JP6096081B2 - 樹脂封止金型、樹脂封止方法、および樹脂封止金型のクリーニング方法 - Google Patents

樹脂封止金型、樹脂封止方法、および樹脂封止金型のクリーニング方法 Download PDF

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本発明は、樹脂封止金型に関し、特に、一方および他方の金型を備え、該一方および他方の金型でワークをクランプして樹脂封止を行う樹脂封止金型、およびこれを用いた樹脂封止方法、並びに、そのクリーニング方法に適用して有効な技術に関する。
樹脂封止金型にワークを配置すると、金型温度で加熱されたワークは、一定温度になるまでに大きく反る。これを軽減するために樹脂封止金型に吸引機構を設けてリードフレームを平らに吸着保持することが一般的に行われる。
特開2006−88692号公報(特許文献1)には、摺動孔に可動ブロックが設けられるクランプブロックの端面に、ワーク(被成形品)を吸引(吸着)する円形孔が設けられた樹脂封止金型が記載されている。また、このクランプブロックに円形孔を設けるかわりに、摺動孔の内側面(内壁面)と可動ブロックの側面(外壁面)との間に隙間を設け、この隙間とエア吸引機構とを連通して、ワークを吸引することが記載されている(特にその明細書段落[0018]参照)。
特開2006−88692号公報
例えば、MAP(Molded Array Packaging)タイプのQFN(Quad For Non-Lead Package)のような製品では、リードフレームの片面が樹脂封止される。この樹脂封止の際にリードフレームの裏面側で樹脂漏れを防止するために、リードフレームの裏面にテープ(例えば、ポリイミドテープ)が貼り付けられて、樹脂封止が行われる。
特許文献1に記載のようなインサートブロック(クランプブロック)の摺動孔の内壁面とキャビティブロック(可動ブロック)の外壁面との間に隙間が設けられた樹脂封止金型を用いて、ワークとしてテープが貼り付けられたリードフレームに対して樹脂封止を行う場合、樹脂封止時に樹脂圧によりテープがその隙間に押し込まれることがある。特に、成形領域に等しい大きさのキャビティブロックの外壁面とインサートブロックの摺動孔の内壁面との隙間からワークを吸引して金型クランプ面に吸着保持させる構造は、吸引動作と樹脂圧によってその隙間にテープが押し込まれ易い。
すなわち、リードフレームからテープが剥離し易くなり、封止樹脂がリードフレームの裏面に漏れ出してブリードが発生してしまう。また、ブリードが発生した場合、これを除去する必要があり、生産性が低下してしまう。そこで、特許文献1に記載のような成形領域の周囲に小さな円形孔が設けられた樹脂封止金型を用いることも考えられる。しかしながら、小さな円形孔を設けて吸着保持させる構造では、吸着能力が不十分となる場合がある。
ところで、小さな円形孔を設けた樹脂封止金型の金型クランプ面を、クリーニングシート(クリーニング樹脂)を用いてクリーニングすると、型閉じして薄く伸ばされたクリーニングシートが部分的に円形孔に入り込んでしまい、クリーニングシートを取り除こうとしても、円形孔に入り込んだ部分がクリーニングシート本体から分離してそのまま残ってしまう場合がある。この場合、その後の工程では金型クランプ面にワークを吸着することが困難となってしまう。また、クリーニングシートが部分的に残った場合、これを除去する必要があり、メンテナンス性(作業性)が低下してしまう。なお、この問題は、ワークを吸着保持させる構造として、小さな円形孔を設けたものに限らず、インサートブロックの摺動孔の内壁面とキャビティブロックの外壁面との隙間を設けたものであっても生じる。
