JP6106630B2 - 自動変速機 - Google Patents
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本発明は自動変速機に関する。
自動変速機は、一般に遊星歯車機構と、クラッチ、ブレーキといった係合機構とを備え、係合機構により動力伝達経路を切り換えることで各変速段を実現している。クラッチとしては油圧駆動の摩擦式のクラッチが知られている。摩擦式のクラッチの係合完了を判定する方法としては、例えば、連結する各要素が同期回転していることを検知する方法が挙げられる。そのためには、連結する各要素の回転数を検知する仕組みが必要となる。自動変速機に含まれる回転体等の状況を検知する方法としては、センサを設けて検知することが知られている(例えば特許文献1)。
しかし、連結する2つの要素にそれぞれセンサを設けるとコストアップの要因となる。また、遊星歯車機構を構成する回転要素の場合、構成上、センサを設けることが困難な場合もある。更に、センサを設けたとしても、センサが故障している場合に同期回転しているか否かを判別できない。
本発明の目的は、摩擦式のクラッチで連結される一方の回転要素の回転数を推定し、摩擦式のクラッチの係合完了を判定可能とすることにある。
本発明によれば、入力軸から出力軸への駆動力の伝達経路を複数経路形成可能な複数の遊星歯車機構と、複数の係合機構と、を備え、前記複数の遊星歯車機構の各遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリア及びリングギヤを回転要素として備え、前記複数の係合機構の各係合機構は、前記伝達経路を切り替えるクラッチ又はブレーキを構成する自動変速機であって、前記入力軸の回転数を検知する入力回転数検知手段と、前記出力軸の回転数を検知する出力回転数検知手段と、前記複数の係合機構のうちの一つである摩擦式のクラッチに供給される油圧を検知する油圧検知手段と、前記摩擦式のクラッチの連結対象であって、前記回転要素の一つである特定の回転要素の回転数を推定する推定手段と、前記推定手段の推定結果に基づいて前記摩擦式のクラッチの係合完了を判定する判定手段と、を備え、前記推定手段は、前記複数の係合機構の係合組合せのうち、少なくとも前記摩擦式のクラッチを係合状態とする特定の係合組合せを成立させる場合に、単位時間毎に、前記特定の回転要素の回転数を推定可能であり、前記推定手段は、前記自動変速機の構成要素のうち、前記特定の係合組み合わせにおいて回転運動を行う各構成要素の回転数を、前記入力回転数検知手段及び前記出力回転数検知手段の検知結果並びに前記特定の回転要素の回転数の推定結果の少なくともいずれかに基づいて演算し、前記各構成要素の回転エネルギを演算可能であり、前記推定手段は、前記油圧検知手段の検知結果に基いて、前記摩擦式のクラッチの前記単位時間当たりの仕事量を演算可能であり、前記推定手段は、i番目(iは自然数)の前記特定の回転要素の回転数を、前記回転エネルギ及び前記摩擦式のクラッチの前記単位時間当たりの仕事量のi−1番目の合計値と、i番目の前記回転エネルギとが、等しくなるように推定する、ことを特徴とする自動変速機が提供される。
この構成によれば、単位時間の前後での自動変速機の回転エネルギの差が摩擦式のクラッチの仕事量に等しくなるとみなすことで、特定の回転要素の回転数の推定と、クラッチの係合完了とを判定することができる。
本発明においては、前記摩擦式のクラッチは、前記入力軸と前記特定の回転要素とを断続するクラッチであってもよい。
この構成によれば、入力軸と断続される回転要素について、その回転数を推測することができる。
また、本発明においては、前記複数の係合機構は、前記特定の回転要素とケーシングとの間に設けられた機械式のブレーキを含み、前記機械式のブレーキは、前記特定の回転要素の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、前記特定の回転要素の双方向の回転を規制する回転阻止状態と、に切り替え可能であり、前記特定の係合組合せは、変速段を後進段に切り替える場合に選択される係合組合せであって、前記入力軸を前記ケーシングに固定する係合組合せであり、前記機械式のブレーキは、変速段を後進段に切り替えるために前記特定の係合組合せが選択され、前記判定手段により前記摩擦式のクラッチが係合完了と判定され、かつ、前記入力回転数検知手段の検知結果が所定の回転数未満であることを示す場合に、前記回転阻止状態に切り替えられてもよい。
この構成によれば、機械式のブレーキを切り替える際に、異音や振動の発生を防止し、また、その破損を回避できる。
また、本発明においては、前記推定手段は、変速段を非走行段から後進段に切り替える場合、前記特定の回転要素の回転数の初期値を0としてもよい。
この構成によれば、初期値を演算できない場合であっても、特定の回転要素の回転数を推定することができる。
