JP3372009B2 - 肉の改質剤及びこれで処理した食用肉または肉製品 - Google Patents

肉の改質剤及びこれで処理した食用肉または肉製品

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JP3372009B2 JP18033595A JP18033595A JP3372009B2 JP 3372009 B2 JP3372009 B2 JP 3372009B2 JP 18033595 A JP18033595 A JP 18033595A JP 18033595 A JP18033595 A JP 18033595A JP 3372009 B2 JP3372009 B2 JP 3372009B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉の改質剤及びこ
れで処理した食用肉または肉製品に関する。特に、本発
明は、焼く、揚げるなどの加熱調理によっても肉質が柔
らかく、肉汁に富み、良好な風味、食感の肉を提供でき
る肉の改質剤及びこれで処理した食用肉または肉製品に
関する。
【0002】
【従来の技術】牛、豚などの畜肉、鳥、カモなどの鳥
肉、あるいはアジ、白身魚などの魚肉を用いた肉料理
(肉を含む料理)は、数多くある。これらの調理に際し
ての焼く、炒める、揚げるなどの調理方法に拘らず、肉
は適度な柔らかさを有し、そしてうま味成分である肉汁
に富んだ状態(ジューシーな状態)で食べられることが
望ましい。特に、例えばステーキやカツフライなどの加
工品でない鳥獣等の比較的大きな肉片を用いた肉料理や
これらの肉を原料とした挽き肉を主成分とするハンバー
グ等の成型食品においては、柔らかさやジューシーさは
肉をおいしく食べるためには重要な要素である。しか
し、一般に上記のような肉、特にある程度の大きさを持
つ肉片は加熱調理で固く締まる性質があり、また肉汁も
流出して失われる傾向にある。また肉質があまり良くな
い場合には、上記の固さと共に筋っぽさも加わり、更に
食感が低下するとの問題もある。従って、このような肉
を使用した料理においても柔らかく、良好な食感でおい
しく食べることができる肉の改良が望まれる。従来か
ら、肉を柔らかくしたりあるいは肉の保存性を高めたり
等の肉を改質する方法として、有機酸モノグリセリド
(例、アセチル化モノグリセリド)を使用する方法(特
開昭49−20353 号公報)、レシチン等の活性剤を使用す
る方法(特開昭54−62356 号、特開平4−148663号公
報)、塩類等を使用する方法(特開平4−36167 号、特
開昭61−239862号公報)、及び酵素を使用する方法(特
開平4−278063号、同5−7476号、同5−252911号公
報)が知られている。また、柔らかく、ふっくらとした
食感及び/又はジューシー感に富んだ挽き肉を主成分と
する成型食品を得ることを目的として、例えば、成型食
品に重炭酸ナトリウム、酸性剤及び安定剤を配合する方
法(特開昭54−54359 号公報)、食用油脂、天然ワック
ス及び食用界面活性剤からなる組成物を使用する方法
(特開平1−228427号公報)、水中油滴型乳化液を成型
食品に配合する方法(特開平5−103632号公報)、及び
油中水中油滴型乳化物を成型食品に配合する方法(特開
昭5−176721号公報)などの方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の検討では、これらの方法ではなお充分満足できる程
の改良には至っていない。本発明の目的は、肉質が柔ら
かく、肉汁に富み、更に筋っぽさも低減された食べやす
い肉を提供できる肉の改質剤及びこれで処理した食用肉
または肉製品を提供することでもある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、研究を進める過程で、肉、特に畜肉や
鳥肉の肉においては、腱等の硬質タンパク(コラーゲ
ン)が比較的多く含まれ、これが肉の加熱調理に際して
収縮、凝集し、その結果、肉が締まり、固くなること、
およびこれらのタンパク質の収縮を抑制し、柔らかな肉
を得るためには、モノグリセリドあるいはジグリセリド
とポリカルボン酸とのエステルの配合が極めて有効であ
ることを見出し、先に特許出願を行った(特願平5−3
43815号)。又、更にかかるエステルとプロテアー
ゼを併用することにより、肉の軟化と共に食感も向上す
ることを見出し、先に特許出願を行った(特願平6−1
