JP6111652B2 - 電動車両の変速制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動系にモータと有段変速機を備え、変速中における変速機入力回転数の変化をモータにより制御する電動車両の変速制御装置に関する。
従来、アップ変速のトルク相にてモータトルクを増加させ、イナーシャ相(イナーシャフェーズ)にてモータにより変速機入力回転数を低下させる自動変速機付電気自動車のモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−319144号公報
しかしながら、上記従来の自動変速機付電気自動車のモータ制御装置にあっては、踏み込みダウンシフトを行う際、ダウン変速による変速機入力回転数の上昇を、モータトルクを用いたモータ回転数の上昇により行う制御については記載されていない。したがって、ダウン変速の開始時点で既にモータトルクが高いときには、ダウン変速の開始から終了までの間にてモータ回転数を上昇させようとしても、モータが出力し得る最大モータ出力トルクによるトルク制限を受けてしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ダウン変速の開始時にモータトルクが高いとき、モータ回転数の上昇によるトルク制限を受けないようにしながら、モータトルクの短時間増減によるG変動を抑制する電動車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電動車両は、駆動系にモータジェネレータと有段変速機とを備える。
この電動車両において、前記有段変速機によるダウン変速の開始から終了までの間、モータ回転数を上昇させてもトルク制限を受けないモータトルク値を上限トルクとし、ダウン変速が開始されるとダウン変速の開始からイナーシャフェーズ開始まで前記モータジェネレータのモータトルクを前記上限トルクに維持し、前記モータジェネレータをトルク制御から回転数制御に切り替え、ダウン変速のイナーシャフェーズ中にイナーシャフェーズ終了時のモータ回転数で回転する際に出力可能な最大モータ出力トルクと前記上限トルクとの差による前記モータトルクを用いて変速機入力回転数を上昇させる変速制御手段を設ける。
前記変速制御手段は、ダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況において、前記モータトルクが、ダウン変速開始判断がなされたと仮定した場合におけるダウン変速中の前記上限トルクを超えた場合、前記モータジェネレータのアクセル操作に対するトルク応答性を低下させるモータトルク応答性制御部を有する。
よって、実際の変速開始判断前であって、ダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況において、変速開始判断がなされたと仮定した場合にモータトルクが上限トルクを超えた場合、モータのアクセル操作に対するトルク応答性を予め低下させておく制御が行われる。その後、アクセル踏み込み操作による変速開始判断に基づいて実際にダウン変速を開始すると、アクセル踏み込み操作により高くなったモータトルクを上限トルクまで低下させる指令が出力される。
すなわち、ダウン変速の開始時にモータトルクを上限トルクまで低下させることで、ダウン変速のイナーシャフェーズ中にモータトルクを用いて変速機入力回転数を上昇させてもトルク制限を受けない。そして、実際に変速開始判断される前のタイミングにてモータトルク応答性を予め低下しているため、変速判断前後域における実モータトルクの上昇応答や下降応答が遅れ、トルク増減変化が滑らかで増減幅も小さく抑えられたモータトルク特性となる。
この結果、ダウン変速の開始時にモータトルクが高いとき、モータ回転数の上昇によるトルク制限を受けないようにしながら、モータトルクの短時間増減によるG変動を抑制することができる。
実施例1の変速制御装置が適用された電気自動車(電動車両の一例)の駆動系構成と制御系構成を示す全体システム構成図である。 実施例1の変速制御系の詳細構成を示す制御ブロック図である。 実施例1の変速コントローラにて実行される変速制御において用いられる自動変速機のアップ変速線とダウン変速線の一例を示す変速マップ図である。 実施例1の変速コントローラにて実行されるモータトルク応答性制御処理の流れを示すフローチャートである。 モータトルク応答性制御処理の上限トルクの算出において用いられるモータ回転数に対するモータトルクの関係を示す最大モータ出力トルク特性図である。 モータトルク応答性制御処理において上限トルクまでモータトルクを下げる必要のある領域を示すダウン変速線図である。 モータトルク応答性制御処理においてアクセル開度の変化率に対するモータトルクの応答性悪化率α1の関係を示すα1マップ図である。 モータトルク応答性制御処理において上限トルクとドライバーの要求駆動力の差に対するモータトルクの応答性悪化率α2の関係を示すα2マップ図である。 比較例の変速制御装置を搭載した電気自動車にてハイギア段からローギア段への踏み込みダウン変速が行われる際のT/M出力トルク・モータ回転数・アクセル開度・モータトルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1の変速制御装置を搭載した電気自動車にてハイギア段からローギア段への踏み込みダウン変速が行われる際のT/M出力トルク・モータ回転数・アクセル開度・モータトルクの各特性を示すタイムチャートである。 本発明の変速制御装置が適用可能なハイブリッド車(電動車両の他例)の駆動系構成の一例を示す図である。