また、本発明においては、前記出力軸は、前記特定の回転要素を備える前記遊星歯車機構から駆動力が伝達されてもよい。
この構成によれば、出力軸に駆動伝達を行う遊星歯車機構の回転要素について、その回転数を推測することができる。
また、本発明においては、前記摩擦式のクラッチに供給される作動油の油温を検知する油温検知手段を更に備え、前記推定手段は、前記油温検知手段、前記油圧検知手段、前記入力回転数検知手段の各検知結果及び前記特定の回転要素の回転数の推定結果に基づいて、前記摩擦式のクラッチの前記単位時間当たりの仕事量を演算してもよい。
この構成によれば、特定の回転要素の回転数の推定精度を向上することができる。
以上述べた通り、本発明によれば、摩擦式のクラッチで連結される一方の回転要素の回転数を推定し、摩擦式のクラッチの係合完了を判定可能とすることができる。
図1は本発明の一実施形態に係る自動変速機1のスケルトン図である。図1を参照して、自動変速機1は、その変速機ケースを構成するケーシング12内に回転自在に軸支された入力軸10と、ケーシング12に支持された支持部材12aに、入力軸10と同軸回りに回転自在に支持された出力部材11と、出力軸(カウンタ軸)13と、を備える。
入力軸10には、内燃機関EG(単にEGと呼ぶ場合がある)からの駆動力が入力され、該駆動力により入力軸10は回転する。入力軸10と内燃機関EGとの間には発進デバイスが設けられている。発進デバイスとしては、クラッチタイプの発進デバイス(単板クラッチや多板クラッチ等)や、流体継手タイプの発進デバイス(トルクコンバータ等)を挙げることができるが、本実施形態では、トルクコンバータTCを設けている。したがって、内燃機関EGの駆動力はトルクコンバータTCを介して入力軸10に入力される。
出力部材11は、入力軸10と同心のギヤを備え、出力軸13はこのギヤに噛み合うギヤを備える。入力軸10の回転は以下に述べる変速機構により変速されて出力軸13に伝達される。出力軸13の回転(駆動力)は、例えば、不図示の差動歯車装置を介して駆動輪に伝達されることになる。
自動変速機1は変速機構として、遊星歯車機構P1乃至P4と、係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1を備える。本実施形態の場合、遊星歯車機構P1乃至P4はいずれもシングルピニオン型の遊星歯車機構である。遊星歯車機構P1乃至P4によって、入力軸10から出力軸13への駆動力の伝達経路を複数経路形成可能である。
遊星歯車機構P1乃至P4は、サンギヤS1乃至S4と、リングギヤR1乃至R4と、ピニオンギヤを支持するキャリアCr1乃至Cr4と、を回転要素(合計で12個)として備え、入力軸10と同軸上に配設されている。
後述する図3の速度線図におけるギヤレシオに対応する間隔での並び順で順序付けを行うと、遊星歯車機構P1のサンギヤS1、キャリアCr1、リングギヤR1を、この順に、第1の回転要素、第2の回転要素、第3の回転要素、と呼ぶことができる。同様に、遊星歯車機構P2のリングギヤR2、キャリアCr2、サンギヤS2を、この順に、第4の回転要素、第5の回転要素、第6の回転要素、と呼ぶことができる。同様に、遊星歯車機構P3のサンギヤS3、キャリアCr3、リングギヤR3を、この順に、第7の回転要素、第8の回転要素、第9の回転要素、と呼ぶことができる。同様に、遊星歯車機構P4のリングギヤR4、キャリアCr4、サンギヤS4を、この順に、第10の回転要素、第11の回転要素、第12の回転要素、と呼ぶことができる。
係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1は、遊星歯車機構P1乃至P4の所定の回転要素間、遊星歯車機構P1乃至P4の所定の回転要素と入力軸10との間、又は、遊星歯車機構P1乃至P4の所定の回転要素とケーシング12との間、のいずれかを解除可能に連結する。本実施形態の場合、係合機構C1〜C3はクラッチであり、係合機構B1〜B3及びF1はブレーキである。したがって、係合機構C1〜C3をクラッチC1〜C3と呼び、係合機構B1〜B3及びF1をブレーキB1〜B3及びF1と呼ぶ場合がある。係合機構C1〜C3及びB1〜B3を係合状態(締結状態)と解除状態とで切り換えることで、また、係合機構F1の状態を切り替えることで、入力軸10から出力軸13への駆動力の伝達経路が切り替えられ、複数の変速段が実現される。
本実施形態の場合、係合機構C1〜C3及びB1〜B3は、いずれも摩擦式の油圧式係合機構を想定している。摩擦式の油圧式係合機構としては、乾式又は湿式の単板クラッチ、乾式又は湿式の多板クラッチ等が挙げられる。
