JP2012093744A - 感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法並びに物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時にアウトガスや臭気の発生が少なく、高分子前駆体の種類を問わず、形状が良好なパターンを得ることができる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、特定の構造を有し、電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤を含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物である。
【選択図】なし
【解決手段】塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、特定の構造を有し、電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤を含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、電磁波の照射及び加熱により塩基を発生する塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物に関し、特に、電磁波によるパターニング工程、又は硬化促進工程を経て形成される製品又は部材の材料として好適に利用することが出来る感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、レリーフパターンの製造方法、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
感光性樹脂組成物は、例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤などに用いられ、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材に好適に利用されてきている。
例えば、高分子材料であるポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すため、電子部品の絶縁材料等へ広く適用され、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとして盛んに利用されてきている。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、ポリイミドと類似の加工工程が適用される低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
例えば、高分子材料であるポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すため、電子部品の絶縁材料等へ広く適用され、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとして盛んに利用されてきている。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、ポリイミドと類似の加工工程が適用される低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
一般にポリイミドは溶媒への溶解性に乏しく、加工が困難なため、ポリイミドを所望の形状にパターニングする方法として、溶媒溶解性に優れるポリイミド前駆体の状態で露光と現像によるパターニングを行い、その後、熱処理等によりイミド化を行いポリイミドのパターンを得るという方法がある。
ポリイミド前駆体を利用して、パターンを形成する手段として、種々の方法が提案されている。その代表的なものは以下の二つである。
(1)ポリイミド前駆体にはパターン形成能力がなく、ポリイミド前駆体上に感光性樹脂をレジスト層として設けることによりパターンを形成する方法
(2)ポリイミド前駆体自身に感光性部位を結合や配位させて導入し、その作用により、パターンを形成する方法。または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターンを形成する方法。
(1)ポリイミド前駆体にはパターン形成能力がなく、ポリイミド前駆体上に感光性樹脂をレジスト層として設けることによりパターンを形成する方法
(2)ポリイミド前駆体自身に感光性部位を結合や配位させて導入し、その作用により、パターンを形成する方法。または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターンを形成する方法。
上記(2)を用いるパターニング手法の代表的なものとしては、(i)ポリイミド前駆体のポリアミック酸に電磁波の露光前は溶解抑止剤として作用し、露光後はカルボン酸を形成し溶解促進剤となるナフトキノンジアジド誘導体を混合し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法や(特許文献1)、(ii)ポリイミド前駆体にエステル結合またはイオン結合を介してメタクリロイル基を導入し、そこに光ラジカル発生剤を添加し、露光部を架橋させることで露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法などが実用化されている(特許文献2)。
(2)の手法は、(1)の方法と比べ、レジスト層が必要ないため大幅にプロセスを簡略化させることができるが、(i)の方法では、溶解性コントラストを高めるためにナフトキノンジアジド誘導体の添加量を増加させると、ポリイミド本来の物性が得られなくなるという問題があった。また(ii)の方法では、ポリイミド前駆体の構造が制約されてしまうという問題があった。
この他のパターニング手法としては、(iii)ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光塩基発生剤を混合し、露光後加熱することで露光によって発生した塩基の作用によって環化を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法が報告されている(特許文献3)。
光塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物としては、その他に、エポキシ系化合物を用いた例がある(例えば、特許文献4)。光塩基発生剤に光を照射することによってエポキシ系化合物を含む層中でアミン類を発生させることで、アミン類が開始剤あるいは触媒として作用し、露光部だけエポキシ系化合物を硬化させることができ、パターン形成を行うことができる。
非特許文献1には、アミンの光反応性保護基として、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸を用いることが開示されている。また、特許文献5には、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミドを光塩基発生剤として用い、当該光塩基発生剤と塩基反応性樹脂とを含む感光性樹脂組成物が開示されている。更に、本発明者らも、o−ヒドロキシ−トランス−桂皮酸アミド誘導体を光環化型の光塩基発生剤として用い、当該光塩基発生剤と高分子前駆体とを含む感光性樹脂組成物を特許文献6に開示している。これらの光塩基発生剤は高温耐性に優れるため、加熱により未露光部分において塩基を発生することなくパターン形成を行うことができる。
Chem. Pharm. Bull. 1997, 45(4) p.715-718
光塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物は、既存の高分子前駆体に、光塩基発生剤を一定比率で混合するだけで感光性高分子前駆体を得ることができるため、樹脂組成物を製造するプロセスが簡便である。特に、従来用いる前駆体化合物の構造が制約されたポリイミド前駆体にとっては、種々の構造のポリイミド前駆体に適用できるため汎用性が高いという利点がある。しかし、従来の光塩基発生剤は、塩基発生後の吸光団部位が、樹脂膜乃至成形体中に独立した低分子化合物として残存してしまうため、使用時のアウトガスや臭気の発生が懸念されている。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その主目的は、使用時にアウトガスや臭気の発生が少なく、高分子前駆体の種類を問わず、形状が良好なパターンを得ることができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、下記化学式(1)で表わされ電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を吸光団部位に有するため、加熱及び/又は電磁波照射後に、塩基発生後の吸光団部位が高分子前駆体と結合して固定される。従って、使用時にアウトガスや臭気の発生が少なくなる。
本発明に係る感光性樹脂組成物においては、前記塩基発生剤は、式(1)中のR3及びR4がいずれも水素原子であり、R5、R6、R7及びR8のいずれかが、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有することが、高感度を達成する点から好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物においては、前記高分子前駆体が、エポキシ基、イソシアナト基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、並びにポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体と、前記塩基発生剤としては、以下のものが好適な組み合わせとして挙げられる。
(i)前記高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、アミノ基、カルボキシル基、又は水酸基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤である;
(ii)前記高分子前駆体が、イソシアナト基、イソチオシアナト基、水酸基、又はアミノ基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、イソシアナト基、チオイソシアナト基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤である;
(iii)前記高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、又はカルボキシル基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、水酸基又はアミノ基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤である。
(i)前記高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、アミノ基、カルボキシル基、又は水酸基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤である;
(ii)前記高分子前駆体が、イソシアナト基、イソチオシアナト基、水酸基、又はアミノ基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、イソシアナト基、チオイソシアナト基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤である;
(iii)前記高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、又はカルボキシル基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、水酸基又はアミノ基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤である。
また、本発明は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料を提供する。
さらに本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いるレリーフパターンの製造方法を提供する。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、上記感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
さらに本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いるレリーフパターンの製造方法を提供する。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、上記感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品も提供する。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、加熱及び/又は電磁波照射後に、塩基発生剤の吸光団部位が高分子前駆体と結合して固定されることにより、使用時にアウトガスや臭気の発生が少ない。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、有機基とは、少なくとも1つの炭素原子を含む官能基の総称を表す。
また、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、有機基とは、少なくとも1つの炭素原子を含む官能基の総称を表す。
また、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
<感光性樹脂組成物>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、下記化学式(1)で表わされ電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、下記化学式(1)で表わされ電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明に用いられる塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電磁波が照射されることにより、下記式で示されるように、式(1)中の(−CR4=CR3−C(=O)−)部分がトランス体からシス体へと異性化する。さらに加熱及び/又は電磁波の照射によって、R9が保護基である場合は保護基R9が脱保護されると共に環化し、塩基(NHR1R2)を生成する。発生した塩基の触媒作用によって、高分子前駆体が最終生成物となる際の反応が開始される温度を下げたり、高分子前駆体が最終生成物となる硬化反応を開始することができる。更に、本発明においては、前記加熱及び/又は電磁波の照射によって、前記高分子前駆体と塩基発生剤が反応して共有結合を形成し、塩基発生剤が高分子前駆体に固定される。
本発明に用いられる塩基発生剤においては、炭素炭素二重結合のオルト位の水酸基は塩基発生のための分子内環化に用いられる。そのため、当該オルト位の水酸基以外に、前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有するようにする。
本発明に用いられる塩基発生剤においては、炭素炭素二重結合のオルト位の水酸基は塩基発生のための分子内環化に用いられる。そのため、当該オルト位の水酸基以外に、前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有するようにする。
前記高分子前駆体は、前記塩基発生剤から発生した塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進され、溶解性が変化する。この様な高分子前駆体の溶解性の変化により、本発明に係る感光性樹脂組成物は、露光部と未露光部との間で溶解性に差が生じ、すなわち、溶解性コントラストが大きくなり、パターン形成が可能となる。
従来の光塩基発生剤は、塩基発生後の吸光団部位が、樹脂膜乃至成形体中に独立した低分子化合物として残存してしまうため、使用時のアウトガスや臭気の発生が懸念されていた。独立した低分子化合物として残存すると、光照射時及びポストベイク時等の使用時に揮発してアウトガスや臭気を発生させたり、揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着したり、或いは、揮発しないで最終製品中に残留して製品の耐熱性や安定性を損ねる等の問題を来たす恐れがある。
その点、本発明の感光性樹脂組成物では、高分子前駆体と塩基発生剤との組み合わせにおいて、塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有するように、選択して組み合わせる。そのため、加熱及び/又は電磁波照射後に、塩基発生剤の吸光団部位が高分子前駆体と共有結合を形成して固定され、光照射時やポストベイク時等の使用時にアウトガスや臭気の発生が少なくなる。
また、揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着する塩基発生剤由来の分解物の量、或いは、現像液や洗浄液に溶出する塩基発生剤由来の分解物の量も著しく削減される。さらに、硬化後に残留する塩基発生剤由来の低分子化合物の量も少なくなり、最終製品の耐熱性や安定性も向上される。
また、前記高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基のいずれか1種以上を有し、且つ、前記塩基発生剤がエポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基のいずれか1種以上を有する場合など、高分子前駆体と塩基発生剤が同種又は類似の置換基を有することにより、相溶性が高くなるというメリットも有する。高分子前駆体との親和性に優れると、感光性樹脂組成物中に光塩基発生剤を十分機能を発揮できる量で用いることができるため、感度の高い感光性樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いられる塩基発生剤は、優れた感度を有し、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される様々な高分子前駆体に対して利用可能であるため、高分子前駆体の種類を問わず、形状が良好なパターンを得ることができる。そのため、本発明の感光性樹脂組成物は、適用できる高分子前駆体の範囲が広く、その高分子前駆体と塩基発生剤の溶解性の変化等の特性を生かすことが出来る分野で広く応用される。
さらに本発明の感光性樹脂組成物においては、光酸発生剤を用いる場合と異なり、塩基が金属の腐食を起こさないため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。
また、パターン形成工程に加熱工程を含む場合、本発明の感光性樹脂組成物は、塩基の発生を促進させる加熱において、前記加熱工程を利用することが可能であり、当該加熱工程を利用する分、電磁波の照射量を少なくできる利点を有する。そのためこの様な加熱工程を含む工程で用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物は、電磁波照射のみで塩基を発生させる従来の樹脂組成物と比べ、工程の合理化も可能となる。
さらに本発明の感光性樹脂組成物においては、光酸発生剤を用いる場合と異なり、塩基が金属の腐食を起こさないため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。
また、パターン形成工程に加熱工程を含む場合、本発明の感光性樹脂組成物は、塩基の発生を促進させる加熱において、前記加熱工程を利用することが可能であり、当該加熱工程を利用する分、電磁波の照射量を少なくできる利点を有する。そのためこの様な加熱工程を含む工程で用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物は、電磁波照射のみで塩基を発生させる従来の樹脂組成物と比べ、工程の合理化も可能となる。
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物の構成成分に関し、塩基発生剤、高分子前駆体、及び、必要に応じて適宜含むことができるその他の成分について順に説明する。
塩基発生剤及び高分子前駆体としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
塩基発生剤及び高分子前駆体としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
(塩基発生剤)
本発明に用いられる塩基発生剤は、上記化学式(1)で表わされ電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により、感光性樹脂組成物中に含まれる高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤である。上記化学式(1)のR3、R4、R5、R6、R7及びR8のいずれかは、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有する。
本発明に用いられる塩基発生剤は、上記化学式(1)で表わされ電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により、感光性樹脂組成物中に含まれる高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤である。上記化学式(1)のR3、R4、R5、R6、R7及びR8のいずれかは、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有する。
加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、組み合わせて用いられる高分子前駆体と反応して共有結合を形成可能な置換基を適宜選択すれば良く、特に限定されない。加熱及び/又は電磁波の照射により高分子前駆体が有する官能基と直接反応可能な官能基であっても良いし、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して、高分子前駆体が有する官能基と共有結合を形成可能な官能基となる置換基(ブロック化共有結合形成基)であっても良い。
加熱及び/又は電磁波の照射により高分子前駆体が有する官能基と直接反応可能な官能基としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアナト基(−N=C=O)、チオイソシアナト基(−N=C=S)、水酸基、カルボキシル基、ジエニル基(−CH=CH−CH=CH2)、アルケニル基(−CH=CH2)又は(メタ)アクリロイル基(−CO−CR=CH2;ここでRは水素原子又はメチル基)のようなエチレン性不飽和結合を含む官能基、アルキニル基(−C≡CH)、ニトリル基(−C≡N)、アジド基(−N−N≡N)等の反応性を有する官能基から適宜選択して用いられる。
エポキシ基は、直接結合している2原子の炭素を酸素原子で結んだ環状エーテル(オキシド)であって、3員環をなす構造を有するものである。エポキシ基を含む官能基としては、例えば、グリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。中でも、導入し易さの点から、グリシジル基が好ましい。
オキセタン基としては、炭素鎖で結合している2原子の炭素を酸素原子で結んだ環状エーテル化合物のうち、4員環をなす構造を有するものであり、例えば、下記化学式で表わされる基が導入されていることが好ましい。
チイラン基は、エピスルフィド基ともいい、直接結合している2原子の炭素を硫黄原子で結んだ環状チオエーテルであって、3員環をなす構造を有するものである。グリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基のエポキシ基における酸素原子が硫黄原子に置換された官能基が好適に用いられる。
