JP6086129B2 - コークスの製造方法 - Google Patents

コークスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6086129B2
JP6086129B2 JP2015098718A JP2015098718A JP6086129B2 JP 6086129 B2 JP6086129 B2 JP 6086129B2 JP 2015098718 A JP2015098718 A JP 2015098718A JP 2015098718 A JP2015098718 A JP 2015098718A JP 6086129 B2 JP6086129 B2 JP 6086129B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coal
mixing
stirring
mass
coke
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015098718A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015232124A (ja
Inventor
松井 貴
貴 松井
深田 喜代志
喜代志 深田
勇介 土肥
勇介 土肥
道雄 本間
道雄 本間
将浩 篠原
将浩 篠原
幹也 永山
幹也 永山
功美 南里
功美 南里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2015098718A priority Critical patent/JP6086129B2/ja
Publication of JP2015232124A publication Critical patent/JP2015232124A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6086129B2 publication Critical patent/JP6086129B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coke Industry (AREA)

Description

本発明は、配合炭をコークス炉に装入して乾留することによってコークスを製造するコークスの製造方法に関するものである。
製銑法として最も一般的に行われている高炉法において使用されるコークスは、鉄鉱石の還元材、熱源、スペーサー等の数々の役割を担っている。高炉を安定的に効率よく操業するためには、高炉内の通気性を維持することが重要である。このため、強度、特にJIS K 2151の回転強度試験法で測定される回転強度が高いコークスが求められている。このような背景から、これまでに種々のコークス強度向上技術が開発されている。
コークスは、粒度を調整した種々のコークス製造用石炭(以下、原料炭とも表記)を配合した配合炭をコークス炉内で乾留することによって製造される。配合炭は、約300〜550[℃]の温度域で軟化溶融すると共に揮発分の発生に伴い発泡、膨張することによって、石炭粒子が互いに接触し合って塊状のセミコークスになる。セミコークスは、その後1000[℃]付近まで昇温する過程で収縮することによって焼きしまり、堅牢なコークス(コークスケーキ)となる。このため、石炭の軟化溶融時の接着特性が、コークス強度や粒径等のコークスの性状に大きな影響を及ぼす。
従来より、コークス強度を向上させる方法として、原料炭に粘結材(以下、粘結補填材とも表記)を一部添加する方法が一般的に行われている(非特許文献1参照)。粘結材は、石炭の軟化溶融時の接着特性を向上させる効果を有し、具体的にはタールピッチ、石油系ピッチ、溶剤精製炭、溶剤抽出炭等である。仮に原料炭への粘結材の添加効果を大きくできれば、同じ量の粘結材を使用してもコークス強度の向上が見込めるため、高強度のコークスの製造に有利である。また、同じ強度のコークスを製造する場合には、粘結材の添加量を低減できるために、コスト削減が可能となり有利である。
原料炭への粘結材の添加効果を大きくするためには、粘結材と石炭との接触点を増加させること、すなわち粘結材を石炭中に均一に分散させることが有効である。このため、これまでに粘結材の分散状態を高める技術が開発されてきた。石炭に常温で固体の粘結材を添加して均一に分散させる場合、粘結材を融点以上に加熱して液状化し、石炭に混練させることが好ましい(特許文献1参照)。しかしながら、液体の粘結材は、粉体の流動性を低下させ、配管の閉塞やホッパー内での付着や棚吊り等の操業上のトラブルを引き起こすことがあり、ハンドリング性に難点がある。また、固体の粘結材を融点以上に加熱するためには、加熱用の設備費及び運転費が余計にかかる。
そこで、固体の粘結材を固体のまま石炭に添加して均一に分散させる方法が種々提案されている。固体の粘結材の分散性を高めるためには、粘結材の粒度を細かくすることが有効である。具体的には、特許文献2には、粘結材の平均粒径を4.6[mm]、2.4[mm]、0.8[mm]と細かくするのに伴いコークス強度が向上すること、及び粘結材を石炭と共に粉砕する場合には石炭の平均粒径を4.6[mm]以下にすることが記載されている。
特許文献3には、粒径3[mm]未満の石炭粒子を75〜85[%]含む原料炭に粒径3[mm]未満の細粒を78[%]以上含む石油系ピッチ又は石炭系ピッチの固形粘結補填材を混合することを特徴とする高強度コークスの製造方法が開示されている。また、特許文献3には、固形粘結補填材が粒径0.3[mm]未満の微細粒を含まない方がよいとの記載もある。また、粒径0.3[mm]未満の微細粒が少ない方がよい理由として、微細粒の固形粘結補填材は凝集しやすく、凝集するとコークス強度の向上効果が飽和してしまうこと、及び微細粒は、コークス炉への装入嵩密度の低下、キャリーオーバー微粉の増加、コークス炉の炉壁に付着するカーボン量の増加等、コークス炉操業上のトラブルを誘発する可能性があることを挙げている。
特許文献4には、原料炭中に固形粘結補填材を均一に分散させる技術が開示されている。具体的には、粒径0.3[mm]未満の固形粘結補填材の微粉粒子は凝集しやすく、且つ、微粉粒子が凝集して形成された擬似粒子は、原料炭と混合しても容易に崩壊するものではなく、原料炭中における固形粘結補填材の分散性を低下させる。これに対して、特許文献4記載の技術の発明者らは、擬似粒子の形成には水の薄膜が作用しているため、擬似粒子を形成する微細粒子を含む固形粘結補填材と原料炭との混合物中の水分量を調整することによって、擬似粒子の大きさを原料炭との均一混合に適した大きさに調整できることを見出した。
