JP6111296B2 - 異種金属接合シャフトを備えた変速機 - Google Patents

異種金属接合シャフトを備えた変速機 Download PDF

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Description

本発明は異種金属接合シャフトを備えた変速機に関するものである。
軸方向に対向した一の被接合部材と他の被接合部材との突き合わせ部(接合部)を接合する方法として、両部材を押し付けながら一方の被接合部材を回転させることにより摩擦熱を発生させ、その摩擦熱によって接合部を軟化させ、そして被接合部材の回転を停止し両部材を押し付けることにより新生面同士を固相接合する、いわゆる摩擦圧接が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
下記特許文献1によると、一方の被接合部材を所定の回転数r1に達するまで回転上昇させ、次に両部材の突き合わせ部における摩擦圧力が所定の圧力P1に達するまで摩擦圧力を高めながら一定の時間(摩擦時間)T1に亘って両部材の端面同士を突き合わせると共に押し付け、圧接に必要な温度まで接合界面を加熱する。そして、必要な温度に達したら回転を止めて回転数をゼロにすると共に、両部材の突き合わせ部における摩擦圧力が所定の圧力P2に達するまで摩擦圧力を高めながら一定の時間(アプセット時間)T2に亘って両部材の端面同士を突き合わせると共に押し付ける。このアプセット工程によって、摩擦工程で接合界面に生成した金属間化合物、酸化物、及び軟化層等がバリとして接合界面の周縁部から排出されると共に、各部材の接合界面の新生面同士が接合される旨が記載されている(例えば、特許文献1の[0024]及び[0025]を参照。)。
一方、軸方向に対向した上記突き合わせ部を接合するその他の方法として、先端中央部にピンを備えたショルダーと呼ばれる円柱体を回転させながら上記突き合わせ部に径方向外側から押し付ける(押圧入する)ことにより摩擦熱を発生させ、その摩擦熱によって接合部位を軟化させると共に、先端中央部に設けられたピンによって軟化した接合部位を攪拌することにより塑性流動状態を引き起こし、そしてショルダーを接合部の全周に亘って移動させることにより通過部位を軟化・攪拌しながら、両部材を固相接合する、いわゆる摩擦攪拌接合が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2002−224857号公報 特開2006−68782号公報 特開2007−296563号公報
上記特許文献1に記載の摩擦圧接では、以下に記す問題がある。
先ずアプセット工程において突き合わせ部にバリが発生するため、バリ取り加工が必要となる。
また、アプセット工程において、一方の被接合部材を他方の被接合部材に軸方向に移動(ストローク)させることにより、突き合わせ部に高いアプセット圧が負荷されるため、アプセット圧ならびにストロークにバラツキが必然的に発生し、摩擦圧接後のシャフトの軸方向の寸法精度(公差)が安定しない。
また、被接合部材に油路が形成され両部材間において位相合わせが必要な場合、回転している被接合部材を回転停止させる際、高精度な位置決め制御が必要となる。
また、鋼とアルミの組合せの様に互いにヤング率の異なる異種金属同士が軸方向に突き合わされ摩擦圧接によって接合されている場合、シャフトに対し回転トルク(捩り荷重)や曲げ荷重等が負荷されると、摩擦圧接による突き合わせ部(接合部)に応力が集中し、接合部が剥離し易くなる。
さらに、鋼とアルミニウム合金のように強度差の大きい異種材の摩擦圧接では、鋼のように強度の高い材料が変形しないため酸化層や汚染物質が接合界面に残留し易いという問題がある。そのため、接合部が十分な接合強度を有するように、接合部に対し人工時効処理等の熱処理が必要となる。(例えば、特許文献3の[0003]及び[0006]を参照。)。
また、上記特許文献2に記載の摩擦攪拌接合では、一方の被接合部材を回転させる或いは軸方向に圧接させる必要がないため、上述のバリ取り加工、シャフトの軸方向寸法精度(公差)の不安定、高精度な位置決め制御、或いは酸化層や汚染物質の接合境界面における残留の問題は起きないものと考えられる。
しかし、摩擦圧接と同様に、シャフトに対し回転トルクや曲げ荷重等が負荷されると、摩擦圧接による突き合わせ部(接合部)に応力が集中し、接合部が剥離し易くなるという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、製造時におけるシャフト接合部に対するバリ取り加工ならびに高精度な位置決め制御が不要となると共に、シャフトの軸方向寸法精度(公差)の不安定あるいは酸化層等の汚染物質の接合境界面における残留がなくなり、更には動作時において曲げ・捩り荷重等が負荷される場合であってもシャフト接合部における応力集中が好適に緩和され、シャフト接合部が剥離しにくい異種金属接合シャフトを備えた変速機を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る変速機では、互いに異なる材質から成る少なくとも第1シャフト(41)及び第2シャフト(42)が同軸に接合された異種金属接合シャフト(40)を備えた変速機(100)であって、前記第1シャフト(41)は中空構造を有すると共に前記第2シャフト(42)は前記第1シャフト(41)の内部に圧入され、該第1シャフト(41)の内周面(41Sa)と該第2シャフト(42)の外周面(42b)が軸方向に関し重複した軸方向重複部(42bs)を有し、該軸方向重複部は摩擦攪拌接合によって接合されていることを特徴とする。
