JP6105727B2 - チップヒューズの製造方法及びチップヒューズ - Google Patents

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Description

本発明は、チップヒューズの製造方法及びチップヒューズに関する。
電子機器に故障等で生じた過電流の流入により回路破壊が発生することを防止するためのヒューズが用いられている。近年、装置の小型化に伴って配線板等に表面実装が容易で量産性に優れたチップヒューズが採用されている。チップヒューズでは、例えばセラミック基板等の絶縁基板(以下、単に基板とも呼ぶ)上に金属箔からなるヒューズエレメントが形成されている。
チップヒューズにおいては、ヒューズエレメントが溶断する溶断電流を小さくする(例えば100mA以下)、すなわち低容量化が要請されている。かかる要請に応えるべく、様々な提案がなされている。
例えば、下記の特許文献1には、錫製の芯を銀製の鞘で取り囲んだヒューズが開示されている。また、下記の特許文献2には、銅製のヒューズリンク上に錫をコーティングしたヒューズが開示されている。特許文献1や特許文献2の技術では、ヒューズエレメントが溶断する際に融点の低い錫が先に溶融し銀又は銅に拡散してヒューズエレメントの融点を下げられるので、ヒューズの溶断電流を低下させることが可能となる。
また、特許文献3には、シリコーン基板上にヒューズ部を形成し、基板のヒューズ部の直下にエッチングで空洞部を形成する技術が開示されている。空洞部を形成することで基板への熱損失を低下できるので、ヒューズの溶断電流を低下させることが期待されうる。
特表2005−505110号公報 特表2009−509308号公報 特開2007−95592号公報
しかし、上記の特許文献1及び特許文献2の技術では、多層構造となるため製造コストが高くなる。また、錫が銀又は銅に不必要に拡散してしまう恐れがある。また、特許文献3の技術では、基板をエッチング加工する工程に多大な工数を要するため、チップヒューズの価格が高くなる恐れがある。
また、回路への電源のオン・オフ時に、ラッシュ電流(突入電流とも呼ばれる)が発生することが知られている。このため、チップヒューズとしては、異常な電流が流れた場合には溶断するが、電源のオン・オフ時に発生するラッシュ電流には耐えて溶断しない(別言すれば、耐ラッシュ性が高い)ことが求められる。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、低容量かつ耐ラッシュ性が高いチップヒューズを低価格で提供することを目的とする。
本発明の第1の態様においては、基板の主面上に、金属ナノ粒子が分散された分散液の液膜を形成する液膜形成ステップと、前記液膜にレーザ光を照射して、前記主面上にヒューズ膜を形成するヒューズ膜形成ステップと、前記主面上の前記ヒューズ膜の長手方向の両端側に、前記ヒューズ膜と接続する第1端子をそれぞれ形成する第1端子形成ステップと、前記ヒューズ膜の長手方向の中央側を覆う被覆部を形成する被覆部形成ステップと、前記第1端子と電気的に接続する第2端子を形成する第2端子形成ステップと、を有する、チップヒューズの製造方法を提供する。
前記第1端子形成ステップにおいて、前記液膜の前記第1端子に対応する部分に前記レーザ光を照射して、前記第1端子を形成してもよい。
前記第1端子形成ステップにおいて、前記主面上の前記ヒューズ膜の長手方向の両端側に、前記長手方向において互いに離隔した複数の第1端子を含む第1端子群を、それぞれ形成してもよい。
前記被覆部形成ステップにおいて、前記第1端子群のうちの前記長手方向の最も中央側に位置する中央側第1端子も覆うように、前記被覆部を形成し、前記第2端子形成ステップにおいて、前記第1端子群のうちの前記長手方向の端側に位置する端側第1端子と接続する前記第2端子を形成してもよい。
前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、前記レーザ光を前記液膜に対して一回走査させることで、前記レーザ光のスポット径に対応する幅の、直線状又は曲線状の前記ヒューズ膜を形成してもよい。
前記液膜形成ステップにおいて、前記レーザ光の照射前の前記液膜の第1厚みと、前記レーザ光の照射後の前記ヒューズ膜の前記第1厚みよりも小さい第2厚みとの対応関係に基づいて、前記第1厚みを調整して前記液膜を形成してもよい。
前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、前記液膜の厚みに応じて、レーザ照射装置による前記レーザ光の照射速度及び照射強度の少なくとも一方を調整して、前記液膜に前記レーザ光を照射してもよい。
上記チップヒューズの製造方法において、前記基板は、前記ヒューズ膜が複数形成される集合基板であり、前記複数のヒューズ膜の前記集合基板上の形成位置を調整するための位置調整マークを、前記液膜にレーザ光を照射して形成するマーク形成ステップを更に有し、前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、形成された前記位置調整マークの位置に基づいて、前記複数のヒューズ膜をそれぞれ形成してもよい。
前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、レーザ照射装置の発振部から発振された前記レーザ光を減衰用の光学フィルターで減衰し、減衰された前記レーザ光を前記液膜に照射してもよい。
本発明の第2の態様においては、基板と、前記基板の主面上に設けられたヒューズ膜と、前記主面上の前記ヒューズ膜の長手方向の両端側に前記ヒューズ膜と接続するようにそれぞれ設けられ、前記長手方向において互いに離隔した複数の第1端子を含む第1端子群と、前記ヒューズ膜の前記長手方向の中央側を覆う被覆部と、前記長手方向の両端側にて、前記第1端子群の一又は複数の前記第1端子とそれぞれ電気的に接続している第2端子と、を備える、チップヒューズを提供する。
上記チップヒューズにおいて、前記第1端子群の各第1端子は、前記ヒューズ膜の前記長手方向と交差する交差方向に沿って設けられ、前記第1端子群の各第1端子の幅は、それぞれ前記ヒューズ膜の幅と同じ大きさであってもよい。
上記チップヒューズにおいて、前記第1端子群の各第1端子の厚みは、それぞれ前記ヒューズ膜の厚みと同じ大きさであってもよい。
上記チップヒューズにおいて、前記被覆部は、前記第1端子群のうちの前記長手方向において最も中央側に位置する前記第1端子も覆ってもよい。
上記チップヒューズにおいて、前記ヒューズ膜を溶断させる溶断電流を、前記ヒューズ膜の前記長手方向と直交する断面積で除算した溶断電流密度は、4.0×106(A/cm2)以下であってもよい。
上記チップヒューズにおいて、前記ヒューズ膜の表面積を前記ヒューズ膜の体積で除算した比表面積は、21(/μm)以下であってもよい。
上記チップヒューズにおいて、前記ヒューズ膜の幅を幅wとし、前記ヒューズ膜の厚みを膜厚tとしたときに、前記幅wは、3(μm)以上、かつ20(μm)以下であり、前記膜厚tは、0.1(μm)以上、かつ3.0(μm)以下であってもよい。
上記チップヒューズにおいて、前記基板及び前記被覆部の熱伝導率は、それぞれ0.3(W/m・K)以下であってもよい。
上記チップヒューズにおいて、前記長手方向の両端側の前記第1端子群のうちの各々中央側に位置する第1端子の間の前記ヒューズ膜の長さは、600(μm)以上であってもよい。
本発明によれば、低容量かつ耐ラッシュ性が高いチップヒューズを低価格で提供できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るチップヒューズ1の断面模式図である。 チップヒューズ1の平面模式図である。 チップヒューズ1の溶断特性曲線を示すグラフである。 解析対象のチップヒューズ900の断面模式図である。 解析対象のチップヒューズ900の平面模式図である。 図5のI−I断面図である。 実験結果を示すグラフである。 図7の実験結果から導いた、ヒューズエレメントの長さと最小溶断電流密度との関係を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。 ヒューズエレメント920の厚さtと比表面積ξ、ξ、ξとの関係の一例を示すグラフである。 ヒューズエレメント920の厚さtと、最小溶断電流Imin及び通電断面積Aとの関係を示すグラフである。 ヒューズエレメント920の厚さtと、最小溶断電流密度(I/Ami n及び比表面積ξとの関係を示すグラフである。 比表面積ξと最小溶断電流密度(I/Aminとの関係を示すグラフである。 ヒューズエレメント920の幅w、厚さt、比表面積ξ〜ξの相関関係を纏めた表である。 t/w比と最小溶断電流密度(I/Aminとの関係を纏めた表である。 ラッシュ電流と溶断特性曲線との関係を説明するための図である。 チップヒューズ1の製造工程を示すフローチャートである。 集合基板100上に形成されたインク膜110を示す模式図である。 レーザ照射装置200の構成の一例を示す模式図である。 焼成工程の詳細を示すフローチャートである。 焼成後の集合基板100を示す図である。 ヒューズ膜120に対する内部端子群130の形成状態を示す図である。 後工程の詳細を示すフローチャートである。 サブ組立体118上にオーバーコート140を形成した状態を示す図である。 外部端子151、152を形成した状態を示す図である オーバーコート140への捺印を説明するための図である。 焼成前のインク膜の厚さt(i)と、焼成後のヒューズ膜の厚さtとの関係を示すグラフである。 レーザ光のスポット径φと、ヒューズ膜120の幅wとの関係を示すグラフである。
