JP6086417B2 - 低カリウム食品、その製造方法、及び製造キット - Google Patents

低カリウム食品、その製造方法、及び製造キット Download PDF

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Description

食品の風味や食感を損なうことなくカリウムを除去する方法及び低カリウム食品に関する。
日本透析医学会の調査によれば、わが国の慢性透析患者は2011年に30万人を超え、毎年5千人程度増加しており、2013年末には31万4千人を超えている。
腎臓は、老廃物の排泄、水分、電解質の調節を行い、体内環境を一定に保っている。腎臓の機能が低下し、体内の恒常性が維持できなくなると、いわゆる尿毒症と呼ばれる多様な症状が全身に出現する。
腎機能が廃絶している患者には日常的に透析を行う維持透析療法を行い、体内の老廃物や過剰な水分を除去する。透析患者は食生活において種々の成分に気を付ける必要があるが、とりわけ高カリウム血症の原因となるカリウム量を一定に制限する必要がある。高カリウム血症は、致死性の不整脈や心停止をきたすことがあるため、カリウム制限の食事指導が透析治療導入初期から、継続して行われる必要がある。一日に摂取可能なカリウム量は病期によっても異なるが、1500〜2000mg以下に制限する必要がある。
極度の高カリウム血症は、致死性の不整脈や心停止をきたすことがあるため、カリウム制限は透析導入早期より行われ、日常的に予防することが推奨されている。
野菜や果物は、食品の中でもカリウムが多く含まれており、カリウム制限を受けている患者は、カリウムが多く含まれている野菜や果物の摂取を制限されている場合が多い。また、調理方法によっては、カリウム量を低減することができることから、一定の調理を行うことが勧められている。そのため、カリウム制限を受けている患者の食生活は限られたものになることが多く、制限された食生活にストレスを感じることもあり、QOL(Quality of Life)の点で問題になることがある。
カリウム制限を行う場合には、カリウムは水に流出しやすいことから、小さく切って水にさらしたり、茹でこぼすなどの調理方法によって、カリウムを除去するのが一般的である。
上記の一般的な調理方法に加え、食品からカリウムを除去する方法としては、水耕栽培等、培養液により栽培する方法が知られている(特許文献1、2)。特許文献1には、水耕栽培によって低カリウムホウレンソウを栽培する技術が開示されている。特許文献2には、水耕、又はパーライト耕により作物を栽培する方法により、低カリウム作物を得たことが開示されている。水耕栽培、パーライト栽培どちらを用いても40%強のカリウムをメロン等から除去できることが示されている。
また、食酢等、酸を添加することにより食品からカリウムを除去する方法が知られている(非特許文献1、2)。非特許文献1には、食品を0.5%又は1%の酢酸、マロン酸等の有機酸に浸漬することにより、カリウムを除去することが記載されている。非特許文献2には、1%食酢水(酢酸濃度0.042%)に浸漬することにより、カリウムを除去する方法が記載されている。
酸によりカリウムを除去する方法は、低タンパク質、低カリウム、低リンのカルシウム強化米飯の製造方法として応用されている(特許文献3)。特許文献3には、米を酸性液に浸漬し、アルカリ性のカルシウム化合物で中和し水洗水切り後、米を蒸煮し、得られた蒸米にカルシウムを吸収せしめた後、再度蒸煮して米飯とする方法が開示されている。
特許文献3の実施例によれば、実施例1では、カリウムは20.2mg(乾物100g中の重量、五訂増補日本食品成分表のカリウム値に対し、22.9%)に減少し、カルシウムは148.6mg(乾物100g中の重量、食品成分表のカルシウム値に対し、当量比2970%)に増加し、実施例2では、カリウム20.3mg(同23.1%)、カルシウム48.0mg(同960%)、実施例3では1.9mg(同2.2%)、カルシウム47.6mg(同950%)となっている。
また、積極的なカリウム除去を目的としているものではないが、マグネシウム、ナトリウムを富化し、ミネラル組成を改質した食品素材が開示されている(特許文献4、5)。文献4には豆類や麦類の、文献5にはコメのミネラル組成を改質したことが記載されている。マグネシウム、ナトリウムを富化するのに伴って、カリウムが減少することが記載されている。
また、大豆から製造した豆乳、膨化食品のような加工食品(特許文献6、7)、加圧処理、凍結融解処理等を行った果物の加工品(特許文献8)、低カリウムジュース(特許文献9)など加工食品とすることによって、低カリウム化し、カリウム制限を行っている腎臓病患者に食品を提供することも試みられている。
特開2008−61587号公報 特開2014−161256号公報 特開平7−170923号公報 特開2004−097075号公報 特開2004−033115号公報 特開昭63−148952号公報 特開昭64−030558号公報 特開2007−105000号公報 特表2003−511052号公報
中野典子・宇野良子、椙山学園大学研究論集、2001年、第32号(自然科学篇)、p.41−51 内藤初枝、静岡県立大学短期大学部研究紀要、1996年、第10号、p.285−292 多田ひろみ 他、栄養と食糧、1972年、Vol.25、No.2、p.83−88 浜島 教子、調理科学、1975年、Vol.8、No.3、p.132−136
現在一般的に行われている調理の際にカリウムを除去する方法、具体的には茹でこぼす、水にさらすなどの方法は、カリウム除去の点からは有効である。しかしながら、野菜や果物を生食できない、また、長時間茹でてから茹でこぼす必要があり、カリウムとともに風味や食感が損なわれるという問題がある。また、水にさらしてカリウムを除去する方法では、長時間水にさらす必要があり、茹でこぼす場合と同様に味や香りなど、風味が損なわれるという問題があった。
また、特許文献1に代表されるように、水耕栽培で低カリウム野菜として栽培できる野菜は栽培期間の短い葉物野菜、例えば、リーフレタスやほうれん草等の作物に限られる。
また、特許文献2は、「野菜又は果物の栽培方法」の発明であるが、作物としてメロン及び苺を想定している。パーライトは作物の根を埋めるために用いており、水耕であってもパーライト耕であっても、どちらも培養液からの養分のみによって作物が生育する。したがって、水耕栽培、パーライト栽培によらず、培養液によって栽培可能な作物に限定される。したがって、栽培可能な作物は限られた品種のものとなる。
特許文献1及び2に開示されている技術は、どちらも培養液で栽培可能な作物に限り適用できる。そのため、短期間に栽培可能な作物に限られ、にんじん、ごぼうなどの根菜類や、葉物野菜でもキャベツや玉レタス(結球レタス)などの結球性葉菜類は収穫までに期間と費用を要するために栽培されていない。
非特許文献1、2に開示されているように、調理の際に食用に用いられている有機酸や食酢に浸漬することによりカリウムを除去する方法では、生食可能な野菜を提供することができる。しかしながら、非特許文献1に記載されているように、カリウム除去のために0.5%酢酸等、高濃度の酸で長時間処理すると、カリウムが除去されるが、色、におい、食味が損なわれる。実際に本発明者らが確認したところ、酸味が強く、本来の味が損なわれていた。また、非特許文献2の低濃度の酸による短時間処理では、食品の味は損なわれないもののカリウムの除去量がわずかにとどまることから、さほど有効なカリウム除去方法とはいえない。
また、特許文献3に記載の発明は、米からカリウム等を除去することに特化した発明である。そのため、水耕栽培による低カリウム化の難しい根菜類や、かぼちゃなどの野菜や果物にこの方法を応用することは難しい。すなわち、これら農産物を水酸化カルシウムにより中和を行うと固くなり、食感を著しく損ねるという問題が生じる。また、ブロック状に切った野菜の場合には、中和のためのカルシウムが表面に局在し、強い苦味を感じるという問題があった。
特許文献4、及び5に記載の発明は、カリウム除去を目的としていないため、食品中のカリウム残存率が高く、腎臓病の患者が食するのには適さなかった。特に、豆類はカリウム含有量が高い食品であることから、マグネシウム等の富化に伴って減少する程度のカリウム量では、腎臓病患者にとっては十分にカリウムを除去したとは言えなかった。
