JP5310115B2 - 電動車両の制御装置 - Google Patents
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Description
この電動車両の制御装置において、前記モータ変速制御手段は、前記変速過渡期に前記摩擦クラッチをスリップ締結状態とすることで生じる摩擦力を駆動トルクの抜けを抑える駆動力の補償として使うとき、前記スリップ締結による駆動力補償量が、前記駆動モータによる変速機入力回転数の上昇動作に対しブレーキ(抵抗力)になり、ブレーキ(抵抗力)作用により車両の運転性能を低下させ前記摩擦クラッチを過度に発熱させると判断されるとき、前記駆動力補償量を減少側に修正し、前記変速機入力回転数を上昇させることによりクラッチ入力回転数がクラッチ出力回転数と同期するタイミングで前記ドグクラッチを締結する。
すなわち、駆動力補償量を減少側に修正することで、スリップ締結状態による摩擦クラッチでの摩擦力が低下し、駆動モータによる変速機入力回転数の上昇動作を抑えようとする抵抗力が軽減される。このため、モータ変速の開始から完了までの変速過渡期に要する時間が短縮され、モータ変速の間延び感が抑えられて車両の運転性能が確保されるし、摩擦クラッチの過度の発熱が抑えられる。
この結果、変速過渡期に駆動力補償を確保しながら、車両の運転性能向上の実現と摩擦クラッチの耐久性向上の実現を両立させることができる。
図1は、実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両(電動車両の一例)の駆動系と制御系の構成を示す全体システム図である。以下、図1に基づき駆動系構成と制御系構成を説明する。
ここで、キックダウン変速条件は、アクセル開度の急増によるキックダウン操作条件と、現在選択されているハイモードからローモードへの変速指令が出される変速条件が共に成立したときとする。具体的にキックダウン変速条件が成立であると判断されるのは、例えば、図6に示すようなキックダウン変速線(変速マップ)を用い、アクセル踏み込みによるキックダウン操作により、要求駆動力と車速により決まる運転点Aが、ハイモードの変速線(細線)を横切り、ローモードの変速線(太線)の領域内の運転点Bに移動したときである。なお、前記「要求駆動力」は、アクセル操作量センサ49からのアクセル操作量検出値により決め、前記「車速」は、車速センサ50からの車速検出値により決める。
ここで、摩擦力で補償する駆動力補償量は、キックダウン変速ではない通常のハイモードからローモードへの変速過渡期を基準とし、要求駆動力の変動幅の大きさに応じ、摩擦クラッチ7をスリップ締結させることによる摩擦力で補償する量に決める。
ここで、モータ変速推定時間は、図7に示すように、第2モータジェネレータ5の回転数増加により発生できる正トルクと、摩擦クラッチ7をスリップ締結することにより発生する負摩擦力と、第2モータジェネレータ5のモータイナーシャと、第2モータジェネレータ5の回転変化量に基づいて算出する。つまり、摩擦クラッチ7のスリップ締結による負摩擦力(=駆動力補償量)を低くするほど、モータ変速推定時間は短い時間になる。
ここで、摩擦クラッチ7の発熱量は、摩擦力と変速時間、摩擦クラッチ7の熱容量に基づいて算出する。
ここで、摩擦クラッチ7のスリップ締結制御では、例えば、油圧クラッチの場合、駆動力補償量に相当する油圧値とする制御を行う。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置におけるキックダウン変速作用を、図5のフローチャートに基づき説明する。
すなわち、ステップS107では、ステップS102にて設定した駆動力補償量を得る摩擦クラッチ7のスリップ締結制御が行われ、ステップS108では、第2モータジェネレータ5を目標回転数(=同期回転数)まで上昇させる回転数制御が行われる。
そして、ステップS109での同期回転数への到達条件が成立すると、ステップS109からステップS110へ進み、ステップS110では、ドグクラッチ8を締結し、続いて、スリップ締結状態の摩擦クラッチ7を開放する。
すなわち、ステップS107では、ステップS106にて設定した駆動力補償量を得る摩擦クラッチ7のスリップ締結制御が行われ、ステップS108では、第2モータジェネレータ5を目標回転数(=同期回転数)まで上昇させる回転数制御が行われる。
そして、ステップS109での同期回転数への到達条件が成立すると、ステップS109からステップS110へ進み、ステップS110では、ドグクラッチ8を締結し、続いて、スリップ締結状態の摩擦クラッチ7を開放する。