以下、本発明の電動車両の変速制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における電気自動車(電動車両の一例)に搭載された変速制御装置の構成を、「全体システム構成」、「変速制御系の詳細構成」、「モータトルク応答性制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の変速制御装置が適用された電気自動車の駆動系構成と制御系構成を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
前記電気自動車の駆動系構成としては、図1に示すように、モータジェネレータMG(モータ)と、自動変速機3(有段変速機)と、駆動輪14と、を備えている。
前記モータジェネレータMGは、力行時に駆動モータとして用いられ、回生時にジェネレータとして用いられ、そのモータ軸が自動変速機3の変速機入力軸6に接続される。
前記自動変速機3は、変速比の異なる2つのギア対のいずれかで動力を伝達する常時噛み合い式有段変速機であり、減速比の小さなハイギア段(高速段)と減速比の大きなローギア段(低速段)を有する2段変速としている。この自動変速機3は、低速段を実現するロー側変速機構8及び高速段を実現するハイ側変速機構9により構成される。ここで、変速機入力軸6及び変速機出力軸7は、それぞれ平行に配置される。
前記ロー側変速機構8は、ロー側伝動経路を選択するためのもので、変速機出力軸7上に配置している。このロー側変速機構8は、低速段ギア対(ギア8a,ギア8b)が、変速機入出力軸6,7間を駆動結合するように、変速機出力軸7に対するギア8aの噛み合い係合/開放を行う係合クラッチ8c(噛合いクラッチ)により構成する。ここで、低速段ギア対は、変速機出力軸7上に回転自在に支持したギア8aと、該ギア8aと噛み合い、変速機入力軸6と共に回転するギア8bと、から構成される。
前記ハイ側変速機構9は、ハイ側伝動経路を選択するためのもので、変速機入力軸6上に配置している。このハイ側変速機構9は、高速段ギア対(ギア9a,ギア9b)が、変速機入出力軸6,7間を駆動結合するように、変速機入力軸6に対するギア9aの摩擦締結/開放を行う摩擦クラッチ9cにより構成する。ここで、高速段ギア対は、変速機入力軸6上に回転自在に支持したギア9aと、ギア9aに噛み合い、変速機出力軸7と共に回転するギア9bと、から構成される。
前記変速機出力軸7は、ギア11を固定し、このギア11と、これに噛合するギア12とからなるファイナルドライブギア組を介して、ディファレンシャルギア装置13を変速機出力軸7に駆動結合する。これにより、変速機出力軸7に達したモータジェネレータMGのモータ動力がファイナルドライブギア組11,12及びディファレンシャルギア装置13を経て左右の駆動輪14(なお、図1では一方の駆動輪のみを示した)に伝達されるようにする。
前記電気自動車の制御系構成としては、図1に示すように、変速コントローラ21、車速センサ22、アクセル開度センサ23、ブレーキストロークセンサ24、前後Gセンサ25、スライダ位置センサ26、スリーブ位置センサ27等を備えている。これに加え、モータコントローラ28と、ブレーキコントローラ29と、統合コントローラ30と、CAN通信線31と、を備えている。
前記変速コントローラ21は、係合クラッチ8cが噛み合い係合で摩擦クラッチ9cが開放のローギア段が選択されている状態でハイギア段へアップ変速する際、係合クラッチ8cの開放と摩擦クラッチ9cの摩擦締結による架け替え制御を遂行する。また、係合クラッチ8cが開放で摩擦クラッチ9cが摩擦締結のハイギア段が選択されている状態でローギア段へダウン変速する際、係合クラッチ8cの噛み合い係合と摩擦クラッチ9cの開放による架け替え制御を遂行する。すなわち、アップ変速では、噛合いクラッチである係合クラッチ8cが開放要素になり、ダウン変速では、噛合いクラッチである係合クラッチ8cが締結要素になる。
[変速制御系の詳細構成]
図2は、実施例1の変速制御系の詳細構成を示し、図3は、変速制御において用いられる変速マップの一例を示す。以下、図2及び図3に基づき、変速制御系の詳細構成を説明する。
前記電気自動車の制御系のうち変速制御系の構成としては、図2に示すように、係合クラッチ8cと、摩擦クラッチ9cと、モータジェネレータMGと、変速コントローラ21と、モータコントローラ28と、を備えている。つまり、係合クラッチ8cと摩擦クラッチ9cは、変速コントローラ21からの指令によりアップ変速/ダウン変速の変速制御を行う構成としている。モータジェネレータMGは、変速コントローラ21(もしくは、変速コントローラ21から変速情報を入力する統合コントローラ30)からのモータコントローラ28に対する指令によりモータトルク応答性の制御を行う構成としている。
前記係合クラッチ8cは、シンクロ式の噛み合い係合によるクラッチであり、ギア8aに設けたクラッチギア8dと、変速機出力軸7に結合したクラッチハブ8eと、カップリングスリーブ8fと、を有する(図1を参照)。そして、電動アクチュエータ41によりカップリングスリーブ8fをストローク駆動させることで、噛み合い係合/開放する。
