JP6059491B2 - 酸素吸蔵放出材 - Google Patents

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本発明は、酸素吸蔵放出材、詳しくは、内燃機関などから排出される排気ガスを浄化するための排ガス用浄化触媒のサポート材(酸素吸蔵放出機能向上材)として好適に用いられる酸素吸蔵放出材に関する。
自動車エンジンなどの内燃機関から排出される排気ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)などが含まれている。これらを浄化するための三元触媒として、活性成分である貴金属(Pt(白金)、Rh(ロジウム)およびPd(パラジウム)など)が耐熱性酸化物に担持または固溶している、排ガス浄化用触媒が種々知られている。
三元触媒の浄化性能は、排ガス中の空気と燃料との混合比が理論空燃比であるときに、最大限に発揮される。そして、排ガスの空燃比は、酸素センサを用いて排ガス中の酸素量を調節することによって制御される。しかし、内燃機関の運転条件は様々に変化するので、酸素センサのみでは、排ガスの空燃比を、常に理論空燃比に制御することは困難である。
そのため、三元触媒には、排ガス中の酸素量を調節することのできる酸素吸蔵放出機能(OSC機能:Oxygen Storage Capasity)を有する酸素吸蔵放出材が不可欠である。酸素吸蔵放出材は、排ガス中のOがリッチな状態では、排ガス中の過剰酸素を吸蔵し、三元触媒によるNOの還元反応を促進させる。一方、排ガス中のCOおよびHCがリッチな状態では、排ガス中に不足する酸素を放出し、三元触媒による酸化反応を促進させる。
また、近年では、排ガス規制の強化により、エンジンの始動初期から排ガスを浄化することが望まれており、そのため、比較的低温条件下において酸素吸蔵放出機能を発現することができる酸素吸蔵放出材が望まれている。
このような酸素吸蔵放出材としては、例えば、セリウム酸化物を含む担体と、遷移金属及び貴金属からなり少なくともセリウム酸化物に担持された触媒金属とよりなり、遷移金属の貴金属に対する原子比が1.62〜25である排ガス浄化用触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−220336号公報
一方、特許文献1に記載の触媒に用いられる貴金属は高価であるため、その使用量を低減し、低コスト化を図ることが要求されている。
本発明の目的は、貴金属の使用量を低減し、効率良く貴金属を使用するとともに、比較的低温条件下においても優れた酸素吸蔵放出機能を発現することのできる酸素吸蔵放出材を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の酸素吸蔵放出材は、セリア系酸化物を含む耐熱性酸化物に、パラジウムおよび鉄、および/または、それらの合金が担持されており、パラジウムの含有量に対する鉄の含有量の原子比(Fe/Pd)が、30以上であることを特徴としている。
本発明の酸素吸蔵放出材によれば、効率良く貴金属を使用することができるため、比較的低温条件下においても優れた酸素吸蔵放出機能を発現することができ、さらに、低コスト化を図ることができる。
各実施例および各比較例の粉末の酸素の吸蔵および放出による質量変化率を示す。 実施例1〜2および比較例1におけるPdの担持量と質量変化率の増加率との関係を示す。
本発明の酸素吸蔵放出材では、耐熱性酸化物に、パラジウム(Pd)および鉄(Fe)、および/または、それらの合金が担持されている。
この酸素吸蔵放出材において、耐熱性酸化物は、必須成分として、セリア系酸化物を含有している。
セリア系酸化物としては、例えば、酸化セリウム(CeO)や、例えば、下記一般式(1)で表されるセリア系複合酸化物が挙げられる。
Ce1−(a+b)Zr2−c (1)
(式中、Lは、希土類元素(ただし、Ceを除く。)および/またはアルカリ土類金属を示し、aは、Zrの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Ceの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(1)において、Lで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)などが挙げられる。
また、Lで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。
これら希土類元素およびアルカリ土類金属は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、aで示されるZrの原子割合は、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
また、bで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、1−(a+b)で示されるCeの原子割合は、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.4〜0.6の範囲である。また、1−(a+b)で示されるCeの原子割合は、後述する一般式(2)のdで示されるCeの原子割合よりも多いことが好適である。
さらに、cは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このようなセリア系複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によって、製造することができる。
