JP6108472B2 - ブドウ梗由来抽出物 - Google Patents

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Description

本発明は、ブドウ梗由来抽出物に関する。また、該ブドウ梗由来抽出物を有効成分として含む抗腫瘍剤に関する。さらに、本発明は、ブドウの梗を由来とする化合物や、該化合物を有効成分として含む抗腫瘍剤等に関する。
ワイン等のブドウを原料とする加工品の製造過程では、ブドウのしぼりかす、皮、蔓、梗等の残渣が大量に発生する。従来、これらは廃棄するしかなく、処理に費用がかかるとともに、処理によって環境に負荷を与えるという問題があった。そこで、これら残渣を有効に利用するために、様々な研究がなされている。
例えば、特許文献1では、赤ブドウの果皮、種から抽出したポリフェノールを主成分とする抽出物が、ヒト胃ガン細胞の増殖を抑制することが確認されており、胃ガン細胞のアポトーシスの誘導にこの抽出物が利用できることが示唆されている。
また、特許文献2では、ワインの蔓等に含まれるカテキン(ポリフェノール)が前立腺癌発症予防や前立腺肥大の症状改善等を目的とする薬剤の処方に利用できることが示されている。
さらに、特許文献3では、フェノール化合物含量が高められたブドウ酒を得るために、ブドウ酒の醸造方法において、蒸煮したブドウ果梗をもろみに添加して発酵させることが開示されており、特許文献4では、ブドウの窄汁粕、果皮、葉、梗等から抽出した抽出物に含まれるポリフェノールの一種であるリスベラトロールを飲食品に含有することで、飲食品の色調を保持できることが開示されている。
これらもブドウの残渣の有効な利用方法であるといえるが、さらに有用な利用方法の提供が望まれている。
本発明では、ブドウの残渣のうちでも、大量に発生する梗を原料として、熱水、含水アルコール、含水アセトン、または親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒で抽出することにより抽出物を得た。さらに、ブドウの梗を由来として化合物を得た。そして、このブドウ梗由来抽出物や化合物が抗腫瘍作用、特に前立腺癌に対する抗腫瘍作用や腫瘍の転移抑制作用を示すことを見出したことにより、ブドウの残渣の新たな利用方法を提供するものである。
前記のように、特許文献2において、ブドウの蔓やその産物から抽出できるカテキン(ポリフェノール)が前立腺癌発症予防や前立腺肥大の症状改善等に利用できることが示されている。しかし、特許文献2ではブドウの蔓やその産物からカテキン(ポリフェノール)を抽出する方法も、この処方による効果も具体的には示されておらず、ブドウの残渣の有用な利用方法が十分に開示されているとは言えなかった。
特開2001−97872号公報 特表2008−508252号公報 特開平10−337171号公報 特許第4471631号
本発明は、ブドウの残渣の有用な利用方法の提供を課題とする。さらに詳しくは、ブドウの残渣の有用な利用方法として、ブドウの梗から抽出物を得ること、さらにこの抽出物を抗腫瘍剤等の有効成分として活用することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、ブドウの梗を熱水や、エタノール等の有機溶媒で抽出することによって抽出物が得られること、該ブドウ梗由来抽出物が抗腫瘍作用を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によって得られるブドウ梗由来抽出物は、前立腺癌由来の細胞に特に有効に作用することから、抗腫瘍剤や腫瘍の転移抑制剤の有効成分等として活用することができる。
さらに、本発明者らは、ブドウの梗を由来として化合物を得た。この化合物もブドウの梗由来抽出物と同様に、抗腫瘍作用を示すことから、抗腫瘍剤や腫瘍の転移抑制剤の有効成分等として活用することができる。
即ち、本発明は、次の(1)〜(23)に示される化合物、ブドウ梗由来抽出物、該ブドウ梗由来抽出物の製造方法等に関する。
(1)下記一般式(1)で示される化合物。
(A)n−(B)n ・・・一般式(1)
(前記一般式(1)中、
は6〜20のいずれかの整数を示し;
は1〜20のいずれかの整数を示し;
Aは下記一般式(2)で示される基であり;
前記一般式(2)中、
1−1は同一または異なっていてもよく、−H、−OH、−OCH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugarを示し;
1−2は同一または異なっていてもよく、−OH、−OCH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugarを示し;
1−3は同一または異なっていてもよく、−OH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugar、−Gallateを示し;
1−4は同一または異なっていてもよく、−Catechin、−Epicatechinを示し;
1−5は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し;
Bは下記一般式(3)で示される基であり;
前記一般式(3)中、
は同一または異なっていてもよく、−H、−OH、−OCH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugarを示す。)
(2)前記一般式(2)がガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンまたはエピカテキンからなる群より選ばれるいずれか一種以上である前記(1)に記載の化合物。
(3)下記の一般式(4)で示される前記(1)または(2)に記載の化合物。
(前記一般式(4)中、
は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し、少なくとも一つは−OHを示す。)
(4)下記の一般式(5)で示される前記(1)または(2)に記載の化合物。
(前記一般式(5)中、
は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し、少なくとも一つは−OHを示す。)
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物を有効成分として含む抗腫瘍剤。
(6)腫瘍が前立腺癌である前記(5)に記載の抗腫瘍剤。
(7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物を有効成分として含む腫瘍の転移抑制剤。
(8)腫瘍が前立腺癌である前記(7)に記載の腫瘍の転移抑制剤。
(9)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物を含むブドウ梗由来抽出物。
(10)ブドウの梗を熱水、含水アルコール、含水アセトン、または親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒で抽出して得られるブドウ梗由来抽出物。
(11)ブドウの梗をそのまま、または凍結した後、熱水、含水アルコール、含水アセトン、または親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒で抽出して得られる前記(10)に記載のブドウ梗由来抽出物。
(12)次の1)〜14)のいずれかである前記(10)または(11)に記載のブドウ梗由来抽出物。
1)ブドウの梗を熱水抽出して得られる抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物
2)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、酢酸エチル/メタノール溶液で溶出して得られる抽出物
3)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物
4)前記2)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、酢酸エチル/メタノール溶液で溶出して得られる抽出物
5)前記3)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物
6)前記5)の抽出物のうち水可溶物をVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、水で溶出して得られる抽出物
7)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、精製水で溶出して得られる抽出物
8)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、50%エタノール水溶液で溶出して得られる抽出物
9)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、イソプロピルアルコールで溶出して得られる抽出物
10)前記1)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、50%アセトン水溶液で溶出して得られる抽出物
11)前記10)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、40%メタノール水溶液で溶出して得られる抽出物
12)前記10)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%メタノール水溶液で溶出して得られる抽出物
13)前記1)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%アセトン水溶液で溶出して得られる抽出物
14)前記13)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%アセトン水溶液で溶出して得られる抽出物
(13)次の1)または2)のいずれかである前記(10)または(11)に記載のブドウ梗由来抽出物。
1)ブドウの梗を60%アセトンで抽出して得られる抽出物
2)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物
(14)ブドウの梗が、ヴィニフェラ種(Vitis vinifera)のシャルドネ、ソービニオンブラン、リースリング、ケルナー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローピノノアール、あるいはヤマブドウ、またはヴィニフェラ系交雑種の甲州、マスカット・ベリーA、ナイアガラ、キャンベルアーリー、マスカット・アレキサンドリア、巨峰、あるいはコンコードからなる群より選ばれるいずれか一種以上のブドウ由来である前記(10)〜(13)のいずれかに記載のブドウ梗由来抽出物。
(15)前記(10)〜(14)のいずれかに記載のブドウ梗由来抽出物を有効成分として含む抗腫瘍剤。
(16)腫瘍が前立腺癌である前記(15)に記載の抗腫瘍剤。
(17)前記(10)〜(14)のいずれかに記載のブドウ梗由来抽出物を有効成分として含む腫瘍の転移抑制剤。
(18)腫瘍が前立腺癌である前記(17)に記載の腫瘍の転移抑制剤。
(19)ブドウの梗を熱水、含水アルコール、含水アセトン、または親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒で抽出する工程を含む前記(10)〜(14)のいずれかに記載のブドウ梗由来抽出物の製造方法。
(20)ブドウの梗をそのまま、または凍結した後、熱水、含水アルコール、含水アセトン、または親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒で抽出して得られる前記(19)に記載のブドウ梗由来抽出物の製造方法。
(21)次の1)〜14)のいずれかに記載の工程を含む前記(19)または(20)に記載のブドウ梗由来抽出物の製造方法。
1)ブドウの梗を熱水抽出して得られる抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して抽出物を得る工程
2)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、酢酸エチル/メタノール溶液で溶出して抽出物を得る工程
3)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して抽出物を得る工程
4)前記2)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、酢酸エチル/メタノール溶液で溶出して抽出物を得る工程
5)前記3)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して抽出物を得る工程
