JP2014105213A - コークスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】石炭中に粘結材を均一に分散させることができるコークスの製造方法を提供すること。
【解決手段】コークスの製造方法は、1種以上の石炭と粘結材とを配合して配合炭を調製する調製ステップと、配合炭を攪拌混合することによって、石炭又は粘結材が凝集することにより形成された配合炭中の擬似粒子の少なくとも一部を解砕する攪拌混合ステップと、攪拌混合後の配合炭をコークス炉に装入して乾留することによってコークスを製造する乾留ステップと、を含む。このコークスの製造方法によれば、石炭中に粘結材を均一に分散させることができる。
【選択図】図7
【解決手段】コークスの製造方法は、1種以上の石炭と粘結材とを配合して配合炭を調製する調製ステップと、配合炭を攪拌混合することによって、石炭又は粘結材が凝集することにより形成された配合炭中の擬似粒子の少なくとも一部を解砕する攪拌混合ステップと、攪拌混合後の配合炭をコークス炉に装入して乾留することによってコークスを製造する乾留ステップと、を含む。このコークスの製造方法によれば、石炭中に粘結材を均一に分散させることができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、コークス炉内で石炭を乾留することによってコークスを製造するコークスの製造方法に関するものである。
製銑法として最も一般的に行われている高炉法において使用されるコークスは、鉄鉱石の還元材、熱源、スペーサー等の数々の役割を担っている。高炉を安定的に効率よく操業するためには、高炉内の通気性を維持することが重要である。このため、強度、特にJIS K 2151の回転強度試験法で測定される回転強度が高いコークスが求められている。このような背景から、これまでに種々のコークス強度向上技術が開発されている。
コークスは、粒度を調整した種々のコークス製造用石炭(以下、原料炭とも表記)を配合した配合炭をコークス炉内で乾留することによって製造される。配合炭は、約300〜550[℃]の温度域で軟化溶融すると共に揮発分の発生に伴い発泡、膨張することによって、石炭粒子が互いに接触し合って塊状のセミコークスになる。セミコークスは、その後1000[℃]付近まで昇温する過程で収縮することによって焼きしまり、堅牢なコークス(コークスケーキ)となる。このため、石炭の軟化溶融時の接着特性が、コークス強度や粒径等のコークスの性状に大きな影響を及ぼす。
従来より、コークス強度を向上させる方法として、原料炭に粘結材(以下、粘結補填材とも表記)を一部添加する方法が一般的に行われている(非特許文献1参照)。粘結材は、石炭の軟化溶融時の接着特性を向上させる効果を有し、具体的にはタールピッチ、石油系ピッチ、溶剤精製炭、溶剤抽出炭等である。仮に原料炭への粘結材の添加効果を大きくできれば、同じ量の粘結材を使用してもコークス強度の向上が見込めるため、高強度のコークスの製造に有利である。また、同じ強度のコークスを製造する場合には、粘結材の添加量を低減できるために、コスト削減が可能となり有利である。
原料炭への粘結材の添加効果を大きくするためには、粘結材と石炭との接触点を増加させること、すなわち粘結材を石炭中に均一に分散させることが有効である。このため、これまでに粘結材の分散状態を高める技術が開発されてきた。石炭に常温で固体の粘結材を添加して均一に分散させる場合、粘結材を融点以上に加熱して液状化し、石炭に混練させることが好ましい(特許文献1参照)。しかしながら、液体の粘結材は、粉体の流動性を低下させ、配管の閉塞やホッパー内での付着や棚吊り等の操業上のトラブルを引き起こすことがあり、ハンドリング性に難点がある。また、固体の粘結材を融点以上に加熱するためには、加熱用の設備費及び運転費が余計にかかる。
そこで、固体の粘結材を固体のまま石炭に添加して均一に分散させる方法が種々提案されている。固体の粘結材の分散性を高めるためには、粘結材の粒度を細かくすることが有効である。具体的には、特許文献2には、粘結材の平均粒径を4.6[mm]、2.4[mm]、0.8[mm]と細かくするのに伴いコークス強度が向上すること、及び粘結材を石炭と共に粉砕する場合には石炭の平均粒径を4.6[mm]以下にすることが記載されている。
特許文献3には、粒径3[mm]未満の石炭粒子を75〜85[%]含む原料炭に粒径3[mm]未満の細粒を78[%]以上含む石油系ピッチ又は石炭系ピッチの固形粘結補填材を混合することを特徴とする高強度コークスの製造方法が開示されている。また、特許文献3には、固形粘結補填材が粒径0.3[mm]未満の微細粒を含まない方がよいとの記載もある。また、粒径0.3[mm]未満の微細粒が少ない方がよい理由として、微細粒の固形粘結補填材は凝集しやすく、凝集するとコークス強度の向上効果が飽和してしまうこと、及び微細粒は、コークス炉への装入嵩密度の低下、キャリーオーバー微粉の増加、コークス炉の炉壁に付着するカーボン量の増加等、コークス炉操業上のトラブルを誘発する可能性があることを挙げている。