また、耐熱性酸化物としては、上記のセリア系酸化物を含有していればよく、さらに、その他の耐熱性酸化物、例えば、ジルコニア系酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、アルミナなどを併用することもできる。
ジルコニア系酸化物としては、例えば、二酸化ジルコニウム(ZrO)や、例えば、下記一般式(2)で示されるジルコニア系複合酸化物が挙げられる。
Zr1−(d+e)Ce2−f (2)
(式中、Rは、希土類元素(ただし、Ceを除く。)および/またはアルカリ土類金属を示し、dは、Ceの原子割合を示し、eは、Rの原子割合を示し、1−(d+e)は、Zrの原子割合を示し、fは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(2)において、Rで示される希土類元素としては、一般式(1)で示した希土類元素が挙げられる(ただし、Ceを除く。)。また、Rで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(1)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。これら希土類元素およびアルカリ土類金属は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、dで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
また、eで示されるRの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、1−(d+e)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
さらに、fは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびRの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このようなジルコニア系複合酸化物は、上記したセリア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
なお、ジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合とセリア系複合酸化物のCeの原子割合とが重複する場合は、本発明においては、その重複するジルコニア系複合酸化物は、セリア系複合酸化物に属するものとする。
ペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(3)で示される。
ABO (3)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
一般式(3)において、Aで示される希土類元素としては、一般式(1)で示した希土類元素およびCeが挙げられる。また、Aで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(1)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。
一般式(3)において、Bで示される貴金属を除く遷移元素およびAlとしては、例えば、周期律表(IUPAC、1990年)において、原子番号21(Sc)〜原子番号30(Zn)、原子番号39(Y)〜原子番号48(Cd)、および、原子番号57(La)〜原子番号80(Hg)の各元素(ただし、貴金属(原子番号44〜47および76〜78)を除く)、Alが挙げられ、好ましくは、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)およびAl(アルミニウム)が挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
このようなペロブスカイト型複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によって、製造することができる。
アルミナとしては、例えば、αアルミナ、θアルミナ、γアルミナなどが挙げられ、好ましくは、θアルミナが挙げられる。
αアルミナは、結晶相としてα相を有し、例えば、AKP−53(商品名、高純度アルミナ、住友化学社製)などが挙げられる。このようなαアルミナは、例えば、アルコキシド法、ゾルゲル法、共沈法などの方法によって得ることができる。
θアルミナは、結晶相としてθ相を有し、αアルミナに遷移するまでの中間(遷移)アルミナの一種であって、例えば、SPHERALITE 531P(商品名、γアルミナ、プロキャタリゼ社製)などが挙げられる。このようなθアルミナは、例えば、市販の活性アルミナ(γアルミナ)を、大気中にて、900〜1100℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。
γアルミナは、結晶相としてγ相を有し、特に限定されず、例えば、排ガス浄化用触媒などに用いられている公知のものが挙げられる。
また、これらのアルミナにLaおよび/またはBaが含まれるアルミナを用いることもできる。Laおよび/またはBaを含むアルミナは、特開2004−243305号の段落番号〔0073〕の記載に準拠して、製造することができる。
セリア系酸化物とその他の耐熱性酸化物とを併用する場合において、耐熱性酸化物の総量に対するセリア系酸化物の含有割合や、セリウムの含有割合は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、適宜設定される。
そして、酸素吸蔵放出材を得るには、上記の耐熱性酸化物に、パラジウム(Pd)と鉄(Fe)とを担持させる。
耐熱性酸化物にパラジウム(Pd)と鉄(Fe)とを担持させるには、例えば、まず、パラジウム(Pd)を含有する化合物(Pd含有化合物)、および、鉄(Fe)を含有する化合物(Fe含有化合物)と、耐熱性酸化物とを混合し、混合物(前駆体)を調製する。