6)前記5)の抽出物のうち水可溶物をVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、水で溶出して抽出物を得る工程
7)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、精製水で溶出して抽出物を得る工程
8)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、50%エタノール水溶液で溶出して抽出物を得る工程
9)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、イソプロピルアルコールで溶出して抽出物を得る工程
10)前記1)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、50%アセトン水溶液で溶出して抽出物を得る工程
11)前記10)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、40%メタノール水溶液で溶出して抽出物を得る工程
12)前記10)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%メタノール水溶液で溶出して抽出物を得る工程
13)前記1)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%アセトン水溶液で溶出して抽出物を得る工程
14)前記13)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%アセトン水溶液で溶出して抽出物を得る工程
(22)次の1)または2)のいずれかに記載の工程を含む前記(19)または(20)に記載のブドウ梗由来抽出物の製造方法。
1)ブドウの梗を60%アセトンで抽出して抽出物を得る工程
2)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物
(23)ブドウの梗が、ヴィニフェラ種(Vitis vinifera)のシャルドネ、ソービニオンブラン、リースリング、ケルナー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローピノノアール、あるいはヤマブドウ、またはヴィニフェラ系交雑種の甲州、マスカット・ベリーA、ナイアガラ、キャンベルアーリー、マスカット・アレキサンドリア、巨峰、あるいはコンコードからなる群より選ばれるいずれか一種以上のブドウ由来である前記(19)〜(22)のいずれかに記載のブドウ梗由来抽出物の製造方法。
本発明によって、ブドウ梗由来抽出物を抗腫瘍剤等の有効成分として活用することにより、ブドウ残渣の有用な利用方法を提供することが可能となる。本発明のブドウ梗由来抽出物は、前立腺癌に特に有用であることが確認されており、前立腺癌の予防や、前立腺肥大の改善等に幅広く利用することができる。
さらに、本発明によって得られるブドウの梗を由来とする化合物も抗腫瘍剤や、腫瘍の転移抑制剤等として有効に利用することができる。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出濃縮物A(以下、粗抽出物Aと示す場合がある))添加によるPC−3細胞の増殖への影響を示した図である((A)PC−3細胞の細胞数、(B)細胞増殖率)(実施例1)。 ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である((A)濃度依存性、(B)経時変化)。縦軸R.Q.は、FABP5遺伝子の発現量/18srRNAの発現量を示す。グラフの統計処理において平均値の有意差については一方向t−検定による有意差の有無を検定した(実施例1)。 ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)添加によるPC−3細胞の形態の変化を示した図である(実施例1)。 ブドウ梗由来抽出物(メタノール溶出物(以下、粗抽出物Bと示すことがある))添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である。縦軸R.Q.は、FABP5遺伝子の発現量/18srRNAの発現量を示す。グラフの統計処理において平均値の有意差については一方向t−検定による有意差の有無を検定した(実施例1)。 (A)ブドウ残渣(皮と種)由来抽出物添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である(比較例1)。(B)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である(比較例1)。 比較化合物の構造式を示した図である(比較例2)。 比較化合物の構造式を示した図である(比較例2)。 ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)添加または比較化合物添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である。グラフの統計処理において平均値の有意差については一方向t−検定による有意差の有無を検定した(比較例2)。 ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)添加または比較化合物添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である。グラフの統計処理において平均値の有意差については一方向t−検定による有意差の有無を検定した(比較例2)。 ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A〜K)の分離精製スキームを示した図である(実施例2)。 (A)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である。グラフの統計処理において平均値の有意差については一方向t−検定による有意差の有無を検定した(実施例2)。(B)実施例2、1.工程5で調製した(1)精製水溶出物、(2)50%メタノール溶出物、(3)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)または(4)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物K)の添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルへの影響を示した図である(実施例2)。 実施例2、工程3−1で調製した(3)酢酸エチル/エタノール溶液溶出物および実施例2、工程3−2で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物G)の添加によるPC−3細胞におけるFABP5タンパク質の発現への影響を示した図である(実施例2)。 実施例2、工程3−1で調製した(3)酢酸エチル/エタノール溶液溶出物および実施例2、工程3−2で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物G)の添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を示した図である。(A)このうちウェスタンブロット法により検出したFABP5タンパク質のバンドをImageJ(アメリカ国立衛生研究所(NIH)のフリーソフト)により定量解析した図である。(B)FABP5遺伝子の発現量をImageJ(アメリカ国立衛生研究所(NIH)のフリーソフト)により定量解析した図である(実施例2)。 ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物L〜N)の分離精製のスキームを示した図である(実施例3)。 ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物O、P)の分離精製のスキームを示した図である(実施例4)。 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のチャートを示した図である(実施例7)。 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のチャートを示した図である(実施例7)。 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のチャートを示した図である(実施例7)。 ピークA由来成分のLC/MS分析のチャートを示した図である(実施例7)。 ピークA由来成分のLCMS/MS分析のチャートを示した図である(実施例7)。 ピークB由来成分のLC/MS分析のチャートを示した図である(実施例7)。 ピークB由来成分のLCMS/MS分析のチャートを示した図である(実施例7)。 ベリーAの梗由来の抽出物、シャルドネの梗由来の抽出物、シャルドネの枝由来の抽出物、または化合物の添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を示した図である(実施例8)。 化合物、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物S)、または該粗抽出物Sを得る際に得られる溶出物の添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を示した図である(実施例9)。 化合物、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物S)、または該粗抽出物Sを得る際に得られる溶出物の添加によるPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を示した図である(実施例9)。
本発明の「化合物」には、次の化合物が該当する。この化合物はブドウの梗等の天然物から分離精製される化合物であっても、合成された化合物であってもよい。
下記一般式(1)で示される化合物。
(A)n−(B)n ・・・一般式(1)
(前記一般式(1)中、
は6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のいずれかを示し;
は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のいずれかを示し;
Aは下記一般式(2)で示される基であり;
前記一般式(2)中、
1−1は同一または異なっていてもよく、−H、−OH、−OCH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugarを示し;
1−2は同一又は異なっていてもよく、−OH、−OCH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugarを示し;
1−3は同一又は異なっていてもよく、−OH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugar、−Gallateを示し;
1−4は同一又は異なっていてもよく、−Catechin、−Epicatechinを示し;
1−5は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し;
Bは下記一般式(3)で示される基であり;
前記一般式(3)中、
は同一または異なっていてもよく、−H、−OH、−OCH、−O−Glu、−O−Gal、−O−Sugarを示す。)
一般式(2)および一般式(3)における−O−Gluとはグルコースのことをいい、−O−Galとはガラクトースのことをいう。
また、一般式(2)および一般式(3)における−O−Sugarの“Sugar”とは、グルコース、ガラクトース以外のフラクトース、ラムノース、アラビノース、マンノース、キシロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸等の単糖類、スクラロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、スクロース、トレハロース、ツラノース、セロビオース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオースの三糖類、アカルボース、スタキオース等の四糖類、グリコーゲン、デンプン、セルロース、デキストリン、グルカン等の多糖類等のことをいう。
さらに、一般式(2)における−Gallateとはガレート基またはガレート残基のことをいい、−Catechin、−Epicatechinとかカテキン基あるいはカテキン残基、またはエピカテキン基またはエピカテキン残基のことをいう。
