JP2007165086A - ヒューズ素子及びその製造方法 - Google Patents

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宏郁 角田
Katsuhiko Igarashi
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Abstract

【課題】 製造コストの安い印刷法を用いた場合であっても、優れた溶断特性を実現可能とする。
【解決手段】 熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上にAgOナノ粒子及び有機Ag化合物を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することにより可溶体を形成する。又は、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上に、平均粒径50nm以下であり、アミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することにより可溶体を形成する。基板として樹脂基板を用い、具体的にはガラスエポキシ基板を用いる。焼成を300℃以下で行うことが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板上に可溶体を形成するヒューズ素子及びその製造方法に関する。
ヒューズ素子、例えばチップ型ヒューズ素子としては、絶縁基板上に金属被膜等からなる幅狭の可溶体が形成され、可溶体の両端に端子電極を接続した構造のものが一般的である。このような可溶体を形成する方法としては、蒸着やスパッタ等の薄膜法を利用した方法が広く知られている。この方法では、薄膜法で薄い可溶体を形成した後、リソグラフィー技術で細線化を図ることができ、可溶体の高抵抗化が容易であるという利点がある。しかしながら、蒸着やスパッタ等の薄膜法には真空技術が必要となり、大規模な製造設備等を要するため、チップ型ヒューズ素子のコストの大幅な上昇を招くという問題がある。
そこで近年、例えば特許文献1に示すように、Ag系ペーストを印刷、焼成することにより可溶体を厚膜形成する技術が注目を集めている。印刷法は蒸着やスパッタで必要とされるような大規模な製造設備が不要であることから、チップ型ヒューズ素子の製造コストを大幅に低減可能な方法として期待されている。
特開2003−151425号公報
ところで、印刷法でヒューズ素子を作製する場合、Ag系ペーストの焼成に900℃程度の高温が必要になるため、基板材料に対しては高い耐熱性が要求される。耐熱温度の高い基板材料の代表としてはアルミナ(耐熱温度1500℃)があり、広く用いられている。しかしながら、アルミナは高い熱伝導率(20〜40W/(m・K))を示すため、これを基板として用いると、可溶体溶断時に発生したジュール熱が基板を介して放熱されてしまい、ヒューズ素子の溶断特性低下につながる。
一方、特許文献1において基板として用いられているガラスセラミックは、1200℃程度の比較的高い耐熱温度を持ち、また、熱伝導率が3.5W/(m・K)程度とアルミナに比べて一桁小さいため、ジュール熱が蓄熱され、ある程度の溶断特性の向上が期待される。
しかしながら、印刷法で可溶体を形成するに際しては、ガラスセラミック基板を用いる程度の蓄熱対策では不十分であり、さらなる改善が求められている。印刷法で可溶体を形成したチップ型ヒューズ素子においては、可溶体の細線化及び薄膜化に限界があるため、可溶体の抵抗値が低くなり、可溶体の溶断に必要なジュール熱を確保し難いという問題があるからである。
熱伝導率の低い材料としてガラスエポキシ基板を用いることも考えられるが、ガラスエポキシ基板の耐熱温度は200℃〜300℃程度と低いため、900℃程度の高温焼成が必要な印刷法に適用することは困難である。
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、製造コストの安い印刷法を用いた場合であっても、溶断特性の向上を図ることが可能なヒューズ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明に係るヒューズ素子は、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上に、Agナノ粒子の焼結体からなる可溶体が形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係るヒューズ素子の製造方法は、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上にAgOナノ粒子を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することにより可溶体を形成することを特徴とする。