この係合クラッチ8cの噛み合い係合と開放は、カップリングスリーブ8fの位置によって決まり、変速コントローラ21は、スリーブ位置センサ27の値を読み込み、スリーブ位置が噛み合い係合位置又は開放位置になるように電動アクチュエータ41に電流を与える位置サーボコントローラ51(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。
そして、カップリングスリーブ8fがクラッチギア8d及びクラッチハブ8eの外周クラッチ歯の双方に噛合した図1に示す噛み合い位置にあるとき、ギア8aを変速機出力軸7に駆動連結する。一方、カップリングスリーブ8fが、図1に示す位置から軸線方向へ変位することでクラッチギア8d及びクラッチハブ8eの外周クラッチ歯の一方と非噛み合い位置にあるとき、ギア8aを変速機出力軸7から切り離す。
前記摩擦クラッチ9cは、クラッチギア9aと共に回転するドリブンプレート9dと、変速機入力軸6と共に回転するドライブプレート9eと、を有する(図1を参照)。そして、電動アクチュエータ42により両プレート9d,9eに押付け力を与えるスライダ9fを駆動することで摩擦締結/開放する。
この摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量は、スライダ9fの位置によって決まり、また、スライダ9fはネジ機構となっており、電動アクチュエータ42の入力が0(ゼロ)のとき、位置を保持する機構となっている。変速コントローラ21は、スライダ位置センサ26の値を読み込み、所望の伝達トルク容量が得られるスライダ位置になるように電動アクチュエータ42に電流を与える位置サーボコントローラ52(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。
そして、摩擦クラッチ9cは、変速機入力軸6と一体に回転し、クラッチ摩擦締結のときギア9aを変速機入力軸6に駆動連結し、クラッチ開放のとき、ギア9aと変速機入力軸6の駆動連結を切り離す。
前記モータジェネレータMGは、統合コントローラ30から出力される指令を入力するモータコントローラ28によって力行制御又は回生制御される。つまり、モータコントローラ28がモータトルク指令を入力すると、モータジェネレータMGが力行制御される。また、モータコントローラ28が回生トルク指令を入力すると、モータジェネレータMGが回生制御される。これに加え、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)の変更制御が行われる(図4)。
前記変速コントローラ21は、車速センサ22やアクセル開度センサ23やブレーキストロークセンサ24や前後Gセンサ25等からの情報を入力し、図3に示す変速マップを用い、自動変速機3の変速制御(アップ変速、ダウン変速)を行う。
自動変速機3の変速制御では、ローギア段の選択状態のとき、実用可能領域内の運転点がアップ変速線(Low→High)を横切ってハイ側変速段領域に入ると、目標変速段をハイギア段に切り替えるアップ変速開始判断を出力する。そして、アップ変速開始判断があると、アップ変速を開始し、噛み合い係合状態の係合クラッチ8cを開放しながら、開放状態の摩擦クラッチ9cを摩擦締結するという架け替え変速を行ってアップ変速を終了する。
一方、自動変速機3の変速制御では、ハイギア段の選択状態のとき、例えば、アクセル踏み込み操作により要求モータトルクが高くなり、実用可能領域内の運転点がダウン変速線(High→Low)を横切ってロー側変速段領域に入ると、目標変速段をローギア段に切り替えるダウン変速開始判断を出力する。このダウン変速開始判断があるとダウン変速を開始し、摩擦クラッチ9cをスリップ可能な締結状態とし、続いて係合クラッチ8cの差回転をモータジェネレータMGによる回転数制御により同期させる。この回転同期が完了すると、係合クラッチ8cを噛み合い締結した後、摩擦クラッチ9cを開放するという架け替え変速を行ってダウン変速を終了する。
このダウン変速の開始から終了までの間、モータ回転数を上昇させてもトルク制限を受けないモータトルク値を上限トルクとし、ダウン変速が開始されるとモータジェネレータMGのモータトルクを上限トルクに規定する。そして、モータジェネレータMGをトルク制御から回転数制御に切り替え、ダウン変速のイナーシャフェーズ中にモータトルクを用いて変速機入力回転数を上昇させることで、係合クラッチ8cの入出力の差回転を無くす回転同期制御を行い、カップリングスリーブ8fのスライド移動による係合締結動作を確保する。
[モータトルク応答性制御処理構成]
図4は、実施例1の変速コントローラ21にて実行されるモータトルク応答性制御処理の流れを示す。以下、図4に基づき、モータトルク応答性制御処理構成をあらわす各ステップについて説明する(モータトルク応答性制御部)。この処理は、所定の制御周期により繰り返される。
ステップS1では、選択されている変速段がハイギア段であるか否かを判断する。YES(ハイギア段選択)の場合はステップS2へ進み、NO(ローギア段選択)の場合はエンドへ進む。
ここで、実施例1の自動変速機3は、ローギア段とハイギア段の2つの変速段を有することで、ハイギア段が選択されていると、次の変速として可能性があるのはローギア段へのダウン変速のみである。このため、ハイギア段の選択判断を、ダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況の検出に用いている。