31456号)。本発明は、上記研究を更に進めた結果
案出されたものであり、本発明者は、上記の如きエステ
ルの内、モノグリセリドとして脂肪酸の炭素数が特定範
囲にあるものを選定し、ポリカルボン酸として特定のも
のを選定し、且つエステルの酸価が特定範囲にあるもの
を選定した特定のエステル、更に好ましくは遊離酸の少
ないエステルが、特に顕著に風味の向上に効果があり、
且つ肉質の柔らかさや肉汁等も良い状態に保てる効果が
あることを見出し、ここに本発明を完成するに至ったも
のである。ここで、遊離酸とは、脂肪酸のモノグリセリ
ドとコハク酸とのエステル化反応生成物中に含まれる遊
離コハク酸、及び脂肪酸のモノグリセリドとジアセチル
酒石酸とのエステル化反応生成物中に含まれる遊離のジ
アセチル酒石酸、モノアセチル酒石酸、酒石酸、酢酸の
ことを指す。即ち本発明は、炭素数12〜22の飽和又は不
飽和の脂肪酸のモノグリセリドとコハク酸との酸価30〜
120 のエステル(但し、該エステルに含まれる遊離のコ
ハク酸の量は1.5 重量%以下である)、又は炭素数12〜
22の飽和又は不飽和の脂肪酸のモノグリセリドとジアセ
チル酒石酸との酸価30〜120 のエステル(但し、該エス
テルに含まれる遊離のジアセチル酒石酸、モノアセチル
酒石酸、酒石酸、酢酸の合計量は1.5 重量%以下であ
る)を含有する肉の改質剤、および該改質剤で処理した
食用肉または肉製品である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい態様は以下の通
りである。 (1)炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸のモノグ
リセリドとコハク酸もしくはジアセチル酒石酸とのエス
テルにおける炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸
が、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸の1
種又は2種以上、好ましくはミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸の場合である。尚、本発
明では、ポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸などの飽和ジカルボン酸;マ
レイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、メチルフマル
酸などの不飽和ジカルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、クエ
ン酸などのヒドロキシカルボン酸;ヒドロキシカルボン
酸の水酸基が酢酸、あるいはシュウ酸等の上記で挙げた
カルボン酸で全部又は一部がエステル化されたカルボン
酸と、モノグリセリドとのエステルも一部含まれていて
も良い。これらのカルボン酸とモノグリセリドとのエス
テルは、カルボン酸とモノグリセリドとを直接エステル
化して得られたものでも良く、これらのカルボン酸の酸
無水物とモノグリセリドとの反応によりエステル化され
たものでも良い。 (2)肉の改質剤が、肉の量に対してエステル換算で0.
05〜5重量%(更に好ましくは、 0.1〜3重量%、特に
0.3〜2重量%)の範囲で使用される。 (3)食用肉が、冷凍食品、冷蔵食品、又はレトルト食
品などの加熱調理済、あるいは加熱調理用の製品に含ま
れる肉である。
【0006】以下に本発明の肉の改質剤について説明す
る。本発明の肉の改質剤は、炭素数12〜22の飽和又は不
飽和の脂肪酸のモノグリセリドとコハク酸との酸価30〜
120 のエステル(以下、コハク酸エステルと称すことが
ある。)、又は炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸
のモノグリセリドとジアセチル酒石酸との酸価30〜120
のエステル(以下、ジアセチル酒石酸エステルと称すこ
とがある。)を含有する。コハク酸エステルにおけるモ
ノグリセリドを構成する脂肪酸残基は、炭素数12〜22
(好ましくは炭素数14〜18)の飽和又は不飽和の脂肪酸
残基であり、又、ジアセチル酒石酸エステルにおけるモ
ノグリセリドを構成する脂肪酸残基は、炭素数12〜18
(好ましくは炭素数14〜18)の飽和又は不飽和の脂肪酸
残基である。
【0007】上記モノグリセリドとコハク酸又はジアセ