以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.チップヒューズの構成
2.チップヒューズの溶断特性の理論解析
3.本願発明に至るまでの検討
3−1.第1の検討
3−2.第2の検討
3−3.第3の検討
3−4.第4の検討
4.チップヒューズの製造方法
5.インク膜の焼成に関する検討
6.変形例
<1.チップヒューズの構成>
図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係るチップヒューズ1の構成について説明する。
図1は、一実施形態に係るチップヒューズ1の断面模式図である。図2は、チップヒューズ1の平面模式図である。
チップヒューズ1は、電子機器の回路基板等に表面実装され、回路に異常な電流が流れた際に溶断する。チップヒューズ1は、図1及び図2に示すように、支持基板10と、ヒューズ膜20と、内部端子群31、32と、オーバーコート40と、外部端子51、52とを有する。
支持基板10は、ヒューズ膜20や内部端子群31、32を支持する基板である。支持基板10は、例えばポリイミド基板である。支持基板10の厚さは、約250(μm)であり、表面粗さRaは、約0.05(μm)である。また、支持基板10の熱伝導率は、0.3(W/m・K)以下である。
ヒューズ膜20は、支持基板10の主面12上に設けられている。ヒューズ膜20は、詳細は後述するが、金属ナノ粒子を含有するインク膜を焼成することで、主面12上に形成されている。金属ナノ粒子としては、例えば銀ナノ粒子が用いられる。
本実施形態においては、ヒューズ膜20を溶断させる最小溶断電流を、ヒューズ膜20の長手方向と直交する断面積で除算した溶断電流密度は、4.0×106(A/cm2)以下である。望ましくは、溶断電流密度が3.5×106(A/cm2)以下であることが好ましい。
ヒューズ膜20の表面積をヒューズ膜20の体積で除算した比表面積は、21(/μm)以下である。このために、ヒューズ膜20の幅wは、3〜20(μm)であり、厚さtは、0.1〜3.0(μm)であることが望ましい。さらに、幅wと厚さtは、0.01<t/w≦1の関係が成立する値となることがより望ましい。また、内部端子群31の内部端子31aと内部端子群32の内部端子32aとの間のヒューズ膜20の長さ(図2に示す長さL)は、600(μm)以上である。
なお、上記の数値範囲の設定は、低容量化と耐ラッシュ性が向上したチップヒューズを実現するためのものであるが、詳細は後述する。
内部端子群31は、図2に示すように、支持基板10の主面12上のヒューズ膜20の長手方向一端側にヒューズ膜20と接続するように設けられている。内部端子群32は、ヒューズ膜20の長手方向他端側にヒューズ膜20と接続するように設けられている。内部端子群31は、長手方向において互いに離隔した複数の内部端子(図2では3つの内部端子31a、31b、31c)を含む。また、内部端子群31は、3つの内部端子31a、31b、31cを接続する内部端子31d、31eを含む。内部端子群32も、同様に複数の内部端子(内部端子32a、32b、32c、32d、32e)を含む。内部端子群31及び内部端子群32の構成は同様であるので、ここでは、内部端子群31を例に挙げて詳細構成を説明する。
内部端子群31の内部端子31a〜31cは、それぞれヒューズ膜20の長手方向と交差する交差方向(具体的には、図2に示すように長手方向であるX方向と直交するY方向)に沿って設けられている。
図2に示すように、内部端子31a〜31cは、それぞれ同じ幅wを有する。内部端子31a〜31cの幅は、ヒューズ膜20の幅wと同じ大きさである。また、図1に示すように、内部端子31a〜31cの厚みtは、それぞれヒューズ膜20の厚みtと同じ大きさである。このように、本実施形態では、内部端子31a〜31cの断面積が、線状のヒューズ膜20と同様に小さくなっている。
内部端子31d、31eは、ヒューズ膜20の長手方向に沿ってヒューズ膜20の両側に設けられている。内部端子31d、31eの幅w及び厚みtは、内部端子31a〜31cの幅w及び厚みtと同じ大きさである。
なお、上記では、内部端子群31、32が、それぞれ内部端子31a〜31c、32a〜32cを接続する内部端子31d、31e、32d、32eを含むこととしたが、これに限定されず、内部端子31、32は、31d、31e、32d、32eを含まないこととしてもよい。
オーバーコート40は、ヒューズ膜20の長手方向の中央側を覆う被覆部である。また、オーバーコート40は、内部端子群31のうちの最も長手方向中央側に位置する内部端子31a、及び内部端子群32のうちの最も長手方向中央側に位置する内部端子32aも覆う。
オーバーコート40の熱伝導率は、0.3(W/m・K)以下である。これにより、オーバーコート40への熱損失を抑制することができる。なお、オーバーコート40の熱伝導率は、支持基板10の熱伝導率と同じ大きさであることが望ましい。これにより、熱損失を効果的に抑制することができる。
外部端子51は、ヒューズ膜20の長手方向一端側にて、内部端子群31の一又は複数の内部端子(図2では、内部端子31b及び内部端子31c)と電気的に接続している。外部端子52は、長手方向他端側にて、内部端子群32の一又は複数の内部端子(図2では、内部端子32b及び内部端子32c)と接続している。
このように、外部端子51及び外部端子52は、それぞれ内部端子群31、32を構成する一部の内部端子(長手方向の両端側の内部端子)と接続されている。これにより、内部端子を介した外部端子51、52への熱損失を抑制できる。
前述したように、本実施形態に係るチップヒューズ1においては、内部端子群31、32をヒューズ膜20の厚さと同一となるように薄くし、内部端子群31、32を複数の離隔した内部端子で構成している。これにより、ヒューズ膜20と接続する内部端子の熱容量を軽減できるため、熱損失を軽減できる。
また、熱容量の比較的大きい外部端子51、52を、内部端子群31、32の一部の端子のみに接続させているので、ヒューズ膜20から外部端子51、52への熱損失を軽減でき、この結果、チップヒューズ1の低容量化に有効である。
図3は、チップヒューズ1の溶断特性曲線を示すグラフである。
グラフを見ると分かるように、溶断特性曲線は、通電時間Tが小さい領域、例えばA点(T=100(μs))においては、所定の傾きを有する擬似的な直線となる。一方で、通電時間Tが大きくなるにつれて、溶断特性曲線が擬似的な直線から乖離して略水平な直線となる。
B点(T=10(ms))からC点(T=100(s))の区間においては、溶断特性曲線がほぼ水平な直線となり、C点における通電電流は当該区間の最小値Iminである。なお、Iminは、ここでは85(mA)であり、最小溶断電流が100(mA)以下であることが確認できた。
<2.チップヒューズの溶断特性の理論解析>
以下においては、数式を用いて理論解析して、一般的なチップヒューズの溶断特性の特徴を説明する。
理論解析の前に、解析の対象となるチップヒューズ900の構造について、図4〜図6を参照して説明する。
図4は、解析対象のチップヒューズ900の断面模式図である。図5は、解析対象のチップヒューズ900の平面模式図である。図6は、図5のI−I断面図である。
チップヒューズ900は、図4〜図6に示すように、支持基板910と、ヒューズ膜920と、内部端子931、932と、オーバーコート940と、外部端子951、952とを有する。図1に示すチップヒューズ1に対して、チップヒューズ900の内部端子931、932の構成が大きく異なる。すなわち、内部端子931、932は、図5に示すように広い領域に亘って平板状に形成されており、内部端子931、932の幅は、ヒューズ膜の幅wよりも大きい。また、図4に示すように、内部端子931、932の厚みt は、ヒューズ膜920の厚みtよりも大きい。
チップヒューズ900においては、ヒューズ膜920が通電によって発生する熱は、ヒューズ膜920を密着支持する支持基板910、ヒューズ膜920に密着するオーバーコート940等に伝熱する。このように、チップヒューズ900においては、熱損失が発生するため、熱損失を考慮してヒューズ膜920の特性を決定することが重要となる。
本発明者らは、様々な創意工夫を重ねて、熱力学に関する基礎式を一般的なチップヒューズに応用することにより、チップヒューズ900のヒューズ膜920(以下、ヒューズエレメント920と呼ぶ)が通電により発熱するモデルに関するエネルギー釣り合い式である下記の数式(1)を導き出した。
Figure 0006105727
なお、数式(1)における各記号(因子)は、下記の意味を有する。
:ヒューズエレメントの定積熱容量[J/(Km)]
