JP4313838B2 - 摩擦攪拌接合用工具 - Google Patents

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Description

本発明は、上下一対の回転体の間に攪拌軸があって、被接合部材同士を突き合わせた接合部をショルダ部によって挟み込み、回転する攪拌軸によって接合部を摩擦攪拌接合させる摩擦攪拌接合用工具に関し、特にピン径を細くしつつも接合における仕事効率を良くした摩擦攪拌接合用工具に関する。
図18は、下記特許文献1に記載する摩擦攪拌接合方法を示した図である。この摩擦攪拌接合方法では、被接合部材であるアルミニウム合金のプレート151,152が端面同士突き合わされ、そうした接合部153に沿って摩擦攪拌接合用工具100が移動する。その摩擦攪拌接合用工具100は、プレート151,152の上下を挟み込む上部回転体101と下部回転体102、そしてその間に攪拌軸103を設けて構成されている。摩擦攪拌接合用工具100は、モータ104の駆動によって上部回転体101、下部回転体102及び攪拌軸103に回転が与えられ、攪拌軸103が結合部153に沿って矢印Fで示す方向に移動する。
攪拌軸103は、機械的攪拌によって周囲のアルミニウム合金(材料)を塑性流動化させ、上部回転体101と下部回転体102は、上下方向からプレート151,152を押さえ込んで可塑性ゾーンから材料が失われるのを防いでいる。従って、この状態で摩擦攪拌接合用工具100が接合部153に沿って移動すると、プレート151,152の軟化した材料は、塑性流動化して撹拌混練されつつ、移動する攪拌軸103の後方に流れる。そして、攪拌軸103の後方では、塑性流動した材料は摩擦熱を失って急速に冷却固化し、互いに混じり合ってできた可塑性材によってプレート151,152が接合される。
特表平07−505090号公報(第4頁、図1) 特開2001−340976号公報(第5−6頁、図4)
ところで、摩擦攪拌接合用工具には、図18に示す被接合部材(プレート151,152)を両側から挟み込んで行ういわゆるボビンツール式の他、加工台に配置して被接合部材を一方から押さえ付けるように摩擦攪拌接合を行う、いわゆるコンペンショナル式のものがある。そして、被接合部材を摩擦攪拌接合する場合、いずれの摩擦攪拌接合用工具を使用しても接合速度を上げ、しかも十分な接合強度を得ることが望まれている。その点、コンペンショナル式の摩擦攪拌接合用工具に関しは、従来から各種提案がなされている。
例えば前記特許文献2には、大径の回転体から小径の攪拌軸が突設したコンペンショナル式の摩擦攪拌接合用工具に関する提案がされている。すなわち、この摩擦攪拌接合用工具は、攪拌軸に対して軸線方向に凹条が設けられ、摩擦攪拌接合の際に被接合部材同士の重ね合わせ面に形成された自然酸化膜が凹条によって微細に粉砕する。これによって被接合部材との境界部分に生じる自然酸化膜の立上りが抑制され、疲労強度が向上する。しかし、従来はこのようにコンベンショナル式の摩擦攪拌接合用工具について提案がなされているもの、図18に示したボビンツール式の摩擦攪拌接合用工具については有効な提案が無かった。
そこで、本発明は、攪拌軸の径を大きくしたり回転数を上げたりすることなく仕事率を上げることができるボビンツール式の摩擦攪拌接合用工具を提供することを目的とする。
本発明の摩擦攪拌接合用工具は、被接合部材同士を突き合わせた接合部を上部回転体と下部回転体とで挟み込み、その上部回転体と下部回転体との間で一体になって回転する攪拌軸を接合部に沿って移動させることにより、摩擦熱で被接合部材同士を接合するものであって、前記攪拌軸は、軸方向に平行な攪拌面が周方向に複数形成された多面体形状であり、前記攪拌面と、その攪拌面の間の中間面とが凸曲面であって、前記攪拌面が前記中間面より曲率半径が大きいものであることを特徴とする。
また、本発明の摩擦攪拌接合用工具は、前記攪拌面は、円柱形状の軸部材に対して周方向に一定の間隔をあけて切削して形成された切削面であり前記中間面は、前記円柱形状の軸部材の表面をそのまま残した面であることが好ましい。
また、本発明の摩擦攪拌接合用工具は、前記攪拌軸が、前記攪拌面と中間面とが周方向に3面ずつ交互に形成されたものであることが好ましい。
よって、本発明の摩擦攪拌接合用工具によれば、攪拌面によって回転方向に見て圧力が高い部分と低い部分とが生じ、回転方向に作用するこの圧力変化が材料に対してトルクを伝えるため、攪拌軸の径を大きくしたり回転数を上げたりすることなく仕事率を上げることができる。
次に、摩擦攪拌接合用工具の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
先ず図1は、以下に説明するコイルボビン式の摩擦攪拌接合用工具の参考のため、摩擦攪拌接合用工具の形状を簡略化して示した一部図である。本実施形態の摩擦攪拌接合用工具1は、上部回転体11と下部回転体12とが同軸に配置され、その軸心部を通して攪拌軸13が設けられている。攪拌軸13は、上部回転体11のボスを通して下方に突き出され、先端が下部回転体12に連結されている。従って攪拌軸13は、上部回転体11と一体になって回転するが、軸方向には移動可能である。そのため、上部回転体11と下部回転体12との離間距離は調整可能であり、その間に挟み込まれる被接合部材(プレート151,152)の厚さに対応できるようになっている。
