JP4249550B2 - 塗布装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出ヘッドを走査方向に移動させながら液滴をワークに対して吐出してパターニングする塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ピエゾや発熱体をアクチュエータとして使用するインクジェット技術により、複数のノズルからインクなどの塗料、試薬などの薬剤といった液滴を吐出するパターニング技術は、印刷、液晶などの映像デバイスの製造、DNAチップを含む半導体の製造など、多種多様な分野で利用され、あるいは利用が検討されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−227172号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
様々な液滴がノズルからワークに対してどのように吐出されるのかをモニタリングすることは重要である。ノズルから吐出された液滴がワークに着弾、付着あるいは滴下された結果はもちろん重要であるが、所望の結果を得るためには、その過程である、ノズルから吐出された液滴の形状や、飛翔軌跡などの飛翔状態をモニタリングして解析することが必要となるケースが多い。液滴の吐出状態または飛翔状態を検査する1つの方法は、ノズルから吐出された液滴の状態を撮影することであり、ノズルから吐出するタイミングと同期して撮影することにより液滴の形状をモニタリングでき、さらに、撮影時間または間隔により液滴の吐出速度などの他のファクタもモニタリングすることができる。
【0005】
特開平11−227172号公報には、インクジェット式プリンタのプリンタヘッドから吐出させたインク滴を、ストロボで時間差を設けて2回撮像し、インク滴の画像の位置からインク滴の滴速を計測する検査装置が開示されている。この検査装置では、プリンタヘッドを、搬送ステージにより、インク滴の画像を撮像するカメラに対して移動させて検査対象のノズルのみを吐出させて個々のノズルの良・不良の検査を行い、プリンタ本体に組み込む前にプリンタヘッド単体の検査を実施可能とすることが記載されている。
【0006】
このように、インク滴の画像を撮像することは公知であるが、従来はノズルの健全性を確認するためだけの装置でしかなく、種々の液体を様々な条件でワークに対して吐出するときの液滴の状態を確認したいという要望に沿ったものは用意されていない。プリンタヘッドの健全性を確認してからプリンタに搭載することにより、プリンタ本体に組み込み済みのプリンタヘッドを交換する工程を省くことを目的としているために、プリンタヘッドをプリンタ本体とは異なる専用の検査装置で検査することが従来は行われている。
【0007】
しかしながら、多種多様な液体をワークに対して飛ばし、その過程およびその結果を得て、様々な製品を研究・開発したり、様々な製品の製造方法を研究・開発しようとした場合、吐出ヘッドの単体の健全性を塗布装置と別に検査することはほとんど意味がなく、逆に、吐出装置に搭載された吐出ヘッドから出力される液滴の状態をモニタリングすることが重要である。まず、このような研究・開発においては、吐出ヘッド自体の良・不良を検査することが目的ではないので、吐出ヘッドを分離して検査する積極的な意味はない。さらに、製造過程における検査と異なり検査のために、装置本体からヘッドを取り外したり、検査後にヘッドを塗布装置に装着する手間が必要となり、研究・開発の遅れに繋がる。また、吐出ヘッドを別体で検査しても、本体に取り付けた条件で同じような吐出および/または飛翔状態が得られるとは限らず、液滴を吐出して得られた結果物に対して液滴の吐出状態がどのように関わっているのかを判断することが難しくなる。
【0008】
したがって、吐出ヘッドを塗布装置に搭載した状態で、吐出ヘッドから吐出された液滴の状態をモニタリングすることが望ましい。塗布装置においては、吐出ヘッドをキャリッジにより走査方向に移動させながらワークに対して液滴を吐出することが一般的である。このため、吐出ヘッドに液滴のモニタリング用の機構を装着しておくことは、吐出ヘッドの構造が複雑になり、その重量が増加すると共に、キャリッジの負荷が増え、走行中の安定性を減ずる要因となる。したがって、製品およびその製造過程の開発・研究には障害となり好ましくない。モニタリング機構を吐出ヘッドのホームポジション、すなわち、吐出ヘッドがワークから外れた位置で定期空吐出(フラッシング)などを行う位置に設けることにより、吐出ヘッドの構造が簡略化され、キャリッジの負荷も減り、さらに、モニタリング機構が塗布装置のハウジングまたはシャーシにより安定して支持されるので撮像性能も上がるなどのメリットが得られる。しかしながら、吐出ヘッドを旋回したときにその角度に追従できないないという大きな問題がある。
【0009】
すなわち、液滴を吐出するプロセスを用いた製品およびその製造方法を開発および研究する過程においては、吐出ヘッドを走査方向に対して旋回させ、走査方向に対する吐出ヘッドの配列を変えて解像度を変えることが行われる。吐出ヘッドには複数のノズルが、直線に、あるいはその他の形状になるように配列されており、その複数のノズルからなるノズル配列の向きを走査方向に対して変えることにより、ヘッド自体を交換しなくても、パターニングの解像度を変更できるからである。
【0010】
