図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の正面図である。図2.Aは、基板処理装置1の平面図である。図2.Aでは、基板処理装置1の向きを図1から変更している。基板処理装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1では、基板9に対して液体が吐出されて所定の処理が行われる。本実施の形態では、基板9上に洗浄液の液滴を吐出することにより、基板9上からパーティクル等を除去する洗浄処理が行われる。基板処理装置1では、例えば、直径約20μmの液滴が、基板9に向けてスプレー状に吐出される。
図1および図2.Aに示すように、基板処理装置1は、基板保持部21と、カップ部22と、基板回転機構23と、処理液供給部3と、供給部移動機構35と、保護液供給部36と、待機ポッド4と、吐出検査部5と、チャンバ6と、制御ユニットとを備える。チャンバ6は、基板保持部21、カップ部22、基板回転機構23、処理液供給部3、供給部移動機構35、保護液供給部36、待機ポッド4および吐出検査部5等の構成を内部空間60に収容する。チャンバ6は、外部から内部空間60への光の入射を遮る遮光チャンバである。図1および図2.Aでは、チャンバ6を破線にて示し、チャンバ6の内部を図示している。
基板保持部21は、チャンバ6内において基板9の一方の主面91(以下、「上面91」という。)を上側に向けた状態で基板9を保持する。基板9の上面91には、回路パターン等の微細パターンが形成されている。カップ部22は、基板9および基板保持部21の周囲を囲む略円筒状の部材である。基板回転機構23は、基板保持部21の下方に配置される。基板回転機構23は、基板9の中心を通るとともに基板9の上面91に垂直な回転軸を中心として、基板9を基板保持部21と共に水平面内にて回転する。
処理液供給部3は、処理液を下方に向けて吐出する吐出ヘッド31と、吐出ヘッド31に処理液を供給する処理液配管32とを備える。吐出ヘッド31は、カップ部22の内側において基板保持部21の上方に配置される。換言すれば、吐出ヘッド31の下面は、カップ部22の上部開口220と、基板9の上面91との間に位置する。吐出ヘッド31は、後述する複数の吐出口から相互に分離した微小な液滴を連続的に吐出する装置である。吐出ヘッド31により、基板9の上面91に向けて処理液が吐出される。処理液としては、純水(好ましくは、脱イオン水(DIW:deionized water))、炭酸水、アンモニア水と過酸化水素水との混合液等の液体が利用される。吐出ヘッド31からの処理液の設計上の吐出方向は、上下方向(すなわち、重力方向)におよそ平行である。
図3は、吐出ヘッド31の下面311を示す底面図である。吐出ヘッド31の下面311には、4つの吐出口列313a〜313dを備える複数の吐出口が設けられる。吐出口列313a〜313dはそれぞれ、所定の配列ピッチにて図3中の左右方向に直線状に配列される複数の吐出口314a〜314dを有する。各吐出口314a〜314dの直径は、およそ5μm〜10μmである。図3では、各吐出口314a〜314dを実際よりも大きく、吐出口314a〜314dの個数を実際よりも少なく描いている。また、図3では、吐出ヘッド31の下面311において複数の吐出口314a〜314dが設けられる吐出口配置領域316を二点鎖線にて囲む。吐出口配置領域316は略矩形である。吐出ヘッド31では、複数の吐出口314a〜314dのそれぞれから、処理液の微小液滴が噴射される。
以下の説明では、図3中の左右方向を「配列方向」という。また、図3中の上側から下側に向かって配列される吐出口列313a〜313dをそれぞれ、「第1吐出口列313a」、「第2吐出口列313b」、「第3吐出口列313c」および「第4吐出口列313d」という。さらに、第1吐出口列313aの複数の吐出口314aを「第1吐出口314a」といい、第2吐出口列313bの複数の吐出口314bを「第2吐出口314b」という。第3吐出口列313cの複数の吐出口314cを「第3吐出口314c」といい、第4吐出口列313dの複数の吐出口314dを「第4吐出口314d」という。
第1吐出口列313a、第2吐出口列313b、第3吐出口列313cおよび第4吐出口列313dは、上述の配列方向に延びる直線状であり、互いに平行に配置される。配列方向に垂直な方向(すなわち、図3中の上下方向)において、第1吐出口列313aと第2吐出口列313bとの間の距離は、第3吐出口列313cと第4吐出口列313dとの間の距離に等しく、第2吐出口列313bと第3吐出口列313cとの間の距離よりも小さい。第2吐出口列313bは、第1吐出口列313aから、配列方向の一方側である図3中の右側に所定のシフト距離だけずれて配置される。第4吐出口列313dは、第3吐出口列313cから、図3中の右側に上記シフト距離だけずれて配置される。当該シフト距離は、上述の配列ピッチよりも小さい距離であり、例えば、配列ピッチの半分の距離である。
吐出ヘッド31では、配列方向に垂直、かつ、吐出ヘッド31の下面311に平行な方向から見た場合、複数の第1吐出口314aと複数の第2吐出口314bとが配列方向に交互に並び、複数の第3吐出口314cと複数の第4吐出口314dとが配列方向に交互に並ぶ。また、複数の第1吐出口314aと複数の第3吐出口314cとがそれぞれ重なり、複数の第2吐出口314bと複数の第4吐出口314dとがそれぞれ重なる。
図1および図2.Aに示すように、供給部移動機構35は、アーム351と、回転軸352と、ヘッド回転機構353と、ヘッド昇降機構354とを備える。アーム351は、回転軸352から水平方向に延びる。アーム351の先端部には、吐出ヘッド31が取り付けられる。ヘッド回転機構353は、吐出ヘッド31をアーム351と共に回転軸352を中心として水平方向に回転する。ヘッド昇降機構354は、吐出ヘッド31をアーム351と共に上下方向に移動する。ヘッド回転機構353は、例えば、電動モータを備える。ヘッド昇降機構354は、例えば、ボールねじ機構および電動モータを備える。
保護液供給部36は、吐出ヘッド31に直接的または間接的に固定され、保護液を斜め下方に向けて吐出する。保護液としては、上述の処理液と同様に、純水(好ましくは、脱イオン水)、炭酸水、アンモニア水と過酸化水素水との混合液等の液体が利用される。保護液は処理液と同じ種類の液体でもよく、異なる種類の液体でもよい。基板処理装置1では、保護液供給部36から基板9の上面91に向けて液柱状に吐出された保護液が、吐出ヘッド31の下方において基板9上に広がることにより、吐出ヘッド31の真下に所定の厚さの保護液の膜(以下、「保護液膜」という。)が形成される。保護液供給部36は、ヘッド回転機構353およびヘッド昇降機構354により、吐出ヘッド31と共に移動する。
図4は、制御ユニット7の機能を示すブロック図である。図4では、制御ユニット7以外の構成も併せて描いてる。制御ユニット7は、処理制御部71と、検査制御部72と、検査演算部73とを備える。処理制御部71により、基板回転機構23、処理液供給部3、供給部移動機構35および保護液供給部36等が制御されることにより、基板9の処理が行われる。検査制御部72により、処理液供給部3、供給部移動機構35および吐出検査部5等が制御されることにより、吐出ヘッド31の複数の吐出口314a〜314dからの処理液の吐出動作の検査が行われる。
検査演算部73は、吐出検査部5の一部であり、判定枠設定部74と、判定部75と、輝点補正部76とを備える。判定枠設定部74は、仮設定部77と、枠サイズ調整部78とを備える。枠サイズ調整部78は、見かけ枠サイズ調整部78aと、合焦ずれ枠サイズ調整部78bと、光厚さ調整部78cとを備える。輝点補正部76は、見かけ輝点サイズ補正部76aと、合焦ずれ輝点サイズ補正部76bと、光厚さ補正部76cとを備える。判定枠設定部74、判定部75および輝点補正部76は、上述の吐出動作の検査に利用される。
枠サイズ調整部78では、見かけ枠サイズ調整部78aと、合焦ずれ枠サイズ調整部78bと、光厚さ調整部78cとが、後述する第1ないし第4の調整方法に応じて適宜組み合わせて利用される。同様に、輝点補正部76では、見かけ輝点サイズ補正部76aと、合焦ずれ輝点サイズ補正部76bと、光厚さ補正部76cとが、後述する第1ないし第4の調整方法に応じて適宜組み合わせて利用される。
図1および図2.Aに示す基板処理装置1において基板9の処理が行われる際には、まず、基板9がチャンバ6内に搬入されて基板保持部21により保持される。基板9の搬入時には、吐出ヘッド31は、図2.Aに二点鎖線にて示すように、カップ部22の外側に設けられた待機ポッド4上の待機位置にて待機している。図2.Bは、待機位置に位置する吐出ヘッド31を待機ポッド4と共に拡大して示す側面図である。待機ポッド4は、略直方体の容器であり、上部に開口が設けられる。待機位置では、吐出ヘッド31の一部が、上記開口を介して待機ポッド4内に挿入される。なお、図2.Bでは、保護液供給部36の図示を省略している。また、後述する検査位置に位置する吐出ヘッド31を二点鎖線にて示す。基板9が基板保持部21により保持されると、処理制御部71により基板回転機構23が駆動され、基板9の回転が開始される。
