JP6628396B2 - 3dプリンタ用ゲル材料 - Google Patents

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本発明は、3Dプリンタ用のゲル材料に関する。特に、本発明は、従来に比べて著しく改良された透明性を有する一方、機械的特性を制御することが可能なゲルが得られる3Dプリンタ用のゲル材料に関する。
親水性のポリマーを含むハイドロゲルは、吸水性や保水性、柔軟性等の性質に優れるという特性を有することから注目を集めている有用な素材であり、医療、食品、土木など様々な技術分野における利用が期待されている。
一方、ハイドロゲルは、強度が不十分であるという理由によって、その応用分野が制限されることが多く、ハイドロゲルの機械的強度の向上のための努力がなされてきた。
例えば、国際公開2003/093337号パンフレットは、2以上のポリマー、特に架橋網目構造を有するポリマー同士が又は架橋網目構造を有するポリマーと直鎖ポリマーとが互いに絡み合った構造を有するハイドロゲルを開示している。このような相互侵入網目構造ハイドロゲルによるダブルネットワークゲル(以下、「DNゲル」ともいう)は、強度と伸びのバランスに優れているとともに、原料やプロセスのコストを低減することも可能であると考えられる。
また、特開2008−163055号公報は、架橋網目構造を有する第1のポリマーを含む微粒子の架橋網目構造に第2のポリマーが侵入した構造を有するハイドロゲルを開示している。このハイドロゲルは、DNゲルが備える強度等についての利点を保持しつつ、従来のDNゲルに比較して成形性に優れていると考えられる。
近年、医療分野において、治療に使用するための人工血管や、手術練習あるいは患者への説明などに使用する臓器モデルを作製するための材料に対する要請がある。従来使用されてきたアクリル系樹脂やシリコン樹脂などの材料は、高コストである、実物と触感が異なる、作製に長時間を要するなど、様々な問題を有していた。
これに対し、ゲル材料は、主成分が水であるため、比較的安価に作成でき、また、実際の臓器に近い水分量があるゲルを使用して臓器モデルを作製することにより、より現実感のある手術練習を可能とする臓器モデルを提供することができるものと期待される。
一方、ゲル材料は柔らかいため、型を使った成形や切削などの加工になじまない。また、乾燥、塩分などにより含水率が変わるなど、寸法が変わりやすく、精密な加工が困難である。
ゲル材料を用いて人工血管や臓器モデルを作製する場合、3Dプリンタによる印刷技術を利用して、患者一人一人の臓器の3Dデータを基に造形を行うことにより、より精密なものを作製することが可能であると考えられる。
ゲル材料を用いて3Dプリンタにより造形を行う方法として、ゲル材料に紫外線を照射して、ゲル材料中のポリマーを重合し架橋することにより行う方法がある。この場合、紫外線が拡散するのを防止して造形精度を向上させることを目的として、蛍光増白剤を添加することが考えられる。蛍光増白剤は、吸収した光を他の波長の光に変換して放出するため、放出した光が副反応である重合反応を起こさず、発熱も少ないことから、発熱による副反応も避けることができる。
しかしながら、そのようにして得られる造形物は不透明であって、人工血管や臓器モデルを作製した際に内部構造が見えないという問題点があった。また、コンタクトレンズや眼内レンズなどの透明な光学デバイスを作ることができない。さらに、不透明性は、構造の不均一性に結びつきやすく、変形に対して内部での応力集中が生じやすくなり、脆い材料になる場合がある。
国際公開2003/093337号パンフレット 特開2008−163055号公報
本発明は、従来に比べて著しく改良された透明性を有するゲルが得られるため、人工血管や臓器モデルを作製するのに好適な3Dプリンタ用のゲル材料を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、従来の造形されたゲル材料が不透明である原因が、造形精度を向上させるために添加していた蛍光増白剤にあることを認識するとともに、蛍光増白剤に代えて紫外線吸収剤などの光吸収剤を使用することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、3Dプリンタ用のゲル材料であって、
第1のポリマーと、
光重合開始剤と、
前記光重合開始剤を用いて重合することにより第2のポリマーを形成するモノマーと、
光吸収剤と、
を含み、
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとがゲルを構成することを特徴とする、前記ゲル材料である。
本発明のゲル材料において、前記第1のポリマーが網目構造を有し、前記ゲルが、前記第1のポリマーの前記網目構造に前記第2のポリマーが侵入する構造を有するものとすることができる。
また、この場合において、前記第2のポリマーが網目構造を有し、前記ゲルが、前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとが相互に侵入する網目構造を有するものとするのが望ましい。
本発明のゲル材料において、前記第1のポリマーが微粒子であるものとすることができる。
本発明のゲル材料には、前記光重合開始剤に対して前記光吸収剤が、モル比で1:0.01〜1:1の量で含まれるのが望ましい。前記光重合開始剤に対して前記光吸収剤が、モル比で1:0.1〜1:0.5の量で含まれるのがさらに望ましい。
本発明のゲル材料において、前記光吸収剤が紫外線吸収剤であり、前記光重合開始剤が紫外線重合開始剤であるのが望ましい。
