JP6070294B2 - 車両の変速制御装置 - Google Patents
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Description
したがって、ダウン変速時締結クラッチを介した伝達トルクは、ダウン変速時開放クラッチの応答性に合わせて上昇するため、このクラッチ応答性よりも急な増加傾きで上昇した場合と比較して、トルクフェーズ中の伝達トルクの増加傾き変化を抑制できる。
よって、トルクフェーズ中に、ドライバのアクセルペダル踏込増加操作に応じて原動機の駆動トルクを上昇させた場合と比較して、伝達トルクの増加傾きが変化を抑え、トルクフェーズ中の車両前後加速度変化、すなわち、変速ショックを抑えることができる。
まず、実施の形態1の車両の変速制御装置の構成を説明する。
図1は、実施の形態1の車両の変速制御装置が適用された電気自動車(車両の一例)の駆動系と制御系の構成を示す全体システム図である。以下、図1に基づき駆動系構成と制御系構成を説明する。
図2は、前記電気自動車の変速制御系の詳細構成を示し、図3は、変速制御において用いられる変速マップの一例を示す。以下、図2及び図3に基づき、変速制御系の詳細構成を説明する。
カップリングスリーブ86は、クラッチハブ85(図1参照)の外周に形成されたスプライン部(図示省略に)に噛み合った状態を維持しながら、図4(a)において左右方向である軸方向に移動可能に支持されている。そして、カップリングスリーブ86の軸方向の移動は、電動アクチュエータ41(図2参照)の駆動により成される。
係合クラッチ83では、開放状態から締結する場合、カップリングスリーブ86によりシンクロナイザリング87を軸方向に押し、シンクロナイザリング87とコーン部84bとの間に生じる摩擦力によりカップリングスリーブ86とクラッチギア84とを同期回転させて締結させる。
カップリングスリーブ86を、電動アクチュエータ41(図2参照)により、図4(a)に示すように、キー88と共に、クラッチギア84の方向へ軸方向に移動させ、シンクロナイザリング87を、コーン部84bに接触させる。
摩擦クラッチ93は、ギア91と共に回転するドリブンプレート94と、変速機入力軸6と共に回転するドライブプレート95と、を有する。そして、図2に示す電動アクチュエータ42により両プレート94,95に押付け力を与えるスライダ96を駆動することで、摩擦クラッチ93を摩擦締結/開放する。
そして、摩擦クラッチ93は、図1に示す変速機入力軸6と一体に回転し、クラッチ摩擦締結のときギア91を変速機入力軸6に駆動連結し、クラッチ開放のとき、ギア91と変速機入力軸6の駆動連結を切り離す。
図1及び図2に示す変速コントローラ21では、上記の変速制御に加え、ダウン変速時のトルクフェーズ中のアクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作時に、モータトルクTmoの増加傾きKmoを設定するトルク増加傾き設定処理を実行する。
すなわち、モータトルクTmoの増加時には、例えば、エンジンのトルク増加傾きに相当する予め設定された増加傾きKmoにより増加させるのが一般的である。
それに対し、本実施の形態1では、ダウン変速時のトルクフェーズ中のアクセルペダル踏込増加操作時には、その踏込増加操作状態に応じたトルク増加傾き設定処理として、トルク増加抑制処理、トルク通常増加処理、トルク可変増加処理、トルク上限増加処理を実行している。
このトルク増加傾き設定処理は、変速判定が成されたことにより開始され、最初のステップS101では、変速がダウン変速であるか否か判定する。そして、ダウン変速時には、トルク増加傾き設定処理を実行するべくステップS102に進み、非ダウン変速時(アップ変速時)は、トルク増加傾き設定処理を実行することなくエンドに進む。
なお、本実施の形態1では、ダウン変速時のトルクフェーズ開始判定は、係合クラッチ83の同期完了により判定するようにしている。
すなわち、ダウン変速における係合クラッチ83の締結時には、モータ回転数Nmoを回転数制御して、係合クラッチ83の入力側回転数と出力側回転数とを同期させた後、電動アクチュエータ41を駆動させて係合クラッチ83が係合させる。後述する図6に示すように、係合クラッチ83の入出力側を同期させるべく回転数制御を実行しているt11の時点からt12の時点までの相がイナーシャフェーズである。
また、要求駆動トルクtFoは、車速Vとアクセル開度APOに基づいて求めることができるが、アクセル開度APOの変化速度により求めることもできる。
ここで、摩擦クラッチ93の開放応答性に合わせた増加抑制時傾きKmo1について説明する。摩擦クラッチ93の開放指示から実際に開放されるまでの伝達トルク特性は、実物によるデータあるいはシミュレーションなどにより予め知ることができる。具体的には、図7を例に挙げて説明すると、摩擦クラッチ93において、開放指示のt23の時点から開放完了となるt24の時点までのトルク減少傾きが開放応答性となる。そこで、増加抑制時傾きKmo1は、この開放応答性の単位時間あたりの減少量と同量だけトルク増加を行なう傾きとしている。
