JP7276161B2 - 光硬化性組成物、造形物及びハイドロゲル - Google Patents

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Description

本発明は、光硬化性組成物、造形物及びハイドロゲルに関する。
本願は、2018年2月7日に、日本出願された特願2018-020337号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
親水性のポリマーを含むハイドロゲルは、吸水性や保水性、柔軟性等の性質に優れるという特性を有することから注目を集めている有用な素材であり、医療、食品、土木等の様々な技術分野における利用が期待されている。
近年、機械物性に優れたハイドロゲルとして、架橋網目構造を有するポリマー同士、又は架橋網目構造を有するポリマーと直鎖ポリマーとが互いに絡み合った構造を有するハイドロゲルが提案されており、ハイドロゲルの応用分野のさらなる向上が期待される。
特許文献1には、所定の架橋ポリマー粒子、ビニル系単量体及び溶媒を含み、粘度が10~20,000mPa・sであるプレゲル溶液を重合して得られる高強度のハイドロゲルが記載されている。また、プレゲル溶液に光重合開始剤や熱重合開始剤を添加し、型枠等に流し込んだ後、ラジカル重合することにより前記ゲルを製造することが記載されている。
特開2015-96560号公報
本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の光重合開始剤(アシルホスフィンオキサイド系開始剤等)を添加した場合、プレゲル溶液が高粘度(例えば数千mPa・s以上)になる。プレゲル溶液が高粘度であると、プレゲル溶液の注型時に気泡が入り、ハイドロゲルの透明性や表面平滑性が損なわれる。
本発明は、低粘度の光硬化性組成物、並びにこれを用いた造形物及びハイドロゲルを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、重合性モノマー、光重合開始剤、及びポリマー粒子を含む光硬化性組成物における光重合開始剤としてホスフィン酸塩を用いると、アシルホスフィンオキサイド系開始剤等を用いる場合に比べて、光硬化性組成物を低粘度にできることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の態様を有する。
〔1〕光重合開始剤と、重合性モノマーと、ポリマー粒子とを含み、
前記光重合開始剤がホスフィン酸塩を含む、光硬化性組成物。
〔2〕前記ホスフィン酸塩が、可視光域に吸収を有する〔1〕の光硬化性組成物。
〔3〕前記光重合開始剤の含有量が、前記重合性モノマーの総モル量に対して0.01~0.5モル%である〔1〕又は〔2〕の光硬化性組成物。
〔4〕前記ポリマー粒子の質量/前記光硬化性組成物から前記ポリマー粒子を除いた残部の質量で表される比が、1/100~1/20の範囲内である〔1〕~〔3〕のいずれかの光硬化性組成物。
〔5〕25℃における粘度が5~1000mPa・sである〔1〕~〔5〕のいずれかの光硬化性組成物。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれかの光硬化性組成物の硬化物を含む、造形物。
〔7〕〔1〕~〔5〕のいずれかの光硬化性組成物の硬化物を含む、ハイドロゲル。
〔8〕光重合開始剤由来のホスフィン酸塩成分を含み、
極性溶媒の含有率が50質量%以上である、ハイドロゲル。
本発明によれば、低粘度の光硬化性組成物、並びにこれを用いた造形物及びハイドロゲルを提供できる。
本明細書において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本明細書において、「ゲル」とは、ポリマー鎖同士が物理的もしくは化学的に結合することで網目構造を形成し、形成した網目構造に溶媒を取り込んで膨潤する構造体を意味する。
本明細書において、ハイドロゲルとは、ポリマーで構成された網目構造中に極性溶媒を取り込んでいる構造体を意味する。
〔光硬化性組成物〕
本発明の光硬化性組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、光重合開始剤と、重合性モノマーと、ポリマー粒子とを含む。
本組成物は、必要に応じて、架橋剤、極性溶媒、その他の成分をさらに含んでいてもよい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤、レドックス系光重合開始剤等が挙げられる。取り扱いやすさの点で、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤は、光が照射されたときに、重合反応の起点となるラジカルを発生して重合を開始させる。光としては、可視光、紫外線、電子線等が挙げられる。
光重合開始剤は、ホスフィン酸塩を含む。光重合開始剤としてホスフィン酸塩を用いることにより、アシルホスフィンオキサイド系開始剤等を用いる場合に比べて、本組成物を低粘度にできる。
ホスフィン酸塩は、典型的には、光ラジカル重合開始剤である。
