JP2007165085A - チップ型ヒューズ素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コスト上昇の要因となる真空技術を利用することなく溶断特性の向上を図る。
【解決手段】 基板上に可溶体を形成するに際し、前記可溶体に対応する形状の開口部を有するレジストパターンを前記基板上に形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記基板上に可溶体ペーストを塗布する工程とを行うことを特徴とする。可溶体ペーストを埋め込む工程の後に、可溶体ペーストを焼成して可溶体を得る工程を行い、その後にレジストパターンを除去する工程を行う。焼成温度をレジストパターンの耐熱温度以下とすることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 基板上に可溶体を形成するに際し、前記可溶体に対応する形状の開口部を有するレジストパターンを前記基板上に形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記基板上に可溶体ペーストを塗布する工程とを行うことを特徴とする。可溶体ペーストを埋め込む工程の後に、可溶体ペーストを焼成して可溶体を得る工程を行い、その後にレジストパターンを除去する工程を行う。焼成温度をレジストパターンの耐熱温度以下とすることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、基板上に可溶体を形成するチップ型ヒューズ素子の製造方法に関する。
チップ型ヒューズ素子としては、絶縁基板上に金属被膜等からなる幅狭の可溶体が形成され、可溶体の両端に端子電極を接続した構造のものが一般的である。このような可溶体を形成する方法としては、蒸着やスパッタ等の薄膜法を利用した方法(例えば特許文献1又は2等参照)が広く知られている。例えば特許文献2においては、金属材料をスパッタリングまたは蒸着で基板上に着膜し、フォトレジストをコートし、パターンをマスクとして金属材料をエッチングにより除去してヒューズエレメントパターンを形成する方法が記載されている。
また、可溶体を形成する方法としては、金属可溶体材料を含む可溶体ペーストを可溶体形状に印刷し、焼成して可溶体を形成する、いわゆる印刷法(厚膜法)も知られている。例えば特許文献3等においては、Ag系のペーストのスクリーン印刷による厚膜技術を用いて可溶体を形成することが記載されている。
一方、前記特許文献2においては、いわゆるリフトオフによってチップ型電流ヒューズを作製する方法も開示されている。具体的には、絶縁性基板上にレジストパターンを形成し、金属材料を基板全体にデポジットし、レジストパターンを除去することで金属材料のヒューズエレメントパターンを形成している。
特開平6−176680号公報
特開2003−173728号公報
特開2002−140975号公報
ところで、可溶体の溶断は、可溶体の有する抵抗により生じるジュール熱によって引き起こされるが、可溶体の抵抗値が小さくなると溶断に必要なジュール熱を確保できなくなり、溶断できなくなったり溶断時間が長くなる等の溶断特性の低下が生じる。より一層の小型化が求められるチップ型ヒューズ素子においては、可溶体の長さを長くして抵抗値を高める手法に限界があるため、可溶体の厚みを薄くしたり、線幅を細くしたりすることで、可溶体の抵抗値を大きくすることが重要となる。
前記特許文献1又は2等に記載されるようにスパッタや蒸着等を用いた後、フォトリソグラフィー技術を利用する技術では細線化が容易であることから、可溶体の高抵抗化の面では有利である。しかしながら、スパッタや蒸着等を行う際には真空装置等の大規模な製造設備等を要するため、チップ型ヒューズ素子のコストの大幅な上昇を招くという問題がある。
これに対し、特許文献3等に記載されるスクリーン印刷は、蒸着やスパッタで必要とされるような真空装置等が不要であることから、製造コスト低減を実現する方法として期待されているものの、前記薄膜法及びフォトリソグラフィ技術を利用する場合に比較すると、可溶体の細線化には不向きである。例えば前記特許文献2に記載されるように、印刷法では線幅80μm未満のようなファインパターンの形成が難しい。これは、通常のスクリーン印刷では、スクリーンメッシュのうち印刷パターン以外の領域をマスキングしたスクリーン版を用いるため、印刷形状、すなわち可溶体の線幅を細くするとペースト通過部におけるメッシュ線径が無視できなくなり、目詰まりし易くなることによる。
可溶体ペーストの目詰まりを抑制しつつ可溶体の細線化を図るには、スクリーン版に代えてメタルマスクを用いて可溶体ペーストを印刷することも考えられる。しかしながら、通常のメタルマスクには例えば15μmを上回るようなある一定以上の厚みが必要となり、そして可溶体ペーストの厚みはメタルマスクの厚みに依存することから、メタルマスクを利用すると可溶体の厚みが厚くなり、溶断特性の悪化を招く。
