JP6103708B2 - イオン性液体含有相互侵入網目構造体およびその製造方法 - Google Patents

イオン性液体含有相互侵入網目構造体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、2つの異なる高分子鎖が互いに独立して絡み合った相互侵入網目構造にイオン性液体を保持してなるイオン性液体含有相互侵入網目構造体およびその製造方法に関するものである。
近年、酸化還元、温度、電気等の2つ以上の刺激に応答するゲルに、相互侵入網目構造を応用する技術が提案されている(特許文献1、3)。
この相互侵入網目構造を有する高強度ゲル構造体(IPNゲル、ダブルネットワーク(DN)ゲル)として、水を溶媒とするハイドロゲルが挙げられる(非特許文献1、2)。この高強度ハイドロゲルとしては、スライドリングゲル、tetra−PEGゲル、ナノコンポジットゲルなどが提案されているが、いずれも溶媒が揮発性の水を使用しているため、大気環境下で揮発してしまい、長期間保存することができないという問題があった。
一方、大気環境下で長期間保存が可能なゲル構造体としては、揮発性が極めて小さいイオン性液体を溶媒とするイオンゲルが開発されており、イオン性液体を使用したスライドリングゲルおよびtetra−PEGゲルも提案されている。しかしながら、これらは、作製方法が煩雑であり、特殊な化合物を使用する必要があり、汎用性が十分ではなく、透明性を確保することができないという問題があった。
また、アクリル重合体と、アクリル単量体とラジカル重合性オリゴマーからなる架橋ポリマーが相互に侵入し網目状に絡み合った構造をとり、この相互侵入網目をイオン性液体が適度に膨潤させて粘着性、耐衝撃性を改善する粘着剤組成物の技術が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、粘着剤組成物におけるイオン性液体の割合は低く、イオン性液体の性能を十分に生かすことができず、さらには成型性、自立性が十分ではなかった。
ところで、イオン性液体は、揮発性が極めて低く、常温でも流動性を有し良好な熱伝導度を有する。しかしながら、比較的高い圧力条件下では、一般的にイオン性液体を固定化するために使用される多孔構造の支持体から漏れ出てしまい、高い圧力下での使用は困難であり、例えば高い強度(例えば靱性)を有するゲル状の構造体が望まれていた。
この様に、調製が簡便でありながら、長期間保存性、透明性、柔軟性、自立性、成型性、および靭性を有するイオン性液体含有相互侵入網目構造体およびその製造方法について改善の余地があった。
特開2011−123238号公報 特開2008−24818号公報 特表2012−511612号公報
Changlong.Fei,et.al.,「J.Polym.Res.」(2012)、19、9929 Chen P. et.al.,「J.Polym.Res.」(2012)、19、9825
そこで、本発明は、調製が簡便でありながら、長期間保存性、透明性、柔軟性、自立性、成型性、および靭性を有するイオン性液体含有相互侵入網目構造体およびその製造方法を提供することを課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のイオン性液体と特定のモノマーとの相溶性が良好であることから、比較的多量のイオン性液体の存在下で、高架橋密度を有する第一網目構造と低架橋密度を有する第二網目構造を、それぞれ独立して異なる重合方法で形成することにより、イオン性液体含有相互侵入網目構造体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下を要旨とする:
[1] (i)縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造、
(ii)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造、ならびに
(iii―1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(iii―2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体
を含み、
前記(i)縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造が、式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含み、
前記(ii)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造が、少なくともビニル基およびアミド基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含むことを特徴とするイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
(R1は水素原子、アルコキシ基、アルキル基のいずれか、R2はアルキル基、nは0〜3の整数)
[2] 前記(iii−1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(iii−2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の含有量が、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中45〜85質量%である[1]に記載のイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[3] 前記式(I)において、R2はアルキル基、nは0である[1]または[2]に記載のイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[4] 前記ビニル基およびアミド基を有するモノマーが、メチルアクリルアミドおよび/またはジメチルアクリルアミドを含む[1]〜[3]のいずれかに記載のイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[5] 0.5N/mm2以上、24N/mm2以下の圧縮強度を有する[1]〜[4]のいずれかに記載のイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
[6] (I−1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(I−2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の存在下に、
少なくとも1つの網目構造を縮重合により形成する工程、ならびに
少なくとも1つの網目構造をラジカル重合により形成する工程、
を含むことを特徴とするイオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法。
[7] 前記(I−1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(I−2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の使用量が、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中45〜85質量%である[6]に記載の製造方法。
[8] 前記少なくとも1つの網目構造を縮重合により形成する工程において、式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分を縮重合により重合する[6]または[7]に記載の製造方法。
(R1は水素原子、アルコキシ基、アルキル基のいずれか、R2はアルキル基、nは0〜3の整数)
[9] 前記式(I)において、R2はアルキル基、nは0である[8]に記載の製造方法。