特許文献6〜9に記載の発明は、加工食品として低カリウム化を実現したものである。そのため、食品中のカリウムは十分除去されているものの腎臓病患者が自分の好みに合うように調理することができなかった。腎臓病患者は長期の食事制限によるストレスが大きく、また、調理を行う患者の家族にとっても、患者と同じ献立で食事をしたいという希望があり、加工食品の形態ではなく、素材として提供される低カリウム食品が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために、すでに様々な食品からカリウムを除去する方法を開発している。本発明者らは、食品から電気的にカリウムを除去することによって、食品の食感は保持しながらカリウムを除去する方法を開発した。しかしながら、この方法によればカリウムを十分に除去できるものの、カリウムを除去する際に食品のpHが低下し酸味を帯びる場合があるという問題があった。また、濃度の高い酸で処理することによっても十分にカリウムが除去できるものの酸味が強く元の食品の味とは大きく異なっていた。
本発明は、様々な食品から適切な方法でカリウムを除去した後、カリウム除去により食品が酸性にかたより、酸味を帯びるという問題を解決し、低カリウムでありながら、風味、食感を損なわない食品を提供することにある。
本発明の収穫後の農産物からカリウムを除去する低カリウム食品の製造方法は、食品からカリウムを除去する工程と、前記食品から除去したカリウム量を算出する工程と、除去したカリウムに対して、当量比0.15〜1.25のナトリウム、又はナトリウム及びカ ルシウムを補い中和することを特徴とする。
食品から除去したカリウム量はカリウムイオンメーター等で測定し、その総量を算出することが可能である。除去したカリウム量に対し、当量比0.15〜1.25のナトリウ ム、又はナトリウム及びカルシウムを食品に補うように中和することで、カリウム除去処理に伴い発生した酸味を中和することができる。また、除去したカリウム量に対し、当量比0.4〜0.9のナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを食品に補うように中和 することがより好ましい。当量比0.4〜0.9のナトリウム、又はナトリウム及びカル シウムを食品に補うように中和することにより、官能試験の結果だけではなく、発酵もカリウム除去を行っていないものと同等に生じる。したがって、より元の食品に近い状態に戻っているものと考えられる。
味覚として感じる酸味は、酸の化学構造によることが知られている(非特許文献3)。また、酸味、塩味、甘味、苦味といった基本的四味は相互に影響を及ぼすことも知られている(非特許文献4)。そのため、食品によっては、すでに含まれている酸の構造や塩味等、他の食味により当量比0.15のナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを食品に補っただけでは、酸味を感じることがある。その場合でも当量比0.4以上のナトリウ ム、又はナトリウム及びカルシウムを添加することにより、食品本来の味に回復する。また、当量比0.7までのナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを食品に補うように 中和するのであれば、どのような食品であっても加えたナトリウムによる塩味、カルシウムによる苦味を感じることがない。
本発明者らは、食品からカリウム除去する処理を行った後に、除去したカリウムの量よりも少ない当量比0.15以上のナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを添加することによって、酸味を感じない程度に味が回復し、食品の味、香り等の風味、食感等はそのままにカリウムが除去された低カリウム食品が得られることを明らかにした。また、過剰のナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを添加すると、塩味などの異味を感じることから、当量比1.25を超えて加えることは望ましくない。また、食品によっては、ナトリウム単独で味の回復を行った場合に異味を感じない場合もあるが、下記のように過剰な食塩摂取につながることから、異味を感じない場合でも当量比1.25を超えて加えることは望ましくない。
ナトリウムの増加は腎臓病患者にとっても避けたほうが望ましい。したがって、ナトリウムを使用してpHを回復する場合には、できるだけ少ない量のナトリウムで味を回復することが好ましい。本発明者らは、食品から50%のカリウムを除去した場合、除去量に対して当量比0.6相当のナトリウムを添加することで味を回復可能であることを明らかにした。この程度のナトリウム量の増加は、後の調味で減らすことが容易にできることから、あまり気にする必要はない。
慢性腎臓病患者の1日の食塩摂取量は6g以下、カリウムは1500mg以下に制限する必要があると言われている。例えば、100gの西洋かぼちゃ(カリウム含有量450mg/100g)から50%のカリウム、すなわち225mgのカリウム(5.75meq)を除去した場合、相当当量のナトリウムは132mgとなる。これは、食塩換算では0.34gに相当する。実際には当量比0.6相当のナトリウム量で味の回復が可能であるから、0.2gの食塩を味付けの際に減らせばよい。この程度の減塩は調理の際の配慮で十分に減らすことが可能な量である。
さらに、本発明では、カルシウム単独、カルシウムとナトリウムとの併用でも味が回復することを明らかにした。したがって、食品中のナトリウムをほとんど増加させることなく、pHの回復を図り、食味を元に戻すこともできる。
本発明の低カリウム食品の製造方法は、前記食品からカリウムを除去する工程が電場をかけてカリウムを除去する工程又は酸浸漬によりカリウムを除去する工程であることを特徴とする。
一定の条件下で電場をかけることによって、食感を損なわずに食品中のカリウムは除去することができる。また、酢酸等の酸に浸漬することによっても、効果的にカリウムを除去することができる。
電気的にカリウムを除去した場合であっても、酸処理によってカリウムを除去した場合であっても、食品から除去されたカリウム量は、カリウムメーターを用いて溶出したカリウム量を測定することによって簡単に求めることができる。
本発明の低カリウム食品の製造方法は、前記食品からカリウムを除去する工程が酸浸漬によりカリウムを除去する工程であり、前記酸が塩酸、硫酸等の鉱酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸等の有機酸から選択される少なくとも1つ以上の酸であることを特徴とする。
酸に浸漬することによりカリウムを除去する場合には、食品加工に用いられる酸であればどのようなものを用いてもよい。具体的には酢酸、塩酸、硫酸、マロン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸が入手も容易であり、また、カリウム除去効果が高いことから好ましい。
さらに、本発明の低カリウム食品の製造方法は、前記食品からカリウムを除去する工程が0.5〜2.0%酢酸に浸漬することを特徴とする。
上記で挙げた酸の中でも酢酸は、様々な食品でカリウム除去効果が高く、また、安価であることから好ましい。酢酸を用いる場合には、食品にもよるが0.5〜2.0%の濃度で使用することにより、比較的短時間でカリウムを除去することができる。
2.0%を超える濃度の酢酸を用いてもカリウム除去率が高くなることはなく、2%の酢酸とほぼ同程度の効果しか得られなかった。さらに、2%を超える濃度の酸を用いてカリウム除去を行った場合、中和する際にナトリウムを過剰に添加しても酸味が残るとともに、添加したナトリウムにより塩味も感じられるようになる。したがって、2%以下の酸で処理することが好ましい。
また、0.5%未満の濃度の酸を用いた場合には、処理時間が長くかかるため、カリウムとともに風味や香りといった他の食味成分を多く溶出してしまい、食品の味が水っぽくなるという弊害がある。したがって、処理に用いる酢酸の濃度は0.5〜2.0%が好ましい。
本発明の収穫後の農産物からカリウムを除去することによって得られる低カリウム食品は、カリウム値が食品成分表に示される前記食品のカリウム値の70%以下であるとともに、前記食品中のナトリウム値とカルシウム値の各当量の和が、食品成分表に示される前記食品の成分値として記載されているナトリウム値とカルシウム値から算出される当量の和の250%以上であることを特徴とする。
