JP2023045854A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルから基板に柱状に供給される液体が透明であっても、良好なS/N比で液柱を検出することを可能にする。【解決手段】本発明に係る基板処理装置は、基板を略水平に保持する基板保持部と、基板保持部に保持される基板の上面に対向する処理位置に配置され、基板に向けて液体を柱状に吐出するノズルと、液体によりノズルと基板との間に形成される液柱に向けて照明光を出射する照明部と、処理位置のノズルを挟んで照明部とは反対側に設けられて液柱からの光を受光する受光部とを備えている。照明部は、収束点を液柱に含ませるように収束させた収束光、または、照明光の入射方向に垂直な幅方向において液柱の幅よりもビーム幅の大きい平行光を、照明光として出射し、受光部は、照明部から出射され液柱が形成される位置を通過した照明光の光線束が入射しない位置に設けられる。【選択図】図4
Description
この発明は、半導体ウエハ等の基板を液体により処理する基板処理技術に関するものであり、特に基板上に配置されたノズルから基板に向けて吐出される液体の液柱を光学的に検出する技術に関するものである。
水平姿勢に保持された基板の上面に液体を供給して基板を処理する基板処理技術においては、基板に向けて液体を吐出するノズルが適正な位置に配置されているか、あるいはノズルから液体が適切なタイミングで吐出されているか等を確認する目的で、ノズルやノズルから吐出される液体を光学的に検出する技術が用いられることがある。例えば特許文献1に記載の基板処理装置においては、ノズルと基板との間の液体が流下する空間を撮像視野に収めたカメラにより、柱状に流下する液体が撮像される、そして、液体により形成される液柱が画像から検出され、その幅および吐出位置が予め定められた基準値と比較されて、吐出状態の適否が判定される。
特許文献1に記載の技術においては、液柱を撮像するカメラと照明部とが揺動アーム上に近接して配置され、一体的に移動する構成となっている。そして、これらが液体を吐出するノズルの近傍に位置決めされた状態で、液柱に入射する照明光の反射光をカメラが受光する。
ノズルから吐出される液体は一般的に透明なものが多く、液柱に入射する照明光のほとんどは液柱を透過してしまう。このため、カメラに入射する反射光の光量が十分であるとは言えず、画像における液柱のコントラストは高くない。例えば、画像コントラストを数値化した指標であるマイケルソンコントラスト値については、一般に画像計測で必要な下限値とされる0.2を僅かに上回る程度の値しか確保できていないのが現状である。
コントラストを高めるための方法としては例えば長時間露光や検出系のゲイン増加等が考えられるが、これらの方法は液柱以外からの受光光量も増大させることになるため、画像の明るさが飽和し、液柱以外の物体、例えばノズルの撮像には適さなくなってしまう。また、ノイズの増加によって、後の画像処理に支障を来すこともあり得る。
このように、ノズルから吐出される液体を光学的に検出するのに際して、良好なS/N比(Signal to Noise ratio)を得ることは容易でない。特に、照明部および撮像部が基板よりも外側に設けられるケースのように照明部と液柱との距離が大きくなる場合や、液体を吐出する時のノズルと基板との間隔が小さい場合には、液柱に十分な光量の照明光を入射させることがさらに難しくなるため、上記の問題が顕著である。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ノズルから基板に柱状に供給される液体が透明であっても、良好なS/N比で液柱を検出することを可能にする技術を提供することを目的とする。
この発明に係る基板処理装置は、基板を略水平に保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持される前記基板の上面に対向する処理位置に配置され、前記基板に向けて液体を柱状に吐出するノズルと、前記液体により前記ノズルと前記基板との間に形成される液柱に向けて照明光を出射する照明部と、前記処理位置の前記ノズルを挟んで前記照明部とは反対側に設けられて前記液柱からの光を受光する受光部とを備えている。
この発明の一の態様では、前記照明部は、収束点を前記液柱に含ませるように収束させた収束光を前記照明光として出射する。また、この発明の他の一の態様では、前記照明部は、前記照明光の入射方向に垂直な幅方向において前記液柱の幅よりもビーム幅の大きい平行光を前記照明光として出射する。そして、これらの態様において、前記受光部は、前記照明部から出射され前記液柱が形成される位置を通過した前記照明光の光線束が入射しない位置に設けられる。
また、この発明に係る基板処理方法の一の態様は、略水平に保持される基板の上面に対向する処理位置に配置されたノズルから、前記基板に向けて液体を柱状に吐出する工程と、前記液体により前記ノズルと前記基板との間に形成される液柱に向けて照明部から照明光を出射するとともに、前記処理位置の前記ノズルを挟んで前記照明部とは反対側に設けられた受光部で前記液柱からの光を受光する工程とを備える。ここで、前記照明部は、収束点を前記液柱に含ませるように収束させた収束光、または、前記照明光の入射方向に垂直な幅方向において前記液柱の幅よりもビーム幅の大きい平行光を、前記照明光として出射する。そして、前記受光部は、前記照明部から出射され前記液柱が形成される位置を通過した前記照明光の光線束が入射しない位置に設けられる。
このように構成された発明では、照明部から出射される照明光の光線束が入射しない位置に受光部が配置される。そのため、ノズルから液体が吐出されず液柱が形成されない状態では、照明光は受光部に受光されない。一方、ノズルから液体が連続的に吐出されると、ノズルと基板との間に液体による液柱が形成される。このとき、照明光は液柱による屈折および反射により種々の方向に曲げられ、少なくともその一部が受光部に到達して受光される。
このように、本発明では、ノズルと基板との間に液柱が存在するときには、液柱による照明光の屈折光が受光部に到達する。そのため、透明な液柱の表面からの反射光を受光する構成に比べて受光光量を大きくすることができ、S/N比の向上を図ることができる。また、照明光が直接受光部に入射しないので、液柱からの光が照明光によりマスキングされてしまうことが回避される。このこともS/N比の向上に寄与する。さらに、液柱が形成されている場合とそうでない場合との間における受光光量の差が大きくなることで、例えば受光光量に基づく液柱の有無の検出を容易にすることができる。