ホスフィン酸塩は、可視光域に吸収を有することが好ましい。可視光域に吸収を有すると、本組成物を硬化させる光として可視光を使用でき、安全性の点で有利である。
なお、ホスフィン酸塩が可視光域に吸収を有するか否かは、吸光係数によって判定できる。ホスフィン酸塩の吸光係数は、所定濃度のホスフィン酸塩のメタノール溶液を1cmの石英セルに流し込み、分光光度計(例えば島津製紫外可視分光光度計UV-1800)を用いて紫外・可視吸収スペクトルを測定し、得られた吸光度を用いてLambert-beerの法則(以下の式)から計算することによって決定される。
A=ε×c×d
ただし、式中Aは吸光度、εはモル吸光係数(L/(モル・cm))、cはモル濃度(モル/L)、dはセルの厚さ(cm)を表す。
ホスフィン酸塩を光ラジカル重合開始剤として用いるには、可視光領域におけるモル吸光係数が100以上であれば、ラジカルを発生させるのに十分な光を吸収することができるため、好ましい。なお、可視光領域におけるモル吸光係数が100以上であるとは、可視光領域のいずれかの波長におけるモル吸光係数の値が100以上であればよく、可視光領域にモル吸光係数のピークが存在する必要はない。
ホスフィン酸塩としては、例えば、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸塩、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸塩が挙げられる。塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩が挙げられる。これらのホスフィン酸塩は、光ラジカル重合開始剤として機能する。また、可視光域に吸収を有する。
光重合開始剤は、ホスフィン酸塩以外の他の光重合開始剤をさらに含んでいてもよい。
他の光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を使用できる。例えば可視光域に吸収を有する光ラジカル重合開始剤として、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、1,2-オクタンジオン,1-(4-(フェニルチオ),2-(o-ベンゾイルオキシム))、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン1-(O-アセチルオキシム)、カンファーキノン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤中のホスフィン酸塩の割合は、光重合開始剤の総モル量に対し、0.01~100モル%が好ましく、1~100モル%がより好ましく、50~100モル%がさらに好ましい。ホスフィン酸塩の割合が前記範囲の下限値以上であると、本組成物をより低粘度にできる。
(重合性モノマー)
重合性モノマーは、本組成物に光が照射されたときに、前記光重合開始剤の作用によって重合し、ポリマーを形成する。
重合性モノマーとしては、前記光重合開始剤を用いて重合可能な化合物であればよく、例えばラジカル重合性の不飽和基を有する化合物が挙げられる。重合性モノマーの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩、スチレンスルホン酸(SS)及びその塩、アクリル酸(AA)及びその塩、メタクリル酸及びその塩、ビニルピリジン、酢酸ビニル、スチレン(St)、アクリルアミド(AAm)、モノ(又はジ)アルキルアクリルアミド(例えば、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm))、ヒドロキシエチルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、ラウリルアクリレート(LA)、ステアリルアクリレート(SA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)、2,2,2-トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3-(ペルフルオロブチル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、及びフッ化ビニリデン等。これらの重合性モノマーにおける塩としては、ナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛等の金属塩等が挙げられる。
重合性モノマーは1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。すなわち、重合性モノマーから形成されるポリマーはホモポリマーであってもよくコポリマーであってもよい。
本組成物の重合性モノマーから形成されるポリマーは、網目構造を有するポリマーであってもよく、網目構造を有しないポリマー(例えば直鎖状ポリマー)であってもよい。形成されるゲルの機械的強度がより優れる点では、網目構造を有することが好ましい。
