JP6074483B1 - 導電性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えばLDEに対しても良好なオーミックコンタクトが得られる電極を形成することができ、た、鉛成分の含有量がPbOとして25モル%以下に抑制された導電性組成物を提供する。【解決手段】太陽電池10の電極12,22を形成するための導電性組成物が提供される。この導電性組成物は、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機バインダと、分散媒と、を含む。このガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、PbOを1mol%以上25mol%以下で、かつ、PbOとTeO2とBi2O3とを、合計で全体の50mol%以上90mol%以下の割合で含み、さらに、Na2Oを必須の成分として含むことにより特徴づけられる。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性組成物に関する。より詳細には、太陽電池の電極を形成するために用いることができる導電性組成物に関する。
近年の環境意識の高まりや省エネルギーの観点から、光エネルギーを電力に変換する太陽電池の普及が急速に進んでいる。これに伴い、光電変換効率が良好な太陽電池が求められている。この要求を実現するための一つの方策として、太陽電池においては、再結合を抑制するパッシベーション膜や受光効率を高める反射防止膜を設けること、基板内のpn接合で生じた電力を高効率で電極から取り出すことが検討されている。
この種の太陽電池の製造に際しては、シリコン基板の受光面に設けられた反射防止膜上に、電極形成用の導電性組成物を所望の電極パターンで供給して焼成する。この導電性組成物は、典型的には、銀等の導電性粉末と、ガラスフリットと、バインダ成分と、分散媒とを含み、ペースト状(スラリー状、インク状を包含する。)に調製されている。導電性組成物は、スクリーン印刷法等の手法により所定の電極パターンで太陽電池の受光面に供給される。すると、電極の焼成中に導電性組成物中のガラスフリットが反射防止膜と反応し、導電性粉末が反射防止膜を通り抜けて(ファイヤースルー)、シリコン基板の表面のエミッタ層と電気的接続(オーミックコンタクト)を実現する。これにより、シリコン基板のpn接合で形成された電流を電極に取り出すことができる。このような太陽電池の電極形成用の導電性組成物として、例えば、鉛(Pb)とテルル(Te)とをガラスフリットの構成成分として含み得る導電性組成物(例えば、特許文献1〜11参照)が挙げられる。
特開2014−028713号公報 特開2014−028740号公報 特開2014−029832号公報 特開2014−049743号公報 特許第5480448号公報 特許第5711359号公報 特許第5746325号公報 特許第5782112号公報 特開2015−071504号公報 特開2015−171988号公報 特開2015−119276号公報 国際公開第1992/000924号
ところで、近年では、太陽電池のエミッタ層を薄くすることで表面再結合を抑制し、これによって変換効率を向上させることが試みられている(例えば、特許文献4参照)。薄層化されたエミッタ層(Lightly Doped Emitter(LDE))を有する基板においては、シート抵抗が増大されると共に、ファイヤースルーによる電極と基板とのオーミックコンタクトを薄いエミッタ内で実現することが求められる。しかしながら、LDE構造の太陽電池基板に特許文献1〜11に開示されたような導電性組成物を用いると、ファイヤースルーによるオーミックコンタクトを薄いエミッタ層内で実現することが難しく、太陽電池の変換効率が低下しやすいという課題があった。また、この種の導電性組成物に含まれるガラスフリットについては、鉛成分をPbOとして実質的に35モル%以上程度と多量に含まれるものが多い。そのため、本発明者らの検討によると、形成される電極の基板に対する接着強度が十分でなかったり、環境負荷の観点から課題があった。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、例えばLDEに対しても良好なオーミックコンタクトが得られる電極を形成することができ、また、鉛成分の含有量がPbOとして25モル%以下に抑制された導電性組成物を提供することである。また、この導電性組成物の採用により実現される、発電性能が良好な太陽電池を提供することを他の目的とする。
上記課題を解決するために、ここに開示される技術は、太陽電池の電極を形成するための導電性組成物を提供する。この導電性組成物は、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機バインダと、分散媒と、を含む。そして上記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、PbOを1mol%以上25mol%以下で、かつ、上記PbOとTeOとBiとを、合計で全体の50mol%以上90mol%以下の割合で含み、さらに、NaOを必須の成分として含むことにより特徴づけられる。
なお、近年、TeOおよびPbOを含むガラスフリットは、その融点が低いことから、電子用途での導電性組成物の無機バインダとして使用できることが知られている(例えば、特許文献12等参照)。そして上記のとおり、PbOおよびTeOを主たるガラス構成成分とするガラスフリットを含む導電性組成物については、太陽電池の受光面電極を形成する際のファイヤースルー性が改善されるため、発電性能の比較的良好な太陽電池を実現し得ることが知られている。しかしながら、このような導電性組成物については、上述のとおり、基板の浸食性が高いためにLDEに対して良好なオーミックコンタクトを形成(制御)するのが比較的困難であった。なお、鉛は環境負荷の問題が懸念される成分であり、その含有量は少ない方が好ましい。そこで、鉛成分を含まないテルライトガラスフリットを使用した導電性組成物についても検討がなされている(例えば、特許文献11等参照)。しかしながら、導電性組成物中のガラスフリットがTeOとPbOとを同時に含まない場合は、TeOとPbOとを共に含む場合と比較して、焼成時の基板の浸食性が十分に得られず、良好なオーミックコンタクトを形成するのはより困難になるのが実情であった。
ここに開示される技術においては、導電性組成物に含まれるガラスフリットのPbOを1mol%以上25mol%以下と低減しつつ、ガラスフリットの大まかな骨格をPb−Te−Bi−O系ガラスにより構成するようにしている。また、焼成時に低温からガラスフリットを基板に濡れ広がらせる役目を果たすNa成分を、必須の構成元素として含むようにしている。このような構成とすることで、PbOを25mol%以下に低減した場合であっても、PbOをより多量に含む場合と同様の良好なファイヤースルー性を実現しつつ、その制御性が高めることができる。これにより、LDEに対しても良好なオーミックコンタクトを実現する電極を制御性良く形成することができる。延いては、発電性能の良好な太陽電池を実現する電極を形成することができる。
ここに開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記ガラスフリットは、上記NaOを、0.1mol%以上20mol%以下の割合で含むことを特徴としている。このような構成により、ガラスフリット中のNa成分の割合をより適切なものとすることができる。
ここに開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、ZnOおよびWOの少なくとも一方を合計で40mol%以下の割合で含むことを特徴としている。ガラスフリットは、上記ZnOおよび上記WOの両方を含み、上記ZnOおよび上記WOがいずれも0.1mol%以上30mol%以下の割合であることが好ましい。Zn成分およびW成分は、テルルガラスにおいていずれもネットワークフォーマーとして機能し、上記の範囲で含まれることでガラスフリットのガラス化範囲を安定的に拡大することができる。