しかしながら、モニタリング機構がハウジングに固定された状態で、吐出ヘッドの配列の向きが変更されると、モニタリング機構に対向する複数のノズルの配列状態が変わるので所望のノズルから吐出された液滴をモニタリングできない可能性が発生する。例えば、吐出ヘッドのノズルの配列が走査方向に直交した直線状であるとすると、吐出ヘッドを旋回してノズル配列を走査方向に傾けることにより副走査方向(走査方向と直交する方向)に投影されるノズルの間隔が狭くなり、吐出ヘッドにより吐出される液滴の実質的な解像度が上がる。それと共に、走査方向からカメラを用いて液滴を撮像する場合、ノズルの間隔が狭くなるので、複数のノズルから吐出された液滴を区別することが難しくなり、複数のノズルから同時に液滴が吐出されるようなケースでは、複数の液滴が重なって撮影される可能性ある。したがって、液滴の飛翔状態が解析できなくなる可能性がある。その場合でも、1つ1つのノズルを個別に駆動して出力された液滴のモニタリングは可能かもしれないが、隣接した複数のノズルを同時にまたは短い間隔で駆動したときの液滴の飛翔状態は、実際のアプリケーションにおいて最も着目される条件の1つであり、そのような条件でモニタリングすることが開発および試験用の塗布装置としては最も要望されることである。
【0011】
吐出ヘッドにモニタリング機構を搭載して同時に回転するようにすれば、そのような心配はない。しかしながら、上述したように、吐出ヘッドの構造およびキャリッジに対する負荷などを考慮すると実際には吐出ヘッドにモニタリング機構を搭載することは不可能である。
【0012】
そこで、本発明においては、多種多様な製品の開発・研究・試作などの過程における様々な吐出ヘッドの操作に対して無理なく追従して様々な条件におけるノズルのモニタリングが可能な塗布装置を提供することを目的としている。さらに、吐出ヘッドの構造を複雑にしたり、キャリッジに対する負荷を増加させることなく、簡単な構成で吐出ヘッドからの液滴の飛翔をモニタリングできる塗布装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
インクジェット方式の吐出ヘッドが搭載される場合、液滴を吐出しない期間は、吐出ヘッドは移動機構によりワークから外れたホームポジションに移動し、そこでノズルをキャップにより覆い、液滴の乾燥やごみの付着などによるノズルの目詰まりを防止する必要がある。したがって、吐出ヘッドのノズルをキャップにより覆うキャッピング機構がホームポジションに設置される。このキャップは、ノズルの先端を確実に覆う必要があるので、吐出ヘッドを旋回してノズル配列の向きが変わると、それに対応して、自動または手動によりキャップも旋回可能なようになっている。したがって、ワークへの作業に支障をきたさないホームポジションにモニタリング機構を設置し、キャップに連動してモニタリング機構も旋回させることが可能となる。このため、吐出ヘッドにモニタリング機構を設けなくても、吐出ヘッドが旋回したときに、ノズル配列に対する向きを自動的に常に一定に保つことができるモニタリング機構をホームポジションに設置できる。
【0014】
すなわち、本発明の塗布装置は、液滴を吐出可能な複数のノズルからなるノズル配列を備えた吐出ヘッドと、この吐出ヘッドを走査方向に移動する移動機構と、ノズル配列の向きを走査方向に対して水平方向に旋回可能に吐出ヘッドを移動機構から支持する手段と、ホームポジションで吐出ヘッドの少なくともノズル配列をキャップにより覆うことが可能であり、さらに、ノズル配列の向きにあわせてキャップを旋回可能なキャッピング機構と、キャップと連動して旋回し、複数のノズルの少なくともいずれかから吐出される液滴の状態の画像を取得可能なモニタリング機構とを有する。
【0015】
本発明の塗布装置では、吐出ヘッドのノズルをキャップするために、キャップの向きをノズルの配列の向きに合わせて旋回すると、自動的にモニタリング機構がキャップに連動して旋回する。このため、走査方向に対してノズルの配列の向きを変えても、ノズルの配列に対するモニタリング機構の向きは一定に維持される。したがって、走査方向に対するノズルの配列の向きに影響されずに、ホームポジションに設置されたモニタリング機構によりノズルから吐出された液滴の飛翔状態をモニタリングするための画像を取得できる。このため、ノズルの配列の向きを変えるたびにモニタリング機構の向きを調整する必要がない。あるいは、ノズルの配列に合わせてキャップの向きを変えるだけで、モニタリング機構の向きも自動的に変更できる。
【0016】
したがって、本発明により、吐出ヘッドとは独立した状態で、吐出ヘッドの向きが変わってもそれに影響されずに所望の向きからの液滴の画像を取得できるモニタリング機能を提供できる。本発明により、簡易な機構で、吐出ヘッドの向きに追従して旋回し、吐出ヘッドのノズルから飛翔しているときの液滴の形状、吐出速度、吐出量などの状態を短時間に、容易に、精度良く測定できる塗布装置を提供できる。また、この塗布装置は、吐出ヘッドをマウントした状態で、多種多様な条件で吐出された液滴の飛翔をモニタリングできるので、製品の開発・研究・試作に適した塗布装置である。
【0017】
モニタリング機構は、液滴の飛翔を撮影するための受光部および発光部をキャップと吐出ヘッドとの間にセットする手段を有することが望ましい。キャッピング機構は、ノズルの目詰まりを防止するためにノズルから排出される定期空吐出用の液体を回収する機能を備えている。したがって、モニタリング用の受光部および発光部をキャップと吐出ヘッドの間に設置することにより、ホームポジションにおける定期空吐出用の機器および制御を用いて液滴をモニタリングすることが可能となる。実際にワークに液滴を吐出するのではなく、しかしながら、吐出ヘッドを塗布装置に取り付けたままの状態で、吐出された液滴をクリアにモニタリングできる。このため、ワークを無駄に汚染することなく、塗布装置に吐出ヘッドを取り付けた状態で何度でも液滴の飛翔状態をモニタリングできる。
