JP6070294B2 - 車両の変速制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動伝達系に設けられた変速機の変速制御に伴って締結要素を締結状態と開放状態とに切り換える車両の変速制御装置に関し、変速中のアクセルペダル踏込時の制御に関する。
従来、原動機から駆動輪に至る駆動伝達系に設けられた変速機の締結要素を締結/開放させて変速を行う車両の変速制御装置において、締結要素の入力回転数を出力回転数に同期させたタイミングで締結要素を締結させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−202124号公報
しかしながら、上述の従来技術にあっては、ダウン変速において回転同期後から変速終了までのトルクフェーズ中に、アクセルペダル踏込増加操作が行われた場合、原動機の駆動トルクが上昇され、変速ショックが生じるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ダウン変速時のトルクフェーズ中にドライバがアクセルペダル踏込増加操作を行った場合の変速ショックを抑制可能な車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、変速機の変速制御を行う変速制御手段は、ダウン変速時において、ダウン変速時締結クラッチの入力回転数を出力側回転数に同期させた時点から変速終了時点までのトルクフェーズ中にアクセルペダルの踏込増加操作が行われたトルクフェーズ中踏込時には、原動機の駆動トルクの増加傾きを、ダウン変速時開放クラッチの応答性に合わせて設定するトルク増加抑制処理を実行する駆動トルク制御手段を備えていることを特徴とする車両の変速制御装置とした。
本発明では、ダウン変速のトルクフェーズ中にアクセルペダルの踏込増加操作が行われたトルクフェーズ中踏込時には、トルク制御手段は、原動機の駆動トルクの増加傾きを、ダウン変速時開放クラッチの応答性に合わせて設定するトルク増加抑制処理を実行する。
したがって、ダウン変速時締結クラッチを介した伝達トルクは、ダウン変速時開放クラッチの応答性に合わせて上昇するため、このクラッチ応答性よりも急な増加傾きで上昇した場合と比較して、トルクフェーズ中の伝達トルクの増加傾き変化を抑制できる。
よって、トルクフェーズ中に、ドライバのアクセルペダル踏込増加操作に応じて原動機の駆動トルクを上昇させた場合と比較して、伝達トルクの増加傾きが変化を抑え、トルクフェーズ中の車両前後加速度変化、すなわち、変速ショックを抑えることができる。
実施の形態1の車両の変速制御装置が適用された電気自動車の駆動系構成と制御系構成とを示す全体システム構成図である。 実施の形態1の車両の変速制御装置の変速制御系の詳細構成を示す制御ブロック図である。 実施の形態1の車両の変速制御装置において変速コントローラにて実行される変速制御に用いられる自動変速機のアップ変速線とダウン変速線の一例を示す変速マップ図である。 実施の形態1の車両の変速制御装置の駆動系に設けられた締結要素としての係合クラッチの説明図であり、(a)は要部断面図、(b)〜(d)は、その動作を示す(a)において上方から下方を見下ろした平面図であって、(b)は締結初期のシンクロ初期の状態を示し、(c)はシンクロ途中を示し、(d)はシンクロ終了時を示す。 実施の形態1の車両の変速制御装置の変速コントローラのトルク増加傾き設定手段にて実行されるトルク増加傾き設定処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態1の車両の変速制御装置において通常のダウン変速時の動作例を説明するタイムチャートである。 実施の形態1の車両の変速制御装置においてダウン変速時にトルク増加抑制処理が実行された場合の動作例を説明するタイムチャートである。 実施の形態1の車両の変速制御装置においてダウン変速時にトルク通常増加処理が実行された場合の動作例を示すとともに、トルク可変増加処理並びにトルク上限増加処理を説明するタイムチャートである。 実施の形態1の車両の変速制御装置において各閾値と、アクセル開度と、増加傾きを設定する各処理との関係を示す処理特性図である。 他の実施の形態の車両の変速制御装置を適用するハイブリッド車両の駆動系構成を示すシステム構成図である。
以下、本発明の車両の変速制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施の形態1に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の車両の変速制御装置の構成を説明する。
図1は、実施の形態1の車両の変速制御装置が適用された電気自動車(車両の一例)の駆動系と制御系の構成を示す全体システム図である。以下、図1に基づき駆動系構成と制御系構成を説明する。
前記電気自動車の駆動系構成としては、図1に示すように、モータジェネレータ(原動機)MGと、自動変速機3と、駆動輪14と、を備えている。
モータジェネレータMGは、力行時に駆動モータとして用いられ、回生時にジェネレータとして用いられ、そのモータ軸が自動変速機3の変速機入力軸6に接続される。
自動変速機3は、変速比の異なる2つのギア対のいずれかで動力を伝達する常時噛み合い式有段変速機であり、減速比の小さなハイギア段(高速段)と減速比の大きなローギア段(低速段)を有する2段変速のものである。この自動変速機3は、ローギア段を実現するロー側変速機構8及びハイギア段を実現するハイ側変速機構9により構成される。ここで、変速機入力軸6及び変速機出力軸7は、それぞれ平行に配置される。
ロー側変速機構8は、ロー側伝動経路を選択するためのもので、変速機出力軸7上に配置している。このロー側変速機構8は、低速段ギア対80(ギア81,ギア82)が、変速機入出力軸6,7間を駆動結合するように、変速機出力軸7に対するギア81の係合/開放を行う係合クラッチ(ダウン時締結クラッチ)83により構成されている。ここで、低速段ギア対80は、変速機出力軸7上に回転自在に支持したギア81と、ギア81と噛み合い、変速機入力軸6と共に回転するギア82と、から構成されている。
ハイ側変速機構9は、ハイ側伝動経路を選択するためのもので、変速機入力軸6上に配置されている。このハイ側変速機構9は、高速段ギア対90(ギア91,ギア92)が、変速機入出力軸6,7間を駆動結合するように、変速機入力軸6に対するギア91の摩擦締結/開放を行う摩擦クラッチ(ダウン時開放クラッチ)93により構成されている。ここで、高速段ギア対90は、変速機入力軸6上に回転自在に支持したギア91と、ギア91に噛み合い、変速機出力軸7と共に回転するギア92と、から構成されている。
