JP2015108387A - 自動変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】係合機構固有のセンサ数を削減すること。【解決手段】駆動源からの動力により回転する入力軸と、複数の遊星歯車機構と、複数の係合機構と、を備えた自動変速機であって、前記複数の係合機構は、第1〜第3の摩擦係合機構を含み、前記自動変速機は、更に、前記第1の摩擦係合機構に対する作動油の供給と前記第1の摩擦係合機構からの作動油の排出とを切り替える切替弁と、油圧検知手段と、を備え、前記切替弁は、前記油圧検知手段による作動油圧の検知対象を、前記第2の摩擦係合機構と前記第3の摩擦係合機構とで切り替え可能である。【選択図】図5
Description
本発明は自動変速機に関する。
自動変速機は、一般に遊星歯車機構と、クラッチ、ブレーキといった係合機構とを備え、係合機構により動力伝達経路を切り換えることで各変速段を実現している。変速段の切り換えを確実に行うためには、係合機構の動作確認を行う場合がある。動作確認が行えれば、次の制御に移行し、動作確認ができなければ故障等の異常が発生しているとして、その対応を行う。動作確認は、その係合機構に固有のセンサを用いて行われるのが一般的である。例えば、油圧の係合機構の場合には、係合機構に供給される油圧を監視して、係合機構の動作確認を行うことが提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、個々の係合機構に固有のセンサを設けることはコストアップの要因となる。
本発明の目的は、係合機構固有のセンサ数を削減することにある。
本発明によれば、駆動源からの動力により回転する入力軸と、サンギヤ、キャリア、リングギヤからなる複数の回転要素を備える複数の遊星歯車機構と、前記回転要素間、前記入力軸と前記回転要素との間、又は、前記回転要素とケーシングとの間、のいずれかを連結可能な複数の係合機構と、を備えた自動変速機であって、前記複数の係合機構は、第1の摩擦係合機構と、第2の摩擦係合機構と、第3の摩擦係合機構と、を含み、前記自動変速機は、更に、前記第1の摩擦係合機構に対する作動油の供給と前記第1の摩擦係合機構からの作動油の排出とを切り替える切替弁と、油圧検知手段と、を備え、前記切替弁は、前記油圧検知手段による作動油圧の検知対象を、前記第2の摩擦係合機構と前記第3の摩擦係合機構とで切り替え可能である、ことを特徴とする自動変速機が提供される。
この構成によれば、前記第2の摩擦係合機構と前記第3の摩擦係合機構とで前記油圧検知手段を共用でき、係合機構固有のセンサ数を削減することができる。前記油圧検知手段の検知対象は、前記第1の摩擦係合機構に用いる前記切替弁を用いて切り替えるので、前記油圧検知手段を共用するための機構に要するコストアップもほとんどない。
また、本発明においては、前記切替弁は、第1の位置と第2の位置とで変位可能な弁体を備え、前記第1の位置は、前記第1の摩擦係合機構から作動油を排出させると共に前記検知対象を前記第2の摩擦係合機構とする位置であり、前記第2の位置は、前記第1の摩擦係合機構に対して作動油を供給可能であると共に前記検知対象を前記第3の摩擦係合機構とする位置であってもよい。
この構成によれば、前記第1の摩擦係合機構の作動状態と関連して前記油圧検知手段の検知対象を切り替えることができる。
また、本発明においては、前記自動変速機を制御する制御手段と、前記切替弁を介して前記第1の摩擦係合機構に作動油を供給する制御弁と、を更に備え、前記制御手段は、変速段を非走行段とする場合に、前記弁体を前記第1の位置に位置させてもよい。
この構成によれば、非走行段の場合には前記第1の摩擦係合機構に対する作動油の供給を前記切替弁で遮断でき、前記切替弁に前記制御弁のフェールセーフ機能を持たせることができる。
また、本発明においては、前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、前記制御手段は、変速段を後進段とする場合に、前記第2の摩擦係合機構を係合状態とし、前記第3の摩擦係合機構を解除状態とする準備処理を経由した後、前記第2の摩擦係合機構を解除状態とし、前記制御手段は、前記準備処理では、前記弁体を前記第1の位置に位置させてもよい。
この構成によれば、前記第2の摩擦係合機構の作動確認が必要な場合に、前記油圧検知手段の検知対象を前記第2の摩擦係合機構に切り替えることができる。
また、本発明においては、前記複数の係合機構は、所定の前記回転要素と前記ケーシングとの間に設けられた機械式係合機構を含み、前記機械式係合機構は、前記所定の回転要素の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、前記所定の回転要素の双方向の回転を規制する回転阻止状態と、に切り替え可能であり、前記制御手段は、前記準備処理において、前記油圧検知手段の検出結果にしたがって、前記機械式係合機構を前記一方向回転許容状態から前記回転阻止状態に切り替えてもよい。
この構成によれば、前記油圧検知手段による前記第2の摩擦係合機構の作動油圧の検知結果を契機として前記機械式係合機構の状態を切り替えることができる。
また、本発明においては、前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、前記制御手段は、変速段を所定の前進段からシフトアップする場合に、前記弁体を前記第1の位置に位置させてもよい。
この構成によれば、前記第2の摩擦係合機構の作動確認が必要となるシフトアップの際に、前記油圧検知手段の検知対象を前記第2の摩擦係合機構に切り替えることができる。
また、本発明においては、前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、前記制御手段は、前記弁体の変位制御開始後、所定の時間の経過後に前記油圧検知手段の検知結果を取得してもよい。
この構成によれば、前記弁体等の応答時間に起因する前記油圧検知手段の誤検知の発生を抑制することができる。