上記構成では、第1シャフト(41)と第2シャフト(42)とのシャフト接合部の径方向外側に第1シャフト(41)が配置され、シャフト接合部が第1シャフト(41)によって径方向に支持されている。そのため、曲げ荷重や捩り荷重(回転トルク)が軸に作用する場合であっても、シャフト接合部に対する荷重(応力)集中が好適に緩和され、シャフト接合部が剥離しにくくなり接合強度が向上する。
また、第1シャフト(41)と第2シャフト(42)は静止した状態で摩擦攪拌接合によって接合されるため、摩擦圧接において必要となるバリ取り加工および高精度な位置決め制御が不要となると共に、シャフトの軸方向寸法精度(公差)の不安定あるいは酸化層や汚染物質の接合境界面における残留という摩擦圧接に固有の問題は生じない。
本発明に係る変速機の第2の特徴は、前記第1シャフト(41)は軽金属から構成されていると共に前記第2シャフト(42)の外周面(42bs)は前記軽金属より強度及び融点の高い金属から構成されていることである。
上記構成では、比較的高い融点の第2シャフト(42)が比較的低い融点の第1シャフト(41)の内部に圧入されている。これにより、第1シャフト(41)の径方向外側から摩擦攪拌接合ツール(60)を第1シャフト(41)の外周面(41Sb)に当接することが可能となり、所望の接合経路(40a、40b、40c、40d、40e)に沿って第1シャフト(41)と第2シャフト(42)との軸方向に関する重複部を摩擦攪拌接合することが可能となる。
また、高い強度が要求される軸に比較的高い強度を有する第2シャフト(42)を配置すると共に高い強度が要求されない軸に軽量な第1シャフト(41)を配置することが可能となるため、軸全体の大幅な軽量化が可能となる。
本発明に係る変速機の第3の特徴は、前記軸方向重複部(42bs)は、円周方向の所定間隔(θ)毎に円周方向(40a)、軸方向(40b)或いは軸方向に対して所定の角度(δ)傾斜した傾斜方向(40d)、又は螺旋方向(40f)の何れかに沿って所定の長さ(LC、LS、LO)にわたり連続して、又はこれらの方向が組み合わされて成る複合方向(40c)に沿って連続して摩擦攪拌接合によって接合されていることである。
上記構成では、第1シャフト(41)と第2シャフト(42)との接合に係る接合経路の長さ・面積の自由度が増大する。これにより、異種金属接合シャフト(40)が受ける荷重の大きさ・方向に応じて最適な接合強度を有する接合経路を選択することが可能となる。
本発明に係る変速機の第4の特徴は、前記軸方向重複部(42bs)は、円周方向の所定間隔(θ)毎に軸方向に対する傾斜角度(δ、−δ)が交互に反転した傾斜方向(40e)に沿って摩擦撹拌接合によって接合されていることである。
上記構成では、接合部(40e)の第2シャフト(42)側の端点(E2)を通り軸方向に平行な直線(La)に関する接合部(40e)の傾斜方向について、直線(La)に関して両方向(両振り)の2種類の傾斜方向(±δ)が含まれる。つまり、上記構成では、捩り荷重の作用方向が左回りまたは右回りのどちらになる場合であっても、捩り方向と同じ方向になる傾斜方向が必ず含まれる。接合部の傾斜方向が捩り方向と同方向になる場合は、接合部には圧縮荷重が作用するため、接合部は剥離しにくくなる。つまり、上記構成では捩り荷重の作用方向に関係なく両シャフトの接合部が剥離しにくくなり接合強度がより向上する。
本発明に係る変速機の第5の特徴は、前記傾斜方向(40d)に係る接合部は、該接合部の前記第2シャフト(42)側の端部(E2)を通る軸方向に平行な直線(La)に関して該第2シャフト(42)に作用する捩り荷重の方向と同方向に傾斜していることである。
上記構成では、接合部に負荷される荷重が接合方向荷重とその垂直方向荷重に分散される。特に、上記傾斜方向を上記回転方向と同方向とすることにより、接合方向に作用する荷重は圧縮荷重となり、第1シャフト(41)と第2シャフト(42)とのシャフト接合部が剥離しにくくなり接合強度がより向上する。
本発明に係る変速機の第6の特徴は、前記変速機(100)はトルクコンバータ(2)を備え、前記トルクコンバータ(2)のステータ(24)は前記第2シャフト(42)によって支持され、前記第1シャフト(41)は前記変速機(100)の固定部材(43)に固定されていることである。
上記構成では、ステータ(24)からの荷重を受ける軸として、第1シャフト(41)に比べ強度及び剛性に優れた材料から成る第2シャフト(42)を配置し、他方、比較的受ける荷重の小さい部位に対しては第1シャフト(41)を配置することにより、必要な強度・剛性を確保しながらシャフト全体の大幅な軽量化が可能となる。
本発明の異種金属接合シャフトを備えた変速機によれば、製造時における異種金属接合シャフトに対するバリ取り加工ならびに高精度な位置決め制御が不要となると共に、シャフトの軸方向寸法精度(公差)の不安定あるいは酸化層等の汚染物質の接合境界面における残留がなくなり、更には動作時において曲げ・捩り荷重等が負荷される場合であってもシャフト接合部における応力集中が好適に緩和され、シャフト接合部が剥離しにくくなり接合強度が向上する。