特許文献4には、原料炭中に固形粘結補填材を均一に分散させる技術が開示されている。具体的には、粒径0.3[mm]未満の固形粘結補填材の微粉粒子は凝集しやすく、且つ、微粉粒子が凝集して形成された擬似粒子は、原料炭と混合しても容易に崩壊するものではなく、原料炭中における固形粘結補填材の分散性を低下させる。これに対して、特許文献4記載の技術の発明者らは、擬似粒子の形成には水の薄膜が作用しているため、擬似粒子を形成する微細粒子を含む固形粘結補填材と原料炭との混合物中の水分量を調整することによって、擬似粒子の大きさを原料炭との均一混合に適した大きさに調整できることを見出した。
そして、特許文献4記載の技術の発明者らは、粉砕した固形粘結補填材に含まれる粒径0.3[mm]以下の微粉粒子の含有量と混合物の水分含有量とを所定の範囲内に調整することによって、粒径0.3[mm]以下の固形粘結補填材の微粉粒子が凝集して形成された擬似粒子の粒径が原料炭との混合に適した大きさになり、原料炭中に粉砕した固形粘結補填材を均一に分散させることができると述べている。また、特許文献4には、粒径0.01[mm]以上0.3[mm]以下の微細粒子を50[質量%]以上100[質量%]以下含有する粉砕粘結補填材を原料炭と混合するに際し、混合工程における混合物の水分含有量が0[質量%]以上8[質量%]以下になるようにすること、及び固形粘結補填材を粉砕して粒径0.01[mm]以上0.3[mm]以下の微細粒子を30[質量%]以上100[質量%]以下含有する粉砕粘結補填材を原料炭と混合するに際し、混合工程における混合物の水分含有量が0[質量%]以上7[質量%]以下になるようにすることと記載されている。
さらに、特許文献4には、混合物の水分含有量が6[質量%]以下である場合、発塵が顕著になることから、混合工程の後に混合物の水分含有量が6[質量%]以上になるように水分を添加する技術も記載されている。
また、固体の粘結材を石炭に添加したものをドラムミキサー等の混炭機で処理することによって、石炭中に固体の粘結材を均一に分散させる方法も知られている(非特許文献2参照)。但し、従来の研究により、コークスの製造プロセスで使用される配合炭は、混炭機を通過させるまでもなく、搬送途中のベルトコンベアの乗り継ぎ等で十分に混合されることが確認されている(非特許文献2参照)。このため、現在では混炭機を使用しないで粘結材の均質化を図っているコークス工場も多い。
木村ら著、「石炭化学と工業」、1977年、三共出版(株)、東京、p.315
大越ら、コークスサーキュラー、20巻、1971年、p.271
山本ら、材料とプロセス、20巻、2007年、p.876
佐藤ら、粉体工学会誌、30巻、1993年、p.390
上述の通り、石炭中における固体の粘結材の分散性を高めるためには、粘結材の粒度を細かくし、擬似粒子化した粘結材を分散させることが有効である。しかしながら、上述した特許文献2〜4及び非特許文献2記載の方法には以下に示すような問題点がある。
特許文献2,3記載の方法によれば、粘結材の粒度を細かくするために、原料炭中における粘結材の分散性は確実に高まり、コークス強度は向上する。しかしながら、粒径が小さい粘結材や原料炭の粒子が擬似粒子化した場合には、粘結材の分散性が低下し、十分なコークス強度の向上効果が見込めない。実際、本発明の発明者らは、水分量を変化させて一般的な原料炭の粒度分布を測定したところ、水分量が6[質量%]以上であるときに特に擬似粒子化が顕著になることを確認した(図1参照)。
特許文献4記載の方法は、粘結材の粒度を細かくし、且つ、擬似粒子を形成する微細粒子を含む固形粘結補填材と原料炭との混合物中の水分量を調整し、擬似粒子の大きさを原料炭との均一混合に適した大きさ(粒径)に調整するため、原料炭中に粉砕した粘結補填材を均一に分散させることができる点で有効である。しかしながら、特許文献4記載の方法では、固形粘結補填材の擬似粒子を崩壊させることは意図されているものの、石炭からなる擬似粒子を崩壊させることが意図されていないため、石炭と粘結材との混合が不十分になってしまう。
また、特許文献4記載の方法では、擬似粒子を崩壊させる方法として、原料炭の水分量を低下させる方法が提案されているのみであるために、原料炭の水分量を積極的に低下させない、いわゆる湿炭操業には適用することができない。原料炭の水分量を低下させてから原料炭をコークス炉に装入すると、原料炭の嵩密度が上昇するために、コークス化する際のコークスの収縮量が減少する(非特許文献3参照)。通常、コークスの収縮量が十分である場合、コークス炉の炉壁とコークスケーキ外面との間には隙間(クリアランス)が生じる。
これに対して、コークスの収縮量が減少してクリアランスが不十分である場合には、コークスケーキを炉外に排出する際、炉壁とコークスケーキと外面との間の摩擦抵抗が過大になり、コークスケーキを炉外に排出できない操業トラブル(一般的に“押詰り”と呼ばれる)が発生する。特に炉壁の凹凸が大きい老朽化したコークス炉では、この“押詰り”が発生しやすい。従って、老朽化したコークス炉では、クリアランスを十分に確保するために湿炭操業を行うことが多い。