ここに開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、MgOおよびCaOの少なくとも一方を合計で10mol%以下の割合で含むことを特徴としている。このような構成により、この導電性組成物を焼成したときにガラスフリットの結晶化が抑制されるために好ましい。
ここに開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、AgOを10mol%以下の割合で含むことを特徴としている。このような構成により、形成される電極と基板との界面の整合性が高められるために好ましい。
ここに開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、LiOを35mol%以下の割合で含むことを特徴としている。Li成分は、必須の成分ではないが、公知のように基板のn層に対するドーパントとなり得る成分であるために、上記の範囲で好適に含むことができる。
ここに開示される導電性組成物の好ましい一態様において、上記導電性粉末を構成する金属種が、ニッケル、白金、パラジウム、銀、銅およびアルミニウムからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の元素を含むことを特徴としている。このような構成により、導電性に優れた電極を構成することができる。
他の側面において、ここに開示される技術は、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された電極と、を備える太陽電池を提供する。この太陽電池において、上記電極の少なくとも一部は、上記のいずれかに記載の導電性組成物の焼成物により構成され、上記電極と上記半導体基板とは電気的に接続されていることを特徴としている。これにより、発電性能(例えば出力特性)の良好な太陽電池が実現される。
ここに開示される太陽電池の好ましい一態様において、上記半導体基板上に絶縁膜を備え、上記焼成物は、上記絶縁膜に隣接していることを特徴としている。この太陽電池は、半導体基板上の電極の形成されていない領域に、電極と隙間なく絶縁膜が形成され得る。これにより、受光した光が発電に寄与せずに放出されるのを好適に抑制することができ、光変換効率のより高い太陽電池が実現される。
ここに開示される太陽電池の好ましい一態様において、上記半導体基板上に絶縁膜を備え、上記焼成物は、上記絶縁膜上に供給された上記導電性組成物が焼成されて上記絶縁膜を貫通することにより、上記半導体基板と電気的に接続されていることを特徴としている。すなわち、ここに開示される太陽電池は、煩雑な手間を要することなく、所謂ファイヤースルー法により電極と基板とのコンタクトが実現されている。これにより、変換効率と電気的特性との向上が安定して図られた太陽電池が実現される。
太陽電池の構造の一例を模式的に示す断面図である。 太陽電池の受光面に形成された電極のパターンを模式的に示す平面図である。 太陽電池の基板と電極との接着強度を測定する強度測定装置を模式的に示した側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって、本発明の実施に必要な事項は、本明細書により教示されている技術内容と、当該分野における当業者の一般的な技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A〜B」との表記は、A以上B以下を意味する。
ここで開示される導電性組成物は、典型的には、焼成することにより太陽電池の電極を形成することができる。すなわち、この導電性組成物の焼成物が太陽電池の電極を構成し得る。この導電性組成物は、本質的に、従来のこの種の導電性組成物と同様に、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機バインダと、分散媒と、を構成要素として含む。以下、ここに開示される導電性組成物の各構成要素について説明する。
導電性組成物の固形分の主体をなす導電性粉末としては、用途に応じた所望の導電性およびその他の物性等を備える各種の金属またはその合金等からなる粉末を考慮することができる。導電性粉末を構成する材料の一例としては、金(Au),銀(Ag),銅(Cu),白金(Pt),パラジウム(Pd),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),イリジウム(Ir),オスミウム(Os),ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)等の金属およびそれらの合金、カーボンブラック等の炭素質材料、LaSrCoFeO系酸化物(例えばLaSrCoFeO)、LaMnO系酸化物(例えばLaSrGaMgO)、LaFeO系酸化物(例えばLaSrFeO)、LaCoO系酸化物(例えばLaSrCoO)等として表わされる遷移金属ペロブスカイト型酸化物に代表される導電性セラミックス等が例示される。なかでも、白金,パラジウム,銀等の貴金属の単体およびこれらの合金(例えば、Ag−Pd合金、Pt−Pd合金等)、およびニッケル,銅,アルミニウムならびにその合金等からなるものが、特に好ましい導電性粉末を構成する材料として挙げられる。なお、比較的コストが安く、電気伝導度が高い等の観点から、銀およびその合金からなる粉末(以下、単に「銀粉末」ともいう。)が特に好ましく用いられる。以下、本願発明の導電性組成物について、導電性粉末として銀粉末を用いる場合を例として説明を行う場合があるが、本発明はこれに限定されない。
導電性粉末の粒径については特に制限はなく、用途に応じた種々の粒径のものを用いることができる。典型的には、平均粒子径が5μm以下のものが適当であり、平均粒子径が3μm以下(典型的には1μm〜3μm、例えば1.5μm〜2.5μm)のものが好ましく用いられる。導電性粉末の平均粒子径は、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定される、体積基準の粒度分布における積算50%粒径(D50)を採用することができる。本明細書における導電性粉末の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA−920)を用いて測定した値を採用している。
導電性粉末を構成する粒子の形状は特に限定されない。典型的には、球状、麟片状(フレーク状)、円錐状、棒状等のものを好適に使用することができる。充填性がよく緻密な受光面電極を形成しやすい等の理由から、球状もしくは鱗片状の粒子を用いることが好ましい。使用する導電性粉末としては、例えば、粒度分布のシャープな(狭い)ものが好ましい。具体的には、粒子径10μm以上の粒子を実質的に含まないような粒度分布のシャープな導電性粉末が好ましく用いられる。この指標として、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布における小粒径側からの累積体積10%時の粒径(D10)と累積体積90%時の粒径(D90)との比(D10/D90)が採用できる。粉末を構成する粒径が全て等しい場合はD10/D90の値は1となり、逆に粒度分布が広くなる程このD10/D90の値は0に近づくことになる。D10/D90の値が0.2以上(例えば0.2以上0.5以下)であるような比較的狭い粒度分布の粉末の使用が好ましい。
また他の側面において、導電性粉末は、平均粒子径の異なる2つの粒子群を混合して用いることもできる。この場合、例えば、第1の粒子群の平均粒子径(D50)を1.5μm〜2.5μm(例えば2μm)の範囲とし、第2の粒子群の平均粒子径(D50)を2μm〜3μm(例えば2.5μm)の範囲とすることができる。このとき各粒子群の粒度分布は、上記のとおりシャープなものであることが好ましい。そして、例えば、第1の粒子群が80〜95体積%(例えば、90体積%)の割合、第2の粒子群が20〜5体積%(例えば、10体積%)の割合となるように混合する。これにより、充填性の良好な導電性粉末を用意することができる。