変速機出力軸7は、ギア11が固定され、このギア11と、これに噛合するギア12とからなるファイナルドライブギア組を介して、ディファレンシャルギア装置13が変速機出力軸7に駆動結合されている。これにより、変速機出力軸7に達したモータジェネレータMGのモータ動力がファイナルドライブギア組(ギア11,12)及びディファレンシャルギア装置13を経て左右の駆動輪14(なお、図1では一方の駆動輪のみを示した)に伝達される。
[変速制御系の詳細構成]
図2は、前記電気自動車の変速制御系の詳細構成を示し、図3は、変速制御において用いられる変速マップの一例を示す。以下、図2及び図3に基づき、変速制御系の詳細構成を説明する。
電気自動車の制御系のうち変速制御系の構成としては、図2に示すように、係合クラッチ83と、摩擦クラッチ93と、モータジェネレータMGと、変速コントローラ21と、モータコントローラ28と、を備えている。つまり、係合クラッチ83と摩擦クラッチ93は、変速コントローラ21からの指令によりアップ変速/ダウン変速の変速制御を行う構成としている。モータジェネレータMGは、変速コントローラ21(もしくは、変速コントローラ21から変速情報を入力する統合コントローラ30(図1参照))からのモータコントローラ28に対する指令によりモータトルク応答性の制御を行う構成としている。
係合クラッチ83は、シンクロ式の噛み合い係合によるクラッチであり、図1に示すように、ギア81に設けたクラッチギア84と、変速機出力軸7に結合したクラッチハブ85と、カップリングスリーブ86と、を有する。そして、図2に示す電動アクチュエータ41によりカップリングスリーブ86をストローク駆動させることで、係合/開放する。
この係合クラッチ83の係合と開放は、カップリングスリーブ86の位置によって決まる。そこで、変速コントローラ21は、スリーブ位置センサ27の値を読み込み、スリーブ位置が係合位置又は開放位置になるように電動アクチュエータ41に電流を与える位置サーボコントローラ51(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。
そして、カップリングスリーブ86が、図1に示すようにクラッチギア84及びクラッチハブ85の外周クラッチ歯の双方に噛合した係合位置にあるとき、ギア81を変速機出力軸7に駆動連結する。一方、カップリングスリーブ86が、図1に示す位置から軸線方向へ変位することでクラッチギア84及びクラッチハブ85の外周クラッチ歯の一方と非噛み合い状態の開放位置にあるとき、ギア81を変速機出力軸7から切り離す。
さらに、図4に基づいて、係合クラッチ83の同期機構について説明を加える。
カップリングスリーブ86は、クラッチハブ85(図1参照)の外周に形成されたスプライン部(図示省略に)に噛み合った状態を維持しながら、図4(a)において左右方向である軸方向に移動可能に支持されている。そして、カップリングスリーブ86の軸方向の移動は、電動アクチュエータ41(図2参照)の駆動により成される。
クラッチギア84の外周には、カップリングスリーブ86の内周に形成されたスプライン部86aと噛み合い可能なスプライン部84aが形成されている。さらに、クラッチギア84には、テーパ状のコーン部84bの外周に、軸方向に移動可能にシンクロナイザリング87が装着されている。
シンクロナイザリング87は、外周に、カップリングスリーブ86のスプライン部86aと噛み合い可能なスプライン部87aが形成されている。また、シンクロナイザリング87は、カップリングスリーブ86に設けられたキー88に対して、キー溝87c(図4(b)など参照)による隙間の分だけ、回転方向に相対移動可能に構成されている。
次に、係合クラッチ83における同期機構による同期動作を説明する。
係合クラッチ83では、開放状態から締結する場合、カップリングスリーブ86によりシンクロナイザリング87を軸方向に押し、シンクロナイザリング87とコーン部84bとの間に生じる摩擦力によりカップリングスリーブ86とクラッチギア84とを同期回転させて締結させる。
以下、同期機構による同期回転動作について簡単に説明する。
カップリングスリーブ86を、電動アクチュエータ41(図2参照)により、図4(a)に示すように、キー88と共に、クラッチギア84の方向へ軸方向に移動させ、シンクロナイザリング87を、コーン部84bに接触させる。
シンクロナイザリング87がコーン部84bに接触すると、両者の間には相対回転が生じているため、シンクロナイザリング87は、図4(b)に示すキー溝87cの隙間分だけ回動する。これにより、シンクロナイザリング87のスプライン部87aのチャンファ部87bと、カップリングスリーブ86のスプライン部86aのチャンファ部86bとが、図4(b)に示すように、軸方向で向き合ったインデックス状態となる。
このインデックス状態からさらにカップリングスリーブ86が軸方向に移動すると、両チャンファ部87b,86bが接触し、シンクロナイザリング87がコーン部84bをさらに押して摩擦トルクが発生し、シンクロナイザリング87及びカップリングスリーブ86と、クラッチギア84と、の同期が行われる。
この同期が終了すると、シンクロナイザリング87とコーン部84bとの間の摩擦トルクが消滅し、カップリングスリーブ86がさらに軸方向に移動する。これにより、カップリングスリーブ86のスプライン部86aが、シンクロナイザリング87を押し分け、図4(d)に示すように、クラッチギア84のスプライン部84aと噛み合い、変速が終了する。
以上のように、ギア81とクラッチハブ85との間に設けられ、カップリングスリーブ86の軸方向の移動に伴って、係合クラッチ83の入力側と出力側との相対移動に伴って生じる摩擦力により入力側と出力側とを同期回転させる構成、すなわち、クラッチギア84,カップリングスリーブ86、シンクロナイザリング87が同期機構を構成する。
次に、図1に戻り、摩擦クラッチ93について説明する。
摩擦クラッチ93は、ギア91と共に回転するドリブンプレート94と、変速機入力軸6と共に回転するドライブプレート95と、を有する。そして、図2に示す電動アクチュエータ42により両プレート94,95に押付け力を与えるスライダ96を駆動することで、摩擦クラッチ93を摩擦締結/開放する。
