JP6091629B2 - アスパラギン酸キナーゼiii変異体およびその宿主細胞と応用 - Google Patents

アスパラギン酸キナーゼiii変異体およびその宿主細胞と応用 Download PDF

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Description

本発明は、生物技術分野に関する。具体的に、本発明は、アスパラギン酸キナーゼIII(AK IIIと略され、LysCとも呼ばれる)の変異体およびその応用に関する。
L-リシンは、人類と動物の栄養に最も重要な必須アミノ酸で、食品産業、養殖業および飼料産業では非常に重要な地位を占めている。近年、その市場需要が着実に増加し、世界市場の売上はすでに百万トンの規模を突破した。現在、リシンは、主に微生物発酵法によって生産されている。
多くの微生物におけるL-リシンの合成経路は、アスパラギン酸を前駆体とし、メチオニンやトレオニンなどのアミノ酸と共有する2つの工程を含む。大腸菌では、L-リシンの生物合成経路は、9つの工程の酵素触媒過程によるものである(下述式に示す)。中では、アスパラギン酸キナーゼの触媒によるリシンの生物合成の第一の反応は、リシン生産の律速段階で、その活力によって代謝流束がL-リシン合成経路に入る比率が決まる。大腸菌には、3つのアスパラギン酸キナーゼがあり、それぞれアスパラギン酸キナーゼI(AK I、thrA遺伝子によってコードされる)、アスパラギン酸キナーゼII(AK II、metL遺伝子によってコードされる)、アスパラギン酸キナーゼIII(AK III、lysC遺伝子によってコードされ、コード遺伝子のヌクレオチド配列は配列番号1に、アミノ酸配列は配列番号2に示す)と名付けられている。
AK I及びAK IIは、二元機能酵素で、どちらもさらにホモセリンデヒドロゲナーゼの活性を有する。AK Iは酵素活性レベルでトレオニン及びリシンによるフィードバック阻害を受け、AK IIIは酵素活性レベルで最終産物であるリシンによるフィードバック阻害を受ける(Bearer CF, Neet KE;Stadtman, E.R., Cohen, G.N., LeBras, G., Robichon-Szulmajster, H. (1961). "Feed-back Inhibition and Repression of Aspartokinase Activity in Escherichia coli and Saccharomyces cerevisiae." J. Biol. Chem.)。AK IIは酵素活性レベルでアスパラギン酸ファミリーのアミノ酸によるフィードバック阻害を受けないが、転写レベルで厳密に制御される(X Dong, PJ Quinn, X Wang. ( 2011). “Metabolic engineering of Escherichia coli and Corynebacterium glutamicum for the production of L-threonine.” Biotechnology advances)。
現在、大腸菌は、数社の企業によってリシンの工業化生産のために改造されている。アスパラギン酸キナーゼの活性がリシンによって厳密に制御されるため、リシンのアスパラギン酸キナーゼに対するフィードバック阻害を解除するのは、リシン高生産菌株の発展上で避けられない道である。デュポン社は、ランダム変異のスクリーニングによって2種類のフィードバック阻害を解除したAK III変異体を獲得し、それぞれ352番目のトレオニンがイソロイシンで置換されたもの(T352I)と318番目のメチオニンがイソロイシンで置換されたもの(M318I)である(EP1394257)。日本の味の素社も、リシンによるフィードバック阻害を部分的に解除したAK III変異体を獲得した(US005661012、US2010190216、US2010173368)。
また、アスパラギン酸キナーゼは、L-リシン、L-トレオニン及びL-メチオニンの合成経路に共有される酵素であるため、例えば、中国特許CN 1071378Cでは、フィードバック阻害を解除したアスパラギン酸キナーゼ及びそのキナーゼとそのキナーゼを含む宿主でL-トレオニンを生産する方法が公開された。高い比活性を有し、且つL-リシンによるフィードバック阻害を有効に解除したアスパラギン酸キナーゼが獲得できれば、L-リシン、L-トレオニン及びメチオニン、さらにL-イソロイシンやバリンを含むL-トレオニンを前駆体として合成されるほかの代謝物のいずれの生産にも重要な意味がある。
そのため、上述のように、本分野では、高い酵素活性を有し、且つL-リシンによるフィードバック阻害を有効に解除したアスパラギン酸キナーゼ変異体が切望されている。
本発明の目的は、高い酵素活性を有し、且つL-リシンによるフィードバック阻害を解除したAK III変異体およびこのような変異体の応用と使用方法を提供する。
第一の面では、本発明は、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がアスパラギン酸ではないアスパラギン酸キナーゼを提供する。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、エスケリキア属由来のもので、好ましくは大腸菌由来のものである。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、
a.配列番号2で示されるアミノ酸配列を有し、且つ340番目のアミノ酸残基がアスパラギン酸ではなく、或いは
b.a)で限定された配列が1個又は複数個のアミノ酸残基、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を経てなる配列を有し、且つ基本的にa)で限定されたアスパラギン酸キナーゼの機能を有する、a)から誘導されたアスパラギン酸キナーゼである。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Ala、Arg、Lys、Gln、Asn、Val、Ile、Leu、Met及びPheから選ばれる少なくとも一種である。
より好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Arg又はValから選ばれる。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、
a.アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるもので、或いは
b.(a)で限定された配列が1個又は複数個のアミノ酸残基、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を経てなる配列を含み、且つ基本的にaで限定されたアスパラギン酸キナーゼの機能を有する、aから誘導されたアスパラギン酸キナーゼである。
より好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、 アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるものである。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、リシンによるフィードバック阻害が解除されている。
もう一つの好適な実施形態において、濃度10 mMのL-リシンの存在下で、前述のアスパラギン酸キナーゼは、少なくとも20%以上の活性、好ましくは、30%〜40%以上の活性、より好ましくは、50%〜60%以上の活性、より好ましくは、70%〜80%以上の活性、最も好ましくは、90%以上の活性が残っている。
より好適な実施形態において、濃度20 mMのL-リシンの存在下で、前述のアスパラギン酸キナーゼは、少なくとも20%以上の活性、好ましくは、30%〜40%以上の活性、より好ましくは、50%〜60%以上の活性、より好ましくは、70%以上の活性、最も好ましくは、80%以上の活性が残っている。