さらに、前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、またはトリアジン系の紫外線吸収剤であるのが好ましい。
本発明のゲル材料は、前記第2のポリマーを架橋するための架橋剤をさらに含むものとすることができる。
この場合において、前記架橋剤がアクリルアミド系架橋剤であるのが好ましい。
本発明によれば、従来に比べて格段に透明性が改良されたゲルを得ることが可能な3Dプリンタ用のゲル材料を提供することができる。また、本発明のゲル材料は、架橋剤の種類やモノマーあるいはポリマーの配合割合を変えることにより、ゲルの引張強度及び圧縮強度などの機械的特性を所望のものとすることが可能なものである。
本発明のゲル材料を用いることにより、内部構造がよく見える人工血管や臓器モデルを作製することが可能となる。また、ソフトコンタクトレンズや、眼内レンズのような生体適合性のあるインプラントなど、透明であるのが好ましいものを、本発明のゲル材料を使用することにより作製することができる。さらに、光学顕微鏡観察を行う細胞培養基材や再生医療に使用する材料等についても、本発明のゲル材料を応用することが期待できる。
ゲルが白濁して不透明化する現象は、反応による析出に関連している場合があり、このような場合、不均質性に起因する力学的強度低下が生じることがある。本発明のゲル材料により得られるゲルは、従来技術に比べて透明性が向上していることから、脆弱性や耐変形性の観点でも改良されているものと考えられる。
実施例で作製した本発明のゲル材料により得られるハイドロゲルの透明性を示す図である。 比較例として作製した従来のゲル材料により得られるハイドロゲルの透明性を示す図である。 実施例で作製した本発明のゲル材料により得られるハイドロゲルの引張強度を示すグラフである。 実施例で作製した本発明のゲル材料により得られるハイドロゲルの圧縮強度を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の3Dプリンタ用のゲル材料は、第1のポリマーと、光重合開始剤と、この光重合開始剤を用いて重合することにより第2のポリマーを形成するモノマーと、光吸収剤とを含み、第1のポリマーと第2のポリマーとがハイドロゲルを構成するものである。
本発明で使用する第1のポリマーは、原料モノマーとして、例えば2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩溶液(NaAMPS)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド(AAm)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)、スチレンスルホン酸(SS)またはN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)などのジメチルアクリルアミド等を使用して得られるものである。
また、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンまたはフッ化ビニリデン等のフッ素含有モノマーを使用して得られるものであってもよい。
さらに、ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチンまたはアルギン酸等の多糖類、あるいはゼラチンやコラーゲン等のタンパク質を、第1のポリマーとして使用してもよい。
第1のポリマーは、網目構造を有するのが望ましい。第1のポリマーはまた、微粒子であるのが好ましい。
本発明で使用する第2のポリマーを形成するモノマーは、光重合開始剤を用いて重合することができるものであり、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPs)、N、N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、ラウリルアクリル酸(LA)、ステアリルアクリル酸(SA)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、又はそれらの塩、例えば2−アクリルアミド−2ーメチルプロパンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム等である。
本発明において、第2のポリマーの好ましい例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPs)をモノマーとして重合させたポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2ーメチルプロパンスルホン酸ナトリウム(NaAMPs)をモノマーとして重合させたポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、N、N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)をモノマーとして重合させたポリN、N−ジメチルアクリルアミド(PDMAAm)などを挙げることができる。
第2のポリマーは、網目構造を有するのが望ましい。
また、第1のポリマーと第2のポリマーとによって構成されるハイドロゲルは、第1のポリマーの網目構造に第2のポリマーが侵入する構造を有するのが望ましく、さらに、第1のポリマーと第2のポリマーとが相互に侵入する網目構造を有するのが好ましい。
