JP6107030B2 - 成形体の製造方法、及び感光性樹脂組成物の硬化方法 - Google Patents

成形体の製造方法、及び感光性樹脂組成物の硬化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6107030B2
JP6107030B2 JP2012217318A JP2012217318A JP6107030B2 JP 6107030 B2 JP6107030 B2 JP 6107030B2 JP 2012217318 A JP2012217318 A JP 2012217318A JP 2012217318 A JP2012217318 A JP 2012217318A JP 6107030 B2 JP6107030 B2 JP 6107030B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
base
resin composition
photosensitive resin
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012217318A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014070148A (ja
Inventor
麻美 本岡
麻美 本岡
寛子 天野
寛子 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2012217318A priority Critical patent/JP6107030B2/ja
Publication of JP2014070148A publication Critical patent/JP2014070148A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6107030B2 publication Critical patent/JP6107030B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Description

本発明は、硬化触媒として光塩基発生剤を利用した感光性樹脂組成物の硬化方法、及び、硬化触媒として光塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物を用いた成形体の製造方法に関するものである。
硬化性樹脂組成物は、その物理的物性、化学的物性、電気的物性等の特性を活かして、各種分野において使用されている。例えば、塗料、接着剤、封止材料、層形成材料等、様々な用途で硬化性樹脂組成物を用いた成形体が製造されている。
近年、硬化性樹脂組成物に対する要求特性は、益々多様かつ高度になってきているが、中でも、生産性を考慮した短時間硬化性、適用する部材の熱的ダメージを抑える低温硬化性が要求されている。
例えば、エポキシ樹脂を比較的低温且つ短時間で硬化する方法として、硬化剤としてチオール化合物を利用し、触媒として塩基性化合物を添加する方法が知られている。しかしながら、上記のような、エポキシ樹脂に、チオール化合物、塩基性化合物を組み合わせて用いた硬化性エポキシ樹脂組成物は、使用可能時間が数分から数十分しかないため、混合後の作業時間が充分得られず、また、作業者はその都度組成物を調製しなければならないという、使用上の大きな問題があった。
特許文献1には、潜在性硬化促進剤として、光塩基発生剤を利用した、低温度で、短時間の硬化条件により硬化可能なエポキシ樹脂組成物が記載されている。特許文献1では、光照射によって光塩基発生剤から発生した塩基性化合物が、エポキシ樹脂とチオール化合物との硬化反応を低温で促進する原理を用いているが、特許文献1で具体的に開示されている光塩基発生剤であるα−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物は、光照射前から塩基性であるため、実質的には光塩基発生剤として有効に機能することが困難であった。
一方、特許文献2には、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミドを光塩基発生剤として用い、当該光塩基発生剤と塩基反応性樹脂とを含む感光性樹脂組成物が開示されている。更に、本発明者らも、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミド誘導体を光環化型の光塩基発生剤として用い、当該光塩基発生剤と高分子前駆体とを含む感光性樹脂組成物を特許文献3及び特許文献4に開示している。
特許第4433556号公報 特開2009−80452号公報 国際公開第2009/123122号パンフレット 特開2010−254946号公報
特許文献2〜4のような桂皮酸アミド骨格を有する光塩基発生剤は、光照射前は塩基性ではないため、α−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物等と異なり、実質的に光塩基発生剤として有効に機能する。また、桂皮酸アミド骨格を有する光塩基発生剤は、光照射による異性化反応と加熱による環化反応を利用して塩基を発生するため、水素引き抜き等の他のメカニズムを利用して塩基を発生する化合物と比較して、感度が良いことが特徴である。そのため、桂皮酸アミド骨格を有する光塩基発生剤を潜在性硬化促進剤として用いた硬化性感光性樹脂組成物を、各種成形体に含まれる硬化膜を形成するために用いることが有効だと考えられた。しかし、桂皮酸アミド骨格を有する光塩基発生剤は、光照射後に加熱が必要である。一方で、成形体の硬化膜を製造する際には、接着する部材の熱的ダメージを抑える低温硬化性が要求されている。そのため、潜在性硬化促進剤としてより低温でアミンを発生する化合物が求められていた。しかしながら、特許文献2〜4には、感光性樹脂組成物の潜在性硬化促進剤として、低温硬化を実現するために適した光塩基発生剤の開示はない。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その主目的は、低温硬化が実現可能な、感光性樹脂組成物の硬化方法、及び、含まれる硬化膜を低温硬化により形成できる、成形体の製造方法を提供することにある。
本発明に係る成形体の製造方法は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、下記化学式(1)で表され且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物を、基体上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して、前記塗膜を硬化する工程を含むことを特徴とする。

(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子を表す。Rは、電子吸引性基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基である。)
前記化学式(1)で表される塩基発生剤のような桂皮酸型塩基発生剤は、光照射により異性化し、加熱により環化反応を進行させ塩基を発生する。前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、上記特定の構造を有することにより、低温で環化反応が進行し塩基が発生する。そのため、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と上記特定の塩基発生剤を組み合わせると、低温加熱で感光性樹脂組成物を硬化することが可能である。従って、本発明の成形体の製造方法では、組み込まれる塗膜を低温硬化により形成することができる。
また、本発明に係る成形体の製造方法においては、前記基材が、樹脂基材であることが好ましい。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物の硬化方法は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、前記化学式(1)で表され且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物に、電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して硬化することを特徴とする。
本発明は、低温硬化が実現可能な、感光性樹脂組成物の硬化方法、及び、含まれる硬化膜を低温硬化により形成できる、成形体の製造方法を提供することができる。
さらに本発明の成形体の製造方法に用いられる感光性樹脂組成物においては、酸と異なり塩基が金属の腐食を起こさないため、より信頼性の高い硬化膜を含む成形体を得ることが出来る。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物の硬化方法、及び成形体の製造方法の順に説明する。
I.感光性樹脂組成物の硬化方法
本発明に係る感光性樹脂組成物の硬化方法は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、下記化学式(1)で表され且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物に、電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して硬化することを特徴とする。
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、同一であっても異なっていてもよい。Rは、電子吸引性基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基である。)
本発明の感光性樹脂組成物の硬化方法に用いられる上記塩基発生剤は、光塩基発生剤の1種であり、電磁波が照射されるだけでも塩基を発生するが、適宜加熱をすることにより、塩基の発生が促進される。光塩基発生剤とは、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電磁波が加えられると、塩基を発生する剤をいう。
