JP6100989B2 - Ito用粘着テープ - Google Patents
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Description
透明導電性積層体の用途としては、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、太陽電池などに用いられる透明電極等が挙げられる。
本発明は、透明導電性積層体に関係したものであるため、透明導電性積層体が使用されているタッチパネルを例として、本発明の完成に至るまでの技術的な背景を以下に説明する。
従来、一般的なタッチパネルに用いられる透明導電性積層体としては、透明樹脂フィルムからなる基材の片面にハードコート層が形成されたハードコートフィルムと、透明基材の片面に透明導電膜が形成された透明導電性積層体とを、ハードコートフィルムのハードコート層の形成されていない面と、透明導電性積層体の透明導電膜が形成されていない面とを対向させて、粘着剤を介して貼り合せた透明導電性積層体(いわゆる、貼り合せ型の透明導電性積層体)が知られていた。
また、近年では、透明導電性積層体を使用している光学装置であるタッチパネルにおいては、製作したときの仕上がり外観及び寸法精度の一層の向上が要求されるようになっている。また、透明導電性積層体を組み込んだ光学素子や光学装置を製造する工程において、透明導電膜の上に貼り合わせた粘着テープの粘着剤層が、透明導電性積層体の透明導電膜の表面抵抗率を変化させるのを抑制し、さらに、高温高湿度での環境試験後においても、粘着剤層に白濁が発生しないことが求められている。
このため、光学部品を貼り合わせるのに使用される粘着シート、粘着テープ、及びそれらに使用される粘着剤組成物についても、腐食性の低減や、高温高湿度での環境試験においても白濁しないこと目指した取り組みが行われている。(例えば、特許文献4〜7を参照。)
しかし、特許文献4には、高温高湿度での環境試験後に、粘着剤層に白濁が生じないことについての記載はなく、粘着剤層に白濁が生じるという問題に対する解決手段としては、役立たないものである。
すなわち、本発明では、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーの少なくとも1種類を、酸価が0〜33であるアクリル系のポリマーからなる感圧接着剤組成物に、架橋させて導入することにより水分子の凝集防止に関与させる。そうすることにより、被着体であるITOに貼り合せた場合にも、透明導電膜の抵抗値の変化を抑え、且つ、高温高湿度での環境試験後に、粘着剤層に白濁が生じない、ITO用粘着テープを提供できる。
物性(K):ITO表面に、ITO用粘着剤組成物(ポリマーC)を塗布して乾燥後の厚み200μmの薄膜を形成した後、温度85℃×湿度85%RHの環境下にて実施した500時間の高温高湿度の環境試験用オーブンから取り出した後、ITO膜の抵抗値変化倍率が初期値に比較して1.7倍以下であり、該オーブンから取り出し直後においてITO用粘着剤組成物(ポリマーC)層に白濁が発生しない。
また、粘着剤塗布液の流動性を適切に調整することによって基材への塗布厚みを厚くすることが可能であり、厚みのあるITO用粘着テープを形成して緩衝性を高めることができる。
本発明のITO用粘着剤組成物(ポリマーC)は、アクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーの少なくとも1種類(モノマーB)と、光重合開始剤と、を混合してなる粘着剤用原料混合物を調整した後、該粘着剤用原料混合物を用い、光照射による重合反応をさせて、物性(K)を有する粘着剤組成物(ポリマーC)を得ることにより製造することができる。
物性(K):ITO表面に、ITO用粘着剤組成物(ポリマーC)を塗布して乾燥後の厚み200μmの薄膜を形成した後、温度85℃×湿度85%RHの環境下にて実施した500時間の高温高湿度の環境試験用オーブンから取り出した後、ITO膜の抵抗値変化倍率が初期値に比較して1.7倍以下であり、該オーブンから取り出し直後においてITO用粘着剤組成物(ポリマーC)層に白濁が発生しない。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
モノマーBが分散しやすいためにはアクリル系ポリマーであることが好ましく、さらには親水性モノマーを共重合していることが好ましい。これはモノマーBがアクリル系であることとヒドロキシル基を含有しているためである。また、本発明のITO用粘着剤組成物は光学用途に使用されることから透明性を有することが必要であり、かつ粘着力の強弱を制御することが簡便であることからも、ポリマーAは、アクリル系ポリマーが好ましい。
具体的にはJIS−K−2501:2003に基づいて、粘着剤をトルエンとメタノール(1+1)(体積比)を混合した滴定溶剤に溶かし、0.1モル/L水酸化カリウム・メタノール溶液で滴定し、滴定曲線状の変曲点を終点とする。水酸化カリウム・メタノール溶液の終点までの滴定量から、酸価を算出する。
