JP6071579B2 - 回転軸の軸受構造 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸の軸受構造に関する。
減速機の中間軸をローラーベアリングで支持し、このローラーベアリングの軸方向に並ぶようにスラストワッシャーを設け、ローラーベアリングによって中間軸の径方向の荷重を受けつつ、スラストワッシャーによって中間軸のスラスト荷重を受けて、中間軸を支持する構造が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この減速機の内部は、潤滑油に潤滑される空間となっている。
特許第3709973号公報
上記のようなスラストワッシャーは、金属製のものが設けられることが多いが、金属製のスラストワッシャーを用いる場合、回転軸や回転軸を支持するケース等の周囲部品が金属製であることが多いため、スラストワッシャーが軸方向に振動した際に、周囲部品との接触音が大きくなる可能性がある。
そこで、樹脂製のスラストワッシャーを採用することが考えられるが、樹脂製のスラストワッシャーを潤滑油に潤滑される空間で用いる場合は、潤滑油中に混じる水分がスラストワッシャーに吸収され、スラストワッシャーが膨潤することがある。例えば、一般的な円形状の樹脂製のスラストワッシャーが膨潤する場合、円の外周形状の全体で径方向に均一に膨出する方向へ膨潤をしていくことになるが、膨出方向の自由度が大きいため、膨出量が大きくなりやすい。
膨潤によって生じる問題点としては、特に、上記のような径方向へのスラストワッシャーの膨潤によって、スラストワッシャーと周囲部品とのクリアランスが十分に確保できなくなって、これらが干渉してしまう可能性を生じさせてしまう点がある。そして、膨潤は、温度が高い環境下であると、より顕著になるため、回転軸が高速で回転する内燃機関や変速機(減速機)内で樹脂製のスラストワッシャーを採用する場合には、膨潤に対する配慮が一層必要となる。
本発明は上述の実情に鑑みてなされたものであり、樹脂製のスラストワッシャーを用いて回転軸のスラスト荷重を受ける構造であって、スラストワッシャーの膨潤を抑制することができる回転軸の軸受構造を提供することを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、潤滑油で潤滑される空間内に配置される回転軸(71)と、前記回転軸(71)の径方向支持を行う軸受(76,77)と、前記回転軸(71)上に設けられるスラストワッシャー(82C)と、を備え、前記回転軸(71)を、前記軸受(76,77)及び前記スラストワッシャー(82C)によって支持する回転軸の軸受構造において、前記回転軸(71)は、前記軸受(76,77)を介して前記空間を形成するケース(C1,C2)に支持され、前記スラストワッシャー(82C)は、前記回転軸(71)に挿通されて前記ケース(C1,C2)及び前記回転軸(71)に対して回転可能に取り付けられ、前記スラストワッシャー(82C)は、樹脂製で環状に形成され、円環状のベース円部(92A)と、前記ベース円部(92A)に連なって前記ベース円部(92A)よりも径方向外側に突出する先端が弧状の突出部(92B)形成され、前記スラストワッシャー(82C)の軸方向両側に、円環状の金属製スラストワッシャー(82A,82B)が設けられ、前記突出部(92B)は、前記円環状の金属製スラストワッシャー(82A,82B)の径方向外周縁部よりも径方向外側に突出することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転軸の軸受構造において、前記突出部(92B)、前記スラストワッシャー(82C)の周方向に沿って複数形成されることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転軸の軸受構造において、前記ケース(C1,C2)には、前記スラストワッシャー(82C)の近傍に、前記潤滑油を該スラストワッシャー(82C)側へ向けて案内するガイドリブ(90)が設けられることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項2に記載の回転軸の軸受構造において、前記突出部(92B)、周方向に沿って等間隔に複数形成されることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の回転軸の軸受構造において、前記スラストワッシャー(82C)には、前記突出部(92B)が形成され、前記ベース円部(92A)と前記突出部(92B)とは、角部を有するようにして屈曲し、連続することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、スラストワッシャーにおいて、円環状のベース円部と、ベース円部に連なってベース円部よりも径方向外側に突出する突出部を形成した場合は、スラストワッシャーが径方向に膨潤しようとする場合に、ベース円部と突出部とが連なる部位近傍において、ベース円部の膨出方向と突出部の膨出方向とが互いに干渉する部位が形成されることになる