R3、R4、R5、R6、R7及びR8のいずれかにおいて、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基を含む官能基は、例えば、グリシジルエーテル基やグリシジルエステル基のように、水酸基を介して導入された構造である酸素原子(−O−)を含む構造であることが、合成上及び感度の点から好ましい。
一方、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して、高分子前駆体が有する官能基と共有結合を形成可能な官能基となる置換基を、本発明においてはブロック化共有結合形成基という。ここで“共有結合形成基”とは、他の官能基と反応して共有結合を形成可能な官能基をいう。このように加熱及び/又は電磁波の照射前には、共有結合形成基がブロック化されている場合、保存安定性に優れたり、溶解性が向上するというメリットがある。
また、“構造の一部が変化する”とは、保護基(ブロック化剤)の脱離、及び/又は、転移反応等により、元の置換基の構造の一部が変化する態様が挙げられる。更に、“ブロック化”とは、ある官能基を一時的に別の化合物と反応させておき官能基の反応活性を落とし、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化するまで官能基の反応活性を利用できない状態をいう。“ブロック化”の態様には、最終的に利用したい官能基を一時的に別の化合物と反応させる場合の他、後述する式(3−6)の例のように、最終的に利用したい官能基とは異なる官能基を一時的に別の化合物と反応させておき、その後転移反応を伴い最終的に利用したい官能基とする場合も含まれる。
また、“構造の一部が変化する”とは、保護基(ブロック化剤)の脱離、及び/又は、転移反応等により、元の置換基の構造の一部が変化する態様が挙げられる。更に、“ブロック化”とは、ある官能基を一時的に別の化合物と反応させておき官能基の反応活性を落とし、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化するまで官能基の反応活性を利用できない状態をいう。“ブロック化”の態様には、最終的に利用したい官能基を一時的に別の化合物と反応させる場合の他、後述する式(3−6)の例のように、最終的に利用したい官能基とは異なる官能基を一時的に別の化合物と反応させておき、その後転移反応を伴い最終的に利用したい官能基とする場合も含まれる。
ブロック化共有結合形成基としては、例えば、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基となる置換基や、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となる置換基や、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してアルキニル基となる置換基が挙げられる。
本発明の塩基発生剤において、ブロック化されて潜在的に導入される共有結合形成基としては、アミノ基(−NH2)であっても用いることができる。例えば、光照射前に加熱して、構造の一部が変化してアミノ基になって、当該加熱条件でアミノ基と反応可能な官能基と反応して系内に塩基発生剤が固定化され、その後光照射後に塩基を発生させ、当該塩基を利用すれば良い。
本発明の塩基発生剤において、ブロック化されて潜在的に導入される共有結合形成基としては、アミノ基(−NH2)であっても用いることができる。例えば、光照射前に加熱して、構造の一部が変化してアミノ基になって、当該加熱条件でアミノ基と反応可能な官能基と反応して系内に塩基発生剤が固定化され、その後光照射後に塩基を発生させ、当該塩基を利用すれば良い。
加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基となる置換基としては、水酸基の末端の水素原子が下記式(2−1)〜下記式(2−6)で表わされる有機基よりなる群から選択される1種以上で置換された構造を有することが、合成が容易な点から好ましい。
また、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してカルボキシル基となる置換基としては、カルボキシル基の末端の水素原子が上記式(2−1)で表わされる有機基、下記式(2−3)で表わされる有機基、及び有機基よりなる群から選択される1種以上で置換された構造を有することが、合成が容易な点から好ましい。カルボキシル基の末端の水素原子が有機基により置換された構造は、エステル基(−COOR41;ここで、R41は有機基である)である。中でも、カルボキシル基の末端の水素原子が、下記式(2−1)又は下記式(2−3)で表わされる有機基で置換された構造を有することが、合成が容易な点から好ましくい。
また、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してアミノ基(−NH2)となる置換基としては、アミノ基(−NH2)の末端の1つの水素原子が下記式(2−2)で表わされる有機基で置換された構造を有することが、合成が容易な点から好ましい。
上記式(2−1)で表される有機基は、水酸基やカルボキシル基とビニルエーテル化合物との反応により得ることができる。
式(2−1)中、R30、R31、R32は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基、アリル基、アリール基が好ましい。上記式(2−1)で表される有機基のR33は、炭素数が1以上の有機基である。R33は、炭化水素骨格を有する基が例示される。炭化水素骨格を有する基は、ヘテロ原子等の炭化水素以外の結合や置換基を含んでいてもよいし、そのようなヘテロ原子の部分が芳香環に組み込まれて複素環となっていても良い。炭化水素骨格を有する基としては、例えば、直鎖、分岐鎖、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、或いは、フェニル、ナフチル等の芳香族基、さらには、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にエーテル結合を含有する基(例えば、−(R−O)n−R’、ここでR及びR’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、nは1以上の整数;-R”−(O−R”’)m、ここでR”及びR”’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、mは1以上の整数、−(O−R”’)mはR”の末端とは異なる炭素に結合している;などが挙げられる。)、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にチオエーテル結合を含有する基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格上にシアノ基、シリル基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。また、上記式(2−1)で表される有機基のR33は、R30やR31と連結して環状構造を有していても良い。
式(2−1)中、R30、R31、R32は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基、アリル基、アリール基が好ましい。上記式(2−1)で表される有機基のR33は、炭素数が1以上の有機基である。R33は、炭化水素骨格を有する基が例示される。炭化水素骨格を有する基は、ヘテロ原子等の炭化水素以外の結合や置換基を含んでいてもよいし、そのようなヘテロ原子の部分が芳香環に組み込まれて複素環となっていても良い。炭化水素骨格を有する基としては、例えば、直鎖、分岐鎖、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、或いは、フェニル、ナフチル等の芳香族基、さらには、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にエーテル結合を含有する基(例えば、−(R−O)n−R’、ここでR及びR’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、nは1以上の整数;-R”−(O−R”’)m、ここでR”及びR”’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、mは1以上の整数、−(O−R”’)mはR”の末端とは異なる炭素に結合している;などが挙げられる。)、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にチオエーテル結合を含有する基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格上にシアノ基、シリル基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。また、上記式(2−1)で表される有機基のR33は、R30やR31と連結して環状構造を有していても良い。
前記式(2−1)中のR33は、炭素数が1〜18であることが、分解物の揮発性の点から好ましく、炭素数が3〜10であることが更に好ましい。
前記式(2−1)のR33としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、シクロヘキシロキシプロピル基、2−テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。また、前記式(2−1)においてR33が、R30やR31と連結して環状構造となり、−O−に結合する置換基が2−テトラヒドロピラニル基等の環状エーテルとなったもの等が挙げられる。
前記式(2−1)のR33としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、シクロヘキシロキシプロピル基、2−テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。また、前記式(2−1)においてR33が、R30やR31と連結して環状構造となり、−O−に結合する置換基が2−テトラヒドロピラニル基等の環状エーテルとなったもの等が挙げられる。
上記式(2−2)で表される有機基は、例えば、水酸基やアミノ基と、所謂カーボネート系保護基との反応により得ることができる。
カーボネート系保護基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル基(Boc−)、ベンジルオキシカルボニル基(Z−)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc−)、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメトキシカルボニル基(Bsmoc−)、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エトキシカルボニル基(Nsc−)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe−))、アリルオキシカルボニル基(Alloc−)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(Troc−)等が挙げられる。
カーボネート系保護基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル基(Boc−)、ベンジルオキシカルボニル基(Z−)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc−)、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメトキシカルボニル基(Bsmoc−)、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エトキシカルボニル基(Nsc−)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe−))、アリルオキシカルボニル基(Alloc−)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(Troc−)等が挙げられる。
前記式(2−2)のR34としては特に限定されないが、例えば、tert−ブチル基、ベンジル基、9−フルオレニルメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、アリル基、p−メトキシベンジル基、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル基、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基、o−ニトロベンジル基等が挙げられる。o−ニトロベンジル基の場合には、電磁波照射により脱保護が可能である。
上記式(2−3)で表される有機基は、例えば、水酸基やカルボキシル基と、シリルエーテル系保護基との反応により得ることができる。
シリルエーテル系保護基としては例えば、トリメチルシリル基(TMS−)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBDMS−)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS−)、トリイソプロピルシリル基(TIPS−)、tert-ブトキシジフェニルシリル基等が挙げられる。
前記式(2−3)のR35、R36、R37としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基、アルコキシ基が好適に用いられる。
シリルエーテル系保護基としては例えば、トリメチルシリル基(TMS−)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBDMS−)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS−)、トリイソプロピルシリル基(TIPS−)、tert-ブトキシジフェニルシリル基等が挙げられる。
前記式(2−3)のR35、R36、R37としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基、アルコキシ基が好適に用いられる。
上記式(2−4)で表される有機基は、例えば、水酸基と、酸塩化物または酸無水物により得ることができる。
式(2−4)で表されるエステル系保護基としては、例えば、アセチル基(Ac−)、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記式(2−4)のR38としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
式(2−4)で表されるエステル系保護基としては、例えば、アセチル基(Ac−)、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記式(2−4)のR38としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
上記式(2−5)で表される有機基は、例えば、Williamson反応を用いて、水酸基とハロゲン化物により得ることができる。
式(2−5)で表されるエーテル系保護基としては、例えば、置換基を有していても良いベンジル基等が挙げられる。
前記式(2−5)のR39は置換基を有していても良い芳香環であり、特に限定されないが、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。特に、式(2−5)で表される有機基が、o−ニトロベンジル基の場合、すなわち、R39が2−ニトロフェニル基の場合には、電磁波照射により脱保護が可能である。
式(2−5)で表されるエーテル系保護基としては、例えば、置換基を有していても良いベンジル基等が挙げられる。
前記式(2−5)のR39は置換基を有していても良い芳香環であり、特に限定されないが、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。特に、式(2−5)で表される有機基が、o−ニトロベンジル基の場合、すなわち、R39が2−ニトロフェニル基の場合には、電磁波照射により脱保護が可能である。
上記式(2−6)で表される有機基は、例えば、水酸基と、イソシアネートとの反応により得ることができる。
カルバメート系保護基としては、例えば、ベンジルイソシアネート等が挙げられる。
前記式(2−6)のR40としては特に限定されないが、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
カルバメート系保護基としては、例えば、ベンジルイソシアネート等が挙げられる。
前記式(2−6)のR40としては特に限定されないが、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
カルボキシル基の末端の水素原子が有機基により置換された構造、エステル基(−COOR41;ここで、R41は有機基である)としては、Williamson反応を用いて、カルボキシル基と水酸基の反応により得ることができる。
上記エステル基のR41としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
上記エステル基のR41としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
また、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となる置換基としては、公知のイソシアナト基をブロック化する反応や、転移によりイソシアナト基を形成する反応を利用して得ることができる。
加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となる置換基としては、下記式(3−1)〜下記式(3−6)で表わされる置換基よりなる群から選択される1種以上の構造を含むことが、合成が容易な点から好ましい。下記式(3−1)〜下記式(3−6)で表わされる置換基は、加熱及び/又は電磁波の照射により解離又は転移して、イソシアナト基又はチオイソシアナト基となる。
加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となる置換基としては、下記式(3−1)〜下記式(3−6)で表わされる置換基よりなる群から選択される1種以上の構造を含むことが、合成が容易な点から好ましい。下記式(3−1)〜下記式(3−6)で表わされる置換基は、加熱及び/又は電磁波の照射により解離又は転移して、イソシアナト基又はチオイソシアナト基となる。
上記式(3−1)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、アルコールやフェノール等の水酸基含有化合物との反応により得ることができる。
式(3−1)のR42としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
式(3−1)のR42としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
上記式(3−2)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、活性メチレン基を有する化合物との反応により得ることができる。ここで活性メチレン基とは、反応活性を有するメチレン基(−CH2−)をいい、2つの電子吸引性基で挟まれたメチレン基を意味する。ここでの電子吸引性基とは、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスホノ基などが挙げられる。
活性メチレン基を有する化合物としては、例えば、マロン酸ジメチルやマロン酸ジエチル等のマロン酸エステル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル、アセチルアセトン、マロノニトリル、シアノ酢酸エチル、ニトロ酢酸エチル、p-トリススルホニル酢酸エチル、フェニルスルフィニル酢酸 エチル、ホスホノ酢酸トリメチル等を用いることができる。中でも、マロン酸エステル、アセト酢酸エステルが反応性の点から好ましい。
活性メチレン基を有する化合物としては、例えば、マロン酸ジメチルやマロン酸ジエチル等のマロン酸エステル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル、アセチルアセトン、マロノニトリル、シアノ酢酸エチル、ニトロ酢酸エチル、p-トリススルホニル酢酸エチル、フェニルスルフィニル酢酸 エチル、ホスホノ酢酸トリメチル等を用いることができる。中でも、マロン酸エステル、アセト酢酸エステルが反応性の点から好ましい。
式(3−2)のEwは、活性メチレン基を有する化合物における残基であり、特に限定されない。例えば、エステル基(−COOR)、アシル基(−COR)、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO2)、スルホニル基(−S(=O)2R)、スルフィニル基(−S(=O)R)、ホスホ基(−P(=O)(OR)2))等(ここで、Rは有機基)が挙げられる。
上記式(3−3)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、ホルマルドオキシム、アセタルドオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、2−ブタノンオキシム又はジエチルグリオキシムなどのオキシムとの反応により得ることができる。
式(3−3)のR43及びR44としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
式(3−3)のR43及びR44としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
上記式(3−4)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタムとの反応により得ることができる。
上記式(3−5)で表される置換基は、下記式のように、触媒を用いてイソシアナト基を二量化させてカルボジイミド化することにより得ることができる。上記式(3−5)で表される置換基は、加熱により解離し、イソシアナト基を生成する。本発明においては、末端にイソシアナト基を有する塩基発生剤を準備し、当該塩基発生剤を、触媒を用いて二量化することにより得ることができる。ここで触媒としては、例えば、公知のリン系触媒がいずれも好適に用いられ、例えば1−フェニル−2−ホスホリン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホリン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホリン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホリン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホリン異性体などのホスホリンオキシドが挙げられる。
上記式(3−6)で表される置換基は、カルボキシル基に、例えばジフェニルリン酸アジド等の酸アジドを反応することにより得ることができる。上記式(3−6)で表される置換基は、加熱により、クルチウス転移が起こり、イソシアナト基を生成する。本発明においては、末端にカルボキシル基を有する塩基発生剤を準備し、当該塩基発生剤のカルボキシル基に、ジフェニルリン酸アジド等の酸アジドを反応することにより得ることができる。
また、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してアルキニル基となる置換基としては、公知のアルキニル基をブロック化する反応を利用して得ることができる。