なお、図9は、各閾値Tlim1,Tlim2,Tlim3と、アクセル開度APOと、ステップS108〜S111の各処理との関係を示す処理特性図である。この図に示すように、アクセル開度APOが相対的に小さく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1未満の領域にて、トルク増加抑制処理を実行する。また、その領域よりもアクセル開度APOが大きくなった、Tlim1≦tFo<Tlim2の領域にて、トルク通常時増加処理を実行する。さらに、アクセル開度APOが大きくなった、Tlim2≦tFo<Tlim3の領域にて、トルク可変増加処理を実行する。そして、さらにアクセル開度APOが大きくなった、Tlim3≦tFoの領域にて、トルク上限増加処理を実行する。
ステップS113では、モータトルクTmoを要求駆動トルクtFoに維持し、ステップS114に進む。
すなわち、ステップS105〜S114までの処理により、要求駆動トルクtFoに応じて、ステップS108〜S111のいずれかの処理により、モータトルクTmoの増加傾きKmoを設定する。そして、モータトルクTmoが要求駆動トルクtFoに達するか、変速終了するかまで、モータトルクTmoを、設定された増加傾きKmoにより増加させる。
次に、実施の形態1の車両の変速制御装置の作用を図6〜図8のタイムチャートに基づいて説明する。
図6〜図8は、ダウン変速時の動作例を示している。図6は、通常のダウン変速時の動作例を示し、図7は、ダウン変速時においてトルクフェーズ中にドライバが緩やかな加速操作を行った場合の動作例を示し、図8は、ダウン変速時においてトルクフェーズ中にドライバがある程度急な加速操作を行った場合の動作例を示している。
この動作例では、t11の時点以前は、自動変速機3は、ハイギア段に制御されており、t11の時点で、変速開始判定(ダウン変速)が成されている。
なお、t11の時点のダウン変速開始判定は、車速Vと要求駆動トルクtFoとの関係が、図3に示す変速線を横切ることにより成される。
すなわち、電動アクチュエータ42は、前述のようにスライダ96によるネジ機構を介して摩擦クラッチ93を開放させるため、油圧動作に比べ動作に時間を要し、開放動作にt13の時点からt14の時点までの時間を要している。
また、この摩擦クラッチ93の開放動作による伝達トルクTcl2の低下に伴い、係合締結状態の係合クラッチ83を介した伝達トルクTcl1が増加する。
この動作を説明するのにあたり、まず、本実施の形態1の解決課題を説明するために、本実施の形態1のステップS109の処理に基づくモータトルクTmoを通常時の増加勾配である通常時増加傾きKmo2により増加させた場合を、図8に基づき説明する。
この動作例におけるアクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作による要求駆動トルクtFoは、第1閾値Tlim1よりも小さい。すなわち、この踏込増加操作は、ドライバの加速要求が相対的に小さいとともに、変速ショックが生じた場合には、ドライバに違和感を与える操作である。
したがって、モータトルクTmoの増加傾きKmoは、摩擦クラッチ93の開放応答性に合わせて、その開放に伴うトルク減少分だけ増加させる増加抑制時傾きKmo1に設定する。
このため、このアクセルペダル操作が実行されたt23bの時点から、変速終了のt24の時点までの間では、モータトルクTmoの増加傾きKmoが変化することがなく、車両前後加速度もt24の時点まで、一定の傾きで増加する。よって、図8により説明したような車両前後加速度の上向きの山による変速ショックの発生を抑制することができる。
すなわち、アクセルペダル操作に伴う要求駆動トルクtFoが、第1閾値Tlim1よりも大きく、第2閾値Tlim2未満の場合は、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、通常時増加傾きKmo2に設定する。
この場合の動作例が、前述した図8のタイムチャートに示す動作例である。
この場合、タイムチャートに示すように、アクセルペダル操作に応じてt33bの時点から通常時増加傾きKmo2により増加させたモータトルクTmoは、t33cに示す時点で、要求駆動トルクtFoに達する。このため、トルクフェーズ中に、前後加速度に変化(上向きの山)が生じるが、このようにドライバの要求駆動トルクtFoが、第1閾値Tlim1よりも大きく加速要求が強い場合は、このような前後加速度変化(変速ショック)が加速感を与えることになる。
次に、実施の形態1の効果を説明する。
実施の形態1の車両の変速制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
a)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