このような平均粒子径および粒子形状を有する導電性粉末を用いた導電性組成物は、導電性粉末の充填性がよく、緻密な電極を形成し得る。このことは、細かい電極パターンを形状精度よく形成するにあたって有利である。
なお、導電性粉末は、その製造方法等により特に限定されない。例えば、周知の湿式還元法、気相反応法、ガス還元法等によって製造された導電性粉末を必要に応じて分級して用いることができる。かかる分級は、例えば、遠心分離法を利用した分級機器等を用いて実施することができる。
ガラスフリットは、上記導電性粉末の無機バインダとして機能し得る成分であり、導電性粉末を構成する導電性粒子同士や、導電性粒子と基板(電極が形成される対象)との結合性を高める働きをする。また、この導電性組成物が例えば太陽電池の受光面電極の形成に用いられる場合には、このガラスフリットの存在により、導電性組成物が下層としての反射防止膜、不動態膜、酸化膜等を焼成中に貫通(ファイヤースルー)することが可能となり、導電性粒子(すなわち電極)と基板との良好な接着および電気的コンタクトを実現することができる。
すなわち、このガラスフリットは、PbO,TeO,BiおよびNaOの4つの成分を必須の構成成分として含んでいる。そして、Zachariasenの条件を満たす典型的な網目形成酸化物(SiO,B,P,GeO,Asなど)を必須の元素として含まない。このようなガラス系では、PbOおよびTeOが網目形成酸化物として機能し、Biが中間酸化物として、ガラスの主たる骨格を形成する。換言すると、このガラスフリットは、Pb−Te−Bi系ガラスにより大まかな骨格が形成されている。そしてNaOが、網目修飾酸化物としてこの骨格を安定化させ、また、ガラスの軟化点を250℃以上600℃以下の低い範囲に落ち着かせる役目を担っている。
なお、このように典型的な網目形成酸化物が存在しない系では、ガラス化範囲は比較的限定され、ガラスの安定性が低下し得る。とりわけ、PbOの割合が小さく(25mol%以下)なるよう制限される場合は、良好なファイヤースルー特性が実現され難い。しかしながら、このガラスフリットは、PbO,TeOおよびBiの合計が、ガラスフリット全体の50mol%以上90mol%以下となるよう調整されている。このことにより、PbOとTeOとを含むガラスフリットにおいて、PbO量を低減しつつも、得られる電極と基板とのコンタクトが良好となり、かつ、高い接着強度が実現される。延いては、電気的特性および接着強度の高い太陽電池を作製することができる。以下、ここに開示される技術において特徴的なガラスフリットを構成する各成分について説明する。
TeOは、単独ではガラス化しないものの、他の元素とともにガラス骨格を形成し得る中間酸化物である。ここに開示されるガラス組成においては、TeOは網目形成酸化物として機能し、軟化点を大きく低下させるとともに、良好なオーミックコンタクトを実現するために欠かせない成分である。例えば導電性粉末が銀(Ag)を含む場合、焼成中の電極と太陽電池の基板との界面において良好なコンタクトを実現するために、ガラス相(ガラスフリット)へのAg固溶量を増大させることが望まれる。ここでガラス相にテルル(Te)が存在することで、焼成の際に低温時からガラスが軟化・流動し、Ag粒子とSi基板界面に移動して濡れ広がる。これにより、Ag固溶量を大きく増大させることができ、また、基板を広範囲にわたって均一に浸食することができる。また焼成の降温時には、ガラス相に溶解していたAgがAg微粒子として析出され得る。ここでガラス相にTeが存在することで、焼成温度の変化に対してAgの析出が穏やかに行われ、焼成温度の制御幅(マージン)を広げることができる。
ガラスフリット中のTeO量は厳密には制限されないが、以上の効果はTeOが25mol%以上の割合で存在することで十分に発現され、TeO量が多くなるほどその効果が高められ得る。したがって、TeOはより多量であることが好ましく、例えば、TeOはこのガラスフリットの主成分(最大含有成分)であることが好ましい。TeOの含有量は、具体的には、30mol%以上であるのが好ましく、40mol%以上であるのがより好ましく、50mol%以上であるのが更に好ましい。しかしながらTeOの含有量が多すぎると、太陽電池の基板を構成するSiとの酸化還元反応により金属テルル(Te)が析出され、シリコン基板の浸食作用が抑制されてファイヤースルー特性が低下し得る。このことにより形成される電極の電気的特性が低下したり、焼成マージンが逆に狭くなったりするために好ましくない。かかる観点から、TeOの含有量は80mol%以下であることが好ましく、例えば75mol%以下であるのがより好ましい。
PbOは、単独ではガラス化しないものの、他の元素とともにガラス骨格を形成し得る中間酸化物である。また、ガラスフリットと反射防止膜や基板との酸化還元反応には、鉛(Pb)成分が必要であり、鉛が無い場合は浸食が進み難くなる。ここに開示されるガラスフリットにおいて、PbOは網目形成酸化物として機能するとともに、良好なファイヤースルー特性を発現し、形成される電極の電気的特性を向上させ得る点で好ましい。PbOは、上記のTeOの多量の含有に伴い低減される基板の侵食性を補うために、1mol%以上25mol%以下の割合で配合される。PbOは、2mol%以上が好ましく、3mol%以上がより好まく、5mol%以上が特に好ましい。その一方で、PbOは近年の環境負荷の観点から、含有量を極力低減するのが好ましいとされる成分でもある。また、PbOはTeOと共に基板に作用すると、基板の浸食面が滑らかになってしまい、接合界面の面積が減るとともに基板と形成される電極との接着強度が低下してしまう。したがって、PbOの含有量は25mol%以下とされ、23mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましい。
Biは、TeOとの2元系ではガラスを形成しないものの、上記PbOが含まれることでガラスの形成に寄与し得る。Biは、ここに開示されるガラス系においては基板を適度に浸食し、PbOと似た機能を示し得る。そのため、PbO量が低減されたこのガラスフリットにおいて、良好なファイヤースルー特性を発現させる目的で含まれる必須の成分である。さらにBiは、焼成によりガラスフリットが溶融されたときに、このガラスフリットの粘性増加を抑制する効果がある点でも好ましい。Biの含有量が0.1mol%未満であると十分なファイヤースルー特性を発現させることが困難となり得るために好ましくない。したがって、Biの含有量は0.1mol%以上であるのが好ましく、0.5mol%以上であるのがより好ましく、1mol%以上であるのが特に好ましい。また、Biは含有量が20mol%を超過するとシリコン基板を過剰に侵食し易くなる傾向がある。Biの含有量は18mol%以下であるのがより好ましく、16mol%以下であるのが特に好ましい。
NaOは、ここに開示されるガラス系においてはガラスを安定化させる必須の成分として含まれる。NaOは、ガラスの融点および軟化点を低下させる機能を有する。そのため、焼成時のより低温からガラスが軟化・溶融され、Ag等の導電性粒子と基板との界面にガラスが濡れ広がるのを好適に促進させることができる。また、このことにより、冷却後も導電性粒子と基板との接合が好適に維持され、接着強度が向上されるとともに、電気特性も向上される。このようなNaOの含有量は、例えば合計で0.1mol%以上であることで、その効果が明瞭となるために好ましい。NaOの含有量は0.5mol%以上であるのがより好ましく、1mol%以上であるのがさらに好ましく、3mol%以上であるのが特に好ましい。また、NaOは、20mol%を超過するとTeOの含有量が相対的に低くなり、かえって電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。
