JP2010188786A - ハイブリッド車両の変速制御装置および変速制御方法 - Google Patents

ハイブリッド車両の変速制御装置および変速制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダウンシフト要求を伴うエンジン始動によるクラッチの劣化を抑制できる新規なハイブリッド車両の変速制御装置および変速制御方法の提供。
【解決手段】EV走行中にエンジン始動要求と共にダウンシフト要求があった場合には、変速機T/Mの変速比を一旦ハイ側にシフトしてモータ回転数を下げてから第1クラッチCL1を締結してエンジンEを始動する。これによって、第1クラッチCL1を締結するときのモータ側とエンジン側の回転差を小さくして第1クラッチCL1の締結時の発熱量の増加を抑制できるため、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動に際の第1クラッチCL1の劣化を抑制できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、エンジンとモータの一方または両方を用いて駆動輪を駆動するハイブリッド車両に係る。特にエンジンとモータを接続する第1クラッチと、モータと変速機を接続する第2クラッチの締結状態およびその変速機の変速比を走行状態に応じて制御する変速制御装置および変速制御方法に関する。
従来のハイブリッド車は、エンジンとモータおよびモータと変速機との間にそれぞれクラッチを設けた構造となっている。そして、これらのクラッチの締結状態を適宜制御することでEV走行(モータ走行)とHEV走行(ハイブリッド(モータ+エンジン)走行)の切替および制動回生などの制御を行っている。
このようにEV走行からHEV走行への切り替えを行うためは、停止しているエンジンを始動させる必要がある。エンジンを始動する従来方法としては、例えば以下の特許文献1に示すような方法がある。この方法は、先ずエンジン始動時のショックを車両に伝達しないようにするためにモータと変速機と接続する第2クラッチを開放状態から滑り締結状態(以下、適宜「スリップ状態」という)にする。そして、アップシフト要求を伴うエンジン始動の場合には変速機をアップシフトしてからエンジン始動を実施している。また、加速時や坂道走行時などのようにダウンシフト要求を伴うエンジン始動の場合にはエンジン始動をしてから変速機をダウンシフトしている。
特開2007−69789号公報
しかし、前記のようにダウンシフト要求を伴うエンジン始動の場合には、シフトチェンジ前にエンジン始動を実施するため、その変速比によってはエンジンとモータとを連結する第1クラッチのモータ側とエンジン側との回転数差が大きくなる。この結果、第1クラッチの発熱量や摩耗が増加して劣化を促進してしまう。
また、エンジン始動時のモータの回転数とエンジンの初期回転数との差が大きくなり、エンジン発生トルクが駆動輪に伝達されるまでのレスポンスが遅くなってしまう。
そこで、本発明はこのような課題を解決するために案出されたものであり、その主な目的は、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動によるクラッチの劣化を抑制できる新規なハイブリッド車両の変速制御装置および変速制御方法を提供するものである。
前記目的を達成するために本発明は、エンジンとモータとを接続する第1クラッチと、前記モータと変速機とを接続する第2クラッチと、これらのクラッチを制御する手段と、前記変速機を制御する手段とを有するハイブリッド車両の変速制御装置に関する。
そして、前記クラッチ制御手段は、EV走行中に前記エンジンの始動要求と共に前記変速機の変速比をロー側にシフトさせるダウンシフト要求があったときは、前記第2クラッチを締結状態から滑り締結状態にする。そして、このクラッチ制御手段は、前記変速機の変速比がハイ側にシフトしたならば、その後に前記第1クラッチを開放状態から滑り締結状態にして前記エンジンを始動する。
一方、前記変速機制御手段は、EV走行中に前記エンジンの始動要求と共に前記変速機の変速比をロー側にシフトさせるダウンシフト要求があったときは、前記第2クラッチが滑り締結状態になった後に前記変速機の変速比をハイ側にシフトする。そして、この変速機制御手段は、その後、前記エンジンが始動して前記第1クラッチのエンジン側の回転数と前記モータ側の回転数の差が所定値よりも小さくなったことを検出すると、前記変速機の変速比をロー側にダウンシフトして供給された変速比に制御する。
本発明は、このようにEV走行中にエンジン始動要求と共にダウンシフト要求があった場合には、変速機の変速比を一旦ハイ側にシフトしてモータ回転数を下げてからエンジンとモータとを接続する第1クラッチを締結してエンジンを始動するものである。
これによって、変速機の変速比を変えずにそのままエンジン始動する場合に比べて第1クラッチを締結するときのモータ側とエンジン側の回転差を小さくできる。この結果、第1クラッチ締結時の発熱量の増加を抑制できるため、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動に際の第1クラッチの劣化を抑制できる。
