明の他の要旨は、上記の非水系二次電池負極用活物質を用いて形成されることを特徴とする非水系二次電池用負極に存する。
また、本発明の他の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、負極が、上記の非水系二次電池負極であることを特徴とする非水系二次電池に存する。
本発明による非水系二次電池負極用活物質は、それを非水系二次電池において、負極材として使用した場合、負極抵抗の上昇を抑制しつつ、初期充放電効率、ガス発生抑制効果を向上でき、且つ、初期不可逆容量が低減されたサイクル特性に優れた非水系二次電池を
提供することができる。
以下、本発明の内容を詳細に述べる。なお、以下の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明は、これらの形態に限定されるものではない。
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と高分子(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質であって、高分子(B)は側鎖に脂肪族アミノ基有し、主鎖に非共有電子対を有する原子を有する高分子であることを特徴とする。
<活物質(A)>
本発明の非水系二次電池負極用活物質(以下、単に「本発明の活物質」ともいう。)は活物質(A)を含有する。活物質(A)は、その骨格中にリチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料であれば特に制限されない。
その例としては、黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物に代表される種々の炭素材料、シリコン系材料、スズ系材料が挙げられる。これらについては詳述するが、中でも人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素、シリコン、及びシリコン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがリチウム貯蔵容量、サイクル特性、コストのバランスの点から好ましい。またこれらを炭素質物、例えば非晶質炭素や黒鉛化物で被覆したものを用いても良い。
本発明ではこれらを単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記材料には酸化物やその他金属を含んでいてもよい。
前記活物質(A)の形状は特に制限されず、球状、薄片状、繊維状、不定形粒子などから適宜選択して用いることができるが、好ましくは球状である。
前記炭素材料の種類としては、人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物等が挙げられるが、低コストと電極作製のし易さの点から、人造黒鉛または天然黒鉛が好ましく、天然黒鉛がより好ましい。
これら炭素材料は、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。
前記天然黒鉛としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられる。前記鱗状黒鉛の産地は、主にスリランカであり、前記鱗片状黒鉛の産地は、主にマダガスカル、中国、ブラジル、ウクライナ、カナダ等であり、前記土壌黒鉛の主な産地は、朝鮮半島、中国、メキシコ等である。
これらの天然黒鉛の中で、土壌黒鉛は一般に粒径が小さいうえ、純度が低い。これに対して、鱗片状黒鉛や鱗状黒鉛は、黒鉛化度が高く不純物量が低い等の長所があるため、本発明において好ましく使用することができる。
前記天然黒鉛の形状は、本発明の効果を発揮する観点から、好ましくは球形であり、活物質(A)として特に好ましくは球形化天然黒鉛である。
更に具体的には、高純度化した鱗片状の天然黒鉛に球形化処理を施して得られた球形化天然黒鉛である。前記球形化処理の方法については後述する。
前記人造黒鉛としては、例えば、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を焼成し、黒鉛化したものが挙げられる。
焼成温度は、2500℃以上、3200℃以下の範囲とすることができ、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
前記非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、炭素前駆体を不融化処理し、焼成した粒子が挙げられる。
前記黒鉛化度の小さい炭素質物としては、有機物を通常2500℃未満の温度で焼成したものが挙げられる。有機物としては、コールタールピッチ、乾留液化油などの石炭系重質油;常圧残油、減圧残油などの直留系重質油;原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等の分解系重質油などの石油系重質油;アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素;フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物;チオフェンなどの硫黄含有環状化合物;アダマンタンなどの脂肪族環状化合物;ビフェニル、テルフェニルなどのポリフェニレン;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類;ポリビニルアルコールなどの熱可塑性高分子などが挙げられる。
前記炭素質物の黒鉛化度の程度に応じて、焼成温度は通常600℃以上とすることができ、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上であり、通常2500℃未満とすることができ、好ましくは2000℃以下、より好ましくは1400℃以下の範囲である。
焼成の際、有機物にリン酸、ホウ酸、塩酸などの酸類や、水酸化ナトリウム等のアルカリ類などを混合することもできる。
前記シリコン系材料としては、シリコン、シリコン酸化物等が挙げられる。具体的には、SiO、SiC、(式中x及びyは任意の割合でも可)シリコン−酸化シリコン複合体、またはシリコンとその他金属との合金のうち何れを用いてもよい。中でもリチウム貯蔵容量とサイクル特性の点からシリコン(Si)及びシリコン酸化物が好ましい。
シリコン系材料としては、小粒径、薄膜、多孔質構造などリチウム挿入、脱離時の体積膨張収縮を緩和可能な形態が好ましく、必要に応じて炭素材料やその他活物質材料と複合化して用いる。
前記スズ系材料としては、錫、酸化第一錫、酸化第二錫、または錫アモルファス合金のうち何れを用いてもよい。スズ系材料としては、小粒径、薄膜、多孔質構造などリチウム挿入、脱離時の体積膨張収縮を緩和可能な形態が好ましく、必要に応じて種々の炭素材料やその他、活物質材料と複合化して用いる。
次に、活物質(A)の各種物性について説明する。活物質(A)の物性は、特に制限はないが下記物性のうち、少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(平均粒子径(d50))
活物質(A)の平均粒子径(d50)は、通常1μm以上、50μm以下である。この範囲であれば、負極製造時において極板化した際に、負極形成材料の筋引きなど、工程上の不都合が生ずることを防止することができる。
平均粒子径(d50)は、好ましくは4μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。
なお、本願明細書において、平均粒子径(d50)とは、体積基準のメジアン径を意味する。具体的には、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液10mLに、試料0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定した値として得ることができる。
(タップ密度)
活物質(A)のタップ密度は、通常0.7g/cm以上であり、1.0g/cm以上が好ましい。また、通常1.3g/cm以下であり、1.1g/cm以下が好ましい。
タップ密度が低すぎると、非水系二次電池用の負極に用いた場合に高速充放電特性に劣り、一方タップ密度が高すぎると、負極を構成する材料である粒子内における活物質(A)の密度が高く、負極形成材料の圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
本発明において、タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cmの円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して試料を落下させてセルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行ない、該タップ後の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
(BET法比表面積(SA))
活物質(A)のBET法で測定した比表面積(BET法比表面積)は、通常1m/g以上、11m/g以下である。この範囲であれば、Liイオンが出入りする部位が十分であるため、非水系二次電池用の負極に用いた場合でも良好な高速充放電特性・出力特性が得られ、活物質の電解液に対する活性を制御し、初期不可逆容量を小さくし、さらには高容量化を容易に図ることができる。
BET比表面積は、好ましくは1.2m/g以上、より好ましくは、1.5m/g以上であり、また、好ましくは10m/g以下、より好ましくは9m/g以下、さらに好ましくは8m/g以下である。
なお、本願明細書において、BET法比表面積は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET5点法にて測定した値とする。
(X線パラメータ)
活物質(A)が炭素材料である場合、該炭素材のX線広角回折法による(002)面の面間隔d002は、通常0.335nm以上、0.340nm未満、好ましくは0.339nm以下であり、より好ましくは0.337nm以下である。d002値が0.340nm未満であれば、適切な結晶性が得られ、非水系二次電池用の負極に用いた場合に初期不可逆容量の増加が抑制できる。なお、0.335nmは黒鉛の理論値である。
(ラマンR値)
活物質(A)が炭素材料である場合、該炭素材のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して定義する。
R値は通常0.01以上、1以下であり、0.6以下が好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が乱れ、電解液との反応性が増し、非水系二次電池用の負極に用いた場合に効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料を充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルを照射したレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :532nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