重合性モノマーから形成されるポリマーを、網目構造を有するポリマーとする方法としては、本組成物に架橋剤を含有させる方法が挙げられる。この場合、重合性モノマーが光重合開始剤及び架橋剤の存在下に重合し、網目構造を有するポリマーが生成する。
重合性モノマーから形成されるポリマーを直鎖状ポリマーとする場合は、本組成物に架橋剤を含有させず、重合性モノマーを光重合開始剤の存在下、かつ架橋剤の不在下に重合する。
(ポリマー粒子)
本組成物がポリマー粒子を含むことによって、本組成物から形成されるハイドロゲルは、本組成物中の重合性モノマーから形成されたポリマー(以下、「第2のポリマー」ともいう。)からなる連続相中にポリマー粒子が分散して存在している構成を有する。かかるハイドロゲルは、ポリマー粒子を含まない場合に比べて、機械物性に優れる。
また、ポリマー粒子は、増粘成分として機能する。増粘成分は、重合性モノマーや極性溶媒との相互作用によって、本組成物全体の粘度を高め、流動性を低下させる。増粘成分は、例えば、ハイドロゲルの機械物性の向上や、機能性の付与、ハイドロゲルの溶媒成分の乾燥抑制等の目的で用いられる。
ポリマー粒子は、典型的には、前記重合性モノマーを含む溶液(例えば後述する第2の溶液)に膨潤可能である。これにより、組成物中の重合性モノマーを重合して第2のポリマーを形成したときに、ポリマー粒子を構成するポリマー(以下、「第1のポリマー」ともいう。)と第2のポリマーとが互いに絡み合った構造が形成される。
ポリマー粒子が前記液体に膨潤可能であることは、粒子が均一に分散し、系の粘度が上昇することにより確認できる。
第1のポリマーとしては、例えば、重合性モノマーを重合したポリマー、多糖類(ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチン、アルギン酸等)、タンパク質(ゼラチン、コラーゲン等)が挙げられる。
重合性モノマーとしては、上述した重合性モノマーと同様のものが挙げられる。重合性モノマーは1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー粒子を構成する第1のポリマーは、1種でもよく2種以上でもよい。
第1のポリマーは、網目構造を有するポリマーであってもよく、網目構造を有しないポリマー(例えば直鎖状ポリマー)であってもよい。形成されるゲルの機械的強度がより優れる点では、網目構造を有するポリマーであることが好ましい。
第1のポリマーが網目構造を有すると、形成されるハイドロゲルは、第1のポリマーの網目構造に第2のポリマーが侵入した構造を有するため、第1のポリマーが網目構造を有しない場合に比べて、機械的強度が優れる。
特に、第1のポリマー及び第2のポリマーが共に網目構造を有すると、形成されるハイドロゲルは、第1のポリマーと第2のポリマーとが相互に侵入する網目構造を有するため、機械的強度がより優れる。
ポリマー粒子の平均粒子径は、乾燥状態で、0.1~10000μmが好ましく、0.1~1000μmがより好ましく、0.1~100μmが特に好ましい。平均粒子径が前記範囲の下限値以上であると、取扱い性がより優れる。平均粒子径が前記範囲の上限値以下であると、機械的強度がより優れる。
平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により絶乾状態でのポリマー粒子100個を観察し、各ポリマー粒子の最大径を求め、それらの平均値を算出することにより求める。
(極性溶媒)
極性溶媒は、比誘電率が10以上の、常温で液状の化合物である。極性溶媒は、ポリマーによって構成された網目構造中に取り込まれてハイドロゲルを構成する。
比誘電率は、液体用誘電率測定キット(ITACA製)を用いて、2GHzの周波数、25℃の条件で測定される値である。
極性溶媒としては、水、極性有機溶剤、水と極性有機溶剤との混合物等が挙げられる。極性有機溶剤の例としては、エチレングリコール、エタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、イオン液体等が挙げられる。極性溶媒としては、扱いやすさや安全性の観点から水、アルコールが好ましく、入手の容易さや環境調和性の点で、水が特に好ましい。
(架橋剤)
架橋剤としては、特に限定されず、重合性モノマーの種類に応じて公知のものを適宜用いることができる。
架橋剤としては、例えば、ラジカル重合性の不飽和基を2個以上有する多官能ビニル化合物が挙げられる。多官能ビニル化合物としては、形成されるゲルの機械的強度の点で、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、N,N’-ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)等のジビニル化合物が好ましい。
(他の成分)
他の成分としては、例えば、ポリマー粒子以外の増粘成分、光吸収剤、界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、重合禁止剤、レベリング剤等が挙げられる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー粒子以外の増粘成分としては、例えば、無機粘土鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト等)、増粘剤(多糖類、カルボキシメチルセルロース等)等が挙げられる。