V :ヒューズエレメントの体積[m
L :ヒューズエレメント長さ[m]
0 :ヒューズエレメントの通電断面積[m
R :ヒューズエレメント抵抗[Ω]
:ヒューズエレメントの表面積[m
S1 :ヒューズエレメントと支持基板の接触面積[m
S2 :ヒューズエレメントのオーバーコートとの接触面積[m
:ヒューズエレメント支持基板の厚さ[m]
:オーバーコートの代表厚さ[m]
I :通電電流[A]
T :通電時間[sec]
λ:ヒューズエレメントの熱伝導率[W/(mK)]
ε :ヒューズエレメントの放射率[−]
F :熱放射に関する形態係数[−]
λ:ヒューズエレメント支持基板の熱伝導率[W/(mK)]
λ:オーバーコートの熱伝導率[W/(mK)]
σ :ステファン・ボルツマン定数[W/(m)]
θ:ヒューズエレメントを代表する温度[K]
θ:支持基板を代表する温度[K]
Δθ:通電によるヒューズエレメントの温度上昇値[K]
Δθ:ヒューズエレメントと端子部との温度差[K]
Δθ:ヒューズエレメント支持基板の両表面における温度差[K]
Δθ:オーバーコートの両表面における温度差[K]
Δθ:通電によるヒューズエレメントが融点に達する温度上昇値[K]
数式(1)の左辺は、定積熱容量C、体積Vのヒューズエレメント920をΔθだけ温度上昇させるために必要な熱量を示す。
数式(1)の右辺第1項は、抵抗Rのヒューズエレメント920に電流Iを時間Tだけ通電した場合のジュール発熱を示す。右辺第2項は、ヒューズエレメント920から内部端子931、932を介して外部端子951、952へ伝熱することによる熱損失を示す。右辺第3項は、ヒューズエレメント920から支持基板910へ伝熱することによる熱損失を示す。なお、ヒューズエレメント920と支持基板910との接合界面における両者の温度を同一温度と仮定し、支持基板910の裏面からの対流による熱損失を無視した。右辺第4項は、ヒューズエレメント920からオーバーコート940へ伝熱することによる熱損失を示す。なお、ヒューズエレメント920とオーバーコート940との接合界面における両者の温度を同一温度と仮定し、オーバーコート940表面からの対流による熱損失を無視した。右辺第5項は、ヒューズエレメント920からの放射形態の熱損失を示す。
そして、数式(1)を見ると分かるように、右辺第1項の発熱エネルギーから右辺第2項〜第5項の熱損失エネルギーを引いたエネルギーが、左辺のヒューズエレメント920の吸熱エネルギーと釣り合う。
実際に、ヒューズエレメント920や支持基板910等に関する物性値や形状寸法が決まれば、数式(1)において通電電流Iと通電時間Tを所定の値よりも大きくすることにより、各種熱損失を伴いながらも、ヒューズエレメント920の通電による温度上昇Δθ が、ヒューズエレメント920の融点までの温度上昇Δθmに達して溶断することが想定される。
ここで、数式(1)の右辺第2項〜第5項を全てゼロとし、ヒューズエレメント920が融点に達すると仮定しΔθ=Δθmとすれば、数式(1)は下記の数式(2)となる。
Figure 0006105727
さらに、数式(2)を変形して両辺の常用対数をとると、下記の数式(3)となる。
Figure 0006105727
数式(3)から、熱損失が無い場合には、通電時間Tを横軸(対数目盛りの軸)とし溶断電流Iを縦軸(対数目盛りの軸)とした際の溶断特性曲線は傾斜が−1/2の直線に近づき、溶断電流Iは通電時間Tが大きくなるに従い小さくなると推定される。一方で、熱損失の合計値がゼロでない場合には、溶断特性曲線が−1/2の直線から乖離する。そして、合計値が小さい場合には、乖離が小さくなることで最小溶断電流値も小さくなる一方で、合計値が大きい場合には、乖離が大きくなることで最小溶断電流値も大きくなると推定される。
ところで、ヒューズエレメント920の体積V及び抵抗Rは、それぞれ下記の数式(4)、(5)で示される。
Figure 0006105727
Figure 0006105727
但し、ρは、ヒューズエレメント920の抵抗率を示す。
上記の数式(4)、(5)を数式(1)へ代入して整理すると、下記の数式(6)となる。
Figure 0006105727
ここで、数式(6)の右辺第2項〜第5項を全てゼロとし、ヒューズエレメント920が融点に達すると仮定しΔθ=Δθmとすれば、数式(6)は下記の数式(7)となる。
Figure 0006105727
さらに、数式(7)を変形して両辺の常用対数をとると、下記の数式(8)となる。
Figure 0006105727
数式(8)から、熱損失が無い場合には、通電時間Tを横軸(対数目盛りの軸)とし溶断電流密度(I/A)を縦軸(対数目盛りの軸)として表される溶断電流密度特性曲線も、溶断特性曲線と同様に−1/2の直線に近づき、溶断電流密度(I/A)の値は、通電時間Tが大きくなるに従い小さくなることと推定される。一方で、熱損失の合計値がゼロでない場合には、溶断電流密度特性曲線が−1/2の直線から乖離する。そして、合計値が小さい場合には、乖離が小さくなることで最小溶断電流密度の値も小さくなる一方で、合計値が大きい場合には、乖離が大きくなることで最小溶断電流密度の値も大きくなると推定される。
なお、溶断電流密度は、異なる断面積を有するヒューズエレメント920同士の溶断特性の比較検討に有益であるため、後述する検討において溶断電流密度を活用した。
<3.本願発明に至るまでの検討>
本発明者らは、上述した理論解析に基づき、図1に示す本願発明に係るチップヒューズの構成を導くための様々な検討を行った。以下では、第1〜第4の検討について説明する。
(3−1.第1の検討)
溶断電流や溶断電流密度を小さくするためには、熱損失を小さくする、すなわち前述した数式(6)の右辺第2項〜第5項を微小化することが有効である。そこで、本発明者らは、数式(6)の右辺第2項〜第5項の微小化に取り組み、下記のような実験結果を得た。
まず、右辺第2項の微小化に取り組んだ実験結果について説明する。本実験では、数式(6)においてヒューズエレメント920の長さL以外の因子の値が変動しないように、注意深く実験を行った。
図7は、実験結果を示すグラフである。グラフには、ヒューズエレメント920の長さLを長さLa、Lb、Lcとした場合の実験結果が示されている。なお、長さLa、Lb、Lcは、Lc>Lb>Laの関係を有する。グラフを見ると分かるように、長さLを大きくするに従い、グラフの通電時間Tが小さい領域において傾きが−1/4の直線からの乖離が小さくなると共に、溶断電流密度が低下する。
図8は、図7の実験結果から導いた、ヒューズエレメント920の長さと最小溶断電流密度との関係を示すグラフである。グラフを見ると分かるように、長さLが大きくなると最小溶断電流密度(I/Aminが小さくなると共に、長さLが約600(μm)以上で最小溶断電流密度が飽和する傾向を示すことが確認された。このため、本発明者らは、ヒューズエレメント920の長さLとして600(μm)以上を確保することが必要であると判断した。
次に、右辺第3項の微小化に取り組んだ実験結果について説明する。
前述したように、右辺第3項は、ヒューズエレメント920から支持基板910へ伝熱する熱損失を示す。そこで、本発明者らは、支持基板の熱伝導率λを小さくすれば、熱損失を小さくできると考え、数式(6)において熱伝導率λ以外の因子の値が変動しないように、注意深く実験を行った。
実験においては、支持基板910として、常温で熱伝導率λが約1.5(W/(mK))の無アルカリガラス基板、熱伝導率λが約0.16(W/(mK))のポリイミド基板、熱伝導率λが約0.20(W/(mK))のモンモリロナイトを主成分とした積層粘土基板を用いた。この際、各基板の厚さを、同じ厚さの約50(μm)とした。本実験において、オーバーコート940として、常温で熱伝導率が約0.20(W/(mK))のシリコーン樹脂を主体としたオーバーコートを使用した。
なお、ポリイミド基板及び無アルカリガラス基板の熱伝導率λは、レーザフラッシュ法にて測定して求められた。積層粘土基板の熱伝導率λは、熱拡散率κを温度波熱分析法にて、定圧比熱CをDSC(Differential Scanning Calorimetry)法にて測定し、式λ=κ×C×a(aは密度)から算出して求められた。
図9は、実験結果を示すグラフである。グラフを見ると分かるように、ポリイミド基板(図9のPI基板)及び積層粘土基板(C基板)の場合の溶断特性が、無アルカリガラス基板(G基板)の場合の溶断特性に比べて、通電時間Tが小さい領域において傾き−1/3の直線からの乖離が軽減されると共に、溶断電流密度が低下することが確認できた。このため、本発明者らは、支持基板の熱伝導率λを常温で約0.30(W/(mK))以下とする必要がある、望ましくは0.20(W/(mK))以下が好適であると判断した。
次に、右辺第4項の微小化に取り組んだ実験結果について説明する。
前述したように、右辺第4項は、ヒューズエレメント920からオーバーコート940へ伝熱する熱損失を示す。そこで、本発明者らは、オーバーコート940の熱伝導率λを小さくすれば、熱損失を小さくできると考え、数式(6)において熱伝導率λ以外の因子の値が変動しないように、注意深く実験を行った。
