JP6084967B2 - セピアプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンの製造法 - Google Patents

セピアプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンの製造法 Download PDF

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Description

本発明は、医薬として有用なセピアプテリン、ラクトイルプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンの製造法に関する。
テトラヒドロビオプテリン(BH4、サプロプテリン)は、血管内皮型の一酸化窒素生成酵素(NOS)による一酸化窒素の生産をコントロールしていることから、NOSから生産される一酸化窒素が関与する種々の疾患、例えばパーキンソン病、脳虚血、クモ膜下出血後攣縮、虚血再灌流障害などの脳血管障害や、心筋炎、冠攣縮、心肥大、動脈硬化、高血圧、血栓、感染症、エンドトキシンショック、肝硬変、肥厚性幽門狭窄症、胃粘膜障害、肺高血圧症、腎障害、インポテンツ、血糖低下作用等の治療、改善に有効と考えられる。
また、BH4は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなど脳内の神経伝達物質の生合成経路において重要な役割を果たしており、細胞内でBH4の欠損が起こると、中枢性精神障害(フェニルケトン尿症、うつ、過食症、自閉症、意識集中障害、認知障害など)や中枢性運動障害(筋緊張、硬直、振戦など)といった脳機能障害を引き起こすことが示唆されている。しかしながらBH4の末梢投与では、BH4が血液脳関門でブロックされ脳神経細胞まで到達できないためこれらの症状の改善はみられない。
最近、セピアプテリンがBH4に比べて血液脳関門を通過しやすく、組織に入りやすいことが発見された。セピアプテリンを末梢から投与すれば血液脳関門を通過し、脳内においてBH4に変化して脳内BH4が増加すること、及びセピアプテリンの投与が脳機能障害予防治療薬として有用であることが報告された(特許文献1)。
BH4は多様な生理活性を有しているが、非常に水溶性が高く、投与したBH4の大半はすぐに尿へ排出されてしまう性質がある。そのため細胞内に取り込まれやすいセピアプテリンの方がBH4よりも生物学的利用率が高いと考えられる。また、天然物であるセピアプテリンやその類似体であるラクトイルプテリン、テトラヒドロラクトイルプテリンは安全性が高く、そして種々の活性が期待できる。
セピアプテリンの合成法としては、7,8−ジヒドロプテリンとα−ケト−β−ヒドロキシ酪酸とを塩化亜鉛の存在下に反応させる方法(非特許文献1)、及びBH4を6日間空気酸化する方法(非特許文献2)が知られている。
ラクトイルプテリンの合成法としては、セピアプテリンを酸化することにより得られることが知られている(非特許文献3、4)。
国際公開第2011/132435号
日本化学会誌,206-208(1972) Helvetica Chimica Acta, 61(7), 2731(1978) Zoological Magazine 86, 29(1977) Biochemical genetics 17, 351(1979)
しかしながら、非特許文献1記載の方法では、痕跡量のセピアプテリンしか生成せず、安定な供給方法とはなり得ない。また、非特許文献2の方法では、原料として非常に高価なBH4を用いており、これも工業的に安定供給できる方法とはなり得ない。また、非特許文献2の方法は反応時間が長く、BH4が酸化されたビオプテリン、側鎖のβ位の水酸基が脱離したデオキシセピアプテリン等の副生成物も多く生成してしまうという問題もある。また、非特許文献3及び4のラクトイルプテリンの合成法では、工業的に入手が困難なセピアプテリンを原料としており、また収率も低く、安定供給方法とはなり得ない。
従って、本発明の課題は、医薬として有用であることが最近発見されたセピアプテリン、ラクトイルプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンを安定して供給可能な新規製造法を提供することにある。
そこで本発明者は、入手可能な原料を用いたセピアプテリン、ラクトイルプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンの合成法を検討してきたところ、下記式(1)の化合物又は式(7)の化合物を出発原料として用いれば、セピアプテリン、ラクトイルプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンが収率良く得られ、これらの化合物を初めて医薬として安定供給可能になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔32〕に関する。
〔1〕式(2)
Figure 0006084967
で表されるラクトイルプテリン又はその塩を還元することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔2〕還元反応が、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下の接触還元である〔1〕記載の製造法。
〔3〕式(4)
Figure 0006084967
で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩を酸化することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔4〕酸化反応が、過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化である〔3〕記載の製造法。
〔5〕式(2)
Figure 0006084967
で表されるラクトイルプテリン又はその塩を還元することを特徴とする式(4)
Figure 0006084967
で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩の製造法。
〔6〕還元反応が、BH3系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元である〔5〕記載の製造法。
〔7〕還元反応が、酸性条件下、BH3系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元である〔5〕記載の製造法。
〔8〕式(2)
Figure 0006084967
で表されるラクトイルプテリン又はその塩を還元して式(4)
Figure 0006084967
で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩を得、次いで当該化合物(4)を酸化することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔9〕還元反応が、BH3系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元であり、酸化反応が過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化である〔8〕記載の製造法。
〔10〕還元反応が、酸性条件下、BH3系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元である〔9〕記載の製造法。
〔11〕式(5)
Figure 0006084967
(式中、Ra及びRbは同一又は異なる保護基を示し、Rc及びRdは水素原子又保護基を示す。)
で表される化合物を脱保護することを特徴とする、式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔12〕脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔11〕記載の製造法。
〔13〕式(8)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4及びR5は同一又は異なる保護基を示し、R6は水素原子又は保護基を示す。)
で表される化合物を酸化して式(5−1)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4、R5及びR6は前記と同じ。)
で表される化合物を得、次いで得られた化合物を脱保護することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔14〕酸化反応が、過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化であり、脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔13〕記載の製造法。
〔15〕式(7)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4及びR5は同一又は異なる保護基を示し、R6は水素原子又は保護基を示す。)
で表される化合物を還元して式(5−1)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4、R5及びR6は前記と同じ。)
で表される化合物を得、次いで得られた化合物を脱保護することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔16〕還元反応が、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下の接触還元であり、脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔15〕記載の製造法。
〔17〕式(7)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4及びR5は同一又は異なる保護基を示し、R6は水素原子又は保護基を示す。)
で表される化合物を還元して式(8)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4、R5及びR6は前記と同じ。)
で表される化合物を得、当該化合物(8)を酸化して式(5−1)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4、R5及びR6は前記と同じ。)
で表される化合物を得、次いで得られた化合物を脱保護することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔18〕還元反応が、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下の接触還元であり、酸化反応が、過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化であり、脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔17〕記載の製造法。
