JP5506286B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Description
これらを浄化するための触媒として、活性成分である貴金属(Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)など)が、セリア系複合酸化物、ジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト複合酸化物またはアルミナなどの耐熱性酸化物に、担持または固溶している排ガス浄化用触媒が種々知られている。
そこで、貴金属を不含有の触媒として、例えば、一般的な耐熱性酸化物であるアルミナ粉末に、Feなどを活性成分として担持することによって得られる、Fe/Al2O3などからなる触媒が種々検討されている。
また、特許文献1に記載の酸素吸蔵性セリウム系複合酸化物は、あくまでもサポート材であり、排ガスの浄化には、別途貴金属を活性成分とする排ガス浄化用触媒が必要である。
そのため、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時においても、セリアおよび/またはジルコニアを含有する酸化物中にFeが固溶することなく、Feの高い触媒活性を維持することができる。
セリア−ジルコニア系酸化物は、例えば、下記一般式(1)で表される。
Ce1−(a+b)ZraLbO2−c (1)
(式中、Lは、希土類元素(ただし、Ceを除く。)および/またはアルカリ土類金属を示し、aは、Zrの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Ceの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(1)において、Lで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)などが挙げられる。
これら希土類元素およびアルカリ土類金属は、単独使用または2種以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、希土類元素が挙げられ、具体的に好ましくは、Yが挙げられる。
また、bで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
さらに、cは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
共沈法では、例えば、上記した各元素の塩を所定の化学量論比で含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させた後、得られた共沈物を乾燥後、熱処理する。
その後、この混合塩水溶液に、中和剤を加えて共沈させる。中和剤としては、例えば、アンモニア、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などの有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなどの無機塩基が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが6〜10程度となるように加える。
また、クエン酸錯体法では、例えば、クエン酸と上記した各元素の塩とを、上記した各元素に対し化学量論比よりやや過剰のクエン酸水溶液を加えてクエン酸混合塩水溶液を調製し、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させた後、得られたクエン酸錯体を仮焼成後、熱処理する。
その後、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させる。乾固は、形成されるクエン酸錯体が分解しない温度、例えば、室温〜150℃程度で、水分を除去する。これによって、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させることができる。
また、アルコキシド法では、例えば、上記した各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比で含む混合アルコキシド溶液を調製し、この混合アルコキシド溶液に、水を加えて加水分解することにより、沈殿物を得る。
E[OCH(R1)−(CH2)i−OR2]j (2)
(式中、Eは、各元素を示し、R1は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、iは、1〜3の整数、jは、2〜4の整数を示す。)
アルコキシアルコラートは、より具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトキシプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されないが、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
そして、セリア−ジルコニア系酸化物にFeを混合するには、例えば、セリア−ジルコニア系酸化物にFeを担持させる。
含塩溶液としては、上記した例示の塩の溶液を用いてもよく、また実用的には、硝酸塩水溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。具体的には、硝酸鉄水溶液、塩化鉄水溶液などが挙げられる。
また、セリア−ジルコニア系酸化物にFeを担持させる他の方法として、例えば、セリア−ジルコニア系酸化物を構成する各元素を含む塩の溶液や混合アルコキシド溶液を共沈あるいは加水分解するときに、Fe塩の溶液を加えて、セリア−ジルコニア系酸化物の各成分とともにFeを共沈させて、その後、焼成する方法が例示される。
また、セリア−ジルコニア系酸化物は、全体として、すべてのセリア−ジルコニア系酸化物にFeが担持されていてもよく、また、Feが担持されているセリア−ジルコニア系酸化物と、Feが担持されていないセリア−ジルコニア系酸化物との両方を含んでいてもよい。
具体的には、酸化雰囲気を、例えば、1〜30分、還元雰囲気を、例えば、1〜30分の処理工程を含む1サイクルを設定し、このサイクルを、例えば、1〜20回実行する。これにより、前駆体酸化物を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露する。そして、前駆体酸化物の暴露中、各雰囲気温度を、例えば、300〜1000℃、好ましくは、500〜800℃に維持することにより、前駆体酸化物を各雰囲気で焼成する。
1 酸化雰囲気:O2(1〜100vol%)、CO2(0〜99vol%)、H2O(高温水蒸気)(0〜20vol%)およびN2(残部)を含むガス
2 還元雰囲気:H2(1〜100vol%)、CO(0〜20vol%)、CO2(0〜100vol%)、H2O(高温水蒸気)(0〜20vol%)およびN2(残部)を含むガス
3 不活性雰囲気:CO2(0〜100vol%)、H2O(高温水蒸気)(0〜20vol%)およびN2(残部)を含むガス
上記のように、前駆体酸化物を、大気雰囲気に暴露することなく、酸化還元雰囲気において焼成することにより、酸化還元処理の施された、本発明のFe担持セリア−ジルコニア系酸化物を得る。
触媒担体としては、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の触媒担体が挙げられる。触媒担体上に担持させるには、例えば、まず、上記により得られたFe担持セリア−ジルコニア系酸化物に、水を加えてスラリーとした後、これを触媒担体上にコーティングし、乾燥させ、その後、300〜800℃、好ましくは、300〜600℃で熱処理する。
そのため、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時においても、セリア−ジルコニア系酸化物中にFeが固溶することなく、Feの高い触媒活性を維持することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関やボイラなどから排出される排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒として、好適に使用することができる。
<製造例>
製造例1(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末の製造 Fe担持量:3.0重量%)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、得られたCe0.50Zr0.45Y0.05Oxide粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05Oxideで示されるFeが担持されたセリア−ジルコニア系複合酸化物(前駆体酸化物)の粉末を得た。Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05Oxide粉末において、Feの担持量(含有量)は、3.0重量%であった。
