JP6071812B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、省資源、省エネルギーへの対応が強く求められている。
この要求に応えるために、例えば特許文献1には、少なくとも結着樹脂及び離型剤を溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であり、離型剤が特定の炭素数のα−オレフィンを特定量含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、溶融混練をオープンロール型混練機により行うトナーの製造方法が開示され、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減することができるトナーが得られることが示されている。
特許文献2には、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤、帯電制御剤を主成分とする母体着色粒子と、外添加剤からなるカラートナーにおいて、離型剤として、特定の物性値を有する、R’CH=CH2(式中、R’は炭素原子数1〜28のアルキルである)で表わされる1-オレフィンから誘導される単位からなる1-オレフィンポリマーワックスを用いることを特徴とする電子写真用カラートナーが、長期の撹拌においても、良好で安定した現像性を有し、かつ、定着装置に定着オイルを塗布することなく良好な定着性、光沢性、透明性、離型性を有すると開示されている。
また、特許文献3には、ポリエステル樹脂を含有する結着樹脂、着色剤及び正帯電性荷電制御剤を含有し、前記結着樹脂が特定量のチタン化合物を含有する正帯電性トナーが、初期の帯電量が高く、初期のカブリや現像ゴーストが抑制されることが開示されている。
特開2013−92626号公報 特開2000−352838号公報 特開2013−33176号公報
プリンターのエコロジー対策、低価格化等の観点から、電子写真プロセスにおいて、ローラー帯電やブラシ帯電による接触帯電工程を行い、かつクリーニング工程を設けないシステムが主流となっているが、このような帯電工程においては、ローラーやブラシ等の帯電部材が感光体に強く押し付けられるため、特に低温低湿下における帯電部材や感光体表面へのトナー汚染が生じやすく、感光体の表面電位の低下により画質が悪化しやすいという課題がある。
本発明は、感光体フィルミングの抑制に優れるトナーに関する。さらに、帯電安定性に優れ、カブリの発生やベタ追従性の低下が抑制されるトナーに関する。
本発明は、
結着樹脂、離型剤及び荷電制御剤を含有するトナーであって、
前記結着樹脂が、炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸から選ばれる1種又は2種以上のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合して得られるポリエステル(A)を含有し、
前記結着樹脂中のすべてのポリエステルの原料モノマーの総量における前記コハク酸誘導体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、
前記離型剤が、炭素数26以上28以下のα−オレフィンを95モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、
前記α−オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である
に関する。
本発明のトナーは、感光体フィルミングの抑制に優れるという効果を奏するものである。また、本発明のトナーは、さらに、帯電安定性に優れ、カブリの発生やベタ追従性の低下が抑制されるという優れた効果を奏するものである。
本発明のトナーは、炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸から選ばれる1種又は2種以上のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合して得られるポリエステル(A)を含有する結着樹脂と、炭素数26以上28以下のα−オレフィンを含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有するものであり、感光体フィルミングを抑制することができる。さらに、本発明のトナーは、帯電安定性に優れ、カブリの発生やベタ追従性の低下が抑制される。
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明において、離型剤に用いられるα−オレフィン系重合体は、極性基を持たず側鎖の結晶性が高いため、他の離型剤と比べて低融点ながら高硬度であるが、ポリエステルを含有する結着樹脂中では分散させにくい。これに対し、本発明においては、上記コハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分を含有するポリエステルを含有することで、当該ポリエステルがもつ炭化水素側鎖部分により、同様の側鎖部分をもつα−オレフィン系重合体がトナー粒子中へ分散しやすくなり、かつ、α−オレフィン系重合体の結晶性が保たれる。その結果、α−オレフィン系重合体がいわば結着樹脂間のつなぎ役として作用することで、トナーが強靭となり、感光体へのフィルミングが抑制されるものと考えられる。
また、α−オレフィン系重合体が、炭素数26以上28以下のα-オレフィンを95モル%以上含有するモノマーを重合して得られる極めて側鎖長の揃った構造であることから、溶融混練時にシェアが樹脂間に均等にかかるよう作用して粘度を均等に保ち、荷電制御剤がトナー中へ均一に分散する。その結果、トナー粒子間の帯電特性のばらつきが低減されることで、トナー粒子の帯電量が向上するとともに、カブリやベタ追従性に優れるトナーとなるものと考えられる。
[結着樹脂]
本発明に用いられる結着樹脂は、炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸から選ばれる1種又は2種以上のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合して得られるポリエステル(A)を含有する。
炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラプロペニルコハク酸、デセニルコハク酸、それらの酸無水物、それらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。なかでも、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点から、ドデセニルコハク酸及びテトラプロペニルコハク酸、及びそれらの酸無水物が好ましく、テトラプロペニルコハク酸無水物がより好ましい。
コハク酸誘導体におけるアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、20以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
従って、コハク酸誘導体としては、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、炭素数10以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数10以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸からなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上が好ましく、炭素数12以上16以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数12以上16以下のアルケニル基で置換されたコハク酸からなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上がより好ましい。
コハク酸誘導体の含有量は、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、ポリエステル(A)のカルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であり、また、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、ポリエステル(A)のカルボン酸成分中、好ましくは90モル%以下、より好ましくは88モル%以下、さらに好ましくは86モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下である。
なお、結着樹脂が複数のポリエステル(A)を含有する場合のコハク酸誘導体の含有量は、各ポリエステル(A)のカルボン酸成分中の炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸から選ばれる1種又は2種以上のコハク酸誘導体の含有量と各ポリエステル(A)の質量分率の積の和で求めることができる。