係合機構F1は、所定の回転要素(ここでは互いに連結されているキャリアCr1及びCr2)とケーシング12との間に設けられ、所定の回転要素(キャリアCr1及びCr2)の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、その双方向の回転を規制する回転阻止状態と、その双方向の回転を許容する双方向回転許容状態と、に切り替え可能な機械式のブレーキである。係合機構F1としては、例えば、公知のツーウェイクラッチを採用可能である。公知のツーウェイクラッチとしては、その電磁アクチュエータ或いは油圧供給の制御により、一方向回転許容状態、回転阻止状態、及び、双方向回転許容状態に切り替えることが可能であり、一方向回転許容状態は更に、正方向の回転許容状態と逆方向の回転許容状態とに切り替え可能であるが、本実施形態では一方向回転許容状態は片側の回転方向の許容状態のみ利用する。
次に、各構成間の連結関係について図1を参照して説明する。
遊星歯車機構P3のサンギヤS3は、入力軸10に連結されている。リングギヤR3は遊星歯車機構P2のサンギヤS2に連結されている。キャリアCr3は遊星歯車機構P1のリングギヤR1及び遊星歯車機構P4のキャリアCr4に連結されている。遊星歯車機構P2のキャリアCr2は遊星歯車機構P1のキャリアCr1に連結されている。リングギヤR2は出力部材11に連結されている。したがって、遊星歯車機構P2は出力軸13に駆動伝達を行う遊星歯車機構である。
クラッチC1は入力軸10と遊星歯車機構P1のキャリアCr1及びこれに連結されるキャリアCr2とを連結及び連結解除する(断続する)。クラッチC2は、遊星歯車機構P3のリングギヤR3と遊星歯車機構P4のサンギヤS4とを連結及び連結解除する。クラッチC3は入力軸10と遊星歯車機構P4のリングギヤR4とを連結及び連結解除する。
ブレーキB1はケーシング12と遊星歯車機構P1のサンギヤS1とを連結及び連結解除する。ブレーキB2はケーシング12と遊星歯車機構P4のサンギヤS4とを連結及び連結解除する。ブレーキB3はケーシング12と遊星歯車機構P4のリングギヤR4とを連結及び連結解除する。
ブレーキF1はケーシング12と遊星歯車機構P2のキャリアCr2(及びこれに連結されるキャリアCr1)とを連結及び連結解除する。連結解除の場合、ブレーキF1は双方向回転許容状態にある。連結の場合、ブレーキF1は一方向回転許容状態又は回転阻止状態にある。
次に、図2(A)は自動変速機1が備える係合機構の係合組合せを示す係合表(締結表)、図2(B)は自動変速機1が備える遊星歯車機構のギヤレシオ、図3は自動変速機1の速度線図である。
図2(A)1の係合表の例において、「○」は係合状態(構成間を連結する状態)であることを示し、無印は解除状態であることを示す。ブレーキF1については、「○」は回転阻止状態であることを示し、「△」は一方向回転許容状態であることを示し、無印は双方向回転許容状態であることを示す。回転阻止状態及び一方向回転許容状態は係合状態と呼ぶことにする。「ギヤレシオ」は入力軸10−出力部材11間のギヤレシオを示す。
自動変速機1では、各変速段において係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1のうちの3つを係合状態とすることで、前進10段、後進1段(RVS)の変速段を実現している。
図3の速度線図は、入力軸10への入力に対する各要素の、各変速段における回転速度比を示している。縦軸は速度比を示し、「1」が入力軸10と同回転数であることを示し、「0」は停止状態であることを示す。横軸は遊星歯車機構P1〜P4の回転要素間のギアレシオに基づいている。λはキャリアCrとサンギヤSとのギヤレシオを示している。なお、図3において、出力軸13に対応する要素は図示を省略している。
<制御装置>
図4は自動変速機1の制御装置100のブロック図である。制御装置100は自動変速機1だけでなく、内燃機関EGやトルクコンバータTCの各制御も行うことが可能であるが、本実施形態の場合、内燃機関EGは制御装置100とは別に設けたエンジンECU200により制御される構成を想定している。制御装置100はエンジンECU200から内燃機関EGの各種情報を受信することができる。
図4は自動変速機1の制御装置100のブロック図である。制御装置100は自動変速機1だけでなく、内燃機関EGやトルクコンバータTCの各制御も行うことが可能であるが、本実施形態の場合、内燃機関EGは制御装置100とは別に設けたエンジンECU200により制御される構成を想定している。制御装置100はエンジンECU200から内燃機関EGの各種情報を受信することができる。
制御装置100は、CPU等の処理部101と、RAM、ROM等の記憶部102と、外部デバイスやエンジンECUと処理部101とをインターフェースするIF部103と、を備える。IF部103は例えば通信インタフェースや入出力インタフェース等から構成される。
処理部101は記憶部102に記憶されたプログラムを実行し、各種のセンサ110の検出結果に基づいて、各種のアクチュエータ120を制御する。