(活物質(A)の製造方法)
以上説明した活物質(A)は種々の公知の方法により製造可能であり、その製造方法は特に制限されない。ここでは、本発明において活物質(A)として好ましく用いられる球形化天然黒鉛について、天然黒鉛を原料とし、球形化天然黒鉛を製造する製造方法について説明する。
球形化天然黒鉛は天然黒鉛に球形化処理を施すことで得られるものである。その球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いることができる。
具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された天然黒鉛原料に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。
球形化処理を施すことにより、鱗片状の天然黒鉛が折りたたまれるか、もしくは周囲エッジ部分が球形粉砕されて、母体粒子は球状となる。その母体粒子に、粉砕により生じた主に5μm以下の微粉が付着する。なお、球形化処理後の天然黒鉛の表面官能基量O/C値が通常1%以上、4%以下となる条件で、球形化処理を行うことが好ましい。
この際には、機械的処理のエネルギーにより天然黒鉛表面の酸化反応を進行させ、天然黒鉛表面に酸性官能基を導入することができるよう、活性雰囲気下で球形化処理を行うことが好ましい。例えば前述の装置を用いて処理する場合には、回転するローターの周速度を通常30〜100m/秒とし、40〜100m/秒にすることが好ましく、50〜100m/秒にすることがより好ましい。
(被覆処理)
本発明に使用される活物質(A)は、その表面の少なくとも一部が炭素質物によって被覆されていてもよい。この被覆の態様は走査型電子顕微鏡(SEM)写真等で確認することができる。
なお、被覆処理に用いる炭素質物としては非晶質炭素及び黒鉛化物が挙げられるが、それらは後述する被覆処理における焼成温度の相違によって、得られるものが異なる。
具体的には、前記炭素質物の炭素前駆体として、以下の(1)又は(2)に記載の材料が好ましい。
(1)石炭系重質油、直流系重質油、分解系石油重質油、芳香族炭化水素、N環化合物、S環化合物、ポリフェニレン、有機合成高分子、天然高分子、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1の炭化可能な有機物。
(2)上記(1)に示した炭化可能な有機物を低分子有機溶媒に溶解させたもの。
上記(1)又は(2)の中でも石炭系重質油、直流系重質油、若しくは分解系石油重質油、またはこれらを低分子有機溶媒に溶解させたものが、焼成後の炭素質物が均一に被覆されるのでより好ましい。
被覆処理においては、例えば活物質(A)として球形化天然黒鉛を用いて核黒鉛とした場合に、炭素質物を得るための炭素前駆体を被覆原料として、これらを混合、焼成することで、炭素質物が被覆された活物質(A)が得られる。
焼成温度を、通常600℃以上、好ましくは700℃以上、より好ましくは900℃以上、通常2000℃以下、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1200℃以下と
すると炭素質物として非晶質炭素が得られる。
また焼成温度を通常2000℃以上、好ましくは2500℃以上、通常3200℃以下で熱処理を行うと炭素質物として黒鉛化物が得られる。
前記非晶質炭素とは結晶性の低い炭素であり、前記黒鉛化物とは結晶性の高い炭素である。
<高分子(B)>
本発明の高分子(B)は、側鎖に脂肪族アミノ基を有し、主鎖に非共有電子対を有する原子を有する高分子である。高分子(B)は単一の化合物であっても二種類以上の化合物が混在していてもよい。
本発明において非共有電子対を有する原子は、リチウムイオンに配位することができる原子であり、電解液と溶媒和したリチウムイオンからの脱溶媒和を促進する効果が期待でき、これによって、電解液の還元分解が抑制され初期充放電効率を改善することができる。
非共有電子対を有する原子としては、例えば硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、酸素原子、リン原子などが挙げられる。中でも、リチウムイオンへの配位性の点から硫黄原子、リン原子、酸素原子が好ましく、特に好ましくは硫黄原子である。また、具体的な非共有電子対を有する原子を含む主鎖構造としては、スルホン基、スルホニル基、ホスホリル基、ボロニル基、オキシエチレン基等が挙げられるが、リチウムイオンの配位性、伝導性の高さからスルホニル基やリン酸基の構造を持つことが好ましく、特に好ましくはスルホニル基である。
本発明において脂肪族アミノ基は、活物質(A)の表面に存在するカルボキシル基、アルデヒド基などの官能基に効率的に作用し、活物質(A)の表面の活性を抑制する効果に加え、活物質(A)の表面と高分子(B)との間に高い吸着性を付与することが出来る。高分子(B)の脂肪族アミノ基としては、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基が挙げられる。これらの中でも二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基が好ましく、活物質(A)の表面の官能基との接着性、または反応性が高い点で、二級アミノ基、三級アミノ基が特に好ましい。
高分子(B)が非水系二次電池負極用活物質の表面に吸着及び/又は結合している形態を確認する方法としては、アルゴン、窒素、ヘキサン、トルエン、2,2,3-トリメチ
ルブタン等の各種ガス吸着量測定により高分子(B)の吸着及び/又は結合量を算出する方法や、電界放射型走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(SEM−EDX)分析、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(TEM−EDX)分析などの方法が挙げられる。
また、本発明の非水系二次電池負極用活物質の電解液に対する耐性が向上し、活物質(A)に吸着/又は結合した高分子(B)が電解液に溶出しにくくなる点から、高分子(B)は非水系電解液に難溶性であるものがより好ましい。なお、非水系電解液に難溶とは高分子(B)をエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した溶媒に24時間浸漬した場合において、浸漬前後の乾燥重量減少率が10質量%以下であることを意味する。
高分子(B)の重量平均分子量は特に制限されないが、通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは2500以上である。一方前記重量平均分子量は、通常100万以下、好ましくは50万以下、より好ましくは30万以下、更に好ましくは10万以下、特に好ましくは1万以下である。
なお、本明細書において重量平均分子量とは、溶媒をテトラヒドロフラン(THF)としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量あるいは、溶媒が水系あるいはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)あるいはジメチルスルホキシド(DMSO)のGPCにより測定した標準ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量である。
高分子(B)を構成する構造単位が由来するモノマーとしては、脂肪族アミノ基を有するモノマーと非共有電子対を有する原子とを有するモノマーが挙げられる。また、非共有電子対を有する原子と脂肪族アミノ基とを共に有するモノマーであってもよい。
この場合、高分子(B)は、脂肪族アミノ基を有し、脂肪族アミノ基の窒素原子以外には非共有電子対を有する原子を有さないモノマーと、非共有電子対を有する原子を有し、脂肪族アミノ基を有さないモノマーとの共重合体であってもよいし、脂肪族アミノ基の窒素原子以外の非共有電子対を有する原子と脂肪族アミノ基とを共に有するモノマーの重合体であってもよい。また、脂肪族アミノ基を有するモノマーの重合体と脂肪族アミノ基の窒素原子以外の非共有電子対を有する原子を有するモノマーの重合体の混合物/又は反応物であってもよい。
中でも、電解液中で非水系二次電池負極用活物質における活物質(A)を被覆している高分子(B)の安定性の点から、高分子(B)は脂肪族アミノ基を有し、脂肪族アミノ基の窒素原子以外には非共有電子対を有する原子を有さないモノマーと、非共有電子対を有する原子を有し、脂肪族アミノ基を有さないモノマーとの共重合体であることが好ましい。
なお、前記モノマーが有する脂肪族アミノ基としては、上述したアミノ基と同様であるが、中でも二級アミノ基、三級アミノ基又はそれらの塩が電池内での安定性と抵抗上昇抑制の点から好ましい。
脂肪族アミノ基を有し、脂肪族アミノ基の窒素原子以外には非共有電子対を有する原子を有さないモノマーの例としては、アリルアミン、ビニルアミン、ジアリルアミン、Nメチルジアリルアミン又はN,Nジメチルジアリルアンモニウム等が挙げられる。
更に、脂肪族アミノ基の窒素原子以外の非共有電子対を有する原子を有し、脂肪族アミノ基を有さないモノマーの例としては、リン酸化物、硫黄酸化物、有機酸、ホウ素化合物等が挙げられる。好ましくはリン酸、二酸化硫黄、ホウ酸、脂肪酸であり、より好ましくは二酸化硫黄が挙げられる。
脂肪族アミノ基の窒素原子以外の非共有電子対を有する原子と脂肪族アミノ基を有するモノマーの例としては、タウリン、スルホンアミド等が挙げられる。
このようなモノマーに由来する構造単位を含むポリマーの具体的な例としては、具体的には下記式(1)または(2)で表される構造式を有するものが挙げられる。
Figure 0006115232
(式(1)又は(2)中、Xは下記一般式(3)〜(6)で表されるいずれかの2価の連結基を表し、Aは直接結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、nは1〜100の整数、mは1〜100の整数、lは1〜100の整数で表される)
Figure 0006115232
上記式(2)〜(6)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、A、A10及びA11は、それぞれ独立して直接結合又は炭素数1〜20のアルキレン基であり、負極抵抗の増加抑制の点から、好ましくは、直接結合又は炭素数1〜15のアルキレン基であり、更に好ましくは、直接結合又は炭素数1〜10のアルキレン基であり、特に好ましくは直接結合、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基である。
上記式(3)〜(6)におけるR、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。材料の入手し易さの点から、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基又はプロピル基である。また、ここでいう置換基としては、特に限定はされないが、好ましくは、ハロゲン、カルボン酸、炭酸、スルホン酸、リン酸、亜リン酸等の置換基が挙げられ、より好ましくはハロゲン、更に好ましくはフッ素、塩素である。
