JPWO2006006437A1 - 遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両 - Google Patents

遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両 Download PDF

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Abstract

クラッチハウジング、及びクラッチハウジングの回転軸方向に並設された部品群のコンパクト化を図ることができるクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両の提供する。ボス部74の半径方向Y外方Y2に連成された円盤状壁部91を備えたハウジング本体73を有し、円盤状壁部91が、半径方向Y内方Y1に形成され、ボス部74から回転軸方向X一側X1に向かって突出する第1壁部91Aと、第1壁部91Aよりも半径方向Y外方Y2に形成され、回転軸方向X他側X2に向かって傾斜する第2壁部91Bとを備え、第1及び第2壁部91A,91Bの回転軸方向X他側X2に形成された凹内面を、ウエイトを移動可能に支持する支持部92とし、支持部92の半径方向Y外方Y2の傾斜した内面に、ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、ウエイトを第1のクラッチ板の方向に押し出すカム面102を一体的に形成した構成としてある。

Description

本発明は、遠心力により移動するウエイトを用いて複数のクラッチ板を圧着させるクラッチハウジング、遠心式クラッチ、この遠心式クラッチを備えたパワーユニット、及びこのパワーユニットを搭載した自動二輪車等の鞍乗型車両に関し、特に、上記ウエイトをクラッチ板に向けて押圧するための構造に関する。
例えば、自動二輪車、四輪バギー又はスノーモービルといった鞍乗型車両では、広くベルト式無段変速機が採用されている。そして、このベルト式連続無段変速装置の出力軸と、後輪を駆動する二次減速装置との間に遠心式クラッチを配置している。遠心式クラッチは、変速装置から出力されるトルクを二次減速装置に伝えたり遮断したりすることで、自動二輪車等の発進及び停止を、手動のクラッチ操作なしで容易に行なわせるためのものである。
従来の遠心式クラッチ(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)は、変速装置の出力端に連結された円筒状のクラッチハウジングと、二次減速装置の入力端に連結されたクラッチボスとを備えている。クラッチハウジングは、例えば、アルミニウム合金を用いたダイキャスト成形品であり、複数の第1のクラッチ板と複数のローラウエイトとを支持している。クラッチボスは、クラッチハウジングの内側に収容され、複数の第2のクラッチ板を支持している。第1のクラッチ板と第2のクラッチ板は、互いに重なり合うように同軸上に並んでいる。
上記ローラウエイトは、第1のクラッチ板と第2のクラッチ板とを圧着させるためのものであり、例えば、鉄系の焼結金属で作られている。ローラウエイトは、クラッチハウジングの回転により生じる遠心力を受けた時に、クラッチハウジングの半径方向に沿う外方に向けて移動するようになっている。
クラッチハウジングは、ローラウエイトが遠心力を受けて移動した時に、ローラウエイトを第1のクラッチ板に向けて押し出すカム面を有している。カム面は、耐摩耗性を確保するために、クラッチハウジングとは別の部品であるリテーナに形成されている。リテーナは、例えば、鉄系の焼結金属で作られており、上記クラッチハウジングの内側に圧入等の手段により固定されている。
特開2003−301903号公報(図12、図14、図15) 特開2002−21879号公報(図13) 実公平2−39059号公報(図1)
従来から自動二輪車等の鞍乗型車両では、駆動源、変速装置及び遠心式クラッチ等を含むパワーユニットのコンパクト化が要望されている。特に、パワーユニットの車幅方向のコンパクト化を図ることにより、無駄なスペースを削減し、また、車幅方向への突出部分を減少させて、車両のバンク角を大きくすることができる等のメリットがある。
しかし、上述した特許文献1〜3に開示された遠心式クラッチでは、クラッチハウジングの形状やその他部品との関係において、遠心式クラッチ自体及びこれを含んだパワーユニット全体のコンパクト化について、何ら手段が講じられていない。特に、特許文献1及び2に開示された遠心式クラッチでは、クラッチハウジングのローラウエイトが接する部分を専用のリテーナで形成しているので、クラッチハウジング自体が、該リテーナの肉厚の分だけ半径方向に大型化してしまうという問題がある。また、クラッチハウジングが半径方向に大型化すると、このクラッチハウジングの回転軸上に並設されたクラッチカバー等の他の部品までも、その半径方向に大型化してしまうという問題もある。
一方、上述した特許文献1〜3に開示された遠心式クラッチのいずれもが、クラッチハウジングと、その回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群の、回転軸方向のコンパクト化について何ら手段が講じられていない。
なお、上述のように、クラッチハウジングに別途リテーナを設けた構成とした場合は、クラッチハウジングにリテーナを圧入する作業が必要となり、クラッチハウジングの組み立て作業に手間を要する。したがって、遠心式クラッチの製造コストが増大し、コスト的な面で不利な構成となる。
さらに、リテーナの分だけ遠心式クラッチの部品点数が多くなる。この結果、クラッチハウジングが重くなり、遠心式クラッチの軽量化を図るうえでの妨げとなるといった不具合もある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、クラッチハウジングをその半径方向にコンパクト化することができるとともに、このクラッチハウジングの回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群の、回転軸方向のコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニットを車幅方向にコンパクト化することができるクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両の提供を目的とする。
本発明の他の目的は、製造コストを低減できるとともに、軽量なクラッチハウジングを得ることにある。
本発明のさらに他の目的は、安価でしかも軽量な遠心式クラッチを備えたパワーユニットを得ることにある。
上記目的を達成するために、本発明のクラッチハウジングは、遠心力を受けて移動可能なウエイトにより複数のクラッチ板を互いに圧着させる遠心式クラッチに用いられるクラッチハウジングであって、駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部、及びこのボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部を備えたハウジング本体を有し、上記円盤状壁部が、その半径方向内方に形成され、上記ボス部から回転軸方向一側に向かって突出する第1壁部と、この第1壁部よりも半径方向外方に形成され、回転軸方向他側に向かって傾斜する第2壁部とを備え、これら第1及び第2壁部の回転軸方向他側に形成された凹内面を、上記ウエイトを移動可能に支持する支持部とし、この支持部の半径方向外方の傾斜した内面に、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記クラッチ板の方向に押し出すカム面を一体的に形成した構成としてある。
上記目的を達成するために、本発明の遠心式クラッチは、遠心力を受けて移動可能なウエイトにより、クラッチハウジングに支持された第1のクラッチ板と、クラッチボスに支持された第2のクラッチ板とを互いに圧着させる遠心式クラッチであって、上記クラッチハウジングが、駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部、このボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部、及びこの円盤状壁部の外周縁から上記回転軸方向他側に向けて延設され、上記第1のクラッチ板を第2クラッチ板に対向させて保持する筒状の外周壁を有し、上記円盤状壁部が、その半径方向内方に形成され、上記ボス部から回転軸方向一側に向かって突出する第1壁部と、この第1壁部よりも半径方向外方に形成され、回転軸方向他側に向かって傾斜する第2壁部とを備え、これら第1及び第2壁部の回転軸方向他側に形成された凹内面を、上記ウエイトを移動可能に支持する支持部とし、この支持部の半径方向外方の傾斜した内面に、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の方向に押し出すカム面を一体的に形成した構成としてある。
好ましくは、上記クラッチハウジングの円盤状壁部に形成した上記カム面の、半径方向外方を第1の領域、半径方向内方を第2の領域とし、上記第1の領域を、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の方向に押し出す傾斜面とするとともに、上記第2の領域を、上記ウエイトが受ける遠心力が低下したときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の圧着を解除する位置に導く傾斜面とした構成とする。
好ましくは、上記ウエイトが、ピボット軸と、このピボット軸上に固定された一対のガイド板と、これらガイド板の間で上記ピボット軸上に回転自在に支持されたローラ本体とを有し、上記ローラ本体が、上記カム面に接触しながら移動する構成とする。
上記目的を達成するために、本発明のパワーユニットは、被駆動部を駆動させるための駆動源、この駆動源の出力端に連結された変速装置、この速装置の出力端と上記被駆動部との間に介在された遠心式クラッチを備えたパワーユニットであって、上記遠心式クラッチが、遠心力を受けて移動可能なウエイトにより、クラッチハウジングに支持された第1のクラッチ板と、クラッチボスに支持された第2のクラッチ板とを互いに圧着させる構成であり、上記クラッチハウジングが、駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部、このボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部、及びこの円盤状壁部の外周縁から回転軸方向他側に向けて延設され、上記第1のクラッチ板を第2クラッチ板に対向させて保持する筒状の外周壁を有し、上記円盤状壁部が、その半径方向内方に形成され、上記ボス部から回転軸方向一側に向かって突出する第1壁部と、この第1壁部よりも半径方向外方に形成され、回転軸方向他側に向かって傾斜する第2壁部とを備え、これら第1及び第2壁部の回転軸方向他側に形成された凹内面を、上記ウエイトを移動可能に支持する支持部とし、この支持部の半径方向外方の傾斜した内面に、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の方向に押し出すカム面を一体的に形成した構成としてある。
好ましくは、上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に並設された部品を備え、この部品の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状とした構成とする。
好ましくは、上記部品が、上記クラッチハウジングの回転軸方向一側の外面を覆うクラッチカバーである構成とする。
好ましくは、上記変速装置が、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に、上記プライマリーシーブ又はセカンダリシーブを配置し、上記部品が、上記クラッチハウジングと、上記プライマリーシーブ又はセカンダリシーブとの間に介在された部品である構成とする。
好ましくは、上記変速装置が、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、上記部品が、これらプライマリーシーブ又はセカンダリシーブである構成としてある。
好ましくは、上記クラッチハウジングと上記部品との、上記回転軸を中心とした半径方向の大きさを、互いにほぼ同じ大きさとした構成としてある。
好ましくは、上記変速装置が、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、上記プライマリシーブ及びセカンダリシーブが、それぞれ一対の可動シーブ体と固定シーブ体とを備え、上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの上記回転軸方向一側に、上記プライマリーシーブ又はセカンダリシーブの固定シーブ体を配置した構成としてある。
好ましくは、上記駆動源が、上記遠心式クラッチを収容するクランケースを備えたエンジンであって、上記連続無段変速装置を伝動ケースに収容するとともに、この伝動ケースを上記クランクケースに付設し、これらクランクケースと伝動ケースとの間に跨る同一の上記回転軸上に、上記遠心式クラッチ及びセカンダリシーブを並設した構成としてある。
