JP6082289B2 - タイヤ製造方法及びカーカスプライの折返し装置 - Google Patents
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Description
フィンガー20のロール25と反対側の端部は、中心の図示しない中心軸筒に対して摺動可能に取り付けた環状の支持体(図示せず)に対して、さらに移動可能に取り付けた環状のアーム取付部材(図示せず)に拡開可能に枢着されている。
フィンガー20の先端のロール25は、タイヤ12のビード部14から図中左右に延在するカーカスプライ10の内側に配置されている。
成型ドラム(シェーピングドラム)を挟んでその両側に配置された複数のフィンガー20には、ゴムバンド35がフィンガー20を束ねるようにその外側に嵌合されている。ゴムバンド35は、フィンガー20が拡開する際にその拡開を抑制する抑制力を付与する。これによりフィンガー20が拡開する際に、ロール25からカーカスプライ10に対して押圧力が付与される。
図7Cは、フィンガー20先端のロール25が、折返しの終端であるタイヤ12のショルダー部12bまで拡開して移動したことを示す。
図7Dは、カーカスプライ10の折り返し及び貼付が終了して、フィンガー20が元の位置に戻った状態を示す。
図7Eは、続いて、ステッチングロールSRでカーカスプライ10表面を押圧して、カーカスプライ10のエア抜きとタイヤ12のサイド部12aへの圧着(又は密着)を行うことを示している。
このように、従来のタイヤ成型工程では、カーカスプライ10の貼付とステッチングを別工程で行っている。
従来のタイヤ製造においては、ビード部14近傍で剛性のある(つまり腰のある)部分などでは、ロール25により押付を行ったときに、押し付ける押圧力が不足すると、タイヤ12のビード部14のところでカーカスプライ10が浮き上がったり(ビード浮き;図8A)、エア入りが生じたりするという問題がある。
そのため、例えば、特許文献1に記載されたタイヤ成型ドラムのように、エア入りを抑制する工程(中間保持工程)を適用する等、押圧時間によって押圧量の強弱をつけることが必要になる。
しかし、エア入り防止のために中間保持工程が加わると製造効率が低下する。したがって、製造効率とエア入り抑制を両立することが課題となっている。
図1は、本発明の実施形態に係るカーカスプライ10の折返し及び貼付装置(以下、単に折返し装置という)1を模式的に示す一部断面図であり、図1Aはその全体を、また図1Bは、その折返しアーム部材であるフィンガー20の側面図である。
本実施形態の折返し装置1は、基本的には従来のものと同じであるので、同一部分には同一の番号を付して説明を省略する。
本実施形態のフィンガー20は、従来のものと相違して、第1のアーム部材(フィンガー本体という)20aと、フィンガー本体20aに揺動又は旋回可能に連結された第2のアーム部材(枝アームという)20bとから成っている。フィンガー本体20aの一端部は、アーム取付部材32に旋回又は揺動可能に連結され、エアシリンダ30のピストンロッド30aにより円筒部材34上を軸方向に駆動される。フィンガー本体20aを駆動することで、枝アーム20bの先端に装着されたロール25により、カーカスプライ10の折返しとタイヤ12への貼付が行われる。
フィンガー20は、図示のように、フィンガー本体20aと、これに対して連結部20c(図1B)で旋回可能に連結された複数本(図示例では3本)の枝アーム20bから構成されている。枝アーム20bはそれぞれその一端にロール25を有し、他端は連結部20cにおいてフィンガー本体20aに対し揺動可能に連結されている。つまり、枝アーム20bは、連結部20cの回りで揺動可能であると共に、これと垂直な面内において図2Aの状態から、図2Bの状態に、扇のように開閉可能に構成されている。これにより、ロール25は、外方に向かって拡開するとき、同時にロール25間の間隔を開きながらカーカスプライ10をタイヤ外周面に沿って折り返しつつ押圧を行う。