実験においては、オーバーコート940として、常温で熱伝導率λが約1.0(W/(mK))の低融点ガラスを含むオーバーコート(以下、Gコート)、熱伝導率λが約0.5(W/(mK))のエポキシ樹脂と無機材料からなるオーバーコート(以下、EPコート)、熱伝導率λが約0.2(W/(mK))のシリコーン樹脂を主体としたオーバコート(以下、Siコート)を用いた。本実験において、支持基板910として、ポリイミド基板を使用した。
図10は、実験結果を示すグラフである。グラフを見ると分かるように、オーバーコート940の熱伝導率λが小さくなる(具体的には、約1.0(W/(mK))から0.2(W/(mK))へ小さくなる)に従い、通電時間Tが小さい領域において傾き−1/3の直線からの乖離が軽減されると共に、溶断電流密度が低下することが確認できた。
ところで、本発明者らは、上記の実験を通じて、支持基板910の熱伝導率λの値とオーバーコートの熱伝導率λの値とを、両者に大きな差が無い範囲で抑制することが、前述した傾き−1/3の直線からの乖離の軽減、及び溶断電流密度の低下に効果的であることを発見した。例えば、熱伝導率λを小さくしても熱伝導率λを小さくしない場合には、効果は限定的であった。同様に、熱伝導率λを小さくしても熱伝導率λを小さくしない場合にも、効果は限定的であった。熱伝導率λと熱伝導率λをほぼ同じ値で、かつ小さくすることが、最も効果的であった。
このため、本発明者らは、熱伝導率λ及び熱伝導率λを常温で約0.30(W/(mK))以下とする必要がある、望ましくは0.20(W/(mK))以下が好適であると判断した。
(3−2.第2の検討)
本発明者らは、数式(6)の右辺第3項〜第5項に含まれる(AS1/V)、(AS2/V)及び(A/V)に着目した。本発明者らは、(AS1/V)、(AS2/V)及び(A/V)を小さくできれば、第3項〜第5項が小さくなるので、右辺第1項の溶断電流密度(I/A)も小さくできると判断した。
ここで、Vはヒューズエレメント920の体積であり、Aはヒューズエレメント920の表面積であるので、A/Vは、ヒューズエレメント920の比表面積(単位体積当たりの表面積)を表す。また、AS1はヒューズエレメント920が支持基板910に接触している面積であり、AS2はヒューズエレメント920がオーバーコート940に接触している面積であるので、(AS1/V)、(AS2/V)も、比表面積A/Vと同じ次元[ /長さ]を有する。以下では、ξ=A/V、ξ=AS1/V、ξ=A S2/Vとし、説明の便宜上これらを総称して比表面積と呼ぶ。
図4〜図6で示したように、ヒューズエレメント920は、厚さt、幅w、長さLで、t≦wの関係となる短冊形状となっている。そして、ヒューズエレメント920の体積Vは「V=t×w×L」であり、表面積Aは「A=2(w+t)×L」であり、ヒューズエレメント920の比表面積ξは、下記の数式(9)となる。
Figure 0006105727
同様に、支持基板910は、ヒューズエレメント920の底面と接触しているので、接触面積AS1は「AS1=w×L」であるので、比表面積ξは、下記の数式(10)となる。
Figure 0006105727
また、オーバーコート940は、ヒューズエレメント920の上面及び幅方向の二つの側面と接触しているので、接触面積AS2は「AS2=(2t+w)×L」である。このため、比表面積ξは、下記の数式(11)となる。
Figure 0006105727
数式(9)〜(11)を見ると分かるように、比表面積ξ、ξ、ξの増加を抑えるためには、厚さtを必要以上に小さくしないことが重要である。また、比表面積ξ、ξについては、t/wの比率も配慮することが必要である。
図11は、ヒューズエレメント920の幅wを10(μm)とした場合の、ヒューズエレメント920の厚さtと比表面積ξ、ξ、ξとの関係を示すグラフである。比表面積ξを例に挙げて説明すると、厚さtが0.1(μm)から3.0(μm)へ変化すると、比表面積ξは約21(/μm)から約0.87(/μm)へ変化する。他の比表面積ξ、ξも同様の傾向を示し、厚さtの微小化に伴い比表面積が増大することが分かった。
本発明者らは、幅wが10(μm)で、厚さtが0.1(μm)〜3.0(μm)であるヒューズエレメント920を組み込んだチップヒューズ900を製作し、溶断実験を行った。実験結果から、図12に示すような相関関係を示すグラフが導かれた。
図12は、ヒューズエレメント920の厚さtと、最小溶断電流及び通電断面積との関係を示すグラフである。なお、図12のグラフの左側縦軸の目盛も、対数目盛である。グラフを見ると分かるように、ヒューズエレメント920の通電断面積Aは、厚さtの微小化に比例して低下する。一方で、厚さtの微小化に伴い最小溶断電流Iminは低下するが、厚さtが小さくなるほど最小溶断電流Iminの低下率は飽和する傾向にあり、厚さtが0.1(μm)以下では最小溶断電流Iminがほとんど低下しないことが分かった。
また、本発明者らは、上記の実験から、図13と図14に示すような相関関係を示すグラフを導いた。
図13は、ヒューズエレメント920の厚さtと、最小溶断電流密度(I/Amin及び比表面積ξとの関係を示すグラフである。グラフを見ると分かるように、厚さtの減少に比例して、比表面積ξ及び最小溶断電流密度(I/Aminが増加する。このように、前述した解析結果を裏付ける実験結果が得られた。
図14は、比表面積ξと最小溶断電流密度(I/Aminとの関係を示すグラフである。グラフを見えると分かるように、比表面積ξと最小溶断電流密度(I/Ami nとの間には明確な相関関係があり、最小溶断電流密度(I/Aminの増大を抑制するためには比表面積ξの増大を抑えることが必要であることが分かった。なお、上記では説明を省略しているが、比表面積ξ、ξについても、比表面積ξと同様なことが言えることが分かった。
本発明者らは、上述した第1及び第2の検討から、最小溶断電流密度(I/Aminの微小化の実現のための熱損失の抑制には、ヒューズエレメント920の長さLの確保、支持基板910の熱伝導率λとオーバーコート940の熱伝導率λとを所定値以下にすると共に、比表面積ξ〜ξを所定範囲内(具体的には、21( /μm)以下)にする必要があることを知見として得た。
また、上述した厚さtと比表面積ξ〜ξの範囲を考慮すると、図13及び図14から分かるように、最小溶断電流密度(I/Aminは、4.0×106(A/cm2)以下となる。望ましくは、最小溶断電流密度(I/Aminが、3.5×106(A/cm2)以下であることが好ましい。
(3−3.第3の検討)
本発明者らは、更に、最小溶断電流Iminの微小化に取り組んだ。
最小溶断電流Iminは、最小溶断電流密度(I/Amin及び通電断面積Aを用いると、下記の数式(12)のように表される。
Figure 0006105727
数式(12)から分かるように、最小溶断電流Iminの微小化、すなわちチップヒューズ900の低容量化のためには、最小溶断電流密度(I/Aminの微小化と、通電断面積Aの微小化とが有効である。通電断面積Aの微小化に伴って比表面積ξ〜ξが増大することが考えられるため、本発明者らは、比表面積ξ〜ξを極力増大させずに通電断面積Aを微小化する取り組みを行った。
比表面積ξ〜ξの値は、前述した数式(9)〜(11)で説明したように、ヒューズエレメント920の厚さt及び幅wの値に応じて変化する。そこで、本発明者らは、所定の通電断面積を有するヒューズエレメント920の幅w、厚さt、比表面積ξ〜ξの相関関係を検討した。
図15は、所定の通電断面積(ここでは、1(μm))を有するヒューズエレメント920の幅w、厚さt、比表面積ξ〜ξの相関関係を纏めた表である。表に示すように、t≦wの条件において、比表面積ξ〜ξの値は、断面形状であるt/w比が0.0001から1の正方形に近づくと、最小値に近づくことが分かる。このため、所定の通電断面積を確保し、かつ比表面積ξ〜ξの増大を抑制するためには、t/w比が極力1に近い値となることが有効である。
本発明者らは、t/w比が実際に最小溶断電流密度(I/Aminに与える影響について、試験サンプルを用いて実験をした。実験結果を図16に示す。
図16は、t/w比と最小溶断電流密度(I/Aminとの関係を纏めた表である。試験サンプルとして、それぞれ通電断面積がほぼ同一で、断面形状(t/w比)が異なる3つのサンプルを用いた。表に示すように、t/w比が大きいほど、すなわち1に近づくほど、最小溶断電流密度(I/Aminが小さくなることが確認された。
上記の実験結果を考察すると、最小溶断電流Iminの微小化のためには、t/w比を管理することが重要であり、t/w比が「0.01<t/w≦1」の関係を満たすことが特に有効であることが判明した。
(3−4.第4の検討)
チップヒューズ900においては、ラッシュ電流(突入電流とも呼ばれる)に耐えて溶断しないという耐ラッシュ性が要求されている。
ラッシュ電流とは、電気回路の電源のオン・オフの際に発生する電流である。ラッシュ電流は、例えば電気回路に挿入されているコンデンサの充放電に起因して発生する場合が多い。ラッシュ電流により、本来ならば溶断されない筈のチップヒューズ900が溶断してしまうことがある。
図17は、ラッシュ電流と溶断特性曲線との関係を説明するための図である。