各種のセンサ110には、自動変速機1に設けられる各種のセンサが含まれるが、後述する制御例との関係では、例えば、入力回転数センサ111、出力回転数センサ112、SP(シフトポジション)センサ113、油圧センサ114、油温センサ115が含まれる。入力回転数センサ111は入力軸10の回転数(回転速度)を検知するセンサである。出力回転数センサ112は出力軸13の回転数(回転速度)を検知するセンサである。SPセンサ113は運転者が選択した変速段を検知するセンサである。油圧センサ113には、係合機構C1〜C3、B1〜B3の各作動油の油圧を検知するセンサが含まれる。油温センサ115には、係合機構C1〜C3、B1〜B3に供給される作動油の油温を検知するセンサが含まれる。
各種のアクチュエータ120には、自動変速機1に設けられる各種のアクチュエータが含まれるが、後述する制御例との関係では、係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1の動作状態を切り替える電磁ソレノイド等の電磁アクチュエータが含まれる。
図4(B)は油圧センサ114、油温センサ115の配設例を示す。油圧センサ114は、例えば、係合機構C1〜C3、B1〜B3毎に設けることができる。これにより各係合機構の作動油の油圧を検知することができる。各係合機構に対応する油圧センサ114を区別する場合の表記の仕方として、以下の説明では、例えば、係合機構C1の油圧センサ114を示す場合、C1油圧センサ114と示し、また、係合機構B1の油圧センサ114を示す場合、B1油圧センサ114等と示す場合がある。なお、油圧センサ114は必ずしも各係合機構に設ける必要があるわけではない。後述する制御例との関係では、少なくとも係合機構C1には油圧センサ114が設けられる構成を前提としている。
各係合機構には、作動油を供給する電磁弁LSが割り当てられており、作動油の供給ラインLを電磁弁LSで開放又は遮断することで、係合機構の係合、解放を切り替えることができる。油圧センサ114は電磁弁LSから係合機構に供給される作動油が供給されるように設けられ、油圧センサ113の検知結果は係合機構に供給される作動油の油圧を示すことになる。油温センサ115は供給ラインLから作動油が供給されるように設けられ、油温センサ115の検知結果は各係合機構に供給される作動油の油温を示すことになる。
<後進段への切替制御>
本実施形態の場合、前進段(例えば1速段)や非走行段(ニュートラルレンジ(Nレンジ)やパーキングレンジ(Pレンジ))から後進段に切り替える際、図2(A)に示したように、ブレーキF1は回転阻止状態に切り替えられる。この時、異音の発生や振動低減のため、ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転数が0であることが好ましい。換言するとキャリアCr2の回転数が0であることが好ましい。
本実施形態の場合、前進段(例えば1速段)や非走行段(ニュートラルレンジ(Nレンジ)やパーキングレンジ(Pレンジ))から後進段に切り替える際、図2(A)に示したように、ブレーキF1は回転阻止状態に切り替えられる。この時、異音の発生や振動低減のため、ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転数が0であることが好ましい。換言するとキャリアCr2の回転数が0であることが好ましい。
そこで、キャリアCr2の回転数が0となる係合機構の組み合わせを経由させる。この時、キャリアCr2の回転数を直接計測するセンサはないことから、キャリアCr2と入力軸10とを連結状態とし、入力回転数センサ111の検知結果等からキャリアCr2の回転数が0であることを確認する。その後、ブレーキF1を回転阻止状態に切り替える。
図5は、変速段を前進1速段から後進段に切り替える際の係合機構の係合組合せを示す。変速段が前進1速段にある場合、図2(A)に示したようにブレーキB1、B2が係合状態にあり、ブレーキF1は一方向回転許容状態にある。まず、図5の段階1に示すように、ブレーキB1、B2を係合解除状態に制御し、ニュートラル状態とする。ブレーキB1、B2の係合解除が完了すると、次の段階2に移行する。
段階2では、クラッチC1、C3及びブレーキB3を係合する。駆動輪はニュートラル(足軸が自由回転可能)になる。図3の速度線図から明らかなように、クラッチC3及びブレーキB3を係合することで、入力軸10はケーシング12に固定された状態となる。クラッチC1を係合することでキャリアCr2が入力軸10に連結された状態となる。
所定の条件が成立すると、次の段階3に移行する。所定の条件は、キャリアCr2の回転数が0であることが確認される条件である。基本的には、クラッチC1の係合完了と、入力回転数センサ111の検知結果<所定値(例えば0とみなせる値)である。