続いて、処理制御部71によりヘッド回転機構353およびヘッド昇降機構354が駆動され、吐出ヘッド31および保護液供給部36が、待機位置から上昇し、カップ部22の上方へと移動した後に下降する。これにより、吐出ヘッド31および保護液供給部36が、カップ部22の上部開口220を介してカップ部22の内側かつ基板保持部21の上方へと移動する。次に、保護液供給部36から基板9上への保護液の供給が開始され、基板9の上面91の一部を覆う保護液膜が形成される。また、吐出ヘッド31の複数の吐出口314a〜314dから、保護液膜が形成された基板9の上面91に向けて処理液の吐出(すなわち、微小液滴の噴射)が開始される。保護液膜は、複数の吐出口314a〜314dからの処理液の基板9上における設計上の複数の着液点(すなわち、微小液滴の着弾点)を覆う。
吐出ヘッド31から保護液膜に向けて噴射された多数の微小液滴は、基板9の上面91上の保護液膜に衝突し、保護液膜を介して基板9の上面91に間接的に衝突する。そして、基板9の上面91に付着しているパーティクル等の異物が、処理液の微小液滴の衝突による衝撃により基板9上から除去される。換言すれば、処理液の微小液滴により保護液膜を介して基板9に間接的に付与される運動エネルギーにより、基板9の上面91の洗浄処理が行われる。
このように、処理液の微小液滴が保護液膜を介して基板9に衝突することにより、微小液滴が直接的に基板に衝突する場合に比べて、基板9の上面91に形成されたパターン等にダメージを与えることを防止または抑制しつつ、基板9の洗浄処理を行うことができる。また、基板9上の洗浄処理が行われる部位が保護液により覆われているため、基板9上から除去されたパーティクル等が、基板9の上面91に再付着することを防止または抑制することができる。
基板処理装置1では、保護液および処理液の吐出と並行して、ヘッド回転機構353による吐出ヘッド31および保護液供給部36の回動が行われる。吐出ヘッド31および保護液供給部36は、回転中の基板9の中央部の上方と基板9の外縁部の上方との間にて、水平に往復移動を繰り返す。これにより、基板9の上面91全体に対して洗浄処理が行われる。基板9の上面91に供給された保護液および処理液は、基板9の回転により、基板9のエッジから外側へと飛散する。基板9から飛散した保護液および処理液は、カップ部22により受けられて廃棄または回収される。
吐出ヘッド31からの処理液による所定の処理(すなわち、基板9の洗浄処理)が終了すると、保護液および処理液の吐出が停止される。吐出ヘッド31および保護液供給部36は、ヘッド昇降機構354によりカップ部22の上部開口220よりも上側まで上昇し、ヘッド回転機構353により待機ポッド4の上方の検査位置(図2.B参照)へと移動する。検査位置は、上述の待機位置の上方の位置である。吐出ヘッド31の検査位置では、吐出検査部5により、定期的に、または、必要に応じて、吐出ヘッド31の複数の吐出口314a〜314dからの処理液の吐出動作の検査が行われる。
図5は、検査位置における吐出ヘッド31、および、吐出ヘッド31の周囲に配置される吐出検査部5を示す斜視図である。吐出検査部5は、光出射部51と、撮像部52とを備える。光出射部51および撮像部52は、吐出ヘッド31の真下を避けて、吐出ヘッド31の斜め下方に配置される。光出射部51および撮像部52は、図4に示すように、制御ユニット7の検査制御部72により制御される。
図5に示す光出射部51は、光源と、当該光源からの光を略水平方向に延びる線状光に変換する光学系とを備える。光源としては、例えば、レーザダイオードやLED(light emitting diode)素子が利用される。光出射部51は、予め定められた仮想面である光存在面に沿って、吐出ヘッド31の下方に向けて光を出射する。図5では、光出射部51の光軸J1を一点鎖線にて描き、光出射部51から出射される面状の光の輪郭を、符号510を付す二点鎖線にて示す。
光出射部51からの面状光510は、吐出ヘッド31の下面311近傍にて、吐出ヘッド31の真下を通過する。基板処理装置1では、検査制御部72から処理液供給部3に所定の駆動信号が送出され、吐出ヘッド31の複数の吐出口314a〜314d(図3参照)から待機ポッド4の内部に向けて処理液が吐出される。そして、吐出ヘッド31の複数の吐出口314a〜314dから吐出される処理液である複数の飛翔体が、上述の光存在面を通過する(すなわち、面状光510を通過する)際に、光出射部51から当該複数の飛翔体に光が照射される。面状光510は、吐出ヘッド31からの処理液の設計上の吐出方向(すなわち、複数の飛翔体の予め定められた所定の吐出方向)におよそ垂直である。厳密には、面状光510(すなわち、光存在面)は、複数の飛翔体の所定の吐出方向に垂直な平面に対して、僅かな角度(例えば、5°〜10°)だけ傾斜していることが好ましい。
撮像部52は、上記光存在面よりも下方にて、撮像軸J2を吐出ヘッド31の下方に位置する面状光510に向けて配置される。撮像部52における撮像方向(すなわち、撮像軸J2が向く方向)は、複数の飛翔体の所定の吐出方向に垂直な平面に対して傾斜している。撮像部52としては、例えば、CCD(charge-coupled device)カメラが利用される。撮像部52は、面状光510を通過する処理液(すなわち、複数の飛翔体)を撮像することにより、当該複数の飛翔体上に現れる複数の輝点を含む検査画像を取得する。吐出検査部5では、撮像部52による撮像結果から、1フレームの静止画が検査画像として抽出される。撮像部52は、図3中の4つの吐出口列313a〜313dのうち、第1吐出口列313aが最も手前側に見える位置に配置される。
図6は、検査画像8を示す図である。検査画像8では、吐出ヘッド31の複数の吐出口314a〜314dにそれぞれ対応する複数の輝点81が、吐出口314a〜314dの配列方向に対応する方向に配列される。吐出検査部5では、面状光510が僅かながら厚さを有しているため、各輝点81は、検査画像8において上下方向に対応する方向に長い略楕円形となる。後述するように、複数の輝点81のうち一部の輝点81は、撮像部52の合焦範囲の外側に位置しており、検査画像8上においてぼやけて(いわゆる、ピントがぼけて)他の輝点81に比べて大きく広がる。図6では、合焦範囲を符号80を付した二点鎖線にて囲んで示す。また、合焦範囲80の外側に位置する輝点81について、合焦範囲80の内側に位置していると仮定した場合の輝点の大きさを細線にて示す。図7、図10、図12ないし図16においても同様である。
撮像部52からの出力は、制御ユニット7の検査演算部73(図4参照)に送られる。検査演算部73では、検査画像8に対して2値化処理が行われ、複数の輝点81が抽出されるとともに背景のノイズ等が除去される。
続いて、図7に示すように、検査画像8上において複数の吐出口314a〜314dにそれぞれ対応する複数の正常吐出判定枠85が、判定枠設定部74(図4参照)により検査画像8上に設定される。正常吐出判定枠85の個数は、吐出口314a〜314dの個数に等しい。各正常吐出判定枠85は所定の大きさの略矩形状であり、複数の正常吐出判定枠85の検査画像8上における大きさは互いに等しい。本実施の形態では、各正常吐出判定枠85は略正方形であり、その4辺は、検査画像8の上下方向または左右方向に平行である。各正常吐出判定枠85は、対応する吐出口から所定の吐出方向へと、あるいは、当該吐出方向から許容範囲内のずれ量で僅かにずれた方向へと、処理液が吐出された場合に通過する面状光510上の領域を示す。
複数の正常吐出判定枠85は、検査画像8上における上述の配列方向に対応する方向に配列される。以下の説明では、第1吐出口列313a、第2吐出口列313b、第3吐出口列313cおよび第4吐出口列313dにそれぞれ対応する正常吐出判定枠85の列を、「第1正常吐出判定枠列86a」、「第2正常吐出判定枠列86b」、「第3正常吐出判定枠列86c」および「第4正常吐出判定枠列86d」という。
検査画像8上における各正常吐出判定枠85の位置は、各正常吐出判定枠85に対応する吐出口からの処理液の輝点基準位置に基づいて決定される。輝点基準位置は、各吐出口から処理液の設計上の吐出方向へと延びる吐出中心線が、面状光510(すなわち、上述の光存在面)と交わる点である。各正常吐出判定枠85は、検査画像8上における輝点基準位置を中心として設定される。
検査画像8上における輝点基準位置は、様々な方法により求められる。例えば、検査位置における吐出ヘッド31の設計位置および向き、吐出ヘッド31における各吐出口314a〜314dの位置、設計上の処理液の吐出方向、面状光510の位置、並びに、撮像部52の位置に基づいて、基板処理装置1において設定された3次元座標系における各輝点基準位置の座標が求められる。換言すれば、吐出ヘッド31、光出射部51および撮像部52の相対位置に基づいて、複数の輝点基準位置の座標が求められる。
続いて、複数の輝点基準位置の座標を、ビュー変換行列を用いてビュー変換することにより、撮像部52を原点とした3次元座標系における複数の輝点基準位置の座標が求められる。次に、ビュー変換された複数の輝点基準位置の座標を、透視投影変換することにより、検査画像8上の2次元座標系における複数の輝点基準位置の座標が取得される。なお、基板処理装置1では、撮像部52に非テレセントリック光学系が利用されているため、上述のように、透視投影変換が行われるが、撮像部52にテレセントリック光学系が利用される場合、ビュー変換された複数の輝点基準位置の座標を正射影(平行射影または平行投影ともいう。)することにより、検査画像8上における複数の輝点基準位置の座標が取得される。