また、受ける荷重に応じて最適な強度を有するシャフトを配置することが可能となり、これにより必要な強度・剛性を確保しながらシャフト全体の大幅な軽量化が可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る変速機を示すスケルトン図である。 本発明の第1の実施形態に係るステータシャフトの周辺部を示す要部半断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るステータシャフトを示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る摩擦攪拌接合による接合部(接合経路)のバリエーションを示す説明図である。 図4(d)の第1シャフトの外周面を平面に展開した展開図である。 接合部の軸方向に関する傾斜方向と端部の荷重集中緩和との関係を示す説明図である。 図4(e)の第1シャフトの外周面を平面に展開した展開図である。 本発明の第1の実施形態に係る摩擦攪拌接合による接合部(接合経路)のバリエーションを示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係るステータシャフトを示す説明図である。 本発明の第3の実施形態に係るステータシャフトを示す要部断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る変速機100を示すスケルトン図である。なお、説明の都合上、エンジン(駆動源)1についても併せて図示されている。図1に示すように、本変速機100は、エンジン(駆動源)1と、トルクコンバータ2と、変速機本体3と、ディファレンシャル機構5とを備える。
エンジン1の駆動はクランクシャフト11に出力される。このクランクシャフト11の回転は、トルクコンバータ2を介して変速機本体3に入力される。トルクコンバータ2は流体(作動油)を介してトルクの伝達を行う流体伝動装置であり、フロントカバー21と、このフロントカバー21と一体に形成されたポンプ翼車(ポンプインペラ)22と、フロントカバー21とポンプ翼車22との間にポンプ翼車22に対向するように配置されたタービン翼車(タービンランナ)23と、ワンウェイクラッチ25を介してステータシャフト40に支持されるステータ24とを有する。図1に示すように、クランクシャフト11はトルクコンバータ2のポンプ翼車22にフロントカバー21を介して接続され、タービン翼車23はメインシャフト12に接続される。また、ワンウェイクラッチ25は中間部材26に取り付けられ、中間部材26はステータシャフト40の第2シャフト42にスプライン結合して取り付けられている。第2シャフト42の内周面にはメインシャフト12を回転可能に支持するベアリング13が設けられている。なお、本発明に係るこのステータシャフト40の詳細については図2及び図3を参照しながら後述する。
タービン翼車23とフロントカバー21との間には、ロックアップクラッチピストン27aを備えたロックアップクラッチ27が設けられている。従って、ロックアップクラッチピストン27aがフロントカバー21の内面に当接して両部材27a,21が係合されることにより、エンジン1からの駆動力は直接メインシャフト12に伝達されるようになる。ロックアップクラッチピストン27aの作動は、トルクコンバータ2内の空間がロックアップクラッチピストン27aにより仕切られて形成される2つの油室、すなわちロックアップクラッチピストン27aよりもタービン翼車23側に形成された油室27b及びロックアップクラッチピストン27aよりもフロントカバー21側に形成された油室27cに作動油をそれぞれ供給および排出または排出および供給させ、両油室間に圧力差を形成することにより行われる。フロントカバー21およびポンプ翼車22により形成される容器内には作動油が封入されている。
ロックアップ制御がなされていない場合では、ポンプ翼車22とタービン翼車23の相対回転が許容される。この状態において、クランクシャフト11の回転トルクがフロントカバー21を介してポンプ翼車22に伝達されると、トルクコンバータ2の容器を満たしている作動油は、ポンプ翼車22の回転により、ポンプ翼車22からタービン翼車23に、次いでステータ24へと循環する。これにより、ポンプ翼車22の回転トルクがタービン翼車23に伝達され、メインシャフト12を駆動する。
一方、ロックアップ制御中には、ロックアップクラッチ27が係合されている状態となり、フロントカバー21からタービン翼車23へと作動油を介して回転させるのではなく、フロントカバー21とタービン翼車23とが一体的に回転し、クランクシャフト11の回転トルクがメインシャフト12に直接伝達される。
変速機本体3は、例えば一対のプーリーによって構成されるベルト式無段変速機あるいは1又は複数の遊星歯車機構及びクラッチ機構によって構成される自動変速機を適用することが可能である。エンジン1からの駆動力は変速機本体3によって所望の回転数に変速された後、ファイナルドライブギヤ31を介して後述するディファレンシャル機構5へ出力される。
ディファレンシャル機構5は、ファイナルドライブギヤ31と噛み合うファイナルドリブンギヤ51と、ファイナルドリブンギヤ51から伝達されて来るエンジン1からの駆動力を左右のドライブシャフト54L,54Rを介して左右の駆動輪(図示せず)へそれぞれ伝達する左右サイドギヤ52L,52Rと、左右駆動輪の差回転を吸収する前後ピニオンギヤ53F,53Rとを備えている。
