JP6099110B1 - 焙煎麦麹の製造方法および麦焼酎の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のものを超える焙煎香と旨味を有する焼酎を醸すことができる焙煎麦麹の製造方法及びこれを用いた麦焼酎の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の焙煎麦麹は、精麦し磨いた原料麦を容器に入れ、同容器を直火にかけて焙煎を行う焙煎工程と、焙煎したものを洗浄する洗浄工程と、洗浄したものを混ぜながら水を加えて吸水させる浸漬工程と、吸水したものをほぐして蒸す蒸し工程と、蒸したものを冷まし、30℃以上38℃以下の温度範囲内において種麹を撒布して種付けを行って保温し、麹菌を繁殖させる製麹工程と、を備える製造方法により得られる。また、本発明の麦焼酎は、前述の方法で製麹された焙煎麦麹を、少なくとも一次仕込み工程に使用する製造方法により得られる。更に、焙煎麦麹を二次仕込み工程の掛け麦としても使用すると、全量焙煎麦麹の麦焼酎が得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、焙煎麦麹の製造方法および麦焼酎の製造方法に関するものである。更に詳しくは、通常の麦麹には無い焙煎香と旨味を有する焼酎を醸すことができる焙煎麦麹を製造する方法と、この焙煎麦麹により得られた麦焼酎を製造する方法に関する。
従来から、一部の焼酎メーカーによって、焙煎した麦を使用する麦焼酎の製造方法が提案されている。このような麦焼酎の製造方法としては、例えば、下記の特許文献1に、加熱蒸気によって焙煎した麦を二次仕込みに用いる掛け麦として使用する焙煎麦焼酎の製造方法が開示されている。
特許文献1記載の焙煎麦焼酎の製造方法は、180℃〜200℃の加熱蒸気で60秒〜180秒間加熱処理して麦の澱粉質をα化した原料麦と水の混合物に麹を接種して培養した一次醪(もろみ)に、180℃〜200℃の加熱蒸気を60秒〜180秒間加えて澱粉質をα化した二次掛け用の原料麦と水を加えて二次醪をつくり、発酵させたあと蒸留するものである。これによって、精麦した原料麦を加熱してα化したとしても、麦の内部に酸化臭やコゲ臭が残らないというものである。
特開平6−113811号公報
一方、本発明者もまた、焙煎した掛け麦を使用して二次仕込みを行った麦焼酎を製造する者であるが、上記特許文献1記載の方法で得られる焼酎は焙煎香が弱いと感じていた。これは、上記特許文献1記載の麦焼酎の製造方法で使用される焙煎した原料麦が、二次仕込み用の掛け麦のみであって、一次仕込みで使用する原料麦は焙煎されたものではなかったためである。
これまで、焼酎業界においては、麹を作るための原料麦に焙煎を行うことはなされていなかった。その理由としては、精麦した原料麦を磨き(原料麦の外側にある脂肪やタンパク質を削り取ること。以下同じ)、デンプン含有量が多い状態にしたものが最も麹菌が入りやすくなる(麹菌が繁殖しやすい)、という経験則が伝えられており、その経験則からすれば、表面が炭化した原料麦は麹菌が繁殖しないか、または繁殖しにくいものと考えられていたためと推察される。
本発明者は、焙煎した麦の香りを活かしてコクと風味を更に向上させた芳醇な麦焼酎を得るために、掛け麦のみならず、麹を含めて全量焙煎した原料麦を使用することを着想したが、そのためには、製麹時に使用する原料麦について、麹菌が充分に繁殖すると共に、香り等が良い焙煎度合いを研究する必要があった。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、通常の麦麹には無い焙煎香と旨味を有する焼酎を醸すことができる焙煎麦麹を製造する方法と、通常の麦麹を使用した焼酎には無い焙煎香と旨味を有する麦焼酎を製造する方法とを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために本発明の焙煎麦麹の製造方法は、精麦し磨いた原料麦を容器に入れ、同容器を直火にかけて焙煎を行う焙煎工程と、該焙煎工程で得られた焙煎麦を洗浄する洗浄工程と、洗浄した前記焙煎麦を混ぜながら水を加えて吸水させる浸漬工程と、吸水した前記焙煎麦をほぐして蒸す蒸し工程と、蒸した前記焙煎麦を冷まし、30℃以上38℃以下の温度範囲内において種麹を撒布して種付けを行って同温度範囲内で保温し、麹菌を繁殖させる製麹工程とを備える。
ここで、前述の焙煎工程によって、麦麹製造に使用する焙煎麦が得られる。この焙煎麦は、直火にかけて焙煎を行うことによって、加熱蒸気のような熱風による焙煎方法よりも香りや旨味等の成分が残りやすい。また、例えば、焙煎の度合いによって、いわゆる浅煎り、深煎りといわれる焙煎度合いの焙煎麦が得られるので、風味の調節が可能である。