なお、本明細書において、粘着テープとは、幅による区別を特に必要とするものではなく、JIS Z 0109に規定する粘着テープ及び粘着シートをいずれも包含する。その具体例としては、基材の片面に粘着剤層を有する片面粘着テープ(または片面粘着シート)、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープ(または両面粘着シート)、及び、基材を有しないで粘着剤層がフィルム状に形成されたトランスファーテープ(転写テープ)が挙げられる。粘着シートは、大面積化も可能で、その幅が広いまま使用しても良いし、テープ状に細く切断して粘着テープとして使用しても良い。特に、ロール状に巻いた粘着シートや粘着テープは、ディスプレイに部材を貼り合わせる用途に好適である。
基材を有する両面粘着テープの構造については特に図示しないが、基材の両面に粘着剤層が形成され、それぞれの粘着剤層の粘着面がセパレーターで保護された構造を有する。
本発明における、高温・高湿度での環境条件下における白濁の発生を防止できる改善効果については、トランスファーテープの形態で貼り合わせるガラス(無機ガラス)やアクリル樹脂(アクリルガラス)などの水分の透過性が悪いものの場合に、特に著しい効果が得られる。これは次の理由による。
水分子の透過性の良い樹脂フィルムを貼合する場合は、粘着テープ層に分散している水分子が樹脂フィルムの場合は簡単に透過して通り抜けることができるため、水分子の凝集する確率が減ることと、仮に水分子が凝集したとしてもすぐに樹脂フィルムを通して抜けていくため、白濁している時間が短いことになる。しかし、水分子の透過性の悪い材料を貼合する場合は、水分子が凝集し白濁してしまうと、粘着テープの周辺端に水分子が拡散した後に抜けるため、長時間に渡り白濁が続くことになるからである。
本発明では、アクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)が、エステル基(−COO−)を有するアクリル系モノマーの少なくとも1種類を使用して製造されていることが好ましい。エステル基(−COO−)を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、一般式CH2=CR1−COOR2(式中、R1は水素又はメチル基、R2は炭素数1〜14のアルキル基を示す。)で表わされるアルキル(メタ)アクリレートや、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートは、粘着力の観点から、アルキル基R2の炭素数が1〜14とされる。アルキル基の炭素数が15以上であると、粘着力が低下する可能性があるので好ましくない。このアルキル基R2は、炭素数が1〜12であることが好ましく、炭素数が4〜12であることが好ましく、炭素数が4〜8であることがより好ましい。
また、アルキル基R2の炭素数が1〜14のアルキル(メタ)アクリレートのうち、アルキル基R2の炭素数が1〜3または13〜14のアルキル(メタ)アクリレートをモノマーの一部分として用いても良いが、アルキル基R2の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレートを必須として(例えば50〜100モル%)用いることが好ましい。
なお、これらのアルキル基R2は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
また、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、カルボキシル基を含有するアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−アクリロイルエチル琥珀酸などが挙げられる。
ポリマーAを構成するモノマーのうち、アルキル(メタ)アクリレートと親水基を有するモノマーとの配合比は、粘着剤に求められる特性やモノマーの種類、1分子中に親水基が占める重量比などによっても異なるが、例えば5〜50重量%が親水基を有するモノマーであり、95〜50重量%がアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
また、アルコキシシリル基を含有する非アクリル系モノマーとしては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、アミノ基を含有するアクリル系モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を含有する(メタ)アクリレートのほか、(メタ)アクリル酸アミド、イタコン酸アミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
ポリマーAを構成するアクリル系モノマー及び任意に配合される非アクリル系モノマーを重合させるには、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の方法により行うことができるが、除熱の容易な溶液重合が好適に用いられる。溶液重合反応において使用される有機溶媒としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられるが、上記重合反応を阻害しなければ、特に限定されない。これらの溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は、適宜に決定すればよい。