この摩擦クラッチ93の伝達トルク容量はスライダ96の位置によって決まり、また、スライダ96はネジ機構となっており、電動アクチュエータ42の入力が0(ゼロ)のとき、位置を保持する機構となっている。変速コントローラ21は、スライダ位置センサ26の値を読み込み、所望の伝達トルク容量が得られるスライダ位置になるように電動アクチュエータ42に電流を与える位置サーボコントローラ52(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。
そして、摩擦クラッチ93は、図1に示す変速機入力軸6と一体に回転し、クラッチ摩擦締結のときギア91を変速機入力軸6に駆動連結し、クラッチ開放のとき、ギア91と変速機入力軸6の駆動連結を切り離す。
図2に戻り、モータジェネレータMGは、統合コントローラ30(図1参照)から出力される指令を入力するモータコントローラ28によって力行制御または回生制御される。つまり、モータコントローラ28がモータトルク指令を入力すると、モータジェネレータMGが力行制御される。また、モータコントローラ28が回生トルク指令を入力すると、モータジェネレータMGが回生制御される。これに加え、アクセル開度に対するモータトルクの応答性(時定数)の変更制御が行われる。
変速コントローラ21は、車速センサ22やアクセル開度センサ23やブレーキストロークセンサ24や前後Gセンサ25等からの情報を入力し、図3に示す変速マップを用い、自動変速機3の変速制御(アップ変速、ダウン変速)を行う。すなわち、変速コントローラ21は、ローギア段へのダウン変速時には、係合クラッチ83を締結させる一方で摩擦クラッチ93を開放させる。また、ハイギア段へのアップ変速時には、係合クラッチ83を開放させる一方で摩擦クラッチ93を締結させる。
[トルク増加傾き設定手段の構成]
図1及び図2に示す変速コントローラ21では、上記の変速制御に加え、ダウン変速時のトルクフェーズ中のアクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作時に、モータトルクTmoの増加傾きKmoを設定するトルク増加傾き設定処理を実行する。
すなわち、モータトルクTmoの増加時には、例えば、エンジンのトルク増加傾きに相当する予め設定された増加傾きKmoにより増加させるのが一般的である。
それに対し、本実施の形態1では、ダウン変速時のトルクフェーズ中のアクセルペダル踏込増加操作時には、その踏込増加操作状態に応じたトルク増加傾き設定処理として、トルク増加抑制処理、トルク通常増加処理、トルク可変増加処理、トルク上限増加処理を実行している。
以下に、このトルク増加傾き設定処理について図5のフローチャートに基づいて、説明する。
このトルク増加傾き設定処理は、変速判定が成されたことにより開始され、最初のステップS101では、変速がダウン変速であるか否か判定する。そして、ダウン変速時には、トルク増加傾き設定処理を実行するべくステップS102に進み、非ダウン変速時(アップ変速時)は、トルク増加傾き設定処理を実行することなくエンドに進む。
ステップS102では、トルクフェーズが開始されたか否か判定し、トルクフェーズが開始された場合は、ステップS103に進み、開始されない場合はステップS102の判定を繰り返す。
なお、本実施の形態1では、ダウン変速時のトルクフェーズ開始判定は、係合クラッチ83の同期完了により判定するようにしている。
すなわち、ダウン変速における係合クラッチ83の締結時には、モータ回転数Nmoを回転数制御して、係合クラッチ83の入力側回転数と出力側回転数とを同期させた後、電動アクチュエータ41を駆動させて係合クラッチ83が係合させる。後述する図6に示すように、係合クラッチ83の入出力側を同期させるべく回転数制御を実行しているt11の時点からt12の時点までの相がイナーシャフェーズである。
そして、このイナーシャフェーズにて係合クラッチ83の入出力回転数の同期後、係合クラッチ83が係合状態となったら、摩擦クラッチ93を開放作動させる。この同期回転終了時点(図6のt12)から、摩擦クラッチ93が開放状態となる時点(図6のt14)までの間が、トルクフェーズである。このトルクフェーズ中には、摩擦クラッチ93の伝達トルクTcl2が低下するのに応じて、係合クラッチ83の伝達トルクTcl1が増加することになる。
ステップS102にてトルクフェーズ開始と判定された場合に進むステップS103では、アクセル開度センサ23の出力に基づいて図示を省略したアクセルペダルの踏込量が増加されたか否かを判定する。そして、踏込増加が成されない場合は、ステップS104に進み、踏込増加が成された場合はステップS105に進む。さらに、ステップS104では、変速終了(ダウン変速)か否か判定し、変速終了の場合はトルク増加傾き設定処理を実行することなくエンドに進み、変速終了しない場合はステップS103に戻る。
一方、ダウン変速時のトルクフェーズ開始後であって、変速終了以前のトルクフェーズ中にアクセルペダル(図示省略)の踏込量が増加された場合に進む、ステップS105では、要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上であるか否か判定する。そして、要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合はステップS106に進み、要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1未満の場合はステップS108に進む。
なお、第1閾値Tlim1は、アクセル操作に対し変速ショックを生じさせたくない領域を判定するために予め設定された値であって、アクセルペダルの緩やかな操作を示す値である。すなわち、アクセルペダル操作として、要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1未満の領域は、車両前後加速度変化が緩やかであり、変速ショックをドライバに違和感として与えたくない領域としている。一方、アクセル操作として、要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の領域は、車両前後加速度変化もある程度大きくなり、変速ショックが生じても、ドライバに違和感を与えにくく、逆に加速感として捉えやすい領域としている。この値は、実測値やシミュレーション値や体感などに基づいて、予め設定されている。
また、要求駆動トルクtFoは、車速Vとアクセル開度APOに基づいて求めることができるが、アクセル開度APOの変化速度により求めることもできる。