農産物の成分値は、その産地、収穫時期、また、品種の違い等によって左右され、決して一定ではない。しかしながら、たとえ、収穫後の農産物のカリウム値が標準とされる値よりも非常に高い場合であっても、食品成分表に示される成分値の70%以下の値までは、容易にカリウムを除去することができる。ここで、食品成分表とは、日本の場合は、五訂増補日本食品成分表、又は日本食品標準成分表2015年版(七訂)を指す。食品成分表は、国ごとに各国の食生活、農産物等に応じ、測定された平均的な値がまとめられている。いずれの場合においても、標準的な値である各国の成分表の値を基準として、70%以下までカリウムを除去することができる。
本発明者らが検討したところ、通常は五訂増補日本食品成分表に示される成分値の20〜30%程度まで、味や食感を損なうことなくカリウム除去を行うことが可能である。食品からカリウムを除去する場合には、腎臓への負担を考えると五訂増補日本食品成分表に示される成分値の少なくとも50%程度まで除去することが好ましい。
また、カリウム除去後、ナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムによって、食味を元にもどすことから、ナトリウム値とカルシウム値の量は、五訂増補日本食品成分表に示される成分値よりも高い値となる。
カリウム値、ナトリウム値とカルシウム値の量によって、本発明の製造方法によって処理された収穫後の農産物は区別することが可能である。
さらに、本発明の収穫後の農産物からカリウムを除去することによって得られる低カリウム食品は、前記カリウム値が食品成分表に示される前記食品のカリウム値の50%以下であることを特徴とする。
腎臓病患者にとって、摂取カリウム量はできるだけ抑えることが望ましい。食品成分表のカリウム値の50%以下、より好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下とすることが腎臓への負担を減らすことから望ましい。野菜の種類によってもカリウム値は様々であり、さらに野菜によってカリウム除去のしやすさも異なっている。しかし、50%程度に抑制すれば、患者の腎臓への負担が抑制できることから、50%以下にカリウム値を減じた野菜を提供することが望ましい。
本発明の収穫後の農産物からカリウムを除去し低カリウム食品を得るためのキットは、酢酸、塩酸、硫酸、マロン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸から選択される少なくとも1つ以上の酸と、除去したカリウムに対して、当量比0.15〜1.25の ナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを補うように中和するためのナトリウム塩、 又はナトリウム塩及びカルシウム塩を含むことを特徴とする。
低カリウム食品は、酸を用いることによって簡単に製造することができる。キットにはカリウムを除去する酸と、ナトリウム塩、又はナトリウム塩及びカルシウム塩が含まれていればよい。
本発明の低カリウム食品を得るためのキットは、前記酸が0.5〜2.0%酢酸であり、添加するアルカリが炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムのいずれか1つ以上であることを特徴とする。
カリウムを除去するためには、0.5〜2.0%酢酸が、様々な食品からカリウムを効率的に除去することができ、また、入手しやすいことから好ましい。さらに、酸を中和するアルカリとしては、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムが、入手しやすく、また、比較的食品に浸透しやすいことから好ましい。
本発明の低カリウム食品を得るためのキットは、食品から除去されたカリウムを測定する測定器を備えることを特徴とする。
食品から除去されたカリウム量を測定する測定器を備えることによって、より正確に除去されたカリウム量を把握することができるとともに、味を元に戻すために必要なナトリ ウム、又はナトリウム及びカルシウム量も正確に把握することができる。
酸によりカリウムを除去する装置を示す図。 通電によりカリウムを除去する装置を示す図。
本発明において、農産物とは主として栽培作物として栽培される作物であって、五訂増補日本食品標準成分表、または日本食品標準成分表2015年版(七訂)の分類によれば、穀類、いも類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類をいう。
特に、水耕栽培によって栽培することが難しい、穀類、いも類、豆類、また野菜類のうちでも根菜類、結球性葉菜類、培養液によって栽培することのできないりんご等の果実類は、本発明の方法であれば風味を損なわずに低カリウム食品とすることができるため、様々な食品を提供するうえで非常に有効である。
特に、本発明の低カリウム食品の製造方法は、じゃがいも、さつまいもなどのいも類、ニンジン、大根、ごぼうなどの根菜類、かぼちゃなど、ブロック状に大きく切って調理する野菜や、カリウムの多い豆類など、従来の方法では低カリウム食品として提供できなかった食品を提供するうえで、非常に有用な方法である。
かぼちゃ、大根など大きく切って調理することが多い食品は茹でたり、煮たりという調理の間でもカリウムが抜ける率が低く、薄く切ったうえで、調理時間を長くしてカリウムの除去を図るなど、いろいろな工夫を行っていた。これら大きくブロック状に切って使用することの多い野菜を低カリウム野菜として提供することができれば、変化にとんだ献立を組むことが可能となる。本発明では薄く切った野菜からはもちろん高率にカリウム除去を図ることができるが、大きく切った野菜であっても低カリウム食品として提供できる点で非常に有効である。
本発明で、「低カリウム食品」とは、収穫後の農産物からカリウムを除去した食品であって、調味をする前の食品をいう。具体的には、カリウム除去工程の前後に、下茹でした状態、さらにこれらを冷凍した状態などの食品、あるいはこれらを中和によって食味を元に戻した段階の調味前の素材の段階をいう。また、ジュース、豆乳などの液状の加工食品、カリウム除去後に粉末にした加工食品などは、従来技術によって十分に低カリウムとすることができるため、本発明の「低カリウム食品」からは除かれる。
また、農産物は加熱して食するものも多い。農産物によっては加熱後の方が添加したナトリウム、カルシウムが浸透しやすいため、短時間で中和処理が完了する場合もある。したがって、カリウム除去後、ナトリウム、カルシウム化合物による中和は加熱と同時に行ってもよい。本発明の低カリウム食品とは、生あるいは加熱された後に食品として提供される際にカリウム量が減少している食品をいう。
カリウムを除去した農産物を下茹でなどにより加熱した低カリウム食品として供する場合には、下茹での際にわずかな食塩を添加する場合もある。下茹で、あるいは調理によって加えた食塩中のナトリウムと、中和のために用いられたナトリウムの区別は塩素濃度の増加を基に、例えば以下のようにして解析することができる。
まず、調味済みの低カリウム野菜を含む食品については、一般的にNaClを多く含む魚肉や食肉を除いた後、煮汁などを含む食品全体を混合して成分分析し、魚肉や食肉を除いた食品全体に含まれる塩素濃度(Clh)を測定する。
次に、Clhに相当する食塩水濃度で対象とする野菜を煮たときに含まれるNa濃度(Nae)を測定する。発明者による測定で、野菜を食塩水中で煮た場合、野菜に付加される塩素(Cle)とナトリウム(Nae)の当量比は1:1ではなく、食塩水濃度によって表1のようにNae/Cleが変わることがわかっている。
当該食品に含まれる低カリウム野菜単体のNa濃度(Nas)を測定し、調味前の低カリウム野菜のNa量(A)を下記式で算出する。
A=Nas−Clh×Nae/Cle
なお、調味していない野菜中に塩素およびナトリウムはほとんど含まれていない。したがって、当該食品に含まれる低カリウム野菜の表面を拭うなどして得た野菜中のナトリウムの大部分は、塩化ナトリウム(食塩)を含む調味料由来の成分である。グルタミン酸ソーダなどの他のナトリウム塩からなる調味料についても同様な方法で、これら材料により付加されたナトリウムを算出できる。また、塩酸によってカリウムを除去した低カリウム農産物を用いた場合には、農産物中に塩素が浸透することにより塩素濃度が高くなっている。その場合には、野菜に含まれる塩素濃度は調味料に含まれる塩素濃度から算出された値より高くなっているが、測定値を補正することによって調味前の食品のカリウム濃度を該算することができる。