本発明の目的は、ワーク吸着性を確保することのできる樹脂封止金型を提供することにある。また、本発明の他の目的は、金型クランプ面のクリーニングシート残りを防止することのできる樹脂封止金型を提供することにある。また、本発明の他の目的は、樹脂漏れを防止することのできる樹脂封止金型を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一実施形態における樹脂封止金型は、一方および他方の金型を備え、該一方および他方の金型でワークをクランプして樹脂封止を行う樹脂封止金型であって、前記一方の金型は、樹脂封止時に樹脂が充填されるキャビティ凹部を有し、前記他方の金型は、前記ワークが配置される金型クランプ面に開口する複数の溝が設けられた第1金型ブロックと、前記複数の溝内のそれぞれに設けられた複数の第2金型ブロックと、を有し、前記溝の内壁面と前記第2金型ブロックの外壁面との隙間には、前記ワークを吸引する吸引路が設けられ、前記溝から前記金型クランプ面に臨む前記第2金型ブロックの先端が、先細り状に面取りされ、前記隙間は、前記第2金型ブロックの先端側が前記第2金型ブロックの基端側よりも広いことを特徴とする。
これによれば、ワークを吸引するために溝を設けることで、円形孔よりもワークを吸着する面積を大きくすることができ、ワークをより平らに金型クランプ面に吸着保持することができる。また、溝内に第2金型ブロックを設けて、その第2金型ブロックの先端を先細り状に面取りすることで、ワーク吸着性を確保することができる。また、第2金型ブロックの先端が先細り状に面取りされているので、吸引路に進入したクリーニングシートの部分は、先端が細く、根元(基端)が太い形状となるため、容易にクリーニングシート全体を取り除くことができる。
前記樹脂封止金型において、前記第1金型ブロックは、前記キャビティ凹部と対向する成形領域および該成形領域の周囲に非成形領域を有し、該非成形領域に前記溝が開口して設けられていることが好ましい。
これによれば、例えば、ワークとしてテープが貼り付けられたリードフレームを用いたとしても、溝を成形領域(キャビティ凹部)の周囲(非成形領域)に設けているので、吸引動作と樹脂圧により溝内へテープが押し込まれることを防止することができ、樹脂漏れを防止することができる。
また、前記樹脂封止金型において、前記第2金型ブロックの基端には、フランジ部が設けられており、前記フランジ部は、前記第1金型ブロックで押さえ付けて組み付けられていることが好ましい。
これによれば、第2金型ブロックが溝から抜け出るのを防止することができる。
前記樹脂封止金型を用いた樹脂封止方法において、(a)型開きした状態で、テープが貼り付けられた前記ワークを、前記テープ側で前記第1金型ブロックに配置する工程と、(b)前記(a)工程後に、前記ワークを前記溝から吸引し、前記第1金型ブロックに吸着したまま前記一方および他方の金型でクランプする工程と、(c)前記(b)工程の後、前記キャビティ凹部に樹脂を充填し、前記キャビティ凹部内の樹脂を加熱硬化する工程と、を含むことが好ましい。
これによれば、樹脂漏れを防止して、生産性を向上することができ、また、製造歩留まりを向上することができる。
また、前記樹脂封止金型のクリーニング方法において、(a)型開きした前記樹脂封止金型の前記第1金型ブロックにクリーニングシートを配置する工程と、(b)前記(a)工程後に、前記一方および他方の金型で前記クリーニングシートをクランプして溶融した該クリーニングシートを、前記一方および他方の金型間に充填して加熱硬化させる工程と、(c)前記(b)工程後に、型開きして前記クリーニングシートを取り除いて金型クランプ面をクリーニングする工程と、を含むことが好ましい。
これによれば、金型クランプ面のクリーニングシート残りを防止して、メンテナンス性を向上することができる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、ワーク吸着性を確保することのできる樹脂封止金型を提供することができる。
本発明の一実施形態における樹脂封止金型の概略レイアウト図である。 図1のA−A線における概略断面図である。 本発明の一実施形態における溝内ブロックの概略レイアウト図である。 図3のA−A線における概略断面図である。 図3のB−B線における概略断面図である。 本発明の一実施形態における製造工程中の樹脂封止金型の概略断面図である。 図6に続く製造工程中の樹脂封止金型の概略断面図である。 図7に続く製造工程中の樹脂封止金型の概略断面図である。 図8に続く製造工程中の樹脂封止金型の概略断面図である。 図9に続く製造工程中の樹脂封止金型の概略断面図である。
