JP6085443B2 - グリセリンコハク酸脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルの製造方法に関する。
パンは食品工業のなかでも最も機械化が進み、大量生産、広域流通されている製品である。そこで、いかにして機械化して高品質のパンを量産するか、パンの新鮮さを長く保たせるかということがパンの製造における重要な課題であり、この課題の解決のために各種乳化剤が用いられている。パンに対する乳化剤の機能(製パン特性)としては、(1)粘着性が少なく伸びの良い取扱いやすい生地にする、(2)生地の機械耐性を向上させる、(3)柔らかく容積の大きなパンを作る、(4)きめが細かくしっとりした食感のパンを作る、(5)老化を防止し新鮮さを長く保つなどがあり、乳化剤の種類によって製パン特性が異なっている。
パンに使用される乳化剤のなかでも、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルは、生地の伸展性や機械耐性の向上、パンの容積の増大などの効果に優れるため広く用いられている。しかし、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルは、例えばソフトで口どけの良い食感をパンに付与する点では必ずしも満足できるものではないため、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルを含有する製剤の形態に特徴を持たせたり、他の乳化剤と併用して製剤化するなどして、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルに不足する製パン特性を補うことが行われている。
グリセリンコハク酸脂肪酸エステルを含有するパン用の品質改良剤としては、例えば、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル1〜3質量%、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル1〜5質量%、及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル1〜5質量%を含有するベーカリー練り込み用油中水型乳化油脂組成物(特許文献1)、グリセリン飽和脂肪酸モノエステル60〜80質量%とグリセリン不飽和脂肪酸モノエステル40〜20質量%とから構成されるグリセリン脂肪酸モノエステル40〜65質量%とグリセリン脂肪酸ジエステル60〜35質量%との混合グリセリン脂肪酸エステル95〜85質量%及びジグリセリン脂肪酸モノエステル5〜15質量%とから構成される混合組成物を加熱溶融した後冷却粉末化であって、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルとを併用することを特徴とするパン用乳化剤組成物(特許文献2)、ゼラチンと酵素分解レシチン、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドおよびモノグリセリドから選ばれる一種または二種以上の乳化剤とを含有し、かつゼラチンと乳化剤とが混合して存在することを特徴とする冷凍生地改良剤(特許文献3)、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドから選ばれる有機酸モノグリセリドを含有し、0.5〜10重量%水懸濁液にしたときのpHが6.5〜10.0である生地改良剤(特許文献4)、ゼラチンと酵素分解レシチン、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドおよびモノグリセリドから選ばれる一種または二種以上の乳化剤との結合体を含有することを特徴とする生地改良剤(特許文献5)、大部分の粒径が300μ以下である粉末状コハク酸モノグリセリドが分散していることを特徴とする可塑性油中水型乳化脂(特許文献6)などが提案されている。
しかし、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル自体の製パン特性を向上させるという観点から検討が行われた事例はこれまでにほとんどなく、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル自体の製パン特性を改善する方法が求められている。より具体的には、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルには、パン生地にミキシング耐性(即ち、パン生地の混捏工程においてパン生地の弾力性が失われず安定な状態が長く維持されること)を付与する効果が認められているが、その効果だけでなく、焼成されたパンにソフトで口どけの良い食感を付与する効果をも併せ持つグリセリンコハク酸脂肪酸エステルが求められている。
特開2012−075404号公報 特開2002−112692号公報 特開平11−243840号公報 特開平07−079687号公報 特許第2919613号公報 特開昭60−186248号公報
本発明は、パンの製造においてパン生地にミキシング耐性を付与する効果と、焼成されたパンにソフトで口どけの良い食感を付与する効果とを併せ持つグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、エステル化反応によりグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを製造するに際し、アルカリ触媒を使用するとともに、反応原料である蒸留モノグリセライドを構成する脂肪酸組成を特定のものとすることにより上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(3)からなっている。
(1)(a)構成脂肪酸の60%以上がステアリン酸である蒸留モノグリセライドと(b)無水コハク酸またはコハク酸とをアルカリ触媒の存在下でエステル化反応させる工程を有し、該エステル化反応の生成物の酸価が100〜120mgKOH/gである、パン用品質改良剤に用いられるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの製造方法。
(2)アルカリ触媒を、前記(a)および(b)の合計量100質量部に対して0.05〜2.0質量部用いる前記(1)に記載のグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの製造方法。