また、食品の産地、収穫時期によっては食品成分表に記載されているカリウム値に比べ、カリウム値が高い農産物も存在するが、本発明の方法によれば食品成分表の成分値の70%程度の値までは、容易にカリウムを除去することができる。したがって、本発明で低カリウム食品という場合には、食品に含まれるカリウムの量が食品成分表の成分値の70%以下のものをいう。また、食事制限を行っている腎臓病患者が日々の食事に取り入れるためには50%以下にすることが好ましく、30%以下にすることがより好ましい。また、カリウム除去後、ナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムによって、味を元に戻すことから、ナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムは食品成分表に記載されている値よりも多くなり、当量の和で250%以上となる。
カリウム値の基準として用いる食品成分表は、各国の政府機関、あるいはそれに準ずる機関によって解析され公開されている日常摂取する食品の成分値についてまとめたデータをいう。例えば、日本の場合には、五訂増補日本食品標準成分表、または日本食品標準成分表2015年版(七訂)を指し、米国の場合には、「the Nutrient Data Laboratory」のまとめたデータ、フランスの場合には、「Composition nutritionnelle des aliments TABLE Ciqual 2012」などをいう。さらに、これに準ずるような各国で公表されている食品の成分値をまとめたデータいう。
例えば、食品から50%のカリウムを除去する処理を行った場合、ナトリウム、カルシウムもカリウムと同程度食品から溶出する。したがって、食品成分表に記載されているナトリウム、カルシウム量の50%程度にまで含有量が低下する。しかしながら、続く中和の過程でナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを添加するので、中和後の食品には食品成分表の成分値より多いナトリウム、カルシウムが含まれることになる。通常、野菜類、豆類にはカリウムが多量に含まれるものの、カルシウム含有量は非常に少ない。例えば、生の西洋かぼちゃの場合、五訂増補日本食品標準成分表によれば、カリウム量は450mg/100g(11.51meq/100g)であるのに対し、ナトリウム量1.0mg/100g(0.043meq/100g)、カルシウム量15mg/100g(0.75meq/100g)である。したがって、低いカリウム量と高いナトリウム量/カルシウム量によって、区別することが可能である。
本発明の方法について以下実施例をあげて詳細に説明する。しかしながら、実施例にとらわれず、どのような食品であっても風味を損なわずに低カリウム食品化することが可能であることは言うまでもない。食品からカリウムを除去する方法としては、酸処理、通電の2つの方法がある。
[実施例1]
(酸浸漬によって低カリウム食品を製造する方法)
酸によってカリウムを除去する方法について示す。後述する電極によるカリウム除去の方法は、通電処理の際に電極と密着させることが必要であるため、ある程度の大きさを有する食品の処理に適している。これに対し、豆類、穀類等、小さいものの処理や、薄切り、千切りにした野菜等、表面積が大きく体積が小さい形状の野菜は、酸に浸漬することによってカリウムが効率よく抽出される。
図1は酸処理によってカリウムを除去し、アルカリ剤による中和によって食味をもどすための装置1を示す。
容器2に酢酸等の酸を入れ、仕切り板3の上に食品を載せる。底部には攪拌羽4を設け、酸が常に攪拌されるようにし、溶出したカリウムが食品の周囲に滞留しないようにする。溶出したカリウム量はカリウムイオンメーター5によって測定することができる。
ここでは、攪拌装置として攪拌羽を用いているが、スターラーやポンプによる溶液循環など、溶液が撹拌、循環できるものであればどのようなものを用いてもよい。また、攪拌装置は、容器の形状や大きさによって、攪拌が効率良く行われれば、底部に限らず、上部、側部のどこに設けてもよい。さらに、図1では仕切り板3に穴を設け、連通するようにしているが、食品の周囲に溶出したカリウムが滞留しないような構造であればどのようなものでもよく網やかご等を用いてもよい。
また、ここでは容器を密閉容器としているが、開放容器を用いてもよい。密閉容器とすることによって上部の管6を図示しないアスピレーター等に接続することにより、減圧によって、中和の際に食品中にアルカリ剤をより早く浸透させることが可能である。
また、カリウムイオンメーター5を常時設置するようにすれば酸溶液中のカリウム濃度を測定することができるため、食品中のカリウム量を所望の量に調整することが可能となる。なお、カリウム量は食品によって、一定の値をとることから、同一の食品であれば、カリウムイオンメーターを用いなくても、酸濃度、浸漬時間等の条件を予め設定することによって、ほぼ同程度にカリウム量を減じた食品を得ることができる。
カリウム除去後、除去したカリウム量に対して、ナトリウム、又はナトリウム及びカル シウムの適切な添加量を求めるには、食品の一部をペースト状にし、滴定により必要なアルカリ量を求めればよい。このとき、添加するナトリウム、又はナトリウム及びカルシウ の量は、除去したカリウム量に対して0.15〜1.25当量の範囲である。
大豆を例に、酸浸漬によってカリウムを除去し、その後ナトリウムを用いて味を調える方法を説明する。
乾物大豆(北海道産小粒大豆、品種名:スズマル)は、水の代わりに、4倍量の0.5%、1.0%、5.0%酢酸によって室温で18時間放置することによって戻した。酸処理後のカリウム量の変化を表2に示す。なお、表2のカリウム値の%は五訂増補日本食品標準成分表の大豆のカリウム値1900mgを基準として残存しているカリウムの値を算出したものである。これに対し、購入した乾物豆を乾燥したまま粉砕し、測定したカリウム値(試料5)は1832mg/100gであり、食品成分表の96.4%であった。産地、収穫時期によって、この程度のばらつきがあるものと考えられるが、以下、五訂増補日本食品標準成分表(以下、単に食品成分表と記載することもある。)を基準として記載する。
また、酸を含まない水で戻した大豆のカリウム値(試料4)は乾燥重量に換算して1830mg/100gであり、食品成分表の値の96.3%であった。水に浸漬しただけでは、ほとんどカリウムが除去できないことは明らかである。
表2に示すように、0.5%の酢酸であっても、40%程度のカリウムを除去することができる。しかしながら、食味テストを行うと酸臭、酸味があり、元の大豆の味とはほど遠い。さらに5.0%の酢酸処理の場合には、酸臭、酸味が強く、後述のアルカリによる処理を行っても味の変化を元に戻すことはできなかった。他の実験結果から酢酸濃度が2.0%を超えると酸臭、酸味が強いため、酸処理によるカリウム除去には0.5〜2.0%までの酸が好ましいと判断した。
次に、味を回復する処理について説明する。非特許文献3によれば、各種酸の水溶液を用いて試験した場合、酸の種類にもよるが概ねpH4.5以下で酸味を感じるようになるとされる。しかしながら、非特許文献4には、呈酸味物質以外が共存する場合、酸味の減少、増強効果がみられることが報告されている。
客観的な酸味の指標を得るために、各濃度の酢酸で戻した大豆をミキサーを用いてペースト状にし、pHを測定するとともに官能試験を行い、どの程度のpHであれば酸味を感じないかを確認した。酸処理した大豆をペースト状にし、段階的に水酸化ナトリウムを加えpHを調整した試料を作製し官能試験を行った。大豆では、pH5.1で酸味を感じなくなった。また、後述の通電によりカリウム除去を行い酸味を生じた日本産かぼちゃ及び輸入かぼちゃの2種類についてペースト状にし、同様にして官能試験を行った。輸入かぼちゃの場合にはpH4.8でも酸味が感じられなかったのに対し、日本産のかぼちゃの場合には、pH5.2においても酸味が感じられ、pH5.5を超えた試料では酸味が感じられなかった。このように、pHと酸味官能試験の結果は必ずしも一致しない。
上記のように食品によって、酸味を感じるpHは異なることから、カリウム除去後、ペースト状にして個々の食品について官能試験を行うか、又は、ほとんどの食品において酸味を感じることのないpH5.5以上になるようにpHを調整して味を回復させればよい。
表2と同様にして、乾物大豆を0.5%酢酸(表3、表4の試料1A〜1D)、又は1%酢酸(表3、表4の試料2A〜2D)で18時間処理し、カリウム除去を行い、アルカリ処理によって中和した後、蒸した豆の官能試験、及び納豆菌で発酵させ、発酵が可能か試験を行った。処理、及び結果を表3に示す。未処理は酸処理、アルカリ処理を行わなかった豆を示す。