Pd含有化合物およびFe含有化合物としては、例えば、各元素(Pd、Fe)の塩、各元素(Pd、Fe)のアルコキシドなどが挙げられる。
各元素の塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化塩、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。
また、各元素のアルコキシドとしては、例えば、各元素と、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのアルコキシとから形成されるアルコラートや、下記一般式(4)で示される各元素のアルコキシアルコラートなどが挙げられる。
M[OCH(R)−(CH−OR (4)
(式中、Mは、PdまたはFeを示す。R1は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、iは、1〜3の整数、jは、2〜4の整数を示す。)
アルコキシアルコラートは、より具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトキシプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
このようなPd含有化合物およびFe含有化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、あるいは、複数種類を併用することもできる。
また、このようなPd含有化合物およびFe含有化合物のなかでは、好ましくは、各元素の硝酸塩などの無機塩が挙げられる。
Pd含有化合物およびFe含有化合物と、耐熱性酸化物とを混合する方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、Pd含有化合物およびFe含有化合物を、溶媒に溶解して金属溶液を調製し、この金属溶液を耐熱性酸化物に含浸させた後、乾燥させる方法などが挙げられる。
金属溶液としては、例えば、各元素の塩を水に溶解した含塩水溶液、各元素のアルコキシドを有機溶媒に溶解したアルコキシド溶液などが挙げられる。
含塩水溶液は、例えば、上記した各元素の塩に、水を加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
アルコキシド溶液は、例えば、上記した各元素のアルコキシドに、有機溶媒を加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されないが、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。
これら有機溶媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、これら有機溶媒のなかでは、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
このような金属溶液のなかでは、好ましくは、各元素の塩を水に溶解した含塩水溶液が挙げられる。
金属溶液を耐熱性酸化物に含浸させる条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、時間が、例えば、1〜10分である。
含浸させた後、乾燥させる条件としては、乾燥温度が、例えば、50〜250℃、好ましくは、80〜200℃、乾燥時間が、例えば、1〜48時間、好ましくは、5〜30時間である。
これにより、Pd含有化合物およびFe含有化合物と、耐熱性酸化物との混合物(前駆体)が得られる。
次いで、得られた混合物を、大気中(酸化条件下)において、所定の加熱温度で熱処理(焼成)して、酸素吸蔵放出材を調製する。
熱処理温度としては、例えば、500〜800℃、好ましくは、600〜700℃である。熱処理する時間としては、例えば、0.5〜10時間、好ましくは、0.5〜5時間である。
これにより、セリア系酸化物を含む耐熱性酸化物に、パラジウムおよび鉄が担持された酸素吸蔵放出材を得ることができる。
また、必要により、還元雰囲気下(例えば、H−N混合ガス雰囲気下)において、例えば、500〜1000℃、好ましくは、600〜900℃で、例えば、0.5〜10時間、好ましくは、1〜5時間焼成することにより、FeとPdとを合金化することもできる。
得られた酸素吸蔵放出材における、PdおよびFeの含有割合は、PdおよびFeの総量100モルに対して、Pdが、例えば、0.5モル以上、好ましくは、0.8モル以上であり、例えば、10モル以下、好ましくは、5モル以下である。また、Feが、例えば、90モル以上、好ましくは、95モル以上であり、例えば、99.5モル以下、好ましくは、99.2モル以下である。
また、得られた酸素吸蔵放出材における、Pdの含有量に対するFeの含有量の原子比(Fe/Pd)は、30以上、好ましくは、45以上、より好ましくは、50以上であり、例えば、125以下、好ましくは、80以下、より好ましくは、60以下である。
また、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、例えば、0.03質量%以上、好ましくは、0.05質量%以上であり、例えば、1.0質量%以下、好ましくは、0.08質量%以下である。また、Feの含有割合は、触媒全量に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。
また、上記の酸素吸蔵放出材は、ジルコニア系複合酸化物、セリア系複合酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、アルミナなどと、適宜の割合で混合して用いることができる。