さらに、特許文献4には、固形粘結補填材と原料炭との混合物を乾燥して混合した後に水分を添加する技術が開示されているために、コークス炉に装入する時の水分量を必要なクリアランスを確保できるように調整すれば良いように思われる。しかしながら、乾燥している混合物中に水分を添加すると、水分は混合物中で容易に分散しない。このため、混合物中に水分のムラが生じ、特に嵩密度のムラができるため、コークス化した際の品質にバラツキが生じる。
非特許文献2記載の方法によれば、粒径が細かい粘結材や原料炭の擬似粒子が崩壊せずにそのままマクロ的に混合されるために、粘結材の分散性が高まらない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、石炭中に粘結材を均一に分散させることができるコークスの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコークスの製造方法は、1種以上の石炭と粘結材とを配合して配合炭を調製する調製ステップと、前記配合炭を攪拌混合することによって、石炭又は粘結材が凝集することにより形成された配合炭中の擬似粒子の少なくとも一部を解砕する攪拌混合ステップと、攪拌混合後の配合炭をコークス炉に装入して乾留することによってコークスを製造する乾留ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記調製ステップは、1種以上の石炭及び粘結材を配合する前に該1種以上の石炭を粉砕するステップを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記調製ステップは、1種以上の石炭を粘結材と配合する前に該1種以上の石炭を乾燥させるステップを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記調製ステップは、1種以上の石炭を粘結材と配合した後に該配合炭を乾燥させるステップを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、水分量が6質量%以上である配合炭に対して前記攪拌混合ステップを行うことを特徴とする。
また、本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記攪拌混合ステップは、以下に示す数式(1)によって求められる到達度が攪拌混合操作を開始してから60秒後に0.6以上になる攪拌混合性能を有する混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップを含むことを特徴とする。
到達度は、平均粒径2.66μmの炭酸カルシウム95質量%と平均粒径0.47μmの酸化鉄(III)5質量%とを混合装置に入れて攪拌混合操作を行うことによって得られる混合物の明度から算出される値である。数式(1)中、tは攪拌混合操作を開始してからの時刻、Vmaxは炭酸カルシウムの明度、Vstは炭酸カルシウムと酸化鉄(III)を完全混合した混合物の明度、V(t)は時刻tにおける混合物の明度を表す。
また、本発明に係るコークスの製造方法は、上記発明において、前記攪拌混合ステップは、単位混合容積あたりの所要動力が1.0×104W/m3以上である混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係るコークスの製造方法によれば、石炭中に粘結材を均一に分散させることができる。これにより、配合炭に粘結材を添加するコークスの製造方法において、配合炭のコストの増加を招くことなく、コークス強度を向上させることができる。また、同じ強度のコークスを製造する場合には、添加する粘結材の量を低減し、コストを低減させることができる。
本発明の発明者らは、石炭と粘結材の水分量が増加すると、石炭の擬似粒子化が顕著に進行するために、粘結材の分散性が低下し、粘結材の添加効果が減少すると考え、その検証を行った。図1に石炭の水分量と擬似粒子の粒度分布との関係を示す。なお、通常の石炭の粒度分布測定においては、石炭試料を乾燥させ、擬似粒子を崩壊させてから篩い分け分析を行う。これに対して、本実験では、水分添加後に生成した擬似粒子に一定の衝撃を加えながら石炭試料を一定時間篩い、衝撃で破壊されない擬似粒子の粒度分布を測定した。
図1に示すように、石炭の水分量が4[質量%]になるまでは、粒度分布は乾燥状態(水分量0[質量%])で測定した初期の粒度分布と変わらず、擬似粒子化は殆ど確認されなかった。ところが、石炭の水分量が6[質量%]を超えたあたりから、特に粒径1[mm]以上の粒子の重量割合が顕著に増加し、擬似粒子化の進行が確認された。これは、水分量が6[質量%]以上になると、粘結材が均一に分散されにくくなり、粘結剤の添加効果が減少傾向になることを示している。これにより、本発明の発明者らは、特許文献4に記載されているように、石炭と粘結材の水分量を低減させることによって粘結材の分散性が向上することを確認した。
