JP2013194205A - 塩基発生剤、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法、及び物品 - Google Patents
塩基発生剤、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法、及び物品 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、電磁波の照射及び加熱により塩基を発生する塩基発生剤、及び当該塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物に関し、特に、電磁波によるパターニング工程、又は硬化促進工程を経て形成される製品又は部材の材料として好適に利用することが出来る感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、レリーフパターンの製造方法、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
感光性樹脂組成物は、例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤などに用いられ、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材に好適に利用されてきている。
例えば、高分子材料であるポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すため、電子部品の絶縁材料等へ広く適用され、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとして盛んに利用されてきている。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、ポリイミドと類似の加工工程が適用される低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
例えば、高分子材料であるポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すため、電子部品の絶縁材料等へ広く適用され、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとして盛んに利用されてきている。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、ポリイミドと類似の加工工程が適用される低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
一般にポリイミドは溶媒への溶解性に乏しく、加工が困難なため、ポリイミドを所望の形状にパターニングする方法として、溶媒溶解性に優れるポリイミド前駆体の状態で露光と現像によるパターニングを行い、その後、熱処理等によりイミド化を行いポリイミドのパターンを得るという方法がある。
ポリイミド前駆体を利用して、パターンを形成する手段として、種々の方法が提案されている。
パターニング手法として、ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光塩基発生剤を混合し、露光後加熱することで露光によって発生した塩基の作用によって環化を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法が報告されている(特許文献1)。
パターニング手法として、ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光塩基発生剤を混合し、露光後加熱することで露光によって発生した塩基の作用によって環化を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法が報告されている(特許文献1)。
光塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物としては、その他に、エポキシ系化合物を用いた例がある(例えば、特許文献2)。光塩基発生剤に光を照射することによってエポキシ系化合物を含む層中でアミン類を発生させることで、アミン類が開始剤あるいは触媒として作用し、露光部だけエポキシ系化合物を硬化させることができ、パターン形成を行うことができる。
非特許文献1には、アミンの光反応性保護基として、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸を用いることが開示されている。また、特許文献3には、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミドを光塩基発生剤として用い、当該光塩基発生剤と塩基反応性樹脂とを含む感光性樹脂組成物が開示されている。更に、本発明者らも、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミド誘導体を光環化型の光塩基発生剤として用い、当該光塩基発生剤と高分子前駆体とを含む感光性樹脂組成物を特許文献4に開示している。また、特許文献5及び6には、カルバメート型の光塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物が開示されている。更に、特許文献7及び8には、オキシム型の光塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物が開示されている。
更に本発明者らは、上記o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミド誘導体が有するフェノール性水酸基を脱保護可能な保護基で保護する技術を特許文献9に開示している。特許文献9によれば、上記フェノール性水酸基を加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基で保護することにより、組み合わせる化合物の適用範囲が広くなることが記載されている。
Chem. Pharm. Bull. 1997, 45(4) p.715-718
特許文献9に開示されたフェノール性水酸基が脱保護可能な保護基によって保護されたo−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミド誘導体は、塩基発生剤として使用する際、当該保護基を脱保護して用いる。このため、当該塩基発生剤は、塩基発生後、保護基として利用した成分が脱離してしまうため、使用時にアウトガスや臭気の発生が懸念されていた。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その主目的は、使用時に脱離成分の発生が抑制され、アウトガスや臭気の発生が少なく、溶解性が高く、組み合わせる化合物の適用範囲が広い塩基発生剤、及び、アウトガスや臭気の発生が少なく、形状が良好なパターンを得ることができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明に係る塩基発生剤は、下記化学式(1)で表わされ、且つ電磁波の照射と加熱により、塩基を発生することを特徴とする。
本発明に係る塩基発生剤においては、40℃〜250℃の加熱により、クライゼン転位反応が進行することが、脱離成分の発生が抑制され、アウトガス及び臭気の発生を抑制する点から好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって、又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、上記本発明に係る塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物においては、前記高分子前駆体が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上を含むことが、形状が良好なパターンを得ることができる点から好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塗料、印刷インク、シール材、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料の形成材料に好適に用いることができる。
また、本発明は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料を提供する。
また、本発明は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料を提供する。
さらに本発明は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物を用いるレリーフパターンの製造方法を提供する。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
また、本発明は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品も提供する。
本発明によれば、使用時に脱離成分の発生が抑制され、アウトガスや臭気の発生が少なく、溶解性が高く、組み合わせる化合物の適用範囲が広い塩基発生剤、及び、アウトガスや臭気の発生が少なく、形状が良好なパターンを得ることができる感光性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
<塩基発生剤>
本発明に係る塩基発生剤は、下記化学式(1)で表され、且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生することを特徴とする。
本発明に係る塩基発生剤は、下記化学式(1)で表され、且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生することを特徴とする。
本発明の塩基発生剤は、光塩基発生剤の1種であり、電磁波が照射されるだけでも塩基を発生するが、適宜加熱をすることにより、塩基の発生が促進される。本発明の塩基発生剤は、電磁波の照射と加熱を組み合わせることにより、少ない電磁波照射量で、効率的に塩基を発生することが可能であり、従来の所謂光塩基発生剤と比べて高い感度を有する。
本発明に係る塩基発生剤は、フェノール性水酸基の保護基として、置換基を有していても良いアリル基(以下、アリル基に代表させて説明する)を用いることにより、加熱によりクライゼン転移反応が進行し得ることを特徴とする。例えば、下記スキーム1のように、電磁波の照射によって、式(1)中の(−C(R4)=C(R3)−C(=O)−)部分がトランス体からシス体へと異性化し、加熱によってアリル基が水素原子であるR10の位置にクライゼン転移し、これにより生じたフェノール性水酸基が環化することにより、塩基(NHR1R2)を生成する。発生した塩基の触媒作用によって、高分子前駆体が最終生成物となる際の反応が開始される温度を下げたり、高分子前駆体が最終生成物となる硬化反応を開始することができる。なお、下記スキーム1ではR10が水素原子で、アリル基がR10の位置に転移する場合を例として説明したが、R10が水素原子でも、アリル基がR12の位置に転移する場合もある。また、R10が置換基である場合には、アリル基は、R12の部位に転移し得る。また、下記スキーム1では異性化後に転移反応する例を示したが、アリル基の転移反応後に電磁波の照射を行って異性化してもよい。
本発明に係る塩基発生剤は、上記スキーム1のように、フェノール性水酸基の保護基として導入されたアリル基が転移反応するために、塩基発生剤の吸光部位と当該アリル基が結合する。そのため、脱離した保護基由来の成分が、使用時にアウトガスや臭気として発生することが抑制される。また、塩基発生剤の吸光部位と当該アリル基が結合した化合物は重合性基を有するものとなるため、当該化合物同士、或いは、系内に存在する高分子前駆体等の他の化合物と反応して共有結合を形成可能となる。そのため、塩基発生剤の吸光部位と当該アリル基が結合した化合物は、系内に固定されるか、系内で高分子量化され易く、脱離成分の発生が更に抑制される。
これにより、本発明においては、揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着する塩基発生剤由来の分解物の量、或いは、現像液や洗浄液に溶出する塩基発生剤由来の分解物の量も削減される。さらに、硬化後に残留する塩基発生剤由来の低分子化合物の量も少なくなり、最終製品の耐熱性や安定性も向上する。
これにより、本発明においては、揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着する塩基発生剤由来の分解物の量、或いは、現像液や洗浄液に溶出する塩基発生剤由来の分解物の量も削減される。さらに、硬化後に残留する塩基発生剤由来の低分子化合物の量も少なくなり、最終製品の耐熱性や安定性も向上する。
また、本発明の塩基発生剤は、置換基を有していても良いアリル基でフェノール性水酸基を保護されていることにより、溶剤への溶解性が向上する。通常、アリル基で保護した化合物は常温で液体の化合物として得られるため、溶剤への溶解性や他の化合物との相溶性が向上する。また、当該アリル基が有する置換基を適宜選択することによって、組み合わせる化合物、例えば高分子前駆体や酸−塩基指示薬との相溶性が向上し、組み合わせ可能な化合物の範囲が増えたり、塩基発生剤の適用方法の範囲も拡大する。例えば、フェノール性水酸基と共存することが好ましくない高分子前駆体に対しても、樹脂組成物中に共存させて用いることが可能になる。また、本発明の塩基発生剤は、上記アリル基により保護されたフェノール性水酸基がエーテル結合を形成するため、上記アリル基R5〜R9が全て水素原子の場合や、置換基の選択により、上記アリル基によるフェノール性水酸基の保護の有無によって吸収波長がほとんど変化しない。或いは、上記アリル基が有する置換基を適宜選択することにより、吸収波長を変化させることも可能である。
上記化学式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、R1とR2が結合して環状構造を有していてもよい。
R1及びR2における、上記炭化水素基は、直鎖の他、分岐鎖を含んでも良く、更に、当該炭化水素基に含まれる2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造を形成していても良い。ここで、分岐鎖とは、枝分かれした炭化水素基を有する構造をいい、当該構造に含まれる枝分かれしたそれぞれの炭化水素基をも指す。
炭化水素基としては、不飽和結合を含んでいても良く、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、当該炭化水素基中に、置換基を含んでよい。
分岐鎖が結合した環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
R1及びR2における炭化水素基は、通常、1価の炭化水素基であるが、生成するNHR1R2がジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の炭化水素基となり得る。
R1及びR2における、上記炭化水素基は、直鎖の他、分岐鎖を含んでも良く、更に、当該炭化水素基に含まれる2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造を形成していても良い。ここで、分岐鎖とは、枝分かれした炭化水素基を有する構造をいい、当該構造に含まれる枝分かれしたそれぞれの炭化水素基をも指す。
炭化水素基としては、不飽和結合を含んでいても良く、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、当該炭化水素基中に、置換基を含んでよい。
分岐鎖が結合した環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
R1及びR2における炭化水素基は、通常、1価の炭化水素基であるが、生成するNHR1R2がジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の炭化水素基となり得る。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。これらの炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20であるアルキル基、ビニル基、アリル基等の炭素数1〜20であるアルケニル基、エチニル基、2−プロピニル基等の炭素数1〜20であるアルキニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23であるシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23であるシクロアルケニル基等が挙げられる。
本発明において、置換基とは、水素原子と置き換えることが可能な水素原子以外の原子あるいは原子団をいう。置換基としては、例えば、−XR14で示すことのできる原子団が挙げられる。ここで、Xは、直接結合、又は2価の連結基であり、−XR14は、当該Xと、水素原子または水素原子と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団であるR14とを連結させた原子団であれば、特に限定されるものではない。但し、Xが直接結合且つR14が水素原子で、−XR14が水素原子となる場合を除く。
上記置換基−XR14における、Xは、直接結合、又は2価の連結基であれば、特に限定されるものではなく、例えば、酸素原子又は硫黄原子からなる結合、並びに、炭素原子、ケイ素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及び/又はリン原子を含む原子団が挙げられる。2価の連結基の場合のXとしては、例えば、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル基(−C(=O)−)、オキシカルボニル基(−C(=O)−O−)、チオカルボニル基(−C(=S)−)、オキシチオカルボニル基(−C(=S)−O−)、カルボニルオキシ基(−O−C(=O)−)、オキシカルボニルオキシ基(−O−C(=O)−O−)、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)、オキシカルボニルチオ基(−S−C(=O)−O−)、スルフィニル基(−S(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)2−)等が挙げられる。