ラッシュ電流は、スパイク状の電流波形で、電流ピークが高く、通電時間が短い特徴を有する。図17では、ラッシュ電流のパルス幅がTで、電流値がIであるものとした場合に、パルス幅Tが溶断特性の横軸に相当し、電流値Iが縦軸に相当するものとして図示した。
図17には、チップヒューズ900の溶断特性曲線が示されているが、この溶断特性曲線は、図3に示す本実施形態に係るチップヒューズ1の溶断特性曲線とは異なり、通電時間Tが小さくなる部分での曲線の傾きが緩やかである。このため、チップヒューズ900の通電電流がほぼ水平となる最小溶断電流を小さくしようとすると、通電時間Tが小さくなる部分での通電電流の値も小さくなる。このため、図17に示すように、通電時間Tが小さい場合(具体的には、通電時間Tよりも小さい場合)には、ラッシュ電流が溶断特性曲線を上回ってしまい、チップヒューズ900が溶断してしまう。なお、チップヒューズ900の溶断特性曲線の傾きが緩やかになるのは、前述したように熱損失が原因である。このため、チップヒューズ900の耐ラッシュ性を高めるためには、熱損失の軽減が有効である。
一方で、前述した検討によれば、ヒューズエレメント920の微小化によりチップヒューズ900の低容量化を実現できるが、比表面積ξ〜ξが増大することに起因して熱損失が増大し(数式(6)参照)、耐ラッシュ性が低下することが判明した。すなわち、チップヒューズ900の低容量化と耐ラッシュ性の向上とが、相反する関係にあると言える。
そこで、本発明者らは、考察を重ねて、チップヒューズ900の低容量化と耐ラッシュ性の向上とを両立するためには、ヒューズエレメント920の断面形状に工夫の余地があることを発見した。
比表面積ξ〜ξの増大を抑制するためには、ヒューズエレメント920の断面形状を正方形(w=t)とすることが理想である。例えば100(mA)の最小溶断電流を実現するために必要な通電断面積は、約6(μm)であり、かかる場合に正方形の一辺の長さ(厚さt、幅w)は、約2.45(μm)である。そして、100(mA)以下の最小溶断電流を実現するためには、厚さtは約2.45(μm)以下が望ましい。一方で、比表面積ξ〜ξを21( /μm)以下とするための厚さtの下限値は、約0.1(μm)である。
このため、100(mA)以下の最小溶断電流を実現するための厚さtは、0.1(μm)〜2.45(μm)であることが望ましいことが判明した。なお、詳細は後述するが、ヒューズエレメント920の生産性を確保するためには、厚さtは、0.1(μm)〜3.0(μm)であることが望ましい。
上述した第1〜第4の検討事項を適用できれば、低容量化と耐ラッシュ性が向上したチップヒューズを実現できることが判明した。
前述した図1〜図3に示す本実施形態に係るチップヒューズ1は、第1〜第4の検討事項を適用したものである。すなわち、チップヒューズ1は、ヒューズ膜20の長さLを所定長さ以上確保し、熱伝導率λ及び熱伝導率λが所定値以下に抑えられ、比表面積ξ 〜ξが所定値以下に抑えられている。
ここで、図3を参照して、チップヒューズ1の低容量化と耐ラッシュ性について説明する。従来のチップヒューズにおいては、最小溶断電流値を100(mA)以下にすることが困難であった。これに対して、本実施形態によれば、図3で説明したように、C点における通電電流Iminは85(mA)であり、最小溶断電流が100(mA)以下となっているので、チップヒューズ1の低容量化を実現できている。
また、A点における通電電流Iは300(mA)であるため、I/Iminは約3.5であり、ラッシュ電流に対する高い耐ラッシュ性を確保できている。さらに、図3に示すような溶断特性曲線を代表する二点であるA点とD点を結んで直線A−Dとした場合に、従来の最小溶断電流が小さいチップヒューズではA点における通電電流Iも小さくなるため、直線A−Dの傾きが−1/3よりも緩やかであった。これに対して、本実施形態によれば、直線A−Dの傾きが約−1/3よりも急となり、チップヒューズ1の耐ラッシュ性が、二重に確認できる。
以上から、チップヒューズ1は、100(mA)以下の最小溶断電流を達成しつつ、耐ラッシュ性が向上したものとなっている。
<4.チップヒューズの製造方法>
図18を参照しながら、チップヒューズ1の製造方法の一例について説明する。
図18は、チップヒューズ1の製造工程を示すフローチャートである。チップヒューズ1の製造工程は、図18に示すように、液膜形成工程、乾燥工程、焼成工程、洗浄工程、後工程、検査工程を含む。以下では、工程毎に説明する。
(液膜形成工程S102)
集合基板100の主面である表面102(図19参照)上に、金属ナノ粒子が分散された分散液の液膜を形成する。具体的には、不図示のスピンコータを使用して、金属ナノ粒子を含むインクを集合基板100の表面102全体に所定の厚さだけ形成した。これにより、表面102上にインク膜が形成される。
金属ナノ粒子としては、例えば銀ナノ粒子が用いられる。銀ナノ粒子の平均粒子径は、約15(nm)である。また、インク(銀ナノインク)の銀ナノ粒子の含有量は、例えば約50(wt%)である。なお、銀ナノ粒子の含有量は、上記に限定されず、例えば20〜60(wt%)であってもよい。
図19は、集合基板100上に形成されたインク膜110を示す模式図である。本実施形態では、チップヒューズを大量に生産できるように、複数のチップヒューズ1の支持基板に相当する集合基板100上に、インク膜110が形成されている。集合基板100としては、厚さが約250(μm)、表面粗さRaが約0.05(μm)、熱伝導率が約0.2(W/(mK))のポリイミド基板が用いられている。なお、ポリイミド基板の熱伝導率の測定は、公知のレーザフラッシュ法が用いられている。
(乾燥工程S104)
乾燥工程S104では、集合基板100上のインク膜110を乾燥させる。具体的には、送風加熱炉を使用して集合基板100を例えば約70℃の温度で約1時間以下の乾燥を行い、集合基板100上に厚さが一様な乾燥したナノ銀インク膜を形成する。
(焼成工程S106)
焼成工程においては、集合基板100上のインク膜110にレーザ照射装置によってレーザ光をインク膜110に照射することで焼成し、ヒューズ膜及び内部端子群を形成する。以下では、焼成工程を説明する前に、レーザ照射装置の構成について説明する。
図20は、レーザ照射装置200の構成の一例を示す模式図である。レーザ照射装置200は、制御部210と、レーザ出力部220と、光学部230と、可動テーブル240と、テーブル駆動装置245と、検出部250とを有する。
制御部210は、レーザ照射装置200の動作全体を制御する。例えば、制御部210は、ヒューズ膜の形状及び位置に関するCAD情報をパーソナルコンピュータから受け取ると、可動テーブル240の移動とレーザ光の照射とを制御して、集合基板100上のインク膜に相対的な走査速度でレーザ光を照射する。また、制御部210は、レーザ光の走査速度や照射強度を調整する。
レーザ出力部220は、電源222と、レーザ発振器224とを含む。レーザ発振器224は、電源222からの出力に応じて、レーザ光を連続発振する。レーザ光は、例えば波長が1064(nm)のNd−YAGレーザである。また、レーザ光のスポット径φ(L)は、例えば10(μm)である。また、レーザ光の平均照射強度は、例えば3.0×10〜5.0×10(W/cm2)である。
光学部230は、ミラー232と、光学フィルター234と、レンズ236と、を含む。
ミラー232は、レーザ光の照射方向を調整する。光学フィルター234は、レーザ光の光量を減衰させる機能を有する。光学フィルター234は、例えばND(Neutral Density)フィルターである。レンズ236は、光学フィルター234で減衰されたレーザ光を集光する。
上記の光学フィルター234を用いることで、レーザ光の照射条件(例えば、照射強度)の選択範囲が広がる。例えば、平均照射強度を3.0×10〜5.0×10(W/cm2)に制御する場合において、電源222の電圧を所定値以下に絞るとレーザ光の発振が不安定となる場合があり、インク膜の焼成に支障をきたす。かかる問題に対して、レーザ光の光量の減衰が有効であるため、光学フィルター234を用いている。また、光学フィルター234は、着脱自在に装着されている。これにより、特性が異なる光学フィルターの中から適切な光学フィルター234を選択して装着できる。
可動テーブル240は、X−Y方向に移動可能である。可動テーブル240は、基板吸着部を有し、集合基板100を吸着保持する。
テーブル駆動装置245は、可動テーブル240をX方向及びY方向にそれぞれ独立に移動させる独立駆動方式である。
検出部250は、例えばCCDカメラであり、集合基板100上のレーザ光の照射状態を検出する。
以上、レーザ照射装置200の構成を説明した。次に、レーザ照射装置200を用いた焼成工程の具体的な流れについて、図21及び図22を参照して説明する。
図21は、焼成工程の詳細を示すフローチャートである。図22は、焼成後の集合基板100を示す図である。なお、図22には、焼成後の一つのチップヒューズに対応するヒューズ膜と内部端子群とを含むサブ組立体118が、模式的に示されている。