要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1未満の場合に進むステップS108では、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、摩擦クラッチ93の開放応答性に合わせた増加抑制時傾きKmo1に設定するトルク増加抑制処理を実行した後、ステップS112に進む。
ここで、摩擦クラッチ93の開放応答性に合わせた増加抑制時傾きKmo1について説明する。摩擦クラッチ93の開放指示から実際に開放されるまでの伝達トルク特性は、実物によるデータあるいはシミュレーションなどにより予め知ることができる。具体的には、図7を例に挙げて説明すると、摩擦クラッチ93において、開放指示のt23の時点から開放完了となるt24の時点までのトルク減少傾きが開放応答性となる。そこで、増加抑制時傾きKmo1は、この開放応答性の単位時間あたりの減少量と同量だけトルク増加を行なう傾きとしている。
一方、図5に示すステップS105において、要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合に進むステップS106では、要求駆動トルクtFoが、第2閾値Tlim2以上であるか否か判定し、第2閾値Tlim2以上の場合はステップS107に進み、第2閾値Tlim2未満の場合は、ステップS109に進む。
要求駆動トルクtFoが、第2閾値Tlim2未満の場合に進むステップS109では、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、通常時のモータジェネレータMGの増加応答性である通常時増加傾きとしての通常時増加傾きKmo2に設定するトルク通常増加処理を実行した後、S112に進む。なお、本実施の形態1では、この通常時増加傾きKmo2は、モータトルクTmoの増加勾配として、通常使用する増加勾配であり、この通常時増加傾きKmo2は、エンジン車と同様のトルク増加傾き特性に設定されている。
一方、ステップS106において、要求駆動トルクtFoが、第2閾値Tlim2以上の場合に進むステップS107では、要求駆動トルクtFoが第3閾値Tlim3以上であるか否か判定する。そして、要求駆動トルクtFoが第3閾値Tlim3以上の場合はステップS111に進み、要求駆動トルクtFoが第3閾値Tlim3未満の場合はステップS110に進む。
要求駆動トルクtFoが、第3閾値Tlim3未満の場合に進むステップS110では、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、要求駆動トルクtFoに応じた可変増加傾きKmo(tFo)に設定するトルク可変増加処理を実行した後、S112に進む。ここで、可変増加傾きKmo(tFo)とは、通常時増加傾きKmo2と、後述する上限増加傾きKmaxとの間で、要求駆動トルクtFoが大きいほど上限増加傾きKmaxに近付き、要求駆動トルクtFoが小さいほど通常時増加傾きKmo2に近付くように可変設定する。
一方、ステップS107にて要求駆動トルクtFoが第3閾値Tlim3以上の場合に進むステップS111では、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、上限増加傾きKmaxに設定するトルク上限増加処理を実行した後、ステップS112に進む。
なお、図9は、各閾値Tlim1,Tlim2,Tlim3と、アクセル開度APOと、ステップS108〜S111の各処理との関係を示す処理特性図である。この図に示すように、アクセル開度APOが相対的に小さく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1未満の領域にて、トルク増加抑制処理を実行する。また、その領域よりもアクセル開度APOが大きくなった、Tlim1≦tFo<Tlim2の領域にて、トルク通常時増加処理を実行する。さらに、アクセル開度APOが大きくなった、Tlim2≦tFo<Tlim3の領域にて、トルク可変増加処理を実行する。そして、さらにアクセル開度APOが大きくなった、Tlim3≦tFoの領域にて、トルク上限増加処理を実行する。
ステップS108〜S111のいずれかにて増加傾きKmoを設定した後に進むステップS112では、モータトルクTmoが要求駆動トルクtFoに達したか否か判定する。そして、モータトルクTmoが要求駆動トルクtFoに達しない場合は、ステップS114に進み、モータトルクTmoが要求駆動トルクtFoに達した場合はステップS113に進む。
ステップS113では、モータトルクTmoを要求駆動トルクtFoに維持し、ステップS114に進む。
ステップS114では、変速終了か否か判定し、変速終了した場合はトルク増加傾き設定処理を終了してエンドに進み、変速終了しない場合は、ステップS112に戻る。
すなわち、ステップS105〜S114までの処理により、要求駆動トルクtFoに応じて、ステップS108〜S111のいずれかの処理により、モータトルクTmoの増加傾きKmoを設定する。そして、モータトルクTmoが要求駆動トルクtFoに達するか、変速終了するかまで、モータトルクTmoを、設定された増加傾きKmoにより増加させる。
(実施の形態1の作用)
次に、実施の形態1の車両の変速制御装置の作用を図6〜図8のタイムチャートに基づいて説明する。
図6〜図8は、ダウン変速時の動作例を示している。図6は、通常のダウン変速時の動作例を示し、図7は、ダウン変速時においてトルクフェーズ中にドライバが緩やかな加速操作を行った場合の動作例を示し、図8は、ダウン変速時においてトルクフェーズ中にドライバがある程度急な加速操作を行った場合の動作例を示している。
まず、図6に基づいて通常のダウン変速時の動作例について説明する。なお、この通常のダウン変速時とは、トルクフェーズ中にドライバが加速操作を行わない例である。
この動作例では、t11の時点以前は、自動変速機3は、ハイギア段に制御されており、t11の時点で、変速開始判定(ダウン変速)が成されている。
なお、t11の時点のダウン変速開始判定は、車速Vと要求駆動トルクtFoとの関係が、図3に示す変速線を横切ることにより成される。
この変速開始判定により、変速コントローラ21では、自動変速機3をハイギア段からローギア段に変速する制御を実施し、摩擦クラッチ93を開放する一方、係合クラッチ83を締結させる。この場合、まず、t11の時点から、モータ回転数Nmoを制御して、これから締結される係合クラッチ83の入力側回転数を出力側回転数に同期させる。これにより、t12の時点で同期が完了している。