そして、特許文献4記載の技術の発明者らは、粉砕した固形粘結補填材に含まれる粒径0.3[mm]以下の微粉粒子の含有量と混合物の水分含有量とを所定の範囲内に調整することによって、粒径0.3[mm]以下の固形粘結補填材の微粉粒子が凝集して形成された擬似粒子の粒径が原料炭との混合に適した大きさになり、原料炭中に粉砕した固形粘結補填材を均一に分散させることができると述べている。また、特許文献4には、粒径0.01[mm]以上0.3[mm]以下の微細粒子を50[質量%]以上100[質量%]以下含有する粉砕粘結補填材を原料炭と混合するに際し、混合工程における混合物の水分含有量が0[質量%]以上8[質量%]以下になるようにすること、及び固形粘結補填材を粉砕して粒径0.01[mm]以上0.3[mm]以下の微細粒子を30[質量%]以上100[質量%]以下含有する粉砕粘結補填材を原料炭と混合するに際し、混合工程における混合物の水分含有量が0[質量%]以上7[質量%]以下になるようにすることと記載されている。
さらに、特許文献4には、混合物の水分含有量が6[質量%]以下である場合、発塵が顕著になることから、混合工程の後に混合物の水分含有量が6[質量%]以上になるように水分を添加する技術も記載されている。
また、固体の粘結材を石炭に添加したものをドラムミキサー等の混炭機で処理することによって、石炭中に固体の粘結材を均一に分散させる方法も知られている(非特許文献2参照)。但し、従来の研究により、コークスの製造プロセスで使用される配合炭は、混炭機を通過させるまでもなく、搬送途中のベルトコンベアの乗り継ぎ等で十分に混合されることが確認されている(非特許文献2参照)。このため、現在では混炭機を使用しないで粘結材の均質化を図っているコークス工場も多い。
特開昭57−67686号公報 特開2007−16186号公報 特許第4486552号公報 特許第4819197号公報
木村ら著、「石炭化学と工業」、1977年、三共出版(株)、東京、p.315 大越ら著、コークスサーキュラー、20巻、1971年、p.271 山本ら著、材料とプロセス、20巻、2007年、p.876 佐藤ら著、粉体工学会誌、30巻、1993年、p.390
上述の通り、石炭中における固体の粘結材の分散性を高めるためには、粘結材の粒度を細かくし、擬似粒子化した粘結材を分散させることが有効である。しかしながら、上述した特許文献2〜4及び非特許文献2記載の方法には以下に示すような問題点がある。
特許文献2,3記載の方法によれば、粘結材の粒度を細かくするために、原料炭中における粘結材の分散性は確実に高まり、コークス強度は向上する。しかしながら、粒径が小さい粘結材や原料炭の粒子が擬似粒子化した場合、粘結材の分散性が低下し、十分なコークス強度の向上効果が見込めない。実際、本発明の発明者らは、水分量を変化させて一般的な原料炭の粒度分布を測定したところ、水分量が6[質量%]以上であるときに特に擬似粒子化が顕著になることを確認した(図1参照)。
特許文献4記載の方法は、粘結材の粒度を細かくし、且つ、擬似粒子を形成する微細粒子を含む固形粘結補填材と原料炭との混合物中の水分量を調整し、擬似粒子の大きさを原料炭との均一混合に適した大きさ(粒径)に調整するため、原料炭中に粉砕した粘結補填材を均一に分散させることができる点で有効である。しかしながら、特許文献4記載の方法では、固形粘結補填材の擬似粒子を崩壊させることは意図されているものの、石炭からなる擬似粒子を崩壊させることが意図されていないため、石炭と粘結材との混合が不十分になってしまう。
また、特許文献4記載の方法では、擬似粒子を崩壊させる方法として、原料炭の水分量を低下させる方法が提案されているのみであるために、原料炭の水分量を積極的に低下させない、いわゆる湿炭操業には適用することができない。原料炭の水分量を低下させてから原料炭をコークス炉に装入すると、原料炭の嵩密度が上昇するために、コークス化する際のコークスの収縮量が減少する(非特許文献3参照)。通常、コークスの収縮量が十分である場合、コークス炉の炉壁とコークスケーキ外面との間には隙間(クリアランス)が生じる。
これに対して、コークスの収縮量が減少してクリアランスが不十分である場合には、コークスケーキを炉外に排出する際、炉壁とコークスケーキと外面との間の摩擦抵抗が過大になり、コークスケーキを炉外に排出できない操業トラブル(一般的に“押詰り”と呼ばれる)が発生する。特に炉壁の凹凸が大きい老朽化したコークス炉では、この“押詰り”が発生しやすい。従って、老朽化したコークス炉では、クリアランスを十分に確保するために湿炭操業を行うことが多い。
さらに、特許文献4には、固形粘結補填材と原料炭との混合物を乾燥して混合した後に水分を添加する技術が開示されているために、コークス炉に装入する時の水分量を必要なクリアランスを確保できるように調整すれば良いように思われる。しかしながら、乾燥している混合物中に水分を添加すると、水分は混合物中で容易に分散しない。このため、混合物中に水分のムラが生じ、特に嵩密度のムラができるため、コークス化した際の品質にバラツキが生じる。
非特許文献2記載の方法によれば、粒径が細かい粘結材や原料炭の擬似粒子が崩壊せずにそのままマクロ的に混合されるために、粘結材の分散性が高まらない。
さらに、従来の方法では、一旦調製した配合炭に粘結材を追加添加する場合、粘結材が良好に混合されないという問題もあった。例えば、製造すべきコークスの強度を緊急に向上させたい場合、既に調製済の配合炭に対して強度向上効果のある粘結材や強粘結炭を追加添加することがある。粘結材や強粘結炭(以下、粘結材等という)は輸送中の配合炭や配合ヤードに積み付けられている配合炭に対して高々数質量%程度添加されるが、そのような添加方法では、配合炭に対して粘結材等が十分に混合されないことが多い。
例えば、輸送ベルト上に少量ずつ粘結材を添加する場合には、粘結材の添加量にムラが生じやすい。また、ヤードへの追加積み付けの場合には、積み付け時に粘結材が偏析を起こし、比較的大粒の粘結材が石炭パイルの裾に多く添加されてしまう等、粘結材を均一に添加することが難しい。さらに、粉砕された配合炭に対して同じ粒度で粘結材を添加する必要があり、粘結材の添加時に粉塵が発生しやすいという点も環境上好ましくない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な方法で石炭中に粘結材を均一に分散させ、強度が強く、且つ、コークス炉からの押出性に優れたコークスを製造可能なコークスの製造方法を提供することにある。