段階3では、ブレーキF1を一方向回転許容状態から回転阻止状態に切り替える。ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転が0であるため、異音や振動が発生することを回避できる。ブレーキF1の切り替えが完了すると、段階4に進む。段階4では、クラッチC1、ブレーキB3を解除し、ブレーキB2を係合する。以上により、後進段の組み合わせが成立する(図2(A))。
段階2及び3の処理を準備処理と呼び、段階4の処理をRVSインギヤ処理と呼ぶ場合がある。制御上、段階1が完了した段階(ニュートラル状態)で変速段の制御状態として準備モードを設定し、準備モードが設定されると準備処理を行う。また、段階3が完了した段階で変速段の制御状態としてRVSインギヤモードを設定し、RVSインギヤモードが設定されるとRVSインギヤ処理を行う。このようなモード設定は例えば記憶部102にモード情報の記憶領域を設けて管理する。
図5の制御内容について、処理部101が実行する処理例を図6(A)及び図6(B)を参照して説明する。
図6(A)を参照して、S1では、ブレーキF1を一方向回転許容状態から回転阻止状態へ切り替える条件が成立したか否かを判定する。例えば、SPセンサ113により運転者が後進段を選択したことが検知した場合、この条件が成立したと判定する。該当する場合はS2へ進み、該当しない場合はS4へ進む。
S2では、図5の段階1で説明したように、係合状態の係合機構(例えば係合機構B3、B4)を解除する。S3では制御モードとして、準備モードを設定する。その後、S5へ進む。
S4では準備モードを設定中か否かを判定する。該当する場合S5へ進み、該当しない場合はS6へ進む。S5では準備処理を行う。詳細は後述する。S6では他の処理を行って一単位の処理を終了する。
図6(B)はS5の準備処理を示すフローチャートである。S11では自動制御装置1の駆動源のトルク制限を実行する。例えば、駆動源が内燃機関で、内燃機関により油圧式係合機構の油圧を発生させている場合、必要油圧が確保される範囲で出力を減少させる。駆動源は定速駆動とする。
S12ではブレーキF1の、回転阻止状態への移行が完了したか否かを判定する。該当する場合はS16へ進み、該当しない場合はS13へ進む。
S13では図5の段階2説明したように、係合機構C1、C3及びB3を係合する制御を開始する。また、初回には制御開始からの経過時間の計時を開始する。係合機構C1、C3及びB3の係合は、これらの電磁弁LSに対する制御量を段階的に増加させることにより行うことができ、S13の工程が複数回繰り返されることにより、係合が完了することになる。
S14では、図5の段階2で説明したように、係合機構C1の係合が完了し、かつ、入力軸10の回転数=0か否かを判定する。係合機構C1の係合完了の判定手法については後述する。これらの条件を全て満たす場合はS15へ進み、満たさない場合は一単位の処理を終了する。
S15では、図5の段階4で説明したように、係合機構F1の状態を回転阻止状態に切り替える。ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転数が0の状態で切り替えられるため、異音や振動の発生を防止し、また、ブレーキF1の破損を回避できる。
S16では、準備モードの設定を解除する。S17ではRVSインギヤモードを設定する。この設定により、別ルーチン(例えば図6(A)のS6)で、図5の段階4で説明したように、係合機構C1及びB3を解除し、係合機構B2を係合する処理が行われる。以上により、準備処理が終了する。
<係合機構C1の係合完了判定>
次に、図5の段階2や図6(B)のS14におけるクラッチC1の係合完了の判定例について説明する。本実施形態ではキャリアCr2の回転数を推測し、入力軸10の回転数との比較から係合完了を判定する。
次に、図5の段階2や図6(B)のS14におけるクラッチC1の係合完了の判定例について説明する。本実施形態ではキャリアCr2の回転数を推測し、入力軸10の回転数との比較から係合完了を判定する。
準備処理において、図5の段階2に示した特定の係合組合せ(クラッチC1、C3及びブレーキB3を係合)の段階においては、駆動源は出力を減少させた定速駆動状態にあり(図6(B)のS11)であり、駆動輪はニュートラル(足軸が自由回転可能)となる。そこで、自動変速機1においてエネルギ保存則が適用されるとみなすことができる。
準備処理中の自動変速機1の運動エネルギは、図7の式1に示すように表すことができる。回転エネルギEは、自動変速機1において回転運動を行う各構成要素Jの回転エネルギの合計値である。各構成要素Jの慣性モーメントIは設計上既知であり、回転数θは入力回転数Nm、出力回転数Nc又はキャリアCr2の推定回転数ωの少なくともいずれかから演算可能である。したがって、回転エネルギEは入力回転数Nm、出力回転数Nc及び推定回転数ωの関数である。