まず、各酢酸濃度でカリウム除去を行った大豆をペースト状にし、水酸化ナトリウムを用いて滴定し、pHを5.0、5.5、6.1にするのに必要なアルカリの量を求めた。なお、pH5.0は上述の大豆を用いた官能試験ではわずかに酸味を感じるpHである。
大豆ペーストを各pHにするのに必要な量を滴定によって求めた後、酸処理によって吸水した豆100gを、アルカリ溶液100gに浸し、十分に平衡に達した後に所望のpHとなるように中和液を作製し、18時間室温で緩やかに振とうして中和を行った。具体的には酸処理した豆の体積と同等の体積の中和液に、平衡後に所望のpHになるようにアルカリを添加して中和液として用いた。試料1A、2Aは酸処理のみでアルカリ処理を行わなかったもの、試料1B、2Bは平衡に達した後、pHが5.0になるように中和液を作製したもの、試料1C、2CはpHが5.5になるように中和液を作製したもの、試料1D、2DはpH6.1になるように中和液を作製したものを示す。18時間後に中和液から取り出し、中和後の生豆をペーストにしpHの測定を行った。さらに120℃加圧釜で1時間蒸した後の蒸し豆のpHを測定した。蒸し豆については官能試験を行い、さらに蒸し豆を市販の納豆菌によって発酵させた。
アルカリはここでは水酸化ナトリウムを用いているが、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウム等、食用として用いることのできるアルカリであればどのようなものを使用してもよい。
表中のK及びNa量(mg/100g)は、大豆が酸処理等により吸水することによって増量した重量を補正し、実験開始時である乾燥大豆100g中に含まれるカリウム量、ナトリウム量に換算して示したものである。また、K残量は五訂増補日本食品標準成分表の乾燥大豆100gあたりのカリウム量1900mg/100gを基準としている。
官能試験は、以下の基準によって判断した。
不可:酸臭及び酸味がある。
可:酸臭はないが、わずかに酸味が残る、あるいは中和に使用したアルカリによってナトリウムの味が感じられる。
優:酸臭、酸味、ナトリウム味なし。
発酵試験は、以下の基準によって判断した。
不可:発酵せず。
良:表面の一部が白い菌膜に覆われている。糸引き、粘りは弱い。
優:表面がすべて白い菌膜に覆われている。糸引き、粘りがある。
生豆のpHは、滴定によって設定したpHとほぼ同等のpHとなっている。すなわち、試料1B、2Bは滴定値よりpH5.0になるように作製した中和液に、18時間浸漬したものであるが、試料1B、2Bともに、pH5.1になっている。また、試料1C、2Cは、pH5.5になるように中和液を作製したものであるが、試料1CはpH5.4、試料2CはpH5.6になっている。試料1D、2Dは、pH6.1になるように中和液を作製したものであるが、試料1DはpH6.2、試料2DはpH6.3とほぼ設定どおりのpHになっている。
また、蒸し豆にすると、いずれの場合もpHは上昇している。これは残っている酸が加熱することにより蒸発して抜けるだけではなく、大豆の成分と反応することによりpHが上昇するものと考えられる。また、酸処理後、さらにアルカリ溶液又は水に浸漬していることにより、酸処理のみを行った表2と比較して20%程度カリウム残量が低くなっている。
官能試験の結果、ペースト、あるいは生豆において酸味をわずかに感じるpH5.0にアルカリ処理を行った試料1B、2Bは、試料1Bについては、蒸し豆にした状態でpHが5.9と高くなっても後味にわずかに酸味が感じられた。一方、生豆pHは同じくpH5.1にした試料2Bは官能試験の結果、酸味、酸臭ともに感じられなかった。また、pH5.5になるように中和液を作製した試料1C、2Cは、ともに酸味、酸臭を感じず、元の食品と区別がつかなかった。これら結果から、pH5.5になるように中和することにより、どのような処理であっても酸味、酸臭を感じなくなると考えられる。
表4は、表3の結果をもとに、五訂増補日本食品標準成分表の乾燥大豆のカリウム量(1900mg/100g)、ナトリウム量(1mg/100g)を基準として、食品から除去されたカリウム量(K除去量)、食品から除去されたカリウム当量(K当量)、添加されたナトリウム量(Na添加量)、添加されたナトリウム当量(Na当量)、及び添加されたナトリウム当量の除去されたカリウム当量に対する割合(Na当量/K当量)計算し、まとめたものである。
食品から除去したカリウム量を測定して、添加するアルカリ量を決める場合には、官能試験の結果から、表4にまとめたように、除去したカリウム量に対して当量比0.15〜1.25になるようにナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを添加すればよい。また、他の食味に左右される官能試験に対し、より敏感なバイオアッセイである発酵試験の結果を考慮すれば、当量比0.4〜0.9になるようにナトリウム、又はナトリウム及び カルシウムを添加することが好ましい。
また、表3、及び表4の結果は、大豆をペースト状にし水酸化ナトリウムを用いて行った結果であるが、水酸化カルシウムを全量使用してpH調整を行った場合には、酸味、酸臭は感じられないものの舌にざらつく、食感がやや固くなるといった食感の変化が生じていた。後述するが、食感をより良く保つためには、必要とされるアルカリ量の内、少なくとも1/3以上をナトリウムとすれば良いことを明らかにした。また、後述するが、大豆を豆として食する場合には、7割以上をナトリウムを含むアルカリで処理することが好ましい。
さらに、市販の納豆菌により発酵させた結果、蒸し豆のpHが6.0〜8.0程度であれば、発酵も進むことが明らかとなった。一般に豆はカリウム値が高いものが多く、腎臓病患者は制限を受けていることが多い。このようにカリウム除去を行った後に、味を戻し、発酵させることができたことは、カリウム制限を受けている患者の食生活の幅を広げることとなる。
[実施例2]
(通電することによってカリウムを除去し、低カリウム食品を製造する方法)
通電によりカリウムを除去することにより、上記の酸処理による方法ではカリウムが抜けにくい大きな野菜片からカリウムを除去することが可能である。概略を説明すると図2Aに示すように、食品12を挟むように、対向する網状の電極13、14を配置する。電極13、14は面電極を用い、食品12は直方体状にカットして電極間に挟み込み通電する。通電の際には、冷却とともに溶出したイオンのリザーバーとして機能し、同時に水分を供給するように水を張った水槽内に設置する(図2B)。すなわち、通電により陰極側では、カリウムイオン、ナトリウムイオン等の陽イオンが溶出してくることから、これら陽イオンのリザーバーとして、陽極側では、水分の供給が行われる。
また、電極13、14として可撓性の素材を用いることにより、食品と密着させ、広い面積で通電することができる。本発明の電極13、14は、直接食品に接触し、通電を行うことから、安全性に配慮したものである必要がある。具体的には、「食品、添加物等の規格基準」に定められた鉄、アルミニウム、白金及びチタンを用いれば良い。また、特に、陽極電極は金属イオンの溶出を防ぐために、白金電極等の耐食性電極とする必要がある。
また、片側の電極の外側に緩衝材15を配置することにより、面電極14が食品12に対してより密着し効率良く通電を行うことができる。
緩衝材15は可撓性があり、食品から溶出したイオンが拡散することができるものであればどのようなものを用いても良い。例えば、スポンジ等の多孔性の素材や、綿、化学繊維からなる織物、山型形状の緩衝材等、電極に密着せず、溶出したイオンが周囲の水に拡散可能なものであればどのようなものを用いてもよい。
食品中のナトリウム、カリウムは通電を受け陽イオンとなり陰極側に移動し、最終的に陰極側から溶出する。図2に示した例では、食品12の上方に陽極、下方に陰極を配置しているが、対向する電極であれば、どちら側を陽極、陰極としてもよい。
通電することにより陰極側に移動したカリウム等の陽イオンは、最終的に食品の外に溶出する。緩衝材15の下方に配置する載置台17には孔18を設けてある。水槽16内の水を載置台17の下で図示しないスターラー、撹拌羽等により撹拌することにより、溶出したイオンが載置台17付近に滞留せず、周囲の水によって希釈される。そのため溶出した陽イオンが、食品の中に再度流入する量は極微量であり、無視することができる。
水槽16の水は一定の温度に冷却されている。温度が高いほど通電したときのイオンの溶出速度が速くなるが、同時に食品から旨味成分も抜け出る。素材及びその後の調理方法によって、適切な温度は異なるが、温度は0〜15℃の間で設定すればよい。冷却装置19は水槽の水を冷却することによって、浸漬した食品を低温に保つ。図2Bでは水槽の外部に冷却装置19を設けているが、水槽内に冷却装置を設ける構成としてもよい。