しかしながら、上述のように、石炭と粘結材とを乾燥して水分量を低減させてから混合した後に水分を添加した場合、水分の偏在に伴いコークスの品質にばらつきが生じる。そこで、本発明の発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、仮に石炭と粘結材との混合物の水分量が6[質量%]以上であっても、粘結材の分散性を高めることが可能な攪拌混合操作を石炭と粘結材との混合物に施すことにより、粘結材の量が同じであっても乾留後のコークス強度が向上することを知見し、本発明を想到するに至った。以下、本発明を想到するまでの検討の流れを詳細に説明した後、本発明の一実施形態であるコークスの製造方法について説明する。
〔石炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係〕
本発明の発明者らは、配合炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を調査した。試験に使用した配合炭の平均性状(加重平均最大反射率(加重平均Ro)[%]、加重平均ギーセラー最高流動度(加重平均logMF)[log ddpm]、加重平均揮発分(加重平均VM)[質量%]、及び加重平均灰分(加重平均Ash)[質量%])を以下の表1に示す。ここで、配合炭調製に用いた各石炭の平均最大反射率はJIS M8816に基づき、ギーセラー最高流動度はJIS M8801に基づき、揮発分及び灰分はJIS M8812に基づきそれぞれ測定した。また、揮発分及び灰分はドライベースの値である。
本発明の発明者らは、配合炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を調査した。試験に使用した配合炭の平均性状(加重平均最大反射率(加重平均Ro)[%]、加重平均ギーセラー最高流動度(加重平均logMF)[log ddpm]、加重平均揮発分(加重平均VM)[質量%]、及び加重平均灰分(加重平均Ash)[質量%])を以下の表1に示す。ここで、配合炭調製に用いた各石炭の平均最大反射率はJIS M8816に基づき、ギーセラー最高流動度はJIS M8801に基づき、揮発分及び灰分はJIS M8812に基づきそれぞれ測定した。また、揮発分及び灰分はドライベースの値である。
粘結材にはアスファルトピッチ(以下、ASPと表記)を使用した。配合炭試料及びASPの粒度は粒径3[mm]以下の粒子の重量割合がそれぞれ75[質量%]及び40.4[質量%]であった。配合炭及び粘結材の水分量が高い場合、配合炭中には配合炭からなる擬似粒子が存在し、粘結材中には粘結材からなる擬似粒子が存在するが、水分量を低下させるとそれぞれの擬似粒子は崩壊していく。そこで、水分量の影響を明確にするために配合炭試料及び粘結材をそれぞれ一旦乾燥させたものに水を添加し、水分量のみが異なる配合炭試料及び粘結材(水分量3、4、6、8、10[質量%])を用意した。なお、前述の通り、乾燥した粉体に水分を添加する場合、水分は混合物中に容易に分散しない。そのため、水分が均一に分散するように、配合炭試料及び粘結材中への水分の添加を噴霧器で満遍なく行い、水分添加後の配合炭試料及び粘結材を密閉容器の中で一昼夜放置して、配合炭試料及び粘結材と水分とを馴染ませ、水分調整を行った。
配合炭試料及び粘結材を構成する単一の粒子又は擬似粒子をその状態をほぼ維持したまま混合するために、対流混合が主体のドラムミキサーに同一の水分量の配合炭試料と粘結材とをその重量割合が95:5になるように投入し、60秒間混合した。そして、全ての混合物の水分量が10[質量%]になり、且つ、追加の混合操作を施さないように、不足分の水分を噴霧して添加し、密閉容器の中で一昼夜馴染ませた。この操作により得られた混合物は、混合前後で粒度分布が変化しなかったことから、図2(a),(b)に示すように、混合前の配合炭や粘結材中の擬似粒子はほぼ崩壊せず、マクロ的に混合されていると考えられる。このため、配合炭及び粘結材の水分量が高いほど、粘結材の分散性は悪いと考えられる。
コークス強度は以下の手順により評価した。配合炭試料17.1[kg]を嵩密度(乾燥重量基準)725[kg/m3]となるように乾留缶に充填し、乾留缶の上に10[kg]の錘を乗せた状態で炉壁温度1050[℃]の電気炉内で6時間乾留した後、炉から取り出して窒素冷却してコークスを得た。得られたコークスの強度はJIS K 2151の回転強度試験法に基づき、回転速度15[rpm]で150回回転後の粒径15[mm]以上のコークスの質量割合を測定し、回転前との質量比×100をドラム強度DI(150/15)として算出した。なお、粘結材を添加しないで水分量が3[質量%]である状態で攪拌混合を施した後に水分量を10[質量%]に添加した配合炭試料100[質量%]に対しても同様の乾留、評価を行った。
以下に示す表2にコークス強度の測定結果を示す。また、図3に配合炭試料と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を示す。なお、粘結材を添加しないで製造したコークスの強度は83.2であった。これにより、表2及び図3に示すように、粘結材を添加することによって、粘結材を添加しない場合と比較してコークス強度が向上することが確認された。また、粘結材を添加した水準のコークス強度を比較すると、水分量が6[質量%]になるまではコークス強度は殆ど変わらないが、水分量が6[質量%]を超えるとコークス強度が低下することが確認された。