さらに、本発明に係るヒューズ素子の製造方法は、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上に平均粒径50nm以下であり、アミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することにより可溶体を形成することを特徴とする。
本発明では、AgOナノ粒子を含む可溶体ペースト、又は平均粒径50nm以下でありアミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することで、金属ナノ粒子の焼結体からなる可溶体を形成する。これら可溶体ペーストは低温で焼成可能であるため、例えば通常の粒径(0.1〜1.0μm程度)のAg粒子を含む可溶体ペーストに比べ、焼成温度を低く設定することが可能となる。このため、例えばガラスエポキシ基板等の樹脂基板のような、熱伝導率は低いものの耐熱性が低いことから印刷法では使用が困難とされていた基板の使用が可能となる。したがって、蓄熱性が高められ、ヒューズ素子の溶断特性の向上が実現される。
本発明によれば、安価な印刷法を利用しつつ、例えばガラスエポキシ基板のような熱伝導率の低い基板の使用を可能とし、ヒューズ素子において優れた溶断特性を実現することができる。
以下、本発明を適用したヒューズ素子及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したヒューズ素子の一例を図1に示す。図1に示すヒューズ素子は、形状がチップ型であるチップ型ヒューズ素子1であり、基板2と、基板2上に形成された可溶体3とを基本的に備えるものである。
可溶体3の支持体となる基板2は、低い熱伝導性を示す絶縁材料からなり、具体的には熱伝導率が0.5W/(m・K)以下とされる。基板2の熱伝導率を0.5W/(m・K)以下とすることで、溶断時に可溶体3から発生するジュール熱の放熱を防ぎ溶断特性の向上を図ることができる。熱伝導率が0.5W/(m・K)以下の基板としては、例えば樹脂基板が挙げられ、より具体的には、ガラスエポキシ基板、ポリイミド等基板が挙げられる。中でもガラスエポキシ基板は0.2W/(m・K)と低い熱伝導率を示し、チップ型ヒューズ素子に高い蓄熱性を付与することができる。
可溶体3は、例えば定格電流の2倍を超えるような過大な電流が流れたときに溶断することにより、チップ型ヒューズ素子が組み込まれた電気回路等の保護を図るものである。本発明の可溶体3は、金属ナノ粒子の焼結体からなる。本発明において、金属ナノ粒子とは、平均粒径50nm以下の粒子のことを指すこととする。可溶体3を構成する金属ナノ粒子は、例えばAgナノ粒子、Auナノ粒子等である。
金属ナノ粒子の焼結体からなる可溶体3は、詳細は後述するが、AgOナノ粒子を含む可溶体ペースト、又は平均粒径50nm以下でありアミン系分散剤で被覆された被覆金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することにより形成されたものである。これら可溶体ペーストを用いることで、可溶体3を構成する焼結体において、高い抵抗値を実現し、溶断時間の短縮を図ることができる。
可溶体3は、例えば両端部3aが幅広に形成されるとともに、これらの間の溶断部分3bは幅の狭い線状のパターンとして形成されている。この可溶体3の溶断部分3bの幅、厚さ及び材質を選択することにより、可溶体3が溶断する電流(すなわち、チップ型ヒューズ素子の定格電流)を設定することができる。
可溶体3の両端には、通常、電極4が接続される。本発明の場合、可溶体3の両端部3aを幅広に形成し、電極4との電気的接続における接触面積を拡大して抵抗値を小さなものとし、余計な抵抗が付加されるのを防止している。これら電極4の材料は特に限定されるものではなく、例えばAg、Pt、Pd等の良導電材料を含む導電性厚膜や、前記良導電材料のめっき膜、前記良導電材料を含む樹脂等から構成される。チップ型ヒューズ素子1においては、これら電極4が外部接続端子となり、外部回路との電気的接続が図られる。
チップ型ヒューズ素子1は、可溶体3を被覆する保護層5を備えていてもよい。保護層5は、可溶体3に所定の電流値を超える過電流が流れることによって可溶体3が溶断した際、溶断した可溶体3を確実に絶縁するとともに、可溶体3を構成する材料の飛散を防止するものである。保護層5を構成する材料としては特に限定されるものではなく、ZnO系ガラス、CaO系ガラス、Bi系ガラス、SrO系ガラス等のガラス、シリコーン樹脂、Al、ガラスセラミック等の絶縁材料等を用いることができる。
以下、チップ型ヒューズ素子1の製造方法の一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、AgOナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いて可溶体3としてAgナノ粒子の焼結体を形成する例である。以下の図中、左側はチップ型ヒューズ素子の平面図を示し、右側は可溶体溶断部分の幅方向に沿った断面図を示している。