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
まず、本実施形態における樹脂封止金型10を備えた樹脂封止装置100について主に図1および図2を参照して説明する。図1はワークWをクランプした際の金型クランプ面に平行な平面視における樹脂封止金型10の構成部材の位置関係を説明するための概略レイアウト図であり、図2は図1のA−A線における概略断面図である。
樹脂封止装置100は、量産用の場合、図示しない供給部と収納部との間に、少なくとも一つのプレス部(樹脂封止金型10)を備えて構成される。このプレス部では、一対の上型11および下型12を備えた樹脂封止金型10によって、上型11と下型12でワークWをクランプしてトランスファ方式による樹脂封止が行われる。供給部では、ワークW(被成形品)や樹脂(例えば、タブレット状、顆粒状あるいは液状のモールド樹脂)をプレス部のポット13へ供給する準備、処理がされる。収納部では、樹脂封止成形されたワークW(成形品)を収納する準備、処理がされる。供給部、プレス部、収納部間のワークWや樹脂の搬送には、プレス部への搬入を行うローダ(図示せず)と、プレス部からの搬出を行うアンローダ(図示せず)が用いられ、これらは公知の機構で構成される。
ワークWは、基板101(例えば、リードフレームや配線が形成された有機基板)上に、例えば図示しないチップ部品(例えば、CPUなどの半導体チップやチップコンデンサなどのコンポーネント)が搭載されたものである。図1に示すワークWでは、平面視短冊状(長手方向がX方向)の基板101に、チップ部品を樹脂封止する樹脂封止部(キャビティ凹部14で樹脂充填されて形成されるもの。)がX方向に等間隔で並んで複数形成される。
上型11は、樹脂封止時に樹脂が充填される複数(図1、図2では、4個)のキャビティ凹部14(樹脂封止時にキャビティCとなる。)を有している。なお、1つのワークWに対して、1個のキャビティ凹部14(樹脂封止時にキャビティCとなる。)を有する上型11としてもよい。このキャビティ凹部14は、平面視矩形状であって、内壁面(側面)および底面を有して上型11の金型クランプ面で開口している。
また、金型12は、ワークWが配置されるインサート15(第1金型ブロック)を有している。インサート15には、この金型クランプ面に開口する複数の吸着溝16(図1中、破線で示す。)が設けられている。吸着溝16からのエア吸引によってワークWがインサート15の金型クランプ面に吸着されることとなる。
インサート15は、この金型クランプ面においてキャビティ凹部14と対向する複数の成形領域20およびこの周囲に非成形領域を有している。より具体的には、成形領域20は、図1に示す平面視におけるキャビティ凹部14と同じ形状、同じ大きさの領域で、インサート15の金型クランプ面に確保(画定)されたものである。このようにインサート15は、成形領域20とその周囲(非成形領域)とが一体となって金型クランプ面が構成されている。
また、成形領域20の周囲である非成形領域には、吸着溝16が成形領域20に沿って設けられている。より具体的には、図1に示すように、吸着溝16は、一つの成形領域20(キャビティ凹部14)の両側(X方向側)の周辺からそれぞれ所定の間隔を保ちながらY方向に一列に二つずつ延在している。すなわち、一つの成形領域20に対して、その周囲に四つの吸着溝16が設けられることとなる。また、上型11には複数のキャビティ凹部14が設けられるため、隣接する成形領域20の間にも吸着溝16が設けられることとなる。
このようにワークWを吸引するための吸着溝16を設けることで、例えば特許文献1に記載のような円形孔(吸引路)を設けるよりも、ワークWを吸着する面積を大きくして、ワークWに対する吸着性を向上することができる。これにより、金型温度によりワークWに反りが発生しようとしても、吸着力によって反りの発生が抑制されて、ワークWをより平らに金型クランプ面に吸着保持することができる。
