JP7493121B1 - コークスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

表面張力異常炭材が配合された配合炭を用いてコークスを製造する場合であっても、製造されるコークスのコークス強度の低下を抑制できるコークスの製造方法を提供する。複数銘柄の石炭を含む成型物と、複数銘柄の粉状の石炭を含む粉炭混合物とを混合して得られる配合炭を乾留してコークスを製造するコークスの製造方法であって、配合炭に含まれる各銘柄の石炭を熱処理して得られる熱処理石炭の表面張力と、各銘柄の石炭の配合率とを用いて算出される配合炭の界面張力γinterおよび粉炭混合物の界面張力γpが、γinter>γpかつγp<0.03を満たすように、成型物および粉炭混合物に配合する石炭の銘柄および配合率を決定する。

Description

本発明は、コークスの製造方法に関し、原料となる石炭の一部を成型物として乾留するコークスの製造方法において、当該成型物への原料の配合を調整する方法に関する。
高炉用コークスは、高炉内において還元材、熱源、そして通気性や通液性を保つための支持材として用いられる。高炉の操業を安定して行うには、高炉内の通気性や通液性を確保する必要があり、強度、粒度、反応後強度などの諸特性に優れたコークスが必要になる。なかでも、回転強度などのコークス強度は、高炉用コークスにとって、特に重要な特性である。
高炉用コークスは、乾留炉で石炭を乾留することにより石炭を軟化溶融させ、互いに接着させることで製造される。このため、高強度のコークスを製造するには、軟化溶融性の優れた粘結炭が必要になる。しかしながら、近年、コークスの製造に適した粘結炭は枯渇してきている。そこで、これまでコークス製造には利用されていなかった軟化溶融性の乏しい石炭や、石炭以外の炭素材料の使用拡大が求められている。石炭以外の炭素材料としては、木質ペレットやオイルパーム残渣などのバイオマス、バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる半炭化バイオマス、バイオマスを熱処理して得られるバイオマス炭材、プラスチック等がある。近年では、CO排出量削減のニーズが高まっていることから、バイオマス由来の炭素材料や、廃プラスチックなどをコークスの製造に利用することが求められている。
高炉用コークスを製造する際には、複数種類の石炭が配合された配合炭が用いられる。このため、従来から、配合炭を原料として製造されるコークスのコークス強度推定方法が検討されてきた。近年、軟化溶融状態における石炭の表面張力が石炭の接着強度に影響することが見出され、特許文献1には、表面張力および表面張力から計算される界面張力を用いた石炭の配合方法、コークスの製造方法が開示されている。特許文献1では、石炭を熱処理して得られる熱処理石炭(セミコークス)の表面張力(以下、石炭の表面張力と記載する。)に基づいて、異なる石炭粒子間に発生する界面張力を求め、当該界面張力の大きさで配合炭を管理している。
石炭を乾留し、石炭を軟化溶融させて互いに融着させることでコークスが製造される。このため、石炭粒子間の接着強度が製造されるコークスのコークス強度に影響を与えると考えられる。一般に、石炭粒子間の接着強度は、接着界面の界面張力が小さくなるほど向上する。界面張力は、その単位がmN/mであることから、界面に存在する自由エネルギーと考えることができる。すなわち、界面張力が存在するということは、界面に力として働きうる自由エネルギーが存在するということを意味する。このため、界面張力が大きい場合、接着界面での破壊が生じやすくなると考えられる。特許文献1によると、配合炭の界面張力が0.03mN/mを超えると製造されるコークスのコークス強度の低下が顕著になるので、配合炭の界面張力は0.03mN/m以下にすることが好ましい、としている。
国際公開第2013/054526号
M. C.Williams and D. W. Fuerstenau, International Journal of Mineral Processing, 20(1987), p.153-157