本発明で用いられる塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電磁波が照射されることにより、下記式で示されるように、化学式(1)中の(−CR=CR−C(=O)−)部分がトランス体からシス体へと異性化し、さらに加熱によって環化し、塩基(NHR)を生成する。
本発明で用いられる塩基発生剤は、特に、Rは、電子吸引性基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基であるという特定の構造を有することにより、光照射後の加熱の温度が70℃以下という低温でも、塩基が発生する。
上記桂皮酸型塩基発生剤の加熱による環化反応においては、フェノール性水酸基がアミド結合に含まれるカルボニル基を攻撃し、塩基(NHR)が脱離する。芳香環のフェノール性水酸基に対してパラ位であるRに、電子吸引性基を置換し、且つ、芳香環の他の置換基も水素原子又は電子吸引性基とすることにより、フェノール性水酸基の酸性度、すなわち求核性が大きくなって、フェノール性水酸基がカルボニル基に攻撃し易くなり環化反応が進行し易くなるため、塩基発生に必要な温度を低下させることが可能になると推定される。
そのため、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、上記特定の塩基発生剤とを組み合わせることにより、低温硬化が実現可能な、感光性樹脂組成物の硬化方法とすることができる。
低温硬化が実現可能であると、従来使用できなかった耐熱性の低い部材を使用できるようになる他、より簡易な装置で硬化が可能であったり、省エネルギー、省スペースに寄与し、生産効率を向上させることも可能である。
<感光性樹脂組成物>
本発明において用いられる感光性樹脂組成物は、上記特定の高分子前駆体と上記特定の塩基発生剤を含むものである。本発明において特徴的な塩基発生剤から説明する。
(塩基発生剤)
前記化学式(1)で表され且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造を形成していてもよいものである。
本発明に用いられる塩基発生剤は、上述の塩基発生機構により、塩基が発生する感度や加熱温度は、桂皮酸アミド骨格のベンゼン環、炭素炭素二重結合及びアミド結合までの構造に大きな影響を受け、R及びRは、水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基であれば、どのような構造であっても大きな影響を与えない。従って、本発明に用いられる塩基発生剤において、発生する塩基(NHR)は、組み合わせて用いられる高分子前駆体や目的に応じて適宜選択されれば良く、特に限定されない。
及びRにおける上記炭化水素基は、直鎖の他、分岐鎖を含んでも良く、更に、当該炭化水素基に含まれる2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造を形成していても良い。ここで、分岐鎖とは、枝分かれした炭化水素基を有する構造をいい、当該構造に含まれる枝分かれしたそれぞれの炭化水素基をも指す。
炭化水素基としては、不飽和結合を含んでいても良く、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、当該炭化水素基中に、置換基を含んでよい。
分岐鎖が結合した環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合わされてなる構造であっても良い。
及びRにおける炭化水素基は、通常、1価の炭化水素基であるが、生成するNHRがジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の炭化水素基となり得る。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。これらの炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20であるアルキル基、ビニル基、アリル基等の炭素数1〜20であるアルケニル基、エチニル基、2−プロピニル基等の炭素数1〜20であるアルキニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23であるシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23であるシクロアルケニル基等が挙げられる。
本発明において、置換基とは、水素原子と置き換えることが可能な水素原子以外の原子あるいは原子団をいう。置換基としては、例えば、−XRで示すことのできる原子団が挙げられる。ここで、Xは、直接結合、又は2価の連結基であり、−XRは、当該Xと、水素原子または水素原子と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団であるRとを連結させた原子団であれば、特に限定されるものではない。但し、Xが直接結合且つRが水素原子で、−XRが水素原子となる場合を除く。
上記置換基−XRにおける、Xは、直接結合、又は2価の連結基であれば、特に限定されるものではなく、例えば、酸素原子又は硫黄原子からなる結合、並びに、炭素原子、ケイ素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及び/又はリン原子を含む原子団が挙げられる。2価の連結基の場合のXとしては、例えば、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル基(−C(=O)−)、オキシカルボニル基(−C(=O)−O−)、チオカルボニル基(−C(=S)−)、オキシチオカルボニル基(−C(=S)−O−)、カルボニルオキシ基(−O−C(=O)−)、オキシカルボニルオキシ基(−O−C(=O)−O−)、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)、オキシカルボニルチオ基(−S−C(=O)−O−)、スルフィニル基(−S(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)−)等が挙げられる。
上記置換基−XRにおける、Xとしては、樹脂に対する相溶性や溶剤に対する溶解性が向上する点から、オキシ基、チオ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、オキシチオカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルボニルチオ基が好ましく、オキシ基、チオ基がより好ましい。
上記置換基−XRにおける、Rは、水素原子または水素原子と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団である。Rとしては、例えば、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、水酸基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、置換基を含んで良いホスホノ基、置換基を含んで良い炭化水素基、置換基を含んで良いシリル基、置換基を含んで良いアミノ基が挙げられる。
ここで、本発明の塩基発生剤において、置換基として、塩基性を有するアミノ基を含まないことが好ましい。塩基性を有するアミノ基が含まれてしまうと、塩基発生剤自体が塩基性物質となり、反応を促進してしまう恐れがあるからである。
における、置換基を含んで良い炭化水素基としては、当該炭化水素基中に不飽和結合を含んでいてもよく、また、分岐鎖を含んでも良く、2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造を形成していても良く、置換基を含む2つ以上の分岐鎖が結合し複素環を形成していても良い。Rにおける炭化水素基は、R及びRにおける上記炭化水素基と同様であってよい。また、含んで良い置換基としては、置換基−XRと同様であって良い。
また、Rにおける、置換基を含んで良いシリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のアルキルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチル基、メトキシジメチル基等のアルコキシシリル基等が挙げられる。含んで良い置換基としては、置換基−XRと同様であって良い。
また、Rにおける、置換基を含んで良いアミノ基(−NH(−R10)、−N(−R11)(−R12))の例としては、R10、R11、R12が、窒素原子との結合末端にヘテロ原子の結合を含んで良く、置換基を含んで良い炭化水素基が挙げられる。窒素原子との結合末端にヘテロ原子の結合を含んで良く、置換基を含んで良い炭化水素基としては、窒素原子と結合し得る限り、置換基−XRと同様であって良い。
置換基を含んで良いアミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基等が挙げられる。