したがって、スラストワッシャーが径方向に膨潤しようとする場合に、突出部によって形成される膨出方向が干渉する部位によって膨潤が阻害されることにより、スラストワッシャーの径方向への膨潤量を抑えることができる。また、軸方向支持のためのスラストワッシャーを、膨潤が抑制できる樹脂製のスラストワッシャーとすることができるので、周囲部品とのクリアランス管理が容易になり、スラストワッシャーの径方向の寸法設計も容易に行うことができる。加えて、スラストワッシャーは、樹脂製のスラストワッシャーなので金属製のものに比べて耐摩耗性が厳しくなりやすいが、ケース及び回転軸に対して回転可能に取り付けられるため、回転軸の回転方向において、スラストワッシャーには無理な摩擦がかからないようにすることができる。加えて、樹脂製のスラストワッシャーの軸方向両側に金属製スラストワッシャーが設けられるので、スラスト荷重を受ける力や摩擦を複数のスラストワッシャーで吸収できるので、樹脂製のスラストワッシャーの耐久性も向上させることができる。さらに、金属製スラストワッシャー間に樹脂製のスラストワッシャーが介在するので、金属製のスラストワッシャーと樹脂製のスラストワッシャーとが潤滑油で互いに貼り付きやすくなり、貼り付くことでスラストワッシャーの軸方向への振動も起きにくくなる。加えて、金属製スラストワッシャー間に樹脂製のスラストワッシャーを挟んで重ねた状態で回転軸にこれらワッシャーを取り付ける際に、樹脂製のスラストワッシャーの突出部が金属製スラストワッシャーよりも径方向外側に突出しているため、樹脂製のスラストワッシャーの組付け状態を目視確認、又は触って確認することが容易となり、樹脂製のスラストワッシャーの組付け忘れを防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、スラストワッシャーの膨潤の際の膨出方向を干渉させる干渉部位が複数形成されることで、効果的にスラストワッシャーの膨潤を抑制することができる。
請求項に記載の発明によれば、スラストワッシャー周りに潤滑油を導きやすくなり、摩擦を低減することができる。さらに、スラストワッシャーが、膨潤が抑制できる樹脂製のスラストワッシャーなので、ガイドリブに極力近づけて当該スラストワッシャーを配置できるようになり、効率よく潤滑を行うことができる。また、樹脂製のスラストワッシャーが金属製スラストワッシャーに挟まれる場合は、樹脂製のスラストワッシャーに潤滑油が供給されにくくなるが、ガイドリブによって効率よく潤滑油を樹脂製のスラストワッシャー周りに導きやすくなり、潤滑性が向上する。
請求項に記載の発明によれば、突出部等間隔に複数形成されるので、当該ワッシャーが回転する際の重量バランスを均等にすることができる上、膨出方向を干渉させる干渉部位が等間隔で複数形成されるので、異形に変形することなく効果的に膨潤を抑制することができる。
請求項に記載の発明によれば、ベース円部と突出部とが角部を有するようにして屈曲し、連続するため、膨潤の際の膨出方向が干渉しやすくなり、膨潤を効果的に抑制できる。
本発明の実施形態に係る構造が適用された自動二輪車の左側面図である。 上記自動二輪車が備えるスイングユニットの左側面図である。 図2のX−X線に沿う上記スイングユニットの展開断面図である。 図3の拡大図である。 上記スイングユニットに設けられる減速機の中間軸及びその周囲部品の斜視図である。 図4の要部拡大図である。 上記スイングユニットに設けられる減速機の中間軸に挿通されるスラストワッシャーを示した図である。 上記スイングユニットの要部の右側面図である。 上記スイングユニットの要部の斜視図である。 上記実施形態に係るスラストワッシャーの変形例を示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下の説明に用いる図面において、矢印FRは車両の前方を、矢印UPは車両の上方を、矢印LHは車両の左方をそれぞれ示している。
図1に示すスクータ型の自動二輪車1は、バーハンドル2によって操向される前輪3と、スイングユニット21によって駆動される後輪4とを備えている。バーハンドル2及び前輪3を含むステアリング系部品は、車体フレーム11の前端のヘッドパイプ12に操向可能に枢支されている。車体フレーム11の下部後側には、スイングユニット21の前部下側がリンク機構22を介して上下揺動可能に枢支されている。
車体フレーム11は複数種の鋼材を溶接等により一体に接合してなり、その前端部に位置するヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12の上部から斜め下後方へ延びる左右一対のメインフレーム13と、ヘッドパイプ12の下部から斜め下後方へ延びた後に車体前部下側で後方へ湾曲して延びる左右一対のダウンフレーム14と、メインフレーム13の後部から斜め上後方へ延びる左右一対のシートフレーム15と、シートフレーム15の下方でメインフレーム13の後部から斜め上後方へ延び、シートフレーム15の後部に接続する左右一対のリヤフレーム16と、メインフレーム13及びダウンフレーム14の後部に跨って設けられた左右一対の下部プレート17と、を備えている。また、メインフレーム13とダウンフレーム14との間には、これらを上下で連結するそれぞれ左右一対の前側補強メンバ18及び後側補強メンバ19が掛け渡されている。
バーハンドル2は、ステアリングシャフト5の上端にハンドルホルダを介して支持され、ステアリングシャフト5は、ヘッドパイプ12に挿通されて下端をヘッドパイプ12から露出させている。ステアリングシャフト5の下端には、車幅方向に延びるブリッジ部材6が設けられ、ブリッジ部材6の左右にそれぞれフロントフォーク7が設けられ、左右のフロントフォーク7の下部間に、前輪3が回転可能に支持されている。フロントフォーク7には、前輪3に沿って弧状に形成され、前輪3を上方から覆うフロントフェンダ8が設けられている。