上記置換基−XR14における、Xとしては、樹脂に対する相溶性や溶剤に対する溶解性が向上する点から、オキシ基、チオ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、オキシチオカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルボニルチオ基が好ましく、オキシ基、チオ基がより好ましい。
上記置換基−XR14における、Xとしては、樹脂に対する相溶性や溶剤に対する溶解性が向上する点から、オキシ基、チオ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、オキシチオカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基、カルボニルチオ基が好ましく、オキシ基、チオ基がより好ましい。
上記置換基−XR14における、R14は、水素原子または水素原子と置き換えることが可能な水素以外の原子あるいは原子団である。R14としては、例えば、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、水酸基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、置換基を含んで良いホスホノ基、置換基を含んで良い炭化水素基、置換基を含んで良いシリル基、置換基を含んで良いアミノ基が挙げられる。
ここで、本発明の塩基発生剤において、置換基として、塩基性を有するアミノ基を含まないことが好ましい。塩基性を有するアミノ基が含まれてしまうと、塩基発生剤自体が塩基性物質となり、反応を促進してしまい、露光部と未露光部での溶解性コントラストの差が小さくなってしまう恐れがあるからである。但し、例えば、R1又はR2の置換基中に存在する芳香環にアミノ基が結合している場合のように、電磁波の照射と加熱後に発生する塩基との塩基性と差が生じる場合には、R1又はR2の置換基にアミノ基が含まれていても用いることができる場合もあり、置換基としてアミノ基が排除されるものではない。
ここで、本発明の塩基発生剤において、置換基として、塩基性を有するアミノ基を含まないことが好ましい。塩基性を有するアミノ基が含まれてしまうと、塩基発生剤自体が塩基性物質となり、反応を促進してしまい、露光部と未露光部での溶解性コントラストの差が小さくなってしまう恐れがあるからである。但し、例えば、R1又はR2の置換基中に存在する芳香環にアミノ基が結合している場合のように、電磁波の照射と加熱後に発生する塩基との塩基性と差が生じる場合には、R1又はR2の置換基にアミノ基が含まれていても用いることができる場合もあり、置換基としてアミノ基が排除されるものではない。
R14における、置換基を含んで良い炭化水素基としては、当該炭化水素基中に不飽和結合を含んでいてもよく、また、分岐鎖を含んでも良く、2つ以上の分岐鎖が結合して環状構造を形成していても良く、置換基を含む2つ以上の分岐鎖が結合し複素環を形成していても良い。複素環としては、芳香族性を有しない脂肪族複素環であっても、芳香族性を有する芳香族複素環であっても良く、環状エーテル、ラクトン、ラクタム、芳香族複素環等が挙げられる。置換基を含んで良い炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、複素環基が挙げられる。これらの炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20であるアルキル基、ビニル基、アリル基等の炭素数1〜20であるアルケニル基、エチニル基、2−プロピニル基等の炭素数1〜20であるアルキニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23であるシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23であるシクロアルケニル基、エチレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、σ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、σ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、フラン環、チオフェン環、2H−ピラン環、4H−チオピラン環、ベンゾフラン環、1−ベンゾチオフェン環、2H−クロメン環、1H−2−ベンゾピラン環、キサンテン環、チアントレン環等の複素環から水素を1つ除去した複素環基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基等の炭素数2〜20のアルキルオキシアルキル基、フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7〜26であるアリールオキシアルキル基等が挙げられる。また、含んで良い置換基としては、置換基−XR14と同様であって良い。
また、R14における、置換基を含んで良いシリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のアルキルシリル基、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチル基、メトキシジメチル基等のアルコキシシリル基等が挙げられる。含んで良い置換基としては、置換基−XR14と同様であって良い。
また、R14における、置換基を含んで良いアミノ基(−NH(−R15)、−N(−R16)(−R17))の例としては、R15、R16、R17が、窒素原子との結合末端にヘテロ原子の結合を含んで良く、置換基を含んで良い炭化水素基が挙げられる。窒素原子との結合末端にヘテロ原子の結合を含んで良く、置換基を含んで良い炭化水素基としては、窒素原子と結合し得る限り、置換基−XR14と同様であって良い。
置換基を含んで良いアミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
置換基を含んで良いアミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
上記−XR14の例としては、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、水酸基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、上記置換基を含んで良い炭化水素基(以下、「上述の炭化水素基」という場合がある)、上記置換基を含んで良いシリル基、上記置換基を含んで良いアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピロキシ基、t-ブトキシオキシ、エチルへキシロキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基(−OR18、ここでR18は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基(−OAr、ここでArは置換基を有してもよいアリール基、)、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(−OCOR19、ここでR19は、上述の炭化水素基)、カルバモイルオキシ基(-OCONR20R21:R20、R21はそれぞれ独立に水素原子又は上述の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、R18及びR19が結合していてもよい)、シアノオキシ基(シアナト基)(-OCN)、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基(−SR22:R22は上述の炭化水素基)、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基(−SAr:Arは置換基を有してもよいアリール基、)、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等のアシルチオ基(−SCOR23:R23は上述の炭化水素基)、シアノチオ基(チオシアナト基)(−SCN)、ホルミル基(−COH)、アシル基(−COR24:R24は上述の炭化水素基)、アルコキシカルボニル基(−COOR25:R25は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(−COOAr:Arは置換基を有してもよいアリール基)、カルバモイル基(−CONR26R27:R26、R27はそれぞれ独立に水素原子又は上述の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、R26及びR27が結合していてもよい)、チオアシル基(−CSR28:R28は上述の炭化水素基)、アルコキシチオカルボニル基(−CSOR29:R29は上述の炭化水素基)が挙げられる。
また上記化学式(1)において、R1及びR2が結合して形成された環状構造は、脂肪族複素環、芳香族複素環となる。当該複素環は、環構造を2つ以上含んでいても良く、縮合環であっても良い。また、当該複素環に含まれる環構造には、脂環式炭化水素や芳香族炭化水素が含まれていても良い。
生成する塩基性物質はNHR1R2であるため、1級アミン、2級アミン、又は複素環式化合物が挙げられる。またアミンには、それぞれ、脂肪族アミン及び芳香族アミンがある。なお、Nに結合したR1及びR2の炭素原子が芳香族性を有しない、脂肪族複素環は、ここでは脂環式アミンとして脂肪族アミンに含まれる。
更に、生成するNHR1R2は、アミド結合を形成可能なNH基を1つだけ有するモノアミン等の塩基性物質だけでなく、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質であってもよい。生成するNHR1R2がNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合、前記化学式(1)のR1及び/又はR2の1つ以上の末端に、アミド結合を形成可能なNH基を有する塩基を電磁波の照射と加熱により発生するような光潜在性部位が更に結合している構造が挙げられる。上記光潜在性部位としては、前記化学式(1)のR1及び/又はR2の1つ以上の末端に、化学式(1)のR1及び/又はR2を除いた残基が更に結合している構造が挙げられる。
脂肪族1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソアミルアミン、tert−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘプタンアミン、オクチルアミン、2−オクタンアミン、2,4,4−トリメチルペンタン−2−アミン、シクロオクチルアミン等が挙げられる。
芳香族1級アミンとしては、アニリン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、及び4−アミノフェノール等が挙げられる。
脂肪族2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−2−プロパノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)アミン、エチルメチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−tert−ブチルメチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルアダマンタン−1−アミン、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、メチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、N−メチル−3−エトキシプロピルアミン、N−メチル−3−プロポキシプロピルアミン、N−メチル−3−ブトキシプロピルアミン、N−メチル−3−イソプロポキシプロピルアミン、N−メチル−3−へプチルオキシプロピルアミン、N−メチル−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、N−メチルテトラヒドロフルフリルアミン等、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、メチルアジリジン、ジメチルアジリジン、メチルアゼチジン、ジメチルアゼチジン、トリメチルアゼチジン、メチルピロリジン、ジメチルピロリジン、トリメチルピロリジン、テトラメチルピロリジン、メチルピペリジン、ジメチルピペリジン、トリメチルピペリジン、テトラメチルピペリジン、ペンタメチルピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2−ピペリジンメタノール、3−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンエタノール、4−ピペリジンカルボン酸エチル、4−アセトアミドピペリジン、モルホリン等の脂環式アミンも挙げられる。
芳香族2級アミンとしては、メチルアニリン、ジフェニルアミン、及びN−フェニル−1−ナフチルアミンが挙げられる。また、アミド結合を形成可能なNH基を有する芳香族複素環式化合物としては、塩基性の点から分子内にイミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は少なくとも炭素原子を含む置換基)を有することが好ましく、イミダゾール、プリン、トリアゾール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ジアミン以上のアミンとしてはエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−1,8−オクタンジアミン等の脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン等の分岐状脂肪族アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の一般式NH2(CH2CH2NH)nHで示されるポリエチレンアミン類;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン、メンセンジアミン等の脂環式ジアミン;ビス(2−メチルアミノエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メチルアミノエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メチルアミノエトキシ)エチル]エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,1,1−ジアミノ−3,6,9−トリオキサウンデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン等のエーテル基を含むジアミン類;1,3−ジ−4−ピペリジルプロパン等の複素環式アミンを含むジアミン類;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ジアミン;ベンゼントリアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン等のトリアミン;2,4,5,6−テトラアミノピリミジン等のテトラアミンを挙げることができる。
R1及びR2の位置に導入される置換基によって、生成する塩基性物質の熱物性や塩基性度が異なる。
高分子前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が、塩基性が強いため好ましい。
高分子前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が、塩基性が強いため好ましい。
また、本発明で発生する塩基が、2級アミン及び/又は複素環式化合物である場合には、塩基発生剤としての感度が高くなる点から好ましい。これは、2級アミンや複素環式化合物を用いることで、アミド結合部位の活性水素がなくなり、このことにより、電子密度が変化し、異性化の感度が向上するからではないかと推定される。
また、脱離する塩基の熱物性、及び塩基性度の点から、R1及びR2の置換基を含んでも良い炭化水素基は、それぞれ独立に炭素数1〜20が好ましく、更に炭素数1〜12が好ましく、特に炭素数1〜8であることが好ましい。
また、発生する塩基の沸点が40℃以上であるように、R1とR2との組み合わせを選択することが、室温での取り扱い性が良好になることから好ましい。発生する塩基の沸点が40℃以上でない場合には、塗膜とした際に、特に乾燥時に生成したアミンが蒸発しやすくなってしまうため作業が困難となる恐れがある。中でも、発生する塩基の沸点は、更に70℃以上であることが好ましく、よりさらに100℃以上であることが好ましい。
また、上記化学式(1)において、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、同一であっても異なっていても良い。R3及びR4としては、高感度を達成しやすい点から、いずれも水素原子であることが好ましい。
一方、本発明において、特に化学式(1)中のR3及びR4のうち少なくとも1つが、水素原子ではなく、置換基である場合には、R3及びR4の両方共が水素原子の場合と比べて、本発明の塩基発生剤は、有機溶剤に対する溶解性が更に向上したり、後述する高分子前駆体との親和性が向上する。例えば、R3及びR4のうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の置換基を有してもよく、かつ不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR3及びR4のうち少なくとも1つがフッ素原子等のハロゲンである場合、フッ素原子等のハロゲンを含有する高分子前駆体等との親和性が向上する。このように、R3及び/又はR4を所望の有機溶剤や高分子前駆体等に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性が向上したり、所望高分子前駆体との親和性が向上する。