アルキニル基をブロック化する反応としては、例えば、上記式(2−3)で表されるシリル基でブロック化する反応等が挙げられる。
アルキニル基をブロック化する反応としては、例えば、上記式(2−3)で表されるシリル基でブロック化する反応等が挙げられる。
本発明に係る塩基発生剤において、前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基は、1分子中に少なくとも1つ有すれば系内に固定される。一方、本発明に係る塩基発生剤が、前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を1分子中に2つ以上有する場合には、高分子前駆体の架橋剤として機能したり、当該2つ以上の官能基として、互いに反応する官能基が潜在的に導入されていれば、塩基発生剤同士が架橋反応を行って、高分子量化し、更に系外へ揮発され難くなる。
加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基は、上記化学式(1)のR3、R4、R5、R6、R7及びR8のいずれかに含まれていれば良い。加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基は、R3及びR4のいずれかの位置において二重結合を構成する炭素原子に直接結合していても良いし、R5、R6、R7及びR8のいずれかの位置において、置換基として直接ベンゼン環に結合していても良い。或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基は、適宜連結基を介して、R3、R4、R5、R6、R7及びR8のいずれかの位置において、二重結合を構成する炭素原子やベンゼン環に結合していても良い。
R5〜R8の2つ以上が結合して、シクロヘキシル基等の脂環式炭化水素構造を形成している場合や、R5〜R8の2つ以上が結合してそれらが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン、フルオレン等の縮合環を形成している場合に、当該環状構造に、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有していても良い。
加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基がベンゼン環や二重結合と結合するために用いられる連結基としては、特に限定されないが、例えば、直鎖、分岐又は環状の炭化水素基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
以下、高分子前駆体と塩基発生剤の官能基について具体的に例示するが、これらに限定されるものではない。R3、R4、R5、R6、R7及びR8のいずれかが、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有するように、高分子前駆体と塩基発生剤の官能基を組み合わせれば、塩基発生後の吸光団部位が高分子前駆体と結合して固定されるため、感光性樹脂組成物の使用時にアウトガスや臭気の発生が低減されるという本願の効果は得られる。中でも、高分子前駆体が元々有する官能基を利用した組み合わせであることが、生産性や反応効率の点から好ましい。
例えば、高分子前駆体がエポキシ基、オキセタン基、チイラン基、アミノ基、カルボキシル基、又は水酸基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基のいずれか1種以上が挙げられる。
例えば、高分子前駆体がエポキシ基、オキセタン基、チイラン基、アミノ基、カルボキシル基、又は水酸基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基のいずれか1種以上が挙げられる。
また、高分子前駆体がイソシアナト基、イソチオシアナト基、水酸基、又はアミノ基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、イソシアナト基、チオイソシアナト基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上が挙げられる。
また、高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、又はカルボキシル基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、水酸基又はアミノ基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上が挙げられる。
また、高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、アミノ基又は水酸基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、カルボキシル基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してカルボキシル基となる置換基のいずれか1種以上が挙げられる。
また、高分子前駆体が、ジエニル基、アルケニル基又は(メタ)アクリロイル基のようなエチレン性不飽和結合を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、ジエニル基、アルケニル基又は(メタ)アクリロイル基のようなエチレン性不飽和結合を含む官能基のいずれか1種以上が挙げられる。
また、高分子前駆体が、アルキニル基、又はニトリル基を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、アジド基が挙げられる。
また、高分子前駆体が、アジド基を有する高分子前駆体である場合、塩基発生剤の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基としては、アルキニル基、又はニトリル基を含む官能基のいずれか1種以上が挙げられる。
上記化学式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、独立に水素原子又は有機基であるが、R1及びR2のうち少なくとも1つは有機基である。また、NHR1R2は、塩基であるが、R1及びR2は、それぞれ、アミノ基を含まない有機基であることが好ましい。R1及びR2に、アミノ基が含まれてしまうと、塩基発生剤自体が塩基性物質となり、高分子前駆体の反応を促進してしまい、露光部と未露光部での溶解性コントラストの差が小さくなってしまう恐れがある。但し、例えば、R1及びR2の有機基中に存在する芳香環にアミノ基が結合している場合のように、電磁波の照射と加熱後に発生する塩基との塩基性と差が生じる場合には、R1及びR2の有機基にアミノ基を含まれていても用いることができる場合もある。
有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状でも良い。
有機基としては、置換基を含んで良く、不飽和結合を含んで良く、ヘテロ原子の結合を含んで良い、直鎖、分岐又は環状の炭化水素基が好ましい。
R1及びR2における有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合や、生成するNHR1R2がジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の有機基となり得る。
有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状でも良い。
有機基としては、置換基を含んで良く、不飽和結合を含んで良く、ヘテロ原子の結合を含んで良い、直鎖、分岐又は環状の炭化水素基が好ましい。
R1及びR2における有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合や、生成するNHR1R2がジアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合等には、2価以上の有機基となり得る。
また、R1及びR2は、それらが結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。
前記R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。耐熱性の点から、有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
前記R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の置換基、すなわち、有機基に包含される置換基において炭化水素基とは異なる置換基、及び炭化水素基に置換されていても良い置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2, −NHR, −NRR’:ここで、R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていても良い。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでも良い。
前記R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
前記R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
生成する塩基性物質はNHR1R2であるため、1級アミン、2級アミン、又は複素環式化合物が挙げられる。またアミンには、それぞれ、脂肪族アミン及び芳香族アミンがある。なお、ここでの複素環式化合物は、NHR1R2が環状構造を有し且つ芳香族性を有しているものをいう。芳香族複素環式化合物ではない、非芳香族複素環式化合物は、ここでは脂環式アミンとして脂肪族アミンに含まれる。
更に、生成するNHR1R2は、アミド結合を形成可能なNH基を1つだけ有するモノアミン等の塩基性物質だけでなく、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のアミド結合を形成可能なNH基を2つ以上有する塩基性物質であってもよい。生成するNHR1R2がNH基を2つ以上有する塩基性物質の場合、前記式(1)のR1及び/又はR2の1つ以上の末端に、アミド結合を形成可能なNH基を有する塩基を電磁波の照射と加熱により発生するような光潜在性部位が更に結合している構造が挙げられる。上記光潜在性部位としては、前記式(1)のR1及び/又はR2の1つ以上の末端に、式(1)のR1及び/又はR2を除いた残基が更に結合している構造が挙げられる。
脂肪族1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソアミルアミン、tert−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘプタンアミン、オクチルアミン、2−オクタンアミン、2,4,4−トリメチルペンタン−2−アミン、シクロオクチルアミン等が挙げられる。
芳香族1級アミンとしては、アニリン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、及び4−アミノフェノール等が挙げられる。
脂肪族2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルメチルアミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、メチルアジリジン、ジメチルアジリジン、メチルアゼチジン、ジメチルアゼチジン、トリメチルアゼチジン、メチルピロリジン、ジメチルピロリジン、トリメチルピロリジン、テトラメチルピロリジン、メチルピペリジン、ジメチルピペリジン、トリメチルピペリジン、テトラメチルピペリジン、ペンタメチルピペリジン等が挙げられ、中でも脂環式アミンが好ましい。
芳香族2級アミンとしては、メチルアニリン、ジフェニルアミン、及びN−フェニル−1−ナフチルアミンが挙げられる。また、アミド結合を形成可能なNH基を有する芳香族複素環式化合物としては、塩基性の点から分子内にイミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は有機基)を有することが好ましく、イミダゾール、プリン、トリアゾール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ジアミン以上のアミンとしてはエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン等の分岐状脂肪族アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の一般式NH2(CH2CH2NH)nHで示されるポリエチレンアミン類;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン、メンセンジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ジアミン;ベンゼントリアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン等のトリアミン;2,4,5,6−テトラアミノピリミジン等のテトラアミンを挙げることができる。
R1及びR2の位置に導入される置換基によって、生成する塩基性物質の熱物性や塩基性度が異なる。
高分子前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が、塩基性が強いため好ましい。
高分子前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が、塩基性が強いため好ましい。
また、本発明で発生する塩基が、2級アミン及び/又は複素環式化合物である場合には、塩基発生剤としての感度が高くなる点から好ましい。これは、2級アミンや複素環式化合物を用いることで、アミド結合部位の活性水素がなくなり、このことにより、電子密度が変化し、異性化の感度が向上するからではないかと推定される。
また、脱離する塩基の熱物性、及び塩基性度の点から、R1及びR2の有機基は、それぞれ独立に炭素数1〜20が好ましく、更に炭素数1〜12が好ましく、特に炭素数1〜8であることが好ましい。
また、化学式(1)において、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R3及びR4は、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有していても良い。
R3及びR4としては、高感度を達成しやすい点から、いずれも水素原子であることが好ましい。
R3及びR4としては、高感度を達成しやすい点から、いずれも水素原子であることが好ましい。
本発明において、特に化学式(1)中のR3及びR4のうち少なくとも1つが、水素原子ではなく、上記特定の官能基である場合には、R3及びR4の両方共が水素原子の場合と比べて、本発明の塩基発生剤は、有機溶剤に対する溶解性を更に向上させたり、高分子前駆体との親和性を向上させることが可能である。例えば、R3及びR4のうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の有機基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR3及びR4のうち少なくとも1つがフッ素等のハロゲンである場合、フッ素等のハロゲンを含有する高分子前駆体との親和性が向上する。また、例えばR3及びR4のうち少なくとも1つがシリル基やシラノール基を有する場合、ポリシロキサン前駆体との親和性が向上する。このように、R3及び/又はR4を所望の有機溶剤や高分子前駆体に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性や、所望の高分子前駆体との親和性を向上することが可能である。
ハロゲン原子、有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、後述するR5、R6、R7及びR8に挙げたものと同様のものを用いることができる。
R3及びR4における有機基は、通常、1価の有機基である。
R3及びR4における有機基は、通常、1価の有機基である。
R3及びR4が、置換基を有する場合には少なくとも一方が、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23のシクロアルケニル基;フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7〜26のアリールオキシアルキル基(−ROAr基);ベンジル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;シアノメチル基、β−シアノエチル基等のシアノ基をもつ炭素数2〜21のアルキル基;ヒドロキシメチル基等の水酸基をもつ炭素数1〜20のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、アセトアミド基、ベンゼンスルホナミド基(C6H5SO2NH2−)等の炭素数2〜21のアミド基、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基(−SR基)、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜20のアシル基、メトキシカルボニル基、アセトキシ基等の炭素数2〜21のエステル基(−COOR基及び−OCOR基)、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等の炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、及びメチルチオ基(−SCH3)であることが好ましい。また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐状でも環状でも良い。
また、化学式(1)において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R5、R6、R7及びR8は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R5、R6、R7及びR8のいずれかが、前述の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有していることが好ましい。
本発明においては置換基R5〜R8に、置換基を1つ以上導入することが好ましい。カルボニル結合のα位およびβ位に位置するα炭素−β炭素間の二重結合がトランス体からシス体への異性化反応を効率よく進める要因としてはいくつかあり、例えば上記炭素−炭素二重結合周囲の立体障害の大きさ、上記炭素−炭素二重結合周囲に広がる共役鎖の電子状態等が挙げられるが、置換基R5〜R8に、上記のような置換基を少なくとも1つ導入することにより、上記炭素−炭素二重結合周囲の共役鎖が拡張し、塩基発生の感度を向上することができる。また、置換基R5〜R8に、上記のような置換基を少なくとも1つ導入することにより、吸収する光の波長を調整することが可能であり、置換基を導入することで所望の波長を吸収させるようにすることもできる。芳香族環の共役鎖を伸ばすような置換基を導入することにより、吸収波長を長波長にシフトすることができる。また、溶解性や組み合わせる高分子前駆体との相溶性が向上するようにすることもできる。これにより、組み合わせる高分子前駆体の吸収波長も考慮しながら、感光性樹脂組成物の感度を向上させることが可能である。
R5、R6、R7及びR8のいずれかが、前述の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有することにより、これらの目的を十分に達成できる場合もあるが、その他にも適宜置換基を有しても良い。
R5、R6、R7及びR8のいずれかが、前述の加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有することにより、これらの目的を十分に達成できる場合もあるが、その他にも適宜置換基を有しても良い。
所望の波長に対して吸収波長をシフトさせる為に、どのような置換基を導入したら良いかという指針として、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products(A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。これらを参考とすることで、化合物の極大吸収波長がどの程度長波長化するかの目安を知ることができる。
置換基R5〜R8において、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状でも良い。R5〜R8の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、前記R1及びR2の炭化水素基以外の結合と同様のものを用いることができる。また、R5〜R8の有機基は、炭化水素基以外の結合を介してベンゼン環に結合してもよい。また、R5〜R8の有機基において炭化水素基以外の置換基(有機基に包含される置換基において炭化水素基とは異なる置換基、及び炭化水素基に置換されていても良い置換基)としては、前記R1及びR2の炭化水素基以外の置換基と同様のものを用いることができる。
有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基等が挙げられる。
R5〜R8における有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも環状でも良い。R5〜R8の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、前記R1及びR2の炭化水素基以外の結合と同様のものを用いることができる。また、R5〜R8の有機基は、炭化水素基以外の結合を介してベンゼン環に結合してもよい。また、R5〜R8の有機基において炭化水素基以外の置換基(有機基に包含される置換基において炭化水素基とは異なる置換基、及び炭化水素基に置換されていても良い置換基)としては、前記R1及びR2の炭化水素基以外の置換基と同様のものを用いることができる。
有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基等が挙げられる。
R5〜R8における有機基は、通常、1価の有機基であるが、後述する環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
また、R5〜R8は、それらのうち2つ以上が結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R5〜R8は、それらの2つ以上が結合して、R5〜R8が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R5〜R8は、それらの2つ以上が結合して、R5〜R8が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