車体前後方向中央におけるメインフレーム13及びシートフレーム15の上方には、これらメインフレーム13及びシートフレーム15に跨って前後方向に延びるライダー用のメインシート9Aが設けられ、メインシート9Aの後方にはパッセンジャー用のピリオンシート9Bが設けられている。メインシート9A及びピリオンシート9Bは、シートフレーム15によって支持されている。メインシート9Aの下方には収納ボックス10Aが設けられ、収納ボックス10Aの斜め下前方であって、左右のメインフレーム13及びダウンフレーム14に囲まれる空間には燃料タンク10Bが設けられている。
スイングユニット21は、エンジン23と後部左側の動力伝達機構24とを一体化したスイング式動力ユニットであり、その前部がリンク機構22を介して車体フレーム11の下部後側に上下揺動可能に支持され、かつその後端と左のシートフレーム15との間にリヤクッション25が掛け渡されている。
エンジン23は、後述するクランク軸38を左右方向(車幅方向)に沿わせた単気筒エンジンであり、クランク軸38を収容するクランクケース26と、クランクケース26の前端部から前方に向けて略水平(詳細にはやや前上がり)に突出するシリンダ27と、を備えている。クランクケース26の左側部には動力伝達機構24の伝動ケースCが一体的に設けられている。
スイングユニット21の後端部には、右方(車体中心側)に突出する後輪車軸4aが設けられている。そして、前記クランク軸38の回転動力が動力伝達機構24を介して後輪車軸4aに伝達されることで、該後輪車軸4aに支持された後輪4が駆動して自動二輪車1が走行する。詳細は後述するが、本実施形態の動力伝達機構24は、Vベルト式無段変速機T(以下、変速機Tと呼ぶ)を備える。
リンク機構22は、スイングユニット21の上下方向及び前後方向の揺動を許容して、路面から後輪4に入力された衝撃加重を吸収するものである。リンク機構22は、第1リンク部材30と、第2リンク部材31と、連結ロッド32と、ピボット軸33と、を含んで構成される。スイングユニット21は、ピボット軸33を中心に揺動可能とされている。
左右の下部プレート17の間において、第1リンク部材30は左右一対設けられ、下部プレート17から下方に垂れ下がるように上下方向に延在している。左右の第1リンク部材30の上端部はそれぞれ、左右の下部プレート17に回転可能に支持され、第1リンク部材30の下端部は、回転可能に第2リンク部材31の前端部に連結している。
第2リンク部材31は左右一対設けられ、左右の第1リンク部材30の下端部から後方に延びている。左右の第2リンク部材31の後端部には、ピボット軸33が架け渡され、第2リンク部材31の後端部は、ピボット軸33を介して、スイングユニット21に連結されている。また、第2リンク部材31の後端部は、連結ロッド32の下端部に回転可能に連結している。
そして、本実施形態では連結ロッド32は、車体左側に設けられる。連結ロッド32は、略上下方向に延びている。連結ロッド32の上端部は、左のリヤフレーム16の前部に設けられたサブブラケット34の上端部に回転可能に支持されている。また、連結ロッド32の略中央の部分は、サブブラケット34の下端部に前後方向に揺動可能に連結されている。
第1リンク部材30及び連結ロッド32は、互いが略平行になるように配置されており、連結ロッド32の下端部は、ピボット軸33を介して、スイングユニット21に連結されている。そのため、第1リンク部材30及び連結ロッド32は、スイングユニット21の前後方向の移動を許容する。また、第2リンク部材31は、前後方向に延びるとともに、第1リンク部材30を介して下部プレート17を中心に回動可能となっており、第2リンク部材31の後端部は、ピボット軸33を介して、スイングユニット21に連結されている。そのため、第2リンク部材31は、スイングユニット21の上下方向の移動を許容する。
以下、図2〜図4を主に参照し、スイングユニット21におけるエンジン23及び動力伝達機構24について詳述する。
図2及び図3に示すように、エンジン23は4サイクル単気筒エンジンである。シリンダ27は、クランクケース26の前端部に連結されるシリンダブロック27Aと、シリンダブロック27Aの前端部に連結されるシリンダヘッド27Bと、シリンダヘッド27Bの前端部を覆うヘッドカバー27Cと、を備えている。
図3に示すように、シリンダブロック27Aに形成されるシリンダボア36には、ピストン37が摺動可能に嵌合され、ピストン37の往復動が、コンロッド35を介してクランクケース26に左右方向を指向して回転可能に支持されたクランク軸38に伝達され、クランク軸38が回転される。
図2に示すように、シリンダヘッド27Bの上壁には吸気管39が接続され、吸気管39は後方に延びてスロットルボディ40に接続され、図1に示すように、スロットルボディ40はコネクティングチューブ41によってエアクリーナ42に接続されている。エアクリーナ42は、スイングユニット21の上部に支持されて、スイングユニット21と一体に揺動するようになっている。
図3に示すように、クランクケース26は左右分割構造となっており、左クランクケース26L及び右クランクケース26Rを備え、左クランクケース26Lには、左方からクランク軸38を覆う左カバー28Lが取り付けられ、右クランクケース26Rには、右方からクランク軸38を覆う右カバー28Rが取り付けられている。左クランクケース26Lは、車幅方向中央よりも左方に配置され、右クランクケース26Rは車幅方向中央よりも右方に配置され、本実施形態では、左クランクケース26L及び右クランクケース26Rが概略車幅方向中央に合わせ面を有している。なお、図2には、左カバー28Lを取り外した状態のスイングユニット21の左側面を示している。