構成要素Jの区分けの仕方(演算対象とする系の範囲)について説明する。図5の段階2では、係合完了の判定対象であるクラッチC1の他、クラッチC3、ブレーキB3も係合状態とされる。演算を簡便にするため、クラッチC3は係合が即時に完了しているか、又は、係合していないものとして取り扱うことができる。なお、クラッチC3の係合が即時に完了したとみなす場合、演算を簡便にするため、後述するエネルギの演算においてブレーキB3の仕事量は無視する。
図8はクラッチC3の係合が即時に完了したとみなす場合の、構成要素Jの区分け例を示している。構成要素J1は入力軸10及びこれと一体的に回転する要素であり、クラッチC3が係合完了とみなしているため、リングギヤR4も含まれている。構成要素J1の回転数は入力回転数センサ111の検知結果から特定される。
構成要素J2はキャリアCr2及びこれと一体的に回転する要素であり、その回転数ωが推定対象である。
構成要素J3はリングギヤR2及びこれと一体的に回転する要素であり、構成要素J4は出力軸13(図8において不図示)及びこれと一体的に回転する要素である。構成要素J4の回転数は出力回転数センサ112の検知結果から特定され、構成要素J3の回転数は、構成要素J4の回転数と、リングギヤR2と出力軸13とのギヤレシオとから演算される。
構成要素J5はサンギヤS1及びこれと一体的に回転する要素であり、構成要素J6は、リングギヤR1及びこれと一体的に回転する要素であり、構成要素J7はサンギヤS2及びこれと一体的に回転する要素である。構成要素J7の回転数は、構成要素J2の回転数(ω)と、構成要素J3の回転数と、遊星歯車機構P2のギヤレシオとから演算される。構成要素J6の回転数は、構成要素J2の回転数(ω)と、構成要素J7の回転数と、遊星歯車機構P1のギヤレシオとから演算される。構成要素J5の回転数は、構成要素J2の回転数(ω)と、構成要素J6の回転数と、遊星歯車機構P1のギヤレシオとから演算される。
構成要素J8はサンギヤS4及びこれと一体的に回転する要素である。構成要素J8の回転数は、入力回転数センサ111の検知結果と、構成要素J6の回転数と、遊星歯車機構P4のギヤレシオとから演算される。以上のことから、構成要素J1〜J8の各回転エネルギを演算することができる。
図9はクラッチC3が係合していないとみなす場合の、構成要素Jの区分け例を示している。図8の例と異なる点は、構成要素J1に対応する構成要素J’がリングギヤR4及びこれと一体的に回転する要素を含んでいない点と、図8の構成要素J8を除いた点にある。その他の構成要素及び回転数の演算については図8の場合と同じである。
次に、単位時間Δt経過前後の回転エネルギEの関係については、エネルギ保存則から図7の式2のように表すことができる。つまり、回転エネルギEの変化量はクラッチC1の単位時間Δt当たりの仕事量に等しくなり、回転エネルギEiは、そのΔt時間経過前の回転エネルギEi-1とクラッチC1の仕事量Wi-1・Δtとの合計値に等しくなる。よって、式1と式2とから回転数ωiを演算することができる。
式3はクラッチC1の仕事率Wの演算式の例を示している。この例においては、クラッチC1の仕事率Wを、クラッチC1のクラッチ容量T、フリクションF、並びに、入力回転数Nmと推定回転数ωとの差回転数から演算しているが、フリクションFを考慮せずに、仕事率W=T×(Nm−ω)としてもよい。ただし、フリクションFを考慮した方が、推定精度が向上する場合がある。式4はクラッチ容量Tの演算式の例を示しており、クラッチ容量TはクラッチC1の作動油の油圧の関数となっている。クラッチC1の作動油の油圧はC1油圧センサ114の検知結果から特定できる。フリクションFについては、事前のテスト結果から作動油の油温とフリクションFとの相関性を示すマップを作成しておく。マップは記憶部102に記憶しておくことができる。そして、油温センサ115の検知結果により示される作動油の油温と、マップとからフリクションFを算出することができる。
<処理例>
次に、上述した回転数ωの推定及びクラッチC1の係合完了判定に関する処理部101の処理例について図10を参照して説明する。同図の処理は、準備処理において、例えば、単位時間Δt毎の割り込み処理として実行される。これにより、単位時間Δt毎にキャリアCr2の回転数ωが推定されることになる。
次に、上述した回転数ωの推定及びクラッチC1の係合完了判定に関する処理部101の処理例について図10を参照して説明する。同図の処理は、準備処理において、例えば、単位時間Δt毎の割り込み処理として実行される。これにより、単位時間Δt毎にキャリアCr2の回転数ωが推定されることになる。
S21では入力回転数センサ111、出力回転数センサ112、C1油圧センサ114及び油温センサ115の各検知結果を取得する。S22では初期値を設定済みか否かを判定する。設定済みの場合はS28へ進み、設定済みでない場合はS23へ進んで初期値の設定等を行う。