上部回転体11は下方に押し下げられ、下部回転体12は攪拌軸13を介して上方に引き上げられ、それぞれのショルダ面111,112がプレート151,152の上面と下面とに押し当てられる。摩擦攪拌接合用工具1では、その攪拌軸13の軸心がプレート151,152の端面同士を突き当てた接合位置に重ねられ、図18に示す場合と同様に接合部153に沿って移動し、摩擦攪拌接合が行われる。
すなわち、回転する攪拌軸13がプレート151,152の接合部153に沿って進入すると、摩擦熱によって接合部153の材料が発熱して軟化し、塑性流動してできた可塑性材によって固相接合される。攪拌軸13のトルクが作用する接合部分は、プレート151,152が熱を発して軟化し、その部分の材料が回転によって攪拌される。そして、接合部153に沿って攪拌軸13が移動すると、前方の軟化攪拌部分が押しのけられ左右から後方に回り込むようにして攪拌軸13の周りを流動する。
図2は、被接合部材の接合状態を説明するための概念図であって、プレート151,152を上面から示した図(a)と接合部の断面を示した図(b)である。
摩擦攪拌接合用工具1は、プレート151,152の接合部153に沿って図面上方に移動しており、回転方向Wが時計回りであるとする。破線で示した円C1は、上部回転体11及び下部回転体12のショルダ面111,112がプレート151,152の押さえ付けて回転する領域である。また、実線で示した中心側の最小径の円C3は、攪拌軸13の断面領域である。そして、その間の偏心した一点鎖線で示す円C2が、摩擦攪拌によって接合部の材料が塑性流動する領域161である。この塑性流動領域161は、回転方向に材料がより多く流れるため図示するように右側に偏っている。
摩擦攪拌接合方法では、接合部の接合強度や作業効率などを考慮すると、攪拌軸13の直径dが細いことが好ましい。攪拌軸を細くした方が接合中に生じる熱影響を抑えることができ、接合部の強度低下を防止することができる。すなわち、接合部における材料の温度が上がりすぎると、調質による強化の効果が失われて接合強度が低下するからである。よって、攪拌軸13を細くして熱発生量(単位接合面積当たりの熱)を最小限に抑えることが好ましい。
また、プレート151,152の接合部153(図18参照)では、移動した摩擦攪拌接合用工具1の後方に、塑性流動領域161の範囲内で熱機械影響部(TMAZ)と呼ばれるTMAZ領域162が形成される。このTMAZ領域162の材料は、融点には達しない高温下で塑性変形して流動するため、接合に際して変形による大きな応力を受ける。攪拌軸13の前方(図2(a)の上側)にある材料は、塑性流動領域161の範囲内で後方に流れる際、その攪拌軸13を避けて左右の狭い領域を、しかも摩擦攪拌接合用工具1の送り速度よりも速い速度で通り抜けることになるからである。なお、TMAZ領域162の外側は、塑性変形がごく僅かで、昇温による影響だけを受けた熱影響部(HAZ)である。
そこで、図2(b)に示すように、接合部分をプレート151,152の厚さ方向に切断した場合、強度低下が生じるTMAZ領域162が狭くなることが望ましい、それには攪拌軸13を細くすればTMAZ領域162の幅を狭くして、断面積を小さくすることができる。そしてまた、攪拌軸13を細くすれば、接合部153に沿った送りに対して抵抗が小さくなるため、送り速度を上げて作業時間を短縮することもできる。
しかし、摩擦攪拌接合用工具1では、攪拌による効果的な接合を考慮すると単純に攪拌軸13の径dを細くすることはできない。摩擦攪拌接合用工具1は、上部回転体11及び下部回転体12、そして攪拌軸13が接合部の材料に対してトルクを伝える。その際、接合部153を接合させるための攪拌軸13の仕事は、プレート151,152の厚さ方向に一様に作用し、特に最もエネルギを要する材料との接触部分で熱に変わっている。一方、上部回転体11及び下部回転体12の仕事は、ショルダ面111,112の外周に近いほど大きく、ほとんど表面部分にしか作用しないので不必要に熱を拡散させている。摩擦攪拌接合用工具1が回転によって被接合部材を接合する場合、仕事率はトルクと角速度とを乗じた値になる。従って、単純に攪拌軸13の径dを細くすると、トルクが小さくなって材料に与える接合のための熱量が不足する。
一方、摩擦攪拌接合用工具1の回転数を高めて不足した熱量を補おうとすると、ショルダ面111,112によって生じる熱量が増えてしまう。攪拌軸13を単純に細くした摩擦攪拌接合用工具1では、その回転数を高めてもショルダ面111,112の発熱量が増えてしまい、周辺部分に過剰に熱を与えることになり、接合強度を逆に損なうことになる。従って、仕事率を考慮すれば、攪拌軸13の径dは大きくすることが好ましい。しかし、攪拌軸13の径dを大きくすればそれに応じて上部回転体11及び下部回転体12のショルダ径Dも大きくなってしまい、前述したTMAZ領域162が大きくなる問題が生じる。