クランク軸38の右端部には交流発電機43のロータが固定され、交流発電機43は右カバー28Rによって覆われている。また、クランク軸38の左端部には、動力伝達機構24の構成要素である変速機Tの駆動プーリ50が取り付けられている。
動力伝達機構24は、変速機Tと、遠心クラッチLと、減速機Rと、を伝動ケースCにより覆うことで構成されている。本実施形態において伝動ケースCは、左クランクケース26Lの後部から後方に延びるように左クランクケース26Lに一体に形成され、変速機T及び遠心クラッチLを収容する変速機収容ケースC1と、左カバー28Lにおいて変速機収容ケースC1に沿って延び、変速機収容ケースC1を左方から覆うようにこれに結合する伝動ケースカバー部28LEと、変速機収容ケースC1の後部車幅方向内側壁部に結合して、変速機収容ケースC1と協働して減速機Rの収容空間を形成する減速機収容ケースC2と、で構成されている。本実施形態では、変速機収容ケースC1は車幅方向中央よりも左方に配置され、減速機収容ケースC2も略全体が車幅方向中央よりも左方に配置されている。
ここで、上記後輪車軸4aは、減速機収容ケースC2の車幅方向内側壁部から右方に突出している。そして、右クランクケース26Rの後部には、二点鎖線で示すアーム部材44が後方に向けて延びるように固定され、アーム部材44の後端部に、後輪車軸4aの右端部が回転可能に支持される。そして、アーム部材44と、変速機収容ケースC1及び減速機収容ケースC2と、は車幅方向に離間して位置しており、後輪車軸4aに支持された後輪4は、アーム部材44と、変速機収容ケースC1及び減速機収容ケースC2との間に位置している。
変速機Tは、駆動プーリ50、従動プーリ51、及び両プーリ50,51に掛け渡されたVベルト52を備えている。駆動プーリ50は、左クランクケース12L内に配置されている。駆動プーリ50は、駆動軸としてのクランク軸38に対して軸方向及び回転方向の双方で移動不能に固定されて、Vベルト52が接触する円錐面を有する駆動側固定プーリ片50aと、この駆動側固定プーリ片50aの右方に位置して、クランク軸38に対して軸方向に移動可能で回転方向に移動不能に結合され、Vベルト52が接触する円錐面を有する駆動側可動プーリ片50bと、クランク軸38に対して軸方向及び回転方向の双方で移動不能に固定されたランププレート50cと、駆動側可動プーリ片50bとランププレート50cとの間に配置された複数のウエイトローラ50dと、を有している。
一方で、従動プーリ51は、変速機収容ケースC1の後部側に配置されて、左右方向を指向する従動軸53に取り付けられている。従動軸53は、変速機収容ケースC1を左右方向に貫通して配置されており、変速機収容ケースC1及び減速機収容ケースC2に跨ってこれらに収容されている。そして、従動軸53は、変速機収容ケースC1の車幅方向内側壁部にその左右方向中央よりもやや右側の部位を、左カバー28Lの伝動ケースカバー部28LEにその左端部を、減速機収容ケースC2にその右端部を、それぞれ玉軸受54,55,56を介して回転可能に支持されている。
図4を参照し、さらに詳しく従動プーリ51について説明すると、従動プーリ51は、従動軸53に対して軸方向に移動不能に固定されるが、従動軸53に対して回転可能に支持される従動側固定プーリ片57と、従動側固定プーリ片57に対して軸方向に移動可能で、後述するカム溝64の形成範囲で従動軸53に対して回転方向に若干移動可能な従動側可動プーリ片58と、従動側可動プーリ片58を従動側固定プーリ片57に向けてそのばね力により付勢する、円筒状の圧縮コイルスプリングからなるスプリング61と、を有している。
従動側固定プーリ片57は、従動軸53と同軸で、これの径方向外方に配置されたインナスリーブ57aと、このインナスリーブ57aの右端部に一体的に固定されてVベルト52が接触する円錐面を有する円錐プレート57bとからなる。インナスリーブ57aの右端部は、その内周に配置されたローラーベアリング60を介して従動軸53に回転可能に支持され、インナスリーブ57aの左端部は、その内周に配置された玉軸受59を介して従動軸53に回転可能に支持されている。
従動側可動プーリ片58は、従動軸53と同軸で、インナスリーブ57aの外周に従動軸53の軸方向及び回転方向に摺動可能に嵌合されたアウタスリーブ58aと、アウタスリーブ58aの右端部に一体的に固定されるとともに従動側固定プーリ片57の円錐プレート57bの左方に位置して、Vベルト52が接触する円錐面を有する円錐プレート58bとからなる。
そして、アウタスリーブ58aには、インナスリーブ57aに固定されたピン63と係合して、従動側固定プーリ片57に対して、従動側可動プーリ片58の軸方向の相対移動を可能とするとともに、従動側固定プーリ片57と従動側可動プーリ片58との回転速度差が所定値以上のときに回転方向及び軸方向の移動を可能とする傾斜部を有するカム溝64が設けられ、従動側固定プーリ片57と従動側可動プーリ片58とが、通常は一体的に回転できるようにされている。
なお、アウタスリーブ58aがインナスリーブ57aの外周を摺動するため、インナスリーブ57aの外周の摺動面には、耐摩耗性を向上させるための表面処理、例えばハードクロムメッキが施される。