また、原料麦は、精麦し磨かれた際に、表面に削り屑である麦の粉が付着する性質があるが、焙煎後の麦からは、このような麦の粉が自然と分離している。この原因は定かではないが、水分を含んだ原料麦表面と付着した粉との間で何らかの粘り気が生じていたところ、焙煎によって原料麦表面が乾燥すると共に、付着した粉も乾燥した結果、これらの粘り気が失われて分離したのではないかと推察される。これにより、雑味の原因となる麦の粉が除去される。更に、焙煎麦は、少なくともその表面が茶色ないし褐色に軽く焦げており、これに起因して、従来の麦麹よりも焙煎香および旨味成分が向上する。
前述の洗浄工程を経ることによって、焙煎麦が洗浄されて残った汚れが除去され、麹菌の繁殖に適した清浄な状態になる。また、前述の浸漬工程を経ることによって、洗浄した焙煎麦が吸水し、蒸し工程を行うに適した含水率にすることができる。
前述の蒸し工程を経ることによって、酵素が麦のデンプンを分解しやすく、麹菌が繁殖しやすい状態となる。ここで、焙煎麦に高温の水蒸気が当たると、麦が膨らみ、表面に割れが生じる。この割れが生じることで、表面が茶色ないし褐色に軽く焦げた焙煎麦であっても、製麹工程の際に、割れに沿う形で麦の内部まで麹菌が根付きやすくなる(いわゆる破精込み具合が良くなる)という、従来の製麹技術では知られていなかった効果を奏する。
前述の製麹工程を経ることによって、蒸した焙煎麦に、繁殖に適した温度帯で種麹を付着させることができ、種付けされた焙煎麦に麹菌が繁殖して、焙煎麦麹が得られる。
また、前記焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、同第1の容器内の温度が130℃〜145℃の範囲内であり、同第2の容器内の温度が155℃〜175℃の範囲内であり、前記原料麦が前記第1の容器と前記第2の容器内に滞留する時間が、各々30秒〜40秒の範囲内である場合は、香ばしい程度の焙煎香があり、スッキリとした風味の浅煎りの焙煎麦が得られる。
また、前記焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、同第1の容器内の温度が140℃〜157℃の範囲内であり、同第2の容器内の温度が160℃〜182℃の範囲内であり、前記原料麦が前記第1の容器と前記第2の容器内に滞留する時間が各々30秒〜40秒の範囲内である場合は、やや焙煎香が強く、コクがある風味の強い深煎りの焙煎麦が得られる。
上記の目的を達成するために本発明の麦焼酎の製造方法は、精麦し磨いた原料麦を容器に入れ、同容器を直火にかけて焙煎を行う焙煎工程と、該焙煎工程で得られた焙煎麦を洗浄する洗浄工程と、洗浄した前記焙煎麦を混ぜながら水を加えて吸水させる浸漬工程と、吸水した前記焙煎麦をほぐして蒸す蒸し工程と、蒸した前記焙煎麦を冷まし、30℃以上38℃以下の温度範囲内において種麹を撒布して種付けを行って同温度範囲内で保温し、麹菌を繁殖させて焙煎麦麹を得る、製麹工程と、該製麹工程により得られた前記焙煎麦麹に、水と焼酎酵母を加えて混合し、所定の温度で所定の期間発酵させて一次醪を得る、一次仕込み工程と、該一次仕込み工程で得られた前記一次醪に、蒸した原料麦である掛け麦と水を加えて混合し、所定の温度で所定の期間発酵させて二次醪を得る、二次仕込み工程と、該二次仕込み工程で得られた前記二次醪を蒸留して原酒を得る蒸留工程と、該蒸留工程で得られた前記原酒を濾過する濾過工程と、該濾過工程で濾過されたものを所定期間貯蔵する熟成工程とを備える。
ここで、前述の焙煎工程によって、麦麹製造に使用する焙煎麦が得られる。この焙煎麦は、直火にかけて焙煎を行うことによって、加熱蒸気のような熱風による焙煎方法よりも香りや旨味等の成分が残りやすい。また、例えば、焙煎の度合いによって、いわゆる浅煎り、深煎りといわれる焙煎度合いの焙煎麦が得られるので、風味の調節が可能である。
また、原料麦は、精麦し磨かれた際に、表面に削り屑である麦の粉が付着する性質があるが、焙煎後の麦からは、このような麦の粉が自然と分離している。この原因は定かではないが、水分を含んだ原料麦表面と付着した粉との間で何らかの粘り気が生じていたところ、焙煎によって原料麦表面が乾燥すると共に、付着した粉も乾燥した結果、これらの粘り気が失われて分離したのではないかと推察される。これにより、雑味の原因となる麦の粉が除去される。更に、焙煎麦は、少なくともその表面が茶色ないし褐色に軽く焦げており、これに起因して、従来の麦麹よりも焙煎香および旨味成分が向上する。
前述の洗浄工程を経ることによって、焙煎麦が洗浄されて残った汚れが除去され、麹菌の繁殖に適した清浄な状態になる。また、前述の浸漬工程を経ることによって、洗浄した焙煎麦が吸水し、蒸し工程を行うに適した含水率にすることができる。