コハク酸誘導体以外の2価のカルボン酸化合物としては、例えば、好ましくは炭素数3以上30以下、より好ましくは炭素数3以上20以下、さらに好ましくは炭素数3以上10以下のジカルボン酸、及びそれらの酸無水物、炭素数1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、芳香族ジカルボン酸化合物及び脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、トナーの帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、芳香族ジカルボン酸化合物がより好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、これらの中ではテレフタル酸が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、好ましくは炭素数4以上30以下、より好ましくは炭素数4以上20以下、さらに好ましくは炭素数4以上10以下の3価以上の多価カルボン酸、及びそれらの酸無水物、炭素数1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられ、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその酸無水物が好ましく、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸の無水物(無水トリメリット酸)がより好ましい。
アルコール成分において、2価のアルコールとしては、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数2以上15以下のジオールや、式(I):
Figure 0006071812
(式中、R1O及びOR1はオキシアルキレン基であり、R1はエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1以上16以下が好ましく、1以上8以下がより好ましく、1.5以上4以下がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2以上20以下の2価のアルコールとして、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
アルコール成分としては、トナーの帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、式(I)で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
3価以上のアルコールとしては、例えば、好ましくは炭素数3以上20以下、より好ましくは炭素数3以上10以下の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。具体的には、ソルビトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、ポリエステルの軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル(A)におけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステルの酸価を低減する観点から、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.75以上であり、また、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.10以下である。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じてエステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下程度の温度で重縮合させて製造することができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルへキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
ポリエステル(A)の軟化点は、トナーの耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点、荷電制御剤の結着樹脂中での分散性を向上させ、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下、さらに好ましくは160℃以下、さらに好ましくは158℃以下である。
ポリエステル(A)の軟化点は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
ポリエステル(A)のガラス転移温度は、トナーの耐熱保存性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、さらに好ましくは38℃以上である。そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。なお、ガラス転移温度は、非晶質樹脂に特有の物性である。
ポリエステル(A)のガラス転移温度は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比等によって制御することができる。
ポリエステル(A)の酸価は、トナーの帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である。
ポリエステル(A)の酸価は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
ポリエステル(A)の水酸基価は、トナーの帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下である。
ポリエステル(A)の水酸基価は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
本発明のトナーは、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点、及び低温定着性と耐高温オフセット性を向上させる観点から、軟化点の異なる2種のポリエステル(A)を含有することが好ましい。
トナーの製造において、2種のポリエステル(A)の軟化点を一定の範囲に制御することにより、原料の溶融混練時に適切なシェアを付与することができ、離型剤及び荷電制御剤の分散を良好に保つことができ、結果として、トナーの感光体フィルミングを抑制でき、また、トナーの帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下が抑制される。
上記観点から、前記軟化点の異なる2種のポリエステル(A)のうち、軟化点が高い方のポリエステル(A)をポリエステル(A−H)、軟化点が低い方のポリエステル(A)をポリエステル(A−L)とすると、ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)の軟化点の差は、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上である。また、離型剤及び荷電制御剤の結着樹脂中での分散性を向上させ、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは65℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。
ポリエステル(A−H)の軟化点は、トナーの耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。また、トナーの低温定着性を向上させる観点、荷電制御剤の結着樹脂中での分散性を向上させ、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。
一方、ポリエステル(A−L)の軟化点は、トナーの耐高温オフセット性を向上させる観点、荷電制御剤の結着樹脂中での分散性を向上させ、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上である。また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは125℃以下である。
さらに、ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)は、ガラス転移温度が異なっていることが好ましい。ポリエステル(A−H)のガラス転移温度は、トナーの保存安定性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、55℃を超えることが好ましく、より好ましくは57℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
ポリエステル(A−L)のガラス転移温度は、ポリエステル(A−H)のガラス転移温度よりも低いことが好ましく、ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)のガラス転移温度の差は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは7℃以上、さらに好ましくは9℃以上である。また、正帯電性荷電制御剤の結着樹脂中での分散性を向上させ、トナーの帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下である。
