JP6073899B2 - シリル化ポリマーにおける圧縮歪み特性の改善 - Google Patents

シリル化ポリマーにおける圧縮歪み特性の改善 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、概して、シリル化ポリマーを含む湿気硬化可能な組成物およびそれを生産する方法に関する。
ポリウレタン(PU)プレポリマーは、優れた性能および比較的低い価格に起因して、接着剤およびシーラントの適用において広く使用されている。しかしながら、最近の数十年間で、イソシアネート含有ポリウレタンプレポリマーは遊離イソシアネートの存在に起因して、増加しつつある環境条例に直面している。結果として、多くの適用について、現在慣習的なポリウレタンプレポリマーはイソシアネート不含有代替物(例えばシリル化ポリマー)により置き換えられている。
シリル化ポリマーまたは架橋可能なシランで終結させたポリマー(STP)は、コーティング材、接着剤、シーリング材、エラストマーおよび同種のもの(CASE適用)における原材料ポリマーとして建築的用途または工業的用途に広く使用される。シリル化ポリマーは典型的にはポリエーテルポリオールおよび反応性アルコキシシラン末端基を含む。最終用途の適用に依存して、硬化されたシリル化ポリマーの機械的特性要求性は有意に変動する。
シリル化ポリマーはポリウレタンプレポリマーを上回る多くの長所があるが、改善の機会は存在する。かかる1つの機会は、架橋されたシリル化ポリマーまたは硬化されたポリマーにおける圧縮歪みの減少に関する。圧縮歪みとは、制御された時間および温度の条件下で圧縮応力に曝露された後のポリマーの変形の尺度である。ポリウレタンプレポリマーから作製された架橋または硬化されたポリマーと比較して、シリル化ポリマーから作製された架橋または硬化されたポリマーは高い圧縮歪みを有し、それは製品が繰り返し荷重/動的荷重(ガスケットおよびシーリングリング等)下で使用されるのを妨げることが見出された。長期間の連続荷重または頻繁でない荷重/脱荷重サイクルに曝露される適用において使用されるシリル化ポリマーから作製されたパーツについては、製品耐久性は関心事である。
したがって、改善された圧縮歪み特性を示す、架橋または硬化されたシリル化ポリマーおよび架橋または硬化されたシリル化ポリマーを有する組成物についての必要性がある。
本発明の実施形態は、シリル化ポリマーを含む湿気硬化可能な組成物およびそれを生産する方法に関する。一実施形態において、硬化された製品が改善された圧縮歪み特性を有するシリル化製品を提供する、2コンポーネントの湿気硬化可能なシステムが提供される。2コンポーネントシステムは第1の配合および第2の配合を含む。第1の配合はシリル化ポリマー、水、およびフィラーを含み、第2の配合はシリル化ポリマー、少なくとも1つのブレンステッド酸を含む硬化触媒、および湿気掃去剤を含む。配合中の追加のコンポーネントは添加剤(レオロジー修飾剤、接着促進剤およびその他)も含むことができる。
本発明の上で列挙された特色を詳細に理解できるような様式で、上で簡潔に要約された本発明のより詳細な記載は実施形態を参照することができ、そのいくつかは添付の図面中で図示される。しかしながら、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを図示し、したがってその範囲を限定すると考慮すべきではなく、本発明について他の等しく効果的な実施形態を認めてもよいことに注目すべきである。
硬化にともなうシリル化ポリマーの粘度の増加を触媒ローディングの関数として図示するプロットである。
理解を容易にするために、可能な場合は、同一の参照符号を使用して図に共通の同一の要素を表記する。一実施形態において開示した要素は、具体的な列挙なしに他の実施形態で有益に利用できることが意図される。
本発明の実施形態は、一般的にシリル化ポリマーを含む湿気硬化可能な組成物およびそれを生産する方法に関する。組成物は、硬化前に効果的な量の未反応アルコキシシラン基を有するシリル化ポリマーの混合物である。湿気および少なくとも1つのブレンステッド酸触媒の存在下において、シリル化ポリマーを架橋または硬化して、改善した圧縮歪みを有するシリル化製品を提供する。
本明細書において記載される実施形態は、低い圧縮歪みを示す架橋または硬化されたシリル化ポリマーを生産することができる配合を提供する。前述の配合は、少なくとも1つのブレンステッド酸(それは定義によればプロトン(複数可)を提供できる任意の化合物である)を含む硬化触媒を含有することができる。かかる触媒は、例えば、スルホン酸(ドデシルベンジルスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNSA)等);カルボン酸(安息香酸、ギ酸等);およびリン酸を含むことができる。前述の配合は、2.0以下、好ましくは1.5以下、最も好ましくは1.0以下の硬化可能なシランに対する化学量論比を有する水も含有することができる。本明細書において実証されるように、最終硬化配合は、100%未満、およびいくつかの実施例において50%未満、およびいくつかの実施例において15%未満の、ASTM D395またはISO 815−1のいずれかにより決定される圧縮歪みを有することができる。圧縮歪みの実証された改善は、硬化または架橋されたシリル化ポリマーが繰り返し荷重および/または連続荷重が適用される適用において使用されることを可能にするだけでなく、製品耐久性も促進する。
本明細書において使用される時、「ブレンステッド酸」という用語は、水素陽イオン(プロトン、H)を損失または「供与」できる分子またはイオンである酸または酸の組み合わせを指す。
本明細書において使用される時、「圧縮歪み」という用語は、エラストマー材料が延長された圧縮変形後に弾性特性を維持する能力を決定するのに使用される試験の結果を指す。サンプルが設定期間の間に圧縮変形に曝露された後に、試験によりサンプルがどのくらい永久変形したかを測定する。圧縮歪みはASTM D395またはISO 815−1のいずれかの手順に従って決定される。
本明細書において使用される時、「ルイス酸」という用語は、第2の分子またはイオンからの2個の電子により共有結合を形成することによって、もう一つの分子またはイオンと組み合わせることができる任意の分子またはイオン(親電子性物質と呼ばれる)を指す。ルイス酸はしたがって電子受容体である。