特許文献1によると、高強度のコークスを得るには配合炭の界面張力が小さくなるように各石炭を配合することが好ましい、としている。従って、高強度のコークスを製造するには、各石炭の表面張力の値が近い石炭を配合炭に用いることが有効になる。しかしながら、この方法では、表面張力が大きすぎる石炭や、表面張力が小さすぎる石炭が使用されづらくなる。特許文献1では、配合炭に含まれる石炭や炭素材料の表面張力の加重平均値と著しく異なる表面張力を有する石炭や炭素材料を使用する場合の、コークス強度の低下を防止する方法については開示されておらず、使用可能な石炭資源の範囲が限定されるという課題がある。
コークス原料として使用可能な石炭資源の範囲を拡大することができれば、原料の安定調達、難使用原料の適用拡大の観点から非常に大きなメリットが得られる。このため、表面張力が配合炭の平均表面張力よりも大きすぎる石炭や炭素材料や表面張力が小さすぎる石炭や炭素材料が配合された配合炭を用いてコークスを製造する場合であっても、製造されるコークスのコークス強度の低下を抑制できるコークスの製造方法が求められていた。なお、以下、表面張力が配合炭の平均表面張力よりも大きすぎる石炭や炭素材料や表面張力が小さすぎる石炭や炭素材料を表面張力異常炭材と記載する。
本発明はこのような事情を鑑みてなされた発明であり、その目的は、表面張力異常炭材が配合された配合炭を用いてコークスを製造する場合であっても、製造されるコークスのコークス強度の低下を抑制できるコークスの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]複数銘柄の石炭を含む成型物と、複数銘柄の粉状の石炭を含む粉炭混合物とを配合して得られる配合炭を乾留してコークスを製造するコークスの製造方法であって、前記配合炭に含まれる各銘柄の石炭を熱処理して得られる熱処理石炭の表面張力と、前記各銘柄の石炭の配合率と、下記(1)式または下記(2)式と、を用いて算出される配合炭の界面張力γinterおよび粉炭混合物の界面張力γが、γinter>γかつγ<0.03を満たすように、前記成型物および前記粉炭混合物に配合する石炭の銘柄および配合率を決定する、コークスの製造方法。
Figure 0007493121000001

Figure 0007493121000002

[2]前記成型物および前記粉炭混合物の少なくとも一方に炭素材料を配合し、前記配合炭に含まれる各銘柄の石炭を熱処理して得られる熱処理石炭および前記炭素材料の表面張力と、前記各銘柄の石炭および前記炭素材料の配合率と、前記(1)、(2)式に代えて下記の(3)式または(4)式とを用いて算出される配合炭の界面張力γiterおよび粉炭混合物の界面張力γが、γinter>γかつγ<0.03を満たすように、前記成型物および前記粉炭混合物に配合する石炭の銘柄および配合率と、前記成型物および前記粉炭混合物に配合する前記炭素材料の種類および配合率を決定する、[1]に記載のコークスの製造方法。
Figure 0007493121000003

Figure 0007493121000004
本発明によれば、表面張力異常炭材が配合された配合炭を用いてコークスを製造する場合であっても、製造されるコークスのコークス強度の低下を抑制できる。これにより、従来は使用できなかった表面張力異常炭材を含む広い範囲の石炭または炭素材料がコークスの原料として使用できるようになるので、原料の安定調達や資源拡大に寄与できる。
図1は、発明例1~3、比較例2、3の粉炭混合物の界面張力γとコークス強度との関係を示すグラフである。 図2は、発明例4~7、比較例5、6の粉炭混合物の界面張力γとコークス強度の増加量との関係を示すグラフである。
本発明の発明者らは、上記の課題を解決するために、配合炭の一部に石炭を成型した成型物を用い、当該成型物、成型していない粉状の石炭および炭素材料(以下、粉炭混合物と記載する。)を含む配合炭を乾留してコークスを製造する方法について検討した。特許文献1には、成型物を含まない配合炭では、配合炭の界面張力には好適な上限値があることが示されている。しかしながら、成型物中では、石炭等の粒子が粉炭中よりも互いに近接して配置され、粉炭中よりも粒子間の接着が起こりやすくなるので、この界面張力の好適な上限値は、成型物にすることで変わる可能性がある。