本発明に係るコークスの製造方法は、2種以上の石炭を配合して配合炭を調製する調製ステップと、前記配合炭を攪拌混合することによって、石炭粒子が凝集することにより形成された配合炭中の擬似粒子の少なくとも一部を解砕する攪拌混合ステップと、攪拌混合後の配合炭をコークス炉に装入して乾留することによってコークスを製造する乾留ステップと、を含むコークスの製造方法であって、前記撹拌混合ステップが、前記配合炭に粘結材又は粘結性を有する石炭を添加するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記調製ステップは、2種以上の石炭を配合する前に該2種以上の石炭を粉砕するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記調製ステップは、前記2種以上の石炭を乾燥させるステップを含むことを特徴とする。
本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、水分量が6質量%以上である配合炭に対して前記攪拌混合ステップを行うことを特徴とする。
本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記攪拌混合ステップは、以下に示す数式(1)によって求められる到達度が攪拌混合操作を開始してから60秒後に0.6以上になる攪拌混合性能を有する混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップを含むことを特徴とする。
到達度=(Vmax−V(t))/(Vmax−Vst) …(1)
到達度は、平均粒径2.66[μm]の炭酸カルシウム95[質量%]と平均粒径0.47[μm]の酸化鉄(III)5[質量%]とを混合装置に入れて攪拌混合操作を行うことによって得られる混合物の明度から算出される値である。数式(1)中、tは攪拌混合操作を開始してからの時刻、Vmaxは炭酸カルシウムの明度、Vstは炭酸カルシウムと酸化鉄(III)を完全混合した混合物の明度、V(t)は時刻tにおける混合物の明度を表す。
本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記攪拌混合ステップは、単位混合容積あたりの所要動力が1.0×10[W/m]以上である混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記攪拌混合ステップは、撹拌混合後の配合炭が水分を保有している状態で該配合炭に対して篩分けを行って求めた粒径1[mm]以上の石炭粒子の含有率と、撹拌混合後の配合炭を乾燥させた後に該配合炭に対して篩分けを行って求めた粒径1[mm]以上の石炭粒子の含有率との差が6.9[質量%]以下になるように撹拌混合して擬似粒子を解砕するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係るコークスの製造方法によれば、簡易な方法で石炭中に粘結材を均一に分散させ、強度が強く、且つ、コークス炉からの押出性に優れたコークスを製造することができる。
図1は、石炭の水分量と擬似粒子の粒度分布との関係を示す図である。 図2は、擬似粒子を含まない配合炭及び粘結材を混合した場合と擬似粒子を含む配合炭及び粘結材を混合した場合における粘結材の分散性を説明するための図である。 図3は、配合炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を示す図である。 図4は、ミキサーの攪拌混合時間と到達度との関係を示す図である。 図5は、60秒後の到達度と解砕度との関係を示す図である。 図6は、単位混合容積あたりの所要動力と60秒後の到達度との関係を示す図である。 図7は、配合炭の水分量、粘結材の添加量、及び撹拌混合条件のコークス強度への影響を示す図である。
本発明の発明者らは、石炭及び粘結材の水分量が増加すると、石炭の擬似粒子化が顕著に進行するために、粘結材の分散性が低下し、粘結材の添加効果が減少すると考え、その検証を行った。図1に石炭の水分量と擬似粒子の粒度分布との関係を示す。なお、通常の石炭の粒度分布測定においては、石炭試料を乾燥させ、擬似粒子を崩壊させてから篩い分け分析を行う。これに対して、本実験では、水分添加後に生成した擬似粒子に一定の衝撃を加えながら石炭試料を一定時間篩い、衝撃で破壊されない擬似粒子の粒度分布を測定した。このように、石炭が水分を保有した状態で篩分けを行うことにより擬似粒子の粒度分布を測定できる。
図1に示すように、石炭の水分量が4[質量%]になるまでは、粒度分布は乾燥状態(水分量0[質量%])で測定した初期の粒度分布と変わらず、擬似粒子化は殆ど確認されなかった。ところが、石炭の水分量が6[質量%]を超えたあたりから、特に粒径1[mm]以上の粒子の重量割合が顕著に増加し、擬似粒子化の進行が確認された。これは、水分量が6[質量%]以上になると、粘結材が均一に分散されにくくなり、粘結材の添加効果が減少傾向になることを示している。これにより、本発明の発明者らは、特許文献4に記載されているように、石炭及び粘結材の水分量を低減させることによって粘結材の分散性が向上することを確認した。
しかしながら、上述のように、石炭及び粘結材を乾燥して水分量を低減させてから混合した後に水分を添加した場合、水分の偏在に伴いコークスの品質にばらつきが生じる。そこで、本発明の発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、仮に石炭と粘結材との混合物の水分量が6[質量%]以上であっても、粘結材の分散性を高めることが可能な攪拌混合操作を石炭と粘結材との混合物に施すことにより、粘結材の量が同じであっても乾留後のコークス強度が向上することを知見し、本発明を想到するに至った。以下、本発明を想到するまでの検討の流れを詳細に説明した後、本発明の一実施形態であるコークスの製造方法について説明する。
〔石炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係〕
本発明の発明者らは、配合炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を調査した。試験に使用した配合炭の平均性状(加重平均最大反射率(加重平均Ro)[%]、加重平均ギーセラー最高流動度(加重平均logMF)[log ddpm]、加重平均揮発分(加重平均VM)[質量%]、及び加重平均灰分(加重平均Ash)[質量%])を以下の表1に示す。ここで、配合炭調製に用いた各石炭の平均最大反射率はJIS M8816に基づき、ギーセラー最高流動度はJIS M8801に基づき、揮発分及び灰分はJIS M8812に基づきそれぞれ測定した。また、揮発分及び灰分はドライベースの値である。