一方、本発明において、特に化学式(1)中のR3及びR4のうち少なくとも1つが、水素原子ではなく、置換基である場合には、R3及びR4の両方共が水素原子の場合と比べて、本発明の塩基発生剤は、有機溶剤に対する溶解性が更に向上したり、後述する高分子前駆体との親和性が向上する。例えば、R3及びR4のうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の置換基を有してもよく、かつ不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR3及びR4のうち少なくとも1つがフッ素原子等のハロゲンである場合、フッ素原子等のハロゲンを含有する高分子前駆体等との親和性が向上する。このように、R3及び/又はR4を所望の有機溶剤や高分子前駆体等に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性が向上したり、所望高分子前駆体との親和性が向上する。
R3及びR4における置換基としては、上述した置換基−XR14と同様であって良い。R3及びR4における置換基は、通常、1価の置換基である。
また、化学式(1)において、R5、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、同一であっても異なっていてもよく、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。
R5、R6、R7、R8及びR9としては、入手が容易な点から、いずれも水素原子であることが好ましい。
一方、本発明において、R5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくとも1つが、水素原子ではなく置換基である場合には、R5、R6、R7、R8及びR9がいずれも水素原子である場合と比べて、有機溶剤に対する溶解性が更に向上したり、組合わせる高分子前駆体との親和性が向上する。例えば、R5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の置換基を有してもよく、かつ不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくとも1つがフッ素等のハロゲンである場合、フッ素等のハロゲンを含有する高分子前駆体との親和性が向上する。このように、R5、R6、R7、R8及びR9を所望の有機溶剤や高分子前駆体に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性が向上したり、所望の高分子前駆体との親和性が向上する。
一方、本発明において、R5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくとも1つが、水素原子ではなく置換基である場合には、R5、R6、R7、R8及びR9がいずれも水素原子である場合と比べて、有機溶剤に対する溶解性が更に向上したり、組合わせる高分子前駆体との親和性が向上する。例えば、R5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の置換基を有してもよく、かつ不飽和結合を含んでもよい炭化水素基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR5、R6、R7、R8及びR9のうち少なくとも1つがフッ素等のハロゲンである場合、フッ素等のハロゲンを含有する高分子前駆体との親和性が向上する。このように、R5、R6、R7、R8及びR9を所望の有機溶剤や高分子前駆体に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性が向上したり、所望の高分子前駆体との親和性が向上する。
R5、R6、R7、R8及びR9における置換基としては、上述した置換基−XR14と同様であって良い。中でも、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオアシル基、アルコキシチオカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基や、上記置換基を含んで良い炭化水素基、シリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シアノオキシ基(シアナト基)(−OCN)、アルキルチオ基、フェニルチオ基、アリールチオ基、アシルチオ基、シアノチオ基(チオシアナト基)、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)等の電子供与性基から適宜選択されることが、溶解性、クライゼン転移反応の反応性の制御の点から好ましく、中でも、上記置換基を含んで良い炭化水素基は、材料が容易に入手できる点からより好ましい。
また、R5〜R9は、それらのうち2つ以上が結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、少なくとも、R7が結合する炭素原子とR8及びR9が結合する炭素原子間で不飽和結合を含む脂環式炭化水素、複素環、或いは、脂環式炭化水素及び複素環が組み合されてなる構造であっても良い。
クライゼン転移反応の反応性の点からは、R5〜R9は、環状構造を形成せず、鎖状構造であることが好ましい。
環状構造は、少なくとも、R7が結合する炭素原子とR8及びR9が結合する炭素原子間で不飽和結合を含む脂環式炭化水素、複素環、或いは、脂環式炭化水素及び複素環が組み合されてなる構造であっても良い。
クライゼン転移反応の反応性の点からは、R5〜R9は、環状構造を形成せず、鎖状構造であることが好ましい。
また、本発明においては、R5、R6、R7、R8及びR9に導入する置換基によりクライゼン反応の反応速度や、反応温度等の条件を制御することができる。
例えば、R5及びR6のうち少なくとも1つを電子供与性基又は電子吸引性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度が非常に速くなり、より低温でクライゼン転移反応を進行させることができる。
また、R7を電子吸引性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度が速くなり、より低温でクライゼン転移反応を進行させることができる。一方、R7を電子供与性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度を抑えることが可能で、反応温度を高くすることが可能である。
R8及びR9のうち少なくとも1つを電子供与性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度が速くなり、より低温でクライゼン転移反応を進行させることができる。一方、R8及びR9のうち少なくとも1つを電子吸引性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度を抑えることが可能で、反応温度を高くすることが可能である。
例えば、R5及びR6のうち少なくとも1つを電子供与性基又は電子吸引性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度が非常に速くなり、より低温でクライゼン転移反応を進行させることができる。
また、R7を電子吸引性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度が速くなり、より低温でクライゼン転移反応を進行させることができる。一方、R7を電子供与性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度を抑えることが可能で、反応温度を高くすることが可能である。
R8及びR9のうち少なくとも1つを電子供与性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度が速くなり、より低温でクライゼン転移反応を進行させることができる。一方、R8及びR9のうち少なくとも1つを電子吸引性基とすることにより、R5〜R9の全てが水素原子である場合と比較して、反応速度を抑えることが可能で、反応温度を高くすることが可能である。
このように、後述するポストベーク温度等、使用環境、使用条件等に合わせて、R5〜R9に適宜置換基を導入することにより、クライゼン転移反応の反応条件を制御することができる。中でも、40℃〜250℃の加熱により、クライゼン転移反応が進行するように設定することが、室温での取り扱い性が良好であると共に、ポストベーク等により容易に反応が進行する点から好ましい。
また、化学式(1)において、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、同一であっても異なっていても良く、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R10、R11、R12及びR13における置換基としては、上述した置換基−XR14と同様であって良い。
但し、R10及びR12のうち少なくとも一方が水素原子である。R10及びR12のうち少なくとも一方が水素原子であることにより、本発明に係る塩基発生剤は加熱によりクライゼン転移反応を進行し、アウトガスや臭気の原因となる脱離成分の発生を抑制できる。
R10、R11、R12及びR13における置換基は、通常、1価の置換基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の置換基となり得る。
但し、R10及びR12のうち少なくとも一方が水素原子である。R10及びR12のうち少なくとも一方が水素原子であることにより、本発明に係る塩基発生剤は加熱によりクライゼン転移反応を進行し、アウトガスや臭気の原因となる脱離成分の発生を抑制できる。
R10、R11、R12及びR13における置換基は、通常、1価の置換基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の置換基となり得る。
本発明においてはR10、R11、R12及びR13のいずれかに、置換基を1つ以上導入することが好ましい。カルボニル結合のα位およびβ位に位置するα炭素−β炭素間の二重結合がトランス体からシス体への異性化反応を効率よく進める要因としてはいくつかあり、例えば上記炭素−炭素二重結合周囲の立体障害の大きさ、上記炭素−炭素二重結合周囲に広がる共役鎖の電子状態等が挙げられる。R10、R11、R12及びR13に、上記のような置換基を少なくとも1つ導入することにより、吸収する光の波長を調整することが可能であり、置換基を導入することで所望の波長を吸収させるようにすることもできる。芳香族環の共役鎖を伸ばすような置換基を導入することにより、上記炭素−炭素二重結合周囲の共役鎖が拡張し、極大吸収波長を長波長にシフトすることができる。塩基発生の感度の向上の点からは、R10、R11、R12及びR13は、結合している芳香族環の電子密度を高くする置換基であることが好ましい。また、置換基を1つ以上導入することにより、溶解性や組み合わせる高分子前駆体との相溶性が向上するようにすることもできる。これにより、組み合わせる高分子前駆体の吸収波長も考慮しながら、感光性樹脂組成物の感度を向上させることが可能である。
所望の波長に対して吸収波長をシフトさせる為に、どのような置換基を導入したら良いかという指針として、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products(A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。これらを参考とすることで、化合物の極大吸収波長がどの程度長波長化するかの目安を知ることができる。
また、R10〜R13は、それらのうち2つ以上が結合して環状構造になっていても良い。なお、R10及びR12のうち少なくとも一方が水素原子であるため、R10とR12を含む2つ以上が結合して環状構造となることはない。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R10〜R13は、それらの2つ以上が結合して、R10〜R13が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環、並びに当該脂環式炭化水素、縮合環、及び複素環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R10〜R13は、それらの2つ以上が結合して、R10〜R13が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
化学式(1)中、R11及び/又はR12に、上記のような置換基を少なくとも1つ導入することが、中でも高感度を達成する点から好ましい。
特に、化学式(1)中、R11が、置換基である場合には、高感度で且つ後述する感光性樹脂組成物を厚膜として用いる場合に適している点で好ましい。
また、化学式(1)中、R12が、置換基である場合には、高感度で且つ溶剤溶解性が良好な化合物となる傾向があるため、塩基発生剤が良好な溶剤溶解性を要求される場合に適している点で好ましい。
また、化学式(1)中、R11及びR12が、共に置換基である場合、或いは、R11及びR12が結合して環状構造を形成している場合には、特に高感度で且つ溶剤溶解性が良好な化合物となる傾向があり、更に、h線に感度を有するようになる点から好ましい。
特に、化学式(1)中、R11が、置換基である場合には、高感度で且つ後述する感光性樹脂組成物を厚膜として用いる場合に適している点で好ましい。
また、化学式(1)中、R12が、置換基である場合には、高感度で且つ溶剤溶解性が良好な化合物となる傾向があるため、塩基発生剤が良好な溶剤溶解性を要求される場合に適している点で好ましい。
また、化学式(1)中、R11及びR12が、共に置換基である場合、或いは、R11及びR12が結合して環状構造を形成している場合には、特に高感度で且つ溶剤溶解性が良好な化合物となる傾向があり、更に、h線に感度を有するようになる点から好ましい。
R10、R11、R12及びR13の置換基としては、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、水酸基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、上記置換基を含んで良い炭化水素基(以下、「上述の炭化水素基」という場合がある)、上記置換基を含んで良いシリル基、上記置換基を含んで良いアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピロキシ基、t-ブトキシ、エチルへキシロキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基(−OR18、ここでR18は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基(−OAr、ここでArは置換基を有してもよいアリール基、)、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(−OCOR19、ここでR19は、上述の炭化水素基)、カルバモイルオキシ基(-OCONR20R21:R20、R21はそれぞれ独立に水素原子又は上述の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、R20及びR21が結合していてもよい)、シアノオキシ基(シアナト基)(-OCN)、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基(−SR22:R22は上述の炭化水素基)、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基(−SAr:Arは置換基を有してもよいアリール基、)、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等のアシルチオ基(−SCOR23:R23は上述の炭化水素基)、シアノチオ基(チオシアナト基)(−SCN)、ホルミル基(−COH)、アシル基(−COR24:R24は上述の炭化水素基)、アルコキシカルボニル基(−COOR25:R25は上述の炭化水素基)、ベンジルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(−COOAr:Arは置換基を有してもよいアリール基)、カルバモイル基(−CONR26R27:R26、R27はそれぞれ独立に水素原子又は上述の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、R26及びR27が結合していてもよい)、チオアシル基(−CSR28:R28は上述の炭化水素基)、アルコキシチオカルボニル基(−CSOR29:R29は上述の炭化水素基)が好適なものとして挙げられる。
中でも、R10、R11、R12及びR13の置換基としては、特に、溶解性の向上、塩基発生の感度の向上の点から、水酸基、メルカプト基、上記置換基を含んで良い炭化水素基、上記置換基を含んで良いシリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シアノオキシ基(シアナト基)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルチオ基、シアノチオ基(チオシアナト基)が好ましく、更に、上記置換基を含んで良い炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基がより好ましい。
中でも、R10、R11、R12及びR13の置換基としては、特に、溶解性の向上、塩基発生の感度の向上の点から、水酸基、メルカプト基、上記置換基を含んで良い炭化水素基、上記置換基を含んで良いシリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シアノオキシ基(シアナト基)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルチオ基、シアノチオ基(チオシアナト基)が好ましく、更に、上記置換基を含んで良い炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基がより好ましい。
また、R10〜R13のうち、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13のいずれかに、特開2011−068888号公報に記載の下記化学式(2)の部分構造を有することも、溶解性や相溶性が向上し、感度に優れる点から好ましい。
また、R10〜R13のいずれかが、特開2011−89119号公報に記載の下記化学式(3)で表される部分構造を有することも、感度が高く、且つ、高分子前駆体との親和性に優れる点から好ましい。化学式(3)で表わされる部分構造は、アルコキシ基に類似の置換基であるため、共役鎖を拡張する効果があり、少ない電磁波照射量で塩基性物質を発生でき、感度を高めることができると推定される。また、化学式(3)で表わされる部分構造は、繰り返し構造であるRaO部位を有するため、溶解性や親和性が良好になると推定される。