上記−XRの例としては、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、水酸基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、上記置換基を含んで良い炭化水素基(以下、「上述の炭化水素基」という場合がある)、上記置換基を含んで良いシリル基、上記置換基を含んで良いアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピロキシ基、t-ブトキシオキシ、エチルへキシロキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基(−OR13、ここでR13は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基(−OAr、ここでArは置換基を有してもよいアリール基、)、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(−OCOR14、ここでR14は、上述の炭化水素基)、カルバモイルオキシ基(-OCONR1516:R15、R16はそれぞれ独立に水素原子又は上述の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、R15及びR16が結合していてもよい)、シアノオキシ基(シアナト基)(-OCN)、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基(−SR17:R17は上述の炭化水素基)、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基(−SAr:Arは置換基を有してもよいアリール基、)、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等のアシルチオ基(−SCOR18:R18は上述の炭化水素基)、シアノチオ基(チオシアナト基)(−SCN)、ホルミル基(−COH)、アシル基(−COR19:R19は上述の炭化水素基)、アルコキシカルボニル基(−COOR20:R20は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(−COOAr:Arは置換基を有してもよいアリール基)、カルバモイル基(−CONR2122:R21、R22はそれぞれ独立に水素原子又は上述の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、R21及びR22が結合していてもよい)、チオアシル基(−CSR23:R23は上述の炭化水素基)、アルコキシチオカルボニル基(−CSOR24:R24は上述の炭化水素基)が挙げられる。
また上記化学式(1)において、R及びRが結合して形成された環状構造は、R及びRが結合しているN(窒素原子)を少なくとも含む複素環構造となる。当該複素環構造は、芳香族性であっても非芳香族性であっても良く、更に、多環構造を有していても良く、縮合環となっていても良い。
生成する塩基性物質はNHRであるため、1級アミン、2級アミン、又は複素環式化合物が挙げられる。またアミンには、それぞれ、脂肪族アミン及び芳香族アミンがある。なお、ここでの複素環式化合物は、NHRが環状構造を有し且つ芳香族性を有しているものをいう。芳香族複素環式化合物ではない、非芳香族複素環式化合物は、ここでは脂環式アミンとして脂肪族アミンに含まれる。
更に、生成するNHRは、アミド結合を形成可能なNH基を1つだけ有するモノアミン等の塩基だけでなく、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基であってもよい。生成するNHRがNH基を2つ以上有する塩基の場合としては、前記化学式(1)のR及び/又はRの末端に、アミド結合を形成可能なNH基を有する塩基を電磁波の照射と加熱により発生するような光潜在性部位が更に結合している構造が挙げられる。上記光潜在性部位としては、前記化学式(1)のR及び/又はRの末端に、化学式(1)のR及び/又はRを除いた残基が更に結合している構造が挙げられる。
生成するNHRとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、N−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソアミルアミン、tert−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘプタンアミン、オクチルアミン、2−オクタンアミン、2,4,4−トリメチルペンタン−2−アミン、シクロオクチルアミン、アニリン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、及び4−アミノフェノール、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−2−プロパノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)アミン、エチルメチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−tert−ブチルメチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルアダマンタン−1−アミン、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、メチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、N−メチル−3−エトキシプロピルアミン、N−メチル−3−プロポキシプロピルアミン、N−メチル−3−ブトキシプロピルアミン、N−メチル−3−イソプロポキシプロピルアミン、N−メチル−3−へプチルオキシプロピルアミン、N−メチル−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、N−メチルテトラヒドロフルフリルアミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、メチルアジリジン、ジメチルアジリジン、メチルアゼチジン、ジメチルアゼチジン、トリメチルアゼチジン、メチルピロリジン、ジメチルピロリジン、トリメチルピロリジン、テトラメチルピロリジン、メチルピペリジン、ジメチルピペリジン、トリメチルピペリジン、テトラメチルピペリジン、ペンタメチルピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2−ピペリジンメタノール、3−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンカルボン酸エチル、4−アセトアミドピペリジン、モルホリン、メチルアニリン、ジフェニルアミン、及びN−フェニル−1−ナフチルアミンが挙げられる。また、アミド結合を形成可能なNH基を有する芳香族複素環式化合物としては、塩基性の点から分子内にイミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は少なくとも炭素原子を含む置換基)を有することが好ましく、イミダゾール、プリン、トリアゾール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
アミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基としては、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−1,8−オクタンジアミン等の脂肪族アルキレンジアミン;ビス(2−メチルアミノエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メチルアミノエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メチルアミノエトキシ)エチル]エーテル等の一般式CHNHCHCHO(CHCHNH)CHで示されるオキシ基を含む脂肪族アルキレンジアミン等を挙げることができる。
また、発生する塩基の沸点が40℃以上であるように、RとRとの組み合わせを選択することが、室温での取り扱い性が良好になることから好ましい。発生する塩基の沸点が40℃以上でない場合には、塗膜とした際に、特に乾燥時に生成したアミンが蒸発しやすくなってしまうため作業が困難となる恐れがある。中でも、発生する塩基の沸点は、更に70℃以上であることが好ましく、よりさらに100℃以上であることが好ましい。
また、化学式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、同一であっても異なっていても良い。R及びRとしては、高感度を達成しやすい点から、いずれも水素原子であることが好ましい。
一方、本発明において、特に化学式(1)中のR及びRのうち少なくとも1つが、水素ではなく、上記特定の官能基である場合には、R及びRの両方共が水素の場合と比べて、本発明の塩基発生剤は、有機溶剤に対する溶解性が更に向上したり、組み合わせて用いられる高分子前駆体との親和性が向上する。例えば、R及びRのうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の置換基を有してもよく、かつ不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR及びRのうち少なくとも1つがフッ素等のハロゲンである場合、フッ素等のハロゲンを含有する高分子前駆体との親和性が向上する。このように、R及び/又はRを所望の有機溶剤や組み合わせて用いられる高分子前駆体に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性が向上したり、所望の高分子前駆体との親和性が向上する。
及びRにおける置換基としては、上述した置換基−XRと同様であって良い。R及びRにおける置換基は、通常、1価の置換基である。
また、化学式(1)において、Rは、電子吸引性基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基である。
ここで、電子吸引性基とは、共鳴効果や誘起効果によって相手から電子をひきつける原子団をいう。化学式(1)において、Rに電子吸引性基が置換することにより、パラ位に存在するフェノール性水酸基の酸素の電子密度が小さくなり、フェノール性水酸基の酸性度が大きくなる。後述する比較例に示すように、Rに電子吸引性基が置換しても、R、R、及びRのいずれかに電子供与性基が置換すると、フェノール性水酸基は当該電子供与性基の影響も受けるため、塩基発生温度は低下するとは限らない。一方、本発明においては、化学式(1)において、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基であるため、フェノール性水酸基の酸素の電子密度を大きくする要因はなく、Rに置換された電子吸引性基の影響により、フェノール性水酸基の酸素の電子密度が小さくなり、塩基発生温度が低下する。