[10] 前記少なくとも1つの網目構造をラジカル重合により形成する工程において、ビニル基およびアミド基を有するモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合により重合する[6]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 前記ビニル基およびアミド基を有するモノマーが、メチルアクリルアミドおよび/またはジメチルアクリルアミドを含む[10]に記載の製造方法。
[12] 縮重合、ラジカル重合をこの順でまたは同時に行う、[6]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、特定のイオン性液体と特定の第二網目構造を形成するためのモノマーの相溶性が良好となり、結果として、相互侵入網目構造体に高濃度のイオン性液体が含有されて長期保存性、自立性、柔軟性、成型性、靭性を改善することができた。また、各網目構造を形成するためのモノマー溶液を別々に調製する必要がなく、しかも2つの異なる重合方法を独立して行うことができることからイオン性液体含有相互侵入網目構造の調製が簡便となった。さらに、第一網目構造の重合時に酸触媒を使用すると、イオン性液体含有相互侵入網目構造体の透明性を向上させることができた。
図1は、本発明の相互侵入網目構造体を作製するスキームを示す図である。 図2は、第一網目構造体と本発明の相互侵入網目構造体の圧縮に対する靱性を示す写真である。 図3は、第一網目構造体、第二網目構造体、相互侵入網目構造体の圧縮試験の結果を示す図である。 図4は、本発明の相互侵入網目構造体の圧縮に対する靱性を示す写真である。 図5は、フィルム作製に用いた反応容器、および実験手法を示す概念図である。
1.イオン性液体含有相互侵入網目構造体
本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、(i)縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造、(ii)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造、ならびに
(iii−1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(iii−2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体を含み、
前記(i)縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造が、後述される式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含み、
前記(ii)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造が、少なくともビニル基およびアミド基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含むことを特徴とする。
本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、高い架橋密度を有する第一網目構造と、低い架橋密度を有する第二網目構造が互いに絡み合うと共に、これら網目構造の間に特定のイオン性液体が含有されてなる。かかるイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、ゲル状でありながら、大気環境下でも長期保存性が高く、透明性、成形性、自立性、柔軟性、靭性を有する。以下、イオン性液体含有相互侵入網目構造体について具体的に詳述する。
A.第一網目構造
第一網目構造は、縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造であり、第二網目構造より高い架橋密度を有することが好適である。
前記縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造は、後述される式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含んでなる。
式中、R1は水素原子、アルコキシ基、アルキル基のいずれかである。
アルコキシ基としては、例えば直鎖、分岐、または環状の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、iso−ヘキシルオキシ基、neo−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えば直鎖、分岐、または環状の炭素数1〜20のアルキル基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコサデシル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
式中、R2はアルキル基である。アルキル基としては、上記R1で列挙されたものが挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基が好ましく、より好ましくはエトキシ基である。
式中、nは0〜3の整数である。nは、縮重合を行う観点から、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、さらに好ましくは0である。
前記式(I)において、R2はアルキル基、nは0であることが好適である。この様なモノマーは、縮重合に寄与する基の数を多くすることができ、三次元的に架橋して高い架橋密度を実現することができる。
前記式(I)で表されるモノマーとしては、テトラメトキシオルトシリケート、テトラエトキシオルトシリケート(テトラエチルオルトシリケート)、メチルトリエトキシオルトシリケート、メチルトリメトキシオルトシリケート、オクチルトリエトキシオルトシリケート、ジメチルジエトキシオルトシリケート等が挙げられ、1種または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、縮重合を行い、三次元的に架橋して、高い架橋密度を発現する観点から、テトラエトキシオルトシリケートが好ましい。
前記式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーは、例えば第二網目構造の重合とは別の重合方法、縮重合で形成されることが好ましい。なお縮重合の際に、イオン性液体をより多く取り込むため酸触媒を添加してもよい。
B.第二網目構造
第二網目構造は、ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造であり、第一網目構造より低い架橋密度を有することが好適である。前記ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造は、少なくともビニル基およびアミド基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含んでなる。
前記ビニル基およびアミド基を有するモノマーは、嵩高さが低い方が長く生長できるため、メチルアクリルアミドおよび/またはジメチルアクリルアミドを含むことが好ましい。
少なくともビニル基およびアミド基を有するモノマー成分が重合されたポリマーは、例えば第一網目構造の重合とは別の重合方法、すなわちラジカル重合で形成されることが好ましい。ラジカル重合では、熱重合、光重合(紫外線照射)のいずれかを採用することが好ましい。また、熱重合によるラジカル重合を利用して第一網目構造の重合と同時に第二網目構造の重合を行ってもよい。
ビニル基およびアミド基を有するモノマーと、式(I)で表されるモノマーとの質量比(ビニル基およびアミド基を有するモノマー/式(I)で表されるモノマー)は、好ましくは0.1〜10/0.1〜1、より好ましくは0.1〜5/0.1〜1、さらに好ましくは0.2〜3/0.1〜1である。