図2は、本発明の一実施形態に係るステータシャフト40の周辺部を示す要部半断面図である。なお、図示の都合上ハッチングの一部については省略してある。
メインシャフト12の内部には油路12aが形成され、この油路12aを介してトルクコンバータ2、クラッチCL及び変速機本体3(図1参照。)等の油圧作動機器へ作動油が供給される。
メインシャフト12の外周面にはステータシャフト40が回転不能に固定されている。ステータシャフト40は第1隔壁43にボルトBTを介して固定され、メインシャフト12の一部をベアリング13を介して回転可能に支持している。
また、メインシャフト12とステータシャフト40の第1シャフト41との間には第3シャフト14が設けられ、第3シャフト14の内部には油路が形成されている。第3シャフト14はメインシャフト12の外周面に取り付けられている。
ステータシャフト40の第1シャフト41の外周面には、ボス部材22aが回転可能に取り付けられ、このボス部材22aにポンプ翼車22が溶接され、ポンプ翼車22にフロントカバー21が溶接されている。
ボス部材22aの外周面にはオイルポンプOPを駆動するためのスプロケット45がスプライン嵌合により取り付けられている。このスプロケット45は、第2隔壁44に設けられたベアリング46により回転可能に支持されている。
ステータシャフト40の第2シャフト42の先端部には、ワンウェイクラッチ25が固定された中間部材26がスプライン嵌合により取り付けられている。従ってステータ24は中間部材26上にワンウェイクラッチ25を介して一方向のみ回転可能に取り付けられている。
メインシャフト12の先端部にはタービンランナハブ23aがスプライン嵌合により取り付けられ、このタービンランナハブ23aにタービン翼車23が溶接されている。
また、タービンランナハブ23aにはロックアップクラッチピストン27aが取り付けられている。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るステータシャフト40を示す説明図である。なお、図3(a)は要部断面図であり、図3(b)は曲げ荷重に対するシャフトの接合部40aの応力集中緩和を示す説明図である。また、説明の都合上、第3シャフト14及び摩擦攪拌接合ツール60についても図3(a)に併せてそれぞれ図示されている。
このステータシャフト40は、変速機本体3の第1隔壁43(図2)に固定され第2シャフト42を支持する第1シャフト41と、第1シャフト41の内周面に圧入接合されステータ24を支持する第2シャフト42とから構成されている。
第1シャフト41は全体が軽金属、例えばアルミニウム又はその合金から成る中空シャフトであり、円筒状のストレート部41Sと円板状のフランジ部41Fとから構成される。ストレート部41Sは第2シャフト42と係合すると共に、フランジ部41Fは変速機本体3の第1隔壁43(図2)に係合し、これによりステータシャフト40は回転不能に固定される。
第2シャフト42は、鉄系金属、例えばステンレス鋼から成り第1シャフト41と同心の中空シャフトである。また、外周面42bの内、変速機本体3側の先端から軸方向に長さLの範囲が第1シャフト14の内周面41Saに圧入接合され、これにより第1シャフト41と軸方向に沿って重複する軸方向重複部42bsが形成されている。さらに、第2シャフト42の外周面42bの内、その軸方向重複部42bsから径方向に長さRの範囲が第1シャフト41の端面41Scに突き合わされ、これにより第1シャフト41と径方向に沿って重複する径方向重複部42bwが形成されている。
第2シャフト42のエンジン1側の先端部外周面にはスプライン歯42cが周方向に沿って形成され、ワンウェイクラッチ25(図2)が取り付けられる中間部材26(図2)にスプライン結合する。一方、第2シャフト42の先端部内周面にはメインシャフト12(図2)を回転可能に支持するベアリング13が取り付けられている。
第1シャフト41と第2シャフト42は、円筒回転体のショルダー61と、ショルダー61の先端中央部に設けられたピン62とを備えた摩擦攪拌接合ツール60によって両シャフトの軸方向重複部42bsを、例えば円周方向に沿った接合部(接合経路)40aで面接合されている。なお、この接合部40aのバリエーションについては図4を参照しながら後述する。
摩擦攪拌接合ツール60は、第1シャフト41の外周面41Sbに径方向外側から回転しながら当接し、ショルダー61と外周面41Sbとの摩擦により発生した摩擦熱によって当接部位を軟化させ、さらに径方向内側に移動して軸方向重複部42bs近傍を軟化させる。そして軟化部位をピン62によって攪拌し塑性流動状態にしながら軸方向位置を保持した状態で、軸方向重複部42bs近傍を円周方向に沿って移動して、軸方向重複部42bsを摩擦攪拌接合する。
図3(b)に示されるように、本発明に係るシャフトの接合部40aは、外側の第1シャフト41によって径方向に支持されている。そのため、第2シャフト42に曲げ荷重が負荷される場合、第1シャフト41によって接合部40aにおける応力集中が好適に緩和され、接合部40aが剥離しにくくなる。
なお、第1シャフト41と第2シャフト42の軸方向重複部42bsに加えて、両シャフトの径方向に関する重複部である径方向重複部42bwを円周方向に沿った接合経路で摩擦攪拌接合しても良い。