化学式(3)において、Ra及びRbは、特開2011−89119号公報に記載の通りであってよい。
R10、R11、R12及びR13における置換基としては、上述の置換基の中でも、溶解性を向上する効果のある置換基を選択することが、塩基発生部分(−NR1R2)の構造の自由度が上がり、樹脂組成物とした際も高濃度で塩基発生剤を含むことができるようになる点から、本発明において特に好適に用いられる。
また、化学式(1)で表される構造は、幾何異性体が存在するが、トランス体のみを用いることが好ましい。しかし、合成および精製工程および保管時などにおいて幾何異性体であるシス体が混ざる可能性もあり、この場合トランス体とシス体の混合物を用いても良いが、溶解性コントラストを高められる点から、シス体の割合が10%未満であることが好ましい。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤を用いる際の、クライゼン転移反応を進行させ、塩基を発生させるための加熱温度としては、組み合わせて用いられる高分子前駆体や目的により適宜選択され、特に限定されない。塩基発生剤が置かれた環境の温度(例えば、室温)による加熱であっても良く、その場合、徐々に塩基が発生する。また、電磁波の照射時に副生される熱によっても塩基が発生するため、電磁波の照射時に副生される熱により実質的に加熱も同時に行われても良い。反応速度を高くし、効率よく塩基を発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。しかしながら、組み合わせて用いられる高分子前駆体によっては、例えば60℃以上の加熱で未露光部についても硬化するものもあるので、好適な加熱温度は、上記に限定されない。
また、前記化学式(1)で表される塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、300℃以下で加熱することが好ましい。
加熱を行う際には、電磁波照射前に高温で保護基の脱保護を行い、電磁波照射後、より低温で塩基を発生させるようにしても良い。電磁波照射前に脱保護反応を行うと、アリル基が転移して芳香環に結合することにより、芳香環に置換基を導入した場合と同様に、感度の向上が望める。
また、前記化学式(1)で表される塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、300℃以下で加熱することが好ましい。
加熱を行う際には、電磁波照射前に高温で保護基の脱保護を行い、電磁波照射後、より低温で塩基を発生させるようにしても良い。電磁波照射前に脱保護反応を行うと、アリル基が転移して芳香環に結合することにより、芳香環に置換基を導入した場合と同様に、感度の向上が望める。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤は実質的に電磁波の照射のみでも塩基を発生し得るが、適宜加熱することによりクライゼン転移反応が効率よく進み、塩基の発生が促進される。従って、効率的に塩基を発生させるために、前記化学式(1)で表される塩基発生剤を用いる際には、露光前、露光後又は露光と同時に加熱を行うことにより塩基を発生することが好ましい。露光と加熱を交互に行ってもよい。最も効率が良い方法は、露光と同時に加熱する方法である。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、組み合わせて用いられる高分子前駆体、及び/又は、後述する感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤で列挙したいずれかの溶剤に対し、25℃における飽和溶解度が0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、中でも、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類)、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類及び、これらの溶媒からなる混合溶媒よりなる群から選択される少なくとも1種の溶剤の25℃における飽和溶解度が0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。組み合わせて用いられる高分子前駆体、及び/又は、当該高分子前駆体の良溶媒である溶剤に上記のような良好な溶剤溶解性を有する場合には、十分な量で本発明の塩基発生剤を用いることができるため、光塩基発生剤として十分に触媒機能を発揮することができ、低温度で短時間の硬化条件により硬化可能で、且つ、保存安定性が良好な感光性樹脂組成物となる。
中でも、組み合わせて用いられる高分子前駆体に対し、25℃における飽和溶解度が0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。このように組み合わせて用いられる高分子前駆体に相溶する場合には、溶剤を用いる必要がなく、また、溶剤を乾燥させるプロセスも省略できることから、広い分野での使用が可能となる。
本発明の化学式(1)で表される塩基発生剤の合成方法としては、例えば、上記特許文献4や、本発明者らによる特開2010−254946号公報、特開2011−52214号公報、国際公開第2010/113813号パンフレット等を参考に合成することができる。フェノール性水酸基における保護基は、合成途中で導入していても良いし、合成の最後に導入しても良い。
フェノール性水酸基における保護基の導入方法としては、例えば、Br−C(R5)(R6)−C(R7)=C(R8)(R9)等のハロゲン化物を用いて、水素化ナトリウム、t−ブトキシカリウム、炭酸ナトリウム等の塩基の存在下で、フェノール水酸基と反応させることが挙げられる。
上記本発明に係る化学式(1)で表される塩基発生剤は、従来用いられていた光塩基発生剤と比べて優れた感度を有するため、種々に応用が可能である。後で詳細に説明する、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と組み合わせることに限られず、酸−塩基指示薬等の塩基により構造や物性が変化する化合物と組み合わせて、種々の感光性組成物を形成することができる。このような感光性組成物は、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System(MEMS))、光学部材又は建築材料の形成材料として用いることができる。
例えば、光塩基発生剤と酸−塩基指示薬とを少なくとも含む画像形成層を、基材上に被覆又は基材に含浸させてなる画像形成媒体において、画像形成層を露光すると、前記光塩基発生剤が、酸−塩基指示薬と反応する塩基を生成し、画像が形成されることを特徴とする画像形成媒体のような表示装置などにも応用することができる。
例えば、光塩基発生剤と酸−塩基指示薬とを少なくとも含む画像形成層を、基材上に被覆又は基材に含浸させてなる画像形成媒体において、画像形成層を露光すると、前記光塩基発生剤が、酸−塩基指示薬と反応する塩基を生成し、画像が形成されることを特徴とする画像形成媒体のような表示装置などにも応用することができる。
<感光性樹脂組成物>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び前記本発明に係る塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び前記本発明に係る塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明の感光性樹脂組成物では、塩基発生剤が、置換基を有していても良いアリル基でフェノール性水酸基が保護された上記本発明に係る塩基発生剤であることにより、上述のように、塩基発生剤の相溶性が向上するため、様々な上記高分子前駆体と組み合わせて調製可能である。例えば、フェノール性水酸基と共存することが好ましくない高分子前駆体に対しても、上記塩基発生剤と組み合わせて感光性樹脂組成物を得ることができる。また、上述のように、上記本発明に係る塩基発生剤はアリル基がベンゼン環に転移して結合するため、本発明の感光性樹脂組成物は、アウトガスや臭気の発生が抑制されたものであり、揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着する塩基発生剤由来の分解物の量、或いは、現像液や洗浄液に溶出する塩基発生剤由来の分解物の量も削減される。さらに、硬化後に残留する塩基発生剤由来の低分子化合物の量も少なくなり、最終製品の耐熱性や安定性も向上される。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記本発明に係る塩基発生剤が、従来用いられていた光塩基発生剤と比べて優れた感度を有するため、感度の高い感光性樹脂組成物である。本発明の感光性樹脂組成物は、電磁波の照射と加熱により、塩基発生剤由来の塩基による高分子前駆体の溶解性の変化により形状が良好なパターンを得ることができる。
さらに本発明の感光性樹脂組成物においては、酸と異なり塩基が金属の腐食を起こさず、脱離成分の発生が抑制されるため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。
さらに本発明の感光性樹脂組成物においては、酸と異なり塩基が金属の腐食を起こさず、脱離成分の発生が抑制されるため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物の構成成分を説明するが、本発明に係る感光性樹脂組成物に用いられる塩基発生剤については、上記本発明に係る塩基発生剤と同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。従って、高分子前駆体、並びに、必要に応じて適宜含むことができるその他の成分について順に説明する。
塩基発生剤及び高分子前駆体としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
塩基発生剤及び高分子前駆体としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
<高分子前駆体>
本発明の感光性樹脂組成物に用いる高分子前駆体とは、反応により最終的に目的の物性を示す高分子となる物質を意味し、当該反応には分子間反応及び分子内反応がある。高分子前駆体自体は、比較的低分子の化合物であっても高分子化合物であってもよい。
また、本発明の高分子前駆体は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される化合物である。ここで、高分子前駆体が、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される態様には、高分子前駆体が塩基性物質の作用のみによって最終生成物に変化する態様のみならず、塩基性物質の作用によって高分子前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基性物質の作用がない場合に比べて低下するような態様が含まれる。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応し、現像液等の溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、高分子前駆体の前記溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。
本発明の感光性樹脂組成物に用いる高分子前駆体とは、反応により最終的に目的の物性を示す高分子となる物質を意味し、当該反応には分子間反応及び分子内反応がある。高分子前駆体自体は、比較的低分子の化合物であっても高分子化合物であってもよい。
また、本発明の高分子前駆体は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される化合物である。ここで、高分子前駆体が、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される態様には、高分子前駆体が塩基性物質の作用のみによって最終生成物に変化する態様のみならず、塩基性物質の作用によって高分子前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基性物質の作用がない場合に比べて低下するような態様が含まれる。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応し、現像液等の溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、高分子前駆体の前記溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。
本発明の高分子前駆体としては、上記の様な塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進されるものであれば特に制限なく使用が可能である。下記に代表的な例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
[分子間反応により高分子となる高分子前駆体]
分子間反応により目的の高分子となる高分子前駆体としては、反応性置換基を有し重合反応をする化合物及び高分子、又は、分子間に結合を形成する反応(架橋反応)をする化合物及び高分子がある。当該反応性置換基としては、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、高分子前駆体には、分子間で加水分解・重縮合する化合物も含まれ、反応性置換基には、ポリシロキサン前駆体の−SiX(ここで、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基)も挙げられる。
分子間反応により目的の高分子となる高分子前駆体としては、反応性置換基を有し重合反応をする化合物及び高分子、又は、分子間に結合を形成する反応(架橋反応)をする化合物及び高分子がある。当該反応性置換基としては、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、高分子前駆体には、分子間で加水分解・重縮合する化合物も含まれ、反応性置換基には、ポリシロキサン前駆体の−SiX(ここで、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基)も挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする化合物としては、例えば、1個以上のエポキシ基を有する化合物、1個以上のオキセタン基を有する化合物、及び1個以上のチイラン基を有する化合物が挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする高分子としては、例えば、2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)、2個以上のオキセタン基を有する高分子、及び2個以上のチイラン基を有する高分子が挙げられる。下記に特にエポキシ基を有する化合物及び高分子について具体的に説明するが、オキセタン基、チイラン基を有する化合物及び高分子についても同様に用いることが可能である。
反応性置換基を有し重合反応をする高分子としては、例えば、2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)、2個以上のオキセタン基を有する高分子、及び2個以上のチイラン基を有する高分子が挙げられる。下記に特にエポキシ基を有する化合物及び高分子について具体的に説明するが、オキセタン基、チイラン基を有する化合物及び高分子についても同様に用いることが可能である。
(エポキシ基を有する化合物及び高分子)
上記1個以上のエポキシ基を有する化合物及び高分子としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、従来公知のものを使用できる。
前記塩基発生剤は、一般的には分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物の硬化触媒としての機能も有する。
上記1個以上のエポキシ基を有する化合物及び高分子としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、従来公知のものを使用できる。
前記塩基発生剤は、一般的には分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物の硬化触媒としての機能も有する。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物又は分子内に2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)を用いる場合は、エポキシ基との反応性を有する官能基を有する化合物を併用してもよい。エポキシ基との反応性を有する官能基を有する化合物としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、或いは、1級又は2級の芳香族アミノ基を有する化合物等が挙げられる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮して、1分子中に2個以上有することが好ましい。
また、重量平均分子量3,000〜100,000のポリマー側鎖に上記官能基を導入したものを用いることが好ましい。3,000未満では膜強度の低下及び硬化膜表面にタック性が生じ、不純物等が付着しやすくなる恐れがある。また、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。