R5〜R8としては、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23のシクロアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等の炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7〜26のアリールオキシアルキル基(−ROAr基);シアノメチル基、β−シアノエチル基等のシアノ基をもつ炭素数2〜21のアルキル基;ヒドロキシメチル基等の水酸基をもつ炭素数1〜20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、等の炭素数1〜20のアリール基で置換されていても良いアルキルエーテル基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールエーテル基、;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基(−SR基);ベンジルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオエーテル基;アセトアミド基、ベンゼンスルホナミド基(C6H5SO2NH2−)等の炭素数2〜21のアミド基;アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜20のアシル基;チオアシル基;アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等のアシルチオ基;メトキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜21のエステル基(−COOR基及び−OCOR基)、及び、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基;カルバモイル基;カルバモイルオキシ基;シアノオキシ基(シアナト基);シアノチオ基(チオシアナト基);ホルミル基であることが好ましい。また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐状でも環状でも良い。
また、R5〜R8としては、それらの2つ以上が結合して、R5〜R8が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
また、R5〜R8としては、それらの2つ以上が結合して、R5〜R8が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
また、式(1)においてR9は、水素原子、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。ここで、“脱保護可能な”とは、−OR9から−OHに変化する可能性があることを表す。R9が水素原子の場合には、本発明に係る塩基発生剤は、環化することで、フェノール性水酸基を消失し、溶解性が変化し、塩基性水溶液等の場合には溶解性が低下する。これにより、後述する本発明に係る感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体がポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、当該前駆体の最終生成物への反応による溶解性の低下を更に補助する機能を有し、露光部と未露光部の溶解性コントラストを大きくすることが可能となる。
また、R9が加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である場合、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護されて、水酸基を生成する。加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基でフェノール性水酸基を保護することにより、当該保護基を適宜選択することによって、組み合わせる化合物、例えば高分子前駆体との相溶性が向上し、組み合わせ可能な化合物の範囲が増える。例えば、フェノール性水酸基と共存することが好ましくない高分子前駆体に対しても、樹脂組成物中に共存させて用いることが可能になる。R9は、本発明で用いられる塩基発生剤において式(1)中に存在するアミド基が分解しない条件下で、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能なフェノール性水酸基の保護基であれば、特に限定されず用いることができる。例えば、アミド結合は、三臭化ホウ素や三塩化アルミニウム等の強ルイス酸や硫酸、塩酸、硝酸等の強酸等が存在する強酸性下における加熱や、水酸化ナトリウム等の強塩基が存在する強塩基性下における加熱により分解する。従って、このような強酸性又は強塩基性条件下での加熱でしか脱保護されない保護基は、本発明の塩基発生剤に用いられる保護基としては不適切である。R9は、溶解性や相溶性の向上或いは合成時の反応性の変化などを目的として、当該塩基発生剤と組み合わせて用いられる化合物の種類や、塩基発生剤の適用方法や合成方法により適宜選択されるものである。
R9としては、シリル基、シラノール基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、又は有機基から選択することができる。R9における有機基は、通常、1価の有機基である。
R9としては、上述の式(2−1)〜下記式(2−6)で表わされる有機基よりなる群から選択される1種以上であることが、式(1)中に存在するアミド基が分解しない条件下で、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な点から好ましい。
化学式(1)で表される構造は、幾何異性体が存在するが、トランス体のみを用いることが好ましい。しかし、合成および精製工程および保管時などにおいて幾何異性体であるシス体が混ざる可能性もあり、この場合トランス体とシス体の混合物を用いても良いが、溶解性コントラストを高められる点から、シス体の割合が10%未満であることが好ましい。
上記化学式(1)で表される塩基発生剤は、加熱して初期の重量から5%重量が減少したときの温度(5%重量減少温度)が、60℃以上であることが好ましく、更に100℃以上であることが好ましい。ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体の場合、塗膜を形成する際にN−メチル−2−ピロリドンなどの高沸点溶媒を用いる必要があるが、このように5%重量減少温度が高い場合には残留溶媒の影響が少なくなるような乾燥条件で塗膜を形成することができる。これにより、残留溶媒の影響による露光部と未露光部での溶解性コントラストの減少を抑制することができる。
本発明において、x%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量からx%減少した時点(すなわち、サンプル重量が初期の(100−x)%となった時点)の温度である。
本発明において、x%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量からx%減少した時点(すなわち、サンプル重量が初期の(100−x)%となった時点)の温度である。
本発明の塩基発生剤は、例えば、上記特許文献6や本発明者らによる特願2010−176384を参考に合成することができる。
ブロック化共有結合形成基の形成や、フェノール性水酸基における保護基(R9)の導入は、合成途中で導入していても良いし、合成の最後に導入しても良い。
例えば、水酸基やカルボキシル基の末端の水素原子と上記式(2−1)で表される有機基を置換する場合には、例えば、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の酸触媒存在下、水酸基やカルボキシル基が導入された塩基発生剤と、ビニルエーテル化合物をジメチルホルムアミド溶解し、撹拌させることで目的物を得ることができる。
また、水酸基やアミノ基の末端の水素原子と上記式(2−2)で表される有機基を置換する場合には、水酸基やアミノ基が導入された塩基発生剤と、カーボネート系保護基の導入試薬(たとえばジーt−ブチルジカルボナートや、塩化ベンジルオキシカルボニル、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)コハク酸イミドなど)により合成できる。
水酸基やカルボキシル基の末端の水素原子と上記式(2−3)で表される有機基を置換する場合には、イミダゾール等の塩基触媒下、ジメチルホルムアミド中、水酸基やカルボキシル基が導入された塩基発生剤と、シリルエーテル系保護基の導入試薬(たとえばクロロトリメチルシラン、tert-ブチルジメチルクロロシラン、tert-ブチルジフェニルクロロシランなど)により合成できる。
ブロック化共有結合形成基の形成や、フェノール性水酸基における保護基(R9)の導入は、合成途中で導入していても良いし、合成の最後に導入しても良い。
例えば、水酸基やカルボキシル基の末端の水素原子と上記式(2−1)で表される有機基を置換する場合には、例えば、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の酸触媒存在下、水酸基やカルボキシル基が導入された塩基発生剤と、ビニルエーテル化合物をジメチルホルムアミド溶解し、撹拌させることで目的物を得ることができる。
また、水酸基やアミノ基の末端の水素原子と上記式(2−2)で表される有機基を置換する場合には、水酸基やアミノ基が導入された塩基発生剤と、カーボネート系保護基の導入試薬(たとえばジーt−ブチルジカルボナートや、塩化ベンジルオキシカルボニル、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)コハク酸イミドなど)により合成できる。
水酸基やカルボキシル基の末端の水素原子と上記式(2−3)で表される有機基を置換する場合には、イミダゾール等の塩基触媒下、ジメチルホルムアミド中、水酸基やカルボキシル基が導入された塩基発生剤と、シリルエーテル系保護基の導入試薬(たとえばクロロトリメチルシラン、tert-ブチルジメチルクロロシラン、tert-ブチルジフェニルクロロシランなど)により合成できる。
水酸基の末端の水素原子と上記式(2−4)で表される有機基を置換する場合には、トリエチルアミン等の塩基触媒下、水酸基が導入された塩基発生剤と酸塩化物または酸無水物により合成できる。
水酸基の末端の水素原子と上記式(2−5)で表される有機基を置換する場合には、水素化ナトリウム等の強塩基の存在下、水酸基が導入された塩基発生剤とエーテル系保護基(ハロゲン化物、たとえばベンジルクロライドなど)により合成できる。
水酸基の末端の水素原子と上記式(2−6)で表される有機基を置換する場合には、水酸基が導入された塩基発生剤とカルバメート系保護基(イソシアネート、たとえばベンジルイソシアネートなど)により合成できる。
また、カルボキシル基をエステル化するには、縮合剤存在下でアルコールまたはフェノールを作用させることで合成できる。
水酸基の末端の水素原子と上記式(2−5)で表される有機基を置換する場合には、水素化ナトリウム等の強塩基の存在下、水酸基が導入された塩基発生剤とエーテル系保護基(ハロゲン化物、たとえばベンジルクロライドなど)により合成できる。
水酸基の末端の水素原子と上記式(2−6)で表される有機基を置換する場合には、水酸基が導入された塩基発生剤とカルバメート系保護基(イソシアネート、たとえばベンジルイソシアネートなど)により合成できる。
また、カルボキシル基をエステル化するには、縮合剤存在下でアルコールまたはフェノールを作用させることで合成できる。
また、カルボキシル基を導入する場合、例えばシリルエーテル系保護基等で保護したカルボキシル基を導入したアルデヒドを原料として桂皮酸誘導体を形成し、アミド結合を形成した後、脱保護することにより得ることができる。
また、イソシアナト基を導入する場合は、置換基としてカルボキシル基を有する化合物にジフェニルリン酸アジド等を反応させ、カルボン酸アジドを含む置換基を導入しておき、アミド結合を形成した後、加熱によりクルチウス転移を行い、イソシアナト基を得れば良い。
また、置換基として1級アミンを導入し、ホスゲンやトリホスゲンを反応させることでイソシアネート基を導入することもできる。
また、チオイソシアナト基を導入する場合は、置換基としてハロゲン原子を導入し、当該ハロゲン原子に、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸カリウムなどのチオシアン酸塩を作用させることで、チオシアナト基が導入できる。
また、イソシアナト基を導入する場合は、置換基としてカルボキシル基を有する化合物にジフェニルリン酸アジド等を反応させ、カルボン酸アジドを含む置換基を導入しておき、アミド結合を形成した後、加熱によりクルチウス転移を行い、イソシアナト基を得れば良い。
また、置換基として1級アミンを導入し、ホスゲンやトリホスゲンを反応させることでイソシアネート基を導入することもできる。
また、チオイソシアナト基を導入する場合は、置換基としてハロゲン原子を導入し、当該ハロゲン原子に、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸カリウムなどのチオシアン酸塩を作用させることで、チオシアナト基が導入できる。
上記式(3−1)で表される置換基を導入するには、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、アルコールやフェノール等の水酸基含有化合物とを錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩等を触媒として用いてで反応させることにより得ることができる。
上記式(3−2)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、活性メチレン基を有するマロン酸ジメチルやアセト酢酸エチル等の活性メチレン基を有する化合物とを、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩等を触媒として用いて反応させることにより得ることができる。
上記式(3−3)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、オキシムとを錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩等を触媒として用いて反応させることにより得ることができる。
上記式(3−2)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、活性メチレン基を有するマロン酸ジメチルやアセト酢酸エチル等の活性メチレン基を有する化合物とを、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩等を触媒として用いて反応させることにより得ることができる。
上記式(3−3)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、オキシムとを錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩等を触媒として用いて反応させることにより得ることができる。
上記式(3−4)で表される置換基は、イソシアナト基又はチオイソシアナト基と、ラクタムとを錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩等を触媒として用いて反応させることにより得ることができる。
上記式(3−5)で表される置換基は、下記式のように、ホスホリン、ホスホリジン、ホスホリンオキシドなどのホスホリン系の触媒を用いてイソシアナト基を二量化させてカルボジイミド化することにより得ることができる。
上記式(3−6)で表される置換基は、カルボキシル基を導入し、例えばジフェニルリン酸アジド等の酸アジドを反応することにより得ることができる。
上記式(3−5)で表される置換基は、下記式のように、ホスホリン、ホスホリジン、ホスホリンオキシドなどのホスホリン系の触媒を用いてイソシアナト基を二量化させてカルボジイミド化することにより得ることができる。
上記式(3−6)で表される置換基は、カルボキシル基を導入し、例えばジフェニルリン酸アジド等の酸アジドを反応することにより得ることができる。
また、エポキシ基、オキセタン基、及びチイラン基は、アミノ基と反応し得るため、導入する塩基部分のアミド結合を形成した後、導入することが好ましい。エポキシ基を導入する製法としては、導入したい結合部位に水酸基を有する化合物を準備し、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンに代表されるエピハロヒドリン等を反応させる方法が挙げられる。また、導入したい結合部位に1,2−ジオールや、1−クロロ−2−オールを含む置換基を導入しておき、分子内環化反応により、エポキシ基を生成しても良い。更に、導入したい結合部位にアルケニル基を導入しておき、過酸化物により酸化することにより、エポキシ基を生成しても良い。
また、オキセタン基を導入する製法としては、導入したい結合部位に水酸基を有する化合物を準備し、3−(クロロメチル)−3−メチルオキセタン等を反応させる方法が挙げられる。
また、チイラン基を導入する製法としては、エポキシ基を導入しておき、チオ尿素、チオシアン酸カリウムを作用させて酸素を硫黄に置き換えることでどうにゅうすることができる。この場合、エポキシ基をすべてチイラン基に変換することも可能であるし、一部変換することも可能である。
アルケニル基、アルキニル基を導入する方法としては、導入したい結合部位に水酸基を有する化合物を準備し、塩基性触媒下でアルケニル基やアルキニル基を有するハロゲン化物を作用させることで合成できる。
また、チイラン基を導入する製法としては、エポキシ基を導入しておき、チオ尿素、チオシアン酸カリウムを作用させて酸素を硫黄に置き換えることでどうにゅうすることができる。この場合、エポキシ基をすべてチイラン基に変換することも可能であるし、一部変換することも可能である。
アルケニル基、アルキニル基を導入する方法としては、導入したい結合部位に水酸基を有する化合物を準備し、塩基性触媒下でアルケニル基やアルキニル基を有するハロゲン化物を作用させることで合成できる。
本発明で用いられる化学式(1)で表される塩基発生剤は、高分子前駆体が最終生成物となるための塩基発生の機能を十分に発揮させるために、露光波長の少なくとも一部に対して吸収を有する必要がある。一般的な露光光源である高圧水銀灯の波長としては、365nm、405nm、436nmがある。このため、本発明で用いられる化学式(1)で表される塩基発生剤は、少なくとも365nm、405nm、436nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長の電磁波に対して吸収を有することが好ましい。このような場合、適用可能な高分子前駆体の種類がさらに増える点から好ましい。
前記化学式(1)で表される塩基発生剤は、そのモル吸光係数が、電磁波の波長365nmにおいて100以上、又は405nmにおいて1以上であることが、適用可能な高分子前駆体の種類がさらに増える点から好ましい。
なお、本発明の化学式(1)で表される塩基発生剤が前記波長領域に吸収を有することは、当該波長領域に吸収をもたない溶媒(例えば、アセトニトリル)に、化学式(1)で表される塩基発生剤を1×10−4mol/L以下の濃度(通常、1×10−4mol/L〜1×10−5mol/L程度。適度な吸収強度となるように、適宜、調節してもよい。)で溶解し、紫外可視分光光度計(例えば、UV−2550(株)島津製作所製))により吸光度を測定することにより明らかにすることができる。
<高分子前駆体>
本発明の感光性樹脂組成物に用いる高分子前駆体とは、反応により最終的に目的の物性を示す高分子となる物質を意味し、当該反応には分子間反応及び分子内反応がある。高分子前駆体自体は、比較的低分子の化合物であっても高分子化合物であってもよい。
また、本発明の高分子前駆体は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される化合物である。ここで、高分子前駆体が、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される態様には、高分子前駆体が塩基性物質の作用のみによって最終生成物に変化する態様のみならず、塩基性物質の作用によって高分子前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基性物質の作用がない場合に比べて低下するような態様が含まれる。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応し、現像液等の溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、高分子前駆体の前記溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。
本発明の感光性樹脂組成物に用いる高分子前駆体とは、反応により最終的に目的の物性を示す高分子となる物質を意味し、当該反応には分子間反応及び分子内反応がある。高分子前駆体自体は、比較的低分子の化合物であっても高分子化合物であってもよい。
また、本発明の高分子前駆体は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される化合物である。ここで、高分子前駆体が、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される態様には、高分子前駆体が塩基性物質の作用のみによって最終生成物に変化する態様のみならず、塩基性物質の作用によって高分子前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基性物質の作用がない場合に比べて低下するような態様が含まれる。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応し、現像液等の溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、高分子前駆体の前記溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。
本発明の高分子前駆体としては、上記の様な塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進されるものであれば特に制限なく使用が可能である。下記に代表的な例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
[分子間反応により高分子となる高分子前駆体]
分子間反応により目的の高分子となる高分子前駆体としては、反応性置換基を有し重合反応をする化合物及び高分子、又は、分子間に結合を形成する反応(架橋反応)をする化合物及び高分子がある。当該反応性置換基としては、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアナト基、ヒドロキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、高分子前駆体には、分子間で加水分解・重縮合する化合物も含まれ、反応性置換基には、ポリシロキサン前駆体の−SiX(ここで、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基)も挙げられる。
分子間反応により目的の高分子となる高分子前駆体としては、反応性置換基を有し重合反応をする化合物及び高分子、又は、分子間に結合を形成する反応(架橋反応)をする化合物及び高分子がある。当該反応性置換基としては、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアナト基、ヒドロキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、高分子前駆体には、分子間で加水分解・重縮合する化合物も含まれ、反応性置換基には、ポリシロキサン前駆体の−SiX(ここで、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基)も挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする化合物としては、例えば、1個以上のエポキシ基を有する化合物、1個以上のオキセタン基を有する化合物、及び1個以上のチイラン基を有する化合物が挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする高分子としては、例えば、2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)、2個以上のオキセタン基を有する高分子、及び2個以上のチイラン基を有する高分子が挙げられる。下記に特にエポキシ基を有する化合物及び高分子について具体的に説明するが、オキセタン基、チイラン基を有する化合物及び高分子についても同様に用いることが可能である。