Figure 0006086129
粘結材にはアスファルトピッチ(以下、ASPと表記)を使用した。配合炭試料及びASPの粒度は粒径3[mm]以下の粒子の重量割合がそれぞれ75[質量%]及び40.4[質量%]であった。配合炭及び粘結材の水分量が高い場合、配合炭中には配合炭からなる擬似粒子が存在し、粘結材中には粘結材からなる擬似粒子が存在するが、水分量を低下させるとそれぞれの擬似粒子は崩壊していく。そこで、水分量の影響を明確にするために配合炭試料及び粘結材をそれぞれ一旦乾燥させたものに水を添加し、水分量のみが異なる配合炭試料及び粘結材(水分量3,4,6,8,10[質量%])を用意した。なお、前述の通り、乾燥した粉体に水分を添加する場合、水分は混合物中に容易に分散しない。そのため、水分が均一に分散するように、配合炭試料及び粘結材中への水分の添加を噴霧器で満遍なく行い、水分添加後の配合炭試料及び粘結材を密閉容器の中で一昼夜放置して、配合炭試料及び粘結材と水分とを馴染ませ、水分調整を行った。
配合炭試料及び粘結材を構成する単一の粒子又は擬似粒子をその状態をほぼ維持したまま混合するために、対流混合が主体のドラムミキサーに同一の水分量の配合炭試料と粘結材とをその重量割合が95:5になるように投入し、60秒間混合した。そして、全ての混合物の水分量が10[質量%]になり、且つ、追加の混合操作を施さないように、不足分の水分を噴霧して添加し、密閉容器の中で一昼夜馴染ませた。この操作により得られた混合物は、混合前後で粒度分布が変化しなかったことから、図2(a),(b)に示すように、混合前の配合炭や粘結材中の擬似粒子はほぼ崩壊せず、マクロ的に混合されていると考えられる。このため、配合炭及び粘結材の水分量が高いほど、粘結材の分散性は悪いと考えられる。
コークス強度は以下の手順により評価した。配合炭試料17.1[kg]を嵩密度(乾燥重量基準)725[kg/m]となるように乾留缶に充填し、乾留缶の上に10[kg]の錘を乗せた状態で炉壁温度1050[℃]の電気炉内で6時間乾留した後、炉から取り出して窒素冷却してコークスを得た。得られたコークスの強度はJIS K 2151の回転強度試験法に基づき、回転速度15[rpm]で150回回転後の粒径15[mm]以上のコークスの質量割合を測定し、回転前との質量比×100をドラム強度DI(150/15)として算出した。なお、粘結材を添加しないで水分量が3[質量%]である状態で攪拌混合を施した後に水分量を10[質量%]に添加した配合炭試料100[質量%]に対しても同様の乾留、評価を行った。
以下に示す表2にコークス強度の測定結果を示す。また、図3に配合炭試料と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を示す。なお、粘結材を添加しないで製造したコークスの強度は83.2であった。これにより、表2及び図3に示すように、粘結材を添加することによって、粘結材を添加しない場合と比較してコークス強度が向上することが確認された。また、粘結材を添加した水準のコークス強度を比較すると、水分量が6[質量%]になるまではコークス強度は殆ど変わらないが、水分量が6[質量%]を超えるとコークス強度が低下することが確認された。
Figure 0006086129
図1に示した通り、水分量が6[質量%]を超えると擬似粒子が形成されると考えられるため、水分量が6[質量%]を超えるとコークス強度が低下する現象は、配合炭及び粘結材が擬似粒子として存在し、これらの混合が不十分であった影響によるものと考えられる。
〔コークスの製造方法〕
本発明の発明者らは、以上の調査及び考察より、水分量が6[質量%]以上である配合炭であっても粘結材の分散性を向上させる操作、具体的には攪拌混合操作を施すことにより、擬似粒子の存在(粘結材の分散性の低下)に起因するコークス強度の低下を抑止できると考えた。そこで、本発明の発明者らは、配合炭試料及び粘結材の擬似粒子を解砕して均一分散させる攪拌混合操作(剪断混合)が可能な攪拌混合装置及びその攪拌混合性能を評価した。
始めに、本発明の発明者らは、鋭意検討を重ね、擬似粒子を解砕し、均一分散させる度合いを指標化する方法を以下の通り考案した。
(1)粉末状の蛍光塗料(シンロイヒ(株)製、FX−305)を塗布した石炭をトレーサーとして準備する。トレーサーは紫外線照射下で発光する。従って、配合炭をデジタルカメラで撮影し、得られた画像を画像処理することによって、トレーサーのサイズや分散状態を指標化できる。トレーサーは、輝度や明度等の画像データで適切な閾値を設定することによって画像上で容易に抽出できる。本発明の発明者らは、輝度の閾値を設定してトレーサー部分を抽出した。
(2)トレーサーとして蛍光塗料が塗布された石炭は、擬似粒子化したものも含め、粒径1[mm]以上の粒子の面積割合が約5[%]になるように(配合炭の外観を紫外線照射下で写真撮影した時に粒径1[mm]以上の蛍光部分の面積割合が約5[%]になるように)、配合炭に添加される。ここで、トレーサーとして加えた石炭の粒径は、抽出されたトレーサー部分の外周の2点を結び、且つ、重心を通る径を2[°]刻みに測定した平均値を採用した。なお、配合炭の水分量は10[質量%]に調製した。
(3)トレーサーを添加した配合炭に対し攪拌混合操作を行い、攪拌混合操作後の混合物を紫外線照射下で撮影し、画像を画像処理して粒径1[mm]以上の面積割合を測定した。測定値を以下に示す数式(2)に代入することによって解砕度を算出した。ここで、数式(2)中のパラメータAは攪拌混合操作後の粒径1[mm]以上の粒子の面積割合、Aは初期の粒径1[mm]以上の粒子の面積割合(約5[%])である。すなわち、攪拌混合操作によって擬似粒子が解砕されるほど、解砕度の値は高くなる。
解砕度=1−A/A …(2)
上記の方法は、蛍光塗料を塗布した石炭からなる擬似粒子が解砕されているか否かを直接観察可能な方法であり、単に擬似粒子の粒度分布を測定する方法よりも擬似粒子の解砕度を正確に評価できる。一般に、水分存在下では石炭は容易に擬似粒子化してしまうため、混合後のハンドリングや篩い分けによっても擬似粒子の構成が変化してしまう可能性がある。そのため、解砕度の評価には上記の方法を採用した。なお、粒径1[mm]以上の粒子の面積割合で擬似粒子の解砕度を指標化した理由は、図1に示した通り、粘結材の分散性が問題になる石炭の水分量が6[質量%]以上の範囲で粒径1[mm]以上の擬似粒子が顕著に増加していることから、擬似粒子の多寡が石炭中における粘結材の分散性に大きく影響していると考えたためである。