また、重量平均分子量3,000〜100,000のポリマー側鎖に上記官能基を導入したものを用いることが好ましい。3,000未満では膜強度の低下及び硬化膜表面にタック性が生じ、不純物等が付着しやすくなる恐れがある。また、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する高分子としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等があり、これらのエポキシ樹脂はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC株式会社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学株式会社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、東都化成社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。これらの中で、他の各種のエポキシ化合物と比較すると分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できる点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
また、併用しても良い、上記カルボキシル基を有する化合物としては、水素添加されていてもよい無水フタル酸骨格を有することが好ましい。酸無水物としては、例えば、無水メチルテトラヒドロフタル酸(Me−THPA)(Quinhard200(日本ゼオン)、HN−2200(日立化成工業)、リカシッドMT−500(新日本理化))、無水メチルヘキサヒドロフタル酸(Me−HHPA)(Quinhard500(日本ゼオン)、HN−5500(日立化成工業)、リカシッドMH−700(新日本理化)),無水メチルナジック酸(25)(MHAC−P(日立化成工業))、無水メチルナジック酸の水素添加物(26)(HNA(新日本理化)),アルキル変性酸無水物(27)(エピキュアYH−306、エピキュアYH−307(ジャパンエポキシレジン))などが挙げられる。
上記フェノール性水酸基を有する化合物としては、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物全般が好適に用いられ、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂等が挙げられ、フェノール樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記メルカプト基(−SH基)を有する化合物としては、1分子内にメルカプト基を2個以上有する化合物が好適に用いられ、従来公知のものを使用できる。1分子内にメルカプト基を3個以上有するものがより好適である。なお、メルカプト基を有する化合物はチオールという名称で知られている。
メルカプト基を有する化合物としては、例えば、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、1,5−ナフタレンジチオール、トリチオグリセリン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカプトメチル)メシチレン、トリス(メルカプトメチル)イソシアヌレート、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、テトラメルカプトブタン、ペンタエリトリチオールが挙げられる。
上記フェノール性水酸基を有する化合物としては、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物全般が好適に用いられ、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂等が挙げられ、フェノール樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記メルカプト基(−SH基)を有する化合物としては、1分子内にメルカプト基を2個以上有する化合物が好適に用いられ、従来公知のものを使用できる。1分子内にメルカプト基を3個以上有するものがより好適である。なお、メルカプト基を有する化合物はチオールという名称で知られている。
メルカプト基を有する化合物としては、例えば、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、1,5−ナフタレンジチオール、トリチオグリセリン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカプトメチル)メシチレン、トリス(メルカプトメチル)イソシアヌレート、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオラン、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、テトラメルカプトブタン、ペンタエリトリチオールが挙げられる。
一方、分子間で架橋反応をする化合物としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物及び分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせが挙げられ、当該イソシアネート基とヒドロキシル基との反応により、分子間にウレタン結合が形成され高分子となり得る。
分子間で架橋反応をする高分子としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせが挙げられる。
また、分子間で架橋反応をする化合物と高分子の組み合わせを用いても良い。例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせ、及び、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせ等が挙げられる。
分子間で架橋反応をする高分子としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせが挙げられる。
また、分子間で架橋反応をする化合物と高分子の組み合わせを用いても良い。例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせ、及び、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせ等が挙げられる。
(イソシアネート基を有する化合物及び高分子)
イソシアネート基をもつ化合物及び高分子としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、オリゴマー、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にイソシアネート基が存在する高分子を用いてもよい。
イソシアネート基をもつ化合物及び高分子としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、オリゴマー、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にイソシアネート基が存在する高分子を用いてもよい。
(ヒドロキシル基を有する化合物及び高分子)
前記イソシアネート基を持つ化合物及び高分子は、通常、分子内にヒドロキシル基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなヒドロキシル基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にヒドロキシル基が存在する高分子を用いてもよい。
前記イソシアネート基を持つ化合物及び高分子は、通常、分子内にヒドロキシル基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなヒドロキシル基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にヒドロキシル基が存在する高分子を用いてもよい。
(ポリシロキサン前駆体)
分子間で加水分解・重縮合する化合物としては、たとえばポリシロキサン前駆体が挙げられる。
ポリシロキサン前駆体としては、YnSiX(4−n)(ここで、Yは置換基を有していても良いアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、または水素を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基を示す。nは0〜3までの整数である。) で示される有機ケイ素化合物及び当該有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が挙げられる。中でも、上記式においてnが0〜2であるものが好ましい。また、シリカ分散オリゴマー溶液の調製がし易く入手も容易な点から、上記加水分解性基としては、アルコキシ基であるものが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、特に制限なく、公知のものを使用できる。例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フッ素系シランカップリング剤として知られたフルオロアルキルシラン、および、それらの加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物;並びに、それらの混合物を挙げることができる。
分子間で加水分解・重縮合する化合物としては、たとえばポリシロキサン前駆体が挙げられる。
ポリシロキサン前駆体としては、YnSiX(4−n)(ここで、Yは置換基を有していても良いアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、または水素を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基を示す。nは0〜3までの整数である。) で示される有機ケイ素化合物及び当該有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が挙げられる。中でも、上記式においてnが0〜2であるものが好ましい。また、シリカ分散オリゴマー溶液の調製がし易く入手も容易な点から、上記加水分解性基としては、アルコキシ基であるものが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、特に制限なく、公知のものを使用できる。例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フッ素系シランカップリング剤として知られたフルオロアルキルシラン、および、それらの加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物;並びに、それらの混合物を挙げることができる。
[分子内閉環反応により高分子となる高分子前駆体]
分子内閉環反応によって最終的に目的の物性を示す高分子となる高分子前駆体としてはポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等がある。これらの前駆体は2種類以上の別々に合成した高分子前駆体の混合物でもよい。
以下、本発明の好ましい高分子前駆体であるポリイミド前駆体とポリベンゾオキサゾール前駆体について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
分子内閉環反応によって最終的に目的の物性を示す高分子となる高分子前駆体としてはポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等がある。これらの前駆体は2種類以上の別々に合成した高分子前駆体の混合物でもよい。
以下、本発明の好ましい高分子前駆体であるポリイミド前駆体とポリベンゾオキサゾール前駆体について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ポリイミド前駆体)
ポリイミド前駆体としては、下記化学式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸が好適に用いられる。
ポリイミド前駆体としては、下記化学式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸が好適に用いられる。
R33及びR34が少なくとも炭素原子を含む置換基である場合としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及び、これらにエーテル結合を含有したCnH2nOCmH2m+1などで表される構造等を挙げることができる。
ポリイミド前駆体としては、下記式(4’)で表されるようなポリアミック酸が、アルカリ現像性の点から好適に用いられる。
なお、式(4)及び式(4’)において、R31の4価は、酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基を示し、R32の2価はジアミン残基を示す。なお、R31の4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R32の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
副次的な効果として、用いる高分子前駆体がポリアミック酸である場合、塩基性物質の触媒効果によりイミド化に要する温度が低くても十分な為、最終キュア温度を300℃未満、更に好ましくは250℃以下まで下げることが可能である。従来のポリアミック酸はイミド化するために最終キュア温度を300℃以上とする必要があった為、用途が制限されていたが、最終キュア温度を下げることが可能になったことによって、より広範囲の用途に適用が可能である。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンの反応により得られるが、最終的に得られるポリイミドに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(4’)において、R31又はR32が芳香族化合物であることが好ましく、R31及びR32が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(4’)のR31において、当該R31に結合している4つの基((−CO−)2(−COOH)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(4’)のR32において、当該R32に結合している2つの基((−NH−)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(4’)で表されるポリアミック酸は、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位から成るものでもよい。
本発明のポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能な酸二無水物としては、特に限定されず、例えば、特開2011−068888号公報の段落0123〜0124に記載の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等の酸二無水物を用いることができる。
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、透明性をそれほど損なわずに溶解性や熱膨張率等の物性を調整することが可能である。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるが、透明性の向上を阻害する傾向があるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されず、例えば、特開2011−068888号公報の段落0126〜0137に記載の芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環式ジアミン、グアナミン類等のジアミン成分を用いることができる。特に好ましく用いられるジアミン成分として、芳香族ジアミンが挙げられ、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
一方、ポリイミド前駆体を合成するには、例えば、アミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドンなどの有機極性溶媒に溶解させた溶液を冷却しながら、そこへ等モルの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を徐々に加え撹拌し、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
<ポリベンゾオキサゾール前駆体>
本発明に用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、下記化学式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールが好適に用いられる。
本発明に用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、下記化学式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールが好適に用いられる。
ポリアミドアルコールは、従来公知の方法で合成することが可能で、例えば、ジカルボン酸ハロゲン化物などのジカルボン酸誘導体とジヒドロキシジアミンとを有機溶媒中で付加反応することにより得られる。
なお、R35の2価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R36の4価はアミン及びヒドロキシル基と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
前記化学式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールは、最終的に得られるポリベンゾオキサゾールに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(6)において、R35又はR36が芳香族化合物であることが好ましく、R35及びRR36が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(6)のR35において、当該R35に結合している2つの基(−CO−)2は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(6)のR36において、当該R36に結合している4つの基((−NH−)2(−OH)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(6)で表されるポリアミドアルコールは、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位からなるものでもよい。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体を得るための反応に適用可能なジカルボン酸およびその誘導体としては、例えば、特開2011−068888号公報の段落0146に記載のフタル酸等のジカルボン酸、もしくはこれらの酸ハロゲン化物、およびヒドロキシベンゾトリアゾール等との活性エステル体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