本発明に係る変速制御装置の実施の一形態を示す全体システム図である。 本発明に係る変速制御の処理の流れを示すフローチャート図である。 本発明に係る変速制御の処理の流れを示したタイムチャート図である。 本発明に係る変速制御に対応するモータMの動作点の変化を示した模式図である。
以下、本発明のハイブリッド車両のクラッチ制御装置の実施の一形態を添付図面を参照しながら説明する。
(構成)
先ず、本発明の変速制御装置を含む一般的なハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。
図1は、本発明のクラッチ制御装置を含む後輪駆動によるハイブリッド車両100を示す全体システム図である。
図1に示すように、このハイブリッド車両100は、エンジンEと、モータMと、第1クラッチCL1と、第2クラッチCL2と、変速機T/Mとを有する。さらに、このハイブリッド車両100は、プロペラシャフトPSと、ファイナルギア(ディファレンシャル)DFと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)とを有する。
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどからなる。そして、このエンジンEは、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいてスロットルバルブのバルブ開度などを制御する。なお、エンジンEの出力軸には、エンジン回転数を検出するエンジン位置検出器S1を設ける。
モータMは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルを巻き付けた同期型モータジェネレータなどからなる。そして、このモータMは、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいてインバータ3およびバッテリ3aにより作り出された三相交流を印加することにより制御する。
このモータMのロータ(出力軸)は、第2クラッチCL2を介して変速機T/Mの入力軸に連結する。そのため、このモータMは、インバータ3からの電力の供給を受けて駆動輪RL、RRを回転駆動する電動機として動作する。また、制動時にロータが外力により回転しているときには、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機(ジェネレータ)として機能して充電する(回生)。なお、このモータMの出力軸には、モータ回転数を検出するモータ位置検出器S2を設ける。
第1クラッチCL1は、前記エンジンEとモータMとの間に介装した油圧式単板クラッチなどからなる。そして、この第1クラッチCL1は、後述する第1クラッチコントローラ4からの制御指令に基づいて第1クラッチ油圧ユニット5により作り出された制御油圧により、滑り締結(スリップ)と滑り開放を含み締結・開放動作を行う。
第2クラッチCL2は、前記モータMと変速機T/Mとの間に介装した油圧式多板クラッチなどからなる。そして、この第2クラッチCL2は、後述する第2クラッチコントローラ6からの制御指令に基づいて第2クラッチ油圧ユニット7により作り出された制御油圧によって滑り(スリップ)締結と滑り開放を含み締結・開放動作を行う。
なお、本実施の形態において、これら第1クラッチCL1および第2クラッチCL2における「締結状態」とは、トルク、回転数をそのまま伝達する状態をいい、「スリップ状態」とは、トルク容量を超えるトルクが入力すると入力回転が出力回転を超える状態をいう。また、「開放状態」とは、トルクを伝達しない状態をいう(以下、同じである)。
また、これら第1クラッチCL1および第2クラッチCL2のトルク容量は供給する油圧に応じて連続的に変化することができる。また、この第1クラッチ油圧ユニット5および第2クラッチ油圧ユニット7は、図示しないコントロールバルブからなる油圧回路によって制御油圧を発生する。そして、この制御油圧を可変制御することで前記第1クラッチCL1および第2クラッチCL2のトルク容量を連続的に変化することができる。
変速機T/Mは、例えば前進5速後退1速や前進6速後退1速等の有段階またはCVT(Continuously Variable Transmission)などの無段階の変速比を車速やアクセル開度の他、後に詳述する運転状態に応じて自動的に切り換える変速機である。そして、この変速機T/Mの出力軸は、プロペラシャフトPS、ファイナルギアDFを介して左右後輪(駆動輪)RL,RRに連結する。この変速機T/Mは、変速機コントローラ8からの制御指令に基づいて変速油圧ユニット9により作り出された制御油圧によって変速動作を行う。なお、この変速機T/Mの入力軸にはその入力回転数を検出するT/M入力回転検出器S3を備える。また、その出力軸にはその出力回転数を検出するT/M入力回転検出器S4を備える。ここで、本実施の形態におけるダウンシフトとは、一般的な意味と同様に変速機T/Mの変速比を大きくすること(ロー(Low)側へシフト)をいい、また、アップシフトとは、反対にその変速比を小さくすること(ハイ(Hi)側へシフト)をいう。