先ず、図2(a)に示すように基板2を用意する。ここで用いる基板2は、1つのチップ型ヒューズ素子1を作製可能な小面積の基板でもよいが、チップ型ヒューズ素子1を多数個取り可能な大面積基板を用い、任意のタイミングで分割することが生産性の観点から好ましい。なお、図2では、大面積の基板のうち1つのチップ型ヒューズ素子の作製領域を抜き出して示している。
次に、図2(b)に示すように、基板2上に可溶体ペースト11を例えばスクリーン印刷により所定形状に印刷する。
本発明では、可溶体ペースト11としてAgOナノ粒子を少なくとも含むペーストを用いる。AgOナノ粒子とは、ナノオーダーのAgO粒子のことである。可溶体ペーストは、前記AgOナノ粒子等を適当な有機溶剤でペースト化して調製される。有機溶剤としては、例えばテルピネオール、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
可溶体ペーストは、さらに有機Ag化合物を含むことが好ましい。有機Ag化合物としては、ネオデカン酸Ag、ピバリン酸Ag、ネオヘプタン酸Ag、ネオノナン酸Ag等の三級脂肪酸の銀塩を用いることができる。
可溶体ペーストを印刷した後、焼成する。前記可溶体ペーストに含まれるAgOナノ粒子は、例えば空気中、例えば300℃以下で熱処理することにより自己還元されてAgナノ粒子となり、互いに融着する。一方、有機Ag化合物は前記熱処理により分解し、活性なAg微粒子を生成する。前記有機Ag化合物由来の活性なAg微粒子が融着したAg微粒子の隙間を埋めることにより緻密化し、図2(c)に示すようにAgナノ粒子の焼結体からなる可溶体3が形成されることになる。
AgOナノ粒子を含む可溶体ペーストの焼成温度は、150℃以下とすることが好ましい。150℃以下の低温で焼成することで、Agナノ粒子の焼結の程度がヒューズ可溶体として適当なものとなり、その結果、高い抵抗値を持つ可溶体3が形成される。可溶体3の抵抗値が高くなることで、過大な電流が流れたときに大きなジュール熱を発生するため、熱伝導率の低い基板の使用による蓄熱性向上効果と相俟って、優れた溶断特性が実現される。なお、AgOナノ粒子を含む可溶体ペーストは、一般に150℃〜300℃程度で焼成することが適当とされているが、前記温度範囲で焼成すると、Ag焼結体の緻密化が過剰に進んで抵抗値の低い可溶体が形成されるため、ジュール熱の発生が不十分となり、結果として溶断特性が低下するおそれがある。
可溶体ペースト焼成時の雰囲気は酸化性雰囲気とし、具体的には空気雰囲気とすることができる。
また、平均粒径50nm以下であり、アミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いてもよい。金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いた場合も、低温焼成可能であることから、AgOナノ粒子を含む可溶体ペーストと同様に本発明の効果を得ることができる。
前記金属ナノ粒子としては、例えばAg粒子、Au粒子等が挙げられる。中でもAg粒子は、Auと比べ融点が低いため好ましい。
また、被覆成分としては、アミン系分散剤等が挙げられる。アミン系分散剤としては、例えばドデシルアミン等が挙げられる。
前記金属ナノ粒子の平均粒径は50nm以下とする。ナノオーダーでありかつ特定の成分で被覆した金属ナノ粒子は反応性が高く、例えばガラスエポキシ基板等の樹脂基板の耐熱温度以下で緻密化する。その結果、前記金属ナノ粒子の焼結体からなる可溶体が形成されることとなる。
前記金属ナノ粒子を含むペーストの焼成温度は、300℃以下とすることが好ましく、210℃以下とすることがより好ましい。焼成時の雰囲気は酸化性雰囲気とし、具体的には空気雰囲気とすることができる。
次に、基板2に端子電極4を形成する。端子電極4を厚膜で形成するには、例えばAg、Pt、Pd等を含有する導電ペーストを焼成すればよい。Ag熱硬化性樹脂をディッピングした後、熱硬化させて端子電極4を形成してもよい。なお、端子電極4は、可溶体3の形成後に形成する場合に限らず、可溶体3を形成する前に予め形成しておいてもよい。また、端子電極4の焼成と可溶体3の焼成とを同時に行ってもよい。
次に、形成した可溶体3を被覆するように保護膜4を形成する。以上のようにして、図1に示す構造のチップ型ヒューズ素子が作製される。
以上のようなチップ型ヒューズ素子の製造方法によれば、例えば300℃以下の低温焼成が実現される結果、ガラスエポキシ基板のような耐熱性の低い基板上に印刷法により可溶体を形成することが可能となる。したがって、本発明のチップ型ヒューズ素子は、印刷法の利点である低コスト化を実現しつつ、ガラスエポキシ基板のような熱伝導率の低い基板を用いることで印刷法の欠点である蓄熱性の低さを補い、優れた溶断特性を実現することができる。