焼成工程において、まず、表面にインク膜が形成された集合基板100を、可動テーブル240に吸着固定する(ステップS132)。
次に、集合基板100上のインク膜の隅にレーザ光を照射して、図21に示すようなアライメントマーク115a、115b、115cを形成する(ステップS134)。形成されたアライメントマーク115a〜115cの形状は、例えば略十字状である。ここで、アライメントマークとは、複数のヒューズ膜を集合基板100に形成する形成位置を調整するための位置調整マークである。
次に、検出部250により3つのアライメントマーク115a〜115cを読み取り、読み取ったアライメントマークの位置を基準として集合基板100のX方向とY方向を決め、同時に原点も決定する(ステップS136)。ここでは、アライメントマーク115aを原点とする。
次に、インク膜110にレーザ光を照射して、複数のヒューズ膜120を形成する(ステップS138)。この際、アライメントマーク115aの位置(原点)に基づいて、複数のヒューズ膜120を形成する。すなわち、制御部210は、ヒューズ膜120の形状と、原点(アライメントマーク115aの位置)を基準としてヒューズ膜120の位置とに関するCAD情報をパーソナルコンピュータから受け取って、可動テーブルの移動及びレーザ光の照射の制御を行う。例えば、約3〜90(mm/sec)の走査速度でインク膜110の表面に対してほぼ垂直にレーザ光を照射して、複数のヒューズ膜120を形成する。このように、インク膜110のうちレーザ光が照射されて焼成された部分が、ヒューズ膜120となる。
本実施形態では、レーザ光をインク膜110に対して一回走査させることで、レーザ光のスポット径に対応する幅の直線状ヒューズ膜120を形成する。これにより、ヒューズ膜120を短時間で大量に形成することが可能となる。形成されたヒューズ膜120は、X方向へ伸びる直線状の形状となっている。ヒューズ膜120の幅wは、例えば10(μm)であり、レーザ光のスポット径φ(L)とほぼ同じ大きさである。ヒューズ膜120の厚みtは、例えば0.35(μm)である。
レーザ光の照射後(すなわち焼成後)のヒューズ膜120の厚み(第2厚み)は、レーザ光の照射前のインク膜110の厚み(第1厚み)よりも小さくなる。第1厚みと第2厚みの対応関係については、予め実験等で解析されているため、前述したステップS102のインク膜110の形成工程において、第1厚みと第2厚みの対応関係に基づいて、第1厚みを調整してインク膜110が形成される。これにより、焼成後のヒューズ膜120を所望の厚みに適切に管理できる。
また、本実施形態では、制御部210は、インク膜110の厚みに応じて、レーザ光の照射速度及び照射強度の少なくとも一方を調整して、インク膜110レーザ光を照射してもよい。これにより、インク膜110の厚みが変動しても、所望の厚みのヒューズ膜120を形成できる。
また、本実施形態では、前述したようにレーザ発振器224から発振されたレーザ光を減衰用の光学フィルター234で減衰し、減衰されたレーザ光をインク膜110に照射する。レーザ光の発振は、電源222の電圧を所定値よりも小さくすると、不安定となりやすい。そこで、電源222の電圧を必要以上に小さくする代わりに、光学フィルター234によって光量を減衰させることで、所望の照射強度を確保することが可能となる。これにより、レーザ光の発振が不安定になることを抑制できるので、インク膜110の焼成への悪影響を抑制できる。
なお、上記では、直線状のヒューズ膜120を形成することとしたが、これに限定されず、例えば曲線状のヒューズ膜を形成してもよい。曲線状のヒューズ膜は、光学部230にガルバノミラーを設けてレーザ光を走査することで、形成可能である。また、直線と曲線を組み合わせたヒューズ膜を形成してもよい。これにより、多様な形状のヒューズ膜120を有するチップヒューズを製造できる。
次に、インク膜110にレーザ光を照射して、内部端子群130を形成する(ステップS140)。具体的には、可動テーブル240(図20)を図23に示すX方向に移動させながら、ヒューズ膜120の長手方向(X方向)に伸びる線状の複数の内部端子131d、131e、132d、132eを形成する。なお、内部端子131d、131e、132d、132eは、X方向に伸びるヒューズ膜120と同じタイミングで形成することが望ましい。次に、可動テーブル240をY方向に移動させながら、ヒューズ膜120の長手方向(X方向)と直交する直交方向(Y方向)に伸びる線状の複数の内部端子131a〜131c、132a〜132cを形成する。
図23は、ヒューズ膜120に対する内部端子群130の形成状態を示す図である。なお、図23では、一つのサブ組立体118を構成するヒューズ膜120及び内部端子群130が直線状に伸べて、他のサブ組立体118のヒューズ膜及び内部端子群と繋がるように示されている。ヒューズ膜120及び内部端子群130のサブ組立体118の領域からはみ出ている部分は、サブ組立体118が集合基板100から切り出される際に切除される。なお、ヒューズ膜120及び内部端子群130は、図23とは異なり、サブ組立体118からはみ出ないように形成されてもよい。
図23を見ると分かるように、ヒューズ膜120のサブ組立体118の長手方向の両端側に、長手方向において互いに離隔した複数の内部端子を含む内部端子群130が、それぞれ形成されている。2つの内部端子群130は、それぞれ同一形状の3つの内部端子131a〜131c及び内部端子132a〜132cを含む。また、内部端子群130は、それぞれ離隔した内部端子131a〜131cを接続する内部端子131d、131eと、内部端子132a〜132cを接続する内部端子132d、132eとを含む。
本実施形態の内部端子群130の複数の内部端子の各々は、ヒューズ膜120形成時と同じ照射条件で、形成される。このため、内部端子群130の内部端子(内部端子131aを例に挙げて説明する)の幅wは、ヒューズ膜120の幅と同じ大きさである。また、内部端子131aの厚みも、ヒューズ膜120の厚みと同じ大きさである。このため、本実施形態によれば、ヒューズ膜120と同様に微小な断面形状を有する内部端子131aを形成できる。
また、本実施形態では、焼成工程の中でヒューズ膜120及び内部端子群130を形成しているので、ヒューズ膜と内部端子とを別工程で形成する場合に比べて、ヒューズ膜120に対して内部端子群130を高精度に形成できる。また、ヒューズ膜120及び内部端子群130の断面形状を容易に同一にすることが可能となる。
(洗浄工程S108)
図18に戻り、洗浄工程においては、焼成工程でレーザ光を照射していないインクを洗い流し、乾燥させる。なお、洗浄方法としては、例えばイソプロピルアルコール溶液による超音波洗浄が用いられる。
洗浄後に、内部端子131aと内部端子132aとの間の電気抵抗Rを測定してもよい。測定した電気抵抗Rを用いて、下記の式(13)から抵抗率ρを求めることができる。本実施例では、抵抗率ρは、4.5(μΩcm)である。なお、電気抵抗Rの測定は、公知の四端子法を用いた。
Figure 0006105727
(後工程S110)
後工程においては、主にオーバーコート及び外部端子の形成を行う。以下では、図24を参照しながら、後工程の具体的な流れについて説明する。
図24は、後工程の詳細を示すフローチャートである。
まず、サブ組立体118上にオーバーコート140を形成する(ステップS152)。オーバーコート140は、前述した原点(アライメントマーク115aの位置)を基準に集合基板100上の各サブ組立体118の位置を割り出して、形成される。具体的には、図25に示すように、ヒューズ膜120の長手方向の中央側を覆うようにオーバーコート140を形成する。
図25は、サブ組立体118上にオーバーコート140を形成した状態を示す図である。オーバーコート140は、ヒューズ膜120に加えて内部端子群130のうちの最も中央側に位置する内部端子131a、132aも覆うように、形成される。すなわち、オーバーコート140は、ヒューズ膜120の長さLを規定する内部端子131a、132aに跨る範囲L1を覆う。
オーバーコート140は、主にシリコーン樹脂からなり、熱伝導率が常温で約0.2(W/mK)である。オーバーコート140は、例えばスクリーン印刷を用いて形成される。具体的には、印刷後に樹脂を所定温度で硬化することで、オーバーコート140が形成される。形成後のオーバーコート140の厚みは、約40(μm)である。
次に、オーバーコート140が形成されたサブ組立体118を、集合基板100から切り出す(ステップS154)。
次に、サブ組立体118の長手方向両端部に、内部端子と接続する外部端子151、152を形成する(ステップS156)。具体的には、図26に示すように、内部端子群130のオーバーコート140で覆われていない内部端子と接続するように外部端子151、152を形成する。外部端子151、152は、例えば主に銀で構成されている。