上記式(1)において、Xは好ましくは式(5)又は式(6)であり、より好ましくは
式(5)である。式(5)及び式(6)の好ましい形態は後述する。また、上記式(1)におけるnは、通常1〜100の整数であり、負極抵抗の増加抑制の点から、好ましくは、10〜40の整数であり、特に好ましくは15〜30の整数である。
上記式(2)において、Xは好ましくは式(5)又は式(6)であり、より好ましくは式(5)である。式(5)及び式(6)の好ましい形態は後述する。また、上記式(2)においてAは好ましくは直接結合、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくは直接結合又はメチレン基である。上記式(2)におけるXとAの好ましい組み合わせとしては、Xが式(5)であり、Aが直接結合又はメチレン基であるのが好ましい。上記式(2)におけるl及びmは、それぞれ独立して通常1〜100の整数で
あり、負極抵抗の増加抑制の点から、好ましくは、10〜40の整数であり、特に好ましくは15〜30の整数である。
上記式(3)において、A、A及びAとR及びRの好ましい組み合わせとしては、A、A及びAがそれぞれ独立して直接結合、メチレン基又はエチレン基であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であるのが好ましい。より好ましくは、A、A及びAがそれぞれ独立して直接結合又はメチレン基であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であるのが好ましい。
上記式(4)において、A、A及びAとR、R及びRの好ましい組み合わせとしては、A、A及びAがそれぞれが独立して直接結合、メチレン基又はエチレン基であり、R、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であるのが好ましい。より好ましくは、A、A及びAがそれぞれ独立して直接結合又はメチレン基であり、R、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であるのが好ましい。
上記式(5)において、A及びAとRの好ましい組み合わせとしては、A及びAがそれぞれ独立して直接結合、メチレン基又はエチレン基であり、Rが水素原子、メチル基又はエチル基であるのが好ましい。より好ましくは、A及びAがそれぞれ独立して直接結合又はメチレン基であり、Rが水素原子又はメチル基であるのが好ましい。
上記式(6)において、A10及びA11とR及びRの好ましい組み合わせとしては、A10及びA11がそれぞれ独立して直接結合、メチレン基又はエチレン基であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であるのが好ましい。より好ましくは、A10及びA11がそれぞれ独立して直接結合又はメチレン基であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であるのが好ましい。
高分子(B)の特に好ましい態様としては、上記式(1)で表される高分子であり、Xが上記式(5)又は(6)であり、A、A、A10及びA11がメチレン基であり、R、R及びRが水素原子であることが好ましい。
また、高分子(B)は酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩、アミド硫酸塩、アンモニウム塩等の塩の形態であってもよい。また、アミン部分が部分尿素化等変性されたものであってもよい。
また、上記式(1)及び/又は(2)の構造式を有する化合物は、上記構造以外にも、その他ビニル系、スチレン系、アクリル系、メタクリル系等のモノマーと共重合してもよい。
以上説明した高分子(B)は、市販されているものを使用してもよいし、公知の方法により合成することもできる。なお、本発明において高分子(B)は上述した高分子の中から1種の高分子を単独で又は2種以上の高分子を組み合わせて使用することができる。
<有機化合物(C)>
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、その他の成分を含有していてもよく、例えばπ共役構造を有する有機化合物(C)を含有することが挙げられる。更に有機化合物(C)は非水電解液に難溶性であるものがより好ましい。このπ共役構造は、活物質が有するπ平面構造部分と作用することによって、活物質表面を選択的に被覆するため、ガスの発生を効果的に抑制し、負極抵抗の上昇を抑制することが可能であると考えられる。また、有機化合物(C)が非水電解液に難溶であることによって、本発明の非水系二次電池負極用活物質の電解液に対する耐性が向上し、負極活物質層の皮膜が電解液に溶出しにくくなる。
なお、本明細書において、前記π共役構造を有する化合物とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ構造を持つ不飽和環状化合物であって、ヒュッケル則を満たし、π電子が環上で非局在化し、環が平面構造をとっているものである。
このようなπ共役構造を有する化合物としては、単環の5員環であるフラン、ピロール、イミダゾール、チオフェン、ホスホール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、単環の6員環であるベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、二環の5員環+6員環であるベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、ベンゾチオフェン、ベンゾホスホール、ベンゾイミダゾール、プリン、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、二環の6員環+6員環であるナフタレン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、多環のアントラセン、ピレン等の骨格を有する環が挙げられる。
これらの中でも、非水系二次電池とした場合にガスの発生を抑制する観点から、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい。
前記非水電解液に難溶な有機化合物(C)としては、π共役構造を有することに加え、イオン性基を有していることが好ましい。イオン性基とは、水中でアニオン又はカチオンを生じうる基であり、その例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びこれらの塩が挙げられる。前記塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。これらの中でも、非水系二次電池とした場合の初期不可逆容量の観点から、スルホン酸基及びそのリチウム塩もしくはナトリウム塩が好ましい。
また、有機化合物(C)は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、ガスの発生を効果的に抑制する観点からは、高分子化合物であることが好ましい。
前記低分子化合物の例としては、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、アントラセンスルホン酸、アントラセンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
また、有機化合物(C)の重量平均分子量は特に制限されないが、通常200以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは2500以上である。一方前記重量平均分子量は、通常100万以下、好ましくは50万以下、より好ましくは30万以下、更に好ましくは20万以下である。なお、本明細書において重量平均分子量とは、溶媒THFのGPCにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量あるいは、溶媒が水系あるいはDMFあるいはDMSOのGPCにより測定した標準ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量である。
このような有機化合物(C)としては、イオン性基と芳香環を有する高分子(ポリマー)が挙げられる。当該ポリマーを構成する構造単位が由来するモノマーとしては、イオン性基と芳香環とを有するモノマーが挙げられる。また前記ポリマーは、イオン性基を有し
、芳香環を有さないモノマーと、芳香環を有し、イオン性基を有さないモノマーとの共重合体であってもよい。
前記イオン性基と芳香環とを有するモノマーの例としては、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸リチウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ビニル及び安息香酸ビニルの塩が挙げられる。
更に、前記イオン性基を有し、芳香環を有さないモノマーの例としては、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸リチウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸リチウム等、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸リチウム等が挙げられ、前記芳香環を有し、イオン性基を有さないモノマーの例としては、スチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられる。
このようなモノマーに由来する構造単位を含むポリマーの具体的な例としては、スチレン−ビニルスルホン酸共重合体、スチレン−ビニルスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−ビニルスルホン酸リチウム共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸リチウム共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、ポリビニル安息香酸、ポリビニル安息香酸リチウム、ポリビニル安息香酸ナトリウム、スチレン−ビニル安息香酸共重合体、スチレン−ビニル安息香酸リチウム共重合体、スチレン−ビニル安息香酸ナトリウム共重合体等が挙げられ、ガスの発生を効果的に抑制する観点から、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸リチウム共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、ポリビニル安息香酸、ポリビニル安息香酸リチウム、ポリビニル安息香酸ナトリウム、スチレン−ビニル安息香酸共重合体、スチレン−ビニル安息香酸リチウム共重合体及びスチレン−ビニル安息香酸ナトリウム共重合体が好ましく、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−スチレンスルホン酸リチウム共重合体及びスチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体がより好ましく、中でもポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−スチレンスルホン酸リチウム共重合体及びスチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体が特に好ましい。