本明細書において記載されるシリル化ポリマーを含む湿気硬化可能な組成物は典型的には2コンポーネントシステムとして配合され、そこでAサイドはシリル化ポリマー樹脂、フィラー、水、接着促進剤およびレオロジー修飾剤を含むことができ、Bサイドはシリル化ポリマー樹脂、フィラー、湿気掃去剤およびブレンステッド酸硬化触媒を含むことができる。ブレンステッド酸触媒を含有するBサイド混合物と組み合わせるまで、シリル化ポリマーおよび水を含有するAサイド混合物は安定したままである。
本明細書において記載されるシリル化ポリマーは、(i)イソシアナトシランとポリオールの反応から得られたシリル化ポリマー、(ii)イソシアナトシランとヒドロキシルで終結させたポリウレタンプレポリマーの反応から得られたシリル化ポリマー、(iii)イソシアネートと反応することができる水素活性有機官能性シランとイソシアナトで終結させたポリウレタンプレポリマーの反応から得られたシリル化ポリマー;(iv)シラン終結ポリマーを得るために水素−シリコン結合を有する化合物と不飽和炭素−炭素で終結させたポリオキシアルキレンポリマーの反応から得られたシリル化ポリマー;および(v)シランで終結させたポリマーを得るために水素−シリコン結合を有する化合物と不飽和炭素−炭素で終結させたポリアルキレンポリマーの反応から得られたシリル化ポリマーのうちの少なくとも1つであり得る。
本明細書において記載されるシリル化ポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカーボネート、ポリエステルカルボネート、ポリエーテルカルボネート、ポリカプロラクトンおよびコポリマーポリオールを含む、複数のヒドロキシル基を有する有機分子により調製することができる。
ヒドロシリル化:
本明細書において記載される特定の実施形態において、シリル化ポリマーは、各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーのヒドロシリル化により得ることができる。次いで、ヒドロシリル化ポリマーを少なくとも1つのイソシアネートへのヒドロシリル化ポリマーの曝露によってキャッピングして、イソシアネートでキャッピングされたヒドロシリル化ポリマーを含む組成物を形成することができる。次いでポリオールとイソシアネートでキャッピングされたヒドロシリル化ポリマーを反応させて、シリル化ポリマーを形成することができる。
少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは特に限定されず、それらが少なくとも1つの不飽和基(炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合等)および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を含む限り、任意のポリマーを含むことができる。
少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは、40〜20,000g/mol、より好ましくは200〜10,000g/mol、および最も好ましくは800〜2,000g/molの分子量を有することができる。
各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは約100〜約5,000の間の数平均分子量を有することができる。100〜5,000の個々の値およびサブ範囲はすべて本明細書において含まれ、本明細書において開示され;例えば、数平均分子量は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,250、1,500または1,750の下限から、独立して、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500または5,000の上限までであり得る。
一実施形態において、各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは、同時係属中のPCT特許出願番号PCT/US11/038065のタイトル「Methods for Producing Crosslinkable Silyl Group−Containing Polyoxyalkylene Polymers」(その全体は参照として本明細書に援用される)中で記載されるようなポリオキシアルキレンポリマーであり得る。
一実施形態において、各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは、触媒の存在下において重合開始剤として不飽和基および活性水素含有する化合物を使用する開環重合へエポキシ化合物をさらすことによって作製することができる。この重合のための触媒作用は、触媒(KOHおよびCsOH(三フッ化ホウ素)等)または複合シアン化物錯体(DMC)触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテートまたは第四級ホスファゼニウム化合物)により、陰イオン性かまたは陽イオン性であり得る。重合開始剤として使用できる活性水素含有化合物は、限定されないが、複合金属シアン化物錯体と共同して適用可能な化合物(例えばアルコール性ヒドロキシル、フェノール性ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含む化合物)のいずれかであり得る。
少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーには、アリルアルコール、メタリルアルコール、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル、そのエチレンオキシド付加物またはプロピレンオキシド付加物および各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を含有する類似の化合物、ヒドロキシルで終結させた炭化水素化合物(ヒドロキシルで終結させたポリブタジエン等)、ならびに同種のものが含まれ得る。重合開始剤として役立つかかる活性水素含有化合物は単独で使用できるかまたはその複数を組み合わせで使用することができる。
開環重合において使用できるモノエポキシドには、とりわけ、不飽和基を有していないモノエポキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、イソブテンオキシド、エピクロルヒドリンおよびスチレンオキシド等);および不飽和基含有モノエポキシド(アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、グリシジルメタクリラート、ブタジエンモノオキシドおよびシクロペンタジエンモノオキシド等)が含まれ得る。これらは単独で使用できるかまたはその複数を組み合わせで使用することができる。