【0018】
キャッピング機構が、キャップを走査方向に対し水平方向に旋回するように支持する回転台を備えている場合は、モニタリング機構が回転台から立ち上がった支持部を備えることにより、キャップと同期して旋回した角度で、キャップと吐出ヘッドの間に受光部および発光部を配置できる。さらに、支持部からキャップを避けてキャップの両側に達するアームを延ばし、このアームの一方の端に受光部あるいは発光部を配置し、他方の端に発光部あるいは受光部を配置することにより、ノズルの配列に対して上下に動いてキャッピングするキャップとの干渉を避けて、ノズルの配列を挟んで発光部および受光部を配置でき、所望のノズルから吐出される液滴の画像を取得できる。
【0019】
さらに、アームが支持部に対して上下に旋回可能であれば、モニタリングするときはアームを上に旋回して発光部および受光部をキャップと吐出ヘッドの間に配置でき、モニタリングしないときは回転台を必要以上に下げなくてもアームを下に旋回するだけで、ワーク方向に動く吐出ヘッドまたはそのノズルとの干渉を防止できる。さらに、モニタリングしている状態からアームを下方に旋回するだけで干渉を避けられるので、吐出ヘッドと共に移動するガイドを設け、このガイドにより吐出ヘッドがホームポジションからアームの先端に到達する前にアームを旋回して先端側を下方に移動させるようにすることで、モニタリング機構と吐出ヘッドまたはノズルとの干渉を防止できる。例えば、モニタリング機構がモニタリングする位置であるにも関わらず何らかの要因により吐出ヘッドがワーク方向に移動したとしても、その移動によりアームが下方に旋回しモニタリング機構と吐出ヘッドとが干渉するのを確実に防止できる。
【0020】
また、アームの角度によりモニタリング機構が稼動しているか否かの判断も容易にできるので、アームがモニタリングする位置にあるときは吐出ヘッドの移動機構をハードウェアあるいはソフトウェアにより停止し、ホームポジションから動かないようにしても良い。
【0021】
面発光タイプのLEDなどの広角の発光部と、それに対応した部分を撮像できる受光部とを備えたモニタリング機構によれば、吐出ヘッドの複数、さらには、全てのノズルから吐出された液滴を同時に観測できる。一方、指向性の高いLEDなどの発光部と、それに対応した受光部とを備えたモニタリング機構によれば、個々または限られた数のノズルから吐出される液滴を独立してモニタリングすることも可能である。指向性の高いモニタリング機構を採用している塗布装置においては、所望のノズルから吐出される液滴がモニタリングできるように、キャッピング機構の回転台に対して前後左右に移動できるような支持部を採用することが望ましい。
【0022】
吐出ヘッドやキャッピング機構は自動的に同期しながら旋回するようにしておいても良く、手動操作で旋回するようにしておくことも可能である。支持する手段にノズル配列の旋回角度を表示する手段を設け、キャッピング機構にキャップの旋回角度を表示する手段を設けておくことにより、吐出ヘッドおよびキャッピング機構の旋回角度を確認できる。
【0023】
ノズルの先端を吐出ヘッドから少なくとも0.1mm程度下方に突き出しておくことにより、モニタリング機構により撮影する位置をノズルの先端またはノズル面にあわせることが容易になり、ノズルから吐出される直前や吐出された直後などの液滴の状態または形状をモニタリングすることが可能になる。さらに、ガラスなどの透明な部材で形成されたノズルであれば、ノズル内部のメニスカスをモニタリングすることも可能である。
【0024】
また、発光部とノズルの配列との水平方向の距離が300mm以内におさまるように設計しておけば、光の照射範囲を限定でき、受光部における光の受光量を十分に得られやすい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明を説明する。図1に本発明の塗布装置の概略構成を示してある。この塗布装置1は、吐出ヘッド10の複数のノズル5の少なくともいずれかから吐出された液滴の状態を画像によりモニター可能である。塗布装置1はパーソナルコンピュータなどのホスト装置2からUSBやRS232Cなどの通信インターフェイス3を介して制御されると共に、モニタリング用の画像が通信インターフェイス3を介してホスト装置2に送られる。このため、ホスト装置2のディスプレイにより液滴の飛翔状態のオンタイムでモニターしたり、蓄積された画像により複数の液滴の飛翔状態を比較するなど、様々な方法により液滴の状態を観察し、解析できる。
【0026】
この塗布装置1は、液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル配列5を備えた吐出ヘッド10と、この吐出ヘッド10をキャリッジ30に搭載し、ベース(シャーシ)の上に固定された第1のシャフトまたはガイド21に沿ってワーク4の上を走査方向Aに移動するヘッド移動機構11と、ワーク4が戴置される水平移動ステージ12を、ベースに固定された第2のシャフトまたはガイド19に沿って副走査方向B(走査方向Aに直交する方向)に移動する水平移動ステージ移動機構13と、走査方向Aに沿ってワーク4から外れたホームポジションHにおいて吐出ヘッド10をキャップ14により覆うことができるキャッピング機構15と、ホームポジションHにおいて吐出ヘッド10から吐出された液滴の画像を取得するモニタリング機構16とを有している。塗布装置1は、CPU、RAM、ROMなどによって構成されるコントローラ17を有しており、このコントローラ17によりヘッド移動機構11のモータ22、ステージ移動機構13のモータ23を制御し、これらの機構11および13の動作を実現する。さらに、コントローラ17は吐出ヘッド10から液滴を吐出するタイミング、液滴の画像を取得するタイミングなどを含めた塗布装置1の全体を制御する。