〔19〕式(1)
Figure 0006084967
(式中、R1及びR2は、同一又は異なる保護基を示す。)
で表される化合物を還元して式(5−2)
Figure 0006084967
(式中、R1及びR2は前記と同じ。)
で表される化合物を得、当該化合物(5−2)を脱保護することを特徴とする、式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔20〕還元反応が、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下での接触還元であり、脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔19〕記載の製造法。
〔21〕式(8)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4及びR5は同一又は異なる保護基を示し、R6は水素原子又は保護基を示す。)
で表される化合物を脱保護して式(4)
Figure 0006084967
で表されるテトラヒドロラクトイルプテリンを得、当該化合物(4)を酸化することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔22〕脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護であり、酸化反応が、過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化である〔21〕記載の製造法。
〔23〕式(7)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4及びR5は同一又は異なる保護基を示し、R6は水素原子又は保護基を示す。)
で表される化合物を還元して式(8)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4、R5及びR6は前記と同じ。)
で表される化合物を得、当該化合物(8)を脱保護して式(4)
Figure 0006084967
で表されるテトラヒドロラクトイルプテリンを得、当該化合物(4)を酸化することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔24〕還元反応が、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下での接触還元であり、脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護であり、酸化反応が過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化である〔23〕記載の製造法。
〔25〕式(1)
Figure 0006084967
(式中、R1及びR2は、同一又は異なる保護基を示す。)
で表される化合物を脱保護して式(2)
Figure 0006084967
で表されるラクトイルプテリンを得、当該化合物(2)を還元することを特徴とする式(3)
Figure 0006084967
で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
〔26〕脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護であり、還元反応が、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下での接触還元である〔25〕記載の製造法。
〔27〕式(1)
Figure 0006084967
(式中、R1及びR2は、同一又は異なる保護基を示す。)
で表される化合物を脱保護することを特徴とする式(2)
Figure 0006084967
で表されるラクトイルプテリン又はその塩の製造法。
〔28〕脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔27〕記載の製造法。
〔29〕式(8)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4及びR5は同一又は異なる保護基を示し、R6は水素原子又は保護基を示す。)
で表される化合物を脱保護することを特徴とする、式(4)
Figure 0006084967
で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩の製造法。
〔30〕脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔29〕記載の製造法。
〔31〕式(7)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4及びR5は同一又は異なる保護基を示し、R6は水素原子又は保護基を示す。)
で表される化合物を還元して式(8)
Figure 0006084967
(式中、R3、R4、R5及びR6は前記と同じ。)
で表される化合物を得、当該化合物(8)を脱保護することを特徴とする、式(4)
Figure 0006084967
で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩の製造法。
〔32〕還元反応が、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下での接触還元であり、脱保護反応が、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の加水分解又は加溶媒分解、あるいはフッ素アニオンによる脱保護である〔31〕記載の製造法。
本発明によれば、医薬として有用なセピアプテリン、ラクトイルプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンを入手容易な原料から、収率良く製造できる。
本発明方法を反応式で示せば次のとおりである。
Figure 0006084967
(上記反応式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前記と同じ。)
前記式(5)の化合物は、上記反応式中の式(5−1)の化合物及び式(5−2)の化合物を併せて示したものである。従って、Ra、Rb、RC及びRdは、式(5−1)及び式(5−2)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6を併せたものである。
式(7)の化合物は、式(1)の化合物から得ることもできる。また、式(7)の化合物は、式(2)の化合物から直接得ることもできる。
上記反応式中の化合物は、水酸基の立体配置によりS−体、R−体及びSR体が含まれる。また、式(4)のテトラヒドロラクトイルプテリンの異性体は以下のものが含まれる。
Figure 0006084967
1〜R6で示される保護基としては、加水分解、加溶媒分解、フッ素アニオンによる脱保護などにより脱離する保護基が好ましい。
保護基としては、アルコキシアルキル基、アルキル基、アシル基、シリル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、C1-6アルコキシC1-6アルキル基が挙げられ、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基等が好ましい。アルキル基としては、C3−C8の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等が好ましい。アシル基としては、ホルミル基、C1−C12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルカルボニル基、C6−C14のアリールカルボニル基等が挙げられ、アセチル基、ベンゾイル基等が好ましい。シリル基としてはトリC1−C6アルキルシリル基、アルキルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられ、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルメチル基等が好ましい。アルコキシカルボニル基としては、C1−C14アルコキシカルボニル基が挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
1〜R6の保護基は、同一でもよく、それぞれ異なっていてもよい。
これらの保護基のうち、R1、R4としては、アルコキシアルキル基、アルキル基、アシル基、シリル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基等が挙げられるが、副生成物抑制の点から、中性、又は弱塩基〜酸性条件下で脱離する保護基であるアルコキシアルキル基、分岐又は環状アルキル基、アシル基、シリル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基が好ましく、酸性条件下で脱離する保護基であるアルコキシアルキル基、分岐又は環状アルキル基、シリル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基がより好ましい。R2、R3としては、アルコキシアルキル基、アルキル基、アシル基、シリル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基等が挙げられるが、副生成物抑制の点から、中性、又は弱塩基〜酸性条件下で脱離する保護基であるアルコキシアルキル基、分岐又は環状アルキル基、アシル基、シリル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基が好ましく、酸性条件下で脱離する保護基であるアルコキシアルキル基、分岐又は環状アルキル基、シリル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基がより好ましい。R5、R6としては、アルコキシアルキル基、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基等が挙げられるが、副生成物抑制の点から、中性、又は弱塩基〜酸性条件下で脱離する保護基であるアルコキシアルキル基、分岐又は環状アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基が好ましく、酸性条件下で脱離する保護基であるアルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、トリチル基がより好ましい。
原料である式(1)の化合物は、例えば次の反応式のように、本発明者が先に出願した特開2011−11976号公報及びHeterocycles 71(4), 911(2007)に記載の方法によって製造することができる。
Figure 0006084967
(式中、R1及びR2は前記と同じ。)