ここで、本実施形態では、成形領域20のポット13側(Y方向側)のインサート15の金型クランプ面には、その対向する上型11にランナ・ゲートが設けられるため、吸着溝を設けていない。また、成形領域20のポット13側と反対側(Y方向側)のインサート15の金型クランプ面には、その対向する上型11にエアベントが設けられるため、吸着溝を設けていない。なお、エアベントを設けない場合には、例えば、成形領域20のポット13側と反対側(Y方向側)の周辺から所定の間隔を保ちながらX方向に延びる吸着溝16を更に二つ設けてもよく、この場合、ワークWに対する吸着性をより向上することができる。
下型12は、複数の吸着溝16内のそれぞれに設けられた複数の溝内ブロック17(第2金型ブロック)を有している。この溝内ブロック17の形状および固定構造について図3を参照して説明する。図3は金型クランプ面に平行な平面視における溝内ブロック17の位置関係を説明するための概略レイアウト図であり、図4は図3のA−A線における概略断面図であり、図5は図3のB−B線における概略断面図である。
吸着溝16の内壁面と溝内ブロック17の外壁面との間にワークWをエア吸引する吸引路21を構成する所定間隔の隙間22が形成される(設けられる)ように、薄板状の溝内ブロック17が吸着溝16内に設けられている。この隙間22は、下型12が備えるベース23(金型ブロック)とインサート15との間に設けられた隙間24と連通して吸引路21を構成している。また、隙間24が金型外に設けられた図示しない吸引機構(例えば、真空ポンプ)と連通している。このような構成により、吸引路21を介して吸着溝16からのエア吸引によってワークWがインサート15の金型クランプ面に吸着されることとなる。
この吸着溝16内に設けられた溝内ブロック17は、インサート15の金型クランプ面に臨む先端が先細り状に面取りされている。より具体的には、平面視矩形状の溝内ブロック17の先端(図3参照)では、一部の端面を残してその両側(X方向側)の角が傾斜して切り取られたテーパ面17a、17aが形成されている。この溝内ブロックの先端の一部(端面)は、インサート15にワークWが配置されるとワークWに接する。
このように、吸着溝16内に溝内ブロック17を設ける(挿入する)構成であっても、溝内ブロック17の先端が先細り状に面取りされている(テーパ状となる)ため(図4参照)、隙間22は、Z方向における先端側の間隔が、溝内ブロック17の他の箇所(例えば、中程から基端側)よりも広くなっている。したがって、インサート15の金型クランプ面にワークWを吸着する面積を大きくすることができ、ワークWに対する吸着性を確保することができる。
この溝内ブロック17の先端とは反対の基端側には、中程から先端側の溝幅(図5では、Y方向の幅)より広がる方向にフランジ部17bが延設されている。フランジ部17bは、インサート15によってベース23側へ押し付けられている。より具体的には、ベース23にインサート15をネジ止めして組み付けることで、ベース23とインサート15との間でフランジ部17bが挟まれて、溝内ブロック17が固定して組み付けられる。これによれば、容易に溝内ブロック17が吸着溝16から抜け出るのを防止することができる。なお、溝内ブロック17をベース23へネジ止めして組み付ける構成とすることもできるが、薄板状の溝内ブロック17を組み付ける点でフランジ部17bを設けてインサート15によって押し付ける構成の方が容易である。
次に、本実施形態における樹脂封止金型10(樹脂封止装置100)を用いた樹脂封止方法について主に図6〜図10を参照して説明する。図6〜図10は、製造工程中の樹脂封止金型10の概略断面図である。なお、ワークWとして裏面全体にテープT(例えば、ポリイミドテープ)が貼り付けられたリードフレーム101(基板101)を用いて説明する。
まず、型開きした状態で、テープTが貼り付けられたワークWを、テープT側を下にしてインサート15(下型12)の金型クランプ面上に配置(搬入)する。また、ポット13に樹脂を供給する。次いで、図6に示すように、ワークWを吸着溝16(吸引路21)から吸引して(図6中では、矢印で示している。)テープTを介してインサート15の金型クランプ面に吸着したまま上型11および下型12でクランプ(型閉じ)する。