前記電子吸引性基としては、例えば、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、及び、置換基−YR25(ここで、Yは、カルボニル基(−C(=O)−)、チオカルボニル基(−C(=S)−)、オキシカルボニル基(−C(=O)−O−)、オキシチオカルボニル基(−C(=S)−O−)、スルフィニル基(−S(=O)−)、又はスルホニル基(−S(=O)−)であり、R25は、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、水酸基、メルカプト基、置換基を含んで良い炭化水素基、置換基を含んで良いシリル基、又は置換基を含んで良いアミノ基である。)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。R25における置換基を含んで良い炭化水素基、置換基を含んで良いシリル基、又は置換基を含んで良いアミノ基は、上記−XRにおける置換基を含んで良い炭化水素基、置換基を含んで良いシリル基、又は置換基を含んで良いアミノ基と同様であってよい。
また、化学式(1)で表される構造は、幾何異性体が存在するが、トランス体のみを用いることが好ましい。しかし、合成および精製工程および保管時などにおいて幾何異性体であるシス体が混ざる可能性もあり、この場合トランス体とシス体の混合物を用いても良いが、溶解性コントラストを高められる点から、シス体の割合が10%未満であることが好ましい。
本発明で用いられる化学式(1)で表される塩基発生剤の合成方法としては、例えば、上記特許文献3及び特許文献4等を参考に合成することができる。
(高分子前駆体)
本発明において用いられる高分子前駆体は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される化合物である。
本発明の高分子前駆体としては、上記の様な塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下で、70℃以下での加熱によって最終生成物への反応が促進されるものであれば特に制限なく使用が可能であり、用途に合わせて適宜選択されれば良い。下記に代表的な例を挙げるが、これらに限定されるものではない。なお、高分子前駆体としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、上記特定の構造を有し、電磁波の照射、さらに70℃以下で加熱されることにより、塩基を発生する。そして、発生した塩基が触媒、硬化促進剤、硬化剤等となって、上記高分子前駆体を含む感光性樹脂組成物が硬化する。
分子間反応により目的の高分子となる高分子前駆体としては、反応性置換基を有し重合反応をする化合物及び高分子、又は、分子間に結合を形成する反応(架橋反応)をする化合物及び高分子がある。当該反応性置換基としては、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、高分子前駆体には、分子間で加水分解・重縮合する化合物も含まれ、反応性置換基には、ポリシロキサン前駆体の−SiX(ここで、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基)も挙げられる。
本発明において用いられる高分子前駆体としては、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、並びに、ポリシロキサン前駆体よりなる群から選択される1種以上を含む高分子前駆体が好適に用いられる。
反応性置換基を有し重合反応をする化合物としては、例えば、1個以上のエポキシ基を有する化合物、1個以上のオキセタン基を有する化合物、及び1個以上のチイラン基を有する化合物が挙げられる。また、反応性置換基を有し重合反応をする高分子としては、例えば、2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)、2個以上のオキセタン基を有する高分子、及び2個以上のチイラン基を有する高分子が挙げられる。下記に特にエポキシ基を有する化合物及び高分子について具体的に説明するが、オキセタン基、チイラン基を有する化合物及び高分子についても同様に用いることが可能である。
(エポキシ基を有する化合物及び高分子)
上記1個以上のエポキシ基を有する化合物及び高分子としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、従来公知のものを使用できる。
前記塩基発生剤は、一般的には分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物の硬化触媒としての機能も有する。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物又は分子内に2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)を用いる場合は、エポキシ基との反応性を有する官能基を有する化合物を併用してもよい。エポキシ基との反応性を有する官能基を有する化合物としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、或いは、1級又は2級の芳香族アミノ基を有する化合物等が挙げられる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮して、1分子中に2個以上有することが好ましい。
また、重量平均分子量3,000〜100,000のポリマー側鎖に上記官能基を導入したものを用いることが好ましい。3,000未満では膜強度の低下及び硬化膜表面にタック性が生じ、不純物等が付着しやすくなる恐れがある。また、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。
中でも、エポキシ樹脂を比較的低温且つ短時間で硬化する方法として、硬化剤としてチオール化合物を利用し、触媒として塩基性化合物を添加する方法が好適に用いられる。従って、本発明において、例えば、塗料、接着剤、コーティング膜(保護膜)等の用途の場合には、エポキシ基及び/又はオキセタン基を2個以上有する化合物と、メルカプト基を2個以上有する化合物とを高分子前駆体として用いることが好ましい。
また、エポキシ基を2個以上有する化合物は、短時間での硬化を実現するために、反応性が高く、かつ、エポキシ当量が低いことが好ましい。例えば、エポキシ当量が100〜800g/eq.の範囲内であることが好ましい。ここで、エポキシ当量とは、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。本発明において、エポキシ基を2個以上有する化合物の少なくとも1種は、エポキシ当量が100〜800g/eq.の範囲内であることが好ましい。
より短時間で硬化する点からは、エポキシ当量が100〜800g/eq.のエポキシ基を2個以上有する化合物を、エポキシ基を2個以上有する化合物全量に対して、50質量%以上含有することが好ましい。また、より短時間で硬化する点からは、エポキシ基を2個以上有する化合物を2種以上用いた場合も、混合物の全体として、エポキシ当量が100〜800g/eq.の範囲内であることが好ましい。但し、硬化時間は、感光性樹脂組成物の用途により適宜選択されればよく、これらに限定されるものではない。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する高分子としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、トリアジン骨格エポキシ樹脂等があり、これらのエポキシ樹脂はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。
また、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、末端にエポキシ基を有するフェノキシ樹脂であっても良い。フェノキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM骨格(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP骨格(4,4’−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ骨格(4,4’−シクロヘキシィジエンビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂等、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノキシ樹脂、ノルボルネン骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するフェノキシ樹脂等を挙げることができる。前記フェノキシ樹脂の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量が5000〜100000であることが好ましい。さらに好ましくは10000〜70000である。質量平均分子量が前記下限値以上であれば、製膜性を向上させる効果を十分に得ることができる。一方、前記上限値以下であれば、溶解性を維持することができて好適である。
市販されているエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂製品としては、例えば三菱化学株式会社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC株式会社製のエピクロン830、EXA835LV、850S、N740、EXA−830CRP、EXA−830LVP、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学株式会社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルで両末端にエポキシ基を有する;YPシリーズ等)、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ、日本触媒株式会社製のアクリセット BPA−328、日産化学株式会社製のTEPIC SP、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物は、2種以上を併用してもよい。これらの中で、他の各種のエポキシ化合物と比較すると分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できる点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