次に、このような構成をしたハイブリッド車両100のクラッチ制御装置を含む駆動制御装置を説明する。
この駆動制御装置は、図1に示すようにエンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ3aと、第1クラッチコントローラ4と、第1クラッチ油圧ユニット5とを有する。さらに、この駆動制御装置は、第2クラッチコントローラ6と、第2クラッチ油圧ユニット7と、変速機コントローラ8と、変速油圧ユニット9と、統合コントローラ10とを有する。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ4と、変速機コントローラ8と、統合コントローラ10は、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続する。
エンジンコントローラ1は、図示しないエンジン回転数センサからのエンジン回転数情報を入力する。そして、このエンジンコントローラ1は、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令などに応じ、エンジン動作点を制御する指令を、例えば図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数の情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
モータコントローラ2は、モータMのロータ回転位置を検出するモータ位置検出器S2からの情報を入力する。そして、このモータコントローラ2は、統合コントローラ10からの目標モータ回転数指令などに応じ、モータMのモータ回転数を制御する指令をインバータ3へ出力する。
第1クラッチコントローラ4は、図示しないクラッチ油圧センサやクラッチストロークセンサなどからのセンサ情報を入力する。そして、この第1クラッチコントローラ4は、統合コントローラ10からの第1クラッチ油圧指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・スリップ(滑り締結)・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット5に出力する。
第2クラッチコントローラ6は、図示しないクラッチ油圧センサやクラッチストロークセンサなどからのセンサ情報を入力する。そして、この第2クラッチコントローラ6は、統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2締結・スリップ(滑り締結)・開放を制御する指令を第2クラッチ油圧ユニット7に出力する。
変速機コントローラ8は、ドライバーが操作するアクセルの開度を検出するアクセル開度センサ(図示せず)や車速センサ(図示せず)からのセンサ情報を入力する。そして、この変速機コントローラ8は、統合コントローラ10からの変速指令に応じ、変速油圧を制御する指令を変速油圧ユニット9に出力する。
変速油圧ユニット9は、図示しないアクチュエータと油圧回路とコントロールバルブなどから構成されている。そして、変速機コントローラ8からの制御指令に基づいて所定の制御油圧を生成し、その制御油圧によって変速機T/Mの変速動作(アップシフトおよびダウンシフト)を行う。
統合コントローラ10は、車両100全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うものである。
そのため、この統合コントローラ10は、エンジン位置検出器S1と、モータ位置検出器S2と、T/M入力回転検出器S3と、T/M入力回転検出器S4などからの各種センサ信号およびCAN通信線11を介して得られた各種情報を入力する。
そして、この統合コントローラ10は、前記エンジンコントローラ1への制御指令によりエンジンEの動作制御を行い、前記モータコントローラ2への制御指令によりモータMの動作制御(モータ出力トルク、モータ出力回転)を行う。また、この統合コントローラ10は、前記第1クラッチコントローラ4への油圧制御指令により第1クラッチCL1の締結・スリップ・開放制御を行い、前記第2クラッチコントローラ6への油圧制御指令により第2クラッチCL2の締結・スリップ・開放制御を行う。また、この統合コントローラ10は、変速機コントローラ8への変速制御指令により変速油圧ユニット9の制御を行う。
(作用)
次に、このような変速制御装置による変速制御方法のうち、EV走行(モータ走行)からHEV走行(ハイブリッド(モータ+エンジン)走行)へ移行する際の制御の流れを図2のフローチャート図を主に参照しながら説明する。
(ステップS1)