ところで、前述の製造方法においては、可溶体ペーストをスクリーン印刷により印刷しているが、印刷法では線幅80μm未満のようなファインパターンの形成が難しい。これは、通常のスクリーン印刷では、スクリーンメッシュのうち印刷パターン以外の領域をマスキングしたスクリーン版を用いるため、印刷形状、すなわち可溶体の線幅を細くするとペースト通過部におけるメッシュ線径が無視できなくなり、目詰まりし易くなることによる。可溶体ペーストの目詰まりを抑制しつつ可溶体の細線化を図るには、メタルマスクを用いて可溶体ペーストを印刷することも考えられる。しかしながら、通常のメタルマスクには例えば15μmを上回るようなある一定以上の厚みが必要となり、そして可溶体ペーストの厚みはメタルマスクの厚みに依存することから、メタルマスクを利用すると可溶体の厚みが厚くなり、溶断特性の悪化を招く。
そこで、基板上に形成したレジストパターンをマスクとして可溶体ペーストを印刷することで、薄膜化と細線化を両立することができる。以下、このような本発明の製造方法の変形例について説明する。
図3は、第1の変形例を示す図である。本変形例においては、先ず、前述のような熱伝導率の低い基板を用意し(図3(a))、例えばスピンコート等により基板2の略全面にレジスト12を塗布し、プリベイクする(図3(b))。基板2は、第1の例と同様、チップ型ヒューズ素子1を多数個取り可能な基板であることが好ましい。
レジスト12としては、可溶体ペーストの種類にもよるが、通常のフォトリソグラフィ加工に用いられる一般的なレジストを使用することが可能である。具体的には、例えば、東京応化工業社製、OFPR−800等を用いることができる。
次に、可溶体パターンを形成するためのフォトマスクを介してアライナー等により露光する。露光されたレジスト12を現像し、ポストベイクを行うことにより、可溶体3と同形状の開口部12aが設けられたレジストパターン12bを形成する(図3(c))。レジストパターン12bの厚みは、形成する可溶体3の厚みに応じて適宜設定すればよいが、版としてメタルマスクを用いる場合より可溶体3の薄膜化を図る観点から、例えば1μm〜20μm程度とすることが好ましい。レジストパターン12bの厚みは、レジスト12の粘度、コーティング条件等により制御することができる。
次に、基板2及びレジストパターン12b上から可溶体ペースト11を塗布し、レジストパターン12bの開口部12aに可溶体ペースト11を埋め込む(図3(d))。ここで用いる可溶体ペースト12は、図2に示す製造方法において説明した、AgOナノ粒子を含む可溶体ペースト又は平均粒径50nm以下でありアミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストである。可溶体ペースト11を塗布するに際しては、スキージ等を用いればよく、スクリーン版やメタルマスク等は必要ない。
可溶体ペースト11を塗布した後、焼成を行い、可溶体ペースト11に含まれる有機溶剤等の有機成分を除去するとともに、可溶体ペースト中の金属ナノ粒子を焼結、又は金属ナノ粒子同士を融着させ、可溶体3とする(図3(e))。ここで、レジストパターン12bは、焼成により焼失させてもよいが、焼成温度をレジストの耐熱温度以下とすることにより基板2上に残存させることが好ましい。本発明では、耐熱性の低い基板及び低温焼成可能な可溶体ペーストを用いるため、焼成温度を例えば300℃以下、好ましくは150℃以下のような低温に設定できることから、レジストパターン12bを容易に残存させることができる。
焼成後、例えばアセトン等の溶剤を用いて、レジストパターン12bを基板2上から除去する(図3(f))。これにより、基板2上に直接塗布された可溶体ペースト11の焼成物である可溶体3のみが基板2上に残る。
レジストパターン12bの除去後、図3(g)に示すように、可溶体3に保護層5を形成し、さらに電極4を形成する。或いは、可溶体3に電極4を接続した後、保護層5等を形成してもよい。以上の工程を経ることにより、図1に示すチップ型ヒューズ素子1が得られる。
以上のような第1の変形例によれば、可溶体ペーストを塗布する際に基板上に形成したレジストパターンをマスクとして用いるため、可溶体の線幅に関してはメタルマスクを用いる場合と同等程度の細線化を図りつつ、可溶体の厚みに関してはメタルマスクを用いる場合より薄くすることができる。したがって、レジストパターンを用いない場合と同様に印刷法の利点である低コスト化を実現しつつ、レジストパターンを用いない場合に比べてさらに抵抗値の高い可溶体を形成することが可能となり、より優れた溶断特性をもつチップ型ヒューズ素子を実現することができる。
また、可溶体ペーストを塗布する工程でレジストパターン表面に可溶体ペーストの一部が付着することがあるが、このような場合にレジストの耐熱温度より高温で焼成を行いレジストパターンを焼失させると、前記可溶体ペーストの焼成物(金属)が基板や可溶体等に付着して特性に悪影響を及ぼすおそれがある。これに対し、低温焼成によりレジストパターン12bを残存させ、焼成後にレジストパターン12bを除去することで、レジストパターン12b表面に付着した可溶体ペースト11の焼成物をレジストパターン12bと同時に除去することができ、前記悪影響を回避することができる。