図1に示した通り、水分量が6[質量%]を超えると擬似粒子が形成されると考えられるため、水分量が6[質量%]を超えるとコークス強度が低下する現象は、配合炭及び粘結材が擬似粒子として存在し、これらの混合が不十分であった影響によるものと考えられる。
〔コークスの製造方法〕
本発明の発明者らは、以上の調査及び考察より、水分量が6[質量%]以上である配合炭であっても粘結材の分散性を向上させる操作、具体的には攪拌混合操作を施すことにより、擬似粒子の存在(粘結材の分散性の低下)に起因するコークス強度の低下を抑止できると考えた。そこで、本発明の発明者らは、配合炭試料及び粘結材の擬似粒子を解砕して均一分散させる攪拌混合操作(剪断混合)が可能な攪拌混合装置及びその攪拌混合性能を評価した。
本発明の発明者らは、以上の調査及び考察より、水分量が6[質量%]以上である配合炭であっても粘結材の分散性を向上させる操作、具体的には攪拌混合操作を施すことにより、擬似粒子の存在(粘結材の分散性の低下)に起因するコークス強度の低下を抑止できると考えた。そこで、本発明の発明者らは、配合炭試料及び粘結材の擬似粒子を解砕して均一分散させる攪拌混合操作(剪断混合)が可能な攪拌混合装置及びその攪拌混合性能を評価した。
始めに、本発明の発明者らは、鋭意検討を重ね、擬似粒子を解砕し、均一分散させる度合いを指標化する方法を以下の通り考案した。
(1)粉末状の蛍光塗料(シンロイヒ(株)製、FX−305)を塗布した石炭をトレーサーとして準備する。トレーサーは紫外線照射下で発光する。従って、配合炭をデジタルカメラで撮影し、得られた画像を画像処理することによって、トレーサーのサイズや分散状態を指標化できる。トレーサーは、輝度や明度等の画像データで適切な閾値を設定することによって画像上で容易に抽出できる。本発明の発明者らは、輝度の閾値を設定してトレーサー部分を抽出した。
(2)トレーサーとして蛍光塗料が塗布された石炭は、擬似粒子化したものも含め、粒径1[mm]以上の粒子の面積割合が約5[%]になるように(配合炭の外観を紫外線照射下で写真撮影した時に粒径1[mm]以上の蛍光部分の面積割合が約5[%]になるように)、配合炭に添加される。ここで、トレーサーとして加えた石炭の粒径は、抽出されたトレーサー部分の外周の2点を結び、且つ、重心を通る径を2[°]刻みに測定した平均値を採用した。なお、配合炭の水分量は10[質量%]に調製した。
(3)トレーサーを添加した配合炭に対し攪拌混合操作を行い、攪拌混合操作後の混合物を紫外線照射下で撮影し、画像を画像処理して粒径1[mm]以上の面積割合を測定した。測定値を以下に示す数式(2)に代入することによって解砕度を算出した。ここで、数式(2)中のパラメータAは攪拌混合操作後の粒径1[mm]以上の粒子の面積割合、A0は初期の粒径1[mm]以上の粒子の面積割合(約5[%])である。すなわち、攪拌混合操作によって擬似粒子が解砕されるほど、解砕度の値は高くなる。
上記の方法は、蛍光塗料を塗布した石炭からなる擬似粒子が解砕されているか否かを直接観察可能な方法であり、単に擬似粒子の粒度分布を測定する方法よりも擬似粒子の解砕度を正確に評価できる。一般に、水分存在下では石炭は容易に擬似粒子化してしまうため、混合後のハンドリングや篩い分けによっても擬似粒子の構成が変化してしまう可能性がある。そのため、解砕度の評価には上記の方法を採用した。なお、粒径1[mm]以上の粒子の面積割合で擬似粒子の解砕度を指標化した理由は、図1に示した通り、粘結材の分散性が問題になる石炭の水分量が6[質量%]以上の範囲で粒径1[mm]以上の擬似粒子が顕著に増加していることから、擬似粒子の多寡が石炭中における粘結材の分散性に大きく影響していると考えたためである。
次に、本発明の発明者らは、ミキサーの混合性能を検討し、粉体工業技術協会でまとめられた評価手法である「光学的手法による粉粒体の混合度測定」(非特許文献4参照)を採用した。以下、その手順及び評価方法について詳しく説明する。この評価方法では、共通粉体として暗赤色のベンガラ(酸化鉄(III),平均粒径0.47[μm])5[質量%]と白色の炭酸カルシウム(平均粒径2.66[μm])95[質量%]とをミキサー内に投入して攪拌混合操作を施す。
攪拌混合操作後の試料を取り出し、フォトメーター(MSE(株)製)を用いて試料の明度を測定する。試料は、攪拌混合操作が進むにつれてベンガラの凝集体が徐々に解砕されつつ分散し、全体の色味として赤く変化していく。従って、乳鉢によって完全混合した場合の明度に対して現在の明度がどの程度かを測定することにより、攪拌混合がどの程度進んでいるかを判定でき、到達度は以下に示す数式(3)のように定義できる。
