JP5506286B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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本発明は、自動車用エンジンなどの排ガスを浄化するための排ガス用浄化触媒に関する。
自動車などの内燃機関から排出される排気ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)などが含まれており、これらを浄化するための排ガス浄化用触媒が知られている。
これらを浄化するための触媒として、活性成分である貴金属(Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)など)が、セリア系複合酸化物、ジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト複合酸化物またはアルミナなどの耐熱性酸化物に、担持または固溶している排ガス浄化用触媒が種々知られている。
しかし、Rhなどの貴金属元素は、一般的に高価であるため、工業的には、貴金属の使用をできるだけ低減する必要がある。
そこで、貴金属を不含有の触媒として、例えば、一般的な耐熱性酸化物であるアルミナ粉末に、Feなどを活性成分として担持することによって得られる、Fe/Alなどからなる触媒が種々検討されている。
また、そのような触媒のサポート材(酸素吸蔵放出機能向上材)として、一般式Ce0.60Zr0.300.101.95の組成を有するセリウム系複合酸化物のスラリーに、硝酸第二鉄水溶液を加えて均一に混合し、蒸発乾固後、電気炉にて焼成することによって得られるCe0.60Zr0.300.101.95/0.5wt%Feで示される酸素吸蔵性セリウム系複合酸化物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この酸素吸蔵性セリウム系複合酸化物は、酸素過剰雰囲気下では、酸素を吸蔵し、酸素不足雰囲気下では、酸素を放出して、理論空燃比の維持を図るものである。
特許第3429967号公報
しかるに、Fe/Alからなる触媒では、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時において、Alに担持されたFeが、Al中に固溶することにより、Alにおける触媒活性点が失われる。その結果、触媒活性が低下して、排ガス浄化性能(とりわけ、NOxの浄化性能)が低下するという不具合がある。
また、特許文献1に記載の酸素吸蔵性セリウム系複合酸化物は、あくまでもサポート材であり、排ガスの浄化には、別途貴金属を活性成分とする排ガス浄化用触媒が必要である。
本発明の目的は、貴金属元素の使用を低減しつつ、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時において、Feの優れた触媒活性を発現することのできる、排ガス浄化用触媒を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の排ガス浄化用触媒は、セリアおよび/またはジルコニアを含有する酸化物にFeを混合することにより前駆体を調製し、前記前駆体を、酸化還元雰囲気において焼成することにより得られ、Feの含有量が1〜9重量%であることを特徴としている。
本発明の排ガス浄化用触媒によれば、前駆体が酸化還元雰囲気において焼成され、また、Feの含有量が1〜9重量%であるため、セリアおよび/またはジルコニアを含有する酸化物表面近傍に、Feが安定して保持される。
そのため、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時においても、セリアおよび/またはジルコニアを含有する酸化物中にFeが固溶することなく、Feの高い触媒活性を維持することができる。
したがって、本発明の排ガス浄化用触媒を使用すれば、Feを活性成分として使用できるため、貴金属元素を低減しながら、低コストで、高温下または酸化還元変動下、長期にわたって優れた触媒活性を発現することができる。
図1は、実施例および比較例の600℃におけるNOx浄化率を表わすグラフである。 図2は、実施例1および比較例4のXPSスペクトルである。
本発明の排ガス浄化用触媒を得るには、まず、セリアおよび/またはジルコニアを含有する酸化物(以下、セリア−ジルコニア系酸化物とする。)にFeを混合することにより、前駆体酸化物を調製する。
セリア−ジルコニア系酸化物は、例えば、下記一般式(1)で表される。
Ce1−(a+b)Zr2−c (1)
(式中、Lは、希土類元素(ただし、Ceを除く。)および/またはアルカリ土類金属を示し、aは、Zrの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Ceの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(1)において、Lで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)などが挙げられる。
また、Lで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。
これら希土類元素およびアルカリ土類金属は、単独使用または2種以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、希土類元素が挙げられ、具体的に好ましくは、Yが挙げられる。
また、aで示されるZrの原子割合は、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
また、bで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、1−(a+b)で示されるCeの原子割合は、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.4〜0.6の範囲である。また、1−(a+b)で示されるCeの原子割合は、bで示されるZrの原子割合よりも多いことが好適である。
さらに、cは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
そして、上記一般式(1)で表わされるセリア−ジルコニア系酸化物は、特に制限されることなく、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって、製造することができる。
共沈法では、例えば、上記した各元素の塩を所定の化学量論比で含む混合塩水溶液を調製し、この混合塩水溶液に中和剤を加えて共沈させた後、得られた共沈物を乾燥後、熱処理する。
各元素の塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、混合塩水溶液は、例えば、各元素の塩を、所定の化学量論比となるような割合で水に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