ポリエステル(A−H)におけるコハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−H)のカルボン酸成分中、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であり、また、トナーの保存安定性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは35モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは27モル%以下である。
また、コハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−H)の原料モノマー総量中、すなわち、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは7モル%以上であり、また、トナーの保存安定性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは20モル%以下、より好ましくは17モル%以下、さらに好ましくは14モル%以下である。
ポリエステル(A−L)におけるコハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−L)のカルボン酸成分中、ポリエステル(A−L)のガラス転移温度を下げ、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは15モル%以上、より好ましくは25モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上であり、また、トナーの保存安定性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下である。
また、コハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−L)の原料モノマー総量中、すなわち、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、ポリエステル(A−L)のガラス転移温度を下げ、トナーの低温定着性及び耐低温オフセット性を向上させる観点、及びトナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、トナーの保存安定性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは45モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である。
結着樹脂におけるポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)の質量比(ポリエステル(A−H)/ポリエステル(A−L))は、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性を向上させる観点、感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは60/40〜40/60である。
ポリエステル(A)には、ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)以外のポリエステル樹脂が、本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよいが、ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)の総量は、ポリエステル樹脂中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である。
なお、本発明において、ポリエステル(A)は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
ポリエステル(A)の含有量は、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、結着樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、結着樹脂として、ポリエステル(A)のみを用いることがさらに好ましいが、トナーの感光体フィルミング、帯電安定性、カブリ、ベタ追従性等への効果が損なわれない範囲において、ポリエステル(A)以外の樹脂が含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、他のポリエステル、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
結着樹脂中のすべてのポリエステル(ポリエステル(A)及びポリエステル(A)以外のポリエステル)において、コハク酸誘導体の含有量は、各々のポリエステルの原料モノマーの総量、すなわち、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、トナーの感光体フィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下を抑制する観点から、10モル%以上であり、好ましくは12モル%以上、より好ましくは13モル%以上、さらに好ましくは14モル%以上であり、また、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、30モル%以下であり、好ましくは28モル%以下、より好ましくは25モル%以下である。
[離型剤]
本発明における離型剤は、炭素数26以上28以下のα−オレフィンを含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有する。
α−オレフィン系重合体の原料モノマー中の炭素数26以上28以下のα−オレフィンの含有量は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、95モル%以上であり、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
炭素数26以上28以下のα−オレフィンを95モル%以上含有するモノマーとしては、炭素数18以上のα−オレフィンの混合体、例えば、「リニアレン26+」(出光興産社製、主として炭素数26以上のα−オレフィンの混合体)を、蒸留及び/又は炭化水素溶媒に50℃以下、好ましくは15℃〜50℃の温度で溶解させた後、均一上澄み溶液を抽出することにより得られたモノマーを用いることができる。
上記炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は1種又は2種以上用いてもよい。
本発明におけるα−オレフィン系重合体の融点は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは64℃以上、さらに好ましくは68℃以上、さらに好ましくは72℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。α−オレフィン系重合体の融点は、後述する実施例に記載されている方法により求めることができる。
α−オレフィン系重合体の100℃における溶融粘度は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは120mPa・s以上、さらに好ましくは150mPa・s以上、さらに好ましくは180mPa・s以上、さらに好ましくは190mPa・s以上であり、また、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは250mPa・s以下、さらに好ましくは220mPa・s以下である。
α−オレフィン系重合体は、国際公開第2007/063885号に記載された方法により合成することができる。具体的には、α−オレフィンモノマーをトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒に溶解し、メタロセン触媒、水素を添加し、常圧〜10MPa下、0〜180℃の条件にて重合させることにより得られる。
トナー中のα−オレフィン系重合体の含有量は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点、及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上であり、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、また、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点、及び保存安定性を向上させる観点から、10質量部以下であり、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下である。