変速機Tはこのように構成されているため、エンジン23の回転速度が小さいとき、駆動プーリ50では、駆動側可動プーリ片50bが駆動側固定プーリ片50aから離れていて(両者間の溝幅が大きくなっていて)、Vベルト52の巻き掛け半径は小さくなり、従動プーリ51では、スプリング61により付勢された従動側可動プーリ片58が従動側固定プーリ片57に接近していて(両者間の溝幅は小さくなっていて)、Vベルト52の巻き掛け半径は大きくなるため、大きな変速比でクランク軸38の動力が従動軸53に伝達される。
また、回転速度が増加すると、駆動プーリ50では、複数のウエイトローラ50dが、遠心力により径方向外方に移動して、駆動側可動プーリ片50bを駆動側固定プーリ片50aに近づくように押圧し、両者間の溝幅が小さくなるように変更されるので、Vベルト52の巻き掛け半径は大きくなり、従動プーリ51では、スプリング61のばね力に抗して従動側可動プーリ片58が従動側固定プーリ片57から離れて、両者間の溝幅が大きくなるように変更されるので、Vベルト52の巻掛け半径は小さくなるため、変速比が小さくなる。
次に、従動軸53において、従動プーリ51よりも左方であって、従動プーリ51と、左カバー28Lの伝動ケースカバー部28LEとの間に設けられる、発進クラッチとしての遠心クラッチLについて説明する。
遠心クラッチLは、従動軸53に固定されて従動軸53と一体的に回転する椀状のクラッチアウタ65と、クラッチアウタ65の内側にあってインナスリーブ57aの左端部に固定されて一体的に回転するドライブプレート66とを有する。そして、インナスリーブ57aが、所定の回転速度より大きな回転速度で回転すると、ドライブプレート66に揺動可能に支持された複数のクラッチシュー67が、クラッチスプリング68のばね力に抗して遠心力により径方向外方に揺動して、各クラッチシュー67の外周面に設けられた摩擦部材69がクラッチアウタ65の内周面に当接し、遠心クラッチLが接続状態となり、従動プーリ51の回転が従動軸53に伝達される。
そして、従動軸53は、減速機Rを介して後輪車軸4aに駆動力を伝達し、これら従動軸53と後輪車軸4aとの間に、減速機Rを構成する一連のギヤが設けられている。
減速機Rは、変速機収容ケースC1を貫通した従動軸53の右端部に一体に形成された第1小ギヤ部72と、両端が変速機収容ケースC1及び減速機収容ケースC2にそれぞれ左ローラーベアリング76及び右ローラーベアリング77を介して回転可能に支持された中間軸71に設けられた(外嵌された)大径の第1減速ギヤ73及び中間軸71に一体に形成された小径の第2小ギヤ部74と、両端が変速機収容ケースC1及び減速機ケースC2にそれぞれ玉軸受78,79を介して回転可能に支持された後輪車軸4aに設けられた大径の第2減速ギヤ75と、で構成されている。
この減速機Rでは、第1小ギヤ部72が第1減速ギヤ73と、また第2小ギヤ部74が第2減速ギヤ75とそれぞれ噛合することで、従動軸53の回転が2段に減速されて後輪車軸4aに伝達される。
なお、本実施形態では、第1小ギヤ部72が従動軸53に一体に形成され、第2小ギヤ部74が中間軸71に一体に形成されるが、第1小ギヤ部72に相当する別体ギヤを従動軸53に設けてもよいし、第2小ギヤ部74に相当する別体ギヤを中間軸71に設けてもよい。
動力伝達機構24は上述のように構成され、この動力伝達機構24では、クランク軸38の動力が、変速機Tの駆動プーリ50に入力され、ついで変速機Tでエンジン23の回転速度に応じた変速比で自動的に変速されて従動プーリ51に伝達され、さらに遠心クラッチLを介して従動軸53に伝達される。そして、従動軸53の回転が減速機Rを介して減速された後に後輪車軸4aに伝達される。
ここで、図4に示すように、本実施形態では、中間軸71の左端部を支持する左ローラーベアリング76が、変速機収容ケースC1において車幅方向内側を指向する壁部に形成された左保持孔80に嵌合され、中間軸71の右端部を支持する右ローラーベアリング77が、減速機収容ケースC2において車幅方向外側を指向する壁部に形成された右保持孔81に嵌合されている。さらに、左保持孔80の周縁部と第2小ギヤ部74との間には、中間軸71に挿通された左スラストワッシャー群82が挟み込まれ、右保持孔81の周縁部と第1減速ギヤ73との間には、中間軸71に挿通された右スラストワッシャー群83が挟み込まれている。左スラストワッシャー群82及び右スラストワッシャー群83は、中間軸71の軸方向の位置決めをするとともに、中間軸71にかかるスラスト荷重を支持している。
図5も参照し、中間軸71は、左端部に設定され、左ローラーベアリング76に嵌合される左ジャーナル部84と、左ジャーナル部84の右方に形成される上記第2小ギヤ部74と、第2小ギヤ部74の右方に形成され、第1減速ギヤ73が嵌合される減速ギヤ嵌合部85と、減速ギヤ嵌合部85の右方に設定され、右ローラーベアリング77に嵌合される右ジャーナル部86と、を一体に有している。左スラストワッシャー群82は、左ジャーナル部84に挿通され、第2小ギヤ部74の左側面に当接するとともに、左保持孔80の周縁部に当接する状態で保持されている。また、右スラストワッシャー群83は、右ジャーナル部86に挿通され、減速ギヤ嵌合部85及び第1減速ギヤ73の右側面に当接するとともに、右保持孔81の周縁部に当接する状態で保持されている。
なお、第2小ギヤ部74は左ジャーナル部84よりも大径に形成され、減速ギヤ嵌合部85は右ジャーナル部86よりも大径に形成されている。