一実施形態において、各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは、約600〜約1,000の間の数平均分子量、および約50〜約90の間のOH数を有するプロピレングリコールモノアリルエーテルであり得る。
各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは、ヒドロシリル化触媒の存在下において水素−シリコン結合および架橋可能なシリル基を有する化合物とポリマーを反応させることによってヒドロシリル化することができる。
各分子中に水素−シリコン結合および架橋可能なシリル基を有する化合物は、以下に示される一般式(I)によって表わすことができる。
H−(Si(R 2−b)(X)O)Si(R 3−a)X (I)
式中、RおよびRは同じかまたは異なり、各々は、1〜20の炭素原子を含有するアルキル基、6〜20の炭素原子を含有するアリール基、7〜20の炭素原子を含有するアラルキル基、またはR SiO−によって表わされるトリ有機シロキシ基を表わし、複数のR基またはR基がある場合それらは同じかまたは異なることができ;Rは1〜20の炭素原子を含有する1価の炭化水素基であり、3つのR基は互いに同じかまたは異なることができ;Xはヒドロキシル基または加水分解性基を表わし、2つ以上のXの基がある場合それらの2つまたは3つ以上は互いに同じかまたは異なることができ;aは0、1、2または3を表わし、bは0、1または2を表わし;−Si R 2−b)(X)O−基のm中のbの2つまたは3つ以上は互いに同じかまたは異なることができ;mは0〜19の整数を表わすが、ただし関係a+Σb≧1が満たされるべきである。
Xによって表わされる加水分解性基は、当該技術分野において公知の加水分解性基のいずれか(例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基)であり得る。中でも、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびイソプロポキシ)は、穏やかな加水分解能および取り扱いの容易性ゆえに好ましい。1〜3のかかる加水分解性基は1つのケイ素原子へ結合することができ、合計(a+Σb)は好ましくは1〜5である。2つ以上の加水分解性基がある場合それらの2つまたは3つ以上は互いに同じかまたは異なり得る。架橋可能なシリル基中のケイ素原子の数は約1〜30であり得る。
いくつかの実施形態において、上記の一般式(II)によって表わされる各分子中に水素−シリコン結合および架橋可能なシリル基を有する化合物は、以下の一般式(II)によって表わされる化合物を含むことができる。
H−Si(R 3−c)(X) (II)
式中、Rは、1〜20の炭素原子を含有するアルキル、6〜20の炭素原子を含有するアリール基、もしくは7〜20の炭素原子を含有するアラルキル基、またはR SiO−によって表わされるトリ有機シロキシ基を表わし、複数のR基がある場合それらは同じかまたは異なることができ;Rは1〜20の炭素原子を含有する1価の炭化水素基であり、3つのR基は互いに同じかまたは異なることができ;Xはヒドロキシル基または加水分解性基を表わし、2つ以上のXの基がある場合それらの2つまたは3つ以上は互いに同じかまたは異なることができ;cは1、2または3を表わす。
各分子中に水素−シリコン結合および架橋可能なシリル基を有する化合物の具体的な例として、言及されたハロシラン(トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、トリメチルシロキシメチルクロロシランおよび1,1,3,3−テトラメチル−1−ブロモジシロキサン等);アルコキシシラン(トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメトキシシランおよびトリメチルシロキシジエトキシシラン等);アシルオキシシラン(メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシランおよびトリメチルシロキシジアセトキシシラン等);ケトキシマトシラン(ビス(ジメチルケトキシマト)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシマト)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシマト)トリメチルシロキシシラン、ビス(メチルエチルケトキシマト)メチルシランおよびトリス(アセトキシマト)シラン等);アルケニルオキシシラン(メチルイソプロペニルオキシシラン等);官能性シラン(イソシアナトシラン等);および同種のものがあげられる。穏やかな反応性および取り扱いの容易性の観点から中でも好ましいものは、アルコキシシラン(メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシランおよびトリエトキシシラン等);およびハロシラン(トリクロロシランおよびメチルジクロロシラン等)である。
ヒドロシリル化の様式で不飽和基と反応させた後に、ハロシラン中のハロゲン原子(複数可)は、当該技術分野において公知の適切な方法によって、活性水素含有化合物(カルボン酸、オキシム、アミドまたはヒドロキシルアミン等)またはケトン由来アルカリ金属エノラートと反応させることによって他のいくつかの加水分解性基(複数可)に転換することができる。
ヒドロシリル化触媒はそれらの金属錯体のいずれかであり得、その金属はVIII族の遷移金属(プラチナ、ロジウム、コバルト、パラジウムおよびニッケル等)の中から選択される。ヒドロシリル化反応性の観点から、HPtCl・6HO、白金−ジビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Pt金属、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiClおよび同種のものが好ましく、HPtCl・6HO、白金−ビニルシロキサン錯体および白金−オレフィン錯体がより好ましく、白金−ビニルシロキサン錯体および白金−オレフィン錯体が特に好ましい。白金−ビニルシロキサン錯体とは、分子内ビニル含有シロキサン、ポリシロキサンまたは環状シロキサンのリガンドとしての白金原子への配位から生じた化合物をまとめて指す。リガンドの典型的な例として、言及された1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサンおよび同種のものがあげられる。白金−オレフィン錯体におけるオレフィンリガンドの具体的な例として、言及された1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエンおよび1,5−シクロオクタジエンがあげられる。特に上で言及されたリガンドの中で、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサンおよび1,9−デカジエンはヒドロシリル化反応性の観点から好ましい。本発明の実践において使用されるヒドロシリル化触媒は単独で使用することができるか、または複数の種の組み合わせを使用することができる。