また、一般式(2)は、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンまたはエピカテキンからなる群より選ばれるいずれかであることが好ましく、ガロカテキンの塩あるいは誘導体、またはエピガロカテキンの塩あるいは誘導体、カテキンの塩あるいは誘導体、またはエピカテキンの塩あるいは誘導体であってもよい。
このような本発明の化合物として、一般式(4)で示される化合物、一般式(5)で示される化合物等が挙げられる。さらに、一般式(6)で示される化合物、一般式(7)で示される化合物、一般式(8)で示される化合物、一般式(9)で示される化合物、一般式(10)で示される化合物、一般式(11)で示される化合物等が挙げられる。
(前記一般式(4)中、
は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し、少なくとも一つは−OHを示す。)
ここで、Rの少なくとも一つが−OHであれば良いが、全てのRが−OHであってもよい。Rにおける−OHは1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのいずれかであれば良い。
(前記一般式(5)中、
は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し、少なくとも一つは−OHを示す。)
ここで、Rの少なくとも一つが−OHであれば良いが、全てのRが−OHであってもよい。Rにおける−OHは1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10のいずれかであれば良い。
本発明の「抗腫瘍剤」とは、ヒト等において腫瘍が生じるのを予防し、また、生じた腫瘍の治療等にも利用できる剤のことをいい、腫瘍が生じた組織(原発巣)や転移した組織における腫瘍細胞の増殖を抑制する剤等も含まれる。
また、本発明の「腫瘍の転移抑制剤」は、血行性転移、リンパ行性転移または播種性転移により、他の組織へ原発巣や既に腫瘍が転移した組織から他の組織に腫瘍が転移することを抑制する剤のことをいい、この「抗腫瘍剤」にも含まれる。
このような本発明の「腫瘍の転移抑制剤」は、腫瘍の転移誘導遺伝子であるFABP5遺伝子の発現抑制活性を有する剤であることが好ましい。
本発明の「抗腫瘍剤」または「腫瘍の転移抑制剤」は、本願発明の化合物を有効成分として含む剤であれば良い。このような本発明の「抗腫瘍剤」は、本発明の化合物のみからなる剤であっても良く、本発明の化合物に加えて、薬学的に許容される担体や薬剤の形成において必要となる成分等を含むものであっても良い。さらに、本発明の化合物に対して相乗的な効果を示す、抗腫瘍作用を有する他の有効な成分を配合したものであっても良い。
また、本発明の「抗腫瘍剤」または「腫瘍の転移抑制剤」には、この「化合物を含むブドウ梗由来抽出物」や「ブドウ梗由来抽出物」であって、本発明の「化合物」を有効成分として含む剤と同様に抗腫瘍作用を示す剤も含まれる。
これらの「抗腫瘍剤」や「腫瘍の転移抑制剤」は、この「化合物を含むブドウ梗由来抽出物」や「ブドウ梗由来抽出物」のみから剤であっても良く、これらのブドウ梗由来抽出物に加えて、薬学的に許容される担体や薬剤の形成において必要となる成分等を含むものであっても良い。さらに、本発明の化合物に対して相乗的な効果を示す、抗腫瘍作用を有する他の有効な成分を配合したものであっても良い。
これらの本発明の「抗腫瘍剤」または「腫瘍の転移抑制剤」が予防、治療等の対象とする「腫瘍」は、本発明の「抗腫瘍剤」が有効に作用する「腫瘍」であれば従来知られているいずれのものであってもよい。特に前立腺癌、乳癌等を対象とすることが好ましい。
なお、前記の本発明の「化合物を含むブドウの梗由来抽出物」とは、ブドウの梗を由来として抽出される抽出物であって、これらの化合物を含むもののこという。この「化合物を含むブドウの梗由来抽出物」には、本発明の化合物と同様の作用を示す「ブドウの梗由来抽出物」であって、本発明の化合物を含むと推定される「ブドウの梗由来抽出物」も含まれる。
このような「化合物を含むブドウの梗由来抽出物」には、ブドウの梗を熱水、含水アルコール、含水アセトン、または親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒で抽出して得られるブドウ梗由来抽出物等が挙げられる。
また、本発明における「ブドウ梗由来抽出物」とは、ブドウの梗を水、含水アルコール、含水アセトンまたは親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒等で抽出して得られる抽出物であればいずれのものであっても良く、これをさらに分離精製したものであってもよい。
ここで、含水アルコールとして、水を含んでいるエタノール、メタノール等が挙げられ、親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒としては、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、ブタノール、または水等を混合した溶媒が挙げられる。
抽出物を得るにあたり、原料とするブドウの梗は、どの種類のブドウの梗であってもよい。例えば、ヴィニフェラ種(Vitis vinifera)のシャルドネ、ソービニオンブラン、リースリング、ケルナー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、ピノノアール、あるいはヤマブドウ、またはヴィニフェラ系交雑種の甲州、マスカット・ベリーA、ナイアガラ、キャンベルアーリー、マスカット・アレキサンドリア、巨峰、コンコードからなる群より選ばれるいずれか一種以上のブドウ由来の梗等が挙げられる。
本発明の「ブドウ梗由来抽出物」は、ブドウの梗を熱水、含水アルコール、含水アセトン、親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒等で抽出して得られる抽出物をさらに分離精製したものであってもよい。
抽出にあたり使用するブドウの梗は、除梗破砕機(A−8)(BAUCH社製)等でブドウから除いたものそのもの、これを水洗したもの、または水洗後表面の水分を除去したもの等であればよく、これらをさらに乾燥させたもの等であってもよい。
ブドウの梗の乾燥は、熱風乾燥、温風乾燥、冷風乾燥、天日干し、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥または真空乾燥等の従来知られているいずれの方法で行っても良い。
また、この「分離精製」には、「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」や「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」によって分画することも含まれ、これらの合成吸着剤やポリマーを組み合わせて複数回分画しても良い。
「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としては、逆相シリカ、ポリスチレン系合成樹脂、アクリル系合成樹脂等が挙げられる。本発明で使用する「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」は市販の合成吸着剤であってもよく、例えば、逆相シリカとしてオクタデシル基で修飾したシリカゲル等が挙げられる。また、アンバーライト(登録商標)XAD(登録商標)−1180N(オルガノ社製)(以下、XAD(登録商標)−1180Nと示す場合がある)、アンバーライト(登録商標)XAD(登録商標)−7HP(オルガノ社製)(以下、XAD(登録商標)−7HPと示す場合がある)またはアンバーライト(登録商標)XAD(登録商標)−1160N(オルガノ社製)(以下、XAD(登録商標)−1160Nと示す場合がある)、ダイヤイオンHP−20(三菱化学株式会社)等が挙げられる。
本発明で使用する「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」も市販のものであってもよく、例えば、デキストランをベースとするSephadex LH−20(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)、ポリビニル系のTOSOH TOYOPEARL(登録商標) HW−40F(東ソー株式会社)等が挙げられる。
このように分離精製された「ブドウ梗由来抽出物」としては、例えば、次の1)〜14)に示されるものが挙げられる。
1)ブドウの梗を熱水抽出して得られる抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物。
このうち逆相シリカを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例1において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物B)が挙げられ、XAD(登録商標)−1180Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例1において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物C)等が挙げられる。
2)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、酢酸エチル/メタノール溶液で溶出して得られる抽出物。
このうちXAD(登録商標)−1180Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物D)等が挙げられる。
3)前記2)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物。
このうち、XAD(登録商標)−1180Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物E)等が挙げられる。
4)前記2)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、酢酸エチル/メタノール溶液で溶出して得られる抽出物。
このうちXAD(登録商標)−1180Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物F)等が挙げられる。
5)前記3)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物。
このうちXAD(登録商標)−1180Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物G)等が挙げられる。
6)前記5)の抽出物のうち水可溶物をVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、水で溶出して得られる抽出物。
このうちXAD(登録商標)−7HPを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物H)等が挙げられる。
7)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、精製水で溶出して得られる抽出物。
このうちSephadex LH−20を「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物I)等が挙げられる。
8)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、50%エタノール水溶液で溶出して得られる抽出物。
このうちSephadex LH−20を「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)等が挙げられる。
9)前記6)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、イソプロピルアルコールで溶出して得られる抽出物。
このうちSephadex LH−20を「セルロース系、あるいはその誘導体また
は親水性化合物のポリマー」としたものには、本願発明実施例2において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物K)等が挙げられる。
10)前記1)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、50%アセトン水溶液で溶出して得られる抽出物。
このうちSephadex LH−20を「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」としたものには、本願発明実施例3において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物L)等が挙げられる。