以上のように、この発明によれば、照明光が受光部に直接入射せず、ノズルと基板との間に液柱が形成されているときの屈折光が受光部に受光されるように構成されているので、液体が透明であっても、良好なS/N比で液柱を検出することが可能になる。
以下、本発明を適用可能な基板処理装置の概要について説明する。以下において、基板とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板をいう。以下では主として半導体基板の処理に用いられる基板処理システムを例に採って図面を参照して説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも本発明を適用可能である。
図1は本発明の一実施形態である基板処理システムの概略構成を示す図である。より詳しくは、図1は本発明を好適に適用可能な基板処理装置を含む基板処理システムの一態様の平面図である。この基板処理装置1は、それぞれが互いに独立して基板に対し所定の処理を実行可能な基板処理ユニット1A、1B、1C、1Dと、これらの基板処理ユニット1A~1Dと外部との間で基板の受け渡しを行うためのインデクサロボット(図示省略)が配置されたインデクサ部1Eと、システム全体の動作を制御する制御部80とを備えている。なお、基板処理ユニットの配設数は任意であり、またこのように水平方向配置された4つの基板処理ユニットを1段分として、これが上下方向に複数段積み重ねられた構成であってもよい。
基板処理ユニット1A~1Dは、基板処理装置1における配設位置に応じて各部のレイアウトが一部異なっているものの、各ユニットが備える構成部品およびその動作は互いに同一である。そこで、以下ではこれらのうち1つの基板処理ユニット1Aについてその構成および動作を説明し、他の基板処理ユニット1B~1Dについては詳しい説明を省略する。
図2は一の基板処理ユニットの構造を示す平面図である。基板処理ユニット1Aは、半導体ウエハ等の円盤状の基板Sに対して処理液による洗浄やエッチング処理などの湿式処理を施すための枚葉式の湿式処理ユニットである。この基板処理ユニット1Aは、天井部分にファンフィルタユニット(FFU)が配設されたチャンバ90を備えている。
チャンバ90内部の処理空間SPには基板保持部10が設けられている。この基板保持部10は、基板表面を上方に向けた状態で基板Sを略水平姿勢に保持して回転させるものである。この基板保持部10は、基板Sよりも若干大きな外径を有する円盤状のスピンベース11と、略鉛直方向に延びる回転支軸(図示省略)とが一体的に結合されたスピンチャックを有している。回転支軸はモータ等の回転機構に連結されており、制御部80からの駆動によりスピンベース11が回転軸(鉛直軸)回りに回転可能となっている。
スピンベース11の周縁部付近には、基板Sの周端部を把持するための複数個のチャックピン114が立設されている。チャックピン114は、円形の基板Sを確実に保持するために3つ以上設けてあればよく(この例では6つ)、スピンベース11の周縁部に沿って等角度間隔で配置されている。チャックピン114のそれぞれは、基板Sの外周端面を押圧する押圧状態と、基板Sの外周端面から離れる解放状態との間を切り替え可能に構成されている。
スピンベース11に水平姿勢で保持されている基板Sの周囲を包囲するように、スプラッシュガード20がスピンベース11の回転軸に沿って昇降自在に設けられている。このスプラッシュガード20は回転軸に対して略回転対称な形状を有しており、スピンベース11と同心円状に配置されて基板Sから飛散する処理液を受け止める。そして、制御部80に設けられた図示しないガード昇降機構がスプラッシュガード20を昇降させる。スプラッシュガード20の上端が基板Sの上面よりも上方に位置する上部位置では、回転する基板Sから飛散する薬液やリンス液などの処理液を回収することが可能となる。また、スプラッシュガード20の上端が基板Sの上面よりも下方に位置する下部位置では、基板Sが露出した状態となり、必要に応じ外部からチャンバ90内に進入する外部搬送ロボットのハンドによる基板Sの搬出が可能となる。
スプラッシュガード20の周囲には、エッチング液等の薬液、リンス液、溶剤、純水、DIW(脱イオン水)など各種の処理流体を基板Sに供給するための流体供給部が少なくとも1つ設けられる。この例では、図2に示すように、3組の流体供給部30,40,50が設けられている。流体供給部30は、制御部80により駆動制御されて鉛直軸回りに回動可能に構成された回動軸31と、該回動軸31から水平方向に延設されたアーム32と、アーム32の先端に下向きに取り付けられたノズル33とを備えている。制御部80からの制御指令に応じて回動軸31が回動することで、アーム32が鉛直軸回りに揺動し、これによりノズル33は、スプラッシュガード20よりも外側の退避位置と基板Sの回転中心の上方位置との間を移動する。ノズル33は、基板Sの上方に位置決めされた状態で、制御部80の流体供給源(図示省略)から供給される所定の処理流体を吐出し、基板Sの表面に供給する。
同様に、流体供給部40は、制御部80からの制御指令に応じて回動する回動軸41と、これに連結されたアーム42と、アーム42の先端に設けられて処理流体を吐出するノズル43とを備えている。また、流体部50は、制御部80からの制御指令に応じて回動する回動軸51と、これに連結されたアーム52と、アーム52の先端に設けられ処理流体を吐出するノズル53~55とを備えている。すなわち、流体供給部50のアーム52には、3つのノズル53,54,55が並べて設けられている。また、アーム53には補助照明部6が設けられている。補助照明部6については後に詳しく説明する。
なお、流体供給部の数は上記に限定されず、必要に応じて増減されてもよい。また、各流体供給部の構成も上記に限定されず任意である。また、制御部80の流体供給源から上記の各ノズルに供給される処理流体の種類も任意であり、上記した処理液の他、例えば窒素ガスや乾燥空気等の気体が用いられてもよい。また、複数のノズルが互いに異なる処理流体を吐出してもよく、同種の処理流体を吐出してもよい。
なお、図2における二点鎖線は各ノズル33,43,53の移動軌跡を示す。これからわかるように、各アーム32,42,52の揺動により、各ノズル33,43,53~55は、退避位置から基板Sの回転中心を超えて、退避位置から遠い側の基板S周縁部まで到達する水平面上の円弧に沿って移動する。各ノズルからの処理液の吐出は、ノズルが基板Sの上方に位置決め固定された状態、基板Sの上方を移動する状態のいずれにおいても可能である。これにより様々な湿式処理が実現可能となっている。