また、本発明においては、前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、複数の遊星歯車機構が、第1〜第3の前記回転要素を備える第1の遊星歯車機構と、第4〜第6の前記回転要素を備える第2の遊星歯車機構と、第7〜第9の前記回転要素を備える第3の遊星歯車機構と、第10〜第12の前記回転要素を備える第4の遊星歯車機構と、を含み、前記第7の回転要素と前記入力軸とが連結され、前記第4の回転要素と出力部材とが連結され、前記第2の回転要素と前記第5の回転要素とが連結され、前記第1の摩擦係合機構は、前記第1の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な第1のブレーキであり、前記第2の摩擦係合機構は、前記第2の回転要素と前記第7の回転要素とを連結可能な第1のクラッチであり、前記第3の摩擦係合機構は、前記第9の回転要素と前記第12の回転要素とを連結可能な第2のクラッチであり、前記複数の係合機構は、前記第5の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な機械式係合機構と、前記第10の回転要素と前記入力軸とを連結可能な第3のクラッチと、前記第12の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な第2のブレーキと、前記第10の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な第3のブレーキと、を含み、前記機械式係合機構は、前記第5の回転要素の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、前記第5の回転要素の双方向の回転を規制する回転阻止状態と、前記第5の回転要素の双方向の回転を許容する双方向回転許容状態と、に切り替え可能であり、前記制御手段は、変速段を後進段とする場合に、前記第1のクラッチと前記第3のクラッチと前記第3のブレーキとを係合状態とし、前記弁体を前記第1の位置に位置させる準備処理を実行可能であり、前記制御手段は、前記準備処理において、前記準備処理において、前記油圧検知手段の検出結果にしたがって、前記機械式係合機構を前記一方向回転許容状態から前記回転阻止状態に切り替えてもよい。
この構成によれば、前記機械式係合機構を前記一方向回転許容状態から前記回転阻止状態に切り替える際に異音等が発生することを抑制できる。
本発明によれば、係合機構固有のセンサ数を削減することができる。
<第1実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係る自動変速機1のスケルトン図である。図1を参照して、自動変速機1は、その変速機ケースを構成するケーシング12内に回転自在に軸支された入力軸10と、ケーシング12に支持された支持部材12aに、入力軸10と同軸回りに回転自在に支持された出力部材11と、を備える。
図1は本発明の一実施形態に係る自動変速機1のスケルトン図である。図1を参照して、自動変速機1は、その変速機ケースを構成するケーシング12内に回転自在に軸支された入力軸10と、ケーシング12に支持された支持部材12aに、入力軸10と同軸回りに回転自在に支持された出力部材11と、を備える。
入力軸10には、内燃機関や電動機といった駆動源(不図示)からの動力が入力され、該動力により入力軸10は回転する。入力軸10と駆動源との間には発進デバイスを設けることができる。発進デバイスを設けることで、変速ショックの緩和等を図ることができる。発進デバイスとしては、クラッチタイプの発進デバイス(単板クラッチや多板クラッチ等)や、流体継手タイプの発進デバイス(トルクコンバータ等)を挙げることができる。
出力部材11は、入力軸10と同心の出力ギヤを備え、入力軸10の回転は以下に述べる変速機構により変速されて出力部材11に伝達される。出力部材11の回転は、例えば、不図示のカウンタ軸、差動歯車装置を介して駆動輪に伝達されることになる。
自動変速機1は変速機構として、遊星歯車機構P1乃至P4と、係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1を備える。本実施形態の場合、遊星歯車機構P1乃至P4はいずれもシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
回転要素は合計で12個設けられている。遊星歯車機構P1乃至P4は、サンギヤS1乃至S4と、リングギヤR1乃至R4と、ピニオンギヤを支持するキャリアCr1乃至Cr4と、を回転要素として備え、入力軸10と同軸上に配設されている。
後述する図3の速度線図におけるギヤレシオに対応する間隔での並び順で順序付けを行うと、遊星歯車機構P1のサンギヤS1、キャリアCr1、リングギヤR1を、この順に、第1の回転要素、第2の回転要素、第3の回転要素、と呼ぶことができる。同様に、遊星歯車機構P2のリングギヤR2、キャリアCr2、サンギヤS2を、この順に、第4の回転要素、第5の回転要素、第6の回転要素、と呼ぶことができる。同様に、遊星歯車機構P3のサンギヤS3、キャリアCr3、リングギヤR3を、この順に、第7の回転要素、第8の回転要素、第9の回転要素、と呼ぶことができる。同様に、遊星歯車機構P4のリングギヤR4、キャリアCr4、サンギヤS4を、この順に、第10の回転要素、第11の回転要素、第12の回転要素、と呼ぶことができる。
係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1は、遊星歯車機構P1乃至P4の所定の回転要素間、入力軸10と所定の回転要素との間、又は、所定の回転要素とケーシング12との間、のいずれかを解除可能に連結する。本実施形態の場合、係合機構C1〜C3はクラッチであり、係合機構B1〜B3及びF1はブレーキである。係合機構C1〜C3及びB1〜B3を係合状態(締結状態)と解除状態とで切り換えることで、また、係合機構F1の状態を切り替えることで、入力軸10から出力部材11への動力伝達経路が切り換えられ、複数の変速段が実現される。
本実施形態の場合、係合機構C1〜C3及びB1〜B3は、いずれも摩擦式の油圧係合機構を想定している。摩擦式の油圧係合機構としては、乾式又は湿式の単板クラッチ、乾式又は湿式の多板クラッチ等が挙げられる。