この点、攪拌軸13の径dを大きくしつつ、上部回転体11及び下部回転体12のショルダ径Dを小さくすればよいと考えられる。しかし、それでは塑性流動領域161が狭くなり、攪拌軸13周りを通過する材料の塑性歪速度が大きくなり、しかも塑性歪みを受ける接合部分の材料が高い応力を受けて欠陥の原因となる。そしてまた、なによりも上部回転体11と下部回転体12では、そのショルダ面111,112によって接合部の材料を押さえ込むため、攪拌軸13の径dに対してある程度の大きさが必要である。
本実施形態では以上の点を考慮し、攪拌軸を細くすることによって摩擦攪拌接合用工具の送り速度を上げることができ、しかも攪拌軸が細くても材料に対する仕事率を高めて接合強度を高めることができるコイルボビン式の摩擦攪拌接合用工具を提案する。
先ず、摩擦攪拌接合用工具の第1案について説明する。図3は、第1案の摩擦攪拌接合用工具について、攪拌軸の部分を拡大した側面図である。図3の摩擦攪拌接合用工具は、攪拌軸20が図1に示す攪拌軸13を変形したものであり、その他の構成、すなわち上部回転体11と下部回転体12とを有し、プレート151,152などの被接合部材を挟み込んで一体に回転する構成は一致している。なお、これは第1案の実施例というわけではなく、効果の一部を示すための参考例である。
攪拌軸20は、外周面に周方向に同じ高さで連続する環状溝201が形成されている。この環状溝201は、攪拌軸20を太くすることなく、その攪拌軸20から材料に与える熱量が多くなるようにするための構成である。
前述したように、攪拌軸の径を大きくしたり、回転数を上げて仕事率を高めることは接合部の強度を下げる原因になるため適切ではない。そこで、攪拌軸の径を変えることなく接合部の材料により大きなトルクを伝達するため、表面積を増やすことで摩擦による接線応力を増加させるようにした。
摩擦攪拌接合が行われる時、攪拌軸20によって攪拌された材料は、流体に近い性質を持って塑性流動する。被接合部材は上下の回転体によって挟み込まれて加圧されているため、攪拌された接合部の材料は環状溝201内に入り込み、その結果攪拌軸20との接触面積が増加することになる。その際、攪拌軸20の表面では、環状溝201内部を含め、図の矢印で示すようにほぼ等しく法線方向応力(圧力)が作用する。従って、攪拌軸20は、図1の攪拌軸13と比べて材料との接触面積が増加し、それに比例して摩擦による接線応力が大きくなり、攪拌軸20から材料に伝達されるトルクが大きくなる。従って、攪拌軸20は、トルクが増加することで径を大きくすることなく、そして回転数も上げることなく接合部の材料に対する仕事率を上げることができる。よって、以下に示す第1案の摩擦攪拌接合用工具は、攪拌軸に形成した溝に特徴を有する。
図4は、第1実施形態の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。摩擦攪拌接合用工具2は、図3に示したものと同様、攪拌軸21の外周面に複数の攪拌溝210が軸方向に平行に形成されている。その攪拌溝210は、円柱形状の軸部材に対して切削加工によって形成され、所定の幅間隔の側面と所定の深さの底面からなる。従って、攪拌軸21は、この攪拌溝210によって被接合部材の接合部において、攪拌によって接する材料との面積が増加することになる。この攪拌溝210は、円柱状の攪拌軸21を一周する環状溝であるが、図3のものとは異なり軸方向に変化する波形である。従って、回転方向に対して傾斜部を有し、ある位置で見た場合、回転に伴って溝高さが変化するようにしたものである。図5は、攪拌軸21に形成された一つの攪拌溝210を示した側面図である。この図に示すように、攪拌溝210は、上下に4往復する90°の周期で形成された波形の溝である。
攪拌溝210を波形にして傾斜部分を設けたのは、攪拌接合の際、接合部の材料に伝えるトルクを増加させ、更にその材料を上下方向へ移動攪拌させるようにするためである。
先ず、摩擦攪拌接合の際には、上下の回転体11,12によって被接合部材が押さえ込まれ、攪拌された接合部の材料が攪拌溝210に入り込む。そのため、攪拌軸21は、攪拌溝210によって表面積が大きくなった分、材料との接触面積が増加し、それに比例して摩擦による接線応力が大きくなる。その結果、図3に示した攪拌軸20と同様に材料に伝えられるトルクが大きくなる。
そして、波形の攪拌溝210は、例えば図5の真ん中にある傾斜区間を取り出して見た場合、図面左側の回転方向Wに対し、先行する攪拌溝210の側面211では材料が流れ去るため圧力が下がり、反対の側面212では材料が衝突してくるため圧力が高まる。従って、攪拌溝210の傾斜部分では、回転方向Wに前後して圧力変化が生じることになる。側面211,212に作用する法線方向の圧力Pa,Pbは回転方向分力を有し、減圧側と加圧側とで互いに打ち消し合うことはない。そのため、攪拌溝210に生じる圧力変
化が材料に対してトルクとして伝えられる。こうしたことは、波形をした攪拌溝210の各傾斜部分で生じる。よって、摩擦攪拌接合用工具2では、回転する攪拌軸21との接線応力が接合部の材料にトルクとして伝えられ、更には、攪拌溝210の側面211,212による圧力変化も接合部の材料に対してトルクとして伝えられる。
以上、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具2によれば、攪拌溝210によって材料と接する面積が大きくなったことで、接線応力が大きくなって材料に伝えられるトルクが大きくなる。そして、波形の攪拌溝210であるため、傾斜部分の圧力変化によっても材料に伝えられるトルクが大きくなる。従って、こうしたトルク増加の重畳作用によって攪拌軸21の径を大きくしたり、回転数を上げたりすることなく仕事率を上げることができる。