前述の蒸し工程を経ることによって、酵素が麦のデンプンを分解しやすく、麹菌が繁殖しやすい状態となる。ここで、焙煎麦に高温の水蒸気が当たると、麦が膨らみ、表面に割れが生じる。この割れが生じることで、表面が茶色ないし褐色に軽く焦げた焙煎麦であっても、製麹工程の際に、割れに沿う形で麦の内部まで麹菌が根付きやすくなる効果が生じる。
前述の製麹工程を経ることによって、蒸した焙煎麦に、繁殖に適した温度帯で種麹を付着させることができ、種付けされた焙煎麦に麹菌が繁殖して、焙煎麦麹が得られる。
そして、得られた焙煎麦麹に、水と焼酎酵母を加えて混合し、所定の温度で所定の期間発酵させることによって一次醪が得られ、一次仕込み工程は完了となる。
前述の二次仕込み工程を経ることにより、二次醪が得られる。そして、前述の蒸留工程を経ることにより、二次醪から原酒が得られる。更に、前述の濾過工程を経ることにより、蒸留したばかりの原酒に含まれる余分なフーゼル油が除去され、酸化等による劣化を防止することができる。
前述の熟成工程を経ることにより、従来のものよりもコクと焙煎香が増した芳醇な麦焼酎が得られる。なお、熟成工程に要する貯蔵期間は、製造者の求める風味等に応じて任意に設定される。このようにして得られた麦焼酎は、焙煎麦麹を使用して製造することにより、焙煎香が強く旨味があるものとなる。
また、前記二次仕込み工程に使用する前記掛け麦が、精麦し磨いた原料麦を容器に入れて同容器を直火にかけて焙煎を行い、焙煎により得られた焙煎麦を洗浄し、洗浄した前記焙煎麦を混ぜながら水を加えて吸水させ、吸水した前記焙煎麦をほぐして蒸し、蒸した前記焙煎麦を冷まして30℃以上38℃以下の温度範囲内において種麹を撒布し、種付けを行って同温度範囲内で保温することで麹菌を繁殖させて得られた焙煎麦麹である場合は、一次仕込み工程および二次仕込み工程の両方で焙煎麦麹を使用した、全量焙煎麦麹の麦焼酎が得られる。なお、この掛け麦で使用する焙煎麦麹は、一次仕込み工程で使用する焙煎麦麹の製麹方法と同様である。
このようにして得られた全量焙煎麦麹の麦焼酎は、従来の麦焼酎に無い焙煎香と旨味を有し、芳醇な麦焼酎となる。なお、ここで、「全量焙煎麦麹」とは、麦焼酎の製造工程において、一次仕込み工程と二次仕込み工程のいずれにも焙煎麦麹を使用されていることを意味しており、本用語は本明細書中において以下同様の意味で使用される。
前記掛け麦が、焙煎麦である場合は、製麹工程で焙煎麦麹が用いられていると共に、掛け麦が焙煎麦であるため、得られた麦焼酎は、従来の麦焼酎に無い焙煎香と旨味を有し、芳醇な麦焼酎となる。
また、前記焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、同第1の容器内の温度が130℃〜145℃の範囲内であり、同第2の容器内の温度が155℃〜175℃の範囲内であり、前記原料麦が前記第1の容器と前記第2の容器内に滞留する時間が、各々30秒〜40秒の範囲内である場合は、製麹工程で使用される焙煎麦麹を、香ばしい程度の焙煎香があり、スッキリとした風味の、いわゆる浅煎りのものとすることができる。
また、前記掛け麦の焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、同第1の容器内の温度が130℃〜145℃の範囲内であり、同第2の容器内の温度が155℃〜175℃の範囲内であり、前記掛け麦が前記第1の容器と前記第2の容器内に滞留する時間が、各々30秒〜40秒の範囲内である場合は、掛け麦として使用される焙煎麦麹を、香ばしい程度の焙煎香があり、スッキリとした風味の、いわゆる浅煎りのものとすることができる。なお、この麦焼酎は、浅煎りの掛け麦を用いた全量焙煎麦麹の麦焼酎である。
前記焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、同第1の容器内の温度が140℃〜157℃の範囲内であり、同第2の容器内の温度が160℃〜182℃の範囲内であり、前記原料麦および前記掛け麦が前記第1の容器と前記第2の容器内に滞留する時間が、各々30秒〜40秒の範囲内である場合は、製麹工程で使用される焙煎麦麹を、やや焙煎香が強く、コクがあって風味の強い、いわゆる深煎りのものとすることができる。
前記掛け麦の焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、同第1の容器内の温度が140℃〜157℃の範囲内であり、同第2の容器内の温度が160℃〜182℃の範囲内であり、前記原料麦および前記掛け麦が前記第1の容器と前記第2の容器内に滞留する時間が、各々30秒〜40秒の範囲内である場合は、掛け麦として使用される焙煎麦麹を、やや焙煎香が強く、コクがあって風味の強い、いわゆる深煎りのものとすることができる。なお、この麦焼酎は、深煎りの掛け麦を用いた全量焙煎麦麹の麦焼酎である。