反応性置換基を有し重合反応をする高分子としては、例えば、2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)、2個以上のオキセタン基を有する高分子、及び2個以上のチイラン基を有する高分子が挙げられる。下記に特にエポキシ基を有する化合物及び高分子について具体的に説明するが、オキセタン基、チイラン基を有する化合物及び高分子についても同様に用いることが可能である。
(エポキシ基を有する化合物及び高分子)
上記1個以上のエポキシ基を有する化合物及び高分子としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、従来公知のものを使用できる。
前記塩基発生剤は、一般的には分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物の硬化触媒としての機能も有する。
上記1個以上のエポキシ基を有する化合物及び高分子としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、従来公知のものを使用できる。
前記塩基発生剤は、一般的には分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物の硬化触媒としての機能も有する。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物又は分子内に2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)を用いる場合は、エポキシ基との反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を併用してもよい。ここでエポキシ基との反応性を有する官能基とは、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、1級又は2級の芳香族アミノ基等が挙げられる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮して、一分子中に2つ以上有することが特に好ましい。
また、重量平均分子量3,000〜100,000のポリマー側鎖に上記官能基を導入したものを用いることが好ましい。3,000未満では膜強度の低下及び硬化膜表面にタック性が生じ、不純物等が付着しやすくなる恐れがある。また、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。
また、重量平均分子量3,000〜100,000のポリマー側鎖に上記官能基を導入したものを用いることが好ましい。3,000未満では膜強度の低下及び硬化膜表面にタック性が生じ、不純物等が付着しやすくなる恐れがある。また、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する高分子としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等があり、これらのエポキシ樹脂はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC株式会社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学株式会社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルで両末端にエポキシ基を有する;YPシリーズ等)、ナガセケムテックス社製のデナタイトシリーズ、デナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ、日油株式会社製のエピオールシリーズ、マープルーフシリーズ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。これらの中で、他の各種のエポキシ化合物と比較すると分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できる点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
一方、分子間で架橋反応をする化合物としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアナト基を有する化合物及び分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせが挙げられ、当該イソシアナト基とヒドロキシル基との反応により、分子間にウレタン結合が形成され高分子となり得る。
分子間で架橋反応をする高分子としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアナト基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせが挙げられる。
また、分子間で架橋反応をする化合物と高分子の組み合わせを用いても良い。例えば、分子内に2個以上のイソシアナト基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせ、及び、分子内に2個以上のイソシアナト基を有する化合物と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせ等が挙げられる。
分子間で架橋反応をする高分子としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアナト基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせが挙げられる。
また、分子間で架橋反応をする化合物と高分子の組み合わせを用いても良い。例えば、分子内に2個以上のイソシアナト基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせ、及び、分子内に2個以上のイソシアナト基を有する化合物と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせ等が挙げられる。
(イソシアナト基を有する化合物及び高分子)
イソシアナト基をもつ化合物及び高分子としては、分子内に2個以上のイソシアナト基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、オリゴマー、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にイソシアナト基が存在する高分子を用いてもよい。これらジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートとしては、例えば、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート等がある。
イソシアナト基をもつ化合物及び高分子としては、分子内に2個以上のイソシアナト基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、オリゴマー、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にイソシアナト基が存在する高分子を用いてもよい。これらジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートとしては、例えば、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート等がある。
(ヒドロキシル基を有する化合物及び高分子)
前記イソシアナト基を持つ化合物及び高分子は、通常、分子内にヒドロキシル基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなヒドロキシル基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にヒドロキシル基が存在する高分子を用いてもよい。高分子量のヒドロキシル基を有する化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロパンジオール)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等に代表されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールがある。
前記イソシアナト基を持つ化合物及び高分子は、通常、分子内にヒドロキシル基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなヒドロキシル基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にヒドロキシル基が存在する高分子を用いてもよい。高分子量のヒドロキシル基を有する化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロパンジオール)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等に代表されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールがある。
(ポリシロキサン前駆体)
分子間で加水分解・重縮合する化合物としては、たとえばポリシロキサン前駆体が挙げられる。本発明におけるポリシロキサン前駆体としては、水酸基、アミノ基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基を導入しておくことが好ましい。
ポリシロキサン前駆体としては、YnSiX(4−n)(ここで、Yは置換基を有していても良いアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、または水素原子を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基を示す。nは0〜3までの整数である。) で示される有機ケイ素化合物及び当該有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が挙げられる。中でも、上記式においてnが0〜2であるものが好ましい。また、シリカ分散オリゴマー溶液の調製がし易く入手も容易な点から、上記加水分解性基としては、アルコキシ基であるものが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、特に制限なく、公知のものを使用できる。例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フッ素系シランカップリング剤として知られたフルオロアルキルシラン、および、それらの加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物;並びに、それらの混合物を挙げることができる。
分子間で加水分解・重縮合する化合物としては、たとえばポリシロキサン前駆体が挙げられる。本発明におけるポリシロキサン前駆体としては、水酸基、アミノ基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基を導入しておくことが好ましい。
ポリシロキサン前駆体としては、YnSiX(4−n)(ここで、Yは置換基を有していても良いアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、または水素原子を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲンよりなる群から選択される加水分解性基を示す。nは0〜3までの整数である。) で示される有機ケイ素化合物及び当該有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が挙げられる。中でも、上記式においてnが0〜2であるものが好ましい。また、シリカ分散オリゴマー溶液の調製がし易く入手も容易な点から、上記加水分解性基としては、アルコキシ基であるものが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、特に制限なく、公知のものを使用できる。例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フッ素系シランカップリング剤として知られたフルオロアルキルシラン、および、それらの加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物;並びに、それらの混合物を挙げることができる。
[分子内閉環反応により高分子となる高分子前駆体]
分子内閉環反応によって最終的に目的の物性を示す高分子となる高分子前駆体としてはポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等がある。これらの前駆体は2種類以上の別々に合成した高分子前駆体の混合物でもよい。
以下、本発明の好ましい高分子前駆体であるポリイミド前駆体とポリベンゾオキサゾール前駆体について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、ポリイミド前駆体は、末端にアミノ基や酸無水物基を有し得るので、上述のアミノ基を有する高分子前駆体、酸無水物基を有する高分子前駆体、水酸基を有する高分子前駆体として用いられ得る。また、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、上述のアミノ基を有する高分子前駆体、水酸基を有する高分子前駆体として用いられ得る。
本発明におけるポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、水酸基、アミノ基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基を導入しておくことが好ましい。
分子内閉環反応によって最終的に目的の物性を示す高分子となる高分子前駆体としてはポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等がある。これらの前駆体は2種類以上の別々に合成した高分子前駆体の混合物でもよい。
以下、本発明の好ましい高分子前駆体であるポリイミド前駆体とポリベンゾオキサゾール前駆体について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、ポリイミド前駆体は、末端にアミノ基や酸無水物基を有し得るので、上述のアミノ基を有する高分子前駆体、酸無水物基を有する高分子前駆体、水酸基を有する高分子前駆体として用いられ得る。また、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、上述のアミノ基を有する高分子前駆体、水酸基を有する高分子前駆体として用いられ得る。
本発明におけるポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、水酸基、アミノ基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基を導入しておくことが好ましい。
(ポリイミド前駆体)
ポリイミド前駆体としては、下記化学式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸が好適に用いられる。
ポリイミド前駆体としては、下記化学式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸が好適に用いられる。
R33及びR34が有機基である場合としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及び、これらにエーテル結合を含有したCnH2nOCmH2m+1などで表される構造等を挙げることができる。
ポリイミド前駆体としては、下記式(4’)で表されるようなポリアミック酸が、アルカリ現像性の点から好適に用いられる。
なお、式(4)及び式(4’)において、R31の4価は、酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基を示し、R32の2価はジアミン残基を示す。なお、R31の4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R32の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
副次的な効果として、用いる高分子前駆体がポリアミック酸である場合、塩基性物質の触媒効果によりイミド化に要する温度が低くても十分な為、最終キュア温度を300℃未満、更に好ましくは250℃以下まで下げることが可能である。従来のポリアミック酸はイミド化するために最終キュア温度を300℃以上とする必要があった為、用途が制限されていたが、最終キュア温度を下げることが可能になったことによって、より広範囲の用途に適用が可能である。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンの反応により得られるが、最終的に得られるポリイミドに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(4’)において、R31又はR32が芳香族化合物であることが好ましく、R31及びR32が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(4’)のR31において、当該R31に結合している4つの基((−CO−)2(−COOH)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(4’)のR32において、当該R32に結合している2つの基((−NH−)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(4’)で表されるポリアミック酸は、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位から成るものでもよい。
本発明のポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、透明性をそれほど損なわずに溶解性や熱膨張率等の物性を調整することが可能である。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるが、透明性の向上を阻害する傾向があるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されず、p−フェニレンジアミン、
m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等の芳香族アミン;
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族アミン;
1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環式ジアミンが挙げられる。グアナミン類としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどを挙げることができ、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアナト基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4―ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(5)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
さらに、上記式(5)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以下の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
一方、ポリイミド前駆体を合成するには、例えば、アミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドンなどの有機極性溶媒に溶解させた溶液を冷却しながら、そこへ等モルの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を徐々に加え撹拌し、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
<ポリベンゾオキサゾール前駆体>
本発明に用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、下記化学式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールが好適に用いられる。
本発明に用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、下記化学式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールが好適に用いられる。
ポリアミドアルコールは、従来公知の方法で合成することが可能で、例えば、ジカルボン酸ハロゲン化物などのジカルボン酸誘導体とジヒドロキシジアミンとを有機溶媒中で付加反応することにより得られる。
なお、R35の2価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R36の4価はアミン及びヒドロキシル基と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
前記化学式(6)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールは、最終的に得られるポリベンゾオキサゾールに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(6)において、R35又はR36が芳香族化合物であることが好ましく、R35及びRR36が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(6)のR35において、当該R35に結合している2つの基(−CO−)2は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(6)のR36において、当該R36に結合している4つの基((−NH−)2(−OH)2)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(6)で表されるポリアミドアルコールは、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位からなるものでもよい。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体を得るための反応に適用可能なジカルボン酸およびその誘導体としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,3’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,3’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン二安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルアミド、1,4−フェニレンジエタン酸、1,1−ビス(4−カルボキシフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、5−t−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,2−ビス−(p−カルボキシフェニル)プロパン、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)二安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、もしくはこれらの酸ハロゲン化物、およびヒドロキシベンゾトリアゾール等との活性エステル体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