図7に示すように、複数の正常吐出判定枠85は、互いに重なることなく検査画像8上に配置される。なお、検査画像8上において正常吐出判定枠85同士が重なる場合は、複数の正常吐出判定枠85が互いに重複しなくなるまで、撮像部52の位置や向き、光出射部51からの面状光510の位置や向き等が変更され、正常吐出判定枠85の設定が繰り返される。
正常吐出判定枠85の設定が終了すると、判定枠設定部74により、複数の正常吐出判定枠85の周囲に複数の斜め吐出判定枠87がそれぞれ設定される。斜め吐出判定枠87は、正常吐出判定枠85よりも大きい略矩形状の輪郭を有する判定枠である。各斜め吐出判定枠87の内側には1つの正常吐出判定枠85が位置する。略正方形状の各斜め吐出判定枠87の位置は、対応する正常吐出判定枠85の位置に基づいて設定される。具体的には、各斜め吐出判定枠87は、対応する正常吐出判定枠85が略中心に位置するように、当該正常吐出判定枠85を囲んで配置される。正常吐出判定枠85の個数は、斜め吐出判定枠87の個数に等しい。各斜め吐出判定枠87は、所定の吐出方向からある程度ずれた方向に吐出された処理液が通過する面状光510上の領域を示す。
斜め吐出判定枠87の設定が終了すると、判定枠設定部74により、基板9上の保護液膜に対応する1つの保護液膜内吐出判定枠88が、検査画像8上において複数の斜め吐出判定枠87の周囲に設定される。保護液膜内吐出判定枠88は、吐出口配置領域316(図3参照)の外周部に配置される複数の吐出口(以下、「外周吐出口」という。)からの処理液が、基板9上の保護液膜上に着液する場合に通過する面状光510上の領域を示す。保護液膜内吐出判定枠88の設定は、複数の外周吐出口の位置と、基板9上における保護液膜の外周部の位置と、複数の外周吐出口と保護液膜との間に位置する光存在面の位置とに基づいて行われる。
具体的には、図8に示すように、一の外周吐出口314eから、基板9上の保護液膜93の外周部(より詳細には、保護液膜93の外周縁)上の当該外周吐出口314eに最も近い点に向かって仮想線94を引き、仮想線94と光存在面(すなわち、面状光510)との交点95を求める。そして、複数の外周吐出口314eのそれぞれについて、対応する交点95を面状光510上において求め、これらの交点95を検査画像8上に投影して順につなぐことにより、図7に示す保護液膜内吐出判定枠88が設定される。
保護液膜内吐出判定枠88の設定が終了すると、判定枠設定部74により、保護液膜内吐出判定枠88を囲む1つの最大吐出判定枠89が検査画像8上に設定される。最大吐出判定枠89は、略矩形状であり、複数の吐出判定枠のうち最も外側に位置する外側吐出判定枠である。最大吐出判定枠89は、吐出ヘッド31から吐出された処理液が基板9上において着液する可能性がある最大範囲に対応する。最大吐出判定枠89は、保護液膜内吐出判定枠88と同様に、当該最大範囲の外周部の位置と、複数の外周吐出口314eの位置と、光存在面の位置とに基づいて設定される。なお、正常吐出判定枠85、斜め吐出判定枠87、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89の設定順序は適宜変更されてもよい。
各吐出判定枠(すなわち、正常吐出判定枠85、斜め吐出判定枠87、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89)の設定が終了すると、判定部75により、各吐出判定枠内における輝点81の存否情報、すなわち、各吐出判定枠内に輝点81が存在するか否かを示す情報が取得される。判定部75では、輝点81の少なくとも一部が吐出判定枠内に位置すれば、輝点81が当該吐出判定枠内に存在すると判定される。また、輝点81が、内側および外側の2つの吐出判定枠に跨って位置する場合、輝点81は、外側の吐出判定枠内には存在せず、内側の吐出判定枠に存在すると判定される。例えば、輝点81が正常吐出判定枠85と斜め吐出判定枠87とに跨って位置する場合、輝点81は、斜め吐出判定枠87内ではなく、正常吐出判定枠85内に存在すると判定される。一方、輝点81の少なくとも一部が、斜め吐出判定枠87内の正常吐出判定枠85を除く領域に存在し、かつ、輝点81の全体が正常吐出判定枠85の外側に位置する場合、輝点81が斜め吐出判定枠87内に存在すると判定される。保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89における輝点81の存否についても同様である。
判定部75における輝点81の存否情報の取得では、まず、各正常吐出判定枠85内における輝点81の存否情報が取得される。具体的には、検査画像8上において、一の輝点81が注目輝点として検出される。続いて、注目輝点に対応する正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87として、注目輝点に最も近接した位置に位置する正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87が抽出される。
そして、注目輝点の位置と抽出された正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87の位置とが比較され、注目輝点が、当該正常吐出判定枠85内に存在するか否か、および、当該斜め吐出判定枠87内に存在するか否かが判定される。判定部75では、上述のように、注目輝点の少なくとも一部が正常吐出判定枠85内に位置していれば、注目輝点は当該正常吐出判定枠85内に存在すると判定される。また、注目輝点全体が、正常吐出判定枠85の外に位置し、注目輝点の少なくとも一部が、斜め吐出判定枠87内に位置していれば、注目輝点は当該斜め吐出判定枠87内に存在すると判定される。
一方、注目輝点が正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87内に存在しないと判定された場合、注目輝点の位置と保護液膜内吐出判定枠88の位置とが比較され、注目輝点が保護液膜内吐出判定枠88内に存在するか否かが判定される。注目輝点の少なくとも一部が保護液膜内吐出判定枠88内に位置していれば、注目輝点が保護液膜内吐出判定枠88内に存在すると判定される。注目輝点が保護液膜内吐出判定枠88内に存在しないと判定された場合、注目輝点の位置と最大吐出判定枠89の位置とが比較され、注目輝点が最大吐出判定枠89内に存在するか否かが判定される。注目輝点の少なくとも一部が最大吐出判定枠89内に位置していれば、注目輝点が最大吐出判定枠89内に存在すると判定される。
判定部75では、輝点81の存否を判定する際に、検査画像8における最大吐出判定枠89よりも外側の領域について、輝点検出の対象領域から除外される。このように、最大吐出判定枠89は、その外側の領域をマスクする輝点検出用マスクの役割を果たす。これにより、判定部75による輝点検出に要する時間が短縮され、吐出検査部5による吐出動作の良否判定に要する時間を短縮することができる。
検査演算部73では、上述の各正常吐出判定枠85内、各斜め吐出判定枠87内、保護液膜内吐出判定枠88内および最大吐出判定枠89内における輝点81の存否情報に基づいて、各正常吐出判定枠85に対応する吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否が、判定部75により判定される。吐出動作の良否判定の具体例については、図9.Aないし図9.Eを参照しつつ以下に説明する。
図9.Aないし図9.Eは、検査画像8の一部を概念的に示す図である。図9.Aないし図9.Eでは、第1正常吐出判定枠列86aの一部の複数の正常吐出判定枠85と、当該複数の正常吐出判定枠85に対応する複数の斜め吐出判定枠87と、保護液膜内吐出判定枠88の一部と、最大吐出判定枠89の一部と、輝点81とを示す。後述する図11.Aないし図11.Eにおいても同様である。
図9.Aの場合、5つの正常吐出判定枠85のそれぞれの内側に1つの輝点81が存在するという情報、および、各正常吐出判定枠85の外側の領域には輝点81は存在しないという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。そして、当該存否情報に基づいて、5つの正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する5つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好(すなわち、正常)であると判定される。
図9.Bの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、および、左側から1番目の斜め吐出判定枠87内に1つの輝点81が存在するという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。また、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89内には輝点81は存在しないという情報も、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。
判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。また、左側から1番目の正常吐出判定枠85に対応する第1吐出口314aについては、当該第1吐出口314aに対応する輝点81が斜め吐出判定枠87内に存在することから、処理液が正常な吐出範囲からずれて吐出される吐出不良(いわゆる、斜め吐出)が生じていると判定される。吐出不良の発生は、判定部75から吐出検査部5のモニタ等の報知部79(図4参照)を通じて作業者等に通知される。そして、以後に予定されている基板9に対する処理が行われる前に、吐出口314aのクリーニング等、吐出ヘッド31のメンテナンスが行われる。