S23では、後進段に切り替える直前の変速段が非走行段か否かを判定する。非走行段の場合はS24へ進み、前進段の場合はS25へ進む。S24及びS25ではキャリアCr2の回転数ωの初期値ω0を設定する。直前の変速段が前進段の場合、入力回転数センサ111及び出力回転数センサ112の検知結果とギヤレシオとからキャリアCr2の回転数ω0を演算することができる。したがって、演算結果をω0とする(S25)。
直前の変速段が非走行段の場合、回転数ω0を演算できないので0とする。直前の変速段が非走行段の場合であっても、キャリアCr2が回転している場合はあり得る。しかし、回転数ωを特定できないので、一律に0とする。クラッチC1の係合度合が進むことにより、回転数ωは入力回転数Nmに近づくことになるため、回転数ωの値は増加傾向となる。したがって、その最低値である0を回転数ω0と置くことで、演算時間は増加するが、推定精度を確保することができる。このように本実施形態では、キャリアCr2の回転数ωの初期値を演算できない場合であっても、キャリアCr2の回転数ωを推定することができる。
S26ではS21で取得した検知結果とS24又はS25で設定した回転数ω0から式1、式3により回転エネルギE0、仕事率W0を演算して保存する。S27では演算回数を示す変数iに1を設定する。以上により一単位の処理を終了する。
S28では、S21で今回取得した入力回転数センサ111、出力回転数センサ112、C1油圧センサ114及び油温センサ115の各検知結果と、保存している前回演算した回転エネルギE、仕事率W及び回転数ωとから、式1及び式2により今回の回転数ωを演算して保存する。
S29では、S28で演算した回転数ωと、S21で今回取得した入力回転数センサ111の検知結果が、ω≧Nmの関係にあるか否かを判定する。なお、ここでの判定は推定回転数ωが入力回転数Nmと等しいか否かを判定するものであるが、両者がぴったりと一致しない場合があることから、演算上、ω≧Nmを条件としている。
S29でω≧Nmである場合には、クラッチC1の係合が完了したと判定してS30へ進み、クラッチC1の係合完了を設定する。この設定により、図6(B)のS14では、クラッチC1の係合が完了したと判定されることになる。
S29でω≧Nmでない場合には、クラッチC1の係合が完了していないと判定してS31へ進む。S31ではS21で取得した検知結果とS28で設定した回転数ωとから、回転エネルギEと仕事率Wを演算して保存する。回転エネルギEについてはS28で実質的に演算済みなので、S28で保存してもよい。S32では変数iを1つ加算する。以上により一単位の処理を終了する。
こうして本実施形態では、差分法によって、摩擦式のクラッチC1で連結される一方の回転要素であるキャリアCr2の回転数ωを順次推定し、摩擦式のクラッチC1の係合完了を判定することができる。入力回転数センサ111、出力回転数センサ112、油圧センサ114及び油温センサ115は、一般的な自動変速機が通常備えるセンサである。したがって、特別なセンサを必要とせずにキャリアCr2の回転数ωの推定と、クラッチC1の係合完了の判定とを行うことができる。
なお、係合完了の判定手法は複数種類の判定手法を併用してもよい。他の判定手法としては、例えば、C1油圧センサ114の検知結果が所定油圧を示す場合や、クラッチC1用の電磁弁LSに対する制御量が規定値に達した場合等が挙げられる。そして、例えば、C1油圧センサ114の検知結果が所定油圧を示す場合であって、かつ、キャリアCr2の推定回転数が入力回転数以上の場合に係合が完了したと判定してもよい。
また、係合完了の判定手法を複数種類採用可能としておき、そのうちの一部をフェールセーフ用の判定手法としてもよい。例えば、通常時にはC1油圧センサ114の検知結果に基づき係合完了を判定し、C1油圧センサ114の故障が生じた場合に、キャリアCr2の推定回転数を用いて係合完了を判定してもよい。
P1〜P4 遊星歯車機構
C1〜C3、B1〜B3、F1 係合機構
1 自動変速機
10 入力軸
12 ケーシング
13 出力軸
100 制御装置
114 油圧センサ
C1〜C3、B1〜B3、F1 係合機構
1 自動変速機
10 入力軸
12 ケーシング
13 出力軸
100 制御装置
114 油圧センサ
Claims (6)
- 入力軸から出力軸への駆動力の伝達経路を複数経路形成可能な複数の遊星歯車機構と、
複数の係合機構と、を備え、
前記複数の遊星歯車機構の各遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリア及びリングギヤを回転要素として備え、
前記複数の係合機構の各係合機構は、前記伝達経路を切り替えるクラッチ又はブレーキを構成する自動変速機であって、
前記入力軸の回転数を検知する入力回転数検知手段と、
前記出力軸の回転数を検知する出力回転数検知手段と、