なお、本明細書中の用語「浅煎り」とは、焙煎後の表面色が小麦色ないし麦わら色の明るい色のものであり、香ばしい程度の焙煎香があり、製造した際に香ばしくスッキリとした風味の麦焼酎が得られる。
また、本明細書中の用語「深煎り」とは、焙煎後の表面色がきつね色ないし濃い茶色のものであり、焙煎香が強く、製造した際にコクがあって風味の強い麦焼酎が得られる。なお、焙煎後の表面色が焦げ茶色ないし黒色に至ったものは「焦げ」であり、麦焼酎を製造した際に苦み、焦げ臭さが出るので、使用されず、仮に、焙煎後の焙煎麦中に混じっていれば、取り除いておくことが好ましい。
本発明による焙煎麦麹の製造方法によれば、通常の麦麹には無い焙煎香と旨味を有する焼酎を醸すことができる焙煎麦麹を得ることができる。
また、本発明による麦焼酎の製造方法によれば、通常の麦麹を使用した焼酎には無い焙煎香と旨味を有する麦焼酎を得ることができる。
本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、本実施の形態では、焙煎麦麹の製造方法と、全量焙煎麦麹の麦焼酎の製造方法について説明する。
〔実施例〕
〔製麹〕
(製麹用原料麦の焙煎工程)
殻が付いたままの原料麦(本実施の形態においては大麦)を精麦し、精麦後に表面を磨いたものを容器に入れ、同容器を直火にかけて焙煎を行う。
容器は第1の容器と第2の容器から構成され、焙煎は2回に分け、連続して行われる。各容器では、各々30秒〜40秒の間、焙煎される。各容器は金属製で回転可能かつ直火で加熱可能な回転ドラムであり、回転ドラム内において加熱された砂に原料麦を入れ、回転ドラムを回転させながら焙煎が行われる。なお、原料麦と加熱された砂が混合されることにより、原料麦の焙煎をムラ無く行うことができる。
回転ドラム内の温度については、第1の容器内の温度が130℃〜145℃の範囲内となり、第2の容器内の温度が155℃〜175℃の範囲内となるように設定され、焙煎後の原料麦が浅煎りとなるようにしてある。
焙煎が終了した後は、砂と焙煎麦をふるいに掛けて分離し、焙煎麦のみを取り出す。取り出し後の焙煎麦は、風等を当てることで、粗熱を取ると共に、焙煎麦に混じった砂等の付着物が除去される。
前述の焙煎工程を経ることで、製麹に使用する浅煎りの焙煎麦が得られる。なお、直火にかけて焙煎を行うことにより、加熱蒸気のような熱風による焙煎方法よりも香りや旨味等の成分が残りやすい。
また、原料麦は、精麦し磨かれた際に、表面に削り屑である麦の粉が付着する性質があるが、焙煎後の麦からは、このような麦の粉が自然と分離している。この原因は定かではないが、水分を含んだ原料麦表面と付着した粉との間で何らかの粘り気が生じていたところ、焙煎によって原料麦表面が乾燥すると共に、付着した粉も乾燥した結果、これらの粘り気が失われて分離したのではないかと推察される。これにより、雑味の原因となる麦の粉が除去される。更に、焙煎麦は、少なくともその表面が茶色ないし褐色に軽く焦げており、これに起因して、従来の焙煎していない麦麹よりも焙煎香および旨味成分が向上する
(洗浄工程)
得られた焙煎麦を洗浄する。この洗浄工程を経ることによって、焙煎麦に残った汚れが除去され、麹菌の繁殖に適した清浄な状態になる。
なお、本実施の形態では、本工程から、後述する浸漬工程、蒸し工程、種付け工程および製麹工程の前半までは、給排水機能と、気密性あるいは準気密性とを有する金属製の回転ドラムを使用して作業を行うが、これに限定するものではなく、例えば、前述の作業の一部について回転ドラムを使用すること、または、前述の作業の全てを手作業で行うことを除外するものではない。
(浸漬工程)
前述の洗浄工程で洗浄された焙煎麦は、回転ドラム内で混ぜられながら撒水される(前述の「水を加えて」と同義。以下同じ)ことで、吸水する。本工程を経ることによって、洗浄した焙煎麦が吸水し、後述する蒸し工程を行うに適した含水率にすることができる。
なお、焙煎麦は、焙煎しているために焙煎度合いに多少のバラツキが生じることがあり、この結果、浸漬したときの含水量にもバラツキが生じて、麹菌の繁殖状態に偏りが生じてしまうことがあるが、本実施形態では、回転ドラム内で焙煎麦を混ぜながら水を加えることで、焙煎麦の含水率が均一に近づくようになされている。
(蒸し工程)
回転ドラムを回転させ、または揺すって、内部に貯留されている浸漬後の焙煎麦をほぐす。ほぐされた焙煎麦の入った回転ドラム内へ高温の水蒸気を供給し、回転ドラム内の温度を99〜101℃に維持し、連続的にまたは間欠的に、回転ドラムを回転等させて内部の焙煎麦をほぐしながら、約40〜60分間蒸す。本工程を経ることによって、酵素が焙煎麦のデンプンを分解しやすく、麹菌が繁殖しやすい状態となる。