左スラストワッシャー群82は、円環状の金属製スラストワッシャー82A,82Bの間に、樹脂製スラストワッシャー82Cを同軸に配置して構成され、右スラストワッシャー群83は、円環状の金属製スラストワッシャー83A,83Bの間に、樹脂製スラストワッシャー82Cを同軸に配置して構成されている。すなわち、スラストワッシャー82Cの軸方向両側に、円環状の金属製スラストワッシャー82A,82Bが設けられ、樹脂製スラストワッシャー83Cの軸方向両側に、円環状の金属製スラストワッシャー83A,83Bが設けられる。上記各スラストワッシャーは、中間軸71に遊びをもって挿通されており、中間軸71及び減速機収容ケースC2に対して回転可能に取り付けられる。
そして、図7には、樹脂製スラストワッシャー82Cが示されており、本実施形態では、樹脂製スラストワッシャー82Cが、樹脂製で環状に形成され、円環状のベース円部92Aと、ベース円部92Aに連なってベース円部92Aよりも径方向外側に突出する突出部92Bと、が形成されてなる。さらに詳しくは、樹脂製スラストワッシャー82Cは、ベース円部92Aと、ベース円部92Aの外周縁部に連なってベース円部92Aの外周縁部よりもベース円部92Aの径方向外側に突出する先端が弧状の突出部92Bと、が形成されてなる。なお、図示の例では、突出部92Bのベース円部92Aに対する突出量が、ベース円部92Aの直径に対して5%程度になっている。
上記突出部92Bは、樹脂製スラストワッシャー82Cの周方向に沿って複数形成され、本実施形態では、突出部92Bは、周方向に沿って等間隔に複数形成されている。また、ベース円部92Aと突出部92Bとは、連結部分が角部Eを有するようにして、軸方向視でそれぞれの外周縁部が屈曲し、連続するように形成されている。
また、図6に示すように、金属製スラストワッシャー82A,82Bの間に、樹脂製スラストワッシャー82Cを同軸に挟み込んだ状態では、突出部92Bは、金属製スラストワッシャー82A,82Bの径方向外周縁部よりも径方向外側に突出するように形成されている。なお、説明は省略するが、樹脂製スラストワッシャー83Cも、上述した樹脂製スラストワッシャー82Cと同様の構成となっている。
図8及び図9には、変速機収容ケースC1を車幅方向内側から見た右側面図及び斜視図が示されている。これら図に示すように、変速機収容ケースC1の車幅方向内側壁部には、左保持孔80の後方に、後輪車軸4aの左端部を支持する玉軸受78を保持するための軸受保持穴88が形成され(図4も参照のこと)、この軸受保持穴88の周縁部は筒状であり、車幅方向内側に向けて隆起するように形成されている。また、上述した左保持孔80の周縁部も筒状であり、車幅方向内側に向けて隆起するように形成されている。
そして、軸受保持穴88の周縁部と左保持孔80の周縁部とは、前後方向に延びるリブ89により連結されている。図6を参照し、リブ89の車幅方向における幅寸法は、軸受保持穴88の周縁部及び左保持孔80の周縁部よりも小さく形成されている。なお、図6においては、リブ89の範囲を二点鎖線で囲って示している。
ここで、本実施形態では、リブ89の車幅方向内側面に、車幅方向内側に突出し、潤滑油を樹脂製スラストワッシャー82C、及び金属製スラストワッシャー82A,82B側へ向けて案内するためのガイドリブ90が一体に形成されている。
図6に示すように、ガイドリブ90は、左スラストワッシャー群82が中間軸71に挿通されて、左保持孔80と第2小ギヤ部74との間に挟み込まれた状態で、左スラストワッシャー群82の近傍に位置するように形成されている。さらに詳しくは、図8に示すように、軸受保持穴88は、その中心が左保持孔80の中心よりも上方に位置するように形成されており、ガイドリブ90は、軸受保持穴88の中心と左保持孔80の中心とを結んだ直線L1に沿って前下がりに延びるように形成されている。
また、ガイドリブ90は、左スラストワッシャー群82との間に前後方向のわずかな隙間を設けるように形成されるように形成されている。また、ガイドリブ90の車幅方向内側面は、左スラストワッシャー群82の右側面(つまり、金属製スラストワッシャー82Bの右側面)と、車幅方向で略面一となるように形成されている。
本実施形態において減速機収容ケースC2内には、潤滑油が貯留されており、潤滑油は、従動軸53、中間軸71及び後輪車軸4aが回転することで、潤滑油が掻き回されて拡散される。ガイドリブ90は、拡散された潤滑油を左スラストワッシャー群82に向けて流したり、左スラストワッシャー群82の近傍で潤滑油を保持したりすることで、左スラストワッシャー群82に潤滑油を供給する。
なお、図8及び図9に示すように、変速機収容ケースC1の車幅方向内側壁部には、左保持孔80、軸受保持穴88、及び従動軸53を貫通させるための貫通孔を囲うようにして複数の締結孔95が形成されている。減速機収容ケースC2は、これら締結孔95に締結部材を挿通して変速機収容ケースC1に結合されることで、変速機収容ケースC1と協働して減速機Rを収容する空間を形成する。
以上に記載したように本実施形態では、変速機収容ケースC1と減速機収容ケースC2とで形成され、潤滑油で潤滑される空間内に配置される回転軸としての中間軸71を、中間軸71の径方向支持を行う左ローラーベアリング76,右ローラーベアリング77及び中間軸71上に設けられる樹脂製スラストワッシャー82Cによって支持し、樹脂製スラストワッシャー82Cは、樹脂製で環状に形成され、円環状のベース円部92Aと、ベース円部92Aに連なってベース円部92Aよりも径方向外側に突出する突出部92Bと、が形成されるものである。