図9.Cの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、および、保護液膜内吐出判定枠88内に1つの輝点81が存在するという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。
左側から1番目の正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87に対応する第1吐出口314aについては、当該正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87内に輝点81が存在せず、保護液膜内吐出判定枠88内において当該斜め吐出判定枠87の近傍に輝点81が存在することから、処理液が斜め吐出判定枠87に対応する斜め吐出の範囲からずれて、大きく斜め吐出する吐出不良が生じていると判定される。また、当該第1吐出口314aからの処理液は、基板9上に吐出される際に保護液膜93上に着液すると判定される。吐出不良の発生は、判定部75から報知部79を通じて作業者等に通知され、吐出ヘッド31のメンテナンスが行われる。
なお、判定部75では、保護液膜内吐出判定枠88内の輝点81と対応する吐出口は特定されなくてもよい。この場合、左側から1番目の第1吐出口314aについては、斜め吐出判定枠87に対応する範囲外への大きな斜め吐出、および、吐出口の詰まり等による不吐出のいずれかの吐出不良が生じていると判定される。また、左側から1番目の第1吐出口314aおよび図示していない他の吐出口314a〜314dのうちのいずれかの吐出口から、斜め吐出判定枠87に対応する領域の外側で保護液膜93に着液する大きな斜め吐出が生じていると判定される。
図9.Dの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、保護液膜内吐出判定枠88内には輝点81は存在しないという情報、および、最大吐出判定枠89内に1つの輝点81が存在するという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。
左側から1番目の正常吐出判定枠85に対応する第1吐出口314aについては、当該第1吐出口314aに対応する正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87内に輝点81が存在せず、保護液膜内吐出判定枠88内にも輝点81が存在せず、最大吐出判定枠89内に輝点81が存在することから、処理液が吐出方向から非常に大きくずれて吐出され、基板9上に吐出される際に保護液膜93の外側に着液すると判定される。吐出不良の発生は、判定部75から吐出検査部5のモニタ等の報知部79を通じて作業者等に通知される。基板9上において保護液膜93の外側に処理液が着液すると、基板9上のパターンにダメージを与える可能性があるため、吐出ヘッド31は、例えば、分解メンテナンスされたり、他の吐出ヘッド31に交換される。
なお、判定部75では、最大吐出判定枠89内の輝点81と対応する吐出口は特定されなくてもよい。この場合、左側から1番目の第1吐出口314aについては、保護液膜93の外側への非常に大きな斜め吐出、および、不吐出のいずれかの吐出不良が生じていると判定される。また、左側から1番目の第1吐出口314aおよび図示していない他の吐出口314a〜314dのうちのいずれかの吐出口から、保護液膜93の外側への非常に大きな斜め吐出が生じていると判定される。
図9.Eの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、並びに、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89内には輝点81は存在しないという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。また、左側から1番目の正常吐出判定枠85に対応する第1吐出口314aでは、処理液が吐出されない不吐出の吐出不良が生じていると判定される。
ところで、複数の吐出口における吐出動作の良否を判定する吐出検査部として、上記と同様の検査画像を取得し、検査画像上の複数の輝点の配列方向の間隔を測定するものが考えられる。このような吐出検査部(以下、「比較例の吐出検査部」という。)では、複数の輝点の間隔が、所定の間隔におよそ等しければ各吐出口における吐出動作が良好と判定される。一方、隣接する2つの輝点の間隔が所定の間隔の2倍以上大きい場合、当該2つの輝点に対応する2つの吐出口の間に、不吐出の吐出口が存在すると判定される。
比較例の吐出検査部では、間隔が所定の間隔からある程度以上大きい(または、小さい)隣接する2つの輝点が存在すると、当該2つの輝点に対応する2つの吐出口のうち、どちらか一方または双方に斜め吐出の吐出不良が生じていると判定される。しかしながら、2つの吐出口のうちどちらの吐出口に吐出不良が生じているかを判定することは容易ではない。また、一方の吐出口からの処理液が他方の吐出口から遠ざかるようにずれ、他方の吐出口からの処理液が一方の吐出口から遠ざかるようにずれた場合、各吐出口からの処理液のずれは許容範囲であったとしても、上述のように2つの吐出口の少なくとも一方が、誤って吐出不良と判断されてしまう。さらに、連続する複数の吐出口に吐出不良が生じ、当該複数の吐出口に対応する複数の輝点が、同じ方向におよそ同じ距離だけずれた場合、複数の輝点の間隔は所定の間隔におよそ等しいため、これらの吐出不良は検出されない。
これに対し、基板処理装置1の吐出検査部5では、判定枠設定部74により、検査画像8上において複数の吐出口314a〜314dにそれぞれ対応する複数の正常吐出判定枠85が設定される。そして、判定部75により、各正常吐出判定枠85内における輝点81の存否情報が取得され、当該存否情報に基づいて各正常吐出判定枠85に対応する吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否が判定される。これにより、複数の吐出口314a〜314dのそれぞれにおける吐出動作の良否を、個別に(すなわち、他の吐出口314a〜314dの吐出動作の良否から独立して)精度良く判定することができる。
また、吐出検査部5では、判定枠設定部74により、検査画像8上に複数の吐出口314a〜314dにそれぞれ対応する複数の斜め吐出判定枠87が設定される。そして、判定部75により、各斜め吐出判定枠87内における輝点81の存否情報が取得され、当該存否情報に基づいて各斜め吐出判定枠87に対応する吐出口314a〜314dにおける斜め吐出の発生の有無が判定される。これにより、複数の吐出口314a〜314dにおける斜め吐出、より詳細には、斜め吐出判定枠87に対応する領域内への軽度の斜め吐出を、個別に精度良く判定することができる。
さらに、吐出検査部5では、判定枠設定部74により、検査画像8上に保護液膜93に対応する保護液膜内吐出判定枠88が設定される。そして、判定部75により、保護液膜内吐出判定枠88内における輝点81の存否情報が取得され、当該存否情報に基づいて斜め吐出判定枠87に対応する領域外、かつ、保護液膜93が形成される領域内への、より大きい斜め吐出の発生の有無が検出される。これにより、より大きい斜め吐出の発生を、精度良く判定することができる。
なお、基板9上に形成される保護液膜93の外周部において、保護液膜93の膜厚が所定の厚さよりも薄い場合には、上述の保護液膜内吐出判定枠88の設定時に基準の1つとされる保護液膜93の外周部は、保護液膜93の所定の厚さを有する部位の外周縁とされてもよい。これにより、吐出方向から大きくずれて吐出された処理液が、保護液膜93の所定の厚さを有する部位に着液したか、当該部位よりも外側の領域に着液したかを判定することができる。
吐出検査部5では、判定枠設定部74により、検査画像8上に保護液膜内吐出判定枠88を囲む最大吐出判定枠89が設定される。そして、判定部75により、最大吐出判定枠89内における輝点81の存否情報が取得され、当該存否情報に基づいて保護液膜93が形成される領域外への、非常に大きい斜め吐出の発生の有無が検出される。これにより、保護液膜93の外側に着液する斜め吐出の発生を、精度良く判定することができる。
吐出検査部5では、撮像部52における撮像方向が、吐出ヘッド31からの処理液の所定の吐出方向に垂直な平面に対して傾斜している。これにより、検査画像8上において複数の輝点81が互いに重なることを抑制することができる。また、検査画像8上において、複数の正常吐出判定枠85が互いに重なることを抑制し、複数の斜め吐出判定枠87が互いに重なることも抑制することができる。その結果、複数の吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否判定精度を向上することができる。このような吐出検査部5の構造は、互いに平行に配列される複数の吐出口列を有する吐出ヘッドにおける吐出動作の良否判定に特に適している。
上述のように、吐出検査部5では、光存在面が処理液の所定の吐出方向に垂直な平面に対して傾斜している。これにより、検査画像8上において複数の輝点81、複数の正常吐出判定枠85、および、複数の斜め吐出判定枠87が互いに重なることを抑制することができる。その結果、複数の吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否判定精度をさらに向上することができる。このような吐出検査部5の構造も、互いに平行に配列される複数の吐出口列を有する吐出ヘッドにおける吐出動作の良否判定に特に適している。