以上説明した有機化合物(C)は、市販されているものを使用してもよいし、公知の方法により合成することもできる。なお、本発明において1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<その他の成分>
また、本発明の非水系二次電池負極用活物質において、活物質(A)、高分子(B)以外に含んでいてもよいその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではないが、その他の成分の具体例としてポリエチレングリコール、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリジアリルアミン、多糖類、オリゴ糖類、ポリアミノ酸類、ポリビニルアルコール、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体、ポリアニソールスルホン酸ナトリウム、ポリアニリンスルホン酸、ポリベンジルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルスルホン酸、シリコン樹脂等が挙げられる。
その他の成分の重量平均分子量は特に制限されないが、通常200以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは2500以上である。一方前記重量平均分子量は、通常100万以下、好ましくは50万以下、より好ましくは30万
以下、更に好ましくは20万以下である。
<非水系二次電池負極用活物質>
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、以上説明した活物質(A)、高分子(B)を必須成分として含み、さらに有機化合物(C)等のその他の成分を含んでいてもよい。
また、本明細書において「活物質(A)、高分子(B)を含有する」とは、活物質(A)と高分子(B)が混合された状態、活物質(A)の表面に高分子(B)が付着した状態、活物質(A)の細孔内に高分子(B)が付着している状態等を表し、活物質(A)と高分子(B)との状態の関係性によらない。
活物質(A)と高分子(B)との状態は、例えば、電界放射型走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線(SEM−EDX)分析、X線光電子分光法(XPS)分析等の手法を用いて非水系二次電池負極用活物質の粒子断面を観察することにより確認することができる。これらの確認方法は、非水系二次電池負極用活物質が製造された時点で行なってもよいし、本発明に係る非水系二次電池負極用活物質を含む負極や非水系二次電池として製造された製品について行なってもよい。
(非水系二次電池負極用活物質の製造方法)
本発明に係る非水系二次電池負極用活物質は、例えば以下の方法により製造することができるが、本発明の非水系二次電池負極用活物質はその製造方法に限定されるものではない。
高分子(B)を溶媒に加え、その溶液(以下、高分子(B)の溶液と呼ぶことがある)を、活物質(A)と混合した後、加熱又は/及び減圧によって乾燥させることによって、活物質(A)及び高分子(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質を得ることができる。
また、活物質(A)を分散させたスラリーの作製時に、高分子(B)の溶液を添加することが好ましい。これは、負極板に非水系二次電池負極用活物質を塗布した後に、高分子(B)の溶媒を乾燥することでも、初期充放電効率改善、ガス発生抑制効果が得られ、製造プロセスを簡略化できるためである。
前記活物質(A)を分散させたスラリーとは、非水系二次電池用負極を作製するために、本発明に係る非水系二次電池負極用活物質を負極用の電極表面に塗布する工程で用いられる態様の一つである。
また、活物質表面を均一にコートできる点から、高分子(B)の溶液と活物質(A)を混合した後、その混合液を濾過または乾燥させてもよい。
有機化合物(C)等のその他の成分を混合する場合は、高分子(B)の溶液、及び活物質(A)を混合した後、その混合液を濾過または乾燥させることなく、有機化合物(C)等のその他の成分を混合してもよいし、高分子(B)の溶液、及び活物質(A)を混合した後、その混合液を濾過または乾燥させ、その後有機化合物(C)等のその他の成分を混合してもよい。
なお、使用する溶媒は、高分子(B)が溶解すれば、特に限定されないが、好ましくは水やエチルメチルケトン、トルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノール等が挙げられる。中でも水、エチルメチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノールがコストや乾燥のし易さからより好ましい。
活物質(A)と混合する際の、溶媒中の高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分の濃度は、それぞれ溶媒に対して通常0.01質量%以上、70質量%以下である。この範囲であれば、非水系二次電池負極用活物質中、高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分が活物質(A)の表面に均一に存在することが期待でき、効率的に効
果が得られる。
前記溶媒中の高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分の濃度は、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
ただし、上記の溶媒中の高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分の濃度は、活物質(A)と接触させる際の溶液の濃度であって、高分子(B)の溶液と有機化合物(C)等のその他の成分の溶液とを活物質(A)と同時に混合する場合、またはこれらの溶液を混合した後に活物質(A)と混合する場合は、高分子(B)と有機化合物(C)等のその他の成分の合計についての濃度であり、高分子(B)の溶液又は有機化合物(C)等のその他の成分の溶液のいずれかと活物質(A)を混合した後に他方の溶液を加える場合は、高分子(B)の溶液、有機化合物(C)等のその他の成分の溶液のそれぞれの濃度である。
また、高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分の添加量は適宜調整可能であり、上述した、本発明の非水系二次電池負極用活物質中における好ましい含有量となるように添加量を調節することが好ましい。
高分子(B)及び/又は有機化合物(C)等のその他の成分の溶液について加熱により乾燥を行なう場合、温度は、通常50℃以上、300℃以下である。この範囲であれば、乾燥効率が十分であり、かつ溶媒残存による電池性能の低下が避けられ、かつ高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分の分解防止や、活物質(A)と高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分との相互作用が弱くなることによる効果の低減防止を容易に図ることができる。前記温度は、好ましくは250℃以下であり、また、好ましくは100℃以上である。
高分子(B)及び/又は有機化合物(C)等のその他の成分の溶液について減圧により乾燥を行なう場合、圧力は、ゲージ圧表記で通常0MPa以下、−0.2MPa以上である。この範囲であれば、比較的効率よく乾燥を行うことができる。圧力は、好ましくは−0.03MPa以下であり、また、好ましくは−0.15MPa以上である。
乾燥に先立ち、活物質(A)、高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分を含む溶液を濾過してもよい。これにより活物質(A)に付着していない高分子(B)及び有機化合物(C)等のその他の成分の除去効果が期待できる。
(高分子(B)の含有量)
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、活物質(A)及び高分子(B)を含有していれば、特に限定されないが、高分子(B)の含有量は、活物質(A)に対して、通常0.01質量%以上とすることができ、また、通常10質量%以下とすることができる。この範囲であれば、高分子(B)の添加によって、負極抵抗が上昇して充電速度が遅くなる、あるいは充放電が不可能になるといった事態を容易に回避することができ、また、高分子(B)の添加による炭素材料の比表面積の低下効果が十分で、良好なサイクル特性・充電速度が容易に得られる。高分子(B)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、とりわけ好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.3質量%以下である。
高分子(B)の含有量は、原則として、製造時における添加量から算出することができるが、例えば、濾過を行なった場合は、得られた炭素材料のTG−DTA分析における重量減少から算出することができる。
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、高分子(B)以外に有機化合物(C)等のその他の成分を含有していてもよい。高分子(B)以外の有機化合物の含有量は特に限定さ
れないが、活物質(A)に対して、通常0.01質量%以上、10質量%以下が好ましい。
(非水系二次電池負極用活物質の特性)
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、以下の物性を示すものが好ましい。
本発明の非水系二次電池負極用活物質の平均粒子径(d50)は、通常50μm以下とすることができ、また、通常1μm以上とすることができる。この範囲であれば、負極製造の際に、極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が生ずることを防止することができ、一方、表面積を適切な範囲に留め、電解液との活性を容易に制御することができる。平均粒子径(d50)は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下であり、また、好ましくは4μm以上、より好ましくは10μm以上である。