図2Cは、水槽を設けず、電極13、14と食品12の間にヒドロゲルを含む部材20からなる受容供給部を配置する他の実施形態を示している。この構成によって、陽極側からは水を供給し、陰極側で溶出した陽イオンのリザーバーとして機能することができる。また、冷却装置19によって塩類除去装置11を設置した空間を雰囲気によって冷却することができる。また、水槽内の水を循環させる際に、循環水をイオン交換樹脂を通すことによって、野菜から抜け出たカリウムイオンを除去する構成としてもよい。循環水をイオン交換樹脂を通すことにより、より短時間でカリウム除去を行うことができる。
ヒドロゲルを含む部材20は、食品と直接接触する部分であるから、水分を多量に含み、安全性が確認されている素材を用いる必要がある。例えば、ヒドロゲルの成分として、寒天、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コラーゲン、コンニャク等が挙げられる。
上記のように、通電時に冷却装置によって冷却しながら、また、通電量を野菜によってコントロールしながら、塩類、特にカリウムの除去を行うことによって、硬さ、舌触り等の食感を変えずにカリウムを除去することができる。
以下にかぼちゃを用いた例を示す。かぼちゃは2.5cm角に切り、通電により残存カリウム量が30%になるように処理を行った。すなわち、生の西洋かぼちゃのカリウム量である450mg/100gから、135mg/100g程度になるようにカリウムを除去する。カリウム除去後のかぼちゃは、食感、硬さはそのままであるが、味は酸味を帯びたものになる。
通電による処理の場合、食品から除去したカリウム量はカリウムメーターによって測定できる。また、予め食品固有の値を求めておくことによっても推測可能である。したがって、測定値、あるいは推測値よりカリウム除去量を求め、添加するナトリウム、又はナト リウム及びカルシウム量を算出することができる。


これを実施例1と同様に、平衡に達した際に所定のナトリウム、又はカルシウム当量になるように中和液を作製し、かぼちゃを浸漬して緩やかに振とうしながら放置すればよい。かぼちゃ等、ブロック状の野菜の場合には、中心部まで浸透するのに時間がかかるので、加圧減圧処置、凍結含浸法等、既知の方法を用いて浸透を早め、味を元に戻すことができる。
[実施例3]
(カルシウムによる中和)
酸味の中和にカルシウムを用いた場合の味の変化を確認する試験を行った。実施例1と同様に市販の乾物大豆を1%酢酸に18時間浸漬することよってカリウムを除去した。
酸味が感じられないpH5.5まで、酸味の中和に要したナトリウム当量をもとに、Na:Ca当量比を10:0から0:10まで振り分けた中和剤を調整し、前述の大豆生豆ペースト(pH4.2)に添加し、味の変化の有無を確認した。なお、ナトリウムは水酸化ナトリウム、カルシウムは水酸化カルシウムを用いて中和剤を調整した。
官能試験は、生大豆自体のえぐ味を除くため、蒸し煮試料を用いた。すべての試料について、酸味、えぐ味(Ca味)、塩味(Na味)が無いことが確認された。したがって、ナトリウムの代わりにカルシウムを用いて中和しても味の変質は起こらない。
また、通電処理によってカリウムを除いた西洋かぼちゃ試料(ペーストpH4.6、強い酸味を感じる。)についても同様の官能試験を行った。酸味を感じないpH5.5まで、Na:Ca当量比10:0から0:10までのすべての試料について、酸味、えぐ味(Ca味)、塩味(Na味)が無いことが確認された。
本発明の方法は、ナトリウムだけではなく、カルシウムによって食品を中和することができるため、摂取するナトリウム量をさほど増やさず、味を元に戻すことができる。ナトリウムを用いて中和する場合にも、除去したカリウム量よりも少ない0.15当量のナトリウムで中和すればよいことから、塩分制限を受けている場合であっても、通常問題になることはない。
ペーストを用いて官能評価を行った場合には、ナトリウム塩であってもカルシウム塩であっても、上記結果のようにまったく問題はない。しかしながら、表3で示したように固形の農産物で官能評価を行った場合に、水酸化カルシウムのようにカルシウムの含まれるアルカリのみを用いて中和を行うと、食味は良いものの、舌にざらつく等食感の点で問題が生じることがわかった。そこで、食感を改善するために用いるNa:Ca当量比の検討を行った。
乾物大豆を0.5%酢酸で18時間処理した。この大豆のカリウム残存量は、295mg/100gであった。五訂増補日本食品標準成分表の国産ゆで大豆のカリウム量が570mg/100gであることから、食品成分表を基準とすると約48%のカリウムが除去され、52%のカリウムが残存している計算となる。
酢酸処理した大豆の一部をペースト状にし、滴定によって酸味を感じないpHであるpH5.5まで中和するのに必要なアルカリ量を求めたところ、12.8meq/100gであった。次に、上記と同様ナトリウムとして水酸化ナトリウム、カルシウムとして水酸化カルシウムを用い、Na:Ca当量比を10:0から0:10まで振り分けた中和液を調整し、上記と同様に平衡に達するまで中和液に浸漬した後、蒸し豆とし官能試験を行った。5名のモニターを用い、酸味、えぐみなどの異味を感じるか(味)、固さ、ざらつきなどの食感について試験を行った。
また、カリウムを60%程度除去する通電条件で処理した西洋かぼちゃ(日本産)についても同様の官能試験を行った。カリウム除去後のかぼちゃを一部ペースト状にし、滴定によって酸味を感じないpHであるpH5.5まで中和するのに必要なアルカリ量を求めたところ、4.72meq/100gであった。上記と同様にNa:Ca当量比を10:0から0:10まで振り分けた中和液を調整し、中和を行い同様に官能試験を行った。結果を表5に示す。
表中、「当量比」は中和液のナトリウムとカリウムの量比を示し、「アルカリ添加量」の欄は中和処理完了後、食品に添加されているアルカリ量の推測値を示している。また、酸味、味、食感の欄のかっこ内の数字は5名のモニターのうち、異味、食感等において、コントロールとの差異を感じた者の数、及びどのような違いを感じたかをまとめている。
酸味については、表3の結果同様、コントロールとの差異を感じるものはなかった。しかしながら、異味については、かぼちゃにおいてNa:Ca当量比0:10、すなわち全量水酸化カルシウムで処理したものに関しては、極弱いえぐみを感じたモニターが1名いた。食感に関しては、添加するカルシウム量が多くなると、ざらつきや舌に粒が残ると感じるモニターが出てくる。大豆ではアルカリのうち7/10以上を水酸化カルシウムとして添加することにより、ざらつきや舌に粒が残ると感じるモニターが出てくる。さらに、9/10以上をカルシウム塩で添加した場合には、5名のモニター全員が歯触りが固いと感じるようになっている。
かぼちゃについても同様に、アルカリのうち7/10以上を水酸化カルシウムとして添加することにより、やや繊維を感じたり、粒を感じるモニターが出てくる。さらに、全量をカルシウム塩で中和した場合には、5名のモニター全員が舌に固い粒が残ると感じるようになっている。
以上の結果から、かぼちゃ、大豆では除去したカリウム量に対し、全量をナトリウムを含むアルカリで置換してもよいが、少なくとも3/10程度をナトリウム、残部をカルシウムを含むアルカリにより処理することにより、食感も保つことができる。また、一般にペースト状の食品を食べる場合には、均一なクリーム状の食感を期待しているため、少しでも粒や繊維が残っていると違和感をいだくのに対し、固形状で食べた場合には、多少の舌へのざらつきがあった場合でも許容される傾向にある。最終的な食品の形態により、アルカリとして添加できるカルシウムの量は変わってくる。しかし、以下に種々の野菜を用いた結果を示すが、1/10程度から9/10までをカルシウムに代えたアルカリにより処理することができる。3/10程度のナトリウム、残りをカルシウムとして添加することにより、異味を感じることがなく、また、食感も元の食品と大きく変わることがない。カルシウムを添加して味を元に戻すことにより、食品中のナトリウムを必要以上に増加させることがない。
[実施例4]
(種々の野菜から製造した低カリウム食品)
農産物の種類によって、カリウム除去方法や条件が異なることから、味を戻すための中和に要する最適なアルカリ量、ナトリウムとカルシウムの比率等、その条件は異なっている可能性がある。そこで、野菜や豆の種類によって、中和の条件の検討を行った。