【0027】
塗布装置1は、さらに、ヘッド移動機構11のキャリッジ30に対してノズル配列5の向きが走査方向Aに対して水平方向に変わるように吐出ヘッド10を旋回可能に支持するヘッド支持機構31を備えている。このヘッド支持機構31は、モータ26により吐出ヘッド10を旋回して、ノズル配列5が走査方向Aに対して直交する状態から、ノズル配列5を走査方向Aに対して傾けた状態にすることができ、さらには、ノズル配列5を走査方向Aに対してほぼ平行な状態にすることも可能である。ノズル配列5を走査方向Aに対して直交した状態から傾けた状態にすると、ノズルの副走査方向Bの間隔が狭くなる。したがって、副走査方向Bに塗布する液滴の解像度を上げることができる。走査方向Aに塗布する液滴の解像度はヘッド移動機構11の速度とヘッド駆動周波数を変えることで制御できる。
【0028】
キャッピング機構15は、モータ25によりキャップ14を中心に旋回して走査方向Aに対するキャップ14の角度を制御できる回転台51と、モータ24により上下に動いてキャップ14の高さを制御できる垂直移動ステージ52を備えている。キャップ14の走査方向Aに対する角度を決めるモータ25は、コントローラ17によりノズル配列5の走査方向Aに対する角度を決めるモータ26と連動して制御され、走査方向Aに対するノズル配列5の角度とキャップ14の角度とは常に一致するようになっている。したがって、吐出ヘッド10がホームポジションHに移動した後に、モータ24を動作させてキャップ14を上昇し、吐出ヘッド10に近づけると、キャップ14の向きはノズル配列5の向きと一致しているので、ノズル配列5の向きに関わらずキャップ14によりノズル配列5をキャッピングできる。
【0029】
モニタリング機構16は、回転台51から上方に立ち上がった支柱49と、この支柱49により上下に旋回可能に支持されたアーム43とを備えている。このアーム43は、キャップ14を避けるようにキャップ14の両側にわたって延びており、アーム43のワーク4の側の一方の端(先端側)43aには発光部となるLED41が取り付けられ、アーム43の他方の端(基端側)43bには受光部となるCCDなどのカメラ42が取り付けられている。このアーム43はワーク4の側を上げると、ホームポジションHに動いた吐出ヘッド10のノズル配列5を挟んでLED41とカメラ42が水平になるように設計されており、ノズル配列5のノズルから吐出された液滴の画像をカメラ42で取得することができる。アーム43のワーク4の側を下げると、アーム43の先端43aはノズル配列5と干渉しない位置まで下がり、吐出ヘッド10はアーム43あるいはLED41と干渉することなくワーク4の方向に移動できる。本例の塗布装置1においては、アーム43は手動で軽く動かすことにより上下に旋回できるようになっており、後述するように吐出ヘッド10が動いたときの安全機構から軽い負荷がかかると簡単に下に旋回して吐出ヘッド10との干渉を未然に防止できるようになっている。アーム43をモータで駆動して、ホームポジションHに吐出ヘッド10が動いたときに自動的にモニタリング機構16がスタンバイするようにしても良い。
【0030】
さらに、モニタリング機構16の支柱49は、回転台51の上面に沿ってキャップ14の延びた方向、すなわち、ノズル配列5と平行にモータ28によりスライド可能な構造となっている。したがって、モータ28を動かすと走査方向Aに対してノズル配列5が傾いた状態であっても、支柱49はノズル配列5と平行に移動し、アーム43の端に取り付けられたLED41とカメラ42を、ノズル配列5を挟んでノズル配列5と平行な任意の位置にセットすることができる。このため、ノズル配列5の任意のノズルから吐出された液滴の画像をモニタリング機構16により取得できる。
【0031】
コントローラ17は、ノズル配列5から液滴を吐出するための制御信号φ10を吐出ヘッド10に供給し、液滴を吐出するタイミングと同期して液滴が飛翔する状態を撮影するための信号φ11をモニタリング機構16に出力する。モニタリング機構16で撮像された画像データはインターフェイス3を介してホスト装置2に送られ、液滴の飛翔状態や液滴の吐出速度、液滴の形状、吐出量などの解析に利用される。コントローラ17には、液滴の吐出制御信号φ10に同期して撮像する条件をローカルであるいはホスト装置2から設定することができる。設定を変えることにより、制御信号φ10に対して撮像する制御信号φ11を出力するタイミングを適当な時間だけ遅延させたり、撮像する時間的な長さを変えたりすることができる。
【0032】
また、ホスト装置2などから与えられる液滴を吐出するための制御信号が立ち上がりで有効か、立下りで有効か、さらにはそれぞれのタイミングで有効かなどの設定もコントローラ17で可能である。さらに、1回の液滴の吐出を指示する信号が複数のパルスから構成される場合もあるので、これを考慮し、N回のパルスのうち一度のパルスのみを有効としてLED41の発光のトリガとする機能、撮像時間を変更するためにLED41を発光させる点灯時間を設定する機能のほかに、アナログ的にLED41の発光量を調整する機能をコントローラ17に設けておくことも有効である。
【0033】