また、併用しても良い、上記カルボキシル基を有する化合物としては、水素添加されていてもよい無水フタル酸骨格を有することが好ましい。酸無水物としては、例えば、無水メチルテトラヒドロフタル酸(Me−THPA)(Quinhard200(日本ゼオン)、HN−2200(日立化成工業)、リカシッドMT−500(新日本理化))、無水メチルヘキサヒドロフタル酸(Me−HHPA)(Quinhard500(日本ゼオン)、HN−5500(日立化成工業)、リカシッドMH−700(新日本理化)),無水メチルナジック酸(25)(MHAC−P(日立化成工業))、無水メチルナジック酸の水素添加物(26)(HNA(新日本理化)),アルキル変性酸無水物(27)(エピキュアYH−306、エピキュアYH−307(ジャパンエポキシレジン))などが挙げられる。
上記フェノール性水酸基を有する化合物としては、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物全般が好適に用いられ、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂等が挙げられ、フェノール樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記メルカプト基(−SH基)を有する化合物としては、1分子内にメルカプト基を2個以上有する化合物が好適に用いられ、従来公知のものを使用できる。1分子内にメルカプト基を3個以上有するものがより好適である。なお、メルカプト基を有する化合物はチオールという名称で知られている。
メルカプト基を有する化合物としては、例えば、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、1,5−ナフタレンジチオール、トリチオグリセリン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオールトリメルカプト−トリアジン)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカプトメチル)メシチレン、トリス(メルカプトメチル)イソシアヌレート、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、テトラメルカプトブタン、ペンタエリトリチオールが挙げられる。
一方、分子間で架橋反応をする化合物としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物及び分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせが挙げられ、当該イソシアネート基とヒドロキシル基との反応により、分子間にウレタン結合が形成され高分子となり得る。
分子間で架橋反応をする高分子としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせが挙げられる。
また、分子間で架橋反応をする化合物と高分子の組み合わせを用いても良い。例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせ、及び、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせ等が挙げられる。
(イソシアネート基を有する化合物及び高分子)
イソシアネート基をもつ化合物及び高分子としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、オリゴマー、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にイソシアネート基が存在する高分子を用いてもよい。
(ヒドロキシル基を有する化合物及び高分子)
前記イソシアネート基を持つ化合物及び高分子は、通常、分子内にヒドロキシル基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなヒドロキシル基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にヒドロキシル基が存在する高分子を用いてもよい。
(ポリシロキサン前駆体)
分子間で加水分解・重縮合する化合物としては、たとえばポリシロキサン前駆体が挙げられる。
ポリシロキサン前駆体としては、YSiX(4−n)(ここで、Yは置換基を有していても良いアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、または水素を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基を示す。nは0〜3までの整数である。) で示される有機ケイ素化合物及び当該有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が挙げられる。中でも、上記式においてnが0〜2であるものが好ましい。また、シリカ分散オリゴマー溶液の調製がし易く入手も容易な点から、上記加水分解性基としては、アルコキシ基であるものが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、特に制限なく、公知のものを使用できる。例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フッ素系シランカップリング剤として知られたフルオロアルキルシラン、および、それらの加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物;並びに、それらの混合物を挙げることができる。
[その他の成分]
本発明に用いられる感光性樹脂組成物は、前記化学式(1)で表される塩基発生剤と、高分子前駆体との単純な混合物であってもよいが、さらに、溶剤、その他の添加剤を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。本発明の塩基発生剤の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分を添加しても良いし、塩基増殖剤や光増感剤を添加してもよい。更に、光硬化性成分やラジカル開始剤を添加しても良い。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、その用途に合わせて、更にその他の成分を含んでいても良い。例えば、粘着付与樹脂、熱可塑性高分子やその他の高分子;フィラー;顔料、染料等の着色剤;銀等の導電性粒子;難燃剤、保存性向上剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、カップリング剤等の密着向上剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤等を適宜含有してもよい。
(溶剤)
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては、各種の汎用溶剤を用いることが出来る。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどのスルホン類、ヘキサメチルフォスホアミド等のリン酸アミド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
<感光性樹脂組成物における各成分の含有量>
本発明に用いられる感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体の合計量(固形分)は、通常、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、50.0〜99.9質量%であることが好ましく、更に80.0〜99.0質量%であることが好ましい。また、前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、通常、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1〜50.0質量%であることが好ましく、更に1.0〜20.0質量%であることが好ましい。
なお、感光性樹脂組成物の固形分とは、溶剤以外の全成分であり、液状の高分子前駆体等の化合物も固形分に含まれる。
<感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の形成>
本発明における感光性樹脂組成物の硬化方法において、感光性樹脂組成物は通常、感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成し、その後、硬化工程が行われる。
本発明に用いられる上記感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布するなどして塗膜を形成したり、適した成形方法で成形体を形成する。塗布方法及び成形体の成形方法は、従来公知の方法を適宜採用することができる。
(電磁波照射)
上記で得られた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体に電磁波を照射する方法としては、用途に応じて、従来公知の方法を適宜選択して用いればよい。電磁波照射工程に用いられる電磁波照射方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良く、g線ステッパ、i線ステッパ、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、又はその他の紫外線、可視光線、X線、電子線などを照射可能な投影機や線源を使用することができる。
(加熱)
本発明の感光性樹脂組成物の硬化方法においては、電磁波照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して硬化することを特徴とする。
上述のように、本発明に用いられる感光性樹脂組成物に含まれる前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、特定の置換基を特定の置換位置に有することにより、70℃以下で塩基が発生する。そのため、本発明の感光性樹脂組成物の硬化方法においては、実質的に潜在性硬化促進剤として機能し、且つ、感度が高い桂皮酸型塩基発生剤を用いながら、70℃以下という低温での硬化を実現することが可能になる。