また、ヒドロキシジアミンの具体例としては、例えば、特開2011−068888号公報の段落0146に記載の3,3’−ジヒドロキシベンジジン等のヒドロキシジアミンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体は、感光性樹脂組成物とした際の感度を高め、マスクパターンを正確に再現するパターン形状を得るために、1μmの膜厚のときに、露光波長に対して少なくとも5%以上の透過率を示すことが好ましく、15%以上の透過率を示すことが更に好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の透過率が高いということは、それだけ、電磁波のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
露光波長に対してポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の透過率が高いということは、それだけ、電磁波のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、更に好ましくは15%、特に好ましくは50%以上である。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミド等の高分子とした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も低下しやすく、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体などの高分子前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
なお、ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体合成時における溶媒は、極性溶媒が望ましく、特開2011−068888号公報の段落0152に記載の溶媒と同様であってよい。代表的なものとして、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等があり、これらの溶媒は単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
ポリアミック酸やポリベンゾオキサゾール前駆体は、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が進むことにより、溶解性が低下するため、前記化学式(1)で表される塩基発生剤の塩基発生による溶解性の低下と組み合わせることにより、本発明の感光性樹脂組成物の露光部と未露光部の溶解性コントラストをさらに大きくできる利点を有する。
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記化学式(1)で表される塩基発生剤と、1種類以上の高分子前駆体と、溶媒の単純な混合物であってもよいが、さらに、光又は熱硬化性成分、高分子前駆体以外の非重合性バインダー樹脂、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分、塩基増殖剤、増感剤等のその他の成分を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。これらのその他の成分としては、特開2011−068888号公報の段落0158〜0163に記載の成分と同様のものが挙げられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記化学式(1)で表される塩基発生剤と、1種類以上の高分子前駆体と、溶媒の単純な混合物であってもよいが、さらに、光又は熱硬化性成分、高分子前駆体以外の非重合性バインダー樹脂、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分、塩基増殖剤、増感剤等のその他の成分を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。これらのその他の成分としては、特開2011−068888号公報の段落0158〜0163に記載の成分と同様のものが挙げられる。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては、各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、前駆体としてポリアミド酸を用いる場合には、ポリアミド酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどのスルホン類、ヘキサメチルフォスホアミド等のリン酸アミド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒が好適なものとして挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体(固形分)は、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、30重量%以上、50重量%以上含有することが好ましい。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。0.1重量%未満であると露光部と未露光部の溶解性コントラストを十分に大きくできない恐れがあり、95重量%を超えると最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
エポキシ系化合物と組み合わせる場合など、硬化剤として用いられる場合には、硬化の程度にもよるが、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。
一方、硬化促進剤として用いられる場合には、少量の添加で硬化が可能となり、前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内で含有させることが好ましい。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。0.1重量%未満であると露光部と未露光部の溶解性コントラストを十分に大きくできない恐れがあり、95重量%を超えると最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
エポキシ系化合物と組み合わせる場合など、硬化剤として用いられる場合には、硬化の程度にもよるが、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。
一方、硬化促進剤として用いられる場合には、少量の添加で硬化が可能となり、前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内で含有させることが好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体(固形分)は、通常、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、50.1〜99.9重量%、更に62.5〜99.5重量%であることが好ましい。また、前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、通常、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1〜49.9重量%、更に0.5〜37.5重量%であることが好ましい。
なお、感光性樹脂組成物の固形分とは、溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
なお、感光性樹脂組成物の固形分とは、溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
また、その他の溶剤以外の任意成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
以上に述べたように、本発明によれば、高分子前駆体に上記化学式(1)で表される塩基発生剤を混合するだけという簡便な手法で感光性樹脂組成物を得ることができることから、コストパフォーマンスに優れる。
化学式(1)で表される塩基発生剤を構成する芳香族成分含有カルボン酸、並びに、塩基性物質は安価に入手することが可能で感光性樹脂組成物としての価格も抑えられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記化学式(1)で表される塩基発生剤により、多種多様な高分子前駆体の最終生成物への反応促進に適用することができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
また、電磁波の照射により発生したアミンなどの塩基性物質の触媒効果により、例えばポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体から最終生成物へのイミド化などの環化等の反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの負荷や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
さらに、電磁波の照射と加熱により塩基を発生する本発明の塩基発生剤は、高分子前駆体から最終生成物を得る工程に加熱工程が含まれる場合、当該加熱工程を利用できるため、電磁波の照射量を低減することが可能であり、工程の有効利用も可能である。
化学式(1)で表される塩基発生剤を構成する芳香族成分含有カルボン酸、並びに、塩基性物質は安価に入手することが可能で感光性樹脂組成物としての価格も抑えられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記化学式(1)で表される塩基発生剤により、多種多様な高分子前駆体の最終生成物への反応促進に適用することができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
また、電磁波の照射により発生したアミンなどの塩基性物質の触媒効果により、例えばポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体から最終生成物へのイミド化などの環化等の反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの負荷や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
さらに、電磁波の照射と加熱により塩基を発生する本発明の塩基発生剤は、高分子前駆体から最終生成物を得る工程に加熱工程が含まれる場合、当該加熱工程を利用できるため、電磁波の照射量を低減することが可能であり、工程の有効利用も可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、さまざまなコーティングプロセスや成形プロセスに用いられて、フィルムや3次元的形状の成形物を作製することができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、印刷インキ、塗料、シール剤、接着剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、光造形、光学部材等、樹脂材料が用いられる公知の全ての分野、製品に利用できる。塗料、シール剤、接着剤のように、全面露光して用いる用途にも、永久膜や剥離膜などパターンを形成する用途にも、いずれにも好適に用いることができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、印刷インキ、塗料、シール剤、接着剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、光造形、光学部材等、樹脂材料が用いられる公知の全ての分野、製品に利用できる。塗料、シール剤、接着剤のように、全面露光して用いる用途にも、永久膜や剥離膜などパターンを形成する用途にも、いずれにも好適に用いることができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野、製品、例えば、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System(MEMS))、光造形物、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。例えば具体的には、電子部品の形成材料としては、封止材料、層形成材料として、プリント配線基板、層間絶縁膜、配線被覆膜等に用いることができる。また、表示装置の形成材料としては、層形成材料や画像形成材料として、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、レジスト材料、配向膜等に用いることができる。また、半導体装置の形成材料としては、レジスト材料、バッファーコート膜のような層形成材料等に用いることができる。また、光学部品の形成材料としては、光学材料や層形成材料として、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等に用いることができる。また、建築材料としては、塗料、コーティング剤等に用いることができる。また、光造形物の材料としても用いることができる。印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料、いずれかの物品が提供される。
上記の様な特徴を有することから、本発明に係る感光性樹脂組成物は、パターン形成用材料としても用いることが可能である。特に、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する感光性樹脂組成物をパターン形成用材料(レジスト)として用いた場合、それによって形成されたパターンは、ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材又は電子部材を形成するのに適している。
<レリーフパターンの製造方法>
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は形成体を形成し、当該塗膜又は形成体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は形成体を形成し、当該塗膜又は形成体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
上記本発明に係るレリーフパターンの製造方法によれば、前記高分子前駆体と、前記本発明に係る塩基発生剤とを組み合わせて用いることにより、感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うパターン形成が可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布するなどして塗膜を形成したり、適した成型方法で成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定のパターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱することにより、露光部においてのみ、上記化学式(1)で表される塩基発生剤が異性化及び環化して塩基性物質が生成する。塩基性物質は、露光部の高分子前駆体の最終生成物への反応を促進する触媒として作用する。
ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体のように、塩基の触媒作用によって熱硬化温度が低下する高分子前駆体を用いる場合には、先ず、そのような高分子前駆体、及び前記化学式(1)で表される塩基発生剤を組み合わせた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上のパターンを残したい部分を露光する。露光後又は露光と同時に加熱すると、露光部には、塩基性物質が発生し、その部分の熱硬化温度が選択的に低下する。露光後又は露光と同時に、露光部は熱硬化するが未露光部は熱硬化しない処理温度で加熱し、露光部のみ硬化させる。塩基性物質を発生させる加熱工程と、露光部のみ硬化させる反応を行うための加熱工程(露光後ベイク)は、同一の工程としても良いし、別の工程にしても良い。
次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
また、エポキシ基やシアネート基を有する化合物及び高分子のように、塩基の触媒作用によって、反応が開始するような高分子前駆体を用いる場合においても、先ず、そのような高分子前駆体、及び前記式(1)で表される塩基発生剤を組み合わせた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上のパターンを残したい部分を露光する。露光後又は露光と同時に加熱すると、露光部には塩基性物質が発生し、その部分のエポキシ基やシアネート基を有する化合物及び高分子の反応が開始され、露光部のみ硬化する。塩基性物質を発生させる加熱工程と、露光部のみ硬化させる反応を行うための加熱工程(露光後ベイク)は、同一の工程としても良いし、別の工程にしても良い。次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
本発明の感光性樹脂組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒等に溶解後、浸漬法、スプレー法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法、ディスペンス法などによって、シリコンウエハ、金属基板、セラミック基板、樹脂フィルムなどの基材表面に塗布し、加熱して溶剤の大部分を除くことにより、基材表面に粘着性のない塗膜を与えることができる。塗膜の厚みには特に制限はないが、0.5〜50μmであることが好ましく、感度および現像速度面から1.0〜20μmであることがより望ましい。塗布した塗膜の乾燥条件としては、例えば、80〜100℃、1分〜20分が挙げられる。