また、本発明に用いる離型剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、α−オレフィン系重合体以外の離型剤を含有していてもよい。
α−オレフィン系重合体以外の離型剤としては、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点、及び離型性を向上させる観点から、前記α−オレフィン系重合体の融点と異なる融点のワックスが好ましい。かかるワックスの融点とα−オレフィン系重合体の融点の差は、好ましくは50℃以上、より好ましくは65℃以上であり、また、好ましく90℃以下、より好ましくは75℃以下である。
前記ワックスの融点は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上であり、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナーの微粉を少なくする観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
前記ワックスとしては、融点が上述の範囲にあるものであればよく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、2種以上を混合して含有されていても良い。ワックスとしては、炭化水素系ワックスが好ましく、ポリプロピレンワックスがより好ましい。
離型剤中のα−オレフィン系重合体の含有量は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
また、前記ワックスを含有する場合には、当該ワックスの含有量は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
α−オレフィン系重合体と前記ワックスの質量比(α−オレフィン系重合体/ワックス)は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは60/40〜95/5、さらに好ましくは65/35〜90/10である。
α−オレフィン系重合体と前記ワックスの合計量は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは2.0質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
[荷電制御剤]
荷電制御剤としては、正電性荷電制御剤、負電性荷電制御剤のいずれも用いることができる。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」(以上、オリヱント化学工業社製)、「CHUO CCA-3」(中央合成社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業社製)、「TP-415」(保土谷化学工業社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PXVP435」(クラリアント社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成社製)等の高分子タイプではない正帯電性荷電制御剤や、ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業社製)等;スチレンアクリル系樹脂、例えば「FCA-201-PS」(藤倉化成社製)等の高分子タイプの正帯電性荷電制御剤(以後、正帯電性荷電制御樹脂と記す)が挙げられる。
前記正帯電性荷電制御剤のなかでは、トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、ニグロシン染料が好ましく、ニグロシン染料を4級アンモニウム塩化合物と併用することがより好ましい。また、トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、正帯電性荷電制御樹脂を併用することがさらに好ましい。
ニグロシン染料は、一般に金属触媒存在下でのニトロベンゼンとアニリンとの縮重合により得られる多数の成分からなる黒色の混合物であり、その構造は十分に明らかにされていないが、樹脂酸等による変成品も含めて、市販のニグロシン染料としては、前記の「ボントロン N-01」、「ボントロン N-04」及び「ボントロン N-07」以外に、「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロン N-09」、「ボントロン N-11」、「ボントロン N-21」(以上、オリヱント化学工業社製)、「ニグロシン」(池田化学社製)、「スピリットブラック No.850」、「スピリットブラック No.900」(以上、住友化学社製)等が挙げられる。
4級アンモニウム塩化合物としては、式(II):
Figure 0006071812
で表される4級アンモニウム塩化合物がより好ましい。なお、式(II)で表される4級アンモニウム塩化合物の市販品としては、例えば、前記「ボントロンP-51」がある。
ニグロシン染料と併用する4級アンモニウム塩化合物の含有量は、トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、ニグロシン染料100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。
正帯電性荷電制御樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、ポリアミン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中で、トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、スチレンアクリル樹脂が好ましい。
スチレンアクリル樹脂としては、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体が好ましく、下記式(III)で表される単量体、下記式(IV)で表される単量体及び下記式(V)で表される単量体の混合物を重合して得られる4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体がより好ましい。
Figure 0006071812
(式中、R2は水素原子又はメチル基である)
Figure 0006071812
(式中、R3は水素原子又はメチル基であり、R4は炭素数1以上6以下のアルキル基である)
Figure 0006071812
(式中、R5は水素原子又はメチル基であり、R6、R7及びR8は炭素数1以上4以下のアルキル基である)
式(III)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R2は水素原子が好ましい。
式(IV)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R3は水素原子であり、R4はブチル基が好ましい。
また、式(V)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R5はメチル基であり、R6、R7及びR8はエチル基が好ましい。
トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、式(III)で表される単量体の含有量は、単量体混合物中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは78質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、式(IV)で表される単量体の含有量は、単量体混合物中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、式(V)で表される単量体の含有量は、単量体混合物中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
単量体混合物の重合は、例えば、単量体混合物をアゾビスジメチルバレロニトリル等の重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、50℃以上100℃以下に加熱することにより、行うことができる。なお、重合法としては、溶液重合、懸濁重合又は塊状重合のいずれでもよいが、好ましくは溶液重合である。
4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体の軟化点は、トナーの帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、好ましくは115℃以上、より好ましくは117℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、また、好ましくは140℃以下、より好ましくは135℃以下である。
4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体としては、例えば、「FCA-201-PS」(藤倉化成社製)が挙げられる。