また、ヒドロキシジアミンの具体例としては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体は、感光性樹脂組成物とした際の感度を高め、マスクパターンを正確に再現するパターン形状を得るために、1μmの膜厚のときに、露光波長に対して少なくとも5%以上の透過率を示すことが好ましく、15%以上の透過率を示すことが更に好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の透過率が高いということは、それだけ、電磁波のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
露光波長に対してポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の透過率が高いということは、それだけ、電磁波のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、更に好ましくは15%、特に好ましくは50%以上である。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミド等の高分子とした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も低下しやすく、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体などの高分子前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
なお、ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体合成時における溶媒は、極性溶媒が望ましく、代表的なものとして、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等があり、これらの溶媒は単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。この他にも溶媒として組合せて用いられるものとしてベンゼン、ベンゾニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブチロラクトン、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン等の非極性溶媒が挙げられ、これらの溶媒は、原料の分散媒、反応調節剤、あるいは生成物からの溶媒の揮散調節剤、皮膜平滑剤などとして使用される。
ポリアミック酸やポリベンゾオキサゾール前駆体は、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が進むことにより、溶解性が低下するため、前記化学式(1)で表される塩基発生剤の塩基発生による溶解性の低下と組み合わせることにより、本発明の感光性樹脂組成物の露光部と未露光部の溶解性コントラストをさらに大きくできる利点を有する。
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、1種類以上の前記化学式(1)で表される塩基発生剤と、1種類以上の高分子前駆体と、溶媒の単純な混合物であってもよいが、さらに、光又は熱硬化性成分、高分子前駆体以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。また、本発明の塩基発生剤の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分を加えても良い。また、塩基発生剤から発生した少量の塩基の作用によって、分解や転位反応して塩基を発生させる塩基増殖剤を併用しても良いし、増感剤を加えてもよい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、1種類以上の前記化学式(1)で表される塩基発生剤と、1種類以上の高分子前駆体と、溶媒の単純な混合物であってもよいが、さらに、光又は熱硬化性成分、高分子前駆体以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。また、本発明の塩基発生剤の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分を加えても良い。また、塩基発生剤から発生した少量の塩基の作用によって、分解や転位反応して塩基を発生させる塩基増殖剤を併用しても良いし、増感剤を加えてもよい。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては、各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、前駆体としてポリアミド酸を用いる場合には、ポリアミド酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどのスルホン類、ヘキサメチルフォスホアミド等のリン酸アミド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒が好適なものとして挙げられる。
塩基増殖剤としては、例えば、9−フルオレニルメチルカルバメート結合を有する化合物、1,1−ジメチル−2−シアノメチルカルバメート結合((CN)CH2C(CH3)2OC(O)NR2)を有する化合物、パラニトロベンジルカルバメート結合を有する化合物、2,4−ジクロロベンジルカルバメート結合を有する化合物、その他にも特開2000−330270号公報の段落0010〜段落0032に記載されているウレタン系化合物や、特開2008−250111号公報の段落0033〜段落0060に記載されているウレタン系化合物等が挙げられる。
高分子を透過する波長の電磁波のエネルギーを塩基発生剤が充分利用できる様にし、感度を向上させたい場合に、増感剤の添加が効果を発揮する場合がある。
特に、ポリイミド前駆体の吸収が360nm以上の波長にもある場合には、増感剤の添加による効果が大きい。増感剤と呼ばれる化合物の具体例としては、チオキサントン及び、ジエチルチオキサントンなどのその誘導体、クマリン系及び、その誘導体、ケトクマリン及び、その誘導体、ケトビスクマリン、及びその誘導体、シクロペンタノン及び、その誘導体、シクロヘキサノン及び、その誘導体、チオピリリウム塩及び、その誘導体、チオキサンテン系、キサンテン系及び、その誘導体などが挙げられる。
特に、ポリイミド前駆体の吸収が360nm以上の波長にもある場合には、増感剤の添加による効果が大きい。増感剤と呼ばれる化合物の具体例としては、チオキサントン及び、ジエチルチオキサントンなどのその誘導体、クマリン系及び、その誘導体、ケトクマリン及び、その誘導体、ケトビスクマリン、及びその誘導体、シクロペンタノン及び、その誘導体、シクロヘキサノン及び、その誘導体、チオピリリウム塩及び、その誘導体、チオキサンテン系、キサンテン系及び、その誘導体などが挙げられる。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。さらに他にはベンゾフェノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、1,2−ナフトキノン、などが挙げられる。
これらは、塩基発生剤との組み合わせによって、特に優れた効果を発揮する為、塩基発生剤の構造によって最適な増感作用を示す増感剤が適宜選択される。
これらは、塩基発生剤との組み合わせによって、特に優れた効果を発揮する為、塩基発生剤の構造によって最適な増感作用を示す増感剤が適宜選択される。
また、本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体(固形分)は、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜99.9重量%、0.5重量%〜70重量%含有することが好ましい。なお、本発明において固形分は、上述した溶媒以外のもの全てであり、室温で液体のモノマー等も含まれる。
本発明に係る塩基発生剤は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、通常、0.1〜80重量%、好ましくは0.1〜60重量%の範囲内で含有させる。0.1重量%未満であると露光部と未露光部の溶解性コントラストを十分に大きくできない恐れがあり、80重量%を超えると最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
本発明に係る塩基発生剤は、硬化剤として用いられる場合には、硬化の程度にもよるが、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、通常、0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。
一方、本発明に係る塩基発生剤は、硬化促進剤として用いられる場合には、少量の添加で硬化が可能となり、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、通常、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内で含有させることが好ましい。
本発明に係る塩基発生剤は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、通常、0.1〜80重量%、好ましくは0.1〜60重量%の範囲内で含有させる。0.1重量%未満であると露光部と未露光部の溶解性コントラストを十分に大きくできない恐れがあり、80重量%を超えると最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
本発明に係る塩基発生剤は、硬化剤として用いられる場合には、硬化の程度にもよるが、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、通常、0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。
一方、本発明に係る塩基発生剤は、硬化促進剤として用いられる場合には、少量の添加で硬化が可能となり、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、通常、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内で含有させることが好ましい。
また、その他の溶剤以外の任意成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
以上に述べたように、本発明によれば、高分子前駆体に上記化学式(1)で表される塩基発生剤を混合するだけという簡便な手法で感光性樹脂組成物を得ることができることから、コストパフォーマンスに優れる。
化学式(1)で表される塩基発生剤を構成する芳香族成分含有カルボン酸、並びに、塩基性物質は安価に入手することが可能で感光性樹脂組成物としての価格も抑えられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記化学式(1)で表される塩基発生剤により、多種多様な高分子前駆体の最終生成物への反応促進に適用することができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
また、電磁波の照射により発生したアミンなどの塩基性物質の触媒効果により、例えばポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体から最終生成物へのイミド化などの環化等の反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの負荷や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
さらに、電磁波の照射と加熱により塩基を発生する本発明の塩基発生剤は、高分子前駆体から最終生成物を得る工程に加熱工程が含まれる場合、当該加熱工程を利用できるため、電磁波の照射量を低減することが可能であり、工程の有効利用も可能である。
化学式(1)で表される塩基発生剤を構成する芳香族成分含有カルボン酸、並びに、塩基性物質は安価に入手することが可能で感光性樹脂組成物としての価格も抑えられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記化学式(1)で表される塩基発生剤により、多種多様な高分子前駆体の最終生成物への反応促進に適用することができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
また、電磁波の照射により発生したアミンなどの塩基性物質の触媒効果により、例えばポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体から最終生成物へのイミド化などの環化等の反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの負荷や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
さらに、電磁波の照射と加熱により塩基を発生する本発明の塩基発生剤は、高分子前駆体から最終生成物を得る工程に加熱工程が含まれる場合、当該加熱工程を利用できるため、電磁波の照射量を低減することが可能であり、工程の有効利用も可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、本発明に係る感光性樹脂組成物は、印刷インキ、塗料、シール剤、接着剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、光造形、光学部材等、樹脂材料が用いられる公知の全ての分野、製品に利用できる。塗料、シール剤、接着剤のように、全面露光して用いる用途にも、永久膜や剥離膜などパターンを形成する用途にも、いずれにも好適に用いることができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野、製品、例えば、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System(MEMS))、光造形物、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。例えば具体的には、電子部品の形成材料としては、封止材料、層形成材料として、プリント配線基板、層間絶縁膜、配線被覆膜等に用いることができる。また、表示装置の形成材料としては、層形成材料や画像形成材料として、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、レジスト材料、配向膜等に用いることができる。また、半導体装置の形成材料としては、レジスト材料、バッファーコート膜のような層形成材料等に用いることができる。また、光学部品の形成材料としては、光学材料や層形成材料として、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等に用いることができる。また、建築材料としては、塗料、コーティング剤等に用いることができる。また、光造形物の材料としても用いることができる。印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料、いずれかの物品が提供される。
上記の様な特徴を有することから、本発明に係る感光性樹脂組成物は、パターン形成用材料としても用いることが可能である。特に、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する感光性樹脂組成物をパターン形成用材料(レジスト)として用いた場合、それによって形成されたパターンは、ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材又は電子部材を形成するのに適している。
また、本発明においては、本発明に係る感光性樹脂組成物又はその熱硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料いずれかの物品が提供される。
<レリーフパターンの製造方法>
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
上記レリーフパターンの製造方法においては、高分子前駆体と、塩基発生剤として上記式(1)で表されるような化合物とを組み合わせて用いることにより、感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うパターン形成が可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布するなどして塗膜を形成したり、適した成型方法で成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定のパターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱することにより、露光部においてのみ、上記化学式(1)で表される塩基発生剤が異性化及び環化して塩基性物質が生成する。塩基性物質は、露光部の高分子前駆体の最終生成物への反応を促進する触媒として作用する。
ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体のように、塩基の触媒作用によって熱硬化温度が低下する高分子前駆体を用いる場合には、先ず、そのような高分子前駆体、及び前記化学式(1)で表される塩基発生剤を組み合わせた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上のパターンを残したい部分を露光する。露光後又は露光と同時に加熱すると、露光部には、塩基性物質が発生し、その部分の熱硬化温度が選択的に低下する。露光後又は露光と同時に、露光部は熱硬化するが未露光部は熱硬化しない処理温度で加熱し、露光部のみ硬化させる。塩基性物質を発生させる加熱工程と、露光部のみ硬化させる反応を行うための加熱工程(露光後ベイク)は、同一の工程としても良いし、別の工程にしても良い。
次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
また、エポキシ基やシアネート基を有する化合物及び高分子のように、塩基の触媒作用によって、反応が開始するような高分子前駆体を用いる場合においても、先ず、そのような高分子前駆体、及び前記式(1)で表される塩基発生剤を組み合わせた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上のパターンを残したい部分を露光する。露光後又は露光と同時に加熱すると、露光部には塩基性物質が発生し、その部分のエポキシ基やシアネート基を有する化合物及び高分子の反応が開始され、露光部のみ硬化する。塩基性物質を発生させる加熱工程と、露光部のみ硬化させる反応を行うための加熱工程(露光後ベイク)は、同一の工程としても良いし、別の工程にしても良い。次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
本発明の感光性樹脂組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒に溶解後、浸漬法、スプレー法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法、ディスペンス法などによって、シリコンウエハ、金属基板、セラミック基板、樹脂フィルムなどの基材表面に塗布し、加熱して溶剤の大部分を除くことにより、基材表面に粘着性のない塗膜を与えることができる。塗膜の厚みには特に制限はないが、0.5〜50μmであることが好ましく、感度および現像速度面から1.0〜20μmであることがより望ましい。塗布した塗膜の乾燥条件としては、例えば、80〜100℃、1分〜20分が挙げられる。
この塗膜に、所定のパターンを有するマスクを通して、電磁波を照射しパターン状に露光後を行い、加熱後、膜の未露光部分を、適切な現像液で現像して除去することにより、所望のパターン化された膜を得ることができる。
露光工程に用いられる露光方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良く、g線ステッパ、i線ステッパ、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、又はその他の紫外線、可視光線、X線、電子線などを照射可能な投影機や線源を使用することができる。
電磁波照射のみによって保護基の脱保護や共有結合形成基生成を行う場合、塩基を発生するために照射する電磁波によって脱保護や共有結合形成基生成を行っても良いし、脱保護や共有結合形成基生成のための電磁波と、塩基を発生させるための電磁波とで波長を変更しても良い。例えば、長波長の電磁波を照射して脱保護や共有結合形成基生成を行い、その後短波長の電磁波で塩基を発生させるための異性化を行うなどが挙げられる。これらの場合の電磁波の照射量は、電磁波によっても異なり、特に限定されず、適宜調整される。
露光前又は露光後又は露光と同時に加熱し、保護基を脱保護させて塩基を発生させたり、構造の一部を変化させて共有結合形成基を生成するための加熱温度としては、組み合わせる高分子前駆体や目的により適宜選択され、特に限定されない。感光性樹脂組成物が置かれた環境の温度(例えば、室温)による加熱であっても良く、その場合、徐々に塩基が発生する。また、電磁波の照射時に副生される熱によっても塩基が発生するため、電磁波の照射時に副生される熱により実質的に加熱が同時に行われても良い。反応速度を高くし、効率よくアミンを発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。しかしながら、組み合わせて用いられる高分子前駆体によっては、例えば60℃以上の加熱で未露光部についても硬化するものもあるので、好適な加熱温度は、上記に限定されない。また、本発明に係る塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、400℃以下で加熱することが好ましく、更に300℃以下で加熱することが好ましい。
例えば、エポキシ樹脂の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、エポキシ樹脂の種類により適宜選択されるが、通常100℃〜150℃程度である。
なお、露光前に加熱を行い脱保護や共有結合形成基生成を行ってもよい。保護基等の種類によっては保護基等を導入することで、吸収波長が短波長化するなどして塩基発生剤の感度が悪くなることがある。このような場合、電磁波照射前の加熱により予め保護基等を脱保護し、電磁波を照射することにより、電磁波照射時の感度を向上させることができる。
なお、保護基の脱保護や共有結合形成基生成条件は、組成物中で共存する成分により変化し得る。例えば、他の光酸発生剤や光塩基発生剤が含まれる場合、光照射によって発生した酸・塩基の影響で、露光後の加熱温度が変化する場合がある。
当該電磁波照射前の保護基脱保護のための加熱は、塗膜の乾燥工程であっても良いし、他の加熱工程であっても良い。この場合、加熱温度としては、脱保護が可能な温度を適宜選択すればよいが、50℃〜180℃が好ましく、時間は10秒以上60分以下が好ましい。
また、加熱を行う際には、低温で保護基の脱保護を行い、より高温で塩基を発生させるようにしても良い。
例えば、エポキシ樹脂の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、エポキシ樹脂の種類により適宜選択されるが、通常100℃〜150℃程度である。
なお、露光前に加熱を行い脱保護や共有結合形成基生成を行ってもよい。保護基等の種類によっては保護基等を導入することで、吸収波長が短波長化するなどして塩基発生剤の感度が悪くなることがある。このような場合、電磁波照射前の加熱により予め保護基等を脱保護し、電磁波を照射することにより、電磁波照射時の感度を向上させることができる。