上述の例では、正常吐出判定枠85と同数の斜め吐出判定枠87が設定される場合について説明しているが、図10に示すように、判定枠設定部74により、複数の正常吐出判定枠85が内側に位置する比較的大きな斜め吐出判定枠87aが、検査画像8上に設定されてもよい。図10に示す例では、第1吐出口列313aの全ての第1吐出口314a(図3参照)に対応する複数の正常吐出判定枠85(すなわち、第1正常吐出判定枠列86a)の周囲に、略矩形状の1つの斜め吐出判定枠87aが設定される。また、第2正常吐出判定枠列86b、第3正常吐出判定枠列86cおよび第4正常吐出判定枠列86dのそれぞれの周囲に、上記斜め吐出判定枠87aとおよそ同様の形状の斜め吐出判定枠87aが設定される。検査画像8上における各斜め吐出判定枠87aの位置は、対応する正常吐出判定枠列の位置に基づいて設定される。4つの斜め吐出判定枠87aの周囲には、上記と同様の保護液膜内吐出判定枠88が設定され、保護液膜内吐出判定枠88の周囲には外側吐出判定枠である最大吐出判定枠89が設定される。
検査演算部73では、上述の各正常吐出判定枠85内、斜め吐出判定枠87a内、保護液膜内吐出判定枠88内および最大吐出判定枠89内における輝点81の存否情報に基づいて、各正常吐出判定枠85に対応する吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否が、判定部75により判定される。吐出動作の良否判定の具体例については、図11.Aないし図11.Eを参照しつつ以下に説明する。
図11.Aの場合、図9.Aと同様に、5つの正常吐出判定枠85のそれぞれの内側に1つの輝点81が存在するという情報、および、各正常吐出判定枠85の外側の領域には輝点81は存在しないという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。そして、当該存否情報に基づいて、5つの正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する5つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好(すなわち、正常)であると判定される。
図11.Bの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、および、斜め吐出判定枠87a内に1つの輝点81が存在するという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。また、斜め吐出判定枠87a内の輝点81は、左側から1番目の正常吐出判定枠85近傍に位置するという情報、並びに、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89内には輝点81は存在しないという情報も、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。
判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。また、左側から1番目の正常吐出判定枠85に対応する第1吐出口314aについては、当該正常吐出判定枠85内に輝点81は存在しておらず、かつ、当該正常吐出判定枠85近傍において斜め吐出判定枠87a内に1つの輝点81が存在することから、処理液が正常な吐出範囲からずれて吐出される吐出不良(いわゆる、斜め吐出)が生じていると判定される。吐出不良の発生は、判定部75から吐出検査部5のモニタ等の報知部79を通じて作業者等に通知され、吐出ヘッド31のメンテナンスが行われる。
なお、判定部75では、斜め吐出判定枠87a内の輝点81と対応する吐出口は特定されなくてもよい。この場合、左側から1番目の第1吐出口314aについては、斜め吐出および不吐出のいずれかの吐出不良が生じていると判定される。また、第1吐出口列313aのいずれかの第1吐出口314aから、斜め吐出判定枠87aに対応する領域への斜め吐出が生じていると判定される。
図11.Cの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、斜め吐出判定枠87aおよび最大吐出判定枠89内には輝点81は存在しないという情報、並びに、保護液膜内吐出判定枠88内に1つの輝点81が存在するという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。
左側から1番目の正常吐出判定枠85に対応する第1吐出口314aについては、当該第1吐出口314aに対応する正常吐出判定枠85内に輝点81が存在せず、斜め吐出判定枠87a内にも輝点81が存在せず、保護液膜内吐出判定枠88内において当該正常吐出判定枠85の近傍に輝点81が存在することから、処理液が斜め吐出判定枠87aに対応する斜め吐出の範囲からずれて、大きく斜め吐出する吐出不良が生じていると判定される。また、当該第1吐出口314aからの処理液は、基板9上に吐出される際に保護液膜93上に着液すると判定される。吐出不良の発生は、判定部75から吐出検査部5のモニタ等の報知部79を通じて作業者等に通知され、吐出ヘッド31のメンテナンスが行われる。
なお、判定部75では、保護液膜内吐出判定枠88内の輝点81と対応する吐出口は特定されなくてもよい。この場合、左側から1番目の第1吐出口314aについては、斜め吐出判定枠87aに対応する範囲外への大きな斜め吐出、および、不吐出のいずれかの吐出不良が生じていると判定される。また、当該第1吐出口314aおよび図示していない他の吐出口314a〜314dのうちいずれかの吐出口から、斜め吐出判定枠87aに対応する領域の外側で保護液膜93に着液する大きな斜め吐出が生じていると判定される。
図11.Dの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、斜め吐出判定枠87aおよび保護液膜内吐出判定枠88内には輝点81は存在しないという情報、並びに、最大吐出判定枠89内に1つの輝点81が存在するという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。
左側から1番目の正常吐出判定枠85に対応する第1吐出口314aについては、当該第1吐出口314aに対応する正常吐出判定枠85、斜め吐出判定枠87aおよび保護液膜内吐出判定枠88内に輝点81が存在せず、最大吐出判定枠89内に輝点81が存在することから、処理液が吐出方向から非常に大きくずれて吐出され、基板9上に吐出される際に保護液膜93の外側に着液すると判定される。吐出不良の発生は、判定部75から吐出検査部5のモニタ等の報知部79を通じて作業者等に通知され、吐出ヘッド31は、例えば、分解メンテナンスされたり、他の吐出ヘッド31に交換される。
なお、判定部75では、最大吐出判定枠89内の輝点81と対応する吐出口は特定されなくてもよい。この場合、左側から1番目の第1吐出口314aについては、保護液膜93の外側への非常に大きな斜め吐出、および、不吐出のいずれかの吐出不良が生じていると判定される。また、当該第1吐出口314aおよび図示していない他の吐出口314a〜314dのうちいずれかの吐出口から、保護液膜93の外側への非常に大きな斜め吐出が生じていると判定される。
図11.Eの場合、図中の左側から1番目の正常吐出判定枠85内に輝点81は存在しておらず、他の4つの正常吐出判定枠85内にはそれぞれ1つの輝点81が存在するという情報、並びに、斜め吐出判定枠87a、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89内には輝点81は存在しないという情報が、輝点81の存否情報として判定部75により取得される。判定部75では、これらの存否情報に基づいて、左側から2〜5番目の正常吐出判定枠85にそれぞれ対応する4つの第1吐出口314aにおける吐出動作は良好であると判定される。また、左側から1番目の正常吐出判定枠85に対応する第1吐出口314aでは、処理液が吐出されない不吐出の吐出不良が生じていると判定される。
このように、複数の正常吐出判定枠85の周囲に1つの斜め吐出判定枠87aが設定される場合も、上記と同様に、判定部75により、各正常吐出判定枠85内における輝点81の存否情報が取得され、当該存否情報に基づいて各正常吐出判定枠85に対応する吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否が判定される。これにより、複数の吐出口314a〜314dのそれぞれにおける吐出動作の良否を、個別に精度良く判定することができる。
また、吐出検査部5では、各斜め吐出判定枠87a内における輝点81の存否情報が取得され、当該存否情報に基づいて各斜め吐出判定枠87aにそれぞれ対応する吐出口列313a〜313dにおける斜め吐出の発生の有無が判定される。これにより、複数の吐出口314a〜314dにおける斜め吐出を精度良く判定することができる。なお、斜め吐出判定枠87aは、2つ以上の吐出口列を囲んで設定されてもよい。