その他のスチレンアクリル樹脂として、4級アンモニウム塩基を含有しないスチレンアクリル系共重合体である「FCA-1001NS」(藤倉化成社製)等が挙げられる。また、ポリアミン樹脂として、「AFP-B」(オリエント化学社製)等が挙げられ、フェノール樹脂として、「FCA-2521NJ」、「FCA-2508N」(以上、藤倉化成社製)等が挙げられる。
負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「ボントロンS-28」(オリヱント化学工業社製)、「T-77」(保土谷化学工業社製)、「ボントロンS-34」(オリヱント化学工業社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土谷化学工業社製)等;銅フタロシアニン染料;サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業社製)等;ニトロイミダゾール誘導体;ベンジル酸ホウ素錯体、例えば、「LR-147」(日本カーリット社製)等;無金属系荷電調整剤、例えば「ボントロンF-21」、「ボントロンE-89」(以上、オリヱント化学工業社製)、「T-8」(保土ヶ谷化学工業社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
本発明のトナーは、α−オレフィン系重合体とポリエステル(A)を含有することで、溶融混練時にシェアが樹脂間に均等にかかるよう作用して粘度を均等に保ち、荷電制御剤がトナー中へ均一に分散する。ここで、ポリエステルは負帯電であることから、正帯電性荷電制御剤を使用した場合には、ポリエステルと静電相互作用することにより、溶融混練時によりシェアがかかることになり、α−オレフィン系重合体の分散性を向上させることになる。すなわち、α−オレフィン系重合体と正帯電性荷電制御剤の分散性向上効果が相乗的に作用することにより、結果として、トナーの感光体フィルミングを抑制でき、また、トナーの帯電安定性を向上させカブリの発生やベタ追従性の低下が抑制されるため、正帯電性荷電制御剤を含有する正帯電性トナーとして使用されることが好ましい。
正帯電性トナーとして用いられる場合の、高分子タイプではない正帯電性荷電制御剤の含有量は、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
高分子タイプではない正帯電性荷電制御剤と正帯電性荷電制御樹脂を併用する場合の、高分子タイプではない正帯電性荷電制御剤の含有量は、同様の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下である。また、正帯電性荷電制御樹脂の含有量は、同様の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは18質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。高分子タイプではない正帯電性荷電制御剤と正帯電性荷電制御樹脂を合わせた含有量は、同様の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
なお、正帯電性トナーにおいては、トナーの正帯電性を損なわない範囲で負帯電性荷電制御剤が併用されていてもよいが、負帯電性荷電制御剤は含まれていないことが好ましく、含まれていても、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以下がより好ましい。
本発明のトナーは、着色剤を適宜含有してもよい。
[着色剤]
本発明において、着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤としては、画像品質を向上させる観点から、フタロシアニンブルー15:3、フタロシアニンブルー15:4、及びカーボンブラックが好ましく、フタロシアニンブルー15:3及びカーボンブラックがより好ましく、カーボンブラックがさらに好ましい。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、トナーの印字濃度を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、また、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。
本発明では、トナー材料として、さらに、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜使用してもよい。
<トナーの製造方法>
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化凝集法、重合法等の従来より公知のいずれの方法によって得られたトナーであってもよいが、生産性の観点から、溶融混練法により得られる粉砕トナーが好ましい。従って、本発明のトナーの製造方法は、ポリエステル(A)を含む結着樹脂、離型剤、及び荷電制御剤を含むトナー成分を、溶融混練して溶融混練物を得る工程を含む方法が好ましく、具体的には、ポリエステル(A)を含む結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、必要に応じて用いられる着色剤等の添加剤を含むトナー成分をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、溶融混練し、冷却後、粉砕、分級を行ってトナーを製造することができる。
ポリエステル(A)を含む結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、必要に応じて用いられる着色剤等の添加剤を含むトナー成分の溶融混練は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の混練機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。溶融混練時の温度を低減し、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点、及び混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、結着樹脂に離型剤及び荷電制御剤等のトナー成分を効率よく高分散させることができる観点から、2軸混練機を用いることが好ましい。
2軸混練機とは、2本の混練軸をバレルが覆い隠す閉鎖型の混練機であり、軸の回転方向が同方向に回転できるタイプが好ましい。市販品としては、トナーの生産性を向上させる観点から高速での2軸の噛み合わせが良好な、池貝鉄工社製二軸押出機PCMシリーズが好ましい。
ポリエステル(A)を含む結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、必要に応じて用いられる着色剤等の添加剤を含むトナー成分は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
2軸混練機での溶融混練は、バレル設定温度(押出機内部壁面の温度)、2軸の軸回転の周速、及び原料供給速度を調整することで行う。バレル設定温度は、離型剤及び荷電制御剤等の結着樹脂中での分散性を向上させる観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。
2軸の軸回転の周速は、離型剤及び荷電制御剤等の結着樹脂中での分散性を向上させる観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、0.1m/sec以上、1m/sec以下が好ましい。
2軸混練機への原料供給速度は、使用する混練機の許容能力と、上記のバレル設定温度及び軸回転の周速に応じて適宜調整する。
得られた混練物は、粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕し、分級することが好ましい。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、樹脂混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミル等が挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
[トナー]
本発明のトナーは、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点、帯電安定性を向上させカブリの抑制やベタ追従性の低下を抑制する観点から、トナーの粉砕、分級工程後に得られたトナー粒子(トナー母粒子)に、さらに外添剤を付着させる外添処理が施されていてもよい。
トナー母粒子と外添剤との混合には、回転羽根等の攪拌具を有する攪拌装置を用いることが好ましく、より好適な攪拌装置として、ヘンシェルミキサーが挙げられる。
外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらの中では、無機粒子としてシリカ及び有機微粒子としてポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子が好ましく、トナーの帯電性、流動性、及び転写性を向上させる観点から、疎水化処理された疎水性シリカがより好ましい。