11)前記10)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、40%メタノール水溶液で溶出して得られる抽出物。
このうちXAD(登録商標)−1160Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例3において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物M)等が挙げられる。
12)前記10)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%メタノール水溶液で溶出して得られる抽出物。
このうちXAD(登録商標)−1160Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例3において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物N)等が挙げられる。
13)前記1)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%アセトン水溶液で溶出して得られる抽出物。
このうち、Sephadex LH−20を「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」としたものには、本願発明実施例4において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物O)等が挙げられる。
14)前記13)の抽出物をさらにセルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマーで分画し、60%アセトン水溶液で溶出して得られる抽出物。
このうち、TOSOH TOYOPEARL(登録商標) HW40Fを「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」としたものには、本願発明実施例4において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物P)等が挙げられる。
また、このように分離精製された「ブドウ梗由来抽出物」としては、例えば、次の1)または2)に示されるものも挙げられる。
1)ブドウの梗を60%アセトンで抽出して得られる抽出物。このような抽出物としては、本願明細書実施例5において得たブドウ梗由来抽出物(粗抽出物Q)等が挙げられる。
2)前記1)の抽出物をさらにVan der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤で分画し、メタノールで溶出して得られる抽出物。
このうち、ダイヤイオン(商標)HP−20を「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例5において得たブドウ梗由来抽出物(祖抽出物R)等が挙げられる。
また、XAD(登録商標)−1180Nを「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」としたものには、本願発明実施例6において得たブドウ梗由来抽出物(祖抽出物S)等が挙げられる。
これら1)または2)のブドウ梗由来抽出物は、60%アセトンで抽出して得られる抽出物から、適当な有機溶媒、例えば酢酸エチル等によって分液することで脂溶性物質を留去して得られる抽出物であることがさらに好ましい。
本発明の「ブドウ梗由来抽出物の製造方法」は、ブドウの梗を熱水、含水アルコール、含水アセトン、または親水性溶媒と親油性溶媒を混合した両親媒性溶媒で抽出した抽出物を得る工程を含むものであれば良く、このように抽出した抽出物をさらに分離精製する工程を含んでいても良い。
この分離精製する工程には、「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」や「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」によって分画する工程が挙げられ、これらの合成吸着剤やポリマーを組み合わせて複数回分画する工程を経るものであっても良い。
ここで使用する「Van der Weals力による吸着を利用した合成吸着剤」や「セルロース系、あるいはその誘導体または親水性化合物のポリマー」には、前記の市販のもの等も使用することできる。
以下に実施例、比較例を示し、さらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A、粗抽出物B)の調製
1)除梗破砕機(A−8)(BAUCH社製)で分離されたブドウ(シャルドネ Vitis vinifera(Beaunois,Morillon))の梗を水で洗浄し、水切りした後、はさみで3センチ程度にカットした。カットした梗1kgをステンレスの縦長バットに入れ、精製水を4L加え、上部をアルミホイルで覆い、水分が蒸発しないようにした。これをガスコンロで加熱し、90℃以上に達した後、1時間沸騰を保ち熱水抽出を行った。
2)前記1)の熱水抽出終了後、大型ブフナーロートにて熱時ろ過(アドバンテックN0.2)した。得られた濾過液を熱水抽出物(粗抽出物A)とし、室温まで冷却した。
3)前記2)の熱水抽出物の一部を固相抽出カートリッジ(Sep−Pak Plus C18 20cc(Waters))にて分画し、非吸着物画分、100%酢酸エチル溶出物および100%メタノール溶出物(粗抽出物B)をそれぞれ得た。
2.ヒト前立腺癌細胞(PC−3細胞)の培養
ヒト前立腺癌細胞として財団法人ヒューマンサイエンス振興財団より入手したPC−3細胞を、FBS(MP Biomedicals社製)を10%、および、抗生物質を1%(100U/ml penicillin、250ng/ml amphotericin Bおよび100μg/ml streptomycinの混合液)添加したRPMI培地(SIGMA社製)により培養した。
3.細胞増殖抑制試験
前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)による、PC−3細胞における細胞増殖抑制活性を調べた。
1)細胞増殖数
前記2.1)で培養したPC−3細胞を12wellプレート(NUNC(登録商標)MULTIDISH)で各wellが8割になるまで培養した。これに、前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を1%w/vになるように添加した。培養開始6時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後または72時間後の細胞数を、血球計算版によって測定した。ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加せず、同時間培養したものをコントロールとした。
その結果、図1(A)に示されたように、コントロールでは経時的に細胞が増殖するのに対し、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加したものはPC−3細胞の増殖が抑制されることが確認できた。
2)細胞増殖率
前記3.1)において、細胞の増殖数に差が出始めた培養開始24時間後以降の細胞増殖能をMTT assayで確認した。
即ち、前記2.1)で培養したPC−3細胞を96wellプレート(NUNC(登録商標)MULTIDISH)で各wellが8割になるまで培養した。これに、前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を1%w/vになるように添加した。培養開始から24時間、36時間、48時間または72時間経過した段階で、MTT溶液を10μlずつ添加し、4時間呈色反応(37.0℃、CO 5%)を行った。その後、培地を除去し、細胞可溶化溶液を100μl添加してピペッティングした後、マイクロプレートリーダーで570nmの吸光度値を測定した。
その結果、図1(B)に示されたように、経時的に細胞の増殖が抑制され、培養開始後48時間では、細胞増殖が約6割抑制されていることが確認できた。
4−1.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)による、PC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性(濃度依存性・時間依存性)を調べた。
1)濃度依存性
(1)試料の調製
前記2.1)で培養したPC−3細胞を12wellプレート(NUNC(登録商標)MULTIDISH)で、各wellが8割になるまで培養した。これに、前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を、0.01mg/ml、0.02mg/ml、0.1mg/ml、0.2mg/ml、1mg/ml、2mg/mlの濃度になるように添加して36時間培養した。その後、培地を除去し、PBSで洗浄した後、RNAzol(登録商標) RT reagent RN190(Moleculer Reserch Center社製)を500ml添加してピペッティングし、RNAを回収した。
回収したRNAに100mlクロロホルムを添加し混合して室温で2〜3分置いた後、遠心分離(13,000rpm 15分 4℃)し、上清を回収した。この上清に同量のイソプロパノールを添加し転倒混和して室温で10分置いた後、遠心分離(13,000rpm 10分 4℃)し、上清をデカンテーションした。
これに70%エタノールを添加してペレットを洗浄した後、遠心分離(13,000rpm 5分 4℃)し、上清をデカンテーションし、室温でペレットを乾燥した後、DEPC水を20μl添加して溶解したものを試料とした。
(2)RT−PCR
ReverTra Ace(登録商標)キット(TOYOBO社製)および2×GoTaq(登録商標) Green Master Mix(Promega社製)によって、RT−PCRを行った。
まず、前記(1)で調製した試料をDEPC水で250ng/μlに希釈した。この試料に試薬を加え、表1の組成としたものを、サーマルサイクラーで工程1〜3で処理し(工程1.30℃、10分間、工程2.42℃、60分間、工程3.95℃、5分間)、cDNA(complementary DNA)を合成した。
合成したcDNAを鋳型とし、表2に示したFABP5遺伝子を増幅するプライマー(配列表配列番号1、2)、内因性コントロールとしてβ−actin遺伝子を増幅するプライマー(配列表配列番号3、4)、または18s rRNAを増幅するプライマー(配列表配列番号5、6)をそれぞれプライマーとして表3の組成としたものを、サーマルサイクラーで工程1〜3で処理し(工程1.95℃、5分間、工程2.1)95℃、30秒間、2)59℃、40秒間、3)72℃、1分間の1)〜3)を25サイクル、工程3.72℃、5分間)、DNAを増幅した。
増幅したDNAをアガロースゲルで電気泳動し、臭化エチジウムで染色してUV照射することにより、PC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現の有無および程度を調べた。
その結果、図2(A)に示したように、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)の添加濃度依存的にPC−3細胞においてFABP5遺伝子の発現レベルが低下することが確認できた。
また、PC−3細胞の細胞形態への影響を観察したところ、図3に示したように、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加した細胞はいずれもPC−3細胞が示す角ばった形態から丸い形態に変化していることが確認できた。図3には一例として、2mg/mlのブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加した場合の写真を示した。これは正常前立腺細胞モデルであるRWPE−1の細胞形態と同様であった。
2)時間依存性
前記2.1)で培養したPC−3細胞を12wellプレート(NUNC(登録商標)MULTIDISH)へ分注し、各wellが8割になるまで培養した。これに、前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を、0.1mg/mlの濃度で添加して6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間または72時間培養した。
培養後、前記1)濃度依存性の試験と同様にPC−3細胞からRNAを回収し、RT−PCRを行い、FABP5遺伝子の発現の有無および程度を調べた。