次に、本発明の発明者らは、ミキサーの混合性能を検討し、粉体工業技術協会でまとめられた評価手法である「光学的手法による粉粒体の混合度測定」(非特許文献4参照)を採用した。以下、その手順及び評価方法について詳しく説明する。この評価方法では、共通粉体として暗赤色のベンガラ(酸化鉄(III),平均粒径0.47[μm])5[質量%]と白色の炭酸カルシウム(平均粒径2.66[μm])95[質量%]とをミキサー内に投入して攪拌混合操作を施す。
攪拌混合操作後の試料を取り出し、フォトメーター(MSE(株)製)を用いて試料の明度を測定する。試料は、攪拌混合操作が進むにつれてベンガラの凝集体が徐々に解砕されつつ分散し、全体の色味として赤く変化していく。従って、乳鉢によって完全混合した場合の明度に対して現在の明度がどの程度かを測定することにより、攪拌混合がどの程度進んでいるかを判定でき、到達度は以下に示す数式(1)のように定義できる。
到達度=(Vmax−V(t))/(Vmax−Vst) …(1)
ここで、数式(1)中のパラメータtは攪拌混合開始からの経過時間、Vmaxは炭酸カルシウムの明度、Vstは炭酸カルシウムと酸化鉄(III)とを完全混合した混合物の明度、V(t)は時刻tでの混合物の明度を示す。
非特許文献4記載の評価方法では、上記評価を種々のミキサーで行い、混合時間と到達度との曲線の形状からミキサーを3つのパターンに分類している。対流混合が主体であるAタイプのミキサーでは、曲線は下に凸の曲線になる。これに対して、剪断混合が主体であるBタイプのミキサーでは、曲線は上に凸の曲線になる。また、対流混合と剪断混合とが複合的に起こるCタイプのミキサーでは、曲線はAタイプのミキサーの曲線とBタイプのミキサーの曲線との中間的な曲線になる。この曲線の形状は、長時間の攪拌混合操作によって得られるものであり、60秒程度の攪拌混合操作では到達度が低く、ほとんど変化しないものがAタイプのミキサー、到達度が0.6以上になるものがBタイプのミキサー、その中間がCタイプのミキサーと言える。
本発明の発明者らは、タイプが異なるミキサーを用いて、トレーサーを添加した配合炭を60秒間攪拌混合処理し、解砕度を評価した。ミキサーの攪拌混合時間と到達度との関係を図4に示す。図4に示すミキサーAは、従来型のドラムミキサーであり、Aタイプに分類される。一方、ミキサーBはCタイプのミキサー、ミキサーC〜EはBタイプのミキサーである。また、60秒後の到達度と解砕度との関係を図5に示す。図5に示すように、解砕度は到達度が0.4〜0.6の範囲内で大きく変化することが確認された。すなわち、配合炭中における粘結材の分散性の向上に必要な混合性能は、60秒後の到達度が0.6以上、好ましく0.7以上であり、このような混合性能を有する好適なミキサーは剪断混合が主体であるBタイプのミキサーであることが明らかになった。
次に、本発明の発明者らは、ミキサーを機械的な観点から整理し、60秒後の到達度との関係を評価することを試みた。原理的に、ベンガラの凝集体が解砕されるためには、凝集体の破壊強度以上の力を凝集体に加える必要がある。しかしながら、ミキサーの構造はタイプ毎に大きく異なるために、凝集体への圧縮力や剪断力等の力の作用の仕方も様々であり、凝集体に加える力でミキサーを系統的に評価することは多大な労力を要する。そこで、本発明の発明者らは、凝集体に加える力はミキサーへの投入エネルギー(動力)と相関関係があると考え、投入エネルギーによるミキサーの整理を試みた。
実際には、投入エネルギーは凝集体の破壊エネルギーのみならず、混合物の輸送エネルギーや摩擦熱等に変換され、それぞれの変換割合はミキサー毎に異なると考えられる。しかしながら、図6に示すように、単純に単位混合容積あたりの所要動力と60秒後の到達度との関係を評価したところ、概ね良好な相関関係が成立する。そして、図6に示す相関関係より、60秒後の到達度が0.6以上になるのは単位混合容積あたりの所要動力が1.0×10[W/m]以上、60秒後の到達度が0.7以上になるのは単位混合容積あたりの所要動力が3.0×10[W/m]以上であることが明らかになった。
従って、擬似粒子の解砕による配合炭中における粘結材の分散性の向上に必要な攪拌混合性能を有する好適なミキサーは、単位混合容積あたりの所要動力が1.0×10[W/m]以上、好ましくは3.0×10[W/m]以上である。すなわち、到達度を測定しなくても所要動力と単位混合容積とから好適なミキサーを容易に選定することができる。
また、ミキサーの形式によらず、どの程度の擬似粒子を解砕すべきかを基準にミキサーを選定し、撹拌混合条件を決めることもできる。石炭中の擬似粒子の量は擬似粒子の粒度分布から算出できるので、擬似粒子がどの程度解砕されるように撹拌混合すればよいかは、撹拌混合後の擬似粒子の粒度分布から算出できる。図1に示した擬似粒子の粒度分布の測定結果から、擬似粒子がどの程度解砕されていることが好ましいかを算出すると以下のようになる。図1に示す粒度分布の測定値を以下の表3に示す。
Figure 0006086129
例えば、表3に示す水分量6[質量%]における測定結果より、粒径1[mm]以上の擬似粒子の質量割合は、粒径+6[mm]の石炭粒子、粒径2.8〜6[mm]の石炭粒子、及び粒径1〜2.8[mm]の石炭粒子の重量割合の合計として、59.8[質量%]と計算される。これに対して、水分量0[質量%]における測定結果では、擬似粒子は形成されないので、水分量0[質量%]における粒径1[mm]以上の石炭粒子の質量割合は52.9[質量%]となる。
以上のように、水分量が6[質量%]である場合は、水分量が0[質量%]である場合よりも、粒径1[mm]以上の石炭粒子の割合が6.9[質量%]増加している。これは、擬似粒子の形成による影響と考えられる。また、水分量が10[質量%]である場合には、粒径1[mm]以上の石炭粒子の質量割合は、98.2[質量%]となり、水分量が0[質量%]である場合よりも45.3[質量%]増加しており、水分量が多くなると擬似粒子が多くなることがわかる。
ここで、図3より、水分量が6[質量%]である状態でのコークス強度は十分に高いことが明らかであるため、水分量が6[質量%]である状態になるまで擬似粒子を減らすことができれば、高強度のコークスを製造できると言える。従って、上記の例より、高強度のコークスを製造するためには、石炭が水分を保有している状態で篩分けを行って求めた粒径1[mm]以上の石炭粒子の含有率と石炭を乾燥後に篩分けを行って求めた粒径1[mm]以上の石炭粒子の含有率との差が6.9[質量%]以下になるように撹拌混合して擬似粒子を解砕することが好ましいことがわかる。