すなわち、pKaが4.5以下の酸の存在下、極性溶媒中でエポキシアルデヒド化合物(A)と式(B)の化合物を結合させて式(C)の化合物を得、これをヨウ素及び/又は過酸化水素を用いて酸化して式(D)の化合物とし、次いでこれを過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム及び4−メチルモルホリンN−オキシドを反応させることにより酸化して式(1)の化合物を得ることができる。なお、光学活性エポキシアルデヒド化合物(A)は、例えばTetrahedron Letters 7847 (2004)に記載の方法により製造できる。また、R−乳酸誘導体を原料に用いることにより4位(保護された水酸基)の立体配置が異なる化合物(A)が製造できるため、本発明では立体配置の異なるセピアプテリン、ラクトイルプテリン及びテトラヒドロラクトイルプテリンを作り分けることができる。
以下に、上記反応式の各工程(a)〜(m)について説明する。
〔工程(a)及び工程(f)〕
この工程は、式(1)又は(5−2)の化合物の脱保護を行う工程である。脱保護は保護基に合わせて加水分解、加溶媒分解、フッ素アニオンによる脱保護など適宜選択することができる。副生成物抑制の点から加水分解及び加溶媒分解は弱塩基性、中性又は酸性条件下での実施が好ましく、酸性条件下での実施がより好ましい。より詳細には、加水分解及び加溶媒分解は、pKa12以下の塩基又は酸の存在下の実施が好ましく、pKa7以下の酸の存在下の実施がより好ましい。
加水分解又は加溶媒分解反応は、常法に従い、水、低級アルコール、ジメトキシエタン、ジオキサン、THF、DMSO、ニトロメタン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、酢酸等の溶媒又は混液中、0℃〜還流温度で行うことができ、0.5時間〜48時間行うことが好ましい。低級アルコールとしては、C1−C4アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等が用いられる。用いる水、低級アルコール等の溶媒の量は、前記原料化合物の一部を溶解できる量であればよく、式(1)又は(5−2)の化合物1質量部に対して0.1〜1000質量部、さらに0.1〜50質量部が好ましい。
フッ素アニオンによる脱保護反応としては、常法に従い、フッ化水素酸やフッ化水素酸ピリジン錯体等のフッ化水素酸や、テトラブチルアンモニウムフロリドのようなフッ素アンモニウム塩を用いて行う方法が挙げられる。水、低級アルコール、ジメトキシエタン、ジオキサン、THF、DMSO、ニトロメタン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、酢酸等の溶媒又は混液中、0℃〜還流温度で行うことができ、0.5時間〜48時間行うことが好ましい。
加水分解及び加溶媒分解の添加剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、t-ブトキシカリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等の無機塩基、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドリド、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基、塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられるが、副生成物抑制の点から、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のpKa12以下の塩基又は酸の添加が好ましく、pKa7以下の酸の添加がより好ましい。これらの酸及び塩基は1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このうち、無機酸が好ましく、特に塩酸が好ましい。具体的には、添加剤を、式(1)又は(5−2)の化合物1質量部に対して0.1〜100質量部添加するのが好ましく、0.1〜50質量部添加するのがより好ましい。
工程(a)及び工程(f)において、保護基であるR1、R2が異なる場合には、それぞれの保護基に適した脱保護を行うことができる。当該脱保護は段階的に行うこともでき、同時に行うこともできる。
〔工程(b)及び工程(e)〕
この工程は、式(1)又は(2)の化合物を還元して式(5−2)又は(3)の化合物を得る工程である。この反応は、プテリン骨格の7,8位の二重結合のみを選択的に還元する反応である。
この還元反応は、還元剤による還元、又は接触還元(触媒存在下の水素化反応)により行われる。還元剤としては、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドリド還元剤及び還元性金属から選ばれる還元剤が挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、亜硫酸カリウム(K2SO3)等が挙げられる。次亜硫酸塩としては、次亜硫酸ナトリウム(Na224)、次亜硫酸カリウム(K224)等が挙げられる。チオ硫酸塩としては、チオ硫酸ナトリウム(Na223)、チオ硫酸カリウム(K223)等が挙げられる。ヒドリド還元剤としては、NaBH4、NaBH3CN、NaB(OAc)1-3Hx、NaB(OMe)1-3Hx、LiBH4、LiBH(Et)3、L−Selectride、K−Selectride、LiAlH4等(xは1〜3の数を示す)が挙げられる。還元性金属としては、Zn、Fe、Ni、Hg、Al、Mgなどが挙げられる。これらの還元剤のうち、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、チオ硫酸塩がより好ましい。
還元剤を用いる還元反応は、水、メタノール、エタノール、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、THF、DMSO、ニトロメタン、アセトン、酢酸エチル、酢酸等の溶媒中、式(1)又は(2)の化合物1モルに対して0.5〜20モルの還元剤を添加し、0.5時間〜24時間、0℃〜100℃で反応を行えばよい。
接触還元(触媒存在下の水素化反応)に用いられる触媒としては、Pd、Ru、Rh、Pt、Ni、Cuなどが挙げられるが、Pd、Ptがより好ましい。これらの金属は、炭素等の担体に担持されていてもよい。またPdOやPd(OH)2、エチレンジアミンのような窒素化合物、PhSのような硫黄化合物等で被毒された金属も用いられる。
接触還元(触媒存在下の水素化反応)は、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、THF、DMSO、ニトロメタン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、酢酸等の溶媒中で行うことができ、式(1)に対してはアルコール類、THF、酢酸エチル、トルエンが好ましく、式(2)に対しては水、アルコール類、ジメチルホルムアミドが好ましい。触媒は化合物1質量部に対して0.01〜5質量部の触媒を、好ましくは0.1〜2質量部用いて行えばよい。水素圧は常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜0.5MPaであり、反応温度は0〜80℃、好ましくは20〜50℃で行えばよい。反応時間は1〜72時間、好ましくは1〜24時間行えばよい。
また、この接触還元(触媒存在下の水素化反応)においては、塩基を添加して塩基性条件下で行うのが、反応の選択性、目的物の収率の点で好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、t-ブトキシカリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等の無機塩基又は、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドリド、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基が挙げられるが、副生成物抑制の点から、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等のpKa8〜12の無機塩基又は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、アンモニア水等のpKa8〜12の有機塩基の添加が好ましく、アンモニア水又は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のpKa8〜12の有機塩基の添加がより好ましい。これらの塩基は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの塩基の使用量は、式(1)又は(2)の化合物1モルに対して0.1〜150モルが好ましく、1〜50モルがより好ましい。
これらの還元反応のうち、反応収率、副生成物抑制の点から亜硫酸塩、次亜硫酸塩、チオ硫酸塩の使用、接触還元(触媒存在下の水素化反応)がより好ましい。
〔工程(c)〕
この工程は、式(2)のラクトイルプテリンを無保護のまま還元してテトラヒドロラクトイルプテリン(4)又はその塩を製造する工程である。
この還元反応は、テトラヒドロラクトイルプテリン(4)を選択的に得る点から、BH3系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元が好ましい。BH3系還元剤を用いる還元、又は塩基性条件下の接触還元を行えば、プテリジン環の還元が優先し、ラクトイル基のカルボニル基の還元反応を抑制できる。また、ラクトイル基のβ位の水酸基の脱離が生じない。BH3系還元剤としては、B、THF−BH、NH−BH、Et−NBH、DEA−BH、DIEA−BH、SMe−BH、PPh−BH、Py−BH3、Pic−BH3、Morpholine−BH等が挙げられるが、Py−BH3、Pic−BH3、Et3N−BH3等のアミン系化合物−BH3が特に好ましい。
このBH3系還元剤を用いた還元反応は、酸性条件で行うのが好ましい。酸としては塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられるが、塩酸やp−トルエンスルホン酸等のpKa7以下の酸の存在下で行うのがより好ましく、入手容易性等の観点から塩酸の存在下で行うことがより好ましい。反応は、水、メタノール、エタノール等のアルコール、テトラヒドロフラン等の溶媒中で行うことができ、水、メタノール、エタノール等のアルコール、又はこれらの混合溶媒中がより好ましい。また反応は、−20〜80℃で、より好ましくは−20〜10℃で、0.5〜24時間行えばよい。
塩基性条件下の接触還元は、前記工程(b)及び工程(e)の接触還元と同様の条件で行うのが好ましい。すなわち、用いる接触、反応溶媒、反応温度、反応時間も前記工程(b)及び工程(e)の場合と同様である。また、塩基性条件とする手段も前記工程(b)及び工程(e)と同様である。