使用されるヒドロシリル化触媒の量は特に限定されないが、一般的に各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレンポリマーの重量で100容あたり、触媒中の金属の重量に基づいた重量で0.00001〜1容、好ましくは重量で0.00005〜0.05容、より好ましくは重量で0.0001〜0.01容である。量が重量で0.00001容未満である場合、いくつかの実例において任意の十分な反応活性が得られず、重量で1容を超える量は経済的に不利であるかまたは特定の実例においてポリマーの汚れをもたらし得る。
上記の反応において、溶媒の使用は本質的に不必要である。しかしながら、一様に触媒および/もしくは基質を溶解するために、反応系温度を制御するために、ならびに/または基質および/もしくは触媒コンポーネントの添加を容易にするために、溶媒を使用することができる。これらの目的に適した溶媒には、炭化水素化合物(ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびドデシルベンゼン等);ハロゲン化炭化水素化合物(クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼンおよびオルトジクロロベンゼン等);およびとりわけエーテル(エーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等)が含まれるが、これらに限定されない。可塑剤としてポリオキシアルキレンポリマー(フタル酸エステルおよびポリエーテル等)に使用することができる可塑剤は、反応溶媒としても使用することができる。これらは単独で使用できるかまたはそれらの複数を組み合わせで使用することができる。
ヒドロシリル化反応温度は特に限定されないが、例えば0℃〜150℃の範囲内または20℃〜100℃の範囲内であり得る。0℃未満で、反応の率はいくつかの実例において低く、および150℃より上で、ヒドロキシル基、水素−シリコン結合および/または架橋可能なシリル基に関する副反応は特定の実例において進行し得る。一実施形態において、ヒドロシリル化反応温度は約60℃である。
本発明の実施形態において、各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシル基を有するポリマーは、少なくとも約70%(約70%〜約100%の間等)のヒドロシリル化効率によりヒドロシリル化される。約70〜100の個々の値およびサブ範囲はすべて本明細書において含まれ、本明細書において開示され;例えば、ヒドロシリル化の効率は、約70、75、80、90または92%の下限から、独立して、80、85、90、92、94、95、96、98、99または100%の上限までであり得る。これは80〜95%のヒドロシリル化効率によりヒドロシリル化されたポリマーを含み、85〜95%のヒドロシリル化効率によりキャッピングされたヒドロシリル化ポリマーをさらに含む。本明細書において使用される時、「ヒドロシリル化効率」=[100×((ヒドロシリル化されたポリオール上の不飽和基の数)/(ヒドロシリル化のために最初に利用可能だったポリオール上の不飽和基の総数))]であり、H−NMRを使用して測定することができる。
上で記載されたプロセスによって生産されるような各分子中に少なくとも1つの架橋可能なシリル基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有するヒドロシリル化ポリマー(以後「ヒドロシリル化ポリマー」と称する)は、水または大気の湿気と反応して架橋された硬化製品を生ずることができ、したがって、シーリング、接着剤、コーティング、および建築用途または工業的用途のための類似の材料または組成物のための原材料または原材料中間体として有用である。しかしながら、少なくとも1つの架橋可能なシリル基および少なくとも1つのヒドロキシルを有するこのポリマーの高いパーセンテージの残存するヒドロキシル基を、ポリイソシアネート化合物によりキャッピングすることができる。
キャッピング:
本発明の実施形態の実践において使用可能なキャッピング剤の中で、ポリイソシアネート化合物(すなわち各分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物)は、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族および芳香族のイソシアネートを含むが、これらに限定されない。
好適な芳香族イソシアネートの例には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−異性体、2,4’−異性体および2,2’−異性体、そのブレンドならびにポリマー性およびモノマー性のMDIのブレンド、トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)およびトルエン−2,6−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートおよびp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルエン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネートおよびジフェニルエーテルジイソシアネートおよび2,4,6−トリイソシアナトトルエンおよび2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが含まれる。
イソシアネートの混合物は、トルエンジイソシアネートの2,4−異性体および2,6−異性体の商業的に入手可能な混合物等を使用することができる。粗製ポリウレタン(トルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られた粗製トルエンジイソシアネート、または粗製メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られた粗製ジフェニルメタンジイソシアネート等)も、本発明の実施形態の実践において使用することができる。TDI/MDIブレンドも使用することができる。