好ましくは、上記クランクケースが、上記回転軸上でクラッチハウジングと伝動ケースとの間に介在する外壁を備え、この外壁の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状とすることにより、この外壁と上記伝動ケースとの間に断熱用の空間を形成した構成とする。
上記目的を達成するために、本発明の鞍乗型車両は、上述した本発明のパワーユニットを備えた構成としてある。
上述した本発明のクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両では、クラッチハウジングを構成する円盤状壁部において、ウエイトの支持部(凹内面)に対応する第1壁部を回転軸方向一側に突出させるとともに、カム面の機能を確保しつつリテーナを排除したうえで、上記カム面に対応する第2壁部を、回転軸方向他側に向かって傾斜させている。これにより、クラッチハウジングを必要最低限の無駄のない形状とすることができ、その回転軸方向及び半径方向にコンパクト化することができる。
これに加え、カム面を形成する専用のリテーナが不要となるので、遠心式クラッチの部品点数及び組み立て工数を削減することができ、製造コストを低減できるとともに、クラッチハウジングの軽量化が可能となる。
また、上述した本発明の遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両では、クラッチハウジングの円盤状壁部に形成したカム面に、ウエイトが受ける遠心力が低下したときに、このウエイトを第1のクラッチ板の圧着を解除する位置に導く第2の領域を設けてある。これにより、第1のクラッチ板と第2のクラッチ板とが確実に切り離され、遠心式クラッチの切れが良好となる。
さらに、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、クラッチハウジングの回転軸方向一側に並設された部品(例えば、クラッチカバー、プライマリシーブ又はセカンダリシーブその他の部品)の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状としてある。これにより、クラッチハウジングの回転軸方向一側の外面と、上記部品の回転方向他側の外面とが互いに接近可能な対応形状となる。この結果、クラッチハウジングの回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群を、互いに接近配置させて回転軸方向のコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニットを車幅方向にコンパクト化することができる。
これに加え、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、クラッチハウジングと上記部品との、回転軸を中心とした半径方向の大きさを、互いにほぼ同じ大きさとしてある。これにより、クラッチハウジングの回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群の、半径方向のコンパクト化を図ることができる。
また、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、プライマリシーブ及びセカンダリシーブが、それぞれ一対の可動シーブ体と固定シーブ体とを備え、遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に、プライマリーシーブ又はセカンダリシーブの固定シーブ体を配置してある。これにより、クラッチハウジングと固定シーブ体の間に、可動シーブ体を移動させるための機構が介在することがない。この結果、クラッチハウジングと固定シーブ体及びこれらの間に並設された他の部品を、互いに接近配置させて回転軸方向のコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニットを車幅方向にコンパクト化することができる。
さらに、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、駆動源のクランクケース内に遠心式クラッチを収容するとともに、連続無段変速装置を伝動ケースに収容している。そして、この伝動ケースとクラッチハウジングとの間に介在する外壁の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状とし、この外壁と伝動ケースとの間に断熱用の空間を形成している。これにより、クランクケースからの熱が伝動ケースに伝わることを遮断でき、連続無段変速装置に対する駆動源の熱影響を少なく抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両(自動二輪車)の側面図である。 上記自動二輪車のフレームと、本発明の一実施形態に係るパワーユニットとの位置関係を示す平面図である。 同じく上記自動二輪車におけるフレームと、本発明の一実施形態に係るパワーユニットとの位置関係を示す側面図である。 上記パワーユニット全体の内部構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る遠心式クラッチを示す図4の部分拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係るクラッチハウジングの正面図である。 本発明の一実施形態に係るクラッチハウジングの背面図である。 図6の矢印A方向から見た上記クラッチハウジングの側面図である。 図6のF9−F9線に沿う断面図である。 図9のF10−F10線に沿う断面図である。 上記クラッチハウジングのカム面とローラウエイトとの位置関係を示す断面図である。
符号の説明
1…自動二輪車(鞍乗型車両)
16…被駆動部(後輪)
20…パワーユニット
21…4サイクル単気筒エンジン(駆動源)
22…ベルト式連続無段変速装置(CVT)
23…クランクケース
37…クラッチカバー(外壁)
42…伝動ケース
43…プライマリシーブ
44…セカンダリシーブ
45…Vベルト
47,56…固定シーブ体
48,57…可動シーブ体
50…第1のベルト溝(V溝)
55…出力軸(回転軸)
62…第2のベルト溝(V溝)
70…遠心式クラッチ
71…クラッチハウジング
72…クラッチボス
73…ハウジング本体
74…ボス部
75…外周壁
78…第1のクラッチ板
86…フリクションプレート(第2のクラッチ板)
91…円盤状壁部
91A…第1壁部
91B…第2壁部
92…支持部(凹内面)
95…断熱用の隙間
102…カム面
102a…第1の領域
102b…第2の領域
103…ローラウエイト(ウエイト)
104…ピボット軸
105a,105b…ガイド板
106…ローラ本体
X…回転軸方向
X1…一側
X2…他側
Y…半径方向
Y1…内方
Y2…外方
以下、本発明の一実施形態に係るクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両について、図1〜図12を参照しつつ説明する。
図1〜図3において、自動二輪車(鞍乗型車両)1は、バックボーン形のフレーム2を有している。フレーム2は、ステアリングヘッドパイプ3、一本のメインパイプ4、左右のシートレール5a,5b及び左右のシートピラーチューブ6a,6bを備えている。
ステアリングヘッドパイプ3は、フレーム2の前端に位置するとともに、フロントフォーク7を介して前輪8を支持している。メインパイプ4は、ステアリングヘッドパイプ3から後方に向けて延びるとともに、ステアリングヘッドパイプ3の後方に進むに従い下向きに傾斜している。
シートレール5a,5bは、メインパイプ4の中間部から後方に向けて延びるとともに、車幅方向に間隔を存して並んでいる。シートピラーチューブ6a,6bは、メインパイプ4の後端部とシートレール5a,5bの中間部との間に架け渡されてシートレール5a,5bを下方から支えている。
シートレール5a,5bの上に燃料タンク9及びシート10が支持されている。燃料タンク9は、シートレール5a,5bの前半部に位置している。シート10は、燃料タンク9の上からシートレール5a,5bの後端部に向けて延びている。燃料タンク9及びフレーム2は、車体カバー11で覆われている。
メインパイプ4の中間部に一対のエンジンブラケット12a,12bが固定されている。エンジンブラケット12a,12bは、メインパイプ4の中間部から下向きに突出するとともに、車幅方向に互いに向かい合っている。
メインパイプ4の後端部に一対のリヤアームブラケット13a,13bが固定されている。リヤアームブラケット13a,13bは、メインパイプ4の後端部から下向きに突出するとともに、車幅方向に互いに向かい合っている。リヤアームブラケット13a,13bは、リヤアーム14を支持している。リヤアーム14は、リヤアームブラケット13a,13bから後方に延びている。リヤアーム14の後端部は、油圧緩衝器15を介してフレーム2に懸架されている。リヤアーム14の後端部には、被駆動部としての後輪16が支持されている。
フレーム2は、後輪16を駆動するパワーユニット20を支持している。図4に示すように、パワーユニット20は、例えば、駆動源としての4サイクル単気筒エンジン(以下、単にエンジンという)21と、ベルト式連続無段変速装置22とを備えている。
エンジン21は、メインパイプ4の下に位置している。エンジン21は、クランクケース23と、このクランクケース23に連結されたシリンダ24とを備えている。クランクケース23の前端上部は、エンジンブラケット12a,12bによって支持されている。クランクケース23の後端部は、リヤアームブラケット13a,13b及びメインパイプ4の後端部によって支持されている。このため、クランクケース23はメインパイプ4に吊り下げられている。
図4に示すように、クランクケース23は、クランク軸25及び歯車変速機26を収容している。クランク軸25は、クランクケース23に軸受27a,27bを介して支持されているとともに、自動二輪車1の車幅方向に沿って水平に配置されている。
歯車変速機26は、クランク軸25の後方に位置している。歯車変速機26は、第1の歯車軸28と第2の歯車軸29とを有している。第1の歯車軸28は、歯車変速機26の入力端に位置し、クランクケース23に複数の軸受30を介して支持されている。第2の歯車軸29は、歯車変速機26の出力端に位置し、クランクケース23に軸受31を介して支持されている。第1及び第2の歯車軸28,29は、クランク軸25と平行をなすとともに、互いに噛み合っている。
第2の歯車軸29の一端にドライブスプロケット33が固定されている。ドライブスプロケット33は、クランクケース23の左側方に露出している。このドライブスプロケット33と後輪16のドリブンスプロケット34との間には、チェーン35が巻き掛けられている。
クランクケース23は、ドライブスプロケット33とは反対側の右側面に円形の開口部36を有している。開口部36は、歯車変速機26をクランクケース23に出し入れするためのものであり、クランクケース23の後端部に位置している。この開口部36は、円盤状のクラッチカバー37で塞がれている。クラッチカバー37は、クランクケース23の右側の外壁を兼ねており、このクランクケース23の右側面に露出している。
図3及び図4に示すように、エンジン21のシリンダ24は、クランクケース23の前端から前方に向けて略水平に突出している。シリンダ24は、ピストン39を収容している。ピストン39は、コネクティングロッド40を介してクランク軸25のクランクウエブ41a,41bに連結されている。
クランクケース23の右側面に合成樹脂製の伝動ケース42が取り付けられている。伝動ケース42は、クランクケース23の前後方向に延びる中空の箱状であり、上記ベルト式連続無段変速装置(以下、CVT(Continuously
Variable Transmission)という)22を収容している。
CVT22は、図4に示しように、プライマリシーブ43、セカンダリシーブ44及びVベルト45を備えている。プライマリシーブ43は、伝動ケース42の前端部に位置するとともに、クランク軸25の右端部に支持されている。詳しく述べると、クランク軸25の右端に位置するジャーナル部25aは、伝動ケース42の前端部に向けて延長された延長部分を有し、この延長部分が入力軸46を兼ねている。入力軸46は、伝動ケース42の内側に導入されており、この入力軸46の上にプライマリシーブ43が支持されている。
プライマリシーブ43は、固定シーブ体47と可動シーブ体48とを備えている。固定シーブ体47は、入力軸46の軸端に固定されて、クランク軸25と一体に回転するようになっている。可動シーブ体48は、入力軸46の上にカラー49を介して支持されている。可動シーブ体48は、固定シーブ体47に近づいたり遠ざかる方向にスライド可能であるとともに、入力軸46の周方向に回転可能となっている。
固定シーブ体47及び可動シーブ体48は、径方向に沿う外側に進むに従い互いに遠ざかる方向に傾斜している。これら固定シーブ体47と可動シーブ体48との間にV形の断面形状を有する第1のベルト溝(V溝)50が形成されている。第1のベルト溝50の幅は、可動シーブ体48のスライドによって調整可能となっている。