基板処理装置1では、吐出ヘッド31が検査位置へと移動した際に、設計上の検査位置から少しずれて配置される可能性がある。吐出ヘッド31の検査位置がずれると、吐出ヘッド31に対する光出射部51および撮像部52の相対位置もずれる。検査画像8上における正常吐出判定枠85、斜め吐出判定枠87、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89の位置は、吐出ヘッド31が設計上の検査位置に位置することを前提に設定されるため、吐出ヘッド31の検査位置がずれると、吐出ヘッド31から吐出された処理液の複数の輝点81と各吐出判定枠との検査画像8上における位置関係も変化する。その結果、処理液が所定の吐出方向に正常に吐出されているにも拘わらず、輝点81が正常吐出判定枠85外となり、吐出異常と判定される可能性がある。
そこで、基板処理装置1では、吐出ヘッド31の検査位置のずれが懸念される場合等、判定枠設定部74による各吐出判定枠の設定の際に、検査画像8上の輝点81の実際の位置に基づいて、複数の正常吐出判定枠85の位置が設定されてもよい。具体的には、まず、検査画像8に含まれる第1吐出口列313aに対応する複数の輝点81のうち、両端に位置する2つの輝点81の検査画像8上における位置(すなわち、座標)が求められる。続いて、当該2つの輝点81がそれぞれ中心に位置するように、2つの正常吐出判定枠85の位置が設定される。
第1吐出口列313aに対応する複数の輝点81は、設計通りの吐出が行われていれば直線上に並んでいるため、第1吐出口列313aに対応する複数の正常吐出判定枠85も直線上に配列される。そこで、上記2つの正常吐出判定枠85の間に、直線上に並ぶように複数の正常吐出判定枠85が配置される。隣接する第1吐出口314aから吐出される処理液の輝点81の検査画像8上における間隔は、観察視点である撮像部52から離れるに従って(すなわち、手前側から奥側へと向かうに従って)小さくなるため、上述の複数の正常吐出判定枠85の間隔も、同様に、撮像部52から離れるに従って小さくする必要がある。複数の正常吐出判定枠85の位置は、例えば、隣接する各2つの正常吐出判定枠85の間隔(例えば、正常吐出判定枠85の中心間の間隔)が、手前側から奥側に向かうに従って所定の距離ずつ短くなるように設定される。
あるいは、基板処理装置1において設定された3次元座標系において、複数の第1吐出口314aに対応する複数の上記輝点基準位置(すなわち、設計通りに処理液が吐出された場合に輝点81が形成される位置)の座標が求められる。続いて、第1吐出口列313aの一方の端部に位置する第1吐出口314aに対応する輝点基準位置(以下、「第1端部位置」という。)を通るとともに撮像部52の撮像軸J2に垂直な仮想的な平面に対し、複数の輝点基準位置を投影した場合の位置である輝点投影位置の座標が求められる。
各輝点基準位置の投影は、各輝点基準位置から撮像軸J2の始点(すなわち、撮像部52の光学系の対物側の端面の中心)に向かう方向に行われる。各輝点投影位置の座標の算出は、例えば、撮像軸J2の始点、第1端部位置、および、第1吐出口列313aの他方の端部に位置する第1吐出口314aに対応する輝点投影位置である第2端部位置を結ぶ三角形と、第1端部位置と第2端部位置とを結ぶ直線とに基づいて、メネラウスの定理を利用して行われる。そして、隣接する各2つの輝点投影位置間の間隔が、第1端部位置と第2端部位置との間の距離に対して占める割合に従って、検査画像8上において、上述の2つの正常吐出判定枠85(すなわち、両端の第1吐出口314aに対応する2つの正常吐出判定枠85)の間に複数の正常吐出判定枠85が配置される。
このように、判定枠設定部74では、第1吐出口列313aに対応する複数の正常吐出判定枠85の位置が、第1吐出口列313aの両端の第1吐出口314aに対応する輝点81の検査画像8上の位置に基づいて設定される。また、第2吐出口列313b、第3吐出口列313cおよび第4吐出口列313dにそれぞれ対応する複数の正常吐出判定枠85の位置も、第1吐出口列313aに対応する複数の正常吐出判定枠85の位置設定と同様に設定される。これにより、吐出ヘッド31の検査位置が設計上の検査位置からずれた場合であっても、複数の吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否判定を高精度に行うことができる。
上述のように、複数の正常吐出判定枠85の位置が、各吐出口列の両端の吐出口に対応する輝点の位置に基づいて設定される場合、各正常吐出判定枠85の周囲を囲む斜め吐出判定枠87(図7参照)の位置は、各正常吐出判定枠85の位置に基づいて設定される。一方、複数の正常吐出判定枠85の周囲を囲む斜め吐出判定枠87a(図10参照)の位置は、各正常吐出判定枠列の両端の正常吐出判定枠85の位置に基づいて設定される。また、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89の位置は、正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87,87aの位置に基づいて設定される。
基板処理装置1では、撮像部52と処理液との間の距離が異なると、検査画像8上における輝点81の大きさ、すなわち、輝点81の見かけの大きさも変化する。例えば、撮像部52から遠い輝点81の見かけの大きさは、撮像部52に近い輝点81に比べて小さくなり、斜め吐出による輝点81の見かけの移動量も小さくなる。このため、正常吐出判定枠85等の吐出判定枠内における輝点81の存否判定において、撮像部52から遠い輝点81は、斜め吐出により輝点基準位置からずれた場合であっても、撮像部52から近い輝点81に比べて吐出判定枠内に存在すると判定されやすくなる。
一方、撮像部52に近い輝点81の見かけの大きさは、撮像部52から遠い輝点81よりも大きいため、輝点81の重心が吐出判定枠の外側に位置する場合であっても、輝点81の一部が吐出判定枠内に位置する可能性が高くなる。その結果、撮像部52から近い輝点81は、重心が吐出判定枠外に位置する場合に、撮像部52から遠い輝点81に比べて吐出判定枠内に存在すると判定されやすくなる。
また、基板処理装置1では、吐出ヘッド31、光出射部51および撮像部52の配置によっては、複数の輝点81のうち一部の輝点81が、撮像部52の合焦範囲80の外側に位置する。この場合、当該一部の輝点81は、検査画像8上においてぼやけて(いわゆる、ピントがぼけて)、合焦範囲80内の輝点81に比べて大きく広がる。大きく広がった輝点81は、その一部が吐出判定枠内に位置する可能性が高くなるため、正常吐出判定枠85等の吐出判定枠内における輝点81の存否判定において、他の輝点81に比べて吐出判定枠内に存在すると判定されやすくなる。
そこで、吐出検査部5では、撮像部52と輝点81との間の距離、および、合焦範囲80外の輝点81のぼやけによる吐出動作の良否判定に対する影響を低減するための調整が行われる。以下では、当該調整の2通りの方法について説明する。第1の調整方法では、判定枠設定部74による正常吐出判定枠85の設定の際に、正常吐出判定枠85の大きさが調整される。第2の調整方法では、判定部75による吐出動作の良否判定よりも前に、輝点81の検査画像8上における大きさが補正される。
第1の調整方法では、まず、判定枠設定部74の仮設定部77(図4参照)により、複数の吐出口314a〜314dにそれぞれ対応する同形状の複数の正常吐出判定枠が、図12に示すように、検査画像8上において上述の複数の輝点基準位置を中心として仮設定される。仮設定部77により仮設定された各正常吐出判定枠(以下、「仮設定枠850」という。)は、予め定められた所定の大きさの略矩形状である。図12では、後述する枠サイズ調整部78による調整後に第1正常吐出判定枠列86a、第2正常吐出判定枠列86b、第3正常吐出判定枠列86cおよび第4正常吐出判定枠列86dとなる4つの仮設定枠列860a〜860dにおいて、図中の左側に位置する仮設定枠850が撮像部52に近く、右側に位置する仮設定枠850が撮像部52から遠い。また、図12では、輝点81と仮設定された正常吐出判定枠のみを描いており、斜め吐出判定枠等の他の吐出判定枠は図示していない。後述する図13ないし図16においても同様である。
続いて、枠サイズ調整部78により、各仮設定枠850について、撮像部52の撮像軸J2の始点と各仮設定枠850に対応する輝点基準位置との間の距離である検査距離が求められる。そして、枠サイズ調整部78の見かけ枠サイズ調整部78aにより、仮設定枠850が、当該検査距離に基づいて調整される。具体的には、仮設定枠850が、検査距離が大きくなるに従って縮小するように調整される。さらに詳細には、注目される仮設定枠850の検査距離が大きくなるに従って小さくなる検査距離の所定の関数を枠縮小率とし、各仮設定枠850の中心位置(すなわち、輝点基準位置)を変更することなく、各仮設定枠850の4つの辺の長さにそれぞれ枠縮小率を乗算することにより、図13に示すように、各仮設定枠850が調整される。各仮設定枠列860a〜860dでは、仮設定枠850の各辺の長さが、図中の左側から右側に向かうに従って短くなる。上記関数は、例えば、検査距離が、撮像部52に最も近い輝点基準位置と撮像部52との間の距離に等しいときに「1」となり、検査距離が当該距離よりも大きくなると1未満となるように設定される。