本発明の非水系二次電池負極用活物質のBET法で測定した比表面積は、通常1m/gとすることができ、また、通常11m/g以下とすることができる。この範囲であれば、Liが出入りする部位が十分で、良好な高速充放電特性・出力特性が得られ、活物質の電解液に対する活性を制御し、初期不可逆容量を小さくし、高容量化を容易に図ることができる。比表面積は、好ましくは1.2m/g以上、より好ましくは、1.5m/g
以上であり、また、好ましくは10m/g以下、より好ましくは9m/g以下、さらに好ましくは8m/g以下である。本願明細書において、BET比表面積は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET5点法にて測定した値とする。
本発明の非水系二次電池負極用活物質における、高分子(B)の溶出性は、塩を含まない非水系溶媒に、室温(25℃)で非水系二次電池負極用活物質を5時間浸漬した際に、溶液への高分子(B)の溶出量を測定することにより評価することができる。高分子(B)の溶出量の測定方法としては、非水系二次電池負極用活物質を非水系溶媒成分に浸漬した後、上澄みを回収して乾燥して溶媒を飛ばし、NMRやGPCにおける100%溶出した場合のピーク強度に対する、溶出成分のピーク強度の割合で算出する方法が挙げられる。
溶出量は、非水系二次電池負極用活物質に含有される高分子(B)全量の通常20質量%以下とすることができ、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。極板の強度の観点から5質量%以下であることが特に好ましい。
上記溶出性の評価で使用される非水系溶媒は、非水系電解液の溶媒として公知の非水系溶媒の中から適宜選択して用いることができ、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類が挙げられる。非水系溶媒は、単独でも、又は二種以上を併用してもよい。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組み合わせが好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートであることが好ましい。
<その他の材料との混合>
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、以下で規定されるその他の材料を含んでいてもよい。非水系二次電池負極用活物質とその他の材料の組合せは、それぞれを一種、又は二種以上を任意の組成及び組み合わせで併用して、非水系二次電池の負極用活物質として好適に使用することができる。
上述の非水系二次電池負極用活物質にその他の材料を混合する場合、非水系二次電池負極用活物質とその他の材料の総量に対する非水系二次電池負極用活物質の混合割合は、特に制限はないが、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下の範囲である。その他の材料の混合割合が、前記範囲を下回ると、添加した効果が現れ難い傾向がある。一方、前記範囲を上回ると、非水系二次電池負極用活物質の特性が現れ難い傾向がある。
<その他の材料>
その他の材料としては、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、加圧処理されていない炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した被覆黒鉛、非晶質炭素、金属粒子、金属化合物の中から選ばれる材料を用いることができる。これらの材料は、何れかを一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び組成で併用しても良い。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した炭素材や球形化した天然黒鉛を用いることができる。本発明でいう高純度化とは、通常、塩酸、硫酸、硝酸、弗酸などの酸中で処理する、若しくは複数の酸処理工程を組み合わせて行なうことにより、低純度天然黒鉛中に含まれる灰分や金属等を溶解除去する操作のことを意味し、通常、酸処理工程の後に水洗処理等を行ない高純度化処理工程で用いた酸分の除去をする。また、酸処理工程の代わりに2000℃以上の高温で処理することにより、灰分や金属等を蒸発、除去しても構わない。また、高温熱処理時に塩素ガス等ハロゲンガス雰囲気で処理することにより灰分や金属等を除去しても構わない。更にまた、これらの手法を任意に組み合わせて用いても良い。
天然黒鉛の体積基準平均粒径は、通常8μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。平均粒径が大きすぎるとこの粒径範囲を超えると極板化した際に筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向や、充放電負荷特性が低下する傾向がある。また、この粒径範囲を下回ると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
天然黒鉛のBET比表面積は、通常3.5m/g以上、好ましくは4.5m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以下の範囲である。比表面積が大きすぎると負極活物質として用いた時に電解液に露出した部分と電解液との反応性が増加し、充放電効率の低下や、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい傾向があり、比表面積が小さすぎると負極活物質として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる傾向がある。
また、天然黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
人造黒鉛としては、炭素材を黒鉛化した粒子等が挙げられ、例えば、単一の黒鉛前駆体粒子を粉状のまま焼成、黒鉛化した粒子や、複数の黒鉛前駆体粒子を成形し焼成、黒鉛化し解砕した造粒粒子などを用いることができる。
人造黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。平均粒径が大きすぎるとこの粒径範囲を超えると極板化した際に筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向や、充放電負荷特性が低下する傾向がある。また、この粒径範囲を下回ると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
人造黒鉛のBET比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは1.0m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以下、更に好ましくは4m/g以下の範囲である。比表面積が大きすぎると負極活物質として用いた時に電解液に露出した部分と電解液との反応性が増加し、充放電効率の低下や、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい傾向があり、比表面積が小さすぎると負極活物質として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる傾向がある。
また、人造黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.5g/cm以下、1.4g/cm以下が好ましく、1.3g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
加圧処理されていない炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した被覆黒鉛としては、例えば、加圧処理されていない天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質前駆体を被覆、焼成及び/又は黒鉛化した粒子や、加圧処理されていない天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質をCVDにより被覆した粒子を用いることができる。
被覆黒鉛の体積基準平均粒径は、通常8μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。平均粒径が大きすぎるとこの粒径範囲を超えると極板化した際に筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向や、充放電負荷特性が低下する傾向がある。また、この粒径範囲を下回ると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
被覆黒鉛のBET比表面積は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、更に好ましくは2.5m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以下、更に好ましくは4m/g以下の範囲である。比表面積が大きすぎると負極活物質として用いた時に電解液に露出した部分と電解液との反応性が増加し、充放電効率の低下や、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい傾向があり、比表面積が小さすぎると負極活物質として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる傾向がある。
また、被覆黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、易黒鉛化性有機化合物を不融化処理し、焼成した粒子を用いることができる。
非晶質炭素の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。平均粒径が大きすぎるとこの粒径範囲を超えると極板化した際に筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向や、充放電負荷特性が低下する傾向がある。また、この粒径範囲を下回ると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
非晶質炭素のBET比表面積は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、更に好ましくは2.5m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以
下、更に好ましくは4m/g以下の範囲である。比表面積が大きすぎると負極活物質として用いた時に電解液に露出した部分と電解液との反応性が増加し、充放電効率の低下や、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい傾向があり、比表面積が小さすぎると負極活物質として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる傾向がある。