さらに好適な実施形態において、濃度100 mMのL-リシンの存在下で、前述のアスパラギン酸キナーゼは、少なくとも20%以上の活性、好ましくは、30%〜40%以上の活性、より好ましくは、50%〜60%以上の活性、より好ましくは、70%以上の活性、最も好ましくは、80%以上の活性が残っている。
第二の面では、本発明は、本発明の第一の面に記載のアスパラギン酸キナーゼをコードする遺伝子を提供する。
好適な実施形態において、前記遺伝子は、ヌクレオチド配列が配列番号3、5又は7で示されるものである。
第三の面では、本発明は、本発明の第二の面に記載のコード遺伝子を含むベクターを提供する。
第四の面では、本発明は、本発明の第二の面に記載のコード遺伝子を含む宿主細胞を提供する。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Ala、Arg、Lys、Gln、Asn、Val、Ile、Leu、Met及びPheから選ばれる少なくとも一種である。
より好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Arg又はValから選ばれる。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、
a.アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるもので、或いは
b.aで限定された配列が1個又は複数個のアミノ酸残基、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を経てなる配列を含み、且つ基本的にaで限定されたアスパラギン酸キナーゼの機能を有する、aから誘導されたアスパラギン酸キナーゼである。
もう一つの好適な実施形態において、前記遺伝子は、ヌクレオチド配列が配列番号3、5又は7で示されるものである。
好適な実施形態において、前記宿主細胞は、エスケリキア属(Escherichia)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium sp.)、バシラス属(Bacillus)、セラチア属(Serratia)又はビブリオ属(Vibrio)由来のものである。
より好適な実施形態において、前記宿主細胞は、大腸菌(E. coli)又はコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)である。
好適な実施形態において、前記宿主細胞は、染色体に本発明の第二の面に記載のコード遺伝子が組み込まれており、或いは本発明の第三の面に記載のベクターを含む。
好適な実施形態において、前記宿主細胞は、本発明のアスパラギン酸キナーゼを発現する。
もう一つの好適な実施形態において、前記宿主細胞では、以下の遺伝子から選ばれる1つ又は複数が弱化され、或いは発現を下げられる。
a.アルコール脱水素酵素をコードするadhE遺伝子、
b.酢酸キナーゼをコードするackA遺伝子、
c.リン酸アセチルトランスフェラーゼをコードするpta遺伝子、
d.乳酸脱水素酵素をコードするldhA遺伝子、
e.ギ酸輸送タンパク質をコードするfocA遺伝子、
f.ピルビン酸ギ酸リアーゼをコードするpflB遺伝子、
g.ピルビン酸オキシダーゼをコードするpoxB遺伝子、
h.アスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼIの二元機能酵素をコードするthrA遺伝子、
i.ホモセリンキナーゼをコードするthrB遺伝子、
j.リシン脱炭酸酵素をコードするldcC遺伝子、及び
h.リシン脱炭酸酵素をコードするcadA遺伝子。
もう一つの好適な実施形態において、前記宿主細胞では、以下の遺伝子から選ばれる1つ又は複数が増強され、或いは過剰発現される。
a.リシンによるフィードバック阻害が解除されたジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードするdapA遺伝子、
b.ジヒドロジピコリン酸レダクターゼをコードするdapB遺伝子、
c.ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼをコードするddh遺伝子、
d.テトラヒドロジピコリン酸スクシニラーゼをコードするdapD遺伝子およびスクシニルジアミノピメリン酸デアシラーゼをコードするdapE遺伝子、
e.アスパラギン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするasd遺伝子、
f.ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードするppc遺伝子、又は
g.ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードするpntAB遺伝子。
第五の面では、本発明は、L-アミノ酸の生産における本発明の第四の面に記載の宿主細胞の使用を提供する。
第六の面では、本発明は、L-アミノ酸を製造する方法であって、
a.請求項4に記載の宿主細胞を培養し、L-アミノ酸を生産させる工程と、
b.培養液からL-アミノ酸を分離する工程と、
を含む方法を提供する。
好適な実施形態において、前記方法は、30〜45℃、より好ましくは37℃で実施される。
第七の面では、本発明は、L-アミノ酸の生産における本発明の第一の面に記載のアスパラギン酸キナーゼの使用を提供する。
本発明の第六の面および第七の面の好適な実施形態において、前記のL-アミノ酸は、L-リシン、L-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン又はL-バリンである。
第八の面では、本発明は、L-リシン、L-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン又はL-バリンを製造する方法であって、
a.本発明の第一の面に記載のアスパラギン酸キナーゼ(EC 2.7.2.4)を使用し、L-アスパラギン酸からL-リシン、L-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン又はL-バリンを生成する過程における以下の反応を触媒し、L-リシン、L-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン又はL-バリンを得る工程と、
b.以上の反応系からL-リシン、L-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン又はL-バリンを分離する工程と、
を含む方法を提供する。
第九の面では、本発明は、本発明の第一の面に記載のアスパラギン酸キナーゼを製造する方法であって、
a.コードされるアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がアスパラギン酸ではないものに変異するように、配列番号2で示されるアミノ酸配列のコード配列を改造する工程と、
b.aで得られたコード配列を適切な宿主細胞に直接トランスフェクトし、或いはベクターによって適切な宿主細胞に導入する工程と、
c.bで得られた宿主細胞を培養する工程と、
d.工程cで得られた培養系から前記宿主細胞が生成したアスパラギン酸キナーゼを分離する工程と、
e.前記アスパラギン酸キナーゼのリシンによるフィードバック阻害を解除する能力を測定する工程と、
を含む方法を提供する。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Ala、Arg、Lys、Gln、Asn、Val、Ile、Leu、Met及びPheから選ばれる少なくとも一種である。
より好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Arg又はValから選ばれる。
本発明の第十の面では、本発明は、リシンによるフィードバック阻害が解除されるように野生型アスパラギン酸キナーゼを改造する方法であって、