スピンベース11の回転により基板Sが所定の回転速度で回転した状態で、これらの流体供給部30,40,50がノズル33,43,53を順次基板Sの上方に位置させて処理液を基板Sに供給することにより、基板Sに対する処理が実行される。処理の目的に応じて、各ノズル33,43,53からは互いに異なる処理流体が吐出されてもよく、同じ処理流体が吐出されてもよい。また、1つのノズルから2種類以上の処理流体が吐出されてもよい。基板Sの回転中心付近に供給された処理流体は、基板Sの回転に伴う遠心力により外側へ広がり、最終的には基板Sの周縁部から側方へ振り切られる。基板Sから飛散した液体はスプラッシュガード20によって受け止められ回収される。
さらに、基板処理ユニット1Aには、処理空間SP内を照明する照明部71と、チャンバ内を撮像するカメラ72とが隣接して設けられている。照明部71は例えばLEDランプを光源とするものであり、カメラ72による撮像を可能とするために必要な照明光を処理空間SP内に供給する。カメラ72は鉛直方向において基板Sよりも高い位置に設けられており、その撮像方向(すなわち撮像光学系の光軸方向)は、基板Sの上面を撮像するべく、基板S表面の略回転中心に向かって斜め下向きに設定されている。これにより、カメラ72はスピンベース11により保持された基板Sの表面全体をその視野に包含する。水平方向には、図2において破線で挟まれた範囲がカメラ72の視野に含まれる。
なお、照明部71およびカメラ72は、チャンバ90内に設けられてもよく、またチャンバ90の外側に設けられて、チャンバ90に設けられた透明窓を介して基板Sに対し照明または撮像を行うように構成されてもよい。処理液の付着や処理雰囲気への暴露を防止するという観点からは、これらはチャンバ90の外部に設けられることが好ましい。
カメラ72により取得された画像データは制御部80に与えられる。制御部80は、画像データに対し、適宜の画像処理、例えば補正処理やパターンマッチング処理などの処理を施し、その結果に基づき、ノズルの位置や処理流体の吐出状況などを検出する。例えば後述するように、制御部80は、カメラ72により取得された画像データに基づき、流体供給部50のノズル53~55からの処理液の吐出状態を判定することができる。
この基板処理装置1の制御部80には、上記した各処理を実行するために、予め定められた処理プログラムを実行して各部の動作を制御するCPU、CPUにより実行される処理プログラムや処理中に生成されるデータ等を記憶保存するためのメモリ、処理の進行状況や異常の発生などを必要に応じてユーザーに報知するための表示部等が設けられている。なお、制御部80は各基板処理ユニット1A~1Dごとに個別に設けられてもよく、また基板処理装置1に1組だけ設けられて各基板処理ユニット1A~1Dを統括的に制御するように構成されてもよい。
上記のように構成された基板処理ユニット1Aにおいて、少なくとも流体供給部50は、基板Sのベベル処理に使用される。すなわち、流体供給部50は、基板Sの周縁部に設けられた傾斜面を含むベベル部に処理液を供給して当該部分を処理する。この目的のため、流体供給部50は、ノズル53~55を基板Sの周縁部の上方に位置させた状態で処理液を吐出させる。
図3はベベル処理における各部の配置を示す図である。このうち図3(a)は、ベベル処理実行時の基板S、流体供給部50、照明部71およびカメラ72の位置関係を示す平面図である。また、図3(b)は図3(a)のA-A線断面に相当する側面図であり、図3(c)はその部分拡大図である。ベベル処理が実行されるとき、流体供給部50は、ノズル53~55がそれぞれ基板Sの周縁部の上方に位置するように、アーム52を回動位置決めする。このときの各ノズル53~55の位置を、以下では「処理位置」と称する。
ノズル53~55のそれぞれは、処理位置に位置決めされた状態で、予め定められた処理レシピに従い適宜のタイミングで処理液を吐出する。これにより、基板Sのベベル部Bが処理される。例えば、ベベル部Bに形成された金属膜のエッチング除去処理やレジスト膜の除去処理およびこれらに続く洗浄処理等を、ベベル処理として実行することができる。
ノズル53~55がそれぞれ処理位置に位置決めされた状態では、照明部71およびカメラ72は、基板Sを挟んでノズル53~55とは反対側に位置することになる。図3(b)およびその部分拡大図である図3(c)に示すように、ノズル53~55は、基板Sの上面のうち周縁部の近傍に近接対向して配置されている。代表的には、ノズル53~55の下端と基板Sの上面との距離Dnは、1mmないし数mm程度である。
このように基板Sに近接対向配置されたノズル53~55から、ベベル部Bに向けて、処理の目的に応じた処理液が連続的に吐出される。したがって、ノズル53~55と基板Sとの間には、処理液による柱状の液柱Cが形成される。液柱Cの直径Dcは1mm以下、例えば0.2mmないし0.3mmである。
図3(b)に示すように、カメラ72は、基板Sの上面を上方から俯瞰するように、その光軸を少し下向きにして配置されており、ノズル53~55と基板Sとの間の液柱Cが形成される空間も、その撮像視野に含まれている。したがって、ノズル53~55から基板Sに供給される処理液の吐出状態を、カメラ72により撮像される画像から判定することが可能である。具体的には、制御部80は、カメラ72により撮像された画像から液柱Cを検出し、その結果に基づき、ノズル53~55からの液体の吐出の有無および吐出量を判定する。
撮像された画像から液柱Cを検出するための画像処理としては既に公知の技術が存在しており、例えば特許文献1に記載の方法を適用することができる。そのため、ここでは画像処理の詳しい内容については説明を省略する。
一方、この実施形態では、処理位置に位置決めされたノズル53~55に対し、基板Sを挟んだ反対側に照明部71およびカメラ72が配置されている。このように、撮像対象であるノズル53~55および液柱Cと、照明部71およびカメラ72との距離が大きい場合、液柱Cを高いS/N比で撮像することが困難となる。というのは、ノズル53~55から吐出される液体は概ね透明であり照明光を透過させてしまうため、遠くからの照明では十分な明るさで液柱Cを撮像することができないからである。
液柱Cを明るく撮像するためには、照明部71が出射する照明光量を大きくする、撮像時の露光時間を長くする、カメラ72の感度を大きくする等の対策が考えられる。しかしながら、照明光量や露光時間の増加は、液柱C以外の被撮像物における明るさを飽和させてしまう原因となる。このため、液柱C以外、例えば基板Sの表面状態やノズル位置等の検出と両立させることが難しい。また、例えば信号検出系のゲインを高めるなどカメラ72側の感度を向上させたとしても、画像ノイズも増加するためS/N比としては必ずしも向上につながらない。