このように本発明に係るステータシャフト40は、従来、全体が鉄系金属から作られていたステータシャフトに代えて、強度が要求される先端部を鉄系金属から成る第2シャフト42で構成され、強度が要求されない先端部以外の部位をアルミニウム系軽金属から成る第1シャフト41で構成されている異種金属接合シャフトである。従って、上記ステータシャフト40は先端部以外の部位がアルミニウム系軽金属によって構成されているため、軸全体の大幅な軽量化が可能となる。
また、第1シャフト41と第2シャフト42との接合は、第2シャフト42を第1シャフト41の内周面に圧入接合後、摩擦攪拌接合ツール60によって円周方向に沿って面接合することにより成される。
さらに、第2シャフト42に曲げ荷重が負荷される場合、接合部40aが第1シャフト41によって径方向に支持されているため、接合部40aにおける応力集中が好適に緩和され、接合部40aが剥離しにくくなり接合強度が向上する。
また、第2シャフト42は外周面42bのみを鉄系金属によって構成し、外周面42b以外の部位を非鉄金属(例えばアルミ系金属)あるいは非金属(樹脂材)によって構成することも可能である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る摩擦攪拌接合による接合部(接合経路)のバリエーションを示す説明図である。なお、以下の説明中における軸方向および円周方向の各方向(左右方向)については、図4に示されるシャフト姿勢を基準とした方向とする。
先ず、図4(a)に示される接合部40aは、第1シャフト41と第2シャフト42の軸方向重複部42bs(図3)に対し、摩擦攪拌接合ツール60(図3)を第1シャフト41の外周面41Sbの径方向外側から、円周方向に沿って直線状に連続して駆動させて第1シャフト41と第2シャフト42を摩擦攪拌接合したものである。なお、ここで言う「直線状」とは、接合経路を平面に展開した際の展開図において接合経路が直線になることを意味している。
摩擦攪拌接合ツール60を軸方向に固定し円周方向に直線状に連続的に駆動すればよいため、この接合部40aは生産効率が最も優れた接合部である。
次に、図4(b)に示される接合部40bは、第1シャフト41と第2シャフト42との軸方向重複部42bsに対し、摩擦攪拌接合ツール60を所定の円周角度θ毎(等間隔)に軸方向に所定の長さLSにわたり直線状に連続して駆動させて第1シャフト41と第2シャフト42を摩擦攪拌接合したものである。なお、摩擦攪拌接合ツール60の軸方向駆動の始点については、例えば1つ前の軸方向駆動の終点と同じ側の端点とした方が、最小の駆動距離で接合部40bを形成することが可能となる。例えば、摩擦攪拌接合ツール60を軸方向右向きへ端点E1から端点E2へ駆動させた後、次の軸方向駆動の始点は端点E2となる。
この接合部40bでは、接合本数(円周角度θ)および軸方向長さLSを増加させて接合面積を増加させることができるため、接合強度の更なる増加が可能となる。また、上記接合部40aは円周方向に連続しているため、一部の剥離が起点となって全体が剥離する懸念があるのに対し、この接合部40bでは各接合が独立しているため、一部が剥離しても全体が剥離することはない。
また、この接合部40bは軸方向の接合面積を大きく確保することが可能であるため、曲げ荷重に対する接合部40bの剛性を好適に維持することができる。
なお、各接合部は円周方向に不均等に設けても良く、円周角度θ毎に軸方向長さLSを変えても良い。また、各接合部は直線状だけでなく曲線状で構成しても良い。
次に、図4(c)に示される接合部40cは、第1シャフト41と第2シャフト42との軸方向重複部42bsに対し、摩擦攪拌接合ツール60を所定の円周角度θ毎に軸方向の駆動方向(左向き、右向き)のみを反転させながら所定の軸方向長さLS、続けて所定の円周方向長さLCにわたり直線状に連続して駆動させて第1シャフト41と第2シャフト42を摩擦攪拌接合したものである。例えば、摩擦攪拌接合ツール60を、円周方向右向きに長さLC→軸方向右向きに長さLS→円周方向右向きに長さLC→軸方向左向きに長さLS→円周方向右向きに長さLC→軸方向右向きに長さLS→円周方向右向きに長さLC→軸方向左向きに長さLS→円周方向右向きに長さLC・・・、というように摩擦攪拌接合ツール60を直線状に連続して駆動させて第1シャフト41と第2シャフト42を摩擦攪拌接合したものである。なお、接合部40cの始点と終点が一致するように、周方向長さLCについては、例えば第1シャフト41の外周全長をLCで除算した値が偶数となるように決定される。
この接合部40cは上記接合部40a(円周方向)および上記接合部40b(軸方向)が組み合わされた複合型であり、生産効率および接合面積の点において優れている。
なお、軸方向長さLS及び周方向長さLCは一定値でなくても良い。また、接合部は直線状だけでなく曲線状で構成しても良い。
次に、図4(d)に示される接合部40dは、第1シャフト41と第2シャフト42との軸方向重複部42bsに対し、摩擦攪拌接合ツール60を所定の円周角度θ毎に、軸方向に平行な直線Laに関し傾斜角δに沿って長さLOにわたり直線状に駆動させて第1シャフト41と第2シャフト42を摩擦攪拌接合したものである。
図5は、図4(d)の第1シャフト41の外周面41Sbを平面に展開した展開図である。なお、太点線は円周角度θ毎の摩擦攪拌接合ツール60の軸方向重複部42bsに対する駆動方向を示している。