これによれば、平坦性を確保してワークを非成形領域で金型クランプ面に吸着させることができる。例えば、ワークWに搭載された部材(例えば、半導体チップと電気的に接続されたボンディングワイヤ)と、キャビティ凹部14の内面(例えば底面)とが接触し、製品不良が発生してしまうのを防止することができる。
続いて、ポット13に供給された封止樹脂Rを、ポット13内を摺動するプランジャ(図示せず)によって押圧し、図7に示すように、キャビティC(キャビティ凹部14)に樹脂を充填した後、キャビティC内の封止樹脂Rを加熱硬化する。これにより、ワークWの片面(チップ部品が搭載された面)が樹脂封止される。本実施形態では、吸着溝16内に溝内ブロック17を設けて、その溝内ブロック17の先端を先細り状に面取りしているので、ワークWの吸着性を確保することができる。
ところで、図6、図7に示すように、成形領域20内に金型クランプ面に開口する吸着溝116(あるいは吸着孔)がある場合(図中、破線で示す。)、リードフレーム101の抜き加工(貫通)された部分の下では、テープTが樹脂圧に耐えきれずに剥離し、吸着溝116内にテープTが進入することが考えられる。この場合、剥離したテープTの箇所のリードフレーム101の裏面に封止樹脂Rが漏れて付着してしまう。
そこで、本実施形態では、吸着溝16を成形領域20の周囲(非成形領域)に設けている、すなわち封止樹脂Rが届かない領域に吸着溝16を設けている。例えば、ワークWとしてテープTが貼り付けられたリードフレーム101を用いたとしても、吸引動作や樹脂圧により吸引溝16内へテープTが押し込まれることがないため、樹脂漏れを防止することができ、ブリードの発生を防止することができる。また、樹脂漏れがない場合には、ブリードを除去する作業工程を追加する必要がないため、生産性を向上することができる。
続いて、型開きしてワークWを取り出した後、樹脂封止金型10のクリーニング方法(クリーニング工程)を実施する。具体的には、図8に示すように、インサート15にクリーニングシートS(例えば、母材が未加硫ゴム生地のもの)を配置する。続いて、図9に示すように、上型11および下型12でクリーニングシートSをクランプして、溶融したクリーニングシートSを、上型11および下型12間に充填して加熱硬化させる。続いて、図10に示すように、型開きしてクリーニングシートSを取り除いて金型クランプ面をクリーニングする。
このとき、溝内ブロック17の先端が面取りされているので、クリーニングシートSの一部Saは、吸引路21(吸着溝16)に進入した先端が細く、根元(基端)が太い形状となる。このため、クリーニングシートSが吸着溝16に残留してしまうことがなく、クリーニングシートS全体を容易に取り除くことができる。このように、金型クランプ面の吸着溝16からクリーニングシートSが残留するのを防止して、メンテナンス性を向上することができる。
また、金型クランプ面をクリーニングした後、吸引路21から一部Saを取り除く工程が不要となるため、別のワークWに対してすぐに樹脂封止工程に移ることができ、生産性を向上することができる。なお、樹脂封止金型10のクリーニングは、樹脂封止装置100を立ち上げた後の、最初の樹脂封止の開始前に行うこともできる。
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、上型11にキャビティ凹部14を複数設けた場合について説明した。これに限らず、上型にキャビティ凹部を一つ設けた場合であってもよい。キャビティ凹部が一つの場合、これに対向する成形領域も一つだけ画定され、その周囲に複数の吸着溝および複数の溝内ブロックが設けられることとなる。
また、例えば、前記実施形態では、成形領域20の周囲でY方向に一列に二つ吸引溝16を設けた場合について説明した。これに限らず、例えば、二つの吸引溝16を連通させたような一つの吸引溝を設けたり、三つの吸引溝を設けたりしてもよい。