(3)前記(1)または(2)の製造方法により得られたグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを含有するパン用品質改良剤。
本発明の製造方法により得られるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルは、パンの製造においてパン生地にミキシング耐性を付与する効果と、焼成されたパンにソフトで口どけの良い食感を付与する効果とを併せ持つものである。
本発明の製造方法により得られるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルは、パン用品質改良剤に好ましく用いることができる。
本発明の製造方法は、(a)構成脂肪酸の60%以上がステアリン酸である蒸留モノグリセライド〔以下、(a)成分という〕と(b)無水コハク酸またはコハク酸〔以下、(b)成分という〕とをアルカリ触媒の存在下でエステル化反応させる工程を有する。
本発明で用いられる(a)成分は、グリセリンと、ステアリン酸を60%以上含有する脂肪酸の混合物とのエステル化生成物を精製してモノエステル体の含有量を高めたものであり、(a)成分100%中のモノエステル体の含有量は、通常約90%以上である。
本発明で用いられる(a)成分の製造方法としては、例えば、攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器にグリセリンおよびステアリン酸を60%以上含有する脂肪酸の混合物を1:1のモル比で仕込み、必要に応じ酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃で約0.5〜5時間、好ましくは約1〜3時間加熱してエステル化反応を行う。得られた反応液は、グリセリン、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリントリステアリン酸エステルなどを含む混合物である。
反応終了後、反応液中に残存する触媒を中和し、次に反応液を、好ましくは、減圧下で蒸留して残存するグリセリンを留去し、必要であれば脱塩、脱色、ろ過などの処理を行い、(a)成分である構成脂肪酸の60%以上がステアリン酸である蒸留モノグリセライドを得る。更に、該蒸留モノグリセライドを、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて真空蒸留することにより、モノグリセライド(グリセリンモノステアリン酸エステルなど)の含量を高めることができる。
また、(a)成分としては、例えばエマルジーMS(商品名;構成脂肪酸のステアリン酸含有量68%;理研ビタミン社製)、エマルジーMH(商品名;構成脂肪酸のステアリン酸含有量85%;理研ビタミン社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
本発明の製造方法のエステル化反応に用いられるアルカリ触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、炭酸ナトリウムが好ましく用いられる。アルカリ触媒の使用量は、(a)成分および(b)成分の合計量(全仕込み量)100質量部に対して約0.05〜2.0質量部、好ましくは約0.1〜1.0質量部である。アルカリ触媒の使用量がこのような範囲内であると、エステル化反応が促進されるとともに、該反応により得られるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを添加して製造されるパンの食感が良好になるため好ましい。
上記エステル化反応は、例えば攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器に(a)成分および(b)成分を約85/15〜70/30の質量比で仕込み、アルカリ触媒を添加し、例えば約90〜120℃、好ましくは約94〜110℃で約0〜180分間、好ましくは約30〜120分間加熱してエステル化反応を行う。反応の終点は、反応生成物の酸価を測定し、約100〜120mgKOH/gの範囲内であることを目安に決められる。酸価は、「第8版 食品添加物公定書」(日本食品添加物協会)の「40.油脂類試験法」に記載の方法に準じて測定される。
上記反応生成物の酸価がこのような範囲であると、得られるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを添加した生地のミキシング耐性が良好となり、また該生地を焼成して得られるパンの食感が良好になるため好ましい。
本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルは、パン用品質改良剤としてそのまま、または必要に応じて他の乳化剤と併用して使用しても良く、また水、油脂、他の乳化剤などを配合することなどにより製剤化しても良い。他の乳化剤としては、製パン用に一般的に使用されている蒸留モノグリセライド、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを除く)、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、レシチンなどが挙げられる。
本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルをパン用品質改良剤として製剤化する場合、製剤の形態に特に制限はないが、例えば水中油型乳化油脂組成物、油中水型乳化油脂組成物、水分をほとんど含まないショートニングのような形態が挙げられる。
また、本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの効果について評価試験を実施する場合には、該グリセリンコハク酸脂肪酸エステルを製剤化したものを用いてもよいが、より簡便に試験を実施する観点から、該グリセリンコハク酸脂肪酸エステルに水を加えてゲル化させ、ハイドレートを調製して用いることが好ましい。
上記ハイドレートの調製方法としては、例えば水に本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルおよび必要により重曹または水酸化ナトリウムを加え、約60〜70℃に加熱・撹拌し、得られた分散液を撹拌しながら40℃以下に冷却してペースト状にゲル化したハイドレートとすることができる。ここで、水100質量部に対するグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの配合量は約20〜30質量部であることが好ましく、重曹または水酸化ナトリウムの配合量は約0.1〜0.4質量部であることが好ましい。