その後、この混合塩水溶液に、中和剤を加えて共沈させる。中和剤としては、例えば、アンモニア、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などの有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなどの無機塩基が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが6〜10程度となるように加える。
そして、得られた共沈物を、必要により水洗し、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、500〜1000℃、好ましくは、600〜950℃で熱処理することにより、上記一般式(1)で表わされるセリア−ジルコニア系酸化物を得る。
また、クエン酸錯体法では、例えば、クエン酸と上記した各元素の塩とを、上記した各元素に対し化学量論比よりやや過剰のクエン酸水溶液を加えてクエン酸混合塩水溶液を調製し、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させた後、得られたクエン酸錯体を仮焼成後、熱処理する。
各元素の塩としては、上記と同様の塩が挙げられ、また、クエン酸混合塩水溶液は、例えば、上記と同様に混合塩水溶液を調製して、その混合塩水溶液に、クエン酸の水溶液を加えることにより、調製することができる。
その後、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させる。乾固は、形成されるクエン酸錯体が分解しない温度、例えば、室温〜150℃程度で、水分を除去する。これによって、上記した各元素のクエン酸錯体を形成させることができる。
そして、形成されたクエン酸錯体を仮焼成後、熱処理する。仮焼成は、例えば、真空または不活性雰囲気下において、250〜350℃で加熱する。その後、例えば、500〜1200℃、好ましくは、600〜1000℃で熱処理することにより、上記一般式(1)で表わされるセリア−ジルコニア系酸化物を得る。
また、アルコキシド法では、例えば、上記した各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比で含む混合アルコキシド溶液を調製し、この混合アルコキシド溶液に、水を加えて加水分解することにより、沈殿物を得る。
各元素のアルコキシドとしては、例えば、各元素と、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのアルコキシとから形成される(モノ、ジ、トリ)アルコラートや、下記一般式(2)で示される各元素の(モノ、ジ、トリ)アルコキシアルコラートなどが挙げられる。
E[OCH(R)−(CH−OR (2)
(式中、Eは、各元素を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示し、iは、1〜3の整数、jは、2〜4の整数を示す。)
アルコキシアルコラートは、より具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトキシプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
そして、混合アルコキシド溶液は、例えば、各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されないが、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
そして、得られた沈殿物を、蒸発乾固し、その後、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させた後、例えば、500〜1000℃、好ましくは、600〜950℃で熱処理することにより、上記一般式(1)で表わされるセリア−ジルコニア系酸化物を得る。
そして、セリア−ジルコニア系酸化物にFeを混合するには、例えば、セリア−ジルコニア系酸化物にFeを担持させる。
セリア−ジルコニア系酸化物にFeを担持させるには、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、Feを含む塩の溶液を調製し、この含塩溶液を、セリア−ジルコニア系酸化物に含浸させた後、焼成すればよい。
含塩溶液としては、上記した例示の塩の溶液を用いてもよく、また実用的には、硝酸塩水溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。具体的には、硝酸鉄水溶液、塩化鉄水溶液などが挙げられる。
セリア−ジルコニア系酸化物にFeを含浸させた後は、例えば、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、大気中、300〜1000℃で1〜12時間焼成する。これにより、Feが担持されたセリア−ジルコニア系酸化物からなる前駆体酸化物を得る。
また、セリア−ジルコニア系酸化物にFeを担持させる他の方法として、例えば、セリア−ジルコニア系酸化物を構成する各元素を含む塩の溶液や混合アルコキシド溶液を共沈あるいは加水分解するときに、Fe塩の溶液を加えて、セリア−ジルコニア系酸化物の各成分とともにFeを共沈させて、その後、焼成する方法が例示される。
セリア−ジルコニア系酸化物に対するFeの担持量(含有量)は、その目的および用途により適宜決定されるが、例えば、Feが担持されたセリア−ジルコニア系酸化物(総量)に対して、1〜9重量%、好ましくは、1〜6重量%、さらに好ましくは、3〜5重量%である。
また、セリア−ジルコニア系酸化物は、全体として、すべてのセリア−ジルコニア系酸化物にFeが担持されていてもよく、また、Feが担持されているセリア−ジルコニア系酸化物と、Feが担持されていないセリア−ジルコニア系酸化物との両方を含んでいてもよい。
そして、前駆体酸化物の調製後、前駆体酸化物を、酸化還元雰囲気において焼成する。
具体的には、酸化雰囲気を、例えば、1〜30分、還元雰囲気を、例えば、1〜30分の処理工程を含む1サイクルを設定し、このサイクルを、例えば、1〜20回実行する。これにより、前駆体酸化物を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露する。そして、前駆体酸化物の暴露中、各雰囲気温度を、例えば、300〜1000℃、好ましくは、500〜800℃に維持することにより、前駆体酸化物を各雰囲気で焼成する。
なお、1サイクルには、酸化雰囲気での処理工程と還元雰囲気での処理工程との間に、前駆体酸化物を不活性雰囲気に暴露する処理工程を含めてもよい。また、上記した各雰囲気は、例えば、下記に示す元素が所定割合で含まれる組成ガスを供給することによって調製することができる。