特定の制御信号にしか対処できないコントローラであると、その制御信号で制御可能なインクジェットヘッドしか利用できず、塗布装置の用途が限定されてしまうが、このような多種多様な制御信号に対して対応できる機能をコントローラ17に設けておくことにより、種々のタイプのインクジェットヘッドを搭載可能であり、それらにより様々な種類のワーク4に対して様々な液体を吹き付け、その塗布状態あるいは条件を確認できる。したがって、製品あるいはその製造方法の開発および研究に適した塗布装置1を提供できる。
【0034】
さらに、LED41を発光させるタイミングを遅延させる時間や発光時間を設定できるので、様々な吐出特性を持つインクジェットヘッドを搭載し、吐出された液滴の飛翔状態を確認することができる。PC等のホスト装置2からのリモート操作に対応しているので各種の設定も容易である。また、液滴の吐出速度を自動的に算出したり、任意の2点の遅延時間を設定することにより、飛翔画面の液滴位置を自動認識し、自動的に液滴の速度を算出するといった追加機能もサポートできる。さらに、ホスト装置2からのリモートで塗布装置1の設定を変更された場合は、それらの設定値(遅延時間、LED発光時間、LED発光量など)を新たなデフォルト値として、コントローラ17のRAMやフラッシュメモリなどに記録され、以降の液滴の画像の取得はそれらの設定値により同一の条件で撮像することが可能である。
【0035】
図2に塗布装置1の正面図を示してあり、この図を参照して、塗布装置1をさらに具体的な構成について説明する。塗布装置1は、ベース55の上にヘッド移動機構11、水平移動ステージ移動機構13、キャッピング機構15が搭載されている。ヘッド移動機構11は、第1のガイド21をスライドするキャリッジ30を備えている。キャリッジ30はノズル配列5を備えた吐出ヘッド10を取り付けた状態で旋回可能なヘッド支持機構31を備えている。キャリッジ30は、ノズル配列5の中心を第1のガイド21と平行に走査方向Aに移動することができ、ヘッド支持機構31は、ノズル配列5の中心を中心軸C1として吐出ヘッド10を水平方向に旋回可能である。したがって、吐出ヘッド10を走査方向Aに対して旋回させることにより、複数のノズルからなるノズル配列5を走査方向Aに対して傾けて解像度を制御できる。
【0036】
モニタリング機構16は、キャッピング機構15に搭載され、キャップ14と共に水平方向に旋回する。このため、本例のモニタリング機構16は、キャップ14を水平方向に旋回し、ノズル配列5と同期して走査方向Aに対する傾きを変えることができる回転台51からほぼ垂直に上方に立ち上がった支持柱49を備えており、この支持柱49はキャップ14の長手方向、すなわちノズル配列5の延びた方向に移動し、ノズル配列5の任意のノズルに位置合わせできるようになっている。さらに、支持柱49に、吐出ヘッド10の方向、すなわち、ワーク4が戴置されるステージ12に向かってキャップ14の長手方向と直交するように延びたアーム43が上下に旋回可能に取り付けられている。アーム43はキャップ14の両側にわたって延び、一方の端43aにLED41が取り付けられ、他方の端43bにカメラ42が取り付けられている。したがって、吐出ヘッド10がホームポジションHに移動して、ノズル配列5がキャップ14に対向する位置に設置されると、LED41とカメラ42によりノズル配列5のノズルから吐出された液滴を撮影することができる。
【0037】
したがって、モータ25により、吐出ヘッド10の旋回角度に同期させて回転台51を旋回させると、ノズル配列5をカバーするキャップ14およびノズル配列5のノズルから吐出される液滴を撮像するためのアーム43は吐出ヘッド10と同じ角度だけ旋回する。したがって、キャップ14の角度をノズル配列5の角度に合わせて制御する機構によりモニタリング機構16が連動して動き、その角度調整が行われ、モニタリング機構16の角度調整を行う機構を独立して設ける必要がない。さらに、本例の塗布装置1では、キャップ14を回転する回転台51にモニタリング機構16が搭載されているので、キャップ14の回転運動をモニタリング機構16に伝達する輪列などの機構は不要であり、簡易な構成で装置全体をコンパクトに纏めることができる。
【0038】
吐出ヘッド10の支持機構31、キャッピング機構の回転台51、モニタリング機構16の支持柱49はそれぞれモータ26、25および28によりコントローラ17から制御されるようにしているが、手動操作するようにしても良い。この場合、吐出ヘッド10の支持機構31の旋回角度と、キャッピング機構の回転台51の旋回角度とが同一になるように角度を表示する手段や、旋回角度が同一でない場合はキャップ14がノズル配列5と干渉しないような安全機構を設けることが望ましい。手動でキャッピング機構の回転台51の角度を制御する場合であっても、モニタリング機構16を回転台51に搭載しておくことにより、いったんキャップ14の角度が決まれば、モニタリング機構16のノズル配列5に対する角度は自動的に決まるので個別にモニタリング機構16の角度を調整する必要はない。多くのケースでは、ノズルからの吐出状態をモニタリングする前にノズル配列5をいったんキャッピングするので、ノズル配列5をキャップ14でカバーすることによりモニタリング機構16の角度が自動的に、精度良く決定される。図1に示したように、回転台51の旋回角度の表示51aと、ヘッド支持機構31の旋回角度の表示31aを設けておくことにより、キャップ14の向きとノズル配列5の向きをそれぞれの表示51aおよび31aから容易に確認できる。
【0039】