なお、保護基の脱保護や共有結合形成基生成条件は、組成物中で共存する成分により変化し得る。例えば、他の光酸発生剤や光塩基発生剤が含まれる場合、光照射によって発生した酸・塩基の影響で、露光後の加熱温度が変化する場合がある。
当該電磁波照射前の保護基脱保護のための加熱は、塗膜の乾燥工程であっても良いし、他の加熱工程であっても良い。この場合、加熱温度としては、脱保護が可能な温度を適宜選択すればよいが、50℃〜180℃が好ましく、時間は10秒以上60分以下が好ましい。
また、加熱を行う際には、低温で保護基の脱保護を行い、より高温で塩基を発生させるようにしても良い。
なお、R9における保護基の脱保護や、R3、R4、R5、R6、R7及びR8のいずれかにおいて構造の一部を変化させて高分子前駆体と共有結合を形成可能な共有結合形成基を形成することは、加熱のみによっても、電磁波照射のみによって行われても良い。
また、加熱と電磁波照射を同時に又は加熱と電磁波照射を交互に行うことより脱保護や共有結合形成基生成を行っても良い。
また、加熱と電磁波照射を同時に又は加熱と電磁波照射を交互に行うことより脱保護や共有結合形成基生成を行っても良い。
前記式(1)で表される塩基発生剤は電磁波の照射のみでも塩基を発生するが、適宜加熱することにより塩基の発生が促進される。従って、効率的に塩基を発生させるために、前記式(1)で表される塩基発生剤を用いる際には、電磁波照射(露光)後又は電磁波照射と同時に加熱を行うことにより塩基を発生する。露光と加熱を交互に行ってもよい。最も効率が良い方法は、露光と同時に加熱する方法である。
本発明に係る感光性樹脂組成物の塗膜は、架橋反応を物理的に促進するためや、露光部のみ硬化させる反応を行うために、露光工程と現像工程の間に、露光後ベイク(Post Exposure Bake:PEB)を行うことが好ましい。当該PEBは、電磁波の照射及び加熱により発生した塩基の作用により、塩基が存在する部位と、未照射で塩基が存在しない部位とでイミド化率等の硬化反応の反応率が異なるようになる温度で行うことが好ましい。例えば、イミド化の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、通常60℃〜200℃程度であり、より好ましくは120℃〜200℃である。熱処理温度が60℃より低いと、イミド化の効率が悪く、現実的なプロセス条件で露光部、未露光部のイミド化率の差を生ずることが難しくなる。一方、熱処理温度が200℃を超えると、アミンが存在していない未露光部でもイミド化が進行する恐れがあり、露光部と未露光部の溶解性の差を生じ難い。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、又はホットプレートによる加熱等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明において、電磁波の照射と加熱により塩基発生剤から塩基が生ずるが、この塩基を発生させるための加熱とPEB工程は同一の工程としてもよいし、別の工程としてもよい。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、又はホットプレートによる加熱等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明において、電磁波の照射と加熱により塩基発生剤から塩基が生ずるが、この塩基を発生させるための加熱とPEB工程は同一の工程としてもよいし、別の工程としてもよい。
(現像液)
現像工程に用いられる現像液としては、前記照射部位の溶解性が変化する溶剤を現像液として用いれば、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
現像工程に用いられる現像液としては、前記照射部位の溶解性が変化する溶剤を現像液として用いれば、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05重量%〜5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の他、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムなどの水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
また、有機溶剤としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、その他テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトニトリルなどを、単独であるいは2種類以上を組み合わせて添加してもよい。現像後は水または貧溶媒にて洗浄を行う。この場合においてもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えても良い。
現像後は必要に応じて水または貧溶媒でリンスを行い、80〜100℃で乾燥しパターンを安定なものとする。このレリーフパターンを、耐熱性のあるものとするために180〜500℃、好ましくは200〜350℃の温度で数十分から数時間加熱することによりパターン化された高耐熱性樹脂層が形成される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。製造された塩基発生剤の構造は1H NMRによって確認した。
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
1H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
塗膜の加熱:アズワン(株)製、HOT PLATE EC−1200(本実施例中、ホットプレートと記載することがある)
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
1H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
塗膜の加熱:アズワン(株)製、HOT PLATE EC−1200(本実施例中、ホットプレートと記載することがある)
(製造例1:塩基発生剤(1)の合成)
300 mL三口フラスコ中、2,4−ジヒドロキシ−ケイ皮酸(シグマアルドリッチジャパン(株)製)5.0g(27.8mmol)をテトラヒドロフラン100 mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(東京化成工業(株)製)6.4g(33.3 mmol)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成工業(株)製)3.3ml (33.3 mmol)を加えた。反応終了後、水に溶解し、クロロホルムで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより、下記化学式(7)で表される塩基発生剤(1)を3.8g得た。
300 mL三口フラスコ中、2,4−ジヒドロキシ−ケイ皮酸(シグマアルドリッチジャパン(株)製)5.0g(27.8mmol)をテトラヒドロフラン100 mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(東京化成工業(株)製)6.4g(33.3 mmol)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成工業(株)製)3.3ml (33.3 mmol)を加えた。反応終了後、水に溶解し、クロロホルムで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより、下記化学式(7)で表される塩基発生剤(1)を3.8g得た。
(製造例2:塩基発生剤(2)の合成)
アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、エピクロロヒドリン(東京化成工業(株)製)0.80ml(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(8)で表される塩基発生剤(2)を620mg得た。
アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、エピクロロヒドリン(東京化成工業(株)製)0.80ml(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(8)で表される塩基発生剤(2)を620mg得た。
(製造例3:塩基発生剤(3)の合成)
100mLフラスコ中、塩基発生剤(1)3.00g(12.1mmol)、tert-ブトキシジフェニルクロロシラン(東京化成工業(株)製)3.26ml(14.52mmol、1.2eq)をジメチルスルホキシド5mLに溶解させ、イミダゾール(東京化成工業(株)製)2.46g(36.3mmol、2.5eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させることにより、下記化学式(9)で表される塩基発生剤(3)を2.9g(5.63mmol)得た。
100mLフラスコ中、塩基発生剤(1)3.00g(12.1mmol)、tert-ブトキシジフェニルクロロシラン(東京化成工業(株)製)3.26ml(14.52mmol、1.2eq)をジメチルスルホキシド5mLに溶解させ、イミダゾール(東京化成工業(株)製)2.46g(36.3mmol、2.5eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させることにより、下記化学式(9)で表される塩基発生剤(3)を2.9g(5.63mmol)得た。
(製造例4:塩基発生剤(4)の合成)
100mLフラスコ中、上記塩基発生剤(1)940mg(3.82mmol)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(東京化成工業(株)製)1.38g(9.16mmol、2.4eq)をジメチルスルホキシド5mLに溶解させ、イミダゾール(東京化成工業(株)製)1.3g(19.2mmol、5.0eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させることにより、下記式(10)で表される塩基発生剤(4)を0.51g得た。
100mLフラスコ中、上記塩基発生剤(1)940mg(3.82mmol)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(東京化成工業(株)製)1.38g(9.16mmol、2.4eq)をジメチルスルホキシド5mLに溶解させ、イミダゾール(東京化成工業(株)製)1.3g(19.2mmol、5.0eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させることにより、下記式(10)で表される塩基発生剤(4)を0.51g得た。
(製造例5:塩基発生剤(5)の合成)
100mLフラスコ中、塩基発生剤(1)940mg(3.82mmol)、tert-ブチルビニルエーテル(アルドリッチ(株)製)10gと脱水テトラヒドロフラン4gの混合溶液に溶解させ、ピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成(株)製)92mg(0.38mmol,0.1eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、飽和食塩水を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させ、オープンカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1(体積比))を用いて精製することにより、下記式(11)で表される塩基発生剤(5)を260mg得た。
100mLフラスコ中、塩基発生剤(1)940mg(3.82mmol)、tert-ブチルビニルエーテル(アルドリッチ(株)製)10gと脱水テトラヒドロフラン4gの混合溶液に溶解させ、ピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成(株)製)92mg(0.38mmol,0.1eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、飽和食塩水を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させ、オープンカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1(体積比))を用いて精製することにより、下記式(11)で表される塩基発生剤(5)を260mg得た。
(製造例6:塩基発生剤(6)の合成)
100mLフラスコ中、塩基発生剤(1)940mg(3.82mmol)、tert-ブチルビニルエーテル(アルドリッチ(株)製)2.0mlと脱水テトラヒドロフラン40mlの混合溶液に溶解させ、ピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成(株)製)9.2mg(0.038mmol,0.01eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、飽和食塩水を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させ、オープンカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1(体積比))を用いて精製することにより、下記式(12)で表される塩基発生剤(6)を72mg得た。
100mLフラスコ中、塩基発生剤(1)940mg(3.82mmol)、tert-ブチルビニルエーテル(アルドリッチ(株)製)2.0mlと脱水テトラヒドロフラン40mlの混合溶液に溶解させ、ピリジニウムp-トルエンスルホナート(東京化成(株)製)9.2mg(0.038mmol,0.01eq)を加え、終夜で撹拌した。反応終了後、飽和食塩水を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを用い乾燥させ、オープンカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1(体積比))を用いて精製することにより、下記式(12)で表される塩基発生剤(6)を72mg得た。
(製造例7:塩基発生剤(7)の合成)
Bulletin des Societes Chimiques Belges, 88(12), 1043-4; 1979を参考に3−クロロプロパン酸トリメチルシリルエステルを合成した。続いて、アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、3−クロロプロパン酸トリメチルシリルエステル1.82g(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(13)で表される塩基発生剤(7)を250mg得た。
Bulletin des Societes Chimiques Belges, 88(12), 1043-4; 1979を参考に3−クロロプロパン酸トリメチルシリルエステルを合成した。続いて、アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、3−クロロプロパン酸トリメチルシリルエステル1.82g(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(13)で表される塩基発生剤(7)を250mg得た。
(製造例8:塩基発生剤(8)の合成)
100mL三口フラスコ中、2,5−ジヒドロキシ−ケイ皮酸 メチルエステル(シグマ・アルドリッチ社製) 2.9g(15.0mmol)を、1N水酸化ナトリウム水溶液30mlに溶解し、終夜で撹拌した。反応終了後、濃塩酸を滴下し酸性とし、析出した沈殿物をろ過により集め、乾燥することで、2,5−ジヒドロキシ−ケイ皮酸を2.24g得た。
続いて、100 mL三口フラスコ中、2,5−ジヒドロキシ−ケイ皮酸2.0 g (11.1 mmol)をテトラヒドロフラン10 mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(東京化成工業(株)製)2.56 g(13.3 mmol、1.2eq)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成工業(株)製)1.28 mL (13.3 mmol)を加えた。反応終了後、水に溶解し、クロロホルムで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール 100/1〜10/1(体積比))により精製することにより、(E)−3−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン((E)-3-(2,5-dihydroxyphenyl)-1-(piperidin-1-yl)prop-2-en-1-one)を1.24 g得た。
続いて、アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、(E)−3−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン 1.0g(4.04mmol)、エピクロロヒドリン(東京化成工業(株)製)0.80ml(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(14)で表される塩基発生剤(8)を320mg得た。
100mL三口フラスコ中、2,5−ジヒドロキシ−ケイ皮酸 メチルエステル(シグマ・アルドリッチ社製) 2.9g(15.0mmol)を、1N水酸化ナトリウム水溶液30mlに溶解し、終夜で撹拌した。反応終了後、濃塩酸を滴下し酸性とし、析出した沈殿物をろ過により集め、乾燥することで、2,5−ジヒドロキシ−ケイ皮酸を2.24g得た。
続いて、100 mL三口フラスコ中、2,5−ジヒドロキシ−ケイ皮酸2.0 g (11.1 mmol)をテトラヒドロフラン10 mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(東京化成工業(株)製)2.56 g(13.3 mmol、1.2eq)を加えた。30分後、ピペリジン(東京化成工業(株)製)1.28 mL (13.3 mmol)を加えた。反応終了後、水に溶解し、クロロホルムで抽出した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。その後、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール 100/1〜10/1(体積比))により精製することにより、(E)−3−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン((E)-3-(2,5-dihydroxyphenyl)-1-(piperidin-1-yl)prop-2-en-1-one)を1.24 g得た。
続いて、アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、(E)−3−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン 1.0g(4.04mmol)、エピクロロヒドリン(東京化成工業(株)製)0.80ml(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(14)で表される塩基発生剤(8)を320mg得た。
(製造例9:塩基発生剤(9)の合成)
製造例2と同様に(E)−3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン((E)-3-(2,4-dihydroxyphenyl)-1-(piperidin-1-yl)prop-2-en-1-one)を合成した。エピクロロヒドリンの変わりに3-(クロロメチル)-3-メチルオキセタン(東京化成工業(株)製)を用いることで、下記化学式(15)で表される塩基発生剤(9)を450mg得た。
製造例2と同様に(E)−3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン((E)-3-(2,4-dihydroxyphenyl)-1-(piperidin-1-yl)prop-2-en-1-one)を合成した。エピクロロヒドリンの変わりに3-(クロロメチル)-3-メチルオキセタン(東京化成工業(株)製)を用いることで、下記化学式(15)で表される塩基発生剤(9)を450mg得た。
(製造例10:塩基発生剤(10)の合成)
アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、(2−クロロ−エチル)−カルバミック酸 tert−ブチルエーテル(オーロラファインケミカル製)1.81g(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより、(E)−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−4−(3−オキソ−3−(ピぺリジン−1−イル)プロップ−1−エニル)フェノキシ)エチルカルバメート((E)-tert-butyl 2-(3-hydroxy-4-(3-oxo-3-(piperidin-1-yl)prop-1-enyl)phenoxy)ethylcarbamate)を250mg得た。
続いて、30mlフラスコ中、(E)−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−4−(3−オキソ−3−(ピレリジン−1−イル)プロップ−1−エニル)フェノキシ)エチルカルバメート100mg(266μmol)、塩化水素 (約4mol/L 1,4-ジオキサン溶液)(東京化成工業(株)製)1mlを加え1時間撹拌した。反応終了後、濃縮することで(E)−3−(4−(2−アミノエトキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エンー1−オン((E)-3-(4-(2-aminoethoxy)-2-hydroxyphenyl)-1-(piperidin-1-yl)prop-2-en-1-one)を定量的に得た。続いて、トルエン10mlに溶解させ、0℃に冷却した状態でトリホスゲン(東京化成工業(株)製)14.3mg(0.32eq)とトルエン0.5mlとの混合溶液を滴下した。同温で10分間攪拌を続けた後に、2時間かけて95℃まで昇温した。さらに2時間かけて112℃まで昇温した後、冷却してイソシアネート溶液を調製した。続いて、アセト酢酸エチル(東京化成工業(株)製)41mg(1.2eq)、ナトリウムメトキシド (約5mol/Lメタノール溶液) (東京化成工業(株)製)10μlを加え、80℃で1時間撹拌した。反応終了後、濃縮し、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(16)で表される塩基発生剤(10)を20mg得た。
アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、(2−クロロ−エチル)−カルバミック酸 tert−ブチルエーテル(オーロラファインケミカル製)1.81g(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより、(E)−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−4−(3−オキソ−3−(ピぺリジン−1−イル)プロップ−1−エニル)フェノキシ)エチルカルバメート((E)-tert-butyl 2-(3-hydroxy-4-(3-oxo-3-(piperidin-1-yl)prop-1-enyl)phenoxy)ethylcarbamate)を250mg得た。