1.かぼちゃ
重曹のみで中和する条件の検討
2.5cm角にブロック状に切ったかぼちゃを通電によりカリウムを除去し、0.5〜5%までの濃度の炭酸水素ナトリウム(重曹)を用いて、15時間中和し、カリウム、ナトリウム、カルシウム量を測定するとともに、味の評価を行った。
味の評価は、4名、あるいは5名のパネラーによって、酸味、苦味、かたさ、塩味、甘味、風味について優4、良3、可2、不可1の判断をしてもらった。また、総合評価を行ってもらい○、×で判断してもらった。○は違和感なく食べることができる、×は食べたときに違和感があり、おいしくないといった総合的な判断である。酸味、苦味などの個々の評価と総合評価とはほぼ一致していたことから、総合評価で半数以上が○としている範囲を適切な中和範囲と判断した。また。Na+Ca当量比は、試料に含まれるナトリウムとカルシウムの当量の和の、食品成分表のナトリウムとカルシウムの当量の和に対する比を算出したものである。
表6に示したように、通電によりかぼちゃからカリウムを除去しているため、カリウム除去率は非常に高い。総合評価では0.5〜5.0%いずれの条件で中和した場合でも少なくとも1名のパネラーは○と評価している。なお、0.5%重曹で処理した条件でもNa+Ca当量比が385%と、食品成分表に記載されているナトリウムとカルシウムの当量比の和の250%以上となっており、この条件でもあまり違和感のない程度に中和は完了しているものと考えられる。さらに、重曹濃度1.0〜5%で中和した場合には半数が総合評価を○としており、特に、1.5〜3.0%で中和した場合には、全員が総合評価で○を付けている。したがって、かぼちゃの場合にはアルカリ濃度が重曹に換算して0.5〜5.0%、さらに、1.0〜5%の濃度、より好ましくは1.5〜3.0%の濃度の重曹処理が適切であると考えられる。
カルシウム塩、ナトリウム塩混合で中和する条件の検討
次に、炭酸水素ナトリウム単独ではなく、水酸化カルシウムと混合し、ナトリウムとカルシウムの比を変えて中和処理を行い、カリウム、ナトリウム、カルシウム量を測定するとともに、味の評価を行った。中和は炭酸水素ナトリウムに換算して1.5%濃度とし、ナトリウムとカルシウムの比を変えて15時間処理した。結果を表7に示す。
カルシウムは一部の人の味覚に強く影響を及ぼし、特に、苦味、甘味に影響を及ぼすことが明らかとなった。水酸化カルシウム単独では、パネラー全員が総合評価を×としているが、9割を水酸化カルシウムで中和した場合には、2人のパネラーが○と評価していた。さらに、水酸化カルシウムの量を7割に減らした場合には、半数以上のパネラーが○との評価を行った。したがって、少なくとも1割、好ましくは3割は炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムなどのナトリウム塩を用いる方がよい。また、3割程度のナトリウム塩を加えて中和を行った場合には、食品中のナトリウム濃度もさほど高くなることはなく、塩化ナトリウムの過剰摂取に対する心配はほとんどない。
2.さつまいも
重曹のみで中和する条件の検討
次に、さつまいもについて検討を行った。1.0cmの輪切りにしたさつまいもを通電によりカリウムを除去し、0.5〜5%までの濃度の炭酸水素ナトリウムを用いて、15時間中和し、カリウム、ナトリウム、カルシウム量を測定するとともに、味の評価を行った。結果を表8に示す。
重曹濃度0.5%では、酸味、苦味、塩味、甘味、風味いずれも不可との評価であり、総合評価でも1名を除いて×であると評価した。Na+Ca当量比も212%と低く、官能評価の結果を加えて判断すると重曹濃度0.5%では中和が不十分だと考えられた。重曹濃度が高くなると、甘味、風味の評価は落ちるものの半数の者が総合評価は○としている。したがって、さつまいもの場合にはアルカリ濃度が重曹に換算して1.0〜5%の濃度で中和することが好ましい。しかしながら、腎臓病患者の場合には、塩分の摂取にも健常人よりも考慮する必要があるため、1.0〜3.0%の濃度の重曹処理による中和が適切であると考えられる。
カルシウム塩、ナトリウム塩混合で中和する条件の検討
次に、炭酸水素ナトリウム単独ではなく、水酸化カルシウムと混合し、ナトリウムとカルシウムの比を変えて中和処理を行った結果を示す。中和は炭酸水素ナトリウムに換算して1.5%濃度とし、ナトリウムとカルシウムの比を変えて15時間処理した。結果を表9に示す。
試験に用いたさつまいものカリウム濃度は食品成分表の65%と最初から非常に低い数値のものであった。五訂増補日本食品成分表はあくまでも平均値であり、産地、季節によってもその成分値は上下する。例えば、表7で示したかぼちゃの場合は、五訂増補日本食品成分表よりも18%多く、また下記に示すじゃがいもの場合は25%程度多くカリウムを含有していた。しかしながら、この場合も低カリウム食品化した野菜と、無処理の野菜とは、含有しているナトリウム、カルシウムの当量で、通常の野菜と区別することができる。
味の評価に関しては、中和した場合もかたさ、甘味の点で良い評価を得る範囲が比較的狭かった。しかしながら、総合評価では、9割程度カルシウムを加えても半数が○の評価を行い、さらに5割程度までカルシウムを加えて中和した場合には、4人のうち3人までが総合評価で○との評価をくだしていた。したがって、少なくとも1割以上、より好ましくは5割程度のナトリウム塩を加えて中和することがよいと結論付けた。
3.じゃがいも
重曹のみで中和する条件の検討
次に、じゃがいもについて検討を行った。1.0cmの厚さの輪切りしたじゃがいもを通電によりカリウムを除去し、0.5〜5%までの濃度の炭酸水素ナトリウムを用いて、15時間中和し、カリウム、ナトリウム、カルシウム量を測定するとともに、味の評価を行った。結果を表10に示す。
重曹のみで中和する場合には、総合評価で少なくとも一人のパネラーが○としている0.5〜4%、特に、半数以上のパネラーが○としている0.5〜3%の重曹を用いて中和することが食味の点からは好ましい。また、塩分摂取の面を考慮すると、0.5〜1.5%程度の重曹で中和することがより好ましい。じゃがいもには、ナトリウム、カルシウムがほとんど含まれていない。そのため、個別のじゃがいもに含まれるナトリウム、カルシウムによって、Na+Ca当量比は大きく左右される。しかしながら、その場合でも調べた限りではNa+Ca当量比は250%を超えることはなく、カリウム除去処理をしていないものと区別が可能であった。また、じゃがいものようにNa+Ca当量比が大きな値をとる場合も上限は20,000〜50,000%程度であると考えられる。
カルシウム塩、ナトリウム塩混合で中和する条件の検討
次に、炭酸水素ナトリウム単独ではなく、水酸化カルシウムと混合し、ナトリウムとカルシウムの比を変えて中和処理を行った結果を示す。中和は炭酸水素ナトリウムに換算して1.5%濃度とし、ナトリウムとカルシウムの比を変えて15時間処理した。結果を表11に示す。
総合評価で少なくとも一人のパネラーが○としていることから、アルカリの全量をカルシウム塩に代えてもよいが、少なくとも3割、より好ましくは5割程度ナトリウム塩が含まれている方がよい。また、食味はやや劣るものの全量、あるいは9割をカルシウムを含むアルカリで中和することにより、食品中の塩分も増加することがなく、中和することが可能である。
4.にんじん
重曹のみで中和する条件の検討
次に、にんじんについて検討を行った。2.5cmの厚さの輪切りにしたにんじんを用いた他は上記と同様にしてカリウム除去を行い、各条件で中和し評価を行った。結果を表12に示す。
食味の点では、総合評価で0.5〜5.0%重曹濃度で中和した場合に少なくとも一人が○の評価をした。特に、0.5〜4.0%重曹で中和した場合に、半数以上の者は味が良いと評価した。0.5%、1.0%の重曹濃度ではNa+Ca当量比が250%以下と中和は不十分であると考えられたが官能試験の評価はよかった。野菜によって、酸味が少し残っていても違和感のないものもあり、にんじんは中和が完全ではなくとも味の変化が感じられにくい食品の一例であると考えられる。中和を完全に行うことを考えれば、1.5%以上の重曹で処理することが好ましい。また、塩分摂取の面を考慮すると、0.5〜1.5%程度の重曹で中和することが好ましい。
カルシウム塩、ナトリウム塩混合で中和する条件の検討
次に、炭酸水素ナトリウム単独ではなく、水酸化カルシウムと混合し、ナトリウムとカルシウムの比を変えて中和処理を行った結果を示す。中和は炭酸水素ナトリウムに換算して1.5%濃度とし、ナトリウム塩、カルシウム塩を単独、あるいは、夫々1割置換して15時間処理した。結果を表13に示す。