この塗膜に、所定のパターンを有するマスクを通して、電磁波を照射しパターン状に露光後を行い、加熱後、膜の未露光部分を、適切な現像液で現像して除去することにより、所望のパターン化された膜を得ることができる。
露光工程に用いられる露光方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良く、g線ステッパ、i線ステッパ、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、又はその他の紫外線、可視光線、X線、電子線などを照射可能な投影機や線源を使用することができる。
露光前、露光後又は露光と同時に加熱し、保護基を脱保護させて塩基を発生させるための加熱温度としては、組み合わせる高分子前駆体や目的により適宜選択され、特に限定されない。感光性樹脂組成物が置かれた環境の温度(例えば、室温)による加熱であっても良く、その場合、徐々に塩基が発生する。また、電磁波の照射時に副生される熱によっても塩基が発生するため、電磁波の照射時に副生される熱により実質的に加熱が同時に行われても良い。反応速度を高くし、効率よくアミンを発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。しかしながら、組み合わせて用いられる高分子前駆体によっては、例えば60℃以上の加熱で未露光部についても硬化するものもあるので、好適な加熱温度は、上記に限定されない。
例えば、エポキシ樹脂の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、エポキシ樹脂の種類により適宜選択されるが、通常100℃〜150℃程度である。
なお、露光前に加熱して保護基の脱保護のみを行っても良い。当該電磁波照射前の保護基脱保護のための加熱は、塗膜の乾燥工程であっても良いし、他の加熱工程であっても良い。この場合、加熱温度としては、脱保護が可能な温度を適宜選択すればよいが、40℃〜250℃が好ましく、更に40℃〜180℃が好ましく、時間は10秒以上60分以下が好ましい。
例えば、エポキシ樹脂の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、エポキシ樹脂の種類により適宜選択されるが、通常100℃〜150℃程度である。
なお、露光前に加熱して保護基の脱保護のみを行っても良い。当該電磁波照射前の保護基脱保護のための加熱は、塗膜の乾燥工程であっても良いし、他の加熱工程であっても良い。この場合、加熱温度としては、脱保護が可能な温度を適宜選択すればよいが、40℃〜250℃が好ましく、更に40℃〜180℃が好ましく、時間は10秒以上60分以下が好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物の塗膜は、架橋反応を物理的に促進するためや、露光部のみ硬化させる反応を行うために、露光工程と現像工程の間に、露光後ベイク(Post Exposure Bake:PEB)を行うことが好ましい。当該PEBは、電磁波の照射及び加熱により発生した塩基の作用により、塩基が存在する部位と、未照射で塩基が存在しない部位とでイミド化率等の硬化反応の反応率が異なるようになる温度で行うことが好ましい。例えば、イミド化の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、通常60℃〜200℃程度であり、より好ましくは120℃〜200℃である。熱処理温度が60℃より低いと、イミド化の効率が悪く、現実的なプロセス条件で露光部、未露光部のイミド化率の差を生ずることが難しくなる。一方、熱処理温度が200℃を超えると、アミンが存在していない未露光部でもイミド化が進行する恐れがあり、露光部と未露光部の溶解性の差を生じ難い。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、又はホットプレートによる加熱等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明において、電磁波の照射と加熱により塩基発生剤から塩基が生ずるが、この塩基を発生させるための加熱とPEB工程は同一の工程としてもよいし、別の工程としてもよい。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、又はホットプレートによる加熱等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明において、電磁波の照射と加熱により塩基発生剤から塩基が生ずるが、この塩基を発生させるための加熱とPEB工程は同一の工程としてもよいし、別の工程としてもよい。
(現像液)
現像工程に用いられる現像液としては、前記照射部位の溶解性が変化する溶剤を現像液として用いれば、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
現像工程に用いられる現像液としては、前記照射部位の溶解性が変化する溶剤を現像液として用いれば、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05重量%〜5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の他、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムなどの水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
また、有機溶剤としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、その他テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトニトリルなどを、単独であるいは2種類以上を組み合わせて添加してもよい。現像後は水または貧溶媒にて洗浄を行う。この場合においてもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えても良い。
現像後は必要に応じて水または貧溶媒でリンスを行い、80〜100℃で乾燥しパターンを安定なものとする。このレリーフパターンを、耐熱性のあるものとするために180〜500℃、好ましくは200〜350℃の温度で数十分から数時間加熱することによりパターン化された高耐熱性樹脂層が形成される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り質量部を表す。製造された塩基発生剤は、1H NMR測定により、化学構造を確認した。
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
1H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
5%質量減少温度測定:(株)島津製作所製、示差熱・熱質量同時測定装置DTG−60
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
1H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
5%質量減少温度測定:(株)島津製作所製、示差熱・熱質量同時測定装置DTG−60
(製造例1:塩基発生剤(1)の合成)
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、o−クマリン酸(東京化成工業(株)製)1.00g(6.2mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)1.30g(6.8mmol,1.1eq)を加えた。氷浴下で、ピペリジン(東京化成(株)製)0.66ml(6.8mmol,1.1eq)を加えた後、室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで抽出、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、ろ過することにより、下記式(7)で表わされる桂皮酸アミドAを900mg得た。
100mLフラスコ中、氷浴下アルゴン雰囲気下で桂皮酸アミドA0.50g(2.0mmol)をジメチルホルムアミド5mLに溶解させ、水素化ナトリウム(関東化学(株)製)131mg(3.0mmol、1.5eq)を添加し30分撹拌した。アリルブロミド(東京化成工業(株)製)0.20mL(2.4mmol、1.2eq)を加え、2時間撹拌した。反応液に水、酢酸エチルを添加し、酢酸エチルで抽出したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸にて洗浄し、濃縮することで、下記式(8)で表される塩基発生剤(1)を480mg得た。
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ中、o−クマリン酸(東京化成工業(株)製)1.00g(6.2mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン40mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)1.30g(6.8mmol,1.1eq)を加えた。氷浴下で、ピペリジン(東京化成(株)製)0.66ml(6.8mmol,1.1eq)を加えた後、室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで抽出、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、ろ過することにより、下記式(7)で表わされる桂皮酸アミドAを900mg得た。
100mLフラスコ中、氷浴下アルゴン雰囲気下で桂皮酸アミドA0.50g(2.0mmol)をジメチルホルムアミド5mLに溶解させ、水素化ナトリウム(関東化学(株)製)131mg(3.0mmol、1.5eq)を添加し30分撹拌した。アリルブロミド(東京化成工業(株)製)0.20mL(2.4mmol、1.2eq)を加え、2時間撹拌した。反応液に水、酢酸エチルを添加し、酢酸エチルで抽出したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸にて洗浄し、濃縮することで、下記式(8)で表される塩基発生剤(1)を480mg得た。
(製造例2:塩基発生剤(2)の合成)
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム ブロミド2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2 mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を1.00g得た。
製造例1において、o−クマリン酸を用いる代わりに2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を用いることで下記式(9)で表わされる桂皮酸アミドBを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドBを用いることで下記式(10)で表される塩基発生剤(2)を380mg得た。
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウム ブロミド2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2 mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を1.00g得た。
製造例1において、o−クマリン酸を用いる代わりに2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を用いることで下記式(9)で表わされる桂皮酸アミドBを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドBを用いることで下記式(10)で表される塩基発生剤(2)を380mg得た。
(製造例3:塩基発生剤(3)の合成)
製造例2において、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒドを用いる代わりに2−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)を用いることで2−ヒドロキシ−5−メトキシケイ皮酸を得た。
製造例1において、o−クマリン酸を用いる代わりに2−ヒドロキシ−5−メトキシケイ皮酸を用いることで下記式(11)で表わされる桂皮酸アミドCを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドCを用いることで下記式(12)で表される塩基発生剤(3)を380mg得た。
製造例2において、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒドを用いる代わりに2−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)を用いることで2−ヒドロキシ−5−メトキシケイ皮酸を得た。
製造例1において、o−クマリン酸を用いる代わりに2−ヒドロキシ−5−メトキシケイ皮酸を用いることで下記式(11)で表わされる桂皮酸アミドCを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドCを用いることで下記式(12)で表される塩基発生剤(3)を380mg得た。
(製造例4:塩基発生剤(4)の合成)
製造例2において、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒドを用いる代わりに2−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)を用いることで2−ヒドロキシ−3−メチルケイ皮酸を得た。
製造例1において、o−クマリン酸を用いる代わりに2−ヒドロキシ−3−メチルケイ皮酸を用いることで下記式(13)で表わされる桂皮酸アミドDを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドDを用いることで下記式(14)で表される塩基発生剤(4)を380mg得た。
製造例2において、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒドを用いる代わりに2−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)を用いることで2−ヒドロキシ−3−メチルケイ皮酸を得た。
製造例1において、o−クマリン酸を用いる代わりに2−ヒドロキシ−3−メチルケイ皮酸を用いることで下記式(13)で表わされる桂皮酸アミドDを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドDを用いることで下記式(14)で表される塩基発生剤(4)を380mg得た。
(製造例5:塩基発生剤(5)の合成)
製造例2と同様と同様に、桂皮酸アミドBを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドBを用い、アリルブロミドの代わりにクロチルブロミド(東京化成工業(株)製)を用いることで下記式(15)で表される塩基発生剤(5)を120mg得た。
製造例2と同様と同様に、桂皮酸アミドBを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドBを用い、アリルブロミドの代わりにクロチルブロミド(東京化成工業(株)製)を用いることで下記式(15)で表される塩基発生剤(5)を120mg得た。
(製造例6:塩基発生剤(6)の合成)
製造例2と同様と同様に、桂皮酸アミドBを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドBを用い、アリルブロミドの代わりに3−ブロモ−2−メチル−1−プロペン(東京化成工業(株)製)を用いることで下記式(16)で表される塩基発生剤(6)を100mg得た。
製造例2と同様と同様に、桂皮酸アミドBを得た。
製造例1において、桂皮酸アミドAを用いる代わりに桂皮酸アミドBを用い、アリルブロミドの代わりに3−ブロモ−2−メチル−1−プロペン(東京化成工業(株)製)を用いることで下記式(16)で表される塩基発生剤(6)を100mg得た。
(比較製造例1:比較塩基発生剤(1)の合成)
100mLフラスコ中、製造例で合成した桂皮酸アミドA0.25g(1.1mmol)、シクロヘキシルビニルエーテル(東京化成工業(株)製)0.17mL(1.2mmol、0.55eq)をジメチルホルムアミド5mLに溶解させ、ピリジニウムp−トルエンスルホナート27.5mg(110μmol、0.05eq)を加え、終夜で撹拌した。反応液を濃縮し、酢酸エチルで抽出したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル 10/1〜1/1)により精製することにより、下記式(17)で表される比較塩基発生剤(1)を110mg得た。
100mLフラスコ中、製造例で合成した桂皮酸アミドA0.25g(1.1mmol)、シクロヘキシルビニルエーテル(東京化成工業(株)製)0.17mL(1.2mmol、0.55eq)をジメチルホルムアミド5mLに溶解させ、ピリジニウムp−トルエンスルホナート27.5mg(110μmol、0.05eq)を加え、終夜で撹拌した。反応液を濃縮し、酢酸エチルで抽出したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル 10/1〜1/1)により精製することにより、下記式(17)で表される比較塩基発生剤(1)を110mg得た。
(比較製造例2:比較塩基発生剤(2))
製造例1の上記式(7)で表わされる桂皮酸アミドAを、比較塩基発生剤(2)とした。
製造例1の上記式(7)で表わされる桂皮酸アミドAを、比較塩基発生剤(2)とした。
<塩基発生剤の評価>
合成した塩基発生剤について、以下の測定を行い、評価した。
(1)モル吸光係数
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)をそれぞれアセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値である。モル吸光係数の結果を表1に示す。