架橋剤は、特に限定されず、架橋重合すべきモノマーに対応して種々のものが選択される。例えば、ラジカル重合の際のモノマーとしてメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドを用いた場合には、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等を架橋モノマーとして共重合させることができる。
この他、ラジカル重合の際に共重合されてもよい架橋剤としては、特に限定されないが、従来公知のものを適宜選択することができ、例えば、多官能(メタ)アクリレート等を用いることができる。さらにラジカル重合の際に共重合されなくともよい架橋剤としては、特に限定されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、過酸化物系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、尿素系架橋剤、アミノ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、カップリング剤系架橋剤(例えばシランカップリング剤)等を用いることができる。これらのうち一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
多官能(メタ)アクリレート(すなわち、一分子内に二以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤の例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤の例としては、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン,ジグリシジルアニリン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール S ジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)トルエン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌル酸、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパングリシジルエーテル等の、1分子内にエポキシ基を2個以上または3個以上有するエポキシ系化合物が挙げられる。例えば、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを好ましく用いることができる。
なお、イソシアネート系架橋剤としては、上記で例示したイソシアネート系化合物の二重体や三量体、反応生成物または重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二重体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート)等も用いることができる。例えば、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物を好ましく用いることができる。
架橋剤の使用量は、例えば、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量部に対して好ましくは0.001〜10質量部とすることができ、0.01〜5質量部とすることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤は、モノマーとしてメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドを熱重合する場合には、過硫酸カリウムなどの水溶性熱触媒等を用いることができ、光重合する場合には、光増感剤として2−オキソグルタル酸を用いることができる。
この他の重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤、置換エタン系開始剤等を使用することができる。光重合には、各種光重合開始剤を使用することができる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等が例示される。
過酸化物系開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、過酸化水素等が例示される。
レドックス系開始剤としては、過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組み合わせ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ等が例示される。
置換エタン系開始剤としては、フェニル置換エタン等が例示される。
光重合開始剤としては、(1)アセトフェノン系、(2)ケタール系、(3)ベンゾフェノン系、(4)ベンゾイン系・ベンゾイル系、(5)キサントン系、(6)活性ハロゲン化合物〔(6−1)トリアジン系、(6−2)ハロメチルオキサジアゾール系、(6−3)クマリン類系〕、(7)アクリジン類系、(8)ビイミダゾール系、(9)オキシムエステル系等の光重合開始剤が好ましい。
(1)アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1などを好適に挙げることができる。
(2)ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを好適に挙げることができる。
(3)ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1等を好適に挙げることができる。
(4)ベンゾイン系又はベンゾイル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ゼンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベゾエート等を好適に挙げることができる。
(5)キサントン系光重合開始剤としては、例えば、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、モノイソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン等を好適に挙げることができる。
(6)活性ハロゲン化合物である(6−1)トリアジン系光重合開始剤としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルビフェニル)−s−トリアジン、p−ヒドロキシエトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル−s−トリアジン、3,4−ジメトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−ベンズオキソラン−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン等を好適に挙げることができる。
(6−2)ハロメチルオキサジアゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール等を好適に挙げることができる。
(6−3)クマリン類系光重合開始剤としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を好適に挙げることができる。
(7)アクリジン類系光重合開始剤としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等を好適に挙げることができる。
(8)ビイミダゾール系光重合開始剤としては、ロフィンダイマーとして知られる例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体や、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,2’−ベンゾチアゾリルジサルファイド等を好適に挙げることができる。