発明者らが鋭意検討した結果、成型物に含まれる石炭の界面張力のコークス強度への影響は、粉炭に含まれる石炭の界面張力の影響よりも軽微であることを確認した。すなわち、成型物と粉炭混合物とを含む配合炭を用いる場合に、表面張力異常炭材を成型物に配合すると粉炭混合物の界面張力の影響が支配的となり、この結果、配合炭中に表面張力異常炭材を配合することによるコークス強度の低下を抑制できることを見出した。すなわち、配合炭全体の界面張力が高い場合であっても、表面張力異常炭材を成型物に多く配合することで粉炭混合物の界面張力を低下させれば、当該粉炭混合物の界面張力が支配的になるので、当該配合炭を乾留して製造されるコークスのコークス強度の低下が抑制されることを見出して本発明を完成させた。以下、本発明を本発明の実施形態を通じて詳細を説明する。
石炭の表面張力のコークス強度への影響については、特許文献1に詳述されている。本実施形態に係るコークスの製造方法では、まずコークスの原料となる配合炭に含まれる石炭または炭素材料の熱処理物の表面張力を求める。表面張力の測定は、特許文献1に記載された方法と同じ方法で行ってよい。以下に表面張力の測定方法の概要を示す。
石炭および炭素材料の表面張力の測定方法としては、静滴法、毛管上昇法、最大泡圧法、液重法、懸滴法、輪環法、プレート法、拡張/収縮法、滑落法、フィルムフローテーション法等が知られている。石炭は様々な分子構造で構成されているので、その表面張力も一様ではないことが予想される。このため、表面張力の分布を評価できる方法、例えば、非特許文献1に記載のフィルムフローテーション法を用いることが好ましい。フィルムフローテーション法は、石炭、炭素材料およびこれらを乾留して得られるセミコークスであっても同様に適用することができ、微粉砕した石炭試料を用いて、表面張力の分布を求めることができる。得られた表面張力の分布の平均値をもって、その石炭試料の表面張力とすることができる。
石炭粒子の接着は、加熱乾留中に石炭が軟化溶融した状態で起こることから、表面張力を測定する石炭試料として、熱処理された石炭(セミコークス)を用いることが好ましい。しかしながら、高温における石炭溶融物の表面張力を測定する方法は知られていないので、特許文献1に開示されている方法と同様に、本実施形態においても熱処理した石炭または炭素材料の表面張力を測定する。
石炭試料の熱処理温度は、石炭が軟化溶融を開始して、接着、固化してコークス化が完了するまでの温度に相当する350℃以上800℃以下の範囲内の温度とすることが好ましい。特に、接着に寄与する温度として、石炭が軟化溶融する温度である350℃以上550℃以下の範囲内の温度まで加熱されたセミコークスを用いることがより好ましい。その中でも480℃以上520℃以下の範囲内の温度まで加熱されたセミコークスを用いることが特に好ましい。
石炭試料の加熱は、石炭や炭素材料と反応しない窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、加熱速度はコークス炉においてコークスが製造されるときの加熱速度に応じて決めることが好ましく、例えば、3℃/minの加熱速度で加熱してよい。さらに、目標温度に加熱された試料は、目標温度での分子構造を保つことを目的として10℃/sec以上の冷却速度で急冷されることが好ましく、冷却方法としては液体窒素中で冷却することが好ましい。
石炭以外の炭素材料についても、あらかじめ熱処理した試料について表面張力を測定することが好ましい。なお、有機物を事前に炭化(半炭化)させた炭素材料については、その炭化温度が石炭の熱処理温度を超える場合には事前に熱処理せずに表面張力を測定してもよい。