なお、前述のチップ型ヒューズ素子の製造方法では、予め形成したレジストパターンの開口部に可溶体ペーストを埋め込み、可溶体ペーストを焼成した後で、レジストパターンを溶剤により除去しているが、レジストパターンを除去するタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、レジストパターンを除去するための溶剤として可溶体ペーストに悪影響を及ぼさないものを用いる場合には、レジストパターンの開口部に可溶体ペーストを埋め込み、レジストパターンを溶剤により除去した後で、可溶体ペーストの焼成を行うことも可能である。
以下、製造方法の第2の変形例について説明する。本例では、第1の変形例におけるレジストパターンの焼成物を除去する工程を省略し、チップ型ヒューズ素子にそのまま用いる。
前述の第1の変形例においては、焼成後に溶剤等を用いてレジストパターンを除去し、レジストパターン表面に付着した可溶体ペーストに起因する悪影響を回避している。ただし、レジストパターンの表面に付着した可溶体ペーストが特性上問題とならない場合や、レジストパターンの表面に可溶体ペーストが付着していない場合には、必ずしもレジストパターンを除去しなくても構わない。
具体的には、先ず、基板2を用意し(図4(a))、レジスト12を塗布し(図4(b))、露光及び現像を行って開口部12aを有するレジストパターン12bとする(図4(c))。当該レジストパターン12bをマスクとして可溶体ペースト11を塗布し、開口部12aに可溶体ペースト11を埋め込んだ(図4(d))後、焼成する(図4(e))。ここまでは、前述の第1の変形例と同様である。
次に、基板2上にレジストパターン12bを残存させた状態で、可溶体3及びレジストパターン12b上に保護層5を形成する(図4(f))。そして、保護層5の形成後、又は形成前に、電極4を可溶体3に接続することにより、チップ型ヒューズ素子が得られる。
以上のように、第2の変形例によれば、レジストパターンの焼成物を除去する工程を省略することで、工程の簡略化を図ることができる。
なお、前述の実施形態においてはプリント基板上に実装可能なチップ型ヒューズ素子を例に挙げて説明してきたが、本発明のヒューズ素子はチップ型に限定されるものではない。例えば本発明のヒューズ素子は、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下の基板に配線等が形成されたプリント基板上に、可溶体を備える構成であっても構わない。このようなヒューズ素子は、AgOナノ粒子を含む可溶体ペースト、又は平均粒径50nm以下でありアミン系分散剤で被覆された被覆金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストをプリント基板に印刷し、焼成することにより得ることができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
以下の実験では、溶断部のサイズが線幅100μm、長さ0.2mmである可溶体を持つチップ型ヒューズ素子の作製を試みた。
(実施例1)
先ず、ガラスエポキシ基板を用意し、AgOナノ粒子及び有機Ag化合物を含むペースト(藤倉化成社製、商品番号XA−9053)を可溶体形状にスクリーン印刷した。印刷後、ガラスエポキシ基板をオーブンに入れ、大気中、150℃、1時間の条件で熱処理を行った。この焼成により、Agナノ粒子の焼結体からなる可溶体が形成された。その後、可溶体の両端にAg熱硬化性樹脂をディッピングした後、熱硬化させて外部電極を形成し、チップ型ヒューズ素子を得た。
(実施例2)
可溶体ペーストとして、平均粒径5nmのAg粒子を含むペースト(ハリマ化成社製、銀ナノペーストNPS)を可溶体形状にスクリーン印刷した。印刷後、ガラスエポキシ基板をオーブンに入れ、大気中、210℃、1時間の条件で熱処理を行った。この焼成により、Agナノ粒子の焼結体からなる可溶体が形成された。その後、可溶体の両端にAg熱硬化性樹脂をディッピングした後、熱硬化させて外部電極を形成し、チップ型ヒューズ素子を得た。
(比較例1)
アルミナ基板上に、可溶体ペーストとして、平均粒径1μmのAg粒子を含むペーストを可溶体形状にスクリーン印刷した。印刷後、アルミナ基板をベルト炉に入れ、大気中、900℃、10分の条件で熱処理を行った。この焼成により、Ag粒子の焼結体からなる可溶体が形成された。その後、可溶体の両端にAg熱硬化性樹脂をディッピングした後、熱硬化させて外部電極を形成し、チップ型ヒューズ素子を得た。
(比較例2)
基板としてアルミナ基板を用いたこと以外は前述の実施例1と同様にして可溶体を形成し、チップ型ヒューズ素子を得た。
得られたチップ型ヒューズ素子について、抵抗値及び溶断時間を測定した。溶断時間は、可溶体に4Aの電流を流し始めてから可溶体が切断されるまでの時間とした。結果を表1に示す。
Figure 2007165086