続いて、30mlフラスコ中、(E)−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−4−(3−オキソ−3−(ピレリジン−1−イル)プロップ−1−エニル)フェノキシ)エチルカルバメート100mg(266μmol)、塩化水素 (約4mol/L 1,4-ジオキサン溶液)(東京化成工業(株)製)1mlを加え1時間撹拌した。反応終了後、濃縮することで(E)−3−(4−(2−アミノエトキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−1−(ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エンー1−オン((E)-3-(4-(2-aminoethoxy)-2-hydroxyphenyl)-1-(piperidin-1-yl)prop-2-en-1-one)を定量的に得た。続いて、トルエン10mlに溶解させ、0℃に冷却した状態でトリホスゲン(東京化成工業(株)製)14.3mg(0.32eq)とトルエン0.5mlとの混合溶液を滴下した。同温で10分間攪拌を続けた後に、2時間かけて95℃まで昇温した。さらに2時間かけて112℃まで昇温した後、冷却してイソシアネート溶液を調製した。続いて、アセト酢酸エチル(東京化成工業(株)製)41mg(1.2eq)、ナトリウムメトキシド (約5mol/Lメタノール溶液) (東京化成工業(株)製)10μlを加え、80℃で1時間撹拌した。反応終了後、濃縮し、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(16)で表される塩基発生剤(10)を20mg得た。
(製造例11:塩基発生剤(11)の合成)
既報(J. Med. Chem. 1998, 41, 5429-5444)に従い1,1−ジメチルエチル N−(2−クロロエチル)−N−メチルカルバメートを合成した。
アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、及び1,1−ジメチルエチル N−(2−クロロエチル)−N−メチルカルバメート1.96g(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(17)で表される塩基発生剤(11)を120mg得た。
既報(J. Med. Chem. 1998, 41, 5429-5444)に従い1,1−ジメチルエチル N−(2−クロロエチル)−N−メチルカルバメートを合成した。
アルゴン雰囲気下、100mlフラスコ中、塩基発生剤(1)1.0g(4.04mmol)、及び1,1−ジメチルエチル N−(2−クロロエチル)−N−メチルカルバメート1.96g(10.1mmol)をメタノール10mlに溶解させ、還流した。水酸化カリウム(関東化学社製)0.24g(4.44mmol)をメタノール1.0mlに溶解させ、ゆっくり滴下した。3時間撹拌後、室温に戻し、ろ過した。ろ液を濃縮し、ジクロロメタンに溶解させ、水洗したのち、シリカゲルカラムクマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール100/1〜10/1(体積比))により精製することにより下記化学式(17)で表される塩基発生剤(11)を120mg得た。
(比較製造例1:比較塩基発生剤(1)の合成)
また、比較塩基発生剤(1)として、特開2009−80452号公報の記載に従い、下記化学式(18)で表される化合物を合成した。
また、比較塩基発生剤(1)として、特開2009−80452号公報の記載に従い、下記化学式(18)で表される化合物を合成した。
(合成例1:ポリイミド前駆体の合成)
ジ(4−アミノフェニル)エーテル10.0g(50mmol)を300mLの3つ口フラスコに投入し、105.4mLの脱水されたN−メチルピロリドンに溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸3,4:3’,4’−二無水物13.6g(47.5mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥しポリアミド酸(ポリイミド前駆体(1))を白色固体として定量的に得た。
ジ(4−アミノフェニル)エーテル10.0g(50mmol)を300mLの3つ口フラスコに投入し、105.4mLの脱水されたN−メチルピロリドンに溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸3,4:3’,4’−二無水物13.6g(47.5mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥しポリアミド酸(ポリイミド前駆体(1))を白色固体として定量的に得た。
[塩基発生剤の評価]
合成した塩基発生剤(1)〜(11)、並びに比較塩基発生剤(1)について、以下の測定を行い、評価した。モル吸光係数及び5%重量減少温度の結果を表1に示す。NMR測定を用いた塩基発生能の結果を表2に示す。なお、表2において、塩基発生率とは、用いた塩基発生剤のモル数に対する発生した塩基のモル数の百分率であり、塩基発生剤(1)〜(11)、並びに比較塩基発生剤(1)の塩基発生率は、光照射と加熱を合せた割合である。
合成した塩基発生剤(1)〜(11)、並びに比較塩基発生剤(1)について、以下の測定を行い、評価した。モル吸光係数及び5%重量減少温度の結果を表1に示す。NMR測定を用いた塩基発生能の結果を表2に示す。なお、表2において、塩基発生率とは、用いた塩基発生剤のモル数に対する発生した塩基のモル数の百分率であり、塩基発生剤(1)〜(11)、並びに比較塩基発生剤(1)の塩基発生率は、光照射と加熱を合せた割合である。
(1)モル吸光係数
塩基発生剤(1)〜(11)、並びに比較塩基発生剤(1)をそれぞれ、アセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値である。
塩基発生剤(1)〜(11)、並びに比較塩基発生剤(1)をそれぞれ、アセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値である。
(2)塩基発生能
塩基発生剤(1)〜(11)及び比較塩基発生剤(1)について、1mgの試料を3つ用意し、それぞれを石英製NMR管中で重ジメチルスルホキシド0.5mLに溶解させた。
塩基発生剤(1)〜(11)、比較塩基発生剤(1)について、i線を20%透過するフィルタと高圧水銀灯を用いて、1本には2J/cm2で光照射を行い、他の1本には20J/cm2で光照射を行った。残り1本には光照射を行わなかった。また、1H NMRを測定し、異性化の割合を求めた。
塩基発生剤(1)〜(11)及び比較塩基発生剤(1)について、1mgの試料を3つ用意し、それぞれを石英製NMR管中で重ジメチルスルホキシド0.5mLに溶解させた。
塩基発生剤(1)〜(11)、比較塩基発生剤(1)について、i線を20%透過するフィルタと高圧水銀灯を用いて、1本には2J/cm2で光照射を行い、他の1本には20J/cm2で光照射を行った。残り1本には光照射を行わなかった。また、1H NMRを測定し、異性化の割合を求めた。
(実施例1:感光性樹脂組成物(1)の調製)
製造例1で得られた塩基発生剤(1)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(1)を調製した。
・エポキシ樹脂(マープルーフG−01100)、日油株式会社製):100重量部
・塩基発生剤:15重量部
・テトラヒドロフラン:500重量部
製造例1で得られた塩基発生剤(1)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(1)を調製した。
・エポキシ樹脂(マープルーフG−01100)、日油株式会社製):100重量部
・塩基発生剤:15重量部
・テトラヒドロフラン:500重量部
感光性樹脂組成物(1)を、ガラス上に最終膜厚1.0μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を3枚得た。得られた2枚の塗膜に対し、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った後、150℃で60分間加熱した。作成した塗膜のうち1枚はイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解せず、エポキシ樹脂が硬化したことが明らかになった。また、もう1枚の硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。露光しなかった1枚の塗膜に対し、150℃で60分間加熱した。イソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、塗膜は溶解した。
(比較例:比較感光性樹脂組成物(1)の調製)
実施例1において、塩基発生剤を比較塩基発生剤(1)とした以外は、実施例1と同様にして、比較感光性樹脂組成物(1)を調製した。
実施例1と同様にして塗膜を作成したところ、塗膜が硬化していることが明らかとなった。また、露光後加熱を行った硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体が検出された。
実施例1において、塩基発生剤を比較塩基発生剤(1)とした以外は、実施例1と同様にして、比較感光性樹脂組成物(1)を調製した。
実施例1と同様にして塗膜を作成したところ、塗膜が硬化していることが明らかとなった。また、露光後加熱を行った硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体が検出された。
(実施例2〜9:感光性樹脂組成物(2)〜(9)の調製)
製造例2〜8、及び製造例11で得られた塩基発生剤(2)〜(8)、及び(11)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(2)〜(9)を調製した。
・エポキシ樹脂(YP50EK35(フェノキシ樹脂)、35重量%メチルエチルケトン溶液 新日鐵化学社製):100重量部
・塩基発生剤:35重量部
製造例2〜8、及び製造例11で得られた塩基発生剤(2)〜(8)、及び(11)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(2)〜(9)を調製した。
・エポキシ樹脂(YP50EK35(フェノキシ樹脂)、35重量%メチルエチルケトン溶液 新日鐵化学社製):100重量部
・塩基発生剤:35重量部
感光性樹脂組成物(2)〜(9)を、ガラス上に最終膜厚0.5μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜をそれぞれ2枚ずつ得た。感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、150℃で60分間加熱した。加熱した塗膜をイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解せず、エポキシ樹脂が硬化したことが明らかになった。一方、露光をせずに加熱した塗膜については、上記混合溶液に溶解した。
感光性樹脂組成物(2)〜(9)を用いて露光後加熱した硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。
感光性樹脂組成物(2)と感光性樹脂組成物(8)は、それぞれ、同じ置換基で置換位置が異なる塩基発生剤(2)及び塩基発生剤(8)が用いられたが、いずれも同じ効果が得られ、置換位置によらず同様の作用効果が得られることが明らかにされた。
上記実施例により、エポキシ基を有する高分子前駆体に、置換基としてエポキシ基、水酸基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基を有する塩基発生剤を組み合わせると、塩基発生剤がエポキシ基を有する高分子前駆体に固定化することが明らかにされた。
感光性樹脂組成物(2)〜(9)を用いて露光後加熱した硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。
感光性樹脂組成物(2)と感光性樹脂組成物(8)は、それぞれ、同じ置換基で置換位置が異なる塩基発生剤(2)及び塩基発生剤(8)が用いられたが、いずれも同じ効果が得られ、置換位置によらず同様の作用効果が得られることが明らかにされた。
上記実施例により、エポキシ基を有する高分子前駆体に、置換基としてエポキシ基、水酸基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基を有する塩基発生剤を組み合わせると、塩基発生剤がエポキシ基を有する高分子前駆体に固定化することが明らかにされた。
(比較例2:比較感光性樹脂組成物(2)の調製)
比較塩基発生剤(1)を用いて、下記に示す組成の比較感光性樹脂組成物(2)を調製した。
・エポキシ樹脂(YP50EK35(フェノキシ樹脂)、35重量%メチルエチルケトン溶液 新日鐵化学社製):100重量部
・比較塩基発生剤(1):1重量部
比較塩基発生剤(1)はアセトン系溶媒、メチルエチルケトンに溶解しにくいため、本発明と同じ濃度の塩基発生剤を含む樹脂組成物を調製することができなかった。わずかに(約3.0重量%)比較塩基発生剤を溶解した比較感光性樹脂組成物(2)により塗膜を作成し、露光及び露光後ベイクを行ったが、塗膜は硬化しないことが明らかにされた。また、露光後ベイクを行った塗膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体が検出された。
比較塩基発生剤(1)を用いて、下記に示す組成の比較感光性樹脂組成物(2)を調製した。
・エポキシ樹脂(YP50EK35(フェノキシ樹脂)、35重量%メチルエチルケトン溶液 新日鐵化学社製):100重量部
・比較塩基発生剤(1):1重量部
比較塩基発生剤(1)はアセトン系溶媒、メチルエチルケトンに溶解しにくいため、本発明と同じ濃度の塩基発生剤を含む樹脂組成物を調製することができなかった。わずかに(約3.0重量%)比較塩基発生剤を溶解した比較感光性樹脂組成物(2)により塗膜を作成し、露光及び露光後ベイクを行ったが、塗膜は硬化しないことが明らかにされた。また、露光後ベイクを行った塗膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体が検出された。
(実施例10:感光性樹脂組成物(10)の調製)
製造例9で得られた塩基発生剤(9)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(10)を調製した。
・オキセタン樹脂(OXT−121)、東亞合成株式会社製):100重量部
・塩基発生剤:15重量部
・テトラヒドロフラン:500重量部
製造例9で得られた塩基発生剤(9)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(10)を調製した。
・オキセタン樹脂(OXT−121)、東亞合成株式会社製):100重量部
・塩基発生剤:15重量部
・テトラヒドロフラン:500重量部
感光性樹脂組成物(10)を、ガラス上に最終膜厚1.0μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を3枚得た。得られた2枚の塗膜に対し、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った後、150℃で60分間加熱した。作成した塗膜のうち1枚はイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液(イソプロパノール:クロロホルム=4:1(体積比))に室温で10分間浸漬したところ、露光後加熱した塗膜については上記混合溶液に溶解せず、オキセタン樹脂が硬化したことが明らかになった。また、もう1枚の硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。
(実施例11〜17:感光性樹脂組成物(11)〜(17)の調製)
製造例1、3〜6、及び10〜11で得られた塩基発生剤(1)、(3)〜(6)、及び(10)〜(11)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(11)〜(17)を調製した。
・ヘキサメチレンジイソシアネート(関東化学社製):100重量部
・ポリテトラヒドロフラン(アルドリッチ社製):150重量部
・塩基発生剤:15重量部
・テトラヒドロフラン:500重量部
製造例1、3〜6、及び10〜11で得られた塩基発生剤(1)、(3)〜(6)、及び(10)〜(11)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(11)〜(17)を調製した。
・ヘキサメチレンジイソシアネート(関東化学社製):100重量部
・ポリテトラヒドロフラン(アルドリッチ社製):150重量部
・塩基発生剤:15重量部
・テトラヒドロフラン:500重量部
感光性樹脂組成物(11)〜(17)をクロムめっきされたガラス上に最終膜厚が0.5μmになるようにそれぞれスピンコートし、60℃のホットプレート上で5分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を1枚得た。得られた塗膜を、手動露光機を用いて高圧水銀灯により100J/cm2全面露光を行った。その後、120℃で30分間加熱し、室温まで冷却したところ、低弾性の固形物が得られ、イソシアナト基と水酸基との硬化が進行したことを確認した。
硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。
上記実施例により、イソシアナト基を有する高分子前駆体に、置換基として水酸基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基、水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基を有する塩基発生剤を組み合わせると、塩基発生剤がイソシアナト基を有する高分子前駆体に固定化することが明らかにされた。
硬化膜を、重ジメチルスルホキシドに溶解させ、当該重ジメチルスルホキシド溶液のNMR測定を行ったところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。
上記実施例により、イソシアナト基を有する高分子前駆体に、置換基として水酸基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基、水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基を有する塩基発生剤を組み合わせると、塩基発生剤がイソシアナト基を有する高分子前駆体に固定化することが明らかにされた。
(実施例18:感光性樹脂組成物(18)の調製)
製造例2で得られた塩基発生剤(2)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(18)を調製した。
・ポリイミド前駆体(1):100重量部
・塩基発生剤:15重量部
・N−メチルピロリドン:500重量部
製造例2で得られた塩基発生剤(2)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(18)を調製した。
・ポリイミド前駆体(1):100重量部
・塩基発生剤:15重量部
・N−メチルピロリドン:500重量部
感光性樹脂組成物(18)をクロムめっきされたガラス上に最終膜厚が5.0μmになるようにそれぞれスピンコートし、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を1枚得た。得られた塗膜を、手動露光機を用いて高圧水銀灯により10J/cm2全面露光を行った。その後、150℃で10分間加熱し、硬化膜を得た。
硬化膜を削り取り、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)により分析したところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。
上記実施例により、末端アミノ基及びカルボキシル基を有する高分子前駆体に、置換基としてエポキシ基を有する塩基発生剤を組み合わせると、塩基発生剤が末端アミノ基及びカルボキシル基を有する高分子前駆体に固定化することが明らかにされた。
硬化膜を削り取り、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)により分析したところ、アミンの発生と同時に生成するクマリン誘導体は検出されなかったことより、吸光団部位であるクマリン誘導体が樹脂に固定化されたことが明らかとなった。
上記実施例により、末端アミノ基及びカルボキシル基を有する高分子前駆体に、置換基としてエポキシ基を有する塩基発生剤を組み合わせると、塩基発生剤が末端アミノ基及びカルボキシル基を有する高分子前駆体に固定化することが明らかにされた。
Claims (10)
- 塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、下記化学式(1)で表わされ電磁波の照射により塩基を発生すると共に、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成する塩基発生剤を含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物。
- 前記塩基発生剤は、式(1)中のR3及びR4がいずれも水素原子であり、R5、R6、R7及びR8のいずれかが、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基を有することを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体が、エポキシ基、イソシアナト基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、並びにポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、アミノ基、カルボキシル基、又は水酸基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、エポキシ基、オキセタン基、又はチイラン基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体が、イソシアナト基、イソチオシアナト基、水酸基、又はアミノ基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、イソシアナト基、チオイソシアナト基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化してイソシアナト基又はチオイソシアナト基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記高分子前駆体が、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、又はカルボキシル基のいずれか1種以上を有する高分子前駆体であり、且つ、前記塩基発生剤が、加熱及び/又は電磁波の照射により前記高分子前駆体と共有結合を形成可能な官能基として、水酸基又はアミノ基、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により構造の一部が変化して水酸基又はアミノ基となるブロック化共有結合形成基のいずれか1種以上を有する塩基発生剤であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料。
- 前記請求項1乃至7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とするレリーフパターンの製造方法。
- 前記請求項1乃至7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品。
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