一般的に、溶液重合反応においては、重合温度が高くなるに従い、生成されるポリマーの分子量は低下する。重合反応を溶媒の還流温度で行わせるに当たり、重合反応に適した沸点温度を有する溶媒を使用することにより、重合反応熱を除去しながらポリマーAを得ることができる。
また、本発明のアクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)が、透明導電膜が形成された透明導電性積層体のITO表面に貼合される粘着テープの粘着剤組成物として使用しても、透明導電膜の抵抗値の変化を抑制できるものであり、いわゆる、酸フリーの粘着剤組成物であるのが好ましい。
この場合、透明導電膜の抵抗値の変化を抑制できる指標として、ポリマーAの酸価は0〜33であることがより好ましい。
本発明のアクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物であるポリマーAには、一般に入手可能な市販されている感圧型粘着剤を用いても良い。このような市販の感圧型粘着剤としては、カルボキシル基及びアクリル酸を有していないアクリル系粘着剤などの、いわゆる酸フリーの粘着剤組成物が使用できる。市販の酸フリーの粘着剤組成物としては、例えば、SKダイン2147(綜研化学株式会社)、市販のITO抵抗値変化の少ない粘着テープとしては、例えば、CS9621(日東電工株式会社)、MHM−F25、MHM−F50,MHM−F125(日栄化工株式会社)、ZB7032W(DIC株式会社)などが挙げられる。
分子量が大きすぎると粘度が高すぎて加工適性が悪くなる。塗料の温度を上げるなど塗工方法を工夫することでこの上限はさらに広げられると考えられるが、室温で塗工をする場合、例えば、Mw500万未満の材料が好ましいと考えられる。
本発明の粘着剤用原料組成物の一つの好ましい実施態様においては、ヒドロキシル基を含有しないアルキル(メタ)アクリレート及びアクリル酸のモノマーを重合させて得られたアクリル系ポリマーと、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーとが、共重合しないで別々に分散した混合状態で存在する。また、別の好ましい実施態様においては、親水性モノマーを含むモノマーを重合させて得られたポリマーAと、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーとが、粘着剤用原料組成物中に含まれる。
なお、公知のヒドロキシル基を含有するアクリル系ポリマーからなる粘着剤組成物において、未反応モノマーとしてヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートのモノマーを若干含有することがあるが、その含有率は、本発明の粘着剤用原料組成物におけるヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートの含有率に比べると、著しく低いものに過ぎない。
アクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)と、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーB)と、光重合開始剤とを含有したアクリルシロップの状態、もしくは塗布及びヒドロキシル基含有モノマー(モノマーB)の均一な分散のため、上記アクリルシロップが有機溶媒に溶解している樹脂溶液として調製される。
また、アクリルシロップに光重合開始剤を添加した後は、室内光や太陽光に含まれる紫外光がアクリルシロップに作用すると重合反応が進行する恐れがあり、管理が難しくなるため、光重合開始剤は、後工程である塗布工程のなるべく直前に添加することが好ましい。これは、アクリルシロップが有機溶媒に溶解している樹脂溶液でも同様の扱いで、注意すべきは光開始剤が何らかの外的要因で塗布・製膜前に反応を開始してしまうことを防ぐことである。
ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートとしては、二価アルコール(ジオール化合物)の有する2つのヒドロキシル基のうち一つのヒドロキシル基を、アクリル酸またはメタクリル酸でエステル化して得られ、1分子にヒドロキシル基及びビニル基を1つずつ有する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
本発明に使用される光重合開始剤(重合触媒)としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、アセトフェノン、p−(tert−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシルシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシル2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシル2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシルベンゾフェノン、ヒドロキシルプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等が挙げられる。