a.野生型アスパラギン酸キナーゼのアミノ酸配列を配列番号2で示されるアミノ酸配列と比較する工程と、
b.コードされるアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がアスパラギン酸ではないものに変異するように、前記野生型アスパラギン酸キナーゼのコード配列を改造する工程と、
c.bで得られたコード配列を適切な宿主細胞に直接トランスフェクトし、或いはベクターによって適切な宿主細胞に導入する工程と、
d.cで得られた宿主細胞を培養する工程と、
e.工程dで得られた培養系から前記宿主細胞が生成したアスパラギン酸キナーゼを分離する工程と、
f.前記アスパラギン酸キナーゼのリシンによるフィードバック阻害を解除する能力を測定する工程と、
を含む方法を提供する。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Ala、Arg、Lys、Gln、Asn、Val、Ile、Leu、Met及びPheから選ばれる少なくとも一種である。
より好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Arg又はValから選ばれる。
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上述の各技術特徴および下述(例えば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、又は好ましい技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここでは逐一説明しない。
図1は、本発明のAK III変異体と野生型AK IIIの粗製酵素液の相対酵素活性を比較するものである。 図2は、6-Hisタグを含有する本発明のアスパラギン酸キナーゼ(D340R)及びI418T、F413A、G401K、Y420Aの変異体と野生型AK IIIの純酵素の相対酵素活性を示すものである。
具体的な実施形態
発明者は、幅広く且つ深く検討したところ、意外に、大腸菌由来のアスパラギン酸キナーゼIIIの340番目に対して遺伝的改造を行うと、得られたアスパラギン酸キナーゼIII変異体は、優れた酵素活性を有するだけでなく、L-リシンによるフィードバック阻害が有効に解除されたため、効率的なL-リシンの生産に使用できることを見出した。これに基づき、本発明を完成させた。
本発明のアスパラギン酸キナーゼ
ここで用いられる用語「本発明のアスパラギン酸キナーゼ」と「本発明のポリペプチド」は、入れ替えて使用することができ、且つ本分野の一般技術者に理解される通常の意味を持つ。本発明のアスパラギン酸キナーゼは、リン酸基をアスパラギン酸に移転させる活性を有する。
具体的な実施形態において、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がアスパラギン酸ではない。
好適な実施形態において、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Ala、Arg、Lys、Gln、Asn、Val、Ile、Leu、Met及びPheから選ばれる少なくとも一種である。
好適な実施形態において、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるものである。
好適な実施形態において、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、
(a)アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるもので、或いは
(b)(a)で限定された配列が1個又は複数個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を経てなる配列を含み、且つ基本的に(a)で限定されたアスパラギン酸キナーゼの機能を有する、(a)から誘導されたアスパラギン酸キナーゼである。
具体的な実施形態において、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、濃度10 mM以上のL-リシンの存在下で、好ましくは濃度20 mM、より好ましくは100 mM以上のL-リシンの存在下で、リシンによるフィードバック阻害を有効に解除する。
本分野の一般技術者に周知のように、ポリペプチドの一部の領域、例えば重要でない領域で少数のアミノ酸残基を変えても生物活性が変わらず、例えば、適切にあるアミノ酸を置換した配列ではその活性が影響されない(Watsonら,Molecular Biology of The Gene,第四版,1987,The Benjamin/Cummings Pub. Co. P224を参照する)。そのため、本分野の一般技術者は、得られた分子が必要な生物活性を維持することを保証しながら、このような置換を行うことができる。
そのため、本発明のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がアスパラギン酸ではないという前提で、さらに変異させ、しかも本発明のアスパラギン酸キナーゼの機能と活性を維持することができる。例えば、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、(a)アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるもので、或いは(b)(a)で限定された配列が1個又は複数個のアミノ酸残基、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を経てなる配列を含み、且つ基本的に(a)で限定されたポリペプチドの機能を有する、(a)から誘導されたポリペプチドである。
本発明において、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるアスパラギン酸キナーゼと比較すると、20個以下、好ましくは10個以下、さらに好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、最も好ましくは1個のアミノ酸が類似または近い性質を持つアミノ酸に置換されてなる変異体を含む。これらの保存的変異は、例えば下表に示されるようにアミノ酸の置換を行って生成することができる。
さらに、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでもよく、さらに付加のコード及び/又は非コード配列を含むポリヌクレオチドでもよい。
そのため、ここで用いられる「含有する」、「有する」又は「含む」は、「含める」、「主に…で構成される」、「基本的に…で構成される」及び「…で構成される」を含む。「主に…で構成される」、「基本的に…で構成される」及び「…で構成される」は、「含有する」、「有する」又は「含む」の下位概念に該当する。
配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基
本分野の一般技術者に周知のように、あるタンパク質のアミノ酸配列において一部のアミノ酸残基に対して様々な突然変異、例えば置換、挿入または欠失をさせながら、得られる変異体が元のタンパク質の機能や活性を維持するようにすることができる。よって、本分野の一般技術者は、本発明で具体的に公開されたアミノ酸配列に対してある程度の変更を行うことができ、必要な活性を維持した変異体が得られ、そうすると、配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目のアミノ酸残基に該当するアミノ酸残基が、当該変異体において340番目ではない可能性があるが、このように得られる変異体も本発明の保護範囲に含まれる。