原動機としてのモータジェネレータMGから駆動輪14への駆動伝達系に設けられ、電動アクチュエータ41,42の駆動により締結要素を締結及び開放させて複数段の変速を行なう自動変速機3と、
締結要素として設けられ、ダウン変速時に開放されるダウン変速時開放クラッチとしての摩擦クラッチ93及びダウン変速時に締結されるダウン変速時締結クラッチとしての係合クラッチ83と、
自動変速機3の変速制御を行う変速制御手段としての変速コントローラ21と、
を備えた車両の変速制御装置であって、
変速コントローラ21は、ダウン変速時において、係合クラッチ83の入力回転数を出力側回転数に同期させた時点から変速終了時点までのトルクフェーズ中にアクセルペダルの踏込増加操作が行われたトルクフェーズ中踏込時に、モータトルクTmoの増加傾きKmoを設定するトルク増加傾き設定処理を実行するトルク増加傾き設定手段(図5のフローチャートの処理を実行する構成)を備え、このトルク増加傾き設定手段は、増加傾きKmoを、ダウン変速時開放クラッチとしての摩擦クラッチ93の応答性に合わせて設定するトルク増加抑制処理(ステップS108)を実行することを特徴とする。
したがって、トルク増加抑制処理が実行された場合には、モータトルクTmoの増加傾きKmoは、摩擦クラッチ93の開放応答性に合わせた増加抑制時傾きKmo1に設定される。この場合、図7に示すように、モータトルクTmoは、踏込増加操作が行われたt23bから変速終了時点であるt24の時点まで、摩擦クラッチ93の開放応答性によるトルク減少分だけが増加される。
このため、このt23bの時点から、変速終了のt24の時点までの間に、伝達トルクTcl1の増加傾きが変化することがなく、車両前後加速度も一定勾配で増加する。
よって、ダウン変速時のトルクフェーズ中にドライバがアクセルペダル踏込増加操作を行った場合の変速ショックを抑制可能である。
駆動トルク制御手段としての変速コントローラ21は、トルク増加抑制処理を、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが、変速ショック抑制のために予め設定された第1閾値Tlim1未満の場合に実行することを特徴とする。
したがって、変速ショックを生じさせたくないアクセルペダル操作領域において確実に変速ショックの発生を抑制することができる。
トルク増加傾き設定手段としての変速コントローラ21において図5のフローチャートの処理を実行する構成では、トルクフェーズ中踏込時に、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合、モータトルクTmoの増加傾きを、通常走行時に用いる通常時増加傾きKmo2とするトルク通常増加処理(S109の処理)を実行することを特徴とする。
したがって、トルクフェーズ中踏込時のアクセルペダル操作による要求駆動トルクtFoが、変速ショック抑制のために予め設定された第1閾値Tlim1よりも大きい場合には、通常時増加傾きKmo2とすることにより、アクセルペダル操作に応じた加速感を得ることができる。
トルク増加傾き設定手段としての変速コントローラ21において図5のフローチャートの処理を実行する構成では、トルクフェーズ中踏込時に、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合、モータトルクTmoの増加傾きを、要求駆動トルクtFoに応じて可変制御するトルク可変増加処理(ステップS110の処理)を実行することを特徴とする。
したがって、増加傾きKmoとして一定値を用いる場合と比較して、よりいっそうアクセルペダル操作に応じた加速感を得ることができる。
特に、本実施の形態1では、このトルク可変増加処理を、通常増加処理を実行する要求駆動トルクtFoが、第1閾値Tlim1と第2閾値Tlim2との間の領域よりも要求駆動トルクtFoが大きな領域にて実行するようにした。しかも、そのトルク可変増加処理時の増加傾きKmoを、通常時増加傾きKmo2と上限増加傾きKmaxとの間にて要求駆動トルクtFoに応じて可変とした。
これにより、アクセルペダル操作に応じて、通常増加処理時よりも大きな新規な加速感を得ることができる。
トルク制御手段としての変速コントローラ21において図5のフローチャートの処理を実行する構成では、トルクフェーズ中踏込時に、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、モータジェネレータMGの上限増加傾きKmaxとするトルク上限増加処理(ステップS111の処理)を実行することを特徴とする。
したがって、増加傾きKmoとして一定値を用いる場合と比較して、よりいっそうアクセルペダル操作に応じた加速感を得ることができる。
特に、本実施の形態1では、このトルク可変増加処理を、トルク可変増加処理を実行する第2閾値Tlim2未満の領域よりも要求駆動トルクtFoが大きな領域にて実行するようにした。これにより、アクセルペダル操作に応じて、トルク可変増加処理時よりも大きな加速感を得ることができる。