係合機構F1は、所定の回転要素(ここではキャリアCr1、Cr2)の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、その双方向の回転を規制する回転阻止状態と、その双方向の回転を許容する双方向回転許容状態と、に切り替え可能な機械式係合機構である。係合機構F1としては、例えば、公知のツーウェイクラッチを採用可能である。公知のツーウェイクラッチとしては、その電磁アクチュエータの制御により、一方向回転許容状態、回転阻止状態、及び、双方向回転許容状態に切り替えることが可能であり、一方向回転許容状態は更に、正方向の回転許容状態と逆方向の回転許容状態とに切り替え可能であるが、本実施形態では一方向回転許容状態は片側の回転方向の許容状態のみ利用する。
次に、各構成間の連結関係について図1を参照して説明する。
遊星歯車機構P3のサンギヤS3は、入力軸10に連結されている。リングギヤR3は遊星歯車機構P2のサンギヤS2に連結されている。キャリアCr3は遊星歯車機構P1のリングギヤR1及び遊星歯車機構P4のキャリアCr4に連結されている。遊星歯車機構P2のキャリアCr2は遊星歯車機構P1のキャリアCr1に連結されている。リングギヤR2は出力部材11に連結されている。
クラッチC1は入力軸10と遊星歯車機構P1のキャリアCr1(及びこれに連結されるキャリアCr2)とを連結及び連結解除する。クラッチC2は、遊星歯車機構P3のリングギヤR3と遊星歯車機構P4のサンギヤS4とを連結及び連結解除する。クラッチC3は入力軸10と遊星歯車機構P4のリングギヤR4とを連結及び連結解除する。
ブレーキB1はケーシング12と遊星歯車機構P1のサンギヤS1とを連結及び連結解除する。ブレーキB2はケーシング12と遊星歯車機構P4のサンギヤS4とを連結及び連結解除する。ブレーキB3はケーシング12と遊星歯車機構P4のリングギヤR4とを連結及び連結解除する。
ブレーキF1はケーシング12と遊星歯車機構P2のキャリアCr2(及びこれに連結されるキャリアCr1)とを連結及び連結解除する。連結解除の場合、ブレーキF1は双方向回転許容状態にある。連結の場合、ブレーキF1は一方向回転許容状態又は回転阻止状態にある。
次に、図2(A)は自動変速機1が備える係合機構の係合表(締結表)、図2(B)は自動変速機1が備える遊星歯車機構のギヤレシオ、図3は自動変速機1の速度線図である。
図2(A)1の係合表の例において、「○」は係合状態(構成間を連結する状態)であることを示し、無印は解除状態であることを示す。ブレーキF1については、「○」は回転阻止状態であることを示し、「△」は一方向回転許容状態であることを示し、無印は双方向回転許容状態であることを示す。回転阻止状態及び一方向回転許容状態は係合状態と呼ぶことにする。「ギヤレシオ」は入力軸10−出力部材11間のギヤレシオを示す。
自動変速機1では、各変速段において係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1のうちの3つを係合状態とすることで、前進10段、後進1段(RVS)の変速段を実現している。
図3の速度線図は、入力軸10への入力に対する各要素の、各変速段における回転速度比を示している。縦軸は速度比を示し、「1」が入力軸10と同回転数であることを示し、「0」は停止状態であることを示す。横軸は遊星歯車機構P1〜P4の回転要素間のギアレシオに基づいている。λはキャリアCrとサンギヤSとのギヤレシオを示している。
<制御装置>
図4は自動変速機1の制御装置100のブロック図である。制御装置100は自動変速機1だけでなく、その駆動源及びこれらの間の発進デバイスの各制御も行うことが可能である。制御装置100は、CPU等の処理部101と、RAM、ROM等の記憶部102と、外部デバイスと処理部101とをインターフェースするインターフェース部103と、を備える。
図4は自動変速機1の制御装置100のブロック図である。制御装置100は自動変速機1だけでなく、その駆動源及びこれらの間の発進デバイスの各制御も行うことが可能である。制御装置100は、CPU等の処理部101と、RAM、ROM等の記憶部102と、外部デバイスと処理部101とをインターフェースするインターフェース部103と、を備える。
処理部101は記憶部102に記憶されたプログラムを実行し、各種のセンサ110の検出結果に基づいて、各種のアクチュエータ120を制御する。
各種のセンサ110には、自動変速機1やその駆動源に設けられる各種のセンサが含まれるが、後述する制御例との関係では、例えば、入力回転センサ111、シフトポジションセンサ112、油圧センサ113が含まれる。入力回転センサ111は入力軸10の回転を検出するセンサである。シフトポジションセンサ112は運転者が選択した変速段を検知する。油圧センサ113には、係合機構C1〜C3、B1〜B3の作動油圧を検知するセンサが含まれ、特に、後述する油圧センサSR1、SR2が含まれる。
各種のアクチュエータ120には、自動変速機1やその駆動源に設けられる各種のアクチュエータが含まれるが、後述する制御例との関係では、係合機構C1〜C3、B1〜B3及びF1の動作状態を切り替える電磁ソレノイド等の電磁アクチュエータが含まれる。
<油圧システム>
一般に油圧式の係合機構には、その動作確認等のため、係合機構に供給される作動油圧を検出するセンサが各係合機構に設けられている。例えば、作動油圧が規定値以上であれば、係合機構が係合状態にあると判定する。しかし、係合機構固有のセンサを設けるとコストがアップする。そこで、本実施形態では一部の係合機構について油圧センサを共用する。
一般に油圧式の係合機構には、その動作確認等のため、係合機構に供給される作動油圧を検出するセンサが各係合機構に設けられている。例えば、作動油圧が規定値以上であれば、係合機構が係合状態にあると判定する。しかし、係合機構固有のセンサを設けるとコストがアップする。そこで、本実施形態では一部の係合機構について油圧センサを共用する。
共用の対象とする係合機構は、クラッチC1とクラッチC2とする。図2(A)に示すようにクラッチC1は、5速段〜10速段で係合状態にあり、係合状態となる変速段がまとまっている。つまり、シフトアップ、シフトダウン時に、係合状態が切り替わる頻度が比較的低く、作動油圧の検知回数が比較的少ない。そこで、油圧センサの共用対象は、クラッチC1と、制御上、これと組み合わせて差支えのないクラッチC2としている。