ここで用いられる用語「該当する」は、本分野の一般技術者に理解される通常の意味を持つ。具体的に、「該当する」とは、2つの配列に対し、相同性または配列同一性のアラインメントを行い、一方の配列のもう一方の配列における所定の位置に該当する位置である。そのため、「配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目のアミノ酸残基に該当するアミノ酸残基」の場合、配列番号2で示されるアミノ酸配列の一方の末端に6-Hisタグを付加すると、得られる変異体における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するのが346番目になり得る。また、配列番号2で示されるアミノ酸配列における少数のアミノ酸残基を削除すると、得られる変異体における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するのが338番目などになり得る。さらに、例えば、400個のアミノ酸残基を有する配列が配列番号2で示されるアミノ酸配列の20〜420番目と高い相同性または配列同一性を有すると、得られる変異体における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するのが320番目になり得る。
具体的な実施形態において、前記相同性または配列同一性は、80%以上でもよいが、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%〜98%、最も好ましくは99%以上である。
本分野の一般技術者に周知の配列の相同性または同一性の測定方法は、分子計算生物学(Computational Molecular Biology),Lesk,A.M.編集,オクスフォード大学出版社,ニューヨーク,1988、バイオコンピューティング:情報科学および ゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects),Smith,D.W.編集,アカデミック・プレス,ニューヨーク,1993、配列データのコンピューター分析(Computer Analysis of Sequence Data),第I部,Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.編集,Humana Press,ニュージャージー,1994、分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology),von Heinje,G.,アカデミック・プレス,1987および配列分析プライマー(Sequence Analysis Primer),Gribskov,M.及びDevereux,J.編集M Stockton Press,ニューヨーク,1991およびCarillo,H.及びLipman,D.,SIAM J. Applied Math.,48:1073(1988)を含むが、これらに限定されない。
同一性測定の好適な方法は、測定される配列の間で最大のマッチを得るものである。同一性の測定方法は、公衆に得られるコンピュータープログラムに組み込まれている。2つの配列の間の同一性の測定に好適なコンピュータープログラムは、GCGプログラムパック (Devereux,J.ら,1984)、BLASTP、BLASTNやFASTA(Altschul,S,F.ら,1990)を含むが、これらに限定されない。公衆は、NCBIやほかのリソースからBLASTXプログラム(BLASTマニュアル,Altschul,S.ら,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894、Altschul,S.ら,1990)を得ることができる。よく知られるSmith Waterman法も同一性の測定に使用することができる。
宿主細胞
ここで用いられる用語「宿主細胞」は、本分野の一般技術者に理解される通常の意味を持ち、即ち、本発明のアスパラギン酸キナーゼを生成することができる宿主細胞である。言い換えれば、本発明は、本発明のアスパラギン酸キナーゼが宿主細胞において発現されれば、任意の宿主細胞を使用することができる。
例えば、具体的な実施例において、本発明で使用されるのは、外因性の本発明のアスパラギン酸キナーゼをコードする遺伝子を含む宿主細胞で、好ましくはAK欠損型大腸菌株である。しかし、本分野の一般技術者には、本発明は、外因性コード遺伝子を含む宿主細胞に限定されないことがわかる。例えば、本発明の宿主細胞に含まれるアスパラギン酸キナーゼのコード遺伝子は、組み換えベクターやプラスミドだけでなく、ゲノムに前記酵素のコード遺伝子が組み込まれてもよく、即ち、ゲノムに組み込まれたコード遺伝子は、プラスミドの導入によって相同組み換えを行って得てもよく、ゲノムにおける相応の部位を部位特異的に突然変異させて得てもよい。
具体的な実施形態において、本発明の宿主細胞は、効率的にL-アミノ酸を生成し、且つL-リシンによるフィードバック阻害に抵抗する能力を有する。
具体的な実施形態において、本発明の宿主細胞は、L-リシン、L-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン又はL-バリンを生成することができる。
具体的な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Ala、Arg、Lys、Gln、Asn、Val、Ile、Leu、Met及びPheから選ばれる少なくとも一種である。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、そのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がPro、Arg又はValから選ばれる。
好適な実施形態において、前記アスパラギン酸キナーゼは、
(a)アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるもので、或いは
(b)(a)で限定された配列が1個又は複数個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を経てなる配列を含み、且つ基本的に(a)で限定されたアスパラギン酸キナーゼの機能を有する、(a)から誘導されたアスパラギン酸キナーゼである。
好適な実施形態において、前記遺伝子は、ヌクレオチド配列が配列番号3、5又は7で示されるものである。
好適な実施形態において、前記の宿主細胞は、エスケリキア属(Escherichia)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium sp.)、バシラス属(Bacillus)、セラチア属(Serratia)又はビブリオ属(Vibrio)由来のものである。
好適な実施形態において、前記の宿主細胞は、大腸菌(E. coli)又はコリネ バクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)である。
好適な実施形態において、前記宿主細胞では、以下の遺伝子から選ばれる1つ又は複数が弱化され、或いは発現を下げられる。
a.アルコール脱水素酵素をコードするadhE遺伝子、
b.酢酸キナーゼをコードするackA遺伝子、
c.リン酸アセチルトランスフェラーゼをコードするpta遺伝子、
d.乳酸脱水素酵素をコードするldhA遺伝子、
e.ギ酸輸送タンパク質をコードするfocA遺伝子、
f.ピルビン酸ギ酸リアーゼをコードするpflB遺伝子、
g.ピルビン酸オキシダーゼをコードするpoxB遺伝子、
h.アスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼIの二元機能酵素をコードするthrA遺伝子、
I.ホモセリンキナーゼをコードするthrB遺伝子、
j.リシン脱炭酸酵素をコードするldcC遺伝子、及び
h.リシン脱炭酸酵素をコードするcadA遺伝子。
また、本分野の一般技術者には、L-リシンの生産にとって、細胞の特定の生物合成経路、解糖、アナプレロティック代謝における一種または複数種の酵素の増強または過剰発現が有益であることがわかる。そのため、一部の実施形態において、本発明に係る遺伝子以外に、同時に他の関連遺伝子を増強または過剰発現させることができ、例えば、以下から選ばれる1つまたは複数の遺伝子が増強または過剰発現される。