本発明で使用する光重合開始剤は、紫外線、可視光などの光によって上記モノマーの重合を開始させるものであればよく、例えば、α−ケトグルタル酸、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチル−1−[4−(メチル)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾ−ル等であってよい。
本明細書において、「光吸収剤」とは、光を吸収して熱エネルギーに変換するものを意味し、光を吸収するものであっても、蛍光増白剤のように、光を放出するものは含まない。本発明で使用する紫外線吸収剤は、ケミプロ化成株式会社製KEMISORB 71、KEMISORB 73、KEMISORB 74、KEMISORB 79、KEMISORB 279などのベンゾトリアゾール系、KEMISORB 10、KEMISORB 11、KEMISORB 11S、KEMISORB 12、KEMISORB 111などのベンゾフェノン系、またはKEMISORB 102などのトリアジン系の紫外線吸収剤であってよい。ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が特に好ましい。
本発明の3Dプリンタ用のゲル材料において、上記光吸収剤は、光重合開始剤に対してモル比で1:3〜3:1の量で含まれるのが望ましい。
本発明の3Dプリンタ用のゲル材料はさらに、第2のポリマーを架橋するための架橋剤を含んでいてよい。架橋剤としては、ラジカル重合性の不飽和基を2個以上有する多官能ビニル系モノマーなどを使用することができる。N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)やエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、N,N’−ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)などのジビニル化合物を好適に使用することができる。
本発明の3Dプリンタ用のゲル材料の調製方法は、特に限定されないが、例えば次のような方法を採用することができる。
すなわち、まず、第1のモノマー、架橋剤、光重合開始剤を、所定のモル比(例えば、1:4:0.1)で混合し、窒素を使ってバブリングを10分程度行う。その後UV光を約7時間照射して、第1のポリマーを作製する。作製した第1のポリマーを乾燥、粉砕して、微粒子にする。
次に、第2のモノマー、架橋剤、光重合開始剤を、所定のモル比(例えば、1:0.01:0.01)で混合し、ここに紫外線吸収剤などの光吸収剤を、光重合開始剤1モルに対して0.25モルの割合で混合して、第2のポリマーを形成するための混合溶液を作製する。作製した混合溶液と第1のポリマー微粒子とを重量比で30:1になるように混合して、光を照射することにより第1のポリマーと第2のポリマーとがゲルを構成するゲル材料を調製する。
3Dゲルプリンタにおいて、UV照射する前のゲル材料をバスタブ型の容器にいれ、UVレーザー照射によって照射された部分のみをラジカル重合させてゲル化させ、造形物を作製することができる。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
<第1のポリマーの作製>
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩溶液(NaAMPS)1モル/Lに対し、このモノマーを架橋する架橋剤として、4モル%のN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)と、光重合開始剤として、0.1モル%のα−ケトグルタル酸(α-keto)とを含むモノマー溶液を100mL準備した。
このモノマー溶液に、UVランプを用いてUV光(波長365nm)を約7時間照射して重合を行い、第1のポリマーを作製した。
得られた第1のポリマーを熱乾燥機に1日入れて乾燥させ、乳鉢に入れて粉砕し、粒径が100μm以下の第1のポリマーの微粒子を得た。
<第2のポリマーのためのモノマー溶液の作製>
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)1モル/Lに対し、このモノマーを架橋する架橋剤として、0.01モル%のMBAAと、光重合開始剤として、0.01モル%のα-ketoとを含むモノマー溶液を30mL作製した。さらに、光重合開始剤1モルに対して0.25モルの割合となるように、紫外線吸収剤として0.0025モル%ケミプロ化成株式会社製KEMISORB11Sを混合する。
<第2のポリマー及びハイドロゲルの作製>
第1のポリマーと第2のポリマーのためのモノマー溶液との比率が重量比で1:30となるような量で、上記のように作製した第2のポリマーのためのモノマー溶液に、第1のポリマーの微粒子を投入した。
UVランプを用いてUV光(波長365nm)を約7時間照射して重合を行い、ハイドロゲルを作製した。
(比較例1)
KEMISORB11Sに代えて、日本化薬製の蛍光増白剤Kayaphor AS 150を使用したことを除き、実施例1と同様の方法によりハイドロゲルを作製した。
<ゲルの透明性の評価>
実施例1及び比較例1で得られたハイドロゲルの透明性を、目視により観察した。観察結果を図1(実施例1のハイドロゲル)及び図2(比較例1のハイドロゲル)に示す。
図1及び図2に示されている結果から、本発明によるゲル材料は、蛍光増白剤に代えて光吸収剤を使用したことにより、ハイドロゲルの透明性が著しく改良されていることが理解される。
(実施例2)