ステップS2では、ステップS1でのハイギア段選択であるとの判断に続き、現在の車速V0等に基づき、上限トルクTlimitを算出し、ステップS2へ進む。
ここで、「上限トルクTlimit」とは、自動変速機3によるダウン変速の開始から終了までの間、ダウン変速後の変速機入力回転数までモータ回転数を上昇させてもトルク制限を受けないモータ出力トルクの上限値をいう。この上限トルクTlimitは、ダウン変速がなされたと仮定した場合、イナーシャフェーズ終了時のモータ回転数で回転する際に出力可能な最大モータ出力トルクTmo2と、イナーシャフェーズ開始から終了までに増加させる必要のあるモータ出力トルクTipと、の差により算出される。
具体的には、現在のモータ回転数Nmo1、自動変速機3のローギア比とハイギア比の段間比Gr1/Gr2、現在の車両加速度Gv、変速開始からイナーシャフェーズ終了までの目標時間Timeipとすると、イナーシャフェーズ終了時のモータ回転数Nmo2は、
Nmo2=Nmo1×Gr1/Gr2+Gv×Timeip×V0
の式により算出される。
そして、図5で示されるようなマップ特性を用い、モータジェネレータMGをモータ回転数Nmo2で回転する際に出力可能な最大モータ出力トルクTmo2が算出される。このとき、マップ特性は、アクセル開度及びモータジェネレータMG、インバータ、バッテリの状態を考慮して与えられる。
そして、最大回転変化速度dNo/dt(max)、モータイナーシャImとすると、イナーシャフェーズを進行させるためにイナーシャフェーズ開始時より増加させる必要のあるモータ出力トルクTipが、
Tip=dNo/dt(max)×Im
の式により算出される。
よって、上限トルクTlimitは、アクセル開度に応じたモータトルクをTmoとすると、
Tlimit=min(Tmo,Tmo2−Tip)
という最小値選択により算出される。
このようにして求まる上限トルクTlimitは、仮に現在ダウン変速を実施した場合におけるモータ出力トルクの上限となる。また、イナーシャフェーズ中のモータ出力トルクの上限は、(Tlimit+Tip)となる。
ステップS3では、ステップS2での上限トルクTlimitの算出に続き、アクセル開度センサ23により検出されるアクセル開度APOに基づき、現在のドライバーの要求駆動力(要求モータトルク)を算出し、ステップS4へ進む。
ステップS4では、ステップS3での現在のドライバーの要求駆動力の算出に続き、ステップS3で算出された現在のドライバーの要求駆動力(要求モータトルク)が、ステップS2で算出された上限トルク(Tlimit)を超えているか否かを判断する。YES(上限トルク<要求モータトルク)の場合はステップS5へ進み、NO(上限トルク≧要求モータトルク)の場合はエンドへ進む。
ここで、上限トルク<要求モータトルクでありステップS5以降へ進むと、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)が、初期時定数τによる応答より遅くなる方向に変更される。つまり、図6において、ハイギア段が選択されているときの運転点が、車速Vaより大きく、かつ、上限トルクTlimitより大きな領域A内に入ったとき、ダウン変速開始判断後に上限トルクTlimitまでモータトルクを下げる必要がある。
また、上限トルク≧要求モータトルクでありエンドへ進むと、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)は、初期時定数τのままで変更されない。
ステップS5では、ステップS4での上限トルク<要求モータトルクであるとの判断に続き、アクセル開度の変化率と、ドライバーの要求駆動力(要求モータトルク)と上限トルクTlimitの差を算出し、双方に基づき、それぞれ応答性悪化率α1,α2を算出し、ステップS6へ進む。
ここで、モータトルクの応答性悪化率α1は、図7に示すように、アクセル踏み込み操作によるアクセル開度の変化率がB以下の領域においてα1=1(通常走行時の応答性と同等)とする。そして、アクセル開度の変化率がBを超えてCまでの領域では、アクセル開度の変化率が早いほどα1を低下させて応答を遅くし、アクセル開度の変化率がCを超える早い領域では、α1を一定値に保って遅い応答を維持する。
また、モータトルクの応答性悪化率α2は、図8に示すように、要求モータトルクと上限トルクTlimitの乖離幅であるトルク差がゼロのときは、α2=1(通常走行時の応答性と同等)とする。そして、トルク差が大きくなると、初期領域でのα2が低下する傾きを大きくし、その後、緩やかな低下勾配にてα2を徐々に低下させる曲線特性により、応答を遅くする。
ステップS6では、ステップS5での応答性悪化率α1,α2の算出に続き、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)を算出し、エンドへ進む。
ここで、変更後のアクセル開度に対するモータトルクの時定数τは、応答性悪化率α1,α2を用いた下記の式、
τ(変更後)=τ(変更前)×α1×α2
により算出される。
なお、ステップS6にて時定数τ(変更後)が算出されると、モータコントローラ28への指令により、アクセル開度に対するモータトルクの応答性が、算出された時定数τを用いた応答性に変更される。