光吸収剤とは、光を吸収して熱エネルギーあるいは他の波長の光に変換する物質を示す。本組成物が光吸収剤を含むと、本組成物の3次元(3D)造形性がより優れ、本組成物から形成される3D構造の造形物の造形精度がより優れる。
光吸収剤としては、本組成物の硬化に用いる光を吸収可能なものであればよい。
光吸収剤としては、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造、トリアジン構造、ベンゾエート構造、オキサルアニリド構造、サリシレート構造及びシアノアクリレート構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有するものが好ましい。中でも、3D造形性の観点から、ベンゾトリアゾール構造、トリアジン構造及びベンゾフェノン構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有するものが好ましい。これらの光吸収剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本組成物は、以下の条件A及び条件Bのいずれか一方を満たすことが好ましい。これにより、本組成物中の重合性モノマーから形成される第2のポリマーの分子鎖が、ポリマー粒子内に侵入し易くなる。本組成物は、条件Aを満たすことがより好ましい。
条件A:ポリマー粒子を構成する第1のポリマーが、正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーに基づく構成単位を含み、組成物中の重合性モノマーが、電気的に中性である不飽和モノマーを含む。
条件B:ポリマー粒子を構成する第1のポリマーが、電気的に中性である不飽和モノマーに基づく構成単位を含み、組成物中の重合性モノマーが、正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーを含む。
正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーとしては、酸性基(例えば、カルボキシ基、リン酸基又はスルホン酸基)又は塩基性基(例えば、アミノ基)を有する不飽和モノマーが好ましい。具体例としては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、及びそれらの塩が挙げられる。
電気的に中性である不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン(St)、アクリルアミド(AAm)、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチル-アクリルアミド、ビニルピリジン、スチレン、メチルメククリレート(MMA)、フッ素含有不飽和モノマー(例えば、トリフルオロエチルアクリレート(TFE))、ヒドロキシエチルアクリレート、及び酢酸ビニルが挙げられる。
本組成物中の重合性モノマーの含有量は、仕込みモル濃度として、0.01~100モル/Lが好ましく、0.1~50モル/Lがより好ましく、0.1~25モル/Lが特に好ましい。この仕込みモル濃度は、本組成物を調製したときの、本組成物1L当たりの重合性モノマーのモル量である。重合性モノマーの含有量が前記範囲の下限値以上であると、ハイドロゲルの機械的強度がより優れる。重合性モノマーの含有量が前記範囲の上限値以下であると、ハイドロゲルの柔軟性、透明性がより優れる。
極性溶媒の含有量は、本組成物中の重合性モノマーの含有量に応じて設定できる。
光重合開始剤の含有量は、重合性モノマーの総モル量(100モル%)に対して0.001~5モル%が好ましく、0.001~1モル%がより好ましく、0.01~0.5モル%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量の含有量が前記範囲の下限値以上であると、本組成物の硬化性、ハイドロゲルの機械的強度がより優れる。光重合開始剤の含有量が前記範囲の上限値以下であると、ハイドロゲルの柔軟性がより優れる。
ポリマー粒子の含有量は、ポリマー粒子による効果が充分に得られるように、ポリマー粒子の種類に応じて適宜選定できる。
ポリマー粒子の質量/本組成物からポリマー粒子を除いた残部の質量で表される比は、1/100~1/20の範囲内が好ましく、1/75~1/20の範囲内がより好ましく、1/50~1/25の範囲内がさらに好ましい。前記比が前記範囲の下限値以上であると、ポリマー粒子による効果が得られやすい。前記比が前記範囲の上限値以下であると、本組成物の粘度を充分に低くでき、ハイドロゲルの透明性、表面平滑性がより優れる。
なお、「本組成物からポリマー粒子を除いた残部」は、後述する第2の溶液に等しい。