チル酒石酸とで得られるエステルは、その反応に関与し
ないカルボン酸のプロトンが、遊離状態にあっても良い
し、また塩を構成していても良い。塩を構成する対イオ
ンとしては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウム、及びアルミニウムなどのイオンを挙
げることができる。本発明に係るエステルは、モノグリ
セリドとコハク酸又はジアセチル酒石酸との反応モル
数、脂肪酸残基の種類などによって数種の構造のものが
得られ、通常はこれらの混合物として得られるが、コハ
ク酸エステルの場合、下記一般式(1)で示されるコハク
酸エステル(単量体)と例えば下記一般式(2) で示され
るコハク酸エステル(多量体)から構成され、単量体/
多量体のモル比が1/4以上であることが好ましい。
【0008】
【化2】
【0009】尚、同様にジアセチル酒石酸エステルの場
合、下記一般式(3) で示されるジアセチル酒石酸エステ
ル(単量体)と例えば下記一般式(4) で示されるジアセ
チル酒石酸エステル(多量体)から構成される。
【0010】
【化3】
【0011】コハク酸エステルの場合、一般式(2) で示
される多量体にも肉軟化作用があるが、一般式(1) で示
される単量体が多くなるほど、肉軟化作用が強くなる傾
向がある。また、本発明において重要な要件は、上記コ
ハク酸エステルおよびジアセチル酒石酸エステルの酸価
が30〜120 の範囲にあることであり、エステル組成物中
に含まれる遊離酸が少ないこと、即ち前者では遊離のコ
ハク酸の量が1.5 重量%以下であり、後者では遊離のジ
アセチル酒石酸、モノアセチル酒石酸、酒石酸、酢酸の
合計量が1.5 重量%以下であることである。本発明で
は、これら遊離酸量を低下させるために、以下の如き方
法が用いられる。 一般的な方法により製造されたエステルを、減圧下、
100 〜180 ℃程度のスチーミング(1〜5時間程度)に
より未反応のコハク酸あるいはジアセチル酒石酸を留去
する方法 一般的な方法により製造されたエステルを、多量の水
で洗浄し、未反応のコハク酸あるいはジアセチル酒石酸
を水層へ除去する方法 モノグリセリドとコハク酸又はジアセチル酒石酸との
反応モル比を、1:1以上にして反応させる方法 モノグリセリドとコハク酸又はジアセチル酒石酸を反
応させる際の反応系の水を留去し、未反応のコハク酸又
はジアセチル酒石酸の含量を低下させる方法 かかる方法により遊離酸の含量を低下させられたコハク
酸エステル組成物またはジアセチル酒石酸エステル組成
物を使用することにより、本発明の効果が顕著に発揮さ
れる。
【0012】本発明の肉の改質剤には、他の任意の成分
が含まれていても良い。特にプロテアーゼを併用するこ
とが、肉の軟化作用をより向上させるために好ましい。
本発明で用いるプロテアーゼは特に限定はなく、種々の
起源のものが使用でき、例えばパパイヤやブロメライン
等の植物由来のもの、膵臓抽出物等の動物由来のもの、
あるいはかび等の微生物由来のものなどを挙げることが
でき、これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用
してもよい。これらの中でも、麹菌由来あるいはバチル
ス属細菌由来のプロテアーゼが好ましい。その他の任意
成分としては、例えば、澱粉類、蛋白質類、糖類、調味
料などを挙げることができる。本発明の肉の改質剤は、
液状、ペースト状、粉末状など何れの形態でもよいが、
扱い易さ、保存性などの点から液状または粉末状である
ことが好ましい。液状としては、水または水性液体中に
溶解あるいは分散された状態にすること、または油脂中
に溶解あるいは分散された状態にすることが好ましい。
尚、粉末状とする場合、上記澱粉類等の任意成分を使用
し、例えば、得られるエステルが液状の場合には、これ
らの成分に含ませ、噴霧するなどの方法で改質剤を粉末
状とすることができる。本発明の肉の改質剤は、肉の形
状により、あるいは肉料理によってその使用方法は異な
るが、改質剤が直接肉に接触するような方法で使用する
ことが有利である。例えば、ステーキなどの比較的大き
な形状の肉片においては、粉末状改質剤を直接肉片に塗
布、散布などの方法で使用することが有利であり、また
挽き肉おいては、これを主成分とした成型食品を調製す
る際に、挽き肉に改質剤を添加し、改質剤が直接挽き肉
と接触するような方法で使用することが有利である。
【0013】尚、肉料理を行う際の改質剤の使用形態と