油圧センサを共用するためには、検知対象を切り替える仕組みが必要となる。本実施形態では、ブレーキB1の切替弁を利用する。図5は自動変速機1の油圧システムの一部を示し、特に、ブレーキB1、クラッチC1及びC2に関わる部分を示している。
ポンプPは作動油を供給するポンプであり、ライン圧を発生する。ポンプPは例えば内燃機関や電動機を駆動源として駆動される。
切替弁CVはポート間の連通状態を切り替える弁体SPを備える。弁体SPは、制御弁SHDによる作動油の供給、遮断とリターンスプリングとによって変位可能となっている。制御弁SHDは電磁弁であり、OFF時に作動油を切替弁CVに供給し、ON時に作動油の供給を遮断する。図5は、制御弁SHDがON時の状態を示し、切替弁CVに対する作動油の供給が遮断されている。この時、弁体SPはリターンスプリングの付勢により同図に示す左側の位置(作動位置とも呼ぶ)に位置している。制御弁SHDをOFFにすると、切替弁CVに対して作動油が供給され、弁体SPは不図示の右側の位置(セット位置とも呼ぶ)に変位する。
弁体SPが作動位置にある場合、ポートP0とポートP1が連通状態となり、ポートP1とポートP2とは遮断状態となる。また、ポートP3とポートP4が連通状態となり、ポートP4とポートP5とは遮断状態となる。図5中、実線矢印は弁体SPが作動位置にある場合の作動油の流れ方向を示している。
弁体SPがセット位置にある場合、ポートP1とポートP2が連通状態となり、ポートP0とポートP1とは遮断状態となる。また、ポートP4とポートP5が連通状態となり、ポートP3とポートP4とは遮断状態となる。図5中、破線矢印は弁体SPが作動位置にある場合の作動油の流れ方向を示している。
ポートP0は作動油を排出するポートである。ポートP1はブレーキB1と連通している。ポートP2は制御弁LSG及び油圧センサSR1と連通している。ポートP3はクラッチC1と連通している。ポートP4は油圧センサSR2と連通している。ポートP5はクラッチC2と連通している。
制御弁LSGは、切替弁CVを介してブレーキB1に作動油を供給する電磁弁であり、ON時に作動油を供給し、OFF時に作動油の供給を遮断する。制御弁LSGがONの場合、油圧センサSR1とポートP2に作動油が供給される。弁体SPをセット位置に変位すると、ブレーキB1に作動油が供給されてブレーキB1が係合状態となる。油圧センサSR1の検知結果からブレーキB1が係合状態にあるか否かを判定できる。弁体SPが作動位置に位置している場合は、制御弁LSGをONにしてもブレーキB1に作動油が供給されず、ブレーキB1の作動油はポートP0から排出される。
つまり、切替弁CVは、制御弁LSGが異常によりON状態となったとしても、ブレーキB1に作動油が供給されないようにするためのフェールセーフとして機能させることができる。ブレーキB1は図2(A)に示すように低速段で係合状態とされる。変速段がニュートラルやパーキングレンジといった非走行段の場合、弁体SPは作動位置に位置させる。制御弁LSGが異常によりON状態となったとしても、ブレーキB1が係合状態にならず、低速段の組み合わせが成立してしまって異常走行を生じる事態を回避できる。
制御弁LSCは、クラッチC2に作動油を供給する電磁弁であり、ON時に作動油を供給し、OFF時に作動油の供給を遮断する。制御弁LSCがONの場合、クラッチC2とポートP5に作動油が供給される。制御弁LSDは、クラッチC1に作動油を供給する電磁弁であり、ON時に作動油を供給し、OFF時に作動油の供給を遮断する。
油圧センサSR2の検知対象の切り替えについて説明する。弁体SPがセット位置に位置している場合、ポートP5とポートP4とが連通状態になるため、油圧センサSR2によりクラッチC2の作動油圧が検知される。よって、クラッチC2が係合状態にあるか否かを判定できる。制御弁LSDがONの場合、クラッチC1とポートP3に作動油が供給される。弁体SPが作動位置に位置している場合、ポートP3とポートP4とが連通状態になるため、油圧センサSR2によりクラッチC1の作動油圧が検知される。よって、クラッチC1が係合状態にあるか否かを判定できる。こうして、ブレーキB1の作動状態と関連して油圧センサSR2の検知対象を切り替えることができる。
このように本実施形態では、クラッチC1とクラッチC2とで油圧センサSR2を共用でき、係合機構固有のセンサ数を削減することができる。油圧センサSR2の検知対象は、切替弁CVを用いて切り替えるので、油圧センサSR2を共用するための機構に要するコストアップもほとんどない。
<検圧対象の切り替え制御例>
油圧センサSR2の検圧対象をクラッチC1とクラッチC2とで切り替える制御例について説明する。ここでは、変速段を前進1速段から後進段に切り替える場合を例示し、その内容についてはじめに説明する。
油圧センサSR2の検圧対象をクラッチC1とクラッチC2とで切り替える制御例について説明する。ここでは、変速段を前進1速段から後進段に切り替える場合を例示し、その内容についてはじめに説明する。
<変速段の切り替え>
本実施形態の場合、前進1速段から後進段に切り替える際、図2(A)に示したように、ブレーキF1は一方向回転許容状態から回転阻止状態に切り替えられる。この時、異音の発生や振動低減のため、ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転が0又は略0であることが好ましい。そこで、入力軸10が回転しない係合機構の組み合わせを経由させ、クラッチC1を係合状態とする。クラッチC1の係合状態が確認できれば、ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転が0であると判定でき、ブレーキF1を一方向回転許容状態から回転阻止状態に切り替える。