〔工程(d)〕
この工程は、式(4)の化合物を酸化してセピアプテリン(3)を得る工程である。
酸化反応としては、酸化剤による酸化、又は酸素酸化により行われる。酸化剤としてはクロム酸、マンガン化合物等の金属を用いた酸化、DMSO、キノン、アセトン、超原子価ヨウ素化合物、TEMPO等の有機化合物を用いた酸化、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸等の過酸を用いた酸化が挙げられる。酸素酸化は空気、酸素、オゾン等による酸素酸化が挙げられ、Pd、Ru、Rh、Pt、Ni、Cu等の触媒を添加して行っても良い。これら酸化反応としては過酸を用いた酸化、又は空気を用いた酸素酸化が好ましく、過酸を用いた酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気を用いた酸素酸化がより好ましい。
空気を用いた酸素酸化は、中性又は塩基性条件で行うのが好ましい。中性で行う場合は、水、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、THF、DMSO、ニトロメタン、アセトン、酢酸エチル等の溶媒中、好ましくは水、アルコール等の溶媒中、空気中で1〜72時間撹拌すればよい。また、塩基性条件で行う場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、t-ブトキシカリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等の無機塩基又は、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドリド、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基を添加すればよい。
過酸を用いた酸化は、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸等の過酸が挙げられるが、過酸化水素がより好ましい。過酸の使用量は、式(4)の化合物1モルに対して、0.5〜3モルが好ましく、0.9〜1.1モルがより好ましい。反応は、水、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、THF、DMSO、ニトロメタン、アセトン、酢酸エチル、酢酸等の溶媒中、好ましくは水、アルコール等の溶媒中で行うことができ、反応温度は−15℃〜60℃、好ましくは−15℃〜10℃で行い、反応時間は1〜24時間行えばよい。
〔工程(g)〕
この工程は、式(2)の化合物にR3X(Xは脱離基を示し、R3は前記と同じ)を反応させて、式(6)の化合物を得る工程である。
保護基を導入するためのR3Xとしては、例えば前記の保護基のR3のハロゲン化物、酸無水物を用いることができる。R3Xにおける脱離基としては、ハロゲン原子、酸無水物残基等が挙げられる。
式(2)の化合物とR3Xとの反応は、中性条件下又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、t-ブトキシカリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等の無機塩基、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドリド、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基の存在下で行うことが好ましく、副生成物抑制の点から、中性条件下又は、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のpKa8〜12の塩基の存在下で行うことがより好ましい。これらの塩基は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の使用量は、式(2)の化合物1モルに対して0.01〜10モルが好ましく、0.05〜3モルがより好ましい。R3Xの使用量は式(2)の化合物1モルに対して1〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましい。
反応は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、HMPA等の極性溶媒中で、0℃〜還流温度で30分〜5時間行えばよい。
〔工程(h)〕
この工程は、式(6)の化合物にR4X、R5X、R6X(R4及びXは前記と同じ)を反応させて、式(7)の化合物を得る工程である。
保護基を導入するためのR4X、R5X、R6Xとしては、例えば前記の保護基R4、R5、R6のハロゲン化物、酸無水物を用いることができる。
式(6)の化合物とR4X、R5X、R6Xとの反応は、中性条件下又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、t-ブトキシカリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等の無機塩基、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドリド、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基の存在下で行うことが好ましく、副生成物抑制の点から、中性条件下又は、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のpKa8〜12の塩基の存在下で行うことがより好ましい。これらの塩基は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の使用量は、式(6)の化合物1モルに対して0.01〜10モルが好ましく、0.05〜5モルがより好ましい。R4X、R5X及びR6Xの使用量は式(6)の化合物1モルに対して1〜10モルが好ましく、2〜5モルがより好ましい。
反応は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、HMPA等の極性溶媒中で、0℃〜還流温度で30分〜5時間行えばよい。
工程(g)は、R4X、R5X及びR6Xが同一の場合には、一段階の反応でよいが、R4X、R5X及びR6Xがそれぞれ異なる場合には2段階又は3段階の反応とすればよい。
〔工程(g)及び工程(h)の直接反応〕
式(7)の化合物は、式(2)の化合物の水酸基、ケトン基及びアミノ基の全てを、同一の保護基で同時に保護することによっても製造することができる。また、式(7)の化合物は、式(1)の化合物にR5X、R6Xを反応させることによっても製造することができる。
これらの保護基導入反応は、工程(g)及び工程(h)と同様の条件で行うことができる。
〔工程(j)〕
この工程は、式(7)の化合物を還元して式(8)の化合物を得る工程である。
この還元反応は、工程(b)及び工程(e)と同様に行うことができる。還元反応は前記工程(b)及び工程(e)と同様に接触還元(触媒存在下の水素化反応)が好ましく、塩基を添加して塩基性条件下の接触還元がより好ましい。また、収率及び副生成物抑制の観点からR4、R5及びR6は保護されている方が好ましい。
用いられる触媒としては、Pd、Ru、Rh、Pt、Ni、Cuなどが挙げられるが、Pd、Ptがより好ましい。これらの金属は、炭素等の担体に担持されていてもよい。またPdOやPd(OH)2、エチレンジアミンのような窒素化合物、Ph2Sのような硫黄化合物等で被毒された金属も用いられる。
接触還元(触媒存在下の水素化反応)は、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、THF、DMSO、ニトロメタン、アセトン、酢酸エチル、トルエン酢酸等の溶媒中で行うことができ、アルコール類、THF、酢酸エチル、トルエンが好ましく、酢酸エチルがより好ましい。触媒は化合物1質量部に対して0.01〜5質量部の触媒を、好ましくは0.1〜2質量部用いて行えばよい。水素圧は常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜0.5MPa、より好ましくは常圧であり、反応温度は0〜80℃、好ましくは20〜50℃で行えばよい。反応時間は1〜72時間、好ましくは1〜24時間行えばよい。
また、この接触還元(触媒存在下の水素化反応)においては、塩基を添加して塩基性条件下で行うのが、反応の選択性、目的物の収率の点で好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、t−ブトキシカリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等の無機塩基又は、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドリド、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基が挙げられるが、副生成物抑制の点から、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、アンモニア水等のpKa8〜12の無機塩基又は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、アンモニア水等のpKa8〜12の有機塩基の添加が好ましい。これらの塩基は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの塩基の使用量は、式(7)の化合物1モルに対して1〜50モルが好ましい。
本工程の接触還元(触媒存在下の水素化反応)において、上記のうち炭酸カリウム等の無機塩基を添加した場合、ジアステレオ選択的に反応が進行し、単一のジアステレオマー(8a)が得られる。また、トリエチルアミン等の有機塩基を添加した場合、(8a)と(8b)のジアステレオ混合物が得られる。(8a)と(8b)はクロマトグラフィーにより分離でき、それぞれ単一の(8a)と(8b)が得られる。(8a)と(8b)は工程(m)の方法により脱保護でき、それぞれ単一のジアステレオマー(4a)と(4b)を得ることができる。
Figure 0006084967
また、工程(j)では、反応終了後、速やかに反応液を酸性にすることが、副反応を防止する点で好ましい。
〔工程(k)〕
この工程は、式(8)の化合物を酸化して式(5−1)の化合物を得る工程である。この反応は、プテリン骨格の5,6位のみを選択的に酸化する反応である。
酸化反応としては、酸化剤による酸化、又は酸素酸化により行われる。酸化剤としてはクロム酸、マンガン化合物等の金属を用いた酸化、DMSO、キノン、アセトン、超原子価ヨウ素化合物、TEMPO等の有機化合物を用いた酸化、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸等の過酸を用いた酸化が挙げられる。酸素酸化は空気、酸素、オゾン等による酸素酸化が挙げられ、Pd、Ru、Rh、Pt、Ni、Cu等の触媒を添加して行っても良い。これら酸化反応としては過酸を用いた酸化、又は酸素酸化が好ましく、空気を用いた酸素酸化がより好ましい。