次に、作用を説明する。
まず、比較例の電気自動車の変速制御装置における「ダウン変速制御作用」を説明し、実施例1の電気自動車の変速制御装置における「モータトルク応答性制御作用」を説明する。
[ダウン変速制御作用]
電気自動車の変速制御装置において、踏み込みダウンシフトを行う際、変速開始からイナーシャフェーズ終了までの間、モータ回転数の上昇によるトルク制限を受けないよう、モータトルクの上限トルクを規定する制御を実施するものを比較例とする。
図9に示すタイムチャートは、比較例において、アクセル踏み込みダウン変速が開始される場合の動作を示す。すなわち、図6において、上限トルクTlimitよりも低トルク・低開度の運転点Dから、アクセル踏み込み操作に伴い上限トルクTlimitに到達する運転点Eを経由して領域Aに入る。そして、領域Aを通過し、ダウン変速線を運転点Fにて横切って運転点Gまで進むことでダウン変速開始判断がなされる。ここで、「領域A」は、ダウン変速開始判断後に上限トルクTlimitまでモータトルクを下げる必要のある領域である。
図9のタイムチャートにおいて、時刻t1はアクセル踏み込み開始時刻、時刻t2は上限トルク位置到達時刻、時刻t3は変速開始判断時刻、時刻t4はイナーシャフェーズ開始時刻、時刻t5はイナーシャフェーズ終了&係合クラッチ8cの係合締結開始時刻、時刻t6は係合クラッチ8cの係合締結完了&摩擦クラッチ9cの開放開始時刻、時刻t7はダウン変速完了時刻である。
時刻t1にてアクセル踏み込みが開始され、時刻t2にて上限トルク位置に到達し、時刻t3にて変速開始判断がなされると、ダウン変速が開始され、ダウン変速線を横切ったときのモータトルクが上限トルクTlimitまで低下される。そして、イナーシャフェーズ開始時刻t4からイナーシャフェーズ終了時刻t5まで、モータ回転数を上昇させる際、上限トルクTlimitまで低下させたことで、トルク制限を受けることのないスムーズなモータ回転数の上昇によりイナーシャフェーズを終了する。これにより、イナーシャフェーズ終了時刻t5で係合クラッチ8cの入出力回転が同期し、時刻t5以降は、係合クラッチ8cの係合締結と摩擦クラッチ9cの開放により、短時間にて架け替え変速が完了する。
このように、イナーシャフェーズ前後において、モータ出力トルクに上限を設けることで、ダウン変速開始からイナーシャフェーズ終了まで意図しないモータ出力トルクの低下を防止できる。加えて、トルク制限を受けないモータ回転数の上昇により、応答良くダウン変速が進行することで、ドライバーの加速要求に対して踏み込み直後から最大限に車両を加速することができる。
しかし、図9のタイムチャートに示すように、変速開始判断時刻t3でのモータトルクが規定している上限トルクTlimitより大きい場合、ダウン変速が開始されると、上限トルクTlimitまでモータトルクを減少する必要がある。このため、アクセル踏み込みが開始時刻t1から上限トルクTlimitまでモータトルクを減少させる時刻域でモータトルクが急上昇と急下降により鋭く変化し、図9の矢印Hによる枠内特性に示すように、T/M出力トルク(駆動力、変速G)が短時間で増減し、G変動によるショック発生により、ドライバーに違和感を与える。
[モータトルク応答性制御作用]
上記のように、踏み込みダウン変速時、モータ出力トルクに上限を設けることで、ドライバーの加速要求に対する応答性が高まるものの、ダウン変速の開始時においてG変動が発生するという課題が残る。以下、ドライバーの踏み込み加速要求に対する応答性を確保しながらも、G変動発生の課題を解決するモータトルク応答性制御作用を、図4及び図10に基づき説明する。
選択されている変速段がハイギア段であるが、そのときの要求モータトルクが上限トルクTlimit以下であるときには、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→エンドへと進む。すなわち、ステップS4のトルク条件が成立しない場合は、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)が、トルク応答性の高い初期時定数τのままで変更されない。
一方、選択されている変速段がハイギア段であるが、そのときの要求モータトルクが上限トルクTlimitを超えているときには、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→エンドへと進む。ステップS5では、アクセル開度の変化率に対する応答性悪化率α1と、要求モータトルクと上限トルクTlimitの差に対する応答性悪化率α2が算出される。次のステップS6では、変更後のアクセル開度に対するモータトルクの時定数τが、応答性悪化率α1,α2を用いた式、
τ(変更後)=τ(変更前)×α1×α2
により算出される。
したがって、ステップS4のトルク条件が成立する場合は、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)として、応答を遅くする方向に変更される。すなわち、アクセル開度の変化率(アクセル踏み込み速度)が早いほど応答が遅くされ、要求モータトルクと上限トルクTlimitの差が大きいほど応答が遅くされる。
図10に示すタイムチャートは、比較例と同様に、アクセル踏み込みダウン変速が開始される場合の動作を示す。なお、図10のタイムチャートにおいて、時刻t1〜時刻t7の各時刻は、図9に示す時刻t1〜時刻t7の各時刻と同様である。