その結果、図2(B)に示したように、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加した後、時間依存的にPC−3細胞においてFABP5遺伝子の発現レベルが低下することが示され、特に36時間後および72時間後に、顕著にFABP5遺伝子の発現レベルが低下することが確認できた。
4−2.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記1.で調製した非吸着物画分、100%酢酸エチル溶出物および100%メタノール溶出物(粗抽出物B)について、前記4−1.と同様にPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性を調べた。
即ち、前記2.1)で培養したPC−3細胞を12wellプレート(NUNC(登録商標)MULTIDISH)で各wellが8割になるまで培養した。これに、前記1.で調製した非吸着物画分、100%酢酸エチル溶出物または100%メタノール溶出物(粗抽出物B)を1%w/vになるようにそれぞれ添加して、72時間培養した。
その後、培地を除去し、PBSで洗浄した後、RNAzol(登録商標) RT reagent RN190(Moleculer Reserch Center社製)を500ml添加してピペッティングし、回収したRNAについて前記4−1.と同様にPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性を調べた。
その結果、図4に示したように、非吸着画分と100%酢酸エチル溶出物の画分を添加したPC−3細胞においては、FABP5遺伝子の発現レベルに大きな変化はなかった。しかし、メタノール溶出物(粗抽出物B)を添加したPC−3細胞においては、FABP5遺伝子の発現レベルの低下が確認できた。
[比較例1]
1.ブドウ残渣(皮と種)由来抽出物の調製
1)除梗破砕機(A−8)(BAUCH社製)で分離されたブドウ(シャルドネ Vitis vinifera(Beaunois,Morillon))の残渣(皮と種)を水で洗浄した。この残渣1kgをステンレスのバットに入れ、精製水を4L加えた。上部開口部をアルミホイルで覆い、これをガスコンロで加熱し、90℃以上に達した後、1時間沸騰を保ち熱水抽出を行った。
2)前記1)の熱水抽出終了後、大型ブフナーロートにて熱時ろ過(アドバンテックN0.2)した。得られた濾過液をブドウ残渣(皮と種)由来抽出物とし、室温まで冷却した。
2.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記1.で調製したブドウ残渣(皮と種)由来抽出物と、前記実施例1、1.と同様の方法で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)について、前記実施例1、2.と同様の方法で培養したPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性(濃度依存性)を調べた。
この試験では、ブドウ残渣(皮と種)由来抽出物が0.5mg/ml、0.1mg/ml、1mg/ml、または1.5mg/mlの濃度になるようにそれぞれPC−3細胞の培地に添加した。また、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)が0.06mg/ml、0.12mg/ml、0.6mg/mlとなるように、それぞれPC−3細胞の培地に添加した。これらを36時間培養した後、記実施例1、4−1.と同様の方法で、FABP5遺伝子の発現の有無および程度を調べた。
その結果、図5に示したように、ブドウ残渣(皮と種)由来抽出物を添加した場合には、1.5mg/mlという高濃度を添加した場合にも、PC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルがあまり低下しないことが確認できた(図5、sampleA)。
一方、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加した場合には、0.12mg/mlという低濃度を添加した場合でも、FABP5遺伝子の発現レベルが低下することが確認できた。さらにこのブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)の添加濃度依存的にPC−3細胞においてFABP5遺伝子の発現レベルが低下することも確認できた(図5、sampleB)。
従って、この結果より、FABP5遺伝子の発現を抑制する効果は、ブドウの種や皮を由来とする抽出物は有さず、ブドウの梗を由来とする抽出物が特異的に有するものであることが確認できた。
[比較例2]
1.比較化合物の調製
表4に示した各比較化合物について、比較化合物の濃度がいずれも10mMとなるように、表4に示した溶媒に溶解した。なお、各比較化合物の構造式は図6、図7に示した。
EGCG(長良サイエンス株式会社製)以外の比較化合物については、次のように合成した物を使用した。即ち、1,3,5−trihydoxybenzeneを出発原料にしてガロカテキン骨格を形成し、カテキンあるいはエピカテキンのモノマーのフェノール性水酸基をBenzyl基で保護、C環2級アルコールをAcetyl基で保護した後、もう一分子の未保護のカテキンを種々のルイス酸にて縮合した。次いで、脱保護を順次行い、それぞれの化合物を得た。
このうち、3量体はカテキン2分子とエピカテキン1分子が結合した物であり、4量体(A)はカテキン4分子が結合したものであり、4量体(B)はエピカテキン4分子が結合したものであり、5量体はカテキン5分子が結合したものである。
2.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記1.で調製した各比較化合物と、前記実施例1、1.と同様の方法で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)について、PC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性(濃度依存性)を調べた。
1)試料の調製
この試験では、各比較化合物とブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)をそれぞれ次の濃度となるようにPC−3細胞の培地に添加して72時間培養した。その後、前記実施例1、4−1.1)(1)と同様の方法で、PC−3細胞から抽出したRNAをそれぞれ試料とした。
<濃度>
ECGC:10μM、25μM、50μM、100μM
PDB3:10μM、25μM
ProB1、ProB2、ProB3、ProB4、ProC1、ProC2、3量体、4量体(A)、4量体(B)、5量体:50μM、100μM
粗抽出物A:300μg/ml、500μg/ml
2)RT−PCR
ReverTra Ace(登録商標)キット(TOYOBO社製)および2×GoTaq(登録商標) Green Master Mix(Promega社製)により、RT−PCRを行った。
まず、前記1)で調製した各試料をDEPC水で250ng/μlに希釈した。この試料を試薬とともに表5の組成としたものを、サーマルサイクラーで工程1〜3で処理し(工程1.30℃、10分間、工程2.42℃、60分間、工程3.95℃、5分間)、cDNA(complementary DNA)を合成した。
合成したcDNAを鋳型とし、表6に示したFABP5遺伝子を増幅するプライマー(配列表配列番号7、8)または、内因性コントロールとして18s rRNAを増幅するプライマー(配列表配列番号9、10)をそれぞれプライマーとして表7の組成としたものを調製した。
これをStepOne(登録商標)リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)にセットし、ΔΔCT法により定量解析を行い、FABP5遺伝子の発現の有無および程度を調べた。
StepOne(登録商標)リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)におけるDNA増幅は、次の工程1〜3により行った。
工程1.90℃、5分間、工程2.1)95℃、30秒間、2)59℃、40秒間、3)72℃、1分間の1)〜3)を25サイクル、工程3.72℃、5分間
その結果、図8、図9に示したように、各比較化合物を添加したPC−3細胞はいずれもFABP5遺伝子の発現レベルが低下しなかった。一方、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加したPC−3細胞はFABP5遺伝子の発現レベルが低下していた。したがって、本発明のブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)のみがPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルを低下させる効果を有することが確認できた。
なお、図には示していないが、ProdelphinidinC2(PDC2)もPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルは低下しなかった。図8、図9の縦軸R.Q.は、FABP5遺伝子の発現量/18srRNAの発現量を示す。
また、実施例2、3.に記載の方法と同様に、FABP5タンパク質の発現量を調べたところ、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を添加したPC−3細胞においてFABP5タンパク質の発現が抑制されることも確認できた。
1.ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物C〜K)の分離精製
実施例1、1.と同様の方法により、ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)を得て、これを次の工程1〜5により分離精製した。分離精製のスキームは図10に示した。
工程1:
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)をそのまま1.5LのXAD(登録商標)−1180Nに吸着させた。このXAD(登録商標)−1180Nは、あらかじめ、洗浄し、オープンガラスカラム(φ6cm×55cm)に入れ、精製水で十分置換した物であった。
(1)精製水、(2)100%酢酸エチルまたは(3)100%メタノール(各3L)を溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれの溶出液をエバポレーターで、42℃で減圧下濃縮することで、(1)精製水溶出物 97.3g、(2)100%酢酸エチル溶出物 3.6gおよび(3)100%メタノール溶出物(以下、粗抽出物Cと示すことがある) 3.1gを得た。
工程2:
前記工程1で得たメタノール溶出物(粗抽出物C)11.2gを精製水100mlに混濁した。これをさらに1.5LのXAD(登録商標)−1180Nに吸着させた。
(1)精製水、(2)100%酢酸エチル、(3)酢酸エチルとメタノールを容積比9:1で混合した溶液(以下、酢酸エチル/メタノール溶液と示す場合がある)または(4)100%メタノール(各3L)を溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれ溶出液をエバポレーターで、42℃で減圧下濃縮することで、(1)精製水溶出物 1g、(2)100%酢酸エチル溶出物 1.4g、(3)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物(以下、粗抽出物Dと示すことがある) 1.8gまたは(4)100%メタノール溶出物(以下、粗抽出物Eと示すことがある) 6gを得た。
工程3−1:
前記工程2で得た酢酸エチル/メタノール溶液溶出物(粗抽出物D)4gを精製水50mlに混濁した。これをさらに1.5LのXAD(登録商標)−1180に吸着させた。
(1)酢酸エチルとアセトンを容積比9:1で混合した溶液(以下、酢酸エチル/アセトン溶液と示す場合がある)、(2)酢酸エチルとエタノールを容積比9:1で混合した溶液(以下、酢酸エチル/エタノール溶液と示す場合がある)、(3)酢酸エチルとメタノールを容積比9:1で混合した溶液(以下、酢酸エチル/メタノール溶液(以下、粗抽出物Fと示すことがある)、または(4)100%メタノール(各3L)を溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれの溶出液をエバポレーターで、42℃で減圧下濃縮することで、(1)酢酸エチル/アセトン溶液溶出物 800mg、(2)酢酸エチル/エタノール溶液溶出物 1.6g、(3)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物 800mgまたは(4)メタノール溶出物 200mgを得た。