図26は、外部端子151、152を形成した状態を示す図である。図26に示すように、外部端子151は、内部端子131a〜131cのうちの長手方向の一端側に位置する内部端子131b、131cと接続するように形成されている。同様に、外部端子152は、内部端子132a〜132cのうちの長手方向の他端側に位置する内部端子132b、132cと接続するように形成されている。なお、外部端子151は、内部端子131b、131c全体を覆い、外部端子152は、内部端子132b、132c全体を覆う。そして、外部端子151及び外部端子152は、一部がオーバーコート140上に位置するように形成されている。
外部端子151、152を形成することで、製品形態のチップヒューズ1となる。次に、オーバーコート140の表面に、捺印を行う(ステップS158)。なお、オーバーコート140へ捺印したあと、外部端子151、152にNiメッキ又はSnメッキを施してもよい。
図27は、オーバーコート140への捺印を説明するための図である。オーバーコート140の表面に、例えば図27に示すように文字が捺印される。ただし、これに限定されず、文字に代えて、又は文字と共に、記号や数字を捺印してもよい。
(検査工程S112)
図18に戻り、検査工程においては、チップヒューズ1の抵抗等を検査する。検査後に、チップヒューズ1は、梱包し出荷される。これにより、チップヒューズ1の一連の製造工程が完了する。
上述したチップヒューズの製造方法によれば、金属ナノ粒子を含有するインク膜110を焼成してヒューズ膜120を形成している。
かかる場合には、ヒューズ膜のパターン化下地処理やパターン化マスク等を使用せず、ヒューズ膜に錫等の低融点金属を付加せずに、最小溶断電流100mA以下、および溶断特性において所定の耐ラッシュ性を確保した薄膜チップヒューズを実現することができる。また、インク膜110に対してレーザ光を照射・走査することでヒューズ膜120を形成するので、ヒューズ膜120を安価かつ大量に製造することが可能となる。
また、複数のヒューズ膜120を連続して形成した後にヒューズ膜120に直交するように内部端子群130を接続し形成したので、ヒューズ膜120の通電に関する信頼性を向上できる。さらに、ヒューズ膜120及び内部端子群130の形成を同じ焼成工程で実施することにより、生産効率を向上することができた。
なお、上述した実施形態においては、ステップS102が液膜形成ステップに該当し、ステップS134がマーク形成ステップに該当し、ステップS138がヒューズ膜形成ステップに該当し、ステップS140が第1端子形成ステップに該当し、ステップS152が被覆部形成ステップに該当し、ステップS156が第2端子形成ステップに該当する。
<5.インク膜の焼成に関する検討>
本発明者らは、インク膜を焼成してヒューズ膜120を形成する焼成工程について、様々な検討を行い、検討結果を踏まえて上述した製造方法に至った。そこで、以下においては、検討内容について説明する。
上述したチップヒューズの製造方法によれば、チップヒューズ1のヒューズ膜120を、インク膜110を焼成することで形成した。一方で、100(mA)以下の溶断に対応するチップヒューズ1のヒューズ膜120の厚さtは、0.1(μm)以上2.45(μm)以下である。ただし、比表面積の増大を極力抑えながら生産性を確保する観点から、0.1(μm)〜3.0(μm)の厚さtに対応する必要がある。そこで、本発明者は、インク膜110の厚さを管理することにより、焼成後のヒューズ膜の厚さを管理する手法を発見した。
図28は、焼成前のインク膜110の厚さt(i)と、焼成後のヒューズ膜120の厚さtとの関係を示すグラフである。インク膜110は、ここでは、銀ナノ粒子を含有するインク膜であり、ポリイミド基板上に形成されているものとする。グラフを見ると分かるように、インク膜110の厚さt(i)とヒューズ膜120の厚さtとには比例関係があり、焼成前の厚さt(i)を管理することで焼成後の厚さtを管理することができる。
なお、スピンコータの代わりにインクジェットを用いた実験においても、同様な結果が得られた。また、フレキソ印刷やグラビア印刷などの他の印刷方法においても、インク膜110の厚さt(i)を管理することにより焼成後のヒューズ膜120の厚さtを管理できることが確認できた。なお、焼成は、レーザ光の照射による焼成だけでなく、送風炉による焼成の場合にも同様のことが確認できた。
また、本発明者らは、ヒューズ膜120の幅wを管理する方法について検討を行った。
本発明者らは、金属ナノ粒子を含むインクは、プラズモン吸収特性を広範囲の波長域(例えば照射光の波長が300nm〜1200nm)に有しているため、適切な波長と強度を有するレーザ光の照射を行えば、焼成できると考えた。また、本発明者らは、レーザ光の照射強度はスポット径φ(L)を絞り込めば増大する点、及びレーザ光のスポット径は波長で代表される微細な径まで絞ることができる点に着目した。そして、本発明者らは、微細なスポット径を有するレーザ光をインクに照射し走査することで、レーザ光のスポット径に対応するヒューズ膜120の幅を実現できるのではないかと考え、これらの実現に向けて鋭意努力を行った。
まず、スポット径φとヒューズ膜120の幅wとの関係を確認するための実験を行った。実験においては、平均粒子径が約3〜30(nm)の金属ナノ粒子を含有するインクを支持基板に印刷して乾燥した後に、波長が1064(nm)のNd−YAGレーザ光を平均照射強度3.0×10〜5.0×10(W/cm)、または波長が532(nm)のNd−YAGレーザ高調波を平均照射強度2.0×10〜7.0×10(W/cm )で、かつ走査速度を3〜90(mm/s)として、インク膜に照射した。実験結果を、図29に示す。
図29は、レーザ光のスポット径φと、ヒューズ膜120の幅wとの関係を示すグラフである。グラフに示すように、焼成後のヒューズ膜120の幅wは、スポット径φと比例関係を有する。なお、スポット径φは、ビームプロファイラーにより測定し、またはレーザ光を実際に基板に照射して加工された痕跡形状を測定するなどして求めた。
ここで、上記の実験における因子の数値範囲について説明する。
金属ナノ粒子の粒子径は、分散安定性確保の面から上限を30(nm)とし、また下限値の3(nm)は、現実に安定して入手できる金属ナノ粒子の平均粒子径の範囲から定めている。
波長が1064(nm)のNd−YAGレーザ光の平均照射強度が3.0×10(W/cm)より小さいと、インクを十分に焼成できず、支持基板への密着と不十分となる。反対に、平均照射強度が5.0×10(W/cm)より大きいと、焼成の過程で、金属粒子が飛散又は蒸発したり(以下、金属粒子アブレーションとも呼ぶ)、支持基板が熱的に変形したりしてしまい(以下、基板アブレーションとも呼ぶ)、ヒューズ膜120を適切に形成できない恐れがある。このため、波長が1064(nm)のNd−YAGレーザ光の平均照射強度を3.0×10〜5.0×10(W/cm)と設定した。
波長が532(nm)のNd−YAGレーザ高調波は、1064(nm)のNd−YAGレーザ光よりもナノメタルのプラズモン吸収効率が高いので、その分、平均照射強度を低くする必要がある。そこで、平均照射強度2.0×10〜7.0×10(W/cm )と設定した。
ところで、インクを適切に焼成するためには、レーザ光の平均照射強度に加えて、レーザ光の走査速度も大きく関与する。例えば、レーザ光の走査速度が90(mm/s)を超えると、インクを適切に焼成することができず、照射強度を大きくしても対応できなかった。このため、レーザ光の走査速度についても、適切な範囲に設定することが望ましい。特に、インク膜の厚みやレーザ光のスポット径等も考慮して、適切な範囲の走査速度及び照射強度を組み合わせることが重要である。
本発明者らは、熱力学等の知見を本実施形態に応用した。
インク膜110の表面に所定の照射強度を有するレーザ光を照射して、表面から加熱し焼成する系において、インク膜110の厚さ方向の平均的な熱の及ぶ距離L(L)は、下記の数式(14)となる。
Figure 0006105727
なお、κはインク膜110の厚さ方向の平均的な熱拡散率、τは代表的なレーザ光の照射時間、α、βはα>0、β>0なる所定数、K1は比例定数である。
照射するレーザ光のスポット径をφ(L)とし、レーザ光の相対的な走査速度をV(L)とすれば、レーザ光を連続発振モードでインク膜110を照射する本実施形態に係る代表的なレーザ光の照射時間τは、下記の数式(15)となる。
Figure 0006105727
なお、Kはレーザ照射ビームの形状等に関する補正係数である。
数式(15)を数式(14)に代入すると、数式(16)となる。
Figure 0006105727
数式(16)によれば、熱の及ぶ距離L(L)は、κ、φ(L)、V(L)の各因子によって決まり、各因子の値には組み合わせが存在することを意味する。すなわち、熱拡散率κおよびスポット径φ(L)を固定した場合、距離L(L)は走査速度V(L)によって決まると考えられる。本実施形態においては、距離L(L)がインク膜110を焼成する厚さを代表するものと考えると、インク膜110の厚さと平均的な熱拡散率κが固定された場合においては、走査速度V(L)は、スポット径φ(L)に見合って選定する必要があると考えられる。
また、スポット径φ(L)と走査速度V(L)とを変化させた場合のインク膜110の焼成される厚さt(L)を確認した結果、距離L(L)はt(L)と強い相関があることが判明した。すなわち、ナノメタルの厚さ方向の平均的な熱の及ぶ距離L(L)は、t(L)を代表しているものと考えられる。