外添剤の個数平均粒径は、トナーの帯電性、流動性、及び転写性を向上させる観点から、好ましくは5nm以上であり、また、トナーの感光体へのフィルミングを抑制する観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは800nm以下、さらに好ましくは600nm以下である。
無機粒子の個数平均粒径は、トナーの帯電性、流動性、及び転写性を向上させる観点から、好ましくは5nm以上であり、また、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性、流動性、及び転写性を向上させる観点から、トナー母粒子100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
トナー母粒子と外添剤との混合には、回転羽根等の攪拌具を備えた混合機を用いることが好ましく、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速混合機が好ましく、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、画像品質を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、さらに好ましくは6μm以上、また、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下、さらに好ましくは9μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、トナー母粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のトナーを開示する。
<1> 結着樹脂、離型剤及び荷電制御剤を含有するトナーであって、
前記結着樹脂が、炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸から選ばれる1種又は2種以上のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合して得られるポリエステル(A)を含有し、
前記結着樹脂中のすべてのポリエステルの原料モノマーの総量における前記コハク酸誘導体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、
前記離型剤が、炭素数26以上28以下のα−オレフィンを95モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、
前記α−オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である、
トナー。
<2> 炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸は、ドデセニルコハク酸及びテトラプロペニルコハク酸、及びそれらの酸無水物が好ましく、テトラプロペニルコハク酸無水物がより好ましい、前記<1>記載のトナー。
<3> コハク酸誘導体におけるアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である、前記<1>又は<2>記載のトナー。
<4> コハク酸誘導体は、炭素数10以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数10以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸からなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上が好ましく、炭素数12以上16以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数12以上16以下のアルケニル基で置換されたコハク酸からなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上がより好ましい、前記<1>〜<3>いずれか記載のトナー。
<5> コハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A)のカルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは88モル%以下、さらに好ましくは86モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下である、前記<1>〜<4>いずれか記載のトナー。
<6> ポリエステル(A)のアルコール成分は、式(I)で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物を含有することが好ましく、該式(I)で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<1>〜<5>いずれか記載のトナー。
<7> ポリエステル(A)の軟化点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下、さらに好ましくは160℃以下、さらに好ましくは158℃以下である、前記<1>〜<6>いずれか記載のトナー。
<8> ポリエステル(A)のガラス転移温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、さらに好ましくは38℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である、前記<1>〜<7>いずれか記載のトナー。
<9> ポリエステル(A)の酸価は、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である、前記<1>〜<8>いずれか記載のトナー。
<10> ポリエステル(A)の水酸基価は、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下である、前記<1>〜<9>いずれか記載のトナー。
<11> ポリエステル(A)として、軟化点の異なる2種のポリエステル(A)を含有し、該軟化点の異なる2種のポリエステル(A)のうち、軟化点が高い方のポリエステル(A)をポリエステル(A−H)、軟化点が低い方のポリエステル(A)をポリエステル(A−L)とすると、ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)の軟化点の差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、好ましくは65℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である、前記<1>〜<10>いずれか記載のトナー。
<12> ポリエステル(A−H)の軟化点は、好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下、さらに好ましくは160℃以下である、前記<11>記載のトナー。
<13> ポリエステル(A−L)の軟化点は、好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは125℃以下である、前記<11>又は<12>記載のトナー。
<14> ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)は、ガラス転移温度が異なっており、ポリエステル(A−H)のガラス転移温度は、55℃を超えることが好ましく、より好ましくは57℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である、前記<11>〜<13>いずれか記載のトナー。
<15> ポリエステル(A−L)のガラス転移温度は、ポリエステル(A−H)のガラス転移温度よりも低いことが好ましく、ポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)のガラス転移温度の差は、好ましくは5℃以上、より好ましくは7℃以上、さらに好ましくは9℃以上であり、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下である、前記<14>記載のトナー。
<16> ポリエステル(A−H)におけるコハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−H)のカルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上であり、好ましくは35モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは27モル%以下である、前記<11>〜<15>いずれか記載のトナー。
<17> ポリエステル(A−H)におけるコハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−H)の原料モノマー総量中、すなわち、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは7モル%以上であり、好ましくは20モル%以下、より好ましくは17モル%以下、さらに好ましくは14モル%以下である、前記<11>〜<16>いずれか記載のトナー。