先ず、統合コントローラ10は、最初のステップS1において、ドライバーが操作するアクセルペダルなどの操作情報などに基づいてダウンシフト要求を伴うエンジンEの始動要求があるか否かを判断する。この結果、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動要求がない、あるいはエンジン始動要求のみと判断したとき(No)はそのまま待機する。これに対し、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動要求があると判断したとき(Yes)は次のステップS3に移行する。
(ステップS3)
ステップS3では、現在のモータMの回転数Nm0と、第1クラッチCLの熱耐力によって決まるエンジンEの始動許可回転数Nm1とを比較し、モータ回転数Nm0がエンジン始動許可回転数Nm1を上回っているかを判断する。この結果、現在のモータ回転数Nm0がエンジン始動許可回転数Nm1を上回っていないと判断したとき(No)は、ステップS9までジャンプする。これとは反対に現在のモータ回転数Nm0がエンジン始動許可回転数Nm1を上回っていると判断したとき(Yes)は、次のステップS5に移行する。
(ステップS5)
ステップS5では、現在のモータ回転数Nm0をエンジン始動許可回転数Nm1に下げるため、変速機T/Mの変速比を現在の変速比からr1までアップシフトして次のステップS7に移行する。このとき、モータMは駆動力を確保するためトルクアップさせる。
(ステップS7)
ステップS7では、ステップS5におけるアップシフト操作によってエンジン始動が可能となったか、すなわちそのアップシフト操作によってモータ回転数Nm0がエンジン始動許可回転数Nm1以下に下がったかを判断する。この結果、エンジン始動が可能となっていないと判断したとき(No)は、モータ回転数Nm0がエンジン始動許可回転数Nm1以下になるまでそのまま待機する。反対に、エンジン始動が可能となったと判断したとき(Yes)は、そのまま次のステップS9に移行する。
(ステップS9)
ステップS9では、第1クラッチCL1を開放状態から滑り締結状態(スリップ状態)に制御し、モータトルクをエンジンEに伝達してエンジン始動を行ってから次のステップS11に移行する。
(ステップS11)
ステップS11では、エンジン始動が完了したかを判断し、エンジン始動が完了していないと判断しとき(No)は、完了するまでそのまま待機するが、エンジン始動が完了したと判断したとき(Yes)は、そのまま次のステップS13に移行する。なお、このステップにおけるエンジン始動完了の判断は、例えばエンジン回転数が所定の閾値を超えたか否かによって行うことになる。
(ステップS13)
ステップS13では、変速機T/Mを制御し、その変速比を最初のステップS1であったダウンシフト要求に対応する変速比r2にダウンシフトして処理を終了する。
図3はこのような一連の変速処理を示したタイムチャート図、図4はこのような一連の変速処理に対応するモータMの動作点の変化を示した模式図である。
図示するように、EV走行中におけるモータMは、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動要求がある以前は動作点a(中回転、低トルク域)で動作している。しかし、その後、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動要求があると、その時点t1からt2の間にシフトアップに伴い動作点aから動作点b(低回転、項トルク域)に移行する(ステップS5)。
これによって、図3に示すようにモータ回転数Nm0がエンジン回転数Nm1にまで下がる。また、動作点bに移行すると同時に第1クラッチCL1のトルク指令制御が行われ、第1クラッチCL1の伝達トルクが上昇する。
その後、この第1クラッチCL1の伝達トルクの上昇に伴ってモータトルクも上昇し、モータトルクがエンジンEに伝達される。すると、エンジンEの回転が上昇し、t3の時点でエンジンEが初爆する。
そして、エンジンEが初爆してその回転数が上昇し、モータ回転数Nm0に達したならば、t4の時点で変速比をr2にダウンシフトしてモータMを動作点bから動作点c(高回転、低トルク域)に移行する(ステップS13)。
これによって、変速機T/Mの変速比を変えずにそのままエンジン始動する場合に比べて第1クラッチCL1を締結するときのモータM側とエンジンE側の回転差を小さくできる。この結果、第1クラッチCL1を締結する際の発熱量の増加を抑制することが可能となってダウンシフト要求を伴うエンジン始動の際の第1クラッチCL1の劣化を抑制できる。
なお、前記課題を解決するための手段に開示した本願発明のクラッチ制御装置を構成する「クラッチ制御手段」は、図1に示す統合コントローラ10と、第1および第2クラッチコントローラ4、6と、第1および第2クラッチ油圧ユニット5、7などに対応する。また、同じく「変速機制御手段」は、図1に示す統合コントローラ10と、変速機コントローラ8と、変速油圧ユニット9などに対応する。