なお、ヒューズ膜120の厚さtが約3.0(μm)より大きいと、走査速度を極めて低くして焼成する必要が生じるので、本実施形態においては実用的でないと判断した。一方、厚さtが約0.1(μm)より小さいと、たとえ走査速度を大きくしてもインク膜110の焼成が不安定となり、基板アブレーションが発生し、ヒューズ膜120を形成することが出来なかった。
本実施形態では、インク膜110の表面だけでなく、インク膜110と支持基板との接合界面までしっかりと焼成を行い、かつ金属粒子アブレーションや基板アブレーションなどの不都合が生じないようにしている。また、支持基板を、ポリイミド基板に比べて耐熱性の高い積層粘土基板とした場合には、基板アブレーションが生じ難くなり、レーザ光の照射強度などの焼成条件の緩和に一定の効果がある。
<6.変形例>
なお、上記では、スピンコータを使用して金属ナノ粒子を含有するインクを集合基板100の表面102(図19参照)全体に印刷したが、これに限定されず、例えばインクジェットプリンタ等を利用して、ヒューズ膜120を形成する部位にインクを印刷してもよい。
また、上記では、内部端子群130をインク膜110にレーザ光を照射して形成することとしたが、これに限定されない。例えば、内部端子群130を、スクリーン印刷等の他の方法を活用して形成してもよい。
また、上記では、外部端子51、52が、それぞれ内部端子群31、32の内部端子と接触して、電気的に接続されていることとしたが、これに限定されない。例えば、外部端子51、52と内部端子群31、32の間に例えば平板状の中間部材を設けて、外部端子51、52が中間部材を介して内部端子群31、32と電気的に接続されてもよい。かかる場合には、平板状の中間部材を挟むことで、外部端子51、52が接触する接触面積を広くできるので、内部端子群31、32と外部端子51、52との安定した接続状態を確保できる。
また、上記では、支持基板10がポリイミド基板であることとしたが、これに限定されない。支持基板10は、当該基板の物性値や表面粗さ等と同様の特性を有する基板であれば、例えば、モンモリロナイトを主成分とした積層粘土基板であってもよい。
また、支持基板10は、モンモリロナイトを主成分とした積層粘土基板とポリイミド基板とを接合し、必要に応じて積層粘土基板またはポリイミド基板のどちらか一方の表面に、ヒューズ膜を形成してもよい。
また、上記では、オーバーコートが、主にシリコーン樹脂から成ることとしたが、これに限定されない。例えば、オーバーコートは、エポキシ樹脂等の耐熱性樹脂から成ってもよい。
また、上記では、ヒューズ膜が一本の直線で構成されていることとしたが、これに限定されない。例えば、ヒューズ膜は、複数の直線で構成されてもよいし、格子状に構成されてもよい。特に、上述したようにレーザ光を照射してヒューズ膜を形成する場合には、パターン化下地処理やパターン化マスクを使用することなく、多様な形状のヒューズ膜を支持基板上に容易に形成できる。
また、上記では、インク膜に含まれる金属ナノ粒子が、銀ナノ粒子であることとしたが、これに限定されない。例えば、金属ナノ粒子は、銅ナノ粒子又は金ナノ粒子であってもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 チップヒューズ
10 支持基板
12 主面
20 ヒューズ膜
31、32 内部端子群
31a〜31e、32a〜32e 内部端子
40 オーバーコート
51、52 外部端子
100 集合基板
102 表面
110 インク膜
115a〜115c アライメントマーク
118 サブ組立体
120 ヒューズ膜
130 内部端子群
131a〜131e、132a〜132e 内部端子
140 オーバーコート
151、152 外部端子
200 レーザ照射装置
224 レーザ発振器
234 光学フィルター

Claims (17)

  1. 基板の主面上に、金属ナノ粒子が分散された分散液の液膜を形成する液膜形成ステップと、
    前記液膜にレーザ光を照射して、前記主面上にヒューズ膜を形成するヒューズ膜形成ステップと、
    前記主面上の前記ヒューズ膜の長手方向の両端側に、前記長手方向において互いに離隔し前記ヒューズ膜と接続する複数の第1端子を含む第1端子群を、それぞれ形成する第1端子形成ステップと、
    を有する、チップヒューズの製造方法。
  2. 前記第1端子形成ステップにおいて、前記液膜の前記第1端子に対応する部分に前記レーザ光を照射して、前記第1端子を形成する、
    請求項1に記載のチップヒューズの製造方法。
  3. 前記ヒューズ膜の長手方向の中央側と、前記第1端子群のうちの前記長手方向の最も中央側に位置する中央側第1端子とを覆う被覆部を形成する被覆部形成ステップと、
    前記第1端子群のうちの前記長手方向の端側に位置する端側第1端子と電気的に接続する第2端子を形成する第2端子形成ステップと、を更に有する、
    請求項に記載のチップヒューズの製造方法。
  4. 前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、前記レーザ光を前記液膜に対して一回走査させることで、前記レーザ光のスポット径に対応する幅の、直線状又は曲線状の前記ヒューズ膜を形成する、
    請求項1からのいずれか1項に記載のチップヒューズの製造方法。
  5. 前記液膜形成ステップにおいて、前記レーザ光の照射前の前記液膜の第1厚みと、前記レーザ光の照射後の前記ヒューズ膜の前記第1厚みよりも小さい第2厚みとの対応関係に基づいて、前記第1厚みを調整して前記液膜を形成する、
    請求項1からのいずれか1項に記載のチップヒューズの製造方法。
  6. 前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、前記液膜の厚みに応じて、レーザ照射装置による前記レーザ光の照射速度及び照射強度の少なくとも一方を調整して、前記液膜に前記レーザ光を照射する、
    請求項1からのいずれか1項に記載のチップヒューズの製造方法。
  7. 前記基板は、前記ヒューズ膜が複数形成される集合基板であり、
    前記複数のヒューズ膜の前記集合基板上の形成位置を調整するための位置調整マークを、
    前記液膜にレーザ光を照射して形成するマーク形成ステップを更に有し、
    前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、形成された前記位置調整マークの位置に基づいて、前記複数のヒューズ膜をそれぞれ形成する、
    請求項1からのいずれか1項に記載のチップヒューズの製造方法。
  8. 前記ヒューズ膜形成ステップにおいて、レーザ照射装置の発振部から発振された前記レーザ光を減衰用の光学フィルターで減衰し、減衰された前記レーザ光を前記液膜に照射する、
    請求項1からのいずれか1項に記載のチップヒューズの製造方法。
  9. 基板と、
    前記基板の主面上に設けられたヒューズ膜と、
    前記主面上の前記ヒューズ膜の長手方向の両端側に前記ヒューズ膜と接続するようにそれぞれ設けられ、前記長手方向において互いに離隔した複数の内部端子を含む内部端子群と、
    を備える、チップヒューズ。
  10. 前記内部端子群の各内部端子は、前記ヒューズ膜の前記長手方向と交差する交差方向に沿って設けられ、
    前記内部端子群の各内部端子の幅は、それぞれ前記ヒューズ膜の幅と同じ大きさである、
    請求項に記載のチップヒューズ。
  11. 前記内部端子群の各内部端子の厚みは、それぞれ前記ヒューズ膜の厚みと同じ大きさである、
    請求項又は10に記載のチップヒューズ。
  12. 前記ヒューズ膜の前記長手方向の中央側と、前記内部端子群のうちの前記長手方向において最も中央側に位置する前記内部端子とを覆う被覆部を更に備える、
    請求項から11のいずれか1項に記載のチップヒューズ。
  13. 前記ヒューズ膜を溶断させる溶断電流を、前記ヒューズ膜の前記長手方向と直交する断面積で除算した溶断電流密度は、4.0×106(A/cm2)以下である、
    請求項から12のいずれか1項に記載のチップヒューズ。
  14. 前記ヒューズ膜の表面積を前記ヒューズ膜の体積で除算した比表面積は、21(/μm)以下である、
    請求項13に記載のチップヒューズ。
  15. 前記ヒューズ膜の幅を幅wとし、前記ヒューズ膜の厚みを膜厚tとしたときに、
    前記幅wは、3(μm)以上、かつ20(μm)以下であり、
    前記膜厚tは、0.1(μm)以上、かつ3.0(μm)以下である、
    請求項14に記載のチップヒューズ。
  16. 前記基板及び前記被覆部の熱伝導率は、それぞれ0.3(W/m・K)以下である、
    請求項12に記載のチップヒューズ。
  17. 前記長手方向の両端側の前記内部端子群のうちの各々中央側に位置する内部端子の間の前記ヒューズ膜の長さは、600(μm)以上である、
    請求項13から16のいずれか1項に記載のチップヒューズ。
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