JP6076282B2 - ワークの曲がり矯正方法 - Google Patents
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Description
このため、ワークの曲がり矯正を適切に行うためには、押圧回数を増やさなければならなかった。
上記のように構成して、2回目以降に実施される矯正ステップにおいて、前回の矯正ステップまでの間で押圧された回数が最も少ない箇所のうち、ワークの中心線からの振れ量が最大の箇所を押圧すると、加工硬化の小さい箇所が優先的に押圧されることになる。
この加工硬化の小さい箇所は、加工硬化の大きい箇所よりも、中心線からの振れ量を小さくする方向に変形しやすいので、ワークの曲がりを押圧して矯正する場合の矯正の効果を適切に発揮することができる。
図1は、ワークの曲がり矯正方法を実施するワーク矯正装置1を説明する図であって、(a)は、ワーク矯正装置1の斜視図であり、(b)は、(a)における面Aでワーク矯正装置1を切断した断面図であり、(c)は、ワークWにおける先端501側の中心線X1の軸方向から見たパンチ20周辺の図である。
以下の説明では、ワークWの軸部50を基準として、支持台10側を下側、パンチ20側を上側として、ワーク矯正装置1の構成を適宜説明する。
軸部50の外周には、段部50a〜50eや溝50fが、中心線X1の軸方向に間隔を空けて複数設けられており、軸部50は、シーブ部51から離れるにつれて、外径が段階的に小さくなる外形を有している。
ここで、支持台10aと支持台10bの基台30の上面30aからの高さh1、h2は、曲がりのない軸部50が支持台10a、10bに載置された際に、当該曲がりのない軸部50の中心線X1が水平となるように設定されている。
このため、パンチ20で、軸部50を中心線X1の径方向から押圧する際に、パンチ20の接触面201aは、軸部50における接触面201aが接触する部位の外径に拘わらず、軸部50の外周の一定の範囲に接触しながら、均等な力で安定した状態で押圧できる。
図2は、ワークの矯正方法のフローチャートである。
図3は、ワークの矯正方法を説明する図であり、(a)は、ワーク矯正装置1によりワークWの曲がりを矯正する前の図であり、(b)は、ワーク矯正装置1によりワークWの曲がりを矯正した後の図である。
軸部50の振れ量の測定は、ダイヤルゲージを軸部50の所定の箇所の外周面に接触させた状態で、ダイヤルゲージの表示をリセットしてゼロにした後、ワークWを中心線X1回りに回転させている間に、ダイヤルゲージに表示される値を読み取ることにより行う。
これにより、軸部50では、パンチ20で押圧された箇所G3とその周辺が、中心線X1に近づく方向に塑性的に変形して、押圧箇所G3の中心線X1からの振れ量が小さくなる。
また、1回目のステップS104の処理において、箇所G1の振れ量のみが所定の閾値以上であった場合には、2回目のステップS102では、押圧されていない箇所は、箇所G1のみであるため、箇所G1が2回目の押圧箇所として設定される。
そのため、押圧により加工硬化の程度が小さく、中心線からの振れ量を小さくする方向に変形しやすい箇所から優先して押圧されるので、押圧による軸部50の曲がりを矯正する効果がより発揮される。
2回目以降に実施される矯正ステップでは、前回の矯正ステップまでの間で押圧された回数が最も少ない箇所であって、中心線X1からの振れ量が最大となる箇所を押圧する方法とした。
上記のように構成して、2回目以降に実施される矯正ステップにおいて、前回の矯正ステップまでの間で押圧された回数が最も少ない箇所のうち、ワークの中心線からの振れ量が最大の箇所を押圧するようにすると、加工硬化の小さい箇所が優先的に押圧されることになる。
この加工硬化の小さい箇所は、加工硬化の大きい箇所よりも、中心線からの振れ量を小さくする方向に変形しやすいので、ワークの曲りを押圧して矯正する場合の矯正の効果を適切に発揮することができるようになる。
このため、固定円錐盤の軸部50のように、曲がりの矯正が必要となる部位(軸部50)の外径が、当該軸部50の中心線X1方向で段階的に変化している場合であっても、パンチ20で、軸部50を中心線X1の径方向から押圧する際に、パンチ20の接触面201aは、軸部50における接触面201aが接触する部位の外径に拘わらず、軸部50の外周面の一定の範囲に接触しながら、均等な力で安定した状態で押圧できる。
図4は、第2の実施形態にかかるワークの曲がり矯正方法を実施するワーク矯正装置1Aを説明する図であって、(a)は、ワーク矯正装置1Aの正面図であり、(b)は、(a)における領域Aの拡大図である。
なお、図4では、説明の便宜上、加工硬化の状態を模式的に図示するとともに、前記した実施の形態と同じ構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
そのため、2回目以降に実施される矯正ステップで押圧する箇所G1〜G8を、部位L1〜L4を基準として決定するという点において、部位に関係なく決定する第1の実施形態にかかるワークの矯正方法と相違している。