食味評価の面ではすべての割合において良い評価を得ることができた。上記の重曹単独の場合と同様に、にんじんはカリウム除去、それに続く中和処理によって味の変化を感じにくい食材だと考えられる。ナトリウム塩が1割程度含まれたアルカリ溶液で中和することにより、酸味、苦味、かたさ、塩味、甘味、風味いずれの場合も可以上の評価であったことから、9割程度までカルシウム塩で置換して中和することができるものと判断した。
上記示したいずれの野菜の場合でも、Na+Ca当量比250%以上であれば中和は完全に行われており、また、少なくとも1割のナトリウム塩を含むアルカリで中和することにより、総合評価が良い脱カリウム食品を得ることができる。
次に種々の豆について中和条件の検討を行った。試験に用いた豆は、すべて市販の乾物豆(北海道産)を用いた。小豆、いんげん豆(金時豆)、べにばないんげん(白花豆)は、豆の中でも炭水化物を多く含む品種として選択した。大豆(黒豆)と小粒大豆(スズマル)は豆の中でもタンパク質を多く含む品種として選択した。
いずれの場合も乾燥した豆に対し、4倍重量の1%酢酸を用い、一晩穏やかに振盪しながら戻して試験を行った。中和液の欄のAは無処理乾物、Bは水戻ししたもの、Cは酸処理のみで中和を行っていないもの、Dは酸処理後、水に浸漬した試料の結果を示す。いずれも乾物に換算した値で表示している。また、食味評価(酸味、苦味等)欄の−は評価を行っていないことを示す。
中和は、酸処理後の吸水した豆に対し、当重量の中和液を用い一晩穏やかに振盪することによって行った。中和液は、0.2M/Lの水酸化ナトリウムを基準とし(Na:Caが10:0)、その1割から10割を水酸化カルシウムで置き換えた。
処理後の豆は、表面を脱イオン水ですすぎ、高温蒸気釜で加熱、室温まで放冷した後、食味、各イオン濃度について評価を行った。
5.小豆
結果を表14に示す。かたさの欄の1に続くマイナス(−)表記は−が多いほどかたさを感じたことを示す。小豆は3割程度までであれば、カルシウム塩に置換した中和液を用いても良い食味評価が得られた。小豆はカルシウム塩を用いると、かたさに大きな影響が出た。
6.いんげん豆
いんげん豆の結果を次に示す。表15に示すように、個別の食味評価では7割程度、総合的な食味評価では5割程度までカルシウム塩に置き換えて中和しても良い食味評価が得られた。一般的に豆は調味して食べるものであるから、7割程度のカルシウム塩で置換した中和液で処理してもよいと考えられる。
7.べにばないんげん
べにばないんげんの結果を次に示す。表16に示すように、個別の食味評価では5割程度、総合的な食味評価では3割程度までカルシウム塩に置き換えて中和しても良い食味評価が得られた。一般的に豆は調味して食べるものであるから、5割程度のカルシウム塩で置換した中和液で処理してもよいと考えられる。
8.黒豆
黒豆の結果を次に示す。表17に示すように、個別の食味評価でも総合的食味評価でも5割程度までカルシウム塩に置き換えて中和しても良い食味評価が得られた。
9.大豆
大豆(小粒大豆)の結果を次に示す。表18に示すように、個別の食味評価でも総合的食味評価でも3割程度までカルシウム塩に置き換えて中和しても良い食味評価が得られた。
以上、種々の豆を用いても、少なくとも3割程度までカルシウム塩に置き換えて中和することができる。豆はカリウムの多い食品である。従来から豆乳のような形ではカリウムを除去することが可能であり、カリウムを除去した豆乳は提案されていた。しかしながら、腎臓病患者は水分を多量にとると腎臓に負担がかかるため、水分摂取も制限されている。そのため、水分の多い豆乳の形態で大豆食品を摂取することは困難であった。今回、種々の豆類で脱カリウムを達成できたことは、腎臓病患者の食生活の幅を広げることが可能となった。
以上、示したように、本発明において、様々な食品からカリウムを除去し、アルカリ剤を用いて中和することによって、元の食品に近い味を有する低カリウム食品を製造することができるようになった。この方法によれば、食品を選ばず低カリウム化することができるので、カリウム制限を受けている腎臓病患者にとって、非常に有用である。
1・・・酸によってカリウムを除去する装置、2・・・容器、3・・・仕切り板、4・・・攪拌羽、5・・・カリウムイオンメーター、11・・・通電によってカリウムを除去する装置、12・・・食品、13、14・・・電極、15・・・緩衝材、16・・・水槽、17・・・載置台、20・・・ヒドロゲル、

Claims (11)

  1. 収穫後の農産物からカリウムを除去する低カリウム食品の製造方法であって、
    収穫後の農産物からカリウムを五訂増補日本食品標準成分表、又は日本食品標準成分表2015年版(七訂)に示される前記食品のカリウム値の70%以下に除去する工程と、
    前記食品から除去したカリウム量を算出する工程と、
    除去したカリウムに対して、当量比0.15〜1.25をナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムによって補うように中和することを特徴とする低カリウム食品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の低カリウム食品の製造方法であって、
    前記食品からカリウムを除去する工程が電場をかけてカリウムを除去する工程又は酸浸漬によりカリウムを除去する工程であることを特徴とする低カリウム食品の製造方法。
  3. 請求項2記載の低カリウム食品の製造方法であって、
    前記食品からカリウムを除去する工程が酸浸漬によりカリウムを除去する工程であり、
    前記酸が酢酸、塩酸、硫酸、マロン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸から選択される少なくとも1つ以上の酸であることを特徴とする低カリウム食品の製造方法。
  4. 請求項2又は3記載の低カリウム食品の製造方法であって、
    前記食品からカリウムを除去する工程が0.5〜2.0%酢酸に浸漬することを特徴とする低カリウム食品の製造方法。
  5. 農産物(非結球性葉菜類、イチゴ、メロンを除く)の低カリウム食品であって、
    カリウム値が五訂増補日本食品標準成分表、又は日本食品標準成分表2015年版(七訂)に示される前記食品のカリウム値の70%以下であるとともに、
    前記食品中のナトリウム値とカルシウム値の各当量の和が、
    前記五訂増補日本食品標準成分表、又は日本食品標準成分表2015年版(七訂)に示される前記食品の成分値として記載されているナトリウム値とカルシウム値から算出される当量の和の250%以上であり、
    除去されたカリウムに対して当量比0.15〜1.25のナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムを含むことを特徴とする低カリウム食品。
  6. 記農産物が、
    いも類、根菜類、かぼちゃ、又は豆類であることを特徴とする請求項5記載の低カリウム食品。
  7. 前記農産物がいも類であって、
    前記いも類がさつまいもであることを特徴とする請求項6記載の低カリウム食品。
  8. 請求項6記載の低カリウム食品を材料とする食品であって、
    前記豆類が大豆であり、
    該大豆を材料とする納豆である食品
  9. 収穫後の農産物からカリウムを除去し低カリウム食品を得るためのキットであって、
    酢酸、塩酸、硫酸、マロン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸から選択される少なくとも1つ以上の酸と
    除去したカリウムに対して、当量比0.15〜1.25のナトリウム、又はナトリウム及びカルシウムで補うように中和するためのナトリウム塩、又はナトリウム塩及びカルシウム塩を含むことを特徴とするキット。
  10. 請求項記載の低カリウム食品を得るためのキットであって、
    前記酸が0.5〜2.0%酢酸であり、
    添加するアルカリが炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムのいずれか1つ以上であることを特徴とするキット。
  11. 請求項9、又は10記載の低カリウム食品を得るためのキットであって、
    食品から除去されたカリウムを測定する測定器を備えることを特徴とするキット。
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