また、上述したように、ポリマーAの100重量部に対して、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーB(2種類以上用いる場合は合計量)は3〜20重量部であることが好ましく、例えば、温度85℃×湿度85%RHの環境下での試験を行うなど高温高湿度での高耐久性を必要とする場合、5〜15重量部であることがより好ましいので、ポリマーAの100重量部を基準とした光重合開始剤の含有量は、0.01〜0.5重量部が好ましい。
特に前記基材のうち、耐熱性、紫外線透過性、及び価格の面から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
なお、基材の厚みは16μm〜200μmを有することが好ましく、50μm〜188μmを有することが更に好ましい。基材の厚みが薄過ぎるとハンドリング性が悪く、また、基材の厚みが厚過ぎると、コスト面、ハンドリング性で不利である。
本発明のITO用粘着テープに使用される基材1としては、透明樹脂フィルムが好ましい。この透明樹脂フィルムは、粘着テープが貼り付けられて保護された透明導電性積層体を用いて素子や装置に加工する工程において、150℃程度の高温加熱処理を行なうことも想定されることから、少なくとも150℃に耐え得る耐熱性を有することが必要とされる。
このような耐熱性樹脂フィルムの材質としては、耐熱性樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、環状ポリオレフィン(COP)からなる樹脂フィルム群の中から選択されたいずれか1種であることが好ましい。これらの耐熱性樹脂は、いずれも耐熱温度が200℃以上であり、透明導電性積層体の通常の加熱処理温度である、150℃においては何ら問題なく使用することが可能である。
また、本発明のITO用粘着テープに使用される透明樹脂フィルムは、透明導電性積層体の製造工程において、作業性の点からロール状に巻き取ることができるのが好ましいので、可撓性を有することが必要である。このため、透明樹脂フィルムの厚みは、500μm以下であることが好ましく、更に好ましい厚みは、10〜150μmである。厚みが10μm以下であると柔軟性が強過ぎて取り扱いが困難であり、また、厚みが500μmを越えると、剛性が強過ぎてロール状に巻き取ることができないので好ましくない。
本発明のITO用粘着テープに使用される透明樹脂フィルムの熱収縮率を、このようにMD方向及びTD方向のいずれの方向においても0.5%以下とすることによって、加熱処理工程などで生じる熱歪に起因するカールを減じることが可能とすることができる。
このため、本発明のITO用粘着テープに使用される透明樹脂フィルムは、熱収縮率を低減するためのアニール処理を施したものが好ましい。アニール処理を施すことによって、熱収縮率を1%以下、好ましくは0.5%以下にしたポリエステル樹脂を用いることができる。本発明に使用される透明樹脂フィルムをアニール処理するに当たっては、従来から公知の方法にて行なうことができる。
また、本発明のITO用粘着テープに使用される透明樹脂フィルムは、溶融押出し製膜法や溶液流延製膜法などによりフィルム化した未延伸透明PETフィルムを用いて、さらに、アニール処理を施して熱収縮率を0.5%以下にすることができる。
なお、溶液流延製膜法によって製造することが、フィルムのMD方向及びTD方向にフィルムへかかる力を少なくできるので好ましい。
本発明のITO用粘着テープにおいて、透明樹脂フィルムの一方の面(例えば図1の上面)には、剥離処理された剥離フィルム3が粘着剤層2を介して積層される。本発明で使用される剥離フィルムの基材としては、上質紙、グラシン紙、コート紙などの紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂などの合成樹脂などが挙げられるが、取扱いのし易さから合成樹脂が好適に用いられる。
剥離フィルムの基材の厚みは特に限定されるものではなく、発泡した基材も用いることができるし、又複数のシート状基材をラミネートして多層構造としたものも用いることができる。更にシート状基材は着色されていても構わないし、機能性付与のためにコート層を積層されていても良い。
本発明で使用される剥離フィルムの基材の片面には、剥離処理が施される。剥離処理の方法としては、シリコーン化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル系化合物等をシート状基材の片面に塗布したりする等の公知の方法を用いることができる。
本発明のITO用粘着テープは、透明基材の一方の面に透明導電膜層が形成され、他方の面に好ましくはハードコート層が形成された透明導電性積層体、若しくは透明基材の両面に透明導電膜層が形成された透明導電性積層体の、透明導電膜に貼り合せて使用するためのものである。透明導電性積層体に使用される透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)樹脂、環状ポリオレフィン(COP)系樹脂からなる耐熱性樹脂群の中から選択された1種、または透明ガラス板であることが好ましい。