このような問題に対応するため、この実施形態では、液柱Cを照明するための補助照明部6が設けられている。すなわち、図2に示すように、流体供給部50のアーム52に補助照明部6が取り付けられている。したがって、補助照明部6はアーム52の回動によりノズル53~55と一体的に移動する。図3(a)および図3(b)に示すように、補助照明部6は、ノズル53~55が基板S周縁部上方の処理位置に位置決めされるとき、ノズル53~55を挟んでカメラ72とは反対側に位置することになる。
図3(c)に示すように、補助照明部6は、ノズル53~55と基板Sとの間の空間に形成される液柱Cに対し補助的な照明光Lを入射させる。これにより、カメラ72により撮像される画像における液柱Cの明るさを増大させることが可能となる。ただし、補助照明部6はカメラ72と正対する位置に配置され、また透明な液体で形成される液柱Cは照明光Lを透過させるから、補助照明部6から出射される照明光Lが直接カメラ72に入射することがないようにする必要がある。
本実施形態では以下のようにしてこの問題に対処している。なお、アーム52には複数のノズル53~55が設けられており、補助照明部6も複数ノズルに対応する構成となっている。しかしながら、以下では原理説明のため、まずノズルが1つ、つまり形成される液柱Cが1つだけの場合を採り上げ、その後に、複数ノズルへの対応について説明することとする。
図4は補助照明部による液柱の照明の2つの態様を例示する図であり、より具体的には補助照明部6から出射される照明光Lの進路を示す平面図である。このうち図4(a)は液柱照明の第1の態様を示し、図4(b)は液柱照明の第2の態様を示している。これらの態様では、一点鎖線で示される、平面図上で液柱Cの中心とカメラ72の撮像視野の中心とを結ぶ軸(以下、「撮像軸」という)に対し斜め方向から、照明光Lを液柱Cに入射させる。これらの図において矢印は光の進行方向を示している。
図4(a)に示す第1の態様では、照明光Lは液柱Cの中心が収束点となるように収束された収束光である。液柱Cが存在しない、つまりノズルから液体が吐出されていないとき、直進する照明光Lがカメラ72に入射しないように、照明光Lの入射方向およびその光線束の広がりが設定されている。照明光Lの光路から外れた位置にカメラ72が配置されているということもできる。
詳しくは後述するが、ノズルから液体が吐出され液柱Cが形成されているとき、液柱Cに入射した照明光Lは、液柱Cの表面での反射および液柱Cを通過する際の屈折により、種々の方向に曲げられる。このような光がカメラ72に入射することにより、液柱Cの像が撮像される。液柱Cが透明であることは、このような反射光、屈折光の光量を増大させることになり、結果としてS/N比を向上させることができる。
例えば単にノズルからの液体の吐出の有無を判定するだけの目的であれば、液柱Cがなく照明光Lが全くカメラ72に入射しない状態と、液柱Cによる反射、屈折光がカメラ72に入射する状態とを判別することができれば足りるので、コントラストの低い画像から画像処理により液柱の像を検出する方法に比べて判定のロバスト性を向上させることができる。
一方、例えば液柱Cの直径(二次元画像内においては液柱Cの幅)は、吐出される液量に応じて変わる。このため、画像から液柱Cの幅を精度よく検出することができれば、単に液体の吐出の有無のみならず、その吐出量についても見積もることが可能になる。この目的のためには、図4(a)において実線と点線とで示すように、撮像軸を挟む2つの方向から照明光L,L’が液柱Cに入射することが望ましい。より具体的には、照明光L,L’それぞれが、一点鎖線で示される撮像軸を含む鉛直面(図においては紙面に垂直な面)に対し対称な光路を進んで液柱Cに入射することが好ましい。さらには、照明光L,L’それぞれの光線束の断面形状が、撮像軸を含む鉛直面に対し対称であることがより好ましい。
このようにすると、カメラ72から液柱Cを見たとき、液柱Cの両側面が同等の照明条件で照明されることとなるため、液柱Cの鮮明な像を得ることができる。これにより、画像から液柱Cの幅を精度よく検出することが可能になる。
図4(a)に示される液柱照明の第1の態様を実現するための補助照明部6の構成、および、液柱Cからの反射光と屈折光とのうち少なくとも一方が確実にカメラ72に入射するようにするためのより好ましい条件については、後に図5および図6を参照して詳しく説明する。
図4(b)に示される液柱照明の第2の態様では、照明光Lは、平面視における液柱Cの幅よりもビーム幅の広い平行光として液柱Cに照射される。この場合においても、液柱Cが存在せず直進する照明光Lがカメラ72に入射しないように、照明光Lの入射方向およびビーム幅が設定される。また、第1の態様と同様、実線と点線とで示すように、撮像軸を含む鉛直面を挟んで2つの方向から照明光L,L’が液柱Cに入射するようにしてもよい。
図4(b)に示される液柱照明の第2の態様を実現するための補助照明部6の構成、および、液柱Cからの反射光と屈折光とのうち少なくとも一方が確実にカメラ72に入射するようにするためのより好ましい条件については、後に図7を参照して詳しく説明する。
以下の説明において、補助照明部6の2つの態様を区別する必要がある場合には、その第1の態様に符号6aを、また第2の態様には符号6bをそれぞれ付すことにより、これらを区別することとする。
図5は第1の態様の液柱照明を実現するための構成例を示す図である。より具体的には、図5(a)は、第1の態様の補助照明部6aの構成例を示す平面図に、液柱が存在しないときの光線図を加えた図である。また、図5(b)は、液柱Cが存在するときの光線図である。
なお、図5において、低密度のドットが付された領域は、光源から出射された光の光路を示すものとする。また、より高密度のドットが付された領域は、液柱Cが形成されているときに、その表面および内部で反射または屈折してカメラ72に入射する光の光路を示すものとする。これらの点は、後出の図6、図7においても同様とする。
図5(a)に示すように、補助照明部6aは、点光源611と照明光学系610とを備えている。照明光学系610は、コリメータレンズ612と、収束レンズ613と、遮光絞り614とを備えている。点光源611は例えばLED(Light Emitting Diode)であり、可視光、例えば赤色の光を種々の方向に向けて出射する。コリメータレンズ612は、点光源611から出射される光を平行光に変換する。この目的のために、点光源611は、コリメータレンズ612からその焦点距離f1に相当する距離だけ離れた位置に配置される。
収束レンズ613は、平行光を液柱が形成される位置(より厳密には、液柱Cが形成されるときにその中心に相当する位置)Pに向けて収束させる。例えば液柱Cの中心を収束点とすることができる。つまり、ノズルから液体が吐出されたときに液柱が形成される位置Pと収束レンズ613との間は、収束レンズ613の焦点距離f2に対応する距離だけ離される。なお、収束光については、厳密な意味で収束点に収束することは必要とされない。すなわち、液柱Cが形成される位置において、収束光のスポットサイズが液柱Cの幅と同程度まで絞られていればよい。