入力軸46の上にカムプレート51が固定されている。カムプレート51は入力軸46と一体に回転するとともに、可動シーブ体48と向かい合っている。カムプレート51と可動シーブ体48とは、一体に回転しつつ互いに近づいたり遠ざかる方向に移動可能となっている。
可動シーブ体48は、カムプレート51と向かい合う複数のカム面52(一つのみを図示)を有している。各カム面52とカムプレート51との間にローラウエイト53が介在されている。ローラウエイト53は、クランク軸25の回転により発生する遠心力に応じてカム面52に沿って移動する。この移動により、可動シーブ体48が入力軸46の軸方向にスライドし、第1のベルト溝50の幅が変化するようになっている。
セカンダリシーブ44は、伝動ケース42の後端部に位置するとともに、回転軸としての出力軸55の上に支持されている。出力軸55は、クランク軸25と平行をなすとともに、上記クラッチカバー37を貫通して伝動ケース42とクランクケース23との間に跨っている。出力軸55は、クラッチカバー37、クランクケース23及び歯車変速機26の第2の歯車軸29にそれぞれ軸受59を介して支持されており、第2の歯車軸29と同軸状をなしている。このため、出力軸55は、伝動ケース42の内部に位置する第1の部分55aと、クランクケース23の内部に位置する第2の部分55bとを有している。
セカンダリシーブ44は、固定シーブ体56と可動シーブ体57とを備えている。固定シーブ体56は、その回転中心部に円筒状のカラー58を有している。カラー58は、出力軸55と一体に回転するように、出力軸55の第1の部分55aに噛み合っている。可動シーブ体57は、その回転中心部にスリーブ60を有している。スリーブ60は、カラー58の上に軸方向にスライド可能に装着されているとともに、複数の係合ピン61を介してカラー58に引っ掛かっている。
このため、可動シーブ体57は、固定シーブ体56と一体に回転しつつ、この固定シーブ体56に近づく方向又は遠ざかる方向に移動可能となっている。
固定シーブ体56及び可動シーブ体57は、径方向に沿う外側に進むに従い互いに遠ざかる方向に傾斜している。これら固定シーブ体56と可動シーブ体57との間にV形の断面形状を有する第2のベルト溝(V溝)62が形成されている。第2のベルト溝62の幅は、可動シーブ体57のスライドによって調整可能となっている。さらに、可動シーブ体57は、圧縮コイルスプリング63を介して第2のベルト溝62の幅を減じる方向に付勢されている。
上記Vベルト45は、クランク軸25からプライマリシーブ43に伝えられたトルクをセカンダリシーブ44に伝達するためのものである。このVベルト45は、プライマリシーブ43の第1のベルト溝50とセカンダリシーブ44の第2のベルト溝62との間に無端状に巻き掛けられている。
エンジン21がアイドリング運転をしている時のようにクランク軸25の回転数が低い状態では、ローラウエイト53はプライマリシーブ43の回転中心部に片寄っている。このため、可動シ−ブ体48は固定シーブ体47から最も遠ざかった位置にあり、プライマリシーブ43に対するVベルト45の巻き掛け径が最小となっている。
一方、セカンダリシーブ44では、可動シーブ体57が圧縮コイルスプリング63によって固定シーブ体56に最も近づく位置まで押圧されている。これにより、第2のベルト溝62に巻き掛けられたVベルト45は、セカンダリシーブ44の外周部に押し出されており、セカンダリシーブ44に対するVベルト45の巻き掛け径が最大となっている。よって、CVT22の変速比が最大となる。
クランク軸25の回転数が上昇するに従い、ローラウエイト53に加わる遠心力が増大する。このため、ローラウエイト53が可動シーブ体48の半径方向外方に向けて移動を開始するとともに、可動シーブ体48のカム面52に押し付けられる。このローラウエイト53の移動により、可動シーブ体48が固定シーブ体47に向けてスライドし、第1のベルト溝50の幅が徐々に狭まる。この結果、固定シーブ体47と可動シーブ体48との間で挾持されたVベルト45がプライマリシーブ43の半径方向外方に押し出され、プライマリシーブ43に対するVベルト45の巻き掛け径が大きくなる。
逆にセカンダリシーブ44にあっては、Vベルト45がセカンダリシーブ44の回転中心部に向けて引張られる。これにより、可動シーブ体57が圧縮コイルスプリング63の付勢力に抗して固定シーブ体56から遠ざかる方向にスライドし、第2のベルト溝62の幅が徐々に広がる。このため、セカンダリシーブ44に対するVベルト45の巻き掛け径が小さくなる。よって、CVT22の変速比が小さくなり、プライマリシーブ43に対するVベルト45の巻き掛け径が最大となった時点でCVT22の変速比が最小となる。
したがって、CVT22は、プライマリシーブ43及びセカンダリシーブ44に対するVベルト45の巻き掛け径を変化させることで減速比を無段階的に変えている。セカンダリシーブ44に取り出されたトルクは、固定シーブ体57から出力軸55を介して歯車変速機26に伝えられる。
図4及び図5に示すように、出力軸55は、遠心式クラッチ70を介して歯車変速機26の第1の歯車軸28に連結されている。遠心式クラッチ70は湿式多板形であり、出力軸55の第2の部分55bに取り付けられて、セカンダリシーブ44に並設してある。遠心式クラッチ70は、クランクケース23の後部に収容されており、このクランクケース23内のオイルによって潤滑されるようになっている。また、遠心式クラッチ70は、上記開口部36を通じてクランクケース23に出し入れされる。
遠心式クラッチ70は、円筒状のクラッチハウジング71と、このクラッチハウジング71の内側に収容されたクラッチボス72とを備えている。クラッチハウジング71は、ダイキャスト成形品であり、例えば、ダイキャスト用アルミニウム合金で作られている。
図5〜図9に示すように、クラッチハウジング71は、円盤状のハウジング本体73を有している。ハウジング本体73は、上記クラッチカバー37と向かい合うとともに、その中心部に出力軸55が貫通するボス部74を備えている。ボス部74は出力軸55と一体に回転するように、この出力軸55の第2の部分55bの外周面に噛み合っている。
ハウジング本体73の外周端には外周壁75が形成されている。外周壁75は、出力軸55の軸方向に沿うとともに、上記歯車変速機26に向けて突出している。外周壁75には複数の切り欠き76が形成されている。切り欠き76は、外周壁75の先端からハウジング本体73に向けて切り込まれているとともに、ハウジング本体73の周方向に間隔を存して並んでいる。
クラッチハウシング71は、四枚の第1のクラッチ板78を支持している。第1のクラッチ板78は、外周壁75の内側に同軸状に並べて収容されている。第1のクラッチ板78の外周部は、切り欠き76に引っ掛かっており、これにより第1のクラッチ板78とクラッチハウジング71とが一体に回転するようになっている。
隣り合う第1のクラッチ板78の間にそれぞれ板ばね79が介在されている。板ばね79は、第1のクラッチ板78を互いに遠ざかる方向に付勢しており、第1のクラッチ板78の張り付きを防止している。
上記クラッチボス72は、クラッチハウジング71の外周壁75によって取り囲まれている。クラッチボス72は、その中心部に出力軸55が貫通するボス部81を有している。ボス部81と出力軸55との間に円筒状の中継軸82が配置されている。中継軸82は、出力軸55の上に一対の軸受83を介して回転自在に支持されているとともに、クラッチボス72と一体に回転するように、そのボス部81の内面に噛み合っている。
クラッチボス72は、第2のクラッチ板としての三枚のフリクションプレート86を支持している。フリクションプレート86は、ピン87を介して同軸状に保持されている。
フリクションプレート86の内周部は、クラッチボス72の外周部に引っ掛かっており、これによりフリクションプレート86とクラッチボス72とが一体に回転するようになっている。フリクションプレート86は、第1のクラッチ板78の間に介在されて、この第1のクラッチ板78と向かい合っている。
隣り合うフリクションプレート86の間にそれぞれ圧縮コイルスプリング88が介在されている。圧縮コイルスプリング88は、ピン87の上に装着されてフリクションプレート86を互いに遠ざかる方向に付勢しており、これらフリクションプレート86の張り付きを防止している。
クラッチボス72と一体に回転する中継軸82は、出力歯車89を一体に備えている。出力歯車89は、出力軸55の上でボス部81と並んでいる。出力歯車89は、上記第1の変速軸28の軸端に固定した入力歯車90と噛み合っている。この噛み合いにより、クラッチボス72と第1の変速軸28とが一体に回転するようになっている。
ここで、図5及び図9に示すように、上記クラッチハウジング71のハウジング本体73は、ボス部74の半径方向Y外方Y2に連成され、上記クラッチボス72よりも外側に張り出す円盤状壁部91を備えている。この円盤状壁部91は、その半径方向Y内方Y1に形成され、上記ボス部74から回転軸方向X一側X1に向かって突出する第1壁部91Aと、この第1壁部91Aよりも半径方向Y外方Y2に形成され、回転軸方向X他側X2に向かって傾斜する第2壁部91Bとを備えている。
これら第1及び第2壁部91A,91Bの回転軸方向X他側X2に形成された凹内面を、後述するローラウエイト103を移動可能に支持する支持部92としてある。この支持部92は、クラッチハウジング71の内側に露出している。また、この支持部92の反対側に位置する外面93は、クラッチカバー(外壁)37と向かい合っている。
支持部92の半径方向Y外方Y2の傾斜した内面に、ローラウエイト103が遠心力を受けて移動するときに、このローラウエイト103を第1のクラッチ板78の方向に押し出すカム面102を一体的に形成してある。このカム面102については、後に詳述する。
本実施形態では、凹内面である支持部92と凸状の外面93とは、ともにハウジング本体73の半径方向Y外方Y2に進むに従い第1のクラッチ板78に近づく方向に傾斜している。言換えると、ハウジング本体73の円盤状壁部91は、肉厚を略一定に維持したまま半径方向Y外方Y2に進むに従い第1のクラッチ板78に近づく方向に傾斜している。
上記クラッチカバー37は、CVT22の方向からハウジング本体73を覆っている。クラッチカバー37は、ハウジング本体73の円盤状壁部91に沿うように円弧状に湾曲する湾曲部94を有している。この湾曲部94の存在により、クラッチカバー37は、半径方向Y外方Y2に進むに従い、伝動ケース42から遠ざかるように傾斜している。これにより、クラッチカバー37と伝動ケース42との間に断熱用の空間95が形成されている。空間95は、クランクケース23の熱が伝動ケース42に伝わるのを遮断するためのものであり、これによりCVT22に対するエンジン21の熱影響を少なく抑えている。
本実施形態では、ハウジング本体73の円盤状壁部91の第2壁部91B、クラッチカバー37の湾曲部94、及び伝動ケース42のうちクラッチカバー37と固定シーブ体56との間に介在される部分が、それぞれセカンダリシーブ44の固定シーブ体56に沿うように傾いている。
言換えると、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1に並設された部品、すなわち、クラッチカバー37、セカンダリシーブ44の固定シーブ体56、及び伝動ケース42のうちクラッチカバー37と固定シーブ体56との間に介在される部分(以下、単に部品37,56,42と総称する場合がある)の、回転軸方向X他側X2の外面を、その半径方向Y外方Y2が回転軸方向X他側X2に向かって突出する形状としてある。これにより、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1の外面と、上記部品37,56,42の回転方向X他側X2の外面とが互いに接近可能な対応形状となる。
また、本実施形態では、ハウジング本体73と上記部品37,56,42との、回転軸(出力軸55)を中心とした半径方向Yの大きさを、互いにほぼ同じ大きさとしてある。
図5〜図10に示すように、ハウジング本体73の円盤状壁部91の支持部(凹内面)92に複数のガイド部100が形成されている。ガイド部100は、ボス部74を取り囲むようにハウジング本体73の周方向に間隔を存して並んでいるとともに、ボス部74を中心に放射状に延びている。
各ガイド部100は、一対のガイド壁101a,101bと上記カム面102とを備えている。ガイド壁101a,101bは、ハウジング本体73の支持部(凹内面)92から垂直に起立するとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。このため、各ガイド部100は、クラッチハウジング71の内側に向けて開放するような溝状をなしている。
カム面102は、ハウジング本体73に一体に形成されている。カム面102は、ガイド壁101a,101bの間に位置するとともに、ハウジング本体73の支持部(凹内面)92から僅かに張り出している。カム面102は、ハウジング本体73の半径方向Y外方Y2に進むに従い第1のクラッチ板78に近づくように傾斜している。言換えると、カム面102は、ハウジング本体73の円盤状壁部91の支持部92及び外面93に沿うように傾斜している。