1 酸化雰囲気:O(1〜100vol%)、CO(0〜99vol%)、HO(高温水蒸気)(0〜20vol%)およびN(残部)を含むガス
2 還元雰囲気:H(1〜100vol%)、CO(0〜20vol%)、CO(0〜100vol%)、HO(高温水蒸気)(0〜20vol%)およびN(残部)を含むガス
3 不活性雰囲気:CO(0〜100vol%)、HO(高温水蒸気)(0〜20vol%)およびN(残部)を含むガス
上記のように、前駆体酸化物を、大気雰囲気に暴露することなく、酸化還元雰囲気において焼成することにより、酸化還元処理の施された、本発明のFe担持セリア−ジルコニア系酸化物を得る。
そして、本発明のFe担持セリア−ジルコニア系酸化物は、そのまま、排ガス浄化用触媒として用いることもできるが、通常、触媒担体上に担持させるなど、公知の方法により、排ガス浄化用触媒として調製される。
触媒担体としては、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の触媒担体が挙げられる。触媒担体上に担持させるには、例えば、まず、上記により得られたFe担持セリア−ジルコニア系酸化物に、水を加えてスラリーとした後、これを触媒担体上にコーティングし、乾燥させ、その後、300〜800℃、好ましくは、300〜600℃で熱処理する。
そして、本発明の排ガス浄化用触媒によれば、前駆体酸化物が、大気雰囲気に暴露されることなく、酸化還元雰囲気において焼成され、また、Feの含有量が1〜9重量%であるため、セリア−ジルコニア系酸化物の表面近傍に、Feが安定して保持される。
そのため、高温下または酸化還元変動下、さらには、長期使用時においても、セリア−ジルコニア系酸化物中にFeが固溶することなく、Feの高い触媒活性を維持することができる。
したがって、本発明の排ガス浄化用触媒を使用すれば、Feを活性成分として使用できるため、貴金属元素を低減しながら、低コストで、高温下または酸化還元変動下、長期にわたって優れた触媒活性を発現することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関やボイラなどから排出される排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒として、好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<製造例>
製造例1(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末の製造 Fe担持量:3.0重量%)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去・蒸発乾固した。これを、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示されるセリア−ジルコニア系複合酸化物の粉末を得た。
次いで、得られたCe0.50Zr0.450.05Oxide粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示されるFeが担持されたセリア−ジルコニア系複合酸化物(前駆体酸化物)の粉末を得た。Fe/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末において、Feの担持量(含有量)は、3.0重量%であった。
製造例2(Fe/Al粉末の製造 Fe担持量:3.0重量%)
市販のθ−Al粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Alで示されるFeが担持されたθ−アルミナ粉末を得た。Fe/Al粉末において、Feの担持量(含有量)は、3.0重量%であった。
製造例3(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末の製造 Fe担持量:5.0重量%)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去・蒸発乾固した。これを、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示されるセリア−ジルコニア系複合酸化物の粉末を得た。
次いで、得られたCe0.50Zr0.450.05Oxide粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示されるFeが担持されたセリア−ジルコニア系複合酸化物(前駆体酸化物)の粉末を得た。Fe/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末において、Feの担持量(含有量)は、5.0重量%であった。
製造例4(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末の製造 Fe担持量:10.0重量%)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去・蒸発乾固した。これを、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示されるセリア−ジルコニア系複合酸化物の粉末を得た。
次いで、得られたCe0.50Zr0.450.05Oxide粉末に、硝酸鉄(III)水溶液を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、電気炉にて、大気中、650℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Fe/Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示されるFeが担持されたセリア−ジルコニア系複合酸化物(前駆体酸化物)の粉末を得た。Fe/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末において、Feの担持量(含有量)は、10.0重量%であった。
<実施例および比較例>
下記実施例および比較例において実施された処理の方法を以下に示す。
1 1000℃酸化還元処理(R/L処理)
不活性雰囲気5分、酸化雰囲気10分、不活性雰囲気5分および還元雰囲気10分の計30分を1サイクルとし、このサイクルを10サイクル、合計5時間繰り返して、酸化物の粉末を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露した後、還元雰囲気のまま室温まで冷却する。
なお、各雰囲気は、高温水蒸気を含む下記表1に示した組成のガスを、300×10−3/hrの流量で供給することによって調製する。また、雰囲気温度は、約1000℃に維持する。
Figure 0005506286