なお、焙煎された焙煎麦に高温の水蒸気が当たると、麦が膨らみ、表面に割れが生じる。この割れが生じることで、表面が炭化した焙煎麦であっても、製麹工程の際に、割れに沿う形で焙煎麦の内部まで麹菌が根付きやすくなる(いわゆる破精込み具合が良くなる)という、従来の麦焼酎の製麹技術では知られていなかった効果を奏する。
なお、実施の形態では、蒸し工程で行う焙煎麦をほぐす作業は、回転ドラムの回転等により行われるが、これに限定するものではなく、例えば、手作業で行うことを除外するものではない。
(製麹工程)
前述の蒸し工程の終了後、焙煎麦が38℃程度になるまで回転ドラム内で放冷する。そして、回転ドラム内にある放冷後の焙煎麦が30℃以上38℃以下となる温度範囲内において種麹を撒布し、回転ドラムを回転等させて内部の焙煎麦を撹拌し、種麹が焙煎麦へ満遍なく付着するようにする。
その後、回転ドラム内で、間欠的に回転ドラムを回転等させて内部の焙煎麦をほぐしながら、焙煎麦の温度が30℃以上38℃以下となる範囲内で温度を維持しながら、36〜44時間程保温する。本工程を経ることによって、蒸した焙煎麦に、繁殖に適した温度帯で種麹が満遍なく付着し、種付けした焙煎麦に麹菌が繁殖して、焙煎麦麹が得られる。
なお、本実施の形態では、製麹工程の一連の作業を回転ドラムにより行っているが、これに限定するものではなく、例えば、製麹工程における作業を、回転ドラム内で焙煎麦を20〜28時間保温し、回転ドラム内の焙煎麦を製麹装置(いわゆる三角棚)へ移し、更に約36〜44時間保温するといったように前工程と後工程に分けて行う等してもよい。
〔一次仕込み工程〕
得られた焙煎麦麹に、水と焼酎酵母を加えて混合し、この混合物を25℃〜30℃の温度で4〜6日間程発酵させることによって一次醪が得られ、一次仕込み工程は完了となる。
〔二次仕込み工程〕
本実施の形態においては、二次仕込み工程に使用する掛け麦についても、一次仕込み工程と同様に焙煎を行うと共に、製麹を行う。
(掛け麦用の製麹工程)
精麦後、表面を磨いた原料麦を容器に入れ、同容器を直火にかけて焙煎を行う。なお、容器は一次仕込み工程で使用したものと同じであるため、構成の説明は省略する。
二次仕込み工程において、回転ドラム内の温度は、第1の容器内の温度が140℃〜157℃の範囲内となり、第2の容器内の温度が160℃〜182℃の範囲内となるように設定され、焙煎麦が深煎りとなるようにしてある。
一次仕込み工程の場合と同様、回転ドラムを使用して、得られた深煎りの焙煎麦を洗浄し、洗浄後の焙煎麦を混ぜながら撒水して吸水(浸漬)させ、浸漬後の焙煎麦をほぐしながら約40〜60分間蒸す。蒸された焙煎麦について、前述の製麹工程の手順により製麹を行う。これにより、種付けした焙煎麦に麹菌が繁殖して、深煎りの焙煎麦麹が得られる(以下、本実施の形態において、二次仕込み工程で使用される焙煎麦麹について「掛け麦用焙煎麦麹」と称する)。
前述の掛け麦用の製麹工程で得られた掛け麦用焙煎麦麹と水を、前述の一次醪に加えて混合し、この混合物を25℃〜30℃の温度で4〜6日間程発酵させることにより、二次醪が得られる。なお、発明者の知見によれば、一次醪に使う焙煎麦1に対し二次醪に使う焙煎麦が2(例えば、一次醪に使う焙煎麦が500kgに対し二次醪に使う焙煎麦が1000kg)となる比率で配合することにより、発酵が好適に進むようである。
〔蒸留工程〕
前述の二次仕込み工程で得られた二次醪を単式蒸留機へ移し、蒸留することにより、原酒が得られる。なお、蒸留工程は、常圧または減圧のいずれで行ってもよいが、常圧で行う場合は、焙煎麦の風味が良く引き出された個性がはっきりとした麦焼酎が得られ、減圧で行う場合は、仄かな焙煎麦の風味が引き出され、雑味等は少なく、クリアでクセのない味わいの麦焼酎が得られる。
〔濾過工程〕
前述の蒸留工程で得られた原酒を濾過する。これによって、蒸留したばかりの原酒に含まれる余分なフーゼル油や澱が除去され、酸化等による劣化や雑味の発生が防止される。
〔熟成工程〕
前述の濾過された原酒を所定期間貯蔵することにより、熟成が進む。蒸留後3〜6ヶ月の熟成期間を経ることによりアルコール臭やガス臭など刺激臭が減少し、例えば、6ヶ月から3年の熟成期間を経ることにより香りや味が安定してまろやかとなる。更に3年以上の熟成期間を経ることにより「長期貯蔵」等と呼ばれ、味の丸みが更に増加し旨味が増す。熟成工程に要する貯蔵期間は、製造者の求める風味やブランディング等に応じて任意に設定される。
所定の熟成期間を経た後に、加水やブレンディング等して、全量焙煎麦麹の麦焼酎が得られる。なお、原酒のままで製品化してもよい。
本実施の形態により得られた全量焙煎麦麹の麦焼酎を評価するために、以下の条件で理化学的測定試験を行った。