更に、攪拌溝210内に入り込んだ材料が傾斜した側面211,212にならって上下に動き、また、攪拌溝210を波形にした攪拌軸21では、側面211,212の法線方向に作用する圧力の軸方向分力によって材料が上下に動く。そのため、接合部の材料が上下に攪拌され、組織が微細化して接合強度を高めることができる。
次に、図6は、第2実施形態の摩擦攪拌接合用工具について示した図であり、図5と同様に攪拌軸に形成された一つの攪拌溝について示した側面図である。この摩擦攪拌接合用工具は、図示する攪拌軸22が図4に示すものと同様の上部回転体11と下部回転体12との間に設けられたものである。
攪拌軸22には、その外周面に図示するような波形の攪拌溝220が形成されている。この攪拌溝220は、円柱形状の軸部材に対して切削加工によって形成され、所定の幅間隔の側面と所定の深さの底面からなる。そして、図4に示す攪拌溝210と同様、攪拌軸22に対して軸方向に複数形成される。従って、この攪拌軸22は、攪拌溝220を形成することで攪拌時に接する材料との面積が増加することになる。
攪拌溝220は、第1実施形態の攪拌溝210と同様に上下に4往復する90°の周期で形成され波形形状をしている。従って、回転方向に対して傾斜部分を有し、ある位置で見た場合、回転に伴って溝高さが変化するようにしたものである。ただ、本実施形態では、第1実施形態の攪拌溝210よりも加工しやすいように、直線部分を連続させた折れ線の波形である。こうした攪拌溝220の目的は、攪拌接合の際、波形にした傾斜部分によって接合部の材料に伝えるトルクを増加させ、更にその材料を上下方向へ移動攪拌させることである。
先ず、摩擦攪拌接合の際、上下の回転体によって被接合部材が押さえ込まれ、攪拌された接合部の材料が攪拌溝220に入り込む。そのため、攪拌軸22は、攪拌溝220によって表面積が大きくなった分、材料との接触面積が増加し、それに比例して摩擦による接線応力が大きくなる。その結果、図3に示した攪拌軸20と同様に材料に伝えられるトルクが大きくなる。
そして、波形の攪拌溝220は、図面左側の回転方向Wに対し、例えば先行する攪拌溝220の側面221では材料が流れ去るため圧力が下がり、反対の側面222では材料が衝突してくるため圧力が高まる。従って、側面221,222に作用する法線方向の圧力Pa,Pbは回転方向分力を有し、減圧側と加圧側とで互いに打ち消し合うことはないため、攪拌溝220に生じる圧力変化が材料に対してトルクとして伝えられる。こうしたことは、波形をした攪拌溝220の各傾斜部分で生じる。よって、回転する攪拌軸22との接線応力が接合部の材料にトルクとして伝えられ、更には、攪拌溝220の側面221,222による圧力変化も接合部の材料に対してトルクとして伝えられる。
以上、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具によれば、攪拌溝220によって材料と接する面積が大きくなったことで、接線応力が大きくなって材料に伝達されるトルクが大きくなる。そして、波形の攪拌溝220であるため、傾斜部分の圧力変化によっても材料に伝えられるトルクが大きくなる。従って、こうしたトルク増加の重畳作用によって攪拌軸22の径を大きくしたり、回転数を上げたりすることなく仕事率を上げることができる。
また、攪拌溝220内に入り込んだ材料が傾斜した側面221,222にならって上下に動き、また、攪拌溝220を波形にした攪拌軸22では、側面221,222の法線方向に作用する圧力の軸方向分力によって材料が上下に動く。そのため、接合部の材料が上下に攪拌され、組織が微細化して接合強度を高めることができる。
更に、本実施形態では、攪拌溝220が直線部分を連続させた折れ線の波形であるため、円柱状の軸部材に対して攪拌溝220を切削加工する場合、第1実施形態のものに比べて加工が容易である。
次に、図7は、第3実施形態の摩擦攪拌接合用工具について示した図であり、図5と同様に攪拌軸に形成された一つの攪拌溝について示した側面図である。この摩擦攪拌接合用工具は、図示する攪拌軸23が図4に示すものと同様の上部回転体11と下部回転体12との間に設けられたものである。
攪拌軸23には、その外周面に図示するような波形の攪拌溝230が形成されている。この攪拌溝230は、円柱形状の軸部材に切削加工によって形成され、所定の幅間隔の側面と所定の深さの底面からなる。そして、図4に示す攪拌溝210と同様、攪拌軸23に対して軸方向に複数形成される。従って、この攪拌軸23は、攪拌溝230を形成することで攪拌時に接する材料との面積が増加することになる。
攪拌溝230は、第1実施形態の攪拌溝210と同様に上下に4往復する90°の周期で形成され波形形状をしている。従って、回転方向に対して傾斜部分を有し、ある位置で見た場合、回転に伴って溝高さが変化するようにしたものである。そして、第1実施形態の攪拌溝210よりも加工しやすいように、第2実施形態と同様、直線部分を連続させた折れ線の波形である。しかし、本実施形態では、第2実施形態の攪拌溝220にはあった平行部分を無くし、全てが傾斜部分で構成されている。こうした攪拌溝230の目的は、やはり攪拌接合の際、波形にした傾斜部分によって接合部の材料に伝えるトルクを増加させ、更にその材料を上下方向へ移動攪拌させることである。