なお、ハウジング本体73に一体に形成したカム面102も、このハウジング本体73と同じダイキャスト用アルミニウム合金からなるが、後述する鉄系の焼結金属からなるローラウエイト103との関係で、耐久性及び耐摩耗性に特に問題はない。すなわち、ローラウエイト103は、アイドリングから発進までの僅かな間に移動するのみであり、実験の結果、カム面102をハウジング本体73の支持部92に一体化しても、耐久性、耐摩耗性に問題のないことを確認した。
図5及び図11に示すように、ハウジング本体73のガイド部100にそれぞれ上記ローラウエイト103が設置されている。ローラウエイト103は、ピボット軸104、円盤状をなす一対のガイド板105a,105b及び円柱状のローラ本体106を備えている。ガイド板105a,105bは、ピボット軸104の上に同軸状に固定されているとともに、このピボット軸104の軸方向に互いに離れている。ローラ本体106は、例えば、鉄系の焼結金属で作られている。ローラ本体106は、ピボット軸104の上に回転自在に支持されるとともに、ガイド板105a,105bの間に摺動可能に介在されている。
ローラウエイト103のガイド板105a,105bは、それぞれガイド壁101a,101bに摺動可能に接している。ガイド板105a,105bの外周面は、カム面102と向かい合う一つの第1のクラッチ板78に摺動可能に接している。ローラ本体106の外周面は、カム面102に摺動可能に接している。このため、ローラウエイト103は、ピボット軸104を出力軸55と直交させた姿勢で一つの第1のクラッチ板78とカム面102との間に介在されている。
ローラウエイト103は、クラッチハウジング71の回転により生じる遠心力に応じてクラッチハウジング71の半径方向Yに移動する。具体的には、クラッチハウジング71の回転数が上昇するに従いローラウエイト103に加わる遠心力が増大する。この遠心力が予め決められた値に達すると、ローラウエイト103がクラッチハウジング71の半径方向Y外方Y2に向けて移動を開始するとともに、カム面102に追従して第1のクラッチ板78に押し付けられる。この結果、第1のクラッチ板78とフリクションプレート86とが互いに圧着し合い、遠心式クラッチ70がトルクの伝達を可能とするクラッチインの状態となる。
したがって、CVT22のセカンダリシーブ44から出力軸55を介してクラッチハウジング71に伝達されたトルクは、第1のクラッチ板78及びフリクションプレート86を通じてクラッチボス72に伝わる。クラッチボス72に伝えられたトルクは、互いに噛み合う中継歯車90と出力歯車89を介して歯車変速機26に取り出されるとともに、ここからチェーン35を介して後輪16に伝わる。
クラッチハウジング71の回転数の低下に伴い、ローラウエイト103に加わる遠心力が予め決められた値を下回ると、ローラウエイト103がクラッチハウジング71の半径方向Y内方Y1に向けて移動する。これにより第1のクラッチ板78とフリクションプレート86との圧着が解除され、遠心式クラッチ70がトルクの伝達を断つクラッチオフの状態に移行する。
図9に示すように、カム面102は、第1の領域102aと第2の領域102bとを有している。第1及び第2の領域102a,102bは、ローラウエイト103の移動方向に連続して設けられている。第1の領域102aは、ローラウエイト103を第1のクラッチ板78に押し付ける方向に移動させるためのものである。第2の領域102bは、ローラウエイト103に加わる遠心力が低下した時に、第1のクラッチ板78とフリクションプレート86との圧着を解除する位置に上記ローラウエイト103を導くためのものである。このため、第1の領域102aは、第2の領域102bよりもクラッチハウジング71の半径方向Y外方Y2に位置している。
第1の領域102aは、出力軸55の軸線と平行をなす基準線P1に対する傾斜角度がθ1に設定されている。同様に、第2の領域102bは、基準線P1に対する傾斜角度がθ2に設定されており、この傾斜角度θ2は、傾斜角度θ1よりも小さく設定されている。
このため、カム面102の第2の領域102bは、第1の領域102aよりもローラウエイト103が第1のクラッチ板78から遠ざかる方向に移動し易いような形状をなしており、上記方向へのローラウエイト103の移動量が十分に確保されている。よって、ローラウエイト103がトルクの伝達を遮断する位置に移動した時に、第1のクラッチ板78とフリクションプレート86とが確実に切り離され、遠心式クラッチ70の切れが良好となる。
なお、上述したように、カム面102は、ハウジング本体73の円盤状壁部91の支持部92及び外面93に沿うように傾斜している。したがって、ハウジング本体73の円盤状壁部91を形成する第1壁部91Aの傾斜角度θ3は、第1の領域102aの傾斜角度θ1とほぼ同じ(傾斜角度θ1の方がθ3よりも若干小さい)に設定してある。
以上説明したように、本実施形態のクラッチハウジング71、遠心式クラッチ70、パワーユニット20及び鞍乗型車両(自動二輪車)1では、ハウジング本体73を構成する円盤状壁部91において、ローラウエイト103の支持部(凹内面)92に対応する第1壁部91Aを回転軸方向X一側X1に突出させるとともに、カム面102の機能を確保しつつリテーナを排除したうえで、上記カム面102に対応する第2壁部91Bを、回転軸方向他側に向かって傾斜させている。これにより、ハウジング本体73を必要最低限の無駄のない形状とすることができ、クラッチハウジング71をその回転軸方向X及び半径方向Yにコンパクト化することができる。
これに加え、クラッチハウジング71からカム面102を形成する専用のリテーナを排除することができ、遠心式クラッチ70の部品点数及び組み立て工数を削減することができる。よって、製造コストを低減して安価な遠心式クラッチ70を提供できるとともに、遠心式クラッチ70の軽量化が可能となる。
また、ハウジング本体73の円盤状壁部91に形成したカム面102に、ローラウエイト103が受ける遠心力が低下したときに、このローラウエイト103を第1のクラッチ板78の圧着を解除する位置に導く第2の領域102bを設けてある。これにより、第1のクラッチ板78とフリクションプレート(第2のクラッチ板)86とが確実に切り離され、遠心式クラッチ70の切れが良好となる。
さらに、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1に並設された部品37,56,42の回転軸方向X他側X2の外面を、その半径方向Y外方Y2が回転軸方向X他側X2に向かって突出する形状としてある。これにより、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1の外面と、上記部品37,56,42の回転方向X他側X2の外面とが互いに接近可能な対応形状となる。この結果、ハウジング本体73の回転軸方向Xに並設された上記部品37,56,42を、互いに接近配置させて回転軸方向Xのコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニット20を車幅方向(=回転軸方向X)にコンパクト化することができる。
これに加え、上記構成によると、クラッチハウジング71のハウジング本体73の円盤状壁部91は、肉厚を略一定としたまま、その半径方向外方に進むに従い第1のクラッチ板78に近づく方向に傾いている。このため、クラッチハウジング71のハウジング本体73と外周壁75とで規定される角部が斜めにカットされた形状となり、クラッチハウジング71の外形寸法を小さく抑えることができる。したがって、クランクケース23の内部空間に対するクラッチハウジング71の占有面積が小さくなり、遠心式クラッチ70を大きさの限られたクランクケース23の内部に無理なく組み込むことができる。
なお、この構成により、クラッチカバー37と固定シーブ体56との間隔を略一定に保つことができる。この結果、伝動ケース42のうちクラッチカバー37と固定シーブ体56との間に介在される部分の形状を簡略化できるとともに、上記断熱用の空間95を容易に形成することができる。
また、ハウジング本体73と上記部品37,56,42との、回転軸を中心とした半径方向Yの大きさを、互いにほぼ同じ大きさとしてある。これにより、ハウジング本体73の回転軸方向Xに並設された上記部品37,56,42を含む複数部品群の、半径方向Yのコンパクト化を図ることができる。
さらに、遠心式クラッチ70のハウジング本体73の回転軸方向X一側X1に、セカンダリシーブ44の固定シーブ体56を配置してある。これにより、ハウジング本体73と固定シーブ体56の間に、可動シーブ体57を移動させるための機構が介在することがない。この結果、ハウジング本体73と固定シーブ体56及びこれらの間に並設された上記部品37,42を、互いに接近配置させて回転軸方向Xのコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニット20を車幅方向(=回転軸方向X)にコンパクト化することができる。
これに加え、エンジン(駆動源)21のクランクケース23内に遠心式クラッチを収容するとともに、CVT22を伝動ケース42に収容している。そして、この伝動ケース42とハウジング本体73との間に介在するクラッチカバー37(外壁)の回転軸方向X他側X2の外面を、その半径方向Y外方Y2が回転軸方向X他側X2に向かって突出する形状とし、このクラッチカバー37と伝動ケース42との間に断熱用の空間95を形成している。これにより、クランクケース23からの熱が伝動ケース42に伝わることを遮断でき、CVT22に対するエンジン21の熱影響を少なく抑えることができる。
なお、本発明のクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、クラッチハウジング71をセカンダリシーブ44の隣りに並設したが、これに限定されるものではなく、クラッチハウジング71をプライマリシーブ43の隣りに並設する構成としてもよい。
また、プライマリシーブ43及びセカンダリシーブ44を収容する伝動ケース42を、エンジン20の一部を構成するクランクケース23と別体としたが、これに限定されるものではなく、伝動ケース42をクランクケース23と一体成形して部品点数の削減を図り、パワーユニット20の構成の簡単化を図ることができる。
また、本発明のパワーユニットの適用の対象となる鞍乗型車両は、図1に示す形式の自動二輪車に限定されるものではなく、例えば、二輪又は三輪の電動機付き自転車(モータバイク)、スクータやオンロード又はオフロードといった各種形式の自動二輪車、四輪バギー(全地形型車両)、スノーモービル等の鞍乗型車両に適用することもできる。
さらに、上記実施形態では、駆動源としてエンジン21を備えたパワーユニット20に本発明のクラッチハウジング、遠心式クラッチを適用した場合について説明したが、これに限定されず、駆動源として電気モータを備えたパワーユニットに本発明のクラッチハウジング、遠心式クラッチを適用することも可能である。さらに、駆動源は、モータとエンジンとを組み合わせたハイブリッドモジュールであってもよい。
本発明は、遠心力により移動するウエイトを用いて複数のクラッチ板を圧着させるクラッチハウジングを備えた遠心式クラッチ、この遠心式クラッチを備えたパワーユニット、及びこのパワーユニットを搭載した自動二輪車等の鞍乗型車両に関し、特に、上記ウエイトをクラッチ板に向けて押圧するための構造に関する。
例えば、自動二輪車、四輪バギー又はスノーモービルといった鞍乗型車両では、広くベルト式無段変速機が採用されている。そして、このベルト式連続無段変速装置の出力軸と、後輪を駆動する二次減速装置との間に遠心式クラッチを配置している。遠心式クラッチは、変速装置から出力されるトルクを二次減速装置に伝えたり遮断したりすることで、自動二輪車等の発進及び停止を、手動のクラッチ操作なしで容易に行なわせるためのものである。
従来の遠心式クラッチ(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)は、変速装置の出力端に連結された円筒状のクラッチハウジングと、二次減速装置の入力端に連結されたクラッチボスとを備えている。クラッチハウジングは、例えば、アルミニウム合金を用いたダイキャスト成形品であり、複数の第1のクラッチ板と複数のローラウエイトとを支持している。クラッチボスは、クラッチハウジングの内側に収容され、複数の第2のクラッチ板を支持している。第1のクラッチ板と第2のクラッチ板は、互いに重なり合うように同軸上に並んでいる。
上記ローラウエイトは、第1のクラッチ板と第2のクラッチ板とを圧着させるためのものであり、例えば、鉄系の焼結金属で作られている。ローラウエイトは、クラッチハウジングの回転により生じる遠心力を受けた時に、クラッチハウジングの半径方向に沿う外方に向けて移動するようになっている。
クラッチハウジングは、ローラウエイトが遠心力を受けて移動した時に、ローラウエイトを第1のクラッチ板に向けて押し出すカム面を有している。カム面は、耐摩耗性を確保するために、クラッチハウジングとは別の部品であるリテーナに形成されている。リテーナは、例えば、鉄系の焼結金属で作られており、上記クラッチハウジングの内側に圧入等の手段により固定されている。
特開2003−301903号公報(図12、図14、図15) 特開2002−21879号公報(図13) 実公平2−39059号公報(図1)
従来から自動二輪車等の鞍乗型車両では、駆動源、変速装置及び遠心式クラッチ等を含むパワーユニットのコンパクト化が要望されている。特に、パワーユニットの車幅方向のコンパクト化を図ることにより、無駄なスペースを削減し、また、車幅方向への突出部分を減少させて、車両のバンク角を大きくすることができる等のメリットがある。