して代表的な例を以下に挙げる。 (1)小麦粉、粉末調味料などの粉末基材に配合して使
用する。 (2)大豆油、コーン油などの調理用液体食用油脂に配
合して使用する。 (3)精製ラード、ショートニングなどの可塑性油脂に
配合して使用する。 (4)マーガリン等のW/O乳化組成物に配合して使用
する。 (5)O/W乳化組成物に配合して使用する。 (6)だし、タレなどの液体調味量に配合して使用す
る。 本発明の肉の改質剤は、肉の量に対してエステル換算で
0.05〜5重量%(更に好ましくは、 0.1〜3重量%、特
に 0.3〜2重量%)の範囲で使用することが好ましい。
また、上記プロテアーゼは、肉の量に対して0.001 〜5
重量%(更に好ましくは、0.005 〜3重量%、特に0.01
〜1重量%)の範囲で使用することが好ましい。また、
本発明の改質剤において、エステルとプロテアーゼの混
合重量比は、100 :1〜1:10の範囲(更に好ましく
は、10:1〜1:2の範囲)にあることが好ましい。
【0014】本発明の肉の改質剤は、牛、豚、羊などの
蓄肉、鶏、七面鳥、カモ、ガチョウ等の鳥肉、あるいは
アジ、サケ、タラやヒラメなどの白身魚などの魚肉を用
いて調理するときに効果があるが、特に畜肉、鳥肉にお
いて効果が大である。また肉の部位としては、カタ、モ
モ等の比較的硬質のタンパク質を多く含む部位のものを
用いるときに効果がある。更に肉の形態としては、前述
のように肉片としての形状のあるもの(厚切り肉、薄切
り肉、細切り肉)を用いるときに有効であるが、上記の
ような挽き肉を主体にした成型食品においても効果があ
る。尚、本明細書において、肉片とは、畜肉等の生肉か
ら切り出した、比較的形状の大きな肉(例えば、肉片の
表面積が1cm2 程度以上のもの)を意味し、ステーキ、
焼き肉用の肉、唐揚、フライあるいは照焼用の肉などの
肉片を挙げることができる。また、本発明の肉の改質剤
は、肉を加熱調理する際の使用により効果が得られる
が、焼く、炒める、揚げる、煮る、蒸すなどの調理方法
によっては制限されず何れの調理方法においても効果が
得られる。特に、焼く、揚げるなどの調理において顕著
な効果が得られる。適用できる肉料理の例としては、焼
き肉、ステーキ、カツフライ、唐揚、竜田揚げ、カレ
ー、シチュー、しゃぶしゃぶ、焼き魚(かば焼きなども
含む)、ムニエルなどの比較的大きな肉片を用いた肉料
理、あるいはハンバーグ、ミートボール、ミートロー
フ、メンチカツ、ギョーザ、シューマイ、ワンタン、春
巻、及び肉まんなどの挽き肉を主体にした成型食品の肉
料理を挙げることができる。更に、本発明の改質剤は、
冷凍、冷蔵、あるいはレトルトなどの常温保存可能な肉
片を含む肉製品、あるいはこれらの形態の挽き肉を主体
にした成型食品においても適用できる。本発明の改質剤
で処理された肉片を含む肉製品、あるいは挽き肉を主体
にした成型食品は、既に加熱調理されているものでも良
いし(加熱調理済食品)、あるいは食べるときに加熱調
理するように調理されているものでも良い(未加熱調理
食品)。すなわち、加熱調理済食品においては、これを
製造する際の加熱調理工程で本発明の改質剤で処理され
ていれば良く、一方未加熱調理食品においては、食べる
ときの加熱調理する際に本発明の改質剤が作用するよう
に予めこの食品に付着等の処理をしておけば良い。本発
明の改質剤で処理された肉を含む肉製品は、保存後にお
いても、肉の柔らかさやジューシーさが維持され、良好
な風味のものとなる。本発明の改質剤で処理した肉を含
む肉製品としては、例えば、カツフライ、唐揚、カレ
ー、ハヤシ、シチュー、肉ジャガ、酢豚、アジ、サケ、
白身魚(タラ、ヒラメ、キス)などのフライ、カレイの
天ぷら、うなぎのかば焼きなどを挙げることができる。
また挽き肉を主体にした成型食品で、冷凍、冷蔵、ある
いはレトルトの例も前述した、ハンバーグ等を挙げるこ
とができる。
【0015】以下に、本発明の肉の改質剤としてコハク
酸エステルを用いた場合の上記配合例とその具体的な使
用例を示す。なお、これらの配合においては、ジアセチ
ル酒石酸エステルを使用した場合でも同様にして調製す
ることができる。配合は、重量部で示す。 (1)唐揚げ粉 小麦粉(薄力粉) 55 コーンスターチ 10 粉糖 3.5 食塩 11 脱脂粉乳 2 粉末醤油 5 グルタミン酸ナトリウム 2.5 香辛料末 1 コハク酸エステル 10 ───────────────────── 合計 100 使用例:鶏肉50gに対して唐揚げ粉5〜10gをまぶした