2 1000℃酸化還元処理(R/L耐久処理)
不活性雰囲気5分、酸化雰囲気10分、不活性雰囲気5分および還元雰囲気10分の計30分を1サイクルとし、このサイクルを10サイクル、合計5時間繰り返して、酸化物の粉末を、酸化雰囲気と還元雰囲気とに交互に暴露した後、還元雰囲気のまま室温まで冷却する。
なお、各雰囲気は、高温水蒸気を含む上記表1に示した組成のガスを、300×10−3/hrの流量で供給することによって調製する。また、雰囲気温度は、約1000℃に維持する。
3 1000℃大気処理(Air処理)
酸化物の粉末を、電気炉にて、大気中、1000℃で5時間熱処理(焼成)する。
実施例1(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
実施例2(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
実施例3(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:5.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例3で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
実施例4(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:5.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例3で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例1(Fe/Al粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃Air処理)
製造例2で得られたFe/Al粉末に対して、上記1000℃Air処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例2(Fe/Al粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例2で得られたFe/Al粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例3(Fe/Al粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例2で得られたFe/Al粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例4(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 未処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末を、そのまま評価用サンプルとして用いた。
比較例5(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:3.0重量% 1000℃Air処理)
製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末に対して、上記1000℃Air処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例6(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:5.0重量% 未処理)
製造例3で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末を、そのまま評価用サンプルとして用いた。
比較例7(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:10.0重量% 未処理)
製造例4で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末を、そのまま評価用サンプルとして用いた。
比較例8(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:10.0重量% 1000℃R/L処理)
製造例4で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
比較例9(Fe/Ce0.50Zr0.450.05粉末 Fe担持量:10.0重量% 1000℃R/L処理→1000℃R/L耐久処理)
製造例4で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末に対して、上記1000℃R/L処理を施し、処理後、さらに上記1000℃R/L耐久処理を施すことにより、評価用サンプルを調製した。
<評価試験>
1 NOx浄化率
上記実施例および比較例で得られた各粉末を、常圧固定床流通反応装置内に配置した。触媒床に、下記表2に示す組成のモデルガスを流通させ、前処理として、表2に示す空気燃料比(A/F)14.0のリッチガス中で、600℃10分間保持した後、室温まで一度冷却した。
次いで、触媒床温度を室温から600℃まで1800秒で昇温させた後、A/Fを表2に示すように、14.0から15.2まで各A/F保持時間を300秒として変化させ、その間のNOx浄化率を連続的に測定した。各粉末におけるA/F=14.6での浄化率を下記表3および図1に示す。
Figure 0005506286
Figure 0005506286
2 酸化物の構造解析
X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy:XPS)により、実施例1および比較例4の各評価用サンプルの表面構造を解析した。これらのサンプルのXPSスペクトルを、図2に示す。
図2において、比較例4のスペクトルでは、金属鉄の光電子のエネルギ位置(709.94eV)に、ピークが確認できなかった。
これに対し、実施例1のスペクトルでは、金属鉄の光電子のエネルギ位置(709.94eV)に、ピークが確認できた。
実施例1の粉末は、比較例4の粉末(製造例1で得られたFe/Ce0.50Zr0.450.05粉末をそのまま使用)に1000℃R/L処理を施したものである。したがって、図2により、セリア−ジルコニア系複合酸化物の表面近傍のFeの濃度は、1000℃R/L処理により上昇することを確認できた。

Claims (1)

  1. セリアおよび/またはジルコニアを含有する酸化物にFeを混合することにより前駆体を調製し、前記前駆体を、酸化還元雰囲気において焼成することにより得られ、Feの含有量が3〜5重量%であることを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
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