ここで、数式(3)中のパラメータtは攪拌混合開始からの経過時間、Vmaxは炭酸カルシウムの明度、Vstは炭酸カルシウムと酸化鉄(III)とを完全混合した混合物の明度、V(t)は時刻tでの混合物の明度を示す。
非特許文献5記載の評価方法では、上記評価を種々のミキサーで行い、混合時間と到達度との曲線の形状からミキサーを3つのパターンに分類している。対流混合が主体であるAタイプのミキサーでは、曲線は下に凸の曲線になる。これに対して、剪断混合が主体であるBタイプのミキサーでは、曲線は上に凸の曲線になる。また、対流混合と剪断混合とが複合的に起こるCタイプのミキサーでは、曲線はAタイプのミキサーの曲線とBタイプのミキサーの曲線との中間的な曲線になる。この曲線の形状は、長時間の攪拌混合操作によって得られるものであり、60秒程度の攪拌混合操作では到達度が低く、ほとんど変化しないものがAタイプのミキサー、到達度が0.6以上になるものがBタイプのミキサー、その中間がCタイプのミキサーと言える。
本発明の発明者らは、タイプが異なるミキサーを用いて、トレーサーを添加した配合炭を60秒間攪拌混合処理し、解砕度を評価した。ミキサーの攪拌混合時間と到達度との関係を図4に示す。図4に示すミキサーAは、従来型のドラムミキサーであり、Aタイプに分類される。一方、ミキサーBはCタイプのミキサー、ミキサーC〜EはBタイプのミキサーである。また、60秒後の到達度と解砕度との関係を図5に示す。図5に示すように、解砕度は到達度が0.4〜0.6の範囲内で大きく変化することが確認された。すなわち、配合炭中における粘結材の分散性の向上に必要な混合性能は、60秒後の到達度が0.6以上、好ましく0.7以上であり、このような混合性能を有する好適なミキサーは剪断混合が主体であるBタイプのミキサーであることが明らかになった。
次に、本発明の発明者らは、ミキサーを機械的な観点から整理し、60秒後の到達度との関係を評価することを試みた。原理的に、ベンガラの凝集体が解砕されるためには、凝集体の破壊強度以上の力を凝集体に加える必要がある。しかしながら、ミキサーの構造はタイプ毎に大きく異なるために、凝集体への圧縮力や剪断力等の力の作用の仕方も様々であり、凝集体に加える力でミキサーを系統的に評価することは多大な労力を要する。そこで、本発明の発明者らは、凝集体に加える力はミキサーへの投入エネルギー(動力)と相関関係があると考え、投入エネルギーによるミキサーの整理を試みた。
実際には、投入エネルギーは凝集体の破壊エネルギーのみならず、混合物の輸送エネルギーや摩擦熱等に変換され、それぞれの変換割合はミキサー毎に異なると考えられる。しかしながら、図6に示すように、単純に単位混合容積あたりの所要動力と60秒後の到達度との関係を評価したところ、概ね良好な相関関係が成立する。そして、図6に示す相関関係より、60秒後の到達度が0.6以上になるのは単位混合容積あたりの所要動力が1.0×104[W/m3]以上、60秒後の到達度が0.7以上になるのは単位混合容積あたりの所要動力が3.0×104[W/m3]以上であることが明らかになった。
従って、擬似粒子の解砕による配合炭中における粘結材の分散性の向上に必要な攪拌混合性能を有する好適なミキサーは、単位混合容積あたりの所要動力が1.0×104[W/m3]以上、好ましくは3.0×104[W/m3]以上である。すなわち、到達度を測定しなくても所要動力と単位混合容積とから好適なミキサーを容易に選定することができる。
以上の検討結果から、Bタイプのミキサーをコークスの製造ラインに導入し、原料炭と粘結材とを攪拌混合処理することにより、原料炭中における粘結材の分散性及びコークス強度を向上できることが明らかになった。また、ミキサーには処理の方法によってバッチ式のミキサーと連続式のミキサーとが存在する。バッチ式のミキサーの場合、処理時間が混合時間に相当するため、処理時間と到達度との関係から攪拌混合性能を測定する。一方、連続式のミキサーの場合には、ミキサー内での滞留時間が攪拌混合時間に相当するため、滞留時間と到達度との関係から攪拌混合性能を測定し、好適なミキサーを選定すればよい。勿論、単位混合容積あたりの所要動力から好適なミキサーを選定してもよい。コークスの製造においては数100[t/h]以上の膨大な処理を必要とするために、コークスの製造ラインに導入するミキサーの処理方法は処理能力が高い連続式である方が好ましい。
粘結材の粒度は細粒化するほど、粘結材の分散性が高まり、コークス強度の向上効果が拡大するため有利である。従って、粘結材を石炭に添加する前に粘結材を可能な限り粉砕しておくことが望ましい。しかしながら、本発明は、いずれの粒径を有する粘結材を石炭に添加する場合であっても石炭中での粘結材の分散性を高めることができ、コークス強度の向上効果を拡大することができる。
石炭と粘結材との混合時の水分量とコークス強度との関係を調査した結果から、攪拌混合の効果が有効なのは混合時の水分量が6[質量%]以上のときである。従って、配合炭の乾燥を行う工程を有するコークスの製造ラインであっても、乾燥後の配合炭の水分量が6[質量%]以上であるならば、ミキサーによる攪拌混合処理によってコークス強度の向上効果を得ることができる。なお、乾燥工程では石炭の水分を全て蒸発させる必要はなく、乾燥工程には含有水分を低減させる部分乾燥や調湿操作も含まれる。また、配合炭は、油類、粉コークス、石油コークス、樹脂類、廃棄物等の添加物を含むものであってもよい。