後、揚げる。 上記のような調理におけるコハク酸エステルの配合量
は、0.25〜50重量%(好ましくは、 0.5〜30重量%)の
範囲であることが好ましい。
【0016】(2)調理用油脂 コーンサラダ油 95 コハク酸エステル 5 ───────────────────── 合計 100 使用例:細切り肉 100gに対して調理用油脂10〜25gを
フライパンに入れ、加熱後、肉を炒める。 上記のような調理におけるコハク酸エステルの配合量
は、 0.2〜50重量%(好ましくは、 0.4〜30重量%)の
範囲であることが好ましい。
【0017】(3)可塑性油脂 大豆硬化油(融点:34℃) 40 パーム油 15 大豆油 20 コハク酸エステル 20 ガーリック粉末 2 ペパー粉末 2 オニオンオイル 1 ─────────────────── 合計 100 使用例:ステーキ肉 200gに対して可塑性油脂20〜40g
をフライパンに入れ、加熱溶解後、肉を焼く。 上記のような調理におけるコハク酸エステルの配合量
は、0.25〜50重量%(好ましくは、 0.5〜30重量%)の
範囲であることが好ましい。
【0018】(4)焼き肉用の漬け込みタレ 醤油 27 砂糖 21 みりん 18 水飴 7 食塩 4.5 グルタミン酸ナトリウム 2 ビーフエキス 2 香辛料 3 リンゴ果汁(5倍濃縮) 5 キサンタンガム 0.5 コハク酸エステル 10 ────────────────── 合計 100 使用例:焼き肉用の肉50gを上記タレ5〜15gと和えた
後、肉を焼く。 上記のような調理におけるコハク酸エステルの配合量
は、 0.2〜50重量%(好ましくは、 0.4〜30重量%)の
範囲であることが好ましい。
【0019】
〔エステルの調製〕
サンプルA(比較品) コハク酸モノグリセリド(炭素数16〜18(炭素数18を主
体)の飽和モノグリセリドとコハク酸との混合比が1:
1のエステル、花王(株)製、ステップSS)をサンプ
ルAとした。このものは、酸価110 であり、前述した単
量体/多量体のモル比は82/18であり、遊離酸は2.1 重
量%であった。 サンプルB(比較品) サンプルAを125 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルBを得た。このものは、酸価100 であり、前
述した単量体/多量体のモル比は73/27であり、遊離酸
は1.8 重量%であった。 サンプルC サンプルAを5倍量の水で3回水洗することによりサン
プルCを得た。このものは、酸価98であり、前述した単
量体/多量体のモル比は82/18であり、遊離酸は1.2 重
量%であった。 サンプルD サンプルAを150 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルDを得た。このものは、酸価85であり、前述
した単量体/多量体のモル比は64/36であり、遊離酸は
0.9 重量%であった。 サンプルE サンプルAを175 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルEを得た。このものは、酸価62であり、前述
した単量体/多量体のモル比は52/48であり、遊離酸は
0.8 重量%であった。 サンプルF サンプルAを200 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルFを得た。このものは、酸価30であり、前述
した単量体/多量体のモル比は30/70であり、遊離酸は
0.6 重量%であった。 サンプルG 炭素数16〜18(炭素数18を主体)の飽和モノグリセリド
に含まれる水分を0.1重量%とした後に、無水コハク酸
と90℃で1時間反応させることで、サンプルGを得た。
このものは、酸価115 であり、単量体/多量体のモル比
は90/10であり、遊離酸は1.3 重量%であった。 サンプルH(比較品) ジアセチル酒石酸モノグリセリド(理研ビタミン(株)
製、ポエムW−10)をサンプルHとした。このもの
は、酸価120 であり、遊離酸は3.5 重量%であった。 サンプルI(比較品) サンプルHを125 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルIを得た。このものは、酸価98であり、遊離
酸は1.9 重量%であった。 サンプルJ サンプルHを5倍量の水で3回水洗することによりサン
プルJを得た。このものは、酸価90であり、遊離酸は1.