透明導電性積層体に使用される透明基材の厚さは、透明基材が透明樹脂基材の場合には、10〜250μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。透明樹脂基材の厚さが、10μmより薄いと取り扱いが困難になるので好ましくない。透明樹脂基材の厚さが、250μmより厚いと透明性が低下し、コストも高くなり、また透明導電性積層体の製造工程での加工適性が悪くなるので好ましくない。以上の点から透明樹脂基材の厚さは、10〜250μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。また、透明樹脂基材と透明導電膜との密着性を向上させる目的で、透明樹脂基材の表面上に適宜の易接着性の樹脂層を積層することや、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施しても良い。また、透明樹脂基材と透明導電膜の間に下地層を設けても良い。
また、ハードコート層の厚さは、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。ハードコート層の厚さが1μmより薄いと、ハードコート性が得られず耐擦傷性が低下し、紫外線硬化型ハードコート樹脂を用いる場合には硬化不良を生じ易くなる。
また、ハードコート層の厚さが10μmより厚いと、ハードコート層にクラックが発生し易くなり、ハードコートフィルム自体がカールし易くなるので好ましくない
また、ハードコート層には帯電防止剤、紫外線吸収剤などの各種の機能を付与するための添加剤を必要に応じて添加してもよい。透明基材の表面にハードコート層を形成する方法は、リバースコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の従来公知の方法が使用できる。
この透明導電膜の形成工程において、または、前記透明導電膜の形成工程の後において、前記透明導電膜からなる配線パターンを形成する工程を含むことが好ましい。透明電極の配線パターンを形成する方法は、公知の手法を用いることができる。代表的な方法としては、フォトリソグラフィによるパターニングが挙げられる。また、ガラス基板に当面導電膜層が形成されたものも透明導電性基板として使用することができる。
塗布装置により、基材の片面に粘着剤用原料組成物の薄膜層(塗布膜)が形成される。塗布装置で塗布した直後の粘着剤用原料組成物は、未硬化でかつ液状であり、塗布に適した流動性を有する。
粘着剤用原料組成物が溶液タイプの場合は、乾燥前の塗布膜の厚みはシロップタイプより厚くなり、上記の塗布膜の厚みを濃度で割った数字となる。乾燥後の塗布膜の厚みはシロップタイプと同様である。
塗布膜が薄すぎると、粘着剤層の厚さも薄くなるので、衝撃吸収性能が悪くなる。また、塗布膜が厚過ぎるとコストが上昇する点で不利である。
セパレーター供給手段24は、セパレーター13が巻き取られたロール体と、そのロール体を保持する軸等から構成される。
ニップロール25は、塗布膜12が形成された基材11と、セパレーター13とを挟み込む1対のロールからなり、両者を貼合する装置である。貼合のための加圧手段を備えることが好ましく、また、フィルムに対して均一な圧力をかけ易いよう、少なくとも一方のロールがゴム製であることが好ましい。
塗布膜12は、塗布膜12中の重合性化合物が適度な光照射により重合することで、凝集力を高め、粘着性を発現する。
また、本発明のITO用粘着テープとして支持体の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープを製造する場合は、それぞれの面で同時に、または逐次に、塗布液の塗布・乾燥と塗布膜の光重合を行なうことができる。
下記の表1に示した粘着剤原料組成物を用いて、下記の製造方法により実施例1〜3、及び比較例1〜6の粘着テープを作製した。
感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)の材料として、SKダイン2094(綜研化学株式会社、酸価:33)と、硬化剤としてE−AX(綜研化学株式会社)とを、それぞれ1000g:2.7gで配合し調製した溶液を用いて、アクリル系樹脂ポリマーからなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)を得た。
得られた感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、さらに、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーB)として、4−ヒドロキシルブチルアクリレート(大阪有機材料工業株式会社;4HBA)を100.0gと、アルキルフェノン系の光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社製;製品名:Irgacure184)を0.10gと、を加えて粘着剤用原料混合物を調製した。
その粘着剤用原料混合物を、ポリエチレンテレフタレート(三菱樹脂株式会社製;製品名:T100、厚み38μm)からなる基材フィルムの上面に、アプリケーターを用いて、乾燥後における粘着剤層の厚みが200μmとなるように塗布した後、乾燥させて粘着剤層が積層された積層体を作製した。