(9)オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2−オクタンジオン 1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O-アセチルオキシム)等を好適に挙げることができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部とすることができる。
C.イオン性液体
本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体に使用されるイオン性液体は、熱安定性、低蒸気圧を有し、大気環境下でも揮発することなく安定して保存することができるものであり、従来公知のものであればよく、第二網目構造を形成するモノマー溶液との良好な相溶性の観点から、イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基またはホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体を有するものである。イオン性液体は、第一網目構造を形成するモノマーと第二網目構造を形成するモノマーの溶媒として機能すると共に、第一網目構造および第二網目構造が形成された後はこれらの網目構造内に包含される。
C−1.イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体
炭素数3以上の置換基としては、炭素数3以上20以下のアルキル基、炭素数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基等が挙げられる。
炭素数3以上20以下のアルキル基としては、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコサデシル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
炭素数3以上8以下のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
炭素数6以上20以下のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、アニシル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有する化合物は、さらに、アルキル基等の置換基を有してもよく、対アニオンと塩を形成してもよい。対アニオンとしては、アルキルスルフェート、トシレート、メタンスルホネート、ビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ハライド等が挙げられる。
イミダゾリウム及び炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体としては、具体的には、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリブロミド、1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロライド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムブロミド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−[6−(メチルスルフィニル)ヘキシル]イミダゾリウムp−トルエンスルホネート等が挙げられる。
なかでも、第二網目構造を形成するモノマーとの良好な相溶性の観点から、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート([Bmin][BF4])が特に好ましい。
C−2.ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体
ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体は、イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体と同等の性質を発現することから、かかるイオン性液体を相互侵入網目構造体に採用することができる。
炭素数3以上の置換基としては、上記に例示されるものと同様であってもよい。
ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体は、さらに、アルキル基等の置換基を有してもよく、対アニオンと塩を形成してもよい。対アニオンとしては、アルキルスルフェート、トシレート、メタンスルホネート、ビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ハライド、アミノ酸の誘導体等が挙げられる。
中でも、対アニオンは、アミノ酸の誘導体が好ましく、メチルグリシン、ジメチルグリシン、トリメチルグリシンがより好ましく、ジメチルグリシンが特に好ましい。
ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体としては、テトラブチルホスホニウムメチルグリシン、テトラブチルホスホニウムジメチルグリシン、テトラブチルホスホニウムトリメチルグリシン等が挙げられる。中でも、第二網目構造を形成するモノマーとの良好な相溶性の観点から、テトラブチルホスホニウムジメチルグリシンが特に好ましい。
前記イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体またはホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の含有量は、上記構造体の大気環境下での長期保存性の観点から、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中45〜85質量%であることが好ましく、より好ましくは51〜82質量%である。上記含有量が45質量%未満であると、ゲル化しない虞があり、85質量%を超えると、成形体の自立性を確保することができない虞がある。
前記イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体またはホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の含有量は、第二網目構造を構成する成分100質量部に対して50〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは100〜550質量部、さらに好ましくは150〜500質量部である。
本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、任意成分としてグリシン、セリン、アラニン、プロリン、ジメチルグリシン等、任意のアミノ酸を含んでいてもよい。
本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、高い靭性の観点から、0.5N/mm2以上、24N/mm2以下の圧縮強度を有することが好ましく、より好ましくは10N/mm2以上、24N/mm2以下の圧縮強度、さらに好ましくは15N/mm2以上、24N/mm2以下の圧縮強度を有する。かかる圧縮強度は、例えば圧縮試験機(オートグラフ;株式会社島津製作所製、型番AGS−J)を用いて測定することができる。
例えば、図2および3に示すように、第一網目構造体および第二網目構造体のそれぞれ単独での圧縮試験では7.5N/mm2以下で崩れてしまうが、本発明の相互侵入網目構造体は、24N/mm2でも崩れることなく、柔軟であり、靱性を示す。
2.イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法