次に、枠サイズ調整部78の合焦ずれ枠サイズ調整部78bにより、図13にて説明した処理により調整された各仮設定枠850の大きさが、撮像部52の合焦距離と各仮設定枠850に対応する検査距離との差(以下、「焦点ずれ量」という。)が大きくなるに従って縮小するようにさらに調整され、正常吐出判定枠85が設定される。具体的には、焦点ずれ量が大きくなるに従って大きくなる焦点ずれ量の所定の関数をぼけ量とし、各仮設定枠850の中心位置を変更することなく、各仮設定枠850の4つの辺の長さから、ぼけ量をそれぞれ減算することにより、図14に示すように、各正常吐出判定枠85が設定される。
図12ないし図14に示す例では、図中の上下方向の中央部近傍に位置する輝点81が合焦範囲80に含まれる。したがって、図13中の上側(すなわち、3次元座標系における手前側)の仮設定枠列860a,860bのうち右側の一部の仮設定枠850は、大きさを変更されることなく正常吐出判定枠85とされる。また、仮設定枠列860a,860bの他の仮設定枠850は、各辺からぼけ量が減算されて縮小される。図14に示すように、仮設定枠列860a,860b(すなわち、第1正常吐出判定枠列86aおよび第2正常吐出判定枠列86b)では、各仮設定枠850から減算されるぼけ量は、図中の右側から左側に向かうに従って大きくなる。
一方、図13中の下側の仮設定枠列860c,860dでは、左側の一部の仮設定枠850は、大きさを変更されることなく正常吐出判定枠85とされる。また、仮設定枠列860c,860dの他の仮設定枠850は、各辺からぼけ量が減算されて縮小される。図14に示すように、仮設定枠列860c,860d(すなわち、第3正常吐出判定枠列86cおよび第4正常吐出判定枠列86d)では、各仮設定枠850から減算されるぼけ量は、図中の左側から右側に向かうに従って大きくなる。
各輝点基準位置に対応する斜め吐出判定枠87も、上述の正常吐出判定枠85に係る調整と同様に、仮設定部77により検査画像8上に仮設定され、枠サイズ調整部78により大きさが調整される。
基板処理装置1では、上述のように大きさが調整された正常吐出判定枠85内における輝点81の存否情報に基づいて、各吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否判定が行われる。正常吐出判定枠85の調整では、上述のように、各仮設定枠850に対応する検査距離が大きくなるに従って、各仮設定枠850を縮小する調整が行われる。これにより、撮像部52と輝点81との間の距離による吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度を向上することができる。
また、各仮設定枠850に対応する検査距離と撮像部52の合焦距離との差である焦点ずれ量が大きくなるに従って、各仮設定枠850を縮小する調整が行われる。これにより、合焦範囲80外の輝点81のぼやけによる吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度をさらに向上することができる。
なお、上述の例では、枠サイズ調整部78において、各仮設定枠850に対して見かけ枠サイズ調整部78aによる調整、および、合焦ずれ枠サイズ調整部78bによる調整を行ったが、必ずしも両方の調整を行う必要はない。枠サイズ調整部78では、見かけ枠サイズ調整部78aおよび合焦ずれ枠サイズ調整部78bの少なくとも一方により各仮設定枠850が調整されることにより、正常吐出判定枠85が設定される。その結果、上述のように、撮像部52と輝点81との間の距離による吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度を向上することができる。
上述の例では、正常吐出判定枠85と同数の斜め吐出判定枠87が設定される場合における吐出判定枠の補正について説明したが、図10に示すように、1つの斜め吐出判定枠87aの内側に複数の正常吐出判定枠85が設定される場合においても、正常吐出判定枠85は同様に設定される。
次に、上述の第2の調整方法について説明する。第2の調整方法では、まず、判定枠設定部74により、複数の吐出口314a〜314dにそれぞれ対応する同形状の複数の正常吐出判定枠85が、図12に示すように、検査画像8上において上述の複数の輝点基準位置を中心として設定される。正常吐出判定枠85は、予め定められた所定の大きさの略矩形状である。
続いて、輝点補正部76により、検査画像8の各輝点81に対応する輝点基準位置と撮像部52の撮像軸J2の始点との間の距離である検査距離が求められる。そして、見かけ輝点サイズ調整部76aにより、各輝点81の大きさが、当該検査距離が小さくなるに従って縮小するように、各輝点81の大きさの補正が行われる。具体的には、検査距離が小さくなるに従って小さくなる検査距離の所定の関数を輝点縮小率とし、各輝点81の重心位置を変更することなく、各輝点81を当該輝点縮小率にて縮小することにより、図15に示すように、各輝点81の大きさが補正される。
次に、輝点補正部76の合焦ずれ輝点サイズ調整部76bにより、各輝点81の大きさが、撮像部52の合焦距離と各輝点81に対応する検査距離との差である焦点ずれ量が大きくなるに従って縮小するように補正される。具体的には、焦点ずれ量が大きくなるに従って大きくなる焦点ずれ量の所定の関数を輝点ぼけ量とし、各輝点81の重心位置を変更することなく、各輝点81の縦横それぞれの長さから輝点ぼけ量を減算することにより、図16に示すように、各輝点81の大きさが補正される。
基板処理装置1では、大きさが補正された輝点81の正常吐出判定枠85内における存否情報(すなわち、補正後の輝点81の少なくとも一部が存在するか否かを示す情報)に基づいて、判定部75により、各吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否判定が行われる。輝点81の補正では、上述のように、各輝点81に対応する検査距離が小さくなるに従って(すなわち、各輝点81に対応する輝点基準位置が撮像部52に近づくに従って)、各輝点81を縮小する補正が行われる。これにより、輝点81の大部分が正常吐出判定枠85の外側に位置するにもかかわらず、一部のみが正常吐出判定枠85内に位置することが抑制または防止される。その結果、撮像部52と輝点81との間の距離による吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度を向上することができる。
また、各輝点81に対応する検査距離と撮像部52の合焦距離との差である焦点ずれ量が大きくなるに従って、各輝点81を縮小する補正が行われる。これにより、合焦範囲80外の輝点81のぼやけによる吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度をさらに向上することができる。
なお、上述の例では、輝点補正部76において、各輝点81に対して見かけ輝点サイズ補正部76aによる補正、および、合焦ずれ輝点サイズ補正部76bによる補正を行ったが、必ずしも両方の補正を行う必要はない。輝点補正部76では、見かけ輝点サイズ補正部76aおよび合焦ずれ輝点サイズ補正部78bの少なくとも一方により大きさが補正された各輝点81について、正常吐出判定枠85内の存否情報が判定部75により取得され、当該存否情報に基づいて各吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否判定が行われる。その結果、上述のように、撮像部52と輝点81との間の距離による吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度を向上することができる。
上述の例では、正常吐出判定枠85と同数の斜め吐出判定枠87が設定される場合における輝点81の補正について説明したが、図10に示すように、1つの斜め吐出判定枠87aの内側に複数の正常吐出判定枠85が設定される場合においても、輝点81は同様に補正される。
基板処理装置1では、光出射部51から出射される面状光510の上下方向の厚さが厚くなると、撮像部52により取得される検査画像8において、各輝点81が上下方向(すなわち、処理液の設計上の吐出方向)に大きくなる。光出射部51からの面状光510の厚さは、吐出ヘッド31から吐出される処理液に照射される領域においておよそ一定であるが、当該領域内であっても、光出射部51から出射された面状光510の吐出方向の厚さが最も小さくなる位置(すなわち、面状光510が上下方向に最も絞り込まれた位置であり、以下、「光最薄位置」という。)からの距離が大きくなるに従って僅かずつ増大する。このため、光最薄位置から遠い輝点81は、光最薄位置に近い輝点81に比べて、上下方向に大きくなる。その結果、正常吐出判定枠85等の吐出判定枠内における輝点81の存否判定において、光最薄位置から遠い輝点81は、光最薄位置に近い輝点81に比べて吐出判定枠内に存在すると判定されやすくなる。
そこで、吐出検査部5では、光最薄位置と輝点81との間の距離による吐出動作の良否判定に対する影響を低減するための調整が行われる。以下では、当該調整の2通りの方法について説明する。上述の第1および第2の調整方法と区別するために、当該2通りの調整方法をそれぞれ、「第3の調整方法」および「第4の調整方法」という。第3の調整方法では、判定枠設定部74による正常吐出判定枠85の設定の際に、正常吐出判定枠85の大きさが調整される。第4の調整方法では、判定部75による吐出動作の良否判定よりも前に、輝点81の検査画像8上における大きさが補正される。