また、前記特許文献2に記載されるように、レジストパターンを形成した後、金属材料を基板全体にデポジットし、レジストパターンを除去して可溶体パターンを形成する方法は、細線化及び薄膜化の両方の点で有利であるが、可溶体金属材料をスパッタ又は蒸着等によりデポジットする際に高真空が不可欠であり、高コストとなる点がネックである。
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、コスト上昇の要因となる真空技術を利用することなく溶断特性の向上を図ることが可能なチップ型ヒューズ素子の製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明者らが検討を重ねた結果、基板上に予め形成したレジストパターンをスクリーン版の代わりに用いることで、可溶体の厚みを増すことなく細線化が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るチップ型ヒューズ素子の製造方法は、基板上に可溶体ペーストを塗布し、焼成して可溶体を形成するチップ型ヒューズ素子の製造方法であって、前記可溶体に対応する形状の開口部を有するレジストパターンを前記基板上に形成し、当該レジストパターンをマスクとして前記可溶体ペーストを前記基板上に塗布することを特徴とする。
基板上に設けたレジストパターンの開口部内にはメッシュが存在しないため目詰まりを生じにくく、スクリーン版を用いる場合に比べて線幅の細い可溶体が得られる。また、レジストパターンの厚みはメタルマスクの厚みより薄くできるため、これをマスクとして得られる可溶体ペーストの膜厚は比較的薄いものとなる。したがって、以上のような製造方法によれば、可溶体の厚みを増すことなく細線化が実現され、可溶体の高抵抗化が実現される。さらに、可溶体ペーストを可溶体形状とする際に高真空は不要であるため、スパッタや蒸着等により可溶体を形成する場合に比べて製造コストの低減が図られる。
本発明に係るチップ型ヒューズ素子の製造方法によれば、高真空を利用することなく得られる可溶体において高抵抗化を実現することができることから、安価で溶断特性に優れたチップ型ヒューズ素子を製造することが可能である。
以下、本発明に係るチップ型ヒューズ素子の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の製造対象となるチップ型ヒューズ素子の一例である。チップ型ヒューズ素子1は、チップ状の基板2と、基板2上に形成された可溶体3とを基本的に備えるものである。
図1は、本発明の製造対象となるチップ型ヒューズ素子の一例である。チップ型ヒューズ素子1は、チップ状の基板2と、基板2上に形成された可溶体3とを基本的に備えるものである。
基板2は、可溶体3の支持体となるものであり、例えば角形状に形成されている。基板2を構成する材料としては限定されるものではなく、この種のチップ型ヒューズ素子に用いられる材料をいずれも使用可能である。基板2を構成する材料としては、例えば、低い熱伝導性を示す絶縁材料を用いることができ、より具体的には、Al2O3、ガラスセラミック等の絶縁材料を用いることができる。
可溶体3は、例えば両端部3aが幅広に形成されるとともに、これらの間の溶断部分3bは幅の狭い線状のパターンとして形成されている。この可溶体3の溶断部分3bの幅、厚さ及び材質を選択することにより、可溶体3が溶断する電流(すなわち、チップ型ヒューズ素子1の定格電流)を設定することができる。
可溶体3を構成する金属材料としては、チップ型ヒューズ素子の可溶体として適当な比抵抗や融点等を持つ金属を用いることができ、Ag、Au等が挙げられる。
可溶体3の両端には、通常、電極4が接続される。本実施形態の場合、可溶体3の両端部3aを幅広に形成し、電極4との電気的接続における接触面積を拡大して抵抗値を小さなものとし、余計な抵抗が付加されるのを防止している。これら電極4の材料は特に限定されるものではなく、例えばAg、Pt、Pd等の良導電材料を含む導電性厚膜や、前記良導電材料のめっき膜、前記良導電材料を含む樹脂等から構成される。チップ型ヒューズ素子1においては、これら電極4が外部接続端子となり、外部回路との電気的接続が図られる。
チップ型ヒューズ素子1は、可溶体3を被覆する保護層5を備えていてもよい。保護層5は、可溶体3に所定の電流値を超える過電流が流れることによって可溶体3が溶断した際、溶断した可溶体3を確実に絶縁するとともに、可溶体3を構成する材料の飛散を防止するものである。保護層5を構成する材料としては特に限定されるものではなく、ZnO系ガラス、CaO系ガラス、Bi2O3系ガラス、SrO系ガラス等のガラス、シリコーン樹脂、Al2O3、ガラスセラミック等の絶縁材料等を用いることができる。
以下、前述の構成のチップ型ヒューズ素子1の製造方法の一例について、図2を参照しながら説明する。図2中左側はチップ型ヒューズ素子の平面図を示し、右側は可溶体溶断部分の幅方向に沿った断面図である。