先ず、摩擦攪拌接合の際、上下の回転体によって被接合部材が押さえ込まれ、攪拌された接合部の材料が攪拌溝230に入り込む。そのため、攪拌軸23は、攪拌溝230によって表面積が大きくなった分、材料との接触面積が増加し、それに比例して摩擦による接線応力が大きくなる。結果、図3に示した攪拌軸20と同様に材料に伝えられるトルクが大きくなる。
そして、波形の攪拌溝230は、図面左側の回転方向Wに対し、例えば先行する攪拌溝230の側面231では材料が流れ去るため圧力が下がり、反対の側面232では材料が衝突してくるため圧力が高まる。従って、側面231,232に作用する法線方向の圧力Pa,Pbは回転方向分力を有し、減圧側と加圧側とで互いに打ち消し合うことはないため、攪拌溝230に生じる圧力変化が材料に対してトルクとして伝えられる。こうしたことは、波形をした攪拌溝230の各傾斜部分で生じる。よって、回転する攪拌軸23との接線応力が接合部の材料にトルクとして伝えられ、更には、攪拌溝230の側面231,232による圧力変化も接合部の材料に対してトルクとして伝えられる。
以上、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具によれば、攪拌溝230によって材料と接する面積が大きくなったことで、接線応力が大きくなって材料に伝達されるトルクが大きくなる。そして、波形の攪拌溝230であるため、傾斜部分の圧力変化によっても材料に伝えられるトルクが大きくなる。従って、こうしたトルク増加の重畳作用によって攪拌軸23の径を大きくしたり、回転数を上げたりすることなく仕事率を上げることができる。
また、攪拌溝230内に入り込んだ材料が傾斜した側面231,232にならって上下に動き、また、攪拌溝230を波形にした攪拌軸23では、側面231,232の法線方向に作用する圧力の軸方向分力によって材料が上下に動く。そのため、接合部の材料が上下に攪拌され、組織が微細化して接合強度を高めることができる。こうした効果については、攪拌溝230が第2実施形態の攪拌溝220よりも傾斜部分が多い分有効である。
更に、本実施形態では、攪拌溝220が直線部分を連続させた折れ線の波形であるため、円柱状の軸部材に対して攪拌溝230を切削加工する場合、第1実施形態のものに比べて加工が容易である。
次に、摩擦攪拌接合用工具の第2案について説明する。図8は、第4実施形態の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。
本実施形態の摩擦攪拌接合用工具3は、図1に示す攪拌軸13を変形したものであり、その他の構成、すなわち上部回転体11と下部回転体12とを有し、被接合部材を挟み込んで一体に回転する構成は一致している。
摩擦攪拌接合用工具3は、攪拌軸24が多面体形状である点に特徴を有する。攪拌軸24は、円柱形状の軸部材から間に円弧部分を残して軸方向に平行な4つの攪拌面241が切削加工されたものである。ここで、図9は、攪拌軸24の断面形状を示した図であり、一点鎖線で加工前の軸部材の外形線を示している。
攪拌面241は、平面であって上部回転体11と下部回転体12との間の上下に渡って形成されている。攪拌面241の間は、軸部材の形状がそのまま残された中間面242になっている。従って攪拌軸24は、4つの攪拌面241と4つの中間面242とが周方向に向けて交互に形成された多面体形状をした軸である。
そこで、この摩擦攪拌接合用工具3では、攪拌軸24が回転しながら接合部に沿って移動すると、接合部は摩擦熱によって発熱し、軟化した材料が塑性流動し、攪拌軸24の後方に移動して固相接合する。その際、接合部の材料には攪拌軸24からトルクが与えられるが、材料に対して十分な熱量を与えて効率良く攪拌するには、攪拌軸24の仕事率を高める必要がある。この点、第2案では、攪拌面241と中間面242との多面体形状とすることによって、攪拌軸24の径を大きくしたり回転数を上げることなく材料に与えるトルクを大きくしている。
攪拌軸24による攪拌作業が、時計周りの回転方向Wと移動方向Fの移動によって行われ、攪拌軸24の周りには図示しない材料が塑性流動しているとする。図18に示す従来の摩擦攪拌接合用工具100では、攪拌軸101表面の摩擦力によって周りの材料にトルクが伝えられる。一方、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具3では、同じく攪拌軸24表面の摩擦力によって周りの材料にトルクが伝えられるが、それ以外にも攪拌面241に生じる圧力変化によってもトルクが伝えられる。
攪拌軸24では、一つの攪拌面241のうち、回転方向Wに対して中間面242よりも先行する側には材料が衝突して圧力が高まる一方、中間面242を追いかける側では材料が流れ去るため圧力が低下する。攪拌面241の一つについて見た場合、図9に示すように、回転方向Wに対して中間面242より先行する部分には正の圧力Pが作用し、回転方向Wに対して中間面242を後追いする部分には負の圧力Pdが作用する。