加熱温度は、70℃以下であり、且つ、前記化学式(1)で表される塩基発生剤が塩基を発生する温度以上の範囲で、且つ、用いられる高分子前駆体が硬化する温度範囲内であれば、適宜選択することができる。例えば、加熱工程は、塩基発生剤が置かれた環境の温度(例えば、室温)による加熱であっても良く、その場合、徐々に塩基が発生する。また、電磁波の照射時に副生される熱によっても塩基が発生するため、電磁波の照射時に副生される熱により実質的に加熱も同時に行われても良い。反応速度を高くし、効率よく塩基を発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上である。
なお、加熱とは、前記化学式(1)で表される塩基発生剤が塩基を発生する温度以上の範囲で、且つ、用いられる高分子前駆体が硬化する温度が、塗膜に対して付与されていれば良い。電磁波照射と同時に上記温度が塗膜に対して付与されていれば、例えば70℃で加熱された状態で電磁波が照射され、その後70℃で温度が保持された場合も、電磁波照射と同時に70℃以下で加熱したことに包含される。
また、電磁波照射と加熱を交互に行ってもよい。最も効率が良い方法は、電磁波照射と同時に加熱する方法である。
(感光性樹脂組成物の硬化)
本発明において用いられる感光性樹脂組成物は、電磁波の照射又は照射と同時に加熱することにより、露光部において、上記化学式(1)で表される塩基発生剤が異性化及び環化して塩基(NR)が生成する。塩基は、電磁波照射部の高分子前駆体の最終生成物への反応を促進する触媒として作用し、高分子前駆体の反応が進行して樹脂組成物が硬化する。
このような本発明に係る感光性樹脂組成物の硬化方法は、低温硬化性の樹脂組成物が好適に用いられる公知の全ての分野、製品に利用できる。
例えば、印刷インキ、塗料、シール剤、接着剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、光造形、光学部材用途において、利用できる。
II.成形体の製造方法
本発明に係る成形体の製造方法は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、下記化学式(1)で表され且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物を、基体上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して、前記塗膜を硬化する工程を含むことを特徴とする。
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、同一であっても異なっていてもよい。Rは、電子吸引性基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基である。)
本発明に係る成形体の製造方法は、特定の感光性樹脂組成物を用いて低温硬化により硬化膜を形成できるので、特に、高温加熱ができない、低温硬化が必要な用途における各種成形体の製造方法として、好適に用いることができる。
さらに本発明の成形体の製造方法は、感光性樹脂組成物の触媒として塩基を用いるため、酸を用いる場合と異なり金属の腐食を起こさず、硬化膜が金属と接触する用途において、より信頼性の高い硬化膜を含む成形体を得ることが出来る。
[感光性樹脂組成物を、基体上に塗布して塗膜を形成する工程]
まず、前記特定の感光性樹脂組成物を準備する。当該特定の感光性樹脂組成物は、前述の感光性樹脂組成物の硬化方法で説明したものと同様であってよいので、ここでの説明を省略する。
(基体)
本発明では、基体は、上記特定の感光性樹脂組成物を塗布する被着体であって、支持体となれば良いものであり、特に限定されるものではない。基体の形状は、平板状に限られず、凹凸形状や曲面を有する成形体であっても良い。また、基体は、基材上に各種の構造物を有するものであっても良い。例えば、TFT素子等の回路が形成されていてもよく、フォトレジスト等の機能性材料が形成されていてもよい。
本発明においては、70℃以下という低温で硬化膜を作成することが可能なため、70℃を超えるような高温で加熱すると問題が生じる基体に対して好適に用いることができる。例えば、ガラス転移温度が100℃以下である樹脂を含む基体に対して好適に用いることができる。なお、樹脂のガラス転移温度は、JIS K7122(1987)に準拠して、示差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。
基体に含まれる基材としては、例えば、織布、編布、不織布、樹脂基材、ガラス、金属箔等の適宜の材料を選択することができるが、電磁波を照射するという観点から透明であることが好ましい。ここで、透明とは、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよく、可視領域(380〜780nm)における光透過率が80%以上であることをいう。なお、光透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。基材として光を透過しない材料を選択した場合には、基材上に形成した粘接着剤層に、該粘接着剤層側から光を照射し、別の基材を上から貼り合わせた後、加熱することで接着させることが可能となる。
なお、本発明の成形体の製造方法においては、低温で硬化反応を行うことが可能なため、樹脂基材に対して好適に用いられる。また、塩基発生剤は酸を発生しないため、アルミや銅といった金属箔基材の使用も可能である。
樹脂基材としては、ポリエステル系樹脂基材、ポリプロピレン系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、フッ素系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリ(メタ)アクリル系樹脂基材、セルロース系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、ポリアミド系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、フェノール系樹脂基材、ポリウレタン系樹脂基材等の公知の樹脂基材が挙げられる。樹脂基材としては、上述の樹脂の2種以上を組み合わせた混合物を含んでいても良い。また、樹脂基材は単層であってもよいし、2層以上の積層体であってもよい。機械的強度の観点から、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが好ましい。なお、本発明では、上記合成樹脂の中でも、透明性、寸法安定性、剛性、柔軟性、積層適性、価格等の観点から、ポリエステル系樹脂やポリカーボネート系樹脂が好適に用いられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等が挙げられるが、この中でも、取り扱い易さ、低価格等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材の厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。積層体用途に用いる場合には、通常、12〜250μm程度であるが、好ましくは25〜250μmである。上記範囲であれば、機械的強度が十分であり、反り、弛み、破断等を生じ難く、作業性が良好であり、また、連続帯状で供給して加工することも可能である。なお、上記の厚さを超えると、過剰性能でコスト高になる場合がある。
なお、基材や基体には濡れ性を向上させるために、その片面又は両面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等の公知の易接着処理を施してもよい。
(塗膜形成)
感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する方法としては、従来公知の方法を適宜用いることができる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、ブレードコート法、スプレー法、凸版印刷法、凹版印刷法、平板印刷法、ディスペンス法およびインクジェット法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
感光性樹脂組成物を塗布して形成された塗膜の厚みも、各成形体における硬化膜の用途に応じて、適宜選択されれば良く、特に限定されない。
[塗膜に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して、前記塗膜を硬化する工程]
塗膜に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して、前記塗膜を硬化する工程は、前記感光性樹脂組成物の硬化方法で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明を省略する。
(成形体)
本発明の製造方法で製造される成形体としては、例えば、前記特定の感光性樹脂組成物の硬化膜が接着剤として用いられた各種積層体を含む成形体、硬化膜が絶縁膜として用いられた各種成形体、硬化膜が保護膜として用いられた各種成形体等が挙げられる。
成形体の具体例としては、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、配向膜等の表示装置用部材、半導体装置用部材、プリント配線基板等の電子部品部材、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等の光学部材、及び建築部材等を上げることができるがこれらに限定されるものではない。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り質量部を表す。製造された塩基発生剤は、H NMR測定により、化学構造を確認した。
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
5%質量減少温度測定:(株)島津製作所製、示差熱・熱質量同時測定装置DTG−60
(製造例1:塩基発生剤(1)の合成)