次に、得られた積層体の粘着剤層の上面に、セパレーター(三菱樹脂株式会社製;製品名;MRF、厚み38μm)を貼合し、粘着剤の積層された積層フィルムを作製した。
その後、得られた積層フィルムを搬送しながら、高圧水銀ランプを用いた連続UV照射装置により、照射量約200mJ(波長300nm〜400nm)となるように、基材である粘着剤の積層フィルムの搬送スピード、UV照射の光量などを調整しながらUV照射を行い、光重合開始剤を用いて重合反応を行わせて、最終的に粘着剤組成物(ポリマーC)が積層された、実施例1の粘着テープを得た。
感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)の材料として、SKダイン2147(綜研化学株式会社、酸価:0)と、硬化剤としてTD−75(綜研化学株式会社)、添加剤としてA−50(綜研化学株式会社)をそれぞれ1000g:0.4g:0.6gで配合し調製した溶液を用いて、アクリル系樹脂ポリマーからなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)を得た。得られた感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、さらに、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーB)として、4−ヒドロキシルブチルアクリレート(大阪有機材料工業株式会社;4HBA)を50.0gと、アルキルフェノン系の光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社製;製品名:Irgacure184)を0.10gと、を加えて粘着剤用原料混合物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の粘着テープを得た。
感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)の材料として、SKダイン2147(綜研化学株式会社、酸価:0)と、硬化剤としてTD−75(綜研化学株式会社)、添加剤としてA−50(綜研化学株式会社)をそれぞれ1000g:0.4g:0.6gで配合し調製した溶液を用いて、アクリル系樹脂ポリマーからなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)を得た。得られた感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、さらに、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーB)として、4−ヒドロキシルブチルアクリレート(大阪有機材料工業株式会社;4HBA)を100.0gと、アルキルフェノン系の光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社製;製品名:Irgacure184)を0.10gと、を加えて粘着剤用原料混合物を調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の粘着テープを得た。
本発明のITO用粘着テープをITO面に貼り合せた場合のITO面の表面抵抗率の変化と比較するための対照基準(ブランク)として、ITOフィルム(中井工業株式会社:メタフォース125R2×A、表面抵抗値250Ω/m2)に、本発明のITO用粘着テープを貼合しないでそのままのITOフィルムを、オーブンへ投入した。
粘着剤用組成物(ポリマーC)の材料として、SKダイン2094(綜研化学株式会社、酸価:33)と、硬化剤としてE−AX(綜研化学株式会社)をそれぞれ1000g:2.7gで配合し、粘着剤用組成物(ポリマーC)を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の粘着テープを得た。
粘着剤用組成物(ポリマーC)の材料として、SKダイン2147(綜研化学株式会社、酸価:0)を、硬化剤としてTD−75(綜研化学株式会社)、添加剤としてA−50(綜研化学株式会社)をそれぞれ1000g:0.4g:0.6gで配合し、粘着剤用組成物(ポリマーC)を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の粘着テープを得た。
感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)の材料として、SKダイン2147(綜研化学株式会社、酸価:0)と、硬化剤としてTD−75(綜研化学株式会社)、添加剤としてA−50(綜研化学株式会社)をそれぞれ1000g:0.4g:0.6gで配合し調製した溶液を用いて、アクリル系樹脂ポリマーからなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)を得た。得られた感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、さらに、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーB)として、4−ヒドロキシルブチルアクリレート(大阪有機材料工業株式会社;4HBA)を150.0gと、アルキルフェノン系の光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社製;製品名:Irgacure184)を0.10gと、を加えて粘着剤用原料混合物(ポリマーC)を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の粘着テープを得た。