照明光学系610をなすコリメータレンズ612および収束レンズ613は互いに同軸に配置され、点光源611もこの軸上に配置される。例えば、この照明光学系610の光軸を一点鎖線で示される撮像軸と同軸とすることができるが、これに限定されるものではない。
コリメータレンズ612と収束レンズ613との間の平行光の光路上に、遮光絞り614が配置される。遮光絞り614は、コリメータレンズ612により生成された平行光の光路の一部を遮蔽する。遮光絞り614については例えば、コリメータレンズ612に関して点光源611と共役な位置で、かつ、収束レンズ613に関して収束点と共役な位置に配置することができる。コリメータレンズ612と遮光絞り614との距離をコリメータレンズ612の焦点距離f1と同等とし、収束レンズ613と遮光絞り614との距離を収束レンズ613の焦点距離f2と同等とすることで、このような構成が実現可能である。
遮光絞り614は、照明光学系610の光軸を含む、平行光の光路の中心部分を遮蔽する。この部分を遮光することで、図4(a)に示すような、液柱Cに斜め方向から入射し、カメラ72には直接入射しない照明光L,L’を実現することができる。すなわち、遮光絞り614は、点光源611から出射される光のうち、照明光学系610を介してカメラ72に向かう光を、その光路上のいずれかの位置で遮蔽する機能を有する。
この意味において、遮光絞り614の配設位置は図5(a)のものに限定されない。例えば、点光源611とコリメータレンズ612との間、または、収束レンズ613と液柱Cとの間に遮光絞り614に相当する遮光部材を配置しても、同様の効果を得ることが可能である。ただし、次に説明する好ましい照明条件は、図5(a)に示すように、遮光絞り614が平行光の光路上に配置される場合に成立するものである。
次に、上記のように構成される補助照明部6aにおいて、点光源611から出射される光がカメラ72に直接入射せず、かつ液柱Cにより反射光、屈折光がカメラ72に入射するための条件について説明する。ここで、カメラ72は、一般的な撮像装置の構成に倣い結像レンズ721、受光素子722および開口絞り723を有するものとする。なお、ここでは結像レンズ721を単一のレンズとして記載しているが、複数の光学素子による撮像光学系として構成されてもよい。
受光素子722は例えばCCD撮像素子、CMOSセンサなどの二次元イメージセンサであり、結像レンズ721に対し、その焦点距離f3に対応する位置に配置される。被撮像物から出射されて結像レンズ721に入射する光が受光素子722上に結像することで、被撮像物の像が撮像される。開口絞り723は観察瞳を規定する。
以下の説明のため、開口絞り723により規定される観察瞳の半径を符号aにより表す。また、液柱の位置Pと結像レンズ721との距離、すなわちワーキングディスタンスを符号dにより表す。また、液柱の位置Pから観察瞳を見込んだ見込み角を符号θにより表す。
一方、照明光学系側についても次のような定義を行う。すなわち、収束レンズ613と液柱の位置Pと間のワーキングディスタンスを符号d’により表す。この例ではワーキングディスタンスd’は収束レンズ613の焦点距離f2に等しい。また、遮光絞り614の遮光部の半径を符号a’により表す。さらに、収束レンズ613から液柱の位置Pに入射する光における入射角の最大値を符号φ1、最小値を符号φ2により表す。
図5(a)から次式:
a=d・tanθ … (式1)
の関係が成立し、また液柱の位置Pを通過して観察瞳に直接入射する光を遮蔽するために必要な遮光部半径a’は次式:
a’≧(a・d’)/d … (式2)
により表される。これらの(式1)、(式2)が同時に満たされる配置とすることにより、所望の照明条件が実現される。
a=d・tanθ … (式1)
の関係が成立し、また液柱の位置Pを通過して観察瞳に直接入射する光を遮蔽するために必要な遮光部半径a’は次式:
a’≧(a・d’)/d … (式2)
により表される。これらの(式1)、(式2)が同時に満たされる配置とすることにより、所望の照明条件が実現される。
ノズルから液体が吐出されて位置Pに液柱Cが形成されるとき、図5(b)に示すように、液柱Cの表面で反射しまたはその内部で屈折することにより進路を変えられた光がカメラ72に入射する。より具体的には、進路の変わった光のうち開口絞り723を通過した光が、開口絞り723を介して結像レンズ721に入射する。これにより液柱Cの像が受光素子722の結像面に結像し、こうして液柱Cが撮像される。液柱Cが透明であれば光は液中でほとんど減衰することなく結像レンズ721に入射する。したがって、液柱Cの明るい像を取得することができる。
液柱Cに入射した光は種々の方向に反射、屈折し得るが、照明光をできるだけ広角に入射させることで、反射、屈折した光が結像レンズ721に入射する確率を向上させることができる。このことは、画像において液柱Cの像の明るさを向上させ、そのS/N比を向上させることに寄与する。この目的のために、液柱の位置Pから見た照明光学系の開口数ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、液柱の位置Pに対する照明光L,L’の最大入射角φ1ができるだけ大きい一方、最小入射角φ2については、直接光が結像レンズ721に入射しない限りにおいてできるだけ小さいことが好ましい。
図5(c)は遮光絞り614の開口形状の例を示す図である。図において斜線を付した部分が遮光部を表し、無地の部分が透過部を表している。遮光絞り614の遮光部614aの形状を、図5(c)左図に示すように照明光学系610の光軸AXを中心とする円形とした場合、側面から見た光線図も図6(a)と同様のものとなる。ここで、図4(b)に示すように、カメラ72は基板Sを俯瞰するように光軸を傾けて配置されている。このカメラ72に、液柱の位置Pを通過する照明光が直接入射することがない限り、照明光は上方および下方に向けて出射されても構わない。したがって、このような形状の遮光絞り614を使用することが可能である。
一方、遮光部の中心幅を変えず上下方向に細長く延ばすようにすると、上下方向への光の出射が抑えられるため、俯瞰配置されたカメラ72に直接光が入射するのをより効果的に回避することができる。例えば図5(c)右図に示すように、透過部を左右に分断するように上下方向に延設された一定幅の遮光部614bを設けた場合、上下方向への光の広がりを抑えて、カメラ72に直接光を入射させないという効果はより大きくなる。