アセチルクロリド(東京化成工業(株)製)3.53g(45.0mmol、1.1eq)をクロロホルム(50ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下で0℃に冷却した。無水塩化アルミニウム(関東化学(株)製)8.19g(61.4mmol、1.5eq)をゆっくり加え、混合物を15分撹拌した。サリチルアルデヒド(東京化成工業(株)製)4.3ml(40.9mmol、1.0eq)滴下し、30分撹拌後、室温に昇温して一晩撹拌した。反応終了後、混合物に氷水を添加し10分撹拌後、クロロホルムで三回抽出した。有機相をまとめ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別して、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=3/1〜2/1(体積比))で精製し、5−アセチル−サリチルアルデヒドを得た。
100mLナスフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(東京化成工業(株)製)730mg(1.70mmol、1.0eq)、5−アセチル−サリチルアルデヒド280mg(1.70mmol、1.0eq)をアセトニトリル10mLに溶解したのち、炭酸カリウム1.0gをゆっくり添加した。2.5時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーにより反応の終了を確認し、ろ過により炭酸カリウムを除去し、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5mL加え終夜で撹拌した。反応終了後、クロロホルムにより洗浄し、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にしたところ、沈殿が生成した。沈殿物をろ過により集め、乾燥することで(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−アセチルフェニル)アクリル酸を得た。
アルゴン雰囲気下、100mL三口フラスコ中、(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−アセチルフェニル)アクリル酸200mg(970μmmol、1.0eq)を脱水テトラヒドロキシフラン5mLに溶解し、氷浴下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)204mg(1.06mmol、1.1eq)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成(株)製)91μl(922μmol、0.95eq)を加えたのち終夜で攪拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。クロロホルムで抽出した後、炭酸水素水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。メタノールにて再結晶法により精製することにより下記化学式で示される塩基発生剤(1)を60mg得た。
(製造例2:塩基発生剤(2)の合成)
500mLナスフラスコ中、4−シアノフェノール(東京化成工業(株)製)4.76g(40.0mmol、1.0eq)、ヘキサメチレンテトラミン(東京化成工業(株)製)11.2g(80mmol、2.0eq)をトリフルオロ酢酸(関東化学(株)製)32mlに溶解し、100℃で7.5時間撹拌した。反応終了後、氷浴下で1規定塩酸200mlを添加し15分間撹拌した。撹拌終了後、クロロホルムで抽出し、塩酸・飽和食塩水で洗浄を行うことにより5−シアノーサリチルアルデヒドを得た。
製造例1において、5−アセチル−サリチルアルデヒドの代わりに、5−シアノ−サリチルアルデヒドを等モル量用いた以外は、製造例1と同様にして、(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−シアノフェニル)アクリル酸を得た。
製造例1において、(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−アセチルフェニル)アクリル酸の代わりに(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−シアノフェニル)アクリル酸を等モル量用いた以外は、製造例1と同様にして、下記化学式で示される塩基発生剤(2)を80mg得た。
(製造例3:塩基発生剤(3)の合成)
アルゴン雰囲気下、100mLフラスコ中、アセチルピペリジン(東京化成工業(株)製) 950mg(7.47mmol、1.05eq)を脱水ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製)5.0mLに溶解し、t−ブトキシカリウム(東京化成工業(株)製)3.36g(29.9mmol、4.2eq)を添加し、30分撹拌した。5−ニトロサリチルアルデヒド(東京化成工業(株)製)1.19g(7.13mmol、1.0eq)を添加し、80℃にて2h撹拌した。反応終了後、室温にまで冷ましたのち、蒸留水10mlを添加し、酢酸エチルを用い3回洗浄した。反応水溶液を、100mlフラスコに移し、氷浴下で濃塩酸をpHが1となるまで滴下したところ、沈殿が析出した。析出した沈殿をろ過により回収することで、下記化学式で示される塩基発生剤(3)を850mg得た。
(比較製造例1:比較塩基発生剤(1)の合成)
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、o−クマリン酸(東京化成工業(株)製)0.50g(3.1mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)0.59g(3.1mmol,1.0eq)を加えた。氷浴下で、ピペリジン(東京化成(株)製)0.3ml(3.1mmol,1.0eq)を加えた後、室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで抽出、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、ろ過することにより、下記化学式で表される比較塩基発生剤(1)を450mg得た。
(比較製造例2:比較塩基発生剤(2)の合成)
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム ブロミド2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2 mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を1.00g得た。続いて、100mL三口フラスコ中、2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸500mg(3.0 mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)0.586g(3.0mmol)を加えた。30分後、ピペリジン0.3ml(3.0mmol)を加えた。反応終了後、反応溶液を濃縮し、水に溶解した。ジエチルエーテルで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール 100/1〜10/1)により精製することにより、下記化学式で表される比較塩基発生剤(2)を64mg得た。
(比較製造例3:比較塩基発生剤(3)の合成)
製造例3において、5−ニトロサリチルアルデヒドの代わりに、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−m−アニスアルデヒド(東京化成工業(株)製)を等モル量用いた以外は、製造例1と同様にして、下記化学式で示される比較塩基発生剤(3)を50mg得た。
<塩基発生剤の評価>
合成した塩基発生剤(1)〜(3)、及び比較塩基発生剤(1)〜(3)について、以下の測定を行い、評価した。モル吸光係数及び塩基発生温度の結果を表1に示す。
(1)モル吸光係数
塩基発生剤(1)〜(3)、及び比較塩基発生剤(1)〜(3)をそれぞれ、アセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、365nm及び405nmでの吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値である。
(2)塩基発生温度
NMR測定を用いて塩基発生温度の評価を行った。
塩基発生剤(1)〜(3)、及び比較塩基発生剤(1)〜(3)について、1mgの試料を石英製NMR管中で重ジメチルスルホキシド0.5mLに溶解させた。
塩基発生剤(1)〜(3)、及び比較塩基発生剤(1)〜(3)について、350nm以下の光をカットするフィルタ(商品名:GG385、厚さ1mm、(株)渋谷光学製)と高圧水銀灯を用いて、断続的に光照射を行い、H NMRを測定し、異性化反応が進行することを確認した。
異性化したサンプルを断続的に加熱し、塩基発生温度を評価した結果を表1に示した。
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
(1)感光性樹脂組成物(1)〜(3)及び比較感光性樹脂組成物(1)〜(3)の調製
本発明に用いられる前記化学式(1)で表される塩基発生剤(1)〜(3)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(1)〜(3)を調製した。同様に、比較塩基発生剤(1)〜(3)を用いて、下記に示す組成の比較感光性樹脂組成物(1)〜(3)を調製した。
・エポキシ基を2個有する化合物(商品名「jER 828」,ビスフェノールA型エポキシ樹脂,固形分:100%,エポキシ当量:184〜194g/eq.,質量平均分子量:370,三菱化学社製):100質量部
・メルカプト基を4個有する化合物(ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、商品名「QX40」,粘度:400〜550mPa・s/25℃,アミン価:125〜137KOHmg/g,三菱化学社製):70質量部
・各塩基発生剤:5質量部