なお、コークス炉に装入する所定の粒度に粉砕した石炭と同様に粉砕した粘結材とを配合した後に攪拌混合する場合と、石炭と粘結材とを配合してからコークス炉に装入する粒度に粉砕して攪拌混合する場合とを比較すると、後者の場合、粉砕工程でも擬似粒子の一部が解砕されるため、前者の場合の方が攪拌混合の効果が大きい。また、配合炭の加熱によって水分を低減させる乾燥(部分乾燥)処理を行う場合、粘結材の軟化温度が低い場合は乾燥前に粘結材を添加すると乾燥工程で擬似粒子を形成しやすくなるため、粘結材は乾燥工程の後で配合炭に添加する方が望ましい。なお、本発明を適用することにより、コークス強度を維持しつつ粘結材の使用量を低減できるので、コストを低減することもできる。
〔実施例〕
本実施例では、水分量のみが異なる表1に示す配合炭(水分量3,4,6,8,10[質量%])と粘結材(ASP)を用意し、攪拌混合形態が異なるミキサーA〜Eに重量割合が95:5になるように配合炭と粘結材とを投入して60秒間攪拌混合した。そして、攪拌混合後の配合炭を上述の条件で乾留し、得られたコークスのドラム強度DI(150/15)を測定した。なお、ミキサーAは従来型のドラムミキサー(比較例1)、ミキサーC〜Eは剪断混合が主体のBタイプのミキサー(発明例1〜3)、ミキサーBは従来型と発明例との中間の混合性能を有するCタイプのミキサー(比較例2)である。
本実施例では、水分量のみが異なる表1に示す配合炭(水分量3,4,6,8,10[質量%])と粘結材(ASP)を用意し、攪拌混合形態が異なるミキサーA〜Eに重量割合が95:5になるように配合炭と粘結材とを投入して60秒間攪拌混合した。そして、攪拌混合後の配合炭を上述の条件で乾留し、得られたコークスのドラム強度DI(150/15)を測定した。なお、ミキサーAは従来型のドラムミキサー(比較例1)、ミキサーC〜Eは剪断混合が主体のBタイプのミキサー(発明例1〜3)、ミキサーBは従来型と発明例との中間の混合性能を有するCタイプのミキサー(比較例2)である。
測定結果を以下の表3に示す。また、配合炭と粘結材との混合時の水分量とコークスのドラム強度DI(150/15)との関係を図7に示す。表3及び図7に示すように、混合時の水分量が6[質量%]以上である配合炭については、ミキサーで混合することによってコークス強度が向上することが確認された。また、コークス強度の向上効果はミキサーのタイプによって大きく変化した。すなわち、Bタイプのミキサーではコークス強度の向上効果が大きく、混合時の水分量が10[質量%]の場合であっても水分量が6[質量%]以下の場合のコークス強度に匹敵するほどコークス強度が回復した。これに対して、Aタイプ及びCタイプのミキサーではコークス強度の向上効果は少なかった。以上のことから、水分量が6[質量%]以上である粘結材の分散性が低い配合炭であっても、剪断混合を主体とするBタイプのミキサーを用いて攪拌混合処理することによって、従来型のミキサーではなし得ない、粘結材の分散性の向上によるコークス強度の向上が可能であることが確認された。なお、得られたコークスのCO2反応後強度(CSR、ISO18894法に準拠して測定)もドラム強度DI(150/15)と同様の傾向を示した。すなわち、比較例1の条件では、混合時水分量4、6、8[%]の場合にCSRはそれぞれ61.4[%]、61.3[%]、60.6[%]と、水分増大に対して強度が低下する傾向であったのに対し、発明例3においては、混合時水分量4、6、8[%]の場合にCSRはそれぞれ61.8[%]、61.9[%]、61.6[%]とほとんど低下が見られなかった。
図1に示したように、水分量が6[質量%]以上の配合炭で粒径1[mm]以上の擬似粒子が形成される。さらに、表3に示したように、水分量が6[質量%]以上の配合炭を発明例であるBタイプのミキサーで解砕度が高くなる条件で混合することによってコークス強度が向上し、コークス強度は擬似粒子がほとんど形成されない水分量4[質量%]以下の場合のコークス強度と同等になる。以上のことから、本発明によるコークス強度の向上効果は、配合炭及び粘結材中に含まれる擬似粒子がミキサーによる攪拌混合操作で解砕されたことによってもたらされたと考えられる。
また、図7に示すミキサーD,Eでは水分量が高い配合炭であっても攪拌混合処理によりコークス強度が水分量4[質量%]以下の場合とほぼ同等レベルまで回復していることから、配合炭及び粘結材中に存在する擬似粒子がほぼ解砕されたと考えられる。しかしながら、図7に示すミキサーCを用いて水分量10[質量%]の配合炭を混合した場合のように、ミキサーAに比べてある程度のコークス強度の向上が認められる場合もある。これは、ミキサーCでは擬似粒子の一部が解砕されていることによると考えられ、擬似粒子の一部を解砕することによってもコークス強度を向上できると考えられる。