図6はより実機に近い構成の例を示す図である。図3(a)および図6(a)に示すように、実機においては、液柱の位置Pから見て補助照明部6aは比較的近い位置にある一方、カメラ72はこれより遠い位置にある。代表的には、例えば補助照明部6aを構成するレンズ612,613の焦点距離f1、f2(=d’)はいずれも20mm程度である。一方、例えば基板Sの直径が300mmであるとき、液柱の位置Pからカメラ72までのワーキングディスタンスdは350mm程度である。また、観察瞳の直径2aは40mm程度である。
このため遮光絞り614の遮光部半径a’も、図5(a)に示す原理図よりは小さくて済む。例えば上記した寸法関係でレンズ直径が20mm程度であるとき、遮光部半径a’は2.4mm程度とすることができる。このとき、位置Pから見た照明光L,L’の最大入射角φ1は約45度、最小入射角φ2は約6.8度となる。
図6(b)および図6(c)は複数ノズルに対応した補助照明部6aの構成例を示す平面図であり、このうち図6(b)は液柱が存在しない場合の光線図である。また、図6(c)は、3つのノズル53~55のそれぞれから液体が吐出され3本の液柱C1~C3が形成された状態における光線図である。
図3(b)に示すように、3つのノズル53,54,55が吐出する液体により液柱が形成される位置をそれぞれ位置P1,P2,P3とする。これらの位置P1~P3のそれぞれに対応して、光源611および照明光学系610が1組ずつ設けられる。これらの構成は基本的に図6(a)に示すものと同じである。
ただし、どの照明光学系610から出射される光も結像レンズ721に入射しないようにするためには、図6(b)からわかるように、位置P1~P3それぞれから見た照明光L,L’の最小入射角φ2は上記より大きくする必要があり、そのために遮光部半径a’については(レンズ径が同じであれば)上記数値例より大きくしなければならない。なお一般には、補助照明部6aではレンズ径を上記例より小さくする必要があり、これに伴い最小入射角φ2および遮光部半径a’の数値も小さくなる。例えば補助照明部6aにおける収束レンズ613の光軸間距離Dが12.5mm、観察瞳の直径2aが30mm、ワーキングディスタンスdが350mm、収束レンズ613の焦点距離f2が20mmである場合、図6(b)に示される関係から導かれる次式:
a’≧f2・tanφ2、 tanφ2=(a+D)/d … (式3)
より、最小入射角φ2は約4.49度、遮光部半径a’は約1.57mm以上となる。
a’≧f2・tanφ2、 tanφ2=(a+D)/d … (式3)
より、最小入射角φ2は約4.49度、遮光部半径a’は約1.57mm以上となる。
また、1つの点光源611からの光が他の照明光学系610に入射するのを防止するために、隣り合う照明光学系610の間に遮光部材615が配置される。また、ノズル53~55間の配列ピッチは例えば12.5mm程度である。このように小さなピッチで3組の照明光学系610を配置しつつ、補助照明部6aを小型に構成するために、コリメータレンズ612および収束レンズ613としては、例えばシリンドリカルレンズを適用することができる。
このように構成された補助照明部6aを使用することで、3つのノズル53~55のそれぞれから吐出される液体に形成される3本の液柱C1~C3の像を、それぞれ独立して、かつ十分な明るさで撮像することが可能となる。
以上、照明光L,L’を収束光とする補助照明部6の第1の態様の構成例について説明した。以下では、図4(b)に示したように、照明光L,L’として平行光を用いる補助照明部6の第2の態様の構成例について説明する。
図7は第2の態様の液柱照明を実現するための構成例を示す平面図である。まず、液柱が1つだけの場合について、図7(a)および図7(b)を参照して説明する。この場合の補助照明部6bは、図7(b)に示すように、点光源621と、コリメータレンズ622とを備えたものとすることができる。焦点距離f4であるコリメータレンズ622の焦点位置に点光源621を配置することで、コリメータレンズ622を介して出射される光を平行光とすることができる。
平行光として補助照明部6bから出射される平行光である照明光Lは、平面視における光線束の幅Wが液柱Cの幅よりも大きく、液柱Cの両側部を通過する。光線束の幅Wを適宜の値に調整するために、遮光絞り624がさらに設けられてもよい。二点鎖線で示されるコリメータレンズ622の光軸と、一点鎖線で示されるカメラ72の撮像軸とはいずれも液柱Cの中心を通るが、互いに非平行とされる。両軸の交わる角度αについては、例えば0度より大きく75度以下の任意の角度とすることができる。
ここで、補助照明部6bからの直接光がカメラ72に入射せず、かつ液柱Cによる屈折光をカメラ72で受光することができるための条件は、カメラ72の観察瞳位置における照明光Lの光軸と撮像軸との距離Dyが、照明光Lの構成側の半幅(W/2)よりも小さいことである。このようにすることで、図7(b)に示すように、照明光Lが結像レンズ721に直接入射せず、しかも液柱Cがある場合にはその屈折光が結像レンズ721に入射するような照明条件を実現することができる。
一方、液柱表面での反射光L1がカメラ72に入射するための条件は、図7(a)に示す関係および反射の法則から、次式:
δ=γ/2+90° … (式4)
により表すことができる。ここで、角度γは液柱Cの表面で反射された光の進行方向が照明光Lの進行方向に対してなす角であり、角度δは反射面の法線が照明光Lの進行方向に対してなす角である。
δ=γ/2+90° … (式4)
により表すことができる。ここで、角度γは液柱Cの表面で反射された光の進行方向が照明光Lの進行方向に対してなす角であり、角度δは反射面の法線が照明光Lの進行方向に対してなす角である。
液柱Cの径に対してワーキングディスタンスdが十分大きいとき、実質的にα≒γとみなせるので、液柱Cの内部での屈折光と、液柱Cの表面での反射光とがともにカメラ72に入射することになる。これにより、上記した第1の態様と同様に、液柱Cの撮像におけるS/N比を向上させることが可能となる。
第2の態様における複数ノズルへの対応は、第1の態様よりも簡単である。すなわち、平行光の光線束幅Wを、各ノズルにより形成される複数の液柱を一括して照明することができるようにすればよい。この場合、図7(c)に示すように、点線で示される各液柱C1~C3の並びの方向と、二点鎖線で示される照明光Lの進行方向とが直交し、一点鎖線で示される撮像軸がこれらに対し傾くような配置としてもよく、また図7(d)に示すように、各液柱C1~C3の並びの方向と撮像軸とが直交し、照明光Lの進行方向がこれらに対し傾くような配置としてもよい。