時刻t1にてアクセル踏み込みが開始され、時刻t2にて上限トルク位置に到達し、時刻t3にて変速開始判断がなされる。この上限トルク位置到達時刻t2から変速開始判断時刻t3直前までの間においては、ステップS4のトルク条件が成立し、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)が応答を遅くする方向に変更される。このとき、アクセル開度の変化率(アクセル踏み込み速度)が早く、モータトルクの立ち上がり勾配が急であるほど応答が遅くされ、かつ、時刻t2から時刻t3に近づくことで、モータトルクと上限トルクTlimitの差が大きくなるほど応答が遅くされる。
そして、変速開始判断時刻t3からダウン変速が開始されると、そのときのモータトルクが上限トルクTlimitまで低下される。すなわち、実際に変速開始判断される前であって、運転点が領域Aに存在している間のタイミング(時刻t2〜時刻t3)にてモータトルクの応答性(時定数)を予め低下している。このため、変速判断時刻t3の前後域におけるモータトルクの上昇応答やモータトルクの下降応答が遅れ、トルク増減変化が滑らかで増減幅も小さく抑えられたモータトルク特性となる。これに伴い、図10の矢印Iによる枠内特性に示すように、T/M出力トルク(駆動力、変速G)の増減が小さく抑えられ、ドライバーに違和感を与えるG変動によるショックが抑制される。
なお、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)が応答を遅くする方向に変更されても、ダウン変速線を横切らないことがあり、必ずダウン変速が開始されるとは限らない。また、実施例1でのイナーシャフェーズ開始時刻t4からダウン変速完了時刻t7までの動作は、比較例の場合と同様であり、ダウン変速開始からイナーシャフェーズ終了まで意図しないモータ出力トルクの低下を防止できる。これに加えて、トルク制限を受けないモータ回転数の上昇により、応答良くダウン変速が進行することで、ドライバーの加速要求に対して踏み込み直後から最大限に車両を加速することができる。
上記のように、実施例1では、ダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況において、モータトルクが、ダウン変速開始判断がなされたと仮定した場合におけるダウン変速中の上限トルクTlimitを超えた場合、モータジェネレータMGのアクセル操作に対するトルク応答性を低下させる。そして、ダウン変速が開始されるとモータジェネレータMGのモータトルクを上限トルクTlimitに規定し、ダウン変速のイナーシャフェーズ中にモータトルクを用いて変速機入力回転数を上昇させる構成を採用した。
したがって、踏み込みダウン変速時のように、ダウン変速の開始時にモータトルクが高いとき、モータ回転数の上昇によるトルク制限を受けないようにしながら、モータトルクの短時間増減によるG変動が抑制される。
実施例1では、有段変速機を、ローギア段とハイギア段の2速変速段を持ち、ハイギア段からローギア段へのダウン変速時に係合クラッチ8cを締結要素とする自動変速機3とする構成を採用した。
すなわち、ダウン変速時、係合クラッチ8cが締結要素とされることで、カップリングスリーブ8fを移動させての係合締結を確保するには、係合クラッチ8cの入出力回転を同期させる必要がある。これに対し、モータジェネレータMGのモータトルクを上限トルクに規定することで、モータジェネレータMGによる回転同期制御が応答良く確実に行われ、係合クラッチ8cの係合締結遅れが解消される。
したがって、加速要求のあるアクセル踏み込みダウン変速時、モータジェネレータMGを用いた回転同期制御による応答の良いダウン変速の進行により、加速応答性が確保される。加えて、モータトルク応答性制御の開始条件であるダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況を、ハイギア段の選択時であるという簡単な判断により行える。
実施例1では、ダウン変速がなされたと仮定した場合、イナーシャフェーズ終了時のモータ回転数で回転する際に出力可能な最大モータ出力トルクTmo2と、イナーシャフェーズ開始から終了までに増加させる必要のあるモータ出力トルクTipと、の差により、ダウン変速中の上限トルクTlimitを算出する構成を採用した。
すなわち、上限トルクTlimitが、モータ回転数を上昇させてもトルク制限を受けない必要最小限の値にて算出される。
したがって、上限トルクTlimitを必要最小限の値にて算出することで、ダウン変速開始時における上限トルクTlimitまでのモータトルク低下幅が小さく抑えられる。
実施例1では、モータトルクがダウン変速中の上限トルクTlimitを超えた場合、アクセル開度APOの変化率が高いほど、モータジェネレータMGのアクセル操作に対するトルク応答性をより低下させる構成を採用した。
すなわち、アクセル踏み込み速度(=アクセル開度の変化率)が速い場合は、ダウン変速線を横切る可能性が高い。つまり、ドライバーの要求駆動力が大きいため、ダウン変速中の上限トルクTlimitを超え、ダウン変速が開始されると上限トルクTlimitまでモータトルクを減少させる可能性が高い。