しかし、上述した特許文献1〜3に開示された遠心式クラッチでは、クラッチハウジングの形状やその他部品との関係において、遠心式クラッチ自体及びこれを含んだパワーユニット全体のコンパクト化について、何ら手段が講じられていない。特に、特許文献1及び2に開示された遠心式クラッチでは、クラッチハウジングのローラウエイトが接する部分を専用のリテーナで形成しているので、クラッチハウジング自体が、該リテーナの肉厚の分だけ半径方向に大型化してしまうという問題がある。また、クラッチハウジングが半径方向に大型化すると、このクラッチハウジングの回転軸上に並設されたクラッチカバー等の他の部品までも、その半径方向に大型化してしまうという問題もある。
一方、上述した特許文献1〜3に開示された遠心式クラッチのいずれもが、クラッチハウジングと、その回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群の、回転軸方向のコンパクト化について何ら手段が講じられていない。
なお、上述のように、クラッチハウジングに別途リテーナを設けた構成とした場合は、クラッチハウジングにリテーナを圧入する作業が必要となり、クラッチハウジングの組み立て作業に手間を要する。したがって、遠心式クラッチの製造コストが増大し、コスト的な面で不利な構成となる。
さらに、リテーナの分だけ遠心式クラッチの部品点数が多くなる。この結果、クラッチハウジングが重くなり、遠心式クラッチの軽量化を図るうえでの妨げとなるといった不具合もある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、クラッチハウジングをその半径方向にコンパクト化することができるとともに、このクラッチハウジングの回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群の、回転軸方向のコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニットを車幅方向にコンパクト化することができるクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両の提供を目的とする。
本発明の他の目的は、製造コストを低減できるとともに、軽量なクラッチハウジングを得ることにある。
本発明のさらに他の目的は、安価でしかも軽量な遠心式クラッチを備えたパワーユニットを得ることにある。
上記目的を達成するために、本発明の遠心式クラッチは、鞍乗型車両の発進及び停止の際に断続される遠心式クラッチであって、駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部と、上記ボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部と、上記円盤状壁部の外周縁から延設された筒状の外周壁とを有し、上記回転軸の回転に従って回転するクラッチハウジングと、上記クラッチハウジングの内側に配置されたクラッチボスと、上記クラッチハウジングの前記外周壁に支持された第1のクラッチ板と、上記クラッチボスに支持され、上記第1のクラッチ板と対向する第2のクラッチ板と、上記クラッチハウジングに支持され、上記クラッチハウジングの回転により生じる遠心力を受けて移動することによって上記第1のクラッチ板と上記第2のクラッチ板とを互いに圧着させるウエイトと、を備え、上記クラッチハウジングの円盤状壁部の内面は、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに上記ウエイトを上記第1および第2のクラッチ板の方向に押し出すカム面であり、上記クラッチハウジングは、ダイキャスト用アルミニウム合金からなり、上記ウエイトの上記カム面と接触する部分は、鉄系金属からなるものである。
好ましくは、上記ウエイトは、ピボット軸と、上記ピボット軸に固定された一対のガイド板と、これらガイド板の間で上記ピボット軸に回転自在に支持され、上記カム面に接触しながら移動するローラ本体とを有し、上記ローラ本体は、鉄系金属からなる
好ましくは、上記クラッチハウジングの円盤状壁部のカム面は、半径方向外方に位置し、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記第1および第2のクラッチ板の方向に押し出す傾斜面からなる第1の領域と、半径方向内方に位置し、上記ウエイトが受ける遠心力が低下したときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の圧着を解除する位置に導く傾斜面からなる第2の領域と、を備えている
上記目的を達成するために、本発明のパワーユニットは、被駆動部を駆動させるための駆動源と、この駆動源の出力端に連結された変速装置と、この変速装置の出力端と上記被駆動部との間に介在された遠心式クラッチとを備えた鞍乗型車両のパワーユニットであって、上記遠心式クラッチが、鞍乗型車両の発進及び停止の際に断続される遠心式クラッチであって、駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部と、上記ボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部と、上記円盤状壁部の外周縁から延設された筒状の外周壁とを有し、上記回転軸の回転に従って回転するクラッチハウジングと、上記クラッチハウジングの内側に配置されたクラッチボスと、上記クラッチハウジングの外周壁に支持された第1のクラッチ板と、上記クラッチボスに支持され、上記第1のクラッチ板と対向する第2のクラッチ板と、上記クラッチハウジングに支持され、上記クラッチハウジングの回転により生じる遠心力を受けて移動することによって上記第1のクラッチ板と上記第2のクラッチ板とを互いに圧着させるウエイトと、を備え、上記クラッチハウジングの円盤状壁部の内面は、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに上記ウエイトを上記第1および第2のクラッチ板の方向に押し出すカム面であり、上記クラッチハウジングは、ダイキャスト用アルミニウム合金からなり、上記ウエイトの上記カム面と接触する部分は、鉄系金属からなるものである。
好ましくは、上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に並設された部品を備え、この部品の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状とした構成とする。
好ましくは、上記部品が、上記クラッチハウジングの回転軸方向一側の外面を覆うクラッチカバーである構成とする。
好ましくは、上記変速装置、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、上記プライマリシーブ又はセカンダリシーブは、上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に配置され、上記部品は、上記クラッチハウジングと、上記プライマリシーブ又はセカンダリシーブとの間に介在された部品である。
好ましくは、上記変速装置、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、上記部品上記プライマリシーブ又はセカンダリシーブである。
好ましくは、上記クラッチハウジングと上記部品との、上記回転軸を中心とした半径方向の大きさを、互いにほぼ同じ大きさとした構成としてある。
好ましくは、上記変速装置、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、上記プライマリシーブ及びセカンダリシーブが、それぞれ一対の可動シーブ体と固定シーブ体とを備え、上記プライマリシーブ又はセカンダリシーブの固定シーブ体は、上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に配置されている。
好ましくは、上記駆動源、上記遠心式クラッチを収容するクランクケースを備えたエンジンであり、上記クランクケースに付設され、上記連続無段変速装置を収容する伝動ケースを備え、上記遠心式クラッチ及びセカンダリシーブは、これらクランクケースと伝動ケースとの間に跨る同一の上記回転軸上に並設されている。
好ましくは、上記クランクケースが、上記回転軸上でクラッチハウジングと伝動ケースとの間に介在する外壁を備え、この外壁の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状とすることにより、この外壁と上記伝動ケースとの間に断熱用の空間を形成した構成とする。
上記目的を達成するために、本発明の鞍乗型車両は、上述した本発明のパワーユ ニットを備えた構成としてある。
上述した本発明の遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両によれば、クラッチハウジングを必要最低限の無駄のない形状とすることができ、その回転軸方向及び半径方向にコンパクト化することができる。
これに加え、カム面を形成する専用のリテーナが不要となるので、遠心式クラッチの部品点数及び組み立て工数を削減することができ、製造コストを低減できるとともに、クラッチハウジングの軽量化が可能となる。
また、上述した本発明の遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両では、クラッチハウジングの円盤状壁部に形成したカム面に、ウエイトが受ける遠心力が低下したときに、このウエイトを第1のクラッチ板の圧着を解除する位置に導く第2の領域を設けてある。これにより、第1のクラッチ板と第2のクラッチ板とが確実に切り離され、遠心式クラッチの切れが良好となる。
さらに、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、クラッチハウジングの回転軸方向一側に並設された部品(例えば、クラッチカバー、プライマリシーブ又はセカンダリシーブその他の部品)の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状としてある。これにより、クラッチハウジングの回転軸方向一側の外面と、上記部品の回転方向他側の外面とが互いに接近可能な対応形状となる。この結果、クラッチハウジングの回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群を、互いに接近配置させて回転軸方向のコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニットを車幅方向にコンパクト化することができる。
これに加え、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、クラッチハウジングと上記部品との、回転軸を中心とした半径方向の大きさを、互いにほぼ同じ大きさとしてある。これにより、クラッチハウジングの回転軸方向に並設された他の複数部品を含む部品群の、半径方向のコンパクト化を図ることができる。
また、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、プライマリシーブ及びセカンダリシーブが、それぞれ一対の可動シーブ体と固定シーブ体とを備え、遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に、プライマリシーブ又はセカンダリシーブの固定シーブ体を配置してある。これにより、クラッチハウジングと固定シーブ体の間に、可動シーブ体を移動させるための機構が介在することがない。この結果、クラッチハウジングと固定シーブ体及びこれらの間に並設された他の部品を、互いに接近配置させて回転軸方向のコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニットを車幅方向にコンパクト化することができる。
さらに、本発明のパワーユニット及び鞍乗型車両では、駆動源のクランクケース内に遠心式クラッチを収容するとともに、連続無段変速装置を伝動ケースに収容している。そして、この伝動ケースとクラッチハウジングとの間に介在する外壁の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状とし、この外壁と伝動ケースとの間に断熱用の空間を形成している。これにより、クランクケースからの熱が伝動ケースに伝わることを遮断でき、連続無段変速装置に対する駆動源の熱影響を少なく抑えることができる。
以下、本発明の一実施形態に係るクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両について、図1〜図10を参照しつつ説明する。
図1〜図3において、自動二輪車(鞍乗型車両)1は、バックボーン形のフレーム2を有している。フレーム2は、ステアリングヘッドパイプ3、一本のメインパイプ4、左右のシートレール5a,5b及び左右のシートピラーチューブ6a,6bを備えている。