a.リシンによるフィードバック阻害が解除されたジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードするdapA遺伝子(EP1477564)、
b.ジヒドロジピコリン酸レダクターゼをコードするdapB遺伝子(EP1253195)、
c.ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼをコードするddh遺伝子(EP1253195)、
d.テトラヒドロジピコリン酸スクシニラーゼをコードするdapD遺伝子およびスクシニルジアミノピメリン酸デアシラーゼをコードするdapE遺伝子(EP1253195)、
e.アスパラギン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするasd遺伝子(EP1253195)、
f.ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードするppc遺伝子(EP1253195)、又は
g.ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードするpntAB遺伝子(EP1253195)。
また、実験の便宜上、本発明は、自身のアスパラギン酸キナーゼを不活性させた変異菌株を使用して本発明のアスパラギン酸キナーゼ変異体の酵素活性およびリシンによるフィードバック阻害を解除する能力を測定する。しかし、本分野の一般技術者には、対照を設ける前提で、自身のアスパラギン酸キナーゼを不活性させていない天然菌株も本発明のアスパラギン酸キナーゼ変異体の酵素活性およびリシンによるフィードバック阻害を解除する能力の測定に使用することができる。
本発明のポリペプチド又は本発明の宿主細胞の応用
本発明のポリペプチドは、アスパラギン酸キナーゼとしてL-アスパラギン酸からL-リシンを合成する過程における以下の反応を触媒し、L-リシンを得ることができる。
また、本分野の一般技術者には、アスパラギン酸キナーゼは、L-リシン、L-トレオニン及びL-メチオニン並びにL-トレオニンからL-イソロイシン及びL-バリンの合成における共通の合成経路で使用される酵素であることが既知である。そのため、本分野の一般技術者は、本発明の開示を既存技術と合わせれば、本発明のポリペプチド又は宿主細胞がL-リシンの生産だけでなく、L-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン及びL-バリンの生産にも使用できることが容易にわかる。
さらに、本分野の一般技術者は、本発明のアスパラギン酸キナーゼによって高レベルで生成する中間体である4-ホスホ-L-アスパラギン酸を分離し、例えばL-トレオニン、L-メチオニン、L-イソロイシン又はL-バリンなどの各下流産物の生産に使用することもできることが容易にわかる。
具体的な実施形態において、本発明の宿主細胞は、30〜45℃、好ましくは37℃でL-リシンを生成する。
リシンによるフィードバック阻害の解除
本分野の技術者には、ここで用いられる用語「リシンによるフィードバック阻害の解除」とは、リシンによるフィードバック阻害を受けていた酵素が、改造を経てそのリシンによる阻害の程度が低下することであることがわかる。この低下は、2種類の酵素を同じリシン濃度における阻害の程度で比較することによって得られるものである。「リシンによるフィードバック阻害の解除」は、フィードバック阻害の部分解除から全解除を含む。また、阻害の程度とは、所定濃度のリシンの存在下で、リシンが存在しない場合と比較し、アスパラギン酸キナーゼの酵素活性が失われる(即ち、阻害される)比率である。このような条件において、アスパラギン酸キナーゼの酵素活性の残った比率を、酵素活性残存比率または酵素活性保留比率または相対酵素活性と呼ぶ。
酵素活性損失比率 + 酵素活性残存比率 = 100%
以上の関係があるため、通常、酵素活性残存比率で阻害の程度を表す。酵素活性残存比率が高くなるほど、阻害の程度が低くなる。相応に、「リシンによるフィードバック阻害の解除」も、通常、改造前後の2つの酵素の酵素活性残存比率の比較で表す。
具体的な実施形態において、10 mMのL-リシンの存在下で、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、少なくとも20%以上の活性が残り、野生型アスパラギン酸キナーゼに比べ、リシンによるフィードバック阻害が解除されたが、好ましくは、30%〜40%以上の活性、より好ましくは、50%〜60%以上の活性、より好ましくは、70%〜80%以上の活性、より好ましくは、90%以上の活性が残っている。
好適な実施形態において、濃度20 mMのL-リシンの存在下で、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、少なくとも20%以上の活性が残り、野生型アスパラギン酸キナーゼに比べ、リシンによるフィードバック阻害が解除されたが、好ましくは、30%〜40%以上の活性、より好ましくは、50%〜60%以上の活性、より好ましくは、70%以上の活性、より好ましくは、80%以上の活性が残っている。
好適な実施形態において、本発明のアスパラギン酸キナーゼは、濃度100 mMのL-リシンの存在下で、少なくとも20%以上の活性が残り、野生型アスパラギン酸キナーゼに比べ、リシンによるフィードバック阻害が解除されたが、好ましくは、30%〜40%以上の活性、より好ましくは、50%〜60%以上の活性、より好ましくは、70%以上の活性、より好ましくは、80%以上の活性が残っている。
増強/弱化
本発明において、用語「増強」とは、微生物のDNAによってコードされる一種または複数種の酵素の細胞内活性の増加で、コード遺伝子のコピー数の増加、転写または翻訳の強度の増強、或いは高い活性を有する酵素をコードする遺伝子または対立遺伝子への変更およびこれらの方法の任意の組み合わせによるものを含むが、これらに限定されない。
本発明において、用語「弱化」とは、微生物のDNAによってコードされる一種または複数種の酵素あるいはタンパク質の細胞内活性の低下または消失で、一部または全部のコード遺伝子の削除、遺伝子の読み枠のフレームシフト変異、転写または翻訳の強度の弱化、或いは比較的低い活性を有する0の酵素またはタンパク質をコードする遺伝子または対立遺伝子への変更およびこれらの方法の任意の組み合わせによるものを含むが、これらに限定されない。
固定化酵素
ここで用いられる用語「固定化酵素」は、本分野の一般技術者に理解される通常の意味を持つ。具体的に、この用語は、水溶性酵素を物理的または化学的方法で処理した後、酵素と水不溶性大分子担体と結合させるか、酵素をその中に埋め込み、酵素が水不溶性ゲルまたは半透過膜のマイクロカプセル中に存在するようにし、流動性を低下させることを表す。
固定化された酵素は、酵素活性を維持し、触媒反応において固相の状態で基質に作用する。酵素が固定化されると、通常、安定性が増加し、反応系から分離しやすく、且つ制御が容易で、繰り返して使用することができる。輸送と保管に便利で、自動化生産に有利である。固定化酵素は、最近十数年で発展してきた酵素の応用技術で、工業生産、化学分析および医薬などの面で期待できる応用の将来性がある。
本分野の一般技術者には、本明細書の開示に基づき、本発明のアスパラギン酸キナーゼを固定化酵素とし、アスパラギン酸からL-リシンへの反応を触媒し、効率的にL-リシンを生成し、且つリシンによるフィードバック阻害を有効に解除することは容易である。
本発明の応用と利点
1.本発明によって提供される各アスパラギン酸キナーゼ、そのコード遺伝子および前記コード遺伝子を含む宿主細胞は、工業に応用し、L-リシンや他のアミノ酸を生産することができる。
2.本発明によって提供される各アスパラギン酸キナーゼは、高い比活性を有し、且つL-リシンによるフィードバック阻害を有効に解除したアスパラギン酸キナーゼである。そのため、本発明の各アスパラギン酸キナーゼ、そのコード遺伝子および前記コード遺伝子を含む宿主細胞は、L-リシンを効率的に生成することができるだけでなく、リシンによるフィードバック阻害を有効に解除し、工業における応用の将来性がある。