また、例えば、前記実施形態では、成形領域20の周囲に設ける吸着溝16を、隣接する成形領域20間の二つの吸引溝16を共通として設けた場合について説明した。これに限らず、例えば、隣接する成形領域間であってもそれぞれに二つの吸引溝を設けてもよい。このとき、隣接する成形領域間では2つの吸引溝が二列設けられることとなる。
また、例えば、前記実施形態では、上型11にキャビティ凹部14を設け、下型12にインサート15、吸着溝16および溝内ブロック17を設けた場合について説明した。これに限らず、上下の金型構成を逆にして、下型にキャビティ凹部を設け、上型にインサート、吸着溝および溝内ブロックを設けた場合であってもよい。
また、例えば、前記実施形態では、ワークWとしてテープTが貼り付けられたリードフレーム101を用いた場合について説明したが、ワークとして配線層が形成された有機基板(配線基板)であってもよい。
また、例えば、前記実施形態では、トランスファ方式の樹脂封止金型を例に本発明を説明したが、圧縮成形用の樹脂封止金型において本発明を実施することもできる。
10 樹脂封止金型
11 上型(第1金型)
12 下型(第2金型)
14 キャビティ凹部
15 インサート(第1金型ブロック)
16 吸着溝
17 溝内ブロック(第2金型ブロック)
21 吸引路
22 隙間
W ワーク

Claims (5)

  1. 一方および他方の金型を備え、該一方および他方の金型でワークをクランプして樹脂封止を行う樹脂封止金型であって、
    前記一方の金型は、樹脂封止時に樹脂が充填されるキャビティ凹部を有し、
    前記他方の金型は、前記ワークが配置される金型クランプ面に開口する複数の溝が設けられた第1金型ブロックと、前記複数の溝内のそれぞれに設けられた複数の第2金型ブロックと、を有し、
    前記溝の内壁面と前記第2金型ブロックの外壁面との隙間には、前記ワークを吸引する吸引路が設けられ、
    前記溝から前記金型クランプ面に臨む前記第2金型ブロックの先端が、先細り状に面取りされ
    前記隙間は、前記第2金型ブロックの先端側が前記第2金型ブロックの基端側よりも広いことを特徴とする樹脂封止金型。
  2. 請求項1記載の樹脂封止金型において、
    前記第1金型ブロックは、前記キャビティ凹部と対向する成形領域および該成形領域の周囲に非成形領域を有し、該非成形領域に前記溝が開口して設けられていることを特徴とする樹脂封止金型。
  3. 請求項1または2記載の樹脂封止金型において、
    前記第2金型ブロックの基端には、フランジ部が設けられており、
    前記フランジ部は、前記第1金型ブロックで押さえ付けて組み付けられていることを特徴とする樹脂封止金型。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂封止金型を用いた樹脂封止方法において、
    (a)型開きした状態で、テープが貼り付けられた前記ワークを、前記テープ側で前記第1金型ブロックに配置する工程と、
    (b)前記(a)工程後に、前記ワークを前記溝から吸引し、前記第1金型ブロックに吸着したまま前記一方および他方の金型でクランプする工程と、
    (c)前記(b)工程の後、前記キャビティ凹部に樹脂を充填し、前記キャビティ凹部内の樹脂を加熱硬化する工程と、
    を含むことを特徴とする樹脂封止方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂封止金型のクリーニング方法において、
    (a)型開きした前記樹脂封止金型の前記第1金型ブロックにクリーニングシートを配置する工程と、
    (b)前記(a)工程後に、前記一方および他方の金型で前記クリーニングシートをクランプして溶融した該クリーニングシートを、前記一方および他方の金型間に充填して加熱硬化させる工程と、
    (c)前記(b)工程後に、型開きして前記クリーニングシートを取り除いて金型クランプ面をクリーニングする工程と、
    を含むことを特徴とする樹脂封止金型のクリーニング方法。
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