この結果、摩擦クラッチ7の摩擦力による駆動力補償を禁止するのではなく、駆動力補償量を減少側に修正することで、変速過渡期に駆動力補償を確保しながら、モータ変速の間延び感が抑えられて車両の運転性能が確保されるし、摩擦クラッチ7の過度の発熱が抑えられる。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、変速過渡期に駆動力補償を確保しながら、車両の運転性能向上の実現と摩擦クラッチ7の耐久性向上の実現を両立させることができる。
このため、摩擦クラッチ7の過度の発熱が確実に抑えられ、摩擦クラッチ7の耐久信頼性の向上を実現することができる。
図8は、実施例2の統合コントローラにて実行されるキックダウン変速制御処理の流れを示すフローチャートである(モータ変速制御手段)。以下、図8の各ステップについて説明する。なお、ステップS201〜ステップS203、ステップS207〜ステップS210の各ステップは、図5のステップS101〜ステップS103、ステップS107〜ステップS110の各ステップと同じ処理を行うので、説明を省略する。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
実施例2のハイブリッド車両の制御装置におけるキックダウン変速作用を、図8のフローチャートに基づき説明する。
すなわち、ステップS207では、ステップS206にて設定した駆動力補償量を得る摩擦クラッチ7のスリップ締結制御が行われ、ステップS208では、第2モータジェネレータ5を目標回転数(=同期回転数)まで上昇させる回転数制御が行われる。
そして、ステップS209での同期回転数への到達条件が成立すると、ステップS209からステップS210へ進み、ステップS210では、ドグクラッチ8を締結し、続いて、スリップ締結状態の摩擦クラッチ7を開放する。
実施例2のハイブリッド車両の制御装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
このため、モータ変速を許容時間内で速やかに完了させる作用を示し、車両の運転性能の向上を確実に実現することができる。
2 ダンパー
3 第1モータジェネレータ
4 オイルポンプ
5 第2モータジェネレータ(駆動モータ)
6 変速機(有段変速機)
7 摩擦クラッチ
8 ドグクラッチ
10 遊星歯車装置
32 駆動輪
41 第1インバータ
42 第2インバータ
43 バッテリ
44 モータコントローラ
45 エンジンコントローラ
46 変速コントローラ
47 双方向通信線
48 統合コントローラ
Claims (3)
- 駆動系に、駆動モータと、駆動輪と、入力側を前記駆動モータに接続すると共に出力側を前記駆動輪に接続した有段変速機と、を備え、
前記有段変速機は、変速要素として、高速段にて締結する摩擦クラッチと、低速段にて締結するドグクラッチと、を有し、
前記高速段から前記低速段に移行する変速過渡期、前記駆動モータを回転数制御とし、変速機入力回転数を制御するモータ変速制御手段を備えた電動車両の制御装置において、
前記モータ変速制御手段は、前記変速過渡期に前記摩擦クラッチをスリップ締結状態とすることで生じる摩擦力を駆動トルクの抜けを抑える駆動力の補償として使うとき、前記スリップ締結による駆動力補償量が、前記駆動モータによる変速機入力回転数の上昇動作に対しブレーキ(抵抗力)になり、ブレーキ(抵抗力)作用により車両の運転性能を低下させ前記摩擦クラッチを過度に発熱させると判断されるとき、前記駆動力補償量を減少側に修正し、前記変速機入力回転数を上昇させることによりクラッチ入力回転数がクラッチ出力回転数と同期するタイミングで前記ドグクラッチを締結する
ことを特徴とする電動車両の制御装置。 - 請求項1に記載された電動車両の制御装置において、
前記モータ変速制御手段は、変速条件成立時に摩擦力による駆動力補償量を決める駆動力補償量決定部と、決定した駆動力補償量により前記摩擦クラッチの発熱量を推定する発熱量推定部と、前記推定した摩擦クラッチの発熱量が許容範囲内か否かを判断するクラッチ発熱量判断部と、前記推定したクラッチ発熱量が許容範囲を超えるとき、決定した駆動力補償量を、前記摩擦クラッチの発熱量が許容範囲内となるように減少側に修正する駆動力補償量修正部と、を有することを特徴とする電動車両の制御装置。 - 請求項1に記載された電動車両の制御装置において、
前記モータ変速制御手段は、変速条件成立時に摩擦力による駆動力補償量を決める駆動力補償量決定部と、決定した駆動力補償量によりモータ変速時間を推定するモータ変速時間推定部と、前記推定したモータ変速時間が許容時間内か否かを判断するモータ変速時間判断部と、前記推定したモータ変速時間が許容時間を超えるとき、決定した駆動力補償量を、モータ変速時間が許容時間内となるように減少側に修正する駆動力補償量修正部と、を有することを特徴とする電動車両の制御装置。
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