3.本発明によって提供される各アスパラギン酸キナーゼおよびこれらのコード遺伝子は、L-リシンの生物合成経路およびフィードバック阻害の関連機序の解明と理解に有利で、関連タンパク質または宿主細胞の遺伝子工学の手段によるさらなる改造に理論の基礎と材料を提供する。
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するためだけに用いられるもので、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。下述の実施例で具体的な条件が示されていない実験方法は、通常、例えばSambrookら、「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル」(ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版社、1989) に記載の条件などの通常の条件に、或いは、製造者に指示された条件に従う。
実施例1.AK III変異体の獲得
1.AK III野生型遺伝子のクローニング
E.coli MG1655(ATCC 700926から得られたもの、Blattner FRら, The complete genome sequence of Escherichia coli K-12. Science 277:1453-62 (1997)参照)をLB培地(トリプトン10 g/L、酵母粉末5 g/L、塩化ナトリウム10 g/L、pH 7.0)で、37℃、200 rpmで12〜16 h培養した後、細胞を收集し、Biomigaゲノム抽出キットでゲノムDNAを抽出した。大腸菌のゲノムを鋳型とし、3サイクルのPCRで野生型lysC遺伝子の前に構成的プロモーター及び適切なSD配列を付加し、且つ断片の両末端に適切な制限酵素切断部位を加えたものを得た。
具体的な操作は、以下の通りである。
第一サイクルのPCR:CTAGCACTAGTGAAAGAGGAGAAATACTAGATGTCTGAAATTGTTGTCTCCAAAT (配列番号9)及びTTACTCAAACAAATTACTATGCAGTTTTTG (配列番号10)をプライマーとし、E.coli MG1655のゲノムDNAからlysC遺伝子(野生型lysCをコードする遺伝子、そのアミノ酸配列は配列番号2で、そのヌクレオチド配列は配列番号1である。)を増幅した。さらに、第一サイクルのPCR産物を鋳型とし、TTGACGGCTAGCTCAGTCCTAGGTACAGTGCTAGCACTAGTGAAAGAGGAGAAATACTAG (配列番号11)及びTTACTCAAACAAATTACTATGCAGTTTTTG (配列番号10)をプライマーとして第二サイクルのPCRを行った。さらに、第二サイクルのPCR産物を鋳型とし、GCGTCTAGATTGACGGCTAGCTCAGTCCTAG (配列番号12)及びGGCGAGCTCTTACTCAAACAAATTACTATGCAGTTTTTG (配列番号13)をプライマーとして第三サイクルのPCRを行い、最後にXbaI及びSacIの制限酵素切断部位がついたDNA断片が得られた。XbaI及びSacIを用いて、最後に得られたDNA断片をpWSK29プラスミドにクローニングし、得られたプラスミドをpWSK29-lysCと名付けた。
2.AK IIIの部位特異的突然変異
StratageneシリーズのQuikChange(登録商標)XL-II部位特異的突然変異キットを使用し、プライマーD340P-F/D340P-R(表1に示す)でプラスミドpWSK29-lysCに突然変異部位を導入し、得られたプラスミドをPCR産物として回収し、PCR系中の酵素および緩衝液中の塩イオンを除去した後、Dpn1で1 h酵素切断を行ってメチル化された鋳型プラスミドDNAを除去し、処理されたプラスミドを感受性細胞Tran10(北京全式金生物技術有限公司から購入)に導入し、得られた正確な突然変異プラスミドをpSLL1と名づけ、持っているlysC変異体のヌクレオチド配列を配列番号3に、翻訳されるヌクレオチド配列を配列番号4に示す。
さらに、プライマーD340V-F/D340V-R(表1に示す)でプラスミドpWSK29-lysCに突然変異部位を導入し、得られたプラスミドをPCR産物として回収し、PCR系中の酵素および緩衝液中の塩イオンを除去した後、Dpn1で1 h酵素切断を行ってメチル化された鋳型プラスミドDNAを除去し、処理されたプラスミドを感受性細胞Tran10に導入し、得られた正確な突然変異プラスミドをpSLL2と名づけ、持っているlysC変異体のヌクレオチド配列を配列番号5に、翻訳されるヌクレオチド配列を配列番号6に示す。
最後に、プライマーD340R-F/D340R-R(表1に示す)でプラスミドpWSK29-lysCに突然変異部位を導入し、得られたプラスミドをPCR産物として回収し、PCR系中の酵素および緩衝液中の塩イオンを除去した後、Dpn1で1 h酵素切断を行ってメチル化された鋳型プラスミドDNAを除去し、処理されたプラスミドを感受性細胞Tran10に導入し、得られた正確な突然変異プラスミドをpSLL3と名づけ、持っているlysC変異体のヌクレオチド配列を配列番号7に、翻訳されるヌクレオチド配列を配列番号8に示す。
実施例2.AK III変異体の体外効果の測定
1.AK IIIの発現
以上で構築した野生型プラスミドpWSK29-lysCと変異体プラスミドpSLL1、pSLL2及びpSLL3をそれぞれE.coli GT3(Theze, J., Margarita, D., Cohen, G. N., Borne, F.,and Patte, J. C., Mapping of the structural genes of the three aspartokinases and of the two homoserine dehydrogenases of Escherichia coli K-12. J. Bacteriol., 117, 133-143 (1974)参照;US005661012Aもまた参照)菌株に電気的に形質転換し、順に得られた菌株をそれぞれE.coliGT3(pWSK29-lysC)、E.coliGT3(pSLL1)、E.coliGT3(pSLL2)及びE.coliGT3(pSLL3)と名づけ、その構成的発現を実現させた。
2.AK IIIの酵素活性の測定
E.coliGT3(pWSK29-lysC)、E.coliGT3(pSLL1)、E.coliGT3(pSLL2)及びE.coliGT3(pSLL3)菌株をそれぞれLB培地で、37℃で一晩培養し、さらに2%になるように50 mlのLB培地を入れた500 ml三角フラスコにそれぞれ接種し、50 mg/Lのアンピシリンを追加し、37℃、200 rpmでOD600が約0.6になるまで培養した。培養した菌体を収集し、20 mMのTris-HCl (pH 7.5)緩衝液で1回洗浄し、さらに3 mlの20 mMのTris-HCl (pH 7.5)緩衝液に再懸濁させ、200 Wの超音波で10 min破砕し(3秒の間隔で毎回1秒超音波)、さらに13000 rpmで30 min遠心し、上清を取って粗製酵素液とした。
酵素活性測定:1 mlの反応液に200 mM Tris-HCl (pH 7.5)、10 mM MgSO4・6H2O、10 mM L-アスパラギン酸、10 mM ATP、160 mM ヒドロキシアミン塩酸塩および適量の粗製酵素液と所望の濃度のL-リシンを含ませ、37℃で20 min反応させ、1 mlの5% (w/v) FeCl3を入れて酵素活性をなくし、200 μlを取ってマイクロプレートリーダーでOD540を測定した (Black and Wright, 1954)。