また、非晶質炭素のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
金属粒子としては、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Ag、Si、Sn、Al、Zr、Cr、P、S、V、Mn、Nb、Mo、Cu、Zn、Ge、In、Ti等からなる群から選ばれる金属又はその化合物が好ましい。また、2種以上の金属からなる合金を使用しても良く、金属粒子が、2種以上の金属元素により形成された合金粒子であってもよい。これらの中でも、Si、Sn、As、Sb、Al、Zn及びWからなる群から選ばれる金属又はその化合物が好ましい。
金属粒子の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。平均粒径が大きすぎるとこの粒径範囲を超えると極板化した際に筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向や、充放電負荷特性が低下する傾向がある。また、この粒径範囲を下回ると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
金属粒子のBET比表面積は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、更に好ましくは2.5m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以下、更に好ましくは4m/g以下の範囲である。比表面積が大きすぎると負極活物質として用いた時に電解液に露出した部分と電解液との反応性が増加し、充放電効率の低下や、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい傾向があり、比表面積が小さすぎると負極活物質として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる傾向がある。
また、金属粒子のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内金属密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
金属化合物としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等が挙げられる。また、2種以上の金属からなる合金を使用しても良い。
この中でも、Si又はSi化合物が高容量化の点で、好ましい。Si化合物としては、具体的には、SiOx,SiNx,SiCx、SiZxOy(Z=C、N)などが挙げられ、好ましくは、一般式で表すとSiOxである。この一般式SiOxは、二酸化Si(SiO)と金属Si(Si)とを原料として得られるが、そのxの値は通常0≦x<2である。SiOxは、黒鉛と比較して理論容量が大きく、更に非晶質SiあるいはナノサイズのSi結晶は、リチウムイオン等のアルカリイオンの出入りがしやすく、高容量を得ることが可能となる。
具体的には、SiOxと表されるものであり、xは通常0≦x<2であり、より好ましくは、0.2以上、1.8以下、更に好ましくは、0.4以上、1.6以下、特に好ましくは、0.6以上、1,4以下である。この範囲であれば、高容量であると同時に、Li
と酸素との結合による不可逆容量を低減させることが可能となる。
金属化合物の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。平均粒径が大きすぎるとこの粒径範囲を超えると極板化した際に筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向や、充放電負荷特性が低下する傾向がある。また、この粒径範囲を下回ると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
金属化合物のBET比表面積は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、更に好ましくは2.5m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以下、更に好ましくは4m/g以下の範囲である。比表面積が大きすぎると負極活物質として用いた時に電解液に露出した部分と電解液との反応性が増加し、充放電効率の低下や、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい傾向があり、比表面積が小さすぎると負極活物質として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる傾向がある。
また、金属化合物のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm以下、1.2g/cm以下が好ましく、1.1g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内金属密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
<非水系二次電池負極用活物質とその他の材料の混合>
非水系二次電池負極用活物質とその他の材料との混合に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、Pugmill
型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
<非水系二次電池負極用活物質とその他の材料との混合材>
非水系二次電池負極用活物質とその他の材料との混合材の物性は以下のような物性であることが好ましい。
本発明の非水系二次電池負極用活物質とその他の材料との混合材の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。平均粒径が大きすぎるとこの粒径範囲を超えると極板化した際に筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向や、充放電負荷特性が低下する傾向がある。また、この粒径範囲を下回ると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
本発明の非水系二次電池負極用活物質とその他の材料との混合材のBET比表面積は、通常1.5m/g以上、好ましくは2.0m/g以上、また、通常8m/g以下、好ましくは6m/g以下の範囲である。比表面積が大きすぎると負極活物質として用いた時に電解液に露出した部分と電解液との反応性が増加し、充放電効率の低下や、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい傾向があり、比表面積が小さすぎると負極活物質として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる傾向がある。
また、本発明の非水系二次電池負極用活物質とその他の材料との混合材のタップ密度は、通常0.6g/cm以上、0.7g/cm以上が好ましく、0.8g/cm以上がより好ましく、0.85g/cm以上が更に好ましい。また、通常1.4g/cm以下、1.3g/cm以下が好ましく、1.2g/cm以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
<非水系二次電池用負極>
本発明はまた、本発明の非水系二次電池負極用活物質を用いて形成される非水系二次電池用負極に関し、当該負極として例えば、リチウムイオン二次電池用負極が挙げられる。非水系二次電池用負極の製造方法や本発明の非水系二次電池負極用活物質以外の材料の選択については、特に限定されない。
本発明の非水系二次電池用負極は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備え、かつ活物質層が少なくとも本発明の非水系二次電池負極用活物質を含有するものであることができる。活物質層は、好ましくは、さらにバインダを含有する。
バインダは、特に限定されないが、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものが好ましい。具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
このような分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダと、本発明の非水系二次電池負極用活物質とを組み合わせて用いることにより、負極板の強度を高くすることができる。負極板の強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダは、分子量が大きいものか、及び/又は不飽和結合の割合が大きいものが好ましい。分子量としては、重量平均分子量を1万以上とすることができ、また、100万以下とすることができる。この範囲であれば、機械的強度及び可撓性の両面を良好な範囲に制御できる。重量平均分子量は、好ましくは5万以上であり、また、好ましくは30万以下の範囲である。
不飽和結合の割合としては、全バインダの1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数を2.5×10−7以上とすることができ、また、1×10−6以下とすることができる。この範囲であれば、強度向上効果が十分に得られ、可撓性も良好である。モル数は、好ましくは8×10−7以上であり、また、好ましくは5×10−6以下である。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダについては、その不飽和度を、15%以上とすることができ、また、90%以下とすることができる。不飽和度は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上であり、また、好ましくは80%以下である。本願明細書において、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位に対する二重結合の割合(%)を表す。
バインダとして、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、使用することができる。分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダにオレフィン性不飽和結合を有さないバインダを併用することによって、塗布性の向上等が期待できる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダ100質量%とした場合、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、活物質層の強度が低下するのを抑制するため、150質量%以下とすることができ、好ましくは120質量%以下である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギーナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、あるいは或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