酸素酸化、例えば空気酸化は、式(8)の化合物を含有する溶液を空気中で1〜72時間撹拌すればよい。酸素酸化は、中性又は塩基性条件で行うのが好ましい。
〔工程(i)〕
この工程は、式(7)の化合物を還元して直接式(5−1)の化合物を得る工程である。
この還元反応は、工程(b)及び工程(e)と同様に行うことができる。還元反応は前記工程(b)及び工程(e)と同様に接触還元(触媒存在下の水素化反応)が好ましく、塩基を添加して塩基性条件下の接触還元がより好ましい。また、収率及び副生成物抑制の観点からR4、R5及びR6は保護されている方が好ましい。
〔工程(m)〕
この工程は、式(8)の化合物を脱保護して式(4)の化合物(テトラヒドロラクトイルプテリン)を得る工程である。
この工程は、工程(a)及び工程(f)と同様にして行うことができる。
〔工程(l)〕
この工程は、式(5−1)の化合物を脱保護してセピアプテリン(3)を得る工程である。
この工程は、工程(a)、工程(f)及び工程(m)と同様にして行うことができる。
また、式(4)の化合物は、優先晶析法によりジアステレオマー(4a)と(4b)を分離することができる。例えば(4a)と(4b)の混合物は水や塩酸等の水溶液中で撹拌、又はメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒やアセトン、アセトニトリル等の有機溶媒中に水や塩酸等の水溶液を添加し、撹拌、ろ過することで結晶から(4a)を、ろ液から(4b)をそれぞれ得ることができる。
Figure 0006084967
また、セピアプテリン、ラクトイルプテリン又はテトラヒドロラクトイルプテリンは、酸付加塩とすることができる。用いられる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸等が挙げられる。酸付加塩とするには、セピアプテリン、ラクトイルプテリン又はテトラヒドロラクトイルプテリンを水やアルコール等の溶媒中で酸を添加すればよい。
反応混合液から目的とするセピアプテリン、ラクトイルプテリン、テトラヒドロラクトイルプテリン又はそれらの塩を単離するには、析出した結晶をろ取すればよく、各種クロマトグラフィー、再結晶等を行うことも可能である。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
参考例1(化合物(1)の合成)
Figure 0006084967
アルゴン雰囲気、MS−4A存在下、アセトニトリル中、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムと4−メチルモルホリンN−オキシド、化合物(D)を加えて60℃で攪拌した。1時間後、CeliteTM545でろ過した後、10%塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、トルエンでデカンテーションして化合物(1)を得た。
実施例1
S−ラクトイルプテリン(2)の合成
Figure 0006084967
1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシプテリジン−6−イル)−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン(化合物(1))24.7g(68.2mmol)にメタノール50mL、3mol/L塩酸250mLを加え、50℃で3時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液でpH=7とし、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−ラクトイルプテリン15.1g(64.2mmol、収率94%)を得た。
(S−ラクトイルプテリン:(2))
1H NMR(DMSO-d6):δ/ppm=1.32(d,3H,J=6.8Hz),5.16(br,1H),5.32(q,1H,J=6.8Hz),9.09(s,1H)
実施例2(1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシプテリジン−6−イル)−2S−ヒドロキシプロパン−1−オンの合成)
Figure 0006084967
1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシプテリジン−6−イル)−2S−t−ブチルジメチルシラノキシプロパン−1−オン(化合物(1))4.0g(9.27mmol)にTHF40mL、70%テトラブチルアンモニウムフロリド6.92g(18.5mmol)を加え、10℃以下で2時間撹拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を脱水、減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシプテリジン−6−イル)−2S−ヒドロキシプロパン−1−オン2.09g(6.59mmol、収率71%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ/ppm=1.38(d,3H,J=6.6Hz),1.37-1.79(m,8H),1.98-1.99(m,2H),5.20(d,1H,J=6.3Hz),5.34(d.q.,1H,J=6.6Hz),5.29-5.37(m,1H),7.68(br,1H),7.82(br,1H),9.22(s,1H)
実施例3
S−ラクトイルプテリン塩酸塩の合成
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン500mg(2.13mmol)に6mol/L塩酸1.25mL、エタノール10mLを加え、30分間撹拌し、結晶をろ取、減圧乾燥し、S−ラクトイルプテリン塩酸塩465mg(1.71mmol、収率80%)を得た。
(S−ラクトイルプテリン塩酸塩)
1H NMR(DMSO-d6):δ/ppm=1.34(d,3H,J=6.9Hz),3.91(br,3H),5.34(q,1H,J=6.9Hz),9.12(s,1H)
実施例4(2−アミノ−6−(2S−ヒドロキシプロピオニル)−7,8−ジヒドロ−3H−プテリジン−4−オン(S−セピアプテリン)の合成)
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン500mg(2.13mol)にメタノール125mL、トリエチルアミン2.08mL(14.9mmol)、8.4%Pd/C(Ph2S)(50%含水)250mgを加え、外温40℃、水素添加反応を3時間行った。反応終了後、反応液を室温下、空気中で1時間攪拌後、反応液から触媒をろ別、減圧濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで分離精製しS−セピアプテリン296mg(1.25mmol、収率59%)を得た。
(S−セピアプテリン:(3))
1H NMR(DMSO-d6):δ/ppm=1.21(d,3H,J=6.6Hz),4.11(s,2H),4.89(d,1H,J=6.6Hz),5,10(quin.,1H,J=6.6Hz),6.81(br-s,2H),7.51(s,1H),10.26(s,1H)
実施例5
S−ラクトイルプテリン20mg(0.085mmol)に飽和重曹水2mL、亜ジチオン酸ナトリウム76mg(0.44mmol)を加え、室温下で2時間撹拌したところ、S−セピアプテリンを混合物として与えた。
実施例6
S−ラクトイルプテリン20mg(0.085mmol)より飽和重曹水をホウ酸ナトリウム水溶液に変えた以外は実施例5と同様の方法で反応を行い、S−セピアプテリンを混合物として与えた。
実施例7
S−セピアプテリン塩酸塩の合成
Figure 0006084967
S−セピアプテリン620mg(2.61mmol)に6mol/L塩酸2.5mL、エタノール5.0mLを加え、0℃で30分間撹拌した。結晶ろ取、減圧乾燥し、S−セピアプテリン塩酸塩650mg(2.38mmol,収率91%)を得た。
(S−セピアプテリン塩酸塩)
1H NMR(DMSO-d6):δ/ppm=1.22(d,3H,J=6.9Hz),4.14(s,2H),4.89(d,1H,J=6.6Hz),5.11(q,1H,J=6.9Hz),7.40(br-s,4H),7.80(br-s,1H)
実施例8(2−アミノ−6−(2S−ヒドロキシプロピオニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−3H−プテリジン−4−オン(S−テトラヒドロラクトイルプテリン)二塩酸塩の合成)
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン1.00g(4.25mmol)にメタノール50mL、6mol/L塩酸5mL、ボランピリジン錯体593mg(6.38mmol)を加え、外温0℃で1時間撹拌した。反応終了後、アセトン5mLを加え、減圧濃縮、エタノールで共沸脱水後、エタノールを加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4a)と(4b)の混合物1.12g(3.59mmol、収率85%)を得た。
(6S−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩:(4a))
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.24 (d, 3H, J=6.9Hz), 3.45 (dd, 1H, J=7.2, 13.5Hz), 3.87 (dd, 1H, J=3.3, 13.5Hz), 4.34 (q, 1H, J=6.9Hz), 4.53 (dd, 1H, J=3.3, 7.2Hz), 7.03 (br-s, 4H), 7.67 (br-s, 1H)
(6R−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩:(4b))
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.24 (d, 3H, J=6.9Hz), 3.45 (dd, 1H, J=6.9, 13.5Hz), 3.91 (dd, 1H, J=3.3, 13.5Hz), 4.31 (q, 1H, J=6.6Hz), 4.55 (dd, 1H, J=3.3, 6.9Hz), 7.12 (br-s, 3H), 7.71 (br-s, 2H)
実施例9