図3に吐出ヘッド10の旋回に同期してキャップ14およびモニタリング機構16が旋回する様子を示してある。図3(a)はノズル配列5が走査方向Aに対して直交し、副走査方向Bにおけるノズル5aの間隔が最も広く、最も解像度が低い条件で液滴をワークに塗布できる状態を示してある。これに対し、図3(b)は吐出ヘッド10を旋回してノズル配列5を走査方向Aに対して傾けて、副走査方向Bにおけるノズル5aの間隔を縮め、解像度が高い条件で液滴をワークに塗布できる状態を示してある。なお、図3においては、吐出ヘッド10については上方から透かして見た状態を示してあり、吐出ヘッド10に関連する部分は破線で示している。
【0040】
モニタリング機構16のアーム43は、基端43bが支持柱49に対して上下に旋回可能なように支持されており、キャップ14およびノズル配列5の脇を通ってそれらの両側に、キャップ14およびノズル配列5に直交するように延びている。アーム43の先端43aは、キャップ14およびノズル配列5の長手方向に沿うようにアーム43の本体からほぼ直角に曲がって延びており、先端43aにはLED41がノズル配列5に対向するように取り付けられている。アーム43の他方の端となる基端側43bもキャップ14およびノズル配列5の長手方向に沿うようにアーム43と直交する方向に延びており、その端43bにカメラ42がノズル配列5を挟んでLED41と対向するように配置されている。
【0041】
本例のモニタリング機構16においては、アーム43の基端側43bとなるカメラ42は支持柱49からノズル配列5と平行な方向に延びた部材43cにより支持されており、アーム43はLED41のみを上下に旋回できるように支持している。そして、アーム43が水平な位置に旋回するとLED41はノズル配列5を挟んでカメラ42と対向する。したがって、LED41がカメラ42と水平となるようにアーム43を旋回した位置がモニタリング位置であり、吐出ヘッド10から吐出された液滴の画像が、LED41の発光するタイミングでカメラ42により撮影される。一方、アーム43が下方に旋回すると、LED41はノズル配列5から下方に移動し、吐出ヘッド10が走査方向Aに動いたときにノズル配列5と干渉しないようになっている。
【0042】
キャップ14およびモニタリング機構16が搭載された回転台51は、キャップ14の中心を中心軸C2として旋回する。したがって、図3(b)に示すように、吐出ヘッド10が旋回してノズル配列5が走査方向Aに対して傾いた状態であっても、回転台51が中心軸C2を中心に吐出ヘッド10と同じ角度だけ旋回することにより、キャップ14およびモニタリング機構16の傾きはノズル配列5の傾きと一致する。このため、ノズル配列5、キャップ14およびモニタリング機構16の相対的な位置関係は図3(a)と同じになり、図3(a)と同じ条件でキャッピングでき、また、ノズル5aから吐出された液滴を撮影することができる。
【0043】
図4〜図7にはモニタリング機構16において、アーム43を上下に旋回してモニタリングする様子を示してある。図4は、吐出ヘッド10が水平移動ステージ12に設置されたワーク4の上を走査方向Aに移動しながら液滴を吐出してパターニングしているときの状態を示している。図5は、吐出ヘッド10が、水平移動ステージ12から外れたホームポジションHに移動し、ノズル配列5がキャップ14によりキャッピングされたときの状態を示している。図6は、ホームポジションHにおいて、キャップ14に向って定期空吐出し、そのときにノズル配列5から吐出される液滴をモニタリング機構16により撮像するときの状態を示している。図7は、アーム43がモニタリング位置にあるときに、吐出ヘッド10が走査方向Aに移動したときに、アーム43が自動的に下方に回転してLED41を退避できる様子を示している。
【0044】
図4に示すように、吐出ヘッド10が水平移動ステージ12の上を往復動しているパターニング中は、キャッピング機構15の垂直移動ステージ52が下がっており、さらに、アーム43の先端43aが下方に旋回した状態にセットされている。アーム43の先端43aが下方に旋回した状態では、先端43aに取り付けられたLED41は、キャップ14より下方にある。したがって、吐出ヘッド10が往復動する範囲にはヘッド10あるいはノズル配列5と干渉する物がなく、さらに、吐出ヘッド10を、支障なくホームポジションHまで移動できる。
【0045】
ホームポジションHにおいては、図5に示すように、垂直移動ステージ52を上昇させることにより、キャップ14を上げてノズル配列5をキャップ14により覆い、ノズル5aの乾燥を防いだり、ごみが付着するのを防ぐことができる。キャッピングに先立って、ノズル配列5からキャップ14に液滴を定期空吐出しても良い。キャッピングするときも、アーム43の先端43aはキャップ14より低い位置にある。また、アーム43はキャップ14を避けてキャップ14と直交する方向に延び、先端43aをコ字型あるいはL字型に曲げてLED41を取り付けている。したがって、アーム43およびLED41はキャッピングする際の障害にならない。
【0046】
ノズル配列5のノズル5aから吐出される液滴をモニタリングする場合は、図6に示すように、キャップ14を若干下げてノズル配列5とキャップ14との間に隙間Gが開くようにする。モニタリング機構16においては、アーム43の先端43aを上方に旋回してLED41を隙間Gに面した高さにセットする。アーム43の他方の端43bに配置されたカメラ42は隙間Gに面した高さに予めセットされているので、アーム43を上方に旋回するだけで、LED41とカメラ42がノズル配列5を挟んで向かい合うように配置できる。したがって、LED41を点灯することにより、ノズル5から吐出された液滴の画像をカメラ42で取得し、ホスト装置2で見ることができる。キャップ14とノズル配列5との隙間Gは広いほうが液滴を撮像できる範囲が広がる。しかしながら、ギャップGは、パターニング中のノズル配列5とワーク4との距離以上に離す必要はない。また、その程度のギャップGがあっても、キャップ14は、ノズル配列5から吐出された液滴を確実に捉えて排出できる。