次に、成型物について説明する。本実施形態に係るコークスの製造方法では、コークス炉に装入する配合炭の一部を成型物にする。成型物は、造粒、圧着、成型、接着、混錬などの方法により成型でき、これらの方法を複数組み合わせて、成型物を成型してもよい。成型物の一例としては、複数の石炭および炭素材料を混合し、必要に応じてバインダーを添加し混錬機にて混錬した後、ダブルロール式の成型機で圧密成型して成型されるブリケット(成型炭)が挙げられる。バインダーとしては、例えば、水、石炭系バインダー(コールタールピッチ、溶剤精製炭、タール、タール滓等)、石油系バインダー(アスファルト、アスファルトピッチ、プロパン脱瀝アスファルト等)、有機バインダー(でんぷん、糖蜜、合成高分子化合物、樹脂等)等が使用できる。成型に用いる石炭の粒度は、3mm以下の粒子の比率が70~100質量%となるように粉砕して粒度調整することが好ましい。
成型物の嵩密度は0.8g/cm以上であることが好ましく、0.9g/cm以上であることがより好ましく、1.0g/cm以上であることがさらに好ましい。成型物の嵩密度を高めることで、表面張力異常炭材でも周囲の石炭や炭素材料との接着性が向上し、これにより、製造されるコークスのコークス強度の低下が抑制される。
次に、粉炭混合物について説明する。本実施形態に係るコークスの製造方法では、コークス炉に装入する配合炭のうち、成型物以外の部分を粉炭混合物と記載する。粉炭混合物を構成する石炭も、3mm以下の粒子の比率が70~100質量%となるように粉砕して粒度調整することが好ましい。また、コークス炉に装入する前に、調湿、乾燥させて含有する水分量を調整してもよい。炭素材料は粉炭混合物に配合されてもよい。
次に、界面張力の算出方法について説明する。本実施形態に係るコークスの製造方法では、表面張力から算出される界面張力に基づいて成型物、粉炭混合物の配合構成を決定する。界面張力は、特許文献1に記載の方法に基づいて算出でき、以下に界面張力の測定方法の概要を示す。
石炭粒子間の界面張力の測定は、異なる石炭粒子間の界面において直接測定することが好ましいが、その測定は既存技術では非常に困難である。そこで、コークス強度に対する影響が開示されている特許文献1に記載の方法で測定することが好ましい。石炭粒子間の界面張力は、配合炭を構成する各石炭または炭素材料の表面張力と、配合率と、下記(1)式とを用いて算出できる。
Figure 0007493121000005
各熱処理石炭の表面張力は、同じ温度まで加熱した熱処理石炭の表面張力を用いる。石炭の配合率wは、配合炭の全質量に対する配合炭に含まれる各銘柄(石炭)の質量の比率である。異なる2銘柄の間の界面張力は、下記(5)式を用いて算出できる。
Figure 0007493121000006

上記(5)式において、ここでβは定数であってLiとNeumannは、その値を、β=0.0001247[(m・mJ)]としている。
配合率は、各石炭の熱処理時の歩留の違いを考慮して熱処理時の比率を算出してもよいが、配合炭中の配合率に基づいて計算しても、熱処理物中の比率に基づいて計算しても配合構成の決定において大きな違いはない。また、粉炭混合物(配合炭から成型物を除いた残部)の界面張力γについても、粉炭混合物中に存在する個々の石炭銘柄とその配合率が決まれば、同様に上記(1)式で算出できる。
また、配合炭の界面張力は、下記(2)式でも算出できる。上記(1)式の計算結果と下記(2)式の計算結果が一致することは特許文献1に示されている。
Figure 0007493121000007
また、下記(3)式および(4)式は、炭素材料を含むように配合炭の界面張力を求める上記(1)式および(2)式を拡張した式である。下記(3)式と下記(4)式の計算の考え方は、上記(1)式、(2)式と同じである。炭素材料が含まれる配合炭の界面張力は下記(3)式および下記(4)式を用いて算出できる。
Figure 0007493121000008
Figure 0007493121000009
次に、成型物および粉炭混合物の配合構成の決定方法について説明する。本実施形態に係るコークスの製造方法では、粉炭混合物の界面張力γが、配合炭全体の界面張力γinterよりも小さく、かつ、粉炭混合物の界面張力γが0.03未満になるように、成型物および粉炭混合物の配合構成を決定する。ここで、配合構成とは、配合する石炭の銘柄と配合率および配合する炭素材料の種類と配合率である。