本発明において、イオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法は、(I−1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(I−2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の存在下に、少なくとも1つの網目構造を縮重合により形成する工程、ならびに少なくとも1つの網目構造をラジカル重合により形成する工程、を含むことを特徴とする。
上記の方法を採用することにより、第一網目構造を形成するためのモノマー溶液と、第二網目構造を形成するためのモノマー溶液を別々に調製して混合することなく、2つの独立した異なる重合方法を採用することにより、2つの異なる高分子網目構造が互いに絡み合い、しかも高濃度のイオン性液体がこれらの高分子網目構造に包含された、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を簡便に作製することができる。この本発明の相互侵入網目構造体を作製するスキームを図1に示す。
上記製造方法の具体例は、例えば、図1に示される。第一網目構造を形成するためのモノマー(第一網目構造モノマー)と第二網目構造を形成するためのモノマー(第二網目構造モノマー)をイオン性液体に混合し(モノマー溶液の調製)、第一重合(加熱)の縮重合により第一網目構造体(半相互侵入網目構造体)を形成した後、第二重合(紫外線照射)のラジカル重合により第二網目構造体を形成することで、イオン性液体含有相互侵入網目構造体が作製される。なお、第一網目構造を形成するためのモノマーとイオン性液体を混合して、縮重合により第一網目構造体を形成した後に、第二網目構造を形成するためのモノマーを添加してラジカル重合を行って本発明の構造体を作製することもできる。
前記イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体またはホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体、式(I)で表されるモノマー、ビニル基およびアミド基を有するモノマーおよびそれらの使用量は、上記に例示される通りである。
前記少なくとも1つの網目構造を縮重合により形成する工程において、式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分を縮重合により重合することが好ましい。縮重合は、互いのモノマー分子内から水が脱離してモノマー成分が重合して、かつ高架橋密度を有するように行なわれることが好ましい。縮重合に使用されるモノマー成分は、高架橋密度を有するために、水酸基に置換され得る末端基を複数有することが好適であり、例えば、アルコキシ基を複数有する上記の物質が好適である。
縮重合は、上記構造体の靱性を高める観点から、第一網目構造の形成に採用することが好ましい。
縮重合を行う工程において、イオン性液体を取り込むと共に、透明性を高めるため、触媒を使用してもよい。触媒としては、HCl、酢酸等の酸触媒;アンモニア等の塩基触媒等が挙げられる。なかでも、網目構造にイオン性液体を取り込みやすくなる点で、酸触媒を使用することが好ましく、HClを使用することがより好ましい。触媒の使用量は、上記構造体を構成する成分100質量部に対して好ましくは0.0001〜0.003質量部、より好ましくは0.0005〜0.002質量部である。
触媒を使用した場合の縮重合の様式を説明すると以下の通りになる。
酸触媒をテトラエチルオルトシリケートに使用すると、H3+がSi(OEt)4の酸素原子に求電子的に反応することでSi(OH)(OEt)3となり、この反応と生成したSi(OH)n(OEt)4-n同士の縮重合により三次元網目を形成することができる。そして、反応が進むと、H2Oとその対象であるOEt基の数は次第に減少するため反応速度は遅くなり、ゲル化するまでに長時間を要するものの直鎖性が高い網目構造で透明性が高いゲルが得られる。
一方で、塩基性触媒をテトラエチルオルトシリケートに使用すると、多量に存在するOH-がOEtの立体障害を乗り越えてSiに求核的に攻撃することでSi(OH)(OEt)3となる。Si(OH)(OEt)3となった状態ではOEtが減少するため、立体障害が低くなりOH-の攻撃を受け易くなる。さらに対象となるSiの数が減少しないことから反応速度は非常に速く、多くのOEt基がOH基となり縮合して三次元性と緻密性が高くなるため、溶媒を取り込めなくなり、粒子状となる。この塩基性触媒を使用すると、網目構造は緻密になるが溶媒を取り込むことができず、第一網目構造の作製に使用することは適切ではない。
縮重合の温度は、例えば、25〜80℃であり、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃である。
縮重合の反応時間は、例えば1〜100時間、好ましくは20〜80時間、より好ましくは30〜70時間、さらに好ましくは40〜60時間である。
前記少なくとも1つの網目構造をラジカル重合により形成する工程において、ビニル基およびアミド基を有するモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合により重合することが好ましい。ラジカル重合は、ラジカルを中心として互いのモノマーが連鎖的に重合して、第一網目構造よりも低架橋密度を有するように行われることが好ましい。ラジカル重合に使用されるモノマー成分は、低架橋密度を有するために、主として二次元的架橋として重合されるものが好適であり、例えばビニル基等を有する上記物質が好適である。
ラジカル重合は、上記構造体の柔軟性、延伸性を促進する観点から、第二網目構造の形成に採用することが好ましい。
ラジカル重合の温度は、熱重合を採用する場合、例えば、25〜80℃であり、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃であり、光重合を採用する場合、10〜60℃であり、好ましくは20〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。
ラジカル重合の反応時間は、熱重合を採用する場合、例えば1〜100時間、好ましくは20〜80時間、より好ましくは30〜70時間、さらに好ましくは40〜60時間であり、光重合を採用する場合、例えば0.1〜100時間、好ましくは1〜70時間、より好ましくは5〜40時間、さらに好ましくは10〜30時間である。
光重合する際、紫外線の波長は、モノマーがラジカル重合を可能とする吸収波長であれば特に限定されないが、好ましくは200〜550nmの波長域から選んで用いることができ、より好ましくは250〜500nm、さらに好ましくは300〜400nmである。また、紫外線の強度は、特に限定されるものではないが、強度が弱すぎると重合時間が長く掛かり、強度が強すぎると発熱や安全性が問題になるため、好ましくは1000〜3000μJ/(cm2・s)であり、より好ましくは1000〜2000μJ/(cm2・s)、さらに好ましくは1500〜2000μJ/(cm2・s)である。
本発明の製造方法において、縮重合、ラジカル重合をこの順でまたは同時に行うことが好適である。縮重合、ラジカル重合をこの順で行う場合には、例えば、加熱して縮重合を行い、光照射してラジカル重合を行ってもよい。縮重合、ラジカル重合を同時に行う場合には、例えば、加熱して縮重合およびラジカル重合を同時に行ってもよい。
本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば高圧下でもイオン性液体を内部に保持することが可能であり、高圧下でも使用可能なCO2吸収材、CO2選択透過膜等のCO2吸収媒体として適用可能である。また、本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば導電性材料にも適用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実施例1