【0047】
モニタリング機構16により撮像する間のモニタリング機構16以外の塗布装置1の動作はホームポジションHにおける定期空吐出動作と基本的に変わりはない。すなわち、本例の塗布装置1においては、モニタリング機構16を、キャッピング機構15に搭載することにより、ホームポジションHにおける定期空吐出中の液滴の動向および状態を画像により確認することが可能となる。したがって、液滴の飛翔状態を確認するために吐出ヘッド10を塗布装置1から取り外す必要はなく、ワーク4に対して液滴を吐出するのと同じ環境で、液滴の飛翔状態を確認できる。このため、時間と手間をかけずに、より現実のパターニングする条件に近い状態で液滴を観測できるので、より精度の高い、有用な情報が得られる。その一方で、液滴の状態を撮像するために定期空吐出すれば良いので、そのためにワーク4を無駄に浪費することもない。したがって、低コストで、十分な量の情報を得ることができる。また、ホームポジションHに通常用意される定期空吐出用の機構を用いて撮像用の液滴を処理できるというメリットもあり、その点でも低コストでコンパクトなアレンジの中に液滴をモニタリングする機構を組み込むことができている。
【0048】
また、上記で説明したように、ノズル配列5の向きを変えても、ホームポジションHにおけるモニタリング機構16との相対的な位置関係は変わらないので、所望のノズルから吐出された液滴の情報を容易に得ることができる。したがって、吐出ヘッド10に研究開発用のモニタリング機構を搭載する必要はなく、吐出ヘッド10の構造や、ヘッド移動機構11などの構造が簡略化できる。さらに、吐出ヘッド10に研究開発用のモニタリング機構を搭載する必要がないので、実用に供する、あるいは実用に近い状態の吐出ヘッド10のノズルから吐出される液滴の状態をモニタリングすることができるというメリットもある。
【0049】
LED41としては、指向性の高い素子を採用することによりインクジェットヘッド(吐出ヘッド)10のノズル列5を構成する複数のノズル5aのうちから、所望の1または複数のノズルから吐出された液滴の状態を選択して観測できる。また、LED41を交換可能とし、拡散板つきの面発光(面放射)タイプのLEDに交換することによりノズル配列5を構成する複数のノズル5aの全てから吐出された液滴の状態を同時に観測することも可能である。そして、本例の塗布装置1では、モニタリング装置16とノズル配列5の相対的な位置関係は維持されるので、ノズル配列5を回転しても、ノズル同士が重なることなく、各ノズルから吐出される液滴のクリアな画像を得ることができる。さらに、ノズル配列5を複数のブロックに分割して、ブロック単位で液滴の状態を観測するようにしても良い。
【0050】
指向性の高いLEDを使用して液滴を観測する場合や、ブロック単位で液滴を観測する場合は、図8に示すように、支持柱49がキャップ14の長手方向、すなわち、ノズル配列5の長手方向Yに移動できるようになっているので、支持柱49をY方向に移動することにより、所望のノズル5aをLED41とカメラ42で挟み、液滴を撮影できる。また、カメラ42はマイクロメータ48により、Y方向に直交するX方向に微小距離を移動できるようになっており、取得する画像の焦点距離を微調整できる。また、支持柱49のY方向の位置もマイクロメータ47により微調整できる。
【0051】
図6および図7に示すように、ヘッドの支持機構31には下方に突き出たガイド35が取り付けてあり、アーム43に、このガイド35に当たるとアーム43を下方に旋回させる受動部46が設けられている。図6に示すように、吐出ヘッド10がホームポジションHにあるときは、ガイド35は、受動部46に対して外側、すなわち、受動部46を挟んで水平移動ステージ12と反対側に位置している。したがって、吐出ヘッド10がホームポジションHから水平移動ステージ12の方向に動くと、ガイド35が受動部46に当たり、アーム43の先端43aを下方に旋回する。その結果、LED41は少なくともノズル列5と干渉しない位置まで下がり、吐出ヘッド10あるいはノズル配列5とLED41と干渉するのが防止できる。このため、本例の塗布装置1においては、ホームポジションHにおいてモニタリング機構16により液滴の撮像が終了した後にアーム43の角度をモニタリング位置にしておいても支障はなく、吐出ヘッド10はいつでも安全に水平移動ステージ12に移動してパターニングを開始できる。液滴の撮像中に吐出ヘッド10が動き出してしまうようなことがあっても、同様にモニタリング機構16との干渉は未然に防止されるので安全である。
【0052】
液滴の画像を取得中は、吐出ヘッド10を動かさないといった制御を行うことも可能である。本例のモニタリング機構16においては、撮影中はアーム43が上に回転している。したがって、アーム43が下方の位置にあるときのみヘッド移動機構11のモータ22に通電するようなインターロックを採用して、吐出ヘッド10の移動を制限できる。図9にその一例を示してある。この例では、アーム43の先端43aが下に旋回してLED41が退避位置に移動した状態を検出するセンサ60を設け、このセンサ60からの信号によりパターニングを開始できるというメッセージ64をホスト装置2あるいは塗布装置1のローカルパネルに送る。それと共に、センサ60からの信号によりANDゲート61を開けてモータ22のドライバ回路62に駆動信号を供給可能とし、ヘッド移動機構11をアクティブにする。このようなインターロック65をコントローラ17に搭載することができる。