脂肪族ポリウレタンの例には、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、上で言及された芳香族イソシアネートの飽和アナログおよびその混合物が含まれる。
イソシアネートの官能基は好ましくは1.0を超え、より好ましくは1.5を超え、および最も好ましくは2以上である。
好適なTDI製品は商標名VORANATE(登録商標)下でDow Chemical Companyから入手可能である。そのタイプの好適な商業的に入手可能な製品にはDow Chemical Companyから入手可能なVORANATE(登録商標)T−80も含まれる。好適なMDIの製品は、商標名PAPI(登録商標)、VORANATE(登録商標)およびISONATE(登録商標)下でDow Chemical Companyから入手可能である。
イソシアネートは少なくとも1.0を超え、好ましくは1.2を超え、およびより好ましくは1.8を超える官能基を有することができる。
キャッピング反応は、約100〜約250の間のイソシアネートインデックスで実行することができる。100〜250の個々の値およびサブ範囲はすべて本明細書において含まれ、本明細書において開示され;例えば、イソシアネートインデックスは、100、105、110、125、140、150、160、170、175、180、190、200、225の下限から、独立して、150、175、200、225または250の上限までであり得る。いくつかの実施形態において、インデックスは約160〜約200の間、約140〜約170の間、または約150〜約180の間であり得る。
本発明の実施形態の実践において、カップリング剤(各分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物等)とヒドロシリル化ポリマーを反応させる場合、触媒の使用は必ずしも必要だとは限らない。特定の実施形態において、触媒なしのキャッピング反応(例えば無触媒)を実行することは好ましいだろう。触媒なしのキャッピング反応の実行がキャッピングされた材料中の副産物(例えばアリファネート(aliphanate)およびイソシアヌレート)の減少を引き起こすことが見出された。しかしながら、反応の率の増加または転換の程度の改善のための触媒を使用することができる。ポリイソシアネート化合物を使用するカップリング反応の実行において使用される触媒は、例えばPolyurethanes:Chemistry and Technology、パートI、表30、チャプター4、SaundersおよびFrisch、Interscience Publishers、New York、1963年中で言及される触媒を含むが、これらに限定されない。
それらの高い活性に起因して、ポリイソシアネート化合物を使用するカップリング反応の達成において使用可能なウレタン形成反応触媒として好ましいのは、錫触媒(オクチル酸錫、ステアリン酸錫、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジオレイルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジラウレート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニルジスタノキサン、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトネート、ジブチル錫ビス(o−フェニルフェノラート)、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ビス(イソノニル3−メルカプトプロピオネート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテートおよびジオクチル錫ジバーサテート等)である。さらに、架橋可能なシリル基に対する活性が低い触媒を使用することが好ましく、したがって、例えば、硫黄原子含有錫触媒(ジブチル錫ビス(イソノニル3−メルカプトプロピオネート)およびジブチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)等)が特に好ましい。
カップリング
イソシアネートでキャッピングされたポリマーは、ポリオールとカップリングして最終的なシリル化ポリマーを形成することができる。本明細書において記載される本発明による使用のために好適なポリオールは周知であり、商業的規模で広く使用される。イソシアネートでキャッピングされたポリマーとのカップリングに好適なポリオールには、複数のヒドロキシル基を有する有機分子が含まれる。高分子量ポリオール、低分子量ポリオールおよびその組み合わせは、本明細書において記載される実施形態により使用することができる。
例示的な高分子量ポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセチル、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリチオエーテル、ポリオレフィンポリオール、およびその組み合わせが含むまれるが、これらに限定されない。例示的なポリエーテルポリオールには、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、またはその組み合わせに由来するポリオール(エチレンオキシドにより末端キャッピングされたポリプロピレンオキシドポリオール等)が含まれる。分子量にかかわらず任意のポリオールを使用することができる。ポリエーテルポリオールの分子量は、好ましくは1,000〜10,000g/molの範囲、より好ましくは2,000〜8,000g/molの範囲、および最も好ましくは2,000〜6,000g/molの範囲である。ポリオールの官能基は、好ましくは1.1〜8の範囲、より好ましくは1.5〜6の範囲、および最も好ましくは2〜4の範囲である。ポリオールは2つ以上のポリオールのブレンドでもあり得る。
例示的な低分子量ポリオールには、アルコール(グリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マンナイド、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、スクロース等)または/およびアルキロールアミン(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、ならびに同種のものおよびその混合物が含まれるが、これらに限定されない。