工程3−2:
前記工程2で得たメタノール溶出物(粗抽出物E)6gを精製水100mlに混濁した。これをさらに1.5LのXAD(登録商標)−1180Nに吸着させた。
(1)精製水、(2)100%酢酸エチル、(3)酢酸エチル/アセトン溶液、(4)酢酸エチル/エタノール溶液、(5)酢酸エチル/メタノール溶液または(6)100%メタノール(各3L)を溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれの溶出液をエバポレーターで、42℃で減圧下濃縮することで、(1)精製水溶出物 0g(2)酢酸エチル溶出物 2g、(3)酢酸エチル/アセトン溶液溶出物 600mg、(4)酢酸エチル/エタノール溶液溶出物 1.2g、(5)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物 200mg、または(6)メタノール溶出物(以下、粗抽出物Gと示すことがある) 1.6gを得た。
工程4:
前記工程3−2で得たメタノール溶出物(粗抽出物G)6gに精製水を加え溶解させた。溶解しなかった物を桐山ロート(ろ紙N0.6)で濾過し、精製水で洗浄し水不溶部として得た。
また、得られた溶液は40℃以下でエバポレーターにて減圧濃縮し、水可溶部として得た。この水可溶部4.4gを500mlのXAD(登録商標)−7HPに吸着させた。このXAD(登録商標)−7HPは、あらかじめ、洗浄し、オープンガラスカラム(φ6cm×55cm)に入れ、精製水で十分置換した物であった。
(1)精製水 2L、(2)10%エタノール水溶液 1L、(3)20%エタノール水溶液 1L、(4)30%エタノール水溶液 1L、(5)50%エタノール水溶液 1Lまたは(6)100%メタノール 1.5Lを溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれの溶出液をエバポレーターで、減圧下42℃で濃縮することで、(1)精製水溶出物(以下、粗抽出物Hと示すことがある) 1g、(2)10%エタノール溶出物 20mg、(3)20%エタノール溶出物 10mg、(4)30%エタノール溶出物 10mg、(5)50%エタノール溶出物 800mgまたは(6)100%メタノール溶出物 10mgを得た。
工程5:
前記工程4で得た精製水溶出物(粗抽出物H)500mgを精製水3.5mlに溶解した。Sephadex LH−20 25gを精製水で十分湿潤させ、ガラスカラムに充填したものにこれをベットした。
(1)精製水 300ml、(2)50%メタノール水溶液 300ml、(3)50%エタノール水溶液 150ml、(4)100%イソプロピルアルコール 150mlを溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれの溶出液をエバポレーターで、42℃で減圧下濃縮することで、(1)精製水溶出物(以下、粗抽出物Iと示すことがある) 187mg、(2)50%メタノール溶出物 50mg、(3)50%エタノール溶出物(以下、粗抽出物Jと示すことがある) 85mgまたは(4)イソプロピルアルコール溶出物(以下、粗抽出物Kと示すことがある) 71mgを得た。
2−1.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)について、実施例1、4−1.と同様の方法でPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性(時間依存性)を調べた。ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)は、PBSで濃度を10mg/mlに調製したものを試料として0.03ml添加して培養し、培養開始6時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後または72時間後のFABP5遺伝子発現を調べた。
その結果、図11(A)に示されたように、培養開始6時間後からFABP5遺伝子の発現量が約30%抑制されはじめ、培養開始72時間後には約50%までFABP5遺伝子の発現量が抑制された。ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)の添加によってPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現量が時間依存的に抑制されることが確認できた。
2−2.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記1.工程5で調製した(1)精製水溶出物(粗抽出物I)、(2)50%メタノール溶出物、(3)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)または(4)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物K)について、前記2−1.と同様の方法でPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性(時間依存性)を調べた。
(1)精製水溶出物(粗抽出物I)、(2)50%メタノール溶出物、(3)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)または(4)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物K)は、いずれもPBSで濃度を10mg/mlに調製したものを試料として0.03ml添加して培養し、培養開始48時間後のFABP5遺伝子発現を調べた。
その結果、図11(B)に示されたように、(2)50%メタノール溶出物を除く全ての試料においてFABP5遺伝子の発現が50%以上抑制され、特に(3)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物J)または(4)ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物K)はコントロールに比べてFABP5遺伝子の発現量が80%程度と顕著に抑制された。
3.FABP5タンパク質発現抑制試験
前記1.工程3−1で調製した(3)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物(粗抽出物F)および前記1.工程3−2で調製した(6)メタノール溶出物(粗抽出物G)について、PC−3細胞におけるFABP5タンパク質への影響を調べた。(3)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物または(6)メタノール溶出物(粗抽出物G)はPBSで濃度を10mg/mlに調製したものをそれぞれ試料とした。
1)泳動試料の作製
前記実施例1と同様の方法で、前記試料を0.03ml添加してPC−3細胞を48時間培養した後、培地を除去し、PBSで二回洗浄した。これにcold PBS(−)を加え、cell scraperではがしたPC−3細胞を50mltubeに回収した。これを遠心分離(room temp、2000rpm、1.5min)し、上清を捨て、さらにcold PBS(−) 1.2ml程度を加えて懸濁し、1.5ml tubeに移した。これをさらに遠心分離(4℃、3000rpm、3min)し、PBS(−)を完全に除いた後、B buffer(組成:1M Tris−HCl(pH7.5)2ml、5M NaCl 1.2ml、0.5M EDTA 80μl、10% NP−40 4ml、プロテアーゼ阻害剤(Nacalai tesque製) 400μlを精製水で40mlとした)200μl、プロテアーゼ阻害剤(Nacalai tesque製)2μlを加えてボルテックスし、15分間氷上に置いた。これを遠心分離(4℃、15000rpm、10min)し、上清を回収してライセートとした。
このライセートのタンパク質濃度をQuick startプロテインアッセイ法により測定し、タンパク質濃度が一番低かった試料に濃度を合わせて泳動用試料を作製した。泳動用試料のタンパク質濃度は、1.8mg/mlであった。
2)SDS−PAGE
次の(1)〜(3)の工程により、SDS−PAGEを行った。
(1)前記1)で調製した泳動用試料20μlと5×Sample bufferを混合した後、block incubatorで90℃、5min加熱処理した。
(2)ゲルを泳動槽にセットし、加熱処理したSampleを25μlずつ、マーカー(prestained marker)を2μlずつ各wellの中に入れた。
(3)泳動ははじめ60〜70Vで行い、separating gel以降は100〜150Vで1.5〜2時間行った。
3)ウェスタンブロット
前記2)でSDS−PAGEを行って分離したタンパク質をセミドライ法によりニトロセルロース膜にブロッティングし、このニトロセルロース膜に、目的のタンパク質特異的に結合する抗体を反応させて、ChemiluminescenceによりFABP5タンパク質を検出した。
即ち、次の(1)〜(7)の工程により、ウェスタンブロットを行った。
(1)SDS−PAGEを行って分離したタンパク質をセミドライ法によりニトロセルロース膜にブロッティングした(140mA、40min)。
(2)前記(1)のニトロセルロース膜をBlocking buffer(組成:1M Tris−HCl(pH 7.5) 2.5ml、5N NaCl 1.5ml、Skim milk 2.5gを精製水で50mlにした)に入れて、1時間以上、room tempで振とうすることによりブロッキングした。
(3)前記(2)のニトロセルロース膜に一次抗体反応液(組成:1M Tris−HCl(pH7.5) 250μl、5N NaCl 150μl、10% Tween20 25μl、Skim milk 0.25g、一次抗体(抗FABP5抗体) 10μl(1/100)、抗β−actin抗体(抗ヒトβ−actin抗体#4967、Cell Signaling Technology社 0.5μl(1/1000)を精製水で5mlにした)を加え、over night、4℃で抗原抗体反応を行った。
(4)前記(3)のニトロセルロース膜を洗浄液(組成:1M Tris−HCl (pH 7.5) 250μl、5N NaCl 150μl、10% Tween20 25μlを精製水で50mlにした)で15min、3回洗浄した。
(5)前記(4)のニトロセルロース膜に二次抗体反応液(組成:1M Tris−HCl(pH7.5) 250μl、5N NaCl 150μl、10% Tween20 25μl、Skim milk 0.25g、二次抗体(Goat anti−Rabbit IgG .HRP(Stressgen社製)5μlを精製水で5mlにした)を加え、1h以上、room tempで振とうし、抗原抗体反応を行った。
(6)前記(5)のニトロセルロース膜を前記(4)と同様に洗浄した。
(7)Detection Reagent1 Peroxide SolutionおよびDetection Reagent2 Luminol Enhancer Solution(いずれもPierce(登録商標) Western Blotting Substrate(Thermo SCIENTIFIC社製))の混合液を前記(6)のニトロセルロース膜にかけ、Chemiluminescenceによりタンパク質を検出した。
前記3.3)ウェスタンブロット(3)の工程において使用した一次抗体(抗FABP5抗体)は、下記参考文献に基づき本発明者らが作製したものである。
即ち、ヒトFABP5のN末端側13残基からなる、配列表配列番号11に示される合成ペプチドをキャリアータンパク質と結合させてウサギに免疫し、8週間後に血清を採取して抗FABP5抗体を得た。
参考文献:R. Watanabe, H. Fujii, A. Yamamoto, T. Hashimoto, K. Kameda, M. Ito and T. Ono,Immunohistochemical distribution of cutaneous fatty acid−binding protein in human skin. J. Dermatol. Sci. 16: 17−22, 1997
その結果、図12に示されたように、工程3−1で調製した(3)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物(粗抽出物F)および前記1.工程3−2で調製したブドウ梗由来抽出物(粗抽出物G)の添加によってPC−3細胞におけるFABP5タンパク質の発現が顕著に抑制されることが確認できた。