ポリマー粒子の質量/重合性モノマーの質量で表される比は、0.1/99.9~70/30が好ましく、1/99~60/40がより好ましく、5/95~50/50がさらに好ましい。この比は、ハイドロゲルにおける第1のポリマーの質量/第2のポリマーの質量で表される比とみなすことができる。この比が前記範囲内であると、ハイドロゲルの機械的強度がより優れる。
本組成物中の光吸収剤の含有量は、光重合開始剤の総モル量に対して0~1000モル%が好ましく、0~750モル%がより好ましく、0~500モル%が特に好ましい。
又は光吸収剤の含有量は、光重合開始剤の総質量に対して0~3000質量%が好ましく、0~2000質量%がより好ましく、0~1500質量%が特に好ましい。
光吸収剤の含有量が前記範囲の下限値以上であると、3D造形性がより優れる。光吸収剤の含有量が前記範囲の上限値以下であると、ハイドロゲルの機械的強度がより優れる。
本組成物の25℃における粘度は、5~1000mPa・sが好ましく、5~750mPa・sがより好ましく、5~500mPa・sがさらに好ましく、10~100mPa・sが特に好ましい。本組成物の粘度が前記範囲の下限値以上であると、ハイドロゲルの機械的強度がより優れる。本組成物の粘度が前記範囲の上限値以下であると、本組成物を注型する際に気泡が入り込んでハイドロゲルの透明性や表面平滑性が低下することを抑制できる。
粘度は、B型粘度計を用いて測定される値である。
前述のとおり、光酸発生剤としてホスフィン酸塩を用いることによって、本組成物の粘度を低減できる。その他、ポリマー粒子の含有量、重合性モノマーの濃度等によって本組成物の粘度を調整できる。
本組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、ポリマー粒子、必要に応じて極性溶媒、架橋剤、他の成分を混合することにより製造できる。
本組成物の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば次のような方法を採用することができる。すなわち、まず、ポリマー粒子を作製する。別途、光重合開始剤と、重合性モノマーと、極性溶媒と、必要に応じて架橋剤とを混合し、ポリマー粒子以外の成分を含む溶液(以下、「第2の溶液」とも記す。)を作製する。次いで、作製したポリマー粒子と第2の溶液とを混合し、本組成物を得る。
以下に、ポリマー粒子の製造方法の一例を示す。ただし、ポリマー粒子の製造方法はこの例に限定されるものではない。
この例の製造方法では、まず、網目構造を有する第1のポリマーと液状媒体とを含む第1のゲルを調製する(第1のゲル調製工程)。次いで、必要に応じて、得られた第1のゲルを物理的に破壊し、粒状にする(第1のゲル破壊工程)。次いで、第1のゲル調製工程後又は第1のゲル破壊工程後の第1のゲルを乾燥し、必要に応じて粉砕し、乾燥ゲル粒子(ポリマー粒子)を得る。
第1のゲルの調製方法としては、液状媒体中で、重合性モノマーを重合開始剤及び架橋剤の存在下に重合させてゲルを得る方法が挙げられる。具体的には、重合性モノマー、重合開始剤、架橋剤及び液状媒体を含有する溶液(以下、第1の溶液ということもある。)を調製し、この第1の溶液中で重合性モノマーを重合させる方法が挙げられる。
重合性モノマーの重合方法は、特に限定されず、熱重合や光重合といった公知の重合方法を用いることができる。
重合開始剤としては、重合方法に応じて公知の重合開始剤を適宜用いることができる。
例えば、重合性モノマーを光重合する場合は、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤を用いる場合、この光重合開始剤は、本組成物に用いる光重合開始剤と同じであってもよく異なってもよい。
第1のゲルの調製に用いられる光重合開始剤としては、アルキルフェノン系開始剤、アシルホスフィンオキサイド系開始剤が好ましい。かかる光重合開始剤を用いると、形成されるゲルの機械的強度が良好である。
アシルホスフィンオキサイド系開始剤としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられる。
架橋剤としては、前述した架橋剤と同様のものが挙げられる。
液状媒体としては、水、有機溶剤等が挙げられ、入手の容易さや環境調和性の点で、水が好ましい。
第1の溶液中の重合性モノマーの含有量は、第1のゲルの好ましい硬さを得る上で、仕込みモル濃度として、0.5~4モル/Lが好ましく、1~2モル/Lがより好ましい。この仕込みモル濃度は、第1の溶液を調製したときの、第1の溶液1L当たりの重合性モノマーのモル量である。
第1の溶液中の架橋剤の含有量は、重合性モノマーの総モル量に対して1~20モル%が好ましく、2~10モル%がより好ましい。重合性モノマーの総モル量に対する架橋剤の含有量(モル%)は、第1のポリマーの架橋密度に相当する。第1のポリマーの架橋密度が前記範囲の下限値以上であると、形成されるゲルの機械的強度がより優れる。第1のポリマーの架橋密度が前記範囲の上限値以下であると、形成されるゲルの柔軟性がより優れる。