以上の検討結果から、Bタイプのミキサーをコークスの製造ラインに導入し、原料炭と粘結材とを攪拌混合処理することにより、原料炭中における粘結材の分散性及びコークス強度を向上できることが明らかになった。また、ミキサーには処理の方法によってバッチ式のミキサーと連続式のミキサーとが存在する。バッチ式のミキサーの場合、処理時間が混合時間に相当するため、処理時間と到達度との関係から攪拌混合性能を測定する。一方、連続式のミキサーの場合には、ミキサー内での滞留時間が攪拌混合時間に相当するため、滞留時間と到達度との関係から攪拌混合性能を測定し、好適なミキサーを選定すればよい。勿論、単位混合容積あたりの所要動力から好適なミキサーを選定してもよい。コークスの製造においては数100[t/h]以上の膨大な処理を必要とするために、コークスの製造ラインに導入するミキサーの処理方法は処理能力が高い連続式である方が好ましい。
粘結材を添加するタイミングとしては、石炭を配合する工程が考えられる。しかしながら、石炭を配合する際に粘結材を添加した場合、粘結材は軟化点が低いものが多いために、その後の乾燥工程で装置内に粘結材が付着する可能性がある。また、石炭運搬中にベルトコンベア上に粘結材を添加した場合には、粘結材が飛散する可能性が高い。このため、粘結材は、石炭と共に混合装置内へ直接添加することが好ましい。
なお、これまで粘結材の混合について述べてきたが、今回の方法を用いれば、粘結材の代わりに粘結性を有する石炭を配合炭と同時に混合装置内へ直接装入することも可能である。この結果、原料炭の配合割合変更の自由度が高まるため、急なコークス強度の低下に対応することやコークス炉毎に原料炭の配合割合を変更するといったことも可能になる。
粘結材の粒度は細粒化するほど、粘結材の分散性が高まり、コークス強度の向上効果が拡大するため有利である。従って、粘結材を石炭に添加する前に粘結材を可能な限り粉砕しておくことが望ましい。しかしながら、本発明は、いずれの粒径を有する粘結材を石炭に添加する場合であっても石炭中での粘結材の分散性を高めることができ、コークス強度の向上効果を拡大することができる。
石炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を調査した結果から、攪拌混合の効果が有効なのは混合時の水分量が6[質量%]以上の場合である。従って、配合炭の乾燥を行う工程を有するコークスの製造ラインであっても、乾燥後の配合炭の水分量が6[質量%]以上であるならば、ミキサーによる攪拌混合処理によってコークス強度の向上効果を得ることができる。なお、乾燥工程では石炭の水分を全て蒸発させる必要はなく、乾燥工程には水分を低減させる部分乾燥や調湿操作も含まれる。また、配合炭は、油類、粉コークス、石油コークス、樹脂類、廃棄物等の添加物を含むものであってもよい。
なお、本発明を適用することにより、コークス強度を維持しつつ粘結材の使用量を低減できるので、コークスの製造コストを削減することもできる。
本実施例では、水分量のみが異なる以下の表4に示す配合炭(水分量3,4,6,8,10[質量%])及び粘結材(コールタールピッチ、軟化点70〜80[℃])を用意し、攪拌混合形態が異なるミキサーA〜Eに重量割合が95:5になるように配合炭と粘結材とを投入して60秒間攪拌混合した。このとき、配合炭及び粘結材は予め混合せず、配合炭をミキサーに投入しながら、同時に所定量の粘結材をミキサーに投入した。試料石炭及びコールタールピッチの粒度は粒径3[mm]以下の粒子の重量割合がそれぞれ75[%]及び10.3[%]であった。なお、ミキサーAは従来型のドラムミキサー(比較例1)、ミキサーC〜Eは剪断混合が主体のBタイプのミキサー(発明例1〜3)、ミキサーBは従来型と発明例との中間の混合性能を有するCタイプのミキサー(比較例2)である。
Figure 0006086129
測定結果を以下の表5に示す。コークス強度は、ミキサーのタイプによって大きな差異が現れた。すなわち、A,Cタイプのミキサー(比較例1,2)では、水分量が3,4[質量%]と低い石炭であっても、コークス強度が84.2〜84.3と低く、さらに水分量の上昇に伴いコークス強度が大幅に低下した。この理由として、今回実験に用いたコールタールピッチにおける粒径3[mm]以下の粒子の重量割合が10.3[%]と、石炭における粒径3[mm]以下の粒子の重量割合に対して大きいものであったため、A,Cタイプのミキサーではコールタールピッチを解砕することができなかったこと、さらに高水分時にコールタールピッチの混合が十分できなかったためと考えられる。
これに対し、Bタイプのミキサー(発明例1〜3)では、コークス強度が高く、水分量が10[質量%]まで上昇してもコークス強度の顕著な低下は見られなかった。以上の結果より、本発明によれば、粘結材の解砕や配合炭の水分量の低下をしなくても、粘結材添加によるコークス強度の向上効果を得られることが確認できた。
Figure 0006086129
本実施例では、水分量のみが異なる表4に示す配合炭と以下の表6に示す粘結性を有する石炭を準備し(水分量3,4,6,8,10[質量%])、実施例1と同様の実験行った。このとき、配合炭及び粘結性を有する石炭は予め混合せず、配合炭をミキサーに投入しながら、同時に配合炭に対し5[質量%]の粘結性を有する石炭をミキサーに投入した。試料石炭の粒度は配合炭、粘結性を有する石炭共に粒径3[mm]以下の粒子の重量割合が75[%]であった。
Figure 0006086129
測定結果を以下の表7に示す。表7に示すように、水分量が6[質量%]以上である配合炭において、ミキサーの混合効果によってコークス強度に大きな差が生じた。すなわち、Bタイプのミキサー(発明例1〜3)では、ミキサーの混合効果が大きく、水分量が10[質量%]である場合でも、水分量が6[質量%]以下である場合のコークス強度に匹敵するコークス強度が得られた。これに対して、A,Cタイプ(比較例1,2)のミキサーでは、水分量が3,4[質量%]あれば、Bタイプのミキサーの場合と同等のコークス強度であるが、水分量が6[質量%]以上になるとコークス強度が大幅に低下した。
Figure 0006086129
以上のことから、水分量が6[質量%]以上である分散性が低い配合炭であっても、せん断混合が主体であるBタイプのミキサーを用いて攪拌混合処理することによって、従来型のミキサーではなし得ない、粘結材や粘結性を有する石炭の分散性の向上によるコークス強度の向上が可能であることが明らかになった。