第3の調整方法では、枠サイズ調整部78の光厚さ調整部78cにより、光出射部51の光軸J1の始点と各正常吐出判定枠85に対応する輝点基準位置との間の光軸J1に平行な方向における距離(以下、「照射距離」という。)と、光出射部51の光軸J1の始点と光最薄位置との間の光軸J1に平行な方向における距離(以下、「光最薄距離」という。)との差である判定枠照射距離誤差に基づいて、各正常吐出判定枠85の上下方向(すなわち、処理液の設計上の吐出方向)の高さが調整される。具体的には、各正常吐出判定枠85に係る判定枠照射距離誤差が大きくなるに従って、各正常吐出判定枠85が上下方向に縮小される。これにより、判定枠照射距離誤差による吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度を向上することができる。
第4の調整方法では、輝点補正部76の光厚さ補正部76cより、各輝点81の照射距離(すなわち、光出射部51の光軸J1の始点と各輝点81に対応する輝点基準位置との間の光軸J1に平行な方向における距離)と光最薄距離との差である輝点照射距離誤差に基づいて、各輝点81の上下方向の高さが調整される。具体的には、各輝点81に係る輝点照射距離誤差が大きくなるに従って、各輝点81が上下方向に縮小される。これにより、輝点照射距離誤差による吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度を向上することができる。
上述の4つの調整方法は、適宜組み合わされて実施されてよい。例えば、第1および第3の調整方法が実施されて、正常吐出判定枠85の大きさが調整されてもよい。あるいは、第2および第4の調整方法が実施されて、輝点81の大きさが調整されてもよい。また、第1ないし第4の調整方法のうち、2つ以上の調整方法のいずれの組み合わせが実施されてもよい。
上記説明では、判定部75による正常吐出判定枠85等の吐出判定枠内における輝点81の存否判定において、輝点81の少なくとも一部が吐出判定枠内に位置すれば、輝点81が当該吐出判定枠内に存在すると判定されるが、輝点81の半分以上が吐出判定枠内に位置する場合に、輝点81が当該吐出判定枠内に存在すると判定されてもよい。あるいは、輝点81の全体が吐出判定枠内に位置する場合のみ、輝点81が当該吐出判定枠内に存在すると判定されてもよい。この場合、上述の合焦ずれ枠サイズ調整部78bによる仮設定枠850の調整では、焦点ずれ量が大きくなるに従って、仮設定枠850の各辺にぼけ量が加算されて仮設定枠850が拡大される。これにより、合焦範囲80外の輝点81のぼやけによる吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度をさらに向上することができる。また、上述の光厚さ調整部78cによる正常吐出判定枠85の調整では、判定枠照射距離誤差が大きくなるに従って正常吐出判定枠85が上下方向に拡大される。これにより、判定枠照射距離誤差による吐出動作の良否判定に対する影響を低減することができ、吐出動作の良否判定の精度を向上することができる。
また、判定部75では、検査画像8上において複数の輝点81のそれぞれの重心が求められ、各正常吐出判定枠85内における輝点81の重心の存否が、各正常吐出判定枠85内における輝点81の存否情報として取得されてもよい。これにより、例えば、合焦範囲80の外側に位置する輝点81のぼやけて広がった部分のみが正常吐出判定枠85内に位置することにより、輝点81が正常吐出判定枠85内に存在すると判定されることが防止される。他の吐出判定枠内における輝点81の存否判定においても同様である。その結果、複数の吐出口314a〜314dにおける吐出動作の良否判定精度を、より向上することができる。当該重心の存否による輝点81の存否判定は、上述の第1の調整方法や第3の調整方法と共に行われてもよい。ただし、上述の第2の調整方法や第4の調整方法が行われる際には、重心の存否による輝点81の存否判定は行われない。
上記基板処理装置1では、様々な変更が可能である。
上述の吐出検査部5では、判定枠設定部74により、正常吐出判定枠85、斜め吐出判定枠87,87a、保護液膜内吐出判定枠88および最大吐出判定枠89が設定されるが、必ずしも、これら吐出判定枠の全てが設定される必要はない。吐出検査部5では、判定枠設定部74により、1種類の吐出判定枠のみが設定されてもよく、2種類または3種類の吐出判定枠が組み合わされて設定されてもよい。
例えば、保護液膜93の外側の領域に対応する最大吐出判定枠89が省略されてもよい。この場合、保護液膜内吐出判定枠88が、複数の吐出判定枠のうち最も外側に位置する外側吐出判定枠となる。また、判定部75により、各吐出口314a〜314dにおける吐出動作は、正常吐出、斜め吐出判定枠87,87aに対応する領域への斜め吐出、斜め吐出判定枠87,87aに対応する領域外であって保護液膜93上へのより大きな斜め吐出、および、それ以外の吐出不良のうちのいずれかとして判定される。それ以外の吐出不良とは、不吐出、または、保護液膜93外に着液するさらに大きな斜め吐出である。
吐出判定枠のうち保護液膜内吐出判定枠88が省略されてもよい。この場合、最大吐出判定枠89が、複数の斜め吐出判定枠87、または、複数の斜め吐出判定枠87aの周囲に設定される。そして、各吐出口314a〜314dにおける吐出動作が、正常吐出、斜め吐出判定枠87,87aに対応する領域への斜め吐出、斜め吐出判定枠87,87aに対応する領域外へのより大きな斜め吐出、および、不吐出のうちのいずれかとして判定される。
吐出判定枠のうち斜め吐出判定枠87,87aが省略される場合、各吐出口314a〜314dにおける吐出動作は、正常吐出、保護液膜93上への斜め吐出、保護液膜93外に着液するさらに大きな斜め吐出、および、不吐出のうちのいずれかとして判定される。斜め吐出判定枠87,87aおよび保護液膜内吐出判定枠88が省略される場合、各吐出口314a〜314dにおける吐出動作は、正常吐出、斜め吐出および不吐出のいずれかとして判定される。正常吐出判定枠85および斜め吐出判定枠87,87aが省略される場合、各吐出口314a〜314dにおける吐出動作は、処理液が保護液膜93上に着液する吐出、保護液膜93外に着液する吐出、および、不吐出のいずれかとして判定される。
上記説明では、不吐出および斜め吐出を吐出口314aの吐出不良と判定したが、他の吐出動作も吐出不良と判定されてよい。例えば、吐出ヘッド31から吐出された液滴が飛翔中に分裂して複数の極小液滴になることがある。このような極小液滴は、基板9の上面91に十分な運動エネルギーを付与することができず、基板9を適切に洗浄できない可能性がある。したがって、このような極小液滴の吐出も、吐出口の吐出不良と判定してもよい。極小液滴の吐出を吐出不良と判定する場合は、例えば、正常吐出判定枠85内に1つの輝点81が検出されるケースを正常吐出と判定し、正常吐出判定枠85内に複数の輝点81が検出されるケースを吐出不良と判定する。
上記説明では、輝点81が撮像部52の合焦範囲80外に位置する場合等に、第1の調整方法による正常吐出判定枠85等の吐出判定枠の大きさの調整、または、第2の調整方法による輝点81の大きさの調整が行われるが、一部の輝点81が合焦範囲80外に位置している場合等であっても、吐出動作の良否判定の精度が許容できるレベルであれば、吐出判定枠または輝点81の大きさの調整は行われなくてもよい。また、面状光510の上下方向の厚さが、上述の照射距離によりあまり変化しない場合等、第3の調整方法による正常吐出判定枠85等の吐出判定枠の大きさの調整、または、第4の調整方法による輝点81の大きさの調整は行われなくてもよい。吐出検査部5では、吐出動作の良否判定が行われるよりも前に、輝点81の縦横の長さがおよそ等しくなるように、輝点81が、重心位置を中心として上下方向に縮小されてもよい。
光出射部51では、必ずしも面状に光が出射される必要はなく、光存在面に沿って光出射部51から前方に直線状に延びる光が出射され、当該光が光存在面に沿ってポリゴンミラー等の光走査手段により走査されてもよい。これにより、複数の吐出口314a〜314dから吐出された処理液である複数の飛翔体が光存在面を通過する際に、当該複数の飛翔体に光が照射される。また、光存在面は、吐出ヘッド31からの処理液の設計上の吐出方向に垂直であってもよく、撮像部52における撮像方向は、当該設計上の吐出方向に垂直な平面に平行であってもよい。
光出射部51および撮像部52は、吐出ヘッド31の斜め下方以外の位置、例えば、吐出ヘッド31の斜め上方に配置されてもよい。吐出検査部5は、吐出ヘッド31の待機位置近傍(すなわち、待機ポッド4の近傍)以外の位置に配置されてもよい。例えば、基板9上に位置する吐出ヘッド31の斜め上方に光出射部51および撮像部52が配置されてもよい。
吐出ヘッド31から吐出される処理液は、必ずしも、液滴状には限定されず、液柱状に連続する処理液が吐出ヘッド31から吐出されてもよい。
基板処理装置1は、基板9の洗浄以外の様々な処理に利用されてよい。また、基板処理装置1では、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、基板処理装置1は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
上述の光出射部51、撮像部52、判定枠設定部74および判定部75を備える装置は、基板処理装置1の他の構成から独立する吐出検査装置として使用されてもよい。上記吐出検査装置は、例えば、上述の様々な基板に対して複数の吐出口から液体を吐出する装置において、複数の吐出口からの液体の吐出動作の検査に利用される。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。