第1の溶液中の重合開始剤の含有量は、重合性モノマーの総モル量に対して0.001~5モル%が好ましく、0.01~1モル%がより好ましい。第1の溶液中の重合開始剤の含有量が、重合性モノマーの総モル量に対して多すぎると、第1のポリマーの分子量が小さくなるため第1のゲルが弱くなりやすく、少なすぎると第1の溶液がゲル化しないおそれがある。第1の溶液中の重合開始剤の含有量が前記範囲内であると、第1の溶液が充分にゲル化し、かつ第1のゲルの強度が優れる。
第1のゲル調製工程の後、第1のゲル破壊工程を行って第1のゲルを粒状にすると、第1のゲルの乾燥を短時間で行うことができるほか、乾燥後の粉砕が容易になる。
なお、蒲池ら(蒲池幹治、遠藤剛監修、「ラジカル重合ハンドブック」、1999年、エヌ・ティー・エス発行)に記載されるような、粒子状のポリマーを製造する一般的な方法である乳化重合法、懸濁重合法又は分散重合法等によって重合性モノマーを重合させ、粒状の第1のポリマーと液体を含むゲルを調製してもよい。
第1のゲル調製工程で得た第1のゲル、又は第1のゲル破壊工程で粉砕した第1のゲルを乾燥し、必要に応じて粉砕することで、乾燥ゲル粒子が得られる。この乾燥ゲル粒子をポリマー粒子として使用できる。
乾燥方法としては、特に限定されず、例えば熱風乾燥、凍結乾燥等の公知の方法で行うことができる。乾燥は、液状媒体の含有率が10質量%以下になるまで行うことが好ましい。乾燥条件は、例えば20~130℃であってよい。
乾燥後の第1のゲルの粉砕方法は特に限定されず、公知の方法で物理的に粉砕すればよい。例えば乳鉢と乳棒を用いて砕く方法でもよい。粉砕後、篩等を用いて粉砕物を分級してもよい。
本組成物は、例えば、ハイドロゲルの製造に用いられる。本組成物を用いたハイドロゲルの製造方法は後で説明する。
以上説明した本組成物にあっては、光重合開始剤と、重合性モノマーと、ポリマー粒子とを含み、光重合開始剤がホスフィン酸塩を含むため、増粘成分として機能するポリマー粒子を含んでいながらも、低粘度である。そのため、本組成物を用いてハイドロゲルを形成する際に、本組成物中に気泡が残存したり、本組成物と型との間に気泡が残存したりしにくい。そのため、透明性、表面平滑性に優れたハイドロゲルを得ることができる。
得られるハイドロゲルは、任意の形状に成形することができるため、高吸水性樹脂や紙おむつ、生理用品、ソフトコンタクトレンズ、屋内緑化用含水シート、衝撃吸収材料、精神・防音材料や子供の玩具等に用いることができる。
また、本組成物は、基材に塗布して硬化させることができるため、本組成物を、船底塗料、着氷防止塗料、防曇塗料、防汚塗料等の各種コーティング材料や、摩擦抵抗を低減したい部位(プロペラ、カテーテル、配管内の圧力損失低減等)に塗布する材料としても用いることができる。さらに、本組成物は粘度が低くハンドリング性に優れるため、光造形法式の3Dプリンタ用のインクとしても好適に用いることができる。
〔造形物〕
本発明の造形物は、本組成物の硬化物を含む。本発明の造形物は、具体的には、少なくともポリマー粒子を構成する第1のポリマーと、本組成物中の重合性モノマーから形成されたポリマー(第2のポリマー)とを含む。
本発明の造形物は、例えば、本組成物を型に入れ、本組成物に対して光(紫外線、可視光線、電子線等)を照射することにより製造できる。本組成物に対して光を照射すると、重合性モノマーが重合してポリマーが生成し、本組成物がゲル化してハイドロゲルとなる。得られたハイドロゲルを型から取り出して本発明の造形物としてもよく、必要に応じて、ハイドロゲルに対して他の処理を施してもよい。他の処理としては、例えば、極性溶媒の除去(乾燥)、極性溶媒への浸漬(膨潤)が挙げられる。
本発明の造形物は、臓器モデル等、種々の用途に用いることができる。
〔ハイドロゲル〕
本発明のハイドロゲルは、本組成物の硬化物を含む。本発明のハイドロゲルは、具体的には、少なくとも網目構造と、その内部に保持された極性溶媒とを含む。前記網目構造は、ポリマー粒子を構成する第1のポリマーと、重合性モノマーから形成されたポリマー(第2のポリマー)とによって構成される。
本発明のハイドロゲルの極性溶媒の含有率は、特に限定されず、例えば10質量%以上であってよく、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよい。極性溶媒の含有率が高いほど、ハイドロゲルの透明性、柔軟性がより優れる。
本明細書において、「極性溶媒の含有率」とは、ハイドロゲルの総質量に対する極性溶媒の質量の割合である。ハイドロゲルに含まれる極性溶媒が水の場合、極性溶媒の含有率を「含水率」ともいう。
本組成物は光重合開始剤としてホスフィン酸塩を含むので、本発明のハイドロゲルは、光重合開始剤由来のホスフィン酸塩成分を含む。
光重合開始剤由来のホスフィン酸塩成分の構造は通常、本組成物中のホスフィン酸塩の構造とは異なる。本組成物中のホスフィン酸塩は、光が照射されると、二分子に開裂(-P(=O)-C(=O)-結合が開裂)してラジカルを発生する。例えばフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸塩の場合、下記式に示すように二分子に開裂してラジカルを発生する。
Figure 0007276161000001