4.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記3.と同様に、前記1.工程3−1で調製した(3)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物(粗抽出物F)および前記1.工程3−2で調製した(6)メタノール溶出物(粗抽出物G)を添加して、48時間培養したPC−3細胞から、前記実施例1と同様の方法で、mRNAを回収し、RT−PCRによって、PC−3細胞におけるFABP5遺伝子発現への影響を調べた。
その結果、工程3−1で調製した(3)酢酸エチル/メタノール溶液溶出物(粗抽出物F)および前記1.工程3−2で調製した(6)メタノール溶出物(粗抽出物G)によって、FABP5遺伝子の発現が抑制されていることが確認できた。
前記3.でウェスタンブロット法により検出したFABP5タンパク質のバンドをImageJ(アメリカ国立衛生研究所(NIH)のフリーソフト)により定量解析するとともに(図13(A))、FABP5遺伝子の発現量も定量解析したところ(図13(B))、mRNAとタンパク質レベルでいずも発現抑制量はほぼ同等であった。
また、前記2−1等と同様の方法によって確認したところ、前記工程1で分離精製されたブドウ梗由来抽出物(粗抽出物C)、前記工程2で分離精製されたブドウ梗由来抽出物(粗抽出物D、粗抽出物E)、前記工程4で分離精製されたブドウ梗由来抽出物(粗抽出物H)の添加によっても、PC−3細胞において、FABP5遺伝子の発現が抑制されることが確認できた。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物L〜N)の分離精製
実施例2、1.工程1と同様に、ブドウの梗の熱水抽出物(粗抽出物A)をXAD(登録商標)−1180Nに吸着させ、メタノールで溶出したメタノール溶出物(粗抽出物C)を次の工程1および2により、分離精製した。ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物L〜N)の分離精製のスキームは図14に示した。
工程1:
メタノール溶出物(粗抽出物C)1.27gを精製水3mlに溶解した。Sephadex LH−20 25gを精製水で十分湿潤させ、ガラスカラムに充填したものにこれをベットした。
(1)精製水 200ml、(2)50%エタノール水溶液 300ml、(3)50%イソプロピルアルコール水溶液200ml、(4)30%アセトン水溶液100ml、(5)40%アセトン水溶液 700ml、(6)50%アセトン水溶液 550mlまたは(7)60%アセトン水溶液 200mlを溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれ溶出液をエバポレーターで、42℃で減圧下濃縮することで、(1)精製水溶出物 418mg、(2)50%エタノール溶出物 72mg(3)50%イソプロピルアルコール溶出物 0g、(4)30%アセトン溶出物 0g、(5)40%アセトン溶出物 46mg、(6)50%アセトン溶出物(以下、粗抽出物Lと示すことがある) 557mg、(7)60%アセトン溶出物 19mgを得た。
工程2:
前記工程1で得た50%アセトン溶出物(粗抽出物L)223mgを精製水1mlに溶解した。XAD(登録商標)−1600Nに吸着させた。このXAD(登録商標)−1600Nは、あらかじめ、洗浄し、オープンガラスカラム(φ3×30センチ)に80ml入れ、精製水で十分置換した物であった。
(1)精製水 300ml、(2)20%メタノール 200ml、(3)40%メタノール 300ml、(4)60%メタノール 300ml、(5)100%メタノール 200mlを溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれ溶出液をエバポレーターにて42℃で減圧下濃縮することで、(1)精製水溶出物 3mg、(2)20%メタノール溶出物 1mg、(3)40%メタノール溶出物(以下、粗抽出物Mと示すことがある) 108mg、(4)60%メタノール溶出物(以下、粗抽出物Nと示すことがある) 107mg、(5)100%メタノール溶出物 4mgを得た。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物L、M、N)について、実施例1、4−1.等と同様の方法でPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を確認したところ、いずれもFABP5遺伝子の発現を抑制することが確認できた。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物O、P)の分離精製
実施例2、1.工程1と同様に、ブドウの梗の熱水抽出物(粗抽出物A)をXAD(登録商標)−1180Nに吸着させ、メタノールで溶出したメタノール溶出物(粗抽出物C)を次の工程1および2により、分離精製した。ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物O、P)の分離精製のスキームは図15(実施例4)に示した。
工程1:
メタノール溶出物(粗抽出物C)1gを30%メタノール4mlに溶解し、30%メタノールで湿潤、置換したSephadex LH−20(100ml)にベットした。
(1)30%メタノール水溶液 300ml、(2)40%エタノール水溶液 300ml、(3)30%アセトン水溶液 100ml、(4)40%アセトン水溶液 500mlまたは(5)60%アセトン水溶液 400mlを溶出溶媒として順次溶出させ、それぞれ溶出液をエバポレーターで、40℃以下で減圧下濃縮することで、(1)30%メタノール溶出物 46mg、(2)40%エタノール溶出物 162mg、(3)30%アセトン溶出物 20mg、(4)40%アセトン溶出物 311mg、(5)60%アセトン溶出物(以下、粗抽出物Oと示すことがある) 345mgを得た。
工程2:
前記工程1で得た粗抽出物O345mgを、30%メタノール水溶液(2ml)に溶解した。これを、30%メタノール水溶液で湿潤させたTOSOH TOYOPEARL(登録商標) HW40F(63ml)にベットした。
溶出溶媒として、(1)30%メタノール水溶液 80ml、(2)40%エタノール水溶液 100ml、(3)60%アセトン水溶液 200mlにて順次溶出させ、それぞれ溶出液をエバポレーターにて40℃以下で減圧下濃縮することで、(1)30%メタノール溶出物 117mg、(2)40%エタノール溶出物 7mg、(3)30%アセトン溶出物(以下、粗抽出物Pと示すことがある) 236mgを得た。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物O、P)について、比較例2、2.と同様の方法でPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を確認したところ、いずれもFABP5遺伝子の発現が強く抑制されることが確認できた。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物Q、R)の分離精製
1.ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物Q)の調製
除梗破砕機(A−8)(BAUCH社製)で分離されたブドウ(シャルドネ Vitis vinifera(Beaunois,Morillon))の梗65.2gを水で洗浄し、水切りした後、はさみで5mm〜10mm程度にカットした。カットした梗を60%アセトン溶液400mlに浸漬した。これを室温にて1週間静置した後、ろ紙(アドバンテックN0.2)にてろ過した。得られた、ろ液を減圧濃縮し、アセトンを留去した。
その後、油溶性物質を除去するため、酢酸エチル100mlで分液洗浄し、水層を濃縮し、ブドウ梗由来抽出物(以下、粗抽出物Qと示すことがある)4.55gを得た。
2.ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物R)の調製
除梗破砕機(A−8)(BAUCH社製)で分離されたブドウ(シャルドネ Vitis vinifera(Beaunois,Morillon))の梗10.5gを水で洗浄し、水切りした後、はさみで10mm〜20mm程度にカットした。カットした梗を60%アセトン溶液200mlに浸漬した。これを室温にて3日間静置した後、ろ紙(アドバンテックN0.2)にてろ過した。得られたろ液を減圧濃縮し、アセトンを留去し溶液を得た。
この溶液を、あらかじめ洗浄したダイヤイオン(商標)HP−20(三菱化学株式会社)100mlに吸着させ、精製水300mlで非吸着物を留去した。その後、溶出溶媒として(1)100%酢酸エチル 300ml、(2)100%メタノール 300mlにて順次溶出させ、それぞれ溶出液をエバポレーターにて40℃以下で減圧下濃縮することで、(1)100%酢酸エチル溶出物 78mg、(2)100%メタノール溶出物(以下、粗抽出物Rと示すことがある) 135mgを得た。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物Q、R)について、比較例2、2.と同様の方法でPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を確認したところ、いずれもFABP5遺伝子の発現を抑制することが確認できた。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物S)の分離精製
1.除梗破砕機(A−8)(BAUCH社製)で分離されたブドウ(シャルドネ Vitis vinifera(Beaunois,Morillon))の梗52.8gを水で洗浄し、水切りした後、液体窒素を入れた乳鉢で凍結させてすりつぶし、粉砕した。
2.前記1.の粉砕した梗を60%アセトン溶液500mlに浸漬した。これを25℃(常温)にて2時間静置した後、ろ紙(アドバンテックN0.2)にてろ過した後、ろ過残渣に対し60%アセトン溶液500mlを加えて、更に同様の操作を行なった。ろ過によって得られたろ過液をエバポレーターにて40℃以下で濃縮乾固し、アセトン抽出物(図24、25:#1)を4.2g得た。
ろ過により得られた残渣は、精製水100mlを加えて加熱し、一時間沸騰を保ち熱水抽出を行った。熱水抽出終了後、大型ブフナーロートにて熱時ろ過(アドバンテックN0.2)し、得られたろ過液を40℃以下で濃縮乾固し、熱水抽出物(図24、25:#2)を576mg得た。
3.前記2.のアセトン抽出物を精製水100mlに溶解した。この内75mlをとり、100%酢酸エチルを加えて分液した。このうち、酢酸エチル層は、硫酸ナトリウム十水和物(芒硝)にて乾燥した後、40℃以下で濃縮乾固し、153mg(図24、25:#4)得た。

水層は、水層中の酢酸エチルをエバポレーターで除去した後、そのまま1.5LのXAD(登録商標)−1180Nに吸着させた。このXAD(登録商標)−1180Nは、あらかじめ、洗浄し、オープンガラスカラム(φ6cm×55cm)に入れ、精製水で十分置換した物であった。
(1)精製水 300ml、(2)100%酢酸エチル 300ml、(3)100%メタノール 300mlを溶出溶媒として順次溶出させた。このうち、100%酢酸エチルと100%メタノールにて溶出した溶出液について、それぞれエバポレーターで、42℃で減圧下濃縮することで、(1)100%酢酸エチル溶出物(図24、25:#5) 374mg、(2)100%メタノール溶出物(図24、25:#3)(以下、粗抽出物Sと示すことがある) 448mgを得た。
ブドウ梗由来抽出物(粗抽出物S)について、比較例2、2.と同様の方法でPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現への影響を確認したところ、FABP5遺伝子の発現を抑制することが確認できた。
1.化合物の分離精製
1)HPLC
実施例4において得られた、粗抽出物P(60%アセトン溶出物)を、表8に示す条件にて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけ、図16のチャートのうちピークAの画分およびピークBの画分をそれぞれイナートシルODS−3(φ14×250mm)分取用カラム(GLサイエンス社)にて分取した。
なお、分取して得られた画分について、粗抽出物P(60%アセトン溶出物)の測定と同じ条件(表9)にて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析したところ、図17(ピークA)および図18(ピークB)のチャートに示されるように、それぞれ純度の高いピークであることが確認できた。
これらの物質はいずれもUV最大吸収波長が280nmであり、カテキン類と一致した。しかし、前記の分取カラムによるHPLCにおいて、カテキン、エピカテキン、EGCG、プロシアニジンB3等の公知のカテキン類や、カテキンの3量体程度のカテキンの低分子オリゴマーと比べて保持時間が長かった。