例示的なポリオールは、商品名SPECFLEX(商標)ポリオール、VORANOL(商標)ポリオール下でDow Chemical Companyから入手可能である。他の例示的なポリオールは商品名ACCLAIM(登録商標)ポリオール下でBayer MaterialScienceから入手可能である。かかるポリオールの商業的例は、SPECFLEX(登録商標)661ポリオール、VORANOL(商標)CP6001ポリオールおよびACCLAIM(登録商標)6300ポリオールである。
本明細書において記載される実施形態により使用することができる他の例示的なシリル化ポリオールには、KANEKA Texas Corporationから商業的に入手可能なMS(登録商標)S303Hポリマー、およびMomentive Performance Chemicalsから商業的に入手可能なSPUR1015LMプレポリマーが含まれる。
本明細書において記載された実施形態により使用されるブレンステッド酸触媒は、水素陽イオン(プロトン、H)を損失または「供与」できる分子またはイオンである任意の酸を含むことができる。特定の実施形態において、ブレンステッド酸触媒は2以下のpKaを有することができる。特定の実施形態において、ブレンステッド酸触媒は1以下のpKaを有することができる。例示的なブレンステッド酸触媒にはスルホン酸、カルボン酸およびリン酸が含まれる。例示的なスルホン酸にはドデシルベンジルスルホン酸およびジノニルナフタレンジスルホン酸が含まれる。例示的なカルボン酸には安息香酸およびギ酸が含まれる。例示的な酸触媒は商品名NACURE(登録商標)酸触媒下でKing Industries Specialty Chemicalsから入手可能である。かかる酸触媒の商業的例にはNACURE(登録商標)155酸触媒およびNACURE(登録商標)1051酸触媒が含まれる。
特定の実施形態において、湿気硬化可能な組成物は2.0以下に等しい水対硬化可能なシランの化学量論比を有する。特定の実施形態において、湿気硬化可能な組成物は1.5以下に等しい水対硬化可能なシランの化学量論比を有する。特定の実施形態において、湿気硬化可能な組成物は1.0以下に等しい水対硬化可能なシランの化学量論比を有する。
湿気硬化可能な組成物は、Aサイド、BサイドのいずれかまたはAサイドおよびBサイドの両方において1つまたは複数のオプションの添加剤をさらに含むことができる。オプションの添加剤には、フィラー、湿気掃去剤、レオロジー修飾剤、カップリング剤、色素、色素、可塑剤、増粘剤、希釈剤およびUV安定剤が含まれ得る。任意の好適なフィラーを使用することができる。好適なフィラーは、カオリン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、雲母、珪灰石、タルク、高融解熱可塑性物質、ガラス、フライアッシュ、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジンおよびその組み合わせを含む群から選択することができる。他の好適な価格を低下させレオロジーを制御するフィラーを使用することができる。
本明細書において記載される実施形態の目的および利点は、以下の実施例によってさらに例証される。これらの実施例において列挙された特定の材料およびその量に加えて、他の条件および詳細は、本明細書において記載される実施形態を限定するように使用されるべきでない。
実施例において使用される原材料の記載は以下のとおりである。
ACCLAIM(登録商標)6300ポリオール
Bayer MaterialScienceから入手可能な、約6,000の分子量および26.5〜29.5mg KOH/gの間のヒドロキシル数を備えたプロピレンオキシドに基づくトリオール。
アリルモノオール
商品名UCON(商標)Hydrolube APPG 800下でDow Chemical Companyから入手可能な、3.5重量%のアリルの含有量(0.998molの不飽和/molモノオール)、約800の数平均分子量、および70のOH数または2.1重量%OHを有するプロピレングリコールモノアリルエーテル。
CAB−O−SIL(登録商標)TS−720ヒュームドシリカ
Cabot Corporationから商業的に入手可能な、処理されたヒュームドシ リカレオロジー修飾剤。
DBTA
SIGMA−ALDRICH(登録商標)から入手可能な、ジブチル錫ビス(アセチルアセトネート)。
DDBSA
SIGMA−ALDRICH(登録商標)から商業的に入手可能な、ドデシルベンゼンスルホン酸。
DINP
J−esterから商業的に入手可能なフタル酸ジイソノニル。
DOW CORNING(登録商標)Z−6040シラン
DOW CORNING(登録商標)から商業的に入手可能な、ガラスまたは無機充填剤を含む熱硬化性樹脂のためのグリシドキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤。
ImerSeal(商標)75炭酸カルシウム
IMERYS Performance Materialsから商業的に入手可能な、操作された粒子サイズ分布および制御された湿気を備えた超微細大理石ベースの炭酸カルシウム。
Karstedtの触媒
Gelest,Inc.から入手可能な、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンおよび担体溶媒としてのキシレン(触媒中の白金ローディングは2重量%である)。
メチルジメトキシシラン
Gelest,Inc.から入手可能。
MS(登録商標)S303Hポリマー
KANEKA Texas Corporationから商業的に入手可能な、ポリエーテル骨格およびメトキシシリル鎖末端を含有するシリルで終結させたポリエーテル(STPE)。
DABCO(登録商標)T−12触媒
SIGMA−ALDRICH(登録商標)から商業的に入手可能な、ウレタン形成反応のために使用されるジブチル錫ジラウレート触媒。
NACURE(登録商標)155酸触媒
King Industries Specialty Chemicalsから入手可能な、イソブタノール中で55%濃度として供給されたジノニルナフタレンジスルホン酸に基づく疎水性のスルホン酸触媒。
NACURE(登録商標)1051酸触媒
King Industries Specialty Chemicalsから商業的に入手可能な、2−ブトキシエタノール中で50%活性で供給されたジノニルナフタレンスルホン酸に基づく疎水性のスルホン酸触媒。