結果は、図1に示されるように、野生型のAK IIIは1 mMのリシンの場合約80%の酵素活性が、10 mMのリシンの場合約40%の酵素活性だけが残り、酵素活性がリシンによるフィードバック阻害を受けたことが示された。一方、3つの変異体の酵素活性は、100 mMの残存酵素活性が100%と高く、340番のアミノ酸の突然変異により酵素活性へのリシンによるフィードバック阻害が有効に解除されたことが示された。
実施例3.野生型と変異型のAK IIIのL-Lys生産能力
以上で構築した野生型プラスミドpWSK29-lysCと変異体プラスミドと変異体プラスミドpSLL1、pSLL2、及びpSLL3をそれぞれSCEcL3 (実験室で構築した大腸菌突然変異株、E.ColiMG1655ΔadhEΔackAΔptaΔldhAΔfocAΔpflBΔpoxBΔthrABΔlcdC)菌株 (文献Kaemwich Jantama, Xueli Zhang, J.C. Moore, K.T. Shanmugam,S.A. Svoronos,L.O. Ingram Eliminating side products and increasing succinate yields in engineered strains of Escherichia coli C. Biotechnology and Bioengineering, Vol. 101, No. 5, December 1, 2008参照、E.coliMG1655を出発菌株とし、red組み換え技術で順にadhE、ackA、pta、ldhA、focA、pflB、poxB、thrA、thrB及びlcdCの10個の遺伝子のコード配列をノックアウトして得られた突然変異株)に電気的に形質転換し、得られた菌株をそれぞれSCEcL3 (pWSK29-lysC)、SCEcL3 (pSLL1)、SCEcL3 (pSLL2)及びSCEcL3 (pSLL3)と名づけ、リシンを生産する発酵に使用した。
発酵培地は、以下のとおり:ブドウ糖40 g/L、硫酸アンモニウム10 g/L、リン酸0.6 mL/L、塩化カリウム0.8 g/L、ベタイン0.4 g/L、硫酸マグネシウム1.2 g/L、硫酸マンガン0.03 g/L、硫酸第一鉄0.03 g/L、コーンスティープリカー有機窒素0.4 g/L、5%消泡剤0.5 mL/L、トレオニン0.2 g/L。匯和堂のpH制御可能な高スループットシェーカーで発酵させ、500 mlの三角フラスコに100 mLの発酵培地を入れ、50 μg/mLのアンピシリンを追加し、2 mLのLBで一晩培養した菌液を接種し、希釈したアンモニア水でpH 6.8に制御し、37℃、200 rpmで20 h発酵させた。
野生型AK IIIと変異型を過剰発現するSCEcL3菌株でのリシン生産量を表2に示し、野生型AK IIIと変異型を過剰発現するものの生長と糖消耗の状況は基本的に一致したが、20時間で糖がほとんど消耗された時、変異型AK IIIを過剰発現するものは0.28〜0.54g/Lのリシンを生産する一方、野生型AK IIIを過剰発現するものはほとんどリシンを生産せず、変異型は野生型菌株よりも生産量が顕著に向上した。
実施例4.リシンを含有しない場合の野生型と変異型のAK IIIの比酵素活性
実施例2の実験方法を参照し、BCAタンパク質定量分析キット(バイオ・ラッド社から購入、製品番号:23227)で粗製酵素液の全タンパク質を定量し、リシンを含有しない場合の野生型と変異型のAK IIIの比酵素活性の測定結果を表3に示す。
結果から、340番のアスパラギン酸がプロリンに変異した変異型AK III(340P)の絶対酵素活性は、低下するどころか、少し上昇したが、一方、340番のアスパラギン酸がバリン(340V)又はアルギニン(340R)に変異した変異型AK III(340P)の絶対酵素活性は、野生型AK IIIに対して少し低下したことがわかった。しかし、実施例2及び3の結果を合わせると、発明者は、意外に、340V、340R及び340Pがリシンによるフィードバック阻害を解除する優れた能力を有することを見出した。産物リシンの存在下で、340V又は340Rの相対酵素活性は340Pと似ていた。
実施例5.6-Hisタグで標識された本発明のポリペプチド
lysCの野生型遺伝子、D340R点変異を有するlysC遺伝子およびI418T点変異を有するlysC遺伝子を、Nde1及びXho1の制限酵素切断部位でプラスミドpET21a+(NOVAGEN社から購入)にクローニングし、得られたプラスミドを大腸菌E.coli BL21(DE3)に電気的に形質転換して導入することによってC末端に6-Hisタグ標識がついたLysCタンパク質の発現を実現させた。タンパク質の精製は、His SpinTrap columns(GE社から購入、製品番号28-4013-53)を使用し、具体的な方法は製品説明書を参照し、精製したタンパク質に対して実施例2で示された方法で酵素活性を測定し、本実施例の酵素活性はいずれも精製した酵素で測定されたものであるため、前述実施例の粗製酵素の測定に比べてある程度の差があったが、現れた効果が一致した。
本実施例の実験結果から、本発明のポリペプチドの任意の一方の側に少数のアミノ酸残基を付加したさらに変異したポリペプチドも、本発明のポリペプチドと同様または類似の機能と活性を有することが証明された。
実施例6.二重突然変異で得られたAK IIIのフィードバック阻害の解除
前述実施例の方法を使用し、下述のプライマー(表4)を用い、発明者はさらに野生型AK IIIの413番、401番、418番および420番を突然変異させ、且つ得られた変異体の相対酵素活性を測定したところ、野生型AK IIIの413番、401番の2つの変異体がリシンによるフィードバック阻害を解除せず、野生型AK IIIの418番、420番の2つの変異体のリシンによるフィードバック阻害を解除する能力は野生型AK IIIの340番変異体よりも弱いことがわかった(図2)。
発明者は、野生型AK IIIの340番目の変異に、さらに413番、401番を突然変異させ、且つ得られた変異体の相対酵素活性を測定したところ、得られた二重突然変異AK III変異体、例えばF413AやG401Kのリシンによるフィードバック阻害に対する抵抗が、本発明のアスパラギン酸キナーゼに似ていることを見出した。
以上のように、本実施例の実験結果から、340位はアスパラギン酸キナーゼのリシンによるフィードバック阻害を解除する能力に非常に重要で、本発明のアスパラギン酸キナーゼに基づいてさらに突然変異させたポリペプチドも本発明のアスパラギン酸キナーゼと同様または類似の機能と活性を有することが証明された。
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。

Claims (19)

  1. 配列番号2で示されるアミノ酸配列と99%以上の配列同一性を有し、且つそのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基が、アスパラギン酸ではないアスパラギン酸キナーゼであって、該アスパラギン酸キナーゼが、リシンによるフィードバック阻害を解除する機能を有し、または、
    配列番号2で示されるアミノ酸配列の任意の一方の端に1〜20個のアミノ酸残基を付加してなる配列を含み、且つそのアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基が、アスパラギン酸ではないアスパラギン酸キナーゼであって、該アスパラギン酸キナーゼが、リシンによるフィードバック阻害を解除する機能を有することを特徴とする、前記アスパラギン酸キナーゼ。
  2. 配列番号2で示されるアミノ酸配列であって、該アミノ酸配列の340番目のアミノ酸残基がアスパラギン酸ではない、前記アミノ酸配列を有する、請求項1に記載のアスパラギン酸キナーゼ。
  3. 請求項1に記載のアスパラギン酸キナーゼであって、該アスパラギン酸キナーゼのアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基が、Pro、Ala、Arg、Lys、Gln、Asn、Val、Ile、Leu、Met及びPheから選ばれる少なくとも一種である、前記アスパラギン酸キナーゼ。