イオン性液体含有相互侵入網目構造体を創製するストラテジーとして、第二網目構造が重合時に膨潤することなく2つの第一網目構造と第二網目構造を組み込む、つまり第一網目構造を形成するための溶液を仕込む時点で第二網目構造を形成するための溶液を混合し、さらに2つの独立した重合(第一網目構造:縮重合、第二網目構造:ラジカル重合)を行うことを考えた(この方法はOne−pot法ともいい、図1参照)。
第一網目構造を形成するためのモノマーとしてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)5.13g、第二網目構造を形成するためのモノマーとしてN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)14.64g、イオン性液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート([Bmim][BF4])80g、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.0683g(DMAAmに対して0.3モル%)、重合開始剤として2−オキソグルタル酸(OA)0.0216g(DMAAmに対して0.1モル%)を混合して1時間攪拌した。この混合物に酸触媒の0.01mol/L HCl水溶液3.014gを添加し、最初に50℃で48時間加熱して第一網目構造を形成するためのモノマーを重合させ、次に365nmの紫外線を24時間照射して第二網目構造を形成するためのモノマーを重合させ、最後に60℃で24時間真空乾燥を行い、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を得た。
上記構造体は、オートグラフ(株式会社島津製作所製、型番AGS−J)を用いて圧縮試験を行ったところ、24N/mm2の応力に耐え、破壊されることはなかった。また、上記構造体は、黄色を呈することなく透明であり、押しても壊れることなく柔軟でありながら自立しており、所望の型に入れても成型することができた。
このように、第一網目構造を形成するためのモノマー溶液と、第二網目構造を形成するためのモノマー溶液を別々に調製することなく、これら溶液を混合して異なる重合方法を適用するだけで、多量のイオン性液体が第一網目構造と第二網目構造に包含されたイオン性液体相互侵入網目構造体を作製することができた。
実施例2
第一網目構造 のモノマーとしてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)0.256g、第二網目構造 のモノマーとしてN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)0.714g、重合開始剤として2−オキソグルタル酸(OA)0.0011g、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.0033g、イオン性液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート([Bmim][BF4])3.90g及び酸触媒として0.01M HCl水溶液0.147gを用いた。
上記成分を調製し、均一になるまでよく攪拌し、調製した溶液をスポイト/試験管に移しゲル化するまで(1日程度)50℃で静置し、作製したゲルに対して365nmの紫外線を7時間照射し、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を得た。
上記構造体は、オートグラフ(株式会社島津製作所製、型番AGS−J)を用いて圧縮試験を行ったところ、24N/mm2の応力に耐え、破壊されることはなかった。また、上記構造体は、黄色を呈することなく透明であり、押しても壊れることなく柔軟でありながら自立しており、所望の型に入れても成型することができた。
このように、第一網目構造を形成するためのモノマー溶液と、第二網目構造を形成するためのモノマー溶液を別々に調製することなく、これら溶液を混合して異なる重合方法を適用するだけで、多量のイオン性液体が第一網目構造と第二網目構造に包含されたイオン性液体相互侵入網目構造体を作製することができた。
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)を用いた構造体は、具体的には示さないがメタクリレート(MA)と比べて高い応力をかけても壊れることなく高い強靭性を持っていると考えられる。この結果より相互侵入網目構造体の第二網目構造として用いることができるモノマーは側鎖がなるべく嵩高くないものが望ましいと考えられる。
また、相互侵入網目構造体は、第一網目構造をゆるく架橋された第二網目構造のポリマーが絡み合って高強度を発現していると考えられる。第二網目構造のポリマーは、応力に対して伸長・収縮する必要があると考えられ、そのためには、第二網目構造のモノマーは側鎖の立体障害が低いものが適していると考えられる。
実施例3
第一網目構造 のモノマーとしてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)0.220g、第二網目構造 のモノマーとしてN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)0.628g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0104g(DMAAmに対して1.0モル%)、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.0029g(DMAAmに対して0.3モル%)、イオン性液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート([Bmim][BF4])1.90g及び酸触媒として0.01M HCl水溶液0.129gを用いた。
上記成分を調製し、均一になるまで3時間撹拌し、調製した溶液を、図5に示す薄膜作成器具のスペーサー内部に注入し、恒温槽(DKN302、ヤマト科学)にて60℃で3日程度静置し、その後薄膜作製器具から取り出し、真空オーブン(AVO−250NB,AS ONE)で60℃、24時間加熱真空乾燥を行い、第一網目構造を形成するためのモノマーと第二網目構造を形成するためのモノマーを同時に重合させ、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を作製した。
なお、薄膜作製器具は、以下のものを使用した。
図5に示すように、長さ10cm×10cmの大きさにカットした2枚のアクリル板(スミペックス000、住友化学株式会社)で長さ10cm×10cm、厚さ0.3mm、のテフロン(登録商標)シート(NR−0532−23、フロンケミカル株式会社)の内部を9cm×9cmの大きさにてくり抜いたスペーサーを挟み、シリンジ(SS−10SZ、テルモ株式会社)と注射針(NN−2719S、テルモ株式会社)を図5のように設置した上でアクリル板をクリップで挟み、固定した。
上記構造体は、圧縮しても応力に耐え、破壊されることはなかった。また、上記構造体は、透明であり、柔軟でありながら自立しており、所望の型に入れても成型することができた。
このように、第一網目構造を形成するためのモノマー溶液と、第二網目構造を形成するためのモノマー溶液を別々に調製することなく、これら溶液を混合して異なる重合方法を用いてしかも加熱するだけで、多量のイオン性液体が第一網目構造と第二網目構造に包含されたイオン性液体相互侵入網目構造体を作製することができた。
また、上記構造体は、膜厚1mmとしてオートグラフ(AGS−J、株式会社島津製作所)を用いて引っ張り速度0.1min-1にて試験を行うと、ダブルネットワークゲルと比較して非常に延伸性に優れており、非常に伸張性の高い高強度ハイドロゲルとして報告されているAlginate-Polyacrylamideハイブリッドゲルよりも1.8倍程度高い破断応力を示した。以上より、イオン性液体含有相互侵入網目構造体は、ダブルネットワークゲルやAlginate-Polyacrylamideハイブリッドゲルに準ずる強度またはそれ以上の強度を有していると考えられる。