SILQUEST(商標)A−171シラン
Momentive Performance Chemicalsから商業的に入手可能な、湿気硬化システムにおいて湿気掃去剤として使用される加水分解アルコキシシラン。
SPECFLEX(商標)NC 661
Dow Chemical Companyから入手可能な、共重合されたスチレンおよびアクリロニトリルを含有するグラフトされたポリエーテルトリオールポリオール。
SPUR1015LMプレポリマー
Momentive Performance Chemicalsから商業的に入手可能な、1パートの湿気硬化シーラントおよび接着剤の製造のためのシリル化ポリウレタン樹脂。
VORANATE(登録商標)T−80イソシアネート
Dow Chemical Companyから入手可能な、トルエンジイソシアネート(重量で80%の2,4−トルエンジイソシアネートおよび20%の2,6−トルエンジイソシアネート)組成物。
VORANOL(商標)CP6001ポリオール
Dow Chemical Companyから入手可能な、キャッピングされ、約6,000の分子量および26.0〜29.0mg KOH/gの間のヒドロキシル数を備えたトリオールポリエーテルポリオール。
SMP−1の合成:
ヒドロシリル化:
ヒドロシリル化反応は、機械式スターラーを装備した四つ首の250mLの前乾燥したガラス反応器の中へ、プロピレングリコールモノアリルエーテル(54.2lb、24.6kg;分子量800、2.18%のヒドロキシル含有量、3.08%のアリル含有量)をチャージすることによって実行された。Karstedtの触媒(およそ0.0054lb、0.0024kg)を次いで反応器に添加し、連続的な窒素パージ下で2分間混合した。メチルジメトキシシラン(6.65lb、3.02kg、分子量106)を最後に添加し、反応器全体が60℃まで1時間加熱される前に、40分間混合した。ヒドロシリル化製品(以後はヒドロシリル化ポリエーテルと称する)はHを使用して解析され、>95%のヒドロシリル化効率を示した。
プレポリマー合成(NCOキャッピング):
次いで過剰なVORANATE(商標)T−80(7.72lb、3.50kg)とヒドロシリル化ポリエーテル(46.74lb、21.2kg)を、およそ85℃および150rpmの混合速度で8時間反応させて(1.7対1、NCO対OH比)、イソシアネートで終結させたプレポリマー中間体を生産した。
カップリング:
上で得られたNCOでキャッピングされたプレポリマーをカップリング反応に曝露し、その反応では、DABCO(登録商標)T−12触媒の存在下において、およそ6,000の分子量およびおよそ3.0の官能基のポリプロピレンオキシドポリマー(ACCLAIM(登録商標)6300ポリオール)とNCOでキャッピングされたプレポリマーを70℃で2時間反応させて、実験的シリル化ポリマーSMP−1を生産する。
カップリング工程の間に、ACCLAIM(登録商標)6300ポリオールがVORANOL(商標)CP6001(可塑剤としても機能し得る鎖終結ポリエーテルを重量で60%まで含有するポリオール)により置き換えられること以外は、実験用シリル化ポリマーSMP−2はSMP−1と同様に配合された。カップリング工程の間に、ACCLAIM(登録商標)6300ポリオールがSPECFLEX(商標)661(可塑剤としても機能し得る鎖終結ポリエーテルを重量で20%まで含有するポリオール)により置き換えられること以外は、実験用シリル化ポリマーSMP−3はSMP−1と同様に配合された。
シリル化ポリマーの合成:
シリル化ポリマーは2コンポーネントシステムとして配合され、そこでAサイドはシリル化ポリマー樹脂、炭酸カルシウムフィラー、水、接着促進剤およびレオロジー修飾剤を含み、Bサイドはシリル化ポリマー樹脂、炭酸カルシウムフィラー、湿気掃去剤および硬化触媒を含む。
コンポーネントAおよびBを、2,300rpmで最小で60秒間または均一混合物が得られるまで高速ミキサー中で最初に個別に混合する。次いで2つのコンポーネントを組み合わせ、同じ混合速度で追加の30秒間混合する。混合物を円筒状のモードを使用してキャストして、29(D)×12.5(H)mmの寸法を備えたサンプルを得る。
試験方法:
圧縮歪みはASTM D395またはISO 815−1のいずれかに従って測定された。最低2つの試験試料を生成した。25%の圧縮荷重を摂氏50度または摂氏70度の温度で24時間の期間にわたって適用し維持した。圧縮荷重が摂氏23度の室温のサンプルから取り除かれた30分間後、サンプル高を測定した。
比較の実施例:
表1は、実験用シリル化ポリマー(SMPと称される)および商業的に入手可能な製品(MS(登録商標)ポリマーと称される)MS(登録商標)S303Hポリマーのベース配合を示す。2つの配合は、シリル化高分子製剤中で慣習的に使用される硬化剤として、ルイス酸(ジブチル錫ジアセチルアセトネート)を含有する。延長された圧縮荷重後にどちらの配合もその弾性を維持することができないことは明らかである。結果は、圧縮歪み特性の損失が配合中で使用されるシリル化ポリマー樹脂のタイプに無関係であることも示す。配合中に含有される水の量は、水対硬化可能なシリル基の1.0の化学量論比を超える。
実施例1:水の効果
SMP−高水分の実施例において示される高レベルの水分含有量での圧縮歪みの損失は顕著である。Aサイドにおける水分含有量を2pphから0.57pphにすることによって、実験用製品の圧縮歪みは、103%から75%の圧縮歪みの実質的な減少として表2で見られる。
実施例2:触媒の効果
使用される触媒のタイプは圧縮歪みに有意に影響を与えることが示される。錫触媒(表1)をドデシルベンゼンスルホン酸(ブレンステッド酸触媒)に置き換えることによって、圧縮歪みは50%減少した。表4中のように、スルホン酸であるNACURE(登録商標)が使用される場合、同じ現象が観察された。
さらに、圧縮歪み特性を改善する非錫触媒の使用は、本明細書において記載される実験用シリル化ポリマー樹脂だけでなく商業的に入手可能な樹脂でも達成可能である。ジブチル錫ジアセチルアセトネート(表1)および非錫触媒(表4)により配合されたMSの製品の間の圧縮歪み特性変化を比較して、圧縮歪み性能の改善するのにブレンステッド酸触媒の使用が重要であることは明らかである。
表5は、〜10%の圧縮歪みを有する、ブレンステッド酸触媒および減少させた水分含有量の両方を含む至適化された配合を示す。
実施例:可塑剤のあるシステム