ダウン変速時開放クラッチとしての摩擦クラッチ93が、電動アクチュエータ42の駆動により締結及び開放される構成であることを特徴とする。
すなわち、ダウン変速時に、電動アクチュエータ42の駆動により摩擦クラッチ93を開放させる場合、その駆動にある程度の時間を要するのが一般的であるため、変速終了までのトルクフェーズの時間も長くなる。よって、その間に、ドライバがアクセルペダル操作を行った場合に、要求駆動トルクtFoに応じた駆動トルクとしてのモータトルクTmoの増加傾きが変動すると、変速ショックが生じやすい。
したがって、本実施の形態1では、このような変速ショックが生じやすい構成において、上記a)のように、変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。
原動機がモータジェネレータMGであることを特徴とする。
原動機がモータジェネレータMGである場合、トルク応答性に優れるため、トルクフェーズ中に、ドライバがアクセルペダル操作を行った場合、その応答性の高さ故、変速終了前にアクセルペダル操作に応じたトルク増加勾配の変動が生じやすい。
したがって、本実施の形態1では、このような変速ショックが生じやすい構成において、上記a)のように、変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。
ダウン時締結側クラッチが、係合クラッチ83であることを特徴とする。
したがって、ダウン変速時には、トルクフェーズの前のイナーシャフェーズ中に係合クラッチ83は、係合状態に制御される。
この場合、トルクフェーズ中のアクセルペダル踏込増加操作によりモータトルクTmoが増加すると、その増加分が、係合クラッチ83を介して、駆動輪14側に伝達されやすく、その分、車両前後加速度変化、すなわち、変速ショックが生じやすい。
したがって、本実施の形態1では、このような変速ショックが生じやすい構成において、上記a)のように、変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。
なお、動力分配装置2は、リングギアRGと、サンギアSGと、ピニオンPGを支持するキャリアPCと、を有するシングルピニオン型遊星歯車により構成されている。リングギアRGには、変速機出力軸7に固定されたギア92に噛み合わされている。キャリアPCには、エンジン出力軸4が接続されている。サンギアSGには、発電用モータジェネレータMG1のモータ出力軸5が接続されている。すなわち、動力分配装置2は、発電用モータジェネレータMG1(サンギアSG)の回転速度と、エンジン1(キャリアPC)の回転速度と、が決まると、リングギアRG(高速段ギア対90のギア92)の回転速度が自動的に決まる無段変速機能を有する。
そして、駆動用モータジェネレータMG2は、発電用モータジェネレータMG1が発電した電力を使って駆動し、変速機入力軸6から自動変速機3を介して変速機出力軸7へ出力する。また、動力分配装置2からの出力トルクと、自動変速機3からの出力トルクとが、変速機出力軸7にて合成される。なお、発電用モータジェネレータMG1は、主としてジェネレータとして発電用に使用するが、走行状況によっては駆動用モータとして使用してもよい。
また、実施の形態では、変速機の締結要素のダウン変速時締結クラッチとして、係合クラッチ(ドグクラッチ)を用い、ダウン変速時開放クラッチとして摩擦クラッチを示したが、これに限定されず、両クラッチを摩擦クラッチとしたものにも適用することができる。
加えて、変速機として、ハイギア段とローギア段の2段変速を行う自動変速機を示した。しかし、変速機としては、複数の変速段を有する変速機であれば、3段以上の変速機であってもよい。
これに対して、増加抑制時傾きを、伝達トルク減少傾きに対して、絶対値が1よりも大きなマイナスの値を乗じた値としても、それが、通常時の増加傾きよりも緩やかな傾きであれば、ダウン時締結クラッチによる伝達トルクの増加傾き変化を抑えて、変速ショックを抑制することができる。
さらに、これとは逆に、伝達トルク減少傾きに対して絶対値が1未満のマイナスの値を乗じた傾きとした場合であっても、トルクフェーズ中には、ダウン時締結クラッチによる伝達トルクの増加傾きが変化することを抑制し、変速ショックを抑えることができる。したがって、変速ショックを抑えることのできる範囲で、ダウン変速開放クラッチの応答性を基準として増加抑制時傾きを設定するものであれば、ある程度の設定自由度を許容するものである。
すなわち、トルクフェーズ中踏込時において、トルク通常増加処理、トルク可変増加処理、トルク上限増加処理のいずれかを実行する場合、その組み合わせは任意であり、少なくともいずれか1つの処理を実行すればよい。また、実施の形態では、トルク可変増加処理は、要求駆動トルクがトルク通常増加処理の実行判定を行う第2閾値以上の場合に実行する例を示したが、これに限定されず、例えば、要求駆動トルクが第1閾値と第2閾値との間でトルク可変増加処理を実行し、要求駆動トルクが第2閾値以上の場合に、トルク通常増加処理あるいはトルク上限増加処理を実行するようにしてもよい。