表1の結果から明らかなように、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下の基板を用いるとともに、金属ナノ粒子の焼結体からなる可溶体を形成した実施例1及び実施例2は、比較例1、2に比べて優れた溶断特性を示している。
本発明を適用したチップ型ヒューズ素子の一例を示す図である。(a)は概略平面図であり、(b)は(a)の可溶体長さ方向に沿った概略断面図、(c)は可溶体幅方向に沿った概略断面図である。 チップ型ヒューズ素子の製造方法の一例を説明するための図であり、(a)は基板、(b)は可溶体ペースト印刷工程、(c)は焼成工程を示す。 チップ型ヒューズ素子の製造方法の第1の変形例を説明するための図であり、(a)は基板、(b)はレジスト塗布工程、(c)はレジストパターン形成工程、(d)は可溶体ペースト埋め込み工程、(e)は焼成工程、(f)はレジスト除去工程、(g)は保護層形成工程を示す。 チップ型ヒューズ素子の製造方法の第2の変形例を説明するための図であり、(a)は基板、(b)はレジスト塗布工程、(c)はレジストパターン形成工程、(d)は可溶体ペースト埋め込み工程、(e)は焼成工程、(f)は保護層形成工程を示す。
符号の説明
1 チップ型ヒューズ素子、2 基板、3 可溶体、4 電極、5 保護層、11 可溶体ペースト、12 レジスト

Claims (17)

  1. 熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上に、金属ナノ粒子の焼結体からなる可溶体を備えることを特徴とするヒューズ素子。
  2. 前記基板が樹脂基板であることを特徴とする請求項1記載のヒューズ素子。
  3. 前記樹脂基板がガラスエポキシ基板であることを特徴とする請求項2記載のヒューズ素子。
  4. 前記金属ナノ粒子がAgナノ粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のヒューズ素子。
  5. チップ型であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のヒューズ素子。
  6. 熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上にAgOナノ粒子を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することにより可溶体を形成することを特徴とするヒューズ素子の製造方法。
  7. 前記可溶体ペーストが有機Ag化合物を含むことを特徴とする請求項6記載のヒューズ素子の製造方法。
  8. 熱伝導率が0.5W/(m・K)以下である基板上に、平均粒径50nm以下であり、アミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを印刷し、焼成することにより可溶体を形成することを特徴とするヒューズ素子の製造方法。
  9. 前記基板として樹脂基板を用いることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載のヒューズ素子の製造方法。
  10. 前記樹脂基板としてガラスエポキシ基板を用いることを特徴とする請求項9記載のヒューズ素子の製造方法。
  11. 前記焼成を300℃以下で行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項記載のヒューズ素子の製造方法。
  12. 前記可溶体に対応する形状の開口部を有するレジストパターンを前記基板上に形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記可溶体ペーストを印刷することを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項記載のヒューズ素子の製造方法。
  13. 前記焼成温度を前記レジストパターンの耐熱温度以下とすることを特徴とする請求項12記載のヒューズ素子の製造方法。
  14. 前記焼成を行った後、前記レジストパターンの焼成物を除去することを特徴とする請求項13記載のヒューズ素子の製造方法。
  15. 前記焼成を行った後、前記レジストパターンの焼成物を除去することなく保護層を形成することを特徴とする請求項13記載のヒューズ素子の製造方法。
  16. フォトリソグラフィにより前記レジストパターンを形成することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項記載のヒューズ素子の製造方法。
  17. 前記レジストパターンの膜厚を1μm〜20μmとすることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項記載のヒューズ素子の製造方法。
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