通常は可塑剤を配合中で使用して、材料性能、特に弾性および硬度のバランスをとる。結果として、圧縮歪みの完全な損失は可塑剤を含有するシステムにおいて珍しくはない。表6中で示される実施例において、本明細書において記載される実施形態は、可塑剤のある配合の圧縮歪み特性を同様に保持および/または改善することができる。サンプルP−1は慣習的なフタル酸塩材料(DINP)を含有するが、サンプルP−2およびP−3において、SMP樹脂は、定義によれば同様に可塑剤である鎖終結ポリエーテルを含有する。SMP2は鎖終結ポリエーテルを含有するポリオール(VORANOL(商標)CP6001等を重量で40%まで)を使用して合成され、SMP−3は鎖終結ポリエーテルを含有するポリオール(SPECFLEX(商標)661等を重量で20%まで)を使用して合成される。
図1は、硬化によるシリル化ポリマーの粘度の増加を触媒ローディングの関数として図示するプロット100である。ライン110は0.25当量のNACURE(登録商標)1051酸触媒により硬化させたシリル化ポリマーの粘度を表わす。ライン120は0.15当量のNACURE(登録商標)1051酸触媒により硬化させたシリル化ポリマーの粘度を表わす。ライン130は0.10当量のNACURE(登録商標)1051酸触媒により硬化させたシリル化ポリマーの粘度を表わす。触媒の使用は、開放時間および不粘着時間にわたる制御を可能にする反応速度のチューニングも可能にする。図1は、製品粘度強化に対する触媒ローディングの影響を示す。
前述したものは本発明の実施形態に関するが、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態はその基本的な範囲から逸脱せずに考案することができる。

Claims (13)

  1. 第1の配合および第2の配合を含む2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物であって、
    前記第1の配合が、
    第1の配合のシリル化ポリマーと;
    水と;
    フィラーとを含み、
    前記第2の配合が、
    第2の配合のシリル化ポリマーと;
    少なくとも1つのブレンステッド酸を含む硬化触媒と;
    湿気掃去剤とを含み、
    前記第1の配合のシリル化ポリマーが、
    第1の配合のポリオールと、第1の配合のイソシアネートでキャッピングされたヒドロシリル化ポリマーとの反応生成物を含み、
    前記第1の配合のイソシアネートでキャッピングされたヒドロシリル化ポリマーが、第1の配合の少なくとも1つのイソシアネートと、第1の配合のヒドロシリル化ポリマーとの反応生成物を含み、
    前記第1の配合のヒドロシリル化ポリマーが、各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール基を有する第1の配合のポリマーと、各分子中に水素−シリコン結合および架橋可能なシリル基を有する第1の配合の化合物との反応生成物を含み、
    前記第2の配合のシリル化ポリマーが、
    第2の配合のポリオールと、第2の配合のイソシアネートでキャッピングされたヒドロシリル化ポリマーとの反応生成物を含み、
    前記第2の配合のイソシアネートでキャッピングされたヒドロシリル化ポリマーが、第2の配合の少なくとも1つのイソシアネートと、第2の配合のヒドロシリル化ポリマーとの反応生成物を含み、
    前記第2の配合のヒドロシリル化ポリマーが、各分子中に少なくとも1つの不飽和基および少なくとも1つのアルコール基を有する第2の配合のポリマーと、各分子中に水素−シリコン結合および架橋可能なシリル基を有する第2の配合の化合物との反応生成物を含む、
    前記2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物
  2. 前記硬化触媒が2以下のpKaを有する、請求項1に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物
  3. 前記硬化触媒が1以下のpKaを有する、請求項1に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物
  4. 前記第1の配合のシリル化ポリマーが、硬化可能なシランを含み、水対硬化可能なシランの化学量論比が2.0以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物
  5. 水対硬化可能なシランの化学量論比が1.5以下である、請求項4に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物。
  6. 水対硬化可能なシランの化学量論比が1.0以下である、請求項4に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物。
  7. 前記硬化触媒が、スルホン酸、カルボン酸およびリン酸からなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物
  8. 前記硬化触媒が、ドデシルベンジルスルホン酸、ジノニルナフタリンジスルホン酸、安息香酸およびギ酸からなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物
  9. 更に、フィラー、色素、可塑剤、増粘剤、カップリング剤、希釈剤、UV安定剤、またはその組み合わせを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物。
  10. 前記第1の配合および第2の配合の最終的な硬化製品が100%未満の圧縮歪みを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物
  11. 前記第1の配合および第2の配合の最終的な硬化製品が50%未満の圧縮歪みを有する、請求項10に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物。
  12. 前記第1の配合および第2の配合の最終的な硬化製品が15%未満の圧縮歪みを有する、請求項11に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物。
  13. 前記第1の配合のシリル化ポリマーが、前記第2の配合のシリル化ポリマーと同じである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の2コンポーネントの湿気硬化可能な組成物。
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