次に、変速コントローラ21は、電動アクチュエータ41を駆動させて、係合クラッチ83を、図4に示す同期機構の動作に基づいて、係合締結させる。そして、図6のタイムチャートにおいてt13の時点が、係合クラッチ83の係合締結が完了した時点である。
次に、変速コントローラ21は、t13の時点から、電動アクチュエータ42を開放側に駆動させて、摩擦クラッチ93の開放動作を開始する。これにより、摩擦クラッチ93は、t14の時点で開放動作を終了し、この時点(t14)にて変速が終了する。
すなわち、電動アクチュエータ42は、前述のようにスライダ96によるネジ機構を介して摩擦クラッチ93を開放させるため、油圧動作に比べ動作に時間を要し、開放動作にt13の時点からt14の時点までの時間を要している。
また、この摩擦クラッチ93の開放動作による伝達トルクTcl2の低下に伴い、係合締結状態の係合クラッチ83を介した伝達トルクTcl1が増加する。
次に、トルクフェーズ中にドライバがアクセルペダル(図示省略)の踏込量を増加させる操作を行った場合の動作を説明する。
この動作を説明するのにあたり、まず、本実施の形態1の解決課題を説明するために、本実施の形態1のステップS109の処理に基づくモータトルクTmoを通常時の増加勾配である通常時増加傾きKmo2により増加させた場合を、図8に基づき説明する。
図8の動作例にあっても、図6の動作例と同様に、t31の時点で変速判定されて変速が開始され、t32の時点で係合クラッチ83の同期回転が完了し、t33の時点で、係合クラッチ83の係合締結が完了するとともに、摩擦クラッチ93の開放動作を開始している。そして、t34の時点で、変速が終了している。
ここで、図8の例では、t33〜t34の時点の間のトルクフェーズ中においてt33bの時点で、ドライバによるアクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作が行われている。そこで、モータトルクTmoは、t33の時点から通常時増加傾きKmo2により増加し、t33cの時点で、t33bの加速操作に応じた要求駆動トルクtFoに達している。
この場合、車両前後加速度(車両G)では、t33bの加速開始時点から、t34の変速終了時点の間のトルクフェーズ中において、t33cの時点で上向きの山が生じている。この車両前後加速度の上向きの山は、車両に対してトルクの突き上げ感を生む。このため、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加量がある程度大きい場合には、このトルクの突き上げが加速感につながるが、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加量が小さい場合、ドライバに対して、変速ショックとして違和感を与えるおそれがある。
そこで、本実施の形態1では、アクセルペダル操作に応じ、このような変速ショックとして感じられるようなアクセルペダル操作領域では、この変速ショック(車両前後加速度変化)が生じないようにしたものであり、その動作を図7のタイムチャートに基づいて説明する。
この図7の動作例は、図8にて説明した動作例と同様に、t21の時点で変速判定されて変速が開始され、t22の時点で係合クラッチ83の同期回転が完了し、t23の時点で、係合クラッチ83の係合締結が完了するとともに摩擦クラッチ93の開放動作を開始し、t24の時点で、変速が終了している。
さらに、図7の例では、図8の動作例と同様に、t23〜t24の時点の間のトルクフェーズ中においてt23bの時点で、ドライバによるアクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作が行われている。
この動作例におけるアクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作による要求駆動トルクtFoは、第1閾値Tlim1よりも小さい。すなわち、この踏込増加操作は、ドライバの加速要求が相対的に小さいとともに、変速ショックが生じた場合には、ドライバに違和感を与える操作である。
このような踏込増加操作をトルクフェーズ中に実行した場合、変速コントローラ21では、ステップS101〜S105及びS108の処理により、トルク増加抑制処理が実行される。
したがって、モータトルクTmoの増加傾きKmoは、摩擦クラッチ93の開放応答性に合わせて、その開放に伴うトルク減少分だけ増加させる増加抑制時傾きKmo1に設定する。
このため、このアクセルペダル操作が実行されたt23bの時点から、変速終了のt24の時点までの間では、モータトルクTmoの増加傾きKmoが変化することがなく、車両前後加速度もt24の時点まで、一定の傾きで増加する。よって、図8により説明したような車両前後加速度の上向きの山による変速ショックの発生を抑制することができる。
一方、アクセルペダル操作が、第1閾値Tlim1よりも大きい場合は、操作に対する加速感を優先するため、上述のトルク増加抑制処理は実行されない。
すなわち、アクセルペダル操作に伴う要求駆動トルクtFoが、第1閾値Tlim1よりも大きく、第2閾値Tlim2未満の場合は、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、通常時増加傾きKmo2に設定する。
この場合の動作例が、前述した図8のタイムチャートに示す動作例である。
この場合、タイムチャートに示すように、アクセルペダル操作に応じてt33bの時点から通常時増加傾きKmo2により増加させたモータトルクTmoは、t33cに示す時点で、要求駆動トルクtFoに達する。このため、トルクフェーズ中に、前後加速度に変化(上向きの山)が生じるが、このようにドライバの要求駆動トルクtFoが、第1閾値Tlim1よりも大きく加速要求が強い場合は、このような前後加速度変化(変速ショック)が加速感を与えることになる。
さらに、本実施の形態1では、アクセルペダル操作に応じたドライバの要求駆動トルクtFoが、第2閾値Tlim2よりも大きく第3閾値Tlim3未満の場合、図8に示すt33bの時点以降の増加傾きKmoは、通常時増加傾きKmo2と点線により示す上限増加傾きKmaxとの間の可変増加傾きKmo(tFo)に設定する(ステップS105→S106→S107→S110の処理に基づく)。