(試験方法)
この試験では、後述の比較対象を、後述の条件で試験を行い、香り物質を測定した。なお、使用する原料麦の品種は同じものを使用した。
(比較対象)
比較した麦焼酎は次の4種類である。
(A)発明者製造の従来品(以下「従来品」と称する):一次仕込みでは通常の麦麹を使用し、二次仕込みで使用する掛け麦に、20%の浅煎りの焙煎麦(通常の麦を80%配合、合計100%)を使用したもの。
(B)BM−7:一次仕込みでは通常の麦麹を使用し、二次仕込みで使用する掛け麦の全量(100%)に浅煎りの焙煎麦を使用したもの。
(C)BM−8:一次仕込みでは浅煎りの焙煎麦麹を使用し、二次仕込みで使用する掛け麦の全量(100%)に深煎りの焙煎麦を使用したもの(つまり、全量焙煎麦)。
(D)BM−9:一次仕込みでは浅煎りの焙煎麦麹を使用し、二次仕込みでは深煎りの焙煎麦麹を使用したもの(つまり、全量焙煎麦麹)。
(前処理)
・吸着材PorapacQをクロマトカラムに3グラム充填し、
・ジエチルエーテル50ml、メタノール50ml、蒸留水50mlの順で充填剤を洗浄し、
・測定試料100mlをエタノール濃度10%となるように蒸留水で希釈後、充填剤に通水し、
・蒸留水50mlで洗浄し、
・ジエチルエーテル60mlで充填剤に吸着した香気成分を溶出し、
・硫酸ナトリウムで脱水後、窒素分子を吹き付けて2mlまで濃縮し、
・GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)にて測定する。
(GC−MS測定条件)
測定装置:GC:QP−2010Plus(島津製作所製)
カラム:Pure−WAX 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.5μm(GLサイエンス社製)
オーブン:50℃(5分保持)―10℃/分―240℃―240℃(5分保持)
キャリア:Heガス
圧力:100kPa
検出器:MS、インターフェイス温度240℃、イオン化温度230℃
気化室:204℃
検出された化合物の香り表現は、「国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)」より引用している。また、差が見られたピークについては、従来品を100.00%として面積比(%)を算出しており、従来品に見られない化合物の面積比(%)は比較品から最小の面積値を100.00%として算出している。
Figure 0006099110
Figure 0006099110
(考察)
表1から分かるとおり、BM−7、8、9については、従来品では検出されなかった香り物質であるエチルピラジンが検出され、BM−7、9でエチルピラジンが多く含まれることが分かった。エチルピラジンの香りを表現すると、ナッツ様、バター様の香りである。
表2から分かるとおり、従来品と比較して、BM−7、8、9はフルフラールがより多く含まれることが分かった。フルフラールは、甘い香りを放つ化合物であり、その香りを表現すると、アーモンド様、蜂蜜様の甘い香り、焙煎香である。
つまり、本発明による焙煎麦麹を用いた麦焼酎の製造方法によれば、従来の麦焼酎に無いか、または従来の麦焼酎を超える前述のような焙煎香等の香気と旨味を有する麦焼酎が得られることが確認できた。更に、BM−9の様に、一次仕込みの使用麹に焙煎麦麹を使用するのみならず、二次仕込の掛け麦についても焙煎麦麹を使用することで、香気および旨味が更に増した芳醇な全量焙煎麦麹使用の麦焼酎が得られることが確認できた。
更に、本発明に係る麦焼酎は、杜氏等による官能試験を行い、従来品と比較して、酔い覚めが爽やかであり、自然の甘みがあるとの意見が多く見られた。これは、本発明の焙煎麦麹の製造方法によって脂肪分の少ない醪が得られ、これにより発酵が緩やかになることに起因するのではないかと推察される。
本明細書では、焙煎麦麹を使用した麦焼酎の製造方法を開示しているが、これに限定するものではなく、例えば、焙煎麦麹は、味噌、醤油の原料として使用し、あるいは調味料等として使用することもできる。
本明細書では、焙煎等行う容器の一例として、回転ドラムを開示しているが、これに限定するものではなく、例えば、焙煎麦の焙煎器具が2つの部屋からなり、一の部屋で焙炒し、他の部屋で冷却する流動焙炒装置や、鍋、網状のケース体等であってもよい。
本実施の形態において、一次仕込み工程用の焙煎麦は、麹菌の繁殖しやすさの点から浅煎りのものを採用するが、これに限定するものではなく、例えば、前述の工程により加工された深煎りの焙煎麦であってもよい。この場合、焙煎麦麹および掛け麦用焙煎麦麹ともに深煎りのものであるので、焙煎香が強く、製造した際にコクがあって風味の強い麦焼酎が得られる。