従って、被接合部材の素材を攪拌しながら回転する攪拌軸24の周りには、回転方向に見て圧力が高い部分と低い部分とが生じ、その圧力Pc,Pdは打ち消し合うことはない。攪拌面241の法線方向に作用する圧力Pc,Pdはいずれも回転方向分力を有し、この回転方向に作用する圧力変化が材料に対してトルクが伝えることになる。よって、接合部の材料は、回転する攪拌軸24との接線応力によってトルクが与えられ、更に攪拌面241による圧力変化によってトルクが与えられる。
以上、第4実施形態の摩擦攪拌接合用工具3では、接線応力によるトルクの伝達に加え、攪拌面241によって生じる圧力変化からも材料にトルクが伝えられる。よって、こうしたトルク増加の重畳作用によって攪拌軸24の径を大きくしたり、回転数を上げたりすることなく仕事率を上げることができる。
ところで、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具3は、攪拌面241を周方向に4面設けているが、これは一例であって、4面より少ない3面や、4面より多い5面、6面或いはそれ以上の数の面であってもよい。しかし、攪拌面の数が少なくなり、一つの攪拌面について周方向の幅が大きくなった場合、或いは逆に攪拌面の数が多くなり、一つの攪拌面について周方向の幅が小さくなった場合には、それぞれについて問題があった。
図9に示すように、攪拌面241のある部分に作用する圧力Pc,Pdの大きさは、そこから延長した作用線に回転軸から引いた垂線の距離m,nによって異なる。
先ず、図10に示す攪拌面が3つの攪拌軸では、その攪拌面245の周方向の幅寸法が大きくなる。そのため、一つの攪拌面245に作用する圧力Pc,Pdを見た場合、圧力Pc,Pdの作用線に対して回転軸から引いた垂線の距離m,nが大きくなる。この場合、圧力が高くなる圧力Pcは問題ないが、負圧になる圧力Pd側では、負圧の絶対値が大きくなってしまい、材料を巻き込んで接合部に欠陥(空洞)が生じやすくなる。
一方、図11に示す攪拌面が8つの攪拌軸では、その攪拌面246の周方向の幅寸法が小さくなって、より円柱に近づく。そのため、一つの攪拌面246に作用する圧力Pc,Pdを見た場合、圧力Pc,Pdの作用線に対して回転軸から引いた垂線の距離m,nが小さくなる。よって、この場合も圧力変化が材料を回転させようとするトルクとして伝達されるが、圧力変化が小さい分、材料に伝達されるトルクも小さくなってしまう。
そこで、攪拌面の数が少なくて負圧による接合部の欠陥が生じるような場合には、図12に示す第5実施形態のように、曲率半径が大きな凸状の曲面からなる攪拌面251とするのが好ましい。この攪拌軸25によれば、攪拌面251の法線方向に作用する圧力Pc,Pdは、その作用線に対して回転軸から引いた垂線の距離m,nが短くなるので小さくなる。特に、負圧になる材料を巻き込む圧力Pdの絶対値が小さくなって欠陥の発生を抑止できる。従って、攪拌面の数が少なくて一面毎の幅が大きくなっても、攪拌面251のように外側に膨らませた曲面とするのがよい。
一方、攪拌面の数が多いためトルクの伝達が小さくなってしまう場合には、図13に示す第6実施形態のように、回転軸側に凹むようにした曲面からなる攪拌面261とするのが好ましい。この攪拌軸26によれば、攪拌面261に作用する法線方向の圧力Pc,Pdについて、その作用線に対して回転軸から引いた垂線の距離m,nが長くなる。そのため、攪拌面261の圧力Pc,Pdの絶対値が大きくなり、攪拌面の数が多くなって一つの面について幅が小さくなっても、材料に対して有効なトルクを伝えることができる。そして、攪拌面261の数が多い場合には、加工前の軸部材から切削する量を減らすことができるため、攪拌軸の強度低下を抑えることができる。
次に、摩擦攪拌接合用工具の第3案について説明する。第3案は、第1案と第2案の構成を組み合わせたものである。すなわち、攪拌軸に攪拌面を形成するとともに、そこに重ねて攪拌溝を形成するようにしたものである。
図14は、第7実施形態の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。また、図15は、同じ摩擦攪拌接合用工具について、攪拌軸の断面形状を示した図(a)と、環状溝の中心線を示した図(b)である。
本実施形態の摩擦攪拌接合用工具4は、図1に示す攪拌軸13を変形したものであり、その他の構成、すなわち上部回転体11と下部回転体12とを有し、被接合部材を挟み込んで一体に回転する構成は一致している。
攪拌軸27は、図13に示す第6実施形態の構成、図7に示す第3実施形態の構成とを組み合わせたものである。そこで先ず、攪拌軸27は、凹状に湾曲した攪拌面271が形成されている。その攪拌面271は、円柱形状の軸部材から切削加工されたものであり、周方向に等間隔で8面形成され、各攪拌面271の間には軸部材表面の形状がそのまま残された中間面272になっている。従って、攪拌軸27は、8つの攪拌面271と8つの中間面272からなる多面体形状をした軸である。
そして、多面体の攪拌軸27には、その周りを一周する攪拌溝273が形成されている。攪拌溝273は、図15(b)に示すように上下に4往復する90°の周期で形成された波形形状をしている。切削加工が容易なように、直線部分を連続させた折れ線の波形であって、回転方向に平行にならないように形成されている。一周期分を見た場合、ab間及びcd間は急勾配で形成され、bc間及びda間は緩勾配で形成されている。そして、急勾配の区間ab及び区間cdは中間面272に位置するように形成され、緩勾配の区間bc及び区間daは攪拌面271に位置するように形成されている。