なお、石炭の熱処理温度を変えると熱処理石炭の表面張力は変化するが、変化の傾向は石炭の銘柄によらず同じであり、石炭間の界面張力の値はほとんど変化しないことが特許文献1に開示されている。このため、粉炭混合物の界面張力γの好適な範囲は石炭の熱処理温度によらず決定できる。
配合炭の、ある石炭銘柄の配合率は、配合炭の成型物の配合率と成型物のある石炭銘柄の配合率とを掛けた値と、配合炭の粉炭混合物の配合率と粉炭混合物のある石炭銘柄の配合率とを掛けた値との合計値となる。このため、例えば、配合炭の配合構成を決定し、配合炭の成型物の配合率と、成型物の石炭銘柄の配合率とを決定すれば、粉炭混合物の配合率も決定される。
発明者らは、成型物の界面張力のコークス強度への影響は、粉炭混合物における界面張力の影響よりも軽微であって、表面張力異常炭材を成型物に配合する場合には、粉炭混合物における界面張力の影響が支配的となることを見出した。従って、成型物と粉炭混合物とを同じ配合構成とした配合炭を用いる場合より、粉炭混合物の界面張力が配合炭の界面張力よりも小さくなるように成型物と粉炭混合物の配合構成を変えた配合構成とした配合炭を用いる方が、製造されるコークスのコークス強度の低下を抑制できることがわかる。
すなわち、成型物と粉炭混合物の配合を同一とするよりも、両者の配合構成を変えて、粉炭混合物の界面張力を下げるように配合構成を決定することが好ましく、この技術思想を数式で表現すると、γinter>γとなる。γinter>γは、コークス強度の低下を招きやすいγinterの高い配合炭に本発明を適用することが好適であることを表している。
また、特許文献1の示唆によれば、(1)式または(2)式を用いて算出される配合炭の界面張力γinterが0.03以上である場合、コークス強度の低下が懸念される。このため、コークス強度に影響を及ぼす粉炭混合物の界面張力γが0.03未満になるように、配合炭中の表面張力異常炭を成型物に含めるように配合構成を決定すればコークス強度の低下を抑制でき、表面張力異常炭の配合率を成型物と粉炭混合物とで同一とする場合よりもコークス強度を向上できることがわかる。
ここで、成型物の配合炭全体に占める含有率は、10質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましい。成型物が配合炭全体の10質量%未満の場合、使用可能な石炭資源の範囲を拡大する効果が小さくなるので好ましくない。また、成型物が配合炭全体の50質量%を超える場合、成型物を成型するためのコストが大きくなるので好ましくない。成型物の配合率は配合炭全体の15質量%以上40質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
成型物中の配合構成については、成型物の原料の流動性が低くなりすぎると製造されるコークスの成型物由来部分に欠陥が多くなるので好ましくない場合がある。成型物の原料の流動性の下限値は、成型物の配合量や成型物に用いる石炭や炭素材料の構成によって変動するが、成型物に配合する各石炭や炭素材料のギーセラー流動度MFの常用対数値の成型物中の各石炭や炭素材料の含有率に基づく平均logMFが1.4以上であることが好ましい。
最後に、配合炭の乾留について説明する。成型物と粉炭混合物を混合して作製された配合炭は、コークス炉に装入され乾留されてコークスが製造される。配合炭の乾留は、一般的な室炉式コークス炉を用いて概ね900℃以上の温度で乾留すればよい。
次に、本実施形態に係るコークスの製造方法を適用してコークスを製造した実施例を説明する。本実施例で使用した石炭および炭素材料の性状を表1に示す。
Figure 0007493121000010
上記表1中、A~Hは石炭であり、Iは500℃で炭化させたバイオマス(パーム椰子殻)である。この中で、石炭Aと炭素材料Iは表面張力γが配合炭全体の平均に比べて高く、この配合構成においては石炭Aと炭素材料Iが表面張力異常炭材といえる。
RoはJIS M8816:1992に基づいて測定した石炭のビトリニットの平均最大反射率である。logMFは、JIS M8801:2008に基づいて測定した石炭のギーセラー最高流動度の常用対数値である。Iの最高流動度MFは0ddpmであった。γは、500℃で熱処理した熱処理石炭または炭素材料の表面張力であり、特許文献1に記載のフィルムフローテーション法を用いて求めた表面張力分布の平均値である。