感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)の材料として、アクリル酸/アクリル酸2エチルヘキシル=87:13(酸価:101.25)を酢酸エチルで40%濃度にした重合物と、硬化剤としてEX−830(ナガセケムテックス株式会社)、をそれぞれ1000g:8.0gで配合し調製した溶液を用いて、アクリル系樹脂ポリマーからなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)を得た。得られた感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、さらに、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーB)として、4−ヒドロキシルブチルアクリレート(大阪有機材料工業株式会社;4HBA)を60.0gと、アルキルフェノン系の光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社製;製品名:Irgacure651)を0.40gと、を加えて粘着剤用原料混合物(ポリマーC)を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の粘着テープを得た。
感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)の材料として、アクリル酸/アクリル酸2エチルヘキシル=95:5(酸価:38.2)を酢酸エチルで34%濃度にした重合物と、硬化剤としてEX−830(ナガセケムテックス株式会社)、をそれぞれ1000g:6.0gで配合し調製した溶液を用いて、アクリル系樹脂ポリマーからなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)を得た。得られた感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、さらに、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマー(モノマーB)として、4−ヒドロキシルブチルアクリレート(大阪有機材料工業株式会社;4HBA)を40.0gと、アルキルフェノン系の光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社製;製品名:Irgacure651)を0.60gと、を加えて粘着剤用原料混合物(ポリマーC)を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の粘着テープを得た。
上記の実施例1〜3及び比較例2,3,5,6の粘着テープを用いて、ITOフィルムに粘着テープを貼合した試験サンプル片を作製し、ITO膜の抵抗値変化倍率の測定、及び白濁確認試験を行なった。また、ブランクとして、比較例1では、ITOフィルムに粘着テープを貼合しないでそのままのITOフィルムを、オーブンへ投入し、ITO膜の抵抗値変化倍率の測定を行なった。
ITOフィルム(中井工業株式会社製、製品名:メタフォース125R2×A、表面抵抗値250Ω/m2)を準備し、それを幅25mm×長さ120mmの大きさの短冊状に裁断した。裁断された短冊状のITOフィルムの小片のITO面に、中心位置を起点にして幅25mm×長さ100mmの大きさの粘着テープを、粘着剤層を介して貼り合わせ、ITOフィルムに粘着テープを積層した試験サンプル片を作製した。試験サンプル片のITO面に貼合した粘着テープの接着強度を向上させるため、試験サンプル片をオートクレーブに投入して圧力0.5MPa×温度40℃にて、15分間の加熱操作を実施した。
試験サンプル片のITOフィルムの両端部分の粘着テープを貼合していない箇所に、銀ペースト(藤倉化成株式会社製、製品名:ドータイト、型番:FA−301CA)を塗布して測定端子を形成し、温度80℃×1時間の熱焼成を実施した後、試験サンプル片の両端の測定端子にテスターを当ててITOフィルムの両端間の抵抗値を測定し、透明導電膜の初期抵抗値とした。
その後、試験サンプル片を温度85℃×湿度85%RHのオーブンに投入し、500時間経過した後に取り出して、再度、ITOフィルムの両端の測定端子にテスターを当ててITOフィルムの両端間の抵抗値を測定し、高温高湿度における環境試験後の抵抗値とした。
試験サンプル片のITO膜の抵抗値変化倍率を、下記の計算式により算出した。
(透明導電膜の抵抗値変化倍率)=(高温高湿度の環境試験後の抵抗値)/(初期抵抗値)