すなわち、可変増加傾きKmo(tFo)は、要求駆動トルクtFoに応じ、要求駆動トルクtFoが大きいほど上限増加傾きKmaxに近付き、要求駆動トルクtFoが小さいほど、通常時増加傾きKmo2に近付くように設定する。
この場合、可変増加傾きKmo(tFo)は、エンジンのトルク増加相当の増加勾配である通常時増加傾きKmo2よりも急となるため、ドライバに対して、エンジンによる加速感よりも強い加速感を与えることができる。しかも、可変増加傾きKmo(tFo)は、要求駆動トルクtFoが大きいほど急に設定するため、ドライバのアクセルペダル操作に応じた強い加速感を与えることができる。
そして、図8のタイムチャートのt33bの時点の加速操作による要求駆動トルクtFoが、第3閾値Tlim3よりも大きい場合、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、上限増加傾きKmaxに設定する。この上限増加傾きKmaxは、モータジェネレータMGの性能上の最大の増加傾きであり、ドライバに最大の加速感を与えることができる。
(実施の形態1の効果)
次に、実施の形態1の効果を説明する。
実施の形態1の車両の変速制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
a)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
原動機としてのモータジェネレータMGから駆動輪14への駆動伝達系に設けられ、電動アクチュエータ41,42の駆動により締結要素を締結及び開放させて複数段の変速を行なう自動変速機3と、
締結要素として設けられ、ダウン変速時に開放されるダウン変速時開放クラッチとしての摩擦クラッチ93及びダウン変速時に締結されるダウン変速時締結クラッチとしての係合クラッチ83と、
自動変速機3の変速制御を行う変速制御手段としての変速コントローラ21と、
を備えた車両の変速制御装置であって、
変速コントローラ21は、ダウン変速時において、係合クラッチ83の入力回転数を出力側回転数に同期させた時点から変速終了時点までのトルクフェーズ中にアクセルペダルの踏込増加操作が行われたトルクフェーズ中踏込時に、モータトルクTmoの増加傾きKmoを設定するトルク増加傾き設定処理を実行するトルク増加傾き設定手段(図5のフローチャートの処理を実行する構成)を備え、このトルク増加傾き設定手段は、増加傾きKmoを、ダウン変速時開放クラッチとしての摩擦クラッチ93の応答性に合わせて設定するトルク増加抑制処理(ステップS108)を実行することを特徴とする。
したがって、トルク増加抑制処理が実行された場合には、モータトルクTmoの増加傾きKmoは、摩擦クラッチ93の開放応答性に合わせた増加抑制時傾きKmo1に設定される。この場合、図7に示すように、モータトルクTmoは、踏込増加操作が行われたt23bから変速終了時点であるt24の時点まで、摩擦クラッチ93の開放応答性によるトルク減少分だけが増加される。
このため、このt23bの時点から、変速終了のt24の時点までの間に、伝達トルクTcl1の増加傾きが変化することがなく、車両前後加速度も一定勾配で増加する。
よって、ダウン変速時のトルクフェーズ中にドライバがアクセルペダル踏込増加操作を行った場合の変速ショックを抑制可能である。
b)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
駆動トルク制御手段としての変速コントローラ21は、トルク増加抑制処理を、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが、変速ショック抑制のために予め設定された第1閾値Tlim1未満の場合に実行することを特徴とする。
したがって、変速ショックを生じさせたくないアクセルペダル操作領域において確実に変速ショックの発生を抑制することができる。
c)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
トルク増加傾き設定手段としての変速コントローラ21において図5のフローチャートの処理を実行する構成では、トルクフェーズ中踏込時に、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合、モータトルクTmoの増加傾きを、通常走行時に用いる通常時増加傾きKmo2とするトルク通常増加処理(S109の処理)を実行することを特徴とする。
したがって、トルクフェーズ中踏込時のアクセルペダル操作による要求駆動トルクtFoが、変速ショック抑制のために予め設定された第1閾値Tlim1よりも大きい場合には、通常時増加傾きKmo2とすることにより、アクセルペダル操作に応じた加速感を得ることができる。
d)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
トルク増加傾き設定手段としての変速コントローラ21において図5のフローチャートの処理を実行する構成では、トルクフェーズ中踏込時に、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合、モータトルクTmoの増加傾きを、要求駆動トルクtFoに応じて可変制御するトルク可変増加処理(ステップS110の処理)を実行することを特徴とする。
したがって、増加傾きKmoとして一定値を用いる場合と比較して、よりいっそうアクセルペダル操作に応じた加速感を得ることができる。
特に、本実施の形態1では、このトルク可変増加処理を、通常増加処理を実行する要求駆動トルクtFoが、第1閾値Tlim1と第2閾値Tlim2との間の領域よりも要求駆動トルクtFoが大きな領域にて実行するようにした。しかも、そのトルク可変増加処理時の増加傾きKmoを、通常時増加傾きKmo2と上限増加傾きKmaxとの間にて要求駆動トルクtFoに応じて可変とした。
これにより、アクセルペダル操作に応じて、通常増加処理時よりも大きな新規な加速感を得ることができる。
e)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
トルク制御手段としての変速コントローラ21において図5のフローチャートの処理を実行する構成では、トルクフェーズ中踏込時に、アクセルペダル(図示省略)の踏込増加操作に基づく要求駆動トルクtFoが第1閾値Tlim1以上の場合、モータトルクTmoの増加傾きKmoを、モータジェネレータMGの上限増加傾きKmaxとするトルク上限増加処理(ステップS111の処理)を実行することを特徴とする。