回転移動する攪拌軸27の周りを軟化した材料が通過する場合、その表面の凸状の中間面272と凹状の攪拌面271とを通過する材料の速度が異なる。すなわち、回転軸から遠い凸状の中間面272を通過する場合には、攪拌軸27の回転速度と比較して相対的に速くなり、回転軸により近い凹状の攪拌面271を通過する場合には相対的に遅くなる。中間面272を通過する場合には、その後方の攪拌面271に負圧部分ができるため、中間面272を回り込む際に材料の流れが速くなると考えられるからである。一方、攪拌面271では、後方の中間面272の手前に圧力が高まる部分ができるため、材料の流れが妨げられて遅くなると考えられる。よって、中間面272と攪拌面271とが繰り返された攪拌軸27の横をすり抜ける材料は、その移動速度が相対的に速くなる箇所と、遅くなる箇所とを通過することになる。
攪拌溝273には、前述したように急勾配の区間ab、区間cdと緩勾配の区間bcとがある。そこで、急勾配の区間cdに着目すると、この区間には回転方向に対して傾斜した側面によって圧力変化が生じ、その圧力変化の作用で矢印V方向に材料の流れを生じる。よって、この攪拌溝273の区間cdでは、矢印L方向の揚力と矢印Q方向の抗力を受け、この揚力と抗力との反作用によって材料が動かされる。すなわち、この揚力と抗力との回転方向成分がトルクに寄与することになる。また、区間abでは材料が下向きに流れるが、区間cdと同じように揚力と抗力とが回転方向の後ろ向きに作用するため、その反作用として回転方向の前側に材料が動かされる。
一方、緩勾配の区間bcに着目すると、矢印W方向に材料の流れが生じるが、その矢印Wは若干下向きになっている。それは区間abからの材料の流れの影響を受けているからである。しかし、区間bc自身が上向きに傾き、後方の区間cdで前述したように材料が上向きに流れるため、下向きである材料の流れの傾きは緩やかであると考えられる。そこで、攪拌溝273の区間bcでは、矢印M方向の揚力と矢印Q方向の抗力を受け、この揚力と抗力との反作用によって材料が動かされる。そして揚力は前向きに作用するため、材料に与えられるトルクはマイナスになるが、僅かであるため、攪拌溝273全体としては材料を回転させるトルクを発生させている。
攪拌溝273は、区間abや区間cdの急勾配部分では効果的にトルクが発生し、それに比べて区間bcの緩勾配部分ではトルクが小さくなっている。そして、このことと攪拌面271及び中間面272を通過する材料の移動速度とを考慮すれば、攪拌溝273のうち急勾配の区間ab及び区間cdを中間面272に形成し、緩勾配の区間bcを攪拌面271に形成することが好ましい。
よって、第7実施形態の攪拌軸27は、第1案の効果を奏し、攪拌溝273による接線応力の増加や圧力変化が生じて材料に伝達されるトルクを大きくしたり、材料を上下に移動させることができる。また、この攪拌軸27は、第2案の効果を奏し、多面体形状にすることで、その攪拌面271で生じる圧力変化によってもトルクを大きくすることができる。そして、特に本実施形態では、その攪拌溝273と攪拌面271を備える多面体形状とを関連づけて構成したことにより、攪拌溝273によって発生するトルクをより大きくすることができるようになった。従って、攪拌軸27は、トルクが増加することで径を大きくすることなく、そして回転数も上げることなく接合部の材料に対する仕事率を上げることができる。
ところで、攪拌軸に攪拌溝を形成する場合、その溝深さは、攪拌軸の表面から底面までの距離を一定にして形成したり、波形に合わせて変化するように形成してもよい。図16(a)〜(d)は各パターンを例示したものであり、軸方向に見た攪拌軸の外形線と攪拌溝の底面の位置を示した図である。
図16(a)に示す攪拌軸31は、円形の外形線311に対して一定の距離を保って攪拌溝の底面312が形成されたものである。また、図16(b)に示す攪拌軸32は、4つの攪拌面を有する外形線321に対し、円形の軌跡をたどる底面322が形成されたものである。この場合、攪拌軸32は、円柱形の軸部材に対して先に攪拌溝を加工し、その後に攪拌面を形成することにより、攪拌軸全体の加工を容易にすることができる。
図16(c)に示す攪拌軸33は、第2、第3実施形態の直線部分を連続させた折れ線波形の攪拌溝を形成したものである。攪拌溝の底面332は、その直線区間毎に真っ直ぐ形成され、図示するように円形の外形線331からの距離が異なっている。よって、攪拌軸33でも、攪拌溝を深さ方向にも直線的に切削すればよいため、直線部分を連続させた折れ線の波形であることと相まって、より加工が容易になる。
更に、図16(d)に示す攪拌軸34も、第2、第3実施形態の直線部分を連続させた折れ線の波形の攪拌溝を形成したものである。この場合、回転工具によって攪拌溝を加工する場合に、図示するように各直線部分の中央が深くなってもよい。この場合も、攪拌溝の底面342は円形の外形線341からの距離が異なっている。