なお、枝アーム20bの開閉機構は、ロール25に押圧力を付与した状態で前進、つまりフィンガー20を拡開させた時に開き、後進、つまりフィンガー20を縮閉させた時には閉じる開閉機構であればよく、開いたロール25を閉じるための復帰用のバネなどを設けることが好ましいが格別な機構は要しない。
フィンガー20は、一端が環状のアーム取付部材32に揺動可能に連結されて、円筒部材34の回りに等間隔に配置されている。この点は従来のものと同様であるが、本実施形態の円筒部材34は、図3Aに示す位置から図3Bに示す位置まで、その内側に配置された中心軸筒(図示せず)の回りで所定回転角度変位可能(つまり位相変位可能)に配置されている。この位相変位を行うための機構は任意であるが、例えば、位相変位モータM2(図4)を用いて、円筒部材34の周面に設けたラックをピニオンで駆動して所定角度回転変位させる。その回転角度は、位相変位の前後においてロール25の位置が重ならない範囲に設定される。
制御部40は、図4に示すように、バス45で接続されたCPU(Central Processing Unit)42と、CPU42を動作するためのプログラムなどを格納したROM(Read Only Memory)44と、CPU42の作業領域を提供する一時的な記憶装置であるRAM(Random Access Memory)46と、フィンガー20などの動作制御のためのデータ等を格納する記憶手段である不揮発性メモリ(Non-Volatile Random Access Memory)48を備えている。
本実施形態では、カーカスプライ10を貼り付けるタイヤ12の位置に応じてロール25による押圧力を調整するが、その準備動作として、まず、好ましくは最適な押圧力を付与可能なロール25の位置決めをタイヤ12の外表面の輪郭線に対して行う。次に、位置決めしたときの位置情報に基づき、カーカスプライ10の折返し及び貼付時においてロール25が辿るべき位置情報つまり移動軌跡を作成する。作成した移動軌跡は、制御部40の不揮発性メモリ48に記憶する。
例えば、折返しに際して、カーカスプライ10を相対的に強く押圧する必要のあるビード部14周辺においては、ロール25の軌跡を、タイヤ12の前記輪郭線のやや内側に設定する。これによりロール25により、やや強い押圧力をカーカスプライ10に作用させることができる。また、これよりも相対的に弱い押圧力で押し付ける部分については、例えば前記輪郭線に沿って設定する。
カーカスプライ10のタイヤ12への貼付時において、制御部40は、不揮発性メモリ48からロール25の移動軌跡を読み出し、読み出した移動軌跡に基づき、ローラ25が移動軌跡にしたがって移動するようにシリンダ30、したがってフィンガー20の動作制御等を行う。
まず、ロックシュー16を径方向に拡大してタイヤ12を保持する。そのとき、フィンガー20もロックシュー16の拡大に相当する距離だけ同じ方向(径方向外側)に移動する。続いて、ビード部14近傍では、フィンガー20の先端、つまりロール25の移動軌跡が、ここでは、タイヤ12の外表面の輪郭線(ケースライン)よりも内側に形成されているので、シリンダ30の切替弁Vを切替制御してロール25を前記ケースラインよりもタイヤ12の内側に配置する。これにより、強めの押圧力をタイヤ12に作用させ、ビードの浮き、エア入りが防止される。
タイヤ12のビード部近傍よりも径方向外側の部分では、ロール25の移動軌跡はケースラインに一致するよう設定されているので、ロール25の押圧力は、ビード部14近傍よりも弱く、タイヤ12のサイド部12aに凹凸は発生しない。
この場合も、まず、ロックシュー16を径方向に拡大してタイヤ12を保持するとき、フィンガー20も同時にロックシュー16の拡大に相当する距離だけ同じ方向(径方向外側)に移動する。
ここでは、ロール25の軌跡はケースラインに合わせて形成されているので、シリンダ30の切替弁Vを切替制御してロール25、つまりフィンガー20を、図5Aの場合よりも成型ドラムの軸方向に引き戻す。そのため、従来のようにロール25がタイヤ12のビード部14に突き刺さって動かなくなることが防止できる。その後は、フィンガー20の先端、つまりロール25を、ケースラインに合わせた軌跡に沿って移動制御する。