そして、このようにして得られる酸素吸蔵放出材によれば、効率良く貴金属を使用することができるため、比較的高温(例えば、400℃以上)条件下のみならず、比較的低温(例えば、400℃未満)条件下においても優れた酸素吸蔵放出機能を発現することができ、さらに、低コスト化を図ることができる。
そのため、本発明の酸素吸蔵放出材は、例えば、貴金属を含有する耐熱性複合酸化物(具体的には、ジルコニア系複合酸化物、セリア系複合酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、アルミナなど)のサポート材(酸素吸蔵放出機能向上材)として、好適に用いることができる。
その場合、耐熱性複合酸化物と本発明の酸素吸蔵放出材とを配合して、本発明の酸素吸蔵放出材を、耐熱性複合酸化物に担持または混合させればよい。
耐熱性複合酸化物と本発明の酸素吸蔵放出材との配合割合は、特に制限されないが、例えば、本発明の酸素吸蔵放出材1質量部に対して、耐熱性複合酸化物が、1〜100質量部、好ましくは、1〜10質量部である。
そして、耐熱性複合酸化物と本発明の酸素吸蔵放出材とを配合して得られる排ガス浄化用触媒では、本発明の酸素吸蔵放出材が含まれているので、低コストで、比較的低温下においても、長期にわたって優れた触媒活性を発現することができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
製造例1(セリア系複合酸化物(1)の製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.0238molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.0667molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.0057molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.0038molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.238Zr0.667La0.0570.038Oxideで示されるセリア系複合酸化物(1)の粉末を得た。
得られたセリア系複合酸化物(1)において、Ceの含有量は、CeO換算で30.0質量%、Zrの含有量は、ZrO換算で60.1量%、Laの含有量は、La換算で6.8質量%、Yの含有量は、Y換算で3.1質量%であった。
実施例1
硝酸パラジウム(パラジウム4.4質量%)0.057質量部と硝酸鉄(III)・9水和物(鉄13.7質量%)1.096質量部とを、水50質量部に溶解して、金属溶液51.153質量部を調製した。
次いで、製造例1において得られたセリア系複合酸化物(1)粉末4.8475質量部に、水50質量部を添加した金属溶液51.153質量部を混合し、混合物を調製した。
その後、180℃で攪拌しながら乾燥させ、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、0.05質量%、Feの含有割合は、3質量%、Pdの含有量に対するFeの含有量の原子比(Fe/Pd)は、114.3であった。
実施例2
硝酸パラジウム(パラジウム4.4質量%)0.114質量部と硝酸鉄(III)・9水和物(鉄13.7質量%)1.096質量部とを、水50質量部に溶解して、金属溶液を調製した点、および、セリア系複合酸化物(1)粉末4.845質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、0.1質量%、Feの含有割合は、3質量%、Pdの含有量に対するFeの含有量の原子比(Fe/Pd)は、57.2であった。
比較例1
硝酸パラジウム(パラジウム4.4質量%)1.136質量部と硝酸鉄(III)・9水和物(鉄13.7質量%)1.096質量部とを、水50質量部に溶解して、金属溶液を調製した点、および、セリア系複合酸化物(1)粉末4.8質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、1.0質量%、Feの含有割合は、3質量%、Pdの含有量に対するFeの含有量の原子比(Fe/Pd)は、5.72であった。
比較例2
硝酸鉄(III)・9水和物(鉄13.7質量%)1.096質量部を、水50質量部に溶解して、金属溶液を調製した点、および、セリア系複合酸化物(1)粉末4.85質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のFeの含有割合は、触媒全量に対して、3質量%であった。
比較例3
硝酸パラジウム(パラジウム4.4質量%)0.057質量部を、水50質量部に溶解して、金属溶液を調製した点、および、セリア系複合酸化物(1)粉末4.9975質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、0.05質量%であった。
比較例4
硝酸パラジウム(パラジウム4.4質量%)0.114質量部を、水50質量部に溶解して、金属溶液を調製した点、および、セリア系複合酸化物(1)粉末4.995質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、0.1質量%であった。
比較例5
硝酸パラジウム(パラジウム4.4質量%)1.136質量部を、水50質量部に溶解して、金属溶液を調製した点、および、セリア系複合酸化物(1)粉末4.95質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、1.0質量%であった。