活物質層には、負極の導電性を向上させるために、導電剤を含有させてもよい。導電剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の非水系二次電池負極用活物質に対して、10質量%以下であることが好ましい。
本発明の負極は、本発明の非水系二次電池負極用活物質、場合によりバインダ、導電剤を分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布することにより形成することができる。分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。
これらの構成成分を混合した後、必要に応じて脱泡を行い、負極形成材料であるスラリーを得る。混合の際には、混練器の回転速度を通常100rpm以上、100000rpm以下、好ましくは1000rpm以上、10000rpm以下にする。また、混練時間は、通常30秒以上、24時間以下、好ましくは1分以上、10時間以下、より好ましくは2分以上、1時間以下である。また、脱泡の際には、混練器の回転速度を通常100rpm以上、100000rpm以下、好ましくは1000rpm以上、10000rpm以下にする。また、脱泡時間は、通常5秒以上、10時間以下、好ましくは30秒以上、1時間以下、より好ましくは1分以上、30分以下である。
スラリーを塗布する集電体としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜などが挙げられる。集電体の厚さは4μm以上とすることができ、また、30μm以下とすることができる。厚さは、好ましくは6μm以上であり、また、好ましくは20μm以下である。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、負極としての実用性及び高密度の電流値に対する十分なリチウムイオンの吸蔵・放出の機能の点から、5μm以上とすることができ、また、200μm以下とすることができる。厚さは、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下である。
活物質層における非水系二次電池負極用活物質の密度は、用途により異なるが、車載用途やパワーツール用途などの入出力特性を重視する用途においては、1.10g/cm3
以上とすることができ、また、1.65g/cm3以下とすることができる。この範囲で
あれば、密度が低すぎることによる粒子同士の接触抵抗の増大を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。密度は、好ましくは1.20g/cm3以上、さらに好ましくは1.25g/cm3以上である。携帯電話やパソコンといった携帯機器用途などの容量を重視する用途では、1.45g/cm3
以上とすることができ、また、1.90g/cm以下とすることができる。この範囲であれば、密度が低すぎることによる単位体積あたりの電池の容量低下を回避することができ、一方、密度が高すぎることによるレート特性の低下も抑制することができる。密度は、好ましくは1.55g/cm3以上、さらに好ましくは1.65g/cm3以上、特に好ましくは1.70g/cm3以上である。
<非水系二次電池>
本発明の非水系二次電池の基本的構成は、例えば、公知のリチウムイオン二次電池と同様とすることができ、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。
<正極>
正極は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備えることができる。活物質層は、正極用活物質、及び好ましくはバインダを含有する。
正極用活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物、NiPS、FePS等の遷移金属のリン−硫黄化合物、VSe、NbSeなどの遷移金属のセレン化合物、Fe0.250.752、Na0.1CrSなどの遷移金属の複合酸化物、LiCoS、LiNiSなどの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
中でも、V、V13、VO、Cr、MnO、TiO、MoV、LiCoO、LiNiO、LiMn、TiS、V、Cr0.250.752、Cr0.50.52などが好ましく、特に好ましいのはLiCoO、LiNiO、LiMnや、これらの遷移金属の一部を他の金属で置換したリチウム遷移金属複合酸化物である。これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
バインダは、特に限定されず、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。中でも好ましいのは、酸化反応時に分解しにくいため、不飽和結合を有さない樹脂である。バインダの重量平均分子量は、1万以上とすることができ、また、300万以下とすることができる。重量平均分子量は、好ましくは10万以上であり、また、好ましくは100万以下である。
活物質層中には、正極の導電性を向上させるために、導電剤を含有させてもよい。導電剤は、特に限定されず、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
本発明の正極は、上述したような負極の製造方法と同様にして、活物質、場合によりバインダ、導電剤を分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布することにより形成することができる。正極の集電体は、特に限定されず、アルミニウム、ニッケル、SUSなどが挙げられる。
電解質(電解液ともいう)は、特に限定されず、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液、この非水系電解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが挙げられる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は、特に限定されず、公知の非水系溶媒を用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げら
れる。非水系溶媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組み合わせが好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートであることが好ましい。
非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、公知のリチウム塩を用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物、LiClO、LiBrO、LiClOなどの過ハロゲン酸塩、LiPF、LiBF、LiAsFなどの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸塩、Liトリフルオロスルフォンイミド((CFSONLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられ、中でもLiClO、LiPF、LiBFが好ましい。リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とすることができる。
上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
上述の非水系電解液は、さらに被膜形成剤を含んでいてもよい。被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。さらに、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていてもよい。上記添加剤を用いる場合、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼさないようにするために、含有量を通常10質量%以下とすることができ、中でも8質量%以下、さらには5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にLiの塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
正極と負極との間には、通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させることができ、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いることが便利である。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
非水系二次電池の形態は特に限定されず、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等
が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
非水系二次電池を組み立てる手順も特に限定されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てることができる。例えば、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、さらに負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
次に実施例により本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。以下における平均粒子径(d50)は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液10mLに、試料0.01gを懸濁させ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(商品名:HORIBA製LA−920)に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定した値である。
<実施例1>
(1)負極用活物質Aの調製
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛と高分子(B)の水溶液(日東紡メディカル製PAS−92(ポリジアリルアミン−スルホニル共重合体、重量平均分子量5000、20%水溶液)0.5gをフラスコに入れ、水を49.5g添加して攪拌した。加温により水を留去し、粉末状の負極用活物質Aを得た。
次に、下記の手順に従ってコインセルを作製し、充放電評価を行った。
(1)スラリー調製