このような構造では、樹脂製スラストワッシャー82Cが径方向に膨潤しようとする場合に、ベース円部92Aと突出部92Bとが連なる部位近傍において、図7に示すように、ベース円部92Aの膨出方向B1と突出部92Bの膨出方向B2とが互いに干渉する部位が形成されることになる。したがって、樹脂製スラストワッシャー82Cが径方向に膨潤しようとする場合に、突出部92Bによって形成される膨出方向が干渉する部位によって膨潤が阻害されることにより、径方向への膨潤量を抑えることができる。また、軸方向支持のためのスラストワッシャーを、膨潤が抑制できる樹脂製のスラストワッシャーとすることができるので、周囲部品とのクリアランス管理が容易になり、スラストワッシャーの径方向の寸法設計も容易に行うことができる。
また、本実施形態では、突出部92Bが、樹脂製スラストワッシャー82Cの周方向に沿って複数形成され、膨潤の際の膨出方向を干渉させる干渉部位が複数形成されることで、効果的に樹脂製スラストワッシャー82Cの膨潤を抑制することができる。また、本実施形態では、突出部92Bが周方向に沿って等間隔に複数形成されることで、当該ワッシャーが回転する際の重量バランスを均等にすることができる上、膨出方向を干渉させる干渉部位が等間隔で複数形成されるので、異形に変形することなく効果的に膨潤を抑制することができる。
また、本実施形態では、中間軸71が、左ローラーベアリング76,右ローラーベアリング77を介して上記潤滑油で潤滑される空間を形成する変速機収容ケースC1と減速機収容ケースC2に支持され、樹脂製スラストワッシャー82Cが、中間軸71に挿通されて変速機収容ケースC1と減速機収容ケースC2及び中間軸71に対して回転可能に取り付けられる。これによれば、樹脂製スラストワッシャー82Cは樹脂製のスラストワッシャーなので耐摩耗性が厳しくなりやすいが、変速機収容ケースC1と減速機収容ケースC2及び中間軸71に対して回転可能に取り付けられるため、中間軸71の回転方向において、樹脂製スラストワッシャー82Cには無理な摩擦がかからないようにすることができる。
また、本実施形態では、樹脂製スラストワッシャー82Cの軸方向両側に、円環状の金属製スラストワッシャー82A,82Bが設けられている。これにより、スラスト荷重を受ける際や摩擦に対しての耐久性を向上させることができる。さらに、金属製スラストワッシャー82A,82B間に樹脂製スラストワッシャー82Cが介在するので、金属製スラストワッシャー82A,82Bと樹脂製スラストワッシャー82Cとが潤滑油で互いに貼り付きやすくなり、貼り付くことで、これらスラストワッシャーの軸方向への振動も起きにくくなる。
また、本実施形態では、突出部92Bが、金属製スラストワッシャー82A,82Bの径方向外周縁部よりも径方向外側に突出する。これにより、金属製スラストワッシャー82A,82B間に樹脂製スラストワッシャー82Cを挟んで重ねた状態で中間軸71にこれらワッシャーを取り付ける際に、樹脂製スラストワッシャー82Cの突出部92Bが金属製スラストワッシャー82A,82Bよりも径方向外側に突出しているため、樹脂製スラストワッシャー82Cの組付け状態を目視確認、又は触って確認することが容易となり、樹脂製スラストワッシャー82Cの組付け忘れを防止することができる。
また、本実施形態では、変速機収容ケースC1及び減速機収容ケースC2のうちの、変速機収容ケースC1には、樹脂製スラストワッシャー82C(左スラストワッシャー群82)の近傍に、潤滑油を当該スラストワッシャー側へ向けて案内するガイドリブ90が設けられる。
これによれば、樹脂製スラストワッシャー82C(金属製スラストワッシャー82A,82Bにも)周りに潤滑油を導きやすくなり、摩擦を低減することができる。さらに、樹脂製スラストワッシャー82Cが、膨潤が抑制できる樹脂製のスラストワッシャーなので、ガイドリブ90に極力近づけて当該スラストワッシャーを配置できるようになり、効率よく潤滑を行うことができる。また、樹脂製スラストワッシャー82Cが金属製スラストワッシャー82A,82Bに挟まれる場合は、樹脂製スラストワッシャー82Cに潤滑油が供給されにくくなるが、ガイドリブ90によって効率よく潤滑油を樹脂製スラストワッシャー82C等の周りに導きやすくなり、潤滑性が向上する。
また、本実施形態では、樹脂製スラストワッシャー82Cにおいて、ベース円部92Aと突出部92Bとが、角部Eを有するようにして屈曲し、連続するため、膨潤の際の膨出方向が干渉しやすくなり、膨潤を効果的に抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
図10(A)〜(C)には、上記実施形態の樹脂製スラストワッシャー82Cの変形例が示されている。図10(A)に示す樹脂製スラストワッシャー101は、円環状のベース円部101Aと、ベース円部101Aに連なってベース円部101Aよりも径方向内側に凹出する凹部101Bと、が形成されてなる。さらに詳しくは、樹脂製スラストワッシャー101は、ベース円部101Aと、ベース円部101Aの外周縁部に連なってベース円部101Aの外周縁部よりもベース円部101Aの径方向内側に凹出する弧状の凹部101Bと、が形成されてなる。
図10(B)に示す樹脂製スラストワッシャー102は、円環状のベース円部102Aと、ベース円部102Aに連なってベース円部102Aよりも径方向内側に凹出する凹部102Bと、が形成されてなる。さらに詳しくは、樹脂製スラストワッシャー102は、ベース円部102Aと、ベース円部102Aの外周縁部に連なってベース円部102Aの外周縁部よりもベース円部102Aの径方向内側に凹出する先端が角部となる凹部102Bと、が形成されてなる。