製造例2(セリア系複合酸化物(2)の製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.0523molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.0365molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.0066molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.0046molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.523Zr0.365La0.0460.066Oxideで示されるセリア系複合酸化物(2)の粉末を得た。
得られたセリア系複合酸化物(2)において、Ceの含有量は、CeO換算で60.0質量%、Zrの含有量は、ZrO換算で30.0質量%、Laの含有量は、La換算で5.0質量%、Yの含有量は、Y換算で5.0質量%であった。
実施例3
セリア系複合酸化物(1)に代えてセリア系複合酸化物(2)粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、0.05質量%、Feの含有割合は、3質量%、Pdの含有量に対するFeの含有量の原子比(Fe/Pd)は、114.3であった。
比較例6
セリア系複合酸化物(1)に代えてセリア系複合酸化物(2)粉末を用いた点以外は、比較例2と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のFeの含有割合は、触媒全量に対して、3質量%であった。
比較例7
セリア系複合酸化物(1)に代えてセリア系複合酸化物(2)粉末を用いた点以外は、比較例3と同様にして、酸素吸蔵放出材を得た。
なお、酸素吸蔵放出材のPdの含有割合は、触媒全量に対して、0.05質量%であった。
(評価)
以下に示す方法によって、各実施例および各比較例の酸素吸蔵放出材の酸素吸蔵放出機能(OSC機能)について評価した。
具体的には、まず、Oを50体積%含み、残部がNである酸化雰囲気に、実施例および比較例で得られた各粉末を40分間晒してOを吸蔵させ、その後、粉末の質量を測定した。その質量を酸化後質量と定義した。
次いで、Nを100体積%含む不活性雰囲気に、Oを吸蔵した粉末を3分間晒し、さらにHを20体積%含み、残部がNである還元雰囲気に7分間晒し、その後、粉末の質量を測定した。この質量を還元後質量と定義した。
なお、上記した酸化雰囲気は、リーン状態の混合気を燃焼した場合に排出される排気ガス雰囲気に相当し、還元雰囲気は、リッチ状態の混合気を燃焼した場合に排出される排気ガス雰囲気に相当する。
従って、酸化雰囲気に晒し後の粉末の質量(酸化後質量)から還元雰囲気にさらした後の粉末の質量(還元後質量)を差し引くことによって、リッチ状態の混合気を燃焼した排気ガス雰囲気において粉末が放出したOの質量(酸素放出量)を算出した。
なお、各雰囲気は、下記表1に示した組成のガスを、300×10−3/hrの流量で供給することによって調製し、また、雰囲気温度は、約400℃および200℃に維持した。
Figure 0006059491
また、酸化後質量および還元後質量から粉末の質量変化率を算出した。
質量変化率は、下記式によって計算することができる。この質量変化率は、粉末に吸蔵されたOが還元雰囲気で還元されることにより減少したOの質量割合を示しており、その値が大きいほどOの放出割合が高く、粉末のOSC機能が優れている。
質量変化率(%)=(1−還元後質量/酸化後質量)×100
以上のように求めた各粉末の酸素の吸蔵および放出による質量変化率を、表2に示す。また、グラフ化したものを図1に示す。
Figure 0006059491
(考察)
PdおよびFeを含有する各実施例の酸素吸蔵放出材によれば、PdまたはFeのみを含有する比較例2〜7の酸素吸蔵放出材に比べ、とりわけ、比較的低温条件(200℃)下において、優れた酸素吸蔵放出機能を発現することができることが確認された。
また、比較例1の酸素吸蔵放出材は、PdおよびFeを含有しており、比較的低温条件(200℃)下においても、優れた酸素吸蔵放出機能を発現することができるが、パラジウムの含有量に対する鉄の含有量の原子比(Fe/Pd)が30未満であるため、コスト性に劣ることが確認された。
具体的には、表3および図2に示すように、実施例1〜2および比較例1では、Fe3質量%に対して、Pdが0.05〜1.0質量%含有されており、Pdの含有量が多くなるにつれて、200℃における酸素吸蔵放出機能が向上している。
Figure 0006059491
しかし、実施例1と実施例2とを比較すると、Pd含有量を2倍にして、酸素吸蔵放出機能が23.3%向上している一方、実施例1と比較例1とを比較すると、Pd含有量を20倍(実施例2の10倍)に増加させたにもかかわらず、酸素吸蔵放出機能は43.3%(実施例2の約2倍)程度しか向上していない。すなわち、Pdの含有量と酸素吸蔵放出機能とは指数関数的な関係にあり、比較例1では、そのバランスに欠ける。
この点、図2を参照すると、Fe3質量%に対してPdを0.19質量%以下(パラジウムの含有量に対する鉄の含有量の原子比(Fe/Pd)が30以上)となる割合で含有させると、Pdを効率良く使用でき、低コスト化を図ることができると確認された。

Claims (1)

  1. セリア系酸化物を含む耐熱性酸化物に、酸化パラジウムおよび酸化鉄が担持されており、
    パラジウムの含有量に対する鉄の含有量の原子比(Fe/Pd)が、30以上であることを特徴とする、酸素吸蔵放出材。
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