先ず、基板2を用意する(図2(a))。ここで用いる基板2は、1つのチップ型ヒューズ素子1を作製可能な小面積の基板でもよいが、チップ型ヒューズ素子1を多数個取り可能な大面積基板を用いることが生産性の観点から好ましい。なお、図2では、大面積の基板のうち1つのチップ型ヒューズ素子の作製領域を抜き出して示している。
次に、例えばスピンコート等により基板2の略全面にレジスト11を塗布し、プリベイクする(図2(b))。レジスト11としては、可溶体ペーストの種類にもよるが、通常のフォトリソグラフィ加工に用いられる一般的なレジストを使用することが可能である。具体的には、例えば、東京応化工業社製、OFPR−800等を用いることができる。また、詳細は後述するが、可溶体ペーストの材料選択の幅を広げる観点から、焼成工程において加えられる焼成温度にて変質しないような耐熱性を持つことが好ましい。
次に、可溶体パターンを形成するためのフォトマスクを介してアライナー等により露光する。露光されたレジスト11を現像し、ポストベイクを行うことにより、可溶体3と同形状の開口部11aが設けられたレジストパターン11bを形成する(図2(c))。レジストパターン11bの厚みは、形成する可溶体3の厚みに応じて適宜設定すればよいが、版としてメタルマスクを用いる場合より可溶体3の薄膜化を図る観点から、例えば1μm〜20μm程度とすることが好ましい。レジストパターン11bの厚みは、レジスト11の粘度、コーティング条件等により制御することができる。
次に、基板2及びレジストパターン11b上から可溶体ペースト12を塗布し、レジストパターン11bの開口部11aに可溶体ペースト12を埋め込む(図2(d))。可溶体ペースト12を塗布するに際しては、スキージ等を用いればよく、スクリーン版やメタルマスク等は必要ない。
可溶体ペースト12を塗布した後、焼成を行い、可溶体ペースト12に含まれる有機溶剤等の有機成分を除去するとともに、金属粒子を焼結、又は金属粒子同士を融着させ、可溶体3とする(図2(e))。
焼成後、例えばアセトン等の溶剤を用いて、レジストパターン11bを基板2上から除去する(図2(f))。これにより、基板2上に直接塗布された可溶体ペースト12の焼成物である可溶体3のみが基板2上に残る。
レジストパターン11bの除去後、図2(g)に示すように、可溶体3に保護層5を形成し、さらに電極4を形成する。或いは、可溶体3に電極4を接続した後、保護層5等を形成してもよい。以上の工程を経ることにより、図1に示すチップ型ヒューズ素子1が得られる。
本実施形態では、前記焼成工程における焼成温度をレジストの耐熱温度以下に設定することにより、焼成後にレジストパターン11bの焼成物を残存させることが好ましい。ここで、レジストの耐熱温度とは、レジストが焼失する温度のことを表す。可溶体ペーストを塗布する工程でレジストパターン表面に可溶体ペーストの一部が付着することがあるが、このような場合にレジストの耐熱温度より高温で焼成を行いレジストパターンを焼失させると、前記可溶体ペーストの焼成物(金属)が基板や可溶体等に付着して特性に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、前記影響が懸念される場合には、可溶体を形成するための焼成温度をレジストの耐熱温度以下に設定し、可溶体ペーストの焼成後にレジストパターン11bを残存させることとする。このことにより、レジストパターン除去工程において、レジストパターン11b表面に付着した可溶体ペースト12の焼成物をレジストパターン11bと同時に除去することができ、前記悪影響を回避することができる。
ところで、通常のレジスト(OFPR−800等)は耐熱性が低いため、前述のように焼成後にレジストパターン11bを残存させる場合には、レジストの耐熱温度以下の低温で焼成可能な可溶体ペーストを組み合わせて用いることが好ましい。低温焼成可能な可溶体ペーストとしては、150℃〜200℃程度の低温で焼成可能なペーストを用いることができ、より具体的には、Ag2Oナノ粒子を少なくとも含むペーストを用いる。Ag2Oナノ粒子とは、ナノオーダーのAg2O粒子のことである。可溶体ペーストは、前記Ag2Oナノ粒子等を適当な有機溶剤でペースト化して調製される。有機溶剤としては、例えばテルピネオール、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
前記Ag2Oナノ粒子を含む可溶体ペーストは、さらに有機Ag化合物を含むことが好ましい。有機Ag化合物としては、ネオデカン酸Ag、ピバリン酸Ag、ネオヘプタン酸Ag、ネオノナン酸Ag等の三級脂肪酸の銀塩を用いることができる。
前記可溶体ペーストに含まれるAg2Oナノ粒子は、例えば空気中、例えば300℃以下で熱処理することにより自己還元されてAgナノ粒子となり、互いに融着する。一方、有機Ag化合物は前記熱処理により分解し、活性なAg微粒子を生成する。前記有機Ag化合物由来の活性なAg微粒子が融着したAg微粒子の隙間を埋めることにより緻密化し、Agナノ粒子の焼結体からなる可溶体3が形成されることになる。