本実施例では、水分量のみが異なる表4に示す配合炭(水分量3,4,6,8,10[質量%])及び粘結材(コールタールピッチ、軟化点70〜80℃)を用意し、攪拌混合形態が異なるミキサーA,Eに所定の割合で配合炭と粘結材とを投入して60秒間攪拌混合した。このとき、配合炭及び粘結材は予め混合せず、配合炭をミキサーに投入しながら、同時に所定量の粘結材をミキサーに投入した。配合炭及びコールタールピッチの粒度は粒径3[mm]以下の粒子の重量割合がそれぞれ75[質量%]及び10.3[質量%]であった。なお、ミキサーAは従来型のドラムミキサー(比較例1)、ミキサーEは剪断混合が主体のBタイプのミキサー(発明例3)であった。
測定結果を以下の表8及び図7に示す。コークス強度には、ミキサーのタイプ、水分量、及び粘結材比率(ピッチ配合率)によって大きな差異が現れた。すなわち、従来型のドラムミキサーを使用し、粘結材比率を5[質量%]とした場合(比較例1)、水分量が3,4[質量%]と低い石炭であっても、コークス強度は84.2〜84.3と低く、さらに水分量の上昇に伴いコークス強度が大幅に低下した。この理由として、今回実験に用いたコールタールピッチにおける粒径3[mm]以下の粒子の質量割合が10.3[質量%]と、石炭における粒径3[mm]以下の粒子の質量割合に対して大きいものであったため、従来型のドラムミキサーではコールタールピッチを解砕することができなかったため、さらには高水分時にコールタールピッチの混合が十分できなかったためと考えられる。
また、従来型のドラムミキサー(比較例1)で粘結材を添加しない場合には、水分量が10[質量%]と高い場合のコークス強度が82.6と非常に低く、水分量を低下させてもコークス強度は83.0までしか上昇しなかった。これは、粘結材がないことに加え、高水分のため、配合炭自体が十分に混合されていないことが原因と考えられる。
これに対して、Bタイプのミキサー(ミキサーE、発明例3及び参考例)では、粘結材の添加量に係わらず水分量が10[質量%]まで上昇してもコークス強度の顕著な低下は見られなかった。また、粘結材を2[質量%]しか入れないケースと従来型のドラムミキサーを使用して粘結材比率を5[質量%]としたケースとを比較すると、高水分時においては粘結材を2[質量%]しか入れないケースでもコークス強度が高くなった。
Figure 0006086129
図7及び表8より、撹拌混合能力の高いBタイプのミキサー(ミキサーE)を用いて配合炭を撹拌混合することによるコークス強度向上効果は、粘結材の添加量が0[質量%]の場合でも観測されるが、粘結材を添加した条件では撹拌混合の効果がより大きくなることがわかる。さらに、Bタイプのミキサー(ミキサーE)による撹拌混合の効果は、特に配合炭の水分量が高い場合に顕著となることもわかる。これにより、本発明によれば、より少ない粘結材でコークス強度の向上を得られること、配合炭の水分量が高い場合に起こるコークス強度の低下を抑制できることが確認できた。
このように所定の配合炭に対して、その石炭を混合するミキサーに粘結材や粘結性を有する石炭を添加することにより、得られるコークスの強度を高めることができる。この時、粘結材や粘結性を有する石炭の品質や添加量を調整することによって、要求される強度向上分だけコークス強度を向上させることができる。加える粘結材は、石炭の軟化溶融温度域で溶融して石炭の融着を促進する作用のある物質を添加すればよい。
粘結性を有する石炭としては、流動性を有する石炭であって、そのビトリニットの平均最大反射率Roが配合炭の加重平均Roを上回るものが望ましい。さらには、粘結性を有する石炭が前述のビトリニットの平均最大反射率Roの条件を満たすと同時にギーセラー最高流動度の常用対数値logMFが1.0を超えるものであるとさらに望ましい。
なお、ミキサーに粘結材や粉砕した粘結性を有する石炭を添加する場合、その添加ラインを密閉しておくことで、粉塵の発生を抑止することができる。また、Bタイプのミキサーを用いることにより、粘結材を事前に粉砕しておく必要もないことが明らかになった。また、軟化点の低い粘結材を用いても粘結材の装置への付着も起こらず、粘結材のハンドリングが容易になるという効果も認められた。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。

Claims (6)

  1. 2種以上の石炭を配合して配合炭を調製する調製ステップと、前記配合炭を攪拌混合することによって、石炭粒子が凝集することにより形成された配合炭中の擬似粒子の少なくとも一部を解砕する攪拌混合ステップと、攪拌混合後の配合炭をコークス炉に装入して乾留することによってコークスを製造する乾留ステップと、を含むコークスの製造方法であって、
    前記撹拌混合ステップが、前記配合炭に粘結性を有する石炭を添加するステップと、以下に示す数式(1)によって求められる到達度が攪拌混合操作を開始してから60秒後に0.6以上になる攪拌混合性能を有する混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップと、を含むことを特徴とするコークスの製造方法。
    到達度=(V max −V(t))/(V max −V st ) …(1)
    到達度は、平均粒径2.66[μm]の炭酸カルシウム95[質量%]と平均粒径0.47[μm]の酸化鉄(III)5[質量%]とを混合装置に入れて攪拌混合操作を行うことによって得られる混合物の明度から算出される値である。数式(1)中、tは攪拌混合操作を開始してからの時刻、V max は炭酸カルシウムの明度、V st は炭酸カルシウムと酸化鉄(III)を完全混合した混合物の明度、V(t)は時刻tにおける混合物の明度を表す。
  2. 前記調製ステップは、2種以上の石炭を配合する前に該2種以上の石炭を粉砕するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のコークスの製造方法。
  3. 前記調製ステップは、前記2種以上の石炭を乾燥させるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のコークスの製造方法。
  4. 水分量が6質量%以上である配合炭に対して前記攪拌混合ステップを行うことを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載のコークスの製造方法。
  5. 前記攪拌混合ステップは、単位混合容積あたりの所要動力が1.0×10[W/m]以上である混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップを含むことを特徴とする請求項1〜のうち、いずれか1項に記載のコークスの製造方法。