合成した塩基発生剤について、以下の測定を行い、評価した。
(1)モル吸光係数
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)をそれぞれアセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値である。モル吸光係数の結果を表1に示す。
(2)塩基発生能および脱保護温度
NMR測定を用いて塩基発生能および脱保護開始温度の評価を行った。
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)について、1mgの試料を石英製NMR管中で重ジメチルスルホキシド0.5mLに溶解させた。
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)について、350nm以下の光をカットするフィルタ(商品名:GG385、厚さ1mm、(株)渋谷光学製)と高圧水銀灯を用いて、断続的に光照射を行い、1H NMRを測定し、異性化反応が進行することを確認した。
NMR測定を用いて塩基発生能および脱保護開始温度の評価を行った。
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)について、1mgの試料を石英製NMR管中で重ジメチルスルホキシド0.5mLに溶解させた。
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)について、350nm以下の光をカットするフィルタ(商品名:GG385、厚さ1mm、(株)渋谷光学製)と高圧水銀灯を用いて、断続的に光照射を行い、1H NMRを測定し、異性化反応が進行することを確認した。
異性化したサンプルを断続的に加熱し、脱保護開始温度を評価した結果を表2に示した。また、脱保護した部位は、塩基発生剤(1)〜(3)、(5)〜(6)については上記化学式(1)におけるR10に導入されたことを1H NMRにて確認した。塩基発生剤(4)については上記化学式(1)におけるR12に導入されたことを1H NMRにて確認した。
比較塩基発生剤(1)は180℃で加熱することにより、脱保護反応が進行し、それに伴い環化反応・塩基の発生が確認できた。また、脱保護した部位は、光塩基発生剤には結合されず脱離成分として存在することが1H NMRにて明らかとなった。
比較塩基発生剤(1)は180℃で加熱することにより、脱保護反応が進行し、それに伴い環化反応・塩基の発生が確認できた。また、脱保護した部位は、光塩基発生剤には結合されず脱離成分として存在することが1H NMRにて明らかとなった。
(3)溶剤溶解性
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)について、各種溶剤に対する溶解性を調べた。具体的には、塩基発生剤について、5wt%以上溶解できるものを◎、1wt%以上〜5wt%未満溶解できるものを○、0.1wt%以上〜1wt%未満溶解するものを△、0.1wt%未満しか溶解しないものを×として評価した。その結果を表3に示す。表3に示されるように、保護基を有しない比較塩基発生剤(2)は溶剤溶解性に劣っているのに対し、本発明の塩基発生剤(1)〜(6)は、溶剤溶解性に非常に優れていることが明らかになった。
塩基発生剤(1)〜(6)、及び比較塩基発生剤(1)〜(2)について、各種溶剤に対する溶解性を調べた。具体的には、塩基発生剤について、5wt%以上溶解できるものを◎、1wt%以上〜5wt%未満溶解できるものを○、0.1wt%以上〜1wt%未満溶解するものを△、0.1wt%未満しか溶解しないものを×として評価した。その結果を表3に示す。表3に示されるように、保護基を有しない比較塩基発生剤(2)は溶剤溶解性に劣っているのに対し、本発明の塩基発生剤(1)〜(6)は、溶剤溶解性に非常に優れていることが明らかになった。
(実施例1〜6:感光性樹脂組成物(1)〜(6)の調製)
塩基発生剤(1)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(1)を調製した。また、塩基発生剤(1)の代わりに、塩基発生剤(2)〜(6)をそれぞれ用いた以外は、感光性樹脂組成物(1)と同様に、感光性樹脂組成物(2)〜(6)をそれぞれ調製した。塩基発生剤(1)〜(6)は無溶媒の状態でエポキシ樹脂に溶解した。
<感光性樹脂組成物(1)の組成>
・エポキシ樹脂(jER828 ジャパンエポキシレジン社製):100重量部
・塩基発生剤(1):15重量部
塩基発生剤(1)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(1)を調製した。また、塩基発生剤(1)の代わりに、塩基発生剤(2)〜(6)をそれぞれ用いた以外は、感光性樹脂組成物(1)と同様に、感光性樹脂組成物(2)〜(6)をそれぞれ調製した。塩基発生剤(1)〜(6)は無溶媒の状態でエポキシ樹脂に溶解した。
<感光性樹脂組成物(1)の組成>
・エポキシ樹脂(jER828 ジャパンエポキシレジン社製):100重量部
・塩基発生剤(1):15重量部
実施例1〜6の感光性樹脂組成物(1)〜(6)をそれぞれ、ガラス上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2枚ずつ得た。感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、160℃で30分間加熱した。当該加熱により気泡の発生は確認されなかった。加熱した塗膜をイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解せず、エポキシ樹脂が硬化したことが明らかになった。一方、露光をせずに加熱した塗膜については、上記混合溶液に溶解した。
(比較例1〜2:比較感光性樹脂組成物(1)〜(2)の調製)
塩基発生剤(1)の代わりに、比較塩基発生剤(1)または(2)をそれぞれ用いた以外は、感光性樹脂組成物(1)と同様に、比較感光性樹脂組成物(1)、及び比較感光性樹脂組成物(2)を調製した。
比較塩基発生剤(2)は、溶解性が低いため、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量部しか溶解しなかった。
比較例1〜2の比較感光性樹脂組成物(1)〜(2)をそれぞれ、ガラス上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2枚ずつ得た。感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、160℃で30分間加熱した。比較感光性樹脂組成物(1)を利用し、光照射した塗膜は、上記加熱により気泡の発生を確認した。加熱した塗膜をイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、比較感光性樹脂組成物(1)を利用し、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解せず、エポキシ樹脂が硬化したことが明らかになった。一方、露光をせずに加熱した塗膜については、上記混合溶液に溶解した。また、比較感光性樹脂組成物(2)を利用し、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解した。比較感光性樹脂組成物(2)は、比較塩基発生剤(2)の溶解性が悪いため、必要量の塩基発生剤を含むことができなかったためであると推測される。
塩基発生剤(1)の代わりに、比較塩基発生剤(1)または(2)をそれぞれ用いた以外は、感光性樹脂組成物(1)と同様に、比較感光性樹脂組成物(1)、及び比較感光性樹脂組成物(2)を調製した。
比較塩基発生剤(2)は、溶解性が低いため、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量部しか溶解しなかった。
比較例1〜2の比較感光性樹脂組成物(1)〜(2)をそれぞれ、ガラス上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2枚ずつ得た。感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、160℃で30分間加熱した。比較感光性樹脂組成物(1)を利用し、光照射した塗膜は、上記加熱により気泡の発生を確認した。加熱した塗膜をイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、比較感光性樹脂組成物(1)を利用し、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解せず、エポキシ樹脂が硬化したことが明らかになった。一方、露光をせずに加熱した塗膜については、上記混合溶液に溶解した。また、比較感光性樹脂組成物(2)を利用し、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解した。比較感光性樹脂組成物(2)は、比較塩基発生剤(2)の溶解性が悪いため、必要量の塩基発生剤を含むことができなかったためであると推測される。
(合成例1:ポリイミド前駆体(1)の合成)
ジ(4−アミノフェニル)エーテル10.0g(50mmol)を300mLの3つ口フラスコに投入し、105.4mLの脱水されたN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ3,3’,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.7g(50mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、重量平均分子量10,000のポリアミド酸(ポリイミド前駆体(1))を白色固体として定量的に得た。
ジ(4−アミノフェニル)エーテル10.0g(50mmol)を300mLの3つ口フラスコに投入し、105.4mLの脱水されたN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ3,3’,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.7g(50mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、重量平均分子量10,000のポリアミド酸(ポリイミド前駆体(1))を白色固体として定量的に得た。
(実施例7:感光性樹脂組成物(7)の調製)
塩基発生剤(2)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(7)を調製した。
<感光性樹脂組成物(7)の組成>
・ポリイミド前駆体(1):85重量部
・塩基発生剤(2):15重量部
・溶剤(NMP(N−メチルピロリドン)):843重量部
塩基発生剤(2)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(7)を調製した。
<感光性樹脂組成物(7)の組成>
・ポリイミド前駆体(1):85重量部
・塩基発生剤(2):15重量部
・溶剤(NMP(N−メチルピロリドン)):843重量部
感光性樹脂組成物(7)をガラス上に最終膜厚1.0μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を3枚得た。感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2で全面露光を行った。1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2でパターン状に露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、160℃で10分間加熱した。加熱した塗膜をテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液に浸漬したところ、露光後加熱した塗膜についてはNMPに溶解せず、ポリイミド前駆体が硬化したことが明らかになった。一方、露光をせずに加熱した塗膜については、NMPに溶解した。また、パターン状に露光した塗膜については、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、パターン状塗膜を350℃で1時間加熱しイミド化を行った。この結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、良好なパターンを形成できることが明らかとなった。
(実施例8:感光性樹脂組成物(8)の調製)
イソシアナート樹脂としてヘキサメチレンジイソシアナート(関東化学製)100重量部、水酸基を持つ樹脂としてポリテトラヒドロフラン(アルドリッチ製)150重量部、塩基発生剤(2)10重量部、テトラヒドロフラン500重量部からなる感光性樹脂組成物(8)を調製した。
イソシアナート樹脂としてヘキサメチレンジイソシアナート(関東化学製)100重量部、水酸基を持つ樹脂としてポリテトラヒドロフラン(アルドリッチ製)150重量部、塩基発生剤(2)10重量部、テトラヒドロフラン500重量部からなる感光性樹脂組成物(8)を調製した。
感光性樹脂組成物(8)をクロムめっきされたガラス上に最終膜厚が0.5μmになるようにスピンコートし、60℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を1枚得た。得られた塗膜を、手動露光機を用いて高圧水銀灯により1J/cm2全面露光を行った。その後、120℃で10分間加熱し、室温まで冷却したところ、低弾性の固形物が得られ、イソシアナート基と水酸基との硬化が進行したことを確認した。
(合成例2:金属アルコキシド縮合物の合成)
冷却管をつけた100mlのフラスコにフェニルトリエトキシシラン5g、トリエトキシシラン10g、アンモニア水0.05g、水5ml及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50mlを加えた。半円形型のメカニカルスターラーを用いて溶液を撹拌し、マントルヒーターを用いて70℃で6時間反応させた。次いでエバポレーターを用いて水との縮合反応で生成したエタノールと残留水とを除去した。反応終了後、フラスコを室温になるまで放置し、アルコキシシランの縮合物(アルコキシシラン縮合物(1))を調製した。
冷却管をつけた100mlのフラスコにフェニルトリエトキシシラン5g、トリエトキシシラン10g、アンモニア水0.05g、水5ml及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50mlを加えた。半円形型のメカニカルスターラーを用いて溶液を撹拌し、マントルヒーターを用いて70℃で6時間反応させた。次いでエバポレーターを用いて水との縮合反応で生成したエタノールと残留水とを除去した。反応終了後、フラスコを室温になるまで放置し、アルコキシシランの縮合物(アルコキシシラン縮合物(1))を調製した。
(実施例9:感光性樹脂組成物(9)の調製)
上記合成例2で得られたアルコキシシラン縮合物(1)100重量部と、塩基発生剤(2)10重量部とを混合した後、溶剤であるテトラヒドロフラン500重量部に溶解させ、感光性樹脂組成物(9)を調製した。
上記合成例2で得られたアルコキシシラン縮合物(1)100重量部と、塩基発生剤(2)10重量部とを混合した後、溶剤であるテトラヒドロフラン500重量部に溶解させ、感光性樹脂組成物(9)を調製した。
感光性樹脂組成物(9)をクロムめっきされたガラス2枚の上に、それぞれ最終膜厚が0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を2枚得た。感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った。その後、露光を行った塗膜と未露光の塗膜のそれぞれについて、120℃で30分間加熱した。加熱前後のサンプルに対してそれぞれ、赤外線吸収スペクトル測定を行った。その結果、露光を行った塗膜の加熱後のサンプルについては、重合したことを示すSi-O-Si結合に帰属される1020cm-1のピークが出現し、原料を示すSi-OCH3に帰属される2850cm-1と850cm-1のピークは加熱前のサンプルよりも減少した。未露光の塗膜の加熱後のサンプルについても、重合したことを示すSi-O-Si結合に帰属される1020cm-1のピークが出現したが、露光を行った塗膜と比較するとそのピークは小さかった。これらにより、本願の光塩基発生剤を用いて、露光を行うと塩基が発生し、アルコキシシラン縮合物の重合を促進することが明らかになった。
Claims (8)
- 下記化学式(1)で表され、且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤。
- 40℃〜250℃の加熱により、クライゼン転位反応が進行する、請求項1に記載の塩基発生剤。
- 塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、下記化学式(1)で表され、且つ電磁波の照射と加熱により塩基を発生する塩基発生剤を含有する、感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上を含む、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
- 塗料、印刷インク、シール材、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられる請求項3又は4に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記請求項3乃至5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料。
- 前記請求項3乃至5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は形成体を形成し、当該塗膜又は形成体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とするレリーフパターンの製造方法。
- 前記請求項3乃至5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール材、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品。
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