【0053】
図4に示したように、吐出ヘッド10のノズルの配列5が形成されたノズル先端5bを、吐出ヘッド10から少なくとも0.1mm程度下方に吐出させておくことが望ましい。ノズル先端またはノズル面5bと吐出ヘッド10との距離L1を少なくとも0.1mm程度離した設計であれば、カメラ42による撮影位置をノズル先端5bにあわせ易く、ノズルから液滴が吐出される時点または吐出直後の形状や状態をカメラ42により確実に撮影できる。また、ガラスなどの透明部材でノズル5を形成しておくことにより、ノズル内部のメニスカスの状態も撮影でき、様々な液滴の状態をモニタリングできる。
【0054】
また、図6に示したように、モニター時においては、ノズル配列5とLED41との水平方向Aの距離L2が300mm以内におさまるようにしておけば、LED41から出力された光のカメラ42における照射範囲を限定でき、カメラ42で十分な光量を得ることが可能である。本例の塗布装置1におけるLED41とカメラ42との距離L3は、110〜150mm程度である。
【0055】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の塗布装置においては、吐出ヘッドのノズル配列の向きと同期して向きを変えるキャップを備えたキャッピング機構に、ノズルから吐出される液滴を撮影するモニタリング機能を搭載している。したがって、モニタリング機構をホームポジションに設置できると共に、ノズル配列の向きを変えても、ホームポジションにおけるノズル配列とモニタリング機能との相対的な位置関係が変わらない構成にすることができる。このため、吐出ヘッドを搭載した状態で、ノズル配列の向きを変えても、所望の向きから常にノズルから吐出される液滴の画像を取得することができ、パターニングの解像度、液体などの条件を様々に変えながらパターニングを行い、新製品や、その製造方法を試験・研究および開発するのに適した塗布装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗布装置の概略を示す図である。
【図2】塗布装置の正面図である。
【図3】吐出ヘッド、キャップおよびモニタリング機構の向きを示す図であり、図3(a)はノズル配列が走査方向Aに対して直交した状態を示し、図3(b)はノズル配列が走査方向Aに対して傾いた状態を示す。
【図4】吐出ヘッドがパターニング中の様子を示す図である。
【図5】吐出ヘッドがホームポジションに移動し、ノズル配列がキャッピングされた状態を示す図である。
【図6】ホームポジションにおいて、ノズルから吐出された液滴をモニタリングする様子を示す図である。
【図7】ホームポジションから吐出ヘッドがパターニングする方向に移動したときの様子を示す図である。
【図8】モニターする位置を微調整する様子を示す図である。
【図9】モニタリング中に吐出ヘッドの移動を禁止するインターロックの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 塗布装置
5 ノズル
10 吐出ヘッド
11 ヘッド移動機構
14 キャップ
15 キャッピング機構
16 モニタリング機構
17 コントロール装置
41 LED
42 カメラ
43 アーム
Claims (10)
- 液滴を吐出可能な複数のノズルからなるノズル配列を備えた吐出ヘッドと、
この吐出ヘッドを走査方向に移動する移動機構と、
前記ノズル配列の向きを前記走査方向に対して水平方向に旋回可能に前記吐出ヘッドを前記移動機構から支持する手段と、
ホームポジションで前記吐出ヘッドの少なくとも前記ノズル配列をキャップにより覆うことが可能であり、さらに、前記ノズル配列の向きにあわせて前記キャップを旋回可能なキャッピング機構と、
前記キャップと連動して旋回し、前記複数のノズルの少なくともいずれかから吐出される液滴の状態の画像を取得可能なモニタリング機構とを有する塗布装置。 - 請求項1において、前記モニタリング機構は前記キャップと前記吐出ヘッドとの間に受光部および発光部をセットする手段を有する塗布装置。
- 請求項1において、前記キャッピング機構は、前記キャップを走査方向に対して水平方向に旋回可能に支持する回転台を備えており、
前記モニタリング機構は、前記回転台から立ち上がった支持部と、
前記支持部に支持され、前記キャップを避けて前記キャップの両側に延びたアームとを備えており、このアームの一方の端に受光部あるいは発光部が配置され、他方の端に発光部あるいは受光部が配置されている塗布装置。 - 請求項3において、前記アームは前記支持部に対して上下に旋回する塗布装置。
- 請求項4において、前記吐出ヘッドと共に移動するガイドを有し、このガイドは前記吐出ヘッドが前記ホームポジションから前記アームの先端に到達する前に前記アームを旋回して先端側を下方に移動させる塗布装置。
- 請求項4において、前記アームがモニタリングする位置にあるときは前記移動機構を停止する手段を有する塗布装置。
- 請求項3において、前記支持部は前記回転台に対し前後左右に移動する塗布装置。
- 請求項1において、前記支持する手段は前記ノズル配列の旋回角度を表示する手段を備え、前記キャッピング機構は前記キャップの旋回角度を表示する手段を備えている塗布装置。
- 請求項2において、前記発光部と前記ノズル配列との水平方向の距離が300mm以内である塗布装置。
- 請求項1において、前記ノズルの先端が前記吐出ヘッドから少なくとも0.1mm程度下方に突き出ている塗布装置。
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