(i)フィンガー20先端のロール25の軌跡及び、ロール25の押圧面に対する当接角度を制御して、押圧力を自由に制御できるため、従来の方法では、発生する虞があった、ビード浮き、エア入り、サイド部12aの凹凸の発生を抑制することができる。
(ii)従来は折返しが困難であった、足幅を狭くしたタイヤ12、或いは逆R(ビード部のまわりよりもサイド部のほうが水平断面径が大きい)タイヤ12の折返しが可能である。
(iii)フィンガー20のロール25を用いて折返し動作を繰り返すことで、ステッチング効果を得ることができる。そのため、従来独立して行っていたシューピング工程を省略することができ、シェーピングのための時間を削減することができ、タイヤ製造における製造効率を向上することができる。
Claims (7)
- 成型ドラム上で成型されたタイヤに対して、折返しアーム部材の先端に備えた押圧部材で、カーカスプライをドラム径方向外側に向かって折り返して貼り付ける折返し工程を有するタイヤ製造方法であって、
カーカスプライの貼付対象となるタイヤの位置に応じて、予め定めた押圧力を作用可能な前記押圧部材の位置情報を取得する工程と、取得した前記位置情報に基づき前記押圧部材の移動軌跡を作成する工程と、作成された移動軌跡に従い、前記押圧部材を移動制御する工程と、
カーカスプライを押圧してタイヤ外表面に貼付後に、前記押圧部材のタイヤ周方向における位置を、前記押圧部材の未押圧位置に変更する工程と、位置変更後に、再度前記押圧部材によるタイヤ押圧動作を行う工程と、を有するタイヤ製造方法。 - 請求項1に記載されたタイヤ製造方法において、
前記位置情報は、タイヤのカーカスプライ貼付面の外表面の輪郭線を含む平面内における前記押圧部材の位置情報であるタイヤ製造方法。 - 請求項2に記載されたタイヤ製造方法において、
前記折返し工程において、前記折返しアーム部材の押圧部材を前記輪郭線に対して法線方向になるよう、前記押圧部材のタイヤに対する当接角度を制御する工程を有するタイヤ製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載されたタイヤ製造方法において、
前記押圧部材の移動軌跡を作成する工程は、前記押圧部材のカーカスプライを押圧する押圧力がビード部近傍領域においてそれ以外の領域よりも大きくなるよう、前記押圧部材の移動軌跡を作成するタイヤ製造方法。 - 成型ドラム上で成型されたタイヤに対して、カーカスプライをドラム径方向外側に向かって折り返して貼り付ける押圧部材を先端に備えた折返しアーム部材を有するカーカスプライの折返し装置であって、
カーカスプライの貼付対象となるタイヤの位置に応じて、予め定めた押圧力を作用可能な前記押圧部材の移動軌跡を格納する記憶手段と、
前記記憶手段に格納された移動軌跡に従い押圧部材を移動制御する制御部とを有し、
前記折返しアーム部材は、旋回可能に連結された第1及び第2のアーム部材から成り、
前記第1のアーム部材は環状を成すアーム取付部材に揺動可能に連結されていると共に、前記アーム取付部材は、その軸の回りに所定角度変位可能であるカーカスプライの折返し装置。 - 請求項5に記載されたカーカスプライの折返し装置において、
前記第1のアーム部材は外方に拡開可能であり、前記第2のアーム部材の先端には前記押圧部材が枢着されており、前記制御部は、前記第2のアーム部材がタイヤの押付面に対して法線方向となるように、前記第1のアーム部材に対する角度制御を行うカーカスプライの折返し装置。 - 請求項6に記載されたカーカスプライの折返し装置において、
前記第2のアーム部材は、進行に伴って扇状に開閉可能な複数の押圧部材を備えているカーカスプライの折返し装置。
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