いずれの場合においても、照明光Lがカメラ72に直接入射せず、液柱C1~C3が存在する場合にその反射光、屈折光がカメラ72に入射するようにすることで、各液柱C1~C3を個別に、しかも優れたS/N比で撮像することが可能になる。このように照明光として平行光を用いる場合においても、図4(b)に示したように、撮像軸に対し対称な2つの方向から照明光L,L’が液柱に入射する構成とすることができる。ただし、液柱全体が照明光Lの光路に含まれており、また照明光Lの進行方向とカメラ72の撮像軸との傾きがそれほど大きくないことから、このようにする効果は第1の態様ほど大きくはならないと考えられる。
例えばノズル53~55の配列ピッチ(すなわち液柱C1~C3の配列ピッチ)が12.5mm程度、ワーキングディスタンスdが350mm程度であるとき、照明光Lの光線束幅Wを40mm、照明光Lの進行方向と撮像軸との傾きαを10度程度とすることにより、カメラ72により3つの液柱C1~C3の像を鮮明に撮像することが可能である。
以上説明したように、この実施形態の基板処理装置1は、本発明に係る「基板処理装置」の一実施形態に相当するものである。この実施形態において、照明部71および補助照明部6のうち、本発明の「照明部」として機能しているのは補助照明部6である。また、上記実施形態においては、ノズル53,54,55が本発明の「ノズル」として機能しており、カメラ72が本発明の「受光部」および「撮像デバイス」として機能している。
また、補助照明部6aのうち、点光源611が本発明の「光源」に、コリメータレンズ612および収束レンズ613が本発明の「レンズ」に、また遮光絞り614が本発明の「遮光絞り」にそれぞれ相当している。また、撮像された液柱の画像に基づき制御部80がノズルからの液体の吐出状況を判定するとき、制御部80は、本発明の「判定部」として機能することになる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば実施形態では、本発明の「受光部」として撮像機能を有するカメラ72が用いられており、液柱の形成位置Pを含む領域を撮像することで各部の状態が監視される。このカメラ72は、ノズル53~55以外にも基板Sの状態や複数のノズルの監視を行うものである。しかしながら、特定のノズル、例えばノズル53~55およびそれらから吐出される液体を撮像する目的で、基板Sの全体を撮像するカメラとは別体のカメラが用いられてもよい。
そして、特に液柱の撮像のためだけに専用のカメラが使用される場合には、カメラ側から照明光を照射するための照明部71は必ずしも必要でなく、補助照明部6のみで明るい液柱の像を撮像することが可能である。
また、単に液体の吐出状態を判定するという目的であれば、本発明の「受光部」は必ずしも撮像機能を有するものでなくてもよく、例えば受光光量の大小に応じた大きさの信号を出力する光センサであってもよい。この実施形態では、液柱が形成されているときに限って生じる照明光の反射、屈折光を受光する構成としているため、液柱の有無による光量の差が顕著である。そのため、液柱が形成される位置を含む領域からの受光光量の大きさによって、液柱の有無やその大きさを検出することが可能であり、このためには撮像機能を必ずしも必要としない。
また、上記実施形態の補助照明部6は、ノズルと基板との間に形成される液柱に対しほぼ水平方向に照明光を入射させるものである。しかしながら、この場合、基板の周縁部から振り切られた処理液が補助照明部6に付着するおそれがある。そうすると、例えば照明光を出射する光学窓に液体が付着することで照明光の出射方向が変えられてしまうことがあり得る。これを回避する手段としては、例えば光学窓の表面を親水加工し、付着した液体が水滴とならないようにする方法がある。また、補助照明部の配置を変更し、斜め上方向から照明光を照射するようにすることで、基板から振り切られた液体を光学窓に付着させず下方へ落下させることが可能になる。
また、上記実施形態の補助照明部6は、回動するアーム52にノズル53~55と一体に取り付けられている。これにより、アーム52の位置によらず、補助照明部6とノズル53~55との位置関係を常に一定に保つことができるという効果が得られる。しかしながら、各ノズル53~55が液体を吐出するときの基板Sに対する「処理位置」は予め定められており、液柱Cの撮像はノズル53~55が処理位置にあるときのみ行えればよい。このことから、補助照明部は、アーム52に取り付けられている必要は必ずしもない。例えば、スプラッシュガード20の内側面のうち、ノズル53~55が処理位置に位置決めされたときにノズル53~55と対向する位置に、補助照明部が設けられてもよい。
また、この実施形態ではカメラ72の位置が固定されているが、例えば特許文献1に記載のように、カメラが必要に応じて撮像位置に移動して液柱を撮像する構成にも、本実施形態に係る補助照明部を組み合わせることが可能である。
また、上記実施形態では、基板Sの周縁部に液体を供給して当該部分を処理する、いわゆるベベル処理における吐出状況の監視に本発明が適用されている。しかしながら、本発明は、このようなベベル処理に限らず、基板上に対向配置されたノズルから液体が吐出される種々の処理に適用することが可能である。ただし、処理時にノズル、照明部および受光部の相対的な位置関係が変化しないことが、十分な効果を上げるための要件とされる。
また、上記した各部の寸法例は参考値として示したものであり、本発明の技術思想に反しない限りにおいて、これらの寸法は適宜改変することが可能である。
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明に係る基板処理装置において、例えば照明部は、光源と、光源から出射される光を液柱に収束させるレンズと、光源から収束光の収束点までの間の光路上で、受光部に向かう光を部分的に遮蔽する遮光絞りとを有するものとすることができる。ここで、遮光絞りは、例えばレンズの光軸上の光を遮蔽する位置に設けられてもよい。
このような構成によれば、レンズにより液柱に向け収束される光のうち、受光部に向けて進もうとする成分を遮光することにより、本発明の目的に沿った照明条件を実現することができる。具体的には、液柱が存在しないときには受光部に入射しない収束光を、液柱が形成される位置に向けて照射することができる。
また例えば、照明光の光線束が、液柱の中心と受光部の中心とを含む鉛直面に対し対称な形状を有するものであってもよい。このような構成によれば、受光部側から見て、液柱の両側面が同じ照明条件で照明されることになる。そのため、受光結果から例えば液柱の幅等を精度よく算出することが可能になる。