ステアリングヘッドパイプ3は、フレーム2の前端に位置するとともに、フロントフォーク7を介して前輪8を支持している。メインパイプ4は、ステアリングヘッドパイプ3から後方に向けて延びるとともに、ステアリングヘッドパイプ3の後方に進むに従い下向きに傾斜している。
シートレール5a,5bは、メインパイプ4の中間部から後方に向けて延びるとともに、車幅方向に間隔を存して並んでいる。シートピラーチューブ6a,6bは、メインパイプ4の後端部とシートレール5a,5bの中間部との間に架け渡されてシートレール5a,5bを下方から支えている。
シートレール5a,5bの上に燃料タンク9及びシート10が支持されている。燃料タンク9は、シートレール5a,5bの前半部に位置している。シート10は、燃料タンク9の上からシートレール5a,5bの後端部に向けて延びている。燃料タンク9及びフレーム2は、車体カバー11で覆われている。
メインパイプ4の中間部に一対のエンジンブラケット12a,12bが固定されている。エンジンブラケット12a,12bは、メインパイプ4の中間部から下向きに突出するとともに、車幅方向に互いに向かい合っている。
メインパイプ4の後端部に一対のリヤアームブラケット13a,13bが固定されている。リヤアームブラケット13a,13bは、メインパイプ4の後端部から下向きに突出するとともに、車幅方向に互いに向かい合っている。リヤアームブラケット13a,13bは、リヤアーム14を支持している。リヤアーム14は、リヤアームブラケット13a,13bから後方に延びている。リヤアーム14の後端部は、油圧緩衝器15を介してフレーム2に懸架されている。リヤアーム14の後端部には、被駆動部としての後輪16が支持されている。
フレーム2は、後輪16を駆動するパワーユニット20を支持している。図4に示すように、パワーユニット20は、例えば、駆動源としての4サイクル単気筒エンジン(以下、単にエンジンという)21と、ベルト式連続無段変速装置22とを備えている。
エンジン21は、メインパイプ4の下に位置している。エンジン21は、クランクケース23と、このクランクケース23に連結されたシリンダ24とを備えている。クランクケース23の前端上部は、エンジンブラケット12a,12bによって支持されている。クランクケース23の後端部は、リヤアームブラケット13a,13b及びメインパイプ4の後端部によって支持されている。このため、クランクケース23はメインパイプ4に吊り下げられている。
図4に示すように、クランクケース23は、クランク軸25及び歯車変速機26を収容している。クランク軸25は、クランクケース23に軸受27a,27bを介して支持されているとともに、自動二輪車1の車幅方向に沿って水平に配置されている。
歯車変速機26は、クランク軸25の後方に位置している。歯車変速機26は、第1の歯車軸28と第2の歯車軸29とを有している。第1の歯車軸28は、歯車変速機26の入力端に位置し、クランクケース23に複数の軸受30を介して支持されている。第2の歯車軸29は、歯車変速機26の出力端に位置し、クランクケース23に軸受31を介して支持されている。第1及び第2の歯車軸28,29は、クランク軸25と平行をなすとともに、互いに噛み合っている。
第2の歯車軸29の一端にドライブスプロケット33が固定されている。ドライブスプロケット33は、クランクケース23の左側方に露出している。このドライブスプロケット33と後輪16のドリブンスプロケット34との間には、チェーン35が巻き掛けられている。
クランクケース23は、ドライブスプロケット33とは反対側の右側面に円形の開口部36を有している。開口部36は、歯車変速機26をクランクケース23に出し入れするためのものであり、クランクケース23の後端部に位置している。この開口部36は、円盤状のクラッチカバー37で塞がれている。クラッチカバー37は、クランクケース23の右側の外壁を兼ねており、このクランクケース23の右側面に露出している。
図3及び図4に示すように、エンジン21のシリンダ24は、クランクケース23の前端から前方に向けて略水平に突出している。シリンダ24は、ピストン39を収容している。ピストン39は、コネクティングロッド40を介してクランク軸25のクランクウェブ41a,41bに連結されている。
クランクケース23の右側面に合成樹脂製の伝動ケース42が取り付けられている。伝動ケース42は、クランクケース23の前後方向に延びる中空の箱状であり、上記ベルト式連続無段変速装置(以下、CVT(Continuously
Variable Transmission)という)22を収容している。
CVT22は、図4に示すように、プライマリシーブ43、セカンダリシーブ44及びVベルト45を備えている。プライマリシーブ43は、伝動ケース42の前端部に位置するとともに、クランク軸25の右端部に支持されている。詳しく述べると、クランク軸25の右端に位置するジャーナル部25aは、伝動ケース42の前端部に向けて延長された延長部分を有し、この延長部分が入力軸46を兼ねている。入力軸46は、伝動ケース42の内側に導入されており、この入力軸46の上にプライマリシーブ43が支持されている。
プライマリシーブ43は、固定シーブ体47と可動シーブ体48とを備えている。固定シーブ体47は、入力軸46の軸端に固定されて、クランク軸25と一体に回転するようになっている。可動シーブ体48は、入力軸46の上にカラー49を介して支持されている。可動シーブ体48は、固定シーブ体47に近づいたり遠ざかる方向にスライド可能であるとともに、入力軸46の周方向に回転可能となっている。
固定シーブ体47及び可動シーブ体48は、径方向に沿う外側に進むに従い互いに遠ざかる方向に傾斜している。これら固定シーブ体47と可動シーブ体48との間にV形の断面形状を有する第1のベルト溝(V構)50が形成されている。第1のベルト溝50の幅は、可動シーブ体48のスライドによって調整可能となっている。
入力軸46の上にカムプレート51が固定されている。カムプレート51は入力軸46と一体に回転するとともに、可動シーブ体48と向かい合っている。カムプレート51と可動シーブ体48とは、一体に回転しつつ互いに近づいたり遠ざかる方向に移動可能となっている。
可動シーブ体48は、カムプレート51と向かい合う複数のカム面52(一つのみを図示)を有している。各カム面52とカムプレート51との間にローラウエイト53が介在されている。ローラウエイト53は、クランク軸25の回転により発生する遠心力に応じてカム面52に沿って移動する。この移動により、可動シーブ体48が入力軸46の軸方向にスライドし、第1のベルト溝50の幅が変化するようになっている。
セカンダリシーブ44は、伝動ケース42の後端部に位置するとともに、回転軸としての出力軸55の上に支持されている。出力軸55は、クランク軸25と平行をなすとともに、上記クラッチカバー37を貫通して伝動ケース42とクランクケース23との間に跨っている。出力軸55は、クラッチカバー37、クランクケース23及び歯車変速機26の第2の歯車軸29にそれぞれ軸受59を介して支持されており、第2の歯車軸29と同軸状をなしている。このため、出力軸55は、伝動ケース42の内部に位置する第1の部分55aと、クランクケース23の内部に位置する第2の部分55bとを有している。
セカンダリシーブ44は、固定シーブ体56と可動シーブ体57とを備えている。固定シーブ体56は、その回転中心部に円筒状のカラー58を有している。カラー58は、出力軸55と一体に回転するように、出力軸55の第1の部分55aに噛み合っている。可動シーブ体57は、その回転中心部にスリーブ60を有している。スリーブ60は、カラー58の上に軸方向にスライド可能に装着されているとともに、複数の係合ピン61を介してカラー58に引っ掛かっている。
このため、可動シーブ体57は、固定シーブ体56と一体に回転しつつ、この固定シーブ体56に近づく方向又は遠ざかる方向に移動可能となっている。
固定シーブ体56及び可動シーブ体57は、径方向に沿う外側に進むに従い互いに遠ざかる方向に傾斜している。これら固定シーブ体56と可動シーブ体57との間にV形の断面形状を有する第2のベルト溝(V溝)62が形成されている。第2のベルト溝62の幅は、可動シーブ体57のスライドによって調整可能となっている。さらに、可動シーブ体57は、圧縮コイルスプリング63を介して第2のベルト溝62の幅を減じる方向に付勢されている。
上記Vベルト45は、クランク軸25からプライマリシーブ43に伝えられたトルクをセカンダリシーブ44に伝達するためのものである。このVベルト45は、プライマリシーブ43の第1のベルト溝50とセカンダリシーブ44の第2のベルト溝62との間に無端状に巻き掛けられている。
エンジン21がアイドリング運転をしている時のようにクランク軸25の回転数が低い状態では、ローラウエイト53はプライマリシーブ43の回転中心部に片寄っている。このため、可動シーブ体48は固定シーブ体47から最も遠ざかった位置にあり、プライマリシーブ43に対するVベルト45の巻き掛け径が最小となっている。
一方、セカンダリシーブ44では、可動シーブ体57が圧縮コイルスプリング63によって固定シーブ体56に最も近づく位置まで押圧されている。これにより、第2のベルト溝62に巻き掛けられたVベルト45は、セカンダリシーブ44の外周部に押し出されており、セカンダリシーブ44に対するVベルト45の巻き掛け径が最大となっている。よって、CVT22の変速比が最大となる。
クランク軸25の回転数が上昇するに従い、ローラウエイト53に加わる遠心力が増大する。このため、ローラウエイト53が可動シーブ体48の半径方向外方に向けて移動を開始するとともに、可動シーブ体48のカム面52に押し付けられる。このローラウエイト53の移動により、可動シーブ体48が固定シーブ体47に向けてスライドし、第1のベルト溝50の幅が徐々に狭まる。この結果、固定シーブ体47と可動シーブ体48との間で狭持されたVベルト45がプライマリシーブ43の半径方向外方に押し出され、プライマリシーブ43に対するVベルト45の巻き掛け径が大きくなる。
逆にセカンダリシーブ44にあっては、Vベルト45がセカンダリシーブ44の回転中心部に向けて引張られる。これにより、可動シーブ体57が圧縮コイルスプリング63の付勢力に抗して固定シーブ体56から遠ざかる方向にスライドし、第2のベルト溝62の幅が徐々に広がる。このため、セカンダリシーブ44に対するVベルト45の巻き掛け径が小さくなる。よって、CVT22の変速比が小さくなり、プライマリシーブ43に対するVベルト45の巻き掛け径が最大となった時点でCVT22の変速比が最小となる。
したがって、CVT22は、プライマリシーブ43及びセカンダリシーブ44に対するVベルト45の巻き掛け径を変化させることで減速比を無段階的に変えている。セカンダリシーブ44に取り出されたトルクは、固定シーブ体56から出力軸55を介して歯車変速機26に伝えられる。
図4及び図5に示すように、出力軸55は、遠心式クラッチ70を介して歯車変速機26の第1の歯車軸28に連結されている。遠心式クラッチ70は湿式多板形であり、出力軸55の第2の部分55bに取り付けられて、セカンダリシーブ44に並設してある。遠心式クラッチ70は、クランクケース23の後部に収容されており、このクランクケース23内のオイルによって潤滑されるようになっている。また、遠心式クラッチ70は、上記開口部36を通じてクランクケース23に出し入れされる。
遠心式クラッチ70は、円筒状のクラッチハウジング71と、このクラッチハウジング71の内側に収容されたクラッチボス72とを備えている。クラッチハウジング71は、ダイキャスト成形品であり、例えば、ダイキャスト用アルミニウム合金で作られている。
図5〜図8に示すように、クラッチハウジング71は、円盤状のハウジング本体73を有している。ハウジング本体73は、上記クラッチカバー37と向かい合うとともに、その中心部に出力軸55が貫通するボス部74を備えている。ボス部74は出力軸55と一体に回転するように、この出力軸55の第2の部分55bの外周面に噛み合っている。
ハウジング本体73の外周端には外周壁75が形成されている。外周壁75は、出力軸55の軸方向に沿うとともに、上記歯車変速機26に向けて突出している。外周壁75には複数の切り欠き76が形成されている。切り欠き76は、外周壁75の先端からハウジング本体73に向けて切り込まれているとともに、ハウジング本体73の周方向に間隔を存して並んでいる。
クラッチハウジング71は、四枚の第1のクラッチ板78を支持している。第1のクラッチ板78は、外周壁75の内側に同軸状に並べて収容されている。第1のクラッチ板78の外周部は、切り欠き76に引っ掛かっており、これにより第1のクラッチ板78とクラッチハウジング71とが一体に回転するようになっている。
隣り合う第1のクラッチ板78の間にそれぞれ板ばね79が介在されている。板ばね79は、第1のクラッチ板78を互いに遠ざかる方向に付勢しており、第1のクラッチ板78の張り付きを防止している。
上記クラッチボス72は、クラッチハウジング71の外周壁75によって取り囲まれている。クラッチボス72は、その中心部に出力軸55が貫通するボス部81を有している。ボス部81と出力軸55との間に円筒状の中継軸82が配置されている。中継軸82は、出力軸55の上に一対の軸受83を介して回転自在に支持されているとともに、クラッチボス72と一体に回転するように、そのボス部81の内面に噛み合っている。