図5は、第2の実施形態にかかるワークの矯正方法のフローチャートである。
そのため、実施の形態では、軸部50の部位L1〜L4ごとに、複数の測定箇所が設定されており、図4に示すように、部位L1〜L4の各々で2箇所(部位L1では箇所G1、G2、部位L2では箇所G3、G4、部位L3では箇所G5、G6、部位L4では箇所G7、G8)ずつ、測定箇所が設定されている。
これにより、軸部50では、パンチ20で押圧された部位L3の箇所G5とその周辺が、中心線X1に近づく方向に塑性的に変形して、押圧された箇所G5の中心線X1からの振れ量が小さくなる。
さらに、押圧された箇所を含む部位と、この部位に隣接する他の部位との境界にも応力が集中して、境界もまた塑性的に変形して加工硬化する(ハッチングHa参照)。よって、図4の(b)における箇所G5が押圧された場合には、この箇所G5を含む部位L3とこの部位L3に隣接する部位L2やL4との境界にも加工硬化が生じる。
ここで、図4の(b)では、ハッチングが密になっている領域ほど、加工硬化の程度が大きいことを示しており、加工硬化の程度は、パンチ20で直接押圧された箇所よりも、境界の方が大きくなる傾向がある。ちなみに、ハッチングHa>ハッチングHb>ハッチングHcの順番で、加工硬化の程度が大きくなっている。
実施の形態では、上記の点にも着目し、2回目以降に実施されるステップS202では、前回実施された押圧(前回のステップS203)までの間で、押圧された回数が最も少ない部位L1〜L4の中で、中心線X1からの振れ量が最も大きい箇所が、押圧箇所として設定されるようになっている。
また、1回目のステップS204の処理において、部位L2の箇所G4の振れ量のみが所定の閾値以上であった場合には、押圧されていない部位であって閾値以上の箇所は、箇所G4のみであるため、箇所G4が2回目の押圧箇所として設定される。
そのため、押圧により加工硬化の程度が小さく、中心線からの振れ量を小さくする方向に変形しやすい部位における箇所から優先して押圧されるので、押圧による軸部50の曲がりを矯正する効果がより発揮される。
ここで、同一の部位内であれば、どの箇所を押圧しても常に同じ境界とその周辺の領域が加工硬化するので、この加工硬化する領域は、部位ごとに略決まっている。
そのため、既に押圧されたことのある箇所を含む部位は、同じ部位内の他の箇所を押圧しても、押圧されたことのない部位に比べて、中心線X1からの振れ量を小さくする方向に変形し難い部位(加工硬化の程度が大きい部位)となる。
よって、押圧された回数の多い部位ほど、中心線X1からの振れ量を小さくする方向に変形し難くなっている。
この加工硬化の程度が小さい部位は、加工硬化の程度が大きい部位よりも、中心線X1からの振れ量を小さくする方向に変形しやすいので、ワークW(軸部50)の曲りを押圧して矯正する場合の矯正の効果を適切に発揮することができるようになる。
固定側の円錐盤の軸部50は、外周に設けられた段部50a〜50eや溝50fを境界とする複数の部位が、中心線に沿って連なって形成されており、各部位の外径は、段部50a〜50eを境にして異なっている。
そのため、複数の部位のうちの特定の部位を押圧すると、押圧された部位と、この部位に隣接する他の部位との境界(段部や溝)に応力が集中して、境界とその周囲の領域の加工硬化が最も大きくなる。
よって、本発明にかかるワークの矯正方法をこのような固定側の円錐盤の軸部50に適用すると、上記と同様の作用効果が効果的に奏されるので、軸部50の精度が高い固定側の円錐盤を提供することが可能となる。
10、10a、10b 支持台
20 パンチ
30 基台
50 軸部
51 シーブ部
50a〜50e 段部
50f 溝
501 先端
502 後端
W ワーク
Claims (3)
- ワークの中心線からの振れ量を測定する測定ステップと、
振れ量が最大となる箇所を、前記中心線からの振れ量を小さくする方向に押圧して、前記中心線からの触れによる前記ワークの曲がりを矯正する矯正ステップと、を有すると共に、
前記中心線からの振れ量が閾値未満となるまで、前記測定ステップと前記矯正ステップとを繰り返すワークの曲がり矯正方法であって、
2回目以降に実施される矯正ステップでは、前回の矯正ステップまでの間で押圧された回数が最も少ない箇所であって、前記中心線からの振れ量が最大となる箇所を押圧することを特徴とするワークの曲がり矯正方法。 - 前記ワークは、前記中心線の径方向の外径が異なる複数の部位が、前記中心線方向に複数連なった形状の軸状部材であり、
前記2回目以降に実施される矯正ステップでは、前回の矯正ステップまでの間で押圧された回数が最も少ない部位であって、前記中心線からの振れ量が最大となる箇所を含む部位を押圧することを特徴とする請求項1に記載のワークの曲がり矯正方法。 - 前記ワークは、ベルト式無段変速機のプーリを構成する固定側の円錐盤を備える軸状部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワークの曲がり矯正方法。
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