(効果)
以上説明したように本実施の形態に係るハイブリッド車両のクラッチ制御装置およびクラッチ制御方法にあっては、以下のような効果を発揮する。
(1)クラッチ制御手段は、モータMの駆動のみによる走行中にエンジンEの始動要求と共に変速機T/Mの変速比をロー側にシフトさせるダウンシフト要求があったときは、第2クラッチCL2を締結状態から滑り締結状態にする。そして、その後、変速機T/Mの変速比がハイ側にシフトしたことを検出すると、第1クラッチCL1を開放状態から滑り締結状態にしてエンジンEを始動する。
一方、変速機制御手段は、同じくモータMの駆動のみによる走行中に前記エンジン始動要求と共にダウンシフト要求があったときは、第2クラッチCL2が滑り締結状態になった後に変速機T/Mの変速比をハイ側にシフトする。そして、その後、エンジンEが始動して第1クラッチCL1のエンジンE側の回転数とモータM側の回転数の差が所定値よりも小さくなったことを検出すると、変速機T/Mの変速比をロー側にダウンシフトして供給された変速比に制御する。
すなわち、本発明はEV走行中にエンジン始動要求と共にダウンシフト要求があった場合には、変速機T/Mの変速比を一旦ハイ側にシフトしてモータ回転数を下げてから第1クラッチCL1を締結してエンジンEを始動するものである。
これによって、変速機T/Mの変速比を変えずにそのままエンジン始動する場合に比べて第1クラッチCL1を締結するときのモータ側とエンジン側の回転差を小さくできる。この結果、第1クラッチCL1の締結時の発熱量の増加を抑制できるため、ダウンシフト要求を伴うエンジン始動の際の第1クラッチCL1の劣化を抑制できる。
(2)また、エンジン始動時のモータMとエンジンEの初期差回転を小さくできることにより、エンジン始動後のエンジン発生トルクを駆動輪に伝達するまでのレスポンス遅れも回避できる。
E…エンジン
M…モータ
CL1…第1クラッチ
CL2…第2クラッチ
T/M…変速機
PS…プロペラシャフト
DF…ファイナルギア(ディファレンシャル)
RL…左後輪(駆動輪)
RR…右後輪(駆動輪)
1…エンジンコントローラ
2…モータコントローラ
3…インバータ
4…第1クラッチコントローラ(クラッチ制御手段)
5…第1クラッチ油圧ユニット(クラッチ制御手段)
6…第2クラッチコントローラ(クラッチ制御手段)
7…第2クラッチ油圧ユニット(クラッチ制御手段)
8…変速機コントローラ(変速機制御手段)
9…変速油圧ユニット(変速機制御手段)
10…統合コントローラ(クラッチ制御手段、変速機制御手段)
11…CAN
100…ハイブリッド車両

Claims (2)

  1. エンジンとモータとを接続する第1クラッチと、前記モータと変速機とを接続する第2クラッチと、前記第1クラッチおよび第2クラッチを制御するクラッチ制御手段と、前記変速機を制御する変速機制御手段とを有するハイブリッド車両の変速制御装置であって、
    前記クラッチ制御手段は、前記モータの駆動のみによる走行中に前記エンジンの始動要求と共に前記変速機の変速比をロー側にシフトさせるダウンシフト要求があったときは、前記第2クラッチを締結状態から滑り締結状態にし、その後、前記変速機の変速比がハイ側にシフトしたことを検出すると、前記第1クラッチを開放状態から滑り締結状態にして前記エンジンを始動し、
    前記変速機制御手段は、前記モータの駆動のみによる走行中に前記エンジンの始動要求と共に前記変速機の変速比をロー側にシフトさせるダウンシフト要求があったときは、前記第2クラッチが滑り締結状態になった後に前記変速機の変速比をハイ側にシフトし、その後、前記エンジンが始動して前記第1クラッチのエンジン側の回転数と前記モータ側の回転数の差が所定値よりも小さくなったことを検出すると、前記変速機の変速比をロー側にダウンシフトして供給された変速比に制御することを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  2. エンジンとモータとを第1クラッチで接続すると共に、前記モータと変速機とを第2クラッチで接続し、走行状態に応じて前記第1クラッチおよび第2クラッチと前記変速機を制御するハイブリッド車両の変速制御方法であって、
    前記モータの駆動のみによる走行中に前記エンジンの始動要求と共に前記変速機の変速比をロー側にシフトさせるダウンシフト要求があったときは、前記第2クラッチを締結状態から滑り締結状態にすると共に、前記変速機の変速比をハイ側にシフトした後に、前記第1クラッチを開放状態から滑り締結状態にして前記エンジンを始動し、
    その後、前記第1クラッチのエンジン側の回転数と前記モータ側の回転数の差が所定値よりも小さくなったことを検出すると、前記変速機の変速比をロー側にダウンシフトして供給された変速比に制御することを特徴とするハイブリッド車両の変速制御方法。
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