上記で調製した負極用活物質A20gとカルボキシメチルセルロース水溶液(1質量%)20.2gを混合し、混練機(あわとり練太郎,株式会社シンキー製)によって混練した後(混練:2000rpm,5min;脱泡:2200rpm,1min)、SBR-水分散
液(40質量%)0.5gを加え、再び上記と同様の条件で混練を行って負極用活物質スラリーを調製した。
(2)極板作製
銅箔(厚さ18μm)をテスター産業製Auto Film Applicatorにのせ、陰圧により吸着させた。負極用活物質スラリーを適量のせ、テスター産業製フィルムアプリケータ(ギャップ255μm)を10mm/secの速さで掃引させることにより、
スラリーAを塗布した。
負極用活物質スラリーを塗布した銅箔をイナートオーブン(EPEC−75,株式会社
いすゞ製作所製)中で乾燥させた(90℃,50min,窒素気流10L/min)。
その後、極板をプレス機(3tメカ式精密ロールプレス)に通して活物質層を圧縮した。銅箔の負極用活物質スラリーが塗布された部分を、打抜きパンチ(・=12.5mm,S
NG,株式会社野上技研製)によって打抜き、重量測定及び膜厚計(IDS−112,株式会社ミツトヨ製)による膜厚測定を行い、目付と極板密度を算出した。
(3)コインセル作製
全ての作業はグローブボックス(OMNI−LAB,Vacuum atmosphe
res社製,Arを充填,酸素濃度0.2ppm以下、水分濃度0.5ppm)の中で行
った。また、コインセルの部材等は真空乾燥機(Vos−451SD,東京理化器械株式
会社製)を用いて12時間以上乾燥させた後にグローブボックスに搬入した。
上記方法で作製した極板を直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボーネート/ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート=15/80/5の混合溶液に、LiPFを1.2mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、上記電解液を使用した2016コイン型電池(コインセル)を作製した。
(4)コインセルの充放電評価
下記の充放電プログラムを用いて充放電評価を行った。
(充放電プログラム)
下記の第1サイクル、第2サイクル、第3サイクル、第4サイクル及び第5サイクルを順番に行った。
第1サイクル:24時間休止した。
第2サイクル:CC−CV充電(CC:0.216mA、CV:10mV、終止条件:350mAh/g)を行った。次に10分間休止し、CC放電(CC:0.432mA、終止条件:1500mV)を行った。更に10分間休止した。
第3サイクル:CC−CV充電(CC:0.216mA、CV:5mV、終止条件:0.02mA)を行った。次に10分間休止し、CC放電(CC:0.432mA、終止条件:1500mV)を行った。更に10分間休止した。
第4サイクル:CC−CV充電(CC:0.216mA、CV:5mV、終止条件:0.02mA)を行った。次に10分間休止し、CC放電(CC:0.432mA、終止条件:1500mV)を行った。更に10分間休止した。
第5サイクル:10分間休止した。
なお“CC−CV充電”とは定電流で一定量充電した後に、定電圧で終止条件になるまで充電することを表す。また“CC放電”とは定電流で終止条件まで放電することを表す。
初期不可逆容量を、下記式から算出した。
初期不可逆容量(mAh/g)=第2サイクル(充電容量−放電容量)+第3サイクル(充電容量−放電容量)+第4サイクル(充電容量−放電容量)
(5)ラミネートセル作製
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)を用い、これに導電剤と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを、正極活物質層のサイズとして幅30mm、長さ40mm及び集電用の未塗工部を有する形状に切り出して正極とした。
正極活物質層の密度は2.6g/cmであった。
負極は、上記記載の方法で作製した電極シートを、負極活物質層のサイズとして幅32mm、長さ42mm及び集電部タブ溶接部として未塗工部を有する形状に切り出して用いた。この時の負極活物質層の密度は1.6g/cmであった。
正極1枚と負極1枚をそれぞれの活物質面が対向するように配置し、電極の間に多孔製ポリエチレンシートのセパレータが挟まれるようにした。この際、正極活物質面が負極活物質面内から外れないよう対面させた。
この正極と負極それぞれの未塗工部に集電タブを溶接して電極体としたものを、ポリプロピレンフィルム、厚さ0.04mmのアルミニウム箔、及びナイロンフィルムをこの順に積層したラミネートシート(合計厚さ0.1mm)を用いて、内面側に前記ポリプロピレンフィルムがくるようにして挟み、電解液を注入するための一辺を除いて、電極のない
領域をヒートシールした。
その後、活物質層に非水系電解液(エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=3/3/4(体積比)に1.0mol/Lの濃度でヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を溶解させたもの)を200μL注入して、電極に充分浸透させた後密閉して、ラミネートセルを作製した。
この電池の定格容量は34mAhである。
(6)ラミネートセルのコンディショニングと初期ガス量測定
25℃環境下で、電圧範囲4.2〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする。)にて初期コンディショニングを行った。ラミネートセルのコンディショニング前後で体積測定を行い、その変化量を初期ガス量とみなした。なおラミネートセルの体積測定には、エタノールを浸漬液としてアルキメデス法を用いた。
(7)抵抗測定
負極抵抗は以下のようにして測定した。
上記の充放電のプログラムにて充放電試験を行ったラミネートセルを用い、インピーダンス測定を行った。測定結果からCole−Coleプロットを作製し、プロットに現れる正極及び負極を併せた円弧の径を読み取って界面抵抗値とした。
<実施例2>
実施例1と同様に作製した負極用活物質Aを、さらにポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(PS−5)(東ソー有機化学(株)製、21.5%水溶液(重量平均分子量:50000〜100000))1.16gに水48.84gを添加し、95℃に加温して攪拌しながら、水を留去することで粉末状の負極用活物質Bを得た。得られた負極用活物質Bは実施例1と同様に評価を行った。
<比較例1>
高分子(B)を含有していない球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子を負極用活物質Cとして用いて、実施例1と同様にコインセル評価を行った。
<比較例2>
活物質(A)として球形化天然黒鉛(平均粒子径(d50)17μm)粒子(50g)を用い、その黒鉛とポリアリルアミンの水溶液(日東紡メディカル製PAA−03(重量平均分子量3000、20%水溶液)0.5gをフラスコに入れ、水を49.5g添加して攪拌した。加温により水を留去し、粉末状の負極用活物質Dを得た。得られた負極用活物質Dは実施例1と同様に評価を行った。
以上の評価結果を下記表1に示す。
Figure 0006115232
活物質(A)と高分子(B)を含有した非水系二次電池負極用活物質(実施例1、2)は、比較例1、2の非水系二次電池負極用活物質と比較して、初期不可逆容量と初期ガス量が低減されていることが分かった。
これより、高分子(B)の効果によって、活物質表面が被覆されることで電解液の還元分解を抑制し、初期不可逆容量の低減及び、ガス発生抑制されていることが分かる。さらに、有機化合物(C)を含有させた非水系二次電池負極用活物質(実施例2)は、有機化合物(C)を含有しない非水系二次電池負極用活物質(実施例1)と比べ、初期不可逆容量及び、ガス発生をより低減させることが分かった。
また、実施例1、2より、側鎖にアミノ基を有し、主鎖に非共有電子対を有する原子を有した高分子(B)は、側鎖にアミノ基を有する高分子(比較例2)よりも負極抵抗の上昇を抑制できていることが分かった。
本発明による非水系二次電池負極用活物質は、それを非水系二次電池において、負極材として使用した場合、抵抗の上昇を抑制しつつ、初期ガス発生をいっそう改善でき、かつ初期不可逆容量の低減も可能な非水系二次電池負極用活物質が得られることを見出した。

Claims (7)

  1. リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と高分子(B)を含有する非水系二次電池負極用活物質であって、
    高分子(B)は側鎖に脂肪族アミノ基を有し、主鎖にスルホニル基を有する高分子であることを特徴とする非水系二次電池負極用活物質。
  2. 前記脂肪族アミノ基が、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項に記載の非水系二次電池負極用活物質。
  3. 前記活物質(A)が人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素またはシリコンのうち少なくとも一つを含む請求項1又は2に記載の非水系二次電池負極用活物質。
  4. リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質(A)と下記一般式(1)及び/または(2)で表される構造式を有する化合物を含有することを特徴とする非水系二次電池負極用活物質。
    Figure 0006115232
    (式(1)又は(2)中、Xは下記一般式(3)〜(6)で表されるいずれかの2価の連結基を表し、Aは直接結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、nは1〜100の整数、mは1〜100の整数、lは1〜100の整数を表す)
    Figure 0006115232

    (式中、A 、A、A、A、A、A、A、A、A10及びA11はそれぞれ独立に直接結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す)
  5. さらに、π電子を持つ原子が環状に並んだ構造を持つ不飽和環状化合物であって、ヒュッケル則を満たし、π電子が環上で非局在化し、環が平面構造をとっている有機化合物(C)を含有することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の非水系二次電池負極用活物質。
  6. 集電体と集電体上に形成された負極活物質とを備える非水系二次電池用負極であって前記負極活物質が請求項1〜の何れか一項に記載の非水系二次電池負極用活物質を含むことを特徴とする非水系二次電池用負極。
  7. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、負
    極が、請求項に記載の非水系二次電池負極であることを特徴とする非水系二次電池。
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