ZnOは、他の元素とともにガラス化する中間酸化物である。ここに開示されるテルルガラス系において、ZnOは網目形成酸化物として機能し得、ガラス化範囲を広げ、焼成後のガラスフリットを結晶化させ難くする効果を有する。その結果、形成された電極の電気的特性を改善(例えば、開放電圧や短絡電流の向上)する効果があるために好ましく含まれる。このようなZnOの含有量は、0.1mol%以上であるのが好ましく、1mol%以上であるのがより好ましく、2mol%以上であるのが特に好ましい。30mol%を超過するとTeOの含有量が相対的に低くなり、かえって電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。ZnOの含有量は25mol%以下であるのがより好ましい。
WOは、他の元素とともにガラス化する中間酸化物である。ここに開示されるガラス系では、網目修飾酸化物として機能し、ガラス化範囲を安定的に拡大したり、ガラス相中でTeを安定化させたりする効果を有しているため好ましく含むことができる。またPbOが少ない配合において、WOは接着性を高める効果を発現し得る点でも好ましい成分であり得る。このようなWOの含有量は、0.5mol%以上であるのが好ましく、1mol%以上であるのがより好ましい。30mol%を超過するとTeOの含有量が相対的に低くなり、かえって電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。WOの含有量は28mol%以下であるのがより好ましい。
なお、上記のとおり、このガラス系においてZnOおよびWOは網目形成元素として機能し得ることから、ガラスフリットは、ZnOおよびWOの少なくとも一方を含むことが好ましい。この場合、ZnOおよび/またはWOは、合計で40mol%以下の割合で含むことが好適である。また、ガラスフリットは、ZnOとWOとの両方を同時に含むことも好ましい。この場合、ZnOおよびWOは、上記のとおり、単独ではおおよそ0.1mol%以上30mol%以下の割合であることが好ましく、両方の合計で40mol%以下であるのが好適である。
MgOおよびCaOは、必須の成分ではないが、二価のカチオンとしてガラスの安定性を高めてガラス化範囲を広げ、焼成後のガラスフリットを結晶化させ難くする効果を有しているため好ましく含むことができる。また、MgOは、ガラスの溶解性を向上させて泡欠陥の発生を抑制したり、ガラスの軟化点を低下させたりするという効果も有する。このようなMgOおよびCaOの含有量は、例えば合計で0.1mol%以上であることで、その効果が明瞭となるために好ましい。またMgOおよびCaOの含有量は、合計で10mol%を超過するとTeOの含有量が相対的に低くなり、かえって電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。
AgOは、必須の成分ではないが、ガラスの融点および軟化点を低下させる機能を有する。このことにより、焼成時のより低温からガラスが軟化・溶融され、Ag等の導電性粒子と基板との界面にガラスが濡れ広がるのを好適に促進させることができる。このことにより、冷却後も導電性粒子と基板との接合が好適に維持され、電気特性が向上される。AgOについては、上記のNaOおよびKOのように接着性を高める効果はさほどないが、NaOおよびKOよりも少ない含有量でガラスの軟化点および融点を低下させ得るために好ましい。AgOの含有量は、0.1mol%以上であることでその効果が明瞭となるために好ましい。また、AgOの含有量は、10mol%を超過するとTeOの含有量が相対的に低くなり、かえって電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。
公知のPbOおよびTeOを含むガラスフリットにおいては、LiOが必須の成分として含まれていることが多い。あるいは、公知のPbOおよびTeOを含むガラスフリットにおいては、LiOをさらに含むことでオーミックコンタクトを極めて良好に実現し得ていた。これに対し、ここに開示されるガラスフリットにおいては、PbO,TeO,BiおよびNaOの組み合わせとその配合とにより、LiOを含まない場合でも、優れたオーミックコンタクト性が実現されている。したがって、ここに開示される技術において、LiOはガラスフリットの必須の成分ではない。
しかしながら、LiOは、シリコン基板のn層に対するドーパントとなり得る成分であり、ガラスフリットがLiOを含有することで、この導電性組成物がn層のドナー補償作用を備えるものとなり得る。したがって、形成される電極の電気的特性をさらに高めるために、ガラスフリットはLiOを含むこともできる。LiOの含有量は、0.1mol%以上であるとその効果が明瞭となるために好ましい。LiOの含有量は、1mol%以上であるのがより好ましく、5mol%以上であるのが特に好ましい。また、LiOの含有量は35mol%を超過するとTeOの含有量が相対的に低くなるために好ましくない。LiOの含有量は33mol%以下であるのが好ましく、30mol%以下であるのがより好ましい。
なお、任意の成分であるLiOは、必須の成分であるNaOの割合が1mol%未満のときは、0.1mol%以上の割合で含まれることが好適である。例えば、LiOとNaOとの合計は、1mol%以上であることが好ましく、2mol%以上であることがより好ましく、3mol%以上であることが特に好ましい。
また、ガラスフリットに、以上の10種の成分以外の成分が含まれることは妨げられない。そのような他のガラス構成成分としては、例えば、Si,Ba,B,K,Rb,Zr,Sn,Al,Ti,Fe,Co,Cs,Ge,Ga,In,Ni,S,Cu,Sr,Se,Mo,Y,As,La,Nd,Pr,Gd,Sm,Dy,Eu,Ho,Yb,Lu,Ta,V,Fe,Hf,Cr,Cd,Sb,F,I,Mn,P,CeおよびNbが挙げられる。これらの元素は、ガラスフリット中に、いずれか1種の元素が単独でまたは2種以上の元素が組み合わせて含まれてもよい。ただし、不要な元素の含有は形成される電極の電気的特性を損ね得る。したがって、ここに開示される技術において、上記の7つの基本成分以外の成分は、合計で5mol%以下、好ましくは4mol%以下、より好ましくは3mol%以下、特に好ましくは2mol%以下、例えば1mol%以下とすることができる。あるいは、不可避的に混入する成分を除き、実質的に0mol%としてもよい。また、Vocの向上効果をより高め得るとの観点から、Crの含有を規制することができる。例えば、導電性組成物中に含まれるCrの含有量は1000ppm以下に制限されることが好ましい。あるいは、例えば、ガラスフリット中に含まれるCrの含有量は10000ppm以下に制限されることが好ましい。このようなガラスフリットは、例えば、一般的な非晶質ガラスの他、一部に結晶を含む結晶化ガラスであってもよい。また、ガラスフリットは、1種の組成のガラスフリットを単独で用いても良いし、2種以上の組成のガラスフリットを混合して用いても良い。
ガラスフリットを構成するガラスの軟化点は、特に限定されるものではないが、250℃以上600℃以下程度(例えば300℃以上500℃以下)であることが好ましい。このような軟化点を有するガラスフリットを含有する導電性組成物は、例えば、太陽電池の受光面電極を形成する際に用いると、良好なファイヤースルー特性を発現して高性能な電極形成に寄与するために好ましい。
このようなガラスフリットは、導電性粉末と同等かそれ以下の大きさに調整されていることが好ましい。ガラスフリットの平均粒子径は、例えば、4μm以下であることが好ましく、好適には3μm以下程度であることがより好ましい。ガラスフリットの平均粒子径の下限は特に制限されないが、典型的には0.5μm以上とすることができ、1μm以上がより好ましい。本明細書におけるガラスフリットの平均粒子径は、導電性粉末と同様に、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布における積算50%粒径(D50)を採用することができる。