S−ラクトイルプテリン3.00g(12.8mmol)にメタノール150mL、6mol/L塩酸15mL、ボランピリジン錯体1.78g(19.1mmol)を加え、外温0℃で1時間撹拌した。反応終了後、濃塩酸45mLを加え、同温度で一晩撹拌し、結晶ろ取、減圧乾燥し、6S−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4a)1.63g(5.2mmol、収率41%)を得た。また、ろ液を減圧濃縮、エタノールで共沸脱水後、エタノールを加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、6R−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4b)1.38g(4.4mmol、収率35%)を得た。得られた化合物は実施例8に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例10
S−ラクトイルプテリン100mg(0.43mmol)にメタノール5mL、6mol/L塩酸0.5mL、ボランピリジン錯体59mg(0.64mmol)を加え、外温0℃で一晩撹拌した。析出した結晶をろ取、減圧乾燥し、6S−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4a)46mg(0.15mmol、収率35%)を得た。得られた化合物は実施例8に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例11
S−ラクトイルプテリン200mg(0.85mol)にメタノール50mL、ジエチルアミン0.62mL(5.95mmol)、8.4%Pd/C(Ph2S)(50%含水)100mgを加え、外温40℃、水素添加反応を2.5時間行った。反応終了後、濃塩酸を加え、触媒をろ別、減圧濃縮し、エタノールで共沸脱水後、エタノールを加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4a)と(4b)の混合物122mg(0.39mmol、収率46%)を得た。得られた化合物は実施例8に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例12(2−アミノ−6−(2S−ヒドロキシプロピオニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−3H−プテリジン−4−オン(S−テトラヒドロラクトイルプテリン)二トルエンスルホン酸塩の合成)
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン100mg(0.43mmol)にメタノール5mL、水0.5mL、p−トルエンスルホン酸一水和物566mg(2.98mmol)、ボランピリジン錯体59mg(0.64mmol)を加え、外温0℃で1時間撹拌した。反応終了後、アセトン0.5mLを加え、減圧濃縮、エタノールで共沸脱水後、アセトンを加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−テトラヒドロラクトイルプテリン二トルエンスルホン酸塩158mg(0.27mmol、収率63%)を得た。
(S−テトラヒドロラクトイルプテリン二トルエンスルホン酸塩)
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.25 (d, 3H, J=7.2Hz), 2.29 (S, 6H), 3.35 (dd, 1H, J=7.5, 13.5Hz), 3.84 (dd, 1H, J=3.0, 13.5Hz), 4.35 (q, 1H, J=6.9Hz), 4.49 (dd, 1H, J=3.0, 7.5Hz), 6.72 (br-s, 2H), 7.13 (d, 4H, J=8.1Hz), 7.49 (d, 4H, J=8.1Hz), 7.62 (br-s, 1H), 10.66 (br-s, 1H)
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.25 (d, 3H, J=7.2Hz), 2.29 (S, 6H), 3.33 (dd, 1H, J=7.5, 13.5Hz), 3.84 (dd, 1H, J=3.0, 13.5Hz), 4.32 (q, 1H, J=6.9Hz), 4.49 (dd, 1H, J=3.0, 7.5Hz), 6.72 (br-s, 2H), 7.13 (d, 4H, J=8.1Hz), 7.49 (d, 4H, J=8.1Hz), 7.62 (br-s, 1H), 10.66 (br-s, 1H)
実施例13(2−アミノ−6−(2S−ヒドロキシプロピオニル)−7,8−ジヒドロ−3H−プテリジン−4−オン(S−セピアプテリン)の合成)
Figure 0006084967
S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩1.00g(3.20mmol)に水6mL、エタノール6mLを加え、外温−10℃で30%過酸化水素水363mg(3.20mmol)を加え、同温度で2時間攪拌した。反応液に亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−セピアプテリン676mg(2.85mmol、収率89%)を得た。得られた化合物は実施例4に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例14
S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩100mg(0.32mmol)から30%過酸化水素を36%過酢酸68mg(0.32mmol)とした以外は実施例13と同様の方法によりS−セピアプテリン46mg(0.19mmol、収率61%)を得た。得られた化合物は実施例4に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例15
S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩100mg(0.32mmol)から30%過酸化水素をm−CPBA 85mg(含量65%,0.32mmol)とした以外は実施例13と同様の方法によりS−セピアプテリン35mg(0.15mmol、収率46%)を得た。得られた化合物は実施例4に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例16
S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩200mg(0.64mmol)にメタノール20mL、トリエチルアミン0.89mL(6.40mmol)を加え、室温下、空気中で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、水を加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−セピアプテリン105mg(0.44mmol、収率69%)を得た。得られた化合物は実施例4に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例17
S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩200mg(0.64mmol)にメタノール20mLを加え、8mol/L水酸化ナトリウム水溶液0.16mL(1.28mmol)で中和し、室温下、空気中で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、水を加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−セピアプテリン87mg(0.37mmol、収率58%)を得た。得られた化合物は実施例4に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例18(1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オンの合成)
Figure 0006084967
1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシプテリジン−6−イル)−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン1.00g(2.77mmol)に酢酸エチル60mL、10%Pd−C 500mg、炭酸カリウム3.82g(27.6mmol)を加え、外温50℃、水素添加反応を3時間行った。触媒をろ別後、反応液を減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで分離精製し、1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン257mg(0.71mmol、収率26%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ/ppm = 1.33-1.47 (m, 3H), 1.44 (d, 3H, J=6.9Hz), 1.54-1.63 (m, 3H), 1.79 (m, 2H), 1.91 (m, 2H), 3.37 (s, 3H), 4.36 (d, 1H, J=15.6), 4.43 (d, 1H, J=15.6), 4.71 (d, 1H, J=6.6Hz), 4.74 (d, 1H, J=6.6Hz), 4.90 (br-s, 2H), 5.00 (br-s, 1H), 5.05-5.11 (m, 1H), 5.34 (q, 1H, J=6.9Hz)
実施例19(1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−2S−メトキシエトキシメトキシプロパン−1−オンの合成)
Figure 0006084967
アスコルビン酸100mg(0.56mmol)を量りとり、水2mLを加えた。溶液のpHを1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて中性にした後、メタノール2mLに溶かした1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシプテリジン−6−イル)−2S−メトキシエトキシメトキシプロパン−1−オン20mg(0.054mmol)を加えた。これにNa22480mg(0.46mmol)を加え1時間室温で撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を脱水後、減圧下溶媒を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製して1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−2S−メトキシエトキシメトキシプロパン−1−オン4.4mg(0.011mmol、収率20%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ/ppm = 1.13 (m, 1H), 1.44 (d, 3H, J = 6.8 Hz),1.63 (m, 1H), 1.80 (m, 2H), 1.93 (m, 2H), 2.06 (m, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.52 (m, 2H), 3.70 (t, J = 4.6 Hz, 2H), 4.40 (m, 2H), 4.81 (m, 2H), 5.11 (t.t, J = 3.9, 8.5 Hz, 1H), 5.35 (q, J = 6.8 Hz, 1H)