・メタノール:50質量部
(2)成形体の製造
感光性樹脂組成物(1)〜(3)及び比較感光性樹脂組成物(1)〜(3)をPETフィルム(東洋紡エステルフィルム、E5100)上に、塗布後の厚みが10μmになるようにアプリケーターを用いて塗布後、乾燥オーブンにて50℃で10分間乾燥させ、塗膜を形成した。
得られた塗膜に対し、手動露光機を用いて高圧水銀灯により1J/cm全面露光を行った。
その後、それぞれの塗膜について、ホットプレートを用いて70℃で加熱した。塗膜表面で感光性樹脂組成物の糸が引かなくなり、表面が硬くなったことを目視で確認するまでに要した時間を測定し、硬化時間とした。硬化時間の結果を表2に示す。なお、90分加熱しても硬化しなかったものを“硬化せず”とした。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物(1)〜(3)は、いずれも、70℃という低温で硬化することが確認でき、成形体を製造することができた。
一方、塩基発生剤として、より高温でしか塩基が発生しない比較塩基発生剤(1)〜比較塩基発生剤(3)を用いた比較感光性樹脂組成物(1)〜(3)は、70℃の加熱では90分加熱しても硬化せず、70℃という低温で成形体を製造できなかった。
(実施例4:成形体の製造)
PETフィルム(東洋紡エステルフィルム、E5100)上に塗布後の厚みが100μmとなるように、アプリケーターを用いて、上記感光性樹脂組成物(1)を塗布した。塗布面にポリカーボネ−ト樹脂(パンライトシート、PC-1151)を貼り合わせ、PETフィルム側から手動露光機を用いて電磁波を照射した後、乾燥オーブンにて70℃で50分間加熱乾燥させることで、ゆがみのない積層体として成形体を製造することができた。
(実施例5:成形体の製造)
蒸着法を利用し、PETフィルム(東洋紡エステルフィルム、E5100)上に金配線を形成した。PETフィルム及び金配線上に、塗布後の厚みが100μmとなるように、アプリケーターを用いて、上記感光性樹脂組成物(1)を塗布した。手動露光機を用いて電磁波を照射した後、乾燥オーブンにて70℃で50分間加熱乾燥させることで、ゆがみのない積層体として成形体を製造することができた。

Claims (3)

  1. 塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、下記化学式(1)で表され且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物を、基体上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して、前記塗膜を硬化する工程を含む、成形体の製造方法。

    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子を表す。Rは、電子吸引性基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基である。)
  2. 前記基材が、樹脂基材である、請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、下記化学式(1)で表され且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物に、電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に70℃以下で加熱して硬化する、感光性樹脂組成物の硬化方法。
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子を表す。Rは、電子吸引性基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又は電子吸引性基である。)
JP2012217318A 2012-09-28 2012-09-28 成形体の製造方法、及び感光性樹脂組成物の硬化方法 Active JP6107030B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012217318A JP6107030B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 成形体の製造方法、及び感光性樹脂組成物の硬化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012217318A JP6107030B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 成形体の製造方法、及び感光性樹脂組成物の硬化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014070148A JP2014070148A (ja) 2014-04-21
JP6107030B2 true JP6107030B2 (ja) 2017-04-05

Family

ID=50745662

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012217318A Active JP6107030B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 成形体の製造方法、及び感光性樹脂組成物の硬化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6107030B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230014841A (ko) 2017-08-03 2023-01-30 쇼와 덴코 가부시키가이샤 공중합체 및 컬러 필터용 감광성 수지 조성물
WO2019026547A1 (ja) 2017-08-03 2019-02-07 昭和電工株式会社 感光性樹脂組成物及びその製造方法
WO2019142415A1 (ja) 2018-01-19 2019-07-25 昭和電工株式会社 カラーフィルター用感光性樹脂組成物、カラーフィルター、画像表示素子及びカラーフィルターの製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011052214A (ja) * 2009-08-07 2011-03-17 Dainippon Printing Co Ltd 塩基発生剤、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法並びに物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014070148A (ja) 2014-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101958343B1 (ko) 경화성 수지조성물
JP5974446B2 (ja) 感光性樹脂組成物及び粘接着シート
JP5356828B2 (ja) 光塩基発生剤及び光硬化性樹脂組成物
US10508078B2 (en) Compound, photopolymerization initiator comprising said compound, and photosensitive resin composition containing said photopolymerization initiator
JP5941668B2 (ja) 9,9−ビス(縮合多環式アリール)フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物
JP5910245B2 (ja) 塩基発生剤、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法、及び物品
JP5256570B2 (ja) 封止用組成物
WO2015111635A1 (ja) 樹脂組成物
CN108473409B (zh) 苯偶酰单缩酮及其用途
JP6107030B2 (ja) 成形体の製造方法、及び感光性樹脂組成物の硬化方法
JP2019085408A (ja) チオール化合物、その合成方法および該チオール化合物の利用
JP2019156801A (ja) 塩基増殖剤及び当該塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物
JP2013194205A (ja) 塩基発生剤、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法、及び物品
JP2006193629A (ja) 硬化性組成物およびその硬化物
JP5860278B2 (ja) フルオレン骨格を有するエピスルフィド化合物およびその硬化物
TWI723102B (zh) 顯示元件密封劑以及液晶顯示面板及其製造方法
JP2019189539A (ja) 熱塩基発生剤、硬化性組成物、および、硬化物
JP7269323B2 (ja) 組成物
WO2021261497A1 (ja) 化合物、開始剤、組成物、硬化物及び硬化物の製造方法
WO2014014037A1 (ja) エピスルフィド化合物用硬化剤、硬化性組成物及びエピスルフィド化合物の硬化物、並びにエピスルフィド化合物の硬化方法
JP2013181991A (ja) 光硬化型樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成された基材の製造方法、並びに該基材を備える電子部品
JP6973925B2 (ja) 感光性樹脂組成物
JP6519191B2 (ja) コンクリート構造物用化粧シート
JP2012130906A (ja) 光硬化性樹脂組成物の硬化方法、及びレリーフパターンの製造方法
JP7468064B2 (ja) カチオン重合性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160909

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6107030

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150