第2のポリマーのためのモノマー溶液を作製する際、架橋剤として、MBAAに代えて、N,N’−ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)を使用したことを除き、実施例1と同様の方法によりハイドロゲルを作製した。
(実施例3)
第1のポリマーを作製する際、モノマーとして、NaAMPSに代えて、NaAMPSと2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)とのモル比4:1の混合物を使用したことを除き、実施例2と同様の方法によりハイドロゲルを作製した。
(実施例4)
第1のポリマーを作製する際、モノマーとして、NaAMPSに代えて、NaAMPSとAMPSとのモル比2:1の混合物を使用したことを除き、実施例2と同様の方法によりハイドロゲルを作製した。
(実施例5)
第1のポリマーを作製する際、モノマーとして、NaAMPSに代えて、AMPSを使用するとともに、ハイドロゲルを作製する際、第1のポリマーと第2のポリマーのためのモノマー溶液との比率が重量比で1:30となるようにしたことに代えて、1:40となるようにしたことを除き、実施例2と同様の方法によりハイドロゲルを作製した。
(実施例6)
ハイドロゲルを作製する際、第1のポリマーと第2のポリマーのためのモノマー溶液との比率が重量比で1:40となるようにしたことに代えて、1:45となるようにしたことを除き、実施例5と同様の方法によりハイドロゲルを作製した。
<ゲルの透明性の評価>
実施例2〜6で得られたハイドロゲルの透明性を、目視により観察したところ、いずれも実施例1で得られたハイドロゲルと同程度の改良された透明性が確認された。
<ゲルの引張強度の評価>
実施例1〜6で得られたハイドロゲルの引張強度を、次のように評価した。
作製したハイドロゲルを1日純水中で膨潤させた。その後Oh-Laser社製HAJIMEレーザー加工機で、8号ダンベル試験片状にカットし、株式会社エー・アンド・デイ社製卓上型引張圧縮試験機STA-1150を用いて、引張試験を行った。
結果を図3に示す。
実施例1と実施例2の結果を比較すると、架橋剤をMBAAからDEGDMAにすることで、最大ひずみが向上することが確認された。
実施例3と実施例4の結果を比較すると、NaAMPsとAMPsの配合割合を変えることで、引張強度が変化することが確認された。
実施例5と実施例6の結果を比較すると、第1のポリマーと第2のポリマーとの配合割合を変えることで、応力に違いが生じることが確認された。
<ゲルの圧縮強度の評価>
実施例1及び2で得られたハイドロゲルの圧縮強度を、次のように評価した。
作製したハイドロゲルを1日純水中で膨潤させた。その後Oh-Laser社製HAJIMEレーザー加工機で、直径10mmの円柱状にカットし、株式会社エー・アンド・デイ社製卓上型引張圧縮試験機STA-1150を用いて、圧縮試験を行った。
結果を図4に示す。
実施例1と実施例2の結果を比較すると、架橋剤をMBAAからDEGDMAにすることで、圧縮強度における最大応力、最大ひずみが変化することが確認された。
このように、本発明によれば、従来に比べて格段に透明性が改良されたゲルであって、架橋剤の種類やモノマーあるいはポリマーの配合割合を変えることにより、引張強度及び圧縮強度などの機械的特性を制御可能なものを得ることが可能な3Dプリンタ用のゲル材料を提供することができる。

Claims (8)

  1. 3Dプリンタ用のゲル材料であって、
    第1のポリマーと、
    光重合開始剤と、
    前記光重合開始剤を用いて重合することにより第2のポリマーを形成するモノマーと、
    光吸収剤と、
    を含み、
    前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとがゲルを構成し、
    前記光重合開始剤に対して前記光吸収剤が、モル比で1:0.1〜1:0.5の量で含まれる
    ことを特徴とする、前記ゲル材料。
  2. 前記第1のポリマーが網目構造を有し、
    前記ゲルが、前記第1のポリマーの前記網目構造に前記第2のポリマーが侵入する構造を有する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のゲル材料。
  3. 前記第2のポリマーが網目構造を有し、
    前記ゲルが、前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとが相互に侵入する網目構造を有する、
    ことを特徴とする、請求項2に記載のゲル材料。
  4. 前記第1のポリマーが微粒子であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル材料。
  5. 前記光吸収剤が紫外線吸収剤であり、
    前記光重合開始剤が紫外線重合開始剤である、
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲル材料。
  6. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、またはトリアジン系の紫外線吸収剤である、
    ことを特徴とする、請求項に記載のゲル材料。
  7. 前記第2のポリマーを架橋するための架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゲル材料。
  8. 前記架橋剤がジビニル化合物であることを特徴とする、請求項7に記載のゲル材料。
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