以上の導電性粉末およびガラスフリットを分散させるため、ここに開示される導電性組成物は、有機バインダと、分散媒とを含む。以下、これらの構成要素を分散させるための有機バインダと分散媒とを併せて有機ビヒクル成分という場合がある。有機ビヒクル成分としては、所望の目的に応じて、従来よりこの種の導電性組成物に用いられている各種のものを特に制限はなく使用することができる。典型的には、ビヒクルは、種々の組成の有機バインダと、分散媒としての有機溶剤との混合物として構成される。有機バインダとは、無機バインダともいえるガラスフリットによるバインダ効果に対して、バインダ機能を有する有機化合物からなることを意味している。かかる有機ビヒクル成分において、有機バインダは全てが有機溶剤に溶解していても良いし、一部のみが溶解または分散(いわゆるエマルジョンタイプの有機ビヒクルであり得る。)していても良い。
有機バインダとしては、バインダ機能を有する有機化合物を特に制限なく用いることができる。例えば、エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリブチルメタクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール,ポリビニルブチラール等をベースとする有機バインダが好適に用いられる。特にセルロース系高分子(例えばエチルセルロース)が好ましく、特に良好なスクリーン印刷を行うことができる粘度特性を実現することができる。
有機ビヒクルを構成する有機溶剤として好ましいものは、沸点がおよそ200℃以上(典型的には約200℃〜260℃)の有機溶媒である。沸点がおよそ230℃以上(典型的にはほぼ230℃〜260℃)の有機溶剤がより好ましく用いられる。このような有機溶剤としては、ブチルセロソルブアセテート,ブチルカルビトールアセテート(BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート)等のエステル系溶剤、ブチルカルビトール(BC:ジエチレングリコールモノブチルエーテル)等のエーテル系溶剤、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン,キシレン,ミネラルスピリット,ターピネオール,メンタノール,テキサノール等の有機溶媒を好適に用いることができる。特に好ましい溶剤成分として、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられる。
導電性組成物に含まれる各構成成分の配合割合は、電極の形成方法、典型的には印刷方法等によっても異なり得るが、概ね、従来より採用されている組成の導電性組成物に準じた配合割合をもとに構成することができる。一例として、例えば、以下の配合を目安に各構成成分の割合を決定することができる。
すなわち、導電性組成物中に占める導電性粉末の含有割合は、ペースト全体を100質量%としたとき、およそ70質量%以上(典型的には70質量%〜95質量%)とすることが適当であり、より好ましくは80質量%〜90質量%程度、例えば88質量%程度とすることが好ましい。導電性粉末の含有割合を高くすることは、形状精度がよく緻密な電極のパターンを形成するという観点から好ましい。一方、この含有割合が高すぎると、ペーストの取扱性や、各種の印刷性に対する適性等が低下することがある。
ガラスフリットは、本質的に導電性粉末の無機バインダとして要求される程度の割合で導電性組成物中に含まれていればよい。また、良好なファイヤースルー特性を得るとの観点からは、導電性粉末に対するガラスフリットの割合は、導電性粉末を100質量%としたとき、典型的には0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上とするのが好ましく、1質量%以上とするのがより好ましい。なお、過剰な添加は基板を浸食したり、形成される電極の抵抗を高めたりするために好ましくない。したがって、導電性粉末に対するガラスフリットの割合は、典型的には12質量%以下とすることができ、6質量%以下とするのが好ましく、3質量%以下とするのがより好ましい。
そして、有機ビヒクル成分のうち有機バインダは、導電性粉末の質量を100質量%としたとき、およそ15質量%以下、典型的には1質量%〜10質量%程度の割合で含有されることが好ましい。特に好ましくは、導電性粉末100質量%に対して2質量%〜6質量%の割合で含有される。なお、かかる有機バインダは、例えば、有機溶剤中に溶解している有機バインダ成分と、有機溶剤中に溶解していない有機バインダ成分とが含まれていても良い。有機溶剤中に溶解している有機バインダ成分と、溶解していない有機バインダ成分とが含まれる場合、それらの割合に特に制限はないものの、例えば、有機溶剤中に溶解している有機バインダ成分が(1割〜10割)を占めるようにすることができる。
なお、上記有機ビヒクルの全体としての含有割合は、得られるペーストの性状に合わせて可変であり、おおよその目安として、導電性組成物全体を100質量%としたとき、例えば5質量%〜30質量%となる量が適当であり、5質量%〜20質量%であるのが好ましく、5質量%〜15質量%(特に7質量%〜12質量%)となる量がより好ましい。
また、ここに開示される導電性組成物は、本発明の目的から逸脱しない範囲において、上記以外の種々の無機添加剤及び/又は有機添加剤を含ませることができる。無機添加剤の好適例として、上記以外のセラミック粉末(ZnO、Al等)、その他種々のフィラーが挙げられる。また有機添加剤の好適例として、例えば、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、分散剤、粘度調整剤等の添加剤が挙げられる。
以下に、太陽電池(太陽電池素子)に設けられる各種電極のうち、例えば受光面上に、微細なフィンガー電極を含む櫛型電極パターンをこの導電性組成物をスクリーン印刷することにより形成する例を示しながら、ここに開示される太陽電池について説明を行う。なお、太陽電池に関し、本発明を特徴付ける受光面電極の構成以外については、従来の太陽電池と同様であってよく、従来と同様の構成および従来と同様の材料の使用に関する部分については本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
図1および図2は、本発明の実施により好適に製造され得る太陽電池(セル)10の一例を模式的に図示したものであり、単結晶もしくは多結晶あるいはアモルファス型のシリコン(Si)からなるウェハを半導体基板11として利用する、いわゆるシリコン型太陽電池10である。図1に示すセル10は、一般的な片面受光タイプの太陽電池10である。具体的には、この種の太陽電池10は、p−Si層(p型結晶シリコン)18からなるシリコン基板(Siウエハ)11の受光面11A側に、不純物ドーピングにより形成されたn−Si層16を備えることで、pn接合が形成されている。シリコン基板11の表面には、必要に応じて、CVD等により形成された酸化チタンや窒化ケイ素等から成る反射防止膜14と、Ag粉末等を主体として含む導電性組成物から形成される受光面電極12,13とを備える。なお、反射防止膜14はパッシベーション膜を兼ねてもよいし、反射防止膜14とは別にパッシベーション膜を設けてもよい。
一方、p−Si層18の裏面11B側には、いわゆる裏面電界(Back Surface Field:BSF)効果を奏する裏面アルミニウム電極20と、このアルミニウム電極20から電流を取り出す外部接続用電極22と、を備える。アルミニウム電極20は、アルミニウム粉末を主体とする導電性組成物を印刷・焼成することによって、裏面の略全面に形成される。この焼成時に図示しないAl−Si合金層が形成され、アルミニウムがp−Si層18に拡散されてp層(BSF層)24が形成される。かかるp層24、即ちBSF層が形成されることによって、光生成されたキャリアが裏面電極近傍で再結合することが防止され、例えば短絡電流(Isc)や開放電圧(Voc)の向上が実現される。また、外部接続用電極22は、典型的には、導電性粉末がAg粉末である導体性ペーストを印刷・焼成することにより形成される。