5 重量%であった。 サンプルK サンプルHを150 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルKを得た。このものは、酸価80であり、遊離
酸は1.4 重量%であった。 サンプルL サンプルHを175 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルLを得た。このものは、酸価62であり、遊離
酸は1.3 重量%であった。 サンプルM サンプルHを200 ℃で1時間スチーミングすることによ
りサンプルMを得た。このものは、酸価33であり、遊離
酸は1.2 重量%であった。
【0020】比較例1 焼き肉用の厚さ5mmのオーストラリア産牛モモ肉50gに
対してサンプルAの粉末約0.25gを肉表面に散布した
後、 200℃のホットプレート上で焼成した。 比較例2 上記比較例1において、サンプルAの代わりにサンプル
を使用した他は比較例1と同様にして肉を焼成した。比較例3 上記比較例1において、サンプルAの代わりにサンプル
Hを使用した他は比較例1と同様にして肉を焼成した。 比較例4 上記比較例1において、サンプルAの代わりにサンプル
Iを使用した他は比較例1と同様にして肉を焼成した。 比較例5 上記比較例1において、サンプルAを使用しなかった以
外は、上記比較例1と同様にして肉を焼成した。 実施例1〜 上記比較例1において、サンプルAの代わりにサンプル
〜Gを使用した他は比較例1と同様にして肉を焼成し
た。 実施例 上記比較例1において、サンプルAの代わりにサンプル
〜Mを使用した他は比較例1と同様にして肉を焼成し
た。
【0021】〔肉の改質剤及び肉製品としての評価〕 上記のようにして得られた焼き肉を20人のパネルにより
官能評価を行った。評価は、実施例と比較例で得られた
各肉料理の「柔らかさ」、「ジューシーさ」を比較し、
比較例(無処理)に比べ、『明らかに柔らかい(又は
ジューシー)』、『やや柔らかい(又はジューシ
ー)』、そして『変わらない』の3段階で行い、○、
△、×で相対評価した。また、得られた焼き肉の肉の物
性値を測定し、肉の柔らかさを評価した。『柔らかさ』
は、ミートシェア(ワーナーブラッツラー社製)による
剪断応力値で表した。値が小さい程、肉が柔らかいこと
を示す。また、得られた焼き肉の風味を、上記と同様に
○(良い)、△(変わらない)、×(悪い)の3段階で
相対評価した。結果を以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】実施例1019 焼き肉用の厚さ5mmのオーストラリア産牛モモ肉50gに
対して、表2に示すようにサンプルD、E、G、K、L
の粉末約 0.2gと、麹菌由来のプロテアーゼ(酵素含有
量23%、天野製薬(株)製)あるいはバチルス属細菌由
来のプロテアーゼ((株)ヤクルト製、アロアーゼAP
−10)0.05gを肉表面に散布した後、200℃のホット
プレート上で焼成した。このものについても上記実施例
と同様に評価した。結果を以下の表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明の肉の改質剤を使用することによ
り、肉質が柔らかく、そして肉汁に富んだ肉を得ること
ができる。特に、ある程度の大きさを持つ肉の加熱調理
に際して有効である。また本発明の肉の改質剤を使用す
ることにより、冷凍(冷蔵)食品、あるいはレトルト食
品のような保存可能な肉を含む肉製品においても、その
保存後でも肉質が柔らかく、ジューシーさも維持され、
かつ良好な風味で食べることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−205823(JP,A) 特開 昭58−201964(JP,A) 特開 平5−7476(JP,A) 特開 平3−47051(JP,A) 特許2919258(JP,B2) 特許3286453(JP,B2) 特許2980517(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/318

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸
    のモノグリセリドとコハク酸との酸価30〜120 のエステ
    (但し、該エステルに含まれる遊離のコハク酸の量は
    1.5 重量%以下である)、又は炭素数12〜22の飽和又は
    不飽和の脂肪酸のモノグリセリドとジアセチル酒石酸と
    の酸価30〜120 のエステル(但し、該エステルに含まれ
    る遊離のジアセチル酒石酸、モノアセチル酒石酸、酒石
    酸、酢酸の合計量は1.5 重量%以下である)を含有する
    肉の改質剤。
  2. 【請求項2】 炭素数12〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸
    のモノグリセリドとコハク酸との酸価30〜120 のエステ
    ルが、下記一般式(1) で示されるコハク酸エステル(単
    量体)と下記一般式(2) で示されるコハク酸エステル
    (多量体)から構成され、単量体/多量体のモル比が1
    /4以上である請求項1記載の肉の改質剤。 【化1】
  3. 【請求項3】 更にプロテアーゼを含有する請求項1又
    は2記載の肉の改質剤。
  4. 【請求項4】 プロテアーゼが麹菌由来あるいはバチル
    ス属細菌由来のプロテアーゼである請求項3記載の肉の
    改質剤。
  5. 【請求項5】 粉末状である請求項1〜4の何れか1項
    記載の肉の改質剤。
  6. 【請求項6】 水または水性液体中に溶解あるいは分散
    された状態にある請求項1〜4の何れか1項記載の肉の
    改質剤。
  7. 【請求項7】 油脂中に溶解あるいは分散された状態に
    ある請求項1〜4の何れか1項記載の肉の改質剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れか1項記載の肉の改
    質剤で処理した食用肉または肉製品。
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