<18> ポリエステル(A−L)におけるコハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−L)のカルボン酸成分中、好ましくは15モル%以上、より好ましくは25モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上であり、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下である、前記<11>〜<17>いずれか記載のトナー。
<19> ポリエステル(A−L)におけるコハク酸誘導体の含有量は、ポリエステル(A−L)の原料モノマー総量中、すなわち、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは45モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である、前記<11>〜<18>いずれか記載のトナー。
<20> 結着樹脂におけるポリエステル(A−H)とポリエステル(A−L)の質量比(ポリエステル(A−H)/ポリエステル(A−L))は、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは60/40〜40/60である、前記<11>〜<19>いずれか記載のトナー。
<21> ポリエステル(A)の含有量は、結着樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、結着樹脂として、ポリエステル(A)のみを用いることがさらに好ましい、前記<1>〜<20>いずれか記載のトナー。
<22> 結着樹脂中のすべてのポリエステル(ポリエステル(A)及びポリエステル(A)以外のポリエステル)において、コハク酸誘導体の含有量は、各々のポリエステルの原料モノマーの総量、すなわち、カルボン酸成分とアルコール成分の総量中、好ましくは12モル%以上、より好ましくは13モル%以上、さらに好ましくは14モル%以上であり、好ましくは28モル%以下、より好ましくは25モル%以下である、前記<1>〜<21>いずれか記載のトナー。
<23> α−オレフィン系重合体の原料モノマー中の炭素数26以上28以下のα−オレフィンの含有量は、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<1>〜<22>いずれか記載のトナー。
<24> α−オレフィン系重合体の融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは64℃以上、さらに好ましくは68℃以上、さらに好ましくは72℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下である、前記<1>〜<23>いずれか記載のトナー。
<25> α−オレフィン系重合体の100℃における溶融粘度は、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは120mPa・s以上、さらに好ましくは150mPa・s以上、さらに好ましくは180mPa・s以上、さらに好ましくは190mPa・s以上であり、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは250mPa・s以下、さらに好ましくは220mPa・s以下である、前記<1>〜<24>いずれか記載のトナー。
<26> トナー中のα−オレフィン系重合体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下である、前記<1>〜<25>いずれか記載のトナー。
<27> さらに、α−オレフィン系重合体の融点と異なる融点のワックスを含有し、該ワックスの融点は、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上であり、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である、前記<1>〜<26>いずれか記載のトナー。
<28> α−オレフィン系重合体の融点と異なる融点のワックスは、炭化水素系ワックスが好ましく、ポリプロピレンワックスがより好ましい、前記<27>記載のトナー。
<29> 荷電制御剤が正帯電性荷電制御剤である、前記<1>〜<28>いずれか記載のトナー。
<30> 正帯電性荷電制御剤がニグロシン染料を含有する、前記<1>〜<29>いずれか記載のトナー。
<31> 正帯電性荷電制御剤がさらに、4級アンモニウム塩化合物を含有する、前記<30>記載のトナー。
<32> 正帯電性荷電制御剤がさらに、正帯電性荷電制御樹脂を含有する、前記<31>記載のトナー。
<33> ニグロシン染料と併用する4級アンモニウム塩化合物の含有量は、ニグロシン染料100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは25質量部以下である、前記<31>又は<32>記載のトナー。
<34> 正帯電性荷電制御剤を含有する正帯電性トナーである、前記<1>〜<33>いずれか記載のトナー。
<35> 高分子タイプではない正帯電性荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である、前記<29>〜<34>いずれか記載のトナー。
〔樹脂及びトナーの軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(島津製作所社製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂及びトナーのガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/分で昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/分で180℃まで昇温し測定する。そこで得られる融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔離型剤の溶融粘度〕
ブルックフィールド法によりB型粘度計(日本STジョンソン社製 LVT)を用いて測定を行い、測定試料を加熱し、離型剤の溶融温度以上の温度である100℃において測定する。
〔外添剤の個数平均粒径〕
走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの平均値を個数平均粒径とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂A〜D〕
表1に示す、テトラプロペニル無水コハク酸及び無水トリメリット酸以外の原料モノマー、及びエステル化触媒として2-エチルヘキサン酸錫(II)20gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃に昇温して5時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。次に、220℃に温度を下げて常圧に戻し、テトラプロペニルコハク酸及び無水トリメリット酸を投入し、240℃、常圧で1時間反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルを得た。得られたポリエステルの物性を表1に示す。
樹脂製造例2〔樹脂E〕
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー、及びエステル化触媒として2-エチルヘキサン酸錫(II)20gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃に昇温して5時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。次に、220℃に温度を下げて常圧に戻し、無水トリメリット酸を投入し、235℃、常圧で1時間反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルを得た。得られたポリエステルの物性を表1に示す。
Figure 0006071812
〔α-オレフィン重合体製造例1(離型剤1)〕
「リニアレン26+」(出光興産社製、主として炭素数26以上のα−オレフィンの混合体)を減圧下(0.1kPa)で蒸留し、留出温度200〜300℃の留分であるモノマーAを得た。この留分の組成比は、C(炭素数、以下同様)24:1モル%、C26:59モル%、C28:38モル%、C30:2モル%であった。
次に、窒素雰囲気下で、モノマーA及びトルエンを、乾燥窒素及び活性アルミナにて脱水処理した後、室温(25℃)にて、均一な上澄み溶液を抽出し、モノマーAのトルエン溶液(濃度23質量%)を得た。