図5から明らかな通り、摩擦攪拌接合ツール60の駆動は、摩擦攪拌接合ツール60の軸方向駆動と円周方向駆動が同時に組み合わされたものである。また、図5に示される摩擦攪拌接合ツール60の駆動では、駆動の始点は1つ前の駆動の終点と同じ側の端点となっている。この場合、円周角度θ毎に軸方向駆動方向と円周方向駆動方向の双方の駆動方向がともに反転していることが分かる。
ところで図6(a)に示されるように、接合部が軸方向に沿って形成されている場合(例えば上記接合部40b)、捩りモーメントが負荷されると、第2シャフト42側の端部E2において接合方向に直交した方向に荷重Fが集中する。これに対し図6(b)に示されるように、接合部が軸方向に関し傾斜して形成されている場合(例えば上記接合部40d)、端部に集中する荷重Fは接合方向成分F1とその垂直方向成分F2に分解されるため、端部に集中する荷重Fを好適に分散させることができる。
なお、図6(b)の場合、接合部の傾斜方向が捩り方向と同方向、すなわち第2シャフト42側の端部E2を通る、軸方向に平行な直線Laを基準としたときの接合部の傾斜方向が捩り方向と同方向の場合、荷重Fの接合方向成分F1は接合部40dに対し圧縮方向に作用する。すなわち接合方向成分F1は第2シャフト42が第1シャフト41の内周面に圧入接合する方向に作用するため、接合部40dは剥離しにくくなる。
再び図4(d)に戻って、接合部40dは、第2シャフト42側の端部E2通る、軸方向に平行な直線Laを基準とした時の傾斜方向が捩り方向と同方向の、いわゆる片振り荷重の場合にのみ、接合強度の向上に有効である。
なお、各接合部は円周上均等に設けなくても良く、傾斜角δ及び長さLOは一定値でなくても良い。また、各接合部は直線状だけでなく曲線状で構成しても良い。
図4(e)に示される接合部40eは、第1シャフト41と第2シャフト42との軸方向重複部42bsに対し、例えば軸方向に平行な直線Laに関し円周方向右向きの傾斜角δで軸方向左向きに長さLO’だけ直線状に駆動させて、続けて傾斜角δと直線Laに関し対称の円周方向左向きの傾斜角δで軸方向右向きに長さLO’だけ直線状に駆動させて、以後この駆動を繰り返して第1シャフト41と第2シャフト42を摩擦攪拌接合したものである。なお、上記接合部40cと同様に、接合部40eの始点と終点が一致するように、円周角度θについては、例えば360°をθで除算した値が偶数となるように決定される。
図7は、図4(e)の第1シャフト41の外周面41Sbを平面に展開した展開図である。なお、太点線は円周角度θ毎の摩擦攪拌接合ツール60の軸方向重複部42bsに対する駆動方向を示している。
図7から明らかな通り、摩擦攪拌接合ツール60の駆動は、摩擦攪拌接合ツール60の軸方向駆動と円周方向駆動が同時に組み合わされたものである。また、図7に示される摩擦攪拌接合ツール60の駆動では、駆動の始点は1つ前の駆動の終点と同じ端点となっている。この場合、円周角度θ毎に軸方向駆動方向のみの駆動方向が反転し、円周方向の駆動方向は定方向であることが分かる。
再び図4(e)に戻ってこの接合部40eは、傾斜方向が捩り方向と同方向ならびに捩り方向と逆方向の2種類の接合部から構成されているため、捩り方向に拘わらず、いわゆる片振り荷重だけでなく両振り荷重の場合においても、接合強度の向上に有効である。この場合、軸方向の接合面積が広いため、曲げ荷重に対しても強固な接合となる。従って、この接合部40eは上記接合部40a,40b,40c,40dを加えた中で最も強固な接合強度を有している。
なお、傾斜角δ及び長さLO’は一定値でなくても良い。また、各接合部は直線状だけでなく曲線状で構成しても良い。また、傾斜角δ及び傾斜角−δの各絶対値については、例えば10°、−15°のように互いに異なっていても良い。すなわち、傾斜角は直線Laに関し非対称に反転させても良い。
なお、上記接合部のバリエーションの説明においては、摩擦撹拌接合される第1シャフト41及び第2シャフト42(以下、単に「ワーク」とも言う。)は固定された状態で、摩擦撹拌接合ツール60(以下、単に「ツール」とも言う。)を所定の方向に駆動させることとしている。
この方式とは逆に、ツールは固定された状態でワークを所定の方向に駆動させることにより所定の接合部を得ることも可能である。例えば、ツールは固定された状態でワークを例えば360°だけ回転駆動または距離LSだけ軸方向駆動させることにより、円周方向又は軸方向に沿ってワークが摩擦撹拌接合された、図4(a)又は図4(b)に示される上記接合部40a,40bをそれぞれ得ることも可能である。なお、ここで言う「ツールは固定された状態」とは、ツールはワークの軸方向及び回転方向(円周方向)に対し変位することが出来ない状態を意味する。従って、ツールはワークの径方向に対し変位することは可能である。なお、ここで言う「回転駆動」とは軸の回りに回転させることを意味し、「軸方向駆動」とは軸に対し平行に直線移動させることを意味する。
また、ワーク又はツールの何れかを駆動させる方式ではなく、ワーク及びツールの双方を所定の方向へ順にそれぞれ駆動させることにより、所定の接合部を得ることも可能である。例えば、ツールを距離LSだけ軸方向駆動させた後にワークを所定角度θ(円弧長LC)だけ回転駆動させることにより、軸方向と円周方向が組み合わされた複合方向に沿ってワークが摩擦撹拌接合された、図4(c)に示される上記接合部40cを得ることも可能である。