図2に示すように、太陽電池10のシリコン基板11の受光面11A側には、受光面電極12,13として、数本(例えば、1本〜3本程度)の相互に平行な直線状のバスバー(接続用)電極12と、該バスバー電極12と交差するように接続する相互に平行な多数の(例えば、60本〜90本程度の)筋状のフィンガー(集電用)電極13とが形成されている。フィンガー電極13は、受光により生成した光生成キャリア(正孔および電子)を収集するため多数本形成されている。バスバー電極12はフィンガー電極13により収集されたキャリアを集電するための接続用電極である。このような受光面電極12,13が形成された部分は、太陽電池の受光面11Aにおいて非受光部分(遮光部分)を形成する。従って、かかる受光面11A側に設けられるバスバー電極12とフィンガー電極13(特に数の多いフィンガー電極13)をできるだけファインライン化することにより、これに対応した分の非受光部分(遮光部分)が低減され、セル単位面積あたりの受光面積が拡大される。これは、極めてシンプルに太陽電池10の単位面積あたりの出力を向上させるものとなり得る。
このような太陽電池10は、概略的には、次のようなプロセスを経て製造される。
即ち、適当なシリコンウェハを用意し、熱拡散法やイオンプランテーション等の一般的な技法により所定の不純物をドープして上記p−Si層18やn−Si層16を形成することにより、上記シリコン基板11を作製する。このとき、n−Si層16は、シート抵抗が高め(例えば80〜120Ω/□)となるように形成することができる。次いで、例えばプラズマCVD等の技法により窒化ケイ素等からなる反射防止膜14を形成する。
その後、上記シリコン基板11の裏面11B側に、所定の導電性組成物(典型的には導電性粉末がAg粉末である導電性組成物)を用いて所定のパターンにスクリーン印刷し、乾燥することにより、焼成後に裏面側外部接続用電極22(図1参照)となる裏面側導体塗布膜を形成する。次いで、裏面側の全面に、アルミニウム粉末を導体成分とする導電性組成物をスクリーン印刷法等で塗布(供給)し、乾燥することによりアルミニウム膜を形成する。
次いで、上記シリコン基板11の表面側に形成した反射防止膜14上に、典型的には、スクリーン印刷法により、図2に示すような所定の配線パターンで本発明の導電性組成物を印刷(供給)する。印刷する線幅は特に限定されないが、本発明の導電性組成物を採用することによって、線幅が70μm程度若しくはそれ以下(好ましくは50μm〜60μm程度の範囲、より好ましくは40μm〜50μm程度の範囲)のフィンガー電極を備える電極パターンの塗膜(印刷体)を形成することができる。次いで、適当な温度域(典型的には100℃〜200℃、例えば120℃〜150℃程度)で基板を乾燥させる。好適なスクリーン印刷法の内容に関しては後述する。
このように両面にそれぞれペースト塗布物(乾燥膜状の塗布物)が形成されたシリコン基板11を、大気雰囲気中で例えば近赤外線高速焼成炉のような焼成炉を用い、適切な焼成温度(例えばピーク温度が700℃〜900℃)で焼成する。この焼成によって、受光面電極(典型的にはAg電極)12,13および裏面側外部接続用電極(典型的にはAg電極)22とともに、アルミニウム電極20が形成される。また同時に、図示しないAl−Si合金層が形成されるとともにアルミニウムがp−Si層18に拡散して、上述したp層(BSF層)24が形成され、太陽電池10が製造される。
なお、図1に示した太陽電池10では、基板11としてp型結晶シリコン基板を用いた例を示したが、n型結晶シリコンからなる基板を用いることもできる。なお、ここではp型結晶シリコンを使用したため、pn接合を形成するために異なる導電型の不純物(例えばリン(P))を拡散させたが、n型シリコン基板を使用した場合はp型の不純物(例えば、ホウ素(B))を拡散させればよい。さらに、p−Si層18の裏面11B側には、パッシベーション膜等を形成することなくアルミニウム電極20を形成したが、裏面11B側にもパッシベーション膜を設けるようにしてもよい。
また、上記のように電極を同時焼成する代わりに、例えば受光面11A側の受光面電極(典型的にはAg電極)12,13を形成するための焼成と、裏面11B側のアルミニウム電極20および外部接続用電極22を形成するための焼成とを別々に実施してもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
(実施形態1)
[導電性組成物の調製]
以下に示す手順で、例1〜105の太陽電池の電極形成用の導電性組成物を調製した。まず、導電性粉末としては、平均粒子径が2μmで球形の銀(Ag)粉末を用いた。ガラスフリットとしては、下記の表1および表2に示す組成のガラス粉末を用意した。なお、表1および表2の「3成分合計」欄は、ここに開示される技術におけるガラスフリットの骨格を形成する3つの成分(PbO,TeO,Bi)の酸化物換算組成における合計割合を示している。「6成分合計」欄は、上記3成分に加え、必須の成分であるNaO(Na)と、特に好適な2つの任意成分であるZnO,WOを併せたときの合計割合を示している。また「合計」欄は、好適な4つの任意成分であるMgO,CaO,AgO,LiOをさらに併せたときの合計割合を示している。つまり、本実施形態で使用したガラスフリットは、上記4種の必須成分と、上記6種の任意成分の、最大10種の成分のいずれかにより構成されている。
なお、ガラスフリットの調製において、Pb源としてはPbを、Te源としてはTeOを、Bi源としてはBiを、Na源としてはNaCOを、Zn源としてはZnOを、W源としてはWOを、Mg源としてはMgOを、Ca源としてはCaCOを、Ag源としてはAgOを、Li源としてはLiCOを、それぞれ用いた。そしてこれらの原料を目的のガラス組成を実現する化学量論組成で配合し、るつぼに投入したのち、組成に応じて800〜1000℃の溶融温度で溶融し、急冷することでガラスとした。次いでこのガラスを、遊星ボールミルを用いて平均粒子径が約2μmとなるように粉砕することで、ガラスフリットを得た。
上記の銀粉末100質量%に対して、ガラスフリットを2質量%、有機ビヒクルを5質量%、界面活性剤としての硬化ヒマシ油を0.80質量%、分散媒としてのテキサノールを約1質量%となるように配合した。なお、有機ビヒクルとしては、エチルセルロースとテキサノールとを質量比で15:85の割合で混合したものを用いた。そして、これらの材料を、三本ロールミルを用いてよく混練することで、各例の導電性組成物を得た。本実施形態では、各例の導電性組成物の印刷性を揃えるために、導電性組成物の粘度が180〜200Pa・s(20rpm,25℃)となるよう調整した。
[評価用太陽電池の作製]
上記で得られた例1〜105の導電性組成物を用いて受光面電極(即ち、フィンガー電極とバスバー電極からなる櫛型電極)を形成することで、例1〜105の太陽電池を作製した。
具体的には、まず、156mm四方(6インチ角)で厚みが180μmの市販の太陽電池用p型単結晶シリコン基板を用意し、その表面(受光面)をフッ酸および硝酸の混酸を用いてエッチングすることで、ダメージ層を除去するとともに凹凸のテクスチャ構造を形成した。次いで、上記テクスチャ構造面に対してリン含有溶液を接触させ、熱処理を施すことで、シリコン基板の受光面にシート抵抗が90±10Ω/□のn−Si層(n層)を形成した。次いで、このn−Si層上に、プラズマCVD(PECVD)法により厚みが約80nm程度の窒化ケイ素膜を製膜し、反射防止膜とした。
次いで、シリコン基板の裏面に、所定の銀電極形成用ペーストを用いて、後に裏面側外部接続用電極となるよう所定のパターンでスクリーン印刷し、乾燥させることにより、裏面電極パターンを形成した。また、裏面の全面にアルミニウム電極形成用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥することにより、アルミニウム膜を形成した。