図10(C)に示す樹脂製スラストワッシャー103は、円環状のベース円部103Aと、ベース円部103Aに連なってベース円部103Aよりも径方向外側に突出する突出部103Bと、が形成されてなる。さらに詳しくは、樹脂製スラストワッシャー103は、ベース円部103Aと、ベース円部103Aの外周縁部に連なってベース円部103Aの外周縁部よりもベース円部103Aの径方向外側に突出する先端が角部となる突出部103Bと、が形成されてなる。
上記図10(A)〜(C)に示すスラストワッシャーを第1の実施形態と同様に用いた場合も、好適に膨潤を抑制したりすることができる。
また、上記実施形態では、中間軸71の左右端部にそれぞれ、3つのスラストワッシャーを挿通させたものを説明したが、中間軸71の左右端部にそれぞれ、樹脂製スラストワッシャー82C,83Cのみを挿通させてもよい。また、上記実施形態では、樹脂製スラストワッシャー82C,83Cの軸方向両側に、金属製スラストワッシャーを配置した例を説明したが、樹脂製スラストワッシャー82C,83Cの軸方向片側に、金属製スラストワッシャーを配置してもよい。
また、上記実施形態では、中間軸71を左ローラーベアリング76及び右ローラーベアリング77によって支持したものを説明したが、左ローラーベアリング76及び右ローラーベアリング77を、ラジアル玉軸受、すべり支承部、ラジアル荷重及び一方向のスラスト荷重の双方を支持可能な所謂アンギュラ玉軸受等としてもよい。ただし、中間軸71を左ローラーベアリング77及び右ローラーベアリング77によって支持した場合には、中間軸71の径方向の寸法を抑制できるため、中間軸71周りを小型化できる。
また、上記実施形態は、回転軸を中間軸71としたものを説明したが、従動軸53や後輪車軸4aを支持する場合に、本発明にかかる樹脂製のスラストワッシャーを用いてもよい。また、潤滑油で潤滑されるクランクケース内の空間に軸を支持する必要がある場合に、当該軸を支持するために、本発明にかかる樹脂製のスラストワッシャーを用いてもよい。
また、上記実施形態では、自動二輪車における内燃機関に本発明を適用したものであるが、本発明は、各種車両における内燃機関の潤滑油で潤滑される空間で回転軸を支持する際に用いて好適であり、また、電動車両における潤滑油で潤滑される空間で回転軸を支持する際にも用いて好適である。また、本発明は、船外機やスノーモービル等における潤滑油で潤滑される空間で回転軸を支持する際にも用いて好適である。また、上記実施形態で説明した樹脂製スラストワッシャー82Cは、ポリアミド樹脂等のエンジニアリングプラスチックで形成することが好適であるが、その他の合成樹脂から形成してもよく、その材質は特に限定されるものではない。
71 中間軸(回転軸)
76 左ローラーベアリング(軸受)
77 右ローラーベアリング(軸受)
82A,82B 金属製スラストワッシャー
82C 樹脂製スラストワッシャー(スラストワッシャー)
90 ガイドリブ
92A ベース円部
92B 突出部
C1 変速機収容ケース(ケース)
C2 減速機収容ケース(ケース)

Claims (5)

  1. 潤滑油で潤滑される空間内に配置される回転軸(71)と、
    前記回転軸(71)の径方向支持を行う軸受(76,77)と、
    前記回転軸(71)上に設けられるスラストワッシャー(82C)と、を備え、
    前記回転軸(71)を、前記軸受(76,77)及び前記スラストワッシャー(82C)によって支持する回転軸の軸受構造において、
    前記回転軸(71)は、前記軸受(76,77)を介して前記空間を形成するケース(C1,C2)に支持され、
    前記スラストワッシャー(82C)は、前記回転軸(71)に挿通されて前記ケース(C1,C2)及び前記回転軸(71)に対して回転可能に取り付けられ、
    前記スラストワッシャー(82C)は、
    樹脂製で環状に形成され、
    円環状のベース円部(92A)と、前記ベース円部(92A)に連なって前記ベース円部(92A)よりも径方向外側に突出する先端が弧状の突出部(92B)形成され
    前記スラストワッシャー(82C)の軸方向両側に、円環状の金属製スラストワッシャー(82A,82B)が設けられ、
    前記突出部(92B)は、前記円環状の金属製スラストワッシャー(82A,82B)の径方向外周縁部よりも径方向外側に突出することを特徴とする回転軸の軸受構造。
  2. 前記突出部(92B)、前記スラストワッシャー(82C)の周方向に沿って複数形成されることを特徴とする請求項1に記載の回転軸の軸受構造。
  3. 前記ケース(C1,C2)には、前記スラストワッシャー(82C)の近傍に、前記潤滑油を該スラストワッシャー(82C)側へ向けて案内するガイドリブ(90)が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転軸の軸受構造。
  4. 前記突出部(92B)、周方向に沿って等間隔に複数形成されることを特徴とする請求項2に記載の回転軸の軸受構造。
  5. 前記スラストワッシャー(82C)には、前記突出部(92B)が形成され、
    前記ベース円部(92A)と前記突出部(92B)とは、角部を有するようにして屈曲し、連続することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の回転軸の軸受構造。
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