製造例2(Fe/Al2O3粉末の製造 Fe担持量:3.0重量%)
市販のθ−Al2O3粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Al2O3で示されるFeが担持されたθ−アルミナ粉末を得た。Fe/Al2O3粉末において、Feの担持量(含有量)は、3.0重量%であった。
製造例3(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末の製造 Fe担持量:5.0重量%)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、得られたCe0.50Zr0.45Y0.05Oxide粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05Oxideで示されるFeが担持されたセリア−ジルコニア系複合酸化物(前駆体酸化物)の粉末を得た。Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05Oxide粉末において、Feの担持量(含有量)は、5.0重量%であった。
製造例4(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末の製造 Fe担持量:10.0重量%)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH3)CH2OCH3)3]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、得られたCe0.50Zr0.45Y0.05Oxide粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05Oxideで示されるFeが担持されたセリア−ジルコニア系複合酸化物(前駆体酸化物)の粉末を得た。Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05Oxide粉末において、Feの担持量(含有量)は、10.0重量%であった。
<実施例および比較例>
下記実施例および比較例において実施された処理の方法を以下に示す。
1 1000℃酸化還元処理(R/L処理)
不活性雰囲気5分、酸化雰囲気10分、不活性雰囲気5分および還元雰囲気10分の計30分を1サイクルとし、このサイクルを10サイクル、合計5時間繰り返して、酸化物の粉末を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露した後、還元雰囲気のまま室温まで冷却する。
不活性雰囲気5分、酸化雰囲気10分、不活性雰囲気5分および還元雰囲気10分の計30分を1サイクルとし、このサイクルを10サイクル、合計5時間繰り返して、酸化物の粉末を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露した後、還元雰囲気のまま室温まで冷却する。
3 1000℃大気処理(Air処理)
酸化物の粉末を、電気炉にて、大気中、1000℃で5時間熱処理(焼成)する。
実施例1(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
実施例2(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
実施例3(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:5.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例3で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
実施例4(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:5.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例3で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例1(Fe/Al2O3粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃Air処理)
製造例2で得られたFe/Al2O3粉末に対して、上記1000℃Air処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例2(Fe/Al2O3粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例2で得られたFe/Al2O3粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例3(Fe/Al2O3粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例2で得られたFe/Al2O3粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例4(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 未処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末を、そのまま評価用サンプルとして用いた。
比較例5(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃Air処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末に対して、上記1000℃Air処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例6(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:5.0重量% 未処理)
製造例3で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末を、そのまま評価用サンプルとして用いた。
比較例7(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:10.0重量% 未処理)
製造例4で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末を、そのまま評価用サンプルとして用いた。
比較例8(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:10.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例4で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例9(Fe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末 Fe担持量:10.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例4で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
<評価試験>
1 NOx浄化率
上記実施例および比較例で得られた各粉末を、常圧固定床流通反応装置内に配置した。触媒床に、下記表2に示す組成のモデルガスを流通させ、前処理として、表2に示す空気燃料比(A/F)14.0のリッチガス中で、600℃10分間保持した後、室温まで一度冷却した。
X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy:XPS)により、実施例1および比較例4の各評価用サンプルの表面構造を解析した。これらのサンプルのXPSスペクトルを、図2に示す。
図2において、比較例4のスペクトルでは、金属鉄の光電子のエネルギ位置(709.94eV)に、ピークが確認できなかった。
実施例1の粉末は、比較例4の粉末(製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.45Y0.05粉末をそのまま使用)に1000℃R/L処理を施したものである。したがって、図2により、セリア−ジルコニア系複合酸化物の表面近傍のFeの濃度は、1000℃R/L処理により上昇することを確認できた。
Claims (1)
- セリアおよび/またはジルコニアを含有する酸化物にFeを混合することにより前駆体を調製し、前記前駆体を、酸化還元雰囲気において焼成することにより得られ、Feの含有量が3〜5重量%であることを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
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