光重合開始剤由来のホスフィン酸塩成分の含有量は、例えば、本発明のハイドロゲルの総質量に対して0.0001~0.5質量%である。
ハイドロゲルが光重合開始剤由来のホスフィン酸塩成分を含むか否か、及びこのホスフィン酸塩成分の含有量は、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ(熱分解GC)等により確認できる。
本発明のハイドロゲルは、例えば、本組成物を型に入れ、本組成物に対して光(紫外線、可視光線、電子線等)を照射することにより製造できる。本組成物に対して光を照射すると、重合性モノマーが重合してポリマーが生成し、本組成物がゲル化する。
本発明のハイドロゲルは、本組成物を用いているため、透明性、表面平滑性に優れる。
本発明のハイドロゲルは、前述のように、高吸水性樹脂や紙おむつ、生理用品、ソフトコンタクトレンズ、屋内緑化用含水シート、衝撃吸収材料、精神・防音材料や子供の玩具等、種々の用途に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
<ポリマー粒子の作製>
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(NaAMPS)の50質量%水溶液の41.3g(0.0900モル)に、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)の0.555g(0.00360ミリモル)と、光重合開始剤であるIrgacure1173(BASF社製、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン)の0.021g(0.00010モル)と、純水41.3gを加えて第1の溶液を調製した。
第1の溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に枠状のシリコーンゴムシート(厚さ2mm)を置いた型に流し込み、その上を別のPETフィルムで覆い、さらに上下をガラス板で挟んでサンプルを作製した。このサンプルに、光ベルト方式の紫外線照射装置を用いて紫外線を照射することにより、サンプル内の第1の溶液をゲル化した。得られたゲルを乾燥機で一晩以上乾燥させ、乾燥後のゲルを粉砕し、100μmの篩を通過する乾燥ゲル粒子を回収し、ポリマー粒子(粒子径100μm以下)とした。
<光硬化性組成物の作製>
N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)の19.8g(0.200モル)と、MBAAmの0.031g(0.00020モル)と、リチウムフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(Li-TPO)の0.059g(0.00020モル)と、純水79.3gとを混合し、第2の溶液を得た。
上記のように作製したポリマー粒子と第2の溶液とを、ポリマー粒子の質量/第2の溶液の質量で表される比(以下、「1st/2nd」ともいう。)が1/30となるように混合し、ポリマー粒子を均一に分散、膨潤させ、光硬化性組成物を得た。
<ハイドロゲル(造形物)の作製>
上記のように作製した光硬化性組成物を、ポリマー粒子の作製に用いたのと同様の型に流し込み、波長405nmのLED光を30分間照射してポリマー粒子含有組成物をゲル化させ、ハイドロゲルを得た。
<評価>
上記ハイドロゲルの作製に用いた光硬化性組成物及び得られたハイドロゲルについて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
表1に、ポリマー粒子中の架橋剤(MBAAm)のNaAMPSの総モル量に対する含有量(モル%)、光硬化性組成物中の光重合開始剤の種類及び重合性モノマーの総モル量に対する含有量(モル%)、1st/2ndを併記した。
「粘度」
光硬化性組成物の25℃における粘度(mPa・s)を、B型粘度計を用いて測定した。
「ハイドロゲルの透明性」
ハイドロゲルを文字の書かれた紙の上に置き、ゲルを通して文字を目視で観察し、以下の基準で評価した。
〇(良好):ゲルを通さずに見た場合と大差なく、文字をはっきりと視認できる。
×(不良):文字をはっきりと視認することができない。
「ハイドロゲルの表面平滑性」
ハイドロゲルを目視で観察し、以下の基準で評価した。
〇(良好):表面に凹凸がなく滑らかである。
×(不良):表面に凹凸が見られる。
「3D造形性」
光硬化組成物の液面に目開きが1mm程度の金網を固定し、そこに波長405nmの光を照射して液面付近に板状の硬化物を作製し、その後、金網を液中に沈めた。金網を沈めた際の光硬化性組成物の挙動、ならびに金網上に得られた硬化物を観察し、以下の基準で評価した。
◎(特に良好):金網を沈めた際にすぐに液面が均一になり、かつ金網から下方向への硬化が1mm未満である。
○(良好):金網を沈めた際に液面がすぐに均一にならない、または金網から下方向への硬化が1mm以上である。
「ハイドロゲルの含水率」