前記Ag2Oナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いる際の焼成時の雰囲気は酸化性雰囲気とし、具体的には空気雰囲気とすることができる。
また、低温焼成可能な可溶体ペーストとして、平均粒径50nm以下であり、アミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いてもよい。金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いた場合も、低温焼成可能であることから、Ag2Oナノ粒子を含む可溶体ペーストと同様、焼成後にレジストパターン11bの焼成物を残存させることができる。
前記金属ナノ粒子としては、例えばAg粒子、Au粒子等が挙げられる。中でもAg粒子は、Auと比べ融点が低いため好ましい。
また、被覆成分としては、アミン系分散剤等が挙げられる。アミン系分散剤としては、例えばドデシルアミン等が挙げられる。
前記金属ナノ粒子の平均粒径は50nm以下とする。ナノオーダーでありかつ特定の成分で被覆した金属ナノ粒子は反応性が高く、低温焼成で緻密化する。その結果、前記金属ナノ粒子の焼結体からなる可溶体が形成されることとなる。
前記金属ナノ粒子を含むペーストの焼成温度は、300℃以下とすることが好ましく、210℃以下とすることがより好ましい。焼成時の雰囲気は酸化性雰囲気とし、具体的には空気雰囲気とすることができる。
以上のようなチップ型ヒューズ素子の製造方法によれば、可溶体ペーストを塗布する際に基板上に形成したレジストパターンをマスクとして用いるため、可溶体の線幅に関してはメタルマスクを用いる場合と同等程度の細線化を図りつつ、可溶体の厚みに関してはメタルマスクを用いる場合より薄くすることができる。したがって、高抵抗値を示す可溶体が得られ、溶断特性に優れたチップ型ヒューズ素子を実現することができる。また、以上のようなチップ型ヒューズ素子の製造方法においては、高真空は不要であるため、スパッタや蒸着等により可溶体を形成する場合に比べてコスト上昇を最小限に抑えることができる。
なお、前述のチップ型ヒューズ素子の製造方法では、予め形成したレジストパターンの開口部に可溶体ペーストを埋め込み、可溶体ペーストを焼成した後で、レジストパターンを溶剤により除去しているが、レジストパターンを除去するタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、レジストパターンを除去するための溶剤として可溶体ペーストに悪影響を及ぼさないものを用いる場合には、レジストパターンの開口部に可溶体ペーストを埋め込み、レジストパターンを溶剤により除去した後で、可溶体ペーストの焼成を行うことも可能である。
また、本実施形態においては、レジストを焼成後に残存させる目的で低温焼成可能な特殊な可溶体ペーストを用いているが、レジストとして耐熱性の高いレジストを用いる場合、低温焼成可能な可溶体ペーストに限らず、この種のチップ型ヒューズ素子に用いられる通常の可溶体形成用ペーストを幅広く用いることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、レジストパターンの焼成物を除去する工程を省略し、チップ型ヒューズ素子にそのまま用いる例である。
第2の実施形態は、レジストパターンの焼成物を除去する工程を省略し、チップ型ヒューズ素子にそのまま用いる例である。
前述の第1の実施形態においては、焼成後に溶剤等を用いてレジストパターンを除去し、レジストパターン表面に付着した可溶体ペーストに起因する悪影響を回避している。ただし、レジストパターンの表面に付着した可溶体ペーストが特性上問題とならない場合や、レジストパターンの表面に可溶体ペーストが付着していない場合には、必ずしもレジストパターンを除去しなくても構わない。
第2の実施形態のチップ型ヒューズ素子の製造方法においては、先ず、基板2を用意し(図3(a))、レジスト11を塗布し(図3(b))、露光及び現像を行って開口部11aを有するレジストパターン11bとする(図3(c))。当該レジストパターン11bをマスクとして可溶体ペースト12を塗布し、開口部11aに可溶体ペースト12を埋め込んだ(図3(d))後、焼成する(図3(e))。ここまでは、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本実施形態では、基板2上にレジストパターン11bを残存させた状態で保護層5を形成する(図3(f))。そして、保護層5の形成後、又は形成前に、電極4を可溶体3に接続することにより、チップ型ヒューズ素子が得られる。
以上のように、レジストパターンの焼成物を除去する工程を省略することで、工程の簡略化を図ることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、レジストパターンを焼成により焼失させる例である。