透明導電膜の抵抗値変化倍率の測定で作製した試験サンプル片を、温度85℃×湿度85%RHの高温高湿度での環境下へ投入し、12時間後に取り出した。その後、温度23℃×湿度50%RHの環境下に放置して、試験サンプル片の外観変化を目視にて確認した。白濁したものを(×)、白濁が確認できないものを(○)と評価した。
上記試験の結果を表2に示した。
表2に示した試験結果からすると、市販されている酸価が0〜33であるアクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)のみを用いた比較例2、3に比べて、同じ市販されている酸価が0〜33であるアクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーの少なくとも1種類(モノマーB)と、光重合開始剤を加えて光重合させて作製した粘着剤組成物(ポリマーC)である、実施例1〜3の方が、ITO膜の抵抗値変化倍率が低く抑えられている。
少なくとも、ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーの少なくとも1種類(モノマーB)は、ITO膜の抵抗値変化倍率を増大させることはなく、むしろ、市販されている酸価が0〜33であるアクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)に添加した場合には、ポリマーAがモノマーBで希釈され、樹脂中のヒドロキシル基が増えることにより、ITO膜の抵抗値変化倍率をより低く抑える効果があると考えている。実施例1〜3よりも酸価が大きい比較例5、6については、モノマーB及び光重合開始剤が導入されているにもかかわらず、ITO膜の抵抗値変化倍率が著しく増大した。このことから、ITO膜の抵抗値変化倍率をより低く抑える効果は、モノマーBの重合品の存在だけでなく感圧型粘着剤組成物(ポリマーA)の酸価もが重要であることが確認できた。
実施例1〜3、比較例5、6については、白濁は確認できなかった。比較例2、3においては白濁が確認された。比較例2、3は、モノマーB及び光重合開始剤が導入されていないため、UV照射を行ってもモノマーBが重合しない。比較例2では、白濁改善効果のある粘着剤になっていないことから、モノマーBを重合させることが白濁改善に効果があることが確認できた。また、比較例4では、モノマーB及び光重合開始剤が存在するため、UV照射を行うことで光開始剤が反応はするものの、実施例3に比較して比較例4ではモノマーBの含有量が多いため、比較例4では白濁してしまった。このことから、通常の条件で白濁せず、高温高湿度下から取り出したときの白濁防止効果は、モノマーBの重合品の存在だけでなく組成比もが重要であることが確認できた。
また、図3の高温高湿度での環境試験用オーブンから取り出した後のヘイズ値の変化を示すグラフは、本発明の効果として高温高湿度での環境試験後に白濁を生じないことを参考までに示したものである。本発明のITO用粘着テープに係わる実施例1は、高温高湿度での環境試験用オーブンから取り出した直後、及びオーブンから取り出して60分経過しても、全くヘイズ値が変化しておらず、優れた白濁防止性能を有することが分かる。
一方、比較例2においては、高温高湿度での環境試験用オーブンから取り出した直後から数分でヘイズ値が最大値として約11%に上昇した後、放置時間の経過と共に、徐々にヘイズ値が低下する傾向を示すが、白濁した状態が120分以上も継続することが分かる。
本評価は、セパレーター同士もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルム同士で実施した場合に起こる変化であるが、ガス透過性の悪いガラス同士やアクリル板とガラスなどのサンプルでは白濁するタイミングは同じであるが、白濁が消滅する状況は数日かかることもある。なお、高温高湿度での環境試験において発生したいずれの白濁も、室温において数時間放置することにより、白濁は消滅して透明となった。
Claims (2)
- ITOからなる透明導電膜の該ITO表面に貼合されるITO用粘着テープであって、
ITO用粘着剤組成物(ポリマーC)が、透明樹脂フィルムからなる基材フィルムに積層されてなり、
前記ITO用粘着剤組成物(ポリマーC)が、
酸価が0〜33であるアクリル系樹脂からなる感圧型粘着剤組成物(ポリマーA):固形分100重量部と、
ヒドロキシル基含有の(メタ)アクリレートのモノマーの少なくとも1種類(モノマーB):5重量部以上15重量部未満と、
光重合開始剤:0.01〜0.5重量部と、
を含有してなり、物性(K)を有することを特徴とするITO用粘着テープ。
物性(K):ITO表面に、ITO用粘着剤組成物(ポリマーC)を塗布して乾燥後の厚み200μmの薄膜を形成した後、温度85℃×湿度85%RHの環境下にて実施した500時間の高温高湿度の環境試験用オーブンから取り出した後、ITO膜の抵抗値変化倍率が初期値に比較して1.7倍以下であり、該オーブンから取り出し直後においてITO用粘着剤組成物(ポリマーC)層に白濁が発生しない。 - ITOからなる透明導電膜の該ITO表面に貼合されるITO用粘着テープであって、
ディスプレイに部材を貼り合わせることを用途とするITO用粘着テープである請求項1に記載のITO用粘着テープ。
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