  6. 前記攪拌混合ステップは、撹拌混合後の配合炭が水分を保有している状態で該配合炭に対して篩分けを行って求めた粒径1[mm]以上の石炭粒子の含有率と、撹拌混合後の配合炭を乾燥させた後に該配合炭に対して篩分けを行って求めた粒径1[mm]以上の石炭粒子の含有率との差が6.9[質量%]以下になるように撹拌混合して擬似粒子を解砕するステップを含むことを特徴とする請求項1〜のうち、いずれか1項に記載のコークスの製造方法。
JP2015098718A 2014-05-15 2015-05-14 コークスの製造方法 Active JP6086129B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015098718A JP6086129B2 (ja) 2014-05-15 2015-05-14 コークスの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014101162 2014-05-15
JP2014101162 2014-05-15
JP2015098718A JP6086129B2 (ja) 2014-05-15 2015-05-14 コークスの製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016236630A Division JP2017066414A (ja) 2014-05-15 2016-12-06 コークスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015232124A JP2015232124A (ja) 2015-12-24
JP6086129B2 true JP6086129B2 (ja) 2017-03-01

Family

ID=54933773

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015098718A Active JP6086129B2 (ja) 2014-05-15 2015-05-14 コークスの製造方法
JP2016236630A Pending JP2017066414A (ja) 2014-05-15 2016-12-06 コークスの製造方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016236630A Pending JP2017066414A (ja) 2014-05-15 2016-12-06 コークスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6086129B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5493001A (en) * 1977-12-05 1979-07-23 Nippon Steel Corp Production of metallurgical coke
JPH09100473A (ja) * 1995-10-03 1997-04-15 Nippon Steel Corp 高炉用コークス製造方法
JP4695244B2 (ja) * 2000-05-18 2011-06-08 新日本製鐵株式会社 コークス製造方法
JP4820186B2 (ja) * 2005-03-02 2011-11-24 勲 持田 コークス用粘結材の製造方法
JP4486552B2 (ja) * 2005-06-22 2010-06-23 新日本製鐵株式会社 高強度コークスの製造方法
JP2007016186A (ja) * 2005-07-11 2007-01-25 Kansai Coke & Chem Co Ltd コークスの製造方法
JP5530292B2 (ja) * 2010-07-28 2014-06-25 株式会社神戸製鋼所 製鉄用コークスの製造方法
JP2014105213A (ja) * 2012-11-22 2014-06-09 Jfe Steel Corp コークスの製造方法
JP5783338B2 (ja) * 2012-11-22 2015-09-24 Jfeスチール株式会社 コークスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017066414A (ja) 2017-04-06
JP2015232124A (ja) 2015-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5783338B2 (ja) コークスの製造方法
JP6561985B2 (ja) コークスの製造方法および配合炭の均質性の評価方法
JP4003509B2 (ja) コークス製造過程で発生した微粉コークスの再利用方法
JP6265015B2 (ja) コークス製造方法
JP2006283008A (ja) 高炉用コークスの製造方法
JP6086129B2 (ja) コークスの製造方法
JP6094622B2 (ja) コークスの製造方法
JP2014105213A (ja) コークスの製造方法
JP6007958B2 (ja) コークスの製造方法
JP6260563B2 (ja) フェロコークスの製造方法
KR101430841B1 (ko) 고강도 코크스의 제조 방법
JP6070628B2 (ja) コークスの製造方法
JP2004307557A (ja) 高強度コークスの製造方法
JP2001323281A (ja) コークス製造方法
JP2002327181A (ja) 高炉用コークスの製造方法
JP2019002011A (ja) コークスの製造方法
EP1462507A1 (fr) Procédé pour la fabrication d'agglomérés et agglomérés combustibles
JP2007308533A (ja) コークススラッジの再利用方法
WO2016056331A1 (ja) 無灰炭配合量決定方法及び高炉用コークスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161018

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6086129

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250