クラッチボス72は、第2のクラッチ板としての三枚のフリクションプレート86を支持している。フリクションプレート86は、ピン87を介して同軸状に保持されている。フリクションプレート86の内周部は、クラッチボス72の外周部に引っ掛かっており、これによりフリクションプレート86とクラッチボス72とが一体に回転するようになっている。フリクションプレート86は、第1のクラッチ板78の間に介在されて、この第1のクラッチ板78と向かい合っている。
隣り合うフリクションプレート86の間にそれぞれ圧縮コイルスプリング88が介在されている。圧縮コイルスプリング88は、ピン87の上に装着されてフリクションプレート86を互いに遠ざかる方向に付勢しており、これらフリクションプレート86の張り付きを防止している。
クラッチボス72と一体に回転する中継軸82は、出力歯車89を一体に備えている。出力歯車89は、出力軸55の上でボス部81と並んでいる。出力歯車89は、上記第1の変速軸28の軸端に固定した入力歯車90と噛み合っている。この噛み合いにより、クラッチボス72と第1の変速軸28とが一体に回転するようになっている。
ここで、図5及び図8に示すように、上記クラッチハウジング71のハウジング本体73は、ボス部74の半径方向Y外方Y2に達成され、上記クラッチボス72よりも外側に張り出す円盤状壁部91を備えている。この円盤状壁部91は、その半径方向Y内方Y1に形成され、上記ボス部74から回転軸方向X一側X1に向かって突出する第1壁部91Aと、この第1壁部91Aよりも半径方向Y外方Y2に形成され、回転軸方向X他側X2に向かって傾斜する第2壁部91Bとを備えている。
これら第1及び第2壁部91A,91Bの回転軸方向X他側X2に形成された凹内面を、後述するローラウエイト103を移動可能に支持する支持部92としてある。この支持部92は、クラッチハウジング71の内側に露出している。また、この支持部92の反対側に位置する外面93は、クラッチカバー(外壁)37と向かい合っている。
支持部92の半径方向Y外方Y2の傾斜した内面に、ローラウエイト103が遠心力を受けて移動するときに、このローラウエイト103を第1のクラッチ板78の方向に押し出すカム面102を一体的に形成してある。このカム面102については、後に詳述する。
本実施形態では、凹内面である支持部92と凸状の外面93とは、ともにハウジング本体73の半径方向Y外方Y2に進むに従い第1のクラッチ板78に近づく方向に傾斜している。言換えると、ハウジング本体73の円盤状壁部91は、肉厚を略一定に維持したまま半径方向Y外方Y2に進むに従い第1のクラッチ板78に近づく方向に傾斜している。
上記クラッチカバー37は、CVT22の方向からハウジング本体73を覆っている。クラッチカバー37は、ハウジング本体73の円盤状壁部91に沿うように円弧状に湾曲する湾曲部94を有している。この湾曲部94の存在により、クラッチカバー37は、半径方向Y外方Y2に進むに従い、伝動ケース42から遠ざかるように傾斜している。これにより、クラッチカバー37と伝動ケース42との間に断熱用の空間95が形成されている。空間95は、クランクケース23の熱が伝動ケース42に伝わるのを遮断するためのものであり、これによりCVT22に対するエンジン21の熱影響を少なく抑えている。
本実施形態では、ハウジング本体73の円盤状壁部91の第2壁部91B、クラッチカバー37の湾曲部94、及び伝動ケース42のうちクラッチカバー37と固定シーブ体56との間に介在される部分が、それぞれセカンダリシーブ44の固定シーブ体56に沿うように傾いている。
言換えると、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1に並設された部品、すなわち、クラッチカバー37、セカンダリシーブ44の固定シーブ体56、及び伝動ケース42のうちクラッチカバー37と固定シーブ体56との間に介在される部分(以下、単に部品37,56,42と総称する場合がある)の、回転軸方向X他側X2の外面を、その半径方向Y外方Y2が回転軸方向X他側X2に向かって突出する形状としてある。これにより、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1の外面と、上記部品37,56,42の回転方向X他側X2の外面とが互いに接近可能な対応形状となる。
また、本実施形態では、ハウジング本体73と上記部品37,56,42との、回転軸(出力軸55)を中心とした半径方向Yの大きさを、互いにほぼ同じ大きさとしてある。
図5〜図9に示すように、ハウジング本体73の円盤状壁部91の支持部(凹内面)92に複数のガイド部100が形成されている。ガイド部100は、ボス部74を取り囲むようにハウジング本体73の周方向に間隔を存して並んでいるとともに、ボス部74を中心に放射状に延びている。
各ガイド部100は、一対のガイド壁101a,101bと上記カム面102とを備えている。ガイド壁101a,101bは、ハウジング本体73の支持部(凹内面)92から垂直に起立するとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。このため、各ガイド部100は、クラッチハウジング71の内側に向けて開放するような溝状をなしている。
カム面102は、ハウジング本体73に一体に形成されている。カム面102は、ガイド壁101a,101bの間に位置するとともに、ハウジング本体73の支持部(凹内面)92から僅かに張り出している。カム面102は、ハウジング本体73の半径方向Y外方Y2に進むに従い第1のクラッチ板78に近づくように傾斜している。言換えると、カム面102は、ハウジング本体73の円盤状壁部91の支持部92及び外面93に沿うように傾斜している。
なお、ハウジング本体73に一体に形成したカム面102も、このハウジング本体73と同じダイキャスト用アルミニウム合金からなるが、後述する鉄系の焼結金属からなるローラウエイト103との関係で、耐久性及び耐摩耗性に特に問題はない。すなわち、ローラウエイト103は、アイドリングから発進までの僅かな間に移動するのみであり、実験の結果、カム面102をハウジング本体73の支持部92に一体化しても、耐久性、耐摩耗性に問題のないことを確認した。
図5及び図10に示すように、ハウジング本体73のガイド部100にそれぞれ上記ローラウエイト103が設置されている。ローラウエイト103は、ピボット軸104、円盤状をなす一対のガイド板105a,105b及び円柱状のローラ本体106を備えている。ガイド板105a,105bは、ピボット軸104の上に同軸状に固定されているとともに、このピボット軸104の軸方向に互いに離れている。ローラ本体106は、例えば、鉄系の焼結金属で作られている。ローラ本体106は、ピボット軸104の上に回転自在に支持されるとともに、ガイド板105a,105bの間に摺動可能に介在されている。
ローラウエイト103のガイド板105a,105bは、それぞれガイド壁101a,101bに摺動可能に接している。ガイド板105a,105bの外周面は、カム面102と向かい合う一つの第1のクラッチ板78に摺動可能に接している。ローラ本体106の外周面は、カム面102に摺動可能に接している。このため、ローラウエイト103は、ピボット軸104を出力軸55と直交させた姿勢で一つの第1のクラッチ板78とカム面102との間に介在されている。
ローラウエイト103は、クラッチハウジング71の回転により生じる遠心力に応じてクラッチハウジング71の半径方向Yに移動する。具体的には、クラッチハウジング71の回転数が上昇するに従いローラウエイト103に加わる遠心力が増大する。この遠心力が予め決められた値に達すると、ローラウエイト103がクラッチハウジング71の半径方向Y外方Y2に向けて移動を開始するとともに、カム面102に追従して第1のクラッチ板78に押し付けられる。この結果、第1のクラッチ板78とフリクションプレート86とが互いに圧着し合い、遠心式クラッチ70がトルクの伝達を可能とするクラッチインの状態となる。
したがって、CVT22のセカンダリシーブ44から出力軸55を介してクラッチハウジング71に伝達されたトルクは、第1のクラッチ板78及びフリクションプレート86を通じてクラッチボス72に伝わる。クラッチボス72に伝えられたトルクは、互いに噛み合う中継歯車90と出力歯車89を介して歯車変速機26に取り出されるとともに、ここからチェーン35を介して後輪16に伝わる。
クラッチハウジング71の回転数の低下に伴い、ローラウエイト103に加わる遠心力が予め決められた値を下回ると、ローラウエイト103がクラッチハウジング71の半径方向Y内方Y1に向けて移動する。これにより第1のクラッチ板78とフリクションプレート86との圧着が解除され、遠心式クラッチ70がトルクの伝達を断つクラッチオフの状態に移行する。
図8に示すように、カム面102は、第1の領域102aと第2の領域102bとを有している。第1及び第2の領域102a,102bは、ローラウエイト103の移動方向に連続して設けられている。第1の領域102aは、ローラウエイト103を第1のクラッチ板78に押し付ける方向に移動させるためのものである。第2の領域102bは、ローラウエイト103に加わる遠心力が低下した時に、第1のクラッチ板78とフリクションプレート86との圧着を解除する位置に上記ローラウエイト103を導くためのものである。このため、第1の領域102aは、第2の領域102bよりもクラッチハウジング71の半径方向Y外方Y2に位置している。
第1の領域102aは、出力軸55の軸線と平行をなす基準線P1に対する傾斜角度がθ1に設定されている。同様に、第2の領域102bは、基準線P1に対する傾斜角度がθ2に設定されており、この傾斜角度θ2は、傾斜角度θ1よりも小さく設定されている。
このため、カム面102の第2の領域102bは、第1の領域102aよりもローラウエイト103が第1のクラッチ板78から遠ざかる方向に移動し易いような形状をなしており、上記方向へのローラウエイト103の移動量が十分に確保されている。よって、ローラウエイト103がトルクの伝達を遮断する位置に移動した時に、第1のクラッチ板78とフリクションプレート86とが確実に切り離され、遠心式クラッチ70の切れが良好となる。
なお、上述したように、カム面102は、ハウジング本体73の円盤状壁部91の支持部92及び外面93に沿うように傾斜している。したがって、ハウジング本体73の円盤状壁部91を形成する第1壁部91Aの傾斜角度θ3は、第1の領域102aの傾斜角度θ1とほぼ同じ(傾斜角度θ1の方がθ3よりも若干小さい)に設定してある。
以上説明したように、本実施形態のクラッチハウジング71、遠心式クラッチ70、パワーユニット20及び鞍乗型車両(自動二輪車)1では、ハウジング本体73を構成する円盤状壁部91において、ローラウエイト103の支持部(凹内面)92に対応する第1壁部91Aを回転軸方向X一側X1に突出させるとともに、カム面102の機能を確保しつつリテーナを排除したうえで、上記カム面102に対応する第2壁部91Bを、回転軸方向他側に向かって傾斜させている。これにより、ハウジング本体73を必要最低限の無駄のない形状とすることができ、クラッチハウジング71をその回転軸方向X及び半径方向Yにコンパクト化することができる。
これに加え、クラッチハウジング71からカム面102を形成する専用のリテーナを排除することができ、遠心式クラッチ70の部品点数及び組み立て工数を削減することができる。よって、製造コストを低減して安価な遠心式クラッチ70を提供できるとともに、遠心式クラッチ70の軽量化が可能となる。
また、ハウジング本体73の円盤状壁部91に形成したカム面102に、ローラウエイト103が受ける遠心力が低下したときに、このローラウエイト103を第1のクラッチ板78の圧着を解除する位置に導く第2の領域102bを設けてある。これにより、第1のクラッチ板78とフリクションプレート(第2のクラッチ板)86とが確実に切り離され、遠心式クラッチ70の切れが良好となる。
さらに、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1に並設された部品37,56,42の回転軸方向X他側X2の外面を、その半径方向Y外方Y2が回転軸方向X他側X2に向かって突出する形状としてある。これにより、ハウジング本体73の回転軸方向X一側X1の外面と、上記部品37,56,42の回転方向X他側X2の外面とが互いに接近可能な対応形状となる。この結果、ハウジング本体73の回転軸方向Xに並設された上記部品37,56,42を、互いに接近配置させて回転軸方向Xのコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニット20を車幅方向(=回転軸方向X)にコンパクト化することができる。
これに加え、上記構成によると、クラッチハウジング71のハウジング本体73の円盤状壁部91は、肉厚を略一定としたまま、その半径方向外方に進むに従い第1のクラッチ板78に近づく方向に傾いている。このため、クラッチハウジング71のハウジング本体73と外周壁75とで規定される角部が斜めにカットされた形状となり、クラッチハウジング71の外形寸法を小さく抑えることができる。したがって、クランクケース23の内部空間に対するクラッチハウジング71の占有面積が小さくなり、遠心式クラッチ70を大きさの限られたクランクケース23の内部に無理なく組み込むことができる。