その後、上記で用意した導電性組成物を用い、スクリーン印刷法によって、上記反射防止膜上に受光面電極(Ag電極)用の電極パターンを印刷し、120℃で乾燥させた。具体的には、図2に示したように、3本の相互に平行な直線状バスバー電極と、このバスバー電極に直交するようにして相互に平行な90本のフィンガー電極とからなる電極パターンをスクリーン印刷にて形成した。スクリーン印刷には、360メッシュ(線径16μm、乳剤厚15μm)のスクリーン製版を用いた。フィンガー電極パターンは、焼成後の寸法が、線幅約45μm、膜厚15μm〜25μmとなるよう印刷条件を調整した。また、バスバー電極は焼成後の線幅がおよそ1.5mmとなるように調整した。このように両面にそれぞれ電極パターンを印刷した基板を、大気雰囲気中、近赤外線高速焼成炉を用いて焼成温度700〜800℃で焼成することで、評価用の太陽電池を作製した。
[出力特性]
上記のように作製した太陽電池について、ソーラーシミュレータ(Beger社製、PSS10)を用いてI−V特性を測定し、JIS C8913:2005に規定される「結晶系太陽電池セル出力測定方法」に基づいて曲線因子(FF)を算出した。その結果を、表1および表2の「FF」の欄に併せて示した。なお、「FF」欄には、得られた曲線因子の値(%)をそのまま記載した。「出力特性」の欄には、FF値が、75%未満の場合を「×」(不良)、75%以上76%未満の場合を「○」(良)、76%以上の場合を「◎」(優良)として示した。
[接着強度]
また、上記のように作製した太陽電池について、受光面電極と基板との接着強度(はく離強度)を評価した。接着強度の測定は、図3に示したような強度測定装置300を用いて行った。具体的には、まず、評価用の太陽電池10の裏面11B側にエポキシ接着材42を塗布し、受光面11A側を上にして、ガラス基板41上に固着した。この評価用の太陽電池10の受光面電極12に、はく離用のタブ線35を片端からはんだ層30を介してはんだ付けした。そして評価用の太陽電池10をガラス基板41ごと強度測定装置300の固定台40に載置し、ガラス基板41部分を固定ねじ43および係止板44にて固定台40に固定した。次いで、図3に示すように、強度測定装置300を固定台40の底面が135°になるように傾斜させ、タブ線35に予め形成されている延長部35eを鉛直上方に引っ張ることにより(矢印45参照)、電極12/基板11界面の接着強度を測定した。接着強度の評価結果を表1および表2の「接着強度」欄に示した。なお、「接着強度」欄には、接着強度が、2N/mm未満の場合を「×」(不良)、2N/mm以上3N/mm未満の場合を「○」(良)、3N/mm以上の場合を「◎」(優良)として示した。
Figure 0006074483
Figure 0006074483
[評価]
表1および表2に示すように、導電性組成物中に、銀粉末に対してわずか約2質量%の割合で添加したガラスフリットの組成の違いのみにより、製造された太陽電池のFFと、形成された電極と基板との間の接着強度とに、大きな差異がもたらされることがわかった。
具体的には、本実施形態において、例1〜16は、主として鉛(PbOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。例17〜32は、主としてテルル(TeOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。例33〜46は、主としてビスマス(Biとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。例47〜57は、主としてナトリウム(NaOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。
例58〜69は、主として任意成分である亜鉛(ZnOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。例70〜80は、主として任意成分であるタングステン(WOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。例81〜86は、主として任意成分であるマグネシウム(MgOとして)およびカルシウム(CaOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。例87〜92は、主として任意成分である銀(AgOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。例93〜105は、主として任意成分であるリチウム(LiOとして)の含有量を変化させたガラスフリットを用いた例である。
例1〜16に示されるように、ガラスフリットがPbOを含まないと、十分なFF値が得られず、ガラス中のPbO量が増大するにつれてFF値が高くなることがわかった。これはテルルを主として含むガラスにみられる傾向であり、PbOはガラスの軟化点を下げるとともに、焼成時に反応防止膜および基板の浸食を促進して、電極と基板とのオーミックコンタクトを形成するのに寄与するためであると考えられる。例1〜5の比較から、ガラスフリット中にPbOは1mol%以上含まれることで、安定して高いFF値が得られることがわかる。
しかしながら、例15〜16にみられるように、ガラスフリット中のPbO量が増えるにつれて形成された電極と基板との接着強度が低下してしまうことがわかった。この現象は、接着強度特性に影響を与える基板/電極界面の形態によるものと考えられる。つまり、ガラスフリットがPbOを含むと、硬質のSiO成分を含まなくてもガラスフリットが基板を浸食して基板と電極との電気的接続が良好となる。しかしながら、PbOが過剰となると、基板がより均一に浸食されて浸食面が滑らかになり、結果として接着強度が低くなったものと考えられる。ここに開示されるガラス組成系においては、PbOの含有量は25mol%以下とするのが好ましいことがわかった。
ガラスフリットがテルルを含むことで、太陽電池の電気的特性が向上される。例17〜32に示されるように、ガラスフリットにおけるTeOの割合が増えるにつれFFは増大するものの、所定量を超えて過剰になるとFFは急に減少に転じることがわかった。例17〜32のガラスフリットはPbの含有量が25mol%以下に抑えられているため、PbOと同様にガラスの軟化点を低下させるTeOはおおよそ25mol%以上と比較的多く含むことで必須の3成分の合計を好適に増大できて好ましいことがわかる。その一方で、例31〜32に示されるように、TeOは基板の浸食を抑制する作用を示すことから、過剰な添加はFF値の急激な低下につながり得る。かかる観点から、TeOの割合の上限は約80mol%とするのが好ましいことがわかった。
例33〜46に示されるように、このガラス系では、ガラスフリットがBiを含まないと十分なFF値が得られないことがわかった。そしてガラスフリットにおけるBiの割合が増えるにつれFFは増大するものの、所定量を超えて過剰になるとFFは緩やかに減少に転じることがわかった。Biは少量であってもFFを高める効果があるが、これはBiに適度な基板浸食作用があることと、ガラスフリットが溶融した際に融液の粘性が増加するのを抑制する効果があることによると考えられる。また、Biが全く含まれない場合は、軟化溶融状態にあるガラスフリットの粘性が高くなり、ファイヤースルー性が安定しなくなったと考えられる。かかる観点から、Biの割合はおおよそ0.1mol%以上とすることが適切であると言える。一方で、Biが過剰になると、系全体に占めるBiの割合が多くなり、基板の浸食作用が抑制されてしまうものと考えられる。したがって、Biの上限は約20mol%とするのが適切であると言える。