したがって、アクセル踏み込み速度にあらわれるドライバーの要求駆動力が大きく、ダウン変速が開始される可能性が高いほどトルク応答性をより低下させることで、実際にダウン変速が開始されたときのドライバーの要求駆動力の大きさにかかわらず、変動Gの急変が抑制される。
実施例1では、モータトルクがダウン変速中の上限トルクTlimitを超えた場合、要求モータトルクと上限トルクTlimitのトルク差が大きいほど、モータジェネレータMGのアクセル操作に対するトルク応答性をより低下させる構成を採用した。
すなわち、要求モータトルクと上限トルクTlimitのトルク差が大きいほど、比例的に変動Gの発生も大きくなる。
したがって、トルク差が大きいほどトルク応答性をより低下させることで、実際にダウン変速が開始されたときのトルク差の大きさにかかわらず、変動Gの急変が抑制される。
次に、効果を説明する。
実施例1の電気自動車の変速制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 駆動系にモータ(モータジェネレータMG)と有段変速機(自動変速機3)とを備えた電動車両(電気自動車)において、
前記有段変速機(自動変速機3)によるダウン変速の開始から終了までの間、モータ回転数を上昇させてもトルク制限を受けないモータトルク値を上限トルクTlimitとし、ダウン変速が開始されると前記モータ(モータジェネレータMG)のモータトルクを前記上限トルクTlimitに規定し、ダウン変速のイナーシャフェーズ中に前記モータトルクを用いて変速機入力回転数を上昇させる変速制御手段(変速コントローラ21)を設け、
前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、ダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況において、前記モータトルクが、ダウン変速開始判断がなされたと仮定した場合におけるダウン変速中の前記上限トルクTlimitを超えた場合、前記モータ(モータジェネレータMG)のアクセル操作に対するトルク応答性を低下させるモータトルク応答性制御部(図4)を有する。
このため、ダウン変速の開始時にモータトルクが高いとき、モータ回転数の上昇によるトルク制限を受けないようにしながら、モータトルクの短時間増減によるG変動を抑制することができる。
(2) 前記有段変速機は、ローギア段とハイギア段の2速変速段を持ち、ハイギア段からローギア段へのダウン変速時に係合クラッチ8cを締結要素とする自動変速機3である(図1)。
このため、(1)の効果に加え、加速要求のあるアクセル踏み込みダウン変速時、モータ(モータジェネレータMG)を用いた回転同期制御により応答良くダウン変速が進行することで、加速応答性を確保することができる。加えて、モータトルク応答性制御の開始条件であるダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況を、ハイギア段の選択時であるという簡単な判断により行ことができる。
(3) 前記モータトルク応答性制御部(図4のステップS2)は、ダウン変速がなされたと仮定した場合、イナーシャフェーズ終了時のモータ回転数で回転する際に出力可能な最大モータ出力トルクTmo2と、イナーシャフェーズ開始から終了までに増加させる必要のあるモータ出力トルクTipと、の差により、ダウン変速中の上限トルクTlimitを算出する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、上限トルクTlimitを必要最小限の値にて算出することで、ダウン変速開始時における上限トルクTlimitまでのモータトルク低下幅を小さく抑えることができる。
(4) 前記モータトルク応答性制御部(図4のステップS5)は、前記モータトルクがダウン変速中の上限トルクを超えた場合、アクセル踏み込み操作によるアクセル開度の変化率を算出し、前記アクセル開度の変化率が高いほど、前記モータ(モータジェネレータMG)のアクセル操作に対するトルク応答性をより低下させる(図7)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、アクセル踏み込み速度にあらわれるドライバーの要求駆動力が大きく、ダウン変速が開始される可能性が高いほどトルク応答性をより低下させることで、実際にダウン変速が開始されたときのドライバーの要求駆動力の大きさにかかわらず、変動Gの急変を抑制することができる。
(5) 前記モータトルク応答性制御部(図4のステップS5)は、前記モータトルクがダウン変速中の上限トルクを超えた場合、前記モータトルクと前記上限トルクの乖離幅であるトルク差を算出し、前記トルク差が大きいほど、前記モータ(モータジェネレータMG)のアクセル操作に対するトルク応答性をより低下させる(図8)。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、トルク差が大きいほどトルク応答性をより低下させることで、実際にダウン変速が開始されたときのトルク差の大きさにかかわらず、変動Gの急変を抑制することができる。
以上、本発明の電動車両の変速制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例では、モータトルク応答性制御部として、上限トルクとの比較を要求モータトルクとする例を示した。しかし、モータトルク応答性制御部としては、上限トルクとの比較を実際のモータトルクとするようにしても良い。