第1の実施形態においては、一般にレジストの耐熱性が低いことを考慮して低温焼成可能な特殊な可溶体ペーストを用いるとともに、焼成温度を低く設定するすることにより、焼成後においてもレジストパターンが残存するようにしている。そして、溶剤等で除去するることで、レジストパターン表面に付着した可溶体ペーストに起因する悪影響を回避している。ただし、レジストパターンの表面に付着した可溶体ペーストが問題とならない場合や、レジストパターンの表面に可溶体ペーストが付着していない場合には、焼成によりレジストパターンを焼失させてもよい。
第3の実施形態は、レジストパターンを焼成により焼失させる例である。
第1の実施形態においては、一般にレジストの耐熱性が低いことを考慮して低温焼成可能な特殊な可溶体ペーストを用いるとともに、焼成温度を低く設定するすることにより、焼成後においてもレジストパターンが残存するようにしている。そして、溶剤等で除去するることで、レジストパターン表面に付着した可溶体ペーストに起因する悪影響を回避している。ただし、レジストパターンの表面に付着した可溶体ペーストが問題とならない場合や、レジストパターンの表面に可溶体ペーストが付着していない場合には、焼成によりレジストパターンを焼失させてもよい。
以下、第3の実施形態のチップ型ヒューズ素子の製造方法について説明する。先ず、基板2を用意し(図4(a))、レジスト11を塗布し(図4(b))、露光及び現像を行って開口部11aを有するレジストパターン11bとする(図4(c))。
次に、図4(d)に示すように、当該レジストパターン11bをマスクとして可溶体ペースト12を塗布し、開口部11aに可溶体ペースト12を埋め込む。次に、可溶体ペースト12を焼成するが、本実施形態では、焼成温度を比較的高温(例えば900℃程度)とし、可溶体ペースト12の焼成と同時にレジストパターン11bを分解し、焼失させる(図4(e))。その後、図4(f)に示すように保護層5、電極4等を形成してチップ型ヒューズ素子を得る。
本実施形態では、レジストパターン11bを焼失させるために高温で焼成を行う。このため、可溶体ペーストとしては、低温焼成可能なペーストに限らず、この種のチップ型ヒューズ素子に用いられる通常の可溶体形成用ペーストを幅広く用いることができる。
本実施形態で用いる可溶体ペーストとは、可溶体3を構成する溶断材料(金属や合金等)の粒子を例えば有機ビヒクル等によりペースト状としたものであり、溶断材料としては、例えばAg、Au等を用いることができる。
有機ビヒクルは、各種粉末をペースト化させる役割を有し、この種のペーストに用いられるものがいずれも使用可能である。有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に溶解することによって調製されるものである。バインダとしては、特に限定されず、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等、各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤も限定されず、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等、各種有機溶剤から適宜選択すればよい。さらに、可溶体ペーストの物性を調節するために、分散剤等の各種添加剤を加えてもよい。
本実施形態においては、焼成時にレジストパターン11bを焼失させるため、レジストパターン11bを除去する工程を別に設ける必要がない。したがって、製造工程の簡略化を図ることができる。また、高温焼成が可能となるため可溶体ペースト12の材料選択の幅を広げることができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
実施例1では、溶断部のサイズが線幅50μm、長さ0.2mmである可溶体を持つチップ型ヒューズ素子の作製を試みた。
実施例1では、溶断部のサイズが線幅50μm、長さ0.2mmである可溶体を持つチップ型ヒューズ素子の作製を試みた。
先ず、アルミナ基板上にスピンコーターを用いてレジストをコーティングした。スピンコーターの回転数は3000rpmとした。レジストとしては、耐熱温度が150℃以上であるレジスト(東京応化工業社製、OFPR−800)を用いた。レジストをコーティングした後、80℃でプリベイクを行った。
次に、アライナーを用いて、可溶体形状に対応した開口パターンを持つフォトマスクを介して露光を行った。露光後、レジストを現像し、120℃でポストベイクを行い、可溶体溶断部分に対応した溝状の開口部を持つレジストパターンを得た。レジストパターンの厚みは5μmとした。
次に、レジストパターンが形成された基板上に可溶体ペーストを塗布し、レジストパターンの開口部に可溶体ペーストを埋め込んだ。可溶体ペーストとしては、Ag2Oナノ粒子及び有機Ag化合物を含むペースト(藤倉化成社製、商品番号XA−9053)を用いた。
その後、大気中、150℃で焼成を行った。次に、レジストパターンをアセトンで剥離し、基板上に可溶体を形成した。