また、ツールを所定の距離(LO×cosδ)だけ軸方向駆動させるのと同時にワークを所定の角度θ(円弧長LO×sinδ)だけ回転駆動させることにより、軸方向に対し所定の角度δだけ傾斜した傾斜方向に沿ってワークが摩擦撹拌接合された、図4(d)に示される上記接合部40dを得ることも可能である。
また、所定の円周角度θ毎に軸方向に関する駆動方向を反転させながら、ツールを所定の距離(LO‘×cosδ)だけ軸方向駆動させるのと同時にワークを所定の角度θ(円弧長LO’×sinδ)だけ回転駆動させることにより、軸方向に対し所定の角度δ、−δだけ交互に傾斜した傾斜方向に沿ってワークが摩擦撹拌接合された、図4(e)に示される上記接合部40eを得ることも可能である。
また、例えば、ワークを所定周回数(本実施形態では5.5周回数)だけ回転駆動させるのと同時にツールを軸方向に駆動させることにより、螺旋方向に沿ってワークが摩擦撹拌接合された、図8に示される接合部40fを得ることも可能である。
(第2の実施形態)
ところで、摩擦攪拌接合ツール60を使用して第1シャフト41と第2シャフト42との軸方向重複部42bsを摩擦攪拌接合する場合、摩擦攪拌接合ツール60を引き抜く際に、第1シャフト41の外周面41Sbにいわゆるツール抜き穴が生じる。従って、このツール抜き穴を油路の一部(下穴)として利用することにより、第1シャフト41と第2シャフト42との軸方向重複部42bsを通る油路を設けることが可能となる。この場合、第2シャフト42が第1シャフト41の内周面41Saに圧入接合されているため、油路のレイアウト自由度が高くなる。以下、内部に油路が形成されたステータシャフトについて説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態に係るステータシャフト40Aを示す説明図である。なお、図9(a)はステータシャフト40Aの要部断面図であり、図9(b)は軸方向重複部42bsを摩擦攪拌接合した直後のステータシャフト40Aの簡略図である。
図9(a)に示されるように、このステータシャフト40Aでは、第1シャフト41のストレート部41Sに2つの油路41op,41opがそれぞれ形成される一方、第2シャフト42の軸方向重複部42bsに上記油路41op,41opに連通する油路42opが形成されている。また、油路42opの両側の軸方向重複部42bsは、上記第1の実施形態の図4(a)に示される円周方向の接合経路に沿ってそれぞれ摩擦攪拌接合され、これにより図4(a)に示される接合部と同じ構成の接合部40a,40aがそれぞれ形成されている。なお、上記以外の構成については上記第1の実施形態に係るステータシャフト40の構成と同じである。
第2シャフト42の油路42opは軸方向重複部42bsに予め形成されているのに対し、第1シャフト41の2つの油路41op,41opは軸方向重複部42bsを摩擦攪拌接合した後に形成される。すなわち、図9(b)に示されるように、第2シャフト42の軸方向重複部42bsを円周方向に沿って摩擦攪拌接合する場合、摩擦攪拌接合ツール60を引き抜く際に、第1シャフト41の外周面41Sbにツール抜き穴41THが生じる。このツール抜き穴41THを油路の下穴として利用し、このツール抜き穴41THを軸方向重複部42bsに予め形成された油路42opに連通させることにより、上記油路41opが形成される。その結果、これらの油路41op,41op及び油路42opは、例えば、オイルポンプOPを駆動するためのスプロケット45(図2)及びスプロケット45を回転可能に支持するベアリング46(図2)等を潤滑するための油路として利用することが可能となる。なお、摩擦攪拌接合による接合部40aは、油路41op,41op及び油路42opを軸方向に挟む形態で油路41op,41op及び油路42opの両側にそれぞれ形成されているため、これら接合部40a,40aは油路41op,41op及び油路42opに対しシール機能を発揮している。
なお、上記ツール抜き穴41THは、ステータ24(図2)からの回転荷重を受ける部位(第2シャフト42の先端部42c)から離れた部位(遠い部位)に形成されている。上記ツール抜き穴41THが第2シャフト42の先端部42cから近い部位に形成されている場合、上記ツール抜き穴41THに応力が集中し、この応力集中により直近の接合部40aが剥離する虞があるためである。従って、上記ツール抜き穴41THは第2シャフト42の先端部42cから離れた部位(遠い部位)に形成することが好ましい。
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係るステータシャフト40Bを示す要部断面図である。
このステータシャフト40Bは、上記ステータシャフト40と異なり、第1シャフト41のエンジン1側の軸方向端面41Scが第2シャフト42の外周面42bに接合していない。すなわち、第11シャフト41と第2シャフト42は軸方向重複部42bsにおいてのみ面接合している。径方向重複部42bw(図3)を省略することにより、第2シャフト42の構造が簡素化され、これにより製造コストの削減に寄与することが可能となる。
以上の通り、第1シャフト41と第2シャフト42との軸方向に沿った上記重複部に摩擦攪拌接合を適用することにより、以下の効果を得ることができる。
(1)摩擦圧接では接合部に対するバリの除去が必要である。これに対し摩擦攪拌接合では回転するツールで鋼の新生面を露出させるため、発生するバリは微細であり除去不要である。これにより、製造コストの削減が可能となる。