本実施形態の場合、前進1速段から後進段に切り替える際、図2(A)に示したように、ブレーキF1は一方向回転許容状態から回転阻止状態に切り替えられる。この時、異音の発生や振動低減のため、ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転が0又は略0であることが好ましい。そこで、入力軸10が回転しない係合機構の組み合わせを経由させ、クラッチC1を係合状態とする。クラッチC1の係合状態が確認できれば、ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転が0であると判定でき、ブレーキF1を一方向回転許容状態から回転阻止状態に切り替える。
図6は、変速段を前進1速段から後進段に切り替える際の係合機構の係合動作を示す。変速段が前進1速段にある場合、図2(A)に示したようにブレーキB1、B2が係合状態にあり、ブレーキF1は一方向回転許容状態にある。まず、図6の段階1に示すように、ブレーキB1、B2を係合解除状態に制御する。ブレーキB1、B2の係合解除が完了すると、次の段階2に移行する。
段階2では、クラッチC1、C3及びブレーキB3を係合する。図3の速度線図から明らかなように、クラッチC3及びブレーキB3を係合することで、入力軸10はケーシング12に固定された状態となる。クラッチC1を係合することでキャリアCr2、Cr4が入力軸10に連結された状態となる。所定の条件が成立すると、次の段階3に移行する。所定の条件は、例えば入力回転センサ111により入力軸10の回転数<規定回転数が、油圧センサSR2によりクラッチC1の作動油圧≧規定油圧が、それぞれ検知された場合等であり、油圧センサSR2によるクラッチC1の作動油圧の検知結果を少なくとも契機としてブレーキF1の状態を切り替える。
段階3では、ブレーキF1を一方向回転許容状態から回転阻止状態に切り替える。ブレーキF1のケーシング12側と、キャリアCr2側との差回転が0であるため、異音や振動が発生することを回避できる。ブレーキF1の切り替えが完了すると、段階4に進む。
段階4では、クラッチC1、ブレーキB3を解除し、ブレーキB2を係合する。以上により、後進段の組み合わせが成立する(図2(A))。
図6の制御内容について、処理部101が実行する処理例を図7(A)及び(B)を参照して説明する。
図7(A)を参照して、S1では、係合機構F1を一方向回転許容状態から回転阻止状態へ切り替える条件が成立したか否かを判定する。例えば、シフトポジションセンサ113により運転者が後進段を選択したことが検知された場合、この条件が成立したと判定する。該当する場合はS2へ進み、該当しない場合はS4へ進む。
S2では、図6の段階1で説明したように、ブレーキB1、B2を解除する。S3では変速段の制御状態として、準備モードを設定する。このようなモード設定は例えば記憶部102にモード情報の記憶領域を設けて管理する。その後、S5へ進む。
S4では準備モードを設定中か否かを判定する。該当する場合S5へ進み、該当しない場合はS6へ進む。S5では準備処理を行う。詳細は後述する。S6では他の処理を行って一単位の処理を終了する。
図7(B)はS5の準備処理を示すフローチャートである。S11では自動制御装置1の駆動源のトルク制限を実行する。例えば、駆動源が内燃機関で、内燃機関により油圧式係合機構の油圧を発生させている場合、必要油圧が確保される範囲で出力を減少させる。
S12ではブレーキF1の回転阻止状態への移行が完了したか否かを判定する。該当する場合はS16へ進み、該当しない場合はS13へ進む。
S13では図6の段階2で説明したように、クラッチC1、C3及びブレーキB3を係合する制御を行う。S14では所定の条件が成立したか否かを判定する。ここでの条件は、例えば、油圧センサSR2の検知結果によりクラッチC1が係合していることが確認されること(検知結果≧規定油圧)、入力回転センサ111が示す入力軸10の回転数が規定回数未満であること、ライン油圧がブレーキF1の状態切替に必要な油圧以上であること、等を挙げることができる。入力軸10の回転数の閾値は、係合機構F1の状態切替時に異音、振動が実質的に生じない範囲の回転数を設定することが可能である。条件不成立の場合は一単位の処理を終了する。条件成立の場合はS15へ進む。
S15では、図6の段階3で説明したように、ブレーキF1を回転阻止状態へ切り替える制御を開始する。その後、一単位の処理を終了する。
S16では、準備モードの設定を解除する。S17では、変速段の制御状態として、RVSインギヤモードを設定する。この設定により、別ルーチンで、図6の段階4で説明したように、クラッチ構C1及びブレーキB3を解除し、クラッチC3を係合する処理が行われる。以上により、準備処理が終了する。
<弁体の変位制御>
次に、弁体SPの変位制御について説明する。既に述べたとおり、弁体SPの位置により、油圧センサSR2の検知対象が切り替わる。したがって、弁体SPの変位制御は、油圧センサSR2の検知対象の切り替え制御でもある。ここで、弁体SPの変位には応答時間がかかる。弁体SPの変位途中における油圧センサSR2の検知結果は誤検知の可能性を含む。そこで、弁体SPの変位制御開始後、所定の遅延時間の経過後に油圧センサSR2の検知結果を取得するようにする。弁体SPをセット位置から作動位置に変位するときに遅延時間を計時するソフトウエアカウンタをC1用タイマと呼び、弁体SPを作動位置からセット位置に変位するときに遅延時間を計時するソフトウエアカウンタをC2用タイマと呼ぶ。
次に、弁体SPの変位制御について説明する。既に述べたとおり、弁体SPの位置により、油圧センサSR2の検知対象が切り替わる。したがって、弁体SPの変位制御は、油圧センサSR2の検知対象の切り替え制御でもある。ここで、弁体SPの変位には応答時間がかかる。弁体SPの変位途中における油圧センサSR2の検知結果は誤検知の可能性を含む。そこで、弁体SPの変位制御開始後、所定の遅延時間の経過後に油圧センサSR2の検知結果を取得するようにする。弁体SPをセット位置から作動位置に変位するときに遅延時間を計時するソフトウエアカウンタをC1用タイマと呼び、弁体SPを作動位置からセット位置に変位するときに遅延時間を計時するソフトウエアカウンタをC2用タイマと呼ぶ。