なお、本実施例により、ミキサーC〜Eを用いて60秒攪拌混合するとコークス強度の向上効果が認められることは明らかであるが、攪拌混合時間が長くなると到達度は向上するため、60秒以上攪拌混合してもよい。また、図4に示したように、60秒攪拌混合時の到達度は0.6以上(ミキサーCでは60秒攪拌混合した時の到達度=0.6)であることから、水分量が6[質量%]以上の配合炭を到達度が0.6以上になるような条件で攪拌混合することがコークス強度の向上のためには好ましい。
また、図5に示したように、60秒攪拌混合後の擬似粒子の解砕度は0.6以上(ミキサーCでの60秒後の解砕度=0.62)になっていることから、配合炭の攪拌混合によって配合炭中の粒径1[mm]以上の擬似粒子の解砕度が0.6以上になるように擬似粒子を解砕することがコークス強度の向上のためには好ましい。
さらに、図4に示したように、60秒攪拌混合時の到達度が0.6以上になるミキサーでは、攪拌混合時間が10秒でも到達度が0.4以上となり、擬似粒子の部分的な解砕によるコークス強度の向上効果が期待できる。また、高い到達度が得られるミキサー(例えばミキサーE)では攪拌混合時間が10秒で到達度が0.6以上となっていることから、60秒攪拌混合時の到達度が0.6以上となるミキサーで10秒以上、配合炭を攪拌混合することが好ましい。
〔比較例〕
上記実施例では、水分量が高いと擬似粒子の解砕が不十分である場合、コークス強度が低下することが確認された。そこで、本比較例では、コークス強度に対する水分量の影響を調べるために、ミキサーAを用いて水分量を変更した試験を実施した。水分量以外の条件は実施例の条件と同じである。試験結果を以下の表4に示す。表4に示すように、水分量が6.0[質量%]以上になるとコークス強度が低下する。これに対して、上記実施例では、水分量が8[質量%]になってもコークス強度はほとんど低下しなかった。以上のことから、本発明の効果は水分量が6[質量%]以上の条件において顕著に現れることが明らかになった。
上記実施例では、水分量が高いと擬似粒子の解砕が不十分である場合、コークス強度が低下することが確認された。そこで、本比較例では、コークス強度に対する水分量の影響を調べるために、ミキサーAを用いて水分量を変更した試験を実施した。水分量以外の条件は実施例の条件と同じである。試験結果を以下の表4に示す。表4に示すように、水分量が6.0[質量%]以上になるとコークス強度が低下する。これに対して、上記実施例では、水分量が8[質量%]になってもコークス強度はほとんど低下しなかった。以上のことから、本発明の効果は水分量が6[質量%]以上の条件において顕著に現れることが明らかになった。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
Claims (7)
- 1種以上の石炭と粘結材とを配合して配合炭を調製する調製ステップと、
前記配合炭を攪拌混合することによって、石炭又は粘結材が凝集することにより形成された配合炭中の擬似粒子の少なくとも一部を解砕する攪拌混合ステップと、
攪拌混合後の配合炭をコークス炉に装入して乾留することによってコークスを製造する乾留ステップと、
を含むことを特徴とするコークスの製造方法。 - 前記調製ステップは、1種以上の石炭及び粘結材を配合する前に該1種以上の石炭を粉砕するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のコークスの製造方法。
- 前記調製ステップは、1種以上の石炭を粘結材と配合する前に該1種以上の石炭を乾燥させるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のコークスの製造方法。
- 前記調製ステップは、1種以上の石炭を粘結材と配合した後に該配合炭を乾燥させるステップを含むことを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載のコークスの製造方法。
- 水分量が6質量%以上である配合炭に対して前記攪拌混合ステップを行うことを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載のコークスの製造方法。
- 前記攪拌混合ステップは、以下に示す数式(1)によって求められる到達度が攪拌混合操作を開始してから60秒後に0.6以上になる攪拌混合性能を有する混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップを含むことを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか1項に記載のコークスの製造方法。
- 前記攪拌混合ステップは、単位混合容積あたりの所要動力が1.0×104W/m3以上である混合装置を用いて配合炭を攪拌混合するステップを含むことを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか1項に記載のコークスの製造方法。
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