(2)摩擦圧接では両接合部材を軸方向に押し付け合うため軸方向の寸法精度が不安定である。これに対し、摩擦攪拌接合では両接合部材に対する荷重はツールによる径方向の荷重のみであるため、軸方向の寸法精度は安定する。このため被接合部材同士を摩擦攪拌接合によって接合した後そのままの状態で製品として用いることができる。
(3)被接合部材間に油圧孔等の位相がある場合、摩擦圧接では高精度の回転静止制御が必要である。これに対し、摩擦攪拌接合では位相を合わせ後に第2シャフト42を第1シャフト41に圧入接合することが可能であり、高精度の回転静止制御が不要となり製品品質が安定する。
(4)従来技術のように第1シャフト41と第2シャフト42を軸方向に突き当てて摩擦圧接によって接合した場合、軸に曲げ荷重が負荷されると、その接合部に応力が集中する。これに対し、本願のように第2シャフト42を第1シャフト41の内周面に圧入接合し摩擦攪拌接合によって接合した場合、外側をなす第1シャフト41が接合部40aを支持する役目を果たすため、接合部における応力集中を緩和することができ、曲げ荷重に対して強固な接合になる。
(5)鋼側において摩擦圧接の場合は接合部から広い範囲まで熱影響部が及ぶのに対し、摩擦攪拌接合の場合はツール径の範囲の加熱であり、さらにアルミニウム(第1シャフト41)の塑性流動による冷却作用も付加される。このため、熱処理部品でも焼き戻しされることがなくなり、被接合部材の適用範囲が広くなる。
(6)第1シャフト41と第2シャフト42との上記重複部を、2箇所以上摩擦攪拌接合によって面接合することにより、第1シャフト41と第2シャフト42との間に油路を設けることができる。この場合、接合部は油路に対するシール機能を発揮する。また、第2シャフト42が第1シャフト41の内周面に圧入接合されているため、油路のレイアウト自由度が高くなる。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 変速機本体
5 ディファレンシャル機構
14 第3シャフト
21 フロントカバー
22 ポンプ翼車(ポンプインペラ)
22a ボス部材
23 タービン翼車(タービンランナ)
23a タービンランナハブ
24 ステータ
25 ワンウェイクラッチ
26 中間部材
27 ロックアップクラッチ
27a ロックアップクラッチピストン
27b 油室
27c 油室
40 ステータシャフト
40A ステータシャフト
40B ステータシャフト
40a 接合部
40b 接合部
40c 接合部
40d 接合部
40e 接合部
40f 接合部
θ 円周角
δ 傾斜角
41 第1シャフト
41S ストレート部
41Sa ストレート部内周面
41Sb ストレート部外周面
41F フランジ部
41op 油路
41TH ツール抜き穴
42 第2シャフト
42a 内周面
42b 外周面
42bs 段差面
42bw 段差壁
42op 油路
43 第1隔壁
44 第2隔壁
45 スプロケット
46 ベアリング
60 摩擦攪拌接合ツール
61 ショルダー
62 ピン
100 変速機

Claims (6)

  1. 互いに異なる材質から成る少なくとも第1シャフト及び第2シャフトが同軸に接合された異種金属接合シャフトを備えた変速機であって、
    前記第1シャフトは中空構造を有すると共に前記第2シャフトは前記第1シャフトの内部に圧入され、該第1シャフトの内周面と該第2シャフトの外周面が軸方向に関し重複した軸方向重複部を有し、該軸方向重複部は摩擦攪拌接合によって接合されていることを特徴とする異種金属接合シャフトを備えた変速機。
  2. 前記第1シャフトは軽金属から構成されていると共に前記第2シャフトの外周面は前記軽金属より強度及び融点の高い金属から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の異種金属接合シャフトを備えた変速機。
  3. 前記軸方向重複部は、円周方向の所定間隔毎に円周方向、軸方向或いは軸方向に対して所定の角度傾斜した傾斜方向、又は螺旋方向の何れかに沿って所定の長さにわたり連続して、又はこれらの方向が組み合わされて成る複合方向に沿って連続して摩擦攪拌接合によって接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の異種金属接合シャフトを備えた変速機。
  4. 前記軸方向重複部は、円周方向の所定間隔毎に軸方向に対する傾斜角度が交互に反転した傾斜方向に沿って摩擦撹拌接合によって接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の異種金属接合シャフトを備えた変速機。
  5. 前記傾斜方向に係る接合部は、該接合部の前記第2シャフト側の端部を通る軸方向に平行な直線に関して該第2シャフトに作用する捩り荷重の方向と同方向に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の異種金属接合シャフトを備えた変速機。
  6. 前記変速機はトルクコンバータを備え、前記トルクコンバータのステータは前記第2シャフトによって支持され、前記第1シャフトは前記変速機の固定部材に固定されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の異種金属接合シャフトを備えた変速機。
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