また例えば、受光部は、ノズルと基板との間の液柱が形成される空間を撮像視野に含む撮像デバイスを有するものとすることができる。このような構成によれば、液柱をその像として検出することができ、しかも十分な明るさを確保することができるので、液柱の有無のみならず液量や流下状況等のより詳細な情報を画像から取得することが可能となる。
また、本発明に係る基板処理装置は、所定の距離を隔てて並べられた複数のノズルを有するものであってもよい。本発明に係る液柱に対する照明は、このような複数ノズルを有する構成にも好適に適用可能である。
また例えば、照明光としては可視光を使用することができる。ノズルから吐出される液体が透明、つまり可視光に対し高い透過性を示す場合には、従来技術のように反射光のみに依存して液柱を検出する構成では高いS/N比を得られないことがあり得る。本発明では反射光のみならず液柱内を通過する屈折光を検出することができるので、可視光でも良好なS/N比を確保することが可能である。
また例えば、処理位置はノズルが基板の周縁部の上方にある位置であり、ノズルから吐出された液体が周縁部に供給されてもよい。このような構成では、ノズルと基板との間の距離が小さく、また一般に基板に供給される液体も少量であることが多い。このため、吐出される液体により形成される液柱が微小でありその検出が困難になりやすい。本発明を適用することで、このような場合でも良好なS/N比で液柱を検出することが可能になる。
また例えば、受光部の受光結果に基づき、ノズルからの液体の吐出状況を判定する判定部を備えてもよい。本発明では、ノズルから吐出される液体が形成する液柱を光学的に、しかも良好なS/N比で検出することが可能である。このため、吐出状況の誤判定を低減することが可能である。
この発明は、基板の上面に対向配置したノズルから液体を吐出して基板を処理する技術全般に適用可能である。特に、ノズルから吐出される透明な液体を光学的に検出するというニーズがあるケースにおいて、本発明は有効に機能するものである。
1 基板処理装置
6,6a,6b 補助照明部(照明部)
10 基板保持部
11 スピンベース
50 流体供給部
52 アーム
53,54,55 ノズル
72 カメラ(受光部、撮像デバイス)
80 制御部(判定部)
611 点光源(光源)
612 コリメータレンズ(レンズ)
613 収束レンズ(レンズ)
614 遮光絞り
S 基板
6,6a,6b 補助照明部(照明部)
10 基板保持部
11 スピンベース
50 流体供給部
52 アーム
53,54,55 ノズル
72 カメラ(受光部、撮像デバイス)
80 制御部(判定部)
611 点光源(光源)
612 コリメータレンズ(レンズ)
613 収束レンズ(レンズ)
614 遮光絞り
S 基板
Claims (11)
- 基板を略水平に保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持される前記基板の上面に対向する処理位置に配置され、前記基板に向けて液体を柱状に吐出するノズルと、
前記液体により前記ノズルと前記基板との間に形成される液柱に向けて照明光を出射する照明部と、
前記処理位置の前記ノズルを挟んで前記照明部とは反対側に設けられて前記液柱からの光を受光する受光部と
を備え、
前記照明部は、収束点を前記液柱に含ませるように収束させた収束光を前記照明光として出射し、
前記受光部は、前記照明部から出射され前記液柱が形成される位置を通過した前記照明光の光線束が入射しない位置に設けられる、基板処理装置。 - 基板を略水平に保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持される前記基板の上面に対向する処理位置に配置され、前記基板に向けて液体を柱状に吐出するノズルと、
前記液体により前記ノズルと前記基板との間に形成される液柱に向けて照明光を出射する照明部と、
前記ノズルを挟んで前記照明部とは反対側に設けられて前記液柱からの光を受光する受光部と
を備え、
前記照明部は、前記照明光の入射方向に垂直な幅方向において前記液柱の幅よりもビーム幅の大きい平行光を前記照明光として出射し、
前記受光部は、前記照明部から出射され前記液柱が形成される位置を通過した前記照明光の光線束が入射しない位置に設けられる、基板処理装置。 - 前記照明部は、光源と、前記光源から出射される光を前記液柱に収束させるレンズと、前記光源から前記収束光の収束点までの間の光路上で、前記受光部に向かう光を部分的に遮蔽する遮光絞りとを有する、請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記遮光絞りは、前記レンズの光軸上の光を遮蔽する位置に設けられる、請求項3に記載の基板処理装置。
- 前記照明光の光線束が、前記液柱の中心と前記受光部の中心とを含む鉛直面に対し対称な形状を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記受光部は、前記ノズルと前記基板との間の前記液柱が形成される空間を撮像視野に含む撮像デバイスを有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。
- 所定の距離を隔てて並べられた複数の前記ノズルを有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記照明光が可視光である、請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記処理位置は前記ノズルが前記基板の周縁部の上方にある位置であり、前記ノズルから吐出された液体が前記周縁部に供給される、請求項1ないし8のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記受光部の受光結果に基づき、前記ノズルからの前記液体の吐出状況を判定する判定部を備える、請求項1ないし9のいずれかに記載の基板処理装置。
- 略水平に保持される基板の上面に対向する処理位置に配置されたノズルから、前記基板に向けて液体を柱状に吐出する工程と、
前記液体により前記ノズルと前記基板との間に形成される液柱に向けて照明部から照明光を出射するとともに、前記処理位置の前記ノズルを挟んで前記照明部とは反対側に設けられた受光部で前記液柱からの光を受光する工程と
を備え、
前記照明部は、収束点を前記液柱に含ませるように収束させた収束光、または、前記照明光の入射方向に垂直な幅方向において前記液柱の幅よりもビーム幅の大きい平行光を、前記照明光として出射し、
前記受光部は、前記照明部から出射され前記液柱が形成される位置を通過した前記照明光の光線束が入射しない位置に設けられる、基板処理方法。
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