本実施の形態において、二次仕込み工程用の焙煎麦は、製造される麦焼酎の風味を高めるべく深煎りのものを採用するが、これに限定するものではなく、例えば、浅煎りのものであってもよい。この場合、焙煎麦麹および掛け麦用焙煎麦麹ともに浅煎りのものであるので、香ばしい程度の焙煎香があり、スッキリとした風味の麦焼酎が得られる。
本実施の形態において、麦焼酎は、一次仕込み工程用に浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用し、かつ二次仕込み工程用に深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用した全量焙煎麦麹の麦焼酎であるが、これに限定するものではなく、例えば、焙煎麦麹を使用した麦焼酎を含む以下のような態様であってもよい。
〔全量焙煎麦麹の麦焼酎〕
(a)一次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用。
(b)一次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用。
(c)一次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用。
〔焙煎麦麹と焙煎麦の麦焼酎〕
(d)一次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用。
(e)一次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用。
(f)一次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用。
(g)一次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用。
〔焙煎麦麹を使用した麦焼酎〕
(h)一次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:(焙煎していない)通常の麦または麦麹を使用。
(i)一次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用、二次仕込み工程用:(焙煎していない)通常の麦または麦麹を使用。
(j)一次仕込み工程用:通常の麦麹を使用、二次仕込み工程用:浅煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用。
(k)一次仕込み工程用:通常の麦麹を使用、二次仕込み工程用:深煎りの焙煎麦を使用した焙煎麦麹を使用。
本明細書および本特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって何ら限定的なものではなく、本明細書および本特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。

Claims (10)

  1. 精麦し磨いた原料麦を容器に入れ、同容器を直火にかけて焙煎を行う焙煎工程と、
    該焙煎工程で得られた焙煎麦を洗浄する洗浄工程と、
    洗浄した前記焙煎麦を混ぜながら水を加えて吸水させる浸漬工程と、
    吸水した前記焙煎麦をほぐし、同焙煎麦を膨らませて表面に割れを生じるまで蒸す、蒸し工程と、
    蒸した前記焙煎麦を冷まし、30℃以上38℃以下の温度範囲内において種麹を撒布して種付けを行って同温度範囲内で保温し、麹菌を繁殖させる製麹工程とを備える
    焙煎麦麹の製造方法。
  2. 前記蒸し工程が、前記吸水した焙煎麦を気密性あるいは準気密性を有する回転ドラム内へ入れ、該回転ドラム内へ高温の水蒸気を供給して同回転ドラム内の温度を99〜101℃に維持し、前記回転ドラムを連続的または間欠的に回転させ、または揺することで内部の同焙煎麦をほぐしながら、同焙煎麦を膨らませて表面に割れが生じるまで40〜60分間蒸すものである
    請求項1に記載の焙煎麦麹の製造方法。
  3. 前記焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、
    前記原料麦の焙煎が、
    内部温度が130℃〜145℃の範囲内である前記第1の容器と、内部温度が155℃〜175℃の範囲内である前記第2の容器とにより行われ、前記第1の容器と前記第2の容器内に前記原料麦が滞留する時間が各々30秒〜40秒の範囲内である浅煎りであるか、または、
    内部温度が140℃〜157℃の範囲内である前記第1の容器と、内部温度が160℃〜182℃の範囲内である前記第2の容器とにより行われ、前記第1の容器と前記第2の容器内に前記原料麦が滞留する時間が各々30秒〜40秒の範囲内である深煎り、のいずれかである