なお、この構成により、クラッチカバー37と固定シーブ体56との間隔を略一定に保つことができる。この結果、伝動ケース42のうちクラッチカバー37と固定シーブ体56との間に介在される部分の形状を簡略化できるとともに、上記断熱用の空間95を容易に形成することができる。
また、ハウジング本体73と上記部品37,56,42との、回転軸を中心とした半径方向Yの大きさを、互いにほぼ同じ大きさとしてある。これにより、ハウジング本体73の回転軸方向Xに並設された上記部品37,56,42を含む複数部品群の、半径方向Yのコンパクト化を図ることができる。
さらに、遠心式クラッチ70のハウジング本体73の回転軸方向X一側X1に、セカンダリシーブ44の固定シーブ体56を配置してある。これにより、ハウジング本体73と固定シーブ体56の間に、可動シーブ体57を移動させるための機構が介在することがない。この結果、ハウジング本体73と固定シーブ体56及びこれらの間に並設された上記部品37,42を、互いに接近配置させて回転軸方向Xのコンパクト化を図ることができ、最終的にパワーユニット20を車幅方向(=回転軸方向X)にコンパクト化することができる。
これに加え、エンジン(駆動源)21のクランクケース23内に遠心式クラッチを収容するとともに、CVT22を伝動ケース42に収容している。そして、この伝動ケース42とハウジング本体73との間に介在するクラッチカバー37(外壁)の回転軸方向X他側X2の外面を、その半径方向Y外方Y2が回転軸方向X他側X2に向かって突出する形状とし、このクラッチカバー37と伝動ケース42との間に断熱用の空間95を形成している。これにより、クランクケース23からの熱が伝動ケース42に伝わることを遮断でき、CVT22に対するエンジン21の熱影響を少なく抑えることができる。
なお、本発明のクラッチハウジング、遠心式クラッチ、パワーユニット及び鞍乗型車両は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、クラッチハウジング71をセカンダリシーブ44の隣りに並設したが、これに限定されるものではなく、クラッチハウジング71をプライマリシーブ43の隣りに並設する構成としてもよい。
また、プライマリシーブ43及びセカンダリシーブ44を収容する伝動ケース42を、エンジン21の一部を構成するクランクケース23と別体としたが、これに限定されるものではなく、伝動ケース42をクランクケース23と一体成形して部品点数の削減を図り、パワーユニット20の構成の簡単化を図ることができる。
また、本発明のパワーユニットの適用の対象となる鞍乗型車両は、図1に示す形式の自動二輪車に限定されるものではなく、例えば、二輪又は三輪の電動機付き自転車(モータバイク)、スクータやオンロード又はオフロードといった各種形式の自動二輪車、四輪バギー(全地形型車両)、スノーモービル等の鞍乗型車両に適用することもできる。
さらに、上記実施形態では、駆動源としてエンジン21を備えたパワーユニット20に本発明のクラッチハウジング、遠心式クラッチを適用した場合について説明したが、これに限定されず、駆動源として電気モータを備えたパワーユニットに本発明のクラッチハウジング、遠心式クラッチを適用することも可能である。さらに、駆動源は、モータとエンジンとを組み合わせたハイブリッドモジュールであってもよい。
本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両(自動二輪車)の側面図である。 上記自動二輪車のフレームと、本発明の一実施形態に係るパワーユニットとの位置関係を示す平面図である。 同じく上記自動二輪車におけるフレームと、本発明の一実施形態に係るパワーユニットとの位置関係を示す側面図である。 上記パワーユニット全体の内部構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る遠心式クラッチを示す図4の部分拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係るクラッチハウジングの正面図である。 図6の矢印A方向から見た上記クラッチハウジングの側面図である。 図6のF9−F9線に沿う断面図である。 図8のF10−F10線に沿う断面図である。 上記クラッチハウジングのカム面とローラウエイトとの位置関係を示す断面図である。
符号の説明
1…自動二輪車(鞍乗型車両)
16…被駆動部(後輪)
20…パワーユニット
21…4サイクル単気筒エンジン(駆動源)
22…ベルト式連続無段変速装置(CVT)
23…クランクケース
37…クラッチカバー(外壁)
42…伝動ケース
43…プライマリシーブ
44…セカンダリシーブ
45…Vベルト
47,56…個定シーブ体
48,57…可動シーブ体
50…第1のベルト溝(V溝)
55…出力軸(回転軸)
62…第2のベルト溝(V溝)
70…遠心式クラッチ
71…クラッチハウジング
72…クラッチボス
73…ハウジング本体
74…ボス部
75…外周壁
78…第1のクラッチ板
86…フリクションプレート(第2のクラッチ板)
91…円盤状壁部
91A…第1壁部
91B…第2壁部
92…支持部(凹内面)
95…断熱用の隙間
102…カム面
102a…第1の領域
102b…第2の領域
103…ローラウエイト(ウエイト)
104…ピボット軸
105a,105b…ガイド板
106…ローラ本体
X…回転軸方向
X1…一側
X2…他側
Y…半径方向
Y1…内方
Y2…外方

Claims (16)

  1. 遠心力を受けて移動可能なウエイトにより複数のクラッチ板を互いに圧着させる遠心式クラッチに用いられるクラッチハウジングであって、
    駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部、及びこのボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部を備えたハウジング本体を有し、
    上記円盤状壁部が、その半径方向内方に形成され、上記ボス部から回転軸方向一側に向かって突出する第1壁部と、この第1壁部よりも半径方向外方に形成され、回転軸方向他側に向かって傾斜する第2壁部とを備え、
    これら第1及び第2壁部の回転軸方向他側に形成された凹内面を、上記ウエイトを移動可能に支持する支持部とし、この支持部の半径方向外方の傾斜した内面に、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記クラッチ板の方向に押し出すカム面を一体的に形成したことを特徴とするクラッチハウジング。
  2. 遠心力を受けて移動可能なウエイトにより、クラッチハウジングに支持された第1のクラッチ板と、クラッチボスに支持された第2のクラッチ板とを互いに圧着させる遠心式クラッチであって、
    上記クラッチハウジングが、駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部、このボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部、及びこの円盤状壁部の外周縁から上記回転軸方向他側に向けて延設され、上記第1のクラッチ板を第2クラッチ板に対向させて保持する筒状の外周壁を有し、
    上記円盤状壁部が、その半径方向内方に形成され、上記ボス部から回転軸方向一側に向かって突出する第1壁部と、この第1壁部よりも半径方向外方に形成され、回転軸方向他側に向かって傾斜する第2壁部とを備え、
    これら第1及び第2壁部の回転軸方向他側に形成された凹内面を、上記ウエイトを移動可能に支持する支持部とし、この支持部の半径方向外方の傾斜した内面に、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の方向に押し出すカム面を一体的に形成したことを特徴とする遠心式クラッチ。
  3. 上記クラッチハウジングの円盤状壁部に形成した上記カム面の、半径方向外方を第1の領域、半径方向内方を第2の領域とし、上記第1の領域を、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の方向に押し出す傾斜面とするとともに、上記第2の領域を、上記ウエイトが受ける遠心力が低下したときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の圧着を解除する位置に導く傾斜面としたことを特徴とする請求項2記載の遠心式クラッチ。
  4. 上記ウエイトが、ピボット軸と、このピボット軸上に固定された一対のガイド板と、これらガイド板の間で上記ピボット軸上に回転自在に支持されたローラ本体とを有し、上記ローラ本体が、上記カム面に接触しながら移動することを特徴とする請求項2又は3記載の遠心式クラッチ。
  5. 被駆動部を駆動させるための駆動源、この駆動源の出力端に連結された変速装置、この速装置の出力端と上記被駆動部との間に介在された遠心式クラッチを備えたパワーユニットであって、
    上記遠心式クラッチが、遠心力を受けて移動可能なウエイトにより、クラッチハウジングに支持された第1のクラッチ板と、クラッチボスに支持された第2のクラッチ板とを互いに圧着させる構成であり、
    上記クラッチハウジングが、駆動源からのトルクを受けて回転する回転軸が挿通されるボス部、このボス部の半径方向外方に連成された円盤状壁部、及びこの円盤状壁部の外周縁から回転軸方向他側に向けて延設され、上記第1のクラッチ板を第2クラッチ板に対向させて保持する筒状の外周壁を有し、
    上記円盤状壁部が、その半径方向内方に形成され、上記ボス部から回転軸方向一側に向かって突出する第1壁部と、この第1壁部よりも半径方向外方に形成され、回転軸方向他側に向かって傾斜する第2壁部とを備え、
    これら第1及び第2壁部の回転軸方向他側に形成された凹内面を、上記ウエイトを移動可能に支持する支持部とし、この支持部の半径方向外方の傾斜した内面に、上記ウエイトが遠心力を受けて移動するときに、このウエイトを上記第1のクラッチ板の方向に押し出すカム面を一体的に形成したことを特徴とするパワーユニット。
  6. 上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に並設された部品を備え、この部品の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状としたことを特徴とする請求項5記載のパワーユニット。
  7. 上記部品が、上記クラッチハウジングの回転軸方向一側の外面を覆うクラッチカバーであることを特徴とする請求項6記載のパワーユニット。
  8. 上記変速装置が、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、
    上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に、上記プライマリーシーブ又はセカンダリシーブを配置し、
    上記部品が、上記クラッチハウジングと、上記プライマリーシーブ又はセカンダリシーブとの間に介在された部品であることを特徴とする請求項6記載のパワーユニット。
  9. 上記変速装置が、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、
    上記部品が、これらプライマリーシーブ又はセカンダリシーブであることを特徴とする請求項6記載のパワーユニット。
  10. 上記クラッチハウジングと上記部品との、上記回転軸を中心とした半径方向の大きさを、互いにほぼ同じ大きさとしたことを特徴とする請求項6記載のパワーユニット。
  11. 上記変速装置が、溝幅の変更可能なベルト巻き掛け用のV溝を形成するプライマリシーブとセカンダリシーブ、及びこれらプライマリシーブとセカンダリシーブの各V溝に巻き掛けられたVベルトを備えた連続無段変速装置であり、
    上記プライマリシーブ及びセカンダリシーブが、それぞれ一対の可動シーブ体と固定シーブ体とを備え、
    上記遠心式クラッチのクラッチハウジングの回転軸方向一側に、上記プライマリーシーブ又はセカンダリシーブの固定シーブ体を配置したことを特徴とする請求項5記載のパワーユニット。
  12. 上記駆動源が、上記遠心式クラッチを収容するクランケースを備えたエンジンであって、上記連続無段変速装置を伝動ケースに収容するとともに、この伝動ケースを上記クランクケースに付設し、これらクランクケースと伝動ケースとの間に跨る同一の上記回転軸上に、上記遠心式クラッチ及びセカンダリシーブを並設したことを特徴とする請求項8,9,10又は11記載のパワーユニット。
  13. 上記クランクケースが、上記回転軸上でクラッチハウジングと伝動ケースとの間に介在する外壁を備え、この外壁の回転軸方向他側の外面を、その半径方向外方が回転軸方向他側に向かって突出する形状とすることにより、この外壁と上記伝動ケースとの間に断熱用の空間を形成したことを特徴とする請求項12記載のパワーユニット。
  14. 請求項5〜11いずれか記載のパワーユニットを備えたことを特徴とする鞍乗型車両。
  15. 請求項12記載のパワーユニットを備えたことを特徴とする鞍乗型車両。
  16. 請求項13記載のパワーユニットを備えたことを特徴とする鞍乗型車両。
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