図8は弁体SPの変位制御例を示すフローチャートである。ここでは、変速段が非走行段の場合及び準備モードの場合に弁体SPを作動位置に変位させ、その他の場合はセット位置に変位される場合を想定する。クラッチC1が係合しているか否かの作動確認が必要な場合としては、準備モード以外にも前進5速段以降の場合が挙げられるが(図2(A))、ここでは油圧センサSR2の検圧による係合確認は行わず、制御量が係合状態に達した場合に、係合したものとみなす制御を想定する。
S21では、C1用タイマ、C2用タイマを1つ減算する。これらのタイマの最小値は0とする。S22では変速段として非走行段(パーキング(Pレンジ)又はニュートラル(Nレンジ))を選択中か否かを判定する。該当する場合はS35へ進み、C2用タイマに初期値を設定する。S36では制御弁SHDをONにして弁体SPを作動位置に変位させる。以上により一単位の処理が終了する。
S22で変速段が走行段を選択中と判定した場合はS23へ進む。S23では、変速段の制御状態が準備モード中か否かを判定する。該当する場合はS24へ進み、該当しない場合はS30へ進む。S24ではクラッチC1が係合状態か否かを判定する。該当する場合はS30へ進み、該当しない場合はS25へ進む。
S25では、C2用タイマに初期値を設定する。S26では制御弁SHDをONにする。弁体SPは作動位置に位置して油圧センサSR2の検知対象はクラッチC1となるが、弁体SPの変位には応答時間がかかる。S27ではC1用タイマが0か否かを判定する。該当する場合は弁体SPの作動位置への変位が完了したとみなしてS28へ進み、油圧センサSR2の検圧を許可する。油圧センサSR2の検知結果を取得してクラッチC1が係合状態にあるか否かを判定可能となる。S27でC1用タイマが0でない場合は、弁体SPの作動位置への変位が完了していないとみなしてS29へ進み、油圧センサSR2の検圧を不許可とする。
S30では、C1用タイマに初期値を設定する。S31では制御弁SHDをOFFにする。弁体SPはセット位置に位置して油圧センサSR2の検知対象はクラッチC2となるが、弁体SPの変位には応答時間がかかる。S23ではC2用タイマが0か否かを判定する。該当する場合は弁体SPのセット位置への変位が完了したとみなしてS33へ進み、油圧センサSR2の検圧を許可する。油圧センサSR2の検知結果を取得してクラッチC2が係合状態にあるか否かを判定可能となる。S32でC2用タイマが0でない場合は、弁体SPのセット位置への変位が完了していないとみなしてS34へ進み、油圧センサSR2の検圧を不許可とする。
図9は後進段選択時の動作状態のタイミングチャートであり、上述した内容をまとめたものである。
シフトポジションセンサ112によりシフトポジションが前進段から後進段へ切り替えられたことが検知されると、変速段の制御状態は、1速→準備モード→RVSインギアモードへ順次移行する。電磁弁SHDは準備モードが設定されるとONになる。弁体SPの位置は、電磁弁SHDのON−OFFに合わせてセット位置→作動位置→セット位置と変位する。
弁体SPの変位に伴い油圧センサSR2の検圧許可状態は、クラッチC2検圧許可→クラッチC1検圧許可→クラッチC2検圧許可と変化する。検圧許可が切り替わる際には遅延時間DTの経過を要する。遅延時間DTは上述したC1用タイマ、C2用タイマで管理される。
準備モード中、油圧センサSR2の出力(検知結果)はクラッチC1の作動油圧を示す。これが規定値に到達するとクラッチC1の係合が完了したとみなす。クラッチC1の係合完了、入力回転センサ111による入力軸10の回転数≒0の検知等といった所定の条件の成立により、ブレーキF1が一方向回転許容状態から回転阻止状態に切り替えられる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、油圧センサSR2の共用の対象とする係合機構を、クラッチC1とクラッチC2としたが、これに限られない。図10は図1〜図3に示した仕様を満たす他の共用例を示す油圧システムの回路図である。以下、図5の例と異なる点について説明する。
第1実施形態では、油圧センサSR2の共用の対象とする係合機構を、クラッチC1とクラッチC2としたが、これに限られない。図10は図1〜図3に示した仕様を満たす他の共用例を示す油圧システムの回路図である。以下、図5の例と異なる点について説明する。
図10の例では、油圧センサSR2の共用の対象とする係合機構は、クラッチC1とブレーキB3としている。ブレーキB3は、9速段〜10速段で係合状態にあり、係合状態となる変速段がまとまっていて、かつ、少ない。つまり、シフトアップ、シフトダウン時に、係合状態が切り替わる頻度が比較的低く、作動油圧の検知回数が比較的少ない。そこで、油圧センサの共用対象の一つをブレーキB3としている。
切替弁CVのポートP3はブレーキB1と連通している。ポートP5はクラッチC1と連通している。制御弁LSEは、ブレーキB3に作動油を供給する電磁弁であり、ON時に作動油を供給し、OFF時に作動油の供給を遮断する。制御弁LSEがONの場合、ブレーキB3とポートP3に作動油が供給される。
油圧センサSR2の検知対象の切り替えについて説明する。弁体SPがセット位置に位置している場合、ポートP5とポートP4とが連通状態になるため、油圧センサSR2によりクラッチC1の作動油圧が検知される。よって、クラッチC1が係合状態にあるか否かを判定できる。弁体SPが作動位置に位置している場合、ポートP3とポートP4とが連通状態になるため、油圧センサSR2によりブレーキB3の作動油圧が検知される。よって、ブレーキB3が係合状態にあるか否かを判定できる。こうして、ブレーキB1の作動状態と関連して油圧センサSR2の検知対象を切り替えることができる。
<検圧対象の切り替え制御例>
第2実施形態における油圧センサSR2の検圧対象をクラッチC1とブレーキB3とで切り替える制御例について説明する。ここでは、前進8速段→前進9速段に変速段を切り替える際に、油圧センサSR2の検圧対象をブレーキB3としてその作動確認を行い、他の場合は基本的にクラッチC1を検圧対象とする場合を想定する。
第2実施形態における油圧センサSR2の検圧対象をクラッチC1とブレーキB3とで切り替える制御例について説明する。ここでは、前進8速段→前進9速段に変速段を切り替える際に、油圧センサSR2の検圧対象をブレーキB3としてその作動確認を行い、他の場合は基本的にクラッチC1を検圧対象とする場合を想定する。