実施例4
第一網目構造を形成するためのモノマーとしてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)0.180g、第二網目構造を形成するためのモノマーとしてN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)0.5139g、イオン性液体としてテトラブチルホスホニウムジメチルグリシン([P4444][dmGly])0.60g、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.0056g(DMAAmに対して0.7モル%)、重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(HCPK)0.0052g(DMAAmに対して1質量%)、TEOSの反応触媒として超純水(H2O)0.1058gを混合して均一になるまで攪拌した。混合した溶液をスポイトに移し、次に365nmの紫外線を10時間照射して第二網目構造を形成するためのモノマーを重合させ、最後に50℃で48時間加熱し、第一網目構造を形成するためのモノマーを重合させ、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を得た。
得られた相互侵入網目構造体は、図4に示すように圧縮応力をかけても破壊されず高い強靭性を示した。また、上記構造体は、黄色を呈するものの透明であり、柔軟でありながら自立しており、所望の型に入れても成型することができた。
比較例1
第一網目構造のポリマーとしてポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)−ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(PEGMEA)、第二網目構造のポリマーとしてポリロタキサン(polyrotaxane)、重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(HCPK)、イオン性液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([Bmim][Tf2N])を、表1に示す組成で混合し、70℃に加熱してよく攪拌した。尚、HCPKはPEGDA−PEGMEAに対して1質量%になるように加えた。
次に溶液をシャーレにとり、365nmの紫外線を3時間照射した後に170℃のオーブンで3時間加熱した。
得られた構造体は、PEGDA分率が大きくなるほど硬く脆いゲルとなった。PEGDA質量分率が0.5の構造体に関して、柔軟性はあったものの壊れ易かった。PEGDA質量分率が0.6以下の構造体では、170℃の加熱時に構造体の収縮が起こり第一網目構造の構築時より小さな構造体となった。これらのことから、PEGDA−PEGMEA/polyrotaxaneの二重網目構造体における加熱時のゲル収縮は、第一網目構造とイオン液体の親和性がそれほど良くないため起こったと考えられ、PEGDA−PEGMEA/polyrotaxane二重網目構造体がポリマー濃度10質量%、すなわちイオン性液体濃度90質量%にて十分な強度を有するイオン性液体含有相互侵入網目構造体を作製することは困難であった。
比較例2
第一網目構造のモノマーとして1−ビニルイミダゾール、第二網目構造のポリマーとしてポリロタキサン(polyrotaxane)、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、イオン性液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([Bmim][Tf2N])を用い、[Bmim][Tf2N]:1−ビニルイミダゾール:BPO:EGDMA=1.96:2.8:0.135:0.11(質量比)、1−ビニルイミダゾール:polyrotaxane=1:1(質量比)となるように量り、70℃に加熱・混合しよく攪拌した。次に、溶液をシャーレにとり、80℃のオーブンで一晩反応させた。
80℃加熱により第一網目構造が構築されたが、加熱後得られたものはゲル化しておらず、茶色の繊維状物質が数個浮いているような状態であった。これは1−ビニルイミダゾールと[Bmim][Tf2N]の相溶性が良好でないためであると考えられる。
比較例3
モノマーとしてポリエチレングリコール(分子量6000または14000、PEG)0.5g、25質量% グルタルアルデヒド(GA)水溶液0.04g、Milli−Q水0.46gを混合し、均一な溶液になるまでよく攪拌しPEG−GA溶液とした。
別途アクリル酸(AA)1.168g、5M NaOH水溶液2.432gを混合し、氷水浴冷却下で10分程度攪拌しAA溶液を得た。
別途N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.0015g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)0.015g、Milli−Q水0.35gを混合し、均一な溶液になるまで攪拌しMBAA−APS溶液を得た。氷水浴下のAA溶液にPEG−GA溶液及びMBAA−APS溶液を加え、よく攪拌した後に試験管、スポイトに移し室温で12時間静置した。
得られた構造体はかなり強度が高く手で押し込んでも破壊できなかったが、いずれも薄黄色で透明度の低いゲルであった。また、作製した構造体をMilli−Q水に1週間程度浸したところ、自重の100倍程度の水を膨潤した。これはAAが高分子電解質(ポリアニオン)であるために浸透圧によって多量の水を吸収したと考えられる。また、膨潤後の構造体は非常に軟らかく壊れやすいゲルとなっていた。
比較例4−1〜5
第一網目構造を形成するためのモノマーとしてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、第二網目構造を形成するためのモノマーとしてアクリルアミドモノマー(AAm)、重合開始剤として2−オキソグルタル酸(OA)、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、酸触媒としてHCl、溶媒としてMilli−Q水−ethanol混合溶媒を用いた。
(i)各成分を表2に示す組成で調製し、均一になるまでよく攪拌した。
(ii)調製した溶液をスポイト/試験管に移しゲル化するまで(2〜3日)50℃で静置した。
(iii)作製したゲルに対して365nmの紫外線を7時間照射し、構造体を得た。
結果として比較例4−5の総ポリマー濃度10質量%のものはゲル化せず非常に粘ちょうな液体であったが、比較例4−1〜4の総ポリマー濃度20質量%以上では無色透明〜少し白濁したゲルとなっていた。いずれの構造体も非常に高い強靭さを持っていると考えられ、総ポリマー濃度が低いほど軟らかく伸びやすいゲルとなっていたものの、高いひずみをかけても壊れることなく形を保っており相互網目構造体(ゲル)として強靭性を発していると考えられる。しかしながら、溶媒が揮発性の水、エタノールであることから、大気環境下で長期間保存ができなかった。
比較例5−1〜4
第一網目構造を形成するためのモノマーとしてテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、第二網目構造を形成するためのモノマーとして1−ビニル−3−エチル−イミダゾリウムブロミド([veim][Br])または1−ビニルイミダゾール(1−vinylimidazole)、重合開始剤として2−オキソグルタル酸(OA)、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、イオン性液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート([Bmim][BF4])及び酸触媒としてHClを用いた。