実施例1では、有段変速機として、係合クラッチ8cと摩擦クラッチ9cを有し、ハイギア段とローギア段の2速変速段による自動変速機3の例を示した。しかし、有段変速機としては、複数の変速段を有する変速機であれば、3速変速段以上の変速機であっても良いし、係合クラッチを持たず摩擦クラッチや摩擦ブレーキを変速要素とする変速機であっても良い。ここで、3速変速段以上の変速機の場合、例えば、2速段が選択されているとき、3速段へのアップ変速と1速段へのダウン変速がある。このため、例えば、変速マップ上での運転点がダウン変速線に向かって近づいていることを検出すると、ダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況であると判断し、モータトルク応答性制御を開始するようにしても良い。
実施例1では、本発明の変速制御装置を、駆動源にモータジェネレータを備えた電気自動車に適用する例を示した。しかし、本発明の変速制御装置は、駆動源にエンジンとモータジェネレータを備えたハイブリッド車両に適用することもできる。例えば、駆動源にエンジンと2つのモータジェネレータを備えたハイブリッド車両としては、図11に示すように、実施例1の駆動系に、エンジン1、発電用モータジェネレータMG1、動力分配装置2を加えたものとしても良い。この場合、エンジン1と発電用モータジェネレータMG1がトルクゼロの状態であり、駆動用モータジェネレータMG2が力行中に、自動変速機3が踏み込みダウン変速を実施する場合に、本発明の変速制御を適用できる。
MG モータジェネレータ(モータ)
3 自動変速機(有段変速機)
6 変速機入力軸
7 変速機出力軸
8 ロー側変速機構
8a,8b 低速段ギア対
8c 係合クラッチ
9 ハイ側変速機構
9a,9b 高速段ギア対
9c 摩擦クラッチ
11,12 ファイナルドライブギア組
13 ディファレンシャルギア装置
14 駆動車輪
21 変速コントローラ(変速制御手段)
22 車速センサ
23 アクセル開度センサ
24 ブレーキストロークセンサ
25 前後Gセンサ
26 スライダ位置センサ
27 スリーブ位置センサ
28 モータコントローラ
29 ブレーキコントローラ
30 統合コントローラ

Claims (5)

  1. 駆動系にモータジェネレータと有段変速機とを備えた電動車両において、
    前記有段変速機によるダウン変速の開始から終了までの間、モータ回転数を上昇させてもトルク制限を受けないモータトルク値を上限トルクとし、ダウン変速が開始されるとダウン変速の開始からイナーシャフェーズ開始まで前記モータジェネレータのモータトルクを前記上限トルクに維持し、前記モータジェネレータをトルク制御から回転数制御に切り替え、ダウン変速のイナーシャフェーズ中にイナーシャフェーズ終了時のモータ回転数で回転する際に出力可能な最大モータ出力トルクと前記上限トルクとの差による前記モータトルクを用いて変速機入力回転数を上昇させる変速制御手段を設け、
    前記変速制御手段は、ダウン変速開始判断がなされる可能性がある運転状況において、前記モータトルクが、ダウン変速開始判断がなされたと仮定した場合におけるダウン変速中の前記上限トルクを超えた場合、前記モータジェネレータのアクセル操作に対するトルク応答性を低下させるモータトルク応答性制御部を有する
    ことを特徴とする電動車両の変速制御装置。
  2. 請求項1に記載された電動車両の変速制御装置において、
    前記有段変速機は、ローギア段とハイギア段の2速変速段を持ち、ハイギア段からローギア段へのダウン変速時に係合クラッチを締結要素とする自動変速機である
    ことを特徴とする電動車両の変速制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された電動車両の変速制御装置において、
    前記モータトルク応答性制御部は、ダウン変速がなされたと仮定した場合、前記最大モータ出力トルクと、イナーシャフェーズ開始から終了までに増加させる必要のあるモータ出力トルクと、の差により、ダウン変速中の上限トルクを算出する
    ことを特徴とする電動車両の変速制御装置。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか項に記載された電動車両の変速制御装置において、
    前記モータトルク応答性制御部は、前記モータトルクがダウン変速中の上限トルクを超えた場合、アクセル踏み込み操作によるアクセル開度の変化率を算出し、前記アクセル開度の変化率が高いほど、前記モータジェネレータのアクセル操作に対するトルク応答性をより低下させる
    ことを特徴とする電動車両の変速制御装置。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか項に記載された電動車両の変速制御装置において、
    前記モータトルク応答性制御部は、前記モータトルクがダウン変速中の上限トルクを超えた場合、前記モータトルクと前記上限トルクの乖離幅であるトルク差を算出し、前記トルク差が大きいほど、前記モータジェネレータのアクセル操作に対するトルク応答性をより低下させる
    ことを特徴とする電動車両の変速制御装置。

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