表1に記載の複数銘柄の石炭を用いて、成型物と粉炭混合物とを含む配合炭を調製した。各石炭は3mm以下の粒子の比率が100質量%となるように粉砕した。成型物は、バインダーとしては、タールピッチおよびタール滓を、成型物の原料100部に対して、それぞれ、4.0部および6.5部添加して混合した後、ダブルロールの成型機で容積34cmの成型炭を製造した。
上記成型炭に、成型しなかった粉炭混合物を配合して配合炭を調製した。この配合炭を嵩密度870kg/mとなるように乾留缶に充填し、炉壁温度1050℃の電気炉で6時間乾留した後に窒素下で冷却してコークスを製造した。石炭の配合構成(配合炭全体に対する質量%)、成型物または粉炭混合物の界面張力、平均logMFおよび製造されたコークスのコークス強度DI(150/15)を下記表2に示す。界面張力は、各石炭の表面張力と、配合率と、上記(2)式とを用いて算出した値である。平均logMFは、各石炭のlogMFを各石炭の配合率で加重平均して算出した値である。コークス強度は、JIS K2151:2004に規定された回転強度試験方法で測定したドラム強度指数DI(150/15)である。
Figure 0007493121000011
比較例1は、成型物と粉炭混合物とを同一の配合とした例である。従って、この例の界面張力が配合炭の界面張力γinterとなる。発明例1~3および、比較例2、3では、成型物と粉炭混合物で異なる配合構成としており、それぞれの配合構成について界面張力と平均logMFの値を示した。配合炭中の成型物の配合率は、成型物に配合した各石炭銘柄の配合率の合計値であり、30質量%以上35質量%以下の範囲内に調整している。なお、比較例1と同一配合の場合、成型物の配合率は30質量%である。
図1は、発明例1~3、比較例2、3の粉炭混合物の界面張力γとコークス強度との関係を示すグラフである。図1の横軸は粉炭混合物の界面張力γ(mN/m)であり、縦軸はコークス強度DI(150/15)(-)である。なお、(-)は、無次元であることを意味する。また、図1の破線は、比較例1のコークス強度を示す。
図1および表2に示すように、γinter>γかつγ<0.03を満たす発明例1~3で製造されたコークスのコークス強度は、成型物と粉炭混合物の配合を同一とした比較例1で製造されたコークスのコークス強度よりも高くなった。成型物と粉炭混合物で異なる配合とすると、粉炭混合物の界面張力だけでなく、成型物中あるいは成型物と粉炭混合物の境界部での接着が問題となる可能性も考えられた。しかしながら、図1および表2の結果から、製造されるコークス強度は、配合炭の成型物の界面張力によらず、粉炭混合物の界面張力γの影響が支配的であることが確認された。さらに、図1より、粉炭混合物の界面張力γが0.03mN/m未満の条件で、同一配合とした場合(比較例1)と同等以上のコークス強度が得られることも確認された。
また、上記結果から、配合炭全体の配合構成(用いる石炭銘柄または炭素材料の種類と配合率)を同一とした条件では、γinter>γかつγ<0.03を満たすように成型物および粉炭混合物の配合構成を定めることで強度の高いコークスが得られることがわかる。成型物および粉炭混合物の配合構成の決め方としては、例えば、あらかじめ配合炭全体の配合構成を決め、配合炭全体の配合構成は変えずに、成型物および粉炭混合物の配合構成を定める。この場合において、成型炭により多くの表面張力異常炭材が含まれるように配合することで粉炭混合物のγが小さくなり、これにより、γinter>γかつγ<0.03を満足する配合構成にすることができる。
発明例4~7は、複数銘柄の石炭に炭素材料を配合した配合炭を用いたコークスの製造例である。配合構成以外の条件は発明例1~3と同様である。炭素材料としては、500℃で炭化したバイオマスを用いた。表1の銘柄Iに当該バイオマスの性状を示す。発明例4~7の配合構成、成型物または粉炭混合物の界面張力、平均logMF、製造されたコークスのコークス強度DI(150/15)およびコークス強度増加量ΔDI(150/15)を下記表3、4に示す。