前記複数の係合機構のうちの一つである摩擦式のクラッチに供給される油圧を検知する油圧検知手段と、
前記摩擦式のクラッチの連結対象であって、前記回転要素の一つである特定の回転要素の回転数を推定する推定手段と、
前記推定手段の推定結果に基づいて前記摩擦式のクラッチの係合完了を判定する判定手段と、を備え、
前記推定手段は、
前記複数の係合機構の係合組合せのうち、少なくとも前記摩擦式のクラッチを係合状態とする特定の係合組合せを成立させる場合に、単位時間毎に、前記特定の回転要素の回転数を推定可能であり、
前記推定手段は、
前記自動変速機の構成要素のうち、前記特定の係合組み合わせにおいて回転運動を行う各構成要素の回転数を、前記入力回転数検知手段及び前記出力回転数検知手段の検知結果並びに前記特定の回転要素の回転数の推定結果の少なくともいずれかに基づいて演算し、前記各構成要素の回転エネルギを演算可能であり、
前記推定手段は、
前記油圧検知手段の検知結果に基いて、前記摩擦式のクラッチの前記単位時間当たりの仕事量を演算可能であり、
前記推定手段は、
i番目(iは自然数)の前記特定の回転要素の回転数を、前記回転エネルギ及び前記摩擦式のクラッチの前記単位時間当たりの仕事量のi−1番目の合計値と、i番目の前記回転エネルギとが、等しくなるように推定する、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1に記載の自動変速機であって、
前記摩擦式のクラッチは、前記入力軸と前記特定の回転要素とを断続するクラッチである、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項2に記載の自動変速機であって、
前記複数の係合機構は、前記特定の回転要素とケーシングとの間に設けられた機械式のブレーキを含み、
前記機械式のブレーキは、
前記特定の回転要素の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、前記特定の回転要素の双方向の回転を規制する回転阻止状態と、に切り替え可能であり、
前記特定の係合組合せは、変速段を後進段に切り替える場合に選択される係合組合せであって、前記入力軸を前記ケーシングに固定する係合組合せであり、
前記機械式のブレーキは、
変速段を後進段に切り替えるために前記特定の係合組合せが選択され、前記判定手段により前記摩擦式のクラッチが係合完了と判定され、かつ、前記入力回転数検知手段の検知結果が所定の回転数未満であることを示す場合に、前記回転阻止状態に切り替えられる、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項3に記載の自動変速機であって、
前記推定手段は、変速段を非走行段から後進段に切り替える場合、前記特定の回転要素の回転数の初期値を0とする、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動変速機であって、
前記出力軸は、前記特定の回転要素を備える前記遊星歯車機構から駆動力が伝達される、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動変速機であって、
前記摩擦式のクラッチに供給される作動油の油温を検知する油温検知手段を更に備え、
前記推定手段は、
前記油温検知手段、前記油圧検知手段、前記入力回転数検知手段の各検知結果及び前記特定の回転要素の回転数の推定結果に基づいて、前記摩擦式のクラッチの前記単位時間当たりの仕事量を演算する、
ことを特徴とする自動変速機。
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JP2014125749A JP6106630B2 (ja) | 2014-06-18 | 2014-06-18 | 自動変速機 |
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JP2014125749A JP6106630B2 (ja) | 2014-06-18 | 2014-06-18 | 自動変速機 |
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JP2016003742A JP2016003742A (ja) | 2016-01-12 |
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Family Applications (1)
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JP2014125749A Active JP6106630B2 (ja) | 2014-06-18 | 2014-06-18 | 自動変速機 |
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