(i)各成分を表3に示す組成で調製し、均一になるまでよく攪拌した。
(ii)調製した溶液をスポイト/試験管に移しゲル化するまで(1日程度)50℃で静置した。
(iii)作製したゲルに対して365nmの紫外線を7時間照射し、構造体を得た。
初めに、第二網目構造を形成するためのモノマーを使用しなかった比較例5−1、2は、図2、3に示すように、7.5N/mm2の圧力に対して崩れてしまうほど脆かった。
比較例5−3の[veim][Br]を用いた構造体は、自重で崩れる程度の軟らかく脆いゲルであったが、溶液混合時にて相分離の状態が24時間程度攪拌しても均一にならない(他のサンプルは1〜3時間の攪拌で均一になった)状態であったので攪拌しながら分取して50℃に加熱した。24時間後溶液は均一になっており、さらに3日後にはゲル化していた。このことから[veim][Br]とTEOSの親和性がそれほど高くない、或いはUCST(上部完溶温度)を室温〜50℃付近にもっていたことが考えられる。
比較例5−4の1−ビニルイミダゾールを用いた構造体は硬いが脆いゲルとなっていたが、少し白濁していた。これからポリ−1−ビニルイミダゾールと[Bmim][BF4]の相溶性が良くなかった可能性、或いはイミダゾリウム環の嵩高さによりポリマー鎖が伸びず相互侵入網目構造体としての強度が発現しなかった可能性が考えられる。
比較例6
第一網目構造のポリマーとしてポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(PEGMEA)、第二網目構造を形成するためのモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(HCPK)及び2−オキソグルタル酸(OA)、イオン性液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート([Emim][BF4])を用い、以下のように実施した。
(i)PEGDA:PEGMEA=1:9混合液(質量比)、HCPK、[Emim][BF4]をモノマー濃度20質量%になるように混合し、よく攪拌した。尚、HCPKはPEGDA−PEGMEAに対して0.1質量%になるように加えた。
(ii)溶液をスポイトにとり、365nmの紫外線を3時間照射した。
(iii)作製したゲルを取り出してHEMA、OA、[Emim][BF4]:Milli−Q水=1:1混合溶媒(質量比)をモノマー濃度20質量%になるように混合した溶液に一晩浸した。
(iv)ゲルを取り出して365nmの紫外線を7時間または24時間照射し、構造体を得た。
紫外線照射7時間の構造体は琥珀色透明で軟らかく力を加えるとすぐに壊れてしまうゲルであった。一方紫外線照射24時間のゲル構造体は白色不透明な芯のようなものがあり、この芯は非常に硬く、周りの琥珀色透明のゲルは軟らかいゲルとなっていた。これは、膨潤後の構造体が1回り程度大きくなっていたところ、第二網目構造であるPHEMAネットワークが、相分離してしまったためであると考えられる。
本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば高圧下でもイオン性液体を内部に保持することが可能であり、高圧下でも使用可能なCO2吸収材、CO2選択透過膜等のCO2吸収媒体として適用可能である。また、本発明のイオン性液体含有相互侵入網目構造体は、例えば導電性材料にも適用可能である。

Claims (10)

  1. (i)縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造、
    (ii)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造、ならびに
    (iii―1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(iii―2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体
    を含み、
    前記(i)縮重合により形成される少なくとも1つの網目構造が、式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含み、
    前記(ii)ラジカル重合により形成される少なくとも1つの網目構造が、少なくともビニル基およびアミド基を有するモノマーを含むモノマー成分が重合されたポリマーを含むことを特徴とするイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
    (R1は水素原子、アルコキシ基、アルキル基のいずれか、R2はアルキル基、nは0〜3の整数)
  2. 前記(iii―1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(iii―2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の含有量が、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中45〜85質量%である請求項1に記載のイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  3. 前記式(I)において、R2はアルキル基、nは0である請求項1または2に記載のイ
    オン性液体含有相互侵入網目構造体。
  4. 前記ビニル基およびアミド基を有するモノマーが、メチルアクリルアミドおよび/またはジメチルアクリルアミドを含む請求項1〜3のいずれかに記載のイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  5. 0.5N/mm2以上、24N/mm2以下の圧縮強度を有する請求項1〜4のいずれかに記載のイオン性液体含有相互侵入網目構造体。
  6. (I−1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(I−2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の存在下に、
    少なくとも1つの網目構造を縮重合により形成する工程、ならびに
    少なくとも1つの網目構造をラジカル重合により形成する工程、
    を含み、
    前記少なくとも1つの網目構造を縮重合により形成する工程において、式(I)で表されるモノマーを含むモノマー成分を縮重合により重合し、
    前記少なくとも1つの網目構造をラジカル重合により形成する工程において、ビニル基およびアミド基を有するモノマーを含むモノマー成分をラジカル重合により重合することを特徴とするイオン性液体含有相互侵入網目構造体の製造方法。
    (R 1 は水素原子、アルコキシ基、アルキル基のいずれか、R 2 はアルキル基、nは0〜3の整数)
  7. 前記(I−1)イミダゾリウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体または(I−2)ホスホニウムおよび炭素数3以上の置換基を有するイオン性液体の使用量が、イオン性液体含有相互侵入網目構造体を構成する成分100質量%中45〜85質量%である請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記式(I)において、R2はアルキル基、nは0である請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 前記ビニル基およびアミド基を有するモノマーが、メチルアクリルアミドおよび/またはジメチルアクリルアミドを含む請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 縮重合、ラジカル重合をこの順でまたは同時に行う、請求項6〜のいずれかに記載の製造方法。
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