  4. 請求項3に記載のアスパラギン酸キナーゼであって、該アスパラギン酸キナーゼのアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基が、Pro、ArgまたはValである、前記アスパラギン酸キナーゼ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のアスパラギン酸キナーゼであって、該アスパラギン酸キナーゼが、
    (a)アミノ酸配列が配列番号4、6又は8で示されるものであるか、或いは
    (b)(a)で限定された配列が1〜3個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を経てなる配列を含み、且つ(a)で限定されたアスパラギン酸キナーゼの機能を有する、(a)から誘導されたものである、
    前記アスパラギン酸キナーゼ。
  6. アミノ酸配列が、配列番号4、6又は8で示されるものである、請求項1〜のいずれか一項に記載のアスパラギン酸キナーゼ。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のアスパラギン酸キナーゼをコードする遺伝子。
  8. 請求項に記載のコード遺伝子を含むベクター。
  9. 請求項に記載のコード遺伝子を含むことを特徴とする宿主細胞。
  10. エスケリキア属(Escherichia)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium sp.)、バシラス属(Bacillus)、セラチア属(Serratia)又はビブリオ属(Vibrio)由来のものである、請求項に記載の宿主細胞。
  11. 大腸菌(E. coli)またはコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)である、請求項10に記載の宿主細胞。
  12. 染色体に請求項に記載のコード遺伝子が組み込まれているか、或いは請求項に記載のベクターを含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  13. 以下の遺伝子から選ばれる1つ又は複数が弱化されている、請求項9〜12のいずれか一項に記載の宿主細胞:
    a.アルコール脱水素酵素をコードするadhE遺伝子、
    b.酢酸キナーゼをコードするackA遺伝子、
    c.リン酸アセチルトランスフェラーゼをコードするpta遺伝子、
    d.乳酸脱水素酵素をコードするldhA遺伝子、
    e.ギ酸輸送タンパク質をコードするfocA遺伝子、
    f.ピルビン酸ギ酸リアーゼをコードするpflB遺伝子、
    g.ピルビン酸オキシダーゼをコードするpoxB遺伝子、
    h.アスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼIの二元機能酵素をコードするthrA遺伝子、
    i.ホモセリンキナーゼをコードするthrB遺伝子、
    j.リシン脱炭酸酵素をコードするldcC遺伝子、及び
    k.リシン脱炭酸酵素をコードするcadA遺伝子。
  14. 以下の遺伝子から選ばれる1つ又は複数が増強されている、請求項9〜13のいずれか一項に記載の宿主細胞
    a.リシンによるフィードバック阻害が解除されたジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードするdapA遺伝子、
    b.ジヒドロジピコリン酸レダクターゼをコードするdapB遺伝子、
    c.ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼをコードするddh遺伝子、
    d.テトラヒドロジピコリン酸スクシニラーゼをコードするdapD遺伝子およびスクシニルジアミノピメリン酸デアシラーゼをコードするdapE遺伝子、
    e.アスパラギン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするasd遺伝子、
    f.ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードするppc遺伝子、又は
    g.ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードするpntAB遺伝子。
  15. L−アミノ酸を製造する方法であって、
    a.請求項9〜14のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、L−アミノ酸を生産させる工程と、
    b.培養液からL−アミノ酸を分離する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  16. 前記L−アミノ酸が、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、L−イソロイシン又はL−バリンであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、L−イソロイシン又はL−バリンを製造する方法であって、
    a.請求項1に記載のアスパラギン酸キナーゼを使用し、L−アスパラギン酸からL−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、L−イソロイシン又はL−バリンを生成する過程における以下の反応を触媒し、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、L−イソロイシン又はL−バリンを得る工程と、
    b.以上の反応系からL−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、L−イソロイシン又はL−バリンを分離する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  18. 請求項1に記載のアスパラギン酸キナーゼを製造する方法であって、
    a.コードされるアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基がアスパラギン酸ではないものに変異するように、配列番号2で示されるアミノ酸配列のコード配列を改造する工程と、
    b.aで得られたコード配列を、直接染色体に組み込むことによって、或いはベクターによって適切な宿主細胞に導入する工程と、
    c.bで得られた宿主細胞を培養する工程と、
    d.工程cで得られた培養系から前記宿主細胞が生成したアスパラギン酸キナーゼを分離する工程と、
    e.前記アスパラギン酸キナーゼのリシンによるフィードバック阻害を解除する能力を測定する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  19. リシンによるフィードバック阻害が解除されるように野生型アスパラギン酸キナーゼを改造する方法であって、
    a.野生型アスパラギン酸キナーゼのアミノ酸配列を配列番号2で示されるアミノ酸配列と比較する工程と、
    b.コードされるアミノ酸配列における配列番号2で示されるアミノ酸配列の340番目に該当するアミノ酸残基をアスパラギン酸ではないものに変異するように、前記野生型アスパラギン酸キナーゼのコード配列を改造する工程と、
    c.bで得られたコード配列を、直接染色体に組み込むことによって、或いはベクターによって適切な宿主細胞に導入する工程と、
    d.cで得られた宿主細胞を培養する工程と、
    e.工程dで得られた培養系から前述宿主細胞が生成したアスパラギン酸キナーゼを分離する工程と、
    f.前記アスパラギン酸キナーゼのリシンによるフィードバック阻害を解除する能力を測定する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
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