実施例20
S−セピアプテリン(3)の合成
Figure 0006084967
1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン(化合物(5−2))10mgに濃塩酸0.1mLを加え、加温した。反応液を水で希釈し、水酸化ナトリウム水溶液でpH6〜7へ中和し、析出した結晶をろ別した。ろ液を減圧濃縮し、S−セピアプテリンを混合物として得た。得られた化合物は実施例4に記載のスペクトルデータと一致した。
実施例21
S−セピアプテリン(3)の合成
Figure 0006084967
メタノール2mL中に1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−2S−メトキシエトキシメトキシプロパン−1−オン4.0mg(9.8μmol)、アスコルビン酸3.0mgを入れ、この中に3mol/L塩酸2mLを加え、50℃で遮光しながら6時間撹拌した。28%アンモニア水でpH7とし、酢酸エチルで洗浄した後、フロリジルカラムクロマトグラフィーで精製し、S−セピアプテリン2.0mg(8.4μmol、収率86%)を得た。これをHPLC測定したところ、保持時間及びそのピークのUV波形は標品のS−セピアプテリンと一致した。
実施例22(2−アミノ−6−[2S−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン(6)の合成)
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン3.00g(12.8mmol)にDMF 30mL、イミダゾール2.61g(38.3mmol)、TBSCl 3.84g(25.5mmol)を加え、氷冷下1時間撹拌した。反応液に水を加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、2−アミノ−6−[2S−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン(6)3.91g(11.2mmol、収率88%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 0.01 (s, 3H), 0.06 (s, 3H), 0.83 (s, 9H), 1.36 (d, 3H, J=6.9Hz), 5.55 (q, 1H, J=6.9Hz), 9.10 (s, 1H), 11.73 (br-s, 1H)
実施例23(2−アミノ−6−[2S−(トリイソプロピルシラニル)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン(6)の合成)
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン300mg(1.28mmol)からTBSClをTIPSClに変えたこと以外は実施例22と同様の方法により2−アミノ−6−[2S−(トリイソプロピルシラニル)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン(6)339mg(0.87mmol、収率68%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 0.89-1.15 (m, 21H), 1.40 (d, 3H, J=6.9Hz), 5.71 (q, 1H, J=6.9Hz), 9.13 (s, 1H), 11.74 (br-s, 1H)
実施例24(2−アミノ−6−[2S−(tert−ブチルジフェニルシラニル)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン(6)の合成)
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン300mg(1.28mmol)からTBSClをTBDPSClに変えたこと以外は実施例22と同様の方法により2−アミノ−6−[2S−(トリイソプロピルシラニル)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン(6)498mg(1.05mmol、収率82%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.03 (s, 9H), 1.38 (d, 3H, J=6.9Hz), 5.71 (q, 1H, J=6.9Hz), 7.23-7.33 (m, 3H), 7.37-7.45 (m, 3H), 7.50-7.59 (m, 2H), 7.61-7.71 (m, 2H), 8.96 (s, 1H), 11.67 (br-s, 1H)
実施例25(1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン(7)の合成)
Figure 0006084967
2−アミノ−6−[2S−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン1.50g(4.29mmol)に酢酸エチル75mL、二炭酸ジ−tert−ブチル4.68g(21.4mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン52mg(0.43mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応液を水洗し、有機層を脱水、減圧濃縮し、2−(N,N−ジ−tert−ブチルカルボニル)−アミノ−6−[2S−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−プロピオニル]−3H−プテリジン−4−オン(7)2.18g(3.35mmol、収率78%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 0.01 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.75 (s, 9H), 1.40 (d, 3H, J=6.6Hz), 1.48 (s, 18H), 1.71 (s, 9H), 5.59 (q, 1H, J=6.6Hz), 9.53 (s, 1H)
実施例26(1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブトキシカルボニルオキシプロパン−1−オン(7)の合成)
Figure 0006084967
S−ラクトイルプテリン1.00g(4.25mmol)にTHF 50mL、二炭酸ジ−tert−ブチル4.64g(21.3mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン30mg(0.25mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで分離精製し、1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブトキシカルボニルオキシプロパン−1−オン(7)0.30g(0.47mmol、収率11%)を得た。
1H NMR (CDCl3): δ/ppm = 1.26 (s, 9H), 1.27 (d, 3H, J=7.2Hz), 1.45 (s, 18H), 1.71 (s, 9H), 6.11 (q, 1H, J=7.2Hz), 6.73 (s, 1H)
実施例27(1−[4−シクロヘキシルオキシ−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オンの合成)
Figure 0006084967
1−(2−アミノ−4−シクロヘキシルオキシプテリジン−6−イル)−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン1.00g(2.76mmol)にTHF 20mL、二炭酸ジ−tert−ブチル1.27g(5.82mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン3.4mg(0.03mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、1−[4−シクロヘキシルオキシ−2−(N,N−ジ−tert−ブチルカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン(7)1.55g(2.76mmol、収率100%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.45-1.88 (m, 8H), 1.53 (s, 18H), 1.58 (d, 3H, J=6.9Hz), 2.10-2.14 (m, 2H), 3.38 (s, 3H), 4.78 (d, 1H, J=6.9Hz), 4.84 (d, 1H, J=6.9Hz), 5.36-5.45 (m, 1H), 5.55 (q, 1H, J=6.9Hz), 9.65 (s, 1H)
実施例28(1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オンの合成)
Figure 0006084967
1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン1.31g(2.02mmol)に酢酸エチル130mL、10%Pd−C 655mg、炭酸カリウム2.78g(20.1mmol)を加え、外温50℃、常圧下(H2バルーン)、水素添加反応を1時間行った。触媒をろ別後、反応液を室温下、空気中で一晩撹拌し、反応液を減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで分離精製し、1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン684mg(1.05mmol、収率66%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 0.01 (s, 3H), 0.07 (s, 3H), 0.82 (s, 9H), 1.24 (d, 3H, J=6.6Hz), 1.42 (s, 18H), 1.53 (s, 9H), 4.23 (d, 1H, J=16.5Hz), 4.32 (d, 1H, J=16.5Hz), 5.39 (q, 1H, J=6.6Hz), 7.92 (s, 1H)
実施例29(2−アミノ−6S−(2S−ヒドロキシプロピオニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−3H−プテリジン−4−オン(6S−S−テトラヒドロラクトイルプテリン)二塩酸塩の合成)