    請求項1または請求項2に記載の焙煎麦麹の製造方法。
  4. 精麦し磨いた原料麦を容器に入れて同容器を直火にかけて焙煎を行う焙煎工程と、該焙煎工程で得られた焙煎麦を洗浄する洗浄工程と、洗浄した前記焙煎麦を混ぜながら水を加えて吸水させる浸漬工程と、吸水した前記焙煎麦をほぐし、同焙煎麦を膨らませて表面に割れを生じるまで蒸す、蒸し工程と、蒸した前記焙煎麦を冷まし、30℃以上38℃以下の温度範囲内において種麹を撒布して種付けを行って同温度範囲内で保温し、麹菌を繁殖させる製麹工程とにより得られた焙煎麦麹を使用し、該焙煎麦麹に、水と焼酎酵母を加えて混合し、所定の温度で所定の期間発酵させて一次醪を得る、一次仕込み工程と、
    該一次仕込み工程で得られた前記一次醪に、蒸した原料麦である掛け麦と水を加えて混合し、所定の温度で所定の期間発酵させて二次醪を得る、二次仕込み工程と、
    該二次仕込み工程で得られた前記二次醪を蒸留して原酒を得る蒸留工程と、
    該蒸留工程で得られた前記原酒を濾過する濾過工程と、
    該濾過工程で濾過されたものを所定期間貯蔵する熟成工程とを備える
    麦焼酎の製造方法。
  5. 前記二次仕込み工程に使用する前記掛け麦が、精麦し磨いた原料麦を容器に入れて同容器を直火にかけて焙煎を行い、焙煎により得られた焙煎麦を洗浄し、洗浄した前記焙煎麦を混ぜながら水を加えて吸水させ、吸水した前記焙煎麦をほぐし、同焙煎麦を膨らませて表面に割れを生じるまで蒸し、蒸した前記焙煎麦を冷まして30℃以上38℃以下の温度範囲内において種麹を撒布し、種付けを行って同温度範囲内で保温することで麹菌を繁殖させて得られた焙煎麦麹である
    請求項4に記載の麦焼酎の製造方法。
  6. 前記掛け麦が、焙煎麦である
    請求項4に記載の麦焼酎の製造方法。
  7. 前記蒸し工程が、前記吸水した焙煎麦を気密性あるいは準気密性を有する回転ドラム内へ入れ、該回転ドラム内へ高温の水蒸気を供給して同回転ドラム内の温度を99〜101℃に維持し、前記回転ドラムを連続的または間欠的に回転させ、または揺することで内部の同焙煎麦をほぐしながら、同焙煎麦を膨らませて表面に割れが生じるまで40〜60分間蒸すものである
    請求項4または請求項5に記載の麦焼酎の製造方法。
  8. 前記二次仕込み工程に使用する前記焙煎麦麹の蒸し作業が、前記吸水した焙煎麦を気密性あるいは準気密性を有する回転ドラム内へ入れ、該回転ドラム内へ高温の水蒸気を供給して同回転ドラム内の温度を99〜101℃に維持し、前記回転ドラムを連続的または間欠的に回転させ、または揺することで内部の同焙煎麦をほぐしながら、同焙煎麦を膨らませて表面に割れが生じるまで40〜60分間蒸すことにより行われる
    請求項5に記載の麦焼酎の製造方法。
  9. 前記焙煎工程において使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、
    前記原料麦の焙煎が、
    内部温度が130℃〜145℃の範囲内である前記第1の容器と、内部温度が155℃〜175℃の範囲内である前記第2の容器とにより行われ、前記第1の容器と前記第2の容器内に前記原料麦が滞留する時間が各々30秒〜40秒の範囲内である浅煎りであるか、または、
    内部温度が140℃〜157℃の範囲内である前記第1の容器と、内部温度が160℃〜182℃の範囲内である前記第2の容器とにより行われ、前記第1の容器と前記第2の容器内に前記原料麦が滞留する時間が各々30秒〜40秒の範囲内である深煎り、のいずれかである
    請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8に記載の麦焼酎の製造方法。
  10. 前記掛け麦の焙煎に使用される前記容器が、第1の容器と第2の容器から構成され、
    前記掛け麦の焙煎が、
    内部温度が130℃〜145℃の範囲内である前記第1の容器と、内部温度が155℃〜175℃の範囲内である前記第2の容器とにより行われ、前記第1の容器と前記第2の容器内に前記掛け麦となる原料麦が滞留する時間が各々30秒〜40秒の範囲内である浅煎りであるか、または、
    内部温度が140℃〜157℃の範囲内である前記第1の容器と、内部温度が160℃〜182℃の範囲内である前記第2の容器とにより行われ、前記第1の容器と前記第2の容器内に記掛け麦となる原料麦が滞留する時間が各々30秒〜40秒の範囲内である深煎り、のいずれかである
    請求項5、請求項6、請求項7、請求項8または請求項9に記載の麦焼酎の製造方法。
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