加熱乾燥した内容積200mlのシュレンク瓶に、得られたモノマーAのトルエン溶液50mlを入れ、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド2μmol及びジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート8μmolを加え、85℃で水素を0.15MPa張り込み、60分間重合した。重合反応終了後、沈殿した反応物を室温(25℃)で分離し、トルエン及びアセトンにて洗浄した後、加熱・減圧下で、乾燥処理することにより、α−オレフィン共重合体(離型剤1)を得た。得られた離型剤1の融点は76℃、100℃における溶融粘度は200mPa・sであった。
〔α-オレフィン重合体製造例2(離型剤2)〕
「リニアレン26+」を減圧下(0.1kPa)で蒸留し、留出温度190〜250℃の留分であるモノマーBを得た。この留分の組成比は、C24:32モル%、C26:43モル%、C28:18モル%、C30:7モル%であった。
次に、窒素雰囲気下で、モノマーB及びトルエンを、乾燥窒素及び活性アルミナにて脱水処理した後、室温(25℃)にて、均一な上澄み溶液を抽出し、モノマーBのトルエン溶液(濃度23質量%)を得た。
加熱乾燥した内容積200mlのシュレンク瓶に、得られたモノマーBのトルエン溶液50mlを入れ、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド2μmol及びジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート8μmolを加え、室温下で180分間重合した。重合反応終了後、沈殿した反応物を室温(25℃)で分離し、トルエン及びアセトンにて洗浄した後、加熱・減圧下で、乾燥処理することにより、α−オレフィン共重合体(離型剤2)を得た。得られた離型剤2の融点は65℃、100℃における溶融粘度は180mPa・sであった。
〔α-オレフィン重合体製造例3(離型剤3)〕
「リニアレン2024」(出光興産社製、主として炭素数18〜26のα−オレフィンの混合体)を減圧下(0.27〜2.00kPa)で蒸留し、留出温度180〜220℃の留分であるモノマーCを得た。この留分の組成比は、C20:1モル%、C22:67モル%、C24:31モル%、C26:1モル%であった。
加熱乾燥した1lのオートクレーブに、得られたモノマーCを2.8kg、ヘプタン4lを入れ、共重合温度60℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム5mmol、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド20μmol及びジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート40μmolを加え、水素0.1MPaを導入し、8時間共重合した。共重合反応終了後、反応物を室温(25℃)でアセトンにて沈殿させ分離し、加熱・減圧下で、乾燥処理することにより、α−オレフィン共重合体(離型剤3)を得た。得られた離型剤3の融点は62℃、100℃における溶融粘度は130mPa・sであった。
Figure 0006071812
実施例1〜6及び比較例1〜3
表3に示す結着樹脂及び離型剤と、正帯電性荷電制御剤「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業社製)0.6質量部、正帯電性荷電制御剤「ボントロンN-04」(オリヱント化学工業社製)4.0質量部、正帯電性荷電制御樹脂「FCA-201-PS」(藤倉化成社製)7.0質量部、及びカーボンブラック「REGAL 330R」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製)6.0質量部をヘンシェルミキサーにて1分間撹拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
同方向回転二軸押出機PCM-30(池貝鉄工社製)を使用した。同方向回転二軸押出機の運転条件は、バレル設定温度100℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/hrであった。
得られた樹脂混練物を冷却し、IDS粉砕・分級機(日本ニューマチック社製)を用いて体積中位粒径(D50)が8.0μmになるように粉砕・分級を行い、トナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100質量部と、外添剤として疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、個数平均粒径:16nm)1.0質量部、及び疎水性シリカ「TG-820F」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製、個数平均粒径:8nm)0.35質量部をヘンシェルミキサーにて3分間混合して、トナーを得た。
試験例1〔帯電量〕
クリーナーレス現像システムを具備するプリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製)にトナーを充填し、A4サイズ(210mm×297mm)の全面ベタ画像1枚を印刷した後、q/mメーター「MODEL 210HS」(TRek社製)を用い、現像ロール上のトナーを10ヶ所吸引し、電荷とトナーの単位質量を測定し、帯電量(μC/g)を算出した。結果を表3に示す。
試験例2〔カブリ〕
クリーナーレス現像システムを具備するプリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製)にトナーを充填し、1ページ20秒間欠の条件で印字率1%の画像を5000枚印字した。1000枚毎に白ベタ画像を印字し、その途中で電源を切った。感光体表面のトナーをメンディングテープに付着させ、画像濃度測定器「SPM-50」(Gretag社製)にて着色濃度を測定し、トナーを付着させる前のテープの着色濃度との差を求め、1000枚目から5000枚目までの5回の測定値の平均を求めた。結果を表3に示す。値が小さいほど、カブリが抑制されていることを意味する。
試験例3〔ベタ追従性〕
クリーナーレス現像システムを具備するプリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製)にトナーを充填し、1ページ20秒間欠の条件で印字率1%の画像を印字した。1000枚印刷毎にベタ画像を印刷し、得られた画像を目視で観察し、画像の後端部(プリンタより最後に出てくる側)が欠けているようなら印刷を終了し、その時点より1000枚前の枚数をベタ追従性の指標とした。結果を表3に示す。値が大きいほど、ベタ追従性が維持されていることを意味する。
試験例4〔感光体フィルミング〕
試験例3と同様に10000枚印字した。その10000枚目の印字物の画像を目視で観察し印字状況を確認した。また、感光体ユニットをプリンターから取り出し、感光体フィルミングの有無を目視にて確認し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
A:印字物に問題はなく、感光体にフィルミングが発生していない。
B:印字物に問題はないが、感光体にはフィルミングの発生が認められる。
C:感光体にフィルミングが発生し、印字物にも欠け等の問題が認められる。
Figure 0006071812
以上の結果より、比較例1〜3と対比して、実施例1〜6のトナーは、感光体フィルミングの抑制に優れることがわかる。さらに、帯電安定性に優れ、カブリの発生やベタ追従性の低下が抑制されていることが分かる。
本発明のトナーは、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (6)

  1. 結着樹脂、離型剤及び荷電制御剤を含有するトナーであって、
    前記結着樹脂が、炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸から選ばれる1種又は2種以上のコハク酸誘導体を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合して得られるポリエステル(A)を含有し、
    前記結着樹脂中のすべてのポリエステルの原料モノマーの総量における前記コハク酸誘導体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、
    前記離型剤が、炭素数26以上28以下のα−オレフィンを95モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、
    前記α−オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である、
    トナー。
  2. 荷電制御剤が正帯電性荷電制御剤である、請求項1記載のトナー。
  3. 正帯電性荷電制御剤がニグロシン染料を含有する、請求項2記載のトナー。
  4. 正帯電性荷電制御剤が、さらに4級アンモニウム塩化合物を含有する、請求項3記載のトナー。
  5. ポリエステル(A)の含有量が、結着樹脂中、90質量%以上である、請求項1〜4いずれか記載のトナー。
  6. 離型剤が、さらに、融点が120℃以上160℃以下の炭化水素系ワックスを含有する、請求項1〜5いずれか記載のトナー。
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