したがって、増加傾きKmoとして一定値を用いる場合と比較して、よりいっそうアクセルペダル操作に応じた加速感を得ることができる。
特に、本実施の形態1では、このトルク可変増加処理を、トルク可変増加処理を実行する第2閾値Tlim2未満の領域よりも要求駆動トルクtFoが大きな領域にて実行するようにした。これにより、アクセルペダル操作に応じて、トルク可変増加処理時よりも大きな加速感を得ることができる。
f)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
ダウン変速時開放クラッチとしての摩擦クラッチ93が、電動アクチュエータ42の駆動により締結及び開放される構成であることを特徴とする。
すなわち、ダウン変速時に、電動アクチュエータ42の駆動により摩擦クラッチ93を開放させる場合、その駆動にある程度の時間を要するのが一般的であるため、変速終了までのトルクフェーズの時間も長くなる。よって、その間に、ドライバがアクセルペダル操作を行った場合に、要求駆動トルクtFoに応じた駆動トルクとしてのモータトルクTmoの増加傾きが変動すると、変速ショックが生じやすい。
したがって、本実施の形態1では、このような変速ショックが生じやすい構成において、上記a)のように、変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。
g)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
原動機がモータジェネレータMGであることを特徴とする。
原動機がモータジェネレータMGである場合、トルク応答性に優れるため、トルクフェーズ中に、ドライバがアクセルペダル操作を行った場合、その応答性の高さ故、変速終了前にアクセルペダル操作に応じたトルク増加勾配の変動が生じやすい。
したがって、本実施の形態1では、このような変速ショックが生じやすい構成において、上記a)のように、変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。
h)実施の形態1の車両の変速制御装置は、
ダウン時締結側クラッチが、係合クラッチ83であることを特徴とする。
したがって、ダウン変速時には、トルクフェーズの前のイナーシャフェーズ中に係合クラッチ83は、係合状態に制御される。
この場合、トルクフェーズ中のアクセルペダル踏込増加操作によりモータトルクTmoが増加すると、その増加分が、係合クラッチ83を介して、駆動輪14側に伝達されやすく、その分、車両前後加速度変化、すなわち、変速ショックが生じやすい。
したがって、本実施の形態1では、このような変速ショックが生じやすい構成において、上記a)のように、変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。
以上、本発明の車両の変速制御装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施の形態では、本発明の車両の変速制御装置を、原動機としてモータジェネレータのみ備えた電気自動車に適用した例を示した。しかし、本発明の車両の変速制御装置は、原動機としてエンジンとモータジェネレータを備えたハイブリッド車両や、原動機としてエンジンのみを備えたエンジン車両にも適用することもできる。よって、実施の形態では、回転数制御を行う対象の原動機としてモータジェネレータを示したが、これに限定されず、エンジンを制御対象とすることもできる。
ここで、原動機としてエンジンと2つのモータジェネレータを備えたハイブリッド車両としては、図10に示すように、実施の形態1にて示した駆動系に、エンジン1、発電用モータジェネレータMG1、動力分配装置2を加えたものとしてもよい。
なお、動力分配装置2は、リングギアRGと、サンギアSGと、ピニオンPGを支持するキャリアPCと、を有するシングルピニオン型遊星歯車により構成されている。リングギアRGには、変速機出力軸7に固定されたギア92に噛み合わされている。キャリアPCには、エンジン出力軸4が接続されている。サンギアSGには、発電用モータジェネレータMG1のモータ出力軸5が接続されている。すなわち、動力分配装置2は、発電用モータジェネレータMG1(サンギアSG)の回転速度と、エンジン1(キャリアPC)の回転速度と、が決まると、リングギアRG(高速段ギア対90のギア92)の回転速度が自動的に決まる無段変速機能を有する。
そして、駆動用モータジェネレータMG2は、発電用モータジェネレータMG1が発電した電力を使って駆動し、変速機入力軸6から自動変速機3を介して変速機出力軸7へ出力する。また、動力分配装置2からの出力トルクと、自動変速機3からの出力トルクとが、変速機出力軸7にて合成される。なお、発電用モータジェネレータMG1は、主としてジェネレータとして発電用に使用するが、走行状況によっては駆動用モータとして使用してもよい。
また、実施の形態では、締結要素の締結及び開放を行うアクチュエータとして電動アクチュエータを示したが、アクチュエータとしては電動のものに限られず、油圧アクチュエータなど他のアクチュエータを用いることができる。
また、実施の形態では、変速機の締結要素のダウン変速時締結クラッチとして、係合クラッチ(ドグクラッチ)を用い、ダウン変速時開放クラッチとして摩擦クラッチを示したが、これに限定されず、両クラッチを摩擦クラッチとしたものにも適用することができる。
加えて、変速機として、ハイギア段とローギア段の2段変速を行う自動変速機を示した。しかし、変速機としては、複数の変速段を有する変速機であれば、3段以上の変速機であってもよい。
また、実施の形態では、ダウン変速時開放クラッチの応答性に合わせて設定した増加抑制時傾きとして、ダウン変速時開放クラッチ(摩擦クラッチ)の開放時の伝達トルク減少傾きによる単位時間当たりの減少量と同量だけ増加させるようにした。しかしながら、本発明は、これに限定されず、ダウン変速開放クラッチの応答性を基準として増加抑制時傾きを設定するのであれば、ある程度の設定幅を有して設定することも含まれる。すなわち、実施の形態では、ダウン変速時開放クラッチの開放時の伝達トルク減少傾きに対して、係数として−1を乗じた値相当を増加抑制時傾きとした。
これに対して、増加抑制時傾きを、伝達トルク減少傾きに対して、絶対値が1よりも大きなマイナスの値を乗じた値としても、それが、通常時の増加傾きよりも緩やかな傾きであれば、ダウン時締結クラッチによる伝達トルクの増加傾き変化を抑えて、変速ショックを抑制することができる。