Figure 0007493121000012
Figure 0007493121000013
発明例4、5および比較例4~6は、炭素材料Iを3質量%配合した配合炭を用いてコークスを製造した製造例である。発明例6、7および比較例7は、炭素材料Iを5質量%配合した配合炭を用いてコークスを製造した製造例である。比較例4および7は、成型物と粉炭混合物を同一配合とした例である。比較例4および7の界面張力が配合炭の界面張力γinterとなる。比較例4と7では製造されたコークスのコークス強度が異なったので、各発明例および比較例のΔDIを示した。ΔDIは、コークス強度増加量であり、表3においては、発明例4、5、比較例5、6のコークス強度から比較例4のコークス強度を減じた値であり、表4においては、発明例6、7のコークス強度から比較例7のコークス強度を減じた値である。なお、表3,4の平均logMFについては、炭素材料IのlogMF=0として平均値を計算した。
図2は、発明例4~7、比較例5、6の粉炭混合物の界面張力γとコークス強度増加量との関係を示すグラフである。図2のグラフにおいて、横軸は粉炭混合物の界面張力γ(mN/m)であり、縦軸はコークス強度増加量ΔDI(150/15)(-)である。図2において、黒丸が表3の結果を示し、白丸が表4の結果を示す。
図2に示すように、γが大きくなるとコークス強度が低下する傾向が確認された。また、γが0.03以上となるとコークス強度低下が顕著になることが認められた。これらの結果から、通常のコークス原料としては使用しにくい表面張力異常炭材(石炭Aおよび炭素材料I)を配合炭中に含むことで配合炭の界面張力が大きくなってしまう配合構成であっても、配合炭の一部を成型物とし、γinter>γかつγ<0.03を満たすように配合構成を決定することで、製造されるコークスのコークス強度の低下を抑制でき、高強度のコークスの製造が実現できることが確認された。
これらの結果から、表面張力異常炭材が配合された配合炭を用いてコークスを製造する場合であっても、γinter>γかつγ<0.03を満たすように配合構成を決定することで、製造されるコークスのコークス強度の低下を抑制でき、高強度のコークスの製造が実現できることが確認された。これにより、従来は使用できなかった表面張力異常炭材を含む広い範囲の石炭または炭素材料がコークスの原料として使用できるようになるので、原料の安定調達や資源拡大に寄与できることがわかる。

Claims (2)

  1. 複数銘柄の石炭を含む成型物と、複数銘柄の粉状の石炭を含む粉炭混合物とを配合して得られる配合炭を乾留してコークスを製造するコークスの製造方法であって、
    前記配合炭に含まれる各銘柄の石炭を熱処理して得られる熱処理石炭の表面張力と、前記各銘柄の石炭の配合率と、下記(1)式または下記(2)式とを用いて算出される配合炭の界面張力γinterおよび粉炭混合物の界面張力γが、
    γinter>γかつγ<0.03
    を満たすように、前記成型物および前記粉炭混合物に配合する石炭の銘柄および配合率を決定する、コークスの製造方法。
    Figure 0007493121000014

    Figure 0007493121000015
  2. 前記成型物および前記粉炭混合物の少なくとも一方に炭素材料を配合し、
    前記配合炭に含まれる各銘柄の石炭を熱処理して得られる熱処理石炭および前記炭素材料の表面張力と、前記各銘柄の石炭および前記炭素材料の配合率と、前記(1)、(2)式に代えて下記(3)式または下記(4)式とを用いて算出される配合炭の界面張力γiterおよび粉炭混合物の界面張力γが、
    γinter>γかつγ<0.03
    を満たすように、前記成型物および前記粉炭混合物に配合する石炭の銘柄および配合率と、前記成型物および前記粉炭混合物に配合する前記炭素材料の種類および配合率を決定する、請求項1に記載のコークスの製造方法。
    Figure 0007493121000016

    Figure 0007493121000017
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