また、本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルをパン用品質改良剤としてパンの製造に使用する場合、その添加量に特に制限はないが、小麦粉100質量部に対し通常0.05〜1.5質量部、好ましくは0.1〜1質量部であることが、パン生地のミキシング耐性の付与と、ソフトで口どけの良い食感をパンに付与することの両立を図る観点から好ましい。本発明のグリセリンコハク酸脂肪酸エステルをパンの製造に使用する際、小麦粉とともに、ミキシング(混捏)の開始時に配合することが、生地にミキシング耐性を付与する観点から好ましい。
本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを用いたパン用品質改良剤をパンの製造に使用する場合の製パン工程としては、一般に行われている製造方法をそのまま適用することができる。具体的には、直捏法(ストレート法)、中種法または液種法などが挙げられる。
パンとしては、餡、ジャム、バタークリーム、ホイップクリーム、フラワーペーストなどのフィリングなど詰め物をしたパンも含まれ、食パン、特殊パン、調理パン、菓子パンなどが挙げられる。食パンとしては、白パン、黒パン、フランスパン、バラエティーブレッド、ロール類(テーブルロール、バンズ、バターロールなど)が挙げられ、特殊パンとしては、マフィンなどが挙げられる。調理パンとしては、ホットドッグ、ハンバーガーなどが挙げられる。菓子パンとしては、ジャムパン、あんぱん、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、スィートロール、リッチグッズ(クロワッサン、ブリオッシュ、デニッシュ、ペストリーなど)が挙げられる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
構成脂肪酸の68%がステアリン酸である蒸留モノグリセライド(商品名:エマルジーMS;理研ビタミン社製)1000g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)250gおよびアルカリ触媒として炭酸ナトリウム(高杉製薬社製)1.775gを仕込み、80℃から110℃まで攪拌しながら昇温し(昇温速度20℃/時間)、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を冷却してグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(実施例品1)を得た。得られたグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの酸価は107.2mgKOH/gであった。
[実施例2]
構成脂肪酸の85%がステアリン酸である蒸留モノグリセライド(商品名:エマルジーMH;理研ビタミン社製)1000g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)250gおよびアルカリ触媒として炭酸ナトリウム(高杉製薬社製)2gを仕込み、80℃から94℃まで攪拌しながら昇温し(昇温速度20℃/時間)、94℃で120分間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を冷却してグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(実施例品2)を得た。得られたグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの酸価は111.6mgKOH/gであった。
[実施例3]
構成脂肪酸の85%がステアリン酸である蒸留モノグリセライド(商品名:エマルジーMH;理研ビタミン社製)1000g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)250gおよびアルカリ触媒として炭酸ナトリウム(高杉製薬社製)10gを仕込み、80℃から94℃まで攪拌しながら昇温し(昇温速度20℃/時間)、94℃で120分間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を冷却してグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(実施例品3)を得た。得られたグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの酸価は101.5mgKOH/gであった。
[比較例1]
構成脂肪酸の85%がステアリン酸である蒸留モノグリセライド(商品名:エマルジーMH;理研ビタミン社製)1000gおよび無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)250gを仕込み、80℃から110℃まで攪拌しながら昇温し(昇温速度20℃/時間)、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を冷却してグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(比較例品1)を得た。得られたグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの酸価は115.5mgKOH/gであった。
[比較例2]
構成脂肪酸の12%がステアリン酸である蒸留モノグリセライド(商品名:ポエムB−100;理研ビタミン社製)1000g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)250gおよびアルカリ触媒として炭酸ナトリウム(高杉製薬社製)2gを仕込み、80℃から94℃まで攪拌しながら昇温し(昇温速度20℃/時間)、94℃で120分間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を冷却してグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(比較例品2)を得た。得られたグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの酸価は113.0mgKOH/gであった。