図11は、第2実施形態における弁体SPの変位制御例を示すフローチャートである。基本的な内容は図8と同様である。弁体SPをセット位置から作動位置に変位するときに遅延時間を計時するソフトウエアカウンタをB3用タイマと呼び、弁体SPを作動位置からセット位置に変位するときに遅延時間を計時するソフトウエアカウンタをC1用タイマと呼ぶ。
S41では、C1用タイマ、B3用タイマを1つ減算する。これらのタイマの最小値は0とする。S42では変速段として非走行段(パーキング(Pレンジ)又はニュートラル(Nレンジ))を選択中か否かを判定する。該当する場合はS54へ進み、C1用タイマに初期値を設定する。S55では制御弁SHDをONにして弁体SPを作動位置に変位させる。以上により一単位の処理が終了する。
S43ではブレーキB3の係合が必要か否かを判定する。具体的には、変速段の制御上、前進8速段→前進9速段の切り替えが決定されたか否かを判定する。該当する場合はS44へ進み、該当しない場合はS49へ進む。
S44では、C1用タイマに初期値を設定する。S45では制御弁SHDをONにする。弁体SPは作動位置に位置して油圧センサSR2の検知対象はブレーキB1となるが、弁体SPの変位には応答時間がかかる。S46ではB3用タイマが0か否かを判定する。該当する場合は弁体SPの作動位置への変位が完了したとみなしてS47へ進み、油圧センサSR2の検圧を許可する。油圧センサSR2の検知結果を取得してブレーキB3が係合状態にあるか否かを判定可能となる。S46でB3用タイマが0でない場合は、弁体SPの作動位置への変位が完了していないとみなしてS48へ進み、油圧センサSR2の検圧を不許可とする。
S49では、B3用タイマに初期値を設定する。S50では制御弁SHDをOFFにする。弁体SPはセット位置に位置して油圧センサSR2の検知対象はクラッチC1となるが、弁体SPの変位には応答時間がかかる。S51ではC1用タイマが0か否かを判定する。該当する場合は弁体SPのセット位置への変位が完了したとみなしてS52へ進み、油圧センサSR2の検圧を許可する。油圧センサSR2の検知結果を取得してクラッチC1が係合状態にあるか否かを判定可能となる。S51でC1用タイマが0でない場合は、弁体SPのセット位置への変位が完了していないとみなしてS53へ進み、油圧センサSR2の検圧を不許可とする。
図12は前進8速段→前進9速段に変速段を切り替える際の動作状態のタイミングチャートであり、上述した内容をまとめたものである。
変速制御の演算の結果、変速段を前進8速段→前進9速段に切り替えることが決定されると、変速段の制御状態は、8速→シフトアップモード→9速へ順次移行する。電磁弁SHDは8速→9速のためのシフトアップモードが設定されるとONになる。弁体SPの位置は、電磁弁SHDのON−OFFに合わせてセット位置→作動位置→セット位置と変位する。
弁体SPの変位に伴い油圧センサSR2の検圧許可状態は、クラッチC1検圧許可→ブレーキB3検圧許可→クラッチC1検圧許可と変化する。検圧許可が切り替わる際には遅延時間DTの経過を要する。遅延時間DTは上述したC1用タイマ、B3用タイマで管理される。
シフトアップモード中、油圧センサSR2の出力(検知結果)はブレーキB3の作動油圧を示す。これが規定値に到達するとブレーキB3の係合が完了したとみなすことができる。
このように本実施形態によれば、ブレーキB3の作動確認が必要となるシフトアップの際に、油圧センサSR2の検知対象をブレーキB3に切り替えることができる。
P1〜P4 遊星歯車機構
C1〜C3、B1〜B3、F1 係合機構
CV 切替弁
SP 弁体
SR1、SR2 油圧センサ
1 自動変速機
10 入力軸
12 ケーシング
C1〜C3、B1〜B3、F1 係合機構
CV 切替弁
SP 弁体
SR1、SR2 油圧センサ
1 自動変速機
10 入力軸
12 ケーシング
Claims (8)
- 駆動源からの動力により回転する入力軸と、
サンギヤ、キャリア、リングギヤからなる複数の回転要素を備える複数の遊星歯車機構と、
前記回転要素間、前記入力軸と前記回転要素との間、又は、前記回転要素とケーシングとの間、のいずれかを連結可能な複数の係合機構と、
を備えた自動変速機であって、
前記複数の係合機構は、
第1の摩擦係合機構と、
第2の摩擦係合機構と、
第3の摩擦係合機構と、を含み、
前記自動変速機は、更に、
前記第1の摩擦係合機構に対する作動油の供給と前記第1の摩擦係合機構からの作動油の排出とを切り替える切替弁と、
油圧検知手段と、を備え、
前記切替弁は、
前記油圧検知手段による作動油圧の検知対象を、前記第2の摩擦係合機構と前記第3の摩擦係合機構とで切り替え可能である、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1記載の自動変速機であって、
前記切替弁は、
第1の位置と第2の位置とで変位可能な弁体を備え、
前記第1の位置は、
前記第1の摩擦係合機構から作動油を排出させると共に前記検知対象を前記第2の摩擦係合機構とする位置であり、
前記第2の位置は、
前記第1の摩擦係合機構に対して作動油を供給可能であると共に前記検知対象を前記第3の摩擦係合機構とする位置である、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項2記載の自動変速機であって、
前記自動変速機を制御する制御手段と、
前記切替弁を介して前記第1の摩擦係合機構に作動油を供給する制御弁と、を更に備え、
前記制御手段は、
変速段を非走行段とする場合に、前記弁体を前記第1の位置に位置させる、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項2記載の自動変速機であって、
前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、
変速段を後進段とする場合に、前記第2の摩擦係合機構を係合状態とし、前記第3の摩擦係合機構を解除状態とする準備処理を経由した後、前記第2の摩擦係合機構を解除状態とし、
前記制御手段は、前記準備処理では、前記弁体を前記第1の位置に位置させる、ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項4記載の自動変速機であって、