2)LC/MS分析およびLCMS/MS分析
前記1)において得た各成分について、表10に示した条件によって、それぞれLC/MS分析を行った。また、得られた結果より精密分子量を計算し、表11に示した条件によって、校正をしたLCMS/MS分析を行った。
3)ピークA由来成分
前記1)のHPLCによって分取されたピークA由来の成分についてLC/MS分析により図19のチャートが得られた。
図19に示された2475、2187、1899、1611、1323、867、579等のフラグメントイオンから、ピークA由来の成分は、カテキンまたはエピカテキンの重合体であることが示唆された。さらに、1323、1611、1899、2187、2475のフラグメントイオンから、(エピ)ガロカテキン、ガロイル基を有することも示唆された。
これらの結果から、化合物の候補として、(エピ)ガロカテキンが1分子、(エピ)カテキンが7分子、ガロイル基をひとつ持つ候補化合物A−1と、これと分子量が近似する、(エピ)カテキン7分子に3分子のガロイル基を持つ候補化合物A−2が推定された。
候補化合物A−1:C12710253 分子量:2474.5286 [M+H] 2475.5364
候補化合物A−2:C1289854 分子量:2474.4922 [M+H] 2475.5000
LCMS/MS分析を行った結果、図20に示された実測値が2475.5425であり誤差範囲が3ppm以下に収まること、および、モノガレートを示す2459.5234が観察されたことから、ピークA由来の成分は、前記の候補化合物のうち、ガロカテキンまたはエピガロカテキンを1分子、カテキンまたはエピカテキンを7分子、およびガロイル基をひとつ持つ候補化合物A−1であると推定できた。
この候補化合物A−1は、次の一般式(4)で示される新規な化合物であり、以下の理化学的性質を示すものであった。
<理化学的性質>
(1)[M+H]:2475.5425(実測値)
(2)分子式:C12710253
(3)溶解性:水溶性であるがメタノールに溶解性が高く、ヘキサン、エーテル、クロロホルム等の極性の弱い溶媒にはほとんど溶けない
(4)紫外吸収スペクトル:λmax 280nm
(5)施光度:[α]20 =+121.43°(c 0.00028 methanol)
4)ピークB由来成分
前記1)のHPLCによって分取されたピークB由来の成分についてLC/MS分析により図21のチャートが得られた。
図21に示された3051、3035、2475、1595等のフラグメントイオンから、ピークB由来の成分も、カテキンまたはエピカテキンの重合体であることが示唆された。さらに、2475、3035のデータから、(エピ)ガロカテキン、ガロイル基を有することも示唆された。
これらの結果から、化合物の候補として、(エピ)ガロカテキンが1分子、(エピ)カテキンが9分子、ガロイル基をひとつ持つ候補化合物B−1と、これと分子量が近似する、(エピ)カテキンが9分子、ガロイル基を3つ持つ候補化合物B−2が推定された。
候補化合物B−1:C15712665 分子量:3050.6554(同位体の分子量)
候補化合物B−2:C15612266 分子量:3050.6190(同位体の分子量)
LCMS/MS分析を行った結果、図22に示された実測値が3051.6587であり誤差範囲が3ppm以下に収まること、および、モノガレートを示す3035.6780が観察されたことから、ピークB由来の成分は、前記の候補化合物のうち、ガロカテキンまたはエピガロカテキンを1分子、カテキンまたはエピカテキンを9分子、およびガロイル基をひとつ持つ候補化合物B−1であると推定できた。
この候補化合物B−1は、次の一般式(5)で示される新規な化合物であり、以下の理化学的性質を示すものであった。
<理化学的性質>
(1)[M+H]:3051.6587(実測値)
(2)分子式:C15712665
(3)溶解性:水溶性であるがメタノールに溶解性が高く、ヘキサン、エーテル、クロロホルム等の極性の弱い溶媒にはほとんど溶けない
(4)紫外吸収スペクトル:λmax 280nm
1.試料の調製
1)マスカット・べリーA(梗)
マスカット・ベリーA(以下、ベリーAと示す場合がある)由来の梗を使用して、実施例1、1.と同様の方法によって得た、ベリーA由来のブドウ梗由来抽出物(図23、B)と、実施例2、1.工程1と同様の方法により、これをそのままXAD(登録商標)−1180Nに吸着させ、精製水で非吸着物を洗浄後、100%酢酸エチル、または100%メタノールで順次溶出させて得た100%酢酸エチル溶出物(図23、C)、および100%メタノール溶出物(図23、D)をそれぞれ試料とした。
これらの溶出物をそれぞれ60%エタノールに溶解し0.01mg/mlとした。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるようにそれぞれ添加した。
2)シャルドネ(梗)
実施例1、1.と同様の方法によって得た、シャルドネ由来のブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A)(図23、E)と、実施例2、1.工程1と同様の方法により、これをそのままXAD(登録商標)−1180Nに吸着させ、精製水で非吸着物を洗浄後、100%酢酸エチル、または100%メタノールで順次溶出させて得た100%酢酸エチル溶出物(図23、F)、および100%メタノール溶出物(図23、G)をそれぞれ試料とした。
これらの溶出物をそれぞれ60%エタノールに溶解し0.01mg/mlとした。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるようにそれぞれ添加した。
3)シャルドネ(枝)
剪定し、水で洗浄したシャルドネの枝50gを10センチ程度にカットし、1Lの三角フラスコに400mlの精製水と共に入れ、口にアルミホイルをした。その後、この三角フラスコを、お湯をはったステンレスのバットに入れ、ガスコンロで沸騰させた。40分沸騰後、冷却し綿濾過した。
このろ液(図23、H)をXAD(登録商標)−1180N160mlに吸着させ、非吸着物を精製水300mlで除去した後、酢酸エチル 300ml、または100%メタノール 300mlで順次溶出させて得た酢酸エチル溶出物70.8mg(図23、I)、および(2)100%メタノール溶出物55.1mg(図23、J)をそれぞれ試料とした。
これらの溶出物をそれぞれ60%エタノールに溶解し0.01mg/mlとした。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるようにそれぞれ添加した。
4)化合物(1)
一般式(4)にて示される化合物(1)(図23、K)を試料とした。
化合物(1)を60%エタノールに溶解し0.01mg/mlとした。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるように添加した。
5)化合物(2)
一般式(5)にて示される化合物(2)(図23、L)を試料とした。
化合物(2)を60%エタノールに溶解し0.01mg/mlとした。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるように添加した。
2.FABP5遺伝子発現抑制試験
前記1.で調製したブドウ梗由来抽出物、ブドウの枝由来抽出物、および化合物について、PC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現抑制活性を調べた。
このFABP5遺伝子の発現抑制活性は、表12に示したFABP5遺伝子を増幅するプライマー(配列表配列番号12、13)、または内因性コントロールとしてGAPDH遺伝子を増幅するプライマー(配列表配列番号14、15)を使用した以外は、比較例2、2.と同様の方法で行った。
その結果、図23に示したように、ベリーAの梗由来の100%メタノール溶出物(図23、D)やシャルドネの梗由来の100%メタノール溶出物(図23、G)を添加したPC−3細胞では、顕著にFABP5遺伝子の発現が低下することが確認できた。一方、シャルドネの枝由来の100%メタノール溶出物(図23、J)では、FABP5遺伝子の発現の低下が確認できなかった。
また、一般式(4)にて示される化合物(1)(図23、K)や一般式(5)にて示される化合物(2)(図23、L)を添加した場合にも、PC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現が低下したことから、FABP5遺伝子の発現抑制には、ブドウ梗由来抽出物や、これらの化合物が有用であることが確認できた。
FABP5遺伝子発現抑制試験
1.試料の調製
1)60%EtOH(図24、25:EtOH)
溶媒をそのままコントロール試料とした。
2)化合物(1)(図24、25:S6)
一般式(4)にて示される化合物(1)を試料とした。
化合物(1)を60%エタノールに溶解し0.01mg/mlとした。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるように添加した。
3)化合物(2)(図24、25:#10)
一般式(5)にて示される化合物(2)を試料とした。
化合物(2)を60%エタノールに溶解して0.5%または1%の濃度に調製した。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるようにそれぞれ添加した。
4)#1〜#5(図24、25:#1、#2、#3、#4、#5)
実施例6のブドウ梗由来抽出物(粗抽出物S)の分離精製と同様の方法によって得られた溶出物(#1〜#5)をそれぞれ60%エタノールに溶解し0.01mg/mlとした。これをPC−3細胞の培地に対し濃度が1%(100μg/ml)となるようにそれぞれ添加した。
2.FABP5遺伝子発現抑制試験

培養後のPC−3細胞から得られる各試料について、実施例8と同様の方法によりFABP5遺伝子の発現の有無および程度を調べた。
その結果、図24に示したように、化合物(2)を1%と添加して培養したPC−3細胞(図24、#10−1%)やブドウ梗由来抽出物(粗抽出物S)を1%と添加して培養したPC−3細胞(図24、#3−1%)では、特に強くPC−3細胞におけるFABP5遺伝子の発現レベルが低下することが確認できた。これは、増幅したDNAをアガロースゲルで電気泳動し、臭化エチジウムで染色してUV照射することにより、FABP5遺伝子の発現の有無および程度を調べた結果(図25)でも同様であった。
したがって、これらの実施例、比較例の結果から、本発明のブドウ梗由来抽出物(粗抽出物A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S)が、いずれもPC−3細胞におけるFABP5遺伝子およびFABP5タンパク質の発現を抑制する能力を有することが確認できた。また、一般式(4)で示される化合物や一般式(5)で示される化合物もPC−3細胞におけるFABP5遺伝子およびFABP5タンパク質の発現を抑制する能力を有することが確認できた。
したがって、これらの化合物、該化合物を含むブドウ梗由来抽出物、およびブドウ梗由来抽出物はいずれも、抗腫瘍作用、腫瘍の転移抑制作用を有し、前立腺癌等の腫瘍に対する抗腫瘍剤や腫瘍の転移抑制剤や、その有効成分として使用することができることが確認できた。
本発明の化合物、該化合物を含むブドウ梗由来抽出物、またはブドウ梗由来抽出物を抗腫瘍剤や腫瘍の転移抑制剤や、その有効成分とすることにより、腫瘍、特に前立腺癌の予防や、また、前立腺肥大の改善等を目的する剤を幅広く提供できる。
本発明の化合物を含むブドウ梗由来抽出物や、ブドウ梗由来抽出物自体を活用することはブドウ残渣の有用利用にも役立つ。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(4)で示される化合物。
    [化3]


    (前記一般式(4)中、
    は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し、少なくとも一つは−OHを示す。)
  2. 下記の一般式(5)で示される化合物。
    [化4]
    (前記一般式(5)中、
    は同一または異なっていてもよく、−H、−OHを示し、少なくとも一つは−OHを示す。)
  3. 請求項1または2に記載の化合物を有効成分として含む抗腫瘍剤。
  4. 腫瘍が前立腺癌である請求項に記載の抗腫瘍剤。
  5. 請求項1または2に記載の化合物を有効成分として含む腫瘍の転移抑制剤。
  6. 腫瘍が前立腺癌である請求項に記載の腫瘍の転移抑制剤。
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