Figure 0006084967
1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン4.92g(7.57mmol)に酢酸エチル250mL、10%Pd−C 2.46g、K2CO3 10.5g(76.0mmol)を加え、外温50℃、常圧下(H2バルーン)、水素添加反応を1時間行った。触媒をろ別後、反応液を減圧濃縮し、濃塩酸49mLを加え、減圧濃縮した。濃縮物にエタノールを加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、6S−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4a)1.79g(5.73mmol、収率76%)を得た。得られた化合物は実施例8に記載のスペクトルデータと一致した。
実施例30
1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン500mg(0.77mmol)から10%Pd/Cの量を100mgとした以外は実施例29と同様の方法により6S−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4a)164mg(0.53mmol、収率68%)を得た。得られた化合物は実施例8に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例31(1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オンの合成)
Figure 0006084967
1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン100mg(0.15mmol)に酢酸エチル10mL、10%Pd−C 20mg、トリエチルアミン156mg(1.54mmol)を加え、外温50℃、常圧下(H2バルーン)、水素添加反応を1時間行った。触媒をろ別後、反応液を減圧濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで分離精製し、1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロプテリジン−6S−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン(8a)30mg(0.045mmol、収率30%)及び1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロプテリジン−6R−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン(8b)30mg(0.045mmol、収率30%)を得た。
(8a)
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 0.08 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.89 (s, 9H), 1.21 (d, 3H, J=6.6Hz), 1.37 (s, 18H), 1.49 (s, 9H), 3.56-3.67 (m, 2H), 4.39 (m, 1H), 4.42 (q, 1H, J=6.6Hz), 4.79 (s, 1H), 7.00 (s, 1H)
(8b)
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 0.08 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.89 (s, 9H), 1.23 (d, 3H, J=6.6Hz), 1.37 (s, 18H), 1.49 (s, 9H), 3.40-3.53 (m, 2H), 4.35 (m, 1H), 4.44 (q, 1H, J=6.6Hz), 4.93 (s, 1H), 7.09 (s, 1H)
実施例32(1−[4−シクロヘキシルオキシ−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロプテリジン−6−イル]−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オンの合成)
Figure 0006084967
1−[4−シクロヘキシルオキシ−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノプテリジン−6−イル]−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン200mg(0.36mmol)より実施例29と同様の方法により1−[4−シクロヘキシルオキシ−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロプテリジン−6−イル]−2S−メトキシメトキシプロパン−1−オン76mg(0.13mmol,収率=38%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.21 (d, 3H, J=6.9Hz), 1.32-1.37 (m, 3H), 1.38 (s, 18H), 1.43-1.51 (m, 3H), 1.73 (m, 2H), 1.89-1.91 (m, 2H), 3.27 (s, 3H), 3.51-3.56 (m, 2H), 4.33-4.35 (m, 1H), 4.41 (q, 1H, J=6.9Hz), 4.59 (d, 1H, J=6.9Hz), 4.67 (d, 1H, J=6.9Hz), 4.86-4.89 (m, 1H), 4.95 (d, 1H, J=2.7Hz), 7.08 (s, 1H)
1H NMR (DMSO-d6): δ/ppm = 1.24 (d, 3H, J=6.9Hz), 1.32-1.37 (m, 3H), 1.38 (s, 18H), 1.43-1.51 (m, 3H), 1.73 (m, 2H), 1.89-1.91 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 3.51-3.56 (m, 2H), 4.33-4.35 (m, 1H), 4.39 (q, 1H, J=6.9Hz), 4.59 (d, 1H, J=6.9Hz), 4.67 (d, 1H, J=6.9Hz), 4.86-4.89 (m, 1H), 5.01 (d, 1H, J=2.4Hz), 7.08 (s, 1H)
実施例33(2−アミノ−6−(2S−ヒドロキシプロピオニル)−7,8−ジヒドロ−3H−プテリジン−4−オン(S−セピアプテリン)の合成)
Figure 0006084967
1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン300mg(0.46mmol)にアセトニトリル3mL、2mol/L塩酸6mLを加え、外温40℃で3時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液でpH=7とし、結晶ろ取、減圧乾燥し、S−セピアプテリン96mg(0.40mmol、収率88%)を得た。得られた化合物は実施例4に記載のスペクトルデータと一致することを確認した。
実施例34(2−アミノ−6R−(2S−ヒドロキシプロピオニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−3H−プテリジン−4−オン(6R−S−テトラヒドロラクトイルプテリン)二塩酸塩の合成)
Figure 0006084967
1−[4−tert−ブトキシカルボニル−2−(N,N−ジ−tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロプテリジン−6R−イル]−2S−tert−ブチルジメチルシラニルオキシプロパン−1−オン(8b)393mg(0.60mmol)に濃塩酸10mLを加え、減圧濃縮した。濃縮物にエタノールを加え、結晶ろ取、減圧乾燥し、6R−S−テトラヒドロラクトイルプテリン二塩酸塩(4b)106mg(0.34mmol、収率56%)を得た。得られた化合物は実施例8に記載のスペクトルデータと一致した。

Claims (6)

  1. 式(2)
    Figure 0006084967
    で表されるラクトイルプテリン又はその塩を、亜硫酸塩、次亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩による還元、又は塩基性条件下の接触還元することを特徴とする式(3)
    Figure 0006084967
    で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
  2. 式(4)
    Figure 0006084967
    で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩を、過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化することを特徴とする式(3)
    Figure 0006084967
    で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
  3. 式(2)
    Figure 0006084967
    で表されるラクトイルプテリン又はその塩を、BH系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元することを特徴とする式(4)
    Figure 0006084967
    で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩の製造法。
  4. 還元反応が、酸性条件下、BH系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元である請求項5記載の製造法。
  5. 式(2)
    Figure 0006084967
    で表されるラクトイルプテリン又はその塩を、BH系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元して式(4)
    Figure 0006084967
    で表されるテトラヒドロラクトイルプテリン又はその塩を得、次いで当該化合物(4)を、過酸による酸化、又は中性若しくは塩基性条件下の空気酸化することを特徴とする式(3)
    Figure 0006084967
    で表されるセピアプテリン又はその塩の製造法。
  6. 還元反応が、酸性条件下、BH系還元剤による還元、又は塩基性条件下の接触還元である請求項8記載の製造法。
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