前記複数の係合機構は、
所定の前記回転要素と前記ケーシングとの間に設けられた機械式係合機構を含み、
前記機械式係合機構は、
前記所定の回転要素の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、前記所定の回転要素の双方向の回転を規制する回転阻止状態と、に切り替え可能であり、
前記制御手段は、
前記準備処理において、前記油圧検知手段の検出結果にしたがって、前記機械式係合機構を前記一方向回転許容状態から前記回転阻止状態に切り替える、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項2記載の自動変速機であって、
前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、
変速段を所定の前進段からシフトアップする場合に、前記弁体を前記第1の位置に位置させる、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項2記載の自動変速機であって、
前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記弁体の変位制御開始後、所定の時間の経過後に前記油圧検知手段の検知結果を取得する、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1記載の自動変速機であって、
前記自動変速機を制御する制御手段を更に備え、
複数の遊星歯車機構が、
第1〜第3の前記回転要素を備える第1の遊星歯車機構と、
第4〜第6の前記回転要素を備える第2の遊星歯車機構と、
第7〜第9の前記回転要素を備える第3の遊星歯車機構と、
第10〜第12の前記回転要素を備える第4の遊星歯車機構と、を含み、
前記第7の回転要素と前記入力軸とが連結され、
前記第4の回転要素と出力部材とが連結され、
前記第2の回転要素と前記第5の回転要素とが連結され、
前記第1の摩擦係合機構は、前記第1の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な第1のブレーキであり、
前記第2の摩擦係合機構は、前記第2の回転要素と前記第7の回転要素とを連結可能な第1のクラッチであり、
前記第3の摩擦係合機構は、前記第9の回転要素と前記第12の回転要素とを連結可能な第2のクラッチであり、
前記複数の係合機構は、
前記第5の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な機械式係合機構と、
前記第10の回転要素と前記入力軸とを連結可能な第3のクラッチと、
前記第12の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な第2のブレーキと、
前記第10の回転要素と前記ケーシングとを連結可能な第3のブレーキと、を含み、
前記機械式係合機構は、
前記第5の回転要素の一方向の回転のみ規制する一方向回転許容状態と、前記第5の回転要素の双方向の回転を規制する回転阻止状態と、前記第5の回転要素の双方向の回転を許容する双方向回転許容状態と、に切り替え可能であり、
前記制御手段は、
変速段を後進段とする場合に、前記第1のクラッチと前記第3のクラッチと前記第3のブレーキとを係合状態とし、前記弁体を前記第1の位置に位置させる準備処理を実行可能であり、
前記制御手段は、
前記準備処理において、前記準備処理において、前記油圧検知手段の検出結果にしたがって、前記機械式係合機構を前記一方向回転許容状態から前記回転阻止状態に切り替える、
ことを特徴とする自動変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013250532A JP2015108387A (ja) | 2013-12-03 | 2013-12-03 | 自動変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013250532A JP2015108387A (ja) | 2013-12-03 | 2013-12-03 | 自動変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015108387A true JP2015108387A (ja) | 2015-06-11 |
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ID=53438874
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013250532A Pending JP2015108387A (ja) | 2013-12-03 | 2013-12-03 | 自動変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015108387A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017082964A (ja) * | 2015-10-29 | 2017-05-18 | マツダ株式会社 | 遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置 |
JP2017106340A (ja) * | 2015-12-07 | 2017-06-15 | マツダ株式会社 | 遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置 |
JP2017106496A (ja) * | 2015-12-07 | 2017-06-15 | マツダ株式会社 | 遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置 |
-
2013
- 2013-12-03 JP JP2013250532A patent/JP2015108387A/ja active Pending
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