次に、可溶体の両端にAg熱硬化性樹脂をディッピングした後、熱硬化させて外部電極を形成し、チップ型ヒューズ素子を得た。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様に、溶断部のサイズが線幅50μm、長さ0.2mmである可溶体を持つチップ型ヒューズ素子の作製を試みた。得られる可溶体の厚みは実施例1と同等とした。ただし比較例1では、レジストパターンの代わりに通常のスクリーン版を用いて可溶体ペーストをスクリーン印刷した。
比較例1では、実施例1と同様に、溶断部のサイズが線幅50μm、長さ0.2mmである可溶体を持つチップ型ヒューズ素子の作製を試みた。得られる可溶体の厚みは実施例1と同等とした。ただし比較例1では、レジストパターンの代わりに通常のスクリーン版を用いて可溶体ペーストをスクリーン印刷した。
(比較例2)
比較例2では、可溶体溶断部のサイズを線幅100μm、長さ0.2mmとしたこと以外は、比較例1と同様にしてチップ型ヒューズ素子を得た。
比較例2では、可溶体溶断部のサイズを線幅100μm、長さ0.2mmとしたこと以外は、比較例1と同様にしてチップ型ヒューズ素子を得た。
得られた各サンプルのチップ型ヒューズ素子につき、抵抗値及び溶断時間を測定した。溶断時間は、可溶体に4Aの電流を流し始めてから可溶体が切断されるまでの時間とした。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、レジストパターンを版として用いた実施例はチップ型ヒューズ素子として機能しているのに対し、スクリーン版を用いた比較例1では、メッシュが目詰まりを起こして可溶体の形成が不可能であった。一方、比較例2に示すように、線幅を太くすればスクリーン印刷にて可溶体形成可能であったが、実施例1に比べて溶断時間が長くなっている。このことから、可溶体ペーストを塗布する際にレジストパターンをマスクとすることで、溶断特性が改善されることがわかる。
1 チップ型ヒューズ素子、2 基板、3 可溶体、4 電極、5 保護層、11 レジスト 12 可溶体ペースト
Claims (12)
- 基板上に可溶体ペーストを塗布し、焼成して可溶体を形成するチップ型ヒューズ素子の製造方法であって、
前記可溶体に対応する形状の開口部を有するレジストパターンを前記基板上に形成し、当該レジストパターンをマスクとして前記可溶体ペーストを前記基板上に塗布することを特徴とするチップ型ヒューズ素子の製造方法。 - 前記焼成を行った後、前記レジストパターンの焼成物を除去することを特徴とする請求項1記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記焼成を行った後、前記レジストパターンの焼成物を除去することなく保護層を形成することを特徴とする請求項1記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記焼成温度を前記レジストパターンの耐熱温度以下とすることを特徴とする請求項2又は3記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記可溶体が金属ナノ粒子の焼結体からなることを特徴とする請求項4記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記可溶体ペーストとしてAg2Oナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いることを特徴とする請求項5記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記可溶体ペーストが有機Ag化合物を含むことを特徴とする請求項6記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記可溶体ペーストとして、平均粒径50nm以下であり、アミン系分散剤で被覆された金属ナノ粒子を含む可溶体ペーストを用いることを特徴とする請求項5記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記焼成により前記レジストパターンを焼失させることを特徴とする請求項1記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記可溶体ペーストとして、Ag、Auから選ばれる少なくとも1種を含む可溶体ペーストを用いることを特徴とする請求項9記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- フォトリソグラフィにより前記レジストパターンを形成することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
- 前記レジストパターンの膜厚を1μm〜20μmとすることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のチップ型ヒューズ素子の製造方法。
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