例47〜57に示されるように、このガラス系では、ガラスフリットがNaOを含まないと十分なFF値が得られないことがわかった。ここに開示される技術において、ガラスフリット中のNaOは、PbO量が抑制されたガラスを安定化させてFFを高め得る。NaOは、例えば0.1mol%以上とすることが適切であると言える。なお、例えば、例47と例52との比較から判るように、NaOの機能は単純にLiOの添加により代替できないものであることがわかった。ガラスフリットにおけるNaOの割合が増えるにつれてガラスが安定されFFが増大するものの、所定量を超えて過剰になるとFFは緩やかに減少に転じることがわかった。このガラス系において、NaOの上限は約20mol%とするのが好ましいと言える。
例58〜69に示されるように、ガラスフリットにおいてZnOは必須の成分ではないが、ガラスフリットにおけるZnOの割合が増えるにつれFFは徐々に増大し、所定量を超えて過剰になるとFFは急に減少に転じることがわかった。ZnOは、テルル系ガラスにおいては網目形成元素として機能する。そのため、PbO量が抑制されたガラスフリットにおいては、ガラスの安定性を高めてガラス化範囲を広げ、焼成後のガラスフリットを結晶化させ難くする効果を有している。このようなZnOの含有量は、0.1mol%以上とすることが好ましいと言える。しかしながら、ZnOの過剰な添加はPbOおよびTeOの含有量を相対的に低下させ、電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。かかる観点から、ZnOの上限は約30mol%程度とするのが好適であると言える。
例70〜80に示されるように、ガラスフリットにおいてWOは必須の成分ではないが、ガラスフリットにおけるWOの割合が増えるにつれFFは徐々に増大し、所定量を超えて過剰になるとFFは減少に転じることがわかった。WOは、テルル系ガラスにおいては網目形成元素として機能する。そのため、PbO量が抑制されたガラスフリットにおいては、ガラスの安定性を高めてガラス化範囲を広げる効果を有しているとともに、その量が少なくなると接着性が乏しくなり得る。このようなWOの含有量は、0.1mol%以上とすることが好適であるといえる。しかしながら、WOの過剰な添加はPbOおよびTeOの含有量を相対的に低下させ、電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。かかる観点から、WOの上限は約30mol%とするのが好ましいと言える。
例81〜86に示されるように、ガラスフリットにおいてMgOおよびCaOは必須の成分ではないが、ガラスの安定性を高め、太陽電池の電気的特性を向上させるのに寄与している。しかしながら、MgOおよびCaOの過剰な添加は電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。したがって、ガラスフリットにおけるMgOおよびCaOは、合計で約10mol%以下とするのが好適であると言える。
例87〜92に示されるように、ガラスフリットにおいてAgOは必須の成分ではないが、ガラスフリットの融点を低下させ、特に銀粒子と基板との界面にガラスの濡れ広がりを促進するために好ましい。しかしながら、AgOの過剰な添加は電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。したがって、ガラスフリットにおけるAgOの上限は約10mol%とするのが適切であると言える。
例93〜105に示されるように、ガラスフリットにおいてLiOは必須の成分ではないが、ガラスフリットにおけるLiOの割合が増えるにつれFFは徐々に増大し、所定量を超えて過剰になるとFFは徐々に減少することがわかった。LiOは、アルカリ元素酸化物であることからガラスの安定性を高める効果を有しているが、LiOの場合はシリコン基板のn層に対するドーパントとなるという機能を有している。このようなLiOの含有量は、0.1mol%以上とすることが好ましいといえる。しかしながら、LiOの過剰な添加はPbOおよびTeOの含有量を相対的に低下させ、電気的特性の低下を招き得るために好ましくない。かかる観点から、LiOの上限は約35mol%とするのが適切であると言える。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
10 太陽電池(セル)
11 基板(シリコン基板)
11A 受光面
11B 裏面
12 受光面電極(バスバー電極)
13 受光面電極(フィンガー電極)
14 反射防止膜
16 n−Si層
18 p−Si層
20 アルミニウム電極
22 外部接続用電極
24 p

Claims (11)

  1. 太陽電池の電極を形成するための導電性組成物であって、
    導電性粉末と、
    ガラスフリットと、
    有機バインダと、
    分散媒と、
    を含み、
    前記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、
    PbOを1mol%以上25mol%以下
    TeO を25mol%以上、かつ、
    前記PbOとTeOとBiとを、合計で全体の50mol%以上90mol%以下の割合で含み、さらに、
    NaOを必須の成分として含む、導電性組成物。
  2. 前記NaOを、0.1mol%以上20mol%以下の割合で含む、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 前記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、
    ZnOおよびWOの少なくとも一方を合計で40mol%以下の割合で含む、請求項1または2に記載の導電性組成物。
  4. 前記ガラスフリットは、前記ZnOおよび前記WOの両方を含み、
    前記ZnOおよび前記WOがいずれも0.1mol%以上30mol%以下の割合である、請求項2に記載の導電性組成物。
  5. 前記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、
    MgOおよびCaOの少なくとも一方を合計で10mol%以下の割合で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  6. 前記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、
    AgOを10mol%以下の割合で含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  7. 前記ガラスフリットは、酸化物に換算したときの組成において、さらに、
    LiOを35mol%以下の割合で含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  8. 前記導電性粉末を構成する金属種が、ニッケル、白金、パラジウム、銀、銅およびアルミニウムからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の元素を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  9. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に形成された電極と、
    を備え、
    前記電極の少なくとも一部が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性組成物の焼成物により構成され、前記電極と前記半導体基板とは電気的に接続されている、太陽電池。
  10. 前記半導体基板上に絶縁膜を備え、
    前記焼成物は、前記絶縁膜に隣接している、請求項9に記載の太陽電池。
  11. 前記半導体基板上に絶縁膜を備え、
    前記焼成物は、前記絶縁膜上に供給された前記導電性組成物が焼成されて前記絶縁膜を貫通した状態で、前記半導体基板と電気的に接続されている、請求項9に記載の太陽電池。
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