さらに、これとは逆に、伝達トルク減少傾きに対して絶対値が1未満のマイナスの値を乗じた傾きとした場合であっても、トルクフェーズ中には、ダウン時締結クラッチによる伝達トルクの増加傾きが変化することを抑制し、変速ショックを抑えることができる。したがって、変速ショックを抑えることのできる範囲で、ダウン変速開放クラッチの応答性を基準として増加抑制時傾きを設定するものであれば、ある程度の設定自由度を許容するものである。
また、実施の形態では、トルクフェーズ中踏込時における要求駆動トルクが、トルク増加抑制処理の実行判定を行う第1閾値以上の場合において、要求駆動トルクが第2閾値未満の場合にトルク通常増加処理を実行し、要求駆動トルクが第2閾値以上で第3閾値未満の場合にトルク可変増加処理を実行し、要求駆動トルクが第3閾値以上の場合にトルク上限増加処理を実行する例を示したが、トルク通常増加処理、トルク可変増加処理、トルク上限増加処理の組み合わせ及びその実行判定の閾値は、これに限定されない。
すなわち、トルクフェーズ中踏込時において、トルク通常増加処理、トルク可変増加処理、トルク上限増加処理のいずれかを実行する場合、その組み合わせは任意であり、少なくともいずれか1つの処理を実行すればよい。また、実施の形態では、トルク可変増加処理は、要求駆動トルクがトルク通常増加処理の実行判定を行う第2閾値以上の場合に実行する例を示したが、これに限定されず、例えば、要求駆動トルクが第1閾値と第2閾値との間でトルク可変増加処理を実行し、要求駆動トルクが第2閾値以上の場合に、トルク通常増加処理あるいはトルク上限増加処理を実行するようにしてもよい。
このように、トルク可変増加処理を、要求駆動トルクが、トルク通常増加処理の実行判定を行う第2閾値未満の領域で実行することにより、駆動トルクの増加傾きを通常増加傾きよりも抑えて変速ショックを抑えつつ、ダウン変速時開放側クラッチの応答性に応じた増加傾きとした場合よりも、ドライバの加速要求に応じた駆動トルクの増加傾きとして加速感を得ることが可能となる。
1 エンジン(原動機)
3 自動変速機
14 駆動輪
21 変速コントローラ(変速制御手段:トルク増加傾き設定手段)
41 電動アクチュエータ
42 電動アクチュエータ
83 係合クラッチ(締結要素:ダウン変速時締結クラッチ)
93 摩擦クラッチ(締結要素:ダウン変速時開放クラッチ)
Kmax 上限増加傾き
Kmo (モータトルクの)増加傾き
Kmo(tFo)可変増加傾き
Kmo1 増加抑制時傾き
Kmo2 通常時増加傾き
MG モータジェネレータ(原動機)
MG2 駆動用モータジェネレータ(原動機)
tFo 要求駆動トルク
Tlim1 第1閾値
Tlim2 第2閾値
Tlim3 第3閾値
Tmo モータトルク(駆動トルク)

Claims (8)

  1. 原動機から駆動輪への駆動伝達系に設けられ、アクチュエータの駆動により締結要素を締結及び開放させて複数段の変速を行なう変速機と、
    前記締結要素として設けられ、ダウン変速時に開放されるダウン変速時開放クラッチ及びダウン変速時に締結されるダウン変速時締結クラッチと、
    前記変速機の変速制御を行う変速制御手段と、
    を備えた車両の変速制御装置であって、
    前記変速制御手段は、ダウン変速時において、前記ダウン変速時締結クラッチの入力回転数を出力側回転数に同期させた時点から変速終了時点までのトルクフェーズ中にアクセルペダルの踏込増加操作が行われたトルクフェーズ中踏込時に、前記原動機の駆動トルクの増加傾きを設定するトルク増加傾き設定処理を実行するトルク増加傾き設定手段を備え、このトルク増加傾き設定手段は、前記増加傾きを、前記ダウン変速時開放クラッチの応答性に合わせて設定するトルク増加抑制処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両の変速制御装置において、
    前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルク増加抑制処理を、前記アクセルペダルの踏込増加操作に基づく要求駆動トルクが、変速ショック抑制のために予め設定された第1閾値未満の場合に実行することを特徴とする車両の変速制御装置。
  3. 請求項2に記載された車両の変速制御装置において、
    前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルクフェーズ中踏込時に、前記要求駆動トルクが前記第1閾値以上の場合、前記駆動トルクの増加傾きを、通常走行時に用いる増加傾きとして予め設定された通常時増加傾きとするトルク通常増加処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。
  4. 請求項2に記載された車両の変速制御装置において、
    前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルクフェーズ中踏込時に、前記要求駆動トルクが前記第1閾値以上の場合、前記駆動トルクの増加傾きを、前記要求駆動トルクに応じて可変制御するトルク可変増加処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。
  5. 請求項2に記載された車両の変速制御装置において、
    前記トルク増加傾き設定手段は、前記トルクフェーズ中踏込時に、前記要求駆動トルクが前記第1閾値以上の場合、前記駆動トルクの増加傾きを、前記原動機の上限増加傾きとするトルク上限増加処理を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載された車両の変速制御装置において、
    前記ダウン変速時開放クラッチが、電動アクチュエータの駆動により締結及び開放される構成であることを特徴とする車両の変速制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載された車両の変速制御装置において、
    前記原動機がモータであることを特徴とする車両の変速制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載された車両の変速制御装置において、
    前記ダウン時締結側クラッチが、係合クラッチであり、前記ダウン時開放側クラッチが、摩擦クラッチであることを特徴とする車両の変速制御装置。
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