このように、トルク可変増加処理を、要求駆動トルクが、トルク通常増加処理の実行判定を行う第2閾値未満の領域で実行することにより、駆動トルクの増加傾きを通常増加傾きよりも抑えて変速ショックを抑えつつ、ダウン変速時開放側クラッチの応答性に応じた増加傾きとした場合よりも、ドライバの加速要求に応じた駆動トルクの増加傾きとして加速感を得ることが可能となる。
3 自動変速機
14 駆動輪
21 変速コントローラ(変速制御手段:トルク増加傾き設定手段)
41 電動アクチュエータ
42 電動アクチュエータ
83 係合クラッチ(締結要素:ダウン変速時締結クラッチ)
93 摩擦クラッチ(締結要素:ダウン変速時開放クラッチ)
Kmax 上限増加傾き
Kmo (モータトルクの)増加傾き
Kmo(tFo)可変増加傾き
Kmo1 増加抑制時傾き
Kmo2 通常時増加傾き
MG モータジェネレータ(原動機)
MG2 駆動用モータジェネレータ(原動機)
tFo 要求駆動トルク
Tlim1 第1閾値
Tlim2 第2閾値
Tlim3 第3閾値
Tmo モータトルク(駆動トルク)
Claims (8)
- 原動機から駆動輪への駆動伝達系に設けられ、アクチュエータの駆動により締結要素を締結及び開放させて複数段の変速を行なう変速機と、
前記締結要素として設けられ、ダウン変速時に開放されるダウン変速時開放クラッチ及びダウン変速時に締結されるダウン変速時締結クラッチと、
前記変速機の変速制御を行う変速制御手段と、
を備えた車両の変速制御装置であって、
前記変速制御手段は、ダウン変速時において、前記ダウン変速時締結クラッチの入力回転数を出力側回転数に同期させた時点から変速終了時点までのトルクフェーズ中にアクセルペダルの踏込増加操作が行われたトルクフェーズ中踏込時に、前記原動機の駆動トルクの増加傾きを設定するトルク増加傾き設定処理を実行するトルク増加傾き設定手段を備え、このトルク増加傾き設定手段は、前記増加傾きを、前記ダウン変速時開放クラッチの応答性に合わせて設定するトルク増加抑制処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項1に記載された車両の変速制御装置において、
前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルク増加抑制処理を、前記アクセルペダルの踏込増加操作に基づく要求駆動トルクが、変速ショック抑制のために予め設定された第1閾値未満の場合に実行することを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項2に記載された車両の変速制御装置において、
前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルクフェーズ中踏込時に、前記要求駆動トルクが前記第1閾値以上の場合、前記駆動トルクの増加傾きを、通常走行時に用いる増加傾きとして予め設定された通常時増加傾きとするトルク通常増加処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項2に記載された車両の変速制御装置において、
前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルクフェーズ中踏込時に、前記要求駆動トルクが前記第1閾値以上の場合、前記駆動トルクの増加傾きを、前記要求駆動トルクに応じて可変制御するトルク可変増加処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項2に記載された車両の変速制御装置において、
前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルクフェーズ中踏込時に、前記要求駆動トルクが前記第1閾値以上の場合、前記駆動トルクの増加傾きを、前記原動機の上限増加傾きとするトルク上限増加処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載された車両の変速制御装置において、
前記ダウン変速時開放クラッチが、電動アクチュエータの駆動により締結及び開放される構成であることを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載された車両の変速制御装置において、
前記原動機がモータであることを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された車両の変速制御装置において、
前記ダウン時締結側クラッチが、係合クラッチであり、前記ダウン時開放側クラッチが、摩擦クラッチであることを特徴とする車両の変速制御装置。
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