ハイドロゲルの含水率(%)を、加熱乾燥式水分計MS-70(エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した。具体的には、ハイドロゲル約1gを200℃に加熱して3分間保持した後に150℃に温度を下げてその温度を維持し、含水率の時間変化が0.50質量%/分以内となった時点を乾燥状態(乾燥ゲル)として測定を終了し、以下の式により含水率を計算した。
含水率=(乾燥前のハイドロゲルの質量(g)-乾燥ゲルの質量(g))/乾燥前のハイドロゲルの質量(g)×100
(実施例2)
実施例1において、1st/2ndを1/25にした以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3~5)
実施例1において、第2の溶液に配合するMBAAmの量を0.154g(0.000999モル)、純水の量を59.7gに変更し、第2の溶液に光吸収剤として日本化薬社製のKAYAPHOR AS150を表1に示す量で配合し、1st/2ndを表1に示す値にした以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
表1中、光吸収剤の量(モル%)は、光重合開始剤の総モル量に対する割合である。
(実施例6)
実施例4において、ポリマー粒子中のMBAAmのNaAMPSの総モル量に対する含有量が表1の「MBAAm(粒子中)」の欄に示す値となるようにポリマー粒子の作製におけるMBAAmの使用量を変更した以外は実施例4と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例7~8)
実施例4において、第2の溶液に配合するLi-TPOの量を表1に示すように変更するとともに、第2の溶液に、表1に示す量の2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO)を配合した以外は実施例4と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
表1中のLi-TPO、TPOそれぞれの量(モル%)は、重合性モノマーの総モル量に対する割合である。
(比較例1)
実施例2において、Li-TPOの代わりに、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BAPO)(波長405nmの吸光係数:8.990×102mL/(g・cm))の0.0067g(0.00016mol)を用いた以外は実施例2と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。ただし、比較例1については、ハイドロゲルの透明性、表面平滑性が劣っていたので、3D造形性の評価は行わなかった。
Figure 0007276161000002
光重合開始剤としてホスフィン酸塩を用いた実施例1~6の光硬化性組成物は、低粘度であった。また、得られたハイドロゲルは、透明性、表面平滑性、3D造形性に優れていた。ホスフィン酸塩と他の光重合開始剤とを併用した実施例7~8においても同様の結果が得られた。
一方、光重合開始剤として他の光重合開始剤を用いた比較例1の光硬化性組成物は、実施例1~8に比べて高粘度であった。また、得られたハイドロゲルは、透明性に劣り、表面平滑性にも劣っていた。

Claims (8)

  1. 光重合開始剤と、重合性モノマーと、N,N’-メチレンビスアクリルアミドに由来する架橋構造を有するポリマー粒子とを含み、
    前記光重合開始剤がホスフィン酸塩を含む、3D造形用の光硬化性組成物。
  2. 前記ホスフィン酸塩が、可視光域に吸収を有する請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. 前記光重合開始剤の含有量が、前記重合性モノマーの総モル量に対して0.01~0.5モル%である請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
  4. 前記ポリマー粒子の質量/前記光硬化性組成物から前記ポリマー粒子を除いた残部の質量で表される比が、1/100~1/20の範囲内である請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
  5. 25℃における粘度が5~1000mPa・sである請求項1~4のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の光硬化性組成物の硬化物を含む、3D構造の造形物。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の光硬化性組成物の硬化物を含む、3D構造のハイドロゲル。
  8. 光重合開始剤由来のホスフィン酸塩成分、及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドに由来する架橋構造を有するポリマーを含み、極性溶媒の含有率が50質量%以上である、3D構造のハイドロゲル。
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