次に、図17は、第3案の変形例を示した第8実施形態を示した図である。第3案として示した第7実施形態では、攪拌溝を効率良く機能させるため急勾配の区間を突出した外周面に形成した。そこで、攪拌溝は必ずしも連続的に形成する必要はなく、より効果のある部分だけを選択して形成するようにしてもよい。
この摩擦攪拌接合用工具5では、攪拌軸28には凹状に湾曲した攪拌面281が複数形成され、その間には軸部材の形状がそのまま残った中間面282となっている。そして、その攪拌軸28表面には径方向に突き出した中間面282にのみ傾斜した攪拌溝283が形成されている。
よって、第8実施形態の攪拌軸28によれば、第2案の効果を奏し、多面体形状にすることで、その攪拌面281で生じる圧力変化によってもトルクを大きくすることができる。そして、部分的に設けた攪拌溝283によって第1案の効果を奏し、攪拌溝283による接線応力の増加や圧力変化が生じて材料に伝達されるトルクを大きくしたり、材料を上下に移動させることができる。特に、攪拌溝283を材料の移動速度が速い中間面282に設けたので、攪拌溝283によって発生するトルクをより大きくすることができる。従って、攪拌軸28は、トルクが増加することで径を大きくすることなく、そして回転数も上げることなく接合部の材料に対する仕事率を上げることができる。そして、攪拌溝283を部分的に設けるようにしたので加工が容易になった。
以上、摩擦攪拌接合用工具について実施形態を示したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第2案では、実施形態で示した攪拌面の面数以外の攪拌軸についても様々に変更可能である。
また、第2案の実施形態では攪拌面の間にある外周面は円柱形状の軸部材の形状をそのまま残した曲面としたが平面であってもよい。
コイルボビン式の摩擦攪拌接合用工具の参考のため、摩擦攪拌接合用工具の形状を簡略化して示した図である。 被接合部材の接合状態を説明するための概念図であって、被接合部材を上面から示した図(a)と接合部の断面を示した図(b)である。 第1案の摩擦攪拌接合用工具について、攪拌軸の部分を拡大した側面図である。 第1実施形態の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。 第1実施形態の摩擦攪拌接合用工具について、その攪拌軸に形成された一つの攪拌溝を示した側面図である。 第2実施形態の摩擦攪拌接合用工具について、その攪拌軸に形成された一つの攪拌溝を示した側面図である。 第3実施形態の摩擦攪拌接合用工具について、その攪拌軸に形成された一つの攪拌溝を示した側面図である。 第4実施形態の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。 第4実施形態の摩擦攪拌接合用工具について、攪拌面が4面である攪拌軸の断面形状を示した図である。 攪拌面が3面である攪拌軸の断面形状を示した図である。 攪拌面が8面である攪拌軸の断面形状を示した図である。 第5実施形態の摩擦攪拌接合用工具について、攪拌面が3面である攪拌軸の断面形状を示した図である。 第6実施形態の摩擦攪拌接合用工具について、攪拌面が8面である攪拌軸の断面形状を示した図である。 第7実施形態の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。 第7実施形態の摩擦攪拌接合用工具について、攪拌軸の断面形状を示した図(a)と、環状溝の中心線を示した図(b)である。 攪拌軸に形成した攪拌溝の溝深さについて各パターンを例示した図である。 第8実施形態の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。 従来の摩擦攪拌接合用工具を示した斜視図である。
符号の説明
2,3,4 摩擦攪拌接合用工具
11 上部回転体
12 下部回転体
21,24,27 攪拌軸
210,273 攪拌溝
211,212 側面
241,271 攪拌面
242,272 中間面

Claims (3)

  1. 被接合部材同士を突き合わせた接合部を上部回転体と下部回転体とで挟み込み、その上部回転体と下部回転体との間で一体になって回転する攪拌軸を接合部に沿って移動させることにより、摩擦熱で被接合部材同士を接合する摩擦撹拌接合用工具において、
    前記攪拌軸は、軸方向に平行な攪拌面が周方向に複数形成された多面体形状であり、前記攪拌面と、その攪拌面の間の中間面とが凸曲面であって、前記攪拌面が前記中間面より曲率半径が大きいものであることを特徴とする摩擦攪拌接合用工具。
  2. 請求項1に記載する摩擦攪拌接合用工具において、
    前記攪拌面は、円柱形状の軸部材に対して周方向に一定の間隔をあけて切削して形成された切削面であり前記中間面は、前記円柱形状の軸部材の表面をそのまま残した面であることを特徴とする摩擦攪拌接合用工具。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する摩擦攪拌接合用工具において、
    前記攪拌軸は、前記攪拌面と中間面とが周方向に3面ずつ交互に形成されたものであることを特徴とする摩擦攪拌接合用工具。
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