上記実施例1〜3並びに比較例1および2で製造したグリセリンコハク酸脂肪酸エステルについて、エステル化反応に用いた蒸留モノグリセライドの構成脂肪酸のステアリン酸含有量(%)、蒸留モノグリセライドおよび無水コハク酸の合計量100質量部に対するアルカリ触媒の使用量(質量部)および得られたグリセリンコハク酸脂肪酸エステルの酸価を表1に示す。
Figure 0006085443
[試験例]
(1)グリセリンコハク酸脂肪酸エステルのハイドレートの調製
500mL容ガラス製ビーカーにイオン交換水240g、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(実施例品1〜3並びに比較例品1および2のうちいずれか)各60gおよび重曹0.6〜0.75gを入れ、該ビーカーの内容物をスリーワンモーター(型式:FBL−600;HEIDON社製、5cm径4枚羽根型攪拌翼2段装着)を用いて250rpmで攪拌しながら60〜70℃まで昇温した(昇温速度約2℃/分)。60〜70℃に達した後、加熱を止め、該スリーワンモーターを用いて250rpmで攪拌しながらペースト状になるまで冷却してゲル化させ、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルのハイドレートを得た。
ここで、上記ハイドレートの調製に用いたグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(実施例品1〜3並びに比較例品1および2)は、融点や水への溶解度がそれぞれ異なることから、より良好にゲル化したハイドレートを得るためには重曹の添加量および加熱温度の調整がそれぞれ必要であった。具体的には、重曹の添加量は、実施例品1および比較例品2では0.6gとし、実施例品2および3並びに比較例品1では0.75gとした。また、加熱温度は、実施例品1〜3および比較例品2では60℃とし、比較例品1では70℃とした。
(2)中種法によるコッペパン製造の原材料および配合
(1)で得たグリセリンコハク酸脂肪酸エステルのハイドレートを用いて製造したコッペパンの原材料の配合割合を表2に示す。
Figure 0006085443
(3)製パン工程
縦型ミキサー(製品名:関東ミキサー;10コート;関東混合機工業社製)およびドゥフックを用い、表2に示した中種配合材料(全量1217.5g)をミキサーにいれ、低速3分、中速2分で混捏(捏上温度26.0℃)し、中種生地とした。次に、これを下記の条件で1次発酵(中種発酵)させた。
<1次発酵条件>
中種発酵温度:28.0℃
中種発酵相対湿度:80.0%
発酵時間:2時間30分
発酵終了時温度:29.0℃
次に、縦型ミキサー(製品名:関東ミキサー;10コート;関東混合機工業社製)に、中種生地および表2に示した本捏配合材料(マーガリンを除く計720g)を添加し、低速3分、中速3分、高速3分で混捏後、残りの材料(マーガリン50g)を加えて低速3分、高速3分で混捏を行い、本捏生地とした。本捏生地の捏上温度は27.0℃とした。
次に、混捏でダメージを受けた生地を回復させるために、27.0℃にてフロアータイムを30分とり、この後80グラムに生地を分割した。分割の生地ダメージを回復させるため、27.0℃にてベンチタイムを20分とり、モルダーで成型した。天板に成型した生地をのせ、発酵(ホイロ)を行った。ホイロ条件は下記の通りである。
<ホイロ条件>
ホイロ温度:38.0℃
相対湿度:80.0%
ホイロ時間:60分
次いで、前記条件にて調製したパン生地を上火210℃、下火190℃のオーブンで、8分間焼成を行った。焼成後、室温で50分冷却し、コッペパンを得た。
(4)ミキシング耐性の評価試験
(3)で実施した製パン工程とは別に、それと同一の工程で本捏生地を調製し、得られた生地について縦型ミキサー(製品名:関東ミキサー;10コート;関東混合機工業社製)を用いて高速でさらに混捏を続け、該生地の弾力性が失われてブレークダウンが起きるまでの時間(安定時間)を観察することによりミキシング耐性を評価し、以下の基準にしたがって記号化した。
○:生地の安定時間が長く、ミキシング耐性に優れている。
△:生地の安定時間が普通で、ミキシング耐性は普通である。
×:生地の安定時間が短く、ミキシング耐性に劣る。
(5)コッペパンの食感評価試験
上述した方法により得られたコッペパンを喫食し、そのソフトさおよび口どけについて官能試験を行った。官能試験では、下記表3に示す評価基準に従い10名のパネラーで評価を行ない、評点の平均点を求め、以下の基準にしたがって記号化した。
○:良好 平均点2.5以上
△:やや悪い 平均点1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均点1.5未満
Figure 0006085443
(5)結果
上述した(4)および(5)の評価試験の結果を表4に示す。
Figure 0006085443
表4の結果から、本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(実施例品1〜3)を添加して製造したコッペパンは、いずれも「ミキシング耐性」の評価が「○」であり、また「ソフトさ」および「口どけ」の評価は「△」以上の優れたものあった。これに対し、比較例のグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(比較例品1または2)を用いたコッペパンは、「ミキシング耐性」の評価と「ソフトさ」および「口どけ」の食感の評価のうちいずれかで「×」となり、本発明に係るグリセリンコハク酸脂肪酸エステルに比べて劣っていた。

Claims (2)

  1. 下記条件1および2を満たすグリセリンコハク酸脂肪酸エステルに水を加えてゲル化させて得たハイドレート(但し、pHが6.5〜10であるものを除く)をパン生地に配合することを特徴とするパン生地のミキシング耐性および焼成されたパンの食感の改良方法。
    条件1:(a)構成脂肪酸の60%以上がステアリン酸である蒸留モノグリセライドと(b)無水コハク酸またはコハク酸とをアルカリ触媒の存在下でエステル化反応させた生成物である。
    条件2:酸価が100〜120mgKOH/gである。
  2. 前記条件1のエステル化反応において、アルカリ触媒を、前記(a)および(b)の合計量100質量部に対して0.1〜1.0質量部用いる請求項1に記載のパン生地のミキシング耐性および焼成されたパンの食感の改良方法
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